説明

医薬組成物、医薬投薬形態、それらの調製方法、治療方法及びそれらの使用

本発明はSGLT-2 インヒビター薬物とパートナー薬物の一定用量組み合わせを含む医薬組成物、それらの調製方法、並びに或る種の疾患を治療するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はSGLT-2 インヒビター薬物とパートナー薬物の一定用量組み合わせ、それらの調製方法、及び或る種の疾患を治療するためのそれらに使用に関する。
更に詳しい局面において、本発明は選ばれたSGLT-2 インヒビター薬物と或る種のパートナー薬物の一定用量組み合わせ(FDC) のための経口固体投薬形態に関する。
加えて、本発明はこのような医薬投薬形態の調製方法に関する。加えて、本発明は選ばれた疾患及び医療症状、特に、とりわけ、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常及び高血糖症から選ばれた一つ以上の症状の治療及び/又は予防における医薬組成物及び医薬投薬形態の使用に関する。更に、本発明は本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態がそれを要する患者に投与される、このような疾患及び医療症状の治療及び/又は予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病は高頻度の合併症のために余命の重大な減少をもたらす次第に流行している疾患である。糖尿病に関連する微小血管合併症のために、2型糖尿病は現在工業化世界で成人発症視力低下、腎不全、及び切断の最も頻繁な原因である。加えて、2型糖尿病の存在が心血管疾患のリスクの2〜5倍の増大と関連している。
長期の疾患後に、2型糖尿病の殆どの患者が最終的に経口治療に失敗し、毎日の注射及び多くの毎日のグルコース測定を必要としてインスリン依存性になるであろう。
UKPDS (英国有望糖尿病研究) はメトホルミン、スルホニル尿素又はインスリンによる集中治療が血糖調節の制限された改善 (HbA1c の差約0.9%) のみをもたらすことを実証した。加えて、集中治療中の患者でさえも、アーム血糖調節が経時でかなり劣化し、これがβ-細胞機能の劣化の原因であった。重要なことに、集中治療は大血管合併症、即ち、心血管のイベントの有意な減少と関連しなかった。それ故、2型糖尿病の多くの患者が、長期効力、寛容性及び既存の坑高脂血症治療薬の投与の不便さにおける一部の制限のために、不適に治療されたままである。
治療(例えば、初回もしくは第二選択、及び/又は単一療法もしくは(初期もしくは併用)組み合わせ療法)に通常使用される経口坑糖尿病薬として、メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、グリニド及びα-グルコシダーゼインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。
治療の失敗の高い発生率が2型糖尿病の患者における長期高血糖症関連合併症又は慢性損傷(微小血管及び大血管合併症、例えば、糖尿病性腎症、網膜症もしくは神経障害、又は心血管合併症を含む)の高い比率の重大な一因である。
それ故、血糖調節、疾患軽減特性並びに心血管罹患率及び死亡率の減少に関して良好な効力を有すると同時に改善された安全性プロフィールを示す方法、薬物及び医薬組成物についての満たされない医療上の要望がある。
SGLT2 インヒビターは2型糖尿病の患者の治療又は血糖調節の改善のために開発されている薬剤の新規クラスに相当する。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体がSGLT2 インヒビターとして従来技術、例えば、WO 01/27128、WO 03/099836 、WO 2005/092877、WO 2006/034489 、WO 2006/064033、WO 2006/117359、WO 2006/117360、WO 2007/025943、WO 2007/028814、WO 2007/031548、WO 2007/093610、WO 2007/128749、WO 2008/049923、WO 2008/055870、WO 2008/055940に記載されている。グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は尿の糖排泄の誘導物質、及び糖尿病の治療における薬物として提案されている。
グルコースの腎臓濾過及び再摂取は、その他のメカニズムの中でも、定常状態血漿グルコース濃度に寄与し、それ故、坑糖尿病標的として利用できる。腎臓の上皮細胞を横切る濾過されたグルコースの再摂取はナトリウム勾配に沿った細管中の刷子縁膜に位置されるナトリウム依存性グルコース共輸送体(SGLT)により進行する。それらの発現パタンだけでなく、それらの物理化学的性質を異にする少なくとも3種のSGLTイソ型がある。SGLT2 は専ら腎臓中で発現され、一方、SGLT1 は更に腸、結腸、骨格筋及び心筋のようなその他の組織中で発現される。SGLT3 は輸送機能を有しない腸の間質細胞中のグルコースセンサーであることがわかった。潜在的に、その他の関連するが、未だ特性決定されていない遺伝子が、腎臓のグルコース再摂取に寄与し得る。正常血糖下で、グルコースが腎臓中のSGLTにより完全に再吸収され、一方、腎臓の再摂取能は10mMより高いグルコース濃度で飽和され、グルコース尿を生じる(“真性糖尿病”)。この閾値濃度はSGLT2 抑制により減少し得る。SGLT抑制が糸球体濾過液から血液へのグルコースの再摂取を部分的に抑制し、血液グルコース濃度の減少及びグルコース尿をもたらすことがSGLT インヒビターフロリジンを用いる実験で示されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的はSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物についての高含量一様性を有するSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的はパートナー薬物についての非常に高い薬物配合量及びSGLT2 インヒビターについての非常に少ない薬物配合量を有するSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の目的は医薬投薬形態の時間及びコストに関して有効な製造を可能にするSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は組成物の製造方法中の粘着及びキャッピングを回避又は軽減するSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は組成物の製造中のフィルム形成を回避又は軽減するSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は許されるサイズを有するSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬投薬形態を提供することである。
本発明の別の目的は短い崩壊時間を有し、良好な溶解特性を有し、かつ/又は患者のSGLT-2 インヒビターの高い生物学的利用能を可能にするSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬投薬形態を提供することである。
本発明の別の目的は特に2型真性糖尿病の、代謝障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療するための夫々、SGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物及び医薬投薬形態、並びに方法を提供することである。
【0004】
本発明の更なる目的は血糖調節を必要とする患者、特に2型真性糖尿病の患者の血糖調節を改善するための夫々、SGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物及び医薬投薬形態、並びに方法を提供することである。
本発明の別の目的は不十分な血糖調節の患者で血糖調節を改善するための夫々、SGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物及び医薬投薬形態、並びに方法を提供することである。
本発明の別の目的は耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、インスリン耐性及び/又は代謝症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅くし、又は遅延するための夫々、SGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物及び医薬投薬形態、並びに方法を提供することである。
本発明の更に別の目的は真性糖尿病の合併症からなる群から選ばれた症状又は障害を予防し、進行を遅くし、遅延し、又は治療するための夫々、SGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物及び医薬投薬形態、並びに方法を提供することである。
本発明の更なる目的はそれを要する患者の体重を減少し、又は体重の増加を予防するための夫々、SGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物及び医薬投薬形態、並びに方法を提供することである。
本発明の別の目的は代謝障害、特に真性糖尿病、耐糖能異常 (IGT) 、空腹時血糖異常 (IFG)、及び/又は高血糖症の治療に高い効力を有する夫々、SGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む医薬組成物及び医薬投薬形態(これらは良好〜非常に良好な薬理学的性質及び/又は薬物速度論的性質及び/又は物理化学的性質を有する)を提供することである。
本発明の別の目的はコスト及び/又は時間の点で有効である本発明の医薬投薬形態の調製方法を提供することである。
本発明の更なる目的は先の記載及び以下の記載並びに実施例により当業者に明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一局面において、本発明は活性医薬成分としてのSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物並びに一種以上の賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一局面において、本発明の医薬組成物は固体医薬組成物、例えば、経口投与のための固体医薬組成物である。
一局面において、本発明の医薬組成物内でSGLT-2 インヒビターと合わされるパートナー薬物はビグアニド(例えば、メトホルミン、例えば、メトホルミン塩酸塩)である。
本発明の意味内の好ましいパートナー薬物はメトホルミン、特にメトホルミン塩酸塩(1,1-ジメチルビグアニド塩酸塩又はメトホルミン HCl)である。
一般に、使用し得る医薬賦形剤は一種以上の充填剤、一種以上のバインダーもしくは希釈剤、一種以上の潤滑剤、一種以上の崩壊剤、及び一種以上の滑剤、一種以上のフィルム被覆剤、一種以上の可塑剤、一種以上の顔料等からなる群から選ばれてもよい。
本発明の医薬組成物(錠剤)は通常バインダーを含む。
更に詳しくは、本発明の医薬組成物(錠剤)は通常一種以上の充填剤(例えば、D-マンニトール、トウモロコシ澱粉及び/又は前ゼラチン化澱粉及び/又は微結晶性セルロース)、バインダー(例えば、コポビドン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム)、及び滑剤(例えば、無水コロイドシリカ)を含む。
本発明内で使用される医薬賦形剤は通常の物質、例えば、充填剤としてのD-マンニトール、トウモロコシ澱粉、微結晶性セルロース、前ゼラチン化澱粉、バインダーとしてのコポビドン、潤滑剤としてのステアリン酸マグネシウム又はステアリルフマル酸ナトリウム、滑剤としての無水コロイドシリカ、フィルム被覆剤としてのヒプロメロース、可塑剤としてのプロピレングリコール、顔料としての二酸化チタン、鉄酸化物赤色/黄色/黒色又はこれらの混合物、及びタルク等であることが好適である。
【0006】
本発明の典型的な組成物はバインダーコポビドン(またコポリビドン又はコリドンVA64として知られている)を含む。
更に、本発明の典型的な組成物は充填剤トウモロコシ澱粉、バインダーコポビドン、潤滑剤ステアリン酸マグネシウム、及び滑剤無水コロイドシリカを含む。
更に、本発明の典型的な組成物は充填剤微結晶性セルロース、バインダーコポビドン、潤滑剤ステアリン酸マグネシウム又はステアリルフマル酸ナトリウム、及び滑剤無水コロイドシリカそして必要により崩壊剤クロスポビドン又はクロスカルメロースナトリウムを含む。
こうして、特に、本発明はSGLT-2 インヒビター、メトホルミン塩酸塩及び一種以上の医薬賦形剤、特に一種以上の充填剤、一種以上のバインダー、一種以上の滑剤、及び/又は一種以上の潤滑剤を含む医薬組成物(特に経口固体投薬形態、特に錠剤)に関する。
更に特別には、本発明はSGLT-2 インヒビター、メトホルミン塩酸塩、バインダーとしてのコポビドン及び一種以上の更なる医薬賦形剤を含む医薬組成物(特に経口固体投薬形態、特に錠剤)に関する。
【0007】
本発明の典型的な医薬組成物はSGLT-2 インヒビター割り当て(全SGLT-2 インヒビター割り当ての質量%)で
0.1-10 % SGLT-2 インヒビター、
0.1-3 % SGLT-2 インヒビター、
0.4-2.2 % SGLT-2 インヒビター、又は
0.1-2.11 % SGLT-2 インヒビター
を含んでもよい。
本発明の典型的な医薬組成物はまたSGLT-2 インヒビター割り当て(全SGLT-2 インヒビター割り当ての質量%)で
0.1-10 % SGLT-2 インヒビター、
0.1-3 % SGLT-2 インヒビター、
0.4-2.2 % SGLT-2 インヒビター、又は
0.1-2.12 % SGLT-2 インヒビター
を含んでもよい。
本発明の典型的な医薬組成物は一種以上の下記の量(全被覆錠剤質量の質量%):
0.1-2.11 %SGLT-2 インヒビター、
47-88 %メトホルミン HCl,
3.9-8.3 %バインダー(例えば、コポビドン)、
2.3-8.0 %充填剤1(例えば、トウモロコシ澱粉)、
0-4.4 %充填剤2 (例えば、前ゼラチン化澱粉)、
0-33 %充填剤3 (例えば、D-マンニトール)、
0.7-1.5 %潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、
0.05-0.5 %滑剤(例えば、無水コロイドシリカ)、
0.00-3.0 % 崩壊剤(例えば、クロスポビドン又はクロスカルメロースナトリウム)
を含んでもよい。
本発明の典型的な医薬組成物は一種以上の下記の量(全被覆錠剤質量の質量%):
0.1-2.12 %SGLT-2 インヒビター、
47-88 %メトホルミン HCl、
3.9-8.3 %バインダー(例えば、コポビドン)、
2.3-8.0 %充填剤1 (例えば、トウモロコシ澱粉)、
0-4.4 %充填剤2 (例えば、前ゼラチン化澱粉)、
0-33 %充填剤3 (例えば、D-マンニトール)、
0.7-1.5 %潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、
0.05-0.5 %滑剤(例えば、無水コロイドシリカ)、
0.00-3.0 %崩壊剤(例えば、クロスポビドン又はクロスカルメロースナトリウム)
を含んでもよい。
【0008】
一実施態様において、FDC 製剤は化学的に安定であり、かつa) in-vitro 溶解プロフィールの類似性を示し、かつ/又は自由な組み合わせにつき生物学的に均等であり、又はb) in-vitro 及びin-vivo性能を所望のレベルに調節することを可能にする。好ましい実施態様において、本発明は妥当な錠剤サイズを有する、夫々の個々の物の相当するモノ錠剤のもとの溶解プロフィールを維持する化学的に安定なFDC 製剤に関する。
一実施態様において、本発明の医薬組成物は流動床造粒を使用して製造される。
本発明のFDC 製剤についての更なる詳細、例えば、成分、成分の比(例えば、SGLT-2 インヒビター、メトホルミン塩酸塩、及び/又は賦形剤の比)、特に本発明内で使用される特別な投薬形態(錠剤)だけでなく、それらの調製に関する詳細が、先の、かつ以下の開示(例としての下記の実施例を含む)から当業者に明らかになる。
SGLT2 インヒビターは式(I) のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体又は前記SGLT2 インヒビターの一種のプロドラッグから選ばれることが好ましい。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、R1 はCl、メチル又はシアノを表し、R2 はH、メチル、メトキシ又はヒドロキシを表し、かつR3 はエチル、シクロプロピル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表す。
上記式(I) のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体において、置換基の下記の定義が好ましい。
R1 がクロロ又はシアノ、特にクロロを表すことが好ましい。
R2 がHを表すことが好ましい。
R3 がエチル、シクロプロピル、エチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表すことが好ましい。R3 がシクロプロピル、エチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表すことが更に好ましい。R3 がエチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表すことが最も好ましい。
式(I) の好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は化合物(I.1) 〜 (I.11)の群から選ばれる。
【0011】
【化2】





