説明

医薬組成物

【課題】 優れたタキキニン受容体拮抗活性を有する新規ベンジルアミン誘導体を有効成分としてなる医薬組成物を提供する。
【解決手段】 式(I)
【化1】


(式中、R1は、ハロゲン、オキソ、ニトロ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、ピリジルなどで置換されていてもよい縮合複素芳香環式基(当該複素芳香環式基にはヘテロ原子として1〜4個の窒素、酸素、硫黄原子が含まれる)、R2及びR3は、水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキルまたは低級アルコキシ)で示されるベンジルアミン誘導体またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗活性を有する新規ベンジルアミン誘導体を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】タキキニンとは、一群の神経ペプチドの総称であり、哺乳類ではサブスタンスP(以下、SP)、ニューロキニンA、ニューロキニンBが知られており、これらのペプチドは生体内に存在するそれぞれの受容体(ニューロキニン1、ニューロキニン2、ニューロキニン3)に結合することによって、様々な生物活性を発揮することが知られている。その中で、SPは神経ペプチドの中でももっとも歴史が長く詳細に研究されているものの1つであり、1931年にウマ腸管抽出物中に存在が確認され、1971年に構造決定されたアミノ酸11個からなるペプチドである。
【0003】SPは中枢および末梢の神経系に広く分布しており、一次知覚ニューロンの伝達物質としての機能の他、血管拡張作用、血管透過性亢進作用、平滑筋収縮作用、神経細胞興奮作用、唾液分泌作用、利尿亢進作用、免疫作用などの生理活性を有する。特に、痛みインパルスにより脊髄後角の終末から遊離されたSPが2次ニューロンに痛み情報を伝えること、末梢終末より遊離されたSPがその受容体に炎症反応を惹起することが知られている。このようなことから、SPは種々の病態(例えば、痛み、炎症、アレルギー、頻尿、尿失禁、気道疾患、精神病、うつ病、不安、嘔吐など)に関与していると考えられており、またSPはアルツハイマー型痴呆にも関与していると考えられている〔総説:フィジオロジカル・レビューズ(Physiological Reviews)、73巻、229−308頁(1993年)、ジャーナル・オブ・オートノミック・ファーマコロジー(Journal of Autonomic Pharmacology)、13巻、23−93頁(1993年)〕。
【0004】特表平7−509490号公報には、タキキニン受容体拮抗化合物として複素単環式基置換ベンジルアミン誘導体が記載されているが、二環式複素環で置換されたベンジルアミン誘導体については記載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在、前記種々病態(特に嘔吐、うつ病または排尿異常など)の治療薬として、優れたタキキニン受容体拮抗作用(特にニューロキニン−1受容体拮抗作用)を有し、かつ安全性、持続性(代謝、体内動態、吸収性)などの点から十分に満足できる化合物は未だ見出されていない。そこで、既知のタキキニン受容体拮抗化合物とは化学構造が異なり、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有し、該病態の治療薬として臨床上の効果が十分に満足できる化合物を有効成分としてなる医薬組成物の開発が望まれている。
【0006】本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有し、かつ安全性、持続性(代謝、体内動態、吸収性)などの点から臨床上十分に満足できる化合物を有効成分としてなる医薬組成物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I)
【0008】
【化2】


