説明

医薬活性化合物を制御して搬送するための組成物

本発明は、医薬活性化合物を徐放する医薬組成物、及び注入により動物に上記医薬組成物を投与することにより、動物の病気を治療又は予防する方法に関する。注入により上記医薬組成物を動物に投与すると、それらは、長期にわたり、上記医薬活性化合物を放出する持続性薬剤を形成する。上記医薬組成物をまた、経口投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続放出の医薬組成物と、持続放出の医薬組成物を用い、医薬活性化合物を動物に投与する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
長期間にわたって、薬物の治療域の血中濃度を維持することができる制御放出又は持続放出の製剤を用いて、薬物を投与することが望ましい場合が多い。これらの制御放出の製剤により、利便性及び親切さが増すため、投薬の頻度が減り、そして副作用の頻度及び重症性が減る。実質的に一定の血中濃度を保ち、そして薬物の血中濃度の変動を避けることにより、制御放出又は持続放出の製剤は、一日に何回か投与される一般的な即効型の製剤と比較して、一般的な即効型の製剤と共に得られるものよりもより良い治療プロファイルを提供することができる。
【0003】
制御放出又は持続放出の薬物放出に関する公知の方法は、埋込デバイス、例えば、浸透性ポンプ、及び移植、経口投与、又は注入されうる生体適合性マトリックスに分散させた薬物が含まれる。上記用途に用いられる生体適合性ポリマーの例には、ポリ(乳酸)及びポリ(乳酸−co−グリコール酸)が含まれる。上記ポリマーは、概して、長期にわたり、捕捉された薬物を継続的に放出する、in vivoでのゆっくりとした加水分解を受ける。上記ポリマー分解物は無毒であり、そして身体により代謝又は吸収される。例えば、生体適合性ポリマーが、ポリ(乳酸)又はポリ(乳酸−co−グリコール酸)である場合、分解生成物は、パレント酸(parent acid)、乳酸及びグリコール酸であり、身体に吸収される。
【0004】
米国特許第6,887,487号明細書及び同6,946,137号明細書は、注入可能な組成物を一緒に混合する医薬として許容可能な水溶性溶媒、脂溶性対イオン、及び薬理学的に活性な化合物の塩の組成を開示している。動物に注入した場合、組成物の少なくとも一部が沈殿し、長期にわたり、薬理学的に活性な化合物を徐放する持続性薬剤を形成する。
【0005】
米国特許出願第2004/0220264号明細書は、組成物と、当該組成物の製法と、酸性の医薬物質及び官能性物質の間の分子錯体を含む組成物の使用とを開示している。上記官能性物質は、アルカリ性アミノ酸、アミノ酸アミド、アミノ酸エステル、又は関連するアミノ酸であることができる。上記組成物は、皮膚組織内に薬物を供給するために有用な様である。
【0006】
米国特許出願第2004/0197408号明細書は、疎水性ブロック及び親水性ブロックを有するジブロックコポリマー、アミノ酸及びオリゴペプチドから選択される添加剤の製剤を開示している。水と混ぜた場合、上記製剤は、ミセル状の薬物搬送ビヒクルを形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、薬物の制御放出又は持続放出を与える、注入又はインプランテーション用に好適な薬物含有医薬組成物が、当業界に必要なままである。
本出願のセクション5における任意の引用文献の引用は、上記引用文献が本出願の先行技術であるものとしてと解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、
(ii)酸性の医薬活性化合物、及び
(iii)医薬として許容可能な有機溶媒を
含む医薬組成物に関し、上記医薬組成物は注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿を生成する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸エステルが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸アミドが含まれる。
【0009】
本発明は、
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、
(ii)カルボン酸、
(iii)中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩、及び
(iv)医薬として許容可能な有機溶媒
を含む医薬組成物にさらに関し、上記医薬組成物は注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿を生成する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸エステルが含まれる、実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸アミドが含まれる。
【0010】
本発明は、
(i)N−アシルアミノ酸、
(ii)塩基性の医薬活性化合物、及び
(iii)医薬として許容可能な有機溶媒
を含む医薬組成物にさらに関し、上記医薬組成物は注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿を生成する。
【0011】
本発明は、本発明の医薬組成物を必要としている動物に、当該組成物を投与することを含む、動物の病気を治療する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、医薬活性化合物を投与するための医薬組成物に関する。上記組成物により、医薬活性化合物の徐放又は制御放出が提供される。本発明は、本発明の医薬組成物を必要とする動物に、当該組成物を投与することを含む、動物の病気を治療する方法にさらに関する。
【0013】
本発明は、
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、及び
(ii)酸性の医薬活性化合物
を含む医薬組成物に関する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸エステルが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸アミドが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、固体である。
【0014】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む。
従って、本発明は、
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、
(ii)酸性の医薬活性化合物、及び
(iii)医薬として許容可能な有機溶媒
を含む医薬組成物にさらに関する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸エステルが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸アミドが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、上記医薬として許容可能な有機溶媒中に固形粒子の懸濁液を含む医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む。実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む医薬組成物は、注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿物が生成する。
【0015】
本発明は、
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、
(ii)カルボン酸、及び
(iii)中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩
を含む医薬組成物にさらに関する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸エステルが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬組成物には、アミノ酸アミドが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬組成物は固体である。
【0016】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む。
従って、本発明は、
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、
(ii)カルボン酸、
(iii)中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩、及び
(iv)医薬として許容可能な有機溶媒
を含む医薬組成物にさらに関する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物にはアミノ酸エステルが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬組成物にはアミノ酸アミドが含まれる。実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む医薬組成物は、上記医薬として許容可能な有機溶媒中に固形粒子の懸濁液を含む。実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む医薬組成物は、注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿物が生成する。
【0017】
本発明は、
(i)N−アシルアミノ酸、及び
(ii)塩基性の医薬活性化合物
を含む医薬組成物にさらに関する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、固体である。
【0018】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む。
従って、本発明は、
(i)N−アシルアミノ酸、
(ii)塩基性の医薬活性化合物、及び
(iii)医薬として許容可能な有機溶媒
を含む医薬組成物にさらに関する。
実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む医薬組成物は、上記医薬として許容可能な有機溶媒中に固形粒子の懸濁液を含む。実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む医薬組成物は、注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿物が生成する。
【0019】
5.1 定義
本明細書において、次の用語は、下記の意味を有する:
「C1〜C22の炭化水素基」は、1〜22個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和の、環状又は非環状の、芳香族又は非芳香族の、炭素環式又は複素環式基を意味する。同様に、「C1〜C21の炭化水素基」、「C1〜C18の炭化水素基」、「C6〜C18の炭化水素基」、「C8〜C18の炭化水素基」及び「C10〜C18の炭化水素基」は、それぞれ、1〜21の炭素原子数、1〜18の炭素原子数、6〜18の炭素原子数、8〜18の炭素原子数、及び10〜18の炭素原子数を有する、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和の、環状又は非環状の、芳香族又は非芳香族の、炭素環式又は複素環式基を意味する。
【0020】
従って、フレーズ「式:C(O)−R1のアシル基(式中、R1は、C1〜C21の基である。)」は、C1〜C21のアシル基(式中、R1は、1〜21の炭素原子数を有する、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和の、環状又は非環状の、芳香族又は非芳香族の、炭素環式の又は複素環式の炭化水素基である。)を意味する。R1が未置換のC1〜C21の基である式:C(O)−R1の典型的なアシル基には、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル(laurolyl)、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミオレオイル、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル、及びベンゾイルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、用語「塩」は、共有結合していないが、イオン相互作用によって化学結合した2種の化合物を意味する。
本明細書において、用語「医薬として許容可能な有機溶媒」は、動物に投与された場合に、妥当な利益/リスク比と釣り合い、過度の副作用(例えば、過度の毒性、炎症、又はアレルギー反応)を有しない有機溶媒を意味する。上記医薬として許容可能な有機溶媒は、米国食品医薬品局(FDA)により安全である(GRAS)であるとして一般的に認められている溶媒であることが好ましい。
【0022】
本明細書において、用語「水混和性有機溶媒」は、2層に分離することなく任意の比率で水と混合可能な有機溶媒を意味する。
本明細書において、用語「水溶性有機溶媒」は、高濃度で水に溶解する有機溶媒を意味する。典型的には、水溶性有機溶媒は、少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%、さらに好ましくは少なくとも約20重量%、そして最も好ましくは少なくとも約50重量%の量で、水に可溶である。例えば、トリアセチンは、約1:14の比で水に可溶であるので、水溶性溶媒とみなされる。
【0023】
本明細書において、フレーズ「沈殿を形成する」は、水又は生理環境(in vivo)に注入された場合、沈殿又は固体を形成する医薬組成物を意味する。沈殿は、in vitro又は生理環境(in vivo)内において、室温で、溶液中に形成した不溶性固体である。上記沈殿は、多くの形態(例えば、固体、結晶、ガム状塊、又はゲル)を採ることができる。上記沈殿は、ガム状塊又はゲルであることが好ましい。当該組成物は、本発明の組成物を水と混合しかつ98°Fにおいてろ過した場合に0.22μmのフィルター上に少なくとも10%の組成物を保持する沈殿を水中に形成する。典型的には、沈殿を形成させるために、約1mLの医薬組成物を、約5mLの水中に注入する。
【0024】
本明細書において、用語「脂肪酸」は、式:R−C(O)OH(式中、Rは、C6〜C22の直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和の炭化水素基である。)のカルボン酸を意味する。典型的な脂肪酸には、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミン酸(palmic acid)、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、用語「フルオロキノロン」は、次の基本構造:
【化1】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、種々の官能基であることができ、そしてXは、置換されていてもされていなくとも良い炭素又は窒素であることができる。)
を有する任意の化合物を意味する。
当業者は、フルオロキノロンが、本発明の組成物及び方法に有用であることを認めるであろう。典型的には、上記フルオロキノロンは抗生物質として有用であるが、それらはまた、他の病気(例えば、ネフローゼ症候群)を治療するために用いることができるであろう。
【0026】
本明細書において、フレーズ「注入できる(注入可能な)」又は「注入可能な組成物」は、シリンジ内に引き込むことができ、そして上記組成物の固形物の存在に起因する副作用を引き起こすことなく、動物の皮下、口腔内、筋肉内に注入することができる組成物を意味する。固形物には、結晶、ガム状塊、及びゲルが含まれるが、これらに限定されるものではない。典型的には、製剤又は組成物は、上記製剤を98°Fにおいてフィルターを通してろ過した場合に、10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下、及び最も好ましくは1%以下の上記製剤が、0.22μmのフィルター上に保持されたときは、注入可能であると考えられる。
【0027】
本明細書において、用語「懸濁液」は、水性又は非水性でありうる、溶媒に均一に分散された固形粒子を意味する。実施形態の一つでは、上記粒子は、Montgomeryville,PAのMicrotrac Inc.から販売されるような粒径分析器を用いて測定された約100μm未満の平均粒子サイズを有する。
【0028】
本明細書において、用語「動物」には、人間、イヌ科の動物、ネコ科の動物、ウマ科の動物、ウシ亜科の動物、羊科の動物、豚科の動物、両生類、爬虫類、及び鳥類が含まれるが、これらに制限されるものではない。典型的な動物には、牛、馬、羊、ブタ、有蹄動物、チンパンジー、サル、ヒヒ、ニワトリ、七面鳥、マウス、ウサギ、ラット、テンジクネズミ、犬、猫、及び人間が含まれるが、これらに限定されるものではない。実施形態の一つでは、上記動物は哺乳動物である。実施形態の一つでは、上記動物は人間である。実施形態の一つでは、上記動物は、イヌ科の動物、ネコ科の動物、ウマ科の動物、ウシ亜科の動物、羊科の動物、又は豚科の動物である。
【0029】
本明細書において、用語「医薬活性化合物」は、動物に薬理学的な作用を生じさせる化合物を意味する。典型的には、上記薬理学的な作用は、動物の病気を治療又は予防することである。
本明細書において、用語「病気」は、身体機能、気管系又は臓器の妨害、休止、不調を意味する。典型的な病気には、感染、例えば、バクテリア感染、ウイルス感染、菌感染、及び寄生虫感染;疾患、例えば、ガン;炎症;糖尿病;及び臓器不全が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、用語「有効な量」は、動物の病気を治療又は予防するのに十分な量を意味する。
フレーズ「治療」、「の治療」等には、特定の病気の回復又は休止が含まれる。
フレーズ「予防」、「の予防」等には、発病を避けることが含まれる。
【0031】
本明細書において、フレーズ「持続性薬剤」は、長期にわたり、医薬的に有効な量の医薬活性化合物を放出する、治療した動物の身体内で形成された医薬活性化合物を含む沈殿を意味する。
本明細書において、フレーズ「中性の医薬活性化合物」は、正味荷電を有しない医薬活性化合物を意味する。中性の医薬活性化合物には、双性イオンが含まれる。
【0032】
本明細書において、フレーズ「酸性の医薬活性化合物」は、酸性官能基、すなわち、塩基性官能基(アミン基等)にプロトンを供与することができる基を有する医薬活性化合物を意味する。典型的な酸性官能基には、−COOH(すなわち、カルボン酸基)、−S(O)2−OH(すなわち、スルホン酸基)、−OP(O)(OR)(OH)、−O(P)(OH)2、−P(O)(OR)(OH)、−(P)(OH)2)、−OP(O)(R)(OH)、及び−P(O)(R)(OH)(式中、Rは、所望により置換されてもよい炭化水素基である。)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、フレーズ「塩基性の医薬活性化合物」は、塩基性の官能基、すなわち、酸性官能基(カルボン酸基等)に由来するプロトンを受け入れることができる基を有する医薬活性化合物を意味する。
【0034】
本明細書において、フレーズ「医薬として許容可能な塩」は、医薬活性化合物の塩基性基と酸とから形成された塩である。実例となる塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クロリド、ブロミド、ヨージド、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、過クエン酸塩(acid citrate)、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシネート(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロネート(glucaronate)、サッカリン酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。用語「医薬として許容可能な塩」はまた、酸性官能基(カルボン酸官能基等)を有する医薬活性化合物と、医薬として許容可能な無機又は有機塩基とから調製した塩を指す。
【0035】
好適な塩基には、アルカリ金属類、例えば、ナトリウム、カリウム、及びリチウムの水酸化物;アルカリ土類金属、例えば、カルシウム及びマグネシウムの水酸化物;他の金属、例えば、アルミニウム及び亜鉛の水酸化物;アンモニア及び有機アミン、例えば、未置換又はヒドロキシル基置換化モノ−,ジ−,又はトリアルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−,ビス−,又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)、例えば、モノ−,ビス−,又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、又はトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン、例えば、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、又はトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N−メチル−D−グルカミン;及びアミノ酸、例えば、アルギニン、リジン等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、フレーズ「実質的に含まない」は、約2重量%未満、好ましくは約1重量%未満、さらに好ましくは約0.5重量%未満、そして最も好ましくは約0.2重量%未満を意味する。例えば、フレーズ「水を実質的に含まない医薬組成物」は、当該医薬組成物中の水の量が、当該医薬組成物の約2重量%未満、好ましくは当該医薬組成物の約1重量%未満、さらに好ましくは当該医薬組成物の約0.5重量%未満、そして最も好ましくは医薬組成物の約0.2重量%未満を意味する。
