説明

医薬固形製剤及びその製造方法

【課題】本発明は、本発明は、崩壊性に優れ、溶解性及び消化管からの有効成分の吸収性も良好な新規医薬固形製剤およびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明はの医薬固形製剤は、(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、並びに(c)カルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、及び平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬固形製剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記一般式(1)で表される7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン又はその塩(以下、これらを「ベンゾアゼピン化合物」という場合がある)は、バソプレシン拮抗剤として有用な化合物である(特許文献1)。
【0003】
【化1】

【0004】
しかしながら、上記ベンゾアゼピン化合物は、優れた薬理活性を有するものの、溶解性が悪く、消化管からの吸収性が十分ではないという欠点を有している。
【0005】
このような欠点を解決する手段として、ベンゾアゼピン化合物とヒドロキシプロピルセルロースを混合して非晶質な組成物とすることにより、ベンゾアゼピン化合物の溶解性を向上する技術が提案されている(特許文献2)。
【0006】
上記技術によってベンゾアゼピン化合物の溶解性を向上できるものの、ベンゾアゼピン化合物を含有する非晶質な組成物は、そのまま圧縮処理によって錠剤にすると、消化管で全く崩壊せずに医薬品としてその薬理効果は全く発揮されないという問題点を有する。
【0007】
特に、錠剤の形状に成形した場合、得られる錠剤の崩壊性は均質ではなく、崩壊に要する時間にバラツキが大きく、その結果、薬理効果にバラツキが生じ、均一な薬理効果が求められる医薬品が得られないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−154765号公報
【特許文献2】特開平11−21241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、崩壊性に一段と優れ、溶解性及び消化管からの有効成分の吸収性が良好な新規医薬固形製剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねて来た。その結果、ベンゾアゼピン化合物とヒドロキシプロピルセルロースとから得られる非晶質な組成物に特定の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合することにより、崩壊性に一段と優れ、溶解性及び消化管からの有効成分の吸収性も良好な医薬固形製剤が得られることを見出した。
【0011】
また、ベンゾアゼピン化合物とヒドロキシプロピルセルロースとから得られる非晶質な組成物にカルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム又はクロスポビドンを配合することによっても上記と同様の医薬固形製剤が得られることも見出した。
【0012】
本発明はこの様な知見に基づき完成されたものであり、下記項1〜30に示す医薬固形製剤及びその製造方法を提供する。
項1. (a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、並びに
(c)カルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、及び平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれた少なくとも1種
を含有する医薬固形製剤。
項2. (a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−1)平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
を含有する医薬固形製剤(以下、この固形製剤を「固形製剤A」という)。
項3. 前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは平均粒子径が45〜65μm、90%積算粒子径が100〜200μmである、項2に記載の医薬固形製剤。
項4. 前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは平均粒子径が45〜65μm、90%積算粒子径が150〜200μmである、項2に記載の医薬固形製剤。
項5. 医薬固形製剤の剤形が錠剤である項2〜4のいずれかに記載の医薬固形製剤。
項6. 工程(1):7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩と、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから非晶質な組成物を製造する工程、
工程(2):工程(1)で得られた非晶質な組成物と平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを混合する工程、及び
工程(3):工程(2)で得られた混合物を固形製剤とする工程
を備えた方法により製造される項2に記載の医薬固形製剤。
項7. 工程(1)と工程(2)の間に、工程(1)で得られた非晶質な組成物を造粒法により顆粒にする工程を備えた方法により製造される、項6に記載の医薬固形製剤。
項8. 工程(2)と工程(3)の間に、工程(2)で得られた混合物を造粒法により顆粒にする工程を備えた方法により製造される、項6に記載の医薬固形製剤。
項9. 工程(1):7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩と、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから非晶質な組成物を製造する工程、
工程(2):工程(1)で得られた非晶質な組成物と平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを混合する工程、及び
工程(3):工程(2)で得られた混合物を固形製剤とする工程
を備えた項2に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項10. 工程(3)が、工程(2)で得られた混合物を打錠して錠剤を製造する工程である、項9に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項11. 工程(1)と工程(2)の間に、工程(1)で得られた非晶質な組成物を造粒法により顆粒にする工程を備えた項9又は10に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項12. 工程(2)と工程(3)の間に、工程(2)で得られた混合物を造粒法により顆粒にする工程を備えた項9又は10に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項13. (a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−2)カルメロース
を含有する医薬固形製剤(以下、この固形製剤を「固形製剤B」という)。
項14. カルメロースの含有量が医薬固形製剤の全重量に対して7〜15重量%である項13に記載の医薬固形製剤。
項15. 工程(1):7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩と、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから非晶質な組成物を製造する工程、
工程(2):工程(1)で得られた非晶質な組成物とカルメロースとを混合する工程、及び
工程(3):工程(2)で得られた混合物を固形製剤とする工程
を備えた項13に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項16. 工程(3)が、工程(2)で得られた混合物を打錠して錠剤を製造する工程である、項15に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項17. 工程(1)と工程(2)の間に、工程(1)で得られた非晶質な組成物を造粒法により顆粒にする工程を備えた項15又は16に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項18. 工程(2)と工程(3)の間に、工程(2)で得られた混合物を造粒法により顆粒にする工程を備えた項15又は16に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項19. (a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−3)カルボキシメチルスターチナトリウム
を含有する医薬固形製剤(以下、この固形製剤を「固形製剤C」という)。
項20. カルボキシメチルスターチナトリウムの含有量が医薬固形製剤の全重量に対して0.5〜15重量%である項19に記載の医薬固形製剤。
項21. 工程(1):7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩と、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから非晶質な組成物を製造する工程、
工程(2):工程(1)で得られた非晶質な組成物とカルボキシメチルスターチナトリウムとを混合する工程、及び
工程(3):工程(2)で得られた混合物を固形製剤とする工程
を備えた項19に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項22. 工程(3)が、工程(2)で得られた混合物を打錠して錠剤を製造する工程である、項21に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項23. 工程(1)と工程(2)の間に、工程(1)で得られた非晶質な組成物を造粒法により顆粒にする工程を備えた項21又22に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項24. 工程(2)と工程(3)の間に、工程(2)で得られた混合物を造粒法により顆粒にする工程を備えた項21又は22に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項25. (a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−4)クロスポビドン
を含有する医薬固形製剤(以下、この固形製剤を「固形製剤D」という)。
項26. クロスポビドンの含有量が固形製剤の全重量に対して2〜15重量%である項25に記載の医薬固形製剤。
項27. 工程(1):7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩と、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから非晶質な組成物を製造する工程、
工程(2):工程(1)で得られた非晶質な組成物とクロスポビドンとを混合する工程、及び
工程(3):工程(2)で得られた混合物を固形製剤とする工程
を備えた項25に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項28. 工程(3)が、工程(2)で得られた混合物を打錠して錠剤を製造する工程である、項27に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項29. 工程(1)と工程(2)の間に、工程(1)で得られた非晶質な組成物を造粒法により顆粒にする工程を備えた項27又は28に記載の医薬固形製剤の製造方法。
項30. 工程(2)と工程(3)の間に、工程(2)で得られた混合物を造粒法により顆粒にする工程を備えた項27又は28に記載の医薬固形製剤の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の固形製剤は、崩壊性に一段と優れ、溶解性及び消化管からの有効成分の吸収性が良好である。特に、本発明の固形製剤Aは、さらに崩壊性に優れ、溶解性及び消化管からの有効成分の吸収性が良好である。
【0014】
また、本発明の固形製剤Aは、錠剤の形状に成形した場合、得られる錠剤の崩壊性が均質となり、崩壊に要する時間にバラツキが小さく、均一な薬理効果の発現が期待できる。
【0015】
さらに、本発明の固形製剤B、固形製剤C及び固形製剤Dも、崩壊性に著しく優れ、溶解性及び消化管からの有効成分の吸収性も良好である。
【0016】
本発明の製造方法によれば、これら優れた特性を有する医薬固形製剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の医薬固形製剤は、
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、並びに
(c)カルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、及び平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれた少なくとも1種
を含有するものである。
【0018】
本発明においては、(c)成分として平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを必須成分として含む製剤を固形製剤Aという。また、(c)成分としてカルメロースを必須成分として含む製剤を固形製剤B、(c)成分としてカルボキシメチルスターチナトリウムを必須成分として含む製剤を固形製剤C、(c)成分としてクロスポビドンを必須成分として含む製剤を固形製剤Dという。
【0019】
以下、固形製剤A、固形製剤B、固形製剤C、及び固形製剤Dの順に説明する。
【0020】
固形製剤A
上記のように、本発明の固形製剤Aは、
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩(ベンゾアゼピン化合物)、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c-1)平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
を含有する。
【0021】
(a)ベンゾアゼピン化合物
ベンゾアゼピン化合物は、下記一般式(1)で表される7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン又はその塩である。
【0022】
【化2】

【0023】
上記ベンゾアゼピンの塩とは、例えば、上記一般式(1)で表されるベンゾアゼピンと薬理的に許容し得る塩基性化合物又は酸と塩を形成したものである。
【0024】
ベンゾアゼピンと塩を形成しうる塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、ナトリウムメチラート、カリウムエチラート等のアルカリ金属アルコラート等を挙げることができる。
【0025】
ベンゾアゼピンと塩を形成しうる酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸等の無機酸、及び酢酸、p−トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、安息香酸等の有機酸を挙げることができる。
【0026】
さらに、ベンゾアゼピン化合物には、例えば、ベンゾアゼピンの水和物、エタノール和物等の溶媒和物が包含される。
【0027】
ベンゾアゼピン化合物としては、種々の結晶多形を(a)成分として使用できる。また、本発明のベンゾアゼピン化合物には、種々の立体異性体、光学異性体が存在するが、これらも同様に(a)成分として使用することができる。
【0028】
これら本発明のベンゾアゼピン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。すなわち、本発明においては、7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種を使用すればよい。
【0029】
本発明で用いられるベンゾアゼピン化合物は、公知の方法によって製造することができ、例えば、特開平4−154765号公報及び特開平11−21241号公報に開示された方法に従って製造すればよい。
【0030】
(b)ヒドロキシプロピルセルロース
(b)成分であるヒドロキシプロピルセルロースは、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%程度以上、好ましくは53〜80重量%程度である水に可溶なセルロースエーテルであり、下記一般式(2)
【0031】
【化3】

【0032】
[R、R及びRは、各々水素原子又は基
【0033】
【化4】

【0034】
(mは1以上の整数)を示す。]
で表される繰り返し単位を有する化合物である。
【0035】
ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロ−スとしては、前記式(2)で表される化合物であれば特に制限はないが、2%水溶液に調製した場合には、通常、20℃における粘度が2〜10cps、好ましくは3〜6cpsの範囲にあるのがよい。
【0036】
本発明で用いられるヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースは、公知の製造方法により製造することができ、また、市販品を用いることもできる。ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースの市販品としては、例えば、日本曹達社製の「HPC-L」,「HPC-SL」,「HPC-SSL」,ハーキュレス社製の「クルーセルEF」等が挙げられる。
【0037】
(c−1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、ヒドロキシプロポキシル基を5〜16重量%程度、好ましくは10〜13重量%程度含有するセルロースである。
【0038】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径は、例えば、30〜70μm程度、好ましくは45〜65μm程度である。
【0039】
また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの90%積算粒子径は、例えば、100〜200μm、好ましくは150〜200μm程度である。
【0040】
平均粒子径及び90%積算粒子径が上記の範囲であると、固形製剤の崩壊性の点で好ましい。
【0041】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシル基の含量は、例えば、日本薬局方に収載されている方法により測定することができる。
【0042】
また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの粒度分布及び平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて乾式で計測することができ、これらの数値から90%積算粒子径を求めることができる。
【0043】
また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、水可溶分が少ない方が、崩壊性の点で好ましい。水可溶分の割合は、好ましくは約3%以下である。
【0044】
本発明で用いられる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、公知の製造方法により製造することができ、また、市販品を用いることもできる。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「LH-11」、「LH-21」、「LH-B1」等が挙げられる。
【0045】
(c-1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは他の崩壊剤と併用してもよい。他の崩壊剤を併用する場合は、本発明の効果を阻害しない程度で用いることができる。(c-1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと他の崩壊剤を併用する場合は、他の崩壊剤は二種以上混合して使用してもよい。
【0046】
さらに、(c-1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、崩壊剤として用いられるだけでなく、他の目的、例えば結合剤、賦形剤等その他の添加剤として用いる場合もある。
【0047】
(c-1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、薬物の安定性、取り扱いの安定性の点で好ましい。
【0048】
固形製剤Aに含まれる(a)ベンゾアゼピン化合物の量は、特に限定されず、広範囲から適宜選択されるが、例えば、0.01〜95重量%程度、好ましくは0.05〜65重量%程度、より好ましくは0.1〜50重量%程度である。
【0049】
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、(a)ベンゾアゼピン化合物に対して、通常、重量比で0.01〜2倍程度、好ましくは0.1〜1.5倍程度、特に好ましくは0.2〜1倍程度とすればよい。
【0050】
(c-1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、固形製剤A中に通常、1〜15重量%程度、好ましくは2〜13重量%程度、より好ましくは3〜12重量%程度である。含有量がこの範囲であると良好な崩壊性が得られる。
【0051】
(a)ベンゾアゼピン化合物及び(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースは、非晶質な組成物の形態で固体製剤Aの中に含まれている。
【0052】
その他の成分
本発明の固形製剤Aには、上記(a)成分、(b)成分及び(c-1)成分に加えて、その他の成分を加えてもよい。その他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、pH調整剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の固形医薬製剤に配合可能な各種添加剤を含有することができる。その他の成分は、本発明の効果を妨げない範囲の含有量で用いることができる。
【0053】
固形製剤Aの剤形としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤等が挙げられる。
【0054】
本発明において好ましい剤形は、調製、飲用のしやすさ等の点から、散剤、顆粒剤、カプセル剤及び錠剤であり、錠剤が特に好ましい。
【0055】
固形製剤Aの製造方法
本発明の固形製剤Aの製造方法は、下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)を備える。
【0056】
工程(1):7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩(ベンゾアゼピン化合物)と、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから非晶質な組成物を製造する工程、
工程(2):工程(1)で得られた非晶質な組成物と低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを混合する工程、及び
工程(3):工程(2)で得られた混合物を固形製剤とする工程。
【0057】
以下、工程(1)、工程(2)及び工程(3)の各工程について説明する
工程(1)
工程(1)は、ベンゾアゼピン化合物とヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから、非晶質な組成物を製造する工程である。該非晶質な組成物は、種々の方法により製造することができ、例えば、以下の方法を挙げることができる。
【0058】
(i)所定量のベンゾアゼピン化合物とヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとを有機溶媒に溶解させたのち、有機溶媒を常法に従って留去することにより該非晶質な組成物は固形組成物(例えば、粉末)として得る。
【0059】
(ii)また、該非晶質な組成物は、二軸混練エクストルーダーに代表されるような加熱熔融混練技術を用いることによって得られる。この方法を用いると、有機溶媒を使用しないので環境汚染のリスクが低い、極めて製造効率が高い等の利点がある。
【0060】
(iii)さらに、該非晶質な組成物は、超音波製錠機(打錠機,圧縮成形機)を用いても製造することもできる。
【0061】
工程(1)で有機溶媒を使用する場合、有機溶媒としては、ベンゾアゼピン化合物及びヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースを溶解し得るものであれば特に制限はなく、従来公知のものを使用できる。
【0062】
該有機溶媒としては、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の低級アルコ−ル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;これらの混合溶媒等を挙げることができる。これらの有機溶媒の中でも、低級アルコ−ル及びハロゲン化炭化水素の混合溶媒が溶解性、溶媒留去等の点から好ましく、メタノ−ル及び/又はエタノ−ルとジクロロメタンとの混合溶媒が特に好ましい。
【0063】
低級アルコ−ル及びハロゲン化炭化水素の混合液を使用する場合、低級アルコ−ルとハロゲン化炭化水素との混合割合は、重量比で99:1〜1:99程度とすればよい。また、メタノ−ル及び/又はエタノ−ルとジクロロメタンとの混合溶媒を使用する場合、メタノ−ル及び/又はエタノ−ルとジクロロメタンとの混合割合は、重量比で99:1〜1:99程度、好ましくは10:90〜40:60程度とすればよい。さらに、これらの有機溶媒には、水を0.01〜5重量%程度添加してもよい。
【0064】
工程(1)で有機溶媒を使用する場合、有機溶媒の留去方法としては、例えば、エバポレ−ト法、噴霧乾燥法、流動層乾燥法等が挙げられ、これらの中でも噴霧乾燥法が好ましい。
【0065】
本発明の非晶質な組成物の形状は特に限定されず、例えば、粉末状であってもよいし、丸状や四角状等のある程度の大きさを有する固体状であってもよい。
【0066】
工程(2)
工程(2)は、上記工程(1)で得られた(a)成分及び(b)成分とからなる非晶質な組成物と(c-1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを混合する工程である。
【0067】
混合方法は、特に限定されない。混合機として、例えば、拡散式ブレンダー(容器回転式)、対流式ミキサー(機械攪拌式)、ニーダー,気流式ミキサー等を使用することができる。
【0068】
上記非晶質な組成物と(c-1)成分とを混合した後、さらに滑沢剤を混合してもよい。滑沢剤を混合すると、以下の工程(3)で固形製剤を調製する際に、打錠障害が軽減される等の効果が得られる。
【0069】
滑沢剤を混合する場合、滑沢剤としては、例えば、アラビアゴム末,カルナウバロウ,カルメロースカルシウム,カルメロースナトリウム,含水二酸化ケイ素,乾燥水酸化アルミニウムゲル,グリセリン脂肪酸エステル,ケイ酸マグネシウム,軽質無水ケイ酸,結晶セルロース,硬化油,合成ケイ酸アルミニウム,酸化マグネシウム,コムギデンプン,サラシミツロウ,重質無水ケイ酸,ショ糖脂肪酸エステル,ステアリルアルコール,ステアリン酸,ステアリン酸アルミニウム,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸ポリオキシル40,ステアリン酸マグネシウム、セタノール,ゼラチン,タルク,炭酸マグネシウム,沈降炭酸カルシウム,トウモロコシデンプン,乳糖,白糖,ハードファット,バレイショデンプン,フマル酸,フマル酸ステアリルナトリウム,ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール,ポリソルベート80,マクロゴール400,マクロゴール600,マクロゴール1500,マクロゴール4000,マクロゴール6000,ミツロウ,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,メチルセルロース,モノステアリン酸グリセリン,ラウリル硫酸ナトリウム,硫酸カルシウム,硫酸マグネシウム等が挙げられる。
【0070】
本発明の製造方法においては、工程(1)と工程(2)の間に、工程(1)で得られた非晶質な組成物を造粒法により顆粒にする工程(1’)、又は工程(2)と工程(3)の間に、工程(2)で得られた混合物を造粒法により顆粒にする工程(2’)を有するのが好ましい。
【0071】
工程(1’)及び(2’)における造粒法では、賦形剤及び結合剤を用いるのが好ましい。
【0072】
