説明

医薬化合物

【課題】カンナビノイド作動性CB1および/またはCB2レセプターに親和性を有する化合物の提供。
【解決手段】下記式の三環式ピラゾール誘導体:


(Aは以下の1つから選択される基を表わす:‐(CH‐、‐(CH)‐S(O)‐または‐S(O)‐(CH)‐;Bは、場合により置換されたヘテロアリールである;Rは非置換であるか、または互いに等しいかまたは異なる1〜4の置換基を有した、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;R′は以下から選択される基である:エーテル基、ケトン基、ヒドロキシル官能基、アミド基。)

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、カンナビノイド作動性CB1および/またはCB2レセプターに親和性を有するピラゾール三環式誘導体、それに対応した溶媒和物および薬学上許容される塩、およびそれらの医薬組成物に関する。
【0002】
更に詳しくは、本発明は、末梢カンナビノイド作動性CB1および/またはCB2レセプターに親和性を有するピラゾール三環式誘導体に関する;該誘導体はそれ自体実際に血液脳関門を通過できない。したがって、本発明の化合物は、中枢神経系でいかなる実質的副作用の出現もなく、上記末梢レセプターの活性化に応じて、治療応答が要求される病変で用いうる。したがって、本発明の三環式ピラゾール誘導体は、中枢神経系でいかなる副作用も実質的に起こすことなく、選択的に末梢系で薬理活性を示す。
【0003】
カンナビノイド類は、マリファナとして一般的に知られている、sativa Cannabis由来の化合物である。マリファナを特徴づける少くとも66種のカンナビノイド化合物の中では、特にテトラヒドロカンナビノール類(THC)およびΔ‐テトラヒドロカンナビノール(Δ‐THC)が最も活性とみなされている。哺乳類およびヒトで天然の治療剤としてマリファナを実用するに至った性質が、上記化合物には備わっていた。その性質は次の通りである:鎮痛効果、抗炎症活性、血圧および眼内圧の低下、制吐活性。マリファナ使用に伴うネガティブな効果が、特に知覚の心理的歪曲、運動協応性喪失、多幸感、鎮静効果に関して、テトラヒドロカンナビノール類に更に伴っていた。カンナビノイド薬理作用は、“Gタンパク質結合”レセプターファミリーに属する2種の異なる特異的レセプター:末梢組織に加えて中枢神経系にも存在するCB1レセプター、および小脳でも確認される(Q.J.Lu et al.,Visual Neurosci.,2000,17,91-95)が、主に末梢組織でみられる(M.Glass,Progr.Neuro-Psychopharmacol.& Biol.Psychiat.,2001,25,743-765)CB2レセプターに対する親和性と直接関連しているようである。脳において、CB1レセプターは海馬、皮質領域、小脳および基底核内で主に発現される。CB1レセプターが位置する末梢組織の中で、我々は睾丸、小腸、膀胱、精管を挙げられる。CB1レセプターは、ラット目およびヒト目、網膜、虹彩および毛様体で更に確認されている(A.Porcella et al.,Molecular Brain Research,1998,58,240-245;A.Porcella et al.,European Journal of Neuroscience,2000,12,1123-1127)。それに代わり、CB2レセプターは、脾臓辺縁帯、扁桃腺、加えて数種の免疫系細胞、例えばマクロファージ、単球、骨髄、胸腺および膵臓の細胞で主に存在している。CB2レセプターが多く存在する他の免疫系細胞は、T4およびT8細胞、多形核白血球、特にナチュラルキラーと称される細胞、およびBリンパ球である。
【0004】
したがって、アゴニストまたはアンタゴニストとしてCB2レセプターと相互作用しうる化合物は、免疫系細胞または免疫障害を伴う疾患の治療に用いられる。CB2レセプターの活性化(調節)は、他の疾患、例えば骨粗鬆症、腎虚血および炎症状態の治療でも重要である。
【0005】
CB1レセプターに親和性を有する化合物は、緑内障のような眼疾患、喘息および慢性気管支炎のような肺疾患、例えば関節炎のような炎症、例えばアレルギー鼻炎、接触皮膚炎、アレルギー結膜炎のようなアレルギーおよびアレルギー反応の治療に用いられる。このような化合物は、痛みの治療、不安の症例、気分の問題、せん妄状態、一般的な精神的苦痛、加えて精神分裂病、うつ病の治療、および乱用および/または依存性物質が用いられた場合(例えば、アルコール依存症およびタバコ依存症(tabagism))にも用いうる。同化合物は、特に化学療法を受けている患者の場合で、嘔吐、悪心、眩暈を軽減するために;神経障害、片頭痛、ストレス、心身が原因の疾患、てんかん、ツレット症候群、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、老人性痴呆、および認知症および記憶喪失の治療にも用いられる。
【0006】
CB1レセプターに親和性を有する化合物の別な適応症は、食欲に関連した病変(肥満、過食症)、胃腸管および胆嚢の病変、心血管系疾患、泌尿器および生殖器問題、神経炎症病変、例えば多発性硬化症、ギヤン・バレー症候群、ウイルス性脳炎の治療である。例えば、一部のCB1アゴニスト活性剤は、化学療法に伴う悪心および嘔吐治療、およびエイズ患者の食欲増進で好結果に用いられている。CB1レセプターにアンタゴニスト活性を有する化合物は、例えば精神病、不安、うつ病、精神分裂病、肥満、神経症(例えば、痴呆、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、ツレット症候群)の治療、記憶喪失、痛みの治療、カンナビノイド類の神経伝達に関与する中枢神経系疾患、胃腸および/または心血管系問題の治療に用いられる。
【0007】
広いカンナビノイド薬理適用に関連して、この数年間において、2種類のカンナビノイド作動性CB1およびCB2レセプターと選択的に相互作用しうるエンドカンナビノイド類および新規化合物の合成法をみつける研究がいくつか始められた。一方でアナンダミド エンドカンナビノイド類(アラキドニルエタノールアミド)および2‐アラキドニルグリセロールの同定、他方で異なる種類の合成化合物、即ちCB1またはCB2レセプターに対するアゴニストまたはアンタゴニストの獲得に関する研究が行われてきた。
【0008】
CB1レセプターにアゴニスト活性(擬カンナビ活性)を有する化合物の種類には、(−)‐11‐OH‐ΔTHC‐ジメチルヘプチル(HU210)およびナビロンのように、Δ‐THCの構造から直接誘導される基本構造を有した合成化合物、並びにWIN55,212‐2シリーズのアミノアルキルインドール類(M.Pacheco et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1991,257,1701-183)のようにまたは化合物CP55,940(M.Glass,Progr.Neuro-Psychopharmacol.& Biol.Psychiat.,2001,25,743-765)関連の二環式カンナビノール類(非古典的カンナビノイド類)のように、Δ‐THCと構造的に異なる化合物がある。擬カンナビ活性を有する化合物はインビボで次の作用を示す:活性低下、体温低下、鎮痛およびカタレプシー(B.R.Martin et al.,Pharmacol.Biochem.Behav.,1991,40,471-478;P.B.Smith et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1994,270,219-227)
【0009】
カンナビノイド作動性レセプターに対して特に類似性および選択性を自ら示す他の種類の合成化合物は、3‐ピラゾールカルボン酸誘導体のものである。この種類の誘導体の対照化合物は、EP656,354で記載された略称SR141716A:〔N‐ピペリジノ‐5‐(4‐クロロフェニル)‐1‐(2,4‐ジクロロフェニル)‐4‐メチルピラゾール‐3‐カルボキシアミド〕で一般的に示される。特に、SR141716A化合物は次の性質を示した:インビボおよびインビトロのサンプルにおいて、CB1レセプターに対する高い親和性(Ki=1.98±0.36nM)、CB1レセプターに対してかなり大きな選択性(CB2レセプターの場合より約千倍高いCB1レセプターに対する親和性)、カンナビノイド活性を阻害する能力、したがってアンタゴニスト活性(M.Rinaldi-Carmona et al.,FEBS Lett.,1994,350,240-244)。示された性質、それに加えていくつかの臨床および前臨床研究に基づき、SR141716A化合物は、近年Sanofi-SynthelaboによりRimonabantと改名されたが、肥満治療およびタバコ依存症の治療で抗飢餓活性剤として主に用いられるように造られている。
【0010】
特許出願US2001/0053788は、CB1レセプターの有効アンタゴニストとして4,5‐ジヒドロ‐1H‐ピラゾール化合物を記載している。特許請求化合物の一般式は以下で示される:
【化1】

上記式中:Q、Q、Q、Q、A、Bは異なる意味を有している。
【0011】
カンナビノイド作動性レセプターに高親和性、特にCB1レセプターに高選択性を有する化合物が、EP1,230,244で記載されている。特に、該化合物は、下記一般構造を有するSR141716Aの三環式アナログである:
【化2】

上記式中Z、w、w、w、w、w、g、g、g、gは異なる意味を有している;X‐Y‐は‐(CH‐CH‐、‐CH‐S(O)‐、‐S(O)‐CH‐から選択される基を表わし、ここでrは1または2であり、pは0、1または2である。カンナビノイド作動性レセプターに高親和性、特にCB2レセプターに高選択性を有する化合物が、EP1,230,222で記載されている。特に、この特許で記載された化合物は、下記一般構造を有するSR141716Aの三環式アナログである:
【化3】

上記式中:‐T‐は‐(CH‐基を表わし、ここでmは1または2である;Z、w、w、w、w、w、g、g、g、gは異なる意味を有している。
【0012】
CB2レセプターを調節しうるピラゾール構造を有した他の化合物はUSP6,100,259で記載され、下記一般式で表わされる:
【化4】

上記式中qは1〜6であり、Ao、Q、Q、Q、Qは異なる意味を有している。
【0013】
CB2レセプターに親和性および選択性を有するピラゾール構造を有した別の化合物は、略称SR144528で知られている化合物(M.Rinaldi-Carmona et al.,J.Pharmacol.Expt.Ther.,1998,284,644-650)であり、その構造は以下で示される:
【化5】