【0037】
本明細書において、用語「ソマトトロピン」は、動物の下垂体で生成したソマトトロピンの生物活性及び化学構造と実質的に同様である生物活性及び化学構造を有するポリペプチドを意味する。上記ソマトトロピンには、下垂体のソマトトロピン細胞から生成した天然ソマトトロピンと、遺伝的に変形させた微生物、例えば、E.coli、他のバクテリア、又は酵母によって発現したソマトトロピンとが含まれる。
【0038】
上記微生物が生成したソマトトロピンは、天然ソマトトロピンと同一のアミノ酸配列を有することができ、あるいは1箇所又は2箇所以上のアミノ酸配列の変形を有する類似体であることができ、強化された生物活性又はいくつかの他の優位性を付与することができる。ソマトトロピンには、種々の哺乳動物(例えば、蓄牛、例えば、乳牛、羊、ヤギ及び豚が含まれるが、これらに限定されるものではない。)において、改良された赤身対脂肪比(lean−to−fat ratio)、飼料効率、及びミルク生産に有用なホルモンが含まれる。典型的なソマトトロピンには、天然又は微生物が発現させたウシ亜科の動物、羊科の動物、及び豚科の動物のソマトトロピン;ウシ亜科の動物、豚科の動物、又は他の動物のプロラクチン;成長ホルモン放出因子;胎盤性ラクトゲン;及びインスリン様成長因子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
5.2 アミノ酸エステル
上記アミノ酸エステルは、任意のアミノ酸のエステル(すなわち、アミノ酸のカルボン酸基がC1〜C22のアルコールでエステル化されたアミノ酸)であることができる。
従って、上記アミノ酸エステルは、次の一般式(I):
【化2】

(式中、
Rはアミノ酸側鎖であり;そして
1はC1〜C22の炭化水素基である。)
を有する。
【0040】
当業者が容易に知るであろう様に、多種多様の基が、アミノ酸側鎖Rとして可能である。例えば、上記アミノ酸側鎖は、所望により置換されていてもよい炭化水素基であることができる。好適な置換基には、ハロ、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸、スルホン酸、芳香族基、及び芳香族又は非芳香族の複素環式基が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、上記アミノ酸側鎖は、C1〜C10の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素(所望により、チオール、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸、芳香族基、あるいは芳香族又は非芳香族の複素環式基により置換されている。);芳香族基、あるいは芳香族又は非芳香族の複素環式基である。
【0041】
上記アミノ酸エステルは、天然由来のアミノ酸又は合成により調製されたアミノ酸のエステルであることができる。上記アミノ酸は、D−アミノ酸又はL−アミノ酸であることができる。上記アミノ酸エステルは、天然に由来するアミノ酸のエステルであることが好ましい。上記アミノ酸エステルは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから選択されるアミノ酸のエステルであることがさらに好ましい。
【0042】
上記炭化水素基:R1は、任意のC1〜C22の炭化水素基であることができる。典型的なC1〜C22の炭化水素基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、アリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、cis−9−ヘキサデセニル、cis−9−オクタデセニル、cis,cis−9,12−オクタデセニル、及びcis,cis,cis−9,12,15−オクタデカトリエニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
実施形態の一つでは、R1は、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、直鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、分岐鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、飽和のアルキル基である。
【0044】
実施形態の一つでは、R1は、不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、直鎖、飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、直鎖、不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C6〜C18の炭化水素基である。
【0045】
実施形態の一つでは、R1は、C8〜C18の炭化水素基である。
実施形態の一つでは、R1は、C10〜C18の炭化水素基である。
実施形態の一つでは、R1は、C6〜C18の直鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C6〜C18の分岐鎖のアルキル基である。
【0046】
実施形態の一つでは、R1は、C6〜C18の飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C6〜C18の不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C8〜C18の直鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C8〜C18の分岐鎖のアルキル基である。
【0047】
実施形態の一つでは、R1は、C8〜C18の飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C8〜C18の不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C10〜C18の直鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C10〜C18の分岐鎖のアルキル基である。
【0048】
実施形態の一つでは、R1は、C10〜C18の飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R1は、C10〜C18の不飽和のアルキル基である。
【0049】
上記アミノ酸エステルは、J.March,Advanced Organic Chemistry,Reaction Mechanisms and Structure,4th ed.John Wiley & Sons,NY,1992,pp.393−400に記載されるような、当業者に周知の方法を用い、アミノ酸を、式:R1−OHのアルコールとエステル化させることにより得ることができる。上記アミノ酸を式:R1−OHのアルコールとエステル化させる場合には、保護基(続いて、エステル化反応の後、取り除かれる)を用いて、上記アミノ酸又はアルコールの一部の他の官能基を保護する必要がある。当業者は、上記アミノ酸を、式:R1−OHのアルコールとエステル化させる前に、どの官能基を保護する必要があるか容易に分かるであろう。好適な保護基は、T.W.GreeneらのProtective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.(1999)に記載されるように、当業者に公知である。
【0050】
5.3 アミノ酸アミド
上記アミノ酸アミドは、任意のアミノ酸のアミド(すなわち、アミノ酸のカルボン酸基が、C1〜C22アミンと反応し、アミドを与えるアミノ酸)であることができる。
従って、上記アミノ酸アミドは、次の一般式(I):
【化3】

(式中、
Rはアミノ酸側鎖であり;
3は、C1〜C22の炭化水素基であり;そして
4は、水素又はC1〜C22の炭化水素基である。)
を有する。
【0051】
多種多様の基が、アミノ酸側鎖Rに対する可能性を有する。例えば、上記アミノ酸側鎖は、所望により置換されていてもよい炭化水素基であることができることは、当業者は容易に分かるであろう。好適な置換基には、ハロ、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸、スルホン酸、芳香族基、及び芳香族又は非芳香族の複素環式基が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、上記アミノ酸側鎖は、C1〜C10の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素(所望により、チオール、アミノ、ヒドロキシ、カルボン酸、芳香族基、あるいは芳香族又は非芳香族の複素環式基により置換されている。);芳香族基、あるいは芳香族又は非芳香族の複素環式基である。
【0052】
上記アミノ酸アミドは、天然由来のアミノ酸又は合成により調製されたアミノ酸のアミドであることができる。上記アミノ酸は、D−アミノ酸又はL−アミノ酸であることができる。上記アミノ酸エステルは、天然に由来するアミノ酸のエステルであることが好ましい。上記アミノ酸エステルは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから選択されるアミノ酸のエステルであることがさらに好ましい。
【0053】
上記R3基は、任意のC1〜C22の炭化水素基であることができる。上記R4は、水素又は任意のC1〜C22の炭化水素基であることができる。典型的なC1〜C22の炭化水素基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、アリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、cis−9−ヘキサデセニル、cis−9−オクタデセニル、cis,cis−9,12−オクタデセニル、及びcis,cis,cis−9,12,15−オクタデカトリエニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は直鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は分岐鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は不飽和のアルキル基である。
【0055】
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、直鎖、飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、直鎖、不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C6〜C18の炭化水素基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C6〜C18の直鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C6〜C18の分岐鎖のアルキル基である。
【0056】
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C6〜C18の飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C6〜C18の不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C8〜C18の炭化水素基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C8〜C18の直鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C8〜C18の分岐鎖のアルキル基である。
【0057】
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C8〜C18の飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C8〜C18の不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C10〜C18の炭化水素基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C10〜C18の直鎖のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C10〜C18の分岐鎖のアルキル基である。
【0058】
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C10〜C18の飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、R4は水素であり、そしてR3は、C10〜C18の不飽和のアルキル基である。
実施形態の一つでは、各R3及びR4は、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のアルキル基であり、R3及びR4は同一又は異なることができる。
【0059】
実施形態の一つでは、各R3及びR4は、C6〜C18の炭化水素基であり、R3及びR4は同一又は異なることができる。
実施形態の一つでは、各R3及びR4は、C8〜C18の炭化水素基であり、R3及びR4は同一又は異なることができる。
実施形態の一つでは、各R3及びR4は、C10〜C18の炭化水素基であり、R3及びR4は同一又は異なることができる。
【0060】
実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、少なくとも6である。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、少なくとも8である。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、少なくとも10である。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、少なくとも12である。
【0061】
実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約6〜30の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約8〜30の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約10〜30の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約12〜30の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約6〜22の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約8〜22の範囲にわたる。
【0062】
実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約10〜22の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約12〜22の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約6〜18の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約8〜18の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約10〜18の範囲にわたる。実施形態の一つでは、R3及びR4における炭素原子の総数は、約12〜18の範囲にわたる。
【0063】
上記アミノ酸アミドは、J.March,Advanced Organic Chemistry,Reaction Mechanisms and Structure,4th ed.John Wiley&Sons,NY,1992,pp.417−427に記載されるように、当業者に周知の方法を用い、アミノ酸のカルボン酸基をアミド基に転換させて得ることができる。典型的には、上記アミノ酸を、アミノ酸誘導体、例えば、アミノ酸エステル又はアミノ酸の酸クロリドに転換させ、次いで、式:NHR34のアミンと反応させ、アミノ酸アミドを生成させる。上記アミノ酸及び式:NHR34のアミンは市販されており、あるいは当業者に周知の方法で調製することができる。
【0064】
上記アミノ酸の誘導体を生成するか、又はアミノ酸誘導体を式:NHR34のアミンと反応させる場合には、保護基(続いて、アミド化反応の後、取り除かれる)を用いて、上記アミノ酸誘導体又はアミンの他の官能基の一部を保護する必要がある。当業者は、上記アミノ酸誘導体を、NHR34のアミンと反応させる前に、どの官能基を保護する必要があるか容易に分かるであろう。好適な保護基は、T.W.GreeneらのProtective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.(1999)に記載されるように、当業者に公知である。
【0065】
5.4 カルボン酸
上記カルボン酸は、任意の医薬として許容可能なカルボン酸である。典型的には、上記カルボン酸は、C1〜C22のカルボン酸である。好適なカルボン酸には、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、デカン酸、ヘキサン酸、安息香酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、C6〜C22のカルボン酸である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、C8〜C22のカルボン酸である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、C10〜C22のカルボン酸である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、C6〜C18のカルボン酸である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、C8〜C18のカルボン酸である。
【0067】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、C10〜C18のカルボン酸である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、飽和脂肪酸である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は、不飽和脂肪酸である。
【0068】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はジカルボン酸である。好適なジカルボン酸には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、及びピメリン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。
上記カルボン酸は市販されており、あるいは当業者に周知の方法で調製することができる。
【0069】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシルアミノ酸である。
上記N−アシルアミノ酸は、次の一般式(II):
【化4】

(式中、
Rはアミノ酸側鎖であり、そして上記に規定され;そして
2は、式:C(O)−R5のアシル基であり、ここで、R5は置換されたC1〜C21の炭化水素基である、すなわち、当該アシル基:R2は、C1〜C22のアシル基である。)
を有する。
式:C(O)−R5の典型的なアシル基には、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、カプロイル、ヘプトイル、オクトイル、ノノイル、デコイル、ウンデコイル、ドデコイル、トリデコイル、テトラデコイル、ペンタデコイル、ヘキサデコイル、ヘプタデコイル、オクタデコイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミオレオイル、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル、及びベンゾイルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
実施形態の一つでは、R5はC5〜C21の炭化水素基である、すなわち、式:C(O)−R5のアシル基は、C6〜C22のアシル基である。
実施形態の一つでは、R5は、C7〜C21の炭化水素基である、すなわち、式:C(O)−R5のアシル基は、C8〜C22のアシル基である。
実施形態の一つでは、R5は、C9〜C21の炭化水素基である、すなわち、式:C(O)−R5のアシル基は、C1O〜C22のアシル基である。
【0071】
実施形態の一つでは、R5は、C5〜C17の炭化水素基である、すなわち、式:C(O)−R5のアシル基は、C6〜C18のアシル基である。
実施形態の一つでは、R5は、C7〜C17の炭化水素基である、すなわち、式:C(O)−R5のアシル基は、C8〜C18のアシル基である。
実施形態の一つでは、R5は、C9〜C17の炭化水素基である、すなわち、式:C(O)−R5のアシル基は、C10〜C18のアシル基である。
【0072】
実施形態の一つでは、式:C(O)−R5のアシル基は、飽和又は不飽和脂肪酸から得られる。
実施形態の一つでは、式:C(O)−R5のアシル基は、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミオレオイル、オレオイル、リノレオイル、又はリノレノイル基である。
【0073】