【0009】(式中、R1は、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する縮合複素芳香環式基であって、当該縮合複素芳香環式基は、ハロゲン原子、オキソ基、ニトロ基、シアノ基、低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、低級アルコキシ基、モルホリニル基またはピリジル基で置換された低級アルコキシ基、或いはピリジル基から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、さらに、当該縮合複素芳香環式基に含まれる硫黄原子は酸化されていてもよく、R2は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、または低級アルコキシ基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、または低級アルコキシ基を表す。)で示されるベンジルアミン誘導体またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する縮合複素芳香環式基とは、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有した二環乃至三環の複素環式基であって、芳香環を当該二環乃至三環の複素環中に含有しているものをいう。従って、例えば、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、フェナントリジニル基、ベンゾキナゾリニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基、クロメニル基などがその例としてあげられる。
【0011】これら縮合複素芳香環式基の中でも、インドリル基、イソインドリル基、キノキサリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、フェナントリジニル基、ベンゾキナゾリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基、ベンゾイミダゾリル基、クロメニル基等が好適に用いられる。
【0012】また、オキソ基で置換された縮合複素芳香環式基とは、縮合複素芳香環式基中の−CH−または=CH−が−C(=O)−になったものをいい、形式的に芳香環の一部を水素化してからオキソ基を導入したと考えられるような複素芳香環式基も含まれる。従って、オキソ基で置換された縮合複素芳香環式基としては、次のものがあげられる。例えば、オキソ基で置換されたキノリル基とは、キノロニル基(例えば、2−キノロン−1−イル基、2−キノロン−3−イル基、4−キノロン−1−イル基)であり、オキソ基で置換されたイソキノリル基とは、イソキノロニル基(例えば、1−イソキノロン−2−イル基)であり、オキソ基で置換されたキナゾリニル基とは、キナゾリノニル基(例えば、4(3H)−キナゾリノン−3−イル基)である。同様にして、フタラジノニル基(例えば、1(2H)−フタラジノン−2−イル基)、イソインドールジオニル基(例えば、1、3−イソインドールジオン−2−イル基)、ベンゾイソチアゾロニル基(例えば、ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン−2−イル基)、テトラヒドロキノキサリノニル基(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−2−オン−1−イル基)、ジヒドロフタラジンジオニル基(例えば、2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン−2−イル基)、フェナントリジノニル基(例えば、6(5H)−フェナントリジノン−5−イル基)、ピリドピリミジノニル基(例えば、4(3H)−ピリドピリミジノン−3−イル基)、ベンゾキナゾリノニル基(例えば、4(3H)−ベンゾキナゾリノン−3−イル基)、クロモニル基(例えば、4−クロモン−6−イル基)がオキソ基で置換された縮合複素芳香環式基の例としてあげられる。
【0013】さらにまた、縮合複素芳香環式基において硫黄原子が酸化されたものの例としては、ベンゾイソチアゾロン−1,1−ジオキシジル基(例えば、ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン−1,1−ジオキシド−2−イル基)があげられる。
【0014】本発明の有効成分である化合物(I)におけるR1としては、インドリル基、イソインドリル基、キノキサリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、フェナントリジニル基、ベンゾキナゾリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基、ベンゾイミダゾリル基およびクロメニル基などの縮合複素芳香環式基を好適に用いることができ、該複素芳香環式基は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;オキソ基;メチル基等の低級アルキル基;トリフルオロメチル基等のハロゲノ低級アルキル基;メトキシ基等の低級アルコキシ基;モルホリニルエトキシ基、ピリジルメトキシ基などのモルホリニル基またはピリジル基で置換された低級アルコキシ基;或いはピリジル基で置換されていてもよい。また、当該縮合複素芳香環式基に含まれる硫黄原子は酸化されていてもよい。
【0015】R2としては、例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基等の低級アルキル基;トリフルオロメチル基等のハロゲノ低級アルキル基;またはメトキシ基等の低級アルコキシ基を好適に用いることができる。
【0016】R3としては、例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基等の低級アルキル基;トリフルオロメチル基等のハロゲノ低級アルキル基;またはメトキシ基等の低級アルコキシ基を好適に用いることができる。
【0017】本発明の有効成分である化合物において、好ましい化合物としては、R1がキノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基またはキノキサリニル基であり、当該キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基またはキノキサリニル基は、オキソ基、ハロゲン原子、低級アルキル基、ニトロ基、低級アルコキシ基、シアノ基およびトリフルオロメチル基から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、R2およびR3が水素原子である化合物をあげることができる。
【0018】本発明の有効成分である化合物において、より好ましい化合物としては、R1がキノリル基、キノロニル基、イソキノロニル基またはキナゾリノニル基(当該キノリル基、キノロニル基、イソキノロニル基またはキナゾリノニル基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ニトロ基、低級アルコキシ基、シアノ基およびトリフルオロメチル基から選ばれる1〜2個の基で置換されていてもよい)である化合物があげられる。
【0019】また、本発明化合物において、さらに好ましい化合物としては、R1がハロゲン原子、低級アルキル基またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよいイソキノロニル基;またはハロゲン原子、低級アルキル基またはニトロ基で置換されていてもよいキナゾリノニル基である化合物があげられる。
【0020】本発明の有効成分である化合物において、とりわけ好ましい化合物としては、R1がハロゲン原子または低級アルキル基で置換されていてもよい1−イソキノロン−2−イル基;またはハロゲン原子または低級アルキル基で置換されていてもよい4(3H)−キナゾリノン−3−イル基である化合物があげられる。
【0021】本発明の有効成分である化合物(I)は、遊離の形でも、又薬理的に許容し得る塩の形でも医薬用途に使用することができる。化合物(I)の薬理的に許容し得る塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。
【0022】また、本発明の有効成分である化合物(I)またはその薬理的に許容しうる塩とは、その分子内塩やそれらの溶媒和物あるいは水和物等をいずれも含む。
【0023】本発明の有効成分である化合物(I)は、不斉原子に基づく光学異性体として存在しうるが、本発明はこれらの光学異性体及びその混合物のいずれも含むものである。本発明においては、これら光学異性体の中でも、特にピペリジン骨格における(2S,3S)体が薬効上好ましい。
【0024】本発明の有効成分である化合物(I)又はその薬理的に許容し得る塩は、優れたタキキニン受容体拮抗作用、特にニューロキニン−1受容体拮抗作用を有し、哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、スナネズミ、フェレット、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対する、炎症もしくはアレルギー性疾患(例えば、アトピー、皮膚炎、ヘルペス、乾癬、喘息、気管支炎、喀痰、鼻炎、リューマチ関節炎、変形性関節炎、骨粗鬆症、多発性硬化症、結膜炎、眼炎、膀胱炎など)、疼痛、偏頭痛、神経痛、掻痒、咳、さらに中枢神経系の疾患〔例えば、精神分裂症、パーキンソン病、うつ病、不安、心身症、モルヒネ依存症、痴呆(例えば、アルツハイマー病など)など〕、消化器疾患[例えば、過敏性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ウレアーゼ陽性のラセン状グラム陰性菌(例えば、ヘリコバクター・ピロリなど)に起因する異常(例えば、胃炎、胃潰瘍など)など]、悪心、嘔吐、排尿異常(例えば、頻尿、尿失禁など)、循環器疾患(例えば、狭心症、高血圧、心不全、血栓症など)および免疫異常などの安全な予防、治療薬として有用である。とりわけ、本発明の有効成分である化合物(I)又はその薬理的に許容し得る塩は、脳内移行性が高く、且つ低毒性で、副作用を殆ど示さないため、嘔吐、うつ病などの中枢神経系疾患、頻尿などの排尿異常の予防、治療薬として有用である。
【0025】本発明の有効成分である化合物(I)およびその薬理的に許容しうる塩は、経口的にも非経口的にも投与することができ、経口もしくは非経口投与に通常用いられる医薬担体を用いて、適当な製剤とすることができる。かかる医薬担体としては、例えば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、砂糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン等)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(バレイショデンプン等)および湿潤剤(ラウリル無水硫酸ナトリウム等)等をあげることができる。また、これら医薬製剤は、経口投与する場合には、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤の如き固形製剤であってもよく、溶液、懸濁液、乳液の如き液体製剤であってもよい。一方、非経口投与する場合には、例えば、注射用蒸留水、生理的食塩水、ブドウ糖水溶液等を用いて注射剤や点滴剤として、あるいは坐剤等とすることができる。
【0026】本発明の有効成分である化合物(I)またはその薬理的に許容しうる塩の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態あるいは疾患の程度によって異なるものの、通常、1日あたりの投与量は、経口投与の場合には、0.1〜20mg/kg、とりわけ0.1〜10mg/kg、非経口投与の場合には、0.01〜10mg/kg、とりわけ0.01〜1mg/kgであるのが好ましい。
【0027】本発明の有効成分である化合物(I)は、例えば、一般式(II)
【0028】
【化3】