【0012】
式(I) の更に好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は化合物(I.6) 、(I.7) 、(I.8) 、(I.9) 及び(I.11)から選ばれる。
式(I) の更に好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は化合物 (I.8) 及び (I.9) 、又は化合物 (I.9)の結晶性形態(I.9X)から選ばれる。
本発明の医薬組成物は高含量一様性並びに医薬投薬形態、例えば、錠剤及びカプセルの時間及びコストに関する有効な製造を可能にする。更に、一実施態様において、これらの医薬投薬形態が特に錠剤である。
それ故、別の局面において、本発明は本発明の医薬組成物を含む医薬投薬形態を提供する。一局面において、本発明の医薬投薬形態は固体投薬形態、例えば、経口投与のための固体医薬投薬形態である。
別の局面において、本発明は活性医薬成分が一種以上の賦形剤と一緒に造粒される一つ以上の造粒プロセスを含む本発明の医薬投薬形態の調製方法を提供する。
SGLT2 インヒビター及び以下に定義されるパートナー薬物を含む医薬組成物は代謝障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療し、特に患者の血糖調節を改善するのに有利に使用し得ることがわかる。これは2型真性糖尿病、過剰体重、肥満、真性糖尿病の合併症及び関連症状の治療及び予防に新しい治療可能性を開く。
【0013】
それ故、第一の局面において、本発明は本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態が患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者の1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、高血糖、食後の高血糖、過剰体重、肥満及び代謝症候群からなる群から選ばれた代謝障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療する方法を提供する。
本発明の別の局面によれば、本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態が患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者の血糖調節を改善し、かつ/又は空腹時血漿グルコース、食後の血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン HbA1c を低減するための方法が提供される。
本発明の医薬組成物はまた耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、インスリン耐性及び/又は代謝症候群に関連する疾患又は症状に関して有益な疾患軽減特性を有し得る。
本発明の別の局面によれば、本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態が患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者の耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、インスリン耐性及び/又は代謝症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅くし、遅延し、又は反転するための方法が提供される。
本発明の医薬組成物の使用によるように、それを要する患者の血糖調節の改善が得られ、また増大された血液グルコースレベルに関連し、又はそれにより生じるこれらの症状及び/又は疾患が治療し得る。
【0014】
本発明の別の局面によれば、本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態が患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者の真性糖尿病の合併症、例えば、白内障並びに微小血管疾患及び大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、糖尿病の足、動脈硬化、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不安定な狭心症、安定な狭心症、卒中、末梢動脈閉塞疾患、心筋症、心不全、心臓律動障害及び血管再狭窄からなる群から選ばれた症状又は障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療するための方法が提供される。特に、糖尿病性腎症の一つ以上の特徴、例えば、過潅流、タンパク尿及びアルブミン尿が治療され、それらの進行が遅くされ、又はそれらの発症が遅延もしくは予防されるかもしれない。“組織虚血”という用語は特に糖尿病性大血管症、糖尿病性微小血管症、創傷治癒障害及び糖尿病性潰瘍を含む。“微小血管疾患及び大血管疾患”及び“微小血管合併症及び大血管合併症”という用語はこの出願で互換可能に使用される。
本発明の医薬組成物の投与により、かつSGLT2 インヒビターの活性のために、過度の血糖レベルが脂肪のような不溶性貯蔵形態に変換されないが、患者の尿により排泄される。それ故、体重増のないこと又は更には体重の減少がその結果である。
本発明の別の局面によれば、本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態が患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者の体重を減少し、もしくは体重増を予防し、又は体重減を促進するための方法が提供される。
本発明の医薬組成物中のSGLT2 インヒビターの薬理学的効果はインスリンとは独立である。それ故、血糖調節の改善が膵臓のベータ細胞への付加的な歪なしに可能である。本発明の医薬組成物の投与により、ベータ細胞変性及びベータ細胞機能の減少、例えば、膵臓のベータ細胞のアポトーシス又は壊死が遅延又は予防し得る。更に、膵臓細胞の機能が改善又は回復でき、膵臓ベータ細胞の数及びサイズが増大し得る。高血糖により乱される膵臓ベータ細胞の分化状態及び過形成が本発明の医薬組成物による治療により正常化し得ることが示し得る。
本発明の別の局面によれば、本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態が患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者の膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の減少を予防し、遅くし、遅延し、もしくは治療するため、かつ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善し、かつ/又は回復し、かつ/又は膵臓のインスリン分泌の機能を回復するための方法が提供される。
【0015】
本発明の医薬組成物の投与により、肝臓中の脂肪の異常な蓄積が減少又は抑制し得る。それ故、本発明の別の局面によれば、先に、また以下に定義されるSGLT2 インヒビターが患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者の肝脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状を予防し、遅くし、遅延し、又は治療するための方法が提供される。肝脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状は特に一般の脂肪肝、非アルコール性脂肪肝 (NAFL)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、過栄養誘発脂肪肝、糖尿病性脂肪肝、アルコール誘発脂肪肝又は毒性脂肪肝からなる群から選ばれる。
その結果として、本発明の別の局面は本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態が患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者のインスリン感受性を維持し、かつ/又は改善するため、かつ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン耐性を治療又は治療するための方法を提供する。
本発明の別の局面によれば、先に、また以下に定義されるSGLT2 インヒビターが患者に投与されることを特徴とする、それを要する患者の
−1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、高血糖、食後の高血糖、過剰体重、肥満及び代謝症候群からなる群から選ばれた代謝障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療し、
−血糖調節を改善し、かつ/又は空腹時血漿グルコース、食後の血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン HbA1cを減少するため、又は
−耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、インスリン耐性及び/又は代謝症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅くし、遅延し、又は反転し、又は
【0016】
−真性糖尿病の合併症、例えば、白内障並びに微小血管疾患及び大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、糖尿病の足、動脈硬化、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不安定な狭心症、安定な狭心症、卒中、末梢動脈閉塞疾患、心筋症、心不全、心臓律動障害及び血管再狭窄からなる群から選ばれた症状又は障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療し、又は
−体重を減少し、もしくは体重増を予防し、又は体重の減少を促進し、又は
−膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の減少を予防し、遅くし、遅延し、もしくは治療し、かつ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善し、かつ/又は回復し、かつ/又は膵臓のインスリン分泌の機能を回復し、又は
−肝脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状を予防し、遅くし、遅延し、又は治療し、又は
−インスリン感受性を維持し、かつ/又は改善し、かつ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン耐性を治療もしくは予防するための薬物の製造のための本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態の使用が提供される。
本発明の別の局面によれば、先に、また以下に記載された治療及び予防の方法のための薬物の製造のための本発明の医薬組成物又は医薬投薬形態の使用が提供される。
【0017】
定義
本発明の医薬組成物の“活性成分”という用語は本発明のSGLT2 インヒビターを意味する。“活性成分”はまた本明細書で時折“活性物質”と称される。
ヒト患者の“体格指数”又は“BMI”という用語は身長(メートル)の自乗により割られた体重(キログラム)と定義され、その結果、BMI はkg/m2の単位を有する。
“過剰体重”という用語は個体が25 kg/m2 より大きく、かつ30 kg/m2 未満のBMI を有する症状と定義される。“過剰体重”及び“前肥満”という用語は互換可能に使用される。
“肥満”という用語は個体が30 kg/m2 以上のBMI を有する症状と定義される。WHO 定義によれば、肥満という用語は以下のようにカテゴリー化されてもよい:“クラスI肥満”という用語はBMI が30 kg/m2 以上であるが、35 kg/m2 より低い症状であり、“クラスII肥満”という用語はBMI が35 kg/m2 以上であるが、40 kg/m2 より低い症状であり、“クラスIII 肥満”という用語はBMI が40 kg/m2以上である症状である。
“内臓肥満”という用語は男性で1.0以上のウェスト対ヒップ比また女性で0.8以上のその比が測定される症状と定義される。それはインスリン耐性及び前糖尿病の発生のリスクを特定する。
“腹部肥満”という用語はウェスト周囲が男性で40インチ即ち102 cmより大きく、また女性で35インチ即ち94 cm より大きい症状と通常定義される。日本民族又は日本人患者に関して、腹部肥満は男性で85 cm 以上、また女性で90 cm 以上のウェスト周囲と定義されるかもしれない(例えば、日本における代謝症候群の診断に関する調査委員会を参照のこと)。
“正常血糖”という用語は被験者が70 mg/dL (3.89 ミリモル/L) より大きく、かつ110 mg/dL (6.11 ミリモル/L)未満の正常な範囲内の空腹時血液グルコース濃度を有する状態と定義される。“空腹時”という用語は医療用語として通常の意味を有する。
“高血糖”という用語は被験者が110 mg/dL (6.11 ミリモル/L) より大きい、正常な範囲より上の空腹時血液グルコース濃度を有する症状と定義される。“空腹時”という用語は医療用語として通常の意味を有する。
“低血糖”という用語は被験者が60〜115 mg/dL (3.3 〜6.3 ミリモル/L) の正常な範囲より下の血液グルコース濃度を有する症状と定義される。
【0018】
“食後の高血糖”という用語は被験者が200 mg/dL (11.11 ミリモル/L)より大きい食後2時間の血液グルコース又は血清グルコース濃度を有する症状と定義される。
“空腹時血糖異常”即ち“IFG”という用語は被験者が100 〜125 mg/dl (即ち5.6 〜6.9 ミリモル/l) 、特に110 mg/dLより大きく、かつ126 mg/dI (7.00 ミリモル/L) 未満の範囲の空腹時血液グルコース濃度又は空腹時血清グルコース濃度を有する症状と定義される。“正常な空腹時グルコース”を有する被験者は100 mg/dlより小さく、即ち5.6 ミリモル/lより小さい空腹時グルコース濃度を有する。
“耐糖能異常”即ち“IGT”という用語は被験者が140 mg/dI (7.78 ミリモル/L) より大きく、かつ200 mg/dL (11.11 ミリモル/L) 未満の食後2時間の血液グルコース又は血清グルコース濃度を有する症状と定義される。耐糖能異常、即ち食後2時間の血液グルコース又は血清グルコース濃度は空腹後にグルコース75gを摂取した後2時間の血漿1dL当りのグルコースのmg数で血糖レベルとして測定し得る。“正常な耐糖能”を有する被験者は140 mg/dI (7.78 ミリモル/L)より小さい食後2時間の血液グルコース又は血清グルコース濃度を有する。
“高インスリン血症”という用語は正常血糖を有し、又は有しないで、インスリン耐性を有する被験者が、正常よりも高い空腹時又は食後の血清又は血漿インスリン濃度を有する症状と定義され、インスリン耐性を有しないやせた個体が1.0未満(男性につき)又は0.8未満(女性につき)のウェスト対ヒップ比を有する。
【0019】
“インスリン感作”、“インスリン耐性改善”又は“インスリン耐性低下”という用語は同義であり、互換可能に使用される。
“インスリン耐性”という用語はグルコース負荷に対する正常な応答を超える循環インスリンレベルが正常血糖状態を維持するのに必要とされる状態と定義される(Ford ESら, JAMA. (2002) 287:356-9)。インスリン耐性の測定方法は正常血糖-高インスリン血クランプ試験である。インスリン対グルコースの比が組み合わされたインスリン-グルコース注入技術の範囲内で測定される。グルコース吸収が調べられたバックグラウンド集団の25%より下である場合に、インスリン耐性があるとわかる (WHO 定義)。クランプ試験よりもかなり労力の少ないのが所謂最小モデルであり、この場合、静脈内耐糖能試験中に、血液中のインスリン濃度及びグルコース濃度が一定の時間間隔で測定され、これらからインスリン耐性が計算される。この方法では、肝臓インスリン耐性と末梢インスリン耐性を区別することができない。
更に、インスリン耐性、治療に対するインスリン耐性の患者の応答、インスリン感受性及び高インスリン血は“インスリン耐性についてのホメオスタシスモデル分析 (HOMA-IR)” スコア、インスリン耐性の信頼できるインジケーターを分析することにより定量されてもよい (Katsuki Aら, Diabetes Care 2001; 24: 362-5)。更に、インスリン感受性についてのHOMA-インデックス (Matthews ら, Diabetologia 1985, 28: 412-19)、無傷のプロインスリン対インスリンの比 (Forst ら, Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459) の測定方法及び正常血糖クランプ研究が参考にされる。加えて、血漿アジポネクチンレベルがインスリン感受性の潜在的な代用物として監視し得る。ホメオスタシス分析モデル (HOMA)-IR スコアによるインスリン耐性の推定が下記の式で計算される (Galvin Pら, Diabet Med 1992;9:921-8)。
HOMA-IR = [空腹時血清インスリン (μU/mL)] x [空腹時血漿グルコース(ミリモル/L)/22.5]
一般に、その他のパラメーターがインスリン耐性を分析するために毎日の臨床慣例で使用される。例えば、患者のトリグリセリド濃度が使用されることが好ましい。何とならば、増大されたトリグリセリドレベルがインスリン耐性の存在と有意に相関関係があるからである。
【0020】
IGT もしくはIFG 又は2型糖尿病の発生についての素質を有する患者は高インスリン血とともに正常血糖を有するものであり、定義により、インスリン耐性である。インスリン耐性を有する典型的な患者は通常過剰体重又は肥満である。インスリン耐性が検出し得る場合、これは前糖尿病の存在の特に強い指示である。こうして、グルコースホメオスタシスを維持するために、ヒトはこれが臨床症候を生じないで、健康なヒトの2-3 倍多くのインスリンを必要とするかもしれない。
膵臓ベータ細胞の機能を調べる方法はインスリン感受性、高インスリン血又はインスリン耐性に関する上記方法と同様である。ベータ細胞機能の改善は、例えば、ベータ細胞機能についてのHOMA-インデックス (Matthews ら, Diabetologia 1985, 28: 412-19)、無傷のプロインスリン対インスリンの比 (Forst ら, Diabetes 2003, 52(Suppl.1): A459)、耐糖能試験もしくは食事トレランス試験後のインスリン/C-ペプチド分泌を測定することにより、又は頻繁にサンプリングされる静脈内耐糖能試験後に高血糖クランプ研究及び/又は最小モデリング (Stumvoll ら, Eur J Clin Invest 2001, 31: 380-81)を使用することにより測定し得る。
“前糖尿病”という用語は個体が2型糖尿病の発生の素質があるとされる症状である。前糖尿病は100 mg/dL 以上の高い正常範囲内の空腹時血液グルコース(J. B. Meigs, ら. Diabetes 2003; 52:1475-1484) 及び空腹時高インスリン血 (上昇した血漿インスリン濃度) を有する個体を含むために耐糖能異常の定義を拡大する。前糖尿病を重大な健康脅威と同定するための科学的かつ医療の基礎が米国糖尿病協会及び国立糖尿病学会により共同発行された“2型糖尿病の予防又は遅延”と題するPosition Statement 並びにDigestive and Kidney Diseases (Diabetes Care 2002; 25:742-749)にレイアウトされている。
おそらくインスリン耐性を有する個体は下記の特性の二つ以上を有するものである: 1)過剰体重又は肥満、2)高血圧、3)高脂血症、4) IGTもしくはIFG 又は2型糖尿病の診断と関連する一つ以上の第一級。インスリン耐性はこれらの個体でHOMA-IR スコアを計算することにより確認し得る。本発明の目的のために、インスリン耐性は個体が4.0より大きいHOMA-IR スコア又は研究所が行なうグルコースアッセイ及びインスリンアッセイについて特定される正常の上限より上のHOMA-IR スコアを有する臨床的症状と定義される。
【0021】
“2型糖尿病”という用語は被験者が125 mg/dL (6.94 ミリモル/L) より大きい空腹時血液グルコース又は血清グルコース濃度を有する症状と定義される。血液グルコース値の測定はルーチン医療分析における標準の操作である。耐糖能試験が行なわれる場合、糖尿病の血糖レベルはグルコース75g が空の胃で摂取された2時間後に血漿1dL 当りグルコース200mg (11.1 ミリモル/l) を超えるであろう。耐糖能試験では、グルコース75g が10-12時間の空腹後に試験される患者に経口投与され、血糖レベルがグルコース摂取の直前及びその摂取の1時間後及び2時間後に記録される。健康な被験者では、グルコース摂取前の血糖レベルが血漿1dL 当り60〜110mgであり、グルコース摂取1時間後に1dL 当り200mg未満であり、また2時間後に1dL 当り140mg未満であろう。2時間後に、その値が140 〜200mgである場合、これが耐糖能異常と見なされる。
“後期2型真性糖尿病”という用語は二次薬物失敗、インスリン治療についての指示並びに微小血管及び大血管合併症、例えば、糖尿病性腎症、又は心臓冠動脈疾患(CHD) への進行を有する患者を含む。
“HbA1c”という用語はヘモグロビンB鎖の非酵素的グリケーションの産物を表す。その測定は当業者に公知である。真性糖尿病の治療のモニタリングでは、HbA1c 値が格別重要である。その生成は実質的に血糖レベル及び赤血球の寿命に依存するので、“血糖記憶”の意味のHbA1c が先の4-6 週の平均血糖レベルを反映する。HbA1c 値が集中糖尿病治療により一貫して良く調節される(すなわち、サンプル中の全ヘモグロビンの6.5%未満)糖尿病患者は、糖尿病性微小血管障害に対し有意に良く保護されている。例えば、メトホルミンそれ自体は1.0-1.5 %のオーダの糖尿病のHbA1c 値の平均の改善を達成する。HbA1C 値のこの低下は全ての糖尿病でHbA1c 6.5%未満、好ましくは6%未満の所望の目標範囲を達成するのに充分ではない。
【0022】
本発明の範囲内の“不十分な血糖調節”又は“不適当な血糖調節”という用語は患者が6.5%より上、特に7.0%より上、更に好ましくは7.5%より上、特に8%より上のHbA1c 値を示す症状を意味する。
“代謝症候群”(また“症候群X”(代謝障害の状況で使用される場合)と称され、また“代謝異常症候群”と称される)はインスリン耐性である基本的な特徴と複合の症候群である (Laaksonen DEら, Am J Epidemiol 2002;156:1070-7) 。ATP III/NCEP ガイドライン(Executive Summary of the Third Report of the National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III) JAMA: Journal of the American Medical Association (2001) 285:2486-2497) によれば、代謝症候群の診断は下記のリスク因子の三つ以上が存在する場合になされる。
1.男性で40インチ即ち102 cmより大きく、また女性で35インチ即ち94 cm より大きいウェスト周囲と定義され、又は日本民族もしくは日本人の患者に関して男性で85 cm 以上、また女性で90 cm 以上のウェスト周囲と定義される、腹部肥満;
2. 150 mg/dL以上のトリグリセリド
3.男性で< 40 mg/dL 未満のHDL-コレステロール
4. 130/85 mm Hg 以上の血圧(SBP ≧ 130 又はDBP ≧ 85)
5. 110 mg/dL以上の空腹時血液グルコース
NCEP 定義が実証されていた (Laaksonen DEら, Am J Epidemiol. (2002) 156:1070-7) 。血液中のトリグリセリド及びHDL コレステロールがまた医療分析における標準方法により測定でき、例えば、Thomas L (編集者): "Labor und Diagnose“, TH-Books Verlagsgesellschaft mbH, Frankfurt/Main, 2000に記載されている。
【0023】
普通に使用される定義によれば、高血圧は収縮期血圧 (SBP)が140 mm Hg の値を超え、また拡張期血圧 (DBP)が90 mm Hgの値を超える場合に診断される。患者が顕著な糖尿病を患っている場合、収縮期血圧が130mm Hgより下のレベルに低下され、拡張期血圧が80 mm Hgより下に低下されることが現在推奨される。
本発明の範囲内の“SGLT2 インヒビター”という用語は、ナトリウム-グルコース輸送体(SGLT2)、特にヒトSGLT2 に対する抑制効果を示す化合物、特に、グルコピラノシル-誘導体、即ち、グルコピラノシル部分を有する化合物に関する。IC50として測定される hSGLT2に対する抑制効果は好ましくは1000 nM より下、更に好ましくは100 nMより下、最も好ましくは50 nM より下である。hSGLT2に対する抑制効果は文献で知られており、特に出願WO 2005/092877又はWO 2007/093610 (23/24頁)(これらが参考として本明細書にそのまま含まれる)に記載された方法により測定し得る。“SGLT2 インヒビター”という用語はまたこれらの医薬上許される塩、これらの水和物及び溶媒和物(夫々の結晶性形態を含む)を含む。
“治療”という用語は特に顕著な形態で、前記症状を既に発生した患者の治療措置を含む。治療措置は特別な指示の症候を軽減するための対症措置又は指示の症状を反転もしくは部分反転し、又は疾患の進行を停止もしくは遅延するための原因措置であってもよい。こうして、本発明の組成物及び方法は、例えば、時間の或る期間にわたる治療措置としてだけでなく、慢性治療のために使用し得る。
“予防措置”、及び“予防”という用語は互換可能に使用され、前記症状を発生する恐れのある患者の措置を含み、こうして前記恐れを軽減する。
“錠剤”という用語は被覆物のない錠剤及び一種以上の被覆物を有する錠剤を含む。更に、“錠剤”という用語は一つ、二つ、三つ又はそれより多い層を有する錠剤及びプレス被覆錠剤を含み、前記型の錠剤の夫々が一種以上の被覆物を有してもよく、又は有しなくてもよい。“錠剤”という用語はまたミニ錠剤、融解錠剤、噛み砕き可能な錠剤、発泡錠剤及び経口崩壊錠剤を含む。
“薬局方”という用語は通常の薬局方、例えば、 “USP 31NF 26 through Second Supplement” (米国薬局方慣例) 又は “European Pharmacopoeia 6.3” (European Directorate for the Quality of Medicines and Health Care, 2000-2009)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の局面、特に医薬組成物、方法及び使用は先に、また以下に定義されるSGLT2 インヒビターに関する。
SGLT2 インヒビターは式(I) のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、又は前記SGLT2 インヒビターの一種のプロドラッグから選ばれることが好ましい。
【化3】

