説明

医薬化合物

【課題】オピオイド作動性レセプター親和性を有する新規ジアザ多環式化合物の提供。
【解決手段】次式


式中−A1は式(II)の基:


(ここで、R1、R2は、任意に置換されていてもよいフェニル等であり、−D1は、ジアザ多環式基であり、−T1は、H、アルキル、アルケニル、又はへテロアリールアルキル等)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分として、オピオイド作動性レセプターに関する親和性を有するジアザ多環式化合物、対応する溶媒和物及び医薬上許容され得る塩を含んでなる医薬組成物に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、活性成分がデルタ(δ)オピオイド作動性レセプターに関して高い親和性及び選択性を有する医薬組成物に関する。好ましくは、ジアザ多環式化合物はジアザ二環式化合物又はジアザ三環式化合物である。
【0003】
更により具体的には、本発明は、ヘプタン、オクタン、ノナン又はデカンジアザ二環式化合物及びデカンジアザ三環式化合物に関する。
【背景技術】
【0004】
少なくとも3つのオピオイドレセプター系のサブレセプターが知られている:ミュー(μ)、デルタ(δ)及びカッパ(κ)オピオイド作動性レセプター。イプシロン(ε)オピオイドレセプターの存在も報告されている(K.J.Chanら、Molecular Pharmacology 26 (1984) 484-488)。デルタオピオイドレセプターに関しては、2つの異なるサブレセプターδ1及びδ2の存在が記載されている(D.F.Pachecoら、Life Sciences 78 (2005) 54-60)。
オピオイド作動性レセプターに関して親和性を有するジアザ二環式及びジアザ三環式化合物が当該分野で公知である。
【0005】
特許出願US 2003/195,217には、式(A1)を有する3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が記載されている:
【化1】

【0006】
上記式中、R1及びR2は、互いに異なって、C2〜C8アシル又は式(A1a)若しくは(A1b)の基である:
【化2】

【0007】
(ここで:
Bは、以下のG1基:C1〜C3アルコキシ、C1〜C2ハロアルキル、C1〜C3アルキル、ハロゲン、CONHRb、COOH、シアノ、ニトロで任意に置換されていてもよいC6〜C10アリール、C5〜C7シクロアルキル基又は窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1つのへテロ原子を含んでなり任意にベンゾ縮合していてもよい5若しくは6原子を有する芳香族へテロシクロ(ここで、へテロ環は上記のG1基で任意に置換されていてもよい)を意味し、
Raは、水素、C1〜C4アルキル、C5〜C7シクロアルキル又はG1基で任意に置換されていてもよいフェニルを意味する。)
【0008】
式(A1)の化合物は、モルヒネによって誘導される活性に匹敵し得るオピオイド作動性レセプターにより媒介される中枢性鎮痛活性を有するが、副作用がより低いという利点を有する。
【0009】
式(A1)の化合物はまた、G. A. Pinnaらの論文Bioorganic & Medicinal Chemistry, 10 (2002) 1929-1937でも扱われている。この論文では、オピオイド作動性レセプターに対する親和性についての二環式構造の種々の置換基の効果が指摘されている。その中で、特許出願US 2003/195,217の実施例の化合物及びG. A. Pinnaらにより記載された化合物の両方がμレセプターに関して高い又は良好な親和性を示し、デルタレセプターに関しては貧弱な親和性を示すか又は全く親和性を示さないことが示されている。
【0010】
米国特許第5,672,601号は、μオピオイド作動性レセプターにより媒介される中枢性鎮痛活性を有する3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン化合物及び対応する医薬剤形を記載する。この化合物は、μレセプターに対して選択的であり、その親和性がモルヒネの親和性に類似することが示されている。この化合物は式(A2)を有する:
【0011】
【化3】

【0012】
上記式中、R3及びR4は、互いに異なって、C2〜C8アシル基又は式-CH2-A-Dの基である(ここで、
Aは、-CH2-CH2-、-CH=CH-又は-CH2-C(O)-であり、
Dは、以下の基:
G2基:CONHR3、COOH、シアノ、ニトロ、NHCOR3で任意に置換されていてもよいC6〜C10アリール
任意にベンゾ縮合していてもよく、窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1つのへテロ原子を含んでいてもよい芳香族へテロ環又は脂環式基(へテロ環はG2基で任意に置換されていてもよい)
から選択される。
【0013】
特許出願WO 2005/108,402は、式(A3)の3,6 ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン誘導体に関する:
【化4】

【0014】
上記式中、R5及びR6は、互いに異なって、C2〜C8アシル又は以下の式(A3a)、(A3b)、(A3c)から選択される基である:
【化5】

【0015】
(ここで、
B1は、以下の基から選択される:
G3基:C1〜C3アルコキシ、C1〜C2ハロアルキル、C1〜C3アルキル、ハロゲン、COOH、シアノ、ニトロ、CONHRd(ここで、RdはC1〜C4アルキル基である)で任意に置換されていてもよいC6〜C10アリール
C5〜C7シクロアルキル基
任意にベンゾ縮合していてもよく、窒素、酸素、硫黄から選択される少なくとも1つのへテロ原子を含有し、へテロ環がG3基で任意に置換されていてもよい5又は6原子の環を有する芳香族へテロ環
【0016】
Rcは、水素、C1〜C4アルキル、C5〜C7シクロアルキル又は上記G3基で任意に置換されていてもよいフェニルを意味する。)
この化合物は、μオピオイドレセプターにより媒介される中枢性鎮痛活性を示す。
【0017】
オピオイド作動性レセプターに対して親和性を有する別のクラスのジアザ二環式化合物は、米国特許第7,358,243号に記載されている。詳細には、このクラスの化合物は、μレセプターに関する高親和性により特徴付けられ、一般式(A4)を有するジアザビシクロノナン及びデカンから形成される:
【化6】

【0018】
上記式中、Qは-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-であり、R7及びR8の一方は-CH2-CH2-CH2-Re又は-CH2-CH=CH-Re又は-CH2-C≡C-Re(Reはアリール又はへテロアリールである)であり、R7及びR8の他方は-C(O)Rf(Rfはアルキル又はシクロアルキル又はシクロアルキルアルキル又はアリール又はアリールアルキルである)である。
【0019】
米国特許第6,127,362号は、式(A5)又は(A6)の鎮痛活性を有する9,10-ジアザトリシクロ-[4,4,1,12,5]-デカン化合物及び2,7-ジアザトリシクロ[4,4,0,03,8]デカン化合物を開示する:
【化7】

【0020】
上記式中、R9及びR10は共に水素であるか、又は互いに異なり、それらは
ハロゲン、C1〜C8アルキル、C2〜C10アシル、
下記から選択される基Ar
−任意に置換されていてもよいフェニル
−任意に置換されていてもよいナフチル
−環中に5〜7原子を有し、酸素、窒素及び硫黄から選択される1〜3のへテロ原子を含有するへテロ環式基(該へテロ環式基は任意にベンゾ縮合していてもよく、ベンゼン環上で任意に置換されていてもよい)
式-CH2-CH=CH-Ar(ここで、Arは上記のとおりである)の基
から選択される。
【0021】
式(A5)又は(A6)の化合物の鎮痛活性は、μオピオイドレセプターにより媒介される。なぜなら、それは、G. A. Pinnaら、Bioorganic & Medicinal Chemistry, 11 (2003) 4015-4026及びP. Vianelloら、Journal of Medicinal Chemistry, 43 (2000) 2115-2123による論文に記載される化合物の親和性及び選択性の値に起因するからである。
【0022】
非ペプチド構造を有するデルタオピオイド作動性レセプターに関して親和性及び選択性を有する化合物が当該分野において知られている。
【0023】
デルタオピオイドレセプターに関して選択的なモルヒネ誘導体は、WO 02/30,935に記載され、式(A7)を有する:
【化8】

(式中、R11、R12、R13及びR14は該特許出願に記載されているような種々の意味を有する)。
【0024】
デルタオピオイドレセプターに選択的なアゴニスト化合物は、特許出願US 2008/0096,925に記載され、以下の式(A8)を有する:
【化9】

(式中、R15、R16、R17、R18、R19、X、Y、Z、pは該出願に記載された種々の意味を有する)。
【0025】
デルタオピオイドレセプターのリガンドは、特許出願US 2006/0148,850に記載され、以下の式(A9)を有する:
【化10】

(式中、R20、R21、R22、R23、R24は該出願に記載された種々の意味を有する)。
【0026】
特許出願US 2006/0135,522及びUS 2006/0135,763は、それぞれ式(A10)及び(A11)を有するデルタオピオイドレセプターをモジュレートする化合物を開示する:
【化11】

(式中、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、T、G、V、Qは該特許出願に記載された種々の意味を有する)。
【0027】
デルタオピオイドレセプターに関して親和性及び選択性を有する他の公知化合物は、それぞれK. J.Changら、J.P.E.T. 267 (1993) 852-857及びS. N. Calderonら、J.Med.Chem. 37 (1994) 2125-2128により記載されたBW373U86及びSNC80誘導体である。この2つの化合物の構造は:
【化12】

である。
【0028】
オピオイド作動性レセプターに関する親和性を有するジアザ二環式及びジアザ三環式化合物を記載する上記特許及び特許出願は、疼痛治療のための該化合物の使用を開示する。
【0029】
上記米国特許第7,358,243号は、オピオイド作動性化合物が、異なる種類の疼痛(術後疼痛、ニューロパシー性疼痛のような慢性疼痛)の治療への使用の他に、他の疾患及び障害(例えば、アレルギー性皮膚炎、性機能不全、アルコール中毒、悪心、嘔吐、抑うつ、タバコ中毒、肥満及び摂食に関連する障害、物質乱用(例えば、ヘロイン、コカイン)、脊髄損傷、脳外傷、ショック、卒中、胃腸管障害)の治療に使用することができることを示唆している。Eur.J.Pharmacol. 296 (1996) 199-207は、ヒト乳ガン細胞株に対するオピオイド作動性レセプターアゴニスト化合物の抗増殖活性を報告している。よって、この論文により、該アゴニスト化合物の抗腫瘍活性が公知になった。以下の論文:Veterinary Ophthalmology (2003) 6, 1, 73-76;Exp. Eye Res. 2007 January 84(1) 185-190;British Journal of Anaesthesia 1998, 81 606-607において、オピオイド作動性レセプターアゴニスト化合物の眼内圧を減少させる能力、したがって該化合物の緑内障のような眼の病状への使用が示されている。Neuropeptides 35(5) (1999) 360-368に発表された文献には、オピオイド作動性レセプターをモジュレートする化合物の摂食に対する効果が報告されている。詳細には、オピオイド作動性レセプターのアゴニスト及びアンタゴニストが摂食をそれぞれ増加又は減少させ得ることが示唆されている。
【0030】
特許出願WO 06/113,468は、オピオイド作動性レセプターをモジュレートする化合物の関節炎、乾癬、喘息、心疾患、性機能不全、疼痛、失禁及び尿生殖路障害の治療についての使用を記載している。
【0031】
特許出願US 2005/203,123は、オピオイド作動性レセプターのアンタゴニスト化合物及び胃腸管障害、疼痛、肥満、アルツハイマー病及びパーキンソン病並びに関連する障害の治療についてのそれらの使用に関する。オピオイド作動性化合物の糖尿病及びアテローム性動脈硬化症の治療についての使用は、特許出願WO 05/092,836及びWO 05/066,164に記載されている。
【0032】
特許出願WO 04/089,372は、オピオイド作動性レセプターをモジュレートする化合物の不安及び抑うつのような中枢神経系障害の治療及び予防についての使用を記載している。デルタオピオイド作動性レセプターの選択的アゴニストである化合物(+)-4-[(aR)-a-((2S,5R)-4-アリル-2,5-ジメチル-1-ピペラジニル)-3-メトキシ-ベンジル]-N,N-ジエチルベンズアミド(SNC80と呼ばれる)の抗抑うつ及びリラクシング効果が、Journal of Pharmacological Sciences 95 (2004) 374-380に報告されている。
【0033】
特許出願WO 04/060,321は、心保護効果を有するオピオイド作動性レセプターのアゴニストを含んでなる治療組成物に関する。
特許出願WO 02/42,309及びWO 01/46,198は、オピオイド作動性化合物が免疫刺激剤又は免疫抑制剤としても使用できることを記載する。
【0034】
米国特許第5,780,589号は、鎮痛、ペプチドホルモン分泌の調節、体温調節、呼吸抑制、胃腸機能、免疫系活性におけるオピオイドレセプターのリガンドの活性を報告している。この特許はまた、以下の病状:アルコール又はオピエートの乱用、神経系疾患、ホルモン障害、神経伝達物質放出の障害、神経障害、免疫系不全、移植片拒絶、疼痛、ショック及び脳傷害の治療におけるオピオイドの使用も記載している。この特許は更に、2',6'-ジメチル-L-チロシン(Dmt)及び1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)を含有するジペプチド、トリペプチド及び環状ペプチドから形成されたペプチド構造を有する、デルタオピオイドレセプターについての新たなクラスの選択性化合物を記載している。
【0035】
特許出願US 2003/0186,872は、性機能不全の治療、特に男性における早漏の治療についてのデルタオピオイドレセプターアゴニスト化合物の使用を記載している。
【0036】
C.J.Kotzerら、J.P.E.T. 292 (2000) 803-809は、デルタオピオイドアゴニストの抗咳特性を記載している。具体的には、この文献で研究されたデルタオピオイドのアゴニストは、SB 227122と呼ばれる化合物である(804頁)。
【0037】
先行技術から周知であるようなμオピオイドレセプターに関する親和性を有する化合物の治療的使用には、便秘、呼吸抑制、運動障害、悪心、嘔吐、鎮静、耐性及び依存性のような望まない効果が含まれる。更に、前記副作用の実体は、デルタオピオイドレセプターに関する親和性及び選択性を有する化合物を使用する場合、より低いか又は無くなりさえすることが知られていた(G. Dondioら、J. Med. Chem. 40 (1997) 3192-3198)。最近の研究は、μオピオイドレセプターのモジュレーションにおけるデルタオピオイドレセプターの役割を指摘している(R. Rozenfeldら、The Scientific World Journal 7(S2) (2007) 64-73;I.Gomesら、PNAS 101 (2004) 5135-5139)。デルタオピオイドレセプターのリガンドは、主としてμオピオイドレセプターを通じて作用するオピオイド作動性アゴニスト(例えばモルヒネ)の鎮痛効果をモジュレートすることができるが、薬理学的依存性及び耐性の効果を減少させる(E. E. Abdelhamidら、J.P.E.T. 258 (1991) 299-303)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】米国特許出願公開公報第US 2003/195,217号
【特許文献2】米国特許第5,672,601号
【特許文献3】国際公報第WO 2005/108,402号
【特許文献4】米国特許第7,358,243号
【特許文献5】国際公報第WO 02/30,935号
【特許文献6】米国特許出願公開公報第US 2008/0096,925号
【特許文献7】米国特許出願公開公報第US 2006/0148,850号
【特許文献8】米国特許出願公開公報第US 2006/0135,522号
【特許文献9】米国特許出願公開公報第US 2006/0135,763号
【特許文献10】国際公報第WO 06/113,468号
【特許文献11】米国特許出願公開公報第US 2005/203,123号
【特許文献12】国際公報第WO 05/092,836号
【特許文献13】国際公報第WO 05/066,164号
【特許文献14】国際公報第WO 04/089,372号
【特許文献15】国際公報第WO 04/060,321号
【特許文献16】国際公報第WO 02/42,309号
【特許文献17】国際公報第WO 01/46,198号
【特許文献18】米国特許第5,780,589号
【特許文献19】米国特許出願US 2003/0186,872号
【非特許文献】
【0039】
【非特許文献1】K.J.Chanら、Molecular Pharmacology 26 (1984) 484-488
【非特許文献2】D.F.Pachecoら、Life Sciences 78 (2005) 54-60
【非特許文献3】G. A. Pinnaら、Bioorganic & Medicinal Chemistry, 10 (2002) 1929-1937
【非特許文献4】G. A. Pinnaら、Bioorganic & Medicinal Chemistry, 11 (2003) 4015-4026
【非特許文献5】P. Vianelloら、Journal of Medicinal Chemistry, 43 (2000) 2115-2123
【非特許文献6】K. J.Changら、J.P.E.T. 267 (1993) 852-857
【非特許文献7】S. N. Calderonら、J.Med.Chem. 37 (1994) 2125-2128
【非特許文献8】Eur.J.Pharmacol. 296 (1996) 199-207
【非特許文献9】Veterinary Ophthalmology (2003) 6, 1, 73-76
【非特許文献10】Exp. Eye Res. 2007 January 84(1) 185-190
【非特許文献11】British Journal of Anaesthesia 1998, 81 606-607
【非特許文献12】Neuropeptides 35(5) (1999) 360-368
【非特許文献13】Journal of Pharmacological Sciences 95 (2004) 374-380
【非特許文献14】C.J.Kotzerら、J.P.E.T. 292 (2000) 803-809
【非特許文献15】G. Dondioら、J. Med. Chem. 40 (1997) 3192-3198
【非特許文献16】R. Rozenfeldら、The Scientific World Journal 7(S2) (2007) 64-73
【非特許文献17】I.Gomesら、PNAS 101 (2004) 5135-5139
【非特許文献18】E. E. Abdelhamidら、J.P.E.T. 258 (1991) 299-303
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
特性の以下の組合せを有するオピオイドレセプター系に関して親和性を有する化合物を入手可能にする必要性が意識されていた:
− デルタオピオイドレセプターに関する高い親和性及び選択性
− μオピオイドレセプターに関する親和性及び選択性を有する化合物より低い副作用
− モルヒネより低い副作用
− μオピオイドレセプターアゴニスト及び/又はモルヒネから選択される化合物の副作用を、該化合物の治療効果を実質的に改変することなく(好ましくは該化合物の治療効果を増大及び/又は延長させることにより)減少させることに効果的であること。
【課題を解決するための手段】
【0041】
驚くべきことに、そして予期せぬことに、本出願人により、上記の技術的課題を解決する、オピオイドレセプターに関して親和性及び選択性を有する新たなクラスの化合物並びに対応する医薬組成物が見出された。
【0042】
本発明の目的は、オピオイド作動性レセプター、好ましくはデルタオピオイド作動性レセプターに関して親和性を有し、中枢及び/又は末梢活性を有し、下記式を有するジアザ多環式化合物である:
【化13】