【0029】(式中、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物またはその塩と、一般式(III)
【0030】
【化4】


【0031】(式中、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物またはその塩を還元剤(例えば、ジボラン、水素化アルミニウムリチウム等)の存在下、適当な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジクロロエタン等)中、触媒量の酸類(例えば、ギ酸、塩酸等)の存在下または非存在下で還元的縮合反応させ製造することができ、所望により、その薬理的に許容しうる塩とすることができる。
【0032】また、還元的縮合反応は、還元剤を存在させる代りに、適当な触媒(例えば、白金触媒、パラジウム−炭素等)を用いて、適当な溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)中、水素気流下に反応させ製造することもできる。
【0033】原料化合物(III)またはその塩は、例えば、以下に記載のA法、B法、C法またはD法のいずれかの方法により製造することができる。すなわち、化合物(III)は、A法: 一般式(IV−a)
【0034】
【化5】


【0035】(記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物と、一般式(V−a)
1−X (V−a)
(式中、Xはハロゲン原子またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R1は前記と同一意味を有する。)で示される化合物をカップリングさせ、ついで所望により塩に変換することにより製するか;
B法: 一般式(IV−b)
【0036】
【化6】


【0037】(式中、Xはハロゲン原子またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表し、R2は前記と同一意味を有する。)で示される化合物と、一般式(V−b)
1−B(OH) (V−b)
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物をカップリングさせ、ついで所望により塩に変換することにより製するか;
C法: 一般式(IV−b)
【0038】
【化7】


【0039】(式中、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物と、一般式(V−c)
1−Sn(Y)3 (V−c)
(式中、Yは低級アルキル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物をカップリングさせ、ついで所望により塩に変換することにより製するか;或いは、D法: 一般式(IV−a)
【0040】
【化8】


【0041】(記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物と、一般式(V−d)
1−H (V−d)
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)で示される化合物をカップリングさせ、ついで所望により塩に変換することにより製することができる。
【0042】A法およびB法は、例えば鈴木カップリング反応などの常法に従って適当な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、トルエン等)中、塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)および触媒(例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム等)の存在下に反応させ製造することができる。
【0043】C法は、スティレ(Stille)カップリング反応などの常法に従って、適当な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中、触媒(酢酸パラジウム、塩化ビストリフェニルフォスフィンパラジウム等)の存在下に反応させ製造することができる。
【0044】D法は、例えば適当な溶媒(例えば、ジクロロメタン等)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン等)及び触媒(例えば、酢酸銅等)の存在下に反応させ製造することができる。
【0045】また、原料化合物(II)およびその塩は、例えば、バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorg. Med. Chem. