説明

医薬用ブリスター

本発明は、低下した水蒸気及びガスの透過性を有する新規医薬用ブリスターに関する。本発明に従い通常のブリスターは、ガス、水蒸気及び有機分子に対し機能する二酸化ケイ素-含有する層により被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、水蒸気及びガスに対する透過性が低下した新規医薬用ブリスターに関する。本発明は、ガス、水蒸気及び有機分子に対し保護するための、二酸化ケイ素及び炭素を含有する機能層による、通常のブリスターのコーティングを目的としている。
【0002】
先行技術
医薬製剤の包装としての医薬用ブリスターは、医薬品の錠剤、カプセル剤又は他の形状を安全に包装し、それらをある環境においてその製剤の医薬品質に影響を及ぼし得るような外部環境の影響から保護するために役立つ。この状況においては、水又は水蒸気が特に言及されなければならない。水がブリスター内部に浸透する場合、これはその中に貯蔵された薬物の医薬品質の持続的変化を引き起こすことがある。同じく、揮発性物質が、貯蔵時にブリスター内に含まれた材料の外側に拡散し、それにより医薬処方を変更する危険も存在する。加えてブリスターは、例えば吸入可能な調製物に関して、それらの粒径分布を変更しないように、その内部の大気条件が一定に保たれるようにデザインされなければならない。
【0003】
典型的ブリスターは、順に異なる又は同じ材料の多数の層で作成された少なくとも2種のフィルム又はフォイルからなる。一方にベース層又はベースフォイルが存在し、及び他方にカバー層又はカバーフォイルが存在する。
医薬製剤、例えば錠剤(複数)、糖衣錠(複数)又はカプセル剤(複数)がその中に配置された1個又は複数のウェルを、ベースフォイル中に形成することができる。
カバーフォイルは、ベースフォイル上に配置され、それらに付着されている。これらのふたつの層は、少なくともそれらの縁で、例えば接着剤結合により、互いに密に連結されている。
【0004】
これらのフォイルは一般に、プラスチック又は金属又はそれらの組合せから製造される(いわゆる積層フォイル又は複合フォイル)。例えば紙などの他の材料も、おそらく併せて、使用することができるであろう。
好ましいブリスターは、透明なもしくは少なくとも半透明なプラスチック又は透明なプラスチックのベースフォイル及びアルミニウムのカバーフォイルからなる。両方のフォイルは、積層することができ、すなわちこれらは異なる材料の多くのフォイルからなることができる。先行技術で公知のブリスターは、例えそれらが機械的に無傷であっても、その中に包埋された製剤を、例えばガス又は蒸気、特に酸素、二酸化炭素、水蒸気及び溶媒などの物質の外部からの浸透から必ずしも適切に保護するものではない。理論的にはこれらの物質は、ブリスターの上側(カバーフォイル)、下側(ベースフォイル)を通って又はカバーフォイルとベースフォイルの継目を通り、浸透又は拡散することがある。
【0005】
この問題点を克服するために、先行技術においては、アルミフォイル又はアルミフォイル積層品のみからなるブリスターを使用することが好ましい。しかしこれらのブリスターは、最早透明ではなく、例えば充填プロセス後、開封前にブリスターの内容物を検査することが事実上不可能になる。従って高いバリア(barrier)特性を有する特別なプラスチックが、透明なブリスターのために使用されている。しかしほとんどの場合、この種の特別なプラスチックは、ある種のガスに対し、例えば水蒸気に対するか又は酸素に対し、ただ中程度のバリア特性を有し、このことはこの尺度はどちらも満足できないことを意味している。
【0006】
例えばスルホン化又はフッ素化によるガソリンタンクのプラスチック表面の化学修飾などの、当該技術分野の他の分野で公知である物質の望ましくない拡散に対するバリアを改善する方法は、過度の毒性及び安全性の試験が必要とされるので、医薬組成物の包装においてはいかなる意味においても得られていない。先行技術は、SiOxで被覆された積層フィルムも開示しているが、SiOxの硬質層のために、これらのフォイルは変形し難く、このことはブリスターを製造するためのウェルの形成が不可能であることを意味している。
【0007】
硬質プラスチック容器の場合にガス、水蒸気及び有機溶媒に対する広範なバリア効果を実現するために、特別な有機物質及び無機物質のコーティングを有するプラスチック容器を提供することは公知である。この状況において、下記論文が参考となるが:「Multilayer Barrier Coating System produced by Plasma-impulse Chemical Vapour Deposition (PICVD)」、M. Walther、M. Heming、M. Spallek、Surface and Coatings Technology、80: 200-205 (1996)、これはバリア層としてSiOxCyHz又はTiOxCyHzの層を有する硬質プラスチック容器を明らかにしている。このコーティングは、例えば、独国特許DE 40 08 405 C1及び米国特許出願US-A-5,154,943により開示されている、PICVD法(プラズマインパルス化学蒸着法)により行われる。
現在まで医薬用ブリスターに関する比較できるような方法はわかっていない。
【0008】
発明の説明
従って本発明の目的は、透明な軟質の封止可能なブリスターであり:
1)ブリスター内部と外側環境の間のガス及び水分交換に対する保護が改善され;
2)目視検査のために十分な透明性/半透明性を伴い;及び
3)ブリスターが曲げられるか又は使用される場合に剥がれないような十分な力学的安定性を有する;ブリスターを提供することである。
先行技術のわかっている欠点も、排除することができる。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明に従い、実際のブリスターの前述のガス透過性を低下するために、プラスチックからなる医薬用ブリスターのベースフォイル及び/又はカバーフォイルを、二酸化ケイ素及び炭素を含有する追加の機能層で被覆することが提唱されている。
ブリスターのひとつのフォイル(好ましくはカバーフォイル)がアルミニウムからなる場合、これは好ましくは透明又は半透明なプラスチックフォイル(プラスチックフォイルは金属フォイルよりもより容易に変形することができるので、ベースフォイルが好ましい)を被覆するのに十分であろう。
【0010】
プラスチックフォイルに使用されるブリスター材料は、PVC(ポリ塩化ビニル)、COP(シクロオレフィン系ポリマー、CZ(登録商標))、COC(シクロオレフィン系コポリマー、例えばTopas(登録商標))、ポリクロロトリフルオロエチレン(例えばACLAR(登録商標))、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンの形)、ポリプロピレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)及びそれらの修飾物、ポリブテン及びポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、又は他のプラスチックであることができる。
【0011】
フォイルは、同じ材料のいくつかの層又は異なる材料の2種もしくはそれよりも多い層(積層品)からなることができる。
ブリスターは、同じ材料のいくつかのフォイル又は異なる材料の2種もしくはそれよりも多い層からなることができる。
【0012】
典型的には本発明のブリスターは、医薬製剤を収容するために、変形された(深絞り成形)プラスチックフォイルを封印するアルミニウムで作製された平面のカバーフォイルからなる。この(深絞り成形)フォイル(ベースフォイル)は同じく本発明の状況において、ウェルフォイルと称され、医薬製剤を収容するためのウェル又は窪みは、典型的にはこのフォイル内に形成される。医薬品を収容するための(深絞り成形)フォイルの下部に、アルミフォイルを、水がフォイルを通り医薬品を収容している(深絞り成形)フォイルへと浸透することを防ぐための追加フォイルとして形成することもでき、これにより医薬製剤の水との接触を最小にするか、又は光からこれを保護する。ブリスターの力学的安定性を増大するか又は印刷を容易にするために、2種のアルミフォイルは順に、プラスチック及び/又は紙の追加層により被覆されてよい。本発明に従い、本発明の機能層は、前述のプラスチックフォイルのいずれかに適用することができる。
【0013】
好ましくは機能層は、この選択肢が利用可能な場合、医薬組成物に密接して配置されたフォイルのひとつに適用される。好ましくは、医薬組成物に隣接するフォイルの最も近い側である。機能層が医薬品と直接接触しないようにするために、別のカバー層を、機能層に適用することができる。この機能層は好ましくは、ベースフォイルの変形後、すなわちウェルの造形後に適用される。
この方法において、必要とされる良好な幾何構造、バリア効果、透明性及び力学的安定性のために、ブリスター材料を、特定の内容物及び機能層の材料に適合させることは可能である。
【0014】