【0043】
上記式中
−A1は式(II)の基であり:
【化14】

【0044】
(ここで、
R1は、水素原子の1つがC(O)R'、C(O)OR'、C(O)NHR'又はC(O)NR3R4から選択される基で置換されたフェニルであり(ここで、
R'は、H、アルキル、アルケニル、アルキルチオ及び任意に置換されていてもよい以下の基:シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキルから選択され、
R3及びR4は、互いに等しいか又は異なって、Hを除くR'と同義であるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)、
【0045】
R2は、環の1又はそれより多い水素原子が任意にG4基で置換されていてもよいフェニルであって、該G4基が互いに等しいか又は異り、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ベンジル、へテロアリール、アルケニル、アルキルチオ、シアノ、SO2NH2、イソチオシアネート、OR5、NO2、NHR5又はNR6R7から選択される、フェニルであり(ここで、
R5はR'と同義であり、
R6及びR7はR3及びR4と同義である)、
【0046】
−D1は、以下の構造(D1)、(D2)及び(D3)から選択される基であり
【化15】

(ここで、
tは1又は2に等しい整数であり、
t=1のとき、Q1は-CH2-、-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-から選択され、
t=2のとき、Q1は-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-から選択される)
【化16】

【0047】
−T1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル及び任意に置換されていてもよい以下の基:シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキルから選択される基である。
【0048】
本発明の化合物は、対応する異性体(幾何異性体、例えばシス-トランス、又は立体異性体)又はそれらの混合物の形態であり得る。更に、式(I)の化合物の少なくとも1つの原子は、放射性標識のために、異なる同位体形態であり得る。
R1において、芳香族環の1又はそれより多い水素原子は、互いに等しいか又は異なって、上記G4基で任意に置換されることができる。
【0049】
R'、R3又はR4が、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキル基を意味するとき、環の1又はそれより多い水素原子は、互いに等しいか又は異なって、1又はそれより多い置換基G4で任意に置換されることができる。
【0050】
R2が、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ベンジル又はへテロアリール基で置換されたフェニルであるとき、環の1又はそれより多い水素原子は、G4置換基から互いに等しいか又は異なって選択される1又はそれより多い基で任意に置換されていてもよい。
【0051】
T1が、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルを意味するとき、前記基の環の1又はそれより多い水素原子は、G4置換基から互いに等しいか又は異なって選択される1又はそれより多い基で任意に置換されていてもよい。
【0052】
特記しない場合、本明細書の記載を通じて、以下の定義が適用される。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択される原子を意味する。
【0053】
アルキルとは、直鎖状又は可能な場合には任意に分枝状のC1〜C20の飽和脂肪族鎖を意味する。ここで、1又はそれより多い水素原子は、ハロゲン及びOHから互いに等しいか又は異なって選択される1又はそれより多い基で任意に置換されていてもよい。
【0054】
アルケニルとは、直鎖状又は可能な場合には任意に分枝状のC2〜C20のモノ-又はポリ-不飽和(好ましくはモノ不飽和)脂肪族鎖を意味する。ここで、1又はそれより多い水素原子は、ハロゲン及びOHから互いに等しいか又は異なって選択される1又はそれより多い基で任意に置換されていてもよい。
【0055】
シクロアルキルとは、3〜10炭素原子(好ましくは4〜8炭素原子)の脂肪族単環式環又は7〜19炭素原子を含んでなる多環式環基を意味する。
へテロシクロアルキルとは、1又はそれより多い炭素原子が、S、O、Nから互いに等しいか又は異なって選択されるへテロ原子により置換されている上記で定義したシクロアルキルを意味する。環が単環式であるとき、へテロ原子は、好ましくは、2を超えない。
【0056】
アルキルチオとは、-S-R8置換基(ここで、R8はアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はへテロシクロアルキルから選択される)を意味する。
へテロアリールとは、芳香族環の少なくとも1つの原子がS、O、Nから選択されるへテロ原子である、C5〜C6芳香族環又は少なくとも1つの環が芳香族であるC7〜C19多環式環構造を意味する。
【0057】
アルキニルとは、不飽和が三重結合である、直鎖状又は可能な場合には任意に分枝状のC2〜C20モノ-又はポリ-不飽和(好ましくはモノ不飽和)炭化水素鎖を意味する。ここで、1又はそれより多い水素原子は、ハロゲン原子又はOH基で任意に置換されることができる。好ましくは、鎖はC2〜C12炭化水素鎖である。
【0058】
アリールとは、6〜20炭素原子を有する芳香族単環式基又は縮合芳香族多環式基を意味する。
アリールアルキルとは、上記で定義したアリールに結合した上記で定義した(好ましくはC1〜C7)アルキルを意味する。アリールアルキルの例として、ベンジルを挙げることができる。
へテロアリールアルキルとは、上記で定義したへテロアリールに結合した上記で定義した(好ましくはC1〜C7)アルキルを意味する。
【0059】
シクロアルキルとは、上記で定義したシクロアルキルに結合した上記で定義した(好ましくはC1〜C7)アルキルを意味する。
へテロシクロアルキルとは、上記で定義したへテロシクロアルキルに結合した上記で定義した(好ましくはC1〜C7)アルキルを意味する。
【0060】
アルキレンとは、各末端に1の自由原子価を有する、直鎖状又は可能な場合には任意に分枝状のC1〜C20の二価脂肪族鎖を意味する。ここで、鎖の1又はそれより多い水素原子は、ハロゲン原子又はOH基で任意に置換されることができる。好ましくは、二価脂肪族鎖は、例えば以下の基から選択されるC1〜C8である:ビニル、アリル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、ブタ-1-エン-3-イル、ブタ-1-エン-4-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、2-メチル-プロペン-1-イル、2-メチル-プロペン-3-イル。
【0061】
アルキニレンとは、不飽和が二重結合であり、各末端に1の自由原子価を有する、直鎖状又は可能な場合には任意に分枝状の二価のモノ-又はポリ-不飽和C2〜C20炭化水素鎖を意味する。ここで、1又はそれより多い水素原子は、ハロゲン原子又はOH基で任意に置換されることができる。好ましくは、二価炭化水素鎖はC2〜C8である。
【0062】
アルキニレンとは、不飽和が二重結合であり、各末端に1の自由原子価を有する、直鎖状又は可能な場合には任意に分枝状の二価のモノ-又はポリ-不飽和C2〜C20炭化水素鎖を意味する。ここで、1又はそれより多い水素原子は、ハロゲン原子又はOH基で任意に置換されることができる。好ましくは、二価炭化水素鎖はC2〜C8である。
【0063】
へテロアルキレンとは、以下の意味を有する基を意味する:-Ra-0-CO-Ya-、-Ra-S-Ya-、-Ra-N(Rb)-Ya-、-Ra-CO-Ya-、-Ra-0-CO-Ya-、-Ra-CO-0-Ya、-Ra-CO-N(R'b)-Ya-、-Ra-N(R'b)-CO-Ya、-Ra-0-CO-N(R'b)-Ya-、-Ra-N(R'b)-CO-0-Ya-、-Ra-N(R'b)-CO-N(Rc)-Ya-、-Ra-0-CO-0-Ya-、-Ra-N(R'b)-C(=NRd)-N(Rc)-Ya-、-Ra-CS-Ya-、-Ra-OCS-Ya-、-Ra-CS-0-Ya-、-Ra-CS-N(R'b)-Ya-、-Ra-N(R'b)-CS-Ya-、-Ra-0-CS-N(R'b)-Ya-、-Ra-N(R'b)-CS-0-Ya-、-Ra-N(R'b)-CS-N(Rc)-Ya-、-RaO-CS-OYa-、-Ra-S-CO-Ya-、-Ra-CO-S-Ya-、-Ra-S-CO-N(R'b)-Ya-、-Ra-N(R'b)-CO-S-Ya-、-Ra-S-CO-0-Ya-、-Ra-0-CO-S-Ya-、-Ra-S-CO-S-Ya-、-Ra-S-CS-Ya-、-Ra-CS-S-Ya-、-Ra-S-C-SN(R'b)-Ya-、-Ra-N(R'b)-CS-S-Ya-、-Ra-S-CS-S-Ya-、-Ra-0-CS-S-Ya-、
【0064】
式中、
Raは、C1〜C6アルキレン、C2〜C6アルケニレン又はC2〜C6アルキニレンから選択される基であり、
R'bは、水素原子であるか、又はC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル又はC2〜C6アルキニルから選択される基であり、
Rcは、水素であるか、又はC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル又はC2〜C6アルキニルから選択される基であり、
Rdは、水素であるか、又はC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル又はC2〜C6アルキニルから選択される基であり、
Yaは、直接結合(自由原子価)であるか、又はC1〜C6アルキレン、C2〜C6アルケニレン又はC2〜C6アルキニレンから選択される基であり、
【0065】
ここで、各へテロアルキレン基は少なくとも1つの炭素原子を含有し、1又はそれより多い水素原子はフッ素又は塩素原子により置換されることができる。
【0066】
アルキルシクロアルキルとは、上記で定義したアルキルに結合した、上記で定義したシクロアルキルを意味する。
へテロアルキルシクロアルキルとは、上記で定義したへテロアルキレンに結合した、上記で定義したシクロアルキルを意味する。
【0067】
アリーレン、へテロアリーレン、シクロアルキレン、へテロシクロアルキレン、アリールアルキレン、へテロアーリルアルキレン、アルキルシクロアルキレン及びへテロアルキルシクロアルキレンとは、それぞれ、環の1つの水素原子が1の自由原子価により置換されている、上記で定義したアリール、へテロアリール、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキル、アルキルシクロアルキル、へテロアルキルシクロアルキルを意味する。
【0068】
デルタオピオイドレセプターとは、デルタ(δ)オピオイドレセプター又はδ1及びδ2サブレセプターを意味する。
このレセプターに対して親和性を有する化合物とは、このレセプターに対してアゴニスト又はアンタゴニスト、又は部分アゴニスト、又は部分アンタゴニスト、又はインバースアゴニスト、又はインバースアンタゴニスト、インバース部分アゴニスト、又はインバース部分アンタゴニスト活性をインビボ及び/又はインビトロで有する化合物を意味する。この用語の意味は当業者に公知である。
【0069】
式(I)の好適な化合物は、
−R1が、環のパラ位の水素原子がC(O)R'、C(O)OR'、C(O)NHR'又はC(O)NR3R4から選択される基で置換されたフェニルであり(ここで、
R'は、以下のG5基:H、C1〜C7アルキル、C3〜C8単環式シクロアルキル、C3〜C8単環式へテロシクロアルキル、フェニル、単環式へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキル(ここで、前記シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルはC1〜C6アルキル鎖を有する単環式環である)から選択され、
R3及びR4は、互いに等しいか又は異なって、水素を除く上記G5基から選択されるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)、
【0070】
−R2が、環の1又はそれより多い水素原子が以下:ハロゲン、C1〜C7アルキル、C3〜C8単環式シクロアルキル、C2〜C7アルケニル、シアノ、SO2NH2、イソチオシアネート、OR5、NO2、NHR5、NR6R7又はアルキルチオ-S-R9(式中、R9はC1〜C7アルキルである)から選択される互いに等しいか又は異なるG7基で任意に置換されていてもよいフェニルであり(ここで、
R5はG5基から選択され、
R6及びR7は、互いに等しいか又は異なって、水素を除く上記G5基から選択されるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)、
【0071】
−D1が上記のとおりであり、
−T1が、H、C1〜C10アルキル、C3〜C10アルケニル、C3〜C10アルキニル、単環式シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキルから選択される
化合物である。
【0072】
式(I)の最も好適な化合物は、
−R1が、環のパラ位の水素がC(O)R'、C(O)OR'、C(O)NHR'又はC(O)NR3R4から選択される基で置換されたフェニルであり(ここで、
R'は、以下のG6基:C1〜C7アルキル、C3〜C8単環式シクロアルキル、C3〜C8単環式へテロシクロアルキル、フェニル、単環式へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキル(ここで、前記シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルはC1〜C3アルキルで置換されている単環式環である)から選択され、
R3及びR4は、互いに等しいか又は異なって、水素を除く上記G6基から選択されるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)、
【0073】
−R2が、環の1又はそれより多い水素原子が、ハロゲン、C1〜C7アルキル、シアノ、SO2NH2、イソチオシアネート、OR5、NO2、NHR5又はNR6R7(ここで、R5は水素又はC1〜C7アルキルから選択される置換基であり、R6及びR7は、それらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成するか、又は互いに等しいか若しくは異なって、C1〜C7アルキルである)から互いに等しいか又は異なって選択される基で任意に置換されていてもよいフェニルであり、
【0074】
−D1が上記のとおりであり、
−T1が、H、C1〜C7アルキル、C3〜C7アルケニル、C3〜C7アルキニル、単環式シクロアルキル、単環式へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキル(ここで、前記シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルは単環式環でありC1〜C6アルキル鎖を有する)から選択される基である
化合物である。
【0075】
式(I)の更に好適な化合物は、
−R1が、環のパラ位の水素がC(O)R'、C(O)NHR'又はC(O)NR3R4から選択される基で置換されたフェニルであり(ここで、
R'は、上記G6基から選択され、
R3及びR4は、互いに等しいか又は異なって、水素を除く上記G6基から選択されるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)、
【0076】
−R2が、環のメタ位の水素原子の1つが、ハロゲン、C1〜C3アルキル、シアノ、SO2NH2、イソチオシアネート、OR5、NO2、NHR5又はNR6R7(ここで、R5は水素又はC1〜C3アルキルから選択され、R6及びR7は、それらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成するか、又は互いに等しいか若しくは異なって、C1〜C5アルキルである)から選択される基で任意に置換されていてもよいフェニルであり、
【0077】
−D1が前記のとおりであり、
−T1が、以下の式:
【化17】

から選択される基であるか、又はH、C1〜C7アルキル、C3〜C7アルケニル、C3〜C7アルキニル、フェニル、単環式へテロアリール、単環式シクロアルキル、単環式へテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキル(ここで、前記シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルは単環式環でありC1〜C3アルキル鎖を有する)から選択される基である
化合物である。
【0078】
式(I)の具体的化合物は以下である:
【化18】

