説明

医薬品包装のための接着性プラスチックフィルムラミネートにおける防犯タガント(追跡用添加物)

医薬品の包装のために有用である防犯フィルム。特に、フルオロポリマー層上又はその層中に発光性組成物を有する偽造防止用防犯フィルムであって、その発光性組成物が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該発光性成分が、場合により、そして好ましくは、肉眼では見えない、前記フィルム。かかるフィルムは、FDA規則にしたがった偽造防止用ブリスター包装の形成のために特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、医薬品包装において使用することができるような、偽造防止のために有用である防犯フィルムに関する。特に、本発明は、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す発光性成分をポリマーの層上に、又はその層中に有する防犯フィルム及び物品であって、その発光性組成物が、場合により、そして好ましくは肉眼では見えない、防犯フィルム及び物品に関する。
【0002】
関連技術の説明
製品上のラベル又はタグをはじめとする製品の包装は、製造業者及び消費者の両方のために多くの機能を果たす。製造業者にとって、製品包装の一つの機能は、宣伝である。消費者にとって、これは購買決定において援助となる価値ある情報を提供する。相互の利益として、製品の包装は、更に、その周囲環境の破壊的要素から製品を保護するために働くこともできる。いくつかの製品の包装は、更に、製品の確認及び認証、並びに製品の偽造に対する保護を確実にするという更なる目的のためにも使用される。今日、消費者製品の偽造は、世界中で政府や製造業者を悩ます共通の問題である。これは、特に医薬品工業において問題であり、薬物の偽造により、消費者が騙されるだけでなく、更に、悩みを軽減したり生命を助けたりすることができる療法が、病気の患者に否定されてしまう。
【0003】
米国食品医薬品局(FDA)によれば、偽造活動が最近増加しているだけではなく、仕上がり偽造品の剤形を、他の点では合法的な米国の薬物流通系に導入するために使用される方法の精巧さも増している。FDAの偽造薬物の捜査は、合法的な薬物に非常に似ているが、不活性な成分、不正な成分、不適当な投与量、弱効力又は超効力の成分を含有する可能性のある、或いは汚染されている可能性のある仕上がり薬物製品を導入しようとしている十分に組織された犯罪工作に関係している。したがって、薬物偽造は、今日、現実に公衆衛生及び安全上の問題を提起しており、そして将来、更に大きい脅威を提起する可能性がある。偽造者らは、欺くための製品を製造するための新しい技術を探し続け、また、これらを合法的な交易へと導入し続けているために、患者を保護するためのシステムは、有効に反応しなければならない。
【0004】
消費者製品の防犯の改良は、特に医薬品産業において、認識された必要性であるが、医薬品会社は、しばしば、FDA包装要求と、外部包装のための現在の印刷操作における防犯の欠如とによって制約されている。好ましい解決法において、薬物に可能な限り接近して置かれる偽造防止タガント(追跡用添加物)(taggant)を、丸薬製造/包装ラインの防犯に導入することができる。しかし、タガントの薬物への接近は、タガント及び薬物間の不浸透性プラスチックフィルム障壁の設置というFDAの要求によって制限される可能性がある。
【0005】
防犯フィルム及び物品の当技術における最近の進歩は、参照により本明細書中にそのすべてが援用される、本発明と同じ出願人に譲渡された米国特許出願2003/0194578及び2002/0160188中に記載されている。出願2003/0194578は、フィラメント、中空繊維を含む繊維、及び針、並びに薄い横断面及び裁断されたその変種のような要素を含む防犯物品を教示し、ここにおいてこのような要素は、物品内に分散されている。粒子の散乱及び発光技術が、散乱、電子工学、磁気及び/又は光特性に基づいて使用されて、紫外、周囲及び赤外を含む電磁スペクトルの種々の部分に対して反応性の化合物の物理的な着色を提供している。出願2002/0160188は、繊維、針及び多数の検証特質を保有する繊維の切片(“点”)を含む防犯物品を教示している。繊維は、独特で複製することが難しい、複雑な断面、成分、及び多数の発光反応の組合せを保有し、そしてこれらが組込まれた物品の不正な複製に対して高い水準の保護を提供する、防犯繊維、針、及び点の多くの検証可能な特質を有する。
【0006】
繊維、針及びフィルムを含む物品中の色の呈色における有意な進歩は、参照により本明細書中にその全てが援用される、本発明と同じ出願人に譲渡された米国特許第5,932,309号中に開示されている。着色を達成するために、米国特許第5,932,309号は、かかる特許中に定義されているように、粒子散乱効果及び/又は電子遷移着色剤を使用している。物品において得られる着色は、非常に安定であることができるか、又はスイッチング効果、例えば、温度、熱への暴露、水分吸収及び光照射への暴露に対して反応性である。他の努力としては、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して透過性ではない基質上の防犯被覆を有するラベルを記載している、米国特許第6,165,609号が挙げられる。更に、米国特許第5,885,677号等は、拡散する識別物質媒体を有する防犯ラベルを記載しているが、しかし同様に200nm〜300nmの範囲の照射に対して透過性である基質の教示はない。
【0007】
本発明は、関連する技術と比較して、改良された偽造防止法及び構造を提供する。本発明の構造は、タガントを二つのフィルム層の間に置くことによるか、或いはタガントをポリマーのフィルム層に配合するかのいずれかによって、1種又はそれより多いタガントを製品から独立させ、したがってタガントの薬物との接触のFDAの問題点を最小にする。更に、本発明の構造は、不可視光に暴露された時にのみ可視であるか、或いは潜在的に、これによって発光の放射も特定化された検出機器を必要とする、可視光のスペクトルの外側であることができる構造である、一つ又はそれより多いタガントを含有することによって、改良された防犯性を提供する。ニュージャージー州モリスタウンのハネウェル・インターナショナル・インクによって製造された、透明なフルオロポリマー材料であるAclar(登録商標)は優れた医薬品包装材料であり、また、他の透明な包装材料はそうではないが、短いUV光、即ち200nm〜300nmの範囲の照射に対して透過性であることにおいて独特であることが見出されている。したがって、Aclar(登録商標)を組込んだ防犯フィルム及び物品が、例外的に有効であることが見出されている。
【0008】
発明の要旨
本発明は、以下のi)又はii):
i)発光性成分をその中に含有するポリマー層であって、該発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該ポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記ポリマー層;