該造粒法で使用する賦形剤としては、例えば、L−アスパラギン酸,アメ粉,アラビアゴム,アラビアゴム末,アルギン酸,アルギン酸ナトリウム,アルファー化デンプン,イノシトール,エチルセルロース,エチレン・酢酸ビニル共重合体,エリスリトール,塩化ナトリウム,カオリン,カゼイン,カゼインナトリウム,果糖,カルボキシメチルスターチナトリウム,カルメロース,カルメロースカルシウム,カルメロースナトリウム,含水二酸化ケイ素,含水無晶形酸化ケイ素,カンテン,カンテン末,キシリトール,クエン酸,グリシン,グリセリン脂肪酸エステル,クロスカルメロースナトリウム,クロスポビドン,ケイ酸アルミン酸マグネシウム,ケイ酸カルシウム,ケイ酸マグネシウム,軽質無水ケイ酸,結晶セルロース,結晶セルロース・カルメロースナトリウム,硬化油,コムギデンプン,酢酸カリウム,酢酸カルシウム,酢酸フタル酸セルロース,酸化チタン,酸化マグネシウム,β−シクロデキストリン,重質無水ケイ酸,酒石酸,ショ糖脂肪酸エステル,水酸化アルミナマグネシウム,水酸化マグネシウム,ステアリルアルコール,ステアリン酸,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸ポリオキシル40,ステアリン酸マグネシウム,精製ゼラチン,精製セラック,精製尿素,精製白糖,セスキオレイン酸ソルビタン,セタノール,セトステアリルアルコール,ゼラチン,D−ソルビトール,第三リン酸カルシウム,ダイズ硬化油,大豆レシチン,タルク,炭酸アンモニウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,デキストリン,トウモロコシデンプン,二酸化ケイ素,乳酸アルミニウム,乳酸カルシウム,乳糖−一水和物,白色セラック,白糖,バレイショデンプン,微結晶セルロース,ヒドロキシプロピルスターチ,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒプロメロース2208,ヒプロメロース2906,ヒプロメロース2910,ヒプロメロースフタレート,部分アルファー化デンプン,プルラン,粉糖,粉末飴,粉末還元麦芽水アメ,ペクチン,ポビドン,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60,ポリスチレンスルホン酸ナトリウム,ポリソルベート80,マクロゴール400,マクロゴール1500,マクロゴール4000,マクロゴール6000,マルチトール,マルトース,D−マンニトール,水アメ,無水クエン酸,無水ケイ酸水和物,無水乳糖,無水硫酸ナトリウム,無水リン酸水素カルシウム,メタクリル酸コポリマーLD,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,メチルアクリレート・メタクリル酸コポリマー,メチルセルロース,モノステアリン酸アルミニウム,モノステアリン酸グリセリン,モノステアリン酸ソルビタン,ラウリル硫酸ナトリウム,硫酸アルミニウム,硫酸カルシウム,DL−リンゴ酸,リン酸一水素カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸水素ナトリウム,リン酸二水素カリウム,リン酸二水素カルシウム,リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。
【0073】
また、結合剤としては、例えば、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液,アミノアルキルメタクリレートコポリマーE,アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS,アミロペクチン,アメ粉,アラビアゴム,アラビアゴム末,アルギン酸ナトリウム,アルファー化デンプン,エチルセルロース,加水分解ゼラチン末,カゼインナトリウム,果糖,カルボキシビニルポリマー,カルボキシメチルエチルセルロース,カルボキシメチルスターチナトリウム,カルメロース,カルメロースナトリウム,含水二酸化ケイ素,カンテン,牛脂硬化油,カンテン末,グァーガム,グリセリン,軽質無水ケイ酸,結晶セルロース,硬化油,合成ケイ酸アルミニウム,高分子ポリビニルピロリドン,コポリビドン,米粉,コムギデンプン,酢酸ビニル樹脂,酢酸フタル酸セルロース,サラシミツロウ,ショ糖脂肪酸エステル,ステアリルアルコール,ステアリン酸,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸ポリオキシル40,精製ゼラチン,精製セラック,精製白糖,セスキオレイン酸ソルビタン,セタノール,セラック,ソルビタン脂肪酸エステル,D−ソルビトール,大豆レシチン,炭酸カルシウム,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,デキストリン,デンプン,トウモロコシデンプン,トラガント,トラガント末,乳糖,濃グリセリン,白色セラック,白糖,バレイショデンプン,微結晶セルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒプロメロース2208,ヒプロメロース2906,ヒプロメロース2910,ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート,ヒプロメロースフタレート,ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合物,ブドウ糖,部分アルファー化デンプン,フマル酸,フマル酸・ステアリン酸・ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート・ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910混合物,プルラン,プロピレングリコール,ペクチン,ポビドン,ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール,ポリソルベート80,ポリビニルアセタールビエチルアミノアセテート,ポリビニルアルコール(完全けん化物),ポリビニルアルコール(部分けん化物),ポリリン酸ナトリウム,マクロゴール400,マクロゴール1500,マクロゴール4000,マクロゴール6000,D−マンニトール,水アメ,ミツロウ,メタクリル酸コポリマーL,メタクリル酸コポリマーLD,メタクリル酸コポリマーS,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,メタリン酸ナトリウム,メチルセルロース,モノステアリン酸グリセリン,ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0074】
本発明の製造方法においては、工程(1)の後に工程(1’)、又は工程(2)の後に工程(2’)を経由すると、固形製剤全量に対する(a)成分の割合が低い、いわゆる低用量の固形製剤において(a)成分の含量均一性を改善することができる。また、顆粒とすることで重質化して打錠時の臼への充填性が改善するので、打錠障害を回避あるいは軽減することができる。
【0075】
工程(1’)及び(2’)における造粒法は、特に限定されず、目的とする剤形等によって適宜選択すればよいが、例えば、乾式造粒法、湿式造粒法(例えば、流動層造粒法、練合造粒法等)等が挙げられる。
【0076】
工程(3)
工程(3)は、工程(2)で得られた混合物を固形製剤にする工程である。
【0077】
固形製剤にする方法は、目的とする剤形よって異なるが、例えば、錠剤とする場合には、打錠して調製される。打錠する方法としては、例えば、乾式打錠法、湿式打錠法、外部滑沢打錠法等が挙げられる。
【0078】
また、医薬特有の風味改善、光安定性向上等を目的として、固形製剤をフィルムコーティングしてもよい。消化管内の溶出性を調節することを目的として、固形製剤Aに腸溶性被膜又は徐放性被膜を施してもよい。
【0079】
固形製剤B
本発明の固形製剤Bは、
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c-2)カルメロース
を含有する。
【0080】
以下、上記(a)成分、(b)成分及び(c-2)成分の各成分について説明する。
【0081】
(a)ベンゾアゼピン化合物
固形製剤Bで使用するベンゾアゼピン化合物は、上記固形製剤Aに含まれるベンゾアゼピン化合物と同じである。
【0082】
(b)ヒドロキシプロピルセルロース
固形製剤Bで使用するヒドロキシプロピルセルロースは、上記固形製剤Aに含まれるヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースと同じである。
【0083】
(c-2)カルメロース
カルメロースは、公知の製造方法により製造することができる。また、市販品が容易に入手可能であり、例えば、ニチリン化学工業(株)社製の「NS-300」等を使用すればよい。
【0084】
固形製剤Bにおいて、(c-2)カルメロースを他の崩壊剤と併用してもよい。併用する場合は、本発明の効果を阻害しない程度で用いることができる。(c-2)カルメロースと他の崩壊剤を併用する場合は、他の崩壊剤は二種以上混合して使用してもよい。
【0085】
また、(c-2)カルメロースは、崩壊剤として用いられるだけでなく、他の目的、例えば結合剤、賦形剤等その他の添加剤として用いる場合もある。
【0086】
固体製剤Bに含まれる(a)ベンゾアゼピン化合物の量は、特に限定されず、広範囲から適宜選択されるが、通常、0.01〜95重量%程度、好ましくは0.05〜65重量%程度、より好ましくは0.1〜50重量%程度である。
【0087】
(b)ヒドロキシプロポキシル基の含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、(a)ベンゾアゼピン化合物に対して、通常、重量比で0.01〜2倍程度、好ましくは0.1〜1.5倍程度、特に好ましくは0.2〜1倍程度とすればよい。
【0088】
(c−2)カルメロースの含有量は、固形製剤B中に通常、7〜15重量%程度、好ましくは9〜13重量%程度、より好ましくは10〜12重量%程度である。含有量がこの範囲であると良好な崩壊性が得られる。
【0089】
(a)ベンゾアゼピン化合物及び(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースは、非晶質な組成物の形態で固体製剤Bの中に含まれている。
【0090】
その他の成分