【0079】
【化19】

【0080】
【化20】

【0081】
【化21】

【0082】
【化22】

【0083】
【化23】

【0084】
【化24】

【0085】
【化25】

【0086】
【化26】

【0087】
【化27】

【0088】
【化28】

【0089】
【化29】

【0090】
【化30】

【0091】
【化31】

【0092】
【化32】

【0093】
【化33】

【0094】
【化34】

【0095】
【化35】

【0096】
【化36】

【0097】
【化37】

【0098】
【化38】

【0099】
【化39】

【0100】
【化40】

【0101】
【化41】

【0102】
【化42】

【0103】
【化43】

【0104】
【化44】

【0105】
【化45】

【0106】
【化46】

【0107】
【化47】

【0108】
上記のように、本発明の化合物は、特性の上記組合せ、すなわちδオピオイドレセプターに関する高親和性、高選択性及び高活性;μオピオイドレセプターに関して親和性及び選択性を有する化合物、特にモルヒネと比較して減少した副作用を示す。
【0109】
上記のように、式(I)の化合物の異なる異性体(シス及びトランス異性体、化合物中で1又はそれより多いキラル中心が存在するときには光学異性体)及びそれらの混合物を含んでなる、式(I)の化合物の水和物、溶媒和物及び医薬上許容され得る塩は、本発明の更なる目的である。水和物及び溶媒和物という用語の意味は、当業者に周知である。詳細には、水和物とは、1又はそれより多い水和水分子、一般には1〜10の水分子を含有する化合物を意味する。溶媒和物とは、1又はそれより多い水とは異なる溶媒の分子を含有する化合物を意味する。
【0110】
医薬上許容され得る塩とは、式(I)の化合物を製薬観点から許容され得る有機酸又は無機酸で処理することにより得られる塩を意味する。例えば、塩酸塩、硫酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、硫酸水素塩、琥珀酸塩、パラトルエン-スルホン酸塩を挙げることができる。「Remington, The Science and Practice of Pharmacy」第II巻、1995、1457頁を参照。
【0111】
式(I)の化合物のヒト及び動物への投与から生じる代謝物は、水並びにCO2及びNH3のような最終代謝物を除き、本発明の更なる目的である。
【0112】
驚くべきことに、そして予想外にも、本発明の式(I)の化合物は、オピオイドレセプターに関してインビトロ及び/又はインビボ親和性、特にデルタオピオイドレセプターに関して高い親和性及び選択性を有し、μオピオイドレセプターに関して親和性を有するモルヒネその他の化合物に比して減少した副作用を有することが本出願人により見出された。更に、驚くべきことに、そして予想外にも、本発明の式(I)の化合物は、μオピオイドレセプターに関して親和性及び選択性を有する化合物及び/又はモルヒネと共に投与されたとき、後者の化合物の治療活性に負に影響することなく(好ましくは治療効果を増大させ及び/又は時間的に延長させ)、後者の化合物の副作用を減少させ得ることが本出願人により見出された。
【0113】
本発明の化合物は、事実、μオピオイドレセプターに関して活性及び選択性を有する化合物(特にμオピオイド作動性アゴニスト化合物、例えばモルヒネ)との相乗作用を提供することができる。
【0114】
本発明の式(I)の化合物は、デルタオピオイドレセプターに関する高親和性を有する;詳細には、Ki<400nM、より好ましくは<200nM、尚より好ましくは<100nMとして表される親和性を有する。本発明の化合物(I)は更に、δオピオイドレセプターに関する高選択性を有する;詳細には、0.20より低い、好ましくは0.10より低い、尚より好ましくは0.08より低い比(δオピオイドレセプターに関するKi)/(μオピオイドレセプターに関するKi)として表される選択性比を有する。
【0115】
本発明の更なる目的は、式(I)の化合物の製造方法である。
式(I)の化合物の置換基R2がOH基を含有しないとき、この製造方法は、
以下の工程を含んでなる:
a)式D1'〜D6'を有する以下のジアザ二環式又はジアザ三環式化合物
【化48】

【0116】
(ここで、Q1は、D1がD1を意味し、t=1のときの式(I)の化合物中で定義されるとおりであり、Q2はQ1と等しいが-CH2-ではなく、Z9及びZ10は窒素原子の保護基である)
の一方の水素原子に結合した窒素原子(ここで、他方の窒素原子は保護基Z9又はZ1で置換されている)の、式(II'):
【化49】

【0117】
(式中、R1は上記のとおりであり、R2aはR2と同義であるが、少なくとも1又はそれより多いOH基で置換されたフェニル基は除き、Tyは脱離基である)
のアルキル化化合物によるアルキル化工程であって、式(I'):
【化50】

【0118】
(式中、A1及びD1は上記のとおりであり、T2はZ9又はZ10を意味する)
の化合物を得る工程、
【0119】
b)基Z9又はZ10で置換された窒素原子の脱保護工程であって、T1がHである式(I):
【化51】

の化合物を得る工程、
【0120】
c)式T1-Tx(式中、T1は上記で定義したとおりであり、Txは脱離基である)の化合物との反応により化合物A1-D1-Hの窒素に結合した水素原子の置換工程であって、T1がHとは異なる式(I)の化合物を得る工程(ここで、T1=Hを有する式(I)の化合物が所望であれば、工程cは実施しない)。
【0121】
工程a)において、アルキル化反応は、好ましくは、無水条件下で、塩基、好ましくは炭酸カリウムの存在下に、アセトニトリルのような不活性有機溶媒中での操作により実施する。好ましくは、この反応は、還流で、好ましくは40〜80時間実施する。好ましくは、保護基Z9及びZ10は、ベンジル、メチル、terブトキシカルボニル(BOC)又はカルボキシベンジル(CBZ)から選択される。好ましくは、式(II')の脱離基Tyはハロゲン、メシル又はトシルから選択される。
【0122】
工程b)において、保護基Z9又はZ10に結合した窒素原子の脱保護は、具体的保護基に関して当該分野で公知の反応を用いて実施することができる。例えば、ベンジル保護基の除去は、接触還元、例えばPd/C上での接触還元により実施することができる。メチル保護基の除去は、例えば、2,2,2-トリクロロエチルクロロホルメートを用い、カルバメートの形成及び続く酢酸中の金属亜鉛での処理で実施することができる。BOC保護基の除去は、強酸、例えばトリフルオロ酢酸又は塩酸を用いて実施することができる。CBZ保護基の除去は、ベンジル又はBOCに関して上記で示した脱保護反応の各々により実施することができる。
【0123】
工程c)において、脱離基Txは、好ましくは、ハロゲン、メシル又はトシルから選択される。この反応は、好ましくは、不活性有機溶媒中で、好ましくは無水条件下に(例えば、無水アセトン)、好ましくは8〜20時間の還流で、実施される。
【0124】
式(I)の化合物中、置換基R2が1又はそれより多いOH基を含有するとき、この化合物は、以下の工程:
上記のように実施される工程a)、工程b)、工程c)であって、R2中に、OH基に代えて、前記工程に適合する反応条件下で安定であり、且つ以下:ハロゲン、NO2、OR6、NHR5又はNR6R7(R5、R6、R7は上記のとおり)から選択されるGS基が存在する式(I)の化合物を得る工程a)、工程b)、工程c)
公知反応によるGS基のヒドロキシル基への変換工程であって、置換基R2が1又はそれより多いOH基を含む式(I)の化合物を得る工程d)
をこの順で含んでなる方法で取得することができる。
【0125】
好ましくは、GSはOR6基であり、より好ましくはメトキシである。この後者の場合、GS基のOH基への変換は、例えば鉱酸又はルイス酸で生じる。例えば、濃HCl又は三臭化ホウ素が使用される。三臭化ホウ素を使用するとき、この反応は、好ましくは、不活性有機溶媒中、例えばジクロロメタン中で、低温、例えば0〜5℃での操作により実施される。
【0126】
本発明の方法で使用されるD1'〜D6'の式を有するジアザ二環式又はジアザ三環式化合物は公知化合物である。詳細には、式(D1')及び(D2')を有する化合物並びにこれらの製造方法は、米国特許第5,672,601号並びに特許出願US 2003/195,217及びWO 2005/108,402に記載されている。式(D3')及び(D4')を有する化合物並びにそれらの製造方法は、米国特許第7,358,243号に記載されている。式(D5')及び(D6')の化合物並びにそれらの製造方法は、米国特許第6,127,362号に記載されている。
【0127】
式(II')のアルキル化化合物は、当該分野において公知の方法、具体的にはS.N. Calderonら、J.Med.Chem. 37 (1994) 2125-2128及びJ. Med. Chem. 40 (1997) 695-704により記載されている方法に従って得ることができる。例えば、R1がパラ位に置換基C(O)R'、C(O)0R'、C(O)NHR'、C(O)NR3R4を有する式(II')の化合物は、下記に示すスキーム1に従って製造することができる:
【0128】
【化52】