N−アシル化アミノ酸を、当業者に周知の方法で得ることができる。例えば、当業者に周知の方法を用いて、アミノ酸を、式:T−C(O)−R5(式中、Tはハライド、好ましくはクロリドであり、そしてR1は上記の通りである。)の酸ハロゲン化物と反応させることにより、上記N−アシル化アミノ酸を得ることができる。上記アミノ酸を、式:T−C(O)−R5の酸ハロゲン化物とN−アシル化させる場合には、保護基(続いて、アシル化反応の後、取り除かれる)を用いて、上記アミノ酸又は酸ハライドの他の官能基の一部を保護する必要がある。当業者は、上記アミノ酸を、式:T−C(O)−R5の酸ハロゲン化物とアシル化させる前に、どの官能基を保護する必要があるか分かるであろう。好適な保護基は、T.W.GreeneらのProtective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.(1999)に記載されるように、当業者に公知である。
【0074】
酸ハロゲン化物を、J.MarchのAdvanced Organic Chemistry,Reaction Mechanisms and Structure,4th ed.John Wiley&Sons,NY,1992,pp.437−8に記載されるように、当業者に周知の方法を用いて得ることができる。例えば、酸ハロゲン化物は、カルボン酸を、チオニルクロリド、ブロミド、又はヨージドと反応させることにより調製することができる。また、カルボン酸を、三塩化リン又は三臭化リンと反応させることにより、それぞれ、酸塩化物及び酸臭化物を調製することができる。また、四塩化炭素中で、カルボン酸をPh3Pと反応させることにより、酸塩化物を調製することができる。カルボン酸をフッ化シアヌルと反応させることにより、酸フッ化物を調製することができる。
【0075】
5.5 医薬として許容可能な有機溶媒
任意の医薬として許容可能な有機溶媒を、本発明の医薬組成物中で用いることができる。典型的な、医薬として許容可能な有機溶媒には、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(すなわち、1,3−プロピレングリコール)、グリセロールホルマール、イソソルビドジメチルエーテル、エタノール、ジメチルスルホキシド、テトラグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリアセチン、プロピレンカーボネート、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、水溶性溶媒である。典型的な医薬として許容可能な水溶性の有機溶媒は、トリアセチンである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、水混和性の溶媒である。典型的な医薬として許容可能な水混和性の有機溶媒には、グリセロールホルマール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒にはピロリドンが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないピロリドンである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、N−メチル−2−ピロリドンが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まない−メチル−2−ピロリドンである。
【0078】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、ポリエチレングリコールが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないポリエチレングリコールである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、プロピレングリコールが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないプロピレングリコールである。
【0079】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、グリセロールホルマールが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないグリセロールホルマールである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、イソソルビドジメチルエーテルが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないイソソルビドジメチルエーテルである。
【0080】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、エタノールが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないエタノールである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、ジメチルスルホキシドが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないジメチルスルホキシドである。
【0081】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、テトラグリコールが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないテトラグリコールである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、テトラヒドロフルフリルアルコールが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないテトラヒドロフルフリルアルコールである。
【0082】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、トリアセチンが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないトリアセチンである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、プロピレンカーボネートが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないプロピレンカーボネートである。
【0083】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、ジメチルアセトアミドが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないジメチルアセトアミドである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒には、ジメチルホルムアミドが含まれる。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないジメチルホルムアミドである。
【0084】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、他の有機溶媒を実質的に含まないグリセロールホルマール中のプロピレングリコールである。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、グリセロールホルマール中の約10%のプロピレングリコールである。
【0085】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、動物による消費又は投与向けに、FDAによりGRASとして認められた溶媒である。
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、人間による消費又は投与向けに、FDAによりGRASとして認められた溶媒である。
【0086】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、水を実質的に含まない。水を実質的に含まない医薬として許容可能な有機溶媒が有利である。というのは、それらはバクテリアの成長の助けとならないからである。従って、水を実質的に含まない医薬組成物中に、防腐剤を含ませる必要がないのが一般的である。
【0087】
5.6 医薬活性化合物
本発明の組成物及び方法に有用な医薬として活性な薬剤の例には、α−アドレナリン作動薬、β−アドレナリン作動薬、α−アドレナリン遮断薬、β−アドレナリン遮断薬、アルドースレダクターゼ抑制剤、アナボリックステロイド(anabolic)、鎮痛薬(催眠性及び非催眠性)、アンドロゲン、麻酔薬、食欲抑制薬、駆虫薬(例えば、条虫、線虫、オンコセルカ属、住血吸虫等)、抗アレルギー剤、抗アメーバ剤(anti−ameboic)、抗アンドロゲン剤、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗動脈硬化薬、抗関節炎薬、抗生物質及び他の抗菌剤、抗コリン作動薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、高糖尿病剤、下痢止め薬、抗利尿剤、抗エストロゲン薬、抗真菌剤、抗緑内障薬、抗ゴナドトロピン剤、抗通風剤、抗ヒスタミン剤、抗高リポたんぱく血症薬、抗高血圧症薬、抗甲状腺機能亢進剤、抗肥大薬(anti−hypertrophy agent)、抗低血圧症薬、抗甲状腺機能低下剤、抗炎症剤、高マラリア薬、抗菌剤、抗片頭痛薬、抗嘔気薬、抗腫瘍薬、抗酸化物質、駆虫薬、抗パーキンソン症候群薬、抗褐色細胞腫剤、抗ニューモシスチス属(pneumocytis)剤、抗増殖剤(antiproliferative agent)、抗原生動物薬(例えば、リーシュマニア属、トリコモナス属、トリパンソマ(trypansoma)等)、抗そう痒性薬、抗乾癬薬(anti−psoratic agent)、抗精神病薬、解熱剤、抗リウマチ薬、抗リケッチア薬、抗脂漏薬、防腐薬、鎮痙薬、抗血栓剤、鎮咳薬、抗潰瘍薬、抗尿結石薬、抗蛇毒素、抗ウイルス薬、不安緩解剤、ベンゾジアゼピンアンタゴニスト、気管支拡張薬、カルシウムチャネルブロッカー、カルシウム調節剤、強心剤、キレート剤、化学療法薬、コレシストキニンアンタゴニスト、コレステロール系胆石溶解剤(cholelitholytic agent)、胆汁分泌促進薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ抑制剤、コリンエステラーゼ再活性化薬、中枢神経系刺激薬及び剤、うっ血除去薬、利尿剤、ドーパミン受容体作動薬、痛みを治療又は予防する薬物、外部奇生生物撲滅薬、酵素、酵素誘導物質、エストロゲン、胃液分泌抑制剤、グルココルチコイド、生殖腺刺激成分、性腺刺激ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、成長促進剤、溶血薬(hemolytic)、ヘパリン作動薬、肝臓保護剤、睡眠薬、免疫システム共力薬(booster)、免疫調節剤、免疫抑制剤、乳汁分泌刺激ホルモン、LH−RH刺激作動薬、脂肪親和剤(lipotropic)、紅斑性狼瘡抑制剤、鉱質コルチコイド、縮瞳薬、モノアミンオキシダーゼ抑制剤、粘液溶解薬、筋弛緩剤、催眠性アンタゴニスト、神経防護作薬(neuroprotective)、ネオトロピック(neotropic)、卵巣ホルモン、子宮収縮薬、ペプシン抑制剤、蠕動の刺激薬、黄体ホルモン薬、プロラクチン抑制剤、プロトグランディン(protoglandin)、プロストグランディン類似体、プロテアーゼ抑制剤、呼吸促進薬、硬化薬、鎮静剤、ステロイド、血栓溶解剤、甲状腺刺激ホルモン、経皮製剤強化剤(enhancer)、尿酸排泄薬、血管収縮剤、血管拡張剤(例えば、大脳、冠動脈、末梢等)、血管保護薬(vasoprotectant)、ビタミン、ビタミン源抽出物、傷薬(米国特許第5,719,197号明細書に列挙されるものを含むが、これらに限定されるものではない。開示全体を参照し、本明細書に組み入れる。)、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。他のさらに又は別の許容可能な医薬として活性な薬剤を、例えば、米国特許第6,221,383号明細書に見出すことができる(参照により、全体を本明細書に組み入れる)。
【0088】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、抗菌物質である。有用な抗菌物質の例には、β−ラクタム抗生物質、例えば、ペニシリン、アモキシリン、アンピシリン、及びセファロスポリン;マクロライド抗生物質、例えば、オレアンドマイシン及びエリスロマイシン;テトラサイクリン、例えば、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、及びクロルテトラサイクリン;プロカインペニシリンG;キノロン、例えば、ナリジクス酸及びノルフロキサシン;スルホンアミド;クロラムフェニコール;フロルフェニコール;チアンフェニコール、アミノグリコシド、例えば、ストレプトマイシン、カナマイシン、及びゲンタマイシン;ヌクレオシド抗生物質、例えば、ポリオキシンB;アクチノロジン(actinorhodine);バシトラシン;カンジシジンA;セフチオフォール(ceftiofor);クリンダマイシン;シクロヘキシミド;シクロセリン;ホスホマイシン;グリセオフルビン;メトロニダゾール;モネンシン;ノボビオシン;リファンピン;ストレプトスリシン;テトラナクチン;チルミコシン;チロシン;アクチノマイシンD;アドリアマイシン;ブレオマイシンB2;糖脂質、例えば、モエノマイシンA;マイトマイシンC;ノジリマイシン;バリノマイシン;及びバンコマイシンが含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P.SmithのLarge Animal Internal Medicine,2nd edn.,Mosby,St.Louis,1996,p.644、並びにS.Birchard及びR.SherdingのSaunders Manual of Small Animal Practice,W.B.Saunders Company,Philadelphia,1994,p.739を参照せよ。)。
【0089】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、抗菌薬である。有用な抗菌薬の例には、テルビナフィン、アンフォテリシンB、ケトコナゾール(ketaconazole)、ミコナゾール、5−フルオロシトシン、エニルコナゾール(enilconazole)、イトラコナゾール、チアベンダゾール及びヨージドが含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P.SmithのLarge Animal Internal Medicine,2nd edn.,Mosby,St.Louis,1996,p.576、並びにS.Birchard及びR.SherdingのSaunders Manual of Small Animal Practice,W.B.Saunders Company,Philadelphia,1994,p.576を参照せよ。)。
【0090】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、抗ウイルス薬である。有用な抗ウイルス薬の例には、インターフェロン及びアデフォビル(adefovir)が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P.SmithのLarge Animal Internal Medicine,2nd edn., Mosby,St.Louis,1996,p.646を参照せよ。)。
【0091】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、駆虫薬である。有用な駆虫薬の例には、ベンズイミダゾール、例えば、チアベンダゾール、フェンベンダゾール、メベンダゾール、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、アルベンダゾール、パルベンダゾール、及びフェバンテル;テトラヒドロピリジン、例えば、酒石酸モランテル/パモ酸ピランテル;レバミゾール、有機リン酸塩、例えば、ハロクソン、クーマホス、トリクロルホン、及びジクロルボス;ピペラジン塩;イベルメクチン;並びにフェノチアジンが含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P.SmithのLarge Animal Internal Medicine,2nd edn.,Mosby,St.Louis,1996,p.1688を参照せよ。)。
【0092】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、抗炎症性物質である。有用な抗炎症性物質の例には、ステロイド、例えば、βメタゾン;コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾン;抗ヒスタミン剤;及び非ステロイド系の抗炎症性薬物、例えば、アスピリン、フルニキシンメグルミン、フェニルブタゾン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、カルプロフェン、及びイブプロフェン(ibuprofin)が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Bradford P.SmithのLarge Animal Internal Medicine,2nd edn.,Mosby,St.Louis,1996,p.645を参照せよ。)。
【0093】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、たんぱく質である。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、ホルモンである。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、ペプチドである。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、インスリンである。
【0094】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、抗うつ薬である。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、フルオキセチンである。
当業者は、どのような医薬活性化合物が、中性の医薬活性化合物であり、そしてどのような医薬活性化合物が塩を形成しうるか、容易に分かるであろう。
【0095】
5.7 医薬組成物
5.7.1 (i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、(ii)酸性の医薬活性化合物とを含む医薬組成物
アミノ酸エステルは、任意の上述のアミノ酸エステルであることができる。
アミノ酸アミドは、任意の上述のアミノ酸アミドであることができる。
酸性の医薬活性化合物は、任意の酸性の医薬活性化合物であることができる。
【0096】
実施形態の一つでは、上記酸性の医薬活性化合物は、アスピリン、フルニキシン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、カルプロフェン、及びイブプロフェンから選択される抗炎症薬である。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、アデフォビル等の、リン酸化ヌクレオチドである。
【0097】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は固体である。理論によって縛られることを望まないが、上記固体は、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、酸性の医薬活性化合物との間で形成された塩であり、上記酸性の医薬活性化合物が、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのα−アミノ基にプロトンを付加すると考えられる。
【0098】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む。
上記医薬として許容可能な有機溶媒は、任意の上述の医薬として許容可能な有機溶媒であることができる。
【0099】
実施形態の一つでは、溶媒をさらに含む上記医薬組成物は、上記医薬として許容可能な有機溶媒中の固形粒子の懸濁液である。理論によって縛られることを望まないが、上記固形粒子は、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、酸性の医薬活性化合物との間で形成された塩を含み、上記酸性の医薬活性化合物が、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのα−アミノ基にプロトンを付加すると考えられる。
【0100】
実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒を含む医薬組成物は、注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿物を生成する。
【0101】
注入可能な医薬組成物を水に注入すると、沈殿を形成する。理論によって縛られることを望まないが、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのα−アミノ基が、酸性の医薬活性化合物によってプロトンを付加され、上記医薬として許容可能な有機溶媒に可溶であるが、水に不溶である塩を形成すると考えられる。従って、上記医薬組成物を動物に注入すると、上記医薬組成物の少なくとも一部が、注入部位で沈殿し、持続性薬剤を提供する。理論によって縛られることを望まないが、上記医薬組成物が動物に注入されると、上記医薬として許容可能な有機溶媒が注入部位から拡散し、そして水性の体液が注入部位に向かって拡散し、注入部位の水濃度が増加する結果となり、上記組成物の少なくとも一部を沈殿させ、そして持続性薬剤を形成させると考えられる。上記沈殿は、固体、結晶、ガム状塊、又はゲル状を採りうる。しかし、上記沈殿により、注入部位に、長期にわたり上記医薬活性化合物を放出する、上記医薬活性化合物の持続性薬剤が提供される。懸濁液である医薬組成物をまた、動物に注入すると、持続性薬剤を形成することができる。