ii)a)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するポリマー層;及び
b)該ポリマー層上の発光性成分であって、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記発光性成分;
のいずれかを含むフィルムを提供する。
【0009】
本発明は、更に:
a)200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す発光性成分と、ポリマーとのブレンドを形成し;そして
b)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するポリマー層中に、該ブレンドを形成すること
を含む、フィルムを形成するための方法も提供する。
【0010】
本発明は、更に、発光性成分をポリマー層上に適用することを含む、フィルムを形成するための方法であって、その際、前記ポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有し、また、前記発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記方法を提供する。
【0011】
本発明は、なお更に、以下のi)又はii):
i)発光性成分をその中に含有するフルオロポリマー層であって、該発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該フルオロポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記フルオロポリマー層;
ii)a)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するフルオロポリマー層;及び
b)該フルオロポリマー層上の発光性成分であって、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記発光性成分
のいずれかと、
iii)前記フルオロポリマー層に付着された受け層
とを含む多層フィルムを含む物品を提供する。
【0012】
本発明は、なお更に、物品を認証するための方法であって、
I)以下のi)又はii):
i)発光性成分をその中に含有するフルオロポリマー層であって、該発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該フルオロポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記フルオロポリマー層;
ii)a)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するフルオロポリマー層;及び
b)該フルオロポリマー層上の発光性成分であって、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記発光性成分
のいずれかと、
iii)前記フルオロポリマー層に付着された受け層
とを含む多層フィルムを含む物品を提供し;
II)200nm〜300nmの範囲の紫外線を該発光性成分に適用し;
III)該紫外線の適用から得られた発光応答を測定し;
IV)場合により、工程III)から測定された発光応答を、標準的な発光応答と比較すること
を含む、前記方法を提供する。
【0013】
本発明は、なお更に、フィルムを形成するための方法であって、発光性成分を受け層上に適用し、その際、前記発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、そして次いで、前記発光性成分がポリマー層と前記受け層の間に位置するように、ポリマー層を前記受け層に付着することを含み、その際、該ポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記方法を提供する。
【0014】
発明の具体的な説明
本発明は、偽造防止防犯フィルム及びそれから形成された物品、そして更にこれらを形成するための方法も提供する。フィルムは、当技術分野においてよく知られている1種又はそれより多い発光性タガント成分を含み、その発光性成分(1種又は複数種)は、発光性成分への200ナノメートル(nm)〜300nmの波長範囲の紫外線の適用によって発光する。一つの態様において、発光性組成物は、ポリマー層上に印刷又は他の方法で適用することができ、このポリマー層は、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%又はそれより多い量の透過度を有する。別の方法として、その中に発光性成分を含有するようなポリマー層を含むフィルムが提供される。例えば、発光性組成物は、ポリマー層と予備配合し、続いて配合物から、押出、鋳造、発泡又は他の方法によって層を形成することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様において、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%又はそれより多い量の透過度を有するポリマー層は、フルオロポリマーを含む。好ましいフルオロポリマーは、当技術分野においてよく知られているようなホモポリマー、コポリマー及びこれらの配合物を含み、そして例えば、米国特許第4,510,301号;4,544,721号;及び5,139,878号中に記載されている。これらの中で、特に好ましいフルオロポリマーは、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマー及びコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ素化されたエチレン−プロピレンコポリマー、ペルフルオロアルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、並びにこれらのコポリマー及び配合物を含む。本明細書中で使用される場合、コポリマーは、2つ又はそれより多いモノマー成分を有するポリマーを含む。最も好ましいものは、クロロトリフルオロエチレンホモポリマー又はクロロトリフルオロエチレンを含有するコポリマーである。このようなものは、ニュージャージー州モリスタウンのハネウェル・インターナショナル・インクからACLON(登録商標)樹脂として入手可能であり、これは更に、ハネウェル・インターナショナル・インクからACLAR(登録商標)フィルムとしても入手可能である。Aclar(登録商標)PCTFEフルオロポリマーフィルムは、透明な熱形成可能なフィルムのために優れた水分を与える、透明な化学的に安定した生化学的に不活性なフィルムである。これらは、可塑剤及び安定剤を含まず、そして他の透明なブリスター包装用フィルムの10倍までの障害を提供する。Aclar(登録商標)PCTFEフルオロポリマーフィルムは、更に、静電防止性、及び優れた電気的特性を示し、積層化及び金属化することができ、そして医薬品会社によってブリスター包装用及び他の公衆衛生用包装として好まれる。
【0016】
先に記載したように、本発明のポリマー層は、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%又はそれより多い量の透過度を有する。更に好ましくは、ポリマー層は、200nm〜300nmの波長範囲の紫外線に対して、約70%又はそれより大きい量、なお更に好ましくは約80%又はそれより大きい量、なお更に好ましくは約90%パーセント又はそれより大きい量の透過度を有し、そして最も好ましくは約99%又はそれより大きい量のこのような短波長の紫外線に対する透過度を有する。
【0017】
本発明の発光性成分は、短波長の紫外線で活性化され、可視光の蛍光又はリン光を発する組成物を含む。本発明の目的のために、短い紫外スペクトルは、200nm〜300nmの領域にあるとし、そして長い紫外スペクトルは、300nmより大きい波長で始まり、約400nmまでとする。可視スペクトルは、約400〜約700nmの波長の領域にあるとする。近赤外スペクトルは、約700nmより大きい波長で始まり、そして3000nmで終わるとすることができる。発光性成分は好ましくは更に、参照により本明細書中に援用される、本発明と同じ出願人に譲渡された米国特許出願公開番号2002/0160188に記載されているように、多重発光反応が可能である。本発明の目的のために、発光反応又は発光は、蛍光及びリン光の両方を含む。発光反応は、リン光又は蛍光からなる群から選択される。本発明の発光性組成物の発光反応(更にタガントとしても知られる)は、スペクトルの短い紫外領域の波長を含む。本発明のフィルム及び構造は、好ましくは、それぞれが200nm〜300nmの範囲の紫外線によって明確に異なった波長で活性化され、そして潜在的に、特化された検出機器を必要とする非可視波長を含む、各種の可視波長における発光反応を放射する、複数の異なったタガントを含有することができる。
【0018】
本発明の発光性成分は、例えば、ハネウェル・インターナショナル・インクからの顔料のLumilux(登録商標)の群から入手可能な顔料のような一つ又はそれより多い商業的に入手可能な発光性コポリマー、顔料又は染料を含むことができる。発光性顔料又は染料は、有機物、無機物又は有機金属物質であることができる。本発明において有用な熱的に安定な有機物質の例は、化合物4,4’−ビス(2 メトキシスチリル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(ベンゾアキサゾール(benzoaxazol)−2−イル)スチルベン、及び2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)である。例は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インクによって、UVITEX(登録商標)FP、UVITEX(登録商標)OB−ONE、及びUVITEX(登録商標)OBの商品名で;並びにハネウェル・スペシャルティ・ケミカルズによってLumilux(登録商標)Effect Light Blue COの商品名で商業的に販売される化合物である。これらの化合物は、紫外線によって励起された場合、スペクトルの紫外及び可視領域で蛍光を発する。
【0019】
本発明において有用な無機物質の例は、LaS:Eu、ZnSiO:Mn、及びYVO:Ndである。これらの物質は、ハネウェル・スペシャルティ・ケミカルズによって、それぞれLUMILUX(登録商標)Red CD 168、LUMILUX(登録商標)Green CD 145及びLUMILUX(登録商標)IR−DC 139の商品名で商業的に販売されている。それぞれは、紫外線によって励起される。LUMILUX(登録商標)Red CD 168及びLUMILUX(登録商標)Green CD 145は、可視域で、そしてLUMILUX(登録商標)IR−CD 139は、赤外域で蛍光を発する。もう一つの有用な物質は、ハネウェル・スペシャルティ・ケミカルズによってLUMILUX(登録商標)Red UC 6の商品名で商業的に販売されている、希土類のオキシ硫化物である。この物質は、赤外線によって励起され、そして可視域で蛍光を発する。更に、例えば、銀、銅、アルミニウム又はマグネシウムでドーピングされたいくつかの亜鉛硫化物化合物も、更にハネウェル・スペシャルティ・ケミカルズによって商業的に販売されている。これらの製品のいくつかは、UV及び白色光によって励起され、そして蛍光及びリン光の両方で反応し、そして更に永い残光の特性を有するとしても特徴づけられる(Lumilux(登録商標)Green N5、N−PM及びN2);他のものは、UV照射によって励起され、そして青、緑、赤、黄色及び黄−橙色を含む色で蛍光を発する(Lumilux(登録商標)Effect:Blue A、Green A、Red A、Blue CO、Green CO、Yellow CO及びYellow−Orange);なお他のものは、UV及び白色光によって励起され、そして蛍光及びリン光を示す(Lumilux(登録商標)Effect Blue SN及びBlue SN−F、アルカリ土類ケイ酸塩;Lumilux(登録商標)Effect:Green N、Breen N−L、Green N−E、Green N−F、Green N−3F、Green N−FG、Green N−FF)、及びユウロピウム及びジスプロシウムでドーピングされたアルミン酸ストロンチウム化合物であるGreen SN−F5;並びに白色光で活性化され、そしてユウロピウム及びツリウムでドーピングされたカルシウム硫化物化合物である、赤い蛍光及びリン光で反応する、Lumilux(登録商標)Effect Red N 100。このような物質の混合物も更に使用することができ、そしていくつかの混合物は、商業的に入手可能である(Lumilux(登録商標)Effect Sipi:Yellow and Red)。
【0020】
特に有用なものは、本発明と同じの出願人に譲渡され、参照により本明細書中に援用される、Tam等への米国特許出願及び2002/0160188及び2003/0194578の両方に記載されている、全ての発光性組成物である。更に特に好ましいものは、短い波長の紫外線で活性化され、可視光で蛍光を発するタガントであるLumilux(登録商標)Red CD380、長い及び短い(弱い)波長のUVで活性化される蛍光性サリチル酸誘導体顔料であるLumilux(登録商標)Yellow CD 382、並びに長い及び短い(弱い)波長のUVで活性化される蛍光性オキシネート顔料であるLumilux(登録商標)Red CD 740のような、以下の実施例中に記載されているものである。実施例中で検討されるように、Lumilux(登録商標)Red CD380のようなタガントは、所望によりLumilux(登録商標)CD 797又はCD 997のような長い波長の紫外線によって活性化される、及び/又はLumilux(登録商標)Green UC 2のような赤外線によって活性化される更なる可視蛍光を発するタガントとの組合せで使用することができる。蛍光又はリン光放射の波長は、個々のタガントの化学的独自性を変更することによって変化することができる。
【0021】
典型的には、発光効果は、励起源が存在する時間にのみ、又はその後の1秒以内に観察可能な蛍光効果であることができる。別に、これは、活性化する光エネルギーが終止した後に短時間観察可能なリン光効果であることができ、このような効果は、本明細書中で“残光”と呼ばれる。このような残光の時間は、約10分より大きく、そして約200分より永くまで;例えば、約15分〜約120分;又は約15分〜約60分であることができる。米国特許第5,424,006号及び5,674,437号は、永い残光の品質を有し、そして発光の減衰速度が、このような物品の立証可能な特徴の一つとして使用することができるために、本発明の防犯物品において有用である、リン光物質の特別な群、及びその製造の方法を記載している。これらの特許は、参照により本明細書中に援用される。米国特許第5,674,437号は、このような物質を繊維に組込むことを開示している。リン光物質は、一般的にドーピングされたアルミン酸金属酸化物顔料として記載され、ここにおいて金属は、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム又はこれらの混合物であることができ、そしてドーパントは、好ましくはユウロピウム並びにランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホロミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムを含む元素の周期表のランタノイド系列の元素からなる群から選択される元素、並びにスズ及びビスマスである。一つの例は、米国特許第5,424,006号に記載されているような、SrAl:EuDyである;このような顔料は、Lumilux(登録商標)の商品名で、ハネウェル・インターナショナル・インクから入手可能である。
【0022】
発光性成分又は顔料は、好ましくは本発明のポリマー層に適用される前に、適した溶媒又は結合剤と組合される。適した溶媒は、極性及び非極性溶媒を含む。適した結合剤は、広い範囲の溶媒基剤の及び水性の接着剤を含む。このような接着剤は、ポリウレタン、エポキシ、ポリエステル、アクリル酸、酸無水物で改質されたポリオレフィン及びこれらの混合物を含む。改質されたポリオレフィン組成物は、不飽和のポリカルボン酸及びその酸無水物からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有する。このような不飽和のカルボン酸及び酸無水物は、マレイン酸及び無水物、フマル酸及び無水物、クロトン酸及び無水物、シトラコン酸及び無水物、イタコン酸及び無水物等を含む。適した溶媒は、アルコール、エステル、ケトン、ハロゲンを含有する有機溶媒及び炭化水素溶媒を含む。顔料は、更に当技術分野においてよく知られているように、結合ポリマー基質中に分散することもできる。顔料及び結合剤又は溶媒は、発光性組成物を形成するための通常の混合又は配合技術を使用して混合することができる。次いで、組成物を、ポリマー層上に周知の被覆技術を使用して被覆することができる。適した被覆法は、当技術分野においてよく知られている、浸漬被覆、メニスカス被覆、ローラー被覆、ドクターブレード被覆、等を含む。別の方法として、発光性組成物は、更なる防犯の特徴として、パターン又はパターン化されたしるしの形態で適用することができる。このようなパターンは、印刷された語句及びイメージを含む。適当な結合剤中に分散された場合、発光性組成物は、例えば、既知の押出し技術を使用することにより、更にフィルムに形成することもできる。本発明の発光性組成物を200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%又はそれより多い量の透過性を有する本発明のポリマー層上に適用することに関して、本発明の方法を説明してきたが、発光性組成物をまず受け層に適用し、続いて、発光性組成物が受け層及びポリマー層間に位置するように、ポリマー層を本明細書中に説明したように受け層に付着し得ることが、更に本発明の範囲内であることは理解されるべきである。
【0023】
発光性物質は、適する結合剤とともに、所望する発光効果を得るために適した濃度で使用される。防犯特質が所望される特別の末端使用又は物品によるが、蛍光及びリン光性物質の混合物を使用すること、或いは、単独の蛍光物質又は蛍光物質の混合物を使用すること、或いは、単独のリン光物質又はリン光物質の混合物を使用することが、望ましいであろう。結合剤中の発光性物質の最小濃度は、好ましくは少なくとも約0.05重量パーセント、更に好ましくは約0.10重量パーセント、なお更に好ましくは約0.50重量パーセントである。逆に、1種又はそれより多い発光性物質の最大濃度は、適用、達成されるべき物品の物理的特性、例えば製造の容易さ、費用の考慮、等によって決定されるものである。結合剤中の発光性物質の最大濃度は、好ましくは約85重量パーセント、更に好ましくは約50重量パーセント、なお更に好ましくは25重量パーセント、なお更に好ましくは最大約20重量パーセントである。典型的な発光性組成物の濃度は、その結合剤組成物の全体重量と比較して、約10重量パーセント以下で含む。
【0024】
そのポリマー層が、その上又はその中のいずれかに発光性成分を有する本発明のポリマー層は、好ましくは少なくとも1つの受け層に付着している。受け層は、多くの目的を果たすが、しかし一般的にタガント(発光性成分)を隔離させる障壁として働き、そして発光性成分の消費者製品との接触を防止する。したがって、受け層は、好ましくはポリマー層に付着し、これによって発光性成分はポリマー層及び受け層間に位置する。発光性成分がポリマー層内に配合された場合、これから形成された物品は、製品がその配合された層と接触しないように形成されなければならない。全体のフィルムの透過度が、200nm〜300nmの範囲の紫外線で発光性成分を照射するために十分であり、可視の発光反応となる限り、多数の受け層を、ポリマー層に、そして相互に付着し得ることは、本発明の範囲内である。
【0025】
適する受け層としては、非排他的に、ポリエチレン及び環式オレフィンコポリマーを含むポリオレフィンから形成されたもの、ポリアミド、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン系コポリマー、ポリイソプレン、ポリウレタン、エチレンアクリル酸エチル、エチレンアクリル酸コポリマー、フルオロポリマー、ポリアクリル酸、ポリアルコール、ポリエーテル、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリスルフィド、セルロース系及びポリビニル誘導体、並びに前記物質の配合物が挙げられる。適する受け層は、更に、当技術において既知の、例えばアルミニウム箔のような金属箔、或いは紙又は厚紙のような非ポリマー層も含む。本発明の最も好ましい態様において、発光性成分は、フィルム構造中のポリマー層又は受け層、例えばAclar(登録商標)のみに透過性である光によって活性化される。言い換えれば、本発明のフィルムは、少なくとも1種のタガントが構築物の片側のみからの不可視光による暴露によって可視又は他の認証を可能にし、そして1種又はそれより多い更なるタガントが、構築物の両側から可視又は他の認証を可能にする物質で構築される。この特別な特徴は、更なる防犯を本発明のフィルムに加える。最も好ましくは、受け層は、ポリ塩化ビニルを含む。ポリ塩化ビニル(PVC)は、典型的には、箔構造を、薬物を含有するブリスター包装構築物中のプラスチック積層と融着するために使用される熱絶縁体との適合性を与える、他のプラスチック積層の層として使用される。ポリマー層及び受け層、並びに所望による発光性組成物(高分子接着剤のような適した結合剤中に存在する場合)は、当技術において公知である同時押出し又は積層技術によって付着することができる。本発明の1つの好ましい態様において、ポリマー層及び受け層は、本発明の発光性組成物を含有する接着性組成物を経由する積層化によって付着される。
【0026】
本発明のフィルム構造のそれぞれの層は、異なった厚さを有するが、それぞれのポリマー層及び受け層の厚さは、好ましくは約1μm〜約500μm、更に好ましくは約3μm〜約375μm、そして最も好ましくは約50μm〜約250μmである。ポリマー層の厚さは、好ましくは発光性組成物がその中に配合されているか否かに関わらず、この厚さの範囲内である。本発明の発光性組成物を含有する接着層を含むいずれもの接着層も、更に約1μm〜約25μm、更に好ましくは約3μm〜約8μm、そして最も好ましくは約4μm〜約6μmの好ましい厚さを有する。本発明の全体のフィルムの厚さは、好ましくは約1μm〜約500μm、更に好ましくは約3μm〜約375μm、そして最も好ましくは約50μm〜約250μmの範囲である。このような厚さが好ましいが、他のフィルムが好ましいことは理解されることであり、特別な要求を満たすために他の厚さのフィルムを製造することができ、そしてなお本発明の範囲内に入ることは理解されることである。
【0027】
好ましくは、個々のフィルム層又は全体のフィルムは、一軸又は二軸のいずれかで延伸される。好ましくは、本発明において、フィルムは、1.5:1〜5:1の延伸比で少なくとも一つの方向に、即ちその縦方向に、その横方向に一軸で、又はその縦方向及び横方法のそれぞれに二軸で延伸される。本発明の目的のために、延伸比という用語は、延伸の方向における寸法の増加を示すものである。好ましくは、フィルム又は少なくとも一つのポリマー層或いは受け層は、同時に二軸で延伸され、例えば可塑化したフィルムは、同時に機械方向及び横方向の両方に延伸される。これは、透明性、強度及び靭性特性の劇的な改良となることが見出されている。
【0028】
本明細書中に説明したように、本発明のフィルムは、医薬製品を包装するために使用されるブリスター包装のような、防犯の特徴を有する造形された包装物品を形成するために特に有用である。しかしながら、本発明のフィルムは、更にラベル並びにパスポート及び積層識別カード、通貨及び紙幣、流通証券、株式及び証券、運転免許証を含む免許証、免状、クレジット及びデビットカード、保安識別カード、自働現金預入支払機(ATM)又は銀行用カード、並びに他の重要な文書、或いはそれに対して偽造防止又は他の防犯或いは情報の特徴が所望される、造形された物品及び容器のような、識別文書を含む他の物品を形成するために使用することもできることは理解されるべきである。
【0029】
防犯フィルム、物品中の発光性組成物又はタガントの存在・非存在は、適切な活性化及び検出系、例えば、人工的に製造された活性化装置と検出器、及び/又は、人工的に製造された活性化装置と、活性化から得られる効果の視覚的観察による通常の検出方法によって決定される。これまでに説明したように調製された構造物の独自性は、構造物の積層のそれぞれの側の、それぞれの蛍光タガントの最適な励起波長によって決定される、選択された照射波長による交互の照射によって放射される蛍光の存在及び色を観察することによって確認することができる。例えば、典型的な研究室のUVランプは、短い、中間及び長い波長のUV、例えば、それぞれ、254、302及び365ナノメートルを放射するように設定することができる。Aclar(登録商標)/PVC積層中の標識された接着剤の、254nm励起による暴露は、Lumilux(登録商標)CD 380タガントを活性化して、積層のAclar(登録商標)側を通してのみ可視である可視蛍光の赤い光を放射するものである。365nmの光による暴露は、Lumilux(登録商標)CD 797又は997タガントを活性化して、積層物の両方の側をとして可視である黄色い光を放射するものである。約980nmで放射する、近赤外の手持ちレーザーによる暴露は、Lumilux(登録商標)UC−2タガントを活性化して、積層物の両側を通して可視である緑色の光の蛍光を放射するものである。タガント化合物を検出する方法及び検出装置は既知であり、そして例えば、米国特許第5,719,948号;5,714,291号;5,666,417号;5,605,738号;5,574,790号;5,548,106号;5,418,855号;5,414,258号;4,642,526号;4,146,792号;3,164,603号;3,162,642号;及び3,066,105号中に記載されている。本発明の目的のために、適切な検出器は、本発明の特許請求されている発光性成分に対して、少なくとも200−300nmの範囲の短波長の紫外線を適用することが可能なものである。
【0030】
使用する場合、これまでに説明したような多層フィルムの物品が形成される。物品は、発光性成分に200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用することによって、認証のために試験される。次いで紫外線を適用することから得られる発光反応が決定される。次いでこの得られた発光反応を、標準的な、又は認証されることが知られた物品からの既知の発光反応と比較することができる。通常これは、単独の観察者によって視覚的に、又は装置の援助で行うことができる。認証物品又は既知の物品の部分或いはフィルムは、既知のしるしのパターンで印刷された発光性成分を有することができ、或いは特異なスペクトルの反応を持つ発光性成分を使用することができる。物品は、予期した反応が観察された場合、認証され、そして予期した反応が観察されない場合、誤りであることが分かる。
【0031】
以下の実施例は、本発明を例示するために役立つ。
実施例1
発光性成分を含有する接着剤による二つのポリマー層の積層