【0129】
ここで、
工程a')で、式(II'b)のベンゾフェノン(式中、R2は上記で定義したとおりであり、R30はパラ位にメチル基を有するフェニルである)を、式(II'a)の塩化ベンゾイルをジクロロメタン中三塩化アルミニウム(AlCl3)の存在下でトルエンと室温にて反応させることにより取得する。
工程b')で、置換基R30のメチル基をカルボン酸に酸化する。この工程で、R2が上記で定義したとおりであり、R40がパラ位にCOOH基を有するフェニルである化合物(II'c)が得られる。この反応は、含水アルコール溶液中還流温度にて、例えばエタノール/水混合物(1:1容量/容量)中90℃の温度にて、酸化剤、例えば過マンガン酸カリウムの存在下で実施される。
【0130】
工程c')で、R40のCOOH基は、当該分野において公知の方法に従って、R1中上記で定義した基C(O)R'、C(O)OR'、C(O)NHR'、C(O)NR3R4に変換され、R1及びR2が上記で定義したとおりである化合物(II'd)を得る。
工程d')で、式(II'e)のアルコールを、メタノール又はエタノール/水混合物のような有機溶媒中、例えばエタノール/水(1:1容量/容量)の使用により、還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムでの式(II'd)のカルボニル基R1-C(O)-R2の還元によって得る。
【0131】
工程e')で、式(II'e)のアルコールを濃HCl又は塩化トシル若しくは塩化メシルで処理して、式(II')の化合物(式中、Tyは上記で定義した脱離基である)を得る。
工程c')で、COOH基のC(O)NHR'又はC(O)NR3R4基への変換は、酸(II'c)とそれぞれ式NH2R'又はNHR3R4(式中、R'、R3及びR4は上記で定義したとおり)のアミンとの反応により生じる。この反応は、例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物及びN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチル-カルボジイミド(EDC)の存在下で実施される。
【0132】
工程c')で、COOH基のC(O)OR'基への変換は、式(II'c)の酸と式R'-OH(式中、R'は上記で定義したとおり)のアルコールとの反応により生じる。
工程c')で、COOH基のC(O)R'基への変換は、例えば塩酸中での、式(II'c)の酸とN,0-ジメチルヒドロキシアミンとの反応によりWeinrebアミドを得て、該アミドを有機金属化合物R'-M(式中、Mは例えばリチウム、Mg-Cl、Mg-Brであり、R'は上記で定義したとおり)と反応させることにより生じる。
【0133】
本発明の更なる目的は、医薬として使用するための式(I)の化合物に関する。
本発明はまた、オピオイドレセプター、より好ましくはデルタオピオイドレセプターがが関与する哺乳動物及びヒトの疾患及び障害用の医薬組成物の製造についての式(I)の化合物の使用に関する。
こうして、上記疾患に関して哺乳動物及びヒトにおける予防治療が得られる。
【0134】
本発明の更なる目的は、式(I)の化合物を含んでなる医薬組成物である。
本発明の医薬組成物は、具体的な医薬適用に必要な量で式(I)の化合物を含有する。
医薬組成物において、式(I)の化合物は、それ自体として、又は塩若しくは溶媒和物の形態で、又は異性体(例えば、シス若しくはトランス異性体、又は式(I)の化合物が1若しくはそれより多いキラル中心を含有する場合には光学異性体)として存在することができる。
【0135】
医薬組成物中に含有される添加物は、医薬分野におけるその使用が公知である賦形剤、担体、染料、保存剤、芳香剤などである。これら種々の添加物及び賦形剤の使用量は、具体的適用に関して公知の使用量である。
医薬組成物は、経口、皮下、舌下、筋肉内、静脈内、局所、経皮、直腸、眼、鼻内、膣、腹腔内経路により投与することができる。
【0136】
本発明の医薬組成物は、例えば分散液、溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、散剤、マイクロ粒子、ナノ粒子、カプセル、エアロゾル、坐剤、錠剤、シロップ剤、エリキシル剤、クリーム、ゲル、軟膏、プラスター、フォームなどを含んでなる。例えば、特許出願WO 2004/011,468(参照により本明細書中に組み込まれる)に記載のものを参照。
医薬組成物は、製薬分野の公知の方法に従って得ることができる。例えば、医薬組成物は、米国特許第6,028,084号(参照により本明細書中に組み込まれる)で挙げられた手順に従って得ることができる。
【0137】
医薬組成物はまた、特許出願US 2003/OOO3,145(参照により本明細書中に組み込まれる)で挙げられた方法及び添加物を使用することによって製造することもできる。これら製剤では、製薬分野において一般的に使用されるアルキル硫酸ナトリウム又は別の界面活性剤を使用することができる。
【0138】
例えば、式(I)の化合物、それらの異性体又は対応する水和物若しくは溶媒和物又は医薬上許容され得る塩の経口投与に使用可能な医薬組成物は、0.5〜20重量%の式(I)の化合物(異なる異性体及び対応する混合物又は対応する水和物若しくは溶媒和物又は医薬上許容され得る塩を含む);0.05〜0.5重量%のアルキル硫酸ナトリウム又は別の界面活性剤;2.5〜10重量%の崩壊剤(例えば、セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又は他のセルロース誘導体)により構成される。これら全ての製剤で、活性成分及び他の通常の賦形剤並びに上記のものの合計は、組成物の100%となる。
【0139】
経口及び眼内投与の両方に使用可能な医薬製剤は、式(I)の化合物、それらの異性体(それらの塩を含む)、水和物、溶媒和物をヒドロキシプロピルメチルセルロースと共に含んでなることができる。詳細には、それらは、0.1〜20%の式(I)の化合物及び0.5〜10%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含んでなることができる。組成物の100% wとの差分は、ヒト用製剤の通常の医薬賦形剤である。
【0140】
カプセル又は錠剤の形態の経口投与用の具体的医薬製剤は、式(I)の化合物及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの他に、他の賦形剤、例えばラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、酸化チタンを含んでなることができる。これら調製物において、HPMCは、カプセル若しくは錠剤コア中及び/又は存在する場合には錠剤シェル中に存在することができる。
【0141】
式(I)の化合物の医薬組成物は、例えば、本発明の化合物が界面活性剤及び他の添加物の存在下に水相及び任意に油相と混合されているエマルジョン又はマイクロエマルジョンから出発して得ることができるものである。
【0142】
下記の成分(重量%)を含んでなるマイクロエマルジョン若しくはエマルジョンの形態であるか又は該マイクロエマルジョン若しくはエマルジョンを含んでなる医薬製剤も本発明の更なる目的である:
【0143】
S)0.01〜95%の、下記のクラスから選択される1又はそれより多い医薬上許容され得る化合物:
− 任意にフッ素原子を含有していてもよい、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性のものから選択される界面活性剤、
− 溶解される液体中で凝集物、ミセル、液晶、ベシクルのような組織化された構造を形成するポリマー(Pol)
【0144】
O)0〜95%の、下記のクラスの医薬上許容され得る化合物から選択される1又はそれより多い油
− 任意に1又はそれより多いエチレン型不飽和を含んでいてもよいC4〜C32酸のエステル、
− pHが3〜5であるとき組成物中に含まれる、任意に1又はそれより多いエチレン型不飽和を含んでいてもよいC4〜C32
【0145】
PA)0.001〜90%の式(I)の化合物、
AD)0〜60重量%の、以下のクラスから選択される1又はそれより多い化合物
− 水及び/又は油の極性の改変剤、
− 成分S)のフィルム曲率の改変剤
− 共界面活性剤
【0146】
WA)0.001〜99.9%の、任意に緩衝化されていてもよい水又は生理食塩水溶液
これら成分の合計は100%である。
【0147】
マイクロエマルジョンの形態の本発明の組成物は、明澄で透明であり、好ましくは液体である。粘性が非常に高い場合、本発明のマイクロエマルジョンは、任意に液晶(例えば、薄層状、六方晶系、立方晶系液晶)から形成されていてもよいゲル形態である。
成分S)において、フッ素原子を含有する界面活性剤は、(パー)フッ素化鎖、例えば(パー)フルオロポリエーテル鎖を有することができる。
成分S)のポリマーが溶解して組織化構造を形成する液体は、水及び/又は油である。使用可能な油の種類は、後記するが、天然由来及び合成物由来の両方であり得る。
【0148】
マイクロエマルジョンとは、互いに不混和性の2又はそれより多い相から構成される系であって、透明で等方性であり、少なくとも1つの水相及び少なくとも1つの油相を含んでなり、種々の相が、任意に1又はそれより多い化合物AD)(例えば共界面活性剤)の存在下で、成分S)により安定化されている系を意味する。例えば、R.K. Mitra, Physicochemical investigations of microemulsification of eucalyptus oil and water using mixed surfactants (AOT+ Brij-35) and butanol, J. Colloid and Interface Science, 283 (2005) 565-577を参照。医薬用途のマイクロエマルジョン中の油相は、化合物が親油性を有し、このため水又は水相中に不溶性である場合、活性成分からなることができる。
【0149】
エマルジョンとは、マイクロエマルジョンと同じ成分から形成される系を意味するが、この系はオパール色又は乳白色に見えるか又はクリーム状の外見を有することもできる。
【0150】
本発明のマイクロエマルジョン又はエマルジョンの製造方法を以下に記載する。
本発明に従う好適なマイクロエマルジョン又はエマルジョンは、以下の組成(重量%)を有する:
− 成分S) 0.01〜90%、
− 成分O) 0〜90%、
− 成分PA) 0.001〜50%、
− 成分AD) 0〜30%、
− 成分WA) 0.1〜99.9%、
これら成分の合計は100%である。
【0151】
より好適なマイクロエマルジョン又はエマルジョンは、以下の組成(重量%)を有する:
− 成分S) 0.01〜80%、
− 成分O) 0〜70%、
− 成分PA) 0.05〜40%、
− 成分AD) 0〜20%、
− 成分WA) 10〜99.9%、
これら成分の合計は100%である。
【0152】
尚より好適なマイクロエマルジョン又はエマルジョンは、以下の組成(重量%)を有する:
− 成分S) 0.01〜70%、
− 成分O) 0.01〜50%、
− 成分PA) 0.05〜30%、
− 成分AD) 0〜15%、
− 成分WA) 20〜99.9%、
これら成分の合計は100%である。
【0153】
好適な界面活性剤成分S)は、非イオン性及びアニオン性のものである。非イオン性界面活性剤の中では、ポリオキシアルキレン鎖、好ましくはポリオキシエチレン鎖を含有するものが最も好ましい。以下のものを例示できる:
ポリオキシル35ヒマシ油、これは例えば商標Cremophor(登録商標) EL (BASF)により知られており、ヒマシ油のエトキシル化によって製造される。
ポリオキシル40硬化ヒマシ油、これは例えば商標Cremophor(登録商標) RH40 (BASF)により知られており、硬化ヒマシ油のエトキシル化によって製造される。
【0154】
ポリエチレングリコール15ヒドロキシステアレート、これは例えば商標Solutol(登録商標) HS15 (BASF)により知られており、15モルのエチレンオキシドと1モルの12-ヒドロキシステアリン酸との反応によって製造される。
ポリオキシエチレンポリソルベート、例えばTween(登録商標) 80、Tween(登録商標) 20、Tween(登録商標) 60、Tween(登録商標) 85。
脂肪酸のソルビタンエステル、例えばソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノステアレート(それぞれ、Span(登録商標) 20及びSpan(登録商標) 60)。
ビタミンE/TPGS:トコフェロールプロピレングリコール1000スクシネート。
脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル、例えばBrij(登録商標)、quali Brij(登録商標) 35、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)98シリーズのもの。
【0155】
PEG-12-アシルオキシ-ステアレート、例えばC.E. McNameeら、「Physicochemical Characterization of PEG 1500-12-acyloxystearate micelles and liquid cristalline phases」、Langmuir, 2005, 21, 8146-8154を参照。これらの中でも、下記のものを例示することができる:
− PEG 1500 モノ-12-カプリロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C8)
− PEG 1500 モノ-12-カプロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C10)
− PEG 1500 モノ-12-ラウロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C12)
− PEG 1500 モノ-12-ミリストイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C14)
− PEG 1500 モノ-12-パルミトイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C16)
【0156】
アニオン性界面活性剤の中では、以下のものを例示することができる:ダイズレシチン、(Epikuron(登録商標) 200)、ビス-2-エチルヘキシルスルホスクシネート(AOT)、タウロコール酸ナトリウム。
カチオン性界面活性剤の中では、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)及びジドデシルアンモニウムブロミド(DDAB)を例示することができる。
【0157】
成分S)として使用することができるポリマー(Pol)は、水相及び/又は油相に可溶でなければならない。「可溶」とは、ポリマーが溶解している相中で、組織化構造(例えば、凝集体、ミセル、液晶、ベシクル)の形成を可能にする濃度に少なくとも等しい濃度に達しなければならないことを意味する。前記組織化構造の存在は、分散系に特異的な物理化学技法(例えば、レーザ光散乱(LLS)、中性子散乱、顕微鏡観察)によって検出し得る。
【0158】
前記のように、ポリマー成分S)は、上記界面活性剤と組み合わせても使用することができる。この場合にも、液相中に溶解されたポリマーの濃度は、上記の組織化構造の形成を導くような濃度でなければならない。
【0159】
ポリマー成分S)は、例えば、ポリビニルピロリドン及びビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、(Kollidon(登録商標) 12PF及びKollidon(登録商標) 17PF - BASF)、及びポリオキシアルキレン鎖、好ましくはポリオキシエチレン鎖(PEO)を含有するブロックコポリマー、例えばPEO-PPO-PEO構造によって特徴付けられるポリオキシプロピレン鎖(PPO)を有するブロックコポリマーPEO(Pluronic(登録商標)又はpoloxamer(登録商標)又はLutrol(登録商標)F68及びLutrol(登録商標) F127、共にBasfから市販)である。
【0160】
成分O)において、有機酸エステルは、好ましくは、脂肪族鎖(好ましくはC1〜C5)又はポリオキシエチレン鎖を有するアルコールでの対応するカルボン酸のエステル化によって得られる。或いは、エステル化はグリセリンで実施される。この場合、モノ-、ジ-又はトリ-グリセリドが得られる。
【0161】
以下のものが例示できる:
オレオイルマクロゴール6グリセリド(不飽和ポリグリコシル化グリセリド)、これは例えば商標Labrafil(登録商標) 1944 CS(Gattefosse)で市販されている。
プロピレングリコールカプリレートカプレート(Labrafac(登録商標) PG, Gattefosse)
カプリル酸のプロピレングリコールモノエステル(Capmul(登録商標) PG-8-Abitec)
グリセロールオレエート(例えば、Peceol(登録商標)、Gattefosse)、
中鎖モノ-及びジ-グリセリド、例えばカプリン酸及びカプリル酸グリセリド(例えば、Capmul(登録商標) MCM (Abitec)、Imwitor(登録商標) 308 (Sasol))、
ポリグリセロールオレエート(例えば、Pluro(登録商標) oleic (Gattefosse))
カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド(例えば、Miglyol(登録商標) 812及びMiglyol(登録商標) 810 (Sasol)、Labrafac(登録商標) CC CS (Gattefosse))
酪酸エチル、カプリル酸エチル、オレイン酸エチル、
トリパルミチン(DYNASAN(登録商標) 116 - Sasol)。
【0162】
1又はそれより多い上記エステルを含有する医薬グレードの直物油もまた使用することができる。例えば、ダイズ油を挙げることができる。
酸成分O)は、好ましくはカルボン酸、より好ましくは脂肪酸である。
酸成分O)の中では、ステアリン酸、オメガ-3及びオメガ-6酸を挙げることができる。
【0163】
成分AD)において、水及び/油の極性の改変剤は、例えば、ポリエチレングリコールであり得る。Lutrol(登録商標)E300及びLutrol(登録商標)E400(BASF)を挙げることができる。脂肪族アルコール(例えばエタノール)も使用することができる。
成分AD)において、成分S)のフィルム曲率の改変剤は、例えば、脂肪族アルコール、好ましくはC2〜C5脂肪族アルコールである。
【0164】
成分AD)において、共界面活性剤は、例えば、上記のような界面活性化合物又は脂肪族アルコール、好ましくは少なくとも6炭素原子を有する鎖を有する脂肪族アルコールであり得る。以下のものを例示することができる:
プロピレングリコールモノラウレート(capmul(登録商標) PG12又はLauroglycol(登録商標) 90、共にGattefosse)
カプリロカプロイルマクロゴール8グリセリド(飽和エチルジグリコシル化グリセリド) (Labrasol(登録商標)、Gelucire 44-14 - Gattefosse)
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標)- Gattefosse)。
【0165】
マイクロエマルジョンから形成される組成物は、広範な温度(一般には0℃〜80℃、好ましくは4℃〜45℃)で安定である。
本発明のマイクロエマルジョンは、以下の工程を含んでなる方法で製造することができる:
【0166】
(IP)任意の、成分O)中への化合物成分PA)の溶解工程、
(IIP)成分PA)又は(IP)で得られた成分O)中成分PA)の溶液への成分S)の添加工程、
(IIIP)任意の、(IIP)で得られた相への成分AD)の添加工程、
(IVP)(IIP)で又は任意に(IIIP)で得られた相に水又は生理食塩水溶液を撹拌下で添加して、透明な溶液を取得する工程。
この方法の工程は、0℃〜90℃の範囲の温度で実施することができる。
【0167】
マイクロエマルジョンは、上記工程を実行する順序を変更しても得ることができ、又は例えば以下のとおりに進めることによっても得ることができる:
(IP')任意の、成分O)中への化合物成分PA)の溶解、
(IIP')水又は生理食塩水溶液への成分S)の添加、
(IIIP')任意の、水相への成分AD)の添加、
(IVP')成分PA)又は工程(IP')の油溶液と工程(IIP')又は任意に工程(IIIP')の水相との撹拌下での混合。
この方法を実施する温度範囲は、マイクロエマルジョンに関して上記したものと同じである。
【0168】
本発明のエマルジョンは、以下の工程を含んでなる方法により製造することができる:
(IP'')任意に成分AD)の存在下での、成分O)中への化合物成分PA)の任意の溶解工程、
(IIP'')35℃〜90℃の範囲の温度(好ましくは45〜80℃)での成分PA)又は(IP'')で得られた油溶液の加熱工程、
(IIIP'')任意に成分AD)を含有していてもよい水又は生理食塩水溶液への成分S)の添加工程、
(IVP'')35℃〜90℃の範囲の温度(好ましくは45〜80℃)での工程(IIIP'')の水相の加熱工程、
(VP'')工程(IVP'')で得られた水相に工程(IIP'')で得られた相を撹拌下で添加して、エマルジョンを取得する工程、
(VIP'')好ましくは0℃〜30℃の温度での、エマルジョンの冷却工程。
工程(VP'')は好ましくはターボ乳化機を用いて行われる。
【0169】
このようにして得られるエマルジョンは、高圧での更なる均質化工程を任意に受けることができる。
エマルジョンはまた、マイクロエマルジョンの水又は水溶液又は成分O)での希釈により得ることもできる。任意に、成分AD)を各液相に含めることができる。
【0170】
式(I)の化合物を含んでなる他の医薬製剤は、シリカ又は脂質又は医薬上許容され得るポリマーのマイクロ-又はナノ-粒子から形成されるものである。ここで、シリカ又は脂質又はポリマーに関して0.1〜60重量%の濃度で存在する本発明の化合物は、マイクロ-及びナノ-粒子の内部及び/又は表面に取り込まれる。
【0171】
脂質粒子の例としては、40℃より高い、より好ましくは50℃より高い融点を有する脂肪酸又はそのエステルをベースとするものを例示することができる。脂肪酸のトリグリセリドとしては、トリパルミチン及びラノリンを例示することができる。脂質粒子はまた、40℃より高い融点を有する脂肪酸又は脂肪酸エステルと室温(20〜25℃)で液状の油、例えば中鎖トリグリセリド、植物油、Miglyol(登録商標) 812及びMiglyol(登録商標) 810 (Sasol)との混合物から形成することもできる。或いは、これら脂質粒子は、例えば中鎖トリグリセリド(例えば植物油、Miglyol(登録商標) 812及びMiglyol(登録商標) 810)により構成された液体脂質コアを取り囲むダイズレシチン表面層から形成されたナノカプセルであり得る(例えば、特許出願US 2003/0152635を参照)。
【0172】
シリカ粒子は、好ましくは、親水性シリカにより構成される。それらは、1又はそれより多い化合物成分O)(上記参照)及び/又は上記脂質粒子の製造に用いた脂質を任意に含有することができる。例えば、Simovicら、Mol.Pharmaceutics, 6, 2009, 861-872により記載されたLipoCeramicTM粒子を使用することができる。
【0173】
ポリマー粒子の場合、以下のポリマーPol-Aから形成されるものを例示することができる:
ポリエチレングリコール(PEG)鎖を有する化合物での官能化により任意にPEG化されていてもよいタンパク質、例えばアルブミン、多糖、例えばキトサン、デキストラン、デンプン及びヒドロキシエチルデンプン(HES)のような誘導体、デンドリマー、例えばWoo-Dong Jangら、Progress in Polymer Science 34, 2009, 1-23により記載されたもの、カーボンナノチューブ、
任意にPEG鎖に連結していてもよいポリマー化シクロデキストリン、例えばベータ-シクロデキストリンポリマー(例えば、T. Schluepらの論文Clin. Cancer Res. 15, 2009, 181-189を参照)、
合成ポリマー、例えばポリオルガノホスファゼン、ポリ無水物、ポリアミド、ポリオルトエステル、ポリアルキル-シアノ-アクリル酸、ポリエステル、例えばポリ酢酸(PLA)及びポリ酢酸/ポリグリコール酸コポリマー(PLA/PLGA)、ポリヒドロキシ酸、ポリラクトン、ポリエステルアミド、ポリアミノ酸、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリホスファジン(polyphosphazines)、ポリリン酸エステル、ポリチオエステル。
【0174】
式(I)の化合物を含有する粒子は、以下の理由で、任意に表面改質することができる:
生理学的障壁(例えば、血液脳関門)の通過をより容易にするため、血中での残存時間を増加させるため、身体による吸収を増大させるため、処置すべき細胞、組織又は器官に選択的に標的化するため。ナノ-及びマイクロ-粒子の表面改質は、1又はそれより多い表面改質剤の物理化学的吸着(例えば、Van Der Waals力)、及び1又はそれより多い特異的改変剤での化学的官能化の両方により行うことができる。後者の場合、改変剤は粒子に共有結合により結合する。例えば、E. Garciaら、「Colloidal carriers and blood-brain barrier (BBB) translocation:A way to deliver drugs to the brain」, Int. J. of Pharmaceutics 298 (2005), 274-292を参照。
【0175】
表面改質剤の中でも、以下のものを例示することができる:
ポリオキシエチレン又はPEG化鎖(PEG-ベース)を含んでなる化合物、例えばTween(登録商標)80、例えばJ. Kreuter、「Nanoparticulate systems for brain delivery of drugs」, Advanced Drug Delivery Reviews, 47, 2001, 65-81、M.T. Peracchiaら、「Synthesis of a Novel Poly(MePEG cyanoacrylate-co-alkyl cyanoacrylate) amphiphilic copolymer for nanoparticle technology」, Macromolecules, 30, 1997, 846-851を参照、
任意にPEG化されていてもよいタンパク質、例えば血漿タンパク質、アポリポタンパク質、US 2004/0131692を参照、
抗体又はそのフラグメント、
ペプチド、
生理学的障壁のレベルで発現される特異レセプターにより認識される化合物、例えばペプチド化合物、タンパク質、ペプチドとは異なる構造を有する合成若しくは天然化合物、例えばL. Costantinoら、「peptide-derivatized biodegradable nanoparticles able to cross the blood-brain barrier」, Journal of Controlled Release, 108, 2005, 84-96、B. Stellaら、「Design of folic acid-coniugated nanoparticles for drug targeting」, J. of Pharmaceutical Sciences 89 11, Nov. 2000 1452-1464を参照。
【0176】
表面改質剤は、例えばM.T. Peracchiaら、「Synthesis of a Novel Poly(MePEG cyanoacrylate-co-alkyl cyanoacrylate) amphiphilic copolymer for nanoparticle technology」, Macromolecules, 30, 1997, 846-851に記載されるポリ(MePEGシアノアクリレート-コ-アルキルシアノアクリレート)粒子のPEG鎖の場合と同様に、粒子に直接結合させることができる。
【0177】
表面改質剤と粒子との間の結合は、粒子材料(ポリマー、脂質又はシリカ)の官能基(例えば、OH、SH、COOH、エステル、アミド、アミノから選択される官能性末端基又は二重結合を含有する末端基)と、改質剤の官能基、例えばOH、SH、アルケニル、OC(O)R10、NR10R11(式中、R10及びR11は等しいか又は異なって、H又はアルキルから選択される)とを反応させて、エステル、チオエステル、アミドなどの基を生成することにより形成することができる。この反応は、当業者に周知の手順及び条件で行われる。
【0178】
表面改質剤は、リンカーLKにより粒子に共有結合することもできる。本発明に従う適切なリンカーは、好ましくは、血漿中で安定で、医薬上許容され得るものである。代謝により分解され得るリンカーが尚より好ましい。リンカーの例は以下のものである:アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、へテロアルキレン、アリーレン、へテロアリーレン、シクロアルキレン、アルキルシクロアルキレン、へテロアルキルシクロアルキレン、へテロシクロアルキレン、アリールアルキレン、へテロアリールアルキレン。
【0179】
任意に、好ましいリンカーは、S-S結合及び/又はN-N結合、任意にS-S結合及び/又はN-N結合を含有していてもよいペプチド鎖、及び/又は式(DXI)及び/又は(DXII)の二価リンカーを含有していてもよい:
【化53】