【0014】
CB2レセプターに対してその選択性が知られ、このサブクラスのレセプターにアゴニスト活性を有する他の化合物は、JWH‐015と称される化合物1‐プロピル‐2‐メチル‐3‐ナフトイルインドールである(M.Glass,Progr.Neuro-Psychopharmacol.& Biol.Psychiat.,2001,25,743-765)。
【0015】
上記のように、上記の特許および文献は、CB1および/またはCB2レセプターを活性化することで治療活性を発揮する化合物を記載しているが、このような活性成分が血液脳関門を通過しない性質を有し、したがってそれらが末梢レベルのみで活性であるという事実に関しては、それらはいかなる示唆も行っていない。
【0016】
カンナビノイド作動性CB1および/またはCB2レセプターに親和性を有し、中枢神経系で実質的作用なしに、末梢レベルで選択的に作用しうる有用な化合物を有する必要性が、感じられていた。
【発明の具体的説明】
【0017】
本発明の目的は、カンナビノイド作動性CB1および/またはCB2レセプターに親和性を有する、式(I)の三環式ピラゾール誘導体である:
【化6】

上記式中:
‐Aは以下の1つから選択される基を表わす:
‐(CH‐、‐(CH)‐S(O)‐または‐S(O)‐(CH)‐、ここで
‐tは1、2または3である;
‐zは0、1または2である;
‐Bは、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、N‐アルキルアミノ、N,N‐ジアルキルアミノ、イソチオシアネート、フェニル、シクロアルキル、飽和または不飽和ヘテロサイクル、ヘテロアリールから選択される、互いに等しいかまたは異なる、環の原子数に応じた1〜4の置換基で場合により置換された、ヘテロアリールである;
‐Rは以下から選択される基である:
‐直線または分岐状C‐C10アルキル(窒素原子に結合していない主鎖の末端は‐CH‐W末端を有しており、Wは水素、ハロゲン、イソチオシアネート、CN、OH、OCH、NH、‐CH=CHから選択される基である);
‐非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、N‐アルキルアミノ、N,N‐ジアルキルアミノ、飽和または不飽和ヘテロサイクル、フェニルから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜5の置換基を有した、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐R′は以下から選択される基である:
‐式‐(CH)‐O‐(CH‐R″のエーテル基:ここで
‐vは1または2の整数である;
‐R″は、下記のような飽和または不飽和ヘテロサイクル、C‐C15シクロアルキル、アリールまたは下記のようなヘテロアリールである;
‐式‐C(O)‐Z′のケトン基(Z′はC‐Cアルキル、C‐C15シクロアルキル、下記のような飽和または不飽和ヘテロサイクル、アリールまたはヘテロアリールである);
‐式‐CH(OH)‐Z′のヒドロキシル官能基を有する置換基(Z′は上記の通りである);
‐式‐C(O)‐NH‐T′のアミド置換基〔T′は以下から選択される基である:
‐C‐Cアルキル;
‐C‐Cハロアルキル;
‐S、N、Oの中から選択される1つのヘテロ原子を場合により含み、非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシから選択される、1〜5の置換基(該置換基は互いに等しいかまたは異なる)を場合により有した、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐非置換であるかまたは1以上のC‐Cアルキル鎖で置換されたC‐C15シクロアルキル(該鎖は、C‐C15シクロアルキルの場合1〜4、Cシクロアルキルの場合1〜3、Cシクロアルキルの場合1〜2である;該アルキル基は互いに等しいかまたは異なる);
‐下記式を有する基:
【化7】

上記式中、RおよびRは互いに等しいかまたは異なり、水素またはC‐Cアルキルを表わすが、但しRおよびRが双方とも水素であることはない;
‐下記式を有する基:
【化8】

上記式中、RはC‐Cアルキルを表わし、kは1〜3の整数である;
‐基NR〔RおよびRは、等しいかまたは異なり、下記の意味を有する:
‐水素;
‐C‐Cアルキル;
‐非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜5の置換基を芳香環に場合により有した、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、非置換であるか、またはC‐Cアルキル、フェニル、ベンジルから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜4の置換基を場合により有した、5〜10炭素原子の飽和または不飽和ヘテロサイクルを形成している(該フェニルまたはベンジルは、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる1以上の基で場合により置換されている)〕〕。
【0018】
別記されていないかぎり、全テキストにおいて:
‐用語“アルキル”は、直線状または可能であれば分岐状のC‐C20飽和炭化水素鎖を意味する;
‐用語“アルケニル”は、直線または可能であれば分岐状のC‐C20一または多不飽和、好ましくは一不飽和炭化水素鎖を意味する;
‐用語“シクロアルキル”は、例えば3〜8炭素原子、特に4〜6炭素原子の脂肪族単環式環、および8〜19炭素原子の多環式構造を意味する;該環または環類は不飽和を含まない;
‐用語“飽和ヘテロサイクル”は、少くとも1つの炭素原子がS、O、Nから選択される1つのヘテロ原子で置換された、上記のようなシクロアルキルを意味する;該環が単環式であるとき、好ましくはヘテロ原子は2以下である;
‐用語“不飽和ヘテロサイクル”は、1以上の二重結合を有した上記のようなシクロアルキルを意味するが、但し該構造は芳香族型の結果ではなく、少くとも1つの炭素原子がS、O、Nから選択される1つのヘテロ原子で置換されている;
‐用語“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選択される1つの原子を個別に示す;
‐用語“ハロアルキル”は、1以上の水素原子が同数のハロゲン原子で置換された、上記定義によるアルキル;例えばトリフルオロメチル、1‐ブロモ‐n‐ブチル、ペンタクロロエチルを意味する;
‐用語“アリール”は、排他的に炭素原子および水素原子を含む、C単環式芳香族基、または少くとも1つの環が芳香族であるC‐C19多環式基を意味する;
‐用語“ヘテロアリール”は、単環式基がC‐Cであり、少くとも1つの炭素原子がS、O、Nから選択される1つのヘテロ原子で置換されていること以外は、上記のようなアリールを意味する;好ましくは、ヘテロ原子は単環式基の場合に2以下である;
‐用語“アリールアルキル”は、上記のようにアリールへ結合された、好ましくはC‐Cの、上記のようなアルキル、例えばベンジルを意味する;
‐用語“アリールアルケニル”は、上記のようにアリールへ結合された、上記のようなアルケニルを意味する;
‐“レセプターに親和性を有する化合物”とは、レセプターに対してインビボでアゴニストまたはアンタゴニスト、部分的アゴニストまたは部分的アンタゴニスト、反アゴニストまたは反アンタゴニスト、あるいは反部分的アゴニスト活性を有する化合物を意味する。このような用語の意味は当業者に周知である。
【0019】
式(I)の好ましい化合物は以下のものである:
‐Aは‐(CH‐である(tは前記の通りである);
‐Bは、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシから選択される、環の原子数に応じた1〜4の置換基(該置換基は互いに等しいかまたは異なる)で場合により置換された、環が5または6原子を有する、ヘテロアリールである;
‐Rは下記意味を有する:
‐直線または分岐状C‐C10アルキル(窒素原子に結合していない主鎖の末端は‐CH‐W末端を有しており、Wはハロゲンである);
‐非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、N‐アルキルアミノ、N,N‐ジアルキルアミノ、飽和または不飽和ヘテロサイクル、フェニルから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜5の置換基を有した、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐R′は下記基から選択される:
‐式‐C(O)‐NH‐T′のアミド(T′は式(I)で前記された意味を有するが、式(IA)および式(IB)は除く)。
【0020】
下記式(I)の化合物が更に好ましい:
‐Aは‐(CH‐である(tは前記の通りである);
‐Bは、チオフェン、ピリジン、フラン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ピロールから選択されるヘテロアリールである(該ヘテロアリールは、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1、2、3または4の置換基で場合により置換されている;好ましくは、環が5原子を有するヘテロアリールが用いられ、更に好ましくはヘテロアリールはチオフェンである);
‐Rは下記意味を有する:
‐直線または分岐状C‐Cアルキル(主鎖の窒素原子に結合していない末端は‐CH‐W末端を有しており、Wはハロゲンである);
‐非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜5の置換基を有した、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐R′は下記基から選択される:
‐式‐C(O)‐NH‐T′のアミド基〔T′は下記基から選択される基である:
‐C‐Cアルキル;
‐C‐Cハロアルキル;
‐N、S、Oから選択される1つのヘテロ原子を場合により含み、非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる1〜5の置換基を有した、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐1つの基NR(RおよびRは式(I)における前記の意味を有する);
‐非置換であるか、または1以上のC‐Cアルキル鎖で置換されたC‐C15シクロアルキル(該鎖はC‐C15シクロアルキルの場合で1〜4、Cシクロアルキルの場合で1〜3、Cシクロアルキルの場合で1〜2であり、該アルキル基は互いに等しいかまたは異なる)〕。
【0021】
好ましくは、R′=‐C(O)‐NH‐T′(T′は前記の通りである)である式(I)の化合物が用いられる。
【0022】
上記化合物の例は以下である:
N‐ピペリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ホモピペリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピロリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ホモピペリジニル‐7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピロリジニル‐7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐7‐メチル‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ホモピペリジニル‐7‐メチル‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピロリジニル‐7‐メチル‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐6‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐6‐ブロモ‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐8‐クロロ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔2′,3′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐8‐ブロモ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔2′,3′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐8‐クロロ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔3′,2′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐8‐ブロモ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔3′,2′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐6‐メチル‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4‐ジヒドロチエノ〔2′,3′:4,5〕シクロペンタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐6‐メチル‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4‐ジヒドロチエノ〔3′,2′:4,5〕シクロペンタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド。
【0023】
本発明の式(I)の化合物は、置換基に応じて、それらの構造にキラル中心を有することがある。
【0024】
すべての様々な異性体および対応混合物が本発明に包含されている、と考えられる。式(I)の化合物には、シス‐トランス型異性体も存在しうる。
【0025】
本出願人は、式(I)の化合物がカンナビノイド作動性CB1および/またはCB2レセプターに親和性を有し、中枢神経系に作用して望ましくない副作用を起こすことなく、選択的に末梢レベルで作用しうることを、意外にも予想外に発見したのである。例えば、例3.6の化合物(本発明の実施例参照)はCB1およびCB2レセプターに活性を有し、したがって胃腸管の病変の治療または免疫障害の場合に用いうる。上記化合物は血液脳関門を通過できず、そのため末梢レベルでその活性を選択的に発揮し、したがってその使用は中枢神経系で望ましくない副作用を呈しない。
【0026】
式(I)の化合物の上記水和物、溶媒和物および薬学上許容される塩は、すべての様々な異性体および対応混合物も含めて、本発明の別な目的である。
【0027】
用語“水和物”および“溶媒和物”の意味は当業者に周知である。
【0028】
本発明の別な目的は、R′が前記の意味を有する一般式(I)の化合物の製造方法である:
i)下記一般式(II)の酸、または場合によりアシルハライド、無水物、混合無水物、イミダゾリド、エステル‐アミド付加物、直線または分岐状C‐Cアルキルエステルから選択されるその反応誘導体の1つの合成:
【化9】