【0102】
酸性の医薬活性化合物の酸性基:アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するモル比は、典型的には約1.5:1、好ましくは約1.25:1、さらに好ましくは約1.1:1、そして最も好ましくは約1:1である。従って、上記酸性の医薬活性化合物が、モノプロトン性カルボン酸である場合、酸性の医薬活性化合物:アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのモル比は、約1.5:1、好ましくは約1.25:1、さらに好ましくは約1.1:1、そして最も好ましくは約1:1である。しかし、上記酸性の医薬活性化合物が、ジカルボン酸である場合には、酸性の医薬活性化合物:アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの比率は、典型的には約0.75:1、好ましくは約0.625:1、さらに好ましくは約0.55:1、そして最も好ましくは約0.5:1である。
【0103】
酸性の医薬活性化合物上の酸性基の、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するモル比が1を超える場合には、上記医薬組成物はまた、非塩(non−salt)形態又は自由状態(free form)の酸性の医薬活性化合物を含む。自由状態の酸性の医薬活性化合物をさらに含む組成物は、動物に投与された際に、酸性の医薬活性化合物の初期投与量を与えるか、又はバーストする。従って、一部の実施形態では、酸性の医薬活性化合物上の酸性基の、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドに対するモル比は、バーストさせるために1を超える。
【0104】
しかし、典型的には、遊離の酸性の医薬活性化合物を実質的になくすために、上記医薬組成物は、酸性の医薬活性化合物中に、1当量の酸性官能基に対して、約1当量のアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドを含む。例えば、酸性の医薬活性化合物が酸性官能基を1つ有する場合、当該酸性の医薬組成物は、1当量の酸性の医薬活性化合物に対して、約1当量のアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドを含む。しかし、酸性の医薬活性化合物が、酸性官能基を2つ有する場合、当該酸性の医薬組成物は、典型的には、1当量の酸性の医薬活性化合物に対して、約2当量のアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドを含む。
【0105】
上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量を変えることにより、持続性薬剤から酸性の医薬活性化合物を放出させる速度が変わる可能性がある。一般的に、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドが脂溶性であればあるほど、薬物がますますゆっくり放出される。アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量は、当該アミノ酸エステル(又はアミノ酸アミド)を生成させるために用いられる、種々のアルコール(又はアミン)及び/又はアミノ酸に変更することにより変化させることができる。例えば、アミノ酸エステルの親油性及び/又は分子量は、当該アミノ酸エステルのR1炭化水素基を変えることにより変化させることができる。典型的には、R1の鎖長を長くすると、アミノ酸エステルの親油性が増す。同様に、アミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量は、当該アミノ酸アミドのR3又はR4基を変えることより変化させることができる。
【0106】
酸性の医薬活性化合物及びアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの総量は、典型的には、上記医薬組成物の約1〜90重量%、好ましくは上記医薬組成物の約5〜80重量%、さらに好ましくは上記医薬組成物の約7.5〜70重量%、そして最も好ましくは上記医薬組成物の約10〜60重量%の範囲にわたる。
【0107】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、フルニキシンである。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルニキシンであり、そして上記アミノ酸エステルはトリプトファンオクタノエートである。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルニキシンであり、上記アミノ酸エステルはトリプトファンオクタノエートであり、そして上記医薬として許容可能な有機溶媒は、グリセロールホルマール中の約5%のプロピレングリコールである。
【0108】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルニキシンであり、上記アミノ酸エステルはトリプトファンオクタノエートであり、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、グリセロールホルマール中の約5%プロピレングリコールであり、そしてフルニキシン及びトリプトファンオクタノエートの総量は、上記組成物の約25〜40重量%の範囲にわたる。
【0109】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルニキシンであり、上記アミノ酸エステルはトリプトファンオクタノエートであり、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、グリセロールホルマール中の約5%プロピレングリコールであり、そしてフルニキシン及びトリプトファンオクタノエートの総量は、上記組成物の約30〜35重量%の範囲にわたる。
【0110】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルニキシンであり、そして上記アミノ酸エステルはトリプトファンブタノエートである。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルニキシンであり、上記アミノ酸エステルはトリプトファンブタノエートであり、そして上記医薬として許容可能な有機溶媒は、グリセロールホルマール中の約5%プロピレングリコールである。
【0111】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルニキシンであり、上記アミノ酸エステルはトリプトファンブタノエートであり、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、グリセロールホルマール中の約5%プロピレングリコールであり、そしてフルニキシン及びトリプトファンブタノエートの総量は、上記組成物の約20〜35重量%の範囲にわたる。
【0112】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルニキシンであり、上記アミノ酸エステルはトリプトファンブタノエートであり、上記医薬として許容可能な有機溶媒は、グリセロールホルマール中の約5%プロピレングリコールであり、そしてフルニキシン及びトリプトファンブタノエートの総量は、上記組成物の約25〜32重量%の範囲にわたる。
【0113】
実施形態の一つでは、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドである。理論によって縛られることを望まないが、上記リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドが、リジンのエステルに関して下記に描写するように、2分子の酸性の医薬活性化合物を架橋させると考えられる:
【化5】

(式中、R1は上述の意味を有し、そして薬物:−C(O)O-は、上記酸性の医薬活性化合物である。)。
【0114】
実施形態の一つでは、上記酸性の医薬活性化合物は、リン酸化ヌクレオチド、例えば、アデフォビルである。
【0115】
上記医薬活性化合物上の酸性基:リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基のモル比は、典型的には、約1.5:1〜1:1.5の範囲にわたる。実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物上の酸性基:リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基のモル比は、約1.25:1〜1:1.25の範囲にわたる。実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物上の酸性基:リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基のモル比は、約1.1:1〜1:1.1の範囲にわたる。実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物上の酸性基:リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基のモル比は、約1:1である。
【0116】
実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約1:1より大きい。実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約2:1より大きい。実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約5:1より大きい。実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約8:1より大きい。
【0117】
実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約10:1より大きい。実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約12:1より大きい。実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約2:1〜5:1の範囲にわたる。実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約2:1〜8:1の範囲にわたる。
【0118】
実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約2:1〜10:1の範囲にわたる。実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約2:1〜12:1の範囲にわたる。
【0119】
実施形態の一つでは、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのアミン基:上記医薬活性化合物の酸性基は、約1:1より大きく、そしてリジンの一部又は全ての過剰のアミノ基を、脂肪酸で中和する。上述の脂肪酸のいずれも、リジンのアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの過剰のアミノ基を中和するために用いることができる。
【0120】
5.7.2 (i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、(ii)カルボン酸、(iii)医薬活性化合物又はその医薬として許容可能なその塩を含む医薬組成物
上記アミノ酸エステルは、任意の上述のアミノ酸エステルであることができる。
上記アミノ酸アミドは、任意の上述のアミノ酸アミドであることができる。
上記カルボン酸は、任意の上述のカルボン酸であることができる。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は脂肪酸である。
【0121】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸である。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は固体である。理論によって縛られることを望まないが、上記固体は、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、上記カルボン酸との間で形成された塩を含み、上記カルボン酸が、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのα−アミノ基にプロトンを付加すると考えられる。
【0122】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む。
上記医薬として許容可能な有機溶媒は、任意の上述の医薬として許容可能な有機溶媒であることができる。
【0123】
実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む医薬組成物は、上記医薬として許容可能な有機溶媒中に固形粒子の懸濁液である。理論によって縛られることを望まないが、上記固形粒子は、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、上記カルボン酸との間で形成された塩を含み、上記カルボン酸が、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドのα−アミノ基にプロトンを付加すると考えられる。
【0124】
実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒を含む医薬組成物は、注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿物が生成する。
上記医薬活性化合物は、中性の医薬活性化合物か、又は塩基性若しくは酸性の医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩であることができる。
【0125】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、中性の医薬活性化合物である。上記医薬活性化合物が、中性の医薬活性化合物である場合、上記医薬組成物は、各当量のカルボン酸中の酸性基に関し、約1当量のアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドを含む。例えば、上記カルボン酸がモノプロトン性カルボン酸である場合、上記医薬組成物は、各当量のカルボン酸に対して、約1当量のアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドを含み、そして上記カルボン酸がジカルボン酸である場合、上記医薬組成物は、各当量のカルボン酸に対して、約2当量のアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドを含む。
【0126】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、中性の医薬活性化合物であり、そして上記カルボン酸は脂肪酸である。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、中性の医薬活性化合物であり、そして上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸である。
【0127】
上記医薬組成物中の中性の医薬活性化合物の量は、典型的には、上記医薬組成物の約1〜90重量%、好ましくは上記医薬組成物の約5〜80重量%、さらに好ましくは上記医薬組成物の約7.5〜70重量%、そして最も好ましくは上記医薬組成物の約10〜60重量%の上記医薬組成物の範囲にわたる。
【0128】
しかし、当業者は、上記医薬組成物中の中性の医薬活性化合物の量は、上記医薬組成物中の中性の医薬活性化合物と、溶媒と、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、カルボン酸とによって決まるが、広く変化することを認めるであろう。
【0129】
医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む上記医薬組成中の上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとカルボン酸との総量は、典型的には、上記医薬組成物の約2重量%〜50重量%、好ましくは上記医薬組成物の約3重量%〜35重量%、さらに好ましくは上記医薬組成物の約4重量%〜25重量%、さらにいっそう好ましくは上記医薬組成物の約5重量%〜20重量%、そして最も好ましくは上記医薬組成物の約5重量%〜15重量%の範囲にわたる。
【0130】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はインスリンであり、上記カルボン酸はデカン酸であり、そして上記アミノ酸エステルはチロシンデカノエートであり、上記溶媒はグリセロールホルマールであり、デカン酸:チロシンデカノエートのモル比は約1:1であり、上記インスリンは、上記医薬組成物の約0.5〜15重量%の範囲の量で存在し、そしてデカン酸及びチロシンデカノエートの総量は上記医薬組成物の約15〜25重量%の範囲にわたる。
【0131】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物はフルオキセチンであり、上記カルボン酸はラウリン酸であり、上記アミノ酸エステルはチロシンブタノエートであり、上記溶媒はグリセロールホルマール中の10%のプロピレングリコールであり、フルオキセチンの量は上記組成物の約5〜30重量%の範囲にわたり、そしてフルオキセチン:ラウリン酸:トリプトファンブタノエートのモル比は約1:2:1である。フルオキセチンを含む本発明の医薬組成物を、別離不安を治療するために犬に投与することができ、あるいはおしっこをかけることを治療するために猫に投与することができる。
【0132】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物は、酸性又は塩基性の医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩である。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及び酸の間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及びカルボン酸の間で形成された塩である。
【0133】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及び脂肪酸の間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及びN−アシル化アミノ酸の間で形成された塩である。
【0134】
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物の塩は、酸性の医薬活性化合物及び塩基の間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記医薬活性化合物の塩は、酸性の医薬活性化合物と、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとの間で形成された塩である。
【0135】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は脂肪酸であり、そして上記医薬活性化合物は、酸性又は塩基性の医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は脂肪酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及び酸の間で形成された塩である。
【0136】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は脂肪酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及びカルボン酸の間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は脂肪酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及び脂肪酸の間で形成された塩である。
【0137】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は脂肪酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及びN−アシル化アミノ酸の間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は脂肪酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、酸性の医薬活性化合物及び塩基の間で形成された塩である。
【0138】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸は脂肪酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、酸性の医薬活性化合物と、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとの間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸であり、そして上記医薬活性化合物は、酸性又は塩基性の医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩である。