固形製剤Bには、上記固形製剤Aと同様、上記(a)成分、(b)成分及び(c−2)成分に加えて、その他の成分を加えてもよい。その他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、pH調整剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の固形医薬製剤に配合可能な各種添加剤を含有することができる。その他の成分は、本発明の効果を妨げない範囲の含有量で用いることができる。
【0091】
以上の(a)ベンゾアゼピン化合物、(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース及び(c−2)カルメロースを含有する固形製剤Bの剤形は、上記固形製剤Aと同様、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤等が挙げられ、好ましい剤形は、調製、飲用のしやすさ等の点から、散剤、顆粒剤、カプセル剤及び錠剤であり、特に錠剤が好ましい。
【0092】
固形製剤Bの製造方法
固形製剤Bは、上記固形製剤Aの製法において、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにカルメロースを用いる以外は固形製剤Aの製造法と同様にして製造される。
【0093】
固形製剤C
本発明の固形製剤Cは、
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−3)カルボキシメチルスターチナトリム
を含有する。
以下、上記(a)成分、(b)成分及び(c−3)成分の各成分について説明する。
【0094】
(a)ベンゾアゼピン化合物
固形製剤Cで使用するベンゾアゼピン化合物は、上記固形製剤Aに含まれるベンゾアゼピン化合物と同じである。
【0095】
(b)ヒドロキシプロピルセルロース
固形製剤Cで使用するヒドロキシプロピルセルロースは、上記固形製剤Aに含まれるヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースと同じである。
【0096】
(c−3)カルボキシメチルスターチナトリウム
カルボキシメチルスターチナトリウムは市販品が容易に入手可能であり、例えば、ロケット社製の「GLYCOLYS LV」、DMV社製の「プリモジェル」等を使用すればよい。
【0097】
(c−3)成分としては、部分アルファー化デンプンも使用できる。
【0098】
部分アルファー化デンプンは市販品が容易に入手可能であり、例えば、旭化成ケミカルズ社製の「PCS」、カラコン社製の「スターチ1500」、ロケット社製の「LYCATABC」等を使用すればよい。
【0099】
カルボキシメチルスターチナトリウムの平均粒子径は、例えば、105μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは20〜65μm程度である。
【0100】
部分アルファー化デンプンの平均粒子径は、例えば、150μm以下、好ましくは、100μm以下、より好ましくは15〜85μm程度である。
【0101】
また、部分アルファー化デンプンの水可溶分は、通常、常温水に対して20重量%以下程度、好ましくは10重量%以下程度、さらに好ましくは1〜4重量%程度である。
【0102】
本発明において崩壊剤として用いられるデンプン類は、固形製剤への使用量が少ないときは、金属を含んでいない部分アルファー化デンプン等も比較的よい崩壊性を示す。
【0103】
デンプン類の使用量が多くなると、金属を含有するカルボキシメチルスターチナトリウムの方が、金属を含んでいない部分アルファー化デンプンよりも、崩壊性が良好である。
【0104】
これに対して、上記の(c−1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び(c-2)カルメロース等のセルロース類の崩壊剤では、セルロース類の使用量にかかわらず、金属を含有しているものより、金属を含有していないものの方が良好な崩壊性を有する。
【0105】
固形製剤Cにおいて、(c-3)カルボキシメチルスターチナトリウムを他の崩壊剤と併用してもよい。併用する場合は、本発明の効果を阻害しない程度で他の阻害剤を用いることができる。(c-3)カルボキシメチルスターチナトリウムと他の崩壊剤と併用する場合は、他の崩壊剤は二種以上混合して使用してもよい。
【0106】
また、(c-3)カルボキシメチルスターチナトリウムは、崩壊剤として用いられるだけでなく、他の目的、例えば結合剤、賦形剤等その他の添加剤として用いる場合もある。
【0107】
固形製剤Cに含まれる(a)ベンゾアゼピン化合物の含有量は、特に限定されず広範囲から適宜選択されるが、通常、0.01〜95重量%程度、好ましくは0.05〜65重量%程度、より好ましくは0.1〜50%程度である。
【0108】
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、本発明の(a)ベンゾアゼピン化合物に対して、通常、重量比で0.01〜2倍程度、好ましくは0.1〜1.5倍程度、特に好ましくは0.2〜1倍程度とすればよい。
【0109】
(c-3)カルボキシメチルスターチナトリウムの含有量は、固形製剤C中に通常、0.5〜15重量%程度、好ましくは1〜10重量%程度、より好ましくは1〜5重量%程度である。含有量がこの範囲であると良好な崩壊性が得られる。
【0110】
(c-3)成分として部分アルファー化デンプンを使用する場合、その使用量は、特に限定されないが、例えば、固形製剤中における使用量は、固形製剤の全重量に対して、通常、1〜15重量%程度、好ましくは2〜10重量%程度、より好ましくは3〜7重量%程度である。
【0111】
その他の成分
また、固形製剤Cには、上記固形製剤Aと同様、上記(a)成分、(b)成分及び(c-3)成分に加えて、その他の成分を加えてもよい。その他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、pH調整剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の固形医薬製剤に配合可能な各種使用剤を含有することができる。その他の成分は、本発明の効果を妨げない範囲の含有量で用いることができる。
【0112】
以上の(a)ベンゾアゼピン化合物、(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース及び(c-3)カルボキシメチルスターチナトリウムを含有する固形製剤Cの剤形は、上記固形製剤Aと同様、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤等が挙げられ、好ましい剤形は、調製、飲用のしやすさ等の点から、散剤、顆粒剤、カプセル剤及び錠剤であり、錠剤が特に好ましい。
【0113】
固形製剤Cの製造方法
固形製剤Cは、上記固形製剤Aの製法において、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにカルボキシメチルスターチナトリウムを用いる以外は固形製剤Aの製造法と同様にして製造される。
【0114】
固形製剤D
本発明の固形製剤Dは、
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c-4)クロスポビドン
を含有する。
以下、上記(a)成分、(b)成分及び(c-4)成分の各成分について説明する。
【0115】
(a)ベンゾアゼピン化合物
固形製剤Dで使用するベンゾアゼピン化合物は、上記固形製剤Aに含まれるベンゾアゼピン化合物と同じである。
【0116】
(b)ヒドロキシプロピルセルロース
固形製剤Dで使用するヒドロキシプロピルセルロースは、上記固形製剤Aに含まれるヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースと同じである。
【0117】
(c-4)クロスポビドン
クロスポビドンとは、水不溶性であるN−ビニル−2−ピロリドンの架橋型合成ホモポリマーである。
【0118】
固形製剤Dに含まれる(a)ベンゾアゼピン化合物の含有量は、特に限定されず、広範囲から適宜選択されるが、通常、0.01〜95重量%程度、好ましくは0.05〜65重量%程度、より好ましくは0.1〜50%程度である。
【0119】
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、(a)ベンゾアゼピン化合物に対して、通常、重量比で0.01〜2倍程度、好ましくは0.1〜1.5倍程度、特に好ましくは0.2〜1倍程度とすればよい。
【0120】
(c-4)クロスポビドンの含有量は、特に限定されないが、固形製剤D中に通常、2〜15重量%程度、好ましくは、3〜12重量%程度、より好ましくは、3〜10重量%程度である。含有量がこの範囲であると良好な崩壊性が得られる。
【0121】
固形製剤Dにおいて、(c-4)クロスポビドンを他の崩壊剤と併用してもよい。併用する場合は、本発明の効果を阻害しない程度で他の崩壊剤を用いることができる。(c-4)クロスポビドンと他の崩壊剤として併用する場合は、他の崩壊剤は二種以上混合して使用してもよい。
【0122】
また、(c-4)クロスポビドンは、崩壊剤として用いられるだけでなく、他の目的、例えば結合剤、賦形剤等その他の添加剤として用いる場合もある。
【0123】
その他の成分
固形製剤Dには、上記(a)成分、(b)成分及び(c-4)成分に加えて、その他の成分を加えてもよい。その他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、pH調整剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の固形医薬製剤に配合可能な各種添加剤を含有することができる。その他の成分は、本発明の効果を妨げない範囲の含有量で用いることができる。
【0124】
以上の(a)ベンゾアゼピン化合物、(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース及び(c−4)クロスポビドンを含有する固形製剤Dの剤形は、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤等が挙げられ、好ましい剤形は、調製、飲用のしやすさ等の点から、散剤、顆粒剤、カプセル剤及び錠剤であり、錠剤が特に好ましい。
【0125】
固形製剤Dの製造方法
固形製剤Dは、上記固形製剤Aの製法において、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにクロスポビドンを用いる以外は固形製剤Aの製造法と同様にして製造される。
【0126】
本発明の上記固形製剤A〜Dの投与単位形態の製剤中には、有効成分である(a)ベンゾアゼピン化合物が約0.1〜120mg、好ましくは1〜90mg、より好ましくは5〜60mg の範囲で含有されるのが好ましい。
【0127】
固形製剤A〜Dの投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、通常、一日当り有効成分である(a)ベンゾアゼピン化合物の量が、体重1kg当り0.02〜2mg程度とするのがよい。
【実施例】
【0128】
以下に、参考例、実施例、比較例及び試験例を挙げて、本発明を一層明らかにするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0129】
参考例1(非晶質性粉末の調製)
7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン(以下、「主剤」という) 100gとヒドロキシプロポキシル基含量が53〜78重量%のヒドロキシプロピルセルロース [日本曹達社製,HPC-SL] 50g をジクロロメタン1390g及びエタノール350gの混合溶媒に溶解し、噴霧乾燥機 [大川原化工機社製,ODT-8型] で処理後、直ちに真空乾燥機 [タバイエスペック社製,LCV-232] で乾燥し、非晶質性粉末を調製した。
【0130】
参考例2(造粒物の調製)
上記非晶質性粉末135g、乳糖222g、トウモロコシデンプン60g及び結晶セルロース60gを混合し、攪拌流動造粒乾燥機 [パウレック社製,マルチプレックスMP-01]に投入した。ヒドロキシプロポキシル基含量が53〜78重量%のヒドロキシプロピルセルロース 5w/v%水溶液[日本曹達社製,HPC-L] 240gを用いて流動層造粒及び乾燥を行い、造粒物を得た。
【0131】
以下の実施例及び比較例において(c)成分として下記のものを使用した。
【0132】
(c)成分
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(平均粒子径が45〜65μm、90%積算粒子径が150〜200μm、ヒドロキシプロポキシル基含量が10.0〜12.9重量% 信越化学工業(株)社製のLH-11)
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(平均粒子径が35〜55μm、90%積算粒子径が100〜150μm、ヒドロキシプロポキシル基含量が10.0〜12.9重量% 信越化学工業(株)社製のLH-21)
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(平均粒子径が17〜23μm、90%積算粒子径が40〜100μm、ヒドロキシプロポキシル基含量が10.0〜12.9重量% 信越化学工業(株)社製のLH-31)
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(平均粒子径が45〜65μm、90%積算粒子径が100〜150μm、ヒドロキシプロポキシル基含量が10.0〜12.9重量% 信越化学工業(株)社製のLH-B1)
・カルメロース((カルボキシメチルセルロース) ニチリン化学工業社製のNS-300)
・カルボキシメチルスターチナトリウム(63μm以上の粒子が5%以下,DMV社製の
プリモジェル)
・部分アルファー化デンプン(平均粒子径が70μm、水可溶分が3重量%以下,旭化成ケミカルズ社製のPCS PC-10)
・クロスポビドン(平均粒子径が75μm、ISP社製のポリプラスドンXL)
・カルメロースカルシウム((カルボキシメチルセルロースカルシウム)ニチリン化学工業社製のECG-505)
・クロスカルメロースナトリウム((クロスカルボキシメチルセルロースカルシウム)FMCインターナショナル社製のAc-Di-Sol)。
【0133】
実施例1
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、LH-11 0.3g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し,精密万能試験機 [島津製作所社製,オートグラフAG-I型]によって、圧縮力6kN、圧縮速度 20mm/minの操作条件で主剤15mgを含有する重量約84mgの平面錠(直径6mm)を製造した。LH-11の含有量は、平面錠中、1.2重量%であった。
【0134】
実施例2
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、LH-11 1.4g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。LH-11の含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0135】
実施例3
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、LH-11 2.9g及びステアリン酸マグネシウム0.4gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約92mgの平面錠を得た。LH-11の含有量は、平面錠中、10.3重量%であった。
【0136】
実施例4
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、LH-11 4.4g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約97mgの平面錠を得た。LH-11の含有量は、平面錠中、14.9重量%であった。
【0137】
実施例5
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、LH-21 0.5g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。LH-21の含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0138】
実施例6
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、LH-B1 0.5g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。LH-B1の含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0139】
比較例1
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、ステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約83mgの平面錠を得た。
【0140】
比較例2
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、LH-31 0.1g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約84mgの平面錠を得た。LH-31の含有量は、平面錠中、1.2重量%であった。
【0141】
比較例3
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、LH-31 0.5g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。LH-31の含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0142】
比較例4
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、Ac-Di-Sol 0.3g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約84mgの平面錠を得た。Ac-Di-Solの含有量は、平面錠中、1.2重量%であった。
【0143】
比較例5
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、Ac-Di-Sol 1.3g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。Ac-Di-Solの含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0144】
比較例6
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、Ac-Di-Sol 2.9g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約92mgの平面錠を得た。Ac-Di-Solの含有量は、平面錠中、10.3重量%であった。
【0145】
比較例7
上記参考例2で調製した造粒物24.5とAc-Di-Sol 4.4g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約97mgの平面錠を得た。Ac-Di-Solの含有量は、平面錠中、14.9重量%であった。
【0146】
比較例8