下記ステップからなる:
‐式(III)の化合物から出発し、還流下C‐Cアルコール溶媒中でナトリウムアルコキシド(RONa)およびシュウ酸ジエチルとの反応(クライセン縮合)により、式(IV)のα‐ヒドロキシ‐γ‐ケトエステル(A、Bは前記の通りである)を得る:
【化10】

‐還流下アルコール溶媒または酢酸中で式(IV)の化合物と式(V)(Rは前記の通りである)のヒドラジン(該化合物(V)は場合により塩酸塩の形である)との反応により、下記式の三環式化合物を得る:
【化11】

‐還流下で式(VI)の化合物の水アルコール溶液中で水酸化アルカリでの塩基性加水分解により、一般式(II)の酸を得る;
‐場合により、前記されたような、一般式(II)の酸の反応誘導体の形成;
ii)一般式においてR′=‐(CH)‐O‐(CH‐R″(R″は前記の通りである)のとき、式(I)の化合物は、式(II)の酸、またはそのエステルの1つ、好ましくはエチルエステルから出発して製造され、第一ステップにおいて、例えば、有機金属水素化物、例えば水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL‐H)、または水素化リチウムおよびアルミニウムLiAlHを用いて、反応条件下で不活性な溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中室温で操作することにより一級アルコールへ還元され、次いで得られた一級アルコールが、水素化アルカリ、例えば水素化ナトリウムの存在下で、式R″‐(CH)Halのアルキルハライド(Hal=ハロゲン)と室温で反応させられ、上記化合物(R′=‐(CH)‐O‐(CH‐R″)を得る。
【0029】
一般式(I)においてR′=‐C(O)‐Z′(Z′は前記の通りである)のとき、式(I)の化合物は下記方法の1つに従い製造できる:
‐反応条件下で不活性な溶媒、好ましくはジクロロメタン中、初めに0℃、次いでエステル消失まで室温で、一般式(II)の酸のエステル、好ましくはエチルエステルを、アミンの塩酸塩(アミンは塩酸塩、好ましくはHN(OCH)CH・HClである)と共に、トリアルキルアルミニウム、好ましくはAl(CHと反応させ;次いで0℃で反応混合物へZ′MgBr(Z′は前記の通りである)を加え、式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)を得るまで室温で反応させる;
‐反応条件下で不活性な溶媒中で、式(II)の酸、またはその反応誘導体の1つを、式Z′Meの有機金属塩(Meは好ましくはアルカリ金属カチオン、例えばリチウムである)と反応させて、式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)を得る。
【0030】
上記2プロセスのうちでは、前者が好ましく用いられる。
【0031】
一般式(I)においてR′=‐CH(OH)‐Z′(Z′は前記の通りである)のとき、合成は2ステップで行われる:
‐前記2反応のうち1つを用いることにより式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)を製造し;
‐室温で式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)と水素化リチウムおよびアルミニウムまたは水素化ホウ素ナトリウムとの反応により、式(I)の最終生成物(A=‐CH(OH)‐Z′)を得る。
【0032】
一般式(I)においてR′=‐C(O)‐NH‐T′(T′は前記の通りである)のとき、該化合物は、反応条件下で不活性な溶媒中、室温で、前記のような対応反応誘導体の形で式(II)の酸と下記一般式の化合物との反応により製造される:
N‐T′ (VII)
上記式中T′は前記の意味を有する。
【0033】
式(III)および(VII)の化合物は市販されているか、または関連文献で記載されている。式(II)の酸の好ましい例は以下である:
7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
7‐メチル‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
6‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
6‐ブロモ‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
8‐クロロ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔2′,3′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
8‐ブロモ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔2′,3′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
8‐クロロ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔3′,2′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
8‐ブロモ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔3′,2′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
6‐メチル‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4‐ジヒドロチエノ〔2′,3′:4,5〕シクロペンタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
6‐メチル‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4‐ジヒドロチエノ〔3′,2′:4,5〕シクロペンタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸。
【0034】
薬学上許容される塩とは、式(I)の化合物を薬学的観点から許容される有機または無機酸で処理することにより得られるすべての塩を意味する。例えば塩酸塩、硫酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、硫酸水素塩、コハク酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩が挙げられる。刊行物:”Remington,The Science and Practice of Pharmacy”,vol.II,1995,page 1457参照。
【0035】
本発明の別な目的は、異性体およびそれらの混合物、対応する水和物または溶媒和物または薬学上許容される塩を含む、一般式(I)の化合物を含有した医薬組成物である。任意に、該組成物は、式(I)の化合物を血液脳関門を通過させうる添加剤または賦形剤を含む。
【0036】
医薬組成物とは、式(I)の活性成分(すべての異なる異性体および対応混合物を含む)、対応する水和物、溶媒和物または薬学上許容される塩が、賦形剤、キャリア、色素、保存剤、香味剤および使用が製薬業界で知られている他の添加物と混和された製剤を意味する。
【0037】
本発明の医薬組成物は、口、皮下、舌下、筋肉内、静脈内、局所、経皮、直腸、目、鼻内経路から投与される。上記の医薬組成物には、例えば分散液、溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、粉末、カプセル、エアゾル、坐剤、錠剤、シロップ、エリキシル、クリーム、ゲル、軟膏、硬膏がある。
【0038】
本発明の医薬組成物は、製薬技術の公知方法に従い得られる。例えば、上記の医薬組成物は、参考のためここに組み込まれるUSP6,028,084で示されたプロセスに従い得られる。
【0039】
医薬組成物は、特許出願US2003/0003145で示された方法および添加物を用いることでも製造しうる。これらの処方では、製薬業界で常用されているアルキル硫酸ナトリウムまたは他の界面活性剤が用いうる。
【0040】
例えば、式(I)の化合物あるいは対応する水和物、溶媒和物または薬学上許容される塩の経口投与に向いた医薬組成物は、すべての様々な異性体および対応混合物を含めた式(I)の化合物、または対応する水和物、溶媒和物または薬学上許容される塩0.5〜20重量%;アルキル硫酸ナトリウムまたは他の界面活性剤0.05〜0.5重量%;例えばセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは他のセルロース誘導体のようなディスグリゲート剤(disgregating agent)2.5〜10重量%から形成される。
【0041】
様々な異性体および関連混合物を含めた式(I)の化合物、対応する水和物または溶媒和物および薬学上許容される塩、および本発明のそれら医薬組成物は、カンナビノイド作動性CB1および/またはCB2レセプターにインビトロで高親和性を有している。実施例参照。更に詳しくは、本発明の化合物はCB1および/またはCB2レセプターに対して0.5μM以下のKi値を有している。
【0042】
本発明は、哺乳類およびヒトでCB1および/またはCB2レセプターが関与する疾患の治療用製品を製造するための、様々な異性体および各混合物を含めた式(I)の化合物、対応する水和物、溶媒和物または薬学上許容される塩、またはそれらを含有した医薬組成物の使用にも関する。
【0043】
特に、CB2レセプターに親和性を有する、様々な異性体および各混合物、対応する水和物、溶媒和物または薬学上許容される塩を含めた、あるいは対応医薬組成物の形態をとる式(I)の化合物は、免疫系細胞または免疫障害が関与する疾患の治療、または例えば骨粗鬆症、腎虚血および炎症状態のような他の病変の治療に用いうる。
【0044】
CB2レセプターに親和性を有する、様々な異性体および各混合物を含めた本発明の化合物、対応する水和物または溶媒和物および薬学上許容される塩、および各医薬組成物は、臓器移植に関連した疾患、同種異系移植における予防的拒絶療法、他の免疫抑制療法を受けた患者における移植拒絶治療、GVHD(移植片対宿主病)の治療および予防、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、リウマチ様多発性関節炎、溶血性自己免疫性貧血、ベーチェット病、シェーグレン症候群、未分化脊椎関節炎、反応性関節炎、皮膚筋炎のような疾患の治療にも用いうる。
【0045】
更に、CB1レセプターに親和性を有する、様々な異性体および各混合物、対応する水和物、溶媒和物または薬学上許容される塩を含めた、あるいは対応医薬組成物の形態をとる式(I)の化合物は、緑内障または眼性緊張亢進のような眼疾患、喘息および慢性気管支炎のような肺疾患、アレルギーおよびアレルギー反応(例えば、アレルギー性鼻炎、接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎)、例えば関節炎のような炎症の治療に用いうる。
【0046】
CB1レセプターに親和性を有する、様々な異性体および各混合物を含めた式(I)の化合物、対応する水和物または溶媒和物および薬学上許容される塩、および各医薬組成物は、痛み治療の鎮痛剤として、不安、気分問題、せん妄状態、一般的に精神分裂病の精神病性苦痛、うつ病治療、乱用および/または依存物質が用いられる場合(例えば、アルコール依存症およびタバコ依存症)にも用いうる。
【0047】
CB1レセプターに親和性を有する、様々な異性体および各混合物を含めた式(I)の化合物、対応する水和物または溶媒和物および薬学上許容される塩、および各医薬組成物は、特に化学療法を受けている患者の場合で、嘔吐、悪心、眩暈を軽減するために;神経障害、片頭痛、ストレス、心身が原因の疾患、てんかん、ツレット症候群、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、老人性痴呆、および認知症および記憶喪失の治療、食欲に関連した問題(肥満、過食症)の治療、胃腸管および胆嚢の病変、心血管系疾患、泌尿器および生殖器問題の治療、神経炎症病変、例えば多発性硬化症、ギヤン・バレー症候群、ウイルス性脳炎の治療にも用いうる。
【0048】
様々な異性体および各混合物、対応する水和物または溶媒和物および薬学上許容される塩、およびそれらの医薬組成物を含めた本発明の化合物の中では、CB2レセプターに対する場合より、少くとも5倍、好ましくは少くとも10倍高い親和性をCB1レセプターに対して有しているものが、CB1レセプターが関与する疾患の治療で好ましく用いられる。
【0049】
CB1レセプターに対する場合より、少くとも5倍、好ましくは少くとも10倍高い親和性をCB2レセプターに対して有している、異性体および対応混合物、対応する水和物、溶媒和物または薬学上許容される塩を含めた、あるいは対応する医薬組成物の形態をとる式(I)の化合物は、逆に、CB2レセプターが関与する疾患の治療で好ましく用いられる。
【0050】
様々な異性体およびそれらの混合物を含めた式(I)の化合物、対応する水和物または溶媒和物および薬学上許容される塩、および各医薬組成物の中では、CB2レセプターに対する親和性がCB1レセプターに対する場合より少くとも5倍、好ましくは少くとも10倍高い場合、Aが‐(CH‐(t=1)からなるものが、CB2レセプターが関与する病変の治療で更に好ましい。
【0051】
様々な異性体および各混合物を含めた式(I)の化合物、対応する水和物または溶媒和物および薬学上許容される塩、および各医薬組成物の中では、CB1レセプターに対する親和性がCB2レセプターに対する場合より少くとも5倍、好ましくは少くとも10倍高い場合には、A=‐(CH‐(t=2、3)の場合が、CB1セプターが関与する疾患の治療で更に好ましい。
【0052】
CB1および/またはCB2レセプターの調節が上記のように関与する様々な病変の治療に向けた、様々な異性体および各混合物を含めた式(I)の化合物、対応する水和物または溶媒和物および薬学上許容される塩、および各医薬組成物の使用は、上記治療に用いられている公知方法を利用することにより行える。特に、化合物の投与は具体的治療にとり十分な有効量で行われねばならない。同様に、投与量、投与経路および薬量判定は、疾患類型化、病変重篤度、患者の身体条件および特徴(例えば、年齢、体重、活性成分に対する応答性)、具体的治療用に選択される式(I)の化合物の薬物動態および毒性に応じて決定される。
【0053】
好ましい1日投与量範囲は、治療される哺乳類の体重Kg当たり本発明の式(I)の化合物0.01〜100mgである。ヒトの場合、好ましい1日投与量範囲は化合物0.1〜1000mg/Kg体重、更に好ましくは1〜200mgである。
【0054】
本発明の別な目的は、哺乳類またはヒトでカンナビノイド作動性CB1またはCB2レセプターの特定およびマーキング用の、放射線標識された、異性体および対応混合物を含めた式(I)の化合物、対応する水和物、溶媒和物または薬学上許容される塩、および各医薬処方物の使用である。
【実施例】
【0055】
下記例は本発明をより理解するためにあり、その限定のためではない。
【0056】