【0139】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物と酸との間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及びカルボン酸の間で形成された塩である。
【0140】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及び脂肪酸の間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、塩基性の医薬活性化合物及びN−アシル化アミノ酸の間で形成された塩である。
【0141】
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、酸性の医薬活性化合物及び塩基の間で形成された塩である。
実施形態の一つでは、上記カルボン酸はN−アシル化アミノ酸であり、そして上記医薬活性化合物の塩は、酸性の医薬活性化合物と、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとの間で形成された塩である。
【0142】
上記医薬活性化合物が医薬活性化合物の塩である場合、上記医薬組成物は、各当量のカルボン酸の酸性基に関して、約1当量のアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドを含む。
【0143】
上記医薬組成物中のアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、カルボン酸との総濃度は、典型的には、上記医薬組成物の約2重量%〜50重量%、好ましくは上記医薬組成物の約3重量%〜35重量%、さらに好ましくは上記医薬組成物の約4重量%〜25重量%、さらにいっそう好ましくは上記医薬組成物の約5重量%〜20重量%、そして最も好ましくは上記医薬組成物の約5重量%〜15重量%の範囲にわたる。
【0144】
上記医薬組成物中の酸性又は塩基性の医薬活性化合物の塩の量は、典型的には、上記医薬組成物の約1〜90重量%、好ましくは上記医薬組成物の約5〜80重量%、さらに好ましくは上記医薬組成物の約7.5〜70重量%、そして最も好ましくは上記医薬組成物の約10〜60重量%の範囲にわたる。
【0145】
しかし、当業者は、上記医薬組成物中の酸性又は塩基性の医薬活性化合物の塩の量は、上記医薬組成中で用いられる上記医薬活性化合物と、溶媒と、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、カルボン酸とによって広く変化することができることを認めるであろう。
上記医薬として許容可能な有機溶媒は、任意の上述の医薬として許容可能な有機溶媒でありうる。
【0146】
理論によって縛られることを望まないが、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む上記医薬組成物を動物に注入すると、上記医薬として許容可能な有機溶媒が注入部位から拡散し、そして水性の体液が注入部位に向かって拡散し、注入部位の水濃度が増加する結果となり、上記組成物の少なくとも一部を沈殿させ、そして持続性薬剤を形成させると考えられる。さらに、上記医薬組成物を動物に注入すると、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとカルボン酸との塩が沈殿し、上記医薬活性化合物をゆっくり放出する持続性薬剤を形成する。しかし、上記医薬活性化合物の塩はまた、沈殿物を形成することができる。
【0147】
好ましい実施態様では、上記医薬組成物は、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、脂肪酸と、医薬活性化合物の塩と、医薬として許容可能な有機溶媒とを含み、上記医薬活性化合物の塩は、酸性の医薬活性化合物と、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとの間で形成された塩である。この実施形態では、上記医薬組成物を動物に注入した場合に、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと脂肪酸との間で形成した塩、及び上記酸性の医薬活性化合物と上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとの間で形成した塩が沈殿し、長期にわたり上記医薬活性化合物をゆっくり放出する持続性薬剤を形成する。
【0148】
別の好ましい実施形態では、上記医薬組成物には、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、N−アシル化アミノ酸と、医薬活性化合物の塩と、医薬として許容可能な有機溶媒とが含まれ、上記医薬活性化合物の塩は、酸性の医薬活性化合物と、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとの間で形成された塩である。
【0149】
この実施形態では、上記医薬組成物を動物に注入した場合に、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとN−アシル化アミノ酸との間で形成した塩、及び上記酸性の医薬活性化合物と上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとの間で形成した塩が沈殿し、長期にわたり上記医薬活性化合物をゆっくり放出する持続性薬剤を形成する。
【0150】
上記組成物に、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、カルボン酸と、医薬活性化合物の塩とが含まれる場合、カルボン酸及びアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの間で塩を形成するアニオン(及びカチオン)と、医薬活性化合物の塩を形成するアニオン(及びカチオン)との交換があるであろうことが認められる。例えば、医薬活性化合物の塩が、塩基性の医薬活性化合物及び脂肪酸の間で形成された塩であり、そして上記カルボン酸がN−アシル化アミノ酸である場合、上記医薬組成物は、次の種を含むであろう:塩基性の医薬活性化合物及び脂肪酸の塩、塩基性の医薬活性化合物及びN−アシル化アミノ酸の塩、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと脂肪酸との塩、並びに上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドとN−アシル化アミノ酸との塩。
【0151】
上記医薬組成物を動物に注入した場合、これらの種のひとつ又は全てが沈殿し、長期にわたり上記医薬活性化合物をゆっくり放出する持続性薬剤を形成することができる。
【0152】
上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量を変えることにより、持続性薬剤から放出される上記酸性の医薬活性化合物の速度を変えることができる。一般的に、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドが脂溶性であればあるほど、薬物がますますゆっくり放出される。上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量は、アミノ酸エステル(又はアミノ酸アミド)を形成させるために用いられたアミノ酸及び/又はアルコール(又はアミン)を変えることにより変化させることができる。例えば、アミノ酸エステルの親油性及び/又は分子量は、当該アミノ酸エステルのR1炭化水素基を変えることにより変化させることができる。典型的には、R1の鎖長が長くなると、アミノ酸エステルの親油性が増す。
【0153】
同様に、アミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量は、上記アミノ酸アミドのR3又はR4基を変えることにより、変化させることができる。持続性薬剤から放出される上記医薬活性化合物の速度をまた、カルボン酸の親油性及び/又は分子量を変えることにより変化させることができる。一般的に、カルボン酸の脂溶性が増せば増すほど、ますますゆっくり薬物が放出される。カルボン酸の親油性及び/又は分子量を、カルボン酸の分子量を変えることにより変化させることができる。一般的に、カルボン酸の分子量が高くなればなるほど、ますますゆっくり薬物が放出される。同様に、上記N−アシルアミノ酸の新油性及び/又は分子量を、当該N−アシルアミノ酸のR5基を変えることにより変化させることができる。
【0154】
5.7.3 (i)N−アシルアミノ酸、及び(ii)塩基性の医薬活性化合物を含む医薬組成物
上記N−アシルアミノ酸は、任意の上述のN−アシルアミノ酸であることができる。
上記塩基性の医薬活性化合物は、任意の塩基性の医薬活性化合物でありうる。
【0155】
実施形態の一つでは、上記塩基性の医薬活性化合物は、ペニシリン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、ロキシスロマイシン(roxythromycin)、チルミコシン、オキシテトラサイクリン、及びドキシサイクリン(doxycyline)から成る群から選択される抗生物質である。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は固体である。理論によって縛られることを望まないが、上記固体は、N−アシルアミノ酸及び上記塩基性の医薬活性化合物の間で形成された塩であり、上記N−アシルアミノ酸が、上記塩基性の医薬活性化合物にプロトンを付加すると考えられる。
【0156】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む。
上記医薬として許容可能な有機溶媒は、任意の上述の医薬として許容可能な有機溶媒である。
【0157】
実施形態の一つでは、溶媒をさらに含む上記医薬組成物は、上記医薬として許容可能な有機溶媒中の固形粒子の懸濁液である。理論によって縛られることを望まないが、上記固形粒子は、N−アシルアミノ酸及び上記塩基性の医薬活性化合物の間で形成された塩であり、上記N−アシルアミノ酸が、上記塩基性の医薬活性化合物にプロトンを付加すると考えられる。
【0158】
実施形態の一つでは、医薬として許容可能な有機溶媒を含む上記医薬組成物は、注入可能であり、そして水に注入した場合に沈殿物を生成する。
【0159】
溶媒をさらに含む注入可能な医薬組成物を水に注入すると、概して沈殿を形成する。理論によって縛られることを望まないが、N−アシルアミノ酸のカルボン酸が、上記塩基性の医薬活性化合物にプロトンを付加し、上記医薬として許容可能な有機溶媒に可溶であるが、水に不溶である塩を形成すると考えられる。従って、上記医薬組成物を動物に注入すると、上記医薬組成物の少なくとも一部が注入部位で沈殿し、持続性薬剤を供給する。
【0160】
理論によって縛られることを望まないが、上記医薬組成物が動物に注入されると、上記医薬として許容可能な有機溶媒が注入部位から拡散し、そして水性の体液が注入部位に向かって拡散し、注入部位の水濃度が増加する結果となり、上記組成物の少なくとも一部を沈殿させ、そして持続性薬剤を形成させると考えられる。上記沈殿は、固体、結晶、ガム状塊、又はゲル状を採りうる。しかし、上記沈殿により、注入部位に、長期にわたり上記医薬活性化合物を放出する、上記医薬活性化合物の持続性薬剤が提供される。懸濁液である医薬組成物はまた、動物に注入すると、持続性薬剤を形成することができる。
【0161】
上記塩基性の医薬活性化合物の塩基性基:N−アシルアミノ酸のモル比は、典型的には約1.5:1、好ましくは約1.25:1、さらに好ましくは約1.1:1、そして最も好ましくは約1:1である。従って、上記塩基性の医薬活性化合物が一塩基性の化合物である場合、上記塩基性の医薬活性化合物:N−アシルアミノ酸のモル比は、約1.5:1、好ましくは約1.25:1、さらに好ましくは約1.1:1、そして最も好ましくは約1:1である。しかし、上記塩基性の医薬活性化合物が二塩基性化合物である場合、上記塩基性の医薬活性化合物:N−アシルアミノ酸の比率は、典型的には約0.75:1、好ましくは約0.625:1、さらに好ましくは約0.55:1、そして最も好ましくは約0.5:1である。
【0162】
上記塩基性の医薬活性化合物の塩基性基の、N−アシルアミノ酸に対するモル比が1より大きい場合、上記医薬組成物はまた、非塩形態又は自由状態の上記塩基性の医薬活性化合物を含む。自由状態の塩基性の医薬活性化合物をさらに含む組成物は、塩基性の医薬活性化合物の初期投与量を与えるか、又はバーストする。従って、一部の実施形態では、塩基性の医薬活性化合物上の塩基性基の、N−アシルアミノ酸に対するモル比は、バーストさせるために1を超える。
【0163】
しかし、典型的には、遊離の塩基性の医薬活性化合物を実質的になくすために、上記医薬組成物は、塩基性の医薬活性化合物において、1当量の塩基性官能基に対して、約1当量のN−アシルアミノ酸を含む。例えば、塩基性の医薬活性化合物が塩基性官能基を1つ有する場合、当該酸性の医薬組成物は、1当量の塩基性の医薬活性化合物に対して、約1当量のN−アシルアミノ酸を含む。しかし、塩基性の医薬活性化合物が、塩基性官能基を2つ有する場合、当該塩基性の医薬組成物は、典型的には、1当量の塩基性の医薬活性化合物に対して、約2当量のN−アシルアミノ酸を含む。
【0164】
上記N−アシルアミノ酸の親油性及び/又は分子量を変えることにより、持続性薬剤から塩基性の医薬活性化合物が放出される速度を変えることができる。一般的に、N−アシルアミノ酸が脂溶性であればあるほど、薬物がますますゆっくり放出される。N−アシルアミノ酸の親油性及び/又は分子量は、当該N−アシルアミノ酸を生成させるために用いられた、アミノ酸及び/又はアシル基を変えることにより変化させることができる。例えば、N−アシルアミノ酸の親油性及び/又は分子量は、当該N−アシルアミノ酸のR5炭化水素基を変えることにより変化させることができる。典型的には、R5の鎖長を長くすると、N−アシルアミノ酸の親油性が増す。
【0165】
上記医薬組成物中の上記塩基性の医薬活性化合物及びN−アシルアミノ酸の総量は、典型的には、上記医薬組成物の約1〜90重量%、好ましくは上記医薬組成物の約5〜80重量%、さらに好ましくは上記医薬組成物の約7.5〜70重量%、そして最も好ましくは上記医薬組成物の約10〜60重量%の範囲にわたる。
【0166】
実施形態の一つでは、上記塩基性の医薬活性化合物は、フルオロキノロンである。上記フルオロキノロンは、当業者に公知の任意のフルオロキノロンであることができる。本発明の組成物及び方法に有用な典型的なフルオロキノロンには、BE870,576、米国特許第4,448,962号明細書、ドイツ国特許第3,142,854号明細書、欧州特許第047,005号明細書、同206,283号明細書、BE887,574、欧州特許第221,463号明細書、同140,116号明細書、同131,839号明細書、同154,780号明細書、同078,362号明細書、同310,849号明細書、同520,240号明細書、米国特許第4,499,091号明細書、同4,704,459号明細書、同4,795,751号明細書、同4,668,784号明細書、及び同5,532,239号明細書に記載されるものが含まれるが、これらに限定されるものではない(参照により、これらの内容を本明細書に明示的に組み入れる。)。
【0167】
本発明の組成物及び方法に有用な典型的なフルオロキノロンには、シプロフロキサシン(Cipro(商標)として市販される)、エンロフロキサシン(Baytril(商標)として市販される)、エノキサシン(Penetrex(商標)として市販される)、ガチフロキサシン(Tequin(商標)として市販される)、ゲミフロキサシン(Factive(商標)として市販される)、レボフロキサシン(Levaquin(商標)として市販される)、ロメフロキサシン(Maxaquin(商標)として市販される)、モキシフロキサシン(Avelox(商標)として市販される)、ノルフロキサシン(Noroxin(商標)として市販される)、オフロキサシン(Floxin(商標)として市販される)、スパルフロキサシン(Zagam(商標)として市販される)、トロバフロキサシン(Trovan(商標)として市販される)、ジフロキサシン、シノフロキサシン、ペフロキサシン、トスフロキサシン、テマフロキサシン、フレロフロキサシン(flerofloxacin)、アミフロキサシン、ベノフロキサシン、ダノフロキサシン、フレロフロキサシン、マルボフロキサシン、ルフロキサシン(ruflocaxin)、及びサラフロキサシンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはシプロフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはエンロフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはガチフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはゲミフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはレボフロキサシンである。
【0169】
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはロメフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはモキシフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはオフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはスパルフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはトロバフロキサシンである。
【0170】
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはジフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはシノフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはペフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはトスフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはテマフロキサシンである。
【0171】
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはフレロフロキサシン。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはアミフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはベノフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはダノフロキサシンである。
【0172】
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはフレロフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはマルボフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはルフロキサシンである。
実施形態の一つでは、上記フルオロキノロンはサラフロキサシンである。
【0173】
5.7.4 上記医薬組成物の一般特性
典型的には、本発明の組成物を注入すると、得られる沈殿はガム状塊又はゲルである。典型的には、ガム状塊又はゲルの粘性率は、約10,000cP〜150,000cPの範囲にわたる。実施形態の一つでは、ガム状塊又はゲルの粘性率は、約50,000cP〜150,000cPの範囲にわたる。実施形態の一つでは、ガム状塊又はゲルの粘性率は、約65,000センチポイズ(cP)〜150,000cPの範囲にわたる。実施形態の一つでは、ガム状塊又はゲルの粘性率は、約75,000センチポイズ(cP)〜150,000cPの範囲にわたる。
【0174】
ガム状塊又はゲルの粘性率は、上記組成物を水に注入してガム状塊又はゲルを準備し、当該ガム状塊又はゲルを集めるために0.22μmフィルターを通してろ過して水及び医薬として許容可能な有機溶媒を除去し、次いで当該ガム状塊又はゲルの粘性率を測定して決定することができる。粘性率は、例えば、ブルックフィールドDV−E粘度計(Middleboro,MAのBrookfieldから市販される)を用いて測定することができる。別の実施形態では、上記沈殿は固体である、すなわち、流れ抵抗性を有する。別の実施形態では、上記固体は結晶性固体である。
【0175】
上記持続性薬剤から上記医薬活性化合物を放出する速度を、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの親油性及び/又は分子量を変えることにより制御することができる。典型的には、上記アミノ酸エステルが脂溶性であればあるほど、上記薬物はますますゆっくり放出される。アミノ酸エステルの親油性及び/又は分子量を、当該アミノ酸エステルのR1炭化水素基を変えることにより変化させることができる。典型的には、R1の鎖長が長くなればなるほど、ますます上記アミノ酸エステルの親油性が増す。同様に、上記アミノ酸アミドの新油性及び/又は分子量を、当該アミノ酸アミドのR3又はR4基を変えることにより変化させることができる。
【0176】
上記医薬組成物で用いられるカルボン酸はまた、上記持続性薬剤速度から上記医薬活性化合物を放出する速度に影響を与える。同様に、上記カルボン酸がN−アシルアミノ酸である場合、上記持続性薬剤速度から上記医薬活性化合物を放出する速度を、当該N−アシルアミノ酸の親油性及び/又は分子量を変えることにより制御することができる。典型的には、上記カルボン酸又はN−アシルアミノ酸が脂溶性であればあるほど、上記薬物はますますゆっくり放出される。上記カルボン酸の親油性及び/又は分子量はまた、当該カルボン酸の炭素原子数を変えることにより変化させることができる。上記N−アシルアミノ酸の親油性及び/又は分子量を、アシル基の炭化水素基R5を変えること、すなわち、式:C(O)−R5のアシル基を変えることにより変化させることができる。