【0025】
式中、R1 はCl、メチル又はシアノを表し、R2 はH、メチル、メトキシ又はヒドロキシを表し、かつR3 はエチル、シクロプロピル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表す。
式 (I)の化合物及びそれらの合成の方法が、例えば、下記の特許出願に記載されている: WO 2005/092877, WO2006/117360, WO 2006/117359, WO 2006/120208, WO 2006/064033, WO 2007/031548, WO 2007/093610, WO 2008/020011, WO 2008/055870。
式(I) の上記グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体において、置換基の下記の定義が好ましい。
R1 がクロロ又はシアノ、特にクロロを表すことが好ましい。
R2 がHを表すことが好ましい。
R3 がエチル、シクロプロピル、エチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表すことが好ましい。R3 がシクロプロピル、エチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表すことが更に好ましい。R3 がエチニル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシを表すことが最も好ましい。
式(I) の好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は化合物 (I.1)〜 (I.11)の群から選ばれる。
【0026】
【化4】



【0027】
式(I) の更に好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体が化合物 (I.6)、 (I.7)、 (I.8) 、(I.9) 及び(I.11)から選ばれる。
式(I) の更に好ましいグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体が化合物 (I.8)及び(I.9)から選ばれる。
本発明によれば、式(I) の先にリストされたグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体はまたそれらの水和物、溶媒和物及び多形形態、並びにこれらのプロドラッグを含むことが理解されるべきである。好ましい化合物 (I.7)に関して、有利な結晶性形態が国際特許出願WO2007/028814 (これが本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。好ましい化合物 (I.8)に関して、有利な結晶性形態が国際特許出願WO 2006/117360 (これが本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。好ましい化合物 (I.9)に関して、有利な結晶性形態が国際特許出願WO2006/117359 (これが本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。好ましい化合物 (I.11)に関して、有利な結晶性形態が国際特許出願WO2008/049923 (これが本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。これらの結晶性形態はSGLT2 インヒビターの良好な生物学的利用能を可能にする良好な溶解特性を有する。更に、結晶性形態は物理化学的に安定であり、こうして医薬組成物の良好な貯蔵寿命安定性を与える。
何らかの疑いを避けるために、特定のSGLT2 インヒビターに関して先に引用された以上の書類の夫々の開示が参考として本明細書にそのまま特別に含まれる。
【0028】
化合物 (I.9)の好ましい結晶性形態 (I.9X) は18.84°、20.36° 及び25.21° 2θ (±0.1°2θ)にピークを含むX線粉末回折パターンにより特徴づけられ、前記X線粉末回折パターン(XRPD)はCuKα1放射線を使用してつくられる。
特に、前記X線粉末回折パターンは14.69°、18.84°、19.16°、19.50°、20.36°及び25.21°2θ (±0.1° 2θ)にピークを含み、前記X線粉末回折パターンはCuKα1放射線を使用してつくられる。
特に、前記X線粉末回折パターンは14.69°、17.95°、18.43°、18.84°、19.16°、19.50°、20.36°、22.71°、23.44°、24.81°、25.21°及び25.65°2θ(±0.1 °2θ)にピークを含み、前記X線粉末回折パターンはCuKα1放射線を使用してつくられる。
更に詳しくは、結晶性形態 (I.9X) はCuKα1放射線を使用してつくられた、X線粉末回折パターンにより特徴づけられ、これは表1に含まれる°2θ (±0.1°2θ)にピークを含む。
表 1:結晶性形態 (I.9X) のX線粉末回折パターン(2θが30°までのピークのみがリストされる):
【0029】
【表1】