【0180】
好ましいリンカーの例は下記のもの(式(XYZ1)〜(XYZ22))である:
【化54】

【0181】
【化55】

【0182】
【化56】

【0183】
【化57】

【0184】
【化58】

【0185】
ここで、
mxは、0〜20、好ましくは0〜6の整数であり、
m1及びm2は、互いに等しいか又は異なって、0又は1であり、
m3及びm4は、互いに等しいか又は異なって、0〜200、好ましくは0〜50、より好ましくは0〜10の整数であり、
Rxyzは、H又はアルキル(ここで、アルキルは、好ましくは直鎖状又は可能であれば分枝状のC1〜C5鎖である)を意味し、
Rzxyは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、へテロアルキレン、アリーレン、へテロアリーレン、シクロアルキレン、アルキルシクロアルキレン、へテロアルキルシクロアルキレン、へテロシクロアルキレン、アリールアルキレン、へテロアリールアルキレン意味する。
【0186】
粒子を構成する材料(本明細書中でMPと呼ぶ;すなわちポリマー、脂質又はシリカ)、リンカー及び表面改質剤MDによって作られるコンジュゲート化合物を得る方法は、以下の工程により行うことができる:
Con-1)MPの官能基と式T4-LK-T3(T3は任意に保護されていてもよい別の官能基)のLK前駆体の官能基T4との反応によるコンジュゲート化合物MP-LK-T3の形成
Con-2)コンジュゲート化合物MP-LK-T3とMDとの反応によるMP-LK-MDコンジュゲート化合物の形成。
【0187】
Con-1)において、反応性の官能基T4及びMPの官能基は、例えば、OH、SH、COOH、エステル、アミド、アミノ、末端位に二重結合を含有する基から選択される。前記官能基間の反応により、例えばエステル、チオエステル、アミドなどの基が形成される。
Con-2)において、MDの官能基とT3との間で反応が生じる。T3が保護されているとき、反応はT3の脱保護後に行う。官能基T3及びMDの官能基は、例えば、Con-1)で言及したものから選択される。
工程con-1)及びCon-2)での反応は、当業者に周知の手順及び条件で行われる。
【0188】
本発明の医薬製剤は、ヒアルロン酸及び/又はシクロデキストリン、例えばアルファ、ベータ若しくはガンマ シクロデキストリン若しくは改変シクロデキストリン(例えば、アルキル及び/又はPEG鎖を含有するもの)を含有することができる。
本発明の医薬組成物は、任意に、磁性化合物、例えば酸化鉄を含有することができる。
【0189】
オピオイド作動性レセプター、より好ましくはデルタオピオイドレセプターが関与する疾患及び障害の哺乳動物及びヒトにおける予防及び治療についての、式(I)の化合物及び該化合物を含有する医薬組成物の使用が本発明の更なる目的である。
【0190】
式(I)の化合物及び該化合物を含有する医薬組成物で処置することができる疾患及び障害は、疼痛、術後疼痛、慢性疼痛、ニューロパシー性疼痛、物質(例えばヘロイン、コカイン)乱用の症例の処置、アルコール中毒、便秘、下痢及びその他の胃腸管障害、悪心、嘔吐、咳、皮膚炎、肥満及びその他の食物摂取関連障害、不安、抑うつ、喫煙依存症(タバコ中毒)、性機能障害、早漏、ショック、脳外傷、脊髄損傷、緑内障及び眼内圧亢進のような眼の病状及び障害、乳がんのような腫瘍、関節炎、乾癬、喘息、心疾患、失禁及び尿生殖路の障害、アルツハイマー病及びパーキンソン病並びに関連障害、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、免疫系不全、神経系疾患、ホルモン障害、神経伝達物質放出の障害、神経機能不全、移植片拒絶である。
【0191】
式(I)の化合物及びその医薬組成物は、インビボ及びインビトロの両方において、μオピオイドレセプターに関して親和性及び選択性を有する先行技術で使用される化合物及び/又はモルヒネより低い副作用で、μオピオイドレセプターの調節に使用することができる。事実、これらは、主としてμオピオイドレセプターを通じて作用するモルヒネ及び/又は他のμオピオイド作動性アゴニストの鎮痛効果をモジュレートして、後者の薬物の副作用、例えば依存性及び薬学的耐性を減少させることができる。
【0192】
種々の病状の処置についての式(I)の化合物及びその組成物の使用は、該処置のための公知の方法を使用することによって為すことができる。詳細には、投与は、活性成分の量が具体的処置に関して効果的であるように行わなければならない。投薬量、投与経路及び薬量は、疾患類型、病状の重症度、患者の身体状態及び特性、例えば、年齢、体重、活性成分投与に対する応答、具体的処置に関する活性成分の薬物動態及び毒性を考慮して、決定される。好ましい日用量は、処置すべき哺乳動物の体重1Kg当たり式(I)の化合物0.01〜1,000mgである。ヒトでは、好ましい日用量の範囲は、体重1Kgに対して式(I)の化合物0.01〜800mg、尚より好ましくは1〜600mgである。
【0193】
任意に、処置は、他の薬物又は他の治療法との組合せで為すことができる。例えば、疼痛処置(鎮痛効果)では、式(I)の化合物及びその組成物は、該処置に使用される他の薬物(例えば、μオピオイドレセプターアゴニスト薬、特にモルヒネ)との組合せで、後者の化合物(特にモルヒネ)の使用により引き起こされる副作用を減少させるために、使用することができる。
式(I)の化合物の医薬組成物は、上記の治療に使用される従来技術の薬物との組合せで使用することができ、特にはモルヒネとの組合せで使用することができる。
【0194】
放射性同位体を含有する式(I)の化合物及びそれらの医薬組成物は、哺乳動物及びヒトにおいて、インビトロ及びインビボの両方で、δオピオイド作動性レセプターを同定及びマーキングするために使用することができる。
式(I)の化合物は、例えばδオピオイド作動性レセプターの単離、精製及び特徴づけ及び対応する活性部位の同定で使用されるべき、免疫化学法により検出可能なリガンドを得るために使用することができる。
【0195】
下記の実施例は、本発明の良好な理解に資するために記載するのであって、本発明の範囲を制限することを意味するものではない。
【実施例】
【0196】
実施例1.1
2-アジド-9-ベンジル-5-ブロモ-9-アザビシクロ[4.2.1]ノナン及び2-アジド-9-ベンジル-6-ブロモ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンの製造
【化59】

【0197】
a.5,6-エポキシシクロオクテンの製造
【化60】

【0198】
CH2Cl2(100ml)中1,5-シクロオクタジエン(10g,92.44ミリモル)の溶液に、39.2gの炭酸ナトリウムを撹拌下に加える。得られた懸濁液を0℃まで冷却し、15.35mlの40重量%CH3COOH溶液を、10分間かけて滴下して加える。懸濁液を室温にて16時間撹拌した後、濾過する。得られた固体をCH2Cl2で洗浄する。得られる有機溶液を減圧下で蒸発させて黄色の液体(19g)を得る。これをフラッシュクロマトグラフィー(リグロイン/Et2O 9/1 v/v)により精製する。9.18gの5,6-エポキシシクロオクテンが無色液体の形態で得られる。収率80%。
【0199】
【数1】

【0200】
b.アミノアルコールトランス-2-ベンジルアミノ-1-ヒドロキシシクロオクタ-5-エンの製造
【化61】

【0201】
無水THF(55ml)中イッテルビウムトリフルオロメタンスルホネート(3.25g,5.23ミリモル)の溶液を調製し、5分間更に撹拌する。この溶液に、50mlの無水THF中に溶解した17.15mlのベンジルアミン及び13gのエポキシド(1.1a)を加える。この混合物を還流で20時間加熱する。終了後水で希釈し、蒸発によりTHFを除き、残留物をCH2Cl2で抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させる。残留するベンジルアミンを蒸留する。23.77gのトランス-2-ベンジルアミノ-1-ヒドロキシシクロオクタ-5エンを白色の固体として回収する。収率98%。
【0202】
【数2】

【0203】
c.N-ベンジル-9-アザビシクロ[6.1.0]-4-ノネンの製造
【化62】

【0204】
0℃に冷却し窒素雰囲気下に維持した無水CH2Cl2(52ml)中3.17グラムのアミノアルコール(1.1b)の溶液に、1.38mlのメタンスルホニルクロリド及び触媒量の4-ジメチルアミノピリジン(アミノアルコールを基準にして1モル%)を加える。この無色透明な溶液に、5.73mlのトリエチルアミンを加える。室温にて14時間撹拌下で反応を行う。この期間の終了後、CH2Cl2(50ml)を加え、有機相を水で洗浄する(50mlで3回)。次いで、有機相をNa2SO4で脱水した後、濾過する。その後、溶媒を減圧下で蒸発させる。残留物は黄色の油状物である。これをフラッシュクロマトグラフィー(リグロイン/酢酸エチル 9/1 v/v)により精製する。2.58グラムのN-ベンジル-9-アザビシクロ[6.1.0]-4-ノネン(アジリジン)を回収する。収率88%。
【0205】
【数3】

【0206】
d.トランス-2-アジド-1-ベンジルアミノシクロオクタ-5-エンの製造
【化63】

【0207】
240mlのEtOH/水(5/1 v/v)混合物中に4.0グラムのアジリジン(1.1c)、アジ化ナトリウム(4.9g)及び塩化アンモニウム(4.0g)を溶解して溶液を調製する。この溶液を還流で4時間加熱する。この期間後、室温に冷却し、エタノールを減圧下で蒸発させる。残留物をCH2Cl2で抽出し(3×60ml)、有機相をプールする。その後、有機相をNa2SO4で脱水する。濾過後、減圧下での蒸発により溶媒を除く。4.56gのトランス-2-アジド-1-ベンジルアミノシクロオクタ-5-エンが回収される。収率:95%。
【0208】
【数4】

【0209】
e.2-アジド-9-ベンジル-5-ブロモ-9-アザビシクロ-[4.2.1]ノナン及び2-アジド-9-ベンジル-6-ブロモ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンの製造
3グラムのトランス-2-アジド-1-ベンジルアミノシクロオクタ-5-エン(1.1d)を、150mlの0℃のシクロヘキサンに溶解する。シクロヘキサン(10ml)中のBr2溶液(0.6ml)を滴下して加える。得られる溶液を室温にて5時間撹拌下に放置する。反応混合物を濾過し、固相を200mlのH20/CH2Cl2(1/1 容量/容量)混合物中に分散させる。得られた懸濁液に10% w/vのNaOH水溶液を加えてアルカリ性pHにする。次いで有機相及び水相を分離する。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。得られた黄色油状物をフラッシュクロマトグラフィー(リグロイン/Et20 98.5/1.5 v/v)により精製する。0.92gの2-アジド-9-ベンジル-5-ブロモ-9-アザビシクロ-[4.2.1]ノナン(1.1A)及び0.62gの2-アジド-9-ベンジル-6-ブロモ-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン(1.1B)が回収される。これら化合物の式は上記したものである。
【0210】
化合物(1.1A)
収率:23%。
【数5】

【0211】
化合物(1.1B)
収率:16%。
【数6】

【0212】
実施例2.1
9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカンの製造
【化64】

【0213】
3.44グラムの実施例1.1で得られたアジド(1.1A)を26mlの無水THFに溶解する。この溶液に、10mlの無水THFに溶解した2.96グラムのトリフェニルホスフィンを加える。この混合物を還流で5時間加熱する。終了後、室温に冷却し、0.5mlの水を加える。これを更に還流で14時間加熱した後、室温に冷却する。沈殿物を減圧下で濾過し、THFで洗浄し、50mlのCH2Cl2/H20(1/1 v/v)混合物に懸濁し、pH8まで10重量%のK2CO3水溶液で処理する。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させる。2.13gの9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカンが回収される。収率:91%。
【0214】
【数7】

【0215】
実施例2.2
2-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカンの製造
【化65】

【0216】
アジド(1.1A)を実施例1.1で得られた化合物(1.1B)に代えた以外は、実施例2.1に記載の合成を繰り返した。化合物2-ベンジル-2,7-ジアザ-トリシクロ-[4.4.0.03,8]デカンが得られる。収率:68%。
【0217】
【数8】

【0218】
実施例2.3
化合物10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
【化66】

【0219】
a.化合物10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オンの合成
-5℃に冷却した、クロロホルム(4.4ml)中9-ベンジル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン(0.5g)の溶液に、15℃より低い温度に維持しながら、1mlの濃H2SO4を滴下して加える。次いで、NaN3(0.28g)を、反応混合物が35℃より高くならないように、ゆっくりと少量ずつ加える。その後、混合物を還流で2時間加熱する。
【0220】
反応混合物を約200mlの氷を含有する容器中に注ぐ。固体K2CO3を強アルカリpHまで加える。エマルジョンが形成される。これに25mlの60% KOH水溶液を加える。撹拌を10分間行う。終了後、形成した無機塩を濾過し、反応混合物をクロロホルムで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させる。0.50gの10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オン(1py1)が軽い固体(light solid)として得られる。
【0221】
【化67】

収率:95%;
【数9】

【0222】
b.化合物10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
THF(4ml)に0.50gの10-ベンジル-3,10ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オン(1py1)を溶解して得られる溶液を、0℃に冷却しアルゴン不活性雰囲気下に維持した無水THF(9ml)中LiAlH4(0.19g)の懸濁液中に滴下する。この混合物を室温にて14時間撹拌下に維持する。終了後、混合物を0℃に冷却する。10分間撹拌しながら、約0.9mlのH20を慎重に加える。沈殿物が得られる。これを減圧下で濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。回収した濾液を蒸発させると、油状物が得られる。これをジクロロメタンに溶解する。有機溶液を硫酸ナトリウムで脱水し、次いで溶媒を蒸発させる。0.47gの化合物10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンが回収される。収率:定量的;
【0223】
【数10】

【0224】
実施例2.4
化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ-[4.2.1]-ノナンの合成
【化68】

【0225】
a.化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オンの合成
-5℃に冷却したクロロホルム(50ml)中、下式:
【化69】

のトロピノン(1px)の溶液(5g)に、15℃より低い温度に維持しながら、11.3mlの濃H2SO4を滴下して加える。次いで、NaN3(4.67g)を、反応混合物が35℃を超えないように、ゆっくりと少量ずつ加える。その後、混合物を還流で2時間加熱する。得られた混合物を約200mlの氷を含有する容器中に注ぐ。固体K2CO3を強アルカリpHまで加える。エマルジョンが形成される。このエマルジョンに25mlの60%w水性KOHを加える。その後撹拌を10分間行い、形成した無機塩を濾去し、液相をクロロホルムで抽出する。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで脱水する。次いで、溶媒を蒸発させる。3.64gの化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オン(1px1)が、白色結晶性固体として得られる。
【0226】
【化70】

収率:95%;
【数11】

【0227】
b.化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
THF中化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オン(1px1)の溶液(10mlのTHF中1.00gの化合物)を、0℃に冷却しアルゴン不活性雰囲気下に維持した無水THF(30ml)中LiAlH4(0.61g)の懸濁液に滴下して加える。この混合物を還流で48時間加熱した後、0℃に冷却する。次いで、水(3ml)を混合物にゆっくりと加える。その後、混合物を撹拌下に10分間維持する。沈殿物が形成する。これを減圧下で濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。回収した濾液を蒸発させると、油状物が得られる。これをジクロロメタンに溶解する。ジクロロメタン中のこの溶液を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させる。残る油状物を蒸留する(45〜50℃/0.1mmHg)。0.63gの化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンが無色油状物として回収される。
【0228】
収率:69%;
【数12】

【0229】
実施例3.1
4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化71】

【0230】
a.4-メチル-3'-メトキシベンゾフェノンの製造
【化72】

【0231】
CH2Cl2(40ml)中AlCl3(1.1当量)の懸濁液に、CH2Cl2(10ml)中m-アニソイルクロリド(12.0g)及びトルエン(1当量)の溶液を滴下して加える。得られる混合物を室温にて4時間撹拌した後、200mlの混合物 氷-37重量% HCl(1/1 v/v)中に注ぐ。有機相及び水相を分離する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水する。次いで濾過を行い、有機溶媒を蒸発させる。4-メチル-3'-メトキシベンゾフェノンが得られる。収率:定量的。
【0232】
【数13】

【0233】
b.4-(3'-メトキシベンゾイル)安息香酸の製造
【化73】

【0234】
4.0グラムの4-メチル-3'-メトキシベンゾフェノン(3.1a)を40mlのt-ブタノール/水 1/1(v/v)混合物中に溶解する。6.44グラムの過マンガン酸カリウムを加える。反応混合物を還流で7.5時間加熱した後、セライトで濾過し、減圧下で濃縮させた。残留物を5重量% NaOH水溶液中に溶解する。得られた溶液をエチルエーテルで洗浄し、37%w HCl水溶液で酸性pHにする。4-(3'-メトキシベンゾイル)安息香酸(3.1b)が、白色沈殿物として回収される。固相を濾去し、メタノール/H20(1/1 v/v)溶液により再結晶化する。収率:76%。
【0235】
【数14】

【0236】
c.N,N-ジエチル-4-(3'-メトキシベンゾイル)ベンズアミドの製造
【化74】

【0237】
無水CH2Cl2(2ml)中0.23グラムの酸(3.1b)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(酸に関して1.2当量)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(1.2当量)の混合物を、室温にて30分間撹拌する。次いで、無水CH2Cl2(8ml)中ジエチルアミン(1.5当量)の溶液を滴下して加える。得られた混合物を室温にて14時間撹拌し、1回目の工程では飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で、2回目の工程では水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させる。回収した残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(リグロイン/酢酸エチル 1/1 v/v)により精製する。N,N-ジエチル-4-(3'-メトキシベンゾイル)ベンズアミド(3.1c)が得られる。収率:98%。
【0238】
【数15】