ローム・アンド・ハースのCR 100エポキシ基剤共反応物を伴うポリウレタン二成分接着剤、Adcote 444Aを、ポリマー層の積層のための担体接着剤として使用する。Lumilux(登録商標)Red CD 380は、希土類複合発光性成分である。これは、極性溶媒に可溶であり、そしてしたがって接着剤系に溶解することができる。これは、短いUV光によってのみ励起される(280nmで励起最大、300nmより上で無視可能な励起)。
【0032】
50部のAdcote 444A、0.5又は1.0部のCD 380、5部のCR 100共反応物、及び27部の希釈剤としての水を含む混合物を調製する。次いで接着剤を慣用的な方法で10分間混合する。次いでこの接着剤を二つのポリマー層(例えば、約0.05mm(2mil)のAclar(登録商標)又は約0.25mm(10mil)のPVC)の一つに被覆し、そしてこれらを、直接グラビア、リバースローラー、スロットダイ、メイヤー(Meyer)ロッド、及びエアナイフ装置を含む慣用的な被覆/積層法を使用していっしょに貼り合せる。
【0033】
PVCは、短い波長のUV光を吸収するために、短いUVは、PVC層を通過することができず、そしてこの観察条件下では放射される蛍光色は観察されない。Aclar(登録商標)は、UV透過性であり、これは、CD 380発光性成分が、Aclar(登録商標)を通過する短いUV光によって励起され、そしてこの方法で励起された場合、鮮明な赤色を放射する。
【0034】
いずれかのポリマー層を通して、長い波長の紫外光によって照射された場合、赤い蛍光色は観察されない。
実施例2−3
発光性成分を所望により含有する接着剤で貼り合わされ、そしていずれか又は両方の層の貼り合わされる側を、発光性成分を含有するインクで印刷された二つのポリマー層の調製
実施例2
蛍光インクを、8〜7部のクロマティック・テクノロジーズ・インクのDynacolor(商標)熱変色性湿式オフセット無色インクを伴う、短いUV光によってのみ励起される(280nmで励起最大、300nmより上では無視可能な励起)防犯コード用の希土類複合発光顔料である2〜3部のLumilux(登録商標)Red CD 380の、ガラス上でのスパチュラーによる高剪断力による緊密な混合によって調製する。得られた蛍光インクを、イメージ様式の印刷物を、約0.05mm(2mil)のAclar(登録商標)又は約0.25mm(10mil)のPVCのいずれかの層上に調製するために使用する。この実施例において、Red CD 380のイメージは、PVCポリマー層上にLittle Joe Offset Color Switching Pressを使用して印刷され、そして第2の異なったイメージは、PVC上にLittle Joe Offset Color Switching Pressを使用して、防犯コードのために使用することができる、長い及び短い(弱い)波長のUVで活性化される蛍光サリチル酸誘導体顔料である、2〜3部のLumilux(登録商標)Yellow CD 382と、8〜7部のクロマティック・テクノロジーズ・インクのDynacolor(商標)熱変色性湿式オフセット無色インクで調製されたインクで印刷される。
【0035】
ローム・アンド・ハースのCR 100エポキシ基剤共反応物を伴う、ポリウレタン二成分接着剤、Adcote 444Aを、ポリマー層の積層のための担体接着剤として使用する。50部のAdcote 444A、5部のCR 100共反応物、及び27部の水を希釈剤として含む混合物を調製する。次いで接着剤を、慣用的な方法で10分間混合する。次いでこの接着剤を、二つのポリマー層(例えば、約0.05mm(2mil)のAclar(登録商標)又は約0.25mm(10mil)のPVC)の一つに被覆し、そしてこれらを直接グラビア、リバースローラー、スロットダイ、メイヤーロッド、及びエアナイフ装置を含む慣用的な積層法を使用して、PVCの貼り合わせる側の印刷された蛍光インクのイメージといっしょに貼り合せる。
【0036】
PVCは、短い波長のUV光を吸収するために、短いUVは、PVC層を通過することができず、そして放射される赤い、短い波長で活性化された蛍光色はこの条件下では観察されない;然しながら、長い波長で活性化される黄色の蛍光イメージは可視である。Aclar(登録商標)は、UV透過性であり、これは、CD 380発光顔料が、発光性成分がAclar(登録商標)を通過する短いUV光によって励起され、そして鮮明な赤色を放射し;そして長い波長のUVで活性化された黄色の蛍光イメージも、更に弱く可視である。積層が、いずれかのポリマー層を通して、長い波長の紫外光によって照射された場合、赤い蛍光色は観察されないが、黄色の蛍光イメージは可視である。
【0037】
実施例3
蛍光インクを、8〜7部のクロマティック・テクノロジーズ・インクのDynacolor(商標)熱変色性湿式オフセット無色インクを伴う、短いUV光によってのみ励起される(280nmで励起最大、300nmより上では無視可能な励起)防犯コード用の希土類複合発光顔料である、2〜3部のLumilux(登録商標)Red CD 380の、ガラス上でのスパチュラーによる高剪断力による緊密な混合によって調製する。得られた蛍光インクを、イメージ様式の印刷物を、約0.05mm(2mil)のAclar(登録商標)又は約0.25mm(10mil)のPVCの層のいずれかの上に調製するために使用する。この実施例において、Red CD 380のイメージは、PVCポリマー層上にLittle Joe Offset Color Switching Pressを使用して印刷され、そして第2の異なったイメージは、Aclar(登録商標)上にLittle Joe Offset Color Switching Pressを使用して、防犯コードのために使用することができる長い及び短い(弱く)波長のUVで活性化される蛍光オキシ酸顔料である、2〜3部のLumilux(登録商標)Red CD 740と、8〜7部のクロマティック・テクノロジーズ・インクのDynacolor(商標)熱変色性湿式オフセット無色インクで調製されたインクで印刷される。
【0038】
ローム・アンド・ハースのCR 100エポキシ基剤共反応物を伴う、ポリウレタン二成分接着剤、Adcote 444Aを、ポリマー層の積層のための担体接着剤として使用する。50部のAdcote 444A、防犯コードのために使用することができる赤外で活性化される希土類オキシスルフィド顔料である2部のLumilux(登録商標)Green UC−2、5部のCR 100共反応物及び27部の水を希釈剤として含む混合物を調製する。次いで接着剤を、慣用的な方法で10分間混合する。次いでこの接着剤を二つのポリマー層(例えば、約0.05mm(2mil)のAclar(登録商標)又は約0.25mm(10mil)のPVC)の一つに被覆し、そしてこれらを直接グラビア、リバースローラー、スロットダイ、メイヤーロッド、及びエアナイフ装置を含む慣用的な積層法を使用して、ポリマー層の貼り合わせる側の印刷された蛍光インクのイメージといっしょに貼り合せる。
【0039】