例1.1
7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸のエチルエステルの製造
【化12】

1.1.0 化合物2‐クロロ‐4,5,6,7‐テトラヒドロ‐ベンゾ〔b〕チオフェン‐4‐オンの製造
氷酢酸(5ml)中4,5,6,7‐テトラヒドロ‐ベンゾ〔b〕チオフェン‐4‐オン(0.5g,3.28mmol)〔Tanaka H.et al.,Eur.J.Med.Chem.,1997,32,607-615〕の溶液にN‐クロロスクシンイミド(0.53g,8.93mmol)を加え、反応混合物を還流下で攪拌しながら1時間保った。次いで溶媒を減圧下で除去した。残渣を10%NaHCO水溶液で処理し、それを酢酸エチルで抽出する。有機相を水洗し、NaSOで乾燥させる。それを減圧下で濃縮して油状物を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲルで油エーテル/酢酸エチル9/1)により精製する。化合物0.36g(収率60%)を黄色油状物の形で回収する。Rf=0.67(シリカゲル上油エーテル/酢酸エチル9/1);m.p.95℃;
IR(フィルム)(λ=cm−1)1700(C=O);H‐NMR(CDCl)δ2.10‐2.23(m,2H);2.49(t,2H,J=6.0Hz);2.89(t,2H,J=6.0Hz);7.13(s,1H);
1211ClOSの分析計算値:C,51.48;H,3.78;Cl,18.99;S,17.18。実測値:C,51.13;H,3.44;Cl,19.23;S,17.23。
【0057】
1.1a 化合物2‐クロロ‐4‐オキシ‐4,5,6,7‐テトラヒドロ‐1‐ベンゾ〔b〕チオフェン‐5‐カルボン酸エチルの製造
金属ナトリウム(0.22g,9.42mmol)を無水エタノール(5ml)に少しずつ加え、完全溶解まで還流下にそれを置いた。こうして得られた混合物にシュウ酸ジエチル(0.70g,0.65ml,4.7mmol)を加え、次いで無水エタノール(4〜5ml)中2‐クロロ‐4,5,6,7‐テトラヒドロ‐ベンゾ〔b〕チオフェン‐4‐オン(0.88g,4.7mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を攪拌下室温で1時間保ち、次いで氷および1N HClに注ぐ。黄色油状物を得、これを真空下で濾過し、水洗し、ストーブで乾燥させる。化合物1.1a(前記合成スキームの化合物(IV))1.31g(収率97%)を回収したが、これは分析上純粋であった。Rf=0.67(シリカゲル上油エーテル/酢酸エチル8/2);m.p.95℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)3440(互変異性体混合物としてOH);1725(COOEt);1680(C=O);H‐NMR(CDCl)δ1.37‐1.44(t,3H,J=7.0Hz);2.90‐2.97(t,2H,J=7.0Hz);3.12‐3.19(t,2H,J=7.0Hz);4.35‐4.42(q,2H,J=7.0Hz);7.23(s,1H);
1211ClOSの分析計算値:C,50.27;H,3.87;Cl,12.36;S,11.18。実測値:C,49.99;H,4.03;Cl,12.48;S,11.24。
【0058】
1.1b 化合物7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸のエチルエステルの製造
エタノール(11.67ml)中1.1aで製造された化合物(0.5g,175mmol)および2,4‐ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩(0.41g,1.93mmol)からなる混合物を調製する。混合物を還流温度で2時間反応させ、次いで室温に冷却させる。溶媒除去後、赤みがかった固体物を得る。粗製固体物を油エーテルで処理し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲルで油エーテル/酢酸エチル9/1)により精製し、淡色固体物の形でエステル1.1b0.5g(収率67%)を得た。Rf=0.3(シリカゲル上油エーテル/酢酸エチル9/1);m.p.144℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)3440(互変異性体混合物としてOH);1725(COOEt);1603(C=O);H‐NMR(CDCl)δ1.38‐1.45(t,3H,J=7.0Hz);2.90‐3.0(t,2H,J=10.0Hz);3.22‐3.32(t,2H,J=10.0Hz);4.4‐4.5(q,2H,J=7.0Hz);5.99(s,1H);7.44‐7.46(d,2H);7.60(s,1H);
1813ClSの分析計算値:C,50.54;H,3.06;Cl,24.87;N,6.55;S,7.50。実測値:C,50.58;H,2.88;Cl,25.06;N,6.78;S,7.13。
【0059】
例1.2
7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸のエチルエステルの製造
1.1bで示されたものと同様の操作に従い、但しPinna G.A. et al.,Eur.J.Med.Chem.,1994,29,447-454で記載された操作に従い2‐ブロモ‐4,5,6,7‐テトラヒドロ‐1‐ベンゾ〔b〕チオフェン‐4‐オンから出発して得られた2‐ブロモ‐7‐オキシ‐4,5,6,7‐テトラヒドロ‐1‐ベンゾ〔b〕チオフェン‐6‐カルボン酸エチルエステル化合物を2,4‐ジクロロフェニルヒドラジンと反応させる。得られた粗製固体物をフラッシュクロマトグラフィー(油エーテル/酢酸エチル9/1)により精製し、白色固体物の形で予想化合物(収率73%)を得た。Rf=0.4(油エーテル/酢酸エチル9/1);m.p.95‐97℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)1726(COOEt);1610(C=O);H‐NMR(CDCl)δ1.38‐1.46(t,3H,J=8.0Hz);2.98‐3.06(t,2H,J=8.0Hz);3.20‐3.28(t,2H,J=8.0Hz);4.4‐4.6(q,2H,J=8.0Hz);6.12(s,1H);7.45‐7.46(d,2H);7.61(s,1H);
1813BrClSの分析計算値:C,45.79;H,2.78;Br,16.92;Cl,15.02;N,5.93;S,6.79。実測値:C,45.67;H,2.92;Br,17.03;Cl,14.89;N,6.03;S,6.82。
【0060】
例1.3
1‐(5′‐クロロペンチル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸のエチルエステルの製造
EtOH24ml中、Pinna G.A. et al.,J.Chem.Res.,1993,1273-1281で記載されたように4,5,6,7‐テトラヒドロ‐1‐ベンゾ〔b〕チオフェン‐7‐オンから出発して得られた7‐オキシ‐4,5,6,7‐テトラヒドロ‐1‐ベンゾ〔b〕チオフェン‐6‐カルボン酸エチル(0.88g,3.52mmol)、および5‐クロロペンチルヒドラジン塩酸塩(0.67g,3.87mmol)の溶液を、24時間還流した。得られた粗製固体物を、溶媒除去後、フラッシュクロマトグラフィー(油エーテル/酢酸エチル8/2)により精製し、白色固体物の形で対応三環式エステル誘導体(収率64%)を得た。Rf=0.194(油エーテル/酢酸エチル8/2);m.p.62‐64℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)1715(COOEt);H‐NMR(CDCl)δ1.42(t,3H,J=7.8Hz);1.50‐1.65(m,2H);1.76‐2.08(m,4H);2.93(t,2H,J=7.4Hz);3.10(t,2H,J=7.4Hz);3.53(t,2H,J=6.6Hz);4.33‐4.47(m,4H);7.01(d,1H,J=4.6Hz);7.27(d,1H,J=3.6Hz);
1721ClNSの分析計算値:C,57.86;H,6.00;Cl,10.05;N,7.94;S,9.09。実測値:C,57.67;H,5.92;Cl,9.89;N,7.93;S,9.02。
【0061】
例1.4
7‐クロロ‐1‐(5′‐クロロペンチル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸のエチルエステルの合成
【化13】