【0030】
更に詳しくは、結晶性形態 (I.9X) はCuKα1放射線を使用してつくられた、X線粉末回折パターンにより特徴づけられ、これはWO2006/117359の図1に示された°2θ (±0.1°2θ)にピークを含む。
更に、結晶性形態 (I.9X) は約151℃± 5℃の融点 (DSCにより測定; 開始温度として評価; 加熱速度10 K/分) により特徴づけられる。得られたDSC 曲線がWO2006/117359 の図1に示されている。
X線粉末回折パターンは、本発明の範囲内で、位置感知検出器(OED)及びX線源としてのCuアノード(CuKα1放射線、λ=1.54056Å、40kV、40mA)とフィットされた透過様式のSTOE-STADI Pディフラクトメーターを使用して記録される。上記表1中、値“2θ[°]”は回折の角度(°)を表し、値“d[Å]”は挌子平面間の特定距離(Å)を表す。WO 2006/117359 の図1に示された強さがcps(カウント/秒)の単位で示される。
実験誤差を許すために、上記2θ値は正確には±0.1°2θ、特に±0.05°2θと考えられるべきである。即ち、化合物 (I.9)の結晶の所定のサンプルが本発明に従って結晶性形態であるか否かを分析する場合、サンプルについて実験で観察される2θはそれが特徴的な値の±0.1°2θ内に入る場合、特にそれが特徴的な値の±0.05°2θ内に入る場合に上記特徴的な値と同じと考えられるべきである。
融点はDSC 821 (メトラー・トレド) を使用するDSC (示差走査熱量測定法) により測定される。
【0031】
一実施態様において、本発明の医薬組成物又は投薬形態が化合物 (I.9)を含み、その化合物 (I.9)の少なくとも50質量%が先に定義された結晶性形態(I.9X)の形態である。好ましくは、前記組成物又は投薬形態中で、化合物 (I.9)の少なくとも80質量%、更に好ましくは少なくとも90質量%が先に定義された結晶性形態(I.9X)の形態である。
SGLT2 インヒビターの好ましい用量範囲は1日当り0.5 mgから200 mgまで、更に好ましくは1 mgから100 mgまで、最も好ましくは1 mgから50 mg までの範囲である。経口投与が好ましい。それ故、本発明の医薬組成物は前記量、特に0.5 mgから50 mg まで、好ましくは1 mgから25 mg まで、更に好ましくは2.5 mgから12.5 mg までを含んでもよい。本発明における使用に特別な有効成分含量(例えば、錠剤又はカプセル当り)は、例えば、SGLT2 インヒビター、例えば、式 (I)の化合物、特に化合物 (I.9)又はその結晶性形態 (I.9X) 0.5, 1, 1.25, 2, 2.5, 5, 7.5, 10, 12.5, 15, 20, 25又は50 mg である。特に好ましい有効成分含量(例えば、錠剤又はカプセル当り)は、例えば、SGLT2 インヒビター、例えば、式 (I)の化合物、特に化合物 (I.9)又はその結晶性形態 (I.9X) 0.5, 1, 1.25, 2.5, 5, 10, 又は12.5mgである。
一局面において、本発明の医薬組成物内でSGLT-2 と合わされるパートナー薬物はビグアニド(例えば、メトホルミン、例えば、メトホルミン塩酸塩)である。
本発明の意味内で好ましいパートナー薬物はメトホルミン、特にメトホルミン塩酸塩 (1,1-ジメチルビグアニド塩酸塩即ちメトホルミン HCl)である。
ビグアニド坑高血糖薬メトホルミンは米国特許第3,174,901号に開示されている。メトホルミン (ジメチルジグアニド) 及びその塩酸塩の調製は技術水準であり、最初にEmil A. Werner 及びJames Bell著J. Chem. Soc. 121, 1922, 1790-1794 に開示された。メトホルミンのその他の医薬上許される塩が1999年3月4日に出願された米国特許出願第09/262,526 号又は米国特許第3,174,901 号に見られる。ここに使用されるメトホルミンはメトホルミン塩酸塩であることが好ましい。
メトホルミンは種々の投薬養生法を使用して1日当り約250 mgから3000 mg まで、特に500 mgから2000 mg まで、更には2500 mg まで変化する用量で通常与えられる。
パートナー薬物メトホルミンの用量範囲は通常100mgから500mgまで、もしくは200mgから850mgまで (1日1-3 回) 、又は1日1回又は2回300mgから1000 mg までである。
【0032】
本発明における使用のためのメトホルミン塩酸塩の単位有効成分含量は100 mgから2000 mgまで、もしくは100 mgから1500 mg まで、好ましくは250 mgから1000 mg までであってもよい。特別な有効成分含量はメトホルミン塩酸塩250, 500, 625, 750, 850 及び1000 mg であってもよい。メトホルミン塩酸塩のこれらの単位有効成分含量は2型糖尿病を治療するのに市場に出すために米国で認可された有効成分含量に相当する。本発明の一定用量組み合わせ医薬組成物への混入のためのメトホルミン塩酸塩の特別な単位有効成分含量はメトホルミン塩酸塩500, 850 及び1000 mg である。
本発明の更なる局面において、本発明は不純物及び/又は分解生成物を実質的に含まず、又はごくかろうじて含む本発明の医薬組成物、製剤、ブレンド又は投薬形態(例えば、組成物、製剤、ブレンド又は投薬形態が合計質量基準で約5%未満、もしくは約4%未満、又は約3%未満、或いは約2%未満、好ましくは約1%未満、更に好ましくは約0.5%未満、更に好ましくは約0.2%未満の個々の、もしくは全部の不純物又は一種以上の分解生成物を含むことを意味する)を提供する。
本発明のFDC 製剤のための投薬形態:
本発明の別の目的は妥当な錠剤サイズ、良好な錠剤特性(例えば、安定性、硬度、脆性、崩壊、溶解プロフィール、含量一様性等)を有する本発明のFDC 製剤を開発することである。
こうして、本発明のFDC 製剤に適した投薬形態はフィルム被覆錠剤(パートナー薬物を含む錠剤コアーにフィルム被覆することによる薬物配合、例えば、特にSGLT-2 インヒビター薬物配合のためのフィルム被覆物)、単層錠剤、二層錠剤、三層錠剤及びプレス被覆錠剤(例えば、SGLT-2 インヒビターコアーを有する錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤)であることがわかり、これらの投薬形態はSGLT-2 インヒビター及び使用されるパートナー薬物の所望の医薬プロフィール及び特性を考慮して目標を達成するのに良好な手段である。
前記投薬形態は夫々のモノ錠剤の初期の溶解プロフィールを保ち、又はプロフィールを所望のレベル、及び妥当な錠剤サイズに調節してFDC 製剤に適用可能であることがわかった。
【0033】
本発明の典型的な単層錠剤はSGLT-2 インヒビター、メトホルミン塩酸塩、一種以上の充填剤 (例えば、トウモロコシ澱粉) 、一種以上のバインダー (例えば、コポビドン) 、一種以上の滑剤 (例えば、無水コロイドシリカ) 及び一種以上の潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) を含む。
本発明の一実施態様において、本発明は下記の一つ以上が該当する、経口固体医薬組成物、好ましくは錠剤、特に単層錠剤に関する。
−メトホルミン塩酸塩の割合が全錠剤コアーの約84質量%である、
−SGLT-2 インヒビターの割合が全錠剤コアーの約0.1 質量%- 2.12質量%、例えば、0.1 質量%- 2.11質量%である、
−錠剤圧潰強さが100 N以上である、
−錠剤脆性が0.5 %以下である、
−錠剤コアー質量が約560 mg〜約1180 mg である、及び
−錠剤崩壊時間が15分以下である。
一実施態様において、SGLT-2 インヒビターが式 (I)の化合物、特に化合物 (I.9) 又はその結晶性形態(I.9X)である。
本発明の好ましい実施態様において、本発明が
式 (I)、例えば、式 (I.9) の化合物又はその結晶性形態(I.9X)(例えば、0.5, 1, 1.25, 2.5, 5, 10又は12.5mgの量の)、
メトホルミン、特にメトホルミン塩酸塩(例えば、500 mg, 850 mg又は1000 mg の量の)、及び
一種以上の医薬賦形剤、特に一種以上の充填剤 (例えば、トウモロコシ澱粉) 、一種以上のバインダー (例えば、コポビドン) 、一種以上の滑剤 (例えば、無水コロイドシリカ) 及び/又は一種以上の潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) だけでなく、
必要により、一種以上のフィルム被覆剤 (例えば、ヒプロメロース) 、一種以上の可塑剤 (例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はクエン酸トリエチル) 、一種以上の顔料 (例えば、二酸化チタン、鉄酸化物赤色/黄色/黒色又はこれらの混合物) 及び/又は一種以上の滑剤 (例えば、タルク) を含むフィルム被覆物
を含み、又はこれらからつくられた経口固体医薬組成物、好ましくは錠剤、特に単層錠剤に関する。
【0034】
本発明の更なる局面において、本発明は、例えば、当業者に知られている方法を使用することにより、かつ/又は本明細書に記載された様式で本発明の組成物、製剤、ブレンド又は投薬形態を製造する方法を提供し、例えば、それらが先に、また以下に記載される成分、又はこれらの予備混合物を使用(例えば、混合、合わせること、ブレンド及び/又は配合)することを含む方法により得られてもよいだけでなく、更に本発明はこれらの方法により得られ、かつ/又は先に、また以下に記載される成分、予備混合物及び/又は混合物から得られる組成物、製剤、ブレンド又は投薬形態を提供する。
本発明の錠剤の製造方法は顆粒の形態の一種以上の最終ブレンドの錠剤形成(例えば、圧縮)を含む。本発明の一種以上の(最終)ブレンドの顆粒は当業者に公知の方法(例えば、高せん断湿式造粒又は流動床造粒)により調製されてもよい。本発明の顆粒だけでなく、本発明の顆粒の調製のための造粒方法(それらの別々の工程を含む)の詳細が例として下記の実施例に記載される。
【0035】
単層組成物を含む顆粒の調製のための例示の造粒方法は
i) バインダー (例えば、コポビドン) そして、必要により、SGLT-2 インヒビター (例えば、式 (I)の化合物、例えば、式 (I.9)の化合物又はその結晶性形態 (I.9X)) を周囲温度で溶媒又は溶媒の混合物、例えば、精製水中で合わせて(例えば、溶解又は分散して)造粒液体を生成し、
ii) メトホルミン HCl、充填剤 (例えば、トウモロコシ澱粉) そして、必要により、SGLT-2 インヒビターを好適なミキサー(例えば、流動床造粒機)中でブレンドしてプレミックスを生成し(SGLT-2 インヒビターがi)で得られた造粒液体又はii)で得られたプレミックス中に含まれてもよく、好ましくはSGLT-2 インヒビターが造粒液体中に分散され、プレミックス中に不在である)、
iii) 造粒液体をプレミックスに噴霧し、その混合物を、例えば、流動床造粒機中で、好ましくは乾燥条件下で造粒し、
iv) 1-3 %、例えば、0.8-2 %の範囲の乾燥値の所望の損失が得られるまで、顆粒を、例えば、約70℃の入口空気温度で乾燥させ、
v) 乾燥顆粒を、例えば、0.5 〜1.0 mmのメッシュサイズを有する篩により篩分けることにより脱塊し(delumping)、
vi) 篩分けられた顆粒そして好ましくは篩分けられた滑剤 (例えば、無水コロイドシリカ) を好適なブレンダー中でブレンドし、
vii) 好ましくは篩分けられた潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) を、例えば、自由落下ブレンダー中の最終ブレンドのために顆粒に添加することを含む。
優先的に、本発明の単層錠剤はSGLT-2 インヒビター及びメトホルミンを含む混合物を含み、又はそれから得られる。
本発明の典型的な二層錠剤は
SGLT-2 インヒビター、一種以上の充填剤 (例えば、D-マンニトール、前ゼラチン化澱粉及びトウモロコシ澱粉) 、一種以上のバインダー (例えば、コポビドン) 及び一種以上の潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) を含むSGLT-2 インヒビター部分、及び
メトホルミン塩酸塩、一種以上の充填剤 (例えば、トウモロコシ澱粉) 、一種以上のバインダー (例えば、コポビドン) 、一種以上の滑剤 (例えば、無水コロイドシリカ) 及び一種以上の潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) を含むメトホルミン HCl部分を含む。
【0036】
本発明の典型的なプレス被覆錠剤 (錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤) は
SGLT-2 インヒビター、一種以上の充填剤 (例えば、D-マンニトール、前ゼラチン化澱粉及びトウモロコシ澱粉) 、一種以上のバインダー (例えば、コポビドン) 及び一種以上の潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) を含むSGLT-2 インヒビターコアー部分、及び
メトホルミン塩酸塩、一種以上の充填剤 (例えば、トウモロコシ澱粉) 、一種以上のバインダー (例えば、コポビドン) 、一種以上の滑剤 (例えば、無水コロイドシリカ) 及び一種以上の潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) を含むメトホルミン HCl部分を含む。
本発明の典型的なフィルム被覆錠剤 (メトホルミンHCl 錠剤上のSGLT-2 インヒビター被覆物、即ち、薬物配合のためのフィルム被覆による薬物層形成) は
メトホルミン塩酸塩、一種以上の充填剤 (例えば、トウモロコシ澱粉) 、一種以上のバインダー (例えば、コポビドン) 、一種以上の滑剤 (例えば、無水コロイドシリカ) 及び一種以上の潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) を含むメトホルミンコアー HCl部分
(前記コアー部分は一種以上のフィルム被覆剤 (例えば、ヒプロメロース) 、一種以上の可塑剤 (例えば、プロピレングリコール、マクロゴール400 、マクロゴール6000、マクロゴール8000) 、一種以上の顔料 (例えば、二酸化チタン、鉄酸化物赤色/黄色/黒色又はこれらの混合物) 及び一種以上の滑剤 (例えば、タルク) を含むフィルム被覆物でシール被覆されている)、及び
SGLT-2 インヒビター、一種以上のフィルム被覆剤 (例えば、ヒプロメロース)及び一種以上の可塑剤 (例えば、プロピレングリコール、マクロゴール400 、マクロゴール6000、又はマクロゴール8000、クエン酸トリエチル) を含むSGLT-2 インヒビター層を含む。
【0037】
本発明の別の典型的なフィルム被覆錠剤 (メトホルミンHCl 錠剤上のSGLT-2 インヒビター被覆物、即ち、薬物配合のためのフィルム被覆による薬物層形成) は
メトホルミン塩酸塩、一種以上の充填剤 (例えば、トウモロコシ澱粉) 、一種以上のバインダー (例えば、コポビドン) 、一種以上の滑剤 (例えば、無水コロイドシリカ) 及び一種以上の潤滑剤 (例えば、ステアリン酸マグネシウム) を含むメトホルミンHCl コアー HCl部分
(前記コアー部分は一種以上のフィルム被覆剤 (例えば、ヒプロメロース) 、一種以上の可塑剤 (例えば、プロピレングリコール、マクロゴール400 、マクロゴール6000、又はマクロゴール8000、クエン酸トリエチル) 、一種以上の顔料 (例えば、二酸化チタン、鉄酸化物赤色/黄色/黒色又はこれらの混合物) 及び一種以上の滑剤 (例えば、タルク) を含むフィルム被覆物でシール被覆されている)、及び
SGLT-2 インヒビター、一種以上のフィルム被覆剤 (例えば、ヒプロメロース)及び一種以上の可塑剤 (例えば、プロピレングリコール、マクロゴール400 、マクロゴール6000、又はマクロゴール8000、クエン酸トリエチル) を含むSGLT-2 インヒビター層を含む。
これらの上記錠剤(単層錠剤、二層錠剤、プレス被覆錠剤及び薬物被覆錠剤) は更に最終フィルム被覆物(これはフィルム被覆剤 (例えば、ヒプロメロース) 、可塑剤 (例えば、プロピレングリコール、マクロゴール400 、マクロゴール6000、又はマクロゴール8000、クエン酸トリエチル) 、顔料 (例えば、二酸化チタン、鉄酸化物赤色/黄色/黒色又はこれらの混合物) 及び滑剤 (例えば、タルク) を含む)でオーバーコートされることが好ましい。典型的には、この付加的なフィルムオーバーコートは組成物の合計質量の1-4 %、好ましくは1-2 %に相当してもよい。
【0038】
本発明の医薬組成物又は投薬形態は即時放出医薬組成物もしくは投薬形態、又は経時放出医薬組成物もしくは投薬形態であってもよい。
本発明の即時放出医薬投薬形態は45分後に活性成分の夫々について夫々の活性成分の少なくとも75質量%、更に好ましくは少なくとも90質量%が溶解されるような溶解特性を有することが好ましい。特別な実施態様において、30分後に特に本発明の単層錠剤(錠剤コアー及びフィルム被覆錠剤を含む)の活性成分の夫々について夫々の活性成分の少なくとも70-75 質量%(好ましくは少なくとも80質量%)が溶解される。更なる実施態様において、15分後に特に本発明の単層錠剤(錠剤コアー及びフィルム被覆錠剤を含む)の活性成分の夫々について夫々の活性成分の少なくとも55-60 質量%が溶解される。溶解特性は、例えば、標準薬局方による、標準溶解試験(例えば、50もしくは75又は100 rpmの撹拌速度、溶解媒体pH 6.8、37℃の温度におけるパドル方法を使用する)で測定し得る。
経時放出投薬形態は即時放出投薬形態ではない製剤を表す。経時放出投薬形態では、活性成分の放出が遅く、経時で起こる。経時放出投薬形態は持続放出(SR)、持続作用(SA)、延長放出(ER、XR、又はXL)、経時放出、制御放出(CR)、変更放出(MR)、又は連続放出(CR又はコンチン)として知られている。一局面において、経時放出投薬形態は一種以上の活性成分が徐々に放出される二層錠剤であってもよい。一局面において、本発明の医薬組成物及び医薬投薬形態では、SGLT-2 インヒビター、例えば、式 (I)、例えば、式 (I.9) の化合物又はその結晶性形態 (I.9X) 、或いはパートナー薬物、例えば、ビグアニド、例えば、メトホルミン、例えば、メトホルミン塩酸塩が経時放出される。
別の局面において、本発明の医薬組成物及び医薬投薬形態では、SGLT-2 インヒビター、例えば、式 (I)、例えば、式 (I.9) の化合物又はその結晶性形態 (I.9X) 、及びパートナー薬物、例えば、ビグアニド、例えば、メトホルミン、例えば、メトホルミン塩酸塩が経時放出される。
【0039】
本発明の医薬組成物及び医薬投薬形態において、SGLT-2 インヒビター、例えば、式 (I)、例えば、式 (I.9) の化合物又はその結晶性形態 (I.9X) は夫々の医薬活性成分の少なくとも90%が200μmより小さい粒子サイズ、即ちX90 < 200 μm 、更に好ましくはX90 ≦ 150 μm を有するような粒子サイズ分布(好ましくは体積基準)を有することが好ましい。更に好ましくは、粒子サイズ分布がX90 ≦ 100 μm 、更に好ましくはX90 ≦ 90 μm、更に好ましくはX90 ≦ 75 μmであるようなものである。加えて、粒子サイズ分布が好ましくはX90 > 1 μm、更に好ましくはX90 ≧ 5 μm、最も好ましくはX90 ≧ 10 μmであるようなものである。それ故、好ましい粒子サイズ分布が1 μm < X90 < 200 μm、特に1 μm < X90 ≦ 150 μm、更に好ましくは5 μm ≦ X90 ≦ 150 μm、更に好ましくは5 μm ≦ X90 ≦ 100 μm、更に好ましくは10 μm ≦ X90 ≦ 100 μmであるようなものである。SGLT-2 インヒビターの粒子サイズ分布の好ましい例は20 μm ≦ X90 ≦ 50 μmである。先に示された粒子サイズ分布を有する化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9) の結晶性形態 (I.9X) を含む医薬組成物は所望の性質(例えば、溶解、含量一様性、製造等に関する)を示すことがわかる。示された粒子サイズ特性はレーザー回折方法、特に低角度レーザー光散乱、即ちFraunhofer 回折により測定される。また、粒子サイズ特性は顕微鏡測定(例えば、電子顕微鏡測定又は走査電子顕微鏡測定)により測定し得る。異なる技術により測定された粒子サイズ分布の結果は互いに相関関係があり得る。