PVCは、短い波長のUV光を吸収するために、短いUVは、PVC層を通過することができず、そして放射される赤い、短い波長で活性化された蛍光色のイメージはこの条件下では観察されない;然しながら、長い及び短い波長のUVで活性化された赤色の蛍光イメージは(弱く)可視である。Aclar(登録商標)は、UV透過性であり、これは、CD 380発光顔料のインクのイメージが、発光性成分がAclar(登録商標)を通過する短いUV光によって励起され、そして鮮明な赤色を放射することを可能にし;そして長い波長のUVで活性化された赤色の蛍光イメージも、更に可視である。積層が、いずれかのポリマー層を通して、長い波長の紫外光によって照射された場合、短い波長で活性化された蛍光インクのイメージからの赤い蛍光色は観察されないが、しかし長い波長で活性化された蛍光イメージは可視である。積層がいずれかのポリマー層を通して近赤外光によって照射された場合、UVで活性化された蛍光インクのイメージのいずれかからの赤色の蛍光色は観察されないが、しかし接着剤中の赤外で活性化された蛍光物質は、可視の緑色の蛍光を放射する。
【0040】
本発明は、特に好ましい態様を参照して示し説明してきたが、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、各種の変更及び改変を行うことができることは、当業者によって容易に認識されるものである。特許請求の範囲は、開示された態様、これまでに説明してきた別の態様、及びこれら全ての均等物を包含するものと解釈すべきであることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のi)又はii):
i)発光性成分をその中に含有するポリマー層であって、該発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該ポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記ポリマー層;
ii)a)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するポリマー層;及び
b)該ポリマー層上の発光性成分であって、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記発光性成分;
のいずれかを含むフィルム。
【請求項2】
i)発光性成分をその中に含有するポリマー層であって、該発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該ポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記ポリマー層
を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
ii)a)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するポリマー層;及び
b)該ポリマー層上の発光性成分であって、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記発光性成分
を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
発光性成分が、結合剤と組合わせられている、請求項3に記載のフィルム。
【請求項5】
結合剤が、接着剤を含む、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
結合剤が、水性の接着剤を含む、請求項4に記載のフィルム。
【請求項7】
ポリマー層が、フルオロポリマーを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
ポリマー層が、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ペルフルオロアルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、並びにこれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択されるフルオロポリマーを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
ポリマー層が、クロロトリフルオロエチレンホモポリマー又はクロロトリフルオロエチレンを含有するコポリマーを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
発光性成分が、少なくとも1種の蛍光物質、少なくとも1種のリン光物質、及び少なくとも1種の蛍光物質と少なくとも1種のリン光物質との混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
発光性成分が、蛍光物質を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
発光性成分が、リン光物質を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
発光性成分が、少なくとも1種の蛍光物質と少なくとも1種のリン光物質との混合物を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項14】
複数の異なる発光性成分を含み、その発光性成分のそれぞれが、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項15】
発光性成分が、パターン化されたしるしの形態で存在する、請求項3に記載のフィルム。
【請求項16】
更に、ポリマー層に付着された少なくとも1つの受け層を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項17】
発光性成分が、受け層上に適用されている、請求項16に記載のフィルム。
【請求項18】
更に、ポリマー層に付着された受け層を含み、そして発光性成分が、前記ポリマー層及び前記受け層の間に位置する、請求項3に記載のフィルム。
【請求項19】
受け層が、ポリオレフィン、ポリアミド、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン系コポリマー、ポリイソプレン、ポリウレタン、エチレンアクリル酸エチル、エチレンアクリル酸コポリマー、フルオロポリマー、ポリアクリル酸、ポリアルコール、ポリエーテル、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリスルフィド、セルロース系及びポリビニル誘導体、金属箔、紙、厚紙、並びにこれらの組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項16に記載のフィルム。
【請求項20】
受け層が、ポリ塩化ビニルを含む、請求項16に記載のフィルム。
【請求項21】
請求項1に記載のフィルムを含む物品。
【請求項22】
請求項16に記載のフィルムを含む物品。
【請求項23】
請求項1に記載のフィルムから形成されたブリスターパッケージ。
【請求項24】