AcOH6.31ml中、1.3で得られた化合物(0.71g,2.01mmol)およびN‐クロロスクシンイミド(0.32g,2.42mmol)の溶液を2時間還流する。室温に冷却後、10%NaHCO水溶液を慎重に加える。有機相をCHClで抽出し、NaSOで脱水し、溶媒を蒸発させることで濃縮する。油状生成物を得、これを油エーテルで処理する。それを濾過し、固体物を風乾する。予想化合物はクリーム色固体物(収率70.5%)として出現する。Rf=0.375(油エーテル/酢酸エチル8/2);m.p.58‐60℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)1722(COOEt);H‐NMR(CDCl)δ1.41(t,3H,J=7.2Hz);1.48‐1.65(m,2H);1.72‐2.08(m,4H);2.84(t,2H,J=8.0Hz);3.08(t,2H,J=8.0Hz);3.53(t,2H,J=6.6Hz);4.28(t,2H,J=7.8Hz);4.41(q,2H,J=7.2Hz);6.85(s,1H);
1720ClSの分析計算値:C,52.72;H,5.20;Cl,18.30;N,7.23;S,8.27。実測値:C,52.63;H,5.15;Cl,18.22;N,7.19;S,8.25。
【0062】
従来技術の公知化合物から出発して製造された、例1.1〜1.4の一般的操作に従い得られた、式(VI)の他の化合物の例が、表1で報告されている。表では各合成化合物に関して:反応収率%(収率%)、融点摂氏度(m.p.℃)、実験式、基‐COOEtに相当するIRバンドの波長(λ)、CDClH‐NMR分析の有意ピーク(H‐NMR δppm)が示されている。
【0063】
表中、E、GおよびFは、環原子、および対応置換基へ結合した原子により形成される基を示している。
【表1】



【0064】
例2.1
7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸の製造
メタノール(10ml)中1.1で得られたエステル(0.49g,1.14mmol)により形成された溶液に、メタノール(4.2ml)に溶解されたKOH(0.130g,2.28mmol)を加えた。反応混合物を還流温度で攪拌しながら8時間保った。最後に、それを水および氷に注ぎ、1N HClで酸性化した。沈殿物を真空下で濾取し、HOで洗浄し、ストーブで乾燥させ、分析上純粋な白色固体物の形で対応酸0.40g(収率89%)を得た。Rf=0.41(クロロホルム/メタノール9/1);m.p.247℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)3410(OH);1678(C=O);H‐NMR(CDCl)δ2.97‐3.04(t,2H,J=7.0Hz);3.21‐3.28(t,2H,J=7.0Hz);6.0(s,1H);7.34(s,1H,DOでOH交換);7.46‐7.47(d,2H);7.61(s,1H);
16ClSの分析計算値:C,48.08;H,2.27;Cl,26.61;N,7.01;S,8.02。実測値:C,48.44;H,1.99;Cl,26.28;N,6.86;S,7.98。
【0065】
例2.2
7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸の製造
例2.1で記載されたものと同様の操作に従い、例1.2で得られたエチルエステルを対応酸へ変換した。収率は98%である;Rf=0.37(クロロホルム/メタノール9/1);m.p.235‐237℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)3408(OH);1682(C=O);H‐NMR(CDCl)δ2.98‐3.03(t,2H,J=5.0Hz);3.22‐3.27(t,2H,J=5.0Hz);6.13(s,1H);7.47(s,2H);7.63(s,1H);
16BrClSの分析計算値:C,43.27;H,2.04;Br,17.99;Cl,15.96;N,6.31;S,7.22。実測値:C,43.33;H,1.98;Br,18.15;Cl,16.22;N,6.56;S,6.98。
【0066】
例2.3
7‐クロロ‐1‐(5′‐クロロペンチル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸の製造
例2.1で記載されたものと同様の操作に従い、例1.4で製造されたエステルを対応酸へ変換する。収率は94%である;Rf=0.35(クロロホルム/メタノール95/5);m.p.205‐208℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)1688(COOH);H‐NMR(CDCl)δ1.48‐1.65(m,2H);1.75‐2.10(m,4H);2.84(t,2H,J=7.6Hz);3.08(t,2H,J=7.6Hz);3.54(t,2H,J=6.6Hz);4.28(t,2H,J=8.2Hz);4.41(q,2H,J=7.2Hz);6.87(s,1H);
1516ClSの分析計算値:C,50.15;H,4.49;Cl,19.73;N,7.79;S,8.92。実測値:C,50.08;H,4.43;Cl,19.70;N,7.72;S,8.90。
【0067】
上記プロセスを用いて得られた式(II)の他の化合物の例が、表2で報告されている。表2の酸2.4は表1の例1.5のエステルから得た;酸2.5は例1.6のエステルから得た、等などである。
【表2】


【0068】
例3.1
N‐ピペリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミドの製造
3.1a 7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸のクロリドの製造
トルエン(7ml)中例2.1で得られた酸(0.34g,0.85mmol)により形成された溶液に、SOCl(0.303g,0.2ml,2.55mmol)を加えた。混合物を還流温度で攪拌しながら2時間30分保った。最後に、溶媒を除去し、得られた固体残渣を新鮮トルエンで2回処理し、その都度乾燥させた。化合物0.36g(収率100%)を回収した。
【0069】
3.1b N‐ピペリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミドの製造
上記化合物(0.36g,0.88mmol)のCHCl(3〜4ml)溶液を、氷浴で冷却されたCHCl(3〜4ml)中1‐アミノピペリジン(0.14ml,0.13g,1.33mmol)およびTEA(0.19ml,1.33mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で攪拌しながら一夜保った。次いで、それを塩水で希釈し、CHClで抽出し、塩水で洗浄した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。溶媒除去後、得られた残渣を油エーテルで処理し、フラッシュクロマトグラフィー(油エーテル/酢酸エチル6/4)により精製し、白色固体物の形で化合物0.13g(収率32%)を得た。Rf=0.4(油エーテル/酢酸エチル6/4);m.p.150℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)3200(NH);1650(C=O);H‐NMR(CDCl)δ1.42‐1.44(m,2H);1.72‐1.77(m,4H);2.82‐2.87(t,4H);2.95‐3.03(t,2H,J=8.0Hz);3.26‐3.34(t,2H,J=8.0Hz);5.98(s,1H);7.45(s,2H);7.58(br s,1H,DOでNH交換);7.64(s,1H);13C‐NMR(CDCl)δ19.97(CH);23.29(CH);24.10(CH);25.36(2×CH);57.11(2×CH);116.99(C);119.631(CH);124.93(C);128.05(C);128.28(CH);130.35(CH);130.54(CH);133.42(C);135.78(C);136.81(C);138.02(C);138.61(C);142.72(C);159.60(CO);C2119ClOSの分析計算値:C,52.35;H,3.97;Cl,22.07;N,11.63;S,6.66。実測値:C,52.12;H,4.12;Cl,21.99;N,11.45;S,6.58。
【0070】
例3.2
N‐ピペリジニル‐7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミドの製造
例3.1の製造a)およびb)で記載されたものと同様の操作を用いて、例2.2で製造された7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸を1‐アミノピペリジンと反応させた。フラッシュクロマトグラフィー(油エーテル/酢酸エチル6/4)による精製で、白色固体物として収率42%で化合物N‐ピペリジニル‐7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミドを得た。Rf=0.33(油エーテル/酢酸エチル6/4);m.p.145℃;
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)3202(NH);1605(C=O);H‐NMR(CDCl)δ1.42‐1.43(m,2H);1.72‐1.74(m,4H);2.82‐2.87(m,4H);2.95‐3.03(t,2H,J=8.0Hz);3.25‐3.33(t,2H,J=8.0Hz);6.11(s,1H);7.45(s,2H);7.60(br s,1H,DOでNH交換);7.63(s,1H);13C‐NMR(CDCl)δ19.99(CH);23.26(CH);24.25(CH);25.33(2×CH);57.05(2×CH);110.12(C);116.96(C);123.17(C);126.08(C);128.28(CH);130.31(CH);130.52(CH);133.36(C);135.74(C);136.78(C);138.51(C);140.95(C);142.62(C);159.52(CO);C2119BrClOSの分析計算値:C,47.93;H,3.64;Br,15.18;Cl,13.10;N,10.65;S,6.09。実測値:C,48.15;H,3.36;Br,14.99;Cl,13.12;N,10.82;S,5.98。
【0071】
例3.3
N‐ペンチル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミドの製造
3.3a 7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸の反応誘導体(付加物)の製造
CHCl6ml中例2.1で製造された酸(0.5g,1.25mmol)の懸濁液に、1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.20g,1.47mmol)およびEDC(1‐(3‐ジアミノプロピル)‐3‐エチルカルボジイミド塩酸塩)(0.28g,1.47mmol)を加えた。溶液が均質化し、10分間経過したとき、形成されたアミドを単離せずに、溶液をそのまま次のステップに用いた。
【0072】
3.3b N‐ペンチル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミドの製造
3.3aで得られた均質溶液に、CHCl4.2mlに1‐ペンチルアミノ(0.16g,1.87mmol)を溶解させることで得られた他の溶液を加えた。混合物を攪拌しながら7時間保つ。最後に、溶媒を除去した。単離された残渣をフラッシュクロマトグラフィー(油エーテル/酢酸エチル9/1)により精製し、黄色油状物の形で化合物N‐ペンチル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド(収率26%)を得た。Rf=0.10(油エーテル/酢酸エチル9/1);
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)3333(NH);1680(C=O);H‐NMR(CDCl)δ0.68‐0.85(m,3H);1.13‐1.35(m,4H);1.40‐1.58(m,2H);2.77(t,2H,J=8.0Hz);3.09‐3.29(m,4H);6.64(s,1H);6.79(t,1H,DOでNH交換);7.28‐7.40(m,2H);7.51(s,1H);13C‐NMR(CDCl)δ13.94(CH);19.65(CH);22.32(CH);24.93(CH);29.07(CH);29.32(CH);38.98(CH);116.49(C);121.30(C);126.77(CH);128.30(CH);129.75(C);130.64(2×CH);133.98(C);134.64(C);137.25(C);138.52(C);138.61(C);143.58(C);162.16(CO);C2120ClOSの分析計算値:C,53.80;H,4.30;Cl,22.69;N,8.96;S,6.84。実測値:C,53.85;H,4.33;Cl,22.74;N,8.99;S,6.89。
【0073】
例3.4
N‐ミルタニル‐7‐クロロ‐1‐(5′‐クロロペンチル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミドの製造
例3.3で記載されたものと同様の操作を用い、攪拌しながら室温で30分間反応させることにより、例2.3で得られた酸(0.2g,0.56mmol)をCHCl2ml中でミルタニルアミン(0.14ml,0.84mmol)の溶液と反応させる。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(油エーテル/酢酸エチル85/15)により精製し、黄色油状物の形で化合物N‐ミルタニル‐7‐クロロ‐1‐(5′‐クロロペンチル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド(収率56%)を単離した。Rf=0.275(油エーテル/酢酸エチル85/15);
IR(ヌジョール)(λ=cm−1)3320(NH);1670(C=O);H‐NMR(CDCl)δ1.08(s,3H);1.21(s,3H);1.50‐1.65(m,4H);1.78‐2.05(m,9H);2.30‐2.42(m,2H);2.81(t,2H,J=8.4Hz);3.14(t,2H,J=8.4Hz);3.28‐3.48(m,2H);3.55(t,2H,J=7.4Hz);4.19(t,2H,J=7.6Hz);6.84(s,1H);6.90(br s,1H,DOでNH交換);13C‐NMR(CDCl)δ19.66(CH);19.80(CH);23.19(CH);23.82(CH);25.06(CH);25.97(CH);27.94(CH);29.42(CH);31.85(CH);33.23(CH);41.29(CH);41.46(CH);43.82(CH);44.45(CH);44.54(CH);50.65(CH);116.86(C);121.80(C);127.18(CH);128.57(C);136.03(C);138.10(C);141.14(C);162.56(CO);C2533ClOSの分析計算値:C,60.72;H,6.73;Cl,14.34;N,8.50;S,6.48。実測値:C,60.77;H,6.71;Cl,14.31;N,8.48;S,6.43。
【0074】
例3.1〜3.4の一般的操作に従い、化合物2.1〜2.13および式(II)の類似化合物から出発して製造された、式(I)の他の化合物の例が、表3で記載されている。
【0075】
例えば、表2の例2.4で合成された酸を用いて、表3の例3.10に従いアミドを得た。例2.5で製造された酸を用いて、例3.13のアミドを得た;例3.12のアミドの場合は例2.6の酸;例3.16のアミドの場合は例2.7の酸;例3.15のアミドの場合は例2.8の酸;例3.18のアミドの場合は例2.9の酸;例3.17のアミドの場合は例2.10の酸;例3.19のアミドの場合は例2.11の酸;例3.20のアミドの場合は例2.12の酸;例3.21のアミドの場合は例2.13の酸;
【表3】