【0040】
メトホルミン HCl 部分の最適化製剤化:
本発明の別の目的は本発明の医薬組成物のメトホルミン HCl部分の改良された製剤を提供することである。
メトホルミン HCl部分について、高い薬物配合量が妥当な小さい錠剤サイズの前提条件として得られることが有利である。
こうして、本発明の錠剤のメトホルミン HCl の薬物配合量及び圧密性(圧縮力圧潰強さプロフィール)は水溶性ポリマー、特にコポリビドンによるメトホルミン HClの表面処理により改良し得ることがわかった。
ポリビニルアルコール (PVA)、ヒプロメロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース (HPC)、メチルセルロース(MC)、ポビドン (PVP)及びコポリビドンを含む幾つかの水溶性ポリマーが圧密性(圧縮力圧潰強さプロフィール)を改良するために試験し得る。結果として、PVA が圧密性に関して最良の効果を示すが、生産性が流動床造粒中の粘着問題のために不十分であり得る。更に、PVA は本発明の或る種のSGLT-2 インヒビターの安定性についてのその悪影響のために最終的に選ばれないかもしれない。
製剤化最適化研究が水溶性ポリマーコポリビドンによるメトホルミン HClの表面処理によりメトホルミン HClの83%を超える薬物配合量及び改良された圧潰強さを有する組成物を同定した。
それ故、最後に、コポリビドンが選ばれ、安定な製剤を有利にもたらし、造粒溶液の粘度が水溶液を調製し、噴霧を流動床造粒機により操作するのに充分に低い。
本発明が治療又は予防を要する患者に関する場合、それは主としてヒトの治療及び予防に関するが、医薬組成物はまた哺乳類の獣医薬物中に使用されてもよい。本発明の範囲において、成人患者は18才以上の年齢のヒトであることが好ましい。
【0041】
前記のように、本発明の医薬組成物の投与により、また特にその中のSGLT2 インヒビターの高いSGLT2 抑制活性に鑑みて、過剰の血液グルコースが患者の尿により排泄され、その結果、体重増のないこと又は更には体重の減少が生じ得る。それ故、本発明の治療又は予防は過剰体重及び肥満、特にクラスI肥満、クラスII肥満、クラスIII 肥満、内臓肥満及び腹部肥満からなる群から選ばれた一種以上の症状と診断されるこのような治療又は予防を要するこれらに患者に有利に好適である。加えて、本発明の治療又は予防は体重増が禁忌されるこれらの患者に有利に好適である。本発明の組成物だけでなく、方法は多数の患者につき、また相当する単一療法又は組み合わせパートナーの2種のみを使用する療法と較べて一層長い時間の治療措置について所望の目標範囲、例えば、7%未満、好ましくは6.5%未満へのHbA1c 値の減少を可能にする。
本発明の医薬組成物、特にその中のSGLT2 インヒビターは、特に空腹時血漿グルコース、食後の血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン (HbA1c)に鑑みて、血糖調節に関する非常に良好な効力を示す。本発明の医薬組成物を投与することにより、好ましくは0.5%以上、更に好ましくは1.0%以上のHbA1c の減少が得られ、その減少が特に1.0%から2.0%までの範囲である。
更に、本発明の方法及び/又は使用は下記の症状の一つ、二つ又はそれ以上を示すこれらの患者に有利に適用し得る。
(a) 110 mg/dLより大きく、特に125 mg/dL より大きい空腹時血液グルコース又は血清 グルコース濃度、
(b) 140 mg/dL以上の食後の血漿グルコース、
(c) 6.5 %以上、特に7.0 %以上、特に7.5 %以上、更に特に8.0 %以上のHbA1c 値。
また、本発明は2型糖尿病を有し、又は前糖尿病の最初の症候を示す患者の血糖調節を改善するための医薬組成物の使用を開示する。こうして、本発明はまた糖尿病予防を含む。それ故、前糖尿病の上記症候の一つが存在すると直ぐに、本発明の医薬組成物が血糖調節を改善するのに使用される場合、顕著な2型真性糖尿病の発生が遅延又は防止し得る。
更に、本発明の医薬組成物はインスリン依存の患者、即ち、インスリンもしくはインスリンの誘導体又はインスリンの代替物あるいはインスリンもしくはその誘導体又は代替物を含む製剤で治療され、もしくはそれ以外で治療され、或いはその治療を必要とする患者の治療に特に適している。これらの患者として、2型糖尿病の患者及び1型糖尿病の患者が挙げられる。
【0042】
それ故、本発明の好ましい実施態様によれば、先に、また以下に定義されるSGLT2 インヒビターが患者に投与されることを特徴とするインスリン耐性、退社症候群及び/又は2型もしくは1型糖尿病とともに耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)と診断されるそれを要する患者の血糖調節を改善し、かつ/又は空腹時血漿グルコース、食後の血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン HbA1cを減少するための方法が提供される。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、食事及び運動の補助としての患者、特に2型真性糖尿病の成人患者の血糖調節を改善するための方法が提供される。
それ故、本発明の方法及び/又は使用は下記の症状の一つ、二つ又はそれ以上を示すこれらの患者に有利に適用し得る:
(a) 食事及び運動単独による不十分な血糖調節、
(b) メトホルミンによる経口単一療法、特にメトホルミンの最大寛容用量における経口単一療法にもかかわらず不十分な血糖調節、
(c) 別の坑糖尿病薬による経口単一療法、特にその他の坑糖尿病薬の最大寛容用量における経口単一療法にもかかわらず不十分な血糖調節。
本発明のSGLT2 インヒビターの投与による血液グルコースレベルの低下はインスリン非依存性である。それ故、本発明の医薬組成物は下記の症状の一つ以上を有すると診断される患者の治療に特に適している。
−インスリン耐性、
−高インスリン血、
−前糖尿病、
−特に後期2型真性糖尿病を有する、2型真性糖尿病、
−1型真性糖尿病。
更に、本発明の医薬組成物は下記の症状の一つ以上を有すると診断される患者の治療に特に適している。
(a) 肥満 (クラスI、II及び/又はIII 肥満を含む) 、内臓肥満及び/又は腹部肥満、
(b) 150 mg/dL以上のトリグリセリド血液レベル、
(c) 女性患者で40 mg/dL 未満、また男性患者で50 mg/dL 未満のHDL-コレステロール血液レベル、
(d) 130 mm Hg 以上の収縮期血圧及び85 mm Hg以上の拡張期血圧、
(e) 110 mg/dL以上の空腹時血液グルコースレベル。
【0043】
耐糖能異常 (IGT)、空腹時血糖異常 (IFG)、インスリン耐性及び/又は代謝症候群と診断された患者は心血管疾患、例えば、心筋梗塞、冠動脈心臓疾患、心不全、血栓塞栓イベントを発生するという増大された恐れの問題があると推定される。本発明の血糖調節は心血管リスクの低減をもたらし得る。
本発明の医薬組成物は良好な安全性プロフィールを示す。それ故、本発明の治療又は予防は別の坑糖尿病薬、例えば、メトホルミンによる単一療法が禁忌され、かつ/又は治療用量でこのような薬物に対し不耐性を有するこれらの患者に有利に可能である。特に、本発明の治療又は予防は下記の疾患の一つ以上を示し、又はその増大されたリスクを有するこれらの患者に有利に可能であるかもしれない:腎不全又は腎症、心臓疾患、心不全、肝臓疾患、肺疾患、異化状態及び/又は乳酸アシドーシスの危険、或いは妊娠しており、又は授乳期中である女性患者。
更に、本発明の医薬組成物の投与は低血糖のリスクをもたらさず、又は低いリスクをもたらすことがわかる。それ故、本発明の治療又は予防はまた低血糖を示し、又はその増大されたリスクを有するこれらの患者に有利に可能である。
本発明の医薬組成物は先に、また以下に記載される疾患及び/又は症状の長期治療又は予防、特に2型真性糖尿病の患者の長期血糖調節に特に適している。
先に、また以下に使用される“長期”という用語は12週より長く、好ましくは25週より長く、更に好ましくは1年より長い時間の期間内の患者の治療又は患者への投与を示す。
【0044】
それ故、本発明の特に好ましい実施態様は2型真性糖尿病の患者、特に後期2型真性糖尿病の患者、特に過剰体重、肥満(クラスI、クラスII及び/又はクラスIII 肥満を含む)、内臓肥満及び/又は腹部肥満と更に診断された患者の血糖調節の改善、特に長期改善のための、治療、好ましくは経口治療のための方法を提供する。
患者に投与され、また本発明の治療又は予防における使用に必要とされる本発明の医薬組成物の量は投与の経路、治療又は予防が必要とされる症状の性質及び重度、患者の年齢、体重及び状態、同時の薬物により変化し、最終的に担当医師の判断にあることが認められるであろう。しかしながら、一般に、本発明のSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物はその投与により治療すべき患者の血糖調節が改善されるのに充分な量で医薬組成物又は投薬形態中に含まれる。
以下に、本発明の医薬組成物及び方法並びに使用に使用されるSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物の量の好ましい範囲が記載される。これらの範囲は成人患者、特に、例えば、ほぼ70kgの体重のヒトに関して1日当り投与される量を表し、毎日2回、3回、4回又はそれ以上の投与に関して、また投与のその他の経路に関して、また患者の年齢に関して適応し得る。
本発明の範囲内で、医薬組成物は経口投与されることが好ましい。投与のその他の形態が可能であり、以下に記載される。SGLT2 インヒビター及びパートナー薬物を含む一種以上の投薬形態は経口であることが好ましく、又は通常公知である。
別々の投薬形態又は多重投薬形態、好ましくはパーツのキットとして存在する医薬組成物は、患者の個々の治療要求に柔軟に適合する組み合わせ療法に有益である。
【0045】
第一の実施態様によれば、好ましいパーツのキットはSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物並びに少なくとも一種の医薬上許される担体を含む投薬形態を含む収納を含む。
本発明の更なる局面は本発明の別々の投薬形態として存在する医薬組成物及び別々の投薬形態が組み合わせて、又は交互に投与されるという指示を含むラベル又はパッケージインサートを含む製品である。
第一の実施態様によれば、製品が(a) 本発明の医薬組成物及び(b) 薬物が投与される指示を含むラベル又はパッケージインサートを含む。
本発明の医薬組成物の所望の用量は1日1回で、又は適当な間隔で投与される分けられた用量として、例えば、1日当り二つ、三つもしくはそれ以上の用量として都合良く提供されてもよい。
医薬組成物は液体形態もしくは固体形態又は吸入もしくは吹送による投与に適した形態で経口投与、直腸投与、鼻内投与、局所投与(頬及び舌下を含む)、経皮投与、膣投与又は非経口投与(筋肉内、皮下及び静脈内を含む)のために製剤化されてもよい。経口投与が好ましい。製剤は、適当な場合には、別個の投薬単位で都合良く提供されてもよく、医薬の業界で公知の方法のいずれかにより調製されてもよい。全ての方法が活性成分を液体担体もしくは微細な固体担体又はその両方のような一種以上の医薬上許される担体と混在させる工程を含み、次いで、必要により、製品を所望の製剤に成形する工程を含む。
医薬組成物は錠剤、顆粒、微細な顆粒、粉末、カプセル、カプレット、軟質カプセル、ピル、経口溶液、シロップ、乾燥シロップ、噛み砕き可能な錠剤、トローチ、発泡錠剤、ドロップ、懸濁液、速く溶解する錠剤、経口の速く分散する錠剤等の形態で製剤化されてもよい。
医薬組成物及び投薬形態は製剤のその他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害ではないという意味で“許される”必要がある一種以上の医薬上許される担体を含むことが好ましい。医薬上許される担体の例は当業者に知られている。
【0046】
経口投与に適した医薬組成物は別個の単位、例えば、カプセル(軟質ゼラチンカプセルを含む)、カシェ剤又は錠剤(夫々が前もって決められた量の活性成分を含む);粉末又は顆粒;溶液、懸濁液又はエマルション、例えば、シロップ、エリキシル剤又は自己乳化送出系 (SEDDS)として都合良く提供されてもよい。活性成分はまた巨丸剤、舐剤又はペーストとして提供されてもよい。経口投与のための錠剤及びカプセルは通常の賦形剤、例えば、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、又は湿潤剤を含んでもよい。錠剤は当業界で公知の方法に従って被覆されてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性懸濁液、溶液、エマルション、シロップもしくはエリキシル剤の形態であってもよく、又は使用前の水もしくはその他の好適なビヒクルによる再生のための乾燥製品として提供されてもよい。このような液体製剤は通常の添加剤、例えば、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル(これは食用油を含んでもよい)、又は防腐剤を含んでもよい。
本発明の医薬組成物はまた非経口投与(例えば、注射、例えば、巨丸剤注射又は連続注入による)のために製剤化されてもよく、単位投薬形態でアンプル、前充填シリンジ、小容積注入容器中で、又は添加された防腐剤を含む多投薬容器中で提供されてもよい。組成物は油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又はエマルションの如き形態をしてもよく、また製剤化薬剤、例えば、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤を含んでもよい。また、活性成分は使用前の好適なビヒクル、例えば、無菌の、発熱物質を含まない水による再生のために、無菌固体の無菌分離又は溶液からの凍結乾燥により得られた、粉末形態であってもよい。
担体が固体である、直腸投与に適した医薬組成物は単位投薬座薬として提供されることが最も好ましい。好適な担体として、ココアバター及び当業界で普通に使用されるその他の物質が挙げられ、座薬は一種以上の軟化又は融解された担体との一種以上の活性化合物の混合、続いて冷却及び金型中の成形により都合良く形成されてもよい。
【0047】
本発明の医薬組成物及び方法は前記されたこれらの疾患及び症状の治療及び予防に有利な効果を示す。有利な効果は、例えば、効力、有効成分含量、投薬頻度、薬力学的性質、薬物速度論的性質、少ない副作用、便利さ、コンプライアンス等に関して見られるかもしれない。
本発明のSGLT2 インヒビター及びそのプロドラッグの製造方法は当業者に知られている。有利には、本発明の化合物は先に引用された特許出願を含む、文献に記載された合成方法を使用して調製し得る。好ましい製造方法がWO 2006/120208 及びWO 2007/031548に記載されている。化合物 (I.9)に関して、有利な結晶性形態が国際特許出願WO2006/117359 (これが本明細書にそのまま含まれる)に記載されている。
活性成分は医薬上許される塩の形態で存在してもよい。医薬上許される塩として、塩酸、硫酸及びリン酸のような無機酸の塩;シュウ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸及びグルタミン酸のような有機カルボン酸の塩並びにメタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸のような有機スルホン酸の塩が挙げられるが、これらに限定されない。塩は溶媒及び分解剤中で化合物及び酸を適当な量及び比で合わせることにより生成し得る。それらはまたその他の塩の形態からのカチオン又はアニオン交換により得られる。
活性成分又はこれらの医薬上許される塩は溶媒和物、例えば、水和物又はアルコール付加物の形態で存在してもよい。
本発明の範囲内の上記医薬組成物及び方法のいずれかは当業界で知られている動物モデルにより試験し得る。以下に、本発明の医薬組成物及び方法の薬理学上関連する性質を評価するのに適しているin vivo 実験が記載される。
本発明の医薬組成物及び方法はdb/db マウス、ob/ob マウス、Zucker Fatty (fa/fa) ラット又はZucker Diabetic Fatty (ZDF) ラットのような遺伝性の高インスリン血動物又は糖尿病動物で試験し得る。加えて、それらはストレプトゾトシンで前措置されたHanWistarラット又はSprague Dawley ラットのような実験誘発糖尿病の動物で試験し得る。
【0048】
本発明の血糖調節に関する効果は前記動物モデルで経口耐糖能試験で単一投薬後に試験し得る。血液グルコースの時間経過が終夜断食動物で経口グルコース投与後に追跡される。本発明の医薬組成物はピークグルコース濃度の低下又はグルコースAUC の低下により測定して、例えば、別の単一治療薬と較べてグルコース排泄を有意に改善する。加えて、前記動物モデルで多投薬後に、血糖調節に関する効果が血液中のHbA1c 値を測定することにより測定し得る。本発明の医薬組成物は、例えば、別の単一治療薬と較べて、又は二重組み合わせ治療薬と較べてHbA1c を有意に減少する。
本発明の治療の改善されたインスリンからの非依存性が前記動物モデルで経口耐糖能試験で単一投薬後に示される。血漿インスリンの時間経過が終夜断食動物でグルコース投与後に追跡される。
単一投薬又は多投薬後の本発明の治療による活性GLP-1 レベルの増大が断食状態又は食後の状態の前記動物モデルの血漿中のこれらのレベルを測定することにより測定し得る。同様に、血漿中のグルカゴンレベルの減少が同条件下で測定し得る。
ベータ細胞再生及びネオゲネシスに関する本発明のSGLT2 インヒビター及びパートナー薬物の効果が前記動物モデルで多投薬後に膵臓のインスリン含量の増大を測定することにより、もしくは膵臓の分泌物の免疫組織化学的染色後に増大されたベータ細胞質量を形態学的分析により測定することにより、又は分離された膵島中の増大されたグルコース刺激インスリン分泌を測定することにより測定し得る。
本発明は本明細書に記載された特別な実施態様により範囲を限定されるべきではない。本明細書に記載された改良に加えて本発明の種々の改良が本開示から当業者に明らかになり得る。このような改良は特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
本明細書に引用された全ての特許出願が参考として本明細書にそのまま含まれる。
本発明の更なる実施態様、特徴及び利点が以下の実施例から明らかになり得る。以下の実施例は本発明の原理を例として説明するのに利用できるが、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0049】
1.単層錠剤
本発明のSGLT-2 インヒビター (化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X)) + メトホルミン HCl FDC (フィルム被覆錠剤) についての単層錠剤の組成物の実施例を表1.1 〜1.11に示す。
表 1.1: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【0050】
【表2】