【0239】
d.N,N-ジエチル-4-[ヒドロキシ-(3'メトキシフェニル)メチル]ベンズアミドの製造
【化75】

【0240】
56mlのエタノール/H20 3/1 v/v中に溶解した5.16グラムのN,N-ジエチル-4-(3'-メトキシベンゾイル)ベンズアミド(3.1c)に、NaBH4((3.1c)に関して6当量)をゆっくりと加える。反応混合物を室温にて2時間撹拌した後、減圧下で濃縮し、酢酸でpH5にする。N,N-ジエチル-4-[ヒドロキシ-(3'メトキシフェニル)メチル]ベンズアミドの分散液が得られる。この分散液を濾過し、回収した固体を風乾させる。化合物(3.1d)が得られる。収率:定量的。
【0241】
【数16】

【0242】
e.4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
5.08グラムのN,N-ジエチル-4-[ヒドロキシ-(3'-メトキシフェニル)メチル]ベンズアミド(3.1d)を18mlのクロロホルムに溶解する。この溶液に37重量% HCl(135当量)を加える。反応混合物を室温にて14時間撹拌した後、水で希釈し、クロロホルムで抽出する(50ml、3回)。プールした有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させる。4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られる。収率:95%。
【0243】
【数17】

【0244】
実施例3.2
[4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]フェニル]ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化76】

【0245】
工程c.でジエチルアミンをピロリジンに代えた以外は実施例3.1を繰り返した。工程c.で、化合物(3.1c)の代わりに化合物(3.2c)が得られた。本実施例の続く工程d)において、化合物(3.1d)の代わりに化合物(3.2d)が得られた。化合物(3.2c)及び(3.2d)を以下に記載する:
【化77】

【0246】
工程c.の終了後、化合物[4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]フェニル]ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。
【数18】

【0247】
実施例3.3
[4-[クロロ-(3'メトキシフェニル)メチル]フェニル]ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化78】

【0248】
工程c.でジエチルアミンをピペリジンに代えた以外は実施例3.1を繰り返した。化合物(3.1c)及び(3.1d)の代わりに、それぞれ下記の化合物(3.3c)及び(3.3d)が得られた:
【化79】

【0249】
工程c.の終了後に、化合物[4-[クロロ-(3'メトキシフェニル)メチル]フェニル]ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。
【数19】

【0250】
実施例3.4
4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドの製造
【化80】

【0251】
工程c.でジエチルアミンをシクロヘキシルアミンに代えた以外は実施例3.1を繰り返した。化合物(3.1c)及び(3.1d)の代わりに、それぞれ化合物(3.4c)及び(3.4d)が得られた:
【化81】

【0252】
工程c.の終了後、化合物4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドが得られた。
【数20】

【0253】
実施例3.5
4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドの製造
【化82】

【0254】
工程c.でジエチルアミンをジメチルアミンに代えた以外は実施例3.1を繰り返した。化合物(3.1c)及び(3.1d)の代わりに、それぞれ化合物(3.5c)及び(3.5d)が得られた:
【化83】

【0255】
工程c.の終了後、化合物4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドが得られた。
【数21】

【0256】
実施例4.1
4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化84】

【0257】
実施例2.1で製造した9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカン(2.19ミリモル)、実施例3.1で得られた4-[クロロ-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミド(1.5当量)、無水炭酸カリウム(3当量)及びアセトニトリル(20ml)から形成される混合物を、還流で3日間加熱した。終了後、この混合物を減圧下で濾過し、液相を回収する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残る油状物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。溶出剤はリグロイン/酢酸エチル7/3(v/v)であった。化合物4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ-[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。収率:52%。
【0258】
【数22】

【0259】
実施例4.2
[4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ-[4.2.1.12,5]-デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化85】

【0260】
実施例3.1の化合物に代えて、実施例3.2の化合物[4-(クロロ-(3-メトキシフェニル)メチル)フェニル](ピロリジン-1-イル)メタノンを用いた以外は、実施例4.1と同じ手順を繰り返した。[4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ-[4.2.1.12,5]-デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:44%。
【数23】

【0261】
実施例4.3
[4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]-デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化86】

【0262】
実施例3.1の化合物に代えて実施例3.3の化合物[4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]フェニル]ピペリジン-1-イル-メタノンを用いた以外は、実施例4.1と同じ手順を繰り返した。化合物[4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]-デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:85%。
【数24】

【0263】
実施例4.4
4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドの製造
【化87】

【0264】
実施例3.1の化合物に代えて実施例3.4の化合物4-[クロロ-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドを用いた以外は、実施例4.1と同じ手順を繰り返した。化合物4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドが得られた。
収率:42%。
【数25】

【0265】
実施例4.5
4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化88】

【0266】
実施例2.1の化合物の代わりに実施例2.2の2-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカンを用いた以外は、実施例4.1と同じ手順を繰り返した。化合物4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:65%。
【数26】

【0267】
実施例4.6
[4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ-[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化89】

【0268】
実施例3.1の化合物の代わりに実施例3.3の[4-[クロロ-(3'-メトキシフェニル)メチル]フェニル]ピペリジン-1-イル-メタノンを用いた以外は、実施例4.5の手順を繰り返した。化合物[4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ-[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:90%。
【数27】

【0269】
実施例4.7
4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドの製造
【化90】

【0270】
実施例3.1の化合物の代わりに実施例3.5の4-[クロロ-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドを用いた以外は、実施例4.1と同じ手順を繰り返した。化合物4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドが得られた。収率:50%;
【数28】

【0271】
実施例4.8
[4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化91】

【0272】
実施例3.1の化合物の代わりに実施例3.2の化合物[4-(クロロ-(3-メトキシフェニル)メチル)フェニル](ピロリジン-1-イル)メタノンを用いた以外は、実施例4.5の手順を繰り返した。化合物[4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:44%;
【数29】

【0273】
実施例4.9
4-[(10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化92】

【0274】
実施例2.1の9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]-デカンに代わりに実施例2.3で得られた化合物を用いた以外は、実施例4.1に記載された同じ手順を繰り返した。化合物4-[(10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。収率:28%;
【数30】

【0275】
実施例4.10
4-[(9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドの製造
【化93】

【0276】
9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]-デカン及び4-[クロロ-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの代わりにそれぞれ実施例2.4及び3.5で得られた化合物を用いた以外は、実施例4.1の同じ手順を繰り返した。化合物4-[(9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドが得られた。収率:71%;
【数31】

【0277】
実施例4.11
4-[(9-ベンジル-3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドの製造
【化94】

【0278】
4-[クロロ-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの代わりに実施例3.4の化合物を、9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカンの代わりに特許出願US 2003/0195217に記載されたように製造した下記の式(1pp)の化合物を用いた以外は、実施例4.1と同じ手順を繰り返した:
【化95】

【0279】
化合物4-[(9-ベンジル-3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドが得られた。収率:58%;
【数32】

【0280】
実施例4.12
4-[(3-ベンジル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化96】

【0281】
9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]-デカンの代わりにG. Cignarellaら、J.Org.Chem., 26 (1961) 2747-2750により記載されたように製造した下記式(1pr)の化合物を用いた以外は、実施例4.1の同じ手順を繰り返した:
【化97】

【0282】
化合物4-[(3-ベンジル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。収率:66%;
【数33】

【0283】
実施例4.13
4-[(6-ベンジル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化98】

【0284】
9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカンの代わりに特許出願WO 2005/108402に記載のように製造した下記式(1pq)の化合物を用いた以外は、実施例4.1に記載の同じ手順を繰り返した:
【化99】

【0285】
化合物4-[(6-ベンジル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。収率:71%;
【数34】

【0286】
実施例4.14
4-[(9-ベンジル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-3-イル)(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化100】

【0287】
9-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカンを、下記式を有する式(1ps)の9-ベンジル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンに代えた以外は、実施例4.1と同じ手順に従った:
【化101】

【0288】
上記1psの製造はAudouze K.ら、J. Med. Chem, 49 (2006) 3159-3171に従って行った。この合成により、化合物4-[(9-ベンジル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-3-イル)(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:50%;
【数35】

【0289】
実施例5.1
4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化102】

【0290】
0.38ミリモルの実施例4.1で得られた化合物4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]-デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドを、エタノール(5ml)中、カーボン(0.1当量)上10重量%のパラジウムと混合した。この混合物を、45psiのH2の圧力及び60℃の温度で6時間、水素化に供した。この反応の終了後、触媒を減圧下での濾過により除去した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させて、化合物4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドを得た。収率:定量的。
【0291】
【数36】

【0292】
実施例5.2
[4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化103】

【0293】
実施例4.1の化合物の代わりに実施例4.2の化合物[4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンを用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物[4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:定量的。
【数37】

【0294】
実施例5.3
[4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化104】

【0295】
実施例4.1で製造した化合物の代わりに実施例4.3の化合物[4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンを用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物[4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。
収率:定量的。
【数38】

【0296】
実施例5.4
4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドの製造
【化105】

【0297】
実施例4.1で製造した化合物の代わりに実施例4.4の化合物4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドを用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドが得られた。
収率:80%。
【数39】

【0298】
実施例5.5
4-[(2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化106】

【0299】
実施例4.1で製造した化合物の代わりに実施例4.5の化合物4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドを用いた以外は、実施例5.1と同じ手順を繰り返した。化合物4-[(2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。収率:90%。
【数40】

【0300】
実施例5.6
[4-[(2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化107】

【0301】
実施例4.1で製造した化合物の代わりに実施例4.6の化合物[4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンを用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物[4-[(2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:定量的。
【数41】

【0302】
実施例5.7
4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドの製造
【化108】

【0303】
実施例4.1で製造した化合物の代わりに実施例4.7の化合物[4-[(10-ベンジル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドを用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物4-[(9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドが得られた。
収率:定量的;
【数42】

【0304】
実施例5.8
[4-[(2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化109】

【0305】
実施例4.1で製造した化合物の代わりに実施例4.8の化合物[4-[(7-ベンジル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンを用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物[4-[(2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:90%;
【数43】

【0306】
実施例5.9
4-[(3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化110】

【0307】
実施例4.1の化合物の代わりに実施例4.9の化合物を用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物4-[(3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:35%;
【数44】

【0308】
実施例5.10
4-[(3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドの製造
【化111】

【0309】
0.4mlの2,2,2-トリクロロエチルクロロホルメート及び0.52gのK2CO3を、アルゴン不活性雰囲気下に維持したトルエン(25ml)中実施例4.10で得られた化合物(1.02g)の溶液に加えた。この混合物を還流で16時間加熱し、終了後室温に冷却した。混合物を水、15%クエン酸水溶液、塩水で続けて洗浄した。洗浄の終了後、有機相を回収し、硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒の蒸発後、1.21gの淡黄色油状物(カルバメート)が得られた。油状物を25mlの氷酢酸に溶解させた。この溶液に、0.82gの粉末状亜鉛を加えた。混合物を室温にて16時間撹拌下に維持し、終了後に約25mlのトルエンで希釈した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を最少容量のジクロロメタンに溶解させた。溶液を15%wクエン酸水溶液で3回抽出した。ジクロロメタンを加えて水相を振盪させた後、濃NH40Hでアルカリ性pHにし、再度ジクロロメタンで抽出した。プールした有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させた。0.52gの化合物4-[(3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドが得られた。収率:62%;
【0310】
【数45】

【0311】
実施例5.11
4-[(3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドの製造
【化112】

【0312】
実施例4.1の化合物の代わりに実施例4.11の化合物を用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物4-[(3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドが得られた。
収率:96%;
【数46】

【0313】
実施例5.12
4-[(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化113】

【0314】
実施例4.1の化合物の代わりに実施例4.12の化合物を用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物4-[(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:96%;
【数47】

【0315】
実施例5.13
4-[(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化114】

【0316】
実施例4.1で製造した化合物の代わりに実施例4.13の化合物を用いた以外は、実施例5.1の手順を繰り返した。化合物4-[(3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:92%;
【数48】

【0317】
実施例5.14
4-[(3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-3-イル)(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化115】

【0318】
実施例4.1で製造した化合物の代わりに実施例4.14で得た化合物を使用した以外は、実施例5.1に記載の同じ手順に従った。この合成により化合物4-[(3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-3-イル)(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:41%;
【数49】

【0319】
実施例6.1
4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化116】

【0320】
アセトン(25ml)中、実施例5.1で得られた化合物(0.98ミリモル)、臭化アリル(1.5当量)及び無水炭酸カリウム(3当量)から形成される混合物を、還流で14時間加熱する。終了後、濾過し、濾液を減圧下で蒸発させる。化合物4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミド(軽い固体)が得られる。
収率:96%。
【数50】

【0321】
実施例6.2
[4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化117】

【0322】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.2で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物[4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。
収率:94%。
【数51】

【0323】
実施例6.3
[4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化118】

【0324】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.3で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物[4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:定量的。
【数52】

【0325】
実施例6.4
4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドの製造
【化119】

【0326】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.4で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドが得られた。収率:定量的。
【数53】

【0327】
実施例6.5
4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化120】

【0328】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.5で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。収率:80%。
【数54】

【0329】
実施例6.6
[4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化121】

【0330】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.6で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物[4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:90%。
【数55】

【0331】
実施例6.7
4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドの製造
【化122】

【0332】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.7で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドが得られた。収率:88%;
【数56】

【0333】
実施例6.8
化合物[4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化123】

【0334】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.8で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物[4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:定量的。
【数57】

【0335】
実施例6.9
4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化124】

【0336】
ジクロロメタン(10ml)中実施例6.1で得られた化合物(0.50ミリモル)の溶液を調製し、0℃に冷却する。三臭化ホウ素(2当量)を加える。この溶液を0℃にて1.5時間撹拌する。次いで20mlの1重量%水酸化カリウム水溶液を加える。反応混合物を20mlのジクロロメタンで希釈し、水で洗浄する(15ml、3回)。プールした有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させる。得られた残留物を溶媒混合物アセトニトリル/水 1/1(v/v)から再結晶化させる。化合物4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られる。収率:定量的。
【0337】
【数58】

【0338】
実施例6.10
4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドの製造
【化125】

【0339】
実施例6.1の化合物の代わりに実施例6.7で得られた化合物を用いる以外は、実施例6.9の手順を繰り返す。化合物4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドが得られた。収率:90%。
【数59】

【0340】
実施例6.11
[4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化126】

【0341】
実施例6.1の化合物の代わりに実施例6.2で得られた化合物を用いる以外は、実施例6.9の手順を繰り返す。化合物[4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:93%。
【数60】

【0342】
実施例6.12
[4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化127】

【0343】
実施例6.1の化合物の代わりに実施例6.3で得られた化合物を用いる以外は、実施例6.9の手順を繰り返す。化合物[4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:定量的。
【数61】

【0344】
実施例6.13
4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドの製造
【化128】

【0345】
実施例6.1の化合物の代わりに実施例6.4で得られた化合物を用いる以外は、実施例6.9の手順を繰り返す。化合物4-[(10-アリル-9,10-ジアザトリシクロ[4.2.1.12,5]デカ-9-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドが得られた。収率:80%。
【数62】

【0346】
実施例6.14
4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ-[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化129】

【0347】
実施例6.1の化合物の代わりに実施例6.5で得られた化合物を用いる以外は、実施例6.9の手順を繰り返す。化合物4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ-[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。収率:75%。
【数63】

【0348】
実施例6.15
[4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ-[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンの製造
【化130】

【0349】
実施例6.1の化合物の代わりに実施例6.8で得られた化合物を用いる以外は、実施例6.9の手順を繰り返す。化合物[4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ-[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]フェニル]-ピロリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:定量的。
【数64】

【0350】
実施例6.16
[4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンの製造
【化131】

【0351】
実施例6.1の化合物の代わりに実施例6.6で得られた化合物を用いる以外は、実施例6.9の手順を繰り返す。化合物[4-[(7-アリル-2,7-ジアザトリシクロ[4.4.0.03,8]デカ-2-イル)-(3-ヒドロキシフェニル)メチル]フェニル]-ピペリジン-1-イル-メタノンが得られた。収率:91%。
【数65】

【0352】
実施例6.17
4-[(10-アリル-3,10-ジアザビシクロ-[4.3.1]デカ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化132】

【0353】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.9で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物4-[(10-アリル-3,10-ジアザビシクロ-[4.3.1]デカ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:50%;
【数66】

【0354】
実施例6.18
4-[(9-アリル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドの製造
【化133】

【0355】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.10で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物4-[(9-アリル-3,9-ジアザビシクロ-[4.2.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジメチルベンズアミドが得られた。
収率:91%;
【数67】

【0356】
実施例6.19
4-[(9-アリル-3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドの製造
【化134】

【0357】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.11で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物4-[(9-アリル-3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノン-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N-シクロヘキシルベンズアミドが得られた。収率:93%;
【数68】