【0177】
上記医薬組成物は、当業者に周知の1種又は2種以上の追加の賦形剤又は添加剤をさらに含むことができる。例えば、上記医薬製剤は、微生物の成長を抑制するため、防腐剤を含むことができる。好適な防腐剤には、パラベン、例えば、メチル、エチル、及びプロピルパラベン;クロロブタノール;安息香酸ナトリウム;ミリスチル−γ−ピコリニウムクロリド;ベンジルアルコール;及びエチルアルコールが含まれるが、これらに限定されるものではない。存在する場合には、防腐剤は、医薬組成物1mLあたり約5mg〜250mg、そして好ましくは医薬組成物1mLあたり約5mg〜100mgの量で存在する。
【0178】
実施形態の一つでは、注入部位における痛みを減少させるため、上記組成物は、局部麻酔薬、例えば、リドカインを含む。
固形の医薬組成物は、当業者に周知の追加の賦形剤、例えば、結合剤、希釈剤、潤滑剤をさらに含むことができる。好適な賦形剤の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Alfonso Gennaro ed.,19th ed.1995)に記載される(参照により、本明細書に組み入れる)。従って、上記固形の医薬組成物を、当業者に公知の方法(Remington’s Pharmaceutical Sciences(Alfonso Gennaro ed.,19th ed.1995)を用いて、経口投与向けにタブレットとして処方することができる。
【0179】
同様に、ゲル状の上記医薬組成物を、カプセル、例えば、硬質又は軟質ゼラチンカプセル中の医薬組成物に封入することにより、経口投与向けに処方することができる。
【0180】
上記医薬組成物の成分(上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、カルボン酸、有機溶媒、及び上記医薬活性化合物、並びに他の所望の成分)は、好ましくは生体適合性があり、そして無毒であり、そして長期にわたり、身体により単に吸収及び/又は代謝される。
【0181】
5.8 上記医薬組成物の製造
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、(ii)酸性の医薬活性化合物、及び(iii)医薬として許容可能な有機溶媒を含む本発明の医薬組成物を調製するために、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、上記酸性の医薬活性化合物とを、上記医薬として許容可能な有機溶媒中に単に溶解させ、溶液(概して、最終医薬組成物に望まれる溶媒量の約90%)を準備する。
【0182】
次いで、追加の賦形剤及び/又は添加剤を、上記溶液に溶解させることができる。次いで、さらなる医薬として許容可能な有機溶媒を添加し、所望の濃度の、上記医薬組成物中の上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドと、上記酸性の医薬活性化合物とを準備する。次いで、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド及び上記酸性の医薬活性化合物、並びに追加の賦形剤及び/又は添加剤の溶液をろ過することができ、好ましくは、瓶に直接、細菌ろ過することができる。
【0183】
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、及び(ii)酸性の医薬活性化合物を含む固形の医薬組成物を、(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、(ii)酸性の医薬活性化合物、及び(iii)医薬として許容可能な有機溶媒を含む本発明の医薬組成物を調製するために用いられたのと同一の様式で調製し、そして上記医薬として許容可能な有機溶媒をエバポレーションにより単に除去する。実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒を、減圧下で除去する。
【0184】
あるいは、(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、(ii)酸性の医薬活性化合物、及び(iii)医薬として許容可能な有機溶媒を含む医薬組成物を水で希釈し、固形の沈殿を準備し、そして当該固形の沈殿をろ過により収集し、そして所望により乾燥させることができる。得られた固形の医薬組成物を、所望により微粉砕して、より小さな粒子を準備することができる。賦形剤をまた、得られた固形の医薬組成物に添加することができる。
【0185】
同様に、(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、(ii)カルボン酸、(iii)中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩、及び(iv)医薬として許容可能な有機溶媒を含む本発明の医薬組成物を調製するために、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、カルボン酸、及び中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩を、上記医薬として許容可能な有機溶媒(概して、最終医薬組成物に望まれる溶媒量の約90%)に単に溶解させ、溶液を準備することができる。
【0186】
次いで、追加の賦形剤及び/又は添加剤を、上記溶液に溶解させることができる。次いで、さらなる医薬として許容可能な有機溶媒を添加し、所望の濃度の、上記医薬組成物中の上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、カルボン酸、中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩を準備する。次いで、上記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、カルボン酸、中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩、並びに追加の賦形剤及び/又は添加剤の溶液をろ過することができ、好ましくは、瓶に直接、細菌ろ過することができる。
【0187】
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、(ii)カルボン酸、及び(iii)中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩を含む固形の医薬組成物を、(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、(ii)カルボン酸、及び(iii)中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩並びに(iv)医薬として許容可能な有機溶媒を含む本発明の医薬組成物を調製するために用いられたのと同一の様式で調製し、そして上記医薬として許容可能な有機溶媒をエバポレーションにより単に除去する。
【0188】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒を、減圧下で除去する。あるいは、(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、(ii)カルボン酸、(iii)中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩を含む医薬組成物を水で希釈し、固形の沈殿を準備し、そして当該固形の沈殿をろ過により収集し、そして所望により乾燥させることができる。得られた固形の医薬組成物を、所望により微粉砕して、より小さな粒子を準備することができる。賦形剤をまた、得られた固形の医薬組成物に添加することができる。
【0189】
同様に、(i)N−アシルアミノ酸、(ii)塩基性の医薬活性化合物、及び(iii)医薬として許容可能な有機溶媒を含む本発明の医薬組成物を調製するために、上記N−アシルアミノ酸及び上記塩基性の医薬活性化合物を、上記医薬として許容可能な有機溶媒(概して、最終医薬組成物に望まれる溶媒量の約90%)に単に溶解させ、溶液を準備することができる。次いで、追加の賦形剤及び/又は添加剤を、上記溶液に溶解させることができる。次いで、さらなる医薬として許容可能な有機溶媒を添加し、所望の濃度の、上記医薬組成物中のN−アシルアミノ酸及び塩基性の医薬活性化合物を準備する。次いで、N−アシルアミノ酸エステル及び上記塩基性の医薬活性化合物、並びに追加の賦形剤及び/又は添加剤をろ過する、好ましくは、瓶に直接、細菌ろ過することができる。
【0190】
(i)N−アシルアミノ酸及び(ii)塩基性の医薬活性化合物を含む固形の医薬組成物を、(i)N−アシルアミノ酸、(ii)塩基性の医薬活性化合物、及び(iii)医薬として許容可能な有機溶媒を含む本発明の医薬組成物を調製するために用いられたのと同一の様式で調製し、そして上記医薬として許容可能な有機溶媒をエバポレーションにより単に除去する。
【0191】
実施形態の一つでは、上記医薬として許容可能な有機溶媒を、減圧下で除去する。あるいは、(i)N−アシルアミノ酸、(ii)塩基性の医薬活性化合物、及び(iii)医薬として許容可能な有機溶媒を含む医薬組成物を水で希釈し、固形の沈殿を準備し、そして当該固形の沈殿をろ過により収集し、そして所望により乾燥させることができる。得られた固形の医薬組成物を、所望により微粉砕して、より小さな粒子を準備することができる。賦形剤をまた、得られた固形の医薬組成物に添加することができる。
【0192】
上記医薬組成物を、オートクレーブを用いて滅菌することができる。
本発明は、本発明の医薬組成物の製法にさらに関する。
【0193】
5.9 動物の病気を治療する方法
本発明は、動物の病気を治療する方法にさらに関する。当該方法は、有効な量の医薬活性化合物を、それを必要としている動物に投与することを含む。本発明の医薬組成物を、注入又は経口で投与することができる。
【0194】
固形の医薬組成物を、動物の皮膚の下に当該固形の医薬組成物を埋め込むことにより投与することができる。しかし、固形の医薬組成物をまた、医薬として許容可能な有機溶中の固形の医薬組成物の懸濁液を動物に注入することにより投与することができる。
【0195】
固体、結晶、ガム状塊又はゲル状の本発明の医薬組成物をまた、経口で投与することができる。例えば、固体、結晶、ガム状塊又はゲル状の医薬製剤をカプセルに封入することにより、経口投与可能な剤形を提供することができる。さらに、本発明の固形の医薬組成物を、賦形剤、例えば、結合剤、希釈剤、又は潤滑剤と混合し、そしてタブレットに処方して経口投与向けの剤形を提供することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Alfonso Gennaro ed.,19th ed.1995を参照のこと、参照により本明細書に組み入れる。)。
【0196】
経口の剤形を、上記医薬活性化合物を、胃で即時に又はほぼ即時に放出するように、あるいは上記医薬活性化合物が胃で徐放するように設計することができる。上記医薬活性化合物の放出速度を、上記医薬組成物の成分の親油性及び/又は分子量を変えることによって変化させる。
【0197】
注入可能な医薬組成物を、動物に注入することにより、当該医薬組成物を動物に投与する。上記注入可能な医薬組成物を動物に注入すると、当該医薬組成物は、上記医薬活性化合物を徐放する持続性薬剤を形成する。医薬として許容可能な有機溶中の固形の医薬組成物の懸濁液である医薬組成物はまた、動物に注入した際に、上記医薬活性化合物を徐放する持続性薬剤を形成することができる。
【0198】
上記医薬組成物すなわち、アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド、カルボン酸、及び上記医薬として許容可能な有機溶媒の成分は、生体適合性があり、そして無毒であり、そして長期にわたり、身体により単に吸収及び/又は代謝される。本発明の医薬組成物をまた、局所、経口、直腸の、膣、及び鼻を含む他の経路から投与することができるが、これらに限定されるものではない。
【0199】
本発明の医薬組成物は、上記医薬組成物の成分(すなわち、医薬活性化合物又はそらの医薬として許容可能な塩、及びアミノ酸エステル、カルボン酸、並びに医薬として許容可能な有機溶媒)によって決まるが、最大15日間、そしてさらに長期間にわたり、有効な量の上記医薬活性化合物を、動物に供給することができる。
【0200】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、有効な量の上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩を、最大約3日間供給する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、有効な量の上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩を、最大約4日間供給する。
【0201】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、有効な量の上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩を、最大約6日間供給する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、有効な量の上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩を、最大約8日間供給する。
【0202】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、有効な量の上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩を、最大約10日間供給する。
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、有効な量の上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩を、最大約12日間供給する。
【0203】
実施形態の一つでは、上記医薬組成物は、有効な量の上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩を、最大約15日間供給する。
上記医薬組成物は、人の薬及び動物薬に有用である。上記医薬組成物は、特に動物薬に有用である。
【0204】
実施形態の一つでは、上記動物は人である。
実施形態の一つでは、上記動物は猫である。
実施形態の一つでは、上記動物は犬である。
実施形態の一つでは、上記動物は牛である。
【0205】
実施形態の一つでは、上記動物はブタである。
実施形態の一つでは、上記動物は羊である。
実施形態の一つでは、上記動物は馬である。
【0206】
典型的には、医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む医薬組成物を、約0.2mL〜15mL、好ましくは約0.5mL〜12mL、さらに好ましくは約1mL〜10mLの量で注入する。投与されるべき正確な投与量は、病気の重症度及び治療すべき動物によって決まるであろう、そして開業医の判断及び/又は各動物の環境に従って決定することができる。典型的には、より小さな動物ほど、より小さな注入量を受ける。
【0207】
例えば、猫向けの注入量は、典型的には約1mLであり、そして犬向けの注入量は、典型的には約1mL〜2mLである。しかし、大きい動物、例えば、牛及び馬の場合、注入量は、10mL以上の量である。動物に投与する上記医薬組成物の量を、一般的な臨床技法により決定することができる。さらに、最適の容量範囲を特定する手助けのため、所望により、in vitro又はinvivoにおけるアッセイを用いることができる。
【0208】
医薬として許容可能な有機溶媒をさらに含む医薬組成物を、例えば、筋肉内、腹腔内、又は皮下注入により投与することができる。
【0209】
典型的には、固形の医薬組成物を、当業者に周知の方法を用いて、動物の皮下に、約0.01〜2g、好ましくは約0.2g〜1.5g、の上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩をインプラントすることで投与する。固形の医薬組成物をまた、溶媒に固形の組成物の懸濁液を注入することにより投与することができる。上記固形の医薬組成物を、水性溶媒又は有機溶媒に懸濁することができる。
【0210】
経口投与向けの医薬組成物は、典型的にはカプセル又はタブレット状であり、そして典型的には、約0.001g〜2g、好ましくは約0.01g〜1.5gの上記医薬活性化合物又はその医薬として許容可能な塩を含む。
【0211】
本発明の医薬組成物はまた、局所、直腸、膣、及び鼻を含む他の経路により投与することができるが、それらに限定されるものではない。
【0212】
有利には、上記医薬活性化合物を徐放する上記医薬組成物は、特に、小動物、例えば、猫及び犬に対する毒性が低い。従って、本発明の医薬組成物は、一般的な即効型の製剤の良好な治療プロファイルを有する。
【0213】
本発明の医薬組成物を動物に注入することにより、動物に医薬活性化合物を投与することを含む本発明の方法は、医薬活性化合物を、現在入手可能な剤形で投与した場合に、治療する動物に毒性があり、そして死ぬことさえある動物に投与することができる。上記医薬活性化合物を徐放させることにより、本発明の医薬組成物は、それほど頻繁に投与される必要がなく、従って、医薬活性化合物を投与する一般的な様式よりも、投与がより簡便で、より好都合で、そしてより費用対効果が高い。
【0214】
5.10 キット
本発明は、医薬活性化合物を動物に投与することを簡略化するキットを包含する。本発明の典型的なキットは、本発明の医薬組成物の剤形ユニット(unit dosage form)を含み、実施形態の一つでは、当該剤形ユニットは、容器、例えば、本発明の医薬組成物を含む滅菌することができるバイアルである。上記キットには、病気を治療するために上記医薬活性化合物を使用することを支持する印刷された説明書又はラベルがさらに含まれる。別の実施形態では、上記キットは、本発明の医薬組成物の剤形ユニット、及び当該医薬組成物を投与するためのシリンジを含む。
【0215】
次の例は、本発明の理解を助力するために説明するものであり、特に記載されそして本明細書の特許請求の範囲に記載された発明に制限されるものとして解釈すべきではない。当業者の視野の範囲内であり、現在公知又は後に開発された全ての置換物、及び実験的設計における製剤の変化又は少量の変化を含む本発明の変形は、本明細書に記載される本発明の範囲に含まれるとみなされる。
【実施例】
【0216】
6. 例
6.1 アミノ酸エステルの調製
トリプトファンブタノエート:1gのトリプトファンブタノエートヒドロクロリド塩(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO(www.sima−Aldrich.com)から市販される)を、25mLのジクロロメタンに懸濁し、そして撹拌しながら、600μLのトリエチルアミンを上記懸濁液に添加した。撹拌を15分間続け、そして得られた溶液を分液漏斗に移動した。有機溶液を25mLの水で2回洗浄し、続いて25mLの飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウム状で乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、トリプトファンブタノエートを準備した。当該構造を、質量分析を用いて確認した。
【0217】
トリプトファンオクタノエート:4gのトリプトファンブタノエートヒドロクロリド塩(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO(www.sima−Aldrich.com)から市販される)を、100mLのジクロロメタンに懸濁し、そして撹拌しながら、3mLのトリエチルアミンを上記懸濁液に添加した。撹拌を15分間続け、そして得られた溶液を分液漏斗に移動した。有機溶液を25mLの水で2回洗浄し、続いて25mLの飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、トリプトファンオクタノエートを準備した。当該構造を、質量分析を用いて確認した。
【0218】
チロシンブタノエート:18.19gのチロシンを、冷却器及びDean−Stark装置を備えた500mLの丸底フラスコ中の9.8gの濃硫酸、40mLの水、40mLのブタノール、及び200mLのトルエンの溶液に懸濁させた。得られた溶液を、それ以上水が蒸留しなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を氷浴で冷却し、当該溶液を2相に分離させた。上部相を捨て、そして下部相(油性シロップ)を保持した。上記シロップを、酸性不純物を中和させるために十分な5%重炭酸ナトリウム水溶液と混合し、ろ過により収集し、そして冷水で洗浄した固体を得た。得られた固体を酢酸エチルで再結晶化させた。
【0219】
イソロイシンブチレート:26.23gのイソロイシンを、冷却器及びDean−Stark装置を備えた500mLの丸底フラスコ中の20gの濃硫酸、20mLの水、40mLのブタノール、及び200mLのトルエンの溶液に溶解させた。得られた溶液を、それ以上水が蒸留しなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を室温まで冷却し、そして飽和の重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。当該溶媒を減圧下で取り除き、そして得られた液体を減圧下で蒸留し、無色の液体としてイソロイシンブチレートを得た。
【0220】