【0051】
表 1.2: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【表3】

【0052】
表 1.3: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【表4】

【0053】
表 1.4: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【表5】

【0054】
表 1.5: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【表6】

【0055】
表 1.6: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【表7】

【0056】
表 1.7: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【表8】

【0057】
表 1.8: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【表9】

【0058】
表 1.9: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤(MCCを含む)の組成物の実施例
【表10】

【0059】
表 1.10: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤(MCCを含む)の組成物の実施例
【表11】

【0060】
表 1.11: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤の組成物の実施例
【表12】

【0061】
【表13】

【0062】
【表14】

【0063】
【表15】

【0064】
SGLT-2 インヒビターの広い用量範囲、例えば、1.25mg、5mg又は12.5mgを使用することができ、その場合、バインダートウモロコシ澱粉又は微結晶性セルロースの量が調節される。トウモロコシ澱粉に代えて、微結晶性セルロースが使用し得る。製造操作の更なる記載において、トウモロコシ澱粉のみが記載される。
製造操作 (単層錠剤):
本発明のSGLT-2 インヒビター (例えば、化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X)) + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤は流動床造粒方法及び回転プレスによる通常の錠剤形成方法により製造される。メトホルミン HCl及びトウモロコシ澱粉、SGLT-2 インヒビターが粉末として添加され、予備混合され、その後に流動床造粒がコポリビドン (コリドンVA64及び精製水、又は“造粒液体”に直接分散される)を含む“造粒液体”の噴霧により行なわれる。また、SGLT-2 インヒビターがメトホルミン-HCl 及びトウモロコシ澱粉と一緒に粉末として流動床造粒機に添加される。流動床造粒の終了後に、顆粒が好適な篩で篩分けられる。篩分けられた顆粒が潤滑剤としての無水コロイドシリカ (エーロシル 200) 及びステアリン酸マグネシウムとブレンドされる。最終混合物が通常の回転錠剤プレスを使用して錠剤に圧縮される。
錠剤コアーはフィルム形成剤としてのヒプロメロース、可塑剤としてのプロピレングリコール、滑剤としてのタルク及び顔料黒色、赤色、黄色の鉄酸化物及び赤色/黄色/黒色 の混合物並びに二酸化チタンを含む、水性フィルム被覆懸濁液によりフィルム被覆されてもよい。
【0065】
単層錠剤に好ましい製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)メトホルミン HCl及びトウモロコシ澱粉が分配の前に0.5〜1mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分けられる。
b)化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) そして最後にコポリビドンが周囲温度でプロペラミキサーで精製水に溶解又は分散されて“造粒液体”を生成する。
c)メトホルミンHCl及びトウモロコシ澱粉が好適な流動床造粒機のチャンバーに吸引され、約36℃の製品温度目標まで予熱される。予熱は任意である。また、化合物 (I.9)、化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) 及びメトホルミン-HCl並びにトウモロコシ澱粉が好適な流動床造粒機のチャンバーに吸引される。
d)製品温度目標に達した直後に、“造粒液体”が造粒中のブロッキングを避けるために乾燥条件下で流動床造粒のための混合物に噴霧される。
e)噴霧の終了時に、所望のLOD 値(即ち、13%、例えば、0.8-2%) に達するまで得られる顆粒が約70℃の入口空気温度で乾燥される。
f)顆粒が0.5〜1.0mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分けられる。
g)篩分けられた顆粒及び無水コロイドシリカ (エーロシル200) が好適なブレンダーでブレンドされる。エーロシル200 は使用前に0.8mm-篩により篩分けられた顆粒の小部分とともに予備篩分けられるべきである。
h)ステアリン酸マグネシウムが0.8mm 篩に通され、顆粒に添加される。続いて “最終ブレンド”が自由落下ブレンダー中の最終ブレンドにより生成される。
i)“最終ブレンド”が回転プレスで錠剤に圧縮される。
j)二酸化チタン、ポリエチレングリコール又はプロピレングリコール及び鉄酸化物 (黄色、赤色、黒色又はこれらの混合物) が高せん断ホモミキサーで精製水中に分散される。次いで、ヒプロメロース及びタルクが添加され、ホモミキサー及びプロペラミキサーで周囲温度で分散されて“被覆懸濁液”を生成する。
k)錠剤コアーが“被覆懸濁液”で目標質量増加まで被覆されて“フィルム被覆錠剤”を生成する。“被覆懸濁液”は使用前に再度撹拌され、被覆(噴霧)プロセス中に徐々の撹拌を保たれるべきである。
【0066】
単層錠剤の別の製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)メトホルミン HClが計量の前に0.5〜1mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分けられる。
b)コポリビドンが周囲温度でプロペラミキサーで精製水に溶解されて“造粒液体”を生成する。
c)これが容器に添加され、次いで流動床造粒機中でメトホルミンHCl及びトウモロコシ澱粉とブレンドされる。
d)“造粒液体”が造粒中のブロッキングを避けるために乾燥条件下で流動床造粒のための混合物に噴霧される。
e)噴霧の終了時に、LOD が2%より多い場合には、所望のLOD 値(即ち、13%、例えば、0.8-2%)まで得られる顆粒が70-80 ℃で乾燥される。
f)顆粒が0.5〜1.0mm.のメッシュサイズを有する篩を使用して篩分けられる。
g)篩分けられた顆粒及び無水コロイドシリカ (エーロシル200) が好適なブレンダーでブレンドされる。エーロシル200 は使用前に0.5mm-篩で篩分けられるべきである。
h)ステアリン酸マグネシウムが0.5mm 篩に通され、顆粒に添加される。続いて “最終ブレンド”がブレンダー中の最終ブレンドにより生成される。
i)“最終ブレンド”が回転プレスで錠剤に圧縮される。
j)ヒプロメロース及びポリエチレングリコール又はプロピレングリコールがプロペラミキサーで精製水に溶解される。タルク、二酸化チタン、及び鉄酸化物 (黄色、赤色及び/又は黒色並びにこれらの混合物) がホモミキサーで精製水中に分散される。懸濁液がヒプロメロース溶液に添加され、次いでプロペラミキサーで周囲温度で混合されて“被覆懸濁液”を生成する。
k)錠剤コアーが“被覆懸濁液”で目標質量増加まで被覆されて“フィルム被覆錠剤”を生成する。“被覆懸濁液”は使用前に再度撹拌され、被覆(噴霧)プロセス中に徐々の撹拌を保たれるべきである。
2.二層錠剤
本発明のSGLT-2 インヒビター (化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態(I.9X)) + メトホルミン HCl FDC (フィルム被覆錠剤) についての二層錠剤の組成物の実施例が表2に示される。
表 2: SGLT-2 インヒビター + メトホルミン HCl 二層錠剤の組成物の実施例
【0067】
【表16】