請求項16に記載のフィルムから形成されたブリスターパッケージ。
【請求項25】
a)200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す発光性成分と、ポリマーとのブレンドを形成し;そして
b)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するポリマー層中に、該ブレンドを形成すること
を含む、フィルムを形成するための方法。
【請求項26】
更に、ポリマー層に受け層を付着することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ポリマーが、フルオロポリマーを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
発光性成分をポリマー層上に適用することを含む、フィルムを形成するための方法であって、その際、前記ポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有し、また、前記発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記方法。
【請求項29】
更に、少なくとも1つの受け層をポリマー層に付着することを含んでなり、その際、発光性成分が、前記ポリマー層と前記受け層の間に位置する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ポリマー層が、フルオロポリマーを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
発光性成分が、結合剤と組合わせられている、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
結合剤が、接着剤を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
発光性成分が、パターン化されたしるしの形態で存在する、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
受け層が、ポリ塩化ビニルを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
以下のi)又はii):
i)発光性成分をその中に含有するフルオロポリマー層であって、該発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該フルオロポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記フルオロポリマー層;
ii)a)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するフルオロポリマー層;及び
b)該フルオロポリマー層上の発光性成分であって、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記発光性成分
のいずれかと、
iii)前記フルオロポリマー層に付着された受け層
とを含む多層フィルムを含む物品。
【請求項36】
受け層が、200nm〜300nmの波長の範囲の紫外線に対して透過性ではない、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
i)発光性成分をその中に含有するフルオロポリマー層であって、該発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該フルオロポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記フルオロポリマー層
を含む、請求項35に記載の物品。
【請求項38】
ii)a)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するフルオロポリマー層;及び
b)該フルオロポリマー層上の発光性成分であって、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記発光性成分
を含む、請求項35に記載の物品。
【請求項39】
発光性成分が、フルオロポリマー層と受け層の間に位置する、請求項37に記載の物品。
【請求項40】
製品を保存するための造形品を含む、請求項35に記載の物品。
【請求項41】
受け層が、製品と接触するように位置する、請求項39に記載の物品。
【請求項42】
発光性成分が、結合剤と組合わせられている、請求項35に記載の物品。
【請求項43】
結合剤が、接着剤を含む、請求項42に記載の物品。
【請求項44】
物品を認証するための方法であって、
I)以下のi)又はii):
i)発光性成分をその中に含有するフルオロポリマー層であって、該発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、該フルオロポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記フルオロポリマー層;
ii)a)200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有するフルオロポリマー層;及び
b)該フルオロポリマー層上の発光性成分であって、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示す、前記発光性成分
のいずれかと、
iii)前記フルオロポリマー層に付着された受け層
とを含む多層フィルムを含む物品を提供し;
II)200nm〜300nmの範囲の紫外線を該発光性成分に適用し;
III)該紫外線の適用から得られた発光応答を測定し;
IV)場合により、工程III)から測定された発光応答を、標準的な発光応答と比較すること
を含む、前記方法。
【請求項45】
発光性成分が、受け層に適用された、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
フィルムを形成するための方法であって、発光性成分を受け層上に適用し、その際、前記発光性成分が、200nm〜300nmの範囲の紫外線を適用するとルミネセンスを示し、そして次いで、前記発光性成分がポリマー層と前記受け層の間に位置するように、ポリマー層を前記受け層に付着することを含み、その際、該ポリマー層が、200nm〜300nmの範囲の紫外線に対して約10%以上の量の透過度を有する、前記方法。

【公表番号】特表2008−506565(P2008−506565A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522661(P2007−522661)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/025613
【国際公開番号】WO2006/014658
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】