【0358】
実施例6.20
4-(3-アリル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化135】

【0359】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.12で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物4-[(3-アリル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:89%;
【数69】

【0360】
実施例6.21
4-[(6-アリル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化136】

【0361】
実施例5.1の化合物の代わりに実施例5.13で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1の手順を繰り返した。化合物4-[(6-アリル-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-イル)-(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:93%;
【数70】

【0362】
実施例6.22
4-[(9-アリル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-3-イル)(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドの製造
【化137】

【0363】
実施例5.1で製造した化合物の代わりに実施例5.14で得られた化合物を用いること以外は、実施例6.1に記載の同じ手順を繰り返した。この合成により化合物4-[(9-アリル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-3-イル)(3-メトキシフェニル)メチル]-N,N-ジエチルベンズアミドが得られた。
収率:20%;
【数71】

【0364】
実施例7
オピオイド作動性レセプターμ、δ、κに対する親和性
オピオイド作動性レセプターμ、δ、κに対する合成化合物の親和性を、下記に記載する方法を使用することによって、放射性レセプター結合研究によりインビトロで評価した。
レセプター結合法により、具体的化合物が特定のレセプターに結合するか否かやどのような親和性及び特異性で結合するかを確証することができる。
【0365】
特定のレセプターに対する化合物の親和性を評価するために、該特定のレセプターが存在する組織標本を用い、これに化合物を接触させる。試験化合物を、同じレセプターに関して親和性が知られている放射活性標識化合物と共にチャレンジさせる。レセプターから放射活性化合物を追い出して取って代わる試験化合物の能力は、該特定レセプターに関する試験化合物の親和性の指標を与える。更に、レセプター-化合物複合体に存在する放射活性の量により、レセプターに結合した化合物の量の非常に正確な計算が可能になる。よって、この方法により、特定レセプターに対する新たな化合物の親和性を迅速に確証することが可能になり、したがって薬理活性を決定することが可能になる。同じ実験プロトコルで、他のレセプターに対する当該化合物の親和性の評価が可能になり、したがってこれら更なるレセプターに対する該化合物の特異性の程度の確証も可能になる。
【0366】
レセプター結合技法は、薬理活性を有する新たな分子のスクリーニングに使用されるほか、(例えば薬物及び/又は特定の病状への長期曝露に関連する)レセプターレベルで生じる変化についての有用な情報を与えることができる。このような条件で、確かに、アゴニスト又はアンタゴニストの結合親和性を変え、したがってレセプター自体の機能性に影響を与える、レセプターの存在量の変化又はコンホメーション変化が生じることがある。
【0367】
実験は、動物実験に関する欧州共同体の指針(EEC n. 86/609)に従い、ケージ当たり20匹収容し、標準の飼育条件(温度22±2℃、相対湿度60%、12時間の明/暗サイクルでの人工照明)下の実験動物(CD1 Charles River Italy雄性マウス、Calco, LC, Italy)を使用して行った。食餌及び水は自由摂取とした。
【0368】
結合実験は以下の方法に従って行った:
レセプターκ:体重20〜25gのCD1雄性マウスを使用した。この動物を頸椎脱臼により犠牲にし、全脳(小脳を除く)を迅速に切り出し、氷上に保存した。この組織を40容量(w/v)のTris-HCl緩衝液(50Mm, pH7.4)中、Ultra-Turraxによりホモジナイズし、次いで4℃に冷却した遠心分離機で48,000×gにて20分間遠心分離した。上清を同じ緩衝液中に懸濁し、振動浴で37℃にて30分間インキュベートした。インキュベーションの終了後、懸濁液を48,000×gにて15分間遠心分離し、得られたペレットを10容量のTris-HCl緩衝液中に再懸濁した。結合実験は、1ml容量の懸濁液中、25℃の温度にて、サンプル中のタンパク質含量約800〜1000μgで行った。インキュベーションは、種々の濃度のリガンド3H-U 69.593(41.7Ci/ミリモル)の存在下で60分間行った。非特異結合は、U69593(10μM)の存在下で決定した。その後、GF/Cフィルター(Whatman(登録商標))を用い濾過装置Brandell(登録商標)(Gaithersburg, MD, USA)による迅速な濾過を行ってインキュベーションを中断した。
【0369】
レセプターμ及びδ:この実験はUnterwald (1995)により記載された方法に従い、ケージ当たり20匹収容し、標準の飼育条件(温度22±2℃、相対湿度60%、12時間の明/暗サイクルでの人工照明)下の体重20〜25gのCD1雄性マウスを使用して行った。犠牲後、全脳(小脳を除く)を迅速に切り出した。得られた組織を50容量のTris HCl緩衝液(50Mm, pH7.4)中、Polytron(登録商標)装置により迅速にホモジナイズし、ホモジネートを4℃で48,000×gにて20分間遠心分離した。遠心分離後に得られたペレットを50容量の同じ緩衝液中に懸濁し、レセプターから内因性オピオイドを容易に分離させるために、調製した懸濁液を振動浴で37℃にて45分間インキュベートした。インキュベーションの終了後、懸濁液を48,000×gにて4℃で20分間遠心し、得られたペレットを40容量のTris HCl(50mM, pH7.4)緩衝液中に再懸濁した。この大脳の膜懸濁液を結合試験に使用した。
【0370】
結合実験は、2ml容量で、25℃の温度にて、各サンプル中50〜100μgのタンパク質で行った;インキュベーションは、μ及びδレセプターの研究に関して、それぞれ1nM [3H]-DAMGO(54.5Ci/ミリモル)又は1nM [3H]-DPDPE(45Ci/ミリモル)の存在下で60分間行った。
非特異結合は、ナロキソン(10μM)の存在下で決定した。チャレンジ曲線(challenging curve)を決定するために、試験した化合物の各々について少なくとも8つの異なる濃度を使用した。10-10〜10-5Mの濃度のモルヒネを参照化合物として使用した。
【0371】
濾過装置(Brandel(登録商標)、Gaithersburg, MD, USA)を用いて懸濁液をGF/Bフィルター(Whatman(登録商標))で迅速に濾過することにより、インキュベーションを中断した。フィルターを5mlの冷Tris HCl(50mM)緩衝液(pH7.4)で3回洗浄した。
3mlのシンチレーティング液(Ultima Gold MV, Packard, Meridien, IL, USA)を用いて液体シンチレーションカウンター(Tricarb(登録商標) 2100, Packard, Meridien, IL, USA)により放射活性を決定した。
【0372】
Bio-Rad(Milano, Italy)により供給されたプロトコル及び反応試薬を用い、Bradford法(1976)によりタンパク質決定を行った。
μ、δ、κレセプターに対する化合物の親和性は、Kiで表した。
結合実験の結果を表1に示す。
【0373】
【表1】

【0374】
実施例7A
エキソビボモデル(単離器官:マウス輸精管)でのδオピオイド作動性レセプターに対する式(I)の化合物の活性の評価
デルタオピオイドレセプターのアゴニスト化合物が、エキソビボモデルにおいて、マウス輸精管の筋系に対して電気的に誘導される収縮を減少させ得ることは公知である(E. J. Bilskyら、J.P.E.T.;1995 Apr, 273(1):359-366)。この効果は、デルタオピオイドレセプターの選択的アンタゴニスト、例えば化合物ICI 17.4864及びナルトリンドールによって拮抗される。
【0375】
デルタオピオイドレセプターに対する本発明の化合物の活性を評価するために、実施例6.1及び6.9でそれぞれ得られた化合物を、E. J. Bilskyら(J.P.E.T., 1995 Apr; 273(1):359-366)により記載される方法に基づいて行った試験に供した。この実験は、犠牲直後にCD1マウス(25〜30グラム)から採取した輸精管セグメントのサンプルで行った。外植後、輸精管セグメントを、サンプルの清浄化及びその後の解剖を進めるために、Krebs酸素化溶液(118.2mM NaCl、4.75mM KCl、1.19mM KH2PO4、25.0mM NaHCO3、11.0mMグルコース及び2.54mM CaCl2)を含有するペトリ皿に移した。長さ1.0〜1.2cmの輸精管セグメントをこうして得た。これらを、10mlの酸素化Krebs溶液(95% O2及び5% CO2)を含有し、37℃の温度に維持した試験管に浸漬させた。電気刺激により誘導される収縮を記録するために、輸精管セグメントの一方の端部を、試験管底部の固定支持体に付着させる一方、他端を等尺性力トランスデューサ(WPI Fort10, Biological Instruments, Besozzo, Italy)に接続した。次いで、15分毎にKrebs溶液を交換しながら、サンプルを60分間平衡化させた。
【0376】
次いで、サンプルを、次の刺激まで15分間のインターバルで電気刺激が3分間持続する処理サイクルに供した。サンプルの側方に配置された白金電極による3パルスの連続(頻度0.1Hz;パルス幅2ms)で等長性収縮を誘発した。電気刺激は、Grass S88K stimulatorにより発生させ、増幅した(multiplexing pulse booser 316S、Ugo Basile, Comerio, Italy)。輸精管の筋系収縮は、コンピュータでモニターし、分析システム(powerLab 400)で記録、分析した。本発明の化合物は、以下のデルタオピオイドレセプターアンタゴニスト:ICI 17.4864及びナルトリンドールの1つの不在下又は存在下に、累積用量で輸精管に添加した。
【0377】
輸精管筋系の収縮に対する試験化合物の効果は、試験化合物の不在下で得られる収縮の大きさ(100%)に対する、当該化合物の各添加後に電気刺激により誘導される収縮の大きさとして算出したパーセントで表した。
実施例6.1及び6.9の化合物で得られた結果を、それぞれ表2及び表3に示す。結果は、7つの異なる実験で得られたデータの平均である。
【0378】
得られた結果は、実施例6.1及び6.9の両化合物が、マウス輸精管筋系を電気刺激することによって誘導される収縮を阻害したことを示している。この阻害作用は、デルタオピオイド作動性レセプターに選択的な化合物ICI 17.4864又はナルトリンドールによって拮抗された。得られた結果は、両化合物がデルタオピオイドレセプターに対するアゴニスト活性を有することを示している。
【0379】
【表2】

【0380】
【表3】

【0381】
実施例8
式(I)の化合物を含有するエマルジョンの調製
0.05gの実施例6.1で得られた化合物を、1.95グラムのMiglyo1(登録商標) 812S(カプリン酸/カプリル酸のトリグリセリド - Sasol)に溶解した。油相を70℃に加熱し、同じ温度に維持した7mlの蒸留水中1gの非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標) HS15((ポリエチレングリコール 660 ヒドロキシステアラート - Basf)の水溶液を撹拌下に滴下した(1滴/秒)。撹拌を、ultraturrax Politronターボ乳化機(7mmプローブで10,000rpm)により更に15分間行った。10gのエマルジョンを得た。
【0382】
このエマルジョンを4℃に冷却した25mlのガラスシリンダーに移した。1時間後、エマルジョンを25℃に温めた。
エマルジョンの組成(重量%)は以下のとおりであった:
油 Miglyol(登録商標) 812S: 19.5%
界面活性剤 Solutol(登録商標) HS15: 10%
水: 70%
化合物 実施例6.1: 0.5%
このエマルジョンは25℃の温度で貯蔵したが、調製から少なくとも5日間は相分離を示さなかった。
【0383】
実施例9
式(I)の化合物を含有するエマルジョンの調製
0.05グラムの実施例6.16で得られた化合物を、1.45gのダイズ油(医薬グレード)の混合物に溶解する。60℃に加熱後、油相を、実施例8のターボ乳化機による撹拌下に、同じ温度に維持した6mlの生理学的溶液(水相)中2.5gのポリオキシエチレンとポリオキシプロピレン鎖とのブロックコポリマーLutrol(登録商標) F127(Basf)(界面活性剤)の溶液に滴下した。
【0384】
終了後、エマルジョンを4℃に冷却した後、実施例8に記載のように25℃に温めた。10gのエマルジョンが得られた。
このエマルジョンの成分組成(重量%)は以下のとおりである:
ダイズ油: 14.5%
Lutrol(登録商標) F127: 25%
水相: 60%
化合物 実施例6.16: 0.5%
このエマルジョンは、25℃の温度で貯蔵しても、調製から少なくとも5日間は相分離を示さない。
【0385】
実施例10
式(I)の化合物を含有するマイクロエマルジョンの調製
4.0mgの実施例6.1で得られた化合物を、6.0mgのトリグリセリドMiglyol(登録商標) 812S(Sasol Germany GmbH)に25℃で溶解した。この油状溶液に、45.0mgの非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標) HS15(Basf)及び2.445gの生理学的溶液を、実施例9のように撹拌下に加えた。液状混合物を40℃に5分間加熱した後、室温に冷却した。最終的な液相は、完全に液状で、25℃にて等方性であり、以下の組成(重量%)を有するマイクロエマルジョンであった:
化合物 実施例6.1 0.16%
油(Miglyol(登録商標) 812S) 0.24%
界面活性剤 Solutol(登録商標) HS15 1.80%
水相(生理学的溶液) 97.80%
【0386】
実施例11
式(I)の化合物を含有するマイクロエマルジョンの調製
油 Miglyol(登録商標) 810(Sasol Germany GmbH)を、等重量のMiglyol(登録商標) 810油及びImwitor(登録商標) 308油(カプリン酸のモノグリセリド - Sasol Germany GmbH)から形成される混合物に代えた以外は、実施例10の手順を繰り返した。このマイクロエマルジョンは完全に液状で、25℃にて等方性であった。組成は以下のとおりであった(重量%):
化合物 実施例6.1 0.16%
油 Miglyol(登録商標) 810 0.12%
油 Imwitor(登録商標) 308 0.12%
界面活性剤 Solutol(登録商標) HS15 1.80%
水相(生理学的溶液) 97.80%
【0387】
実施例12
式(I)の化合物を含有するポリ乳酸-ポリグリコール酸の粒子の調製
10mgの実施例6.13で得られた化合物(活性成分)及び100mgの平均分子量40,000〜75,000を有するコポリマーPLA-PLGA 50:50 (Sigma Aldrich)を、4mlの酢酸エチルに溶解した。得られた有機溶液を、Solutol(登録商標) HS15(Basf)の5重量%水溶液8ml中、ultraturrax Politronターボ乳化機で30分間混合することにより乳化させた(7mmプローブを用いて10,000rpm)。
次いで、回転エバポレータ中で50℃に加熱することにより、このエマルジョンから有機溶媒(酢酸エチル)を除去した。その後、実施例6.13の化合物を含有するPLA-PLGA粒子の水性分散液が形成した。100,000 MWCOカットオフのメンブレンを有する遠心AMICONTM試験管中で遠心分離することにより、水性分散液を3回の洗浄サイクルに供した。各洗浄サイクルは、粒子を含有する上部区画に各回15mlの蒸留水を加え、4,000rpmで20分間行った。
【0388】
洗浄の終了後、粒子水性分散液を以下の条件下で凍結乾燥させた:温度:-40℃、圧力:5×10-2ミリバール、時間:24時間。
得られた粒子を、透過型電子顕微鏡観察(TEM)及び光子相関分光法(PCS)により特徴付けた。決定した粒子の平均直径は以下のとおりであった:TEMによれば100±20nm、PCSによれば152±5nm。
粒子中に取り込まれた活性成分含量は、ジクロロメタン中に既知量の最終サンプルを溶解した後、得られた有機溶液をUV/可視光分光法によって分析することにより決定した。ナノ粒子の凍結乾燥サンプル中に存在する活性成分の量は、酢酸エチル中に最初に溶解した量の50%に等しかった。
【0389】
実施例13
インビボにおける式(I)の化合物の鎮痛効果の評価
オピオイド作動性レセプターのアゴニスト化合物の最も重要な治療適応の1つは、疼痛処置である。モルヒネが、このクラスのオピオイド作動性誘導体の参照化合物であり、その使用が急性及び慢性の疼痛の処置に推奨されている。
疼痛処置におけるデルタオピオイドレセプターアゴニストである式(I)の化合物の治療特性を評価するために、実験動物における疼痛閾値の評価に広く使用されるTail Flick試験を用いた。
【0390】
Tail Flick試験では、マウスの尾の一部分(尾の先端から2cm)を小熱源に曝露してからマウスが尾を動かして離すまでの経過時間を決定する(Ruiu S.ら、J. Pharmacol. Exp. Ther.; 306(1) (2003) 363-370)。この時間間隔は、Tail-Flick試験装置(Apparatus for the Tail Flick, Ugo Basile, Italy)により自動的に算出される。この装置は、調節可能な熱源である赤外ランプを備える。尾組織の傷害を回避するために、最大潜時(カットオフ - 12秒)を定め、その後は尾を熱源から引き離した。
【0391】
本実験で得られた潜時の値を、下記の式に従って、MPE%(可能な最大効果%)で表した。
[試験潜時(秒)−基本潜時(秒)]
MPE%=−−−−−−−−−−−−−−−−×100
カットオフ(秒)−基本潜時(秒)
ここで、
試験潜時は、動物が尾を動かして熱源から離すまでの経過時間(秒)であり、
基本潜時は、同一の未処置動物が尾を動かして熱源から離すまでの経過時間(秒)である。
【0392】
実施例6.1で得られた化合物の鎮痛効力を評価した。この化合物を、容量比18.5:1.0:0.5の生理学的溶液、エタノール及びCremophor(登録商標) ELの混合物から形成された水溶液(担体)中に溶解した。ブランク又はコントロールは担体であった。試験化合物は、5mg/kgの用量が得られる溶液量を使用して、腹腔内(i.p.)経路で投与した。
化合物及び対応するコントロール(担体)の投与からの種々の時間(20、40、60、120分)で得られるMPE%値を決定することによって、鎮痛効果の持続を評価した。
結果を表4に示す。結果は、式(I)の化合物が疼痛閾値を有意に増大させることができることを示している。なぜならば、投与から120分以内のMPE%値が、対応するコントロール(担体)より有意に高いからである。したがって、本発明の化合物は、鎮痛薬として使用することができる。
【0393】
【表4】