【0068】
SGLT-2 インヒビターの広い用量範囲、例えば、1.25mg、5mg又は12.5mgを使用することができ、その場合、バインダートウモロコシ澱粉又は微結晶性セルロースの量が調節される。トウモロコシ澱粉に代えて、微結晶性セルロースが使用し得る。製造操作の更なる記載において、トウモロコシ澱粉のみが記載される。
製造操作 (二層錠剤):
本発明のSGLT-2 インヒビター (例えば、化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X)) + メトホルミン HCl FDC 二層錠剤は高せん断湿式造粒方法 (SGLT-2 インヒビター顆粒について) 、流動床造粒方法 (メトホルミン HCl-顆粒について) 、及び多層回転プレスによる二層錠剤形成方法により製造される。
【0069】
SGLT-2 インヒビター顆粒: 高せん断造粒機を使用することによる活性SGLT-2 インヒビター。総合の製造方法は下記の工程からなった:
1)ヒドロキシプロピルセルロース (HPC)を篩分ける。
2)顆粒間の微結晶性セルロース部分、SGLT-2 インヒビター、ラクトース、HPC 及びクロスカルメロースナトリウムを造粒機に添加する。
3)ブレンドを水で造粒する。
4)顆粒を流動床乾燥機中で乾燥させる: 1.5 % 未満のLOD。
5)顆粒をブレンダー容器に微粉砕する。
・Quadro ミル
・Quadro ミル篩- 18 メッシュ
6)下記のものを混転ブレンダーの容器中で微粉砕顆粒に篩分ける。
・コロイド二酸化ケイ素と20-25 メッシュにより篩分けられた余分の顆粒の微結晶性セルロースの一部のプレミックス
・余分の微結晶性セルロースの残部及びブレンド
7)ステアリン酸マグネシウムをブレンドされた顆粒の一部と予備混合し、ブレンダー中の顆粒の残部に篩分ける (18 メッシュ) 。
続いて“最終ブレンドA”を好適なブレンダー中の最終ブレンドにより製造する。
【0070】
メトホルミン HCl顆粒: メトホルミンHCl及びトウモロコシ澱粉。流動床造粒をコポリビドン (コリドンVA64) 及び精製水を含む“造粒液体”の噴霧により行なう。また、SGLT-2 インヒビターを粉末としてメトホルミン-HCl及びトウモロコシ澱粉と一緒に流動床造粒機に添加する。流動床造粒の終了後に、顆粒を好適な篩で篩分ける。篩分けられた顆粒を潤滑剤としての無水コロイドシリカ (エーロシル200) 及びステアリン酸マグネシウムとブレンドする。
メトホルミン HCl顆粒の製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)メトホルミンHCl を計量の前に0.5〜1mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分ける。
b)コポリビドンを周囲温度でプロペラミキサーで精製水に溶解して“造粒液体”を生成する。
c)“造粒液体”を造粒中のブロッキングを避けるために乾燥条件下で流動床造粒のための混合物に噴霧する。
d)噴霧の終了時に、LOD が2%より多い場合には、得られる顆粒を所望のLOD 値(即ち、0.8-2%、例えば、1-2%)まで70-80 ℃で乾燥させる。
e)顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分ける。
f)篩分けられた顆粒及び無水コロイドシリカ (エーロシル200) を好適なブレンダーでブレンドする。エーロシル200 は使用前に0.5mmの篩で篩分けられるべきである。
g)ステアリン酸マグネシウムを0.5mm 篩に通し、顆粒に添加する。続いて“最終ブレンドB”をブレンダー中の最終ブレンドにより製造する。
“最終ブレンドA”及び“最終ブレンドB”を多層回転プレスを使用して二層錠剤に圧縮する。錠剤コアーはフィルム形成剤としてのヒプロメロース、可塑剤としてのポリエチレングリコール又はプロピレングリコール、滑剤としてのタルク並びに顔料の黄色、赤色、黒色の鉄酸化物及びこれらの混合物及び二酸化チタンを含む、水性フィルム被覆懸濁液によりフィルム被覆されてもよい。
フィルム被覆物についての製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)ヒプロメロース及びポリエチレングリコール又はプロピレングリコールをプロペラミキサーで精製水に溶解する。タルク、二酸化チタン、及び鉄酸化物 (黄色、赤色又は黄色及び赤色) をホモミキサーで精製水中で分散させる。その懸濁液をヒプロメロース溶液に添加し、次いで周囲温度でプロペラミキサーで混合して“被覆懸濁液”を生成する。
b)錠剤コアーを目標質量増大まで“被覆懸濁液”で被覆して“フィルム被覆錠剤”を製造する。“被覆懸濁液” は使用前に再度撹拌され、被覆(噴霧)プロセス中に徐々の撹拌を保たれるべきである。
【0071】
3.錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤
本発明のSGLT-2 インヒビター (化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X)) + メトホルミン HCl FDC (フィルム被覆錠剤) についての錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤の組成物の実施例が表3に示される。
表 3:化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) + メトホルミン HCl FDC 錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤の組成物の実施例
【0072】
【表17】

【0073】
SGLT-2 インヒビターの広い用量範囲、例えば、1.25mg、5mg又は12.5mgを使用することができ、その場合、バインダートウモロコシ澱粉又は微結晶性セルロースの量が調節される。トウモロコシ澱粉に代えて、微結晶性セルロースが使用し得る。製造操作の更なる記載において、トウモロコシ澱粉のみが記載される。
製造操作 (錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤):
本発明のSGLT-2 インヒビター (例えば、化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X)) + メトホルミン HCl FDC 錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤は高せん断湿式造粒方法 (SGLT-2 インヒビター顆粒について) 、回転プレス(SGLT-2 インヒビターコアー錠剤について) 、流動床造粒方法 (メトホルミン HCl-顆粒について) 、及びプレスコーターによるプレス被覆方法により製造される。
【0074】
SGLT-2 インヒビター顆粒: 高せん断造粒機を使用することによる活性SGLT-2 インヒビター。総合の製造方法は下記の工程からなった:
1)ヒドロキシプロピルセルロース (HPC)を篩分ける。
2)顆粒間の微結晶性セルロース部分、SGLT-2 インヒビター、ラクトース、HPC 及びクロスカルメロースナトリウムを造粒機に添加する。
3)ブレンドを水で造粒する。
4)顆粒を流動床乾燥機中で乾燥させる: 1.5 % 未満のLOD。
5)顆粒をブレンダー容器に微粉砕する。
・篩- 18 メッシュを有するQuadro ミル
6)下記のものを混転ブレンダーの容器中で微粉砕顆粒に篩分ける。
・コロイド二酸化ケイ素と20-25 メッシュにより篩分けられた余分の顆粒の微結晶性セルロースの一部のプレミックス
・余分の微結晶性セルロースの残部及びブレンド
7)ステアリン酸マグネシウムをブレンドされた顆粒の一部と予備混合し、ブレンダー中の顆粒の残部に篩分ける (18 メッシュ) 。
続いて“最終ブレンド”を自由落下ブレンダー中の最終ブレンドにより製造する。
8)SGLT-2 インヒビターの“最終ブレンド”を回転プレスで錠剤に圧縮する。
【0075】
メトホルミン HCl顆粒: メトホルミンHCl及びトウモロコシ澱粉。流動床造粒をコポリビドン (コリドンVA64) 及び精製水を含む“造粒液体”の噴霧により行なう。また、SGLT-2 インヒビターを粉末としてメトホルミン-HCl及びトウモロコシ澱粉と一緒に流動床造粒機に添加する。流動床造粒の終了後に、顆粒を好適な篩で篩分ける。篩分けられた顆粒を潤滑剤としての無水コロイドシリカ (エーロシル200) 及びステアリン酸マグネシウムとブレンドする。
メトホルミン HCl顆粒の製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)メトホルミンHCl を計量の前に0.5〜1mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分ける。
b)コポリビドンを周囲温度でプロペラミキサーで精製水に溶解して“造粒液体”を生成する。
c)“造粒液体”を造粒中のブロッキングを避けるために乾燥条件下で流動床造粒のための混合物に噴霧する。
d)噴霧の終了時に、LOD が2%より多い場合には、得られる顆粒を所望のLOD 値(即ち、0.8-2%、例えば、1-2 %)まで70-80 ℃で乾燥させる。
e)顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分ける。
f)篩分けられた顆粒及び無水コロイドシリカ (エーロシル200) を好適なブレンダーでブレンドする。エーロシル200 は使用前に0.5mmの篩で篩分けられるべきである。
g)ステアリン酸マグネシウムを0.5mm 篩に通し、顆粒に添加する。続いて“メトホルミン HCl顆粒“(最終ブレンド)をブレンダー中の最終ブレンドにより製造する。
【0076】
“SGLT-2 インヒビターコアー錠剤”及び“メトホルミン HCl顆粒”をプレスコーターを使用して錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤に圧縮する。錠剤中錠剤とブルズアイ錠剤の相違はコアー錠剤の位置である。
錠剤中錠剤の製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)メトホルミン HCl顆粒の半分をダイに充填する。
b)化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態(I.9X)コアー錠剤をメトホルミン HCl顆粒の表面に置く。
c)コアー錠剤をメトホルミン HCl顆粒の第二の半分で覆い、次いで錠剤(錠剤中錠剤)に圧縮する。
ブルズアイ錠剤の製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)メトホルミン HCl顆粒をダイに充填する。
b)化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X)コアー錠剤をダイ中のメトホルミン HCl顆粒の上に置き、次いで錠剤(ブルズアイ錠剤)に圧縮する。
錠剤はフィルム形成剤としてのヒプロメロース、可塑剤としてのポリエチレングリコール又はプロピレングリコール、滑剤としてのタルク並びに顔料の黄色、赤色、黒色の鉄酸化物及びこれらの混合物並びに二酸化チタンを含む、水性フィルム被覆懸濁液によりフィルム被覆されてもよい。
フィルム被覆物の製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)ヒプロメロース及びポリエチレングリコール又はプロピレングリコールをプロペラミキサーで精製水に溶解する。タルク、二酸化チタン、及び鉄酸化物 (黄色、赤色、黒色又はこれらの混合物) をホモミキサーで精製水中で分散させる。その懸濁液をヒプロメロース溶液に添加し、次いでプロペラミキサーで周囲温度で混合して“被覆懸濁液”を生成する。
b)錠剤コアーを目標質量増まで“被覆懸濁液”で被覆して“フィルム被覆錠剤”を製造する。“被覆懸濁液”は使用前に再度撹拌され、被覆(噴霧)プロセス中に徐々の撹拌を保たれるべきである。
【0077】
4.SGLT-2 インヒビターメトホルミン HCl錠剤上の薬物層形成 (薬物配合のためのフィルム被覆物)
本発明のSGLT-2 インヒビター (化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X)) + メトホルミン HCl FDC (フィルム被覆錠剤) の組成物の実施例(これらはメトホルミン HCl錠剤上のフィルム被覆による薬物配合により調製される)が表4に示される。
表 4:化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態(I.9X)+ メトホルミン HCl FDCの組成物の実施例メトホルミン HCl 錠剤上のSGLT-2 インヒビター被覆物
【0078】
【表18】

【0079】
SGLT-2 インヒビターの広い用量範囲、例えば、1.25mg、5mg又は12.5mgを使用することができ、その場合、バインダートウモロコシ澱粉又は微結晶性セルロースの量が調節される。トウモロコシ澱粉に代えて、微結晶性セルロースが使用し得る。製造操作の更なる記載において、トウモロコシ澱粉のみが記載される。
製造操作 (メトホルミン HCl 錠剤上のフィルム被覆によるSGLT-2 インヒビター-薬物層形成):
薬物被覆によるSGLT-2 インヒビター (例えば、化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X))+メトホルミンHCl FDC が流動床造粒方法、通常の錠剤形成方法、並びに三つの工程:シール被覆、薬物配合及びオーバー被覆によるフィルム被覆方法により製造される。オーバー被覆は、安定性が許される場合には、薬物配合と組み合わせることにより省かれることができるかもしれない。
メトホルミン HCl 錠剤: メトホルミンHCl 及びトウモロコシ澱粉。流動床造粒をコポリビドン (コリドンVA64) 及び精製水を含む“造粒液体”の噴霧により行なう。また、SGLT-2 インヒビターを粉末としてメトホルミン-HCl及びトウモロコシ澱粉と一緒に流動床造粒機に添加する。流動床造粒の終了後に、顆粒を好適な篩で篩分ける。篩分けられた顆粒を潤滑剤としての無水コロイドシリカ (エーロシル200) 及びステアリン酸マグネシウムとブレンドする。最終ブレンドを通常の回転プレスで錠剤に圧縮する。
【0080】
メトホルミン HCl顆粒の製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)メトホルミンHCl を計量の前に0.5〜1mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分ける。
b)コポリビドンを周囲温度でプロペラミキサーで精製水に溶解して“造粒液体”を生成する。
c)“造粒液体”を造粒中のブロッキングを避けるために乾燥条件下で流動床造粒のための混合物に噴霧する。
d)噴霧の終了時に、LOD が2%より多い場合には、得られる顆粒を所望のLOD 値(即ち、0.8-2%、例えば、1-2 %)まで70-80 ℃で乾燥させる。
e)顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズを有する篩を使用して篩分ける。
f)篩分けられた顆粒及び無水コロイドシリカ (エーロシル200) を好適なブレンダーでブレンドする。エーロシル200 は使用前に0.5mmの篩で篩分けられるべきである。
g)ステアリン酸マグネシウムを0.5mm 篩に通し、顆粒に添加する。続いて“最終ブレンド”をブレンダー中の最終ブレンドにより製造する。
h)“最終ブレンド”を通常の回転プレスで錠剤に圧縮する。
フィルム被覆:錠剤を (1)フィルム形成剤としてのヒプロメロース、可塑剤としてのポリエチレングリコール (マクロゴール、特にマクロゴール 400、6000又は8000) 、別の可塑剤としてのプロピレングリコール、滑剤としてのタルク並びに顔料の黄色の鉄酸化物 及び/又は赤色の鉄酸化物又は鉄酸化物黒色及び二酸化チタンの混合物を含む、水性フィルム被覆懸濁液による、シール被覆: (2): フィルム形成剤としてのヒプロメロース、可塑剤としてのポリエチレングリコール又はプロピレングリコール、薬物物質としての化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) を含む、水性フィルム被覆懸濁液による、薬物配合及び (3) フィルム形成剤としてのヒプロメロース、可塑剤としてのポリエチレングリコール又はプロピレングリコール、滑剤としてのタルク並びに顔料の黄色の鉄酸化物及び/又は赤色及び/又は黒色の鉄酸化物及び二酸化チタンを含む、水性フィルム被覆懸濁液による、オーバー被覆によりフィルム被覆する。
【0081】
被覆機によるフィルム被覆のための製造方法の叙述の一層特別な記載:
a)ヒプロメロース及びポリエチレングリコール又はプロピレングリコールをプロペラミキサーで精製水に溶解する。タルク、二酸化チタン、及び鉄酸化物 (黄色、赤色、黒色又は黄色及び赤色及び黒色並びにこれらの混合物) をホモミキサーで精製水中で分散させる。その懸濁液をヒプロメロース溶液に添加し、次いで周囲温度でプロペラミキサーで混合して“シール被覆”及び“オーバー被覆”のための“被覆懸濁液”を生成する。
b)ヒプロメロース、ポリエチレングリコール又はプロピレングリコールをプロペラミキサーで精製水に溶解する。化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) (活性薬物) をヒプロメロース溶液に添加し、次いで周囲温度でプロペラミキサーで分散させて“薬物配合”のための“薬物懸濁液” を生成する。
c)メトホルミン HCl錠剤を目標質量増まで“被覆懸濁液”で被覆して“シールコート”を形成する。“被覆懸濁液”は使用前に再度撹拌され、被覆(噴霧)プロセス中に徐々の撹拌を保たれるべきである。
d)シール被覆後に、“薬物懸濁液”をメトホルミン HCl錠剤の表面に適用して“薬物層”を形成する (薬物配合)。“薬物懸濁液” は使用前に再度撹拌され、被覆(噴霧)プロセス中に徐々の撹拌を保たれるべきである。被覆終点は利用できるPAT (プロセス分析技術)により決められる。
e)薬物配合後に、“被覆懸濁液”を化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X)薬物配合錠剤に適用して“オーバーコート”を形成し、“フィルム被覆錠剤”を製造する。“被覆懸濁液” は使用前に再度撹拌され、被覆(噴霧)プロセス中に徐々の撹拌を保たれるべきである。
製品記載:
化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤 (錠剤コアー及びフィルム被覆錠剤) が表8及び表9に夫々示される。
表 8a:化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤(錠剤コアー)の製品記載
【0082】
【表19】