本発明に従い被覆された少なくとも1種のプラスチックフィルムを有するブリスターは、当該技術分野において公知のように作製される。これは、ベースフォイル中のウェルに製剤が充填され、その後フォイル全体が互いに上下の位置に配置され、次に個々のフォイルが互いに融着又は接着されることを意味する。使用される結合剤は、例えば典型的にはカバーフォイルへ適用される、ヒート-シーリング用ラッカー、例えばポリアクリレート及び/又はポリエチレンをベースにしたもの(例えば、高密度及び/又は低密度ポリエチレン)であることができる。機能層はブリスターの対応するプラスチックフォイルの表面全体に伸長され、その結果機能層の一部は、融着もしくは接着の継目に組込まれているか、又はブリスターの融着継目もしくは接着連結を形成しているブリスターのプラスチックフォイルの領域は、機能層から離れている。
【0015】
機能層のおかげで、例えば、感光性、色コーディングなどの他の取るに足りない条件を満足するために、ブリスター用のプラスチック材料は、実質的に自由に選択される。
二酸化ケイ素-含有の機能層は、プラスチック層の表面全てに、しかし好ましくはベース層の内側に適用することができる。機能層の厚さは、適用に応じて、nm範囲(2〜500nm)であり、特に20〜500nmの範囲である。
二酸化ケイ素を含む機能層は、好ましくは、その化学組成物が層の厚さを通じ変動し、並びに好ましい追加の元素として炭素及び/又は水素及び/又はチタンを含有する層である。
【0016】
好ましくはバリア層は、化学組成SiOxCyを特徴とする炭素-含有二酸化ケイ素層であり、x、yの値は層の厚さを通じ変動する。この層は更に、不純物として水素を含有することができ、これにより実験式SiOxCyHzを生じる一方で、水素含量は最低に維持される(zは0に近づく)。プラスチックフィルムに向かって、この層は、より高い割合の炭素を含有し、C:Si比は1:0.5から1:5であり、これはSi-のより豊富な領域(C:Si最大1:10)に次第に変わり(merge)、より低いSi濃度(C:Si最大1:0.2)の領域に再度戻るように変化する。
この後者の層(非常に高い炭素濃度を有する層)は、最も好ましく封止することができ、及びC:Si比1:0.2まで、この層は更に十分に透明である。
【0017】
本発明に従い、最も単純な場合、被覆されたフォイルは、1)SiOxCyHz、及び2)炭素がより少ない層、理想的にはSiO2層を含む、2-プライフォイルである。SiOxCyHz層において、水素含量は最低に維持される(zは0に近づく)。より少ない炭素の層は、SiOx'Cy'Hz'層とも称され、ここでx'は2に近づき、y'は0に近づき及びz'は0に近づく。しかし単純化するために、この説明は、SiO2層のみを意味するであろう。
【0018】
別の態様において、この層の配列は、追加の層成分SiOaCbHcにより補充され、その結果SiO2層が、これとSiOxCyHz層の間に位置することが好ましい。この方法において、ブリスターの曲げ時の機能層の力学的安定性、特にSiO2層の力学的安定性、及びヒートシーリングを使用する機能層の封止可能性が改善される。SiOaCbHc層は、SiOxCyHz層の類似構築物であるが、値aは値xとはわずかに異なってよく、すなわち、同じである必要はないが、同様の桁である。同じことが、値y及びb並びにz及びcの同様の対についても当てはまる。SiOaCbHc層において、水素含量は最小に維持される(cは0に近づく)。この種の機能層が好ましく、層配列SiOxCyHz:SiO2:SiOaCbHcを生じる。従ってこの種の構造のサンドイッチ-様機能層において、C:Si比は、層の中心に向かって、理想的には部分的SiO2層が存在するまで減少するのに対し、二つの外側層部分SiOxCyHz及びSiOaCbHcは、より高いC対Si比を有する。本発明の好ましいこの特別な層配列のおかげで(thank to)、手の上で、ガス及び蒸気に対し高度なバリア機能が実現され(主に内側の部分層の少ない炭素による)のに対し、二つの外側層SiOxCyHz及びSiOaCbHcは、機能層の良好な結合又は封止特性を確実にする。
【0019】
従って機能層は、所望のバリア機能を実現することができる一方で、高いSi含量を有する領域、すなわち低いC対Si比を有する領域は、主にバリア機能に負担をかける。
既に示したように、実際には、他の層から明確に規定された部分層を有する、2-又は3-層状の配列を有さず、むしろ個々の層は互いに一体化されることが好ましい。この種の層配列は、マルチ-勾配層とも称される。
別の態様において、Tiが、Siの代わりに又はSiに加えて個々の層中で使用されてもよい。同様に、SiOxCyHz及び/又はSiO2及び/又はSiOaCbHc層は、部分的又は全体的にTiOxCyHz又はTiO2又はTiOaCbHc層と交換されるか、又はそのような層が追加的に組込まれる。