【0394】
実施例14
式(I)の化合物の鎮痛効果のインビボにおける評価
実施例6.9で合成した化合物を使用した以外は、実施例13を繰り返した。化合物の投与から30、60、120及び240分で鎮痛活性を評価した。化合物は、実施例13に示した同じ比の生理学的溶液、エタノール及びCremophor(登録商標) ELから形成された水溶液(担体)中に溶解した後、5mg/kgの用量で投与した。
結果を表5に示す。結果は、式(I)の化合物が疼痛閾値を有意に増大させることができることを確証している。なぜならば、投与から120分以内のMPE%値が、対応する担体の値より有意に高いからである。よって、これらは鎮痛特性を有する。
【0395】
実施例15
モルヒネの鎮痛効果のモジュレーションにおける本発明の化合物の活性のインビボ評価
モルヒネの鎮痛効果のモジュレーションにおける式(I)の化合物の特性を評価するために、モルヒネのみ又は実施例6.9の化合物と組み合わせたモルヒネを用いてTail Flick試験を行った。試験化合物の投与から種々の時間:30、60、120及び240分でMPE%を記録して、実施例13に記載の手順を繰り返した。化合物は、下記の用量にて腹腔内(i.p.)経路で投与した:
モルヒネ:10mg/kg、
モルヒネ+実施例6.9の化合物:それぞれ10mg/kg及び5mg/kg
実施例6.9の化合物:5mg/Kg。
【0396】
得られた結果を表5に示す。結果は、式(I)の化合物との組合せでのモルヒネの投与が、モルヒネのみの効果より高い鎮痛効果を生じることを示している。
モルヒネ及び実施例6.9の化合物との対応する混合物のそれぞれの投与から120分で決定したMPE%値を比較することにより、モルヒネを使用すると、本実験動物では、後者の混合物は、モルヒネ単独と比較して、より長い時間鎮痛効果を維持することが認められる。加えて、混合物中の2つの化合物は、投与から120分で相乗作用を示す。なぜならば、モルヒネのMPE%と実施例6.9の化合物のMPE%の合計より高いからである。
よって、デルタオピオイドレセプターに関して親和性及び選択性を有する式(I)の化合物は、モルヒネの鎮痛効果をモジュレートすることができる。
【0397】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オピオイド作動性レセプター、好ましくはデルタオピオイド作動性レセプターに関して親和性を有し、中枢及び/又は末梢活性を有し、式
【化1】

式中
−A1は式(II)の基:
【化2】

(ここで、
R1は、環水素原子の1つがC(O)R'、C(O)OR'、C(O)NHR'又はC(O)NR3R4
(ここで、
R'は、H、アルキル、アルケニル、アルキルチオ及び任意に置換されていてもよい以下の基:シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキルから選択され、
R3及びR4は、互いに等しいか又は異なって、Hを除くR'と同義であるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)
から選択される基で置換されたフェニルであり、
R2は、環の1以上の多い水素原子が任意にG4基で置換されていてもよく、該G4基は互いに等しいか又は異なって、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ベンジル、へテロアリール、アルケニル、アルキルチオ、シアノ、SO2NH2、イソチオシアネート、OR5、NO2、NHR5又はNR6R7
(ここで、
R5はR'と同義であり、
R6及びR7はR3及びR4と同義である)
であるフェニルである)
であり、
−D1は、以下の構造(D1)、(D2)及び(D3)
【化3】

(ここで、
tは1又は2に等しい整数であり、
t=1のとき、Q1は-CH2-、-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-から選択され、
t=2のとき、Q1は-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-から選択される)
【化4】

から選択される基であり、
−T1は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル及び任意に置換されていてもよい以下の基:シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキルから選択される基である)
を有するジアザ多環式化合物並びにその水和物及び溶媒和物及び医薬上許容され得る塩。
【請求項2】
幾何学異性体又は立体異性体の形態である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物の少なくとも1つの原子が放射性標識を可能にするように同位体形態である請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
ハロゲンが、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素から選択される原子を意味し、
アルキルが、1以上の水素原子がハロゲン及びOHから選択される互いに等しいか又は異なる1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状又は可能な場合には任意に分枝状のC1〜C20飽和脂肪族鎖を意味し、
アルケニルが、1以上の水素原子が、ハロゲン及びOHから選択される互いに等しいか又は異なる1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状又は可能な場合には任意に分枝状のC2〜C20モノ-又はポリ-不飽和脂肪族鎖、好ましくはモノ不飽和脂肪族鎖を意味し、
シクロアルキルが、3〜10炭素原子、好ましくは3〜8炭素原子の脂肪族単環式環、又は7〜19炭素原子を含んでなる多環式環基を意味し、
へテロシクロアルキルが、1以上の環炭素原子がS、O、Nから選択される互いに等しいか又は異なるへテロ原子により置換されている上記で定義したシクロアルキルを意味し、環が単環式であるとき、好ましくはへテロ原子は2を超えず、
アルキルチオが、-S-R8置換基(R8はアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はへテロシクロアルキルから選択される)を意味し、
へテロアリールが、芳香族環の少なくとも1つの原子がS、O又はNから選択されるへテロ原子である、C5〜C6芳香族環又は少なくとも1つの環が芳香族であるC7〜C19多環式環構造を意味し、
アルキニルが、1以上の水素原子がハロゲン原子又はOH基で任意に置換されていてもよい、直鎖状又は可能な場合には分枝状のC2〜C20モノ-又はポリ-不飽和の、好ましくはモノ不飽和の炭化水素鎖であって、不飽和が三重結合である不飽和炭化水素鎖を意味し、好ましくは鎖がC2〜C12炭化水素鎖であり、
アリールが、6〜20炭素原子を有する、芳香族単環式基又は縮合芳香族多環式基を意味し、
アリールアルキルが、上記で定義したアリールに結合した上記で定義したアルキル、好ましくはC1〜C7アルキルを意味し、
へテロアリールアルキルが、上記で定義したへテロアリールに結合した上記で定義したアルキル、好ましくはC1〜C7アルキルを意味し、
シクロアルキルアルキルが、上記で定義したシクロアルキルに結合した上記で定義したアルキル、好ましくはC1〜C7アルキルを意味し、
へテロシクロアルキルアルキルが、上記で定義したへテロシクロアルキルに結合した上記で定義したアルキル、好ましくはC1〜C7アルキルを意味する請求項1〜3に記載の化合物。
【請求項5】
R1の1以上の水素原子、
R'、R3及びR4がシクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキル基であるとき、そのR'、R3及びR4の1以上の水素原子、
R2の置換基がシクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ベンジル又はへテロアリールから選択されるとき、その置換基の1以上の水素原子、
T1がシクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルから選択されるとき、そのT1の1以上の水素原子
がG4基で置換され、その基が互いに等しいか又は異なる請求項1〜4に記載の化合物。
【請求項6】
−R1が、環のパラ位の水素原子がC(O)R'、C(O)OR'、C(O)NHR'又はC(O)NR3R4
(ここで、
R'は、以下のG5基:H、C1〜C7アルキル、C3〜C8単環式シクロアルキル、C3〜C8単環式へテロシクロアルキル、フェニル、単環式へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキル(ここで、前記シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルはC1〜C6アルキル鎖を有する単環式環である)から選択され、
R3及びR4は、互いに等しいか又は異なって、水素を除く上記G5基から選択されるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)
から選択される基で置換されたフェニルであり、
−R2が、環の1以上の水素原子が以下のG7基で任意に置換されていてもよいフェニルであって、該G7基が互いに等しいか又は異なって、ハロゲン、C1〜C7アルキル、C3〜C8単環式シクロアルキル、C2〜C7アルケニル、シアノ、SO2NH2、イソチオシアネート、OR5、NO2、NHR5、NR6R7又はアルキルチオ-S-R9(式中、R9はC1〜C7アルキルである)
(ここで、
R5はG5基から選択され、
R6及びR7は、互いに等しいか又は異なって、水素を除くG5基から選択されるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)
から選択されるフェニルであり、
−D1が上記のとおりであり、
−T1が、H、C1〜C10アルキル、C3〜C10アルケニル、C3〜C10アルキニル、単環式シクロアルキル、へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルから選択される請求項1〜5に記載の化合物。
【請求項7】
−R1が、環のパラ位の水素がC(O)R'、C(O)OR'、C(O)NHR'又はC(O)NR3R4
(ここで、
R'は、以下のG6基:C1〜C7アルキル、C3〜C8単環式シクロアルキル、C3〜C8単環式へテロシクロアルキル、フェニル、単環式へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキル(ここで、前記シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルはC1〜C3アルキル鎖を有する単環式環である)から選択され、
R3及びR4は、互いに等しいか又は異なって、水素を除くG6基から選択されるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)
から選択される基で置換されたフェニルであり、
−R2が、環の1以上の水素原子が、ハロゲン、C1〜C7アルキル、シアノ、SO2NH2、イソチオシアネート、OR5、NO2、NHR5又はNR6R7(ここで、R5は水素又はC1〜C7アルキルから選択され、R6及びR7は、それらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成するか、又は互いに等しいか若しくは異なって、C1〜C7アルキルである)から選択される互いに等しいか又は異なる1以上の基で任意に置換されていてもよいフェニルであり、
−D1が上記のとおりであり、
−T1が、H、C1〜C7アルキル、C3〜C7アルケニル、C3〜C7アルキニル、単環式シクロアルキル、単環式へテロシクロアルキル、アリール、へテロアリール、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキル(ここで、前記シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルはC1〜C6アルキル鎖で置換された単環式環である)から選択される請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項8】
−R1が、環のパラ位の水素がC(O)R'、C(O)NHR'又はC(O)NR3R4
(ここで、
R'は、G6基から選択され、
R3及びR4は、互いに等しいか又は異なって、水素を除くG6基から選択されるか、又はそれらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成する)
から選択される基で置換されたフェニルであり、
−R2が、環のメタ位の水素原子の1つが、ハロゲン、C1〜C3アルキル、シアノ、SO2NH2、イソチオシアネート、OR5、NO2、NHR5、NR6R7((ここで、R5は水素又はC1〜C3アルキルから選択され、R6及びR7は、それらが結合する窒素原子と一緒になって原子数5〜7の環を形成するか、又は互いに等しいか若しくは異なって、C1〜C5アルキルである)から選択される基で任意に置換されていてもよいフェニルであり、
−D1が上記のとおりであり、
−T1が、以下の式:
【化5】

から選択される基であるか、又はH、C1〜C7アルキル、C3〜C7アルケニル、C3〜C7アルキニル、フェニル、単環式へテロアリール、単環式シクロアルキル、単環式へテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル又はへテロアリールアルキル(ここで、前記シクロアルキルアルキル、へテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、へテロアリールアルキルは単環式環でありC1〜C3アルキル鎖を有する)から選択される基である請求項1〜7に記載の化合物。
【請求項9】
以下:
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

から選択される請求項1〜8に記載の化合物。
【請求項10】
以下の工程:
c)ジアザ二環式又はジアザ三環式化合物D1'〜D6'
【化42】

【化43】

(ここで、Q1は、D1=D1及びt=1のときの式(I)の化合物中で定義されるとおりであり、Q2はQ1と等しいが-CH2-ではなく、Z9及びZ10は窒素原子の保護基である)
の一方の水素原子に結合した窒素原子(他方の窒素原子は保護基Z9又はZ10で置換されている)のアルキル化工程であって、アルキル化剤が式(II')
【化44】

(式中、R1は上記のとおりであり、R2aはR2であるが1より多いOH基で置換されたフェニル基を除き、Tyは脱離基である)
を有し、式(I')
【化45】

(式中、A1及びD1は上記のとおりであり、T2はZ9又はZ10から選択される)
の化合物を得る工程
d)式(I')の化合物中の基Z9又はZ10で置換された窒素原子の脱保護工程であって、T1がHである式(I)
【化46】

(式中、A1及びD1は上記のとおりである)
の化合物を得る工程
c)式T1-Tx(式中、T1は上記のとおりであり、Txは脱離基である)化合物との反応により化合物A1-D1-Hの窒素に結合した水素原子の置換工程であって、T1がHとは異なる式(I)の化合物を得る任意工程
を含んでなる、置換基R2がOH基を含まない請求項1〜9に記載の化合物の製造方法。
【請求項11】
以下の工程:
R2がハロゲン、NO2、OR6、NHR5又はNR6R7(R5、R6、R7は上記のとおりである)から選択される1以上のGS基を含む式(I)の化合物を得るための上記の工程a)、工程b)、工程c)、
GS基をヒドロキシル基に変換して置換基R2が1以上のOH基を含む式(I)の化合物を得る工程d)
を含んでなる、置換基R2が1以上のOH基を含む請求項1〜9に記載の化合物の製造方法。
【請求項12】
医薬として使用するための請求項1〜9に記載の化合物。
【請求項13】
オピオイドレセプター、好ましくはデルタオピオイドレセプターが関与する疾患及び障害の哺乳動物及びヒトにおける治療及び予防用医薬組成物の製造についての請求項1〜9に記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1〜9に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項15】
分散液、溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、散剤、マイクロ粒子、ナノ粒子、カプセル、エアロゾル、坐剤、錠剤、シロップ剤、エリキシル剤、クリーム、ゲル、軟膏、プラスター、フォームの形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
エマルジョン又はマイクロエマルジョンの形態である請求項14〜15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
シリカ又は脂質又は医薬上許容され得るポリマーから作製されたマイクロ粒子又はナノ粒子の形態であり、式(I)の化合物が該マイクロ粒子又はナノ粒子の内部及び/又は表面に取り込まれている請求項14〜15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
マイクロ粒子又はナノ粒子が1若しくはそれより多い表面改質剤の物理化学的吸着によるか又は1若しくはそれより多い改質剤での化学官能化により改質されている請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
オピオイドレセプター、好ましくはデルタオピオイドレセプターが関与する疾患及び障害の哺乳動物及びヒトにおける予防用及び治療用医薬組成物の製造についての請求項1〜9に記載の化合物の使用。
【請求項20】
疾患及び障害が以下:疼痛、術後疼痛、慢性疼痛、ニューロパシー性疼痛、物質乱用の症例の処置、アルコール中毒、便秘、下痢及びその他の胃腸管障害、悪心、嘔吐、咳、皮膚炎、肥満及びその他の食欲関連障害、不安、抑うつ、喫煙依存症(タバコ中毒)、性機能障害、早漏、ショック、脳外傷、脊髄損傷、緑内障及び眼内圧亢進のような眼の病状及び障害、乳がんのような腫瘍、関節炎、乾癬、喘息、心疾患、失禁及び尿生殖路の障害、アルツハイマー病及びパーキンソン病並びに関連障害、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、免疫系の障害及び病状、神経系疾患、ホルモン障害、神経伝達物質放出の障害、神経機能不全、移植片拒絶である請求項19に記載の使用。
【請求項21】
μオピオイドレセプターをモジュレートする医薬組成物の製造についての請求項1〜9に記載の化合物の使用。
【請求項22】
μオピオイドレセプターを介して作用するオピオイド作動性アゴニスト剤の鎮痛活性のモジュレーションについての請求項21に記載の使用。
【請求項23】
他の薬物との組合せでの疾患及び障害の予防用及び治療用医薬組成物の製造についての請求項1〜9に記載の化合物の使用。
【請求項24】
薬物がモルヒネである請求項22に記載の使用。
【請求項25】
他の薬物との組合せで請求項1〜9の化合物を含んでなる請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項26】
インビトロ及び哺乳動物又はヒトにおいてインビボでデルタオピオイド作動性レセプターを同定及び標識する医薬組成物の製造についての請求項1〜9の化合物の使用。

【公開番号】特開2011−136991(P2011−136991A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−274641(P2010−274641)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(509215651)ニューロサイエンス ファーマネス エス.シー. エー アール.エル. (7)
【氏名又は名称原語表記】NEUROSCIENZE PHARMANESS S.C. A R.L.
【住所又は居所原語表記】Loc. Piscinamanna, Edificio 5, 09010 Pula, Cagliari, ITALY
【Fターム(参考)】