【0076】
例4
カンナビノイド作動性CB1およびCB2レセプターに対する親和性
カンナビノイド作動性CB1およびCB2レセプターに対する合成化合物の親和性を、下記方法を利用することにより、ラジオレセプター結合試験からインビトロで評価した。
【0077】
レセプター結合技術によれば、対象化合物が特定レセプターと結合するかどうか、どの程度の親和性および特異性で結合するのかを実際に評価しうる。特定レセプターに対する対象化合物の親和性を評価するためには、親和性が知られて分子が放射性にされた他の化合物と試験化合物を(該レセプターが存在する組織の特別調製物で)競合させることが必要である。放射性化合物を排除しうる試験化合物の能力が、該化合物が対象レセプターと結合する親和性の指標を示すことになる。更に、レセプター‐化合物複合体に存在する放射能の読み取りから、レセプターと結合した化合物の量を極めて正確に計算しうる。したがって、この方法によると、特定レセプターに対する新たな化合物の親和性を即座に特定し、その薬理活性について予測することが可能である。同様の実験スキームを繰返すことにより、他種のレセプターに対する化合物の親和性を評価し、こうして特異度を判定することも可能である。
【0078】
レセプター結合技術によれば、薬理活性を有する新たな分子のスクリーニングに用いられることに加えて、例えば薬物および/または特定病変への長期暴露に相関してレセプターレベルで生じうる変化に関する有用な情報を提供しうる。実際には、これらの状況下において、アゴニストまたはアンタゴニスト親和性を変化させ、結果的にレセプター自体の正常機能に影響を与えるような、存在するレセプター量の変化または構造変化が示される。
【0079】
実験は、標準飼育条件下(温度22±2℃、相対湿度60%、12時間明暗サイクルの人工照明)において20匹の群でケージに飼われた実験動物(ラット)を用いることにより、動物実験に関する欧州共同体のガイドライン(EEC No.86/609)に従い行った。餌および水は自由に入手できた。
【0080】
用いられた操作では、化合物〔H〕‐CP‐55,940(New England Nuclear,Boston,MA,USA)の使用に基づき、CB1レセプターに対する親和性の評価向けに生体組織としてラット脳、およびCB2レセプターに対する親和性評価向けにラット脾臓を利用している。
【0081】
動物を頸部脱臼により犠牲にし、全脳(小脳は除く)および脾臓を速やかに摘出し、氷中で維持した。
【0082】
組織をUltra-Turraxにより15倍容量(重量/容量)のTME緩衝液(50mM Tris、1mM EDTA、3mM MgCl、pH7.4)中でホモゲナイズし、4℃に冷却された遠心機で1086×gで10分間遠心した。得られた上澄をBeckman SW41ローターを用いることにより4℃で30分間45,000×gで遠心し、最終ペレットを50倍容量のTMEに再懸濁した。
【0083】
得られた膜(50〜80μgのタンパク質)を、5mg/mlの牛血清アルブミン(BSA)を含有した最終容量0.5mlのTME緩衝液中、30℃で1時間にわたり、1nMジ〔H〕‐CP‐55,940の存在下でインキュベートした。非特異的結合を1μM濃度でCP‐55,940の存在下において測定した。
【0084】
すべての実験は、非特異的結合を減少させるために、Sigma-Cote(Sigma Chemical Co.Ltd.,Poole,UK)で前処理されたポリプロピレン試験管中で行った。
【0085】
競合的阻害結合曲線の作製のために、8種の異なる濃度で各化合物を用いた。対照化合物として、CB1レセプター用にSR141716AおよびCB2レセプター用にSR144528を利用した。
【0086】
インキュベートを中断して、5mg/mlのBSAを含有したTME緩衝液(4℃)を加え、0.5%のポリエチルアミン(PEI)で前処理されたWhatman GFCフィルターにより真空下で濾過装置(Brandell,Gaithersburg,MD,USA)を用いて濾過した。フィルターは1mg/mlのBSAを含有したTris HCl緩衝液(pH7.4、4℃)5mlで3回洗浄し、シンチレーション用液体(Ultima Gold MV,Packard)4mlを含有したプラスチック製バイアルへ個別に入れた。
【0087】
フィルターに存在する放射能は、シンチレータースペクトロフォトメーター(Tricarb 2100,Packard,Meridien,USA)により測定した。
【0088】
タンパク質測定は、Bio-Rad(Milano,Italia)提供のプロトコールおよび試薬を用いることで、Bradford法により行った。
【0089】
実験は三重に行い、結果は5回の独立した実験で確認した。
【0090】
CB1およびCB2レセプターに対する化合物の親和性はKiで表示した。
【0091】
表4では、インビトロ試験で行われた、本発明の化合物で得られたKi値を示している。本発明の化合物の親和性を、対照化合物SR144528およびSR141716A(Rimonobant)に関するものと比較している。
【0092】
表は、CB1および/またはCB2レセプターで活性な従来化合物の場合に匹敵する活性を、本発明の化合物がそれに対して有していることを示している。
【0093】
例5
インビボ体温低下試験
上記のように、偽カンナビ活性を有する化合物はインビボで次の作用を示す:活性低下、体温低下、鎮痛およびカタレプシー(B.R.Martin et al.,Pharmacol.Biochem.Behav.,1991,40,471-478;P.B.Smith et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1994,270,219-227)。温度調節機能を発揮しうるためには、カンナビノイド作動性レセプターに活性を有する化合物は、温度を調節する上記レセプターの中心部位が視床下部の視索前核に位置しているため、血液脳関門を通過できねばならない(S.M.Rawls et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,2002,303,395-402)。血液脳関門を通過しうるCB1アゴニスト化合物で処置後、偽カンナビ活性は体温の低下の発現により出現する。血液脳関門を通過しうるCB1アンタゴニスト化合物の場合は、該化合物の処置でいかなる体温変化も呈しないが、しかしながらそれは対照CB1アゴニストWIN55,212‐2に対してアンタゴニスト活性を呈し、そのため後者により誘導される体温低下に対抗する。
【0094】
したがって、血液脳関門を通過しうる一般式(I)の化合物の能力を評価するために、該化合物で行われた処置の結果として誘導される体温低下を評価する試験を行った。試験は、M.Rinaldi-Carmona et al.,FEBS Letters,1994,350,240-244による操作説明に従い、実験動物(ラット)で行った。ラットの直腸温度を2mmの深さに挿入された電子体温計により調べた。測定は1時間かけて慣らしたラットで行った。直腸温度は、試験される化合物のi.p.投与の前および(30〜120分)後に調べた。
【0095】
試験される化合物の投与後に温度低下が見られなかった場合は、対照CB1アゴニスト化合物WIN55,212‐2に対するそのアンタゴニスト活性を評価することにより、血液脳関門の通過を評価した。この目的のため、WIN55,212‐2投与の30分前で、試験化合物のi.p.投与時に、直腸温度測定を行った。血液脳関門を通過して、WIN55,212‐2のCB1アゴニスト活性に拮抗しうる化合物は、対照アゴニストにより誘導される温度低下と実際に対抗しうる。
【0096】
各試験を動物10匹で繰返した;報告された結果は動物10匹で得られた結果の平均である。
【0097】
後で報告される例は、例4のインビトロ試験で示されたように、CB1レセプターに親和性を有する本発明化合物(I)(例5.1〜5.4)が、血液脳関門を通過できず、そのため該化合物は、体温低下を誘導したり、またはCB1アゴニスト化合物WIN55,212‐2により誘導される温度低下に対抗することが実際にはできないことを示している。
【0098】
一般式(I)の化合物の作用は対照化合物SR141716Aの場合と完全に異なり、逆に血液脳関門を通過できず、WIN55,212‐2により誘導される体温低下と拮抗しえない(比較例5.5)。
【0099】
例5.1
試験は例3.2の化合物で行った。例3.2の化合物を3滴のTween 80と共に水に分散させた水性サンプルを用いた。上記操作に従い、用量0.1;0.5;1.0;3.0;30.0(mg化合物/kg体重)で処置を行った。
【0100】
いずれの試験例でも、生理液投与と比べて、処置ラットで体温の低下はなかった(38℃)。WIN55,212‐2(3mg化合物/kg体重)に対するアンタゴニスト活性の評価の場合にも、WIN55,212‐2のみでの処置と比べて、体温の変化が見られなかった。
【0101】
実験に際して検出された温度は、ゼロ時(i.p.投与)から120分間までが表5に報告されている。
【0102】
例5.2
例5.1を繰返したが、但し例3.2の化合物の代わりに例3.5の化合物を用いた。
【0103】
例3.2の化合物の場合のように、例3.5の化合物も血液脳関門を通過できず、そのため該化合物は、体温低下を誘導したり、またはCB1アゴニスト化合物WIN55,212‐2により誘導される温度低下に対抗することができない。
【0104】
用いられたいずれの用量でも、処置ラットで体温の低下が実際に見られなかった。WIN55,212‐2に対するアンタゴニスト活性の評価の場合にも、WIN55,212‐2のみでの処置と比べて、体温の変化が見られなかった。
【0105】
例5.3
例5.1を繰返したが、但し例3.2の化合物の代わりに例3.6の化合物を用いた;例5.1の化合物の場合のように、例3.6の化合物も血液脳関門を通過できず、そのため該化合物は、体温低下を誘導したり、またはCB1アゴニスト化合物WIN55,212‐2により誘導される温度低下に対抗することができない。
【0106】
用いられたいずれの用量でも、処置ラットで体温の低下が実際に見られなかった。
【0107】
WIN55,212‐2に対するアンタゴニスト活性の評価の場合にも、WIN55,212‐2のみでの処置と比べて、体温の変化が見られなかった。
【0108】
例5.4
例5.1を繰返したが、但し例3.2の化合物の代わりに例3.9の化合物を用いた。
【0109】
例5.1の化合物の場合のように、例3.9の化合物も血液脳関門を通過できず、そのため該化合物は、体温低下を誘導したり、またはCB1アゴニスト化合物WIN55,212‐2により誘導される温度低下に対抗することができない。
【0110】
用いられたいずれの用量でも、処置ラットで体温の低下が実際に見られなかった。
【0111】
WIN55,212‐2に対するアンタゴニスト活性の評価の場合にも、WIN55,212‐2のみでの処置と比べて、体温の変化が見られなかった。
【0112】
例5.5(比較例)
例5.1を繰返したが、但し例3.2の化合物の代わりに対照CB1アンタゴニスト化合物SR141716Aを用いた。
【0113】
CB1アンタゴニストSR141716A自体は処置ラットで体温の変化を示さなかったが、しかしながら表6で示されたようにWIN55,212‐2の作用には拮抗できた。
【0114】
表の結果は、本発明の式(I)の化合物とは異なり、対照化合物SR141716AがCB1アゴニストWIN55,212‐2により誘導される温度低下に対抗しうることから、それが血液脳関門を通過しうることを示している。
【0115】
例6
腸管運動試験
本発明の化合物(I)のインビボ活性を更に評価するために、ラット腸管運動で該化合物の効果を評価する機能性試験を行った。ラットの腸管運動調節でカンナビノイド作動性CB1レセプターの関与が実際に示された(R.G.Pertwee et al.,Br.J.Pharmacol.,1996,118,2199-2205)。特に、CB1レセプターアゴニストは胃腸運動を停滞させる;同レセプターのアンタゴニスト化合物は胃腸通過に際して運動促進作用を有する(G.Colombo et al.,Eur.J.Pharmacol.,1998,344,67-69;M.A.Casu et al.,Eur.J.Pharmacol.,2003,459,97-105)。
【0116】
化合物の便秘または運動促進作用の評価を、Y,nagakura et al.,Eur.J.Pharmacol.,1996,311,67-72により規定および認定された操作に基づく、上部胃通過試験により行った。その方法は、胃および第一腸管(小腸)の運動を調べることができ:
‐i.p.経路による試験化合物の投与;
‐試験化合物の投与から20分後、金属プローブで胃内経路によるカーミンレッド(胃から直接吸収されないマーカー)の投与;
‐投与時間から出発して既定時間(30分)後の頸部脱臼によるラット犠牲;
‐幽門から回盲弁におよぶ腸摘出;
‐マーカーで染色された腸部分の測定;
‐小腸の全長に対する染色部分の割合を調べるデータプロセッシング
からなる。
【0117】
コントロール(試験化合物が溶解または分散される生理液またはキャリア)と比べ、CB1アゴニスト化合物の投与は腸通過率を減少させる;反対作用がアンタゴニスト化合物の場合に見られる。したがって、後者はCB1アゴニスト化合物の便秘作用を消失させうる。
【0118】
各試験を動物10匹で繰返した;各例で報告された結果は、動物10匹で得られた結果の平均である。
【0119】
以下で報告された例は、本発明化合物(I)が胃腸管で活性であることを示している。特に、例6.1および6.2の式(I)の化合物は腸通過速度を増加させて、CB1アゴニスト化合物WIN55,212‐2の作用に拮抗することができ、胃腸管における運動促進作用を示している。観察された効果は対照化合物SR141716Aの場合に匹敵する(比較例6.3)。前記の体温低下試験で示されたように、血液脳関門を通過しうる対照化合物とは異なり、本発明の式(I)化合物(例6.1および6.2)はカンナビノイド作動性CB1レセプターに親和性を有し、腸管運動に影響を与えられるが、血液脳関門は通過できない(例5.1および5.2参照)。したがって、このような化合物は胃腸管病変の治療で用いられる新規の有効活性剤であるが、これらは中枢神経系でいかなる副作用も生じない。これらの例で得られた結果は、カンナビノイド作動性CB1またはCB2レセプターの調節が関与するすべての末梢系病変に対して、一般的推定の根拠となる。
【0120】
例6.1
試験は例3.5の化合物で行った;化合物3.5を3滴のTween 80と共に水に分散させた水性サンプルを特に用いた。上記操作に従い、5mg化合物/kg体重に相当する処置のとき、マーカーは全腸長の67%に相当する腸部分を平均で覆ったが、同量のTween 80を含有した生理液の投与後、マーカーは50%に相当する腸部分を平均で覆った。
【0121】
例3.5の化合物の運動促進作用を、CB1アゴニスト化合物WIN55,212‐2の便秘作用に対しても評価した。0.5mg化合物/kg体重に相当する濃度でWIN55,212‐2の水性サンプルによるラットの処置のとき、全長に対して腸の全体の25%に相当する腸通過部分をマーカーで覆った。1.5mg化合物/kg体重に相当する濃度で例3.5の化合物の水性サンプルの投与に先立ち、WIN55,212‐2で同処置の場合には、マーカーは腸の全長に対して平均で50%を覆っていた。
【0122】
例6.2
例6.1を繰返したが、但し例3.5の化合物の代わりに例3.6の式(I)の化合物を用いた。更にこの例では、例4で調べたKi値を考慮して処置用量を変えた。各々1および5mg化合物/kg体重に相当する処置のとき、マーカーは腸の全長に対して各々65%および75%に相当する腸部分を平均で覆い、同量のTween 80を含有した生理液の投与後、マーカーは50%に相当する腸部分を平均で覆った。
【0123】
この場合には、例3.6の化合物の運動促進作用を、CB1アゴニスト化合物WIN55,212‐2の便秘作用に対しても評価した。0.5mg化合物/kg体重に相当する濃度でWIN55,212‐2の水性サンプルによるラットの処置のとき、全長に対して腸全体の25%に相当する腸通過部分をマーカーで覆った。0.3mg化合物/kg体重に相当する濃度で例3.6の化合物の水性サンプルの投与に先立ち、WIN55,212‐2で同処置の場合には、マーカーは腸の全長に対して50%を平均で覆った。
【0124】
例6.3(比較例)
例6.1を繰返したが、但し例3.5の化合物の代わりに対照化合物SR141716Aを用いた;更に例4で調べたKi値を考慮して処置用量を変えた。2.5mg化合物/kg体重に相当する処置のとき、マーカーは腸の全長に対して75%に相当する腸部分を平均で覆い、同量のTween 80を含有した生理液の投与後、マーカーは50%に相当する腸部分を平均で覆った。
【0125】
0.5mg化合物/kg体重に相当する濃度でWIN55,212‐2の水性サンプルによるラットの処置のとき、全長に対して腸全体の25%に相当する腸通過部分をマーカーで覆った。0.1mg化合物/kg体重に相当する濃度で対照化合物SR141716Aの水性サンプルの投与に先立ち、WIN55,212‐2で同処置の場合には、マーカーは腸の全長に対して50%を平均で覆った。
【0126】
【表4】