【0083】
表 8b: 化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤(錠剤コアー)の製品記載
【表20】

【0084】
表 9a: 化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤(被覆)の製品記載
【表21】

【0085】
表 9b: 化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤(被覆)の製品記載
【表22】

【0086】
安定性データ:
化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤(表1.1及び1.7)の安定性データが下記の表に示される。
12.5+500 mg 錠剤
【表23】

【0087】
12.5+500 mg 錠剤
【表24】

【0088】
12.5+500 mg 錠剤
【表25】

【0089】
12.5+500 mg 錠剤
【表26】

【0090】
1.25+500 mg 錠剤
【表27】

【0091】
1.25+500 mg 錠剤
【表28】

【0092】
1.25+500 mg 錠剤
【表29】

【0093】
1.25+500 mg 錠剤
【表30】

【0094】
安定性データ:
化合物 (I.9)、又は化合物 (I.9)の結晶性形態 (I.9X) + メトホルミン HCl FDC 単層錠剤(表1.9及び1.10)の安定性データが下記の表に示される。
12.5+500 mg 錠剤
【表31】

【0095】
12.5+500 mg 錠剤
【表32】

【0096】
12.5+500 mg 錠剤
【表33】

【0097】
12.5+500 mg 錠剤
【表34】

【0098】
1.25+500 mg 錠剤
【表35】

【0099】
1.25+500 mg 錠剤
【表36】

【0100】
1.25+500 mg 錠剤
【表37】

【0101】
1.25+500 mg 錠剤
【表38】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
SGLT-2 インヒビター、パートナー薬物、及び一種以上の医薬賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項2】
パートナー薬物が、メトホルミン(例えば、メトホルミン塩酸塩)を含むビグアニドからなる群から選ばれる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
SGLT-2 インヒビターが約0.5 mgから約50mgまで、特に約1 mgから約25mgまでの用量範囲で存在する、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
SGLT-2 インヒビターが0.5 、1、1.25、2.5 、5、10又は12.5 mgの有効成分含量で存在する、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
SGLT-2 インヒビターが5 mg又は12.5mgの有効成分含量で存在する、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項6】
パートナー薬物がメトホルミン塩酸塩である、請求項1から5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
メトホルミン塩酸塩が約100 mgから約1500mgまでの用量範囲で存在する、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
メトホルミン塩酸塩が500 mg、850 mg又は1000mgの有効成分含量で存在する、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
賦形剤が微結晶性セルロース (MCC)を含む一種以上の充填剤; D-マンニトール、トウモロコシ澱粉及び前ゼラチン化澱粉;コポビドンを含むバインダー;ステアリン酸マグネシウム又はステアリルフマル酸ナトリウムを含む潤滑剤; 及び無水コロイドシリカを含む滑剤からなる群から選ばれる、請求項1から8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
コポビドンをバインダーとして含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
下記の物質:充填剤トウモロコシ澱粉、潤滑剤ステアリン酸マグネシウム又はステアリルフマル酸ナトリウム及び滑剤無水コロイドシリカの一種以上を更に含む、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
下記の物質:充填剤微結晶性セルロース、潤滑剤ステアリン酸マグネシウム又はステアリルフマル酸ナトリウム及び滑剤無水コロイドシリカの一種以上を更に含む、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項13】
下記の物質:充填剤微結晶性セルロース、潤滑剤ステアリルフマル酸ナトリウム及び滑剤無水コロイドシリカの一種以上を更に含む、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項14】
錠剤の投薬形態にある、請求項1から13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
錠剤が単層錠剤、二層錠剤、プレス被覆錠剤(錠剤中錠剤及びブルズアイ錠剤を含む)、及び薬物配合のためにフィルム被覆されている錠剤から選ばれる、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
錠剤がフィルム被覆物を含む、請求項14又は15記載の医薬組成物。
【請求項17】
フィルム被覆物がフィルム被覆剤、例えば、ヒプロメロース; 可塑剤、例えば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール; 必要により滑剤、例えば、タルク、そして必要により一種以上の顔料、例えば、二酸化チタン、鉄酸化物赤色及び/又は鉄酸化物黄色及び/又は鉄酸化物黒色並びにこれらの混合物を含む、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
医薬組成物が下記の一つ以上が該当することができる、単層錠剤である、請求項1から17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
−メトホルミン塩酸塩の割合が全錠剤コアーの約84質量%である、
−SGLT-2 インヒビターの割合が全錠剤コアーの約0.1 質量%- 2.5質量%である、
−錠剤圧潰強さが100 N以上である、
−錠剤脆性が0.5 %以下である、
−錠剤コアー質量が約550 mg〜約1180 mg である、及び
−錠剤崩壊時間が15分以下である。
【請求項19】
溶解試験で45分後に、SGLT-2 インヒビター及びパートナー薬物の夫々の少なくとも75質量%が溶解されることを特徴とする、即時放出投薬形態である、請求項14から18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の医薬組成物を含むことを特徴とする医薬投薬形態。
【請求項21】
固体医薬投薬形態カプセル又は錠剤であることを特徴とする請求項20記載の医薬投薬形態。
【請求項22】
約0.5 mgから約50mgまで、特に約1 mgから約25mgまでの量のSGLT-2 インヒビターを含む、請求項20又は21記載の医薬投薬形態。
【請求項23】
約100 mgから約1500mgまでの量のメトホルミン塩酸塩を含む、請求項20、21又は22記載の医薬投薬形態。
【請求項24】
請求項1から19の一つ以上に記載の医薬組成物又は請求項20から23の一つ以上に記載の医薬投薬形態を患者に投与することを特徴とする、それを要する患者の1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、高血糖、食後の高血糖、過剰体重、肥満及び代謝症候群からなる群から選ばれた代謝障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療するための方法。
【請求項25】
請求項1から19の一つ以上に記載の医薬組成物又は請求項20から23の一つ以上に記載の医薬投薬形態を患者に投与することを特徴とする、それを要する患者の血糖調節を改善し、かつ/又は空腹時血漿グルコース、食後の血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1c の減少のための方法。
【請求項26】
請求項1から19の一つ以上に記載の医薬組成物又は請求項20から23の一つ以上に記載の医薬投薬形態を患者に投与することを特徴とする、それを要する患者の耐糖能異常、空腹時の血糖異常、インスリン耐性及び/又は代謝症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅くし、遅延し、又は反転するための方法。
【請求項27】
請求項1から19の一つ以上に記載の医薬組成物又は請求項20から23の一つ以上に記載の医薬投薬形態を患者に投与することを特徴とする、それを要する患者の真性糖尿病の合併症、例えば、白内障並びに微小血管疾患及び大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、糖尿病の足、動脈硬化、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、不安定な狭心症、安定な狭心症、卒中、末梢動脈閉塞疾患、心筋症、心不全、心臓律動障害及び血管再狭窄からなる群から選ばれた症状又は障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療するための方法。
【請求項28】
請求項1から19の一つ以上に記載の医薬組成物又は請求項20から23の一つ以上に記載の医薬投薬形態を患者に投与することを特徴とする、それを要する患者の体重を減少し、又は体重の増加を防止し、又は体重の減少を促進するための方法。
【請求項29】
請求項1から19の一つ以上に記載の医薬組成物又は請求項20から23の一つ以上に記載の医薬投薬形態を患者に投与することを特徴とする、それを要する患者の膵臓のベータ細胞の変性及び/又は膵臓のベータ細胞の機能の低下を予防し、遅くし、遅延し、もしくは治療し、かつ/又は膵臓のベータ細胞の機能を改善し、かつ/又は回復し、かつ/又は膵臓のインスリン分泌の機能を回復するための方法。
【請求項30】
請求項1から19の一つ以上に記載の医薬組成物又は請求項20から23の一つ以上に記載の医薬投薬形態を患者に投与することを特徴とする、それを要する患者の肝脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状を予防し、遅くし、遅延し、又は治療するための方法。
【請求項31】
請求項1から19の一つ以上に記載の医薬組成物又は請求項20から23の一つ以上に記載の医薬投薬形態を患者に投与することを特徴とする、それを要する患者のインスリン感受性を維持し、かつ/又は改善し、かつ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン耐性を治療し、又は予防するための方法。
【請求項32】
請求項24から31の一つ以上に記載の方法における使用のための薬物の製造のためのSGLT2 インヒビターの使用。
【請求項33】
請求項24から31の一つ以上に記載の方法における使用のための薬物の製造のためのビグアニド(メトホルミン又はメトホルミン塩酸塩を含む)の使用。
【請求項34】
それを要する患者の
−1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、高血糖、食後の高血糖、過剰体重、肥満及び代謝症候群からなる群から選ばれた代謝障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療し、又は
−血糖調節を改善し、かつ/又は空腹時血漿グルコース、食後の血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビン HbA1cを減少し、又は
−耐糖能異常、インスリン耐性及び/又は代謝症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅くし、遅延し、又は反転し、又は
−真性糖尿病の合併症、例えば、白内障並びに微小血管疾患及び大血管疾患、例えば、腎症、網膜症、神経障害、組織虚血、動脈硬化、心筋梗塞、卒中及び末梢動脈閉塞疾患からなる群から選ばれた症状又は障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療し、又は
−体重を減少し、もしくは体重増を予防し、又は体重の減少を促進し、又は
−膵臓ベータ細胞の変性及び/又は膵臓ベータ細胞の機能の低下を予防し、遅くし、遅延し、もしくは治療し、かつ/又は膵臓ベータ細胞の機能を改善し、かつ/又は回復し、かつ/又は膵臓のインスリン分泌の機能を回復し、又は
−肝脂肪の異常な蓄積に起因する疾患又は症状を予防し、遅くし、遅延し、又は治療し、又は
−インスリン感受性を維持し、かつ/又は改善し、かつ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン耐性を治療もしくは予防するための薬物の製造のための請求項1から19のいずれか1項記載の医薬組成物の使用。
【請求項35】
患者が過剰体重、肥満、内臓肥満及び腹部肥満からなる群から選ばれた一種以上の症状と診断された個体である、請求項24から31のいずれか1項記載の方法又は請求項32から34のいずれか1項記載の使用。
【請求項36】
患者が一種、二種又はそれ以上の下記の症状:
(a) 110 mg/dLより大きく、特に125 mg/dLより大きい空腹時血液グルコース又は血清グルコース濃度、
(b) 140 mg/dL以上の食後の血漿グルコース、
(c) 6.5%以上、特に7.0%以上のHbA1c 値
を示す個体である、請求項24から31のいずれか1項記載の方法又は請求項32から34のいずれか1項記載の使用。
【請求項37】
患者が下記の症状:
(a) 肥満、内臓肥満及び/又は腹部肥満、
(b) 150 mg/dL以上のトリグリセリド血液レベル、
(c) 女性患者で40 mg/dL未満、また男性患者で50 mg/dL未満のHDL-コレステロール血液レベル、
(d) 130 mm Hg以上の収縮期血圧及び85 mm Hg以上の拡張期血圧、
(e) 110 mg/dL以上の空腹時血液グルコースレベル
の一種、二種、三種又はそれ以上が存在する個体である、請求項24から31のいずれか1項記載の方法又は請求項32から34のいずれか1項記載の使用。
【請求項38】
患者が食事及び運動又は坑糖尿病薬、特にメトホルミンによる単一治療にもかかわらず不十分な血糖調節を有する、請求項24から31のいずれか1項記載の方法又は請求項32から34のいずれか1項記載の使用。

【公表番号】特表2013−506634(P2013−506634A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531437(P2012−531437)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064619
【国際公開番号】WO2011/039337
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】