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、ECG-505 0.3g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約84mgの平面錠を得た。ECG-505の含有量は、平面錠中、1.2重量%であった。
【0147】
比較例9
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、ECG-505 1.4g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。ECG-505の含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0148】
比較例10
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、ECG-505 2.9g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約92mgの平面錠を得た。ECG-505の含有量は、平面錠中、10.3重量%であった。
【0149】
比較例11
上記参考例2で調製した造粒物24.5g、ECG-505 4.4g及びステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約97mgの平面錠を得た。ECG-505の含有量は、平面錠中、14.9重量%であった。
【0150】
試験例1
上記調製した実施例1〜6及び比較例1〜11の平面錠それぞれ6つずつについて、日本薬局方崩壊試験方法(試験液: 水,補助盤なし)に従って、崩壊試験を行った。実施例1〜6及び比較例1〜11の崩壊試験の結果を表1に示す。
【0151】
【表1】

【0152】
表1から次のことが分かる。
【0153】
LH-31(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(平均粒子径が17〜23μm、90%積算粒子径が40〜100μm))を使用した比較例2及び3の錠剤では、崩壊剤を使用していない比較例1よりも崩壊時間が長くなった。また、Ac-Di-Sol(クロスカルメロースナトリウム)を1.2重量%含む比較例4、及びECG-505(カルメロースカルシウム)を1.2重量%含む比較例8では、崩壊剤が含まれていない比較例1の錠剤に対してわずかに崩壊時間が短くなったが、錠剤中のAc-Di-Sol及びECG-505の割合を5.2重量%、10.3重量%及び14.9重量%と増やした場合(比較例5〜7及び比較例9〜11)には、いずれも崩壊時間が著しく長くなった。
【0154】
比較例4〜7のAc-Di-Sol及び比較例8〜11のECG-505は、スーパー崩壊剤として知られているが、本発明で使用する崩壊剤の代わりにこれらのスーパー崩壊剤を錠剤中に含有した場合、崩壊性は良好でなく、崩壊剤の含有量を増やすと崩壊性が著しく低下した。
【0155】
これに対して、崩壊剤としてLH-11を使用した実施例1〜4の錠剤では、表1から明らかなように、比較例1〜11に比べて、顕著に崩壊時間が短くなり、崩壊性が極めて良好であった。また、崩壊剤としてLH-21を使用した実施例5の固形製剤においても、崩壊剤が含有されていない比較例1に比べて、崩壊時間が短くなり、崩壊性が良好であった。さらに、崩壊剤としてLH-B1を使用した実施例6の固形製剤においても、崩壊剤が含有されていない比較例1に比べて、崩壊時間が短くなり、崩壊性が良好であった。
【0156】
試験例2
上記試験例1で測定した実施例2、5、6及び比較例3の各6つ(No.1〜6)の固形試料それぞれの崩壊時間、これら6つの平均崩壊時間、及び崩壊時間のバラツキを表2に示す。
【0157】
【表2】

【0158】
表2の通り、崩壊剤としてLH-11を使用した実施例2の崩壊時間のバラツキは3.9秒、LH-21を使用した実施例5の崩壊時間のバラツキは10.7秒、及びLH-B1を使用した実施例6の崩壊時間のバラツキは1.9秒であり、実施例2、5及び6の各錠剤の崩壊時間のバラツキは小さく、均一な薬理効果を発現できることが分かる。一方、LH-31を使用した比較例3の崩壊時間のバラツキは37.4秒と極めて大きかった。
【0159】
実施例7
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、NS-300 0.5g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。NS-300の含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0160】
実施例8
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、NS-300 1.0g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約92mgの平面錠を得た。NS-300の含有量は、平面錠中、10.3重量%であった。
【0161】
試験例3
上記調製した実施例7及び8の各固形試料それぞれ6つずつについて、日本薬局方崩壊試験方法(試験液: 水,補助盤なし)に従って、崩壊試験を行った。実施例7及び8の崩壊試験の結果を表3に示す。
【0162】
【表3】

【0163】
表3から次のことが分かる。
【0164】
崩壊剤としてカルメロースであるNS-300を使用した実施例7及び8においても、崩壊剤が含有されていない比較例1(表1に記載)に比べて崩壊時間が短くなり、崩壊性が良好であった。特に、錠剤中にNS-300を10.3重量%含有する実施例8は、上記比較例1〜11に比して崩壊時間が顕著に短くなり、崩壊性が極めて良好であった。
【0165】
実施例9
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、プリモジェル0.1g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約84mgの平面錠を得た。プリモジェルの含有量は、平面錠中、1.2重量%であった。
【0166】
実施例10
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、プリモジェル 0.5g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。プリモジェルの含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0167】
実施例11
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、プリモジェル1.0g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約92mgの平面錠を得た。プリモジェルの含有量は、平面錠中、10.3重量%であった。
【0168】
実施例12
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、PCS PC-10 0.5g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。PCS PC-10の含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0169】
実施例13
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、PCS PC-10 1.0g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約92mgの平面錠を得た。PCS PC-10の含有量は、平面錠中、10.3重量%であった。
【0170】
試験例4
上記調製した実施例9〜13の各固形試料それぞれ6つずつについて、日本薬局方崩壊試験方法(試験液: 水,補助盤なし)に従って、崩壊試験を行った。実施例9〜13の崩壊試験の結果を表4に示す。
【0171】
【表4】

【0172】
表4から次のことが分かる。
【0173】
崩壊剤としてカルボキシメチルスターチナトリムであるプリモジェルを使用した実施例9〜11において、崩壊剤が含有されていない比較例1に比べて崩壊時間が短くなり、崩壊性が良好であった。特に、プリモジェルを1.2重量%含有する実施例9は、比較例1〜11に比して顕著に崩壊時間が短くなり、崩壊性が極めて良好であった。
【0174】
また、崩壊剤として部分アルファー化デンプンであるPCS PC-10を使用した実施例12及び13においても、崩壊剤が含有されていない比較例1に比べて崩壊時間が短くなり、崩壊性が良好であった。
【0175】
実施例14
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、ポリプラスドンXL0.1g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約84mgの平面錠を得た。ポリプラスドンXLの含有量は、平面錠中、1.2重量%であった。
【0176】
実施例15
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、ポリプラスドンXL 0.5g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約87mgの平面錠を得た。ポリプラスドンXLの含有量は、平面錠中、5.2重量%であった。
【0177】
実施例16
上記参考例2で調製した造粒物8.2g、ポリプラスドンXL 1.0g及びステアリン酸マグネシウム0.1gを混合し、実施例1と同様な操作で主剤15mgを含有する重量約92mgの平面錠を得た。ポリプラスドンXLの含有量は、平面錠中、10.3重量%であった。
【0178】
試験例5
上記調製した実施例14〜16の各固形試料それぞれ6つずつについて、日本薬局方崩壊試験方法(試験液: 水,補助盤なし)に従って、崩壊試験を行った。実施例14〜16の崩壊試験の結果を表5に示す。
【0179】
【表5】

【0180】
表5から次のことが分かる。
【0181】