【0127】
【表5】

【0128】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド作動性CB1および/またはCB2レセプターに親和性を有する、式(I)の三環式ピラゾール誘導体:
【化1】

上記式中:
‐Aは以下から選択される基を表わす:
‐(CH‐、‐(CH)‐S(O)‐または‐S(O)‐(CH)‐、ここで
‐tは1、2または3である;
‐zは0、1または2である;
‐Bは、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、N‐アルキルアミノ、N,N‐ジアルキルアミノ、イソチオシアネート、フェニル、シクロアルキル、飽和または不飽和ヘテロサイクル、ヘテロアリールから選択される1〜4の置換基(該置換基は互いに等しいかまたは異なる)で場合により置換された、ヘテロアリールである;
‐Rは以下から選択される基である:
‐直線または分岐状C‐C10アルキル(窒素原子に結合していない主鎖の末端は‐CH‐W末端を有しており、Wは水素、ハロゲン、イソチオシアネート、CN、OH、OCH、NH、‐CH=CHから選択される基である);
‐非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、N‐アルキルアミノ、N,N‐ジアルキルアミノ、飽和または不飽和ヘテロサイクル、フェニルから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜5の置換基を有した、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐R′は以下から選択される基である:
‐式‐(CH)‐O‐(CH‐R″のエーテル基:ここで
‐vは1または2の整数である;
‐R″は、飽和または不飽和ヘテロサイクル、C‐C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである;
‐式‐C(O)‐Z′のケトン基(Z′はC‐Cアルキル、C‐C15シクロアルキル、飽和または不飽和ヘテロサイクル、アリールまたはヘテロアリールである);
‐式‐CH(OH)‐Z′のヒドロキシル官能基を有する置換基(Z′は上記の通りである);
‐式‐C(O)‐NH‐T′のアミド置換基〔T′は以下から選択される:
‐C‐Cアルキル;
‐C‐Cハロアルキル;
‐S、N、Oから選択される1つのヘテロ原子を場合により含み、非置換であるか、または互いに等しいかまたは異なる1〜4の置換基(該置換基はハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシから選択される)を場合により有した、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐非置換であるかまたは1以上のC‐Cアルキル鎖で置換されたC‐C15シクロアルキル(該鎖は、C‐C15シクロアルキルの場合1〜4、Cシクロアルキルの場合1〜3、Cシクロアルキルの場合1〜2である;該アルキル基は互いに等しいかまたは異なる);
‐下記式を有する基:
【化2】