【0020】
本発明に従い、機能層は、PICVD法(プラズマインパルス化学蒸着法)又はPECVD法(プラズマ促進化学蒸着法)により適用されることが好ましい。驚くべきことにこの方法は1個又は複数の、ブリスターフォイルの表面の、特に空洞の数によりそれ自身高度に複雑な幾何構造を有するウェル又は深絞り成形フォイルの十分に均一なコーティングを確実にする。
SiのTiによる置換を伴う又は伴わない、配列SiOxCyHz;SiO2及び任意にSiOaCbHcの二酸化ケイ素-含有する機能層によるブリスターフォイルのコーティングは、先行技術で公知の方法と同様に実行することができる。これに関連し、本発明者らは、論文「Multilayer barrier coating System produced by plasma-impulse chemical vapor deposition (PICVD)」、M. Walther、M.Heming、M. Spallek、Surface and Coatings Technology、80(19%)、200-205を参照している。本発明者らは、独国特許DE 40 08 405 C1及び米国特許出願US-A-5,154,943も参照している。
【0021】
あるいは機能層は、スパッタリングにより適用することができる。再度、先行技術がここで参照される。しかしコーティングは、PICVD法により実行されることが好ましい。
PICVD法によるコーティングの原理を以下に説明する。被覆されるブリスターフォイルは、真空チャンバー内に配置される。空気は、例えば圧力0.3mbar(30Pa)まで、真空ポンプにより、反応チャンバーとして利用される真空チャンバーから除去される。真空チャンバー上に、マイクロ波窓により分離された、マイクロ波ホーンアンテナが配置される。マイクロ波照射は、真空チャンバーへ、このマイクロ波アンテナを介してパルスされる。その結果マイクロ波プラズマが、真空チャンバー内で形成される。パルスの持続期間は、沈着された層の組成に影響を及ぼす追加のパラメータである。
【0022】
持続期間が0.1〜10ミリ秒(ms)の範囲であるマイクロ波パルスが、マグネトロンを介してマイクロ波アンテナに連結されたマイクロ波発生装置から発生する。マイクロ波集成装置(microwave arrangement)は、典型的には2.45GHz技術の標準構成部品を備えている。
その中でプラズマアークが点火されるガス、典型的には酸素及び不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素)、並びに同じくコーティングの生成に必要なガスである反応ガスの両方が、1個又は複数のガス供給集成装置を介して導入される。典型的には、SiOxCyHz又はTiOxCyHzなどの層は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)又はテトライソプロポキシドチタン(TIPT)などの有機金属反応ガスにより、適当なパルス持続期間を選択することにより、作製される。
【0023】
最初に酸素及び反応ガスの混合物が全て、供給集成装置により、真空チャンバーへ導入される。その後マイクロ波パルスにより、真空チャンバー内でプラズマが点火され、反応ガス分子を切断する。このようにして形成された分解産物(crack product)は、最も近い表面、すなわちブリスターフォイルに拡散し、次第に所望のバリア層の第一の部分を作り上げる。次のパルスが点火されるまでの100ミリ秒の桁であるパルス間のインターバル中に、消費された反応ガスが、2-ストロークエンジン方式による吸引により真空チャンバーから除去され、新鮮な反応ガス及び酸素と交換される。
【0024】
第一のSiOxCyHz部分層が実現された後できるだけ素早く多層を作製するために、対応する反応ガス、この場合ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)が、次の部分層を作製するために必要である反応ガスにより交換されるか、又は反応ガス対酸素の比が、変更されるかもしくはプラズマ温度により補正される。これらの部分層の間に滑らかな移行を作成するために、例えばふたつの反応ガスの混合物をある時間供給してもよい。滑らかな移行のために、第一の反応ガスの割合を低下し、かつ同時に第二の反応ガスの割合を望ましい値まで次第に増加することができる。
機能層が同じくチタン(Ti)を含有する場合、例えばテトライソプロポキシドチタン(TIPT)を、反応ガスとして使用することができる。
ここで本発明の医薬用ブリスターを、図面を参照し、以下により詳細に説明する。
【0025】