フェニルアラニンブチレート:16.52gのイソロイシンを、冷却器及びDean−Stark装置を備えた500mLの丸底フラスコ中の10gの濃硫酸、20mLの水、20mLのブタノール、及び200mLのトルエンの溶液に溶解させた。得られた溶液を、それ以上水が蒸留しなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を室温まで冷却し、そして飽和の重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和させ、飽和塩性溶液で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。当該溶媒を減圧下で取り除き、フェニルアラニンブチレートを得た。
【0221】
フェニルアラニンオクタノエート:16.52gのフェニルアラニンを、冷却器及びDean−Stark装置を備えた500mLの丸底フラスコ中の10gの濃硫酸、20mLの水、20mLのオクタノール、及び120mLのトルエンの溶液に溶解させた。得られた溶液を、それ以上水が蒸留しなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を室温まで冷却し、そして飽和の重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和させ、飽和塩性溶液で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。当該溶媒を減圧下で取り除き、フェニルアラニンオクタノエートを白い固体として得た(シリカゲルカラムを用い、1:9のメタノール:ジクロロメタン混合物を用いて溶離し、精製した)。
【0222】
フェニルアラニンドデカノエート:16.52gのフェニルアラニンを、冷却器及びDean−Stark装置を備えた500mLの丸底フラスコ中の10gの濃硫酸、20mLの水、20mLのドデカノール、及び120mLのトルエンの溶液に溶解させた。得られた溶液を、それ以上水が蒸留しなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を室温まで冷却し、飽和の重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和させ、飽和塩性溶液で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。当該溶媒を減圧下で取り除き、フェニルアラニンドデカノエートを白い固体として得た(シリカゲルカラムを用い、1:9のメタノール:ジクロロメタン混合物を用いて溶離し、精製した)。
【0223】
チロシンオクタノエート:9.06gのチロシンを、冷却器及びDean−Stark装置を備えた500mLの丸底フラスコ中の10gの濃硫酸、20mLの水、10mLのオクタノール、及び200mLのトルエンの溶液に溶解させた。得られた溶液を、それ以上水が蒸留しなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を室温まで冷却し、飽和の重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和させ、エマルションを得た。約150mLの酢酸エチルを上記エマルションに添加し、2相化させた。水性相を捨て、そして有機相を、飽和塩性溶液で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で取り除き、チロシンオクタノエートを白い固体として得た(シリカゲルカラムを用い、1:9のメタノール:ジクロロメタン混合物を用いて溶離し、精製した)。
【0224】
イソロイシンオクタノエート:13.1gのイソロイシンを、オイルバスの中に置かれ、冷却器及びDean−Stark装置を備えた500mLの丸底フラスコ中の、10gの濃硫酸、20mLの水、20mLのオクタノール、及び200mLのトルエンの溶液に溶解させた。得られた溶液を、それ以上水が蒸留しなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を室温まで冷却し、120mLの酢酸エチルで希釈し、そして有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、飽和塩性溶液で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で取り除き、そして得られた液体を蒸留して、無色の液体としてイソロイシンオクタノエートを得た。
【0225】
プロリンブタノエート:34.5gのプロリンを、冷却器及びDean−Stark装置を備えた500mLの丸底フラスコ中の35gの濃硫酸、40mLの水、120mLのブタノール、及び200mLのトルエンの溶液に溶解させた。得られた溶液を、それ以上水が蒸留しなくなるまで還流温度で加熱した。得られた溶液を室温まで冷却し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して酸性不純物を中和し、飽和塩性溶液で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で取り除き、そして得られた液体を蒸留して、無色の液体としてプロリンブタノエートを得た。
【0226】
6.2 フルニキシン及びアミノ酸エステルを含む医薬組成物
フルニキシン及びトリプトファンオクタノエートの塩を含む組成物:1.5gのフルニキシン及び1.766gのトリプトファンオクタノエートを、10mLの容量のフラスコに計量した。0.5mLのプロピレングリコールを、当該フラスコに添加し、そして当該フラスコを、グリセロールホルマールで、約90%の容量まで満たした。次いで、上記フラスコをシェーカーに置き、そして約30分間の時間の不定期の超音波処理を用いて振とうして、クリアーな溶液を得た。次いで、上記フラスコを、10mLの容量までグリセロールホルマールで満たした。1mLの上記医薬組成物を5mLの水に注入して、沈殿が形成することを観察した。
【0227】
フルニキシン及びトリプトファンブタノエートの塩を含む組成物:0.75gのフルニキシン及び0.73gのトリプトファンブタノエートを、5mLの容量のフラスコに計量した。0.25mLのプロピレングリコールを、当該フラスコに添加し、そして当該フラスコを、グリセロールホルマールで、約90%の容量まで満たした。次いで、上記フラスコをシェーカーに置き、そして約30分間の時間の不定期の超音波処理を用いて振とうして、クリアーな溶液を得た。次いで、上記フラスコを、5mLの容量までグリセロールホルマールで満たした。1mLの上記医薬組成物を5mLの水に注入して、沈殿が形成することを観察した。
【0228】
フィー(fee)フルニキシンの溶液(すなわち、塩ではない)をまた、10mLの容量のフラスコ内に1.5gのフルニキシンを計量し、そして約90%の容量までN−メチルピロリドンでフラスコを満たすことで調製した。次いで、上記フラスコをシェーカーに置き、そして約10分間の時間の不定期の超音波処理を用いて振とうして、クリアーな溶液を得た。次いで、上記フラスコを、10mLの容量までN−メチルピロリドンで満たした。1mLの上記医薬組成物を5mLの水に注入して、沈殿が形成することを観察した。
【0229】
フルニキシン含有医薬組成物からフルニキシンのin vitro放出:上記各フルニキシン組成物の1mLのアリコートを、透析袋(Rockford ILのPierce Biotechnology,Inc.から市販される)内に密封し、そして当該透析袋を、pH7.4において150mLのリン酸塩緩衝化塩水を含むフラスコ内で懸濁させた。上記透析袋を、リン酸塩緩衝化塩水を含むフラスコ内で懸濁させると、透析袋内に沈殿が形成することが観察された。次いで、塩性のアリコートを、種々の間隔で取り出し、そしてフルニキシンの濃度を、高圧液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
【0230】
HPLC分析のため、100μLを、1.7mL/分の流速で作動する、Phenomenex Luna 5:M phenyl−hexyl100A,250×4.6mmの分析カラムに注入した。上記HPLCを、285nmで作動するUV検出器に連結した。上記HPLCカラムを、次のプロファイルに従う勾配溶離を用いて溶出した。
時間 ポンプA(%) ポンプB(%)
0 30 70
10.5 85 15
ポンプA中の溶媒は、pH2.4の25mMのリン酸塩緩衝剤であり、ポンプB中の溶媒はアセトニトリルであった。
【0231】
総運転時間は、25分であった。次いで、フルニキシンの血清濃度は、フルニキシンに相当するHPLCピークに関する曲線における面積を、リン酸塩緩衝化塩水中のフルニキシンのピーク面積対既知濃度の検量線と比較することによって測定された。4、2、1、0.5、及び0g/mLのフルニキシンの濃度を用いて、検量線を作成した。
【0232】
図1は、各フルニキシン製剤に関して、時間の関数として、放出されたフルニキシンのパーセントを示すものである。「記号:黒塗りの三角形」は、フルニキシン及びトリプトファンオクタノエートの塩を含む組成物から放出されたフルニキシンのパーセントを表し、「記号:黒塗りの四角形」は、フルニキシン及びトリプトファンブタノエートの塩を含む組成物から放出されたフルニキシンのパーセントを表し、そして「記号:黒塗りの菱形」は、N−メチルピロリドンに溶解させた遊離のフルニキシンを含む組成物から放出されたフルニキシンのパーセントを表す。
【0233】
図1に描写される結果は、本発明のフルニキシン組成物が、遊離のフルニキシンを含む組成物よりも実質的に遅い速度で、塩水中にフルニキシンを放出することを示している。上記結果はまた、アミノ酸エステルを変化させることにより、フルニキシの放出速度を調節することができることを実証している。図1中のデータは、トリプトファンブタノエートからよりも、トリプトファンオクタノエートから、ゆっくりとフルニキシンが放出されることを示している。トリプトファンオクタノエートは、トリプトファンブタノエートよりも脂溶性が高い。
【0234】
例6.3 フルニキシンの犬への投与
2匹の犬に、市販のフルニキシン(Banamine(商標)、Schering−Plough Animal Health,Omaha,NEから販売される)を、8mg/kgの投与量で注入した。
4匹の犬に、プロピレングリコール及びグリセロールホルマール中のフルニキシン及びトリプトファンオクタエート塩を含む例9.2の組成物を、8mg/kgの投与量で注入した。
【0235】
血液を種々の時間間隔において各犬から抜き取り、そしてフルニキシンの血清濃度を次の手順で決定した;
(i)Strata X−C 33μm Cation Mixed−Mode Polymer 30mg/mLカートリッジを、重力流を用いて、1mLのメタノール及び1mLの脱イオン水を用いて洗浄して調節する;
(ii)20μLのリン酸を用いて酸性化した1mLの血清を、調節したカートリッジに供給した;
(iii)上記カラムを、1mLの0.1%のH3PO4/H2O、1mLのアセトニトリル、及び2mLのメタノールを用いて洗浄した;
(iv)上記カラムを、4mLのメタノール中のアンモニア(メタノール中の2MのNH4OH、15%)を用いて溶出した;
(v)上記溶媒を、窒素ガス流を用いて、溶離液から取り除いた;
(vi)次いで、得られた残差を、pH2.3において、1mLの50:50のメタノール/50mMリン酸塩緩衝剤で再構成し、例9.2に記載されるHPLC法を用いて、HPLCにより解析した。
【0236】
図2は、2匹の犬に投与されたBanamine(商標)に関して、時間の関数としてフルニキシンの平均血清濃度を描写するものである。
図3は、プロピレングリコール及びグリセロールホルマール中のフルニキシン及びトリプトファンオクタノエートの塩を含む、例9.2の組成物を投与された4匹の犬に関し、時間の関数としてフルニキシンの平均血清濃度を描写するものである。
【0237】
図2及び図3に描写される結果は、本発明の組成物を用いることにより、市販のフルニキシン製剤(Banamine(商標)、Schering−Plough Animal Health,Omaha,NEから販売される)を用いた場合よりも長時間の間、フルニキシンの有効な血清濃度を維持することができる。
【0238】
例6.4 N−アシルアミノ酸の調製
フェニルアラニンブチルアミド:5gのフェニルアラニンを、20mLの無水酪酸に添加し、そして得られた混合物を、約3時間、約100℃まで加熱した。次いで、過剰の無水酪酸を減圧下で除去して固形の残差を得た後、エタノールから再結晶化して、フェニルアラニンブチルアミドを得た。
【0239】
例6.5 リン酸化ヌクレオチドを含む組成物
アデノシン一リン酸(AMP)を、リン酸化されたヌクレオチチドに対するモデルとして用いた。
【0240】
AMP及びイソロイシンブチレートの塩を含む組成物:1.2gのイソロイシンブチレート及び1gのAMPを、10mL容量のフラスコに計量し、そして当該容量のフラスコを、約90%の容量までグリセロールホルマールで満たした。上記フラスコを、上記AMP、イソロイシンブチレートが溶解するまで振とうし、次いで、上記フラスコを、容量までグリセロールホルマールで満たした。1eq.のリン酸化ヌクレオチド、例えば、アデフォビルを、それぞれのeq.のAMPで置換することができる。1gのAMP単体(すなわち、イソロイシンブチレートを除外)は、10mLのグリセロールホルマールに溶解することができない。
【0241】
AMP及びイソロイシンブチレートの塩、並びにデカン酸及びイソロイシンブチレートの塩を含む組成物:1gのAMP、0.99gのデカン酸、及び2.4gのイソロイシンブチレートを、10mL容量のフラスコに計量し、そして当該容量のフラスコを、約90%の容量までグリセロールホルマールで満たした。上記フラスコを、上記AMP、デカン酸、及びイソロイシンブチレートが溶解するまで振とうし、次いで、上記フラスコを、容量までグリセロールホルマールで満たした。1eq.のリン酸化ヌクレオチド、例えば、アデフォビルを、それぞれのeq.のAMPで置換することができる。
【0242】
AMP及びチロシンブチレートの塩を含む組成物:0.682gのチロシンブチレート及び0.5gのAMPを、10mL容量のフラスコに計量し、そして当該容量のフラスコを、約90%の容量までN−メチルピロリドンで満たした。上記フラスコを、上記AMP及びチロシンブチレートが溶解するまで、30分間超音波処理し、次いで、上記フラスコを、容量までN−メチルピロリドンで満たした。1eq.のリン酸化ヌクレオチド、例えば、アデフォビルを、それぞれのeq.のAMPで置換することができる。0.5gのAMP単体(すなわち、チロシンブチレートを除外)は、10mLのN−メチルピロリドンに溶解することができない。
【0243】
AMP及びフェニルアラニンドデカノエートの塩を含む組成物:1gのフェニルアラニンドデカノエート及び0.347gのAMPを、10mL容量のフラスコに計量し、そして当該容量のフラスコを、約90%の容量までN−メチルピロリドンで満たした。上記フラスコを、上記AMP及びフェニルアラニンドデカノエートが溶解するまで、約30分間超音波処理し、次いで、上記フラスコを、容量までN−メチルピロリドンで満たした。次いで、上記フラスコを振とうし、AMP及びフェニルアラニンドデカノエートの懸濁液の注入可能な組成物を準備した。1eq.のリン酸化ヌクレオチド、例えば、アデフォビルを、それぞれのeq.のAMPで置換することができる。
【0244】
AMPと、リジン及びC16の直鎖アルコール(すなわち、CH3(CH214CH2−OH)から生成させたエステル(2.1当量)との塩を含む組成物:45mgのAMP及び96mgのリジンエステルを、約2mLのグリセロールホルマールに懸濁させた。得られた懸濁液を、音波浴(sonic bath)に置き、そして振とうし、クリアーな溶液を得た。上記溶液の容量を、3mLの容量とした。得られた溶液は、約1.5%(w/v)の濃度で、AMPの塩を含んでいた。1mLの上記医薬組成物を5mLの水に注入して、沈殿が形成することを観察した。
【0245】
AMPと、リジン及びC16の直鎖アルコール(すなわち、CH3(CH214CH2−OH)から生成させたエステル(2.1当量)との塩を含む組成物:150mgのAMP及び320mgのリジンエステルを、約2mLのグリセロールホルマールに懸濁させた。得られた懸濁液を、音波浴に置き、そして振とうし、クリアーな溶液を得た。上記溶液の容量を、3mLの容量とした。得られた溶液は、約5%(w/v)の濃度で、AMPの塩を含んでいた。1mLの上記医薬組成物を5mLの水に注入して、沈殿が形成することを観察した。
【0246】
AMPと、リジン及びC16の直鎖アルコール(すなわち、CH3(CH214CH2−OH)から生成させたエステル(6.6当量)との塩を含む組成物:150mgのAMP及び1.92gのリジンエステルを、約2mLのグリセロールホルマールに懸濁させた。得られた懸濁液を、音波浴に置き、そして振とうし、クリアーな溶液を得た。上記溶液の容量を、3mLの容量とした。得られた溶液は、約5%(w/v)の濃度でAMPの塩を含んでいた。1mLの上記医薬組成物を5mLの水に注入して、沈殿が形成することを観察した。
【0247】
例6.6 イソロイシンブチレート、ラウリン酸、及びテルビナフィンを含む医薬組成物
A:テルビナフィン(5g)、ラウリン酸(7.56g)、及びイソロイシンブチレート(3.54g)を、25mL容量のフラスコ内の約15mLのグリセロールホルマールに懸濁させた。次いで、得られた懸濁液を超音波処理して、クリアーな溶液を得た。プロピレングリコール(1.5mL)を添加し、そして得られた溶液をよく混合した。次いで、容積測定のフラスコを、グリセロールホルマールで25mLの容量まで満たし、クリアーな溶液を得た。得られた医薬組成物は、ラウリン酸塩として、20%(w/v)のテルビナフィンを含んでいた。上記医薬組成物はまた、ラウリン酸及びイソロイシンブチレートの間で形成された塩を含んでいた。1mLの上記医薬組成物を5mLの水に注入して、沈殿が形成することを観察した。
【0248】
B:対照として、ラウリン酸及びイソロイシンブチレートの間で形成した塩を含まない別の医薬組成物を調製した。上記組成物を、25mL容量のフラスコ内の約15mLのグリセロールホルマール中のテルビナフィン(5g)及びラウリン酸(1.1eq.)を懸濁させることによって調製し、そして得られた溶液を超音波処理して、クリアーな溶液を得た。プロピレングリコール(1.5mL)を添加し、そして得られた溶液をよく混合した。次いで、容積測定のフラスコを、グリセロールホルマールで、25mLの容量まで満たし、クリアーな溶液を得た。得られた医薬組成物は、ラウリン酸塩として、20%(w/v)のテルビナフィンを含んでいた。1mLの上記医薬組成物を5mLの水に注入して、沈殿が形成することを観察した。
【0249】
例6.7 テルビナフィンの犬への投与
3匹の犬(犬A、B、及びC)に、首への皮下注入により、20mg/kgの投与量で、例9.6Aの医薬組成物を投与した。
他の3匹の犬(犬D、E、及びF)に、首への皮下注入により、20mg/kgの投与量で、例9.6Bの医薬組成物を投与した。
【0250】
他の3匹の犬(犬G、H、及びI)に、6日間、1日当たり250mgの市販のテルビナフィンタブレット(ニュージャージーのNovartis Pharmaceutical CorporationからLamisil Tablets(商標)として市販される)を経口投与した。
【0251】
血清試料を、0、1、12、24、48、72、及び168時間において、それぞれの犬から得て、そして以下に記載される固相抽出にさらし、次いで、以下に記載するHPLC法を用いてHPLCにより解析した。また、注入後7日、それぞれの犬の背の肩甲骨(dorsoscapular)領域の右、左、及び中心部位の皮膚の生検材料を取得し、以下に記載されるように、テルビナフィンに関して、組織を解析した。注入によりテルビナフィンを投与した犬に対して、獣医が、拒絶反応に関して注入部位をモニターした。
【0252】
組織調製:
1.組織を完全に細かく刻む。
2.約5mgの細かく刻んだ組織を、バイアル中に置き、そして10mLのメタノールを添加する。
3.200μLのリン酸を、得られたメタノール溶液に添加する。
4.上記メタノール溶液を氷浴中で冷却して発熱を最小にし、次いで、約1分間、上記メタノール溶液を均質化する。
5.約20秒間、上記メタノール溶液を超音波処理する。
6.約1分間、上記メタノール溶液を均質化する。
7.約20秒間、上記メタノール溶液を超音波処理する。
8.約30分間、約4℃及び約8250rcfにおいて、上記メタノール溶液を遠心分離機にかける。
9.固相抽出の際、混合ペレットが、当該上澄みに戻ることを避けるために、得られた上澄みを、別個のバイアルに静かに移す。
10.以下に記載するように、上記上澄みを固相抽出する。
【0253】
血清又は上澄みの固相抽出:
1.Strata 30mg/1mL X−C カートリッジ(NJのPhillipsburgのMallinckrodt Baker,Inc.から市販される)を、重力流を用いて、1mLのメタノール及び2mLの脱イオン水を用いて調節する。
2.20μLのリン酸を用いて酸性化した1mLの血清(又は上澄み)を、調節したカートリッジに供給する。
3.上記カートリッジを、1mLの0.1%のH3PO4/H2O、1mLのアセトニトリル、及び1mLのメタノールを用いて洗浄する。
4.1850μLの15%ジエチルアミン(メタノール中)を用いて、カートリッジを、2mL容量のフラスコに溶出させる。
5.上記容量のフラスコを、2mLまで、15%のジエチルアミンで満たす。
6.1000μLの50%リン酸を、2mL容量のフラスコに添加し、そして得られた混合物をボルテックスする(vortex)。
7.得られた溶液を、バイアル中にろ過する。
8.以下に記載するHPLC法を用いて、テルビナフィンに関して得られた溶液を解析する。
【0254】
HPLCによるテルビナフィンの分析:
カラム:Phenomenex Luna(商標) 5μ、C8、100Å、250mm×4.6mm(カリフォルニア州、TorranceのPhenomenexから市販される)。
移動相:40%、25mMリン酸塩緩衝剤、pH2.4
60%メタノール
溶出プロフィール:定組成(isocratic)
検出:UV、223nm
温度:周囲温度
注入:100μL
運転時間:20分、定組成