上記式中、RおよびRは互いに等しいかまたは異なり、水素またはC‐Cアルキルを表わすが、但しRおよびRが双方とも水素であることはない;
‐下記式を有する基:
【化3】

上記式中、RはC‐Cアルキルを表わし、kは1〜3の整数である;
‐基NR〔RおよびRは、等しいかまたは異なり、下記の意味を有する:
‐水素;
‐C‐Cアルキル;
‐非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜5の置換基を芳香環に場合により有した、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、非置換であるか、またはC‐Cアルキル、フェニル、ベンジルから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜4の置換基を場合により有した、5〜10炭素原子の飽和または不飽和ヘテロサイクルを形成している(該フェニルまたはベンジルは、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる1以上の基で場合により置換されている)〕〕。
【請求項2】
式(I)において:
‐Aは‐(CH‐である(tは前記の通りである);
‐Bは、環原子の数に応じて1〜4の置換基(該置換基は互いに等しいかまたは異なり、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシから選択される)で場合により置換された、環が5または6原子を有する、ヘテロアリールである;
‐Rは下記意味を有する:
‐直線または分岐状C‐C10アルキル(窒素原子に結合していない主鎖の末端は‐CH‐W末端を有しており、Wはハロゲンである);
‐非置換であるか、または互いに等しいかまたは異なる、1〜5の置換基(該置換基はハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、N‐アルキルアミノ、N,N‐ジアルキルアミノ、飽和または不飽和ヘテロサイクル、フェニルから選択される)を有した、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐R′は下記基から選択される:
‐式‐C(O)‐NH‐T′のアミド(T′は式(I)で前記された意味を有するが、式(IA)および式(IB)は除く)、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
‐Aは‐(CH‐である(tは前記の通りである);
‐Bは、チオフェン、ピリジン、フラン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ピロールから選択されるヘテロアリール、好ましくは環が5原子を有するヘテロアリール、更に好ましくはチオフェン;該ヘテロアリールは、ハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシから選択される1、2、3または4の置換基(該置換基は互いに等しいかまたは異なる)で場合により置換されている;
‐Rは下記意味を有する:
‐直線または分岐状C‐Cアルキル(主鎖の窒素原子に結合していない末端は‐CH‐W末端を有しており、Wはハロゲンである);
‐非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシ、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる、1〜5の置換基を有した、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐R′は下記基から選択される:
‐式‐C(O)‐NH‐T′のアミド〔T′は下記から選択される基である:
‐C‐Cアルキル;
‐C‐Cハロアルキル;
‐1つのヘテロ原子を場合により含み、非置換であるか、またはハロゲン、C‐Cアルキル、C‐Cハロアルキル、C‐Cハロアルコキシ、C‐Cアルキルチオ、C‐Cアルコキシから選択される、互いに等しいかまたは異なる1〜5の置換基を有した、アリール、アリールアルキルまたはアリールアルケニル;
‐NR基(RおよびRは式(I)における前記の意味を有する);
‐非置換であるか、または1以上のC‐Cアルキル鎖で置換されたC‐C15シクロアルキル(該鎖はC‐C15シクロアルキルの場合で1〜4、Cシクロアルキルの場合で1〜3、Cシクロアルキルの場合で1〜2であり、該アルキル基は互いに等しいかまたは異なる)〕、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R′=‐C(O)‐NH‐T′であり、T′が前記の通りである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
N‐ピペリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ホモピペリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピロリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ホモピペリジニル‐7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピロリジニル‐7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐7‐メチル‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ホモピペリジニル‐7‐メチル‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピロリジニル‐7‐メチル‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐6‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐6‐ブロモ‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐8‐クロロ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔2′,3′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐8‐ブロモ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔2′,3′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐8‐クロロ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔3′,2′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐8‐ブロモ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔3′,2′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐6‐メチル‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4‐ジヒドロチエノ〔2′,3′:4,5〕シクロペンタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド;
N‐ピペリジニル‐6‐メチル‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4‐ジヒドロチエノ〔3′,2′:4,5〕シクロペンタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボキサミド
から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
構造にキラルコアを有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
対応するシス‐トランス異性体の形をとる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
水和物、溶媒和物および薬学上許容される塩の形をとる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載された化合物を得るための方法であって、
i)下記式(II)の酸、または場合によりその反応誘導体の1つの合成:
【化4】

下記ステップからなる:
‐式(III)の化合物から出発し、ナトリウムアルコキシドおよびシュウ酸ジエチルとの反応により、式(IV)のα‐ヒドロキシ‐γ‐ケトエステル(A、Bは前記の通りである)を得る:
【化5】

‐式(IV)の化合物と式(V)のヒドラジン(Rは前記の通りである)(該化合物(V)は場合により対応塩酸塩の形である)との反応により、下記式の三環式化合物を得る:
【化6】

‐式(VI)の化合物の水アルコール溶液中で水酸化アルカリでの塩基性加水分解により、一般式(II)の酸を得る;
‐場合により、式(II)の酸の反応誘導体を形成させる;
ii)R′=‐(CH)‐O‐(CH‐R″(R″は前記の通りである)のとき、式(II)の酸またはそのエステルの1つから出発し、それが第一ステップにおいて反応条件下で不活性な溶媒中で有機金属水素化物を用いて一級アルコールへ還元され、次いで得られた一級アルコールを式R″‐(CH)Halのアルキルハライド(Hal=ハロゲン)と水素化アルカリの存在下で反応させる、
ことからなる方法。
【請求項10】
式(I)においてR′=‐C(O)‐Z′(Z′は前記の通りである)のとき、下記方法の1つが用いられる:
‐式(II)の酸のエステルを、不活性溶媒中でトリアルキルアルミニウムおよび塩酸アミンと反応させ;次いで反応混合物へZ′MgBr(Z′は前記の通りである)を加え、式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)を得るまで反応させる;
‐式(II)の酸、またはその反応誘導体の1つを、反応条件下で不活性な溶媒中で、式Z′Meの有機金属塩(Meは好ましくはアルカリ金属カチオンである)と反応させ、式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)を得る、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(I)においてR′=‐CH(OH)‐Z′(Z′は前記の通りである)のとき、合成が2ステップで行われる:
‐下記方法のうち1つを用いることによる、式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)の製造;
‐式(II)の酸のエステルを、不活性溶媒中でトリアルキルアルミニウムおよび塩酸アミンと反応させ;次いで反応混合物へZ′MgBr(Z′は前記の通りである)を加え、式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)を得るまで反応させる;
‐式(II)の酸、またはその反応誘導体の1つを、反応条件下で不活性な溶媒中で、式Z′Meの有機金属塩(Meは好ましくはアルカリ金属カチオンである)と反応させ、式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)を得る;
‐式(I)の化合物(R′=‐C(O)‐Z′)を水素化リチウムおよびアルミニウムまたは水素化ホウ素ナトリウムと反応させ、最終生成物を得る、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
式(I)においてR′=‐C(O)‐NH‐T′(T′は前記の通りである)のとき、式(II)の酸の反応誘導体から出発して、それを下記一般式の化合物と反応させる:
N‐T′ (VII)
上記式中T′は前記の意味を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
A、BおよびRが前記の通りである、式(II)の化合物または対応反応誘導体。
【請求項14】
7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
7‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
7‐メチル‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔2,3‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
6‐ブロモ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
6‐ブロモ‐7‐クロロ‐1‐(2′,4′‐ジクロロフェニル)‐4,5‐ジヒドロ‐1H‐チエノ〔3,2‐g〕インダゾール‐3‐カルボン酸;
8‐クロロ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔2′,3′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
8‐ブロモ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔2′,3′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
8‐クロロ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔3′,2′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
8‐ブロモ‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4,5,6‐テトラヒドロチエノ〔3′,2′:6,7〕シクロヘプタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
6‐メチル‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4‐ジヒドロチエノ〔2′,3′:4,5〕シクロペンタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸;
6‐メチル‐1‐(2″,4″‐ジクロロフェニル)‐1,4‐ジヒドロチエノ〔3′,2′:4,5〕シクロペンタ〔1,2‐c〕ピラゾール‐3‐カルボン酸
から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか一項に記載された化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項16】
式(I)の化合物をして血液脳関門を通過させうる添加物または賦形剤を含んでなる、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
アルキル硫酸ナトリウムまたは他の界面活性剤を含んでなる、請求項15または16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物0.5〜20重量%、アルキル硫酸ナトリウムまたは他の界面活性剤0.05〜0.5重量%、ディスグリゲート剤2.5〜10重量%を含んでなる、請求項15〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
哺乳類およびヒトでCB1またはCB2レセプターが関与する疾患の治療用薬剤を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物が、CB2レセプターに親和性を有している、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
免疫系細胞または免疫障害が関与する疾患の治療、または骨粗鬆症、腎虚血および炎症状態の治療;臓器移植に関連した疾患の治療、同種異系移植における予防的拒絶療法、GVHD(移植片対宿主病)の治療および予防、次の疾患:全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、リウマチ様多発性関節炎、溶血性自己免疫性貧血、ベーチェット病、シェーグレン症候群、未分化脊椎関節炎、反応性関節炎、皮膚筋炎の治療用である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物が、CB1レセプターに親和性を有している、請求項19に記載の使用。
【請求項23】
眼疾患、肺疾患、アレルギーおよびアレルギー反応、炎症の治療;痛み治療、精神分裂病、うつ病治療、乱用および/または依存物質が用いられる場合;嘔吐、悪心、眩暈の治療、神経障害、片頭痛、ストレス、心身が原因の疾患、てんかん、ツレット症候群、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、老人性痴呆、および認知症および記憶喪失の治療、食欲問題の治療、胃腸管および胆嚢の病変、心血管系疾患、泌尿器病変、神経炎症病変の治療用である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
A=‐(CH‐、t=2、3である、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
A=‐(CH‐、t=1である、請求項20に記載の使用。
【請求項26】
哺乳類またはヒトでカンナビノイド作動性CB1またはCB2レセプターの特定およびマーキング用に放射線標識されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公開番号】特開2012−180366(P2012−180366A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−113543(P2012−113543)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2005−150888(P2005−150888)の分割
【原出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(505191722)ネウロシエンツェ、ファルマネス、ソシエタ、ア、レスポンサビリタ、リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】NEUROSCIENZE PHARMANESS S.C.A R.L.
【Fターム(参考)】