矢印Aは、カバー層(10)を指し、このカバー層を通る水分の拡散経路を表すことが意図されている。矢印Bは、ベース層(12、13、14)を指し、ベース層を通る水分の拡散の経路を表すことが意図されている。矢印Cは、カバーフォイルとベースフォイルの間の連結点、並びに経路を指しており、ブリスターのこの部分を通る。
各層、特に層12又は13は、本発明のバリアコーティングで被覆されてよい。
【0026】
本発明の範囲内で、以下の層配列を有するブリスターが好ましい:紙(20〜100g/m2)又はラッカー(0.5〜3g/m2)で形成される第一のカバーフォイル(すなわち、最も外側のカバーフォイル)、その下側に配置された好ましくは厚さ5〜20μm、より好ましくは10〜15μmであるポリエチレンテレフタレートからなる第二のカバー層、並びに最後に好ましくは厚さ10〜60μm、好ましくは10〜50μm及び最も好ましくは15〜40μmであるアルミフォイル層からなるカバーフォイル。
【0027】
この下側に、例えば、好ましくは厚さ30〜500μm、最も好ましくは60〜300μmである4-プライフォイルで形成されている、医薬品を収容するためのフォイルが配置されている。このフォイルは最初に、医薬品から密封され並びにその厚さが好ましくは10〜200μm、より好ましくは35〜70μmであるPVCフィルムにこの製品と接触する側が適用されるような、好ましくは厚さ20〜500nmの機能層、及び次に厚さが好ましくは30〜60μm、最も好ましくは35〜50μmであるアルミフォイルからなる。このアルミニウム層は次に、好ましくは厚さ10〜40μm、より好ましくは20〜30μmであるポリアミドの層で覆われる。
例えば紙の層のような単一層は、省略することができる。必要ないずれかのヒートシーリングラッカー又は接着促進剤は、簡略化するためにここでは言及していない。
【0028】
最も好ましいブリスターは、ふたつのフォイルからなり、これは第一にアルミニウム複合フォイルからなるカバーフォイル(好ましくは厚さ38μm)、次にPVCで作製されたベースフォイル(好ましくは厚さ250μm)であり、二酸化ケイ素-含有する機能層(好ましい厚さ20〜500nm)が薬物に隣接する側面に適用される。本発明に従い、これらのフォイルは、互いに融着することができ、その結果アルミフォイルは、本発明の機能層を保持するプラスチックフィルムの側面上に、融着又は接着剤結合される。好ましくは、アルミフォイルは、プラスチックフィルムへ、機能層を介して融着又は接着剤結合される。あるいはブリスターの融着又は接着継目を形成するブリスターのプラスチックフィルムの領域は、機能層から離すことができ、その結果機能層は、融着又は接着継目へと伸長しない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、先に検証された複数のウェル、空洞、窪み(2)を有する本発明の範囲内の、典型的ブリスター(1)を示している。
【図2】図2は、簡略化した形(ウェル又は窪みを伴わない)の本発明の原理を概略的に示している。アルミニウムのカバーフォイル(1)は、医薬用カプセル剤(2)を覆い、このフォイルは、PVC(4)−Aclar(5)複合フィルム上の機能層(3)で下向きに適用される。
【図3】図3は、より複雑な態様において本発明の原理を概略的に示す。この場合、機能層(3)は、より複雑な構造である。医薬用カプセル剤(2)が、シーリング層(3a)により、機能層(3)から保護される。機能層(3)は、透明なPVC(4)−Aclar(5)複合フィルムに適用された他の3種の層、すなわちSiOaCbHc層(3b)、SiO2層(3c)及び SiOxCyHz層(3d)からなる。
【図4】図4は、単に1個のウェル(2)を示しているブリスターの断面図を示す。このブリスターは、アルミニウムで作製されたカバーフォイル(10)、次に例えば、医薬品を収容するための互いに連結されていない複数のウェル(2)を有する深絞り成形フォイル、バリア層(11)を有する下側のウェルフォイル(12)、及びウェルフォイル(12)の周囲の保護的コーティング(13)からなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに融着及び/又は接着剤結合することができる少なくとも2種のフォイル、カバーフォイル並びにベースフォイルからなる軟質及び透明な医薬用ブリスターであって、これらのフォイルの少なくとも1種が、その上にガス、水蒸気又は有機物質に対するバリア効果を有する酸化ケイ素-又は酸化チタン-含有の透明又は半透明の機能層が適用されたプラスチック表面を有し、前記機能層が任意にその自由面で封止可能である、医薬用ブリスター。