流速:1mL/分
検出限界:約8ng/mL
定量限界:約75ng/mL
【0255】
テルビナフィンの濃度は、テルビナフィンに相当するHPLCピークに関する曲線における面積を、テルビナフィンのピーク面積対既知濃度の検量線と比較することによって測定された。
上記検量線を、下記により得た。
1.100mgのテルビナフィンを、100mL容量のフラスコ内に計量し、容量まで希釈することにより、メタノール中の1mg/mLのテルビナフィンの濃度において、基準原液を調製する。
【0256】
2.次の血清化合物溶液(spiking solution)を調製する。
溶液A:400μL基準原液+600μLメタノール=400μg/mLのテルビナフィン
溶液B:200μL基準原液+800μLメタノール=200μg/mLのテルビナフィン
溶液C:100μL基準原液+900μLメタノール=100μg/mLのテルビナフィン
溶液D:50μL基準原液+950μLメタノール=50μg/mLのテルビナフィン
溶液E:10μL基準原液+990μLメタノール=10μg/mLのテルビナフィン
溶液F:0μL基準原液+1000μLメタノール=0μg/mLのテルビナフィン
【0257】
3.次の基準血清溶液を調製する。
a.15μLの溶液A+1485μLの血清=4μg/mLのテルビナフィン
b.15μLの溶液B+1485μLの血清=2μg/mLのテルビナフィン
c.15μLの溶液C+1485μLの血清=1μg/mLのテルビナフィン
d.15μLの溶液D+1485μLの血清=0.5μg/mLのテルビナフィン
e.15μLの溶液E+1485μLの血清=0.1μg/mLのテルビナフィン
f.15μLの溶液E+1485μLの血清=0μg/mLのテルビナフィン
【0258】
上記各基準血清溶液を、上記HPLC法を用いて解析し、検量線を作成した。各基準血清溶液に関して、次のピーク面積を得た。
【0259】
【表1】

【0260】
陽性対照(当該分析が、テルビナフィンを検出することができることを実証するため)を、メタノール中の15%ジエチルアミン1mLを2mL容量のフラスコに添加し、次いで溶液A 10μLを添加し、そしてメタノール中の15%ジエチルアミンを用いて、上記容量のフラスコを容量まで満たした。次いで、得られた溶液に、1mLの50%リン酸及びボルテックスミキサーを用いて混合させて得られた溶液を添加した。得られた陽性対照は、4μg/mLのテルビナフィン濃度を有していた。0.5μg/mLの濃度を有する陽性対照は、10μLの溶液Dを用いることを除き、同一手順の後に生成させることができる。
【0261】
陰性対照(他の化合物が、テルビナフィンと共溶出しないことを実証するため)を、メタノール中の15%ジエチルアミン2mLを、試験官内で、50%リン酸1mLと混合し、そしてボルテックスミキサーを用いて約10秒間、得られた溶液を混合することにより調製した。
【0262】
各群の犬の血清中のテルビナフィンの平均濃度を上述のように測定し、そして次の表1に示す。
【0263】
【表2】

【0264】
テルビナフィンは、高い身体濃度及び高い組織濃度では有毒な場合があることが知られている。当該結果は、本発明の医薬組成物を1回の注入で投与することにより、テルビナフィンが市販のタブレットとして1日1回経口投与された場合よりも、7日間を超えてテルビナフィンの血清濃度が低いことを示している。しかし、本発明の医薬組成物により、目的の治療効果と生理的に関連があるテルビナフィンの血清濃度が与えられる。
【0265】
ラウリン酸塩としてのテルビナフィンと、ラウリン酸及びイソロイシンブチレートの間で形成された塩とを含む本発明の医薬組成物は、250mgのタブレットとして6日間、1日1回経口投与されたテルビナフィンよりも、血清中のテルビナフィンが低い。従って、本発明の医薬組成物を用いてテルビナフィンを投与することは、テルビナフィンを経口投与することよりも毒性が少ない。
【0266】
注入によるテルビナフィンを投与された犬(すなわち、犬A、B及びC、並びに犬D、E及びF)に対する注入部位の獣医による目視検査により、ラウリン酸塩としてテルビナフィンを含み、そしてまた、ラウリン酸及びイソロイシンブチレートの間で形成された塩を含む例9.6Aの医薬組成物を投与された犬(すなわち、犬A、B及びC)は、ラウリン酸塩としてテルビナフィンを含む例9.6Bの医薬組成物を投与された犬(すなわち、犬D、E及びF)よりも、注入部位における腫れ及び炎症が少ないことが示された。
【0267】
これらの結果は、ラウリン酸塩としてのテルビナフィンと組み合わせて、ラウリン酸及びイソロイシンブチレートの間で形成された塩を含む医薬組成物は、皮下注入により投与された場合に、ラウリン酸塩としてテルビナフィンのみを含む医薬組成物よりも刺激が少ないことを示している。
【0268】
テルビナフィンの組織濃度をまた、それぞれの犬に関して測定し、そして次の表2に示す。
【0269】
【表3】

a値が、エラーであることが明らかである(エラーの原因は不明である。)。
b犬Aに関して、222.5μg/gの値を除くと、平均値は、33.27μg/gである。
【0270】
上記のように、テルビナフィンは、高い身体濃度及び高い組織濃度では有毒な場合があることが知られている。当該結果は、本発明の医薬組成物を1回の注入で投与することにより、テルビナフィンが市販のタブレットとして1日1回経口投与された場合よりも、7日間を超えてテルビナフィンの血清濃度が低いことを示している。しかし、本発明の医薬組成物により、目的の治療効果と生理的に関連があるテルビナフィンの血清濃度が与えられる。
【0271】
本発明は、例に開示された特定の実施形態によりその範囲を制限されるべきではない。当該例は、本発明のいくつかの態様を具体的に説明することを目的としており、そして機能的に同等の任意の実施形態は、本発明の範囲内である。さらに、本明細書に示され、そして記載されるものに加え、本発明の種々の改良は、当業者に明確となるであろう、そして添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図している。
【0272】
多くの引例を引用し、全体の開示を参照し、本明細書に組み入れる。
【図面の簡単な説明】
【0273】
4. 図面の簡単な説明
【図1】図1は、各フルニキシン製剤に関して、時間の関数として、放出されたフルニキシンのパーセントを示すものである。「記号:黒塗りの三角形」は、フルニキシン及びトリプトファンオクタノエートの塩を含む組成物から放出されたフルニキシンのパーセントを表し、「記号:黒塗りの四角形」は、フルニキシン及びトリプトファンブタノエートの塩を含む組成物から放出されたフルニキシンのパーセントを表し、そして「記号:黒塗りの菱形」は、N−メチルピロリドンに溶解させた遊離のフルニキシンを含む組成物から放出されたフルニキシンのパーセントを表す。
【0274】
【図2】図2は、8mg/kgの投与量において、Banamine(商標)を投与された2匹の犬に関して、時間の関数として、フルニキシンの平均血清濃度を描写するものである。
【図3】図3は、8mg/kgの投与量において、例9.2に記載されるように調製された、プロピレングリコール及びグリセロールホルマール中のフルニキシン及びトリプトファンオクタノエートの塩を含む、本発明の組成物を投与された4匹の犬に関し、時間の関数としてフルニキシンの平均血清濃度を描写するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド;
(ii)酸性の医薬活性化合物;及び
(iii)医薬として許容可能な有機溶媒;
を含み、注入することができかつ水に注入した場合に沈殿を生成する医薬組成物。
【請求項2】
前記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドが、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから成る群から選択されるアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記アミノ酸エステルが、アミノ酸を、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のアルキルアルコールとエステル化して得られた、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記アルキルアルコールがC1〜C22のアルコールである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記C1〜C22のアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、アリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、cis−9−ヘキサデセナノール、cis−9−オクタデセナノール、cis,cis−9,12−オクタデセナノール、及びcis,cis,cis−9,12,15−オクタデカトリエナノールから成る群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記酸性の医薬活性化合物が、アスピリン、フルニキシン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、カルプロフェン、及びイブプロフェンから成る群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記酸性の医薬活性化合物がリン酸化ヌクレオチドである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ヌクレオチドがアデフォビルである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、イソソルビドジメチルエーテル、エタノール、ジメチルスルホキシド、テトラグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリアセチン、プロピレンカーボネート、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記酸性の医薬活性化合物の酸性基:前記アミノ酸エステルのモル比が、約1.5:1〜1:1の範囲にわたる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記酸性の医薬活性化合物の酸性基:前記アミノ酸エステルのモル比が、約1:1である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記酸性の医薬活性化合物及び前記アミノ酸エステルの総量が、前記医薬組成物の約1〜90重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記酸性の医薬活性化合物及び前記アミノ酸エステルの総量が、前記医薬組成物の約10〜60重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬活性化合物がフルニキシンであり、そして前記アミノ酸エステルが、トリプトファンオクタノエート又はトリプトファンブタノエートである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬として許容可能な有機溶媒が、グリセロールホルマール中の約5%のプロピレングリコールである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
(i)アミノ酸エステル又はアミノ酸アミド;
(ii)カルボン酸;
(iii)中性の医薬活性化合物又は医薬活性化合物の医薬として許容可能な塩;及び
(iv)医薬として許容可能な有機溶媒;
を含み、注入することができかつ水に注入した場合に沈殿を生成する医薬組成物。
【請求項17】
前記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドが、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから成る群から選択されるアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記アミノ酸エステルが、アミノ酸を、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和のアルキルアルコールとエステル化して得られた、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記アルキルアルコールがC1〜C22のアルコールである、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記C1〜C22のアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、アリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、cis−9−ヘキサデセナノール、cis−9−オクタデセナノール、cis,cis−9,12−オクタデセナノール、及びcis,cis,cis−9,12,15−オクタデカトリエナノールから成る群から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記カルボン酸がC1〜C22のカルボン酸である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記カルボン酸がC6〜C18のカルボン酸である、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、安息香酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から成る群から選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記カルボン酸が、次の一般式:
【化1】

(式中、
Rは、所望により置換されていてもよい、直鎖若しくは環状の炭化水素基、芳香族基、又は芳香族若しくは非芳香族の複素環式基であり;そして
2は、式:C(O)−R5のアシル基であり、ここでR3は、置換されたC1〜C21の炭化水素基である。)
のN−アシル化アミノ酸である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項25】
5が、C5〜C21の炭化水素基である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
2が、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘキサノイル、カプロイル、ヘプトイル、オクトイル、ノノイル、デコイル、ウンデコイル、ドデコイル、トリデコイル、テトラデコイル、ペンタデコイル、ヘキサデコイル、ヘプタデコイル、オクタデコイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミオレオイル、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル、及びベンゾイルから成る群から選択されるアシル基である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記溶媒が、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、イソソルビドジメチルエーテル、エタノール、ジメチルスルホキシド、テトラグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリアセチン、プロピレンカーボネート、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記医薬活性化合物が、中性の医薬活性化合物である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記カルボン酸がC1〜C22のカルボン酸である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記カルボン酸がC6〜C18のカルボン酸である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記中性の医薬活性化合物が、前記医薬組成物の約1〜90重量%の範囲の量で存在する、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記医薬組成物中の前記アミノ酸エステル及び前記カルボン酸の総量が、前記医薬組成物の約2重量%〜50重量%の範囲にわたる、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記医薬活性化合物が、酸性の医薬活性化合物及びアミノ酸エステルから形成された塩である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記カルボン酸がC1〜C22のカルボン酸である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記カルボン酸がC6〜C18のカルボン酸である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
酸性の医薬活性化合物及びアミノ酸エステル又はアミノ酸アミドから形成された塩が、前記医薬組成物の約1〜90重量%の範囲の量で存在する、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記カルボン酸及び前記アミノ酸エステル又はアミノ酸アミドの総量が、前記医薬組成物の約2重量%〜50重量%の範囲にわたる、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項38】
(i)次の一般式:
【化2】

(式中、
Rは、所望により置換されていてもよい、直鎖若しくは環状の炭化水素基、芳香族基、又は芳香族若しくは非芳香族の複素環式基であり;そして
2は、式:C(O)−R5のアシル基であり、ここでR3は、置換されたC1〜C21の炭化水素基である。)
のN−アシル化アミノ酸エステル;
(ii)塩基性の医薬活性化合物;及び
(iii)医薬として許容可能な有機溶媒;
を含み、注入することができかつ水に注入した場合に沈殿を生成する医薬組成物。
【請求項39】
前記N−アシルアミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから成る群から選択されるアミノ酸のN−アシルアミノ酸である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
が、C5〜C21の炭化水素基である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記C5〜C21の炭化水素基が、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミオレオイル、オレオイル、リノレオイル、及びリノレノイル基から成る群から選択される、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記塩基性の医薬活性化合物が、ペニシリン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、ロキシスロマイシン、チルミコシン、オキシテトラサイクリン、及びドキシサイクリンから成る群から選択される、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記溶媒が、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールホルマール、イソソルビドジメチルエーテル、エタノール、ジメチルスルホキシド、テトラグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリアセチン、プロピレンカーボネート、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記塩基性の医薬活性化合物の塩基性基:前記N−アシルアミノ酸のモル比が、約1.5:1〜1:1の範囲にわたる、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記塩基性の医薬活性化合物の塩基性基:前記N−アシルアミノ酸のモル比が約1:1である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記塩基性の医薬活性化合物及び前記N−アシルアミノ酸の総量が、前記医薬組成物の約1〜90重量%の範囲の量で存在する、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記塩基性の医薬活性化合物及び前記N−アシルアミノ酸の総量が、前記医薬組成物の約10〜60重量%の範囲の量で存在する、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項48】
注入により請求項1に記載の医薬組成物を必要としている動物に、当該組成物を投与することを含む、動物の病気を治療又は予防する方法。
【請求項49】
注入により請求項16に記載の医薬組成物を必要としている動物に、当該組成物を投与することを含む、動物の病気を治療又は予防する方法。
【請求項50】
注入により請求項38に記載の医薬組成物を必要としている動物に、当該組成物を投与することを含む、動物の病気を治療又は予防する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−518916(P2008−518916A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539083(P2007−539083)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/038664
【国際公開番号】WO2006/050002
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(505388551)アイデックス ラボラトリーズ,インコーポレイティド (11)
【Fターム(参考)】