崩壊剤としてクロスポビドンであるポリプラスドンXLを使用した実施例14〜16の場合、何れも上記比較例1〜11に比して崩壊時間が短くなり、優れた崩壊性を示した。特に、固体製剤中にポリプラスドンXLを10.3重量%含有する実施例16では、顕著に崩壊時間が短くなり、崩壊性が極めて良好であった。
【0182】
実施例17
参考例1で得た非晶質性粉末 270g、乳糖 50.5 g、トウモロコシデンプン60 g、結晶セルロース 60gを混合し、得られた混合物を攪拌流動造粒乾燥機 [パウレック社製,マルチプレックスMP-01]に投入した。ヒドロキシプロポキシル基含量が53〜78重量%のヒドロキシプロピルセルロース 5w/v%水溶液 240gを用いて流動層造粒及び乾燥を行い,参考例2と同様にして造粒物を得た。得られた造粒物にLH-11を 27g,食用(FDC)青色2号アルミニウムレーキ 0.48g,ステアリン酸マグネシウム 6gを混合し,打錠用顆粒とした。これをロータリー式連続打錠機 [菊水製作所製,12HUK-AWC]を用いて打錠900kg,回転数 40rpmの条件で主剤 60mgを含有する重量約162mg、直径8mmの平面錠を得た。LH-11の含有量は平面錠中5.6重量%であった。
【0183】
実施例18
参考例1で得た非晶質性粉末 112.5g、乳糖 184.6 g、トウモロコシデンプン50 g、結晶セルロース 50gを混合し、得られた混合物を攪拌流動造粒乾燥機 [パウレック社製,マルチプレックスMP-01]に投入した。ヒドロキシプロポキシル基含量が53〜78重量%のヒドロキシプロピルセルロース 5w/v%水溶液 200gを用いて流動層造粒及び乾燥を行い,参考例2と同様にして造粒物を得た。得られた造粒物にLH-11を 22.5g,食用(FDC)青色2号アルミニウムレーキ 0.43g,ステアリン酸マグネシウム 5gを混合し,打錠用顆粒とした。これをロータリー式連続打錠機 [菊水製作所製,12HUK-AWC]を用いて打錠圧900kg,回転数 40rpmの条件で主剤 30mgを含有する重量約174mg、直径8mmの平面錠を得た。LH-11の含有量は平面錠中5.2重量%であった。
【0184】
実施例19
実施例18で得た打錠用顆粒をロータリー式連続打錠機 [菊水製作所製,12HUK-AWC]を用いて打錠圧900kg,回転数 40rpmの条件で主剤 15mgを含有する重量約87mg、直径6mmの平面錠を得た。LH-11の含有量は平面錠中5.2重量%であった。
【0185】
実施例20
参考例1で得た非晶質性粉末 56.3g、乳糖 255.8 g、トウモロコシデンプン50 g、結晶セルロース 50gを混合し、得られた混合物を攪拌流動造粒乾燥機 [パウレック社製,マルチプレックスMP-01]に投入した。ヒドロキシプロポキシル基含量が53〜78重量%のヒドロキシプロピルセルロース 5w/v%水溶液 200gを用いて流動層造粒及び乾燥を行い,参考例2と同様にして造粒物を得た。得られた造粒物にLH-11を 22.5g,食用(FDC)青色2号アルミニウムレーキ 0.45g,ステアリン酸マグネシウム 5gを混合し,打錠用顆粒とした。これをロータリー式連続打錠機 [菊水製作所製,12HUK-AWC]を用いて打錠圧1,000kg,回転数 50rpmの条件で主剤 15mgを含有する重量約180mg、直径8mmの平面錠を得た。LH-11の含有量は平面錠中5.0重量%であった。
【0186】
実施例21
参考例1で得た非晶質性粉末 33.75g、乳糖 350.25 g、トウモロコシデンプン60 g、結晶セルロース 60gを混合し、得られた混合物を攪拌流動造粒乾燥機 [パウレック社製,マルチプレックスMP-01]に投入した。ヒドロキシプロポキシル基含量が53〜78重量%のヒドロキシプロピルセルロース 5w/v%水溶液 240gを用いて流動層造粒及び乾燥を行い、参考例2と同様にして造粒物を得た。得られた造粒物にLH-11を 27g、ステアリン酸マグネシウム 6gを混合し、打錠用顆粒とした。得られた顆粒をロータリー式連続打錠機 [菊水製作所製,12HUK-AWC]を用いて打錠圧1,000kg,回転数 50rpmの条件で主剤 7.5mgを含有する重量約183mg、直径8mmの平面錠を得た。LH-11の含有量は平面錠中4.9重量%であった。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明の(a)ベンゾアゼピン化合物、(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース及び崩壊剤として(c-1)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、(c-2)カルメロース、(c-3)カルボキシメチルスターチナトリウム又は(c-4)クロスポビドンを含有する医薬固形製剤は、崩壊性に優れ、溶解性及び消化管からの有効成分の吸収性も良好であるので、医薬分野での利用価値が高い。
【0188】
さらに、本発明の製造方法によれば、これら優れた特性を有する医薬固形製剤を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、並びに
(c)カルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、及び平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれた少なくとも1種
を含有する医薬固形製剤。
【請求項2】
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−1)平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
を含有する医薬固形製剤。
【請求項3】
前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは平均粒子径が45〜65μm、90%積算粒子径が100〜200μmである、請求項2に記載の医薬固形製剤。
【請求項4】
医薬固形製剤の剤形が錠剤である請求項2に記載の医薬固形製剤。
【請求項5】
工程(1):7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩と、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから非晶質な組成物を製造する工程、
工程(2):工程(1)で得られた非晶質な組成物と平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを混合する工程、及び
工程(3):工程(2)で得られた混合物を固形製剤とする工程
を備えた方法により製造される、請求項2に記載の医薬固形製剤。
【請求項6】
工程(1)と工程(2)の間に、工程(1)で得られた非晶質な組成物を造粒法により顆粒にする工程を備えた方法により製造される、請求項5に記載の医薬固形製剤。
【請求項7】
工程(2)と工程(3)の間に、工程(2)で得られた混合物を造粒法により顆粒にする工程を備えた方法により製造される、請求項5に記載の医薬固形製剤。
【請求項8】
工程(1):7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩と、ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロースとから非晶質な組成物を製造する工程、
工程(2):工程(1)で得られた非晶質な組成物と平均粒子径が30〜70μm、90%積算粒子径が100〜200μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを混合する工程、及び
工程(3):工程(2)で得られた混合物を固形製剤とする工程
を備えた請求項2に記載の医薬固形製剤の製造方法。
【請求項9】
工程(3)が、工程(2)で得られた混合物を打錠して錠剤を製造する工程である、請求項8に記載の医薬固形製剤の製造方法。
【請求項10】
工程(1)と工程(2)の間に、工程(1)で得られた非晶質な組成物を造粒法により顆粒にする工程を備えた請求項8又は9に記載の医薬固形製剤の製造方法。
【請求項11】
工程(2)と工程(3)の間に、工程(2)で得られた混合物を造粒法により顆粒にする工程を備えた請求項8又は9に記載の医薬固形製剤の製造方法。
【請求項12】
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−2)カルメロース
を含有する医薬固形製剤。
【請求項13】
カルメロースの含有量が医薬固形製剤の全重量に対して7〜15重量%である請求項12に記載の医薬固形製剤。
【請求項14】
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−3)カルボキシメチルスターチナトリウム
を含有する医薬固形製剤。
【請求項15】
カルボキシメチルスターチナトリウムの含有量が医薬固形製剤の全重量に対して0.5〜15重量%である請求項14に記載の医薬固形製剤。
【請求項16】
(a)7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピン及び/又はその塩、
(b)ヒドロキシプロポキシル基含量が50重量%以上であるヒドロキシプロピルセルロース、及び
(c−4)クロスポビドン
を含有する医薬固形製剤。
【請求項17】
クロスポビドンの含有量が固形製剤の全重量に対して2〜15重量%である請求項16に記載の医薬固形製剤。

【公表番号】特表2010−530355(P2010−530355A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553855(P2009−553855)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/JP2008/061686
【国際公開番号】WO2008/156217
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】