【請求項2】
前記機能層が、少なくとも2種の部分層からなることを特徴とする、請求項1記載の医薬用ブリスター。
【請求項3】
前記2種の部分層が、SiOxCyHz部分層及びSiOx'Cy'Hz'部分層であり、ここでx'は、xよりも大きいか又はこれと等しく−好ましくはより大きく−及び好ましくは2に近づき、y'は、y未満であるか又はこれと等しく−好ましくは未満であり−及び好ましくは0に近づき、並びにz'は、z未満であるか又はこれと等しく−好ましくは未満であり−及び好ましくは0に近づくことを特徴とする、請求項2記載の医薬用ブリスター。
【請求項4】
前記機能層が、少なくとも1種の別のSiOaCbHc部分層を含み、ここでaはx'未満であるか又はこれと等しく−好ましくは未満であり−、及びbはy'よりも大きいか又はこれと等しく−好ましくはより大きく−、並びにcはz'よりも大きいか又はこれと等しく−好ましくはより大きく−、SiOx'Cy'Hz'部分層は、SiOxCyHz部分層及びSiOaCbHc部分層の間に位置し、層の内側へと向かう機能層の全体の配列は、C原子対Si原子の最小比を有することを特徴とする、請求項3記載の医薬用ブリスター。
【請求項5】
前記SiOxCyHz部分層及び任意にSiOaCbHc部分層が、固有に変動する化学量論組成を有する積層構造であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬用ブリスター。
【請求項6】
前記個々の部分層において、Si原子が、部分的にもしくは全体的にTi原子と置換されるか、又は式TiOxCyHz及び/又はTiOx'Cy'Hz'及び/又は任意にTiOaCbHcの追加の部分層が組込まれている(ここでx、y、z、x'、y'、z'並びに任意にa、b及びcは、請求項3に又はおそらく請求項4に従い定義されている。)ことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項記載の医薬用ブリスター。
【請求項7】
前記カバーフォイル及びベースフォイルの両方が、各々機能層により気相コーティングされているプラスチック表面を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬用ブリスター。
【請求項8】
前記1個又は複数のプラスチック表面が、PVC(ポリ塩化ビニル)、COC(シクロオレフィン系コポリマー、例えばTopas(登録商標))、ポリクロロトリフルオロエチレン(例えばACLAR(登録商標))、COP(シクロオレフィン系ポリマー、例えばCZ(登録商標))、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレートもしくはポリアミド、又はそれらの複合体もしくは積層品からなる群より(互いに独立して)選択されるプラスチックを含むか又はそれらからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の医薬用ブリスター。
【請求項9】
前記機能層が、PICVD法によるか又はPECVD法により適用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬用ブリスターの製造法。
【請求項10】
前記方法が、好ましくは下流側のプラズマにより補助される、CVD法であることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記真空プロセスが、直線形のプラズマ源及び連続流れによるPICVD法であることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記プラズマ光が、ブリスター内容物中の細菌数を減少するためにも使用されることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記コーティングが、フォイル造形プロセスからまだ温かい表面の上で実行されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505661(P2007−505661A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526547(P2006−526547)
【出願日】平成16年9月4日(2004.9.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009893
【国際公開番号】WO2005/035245
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】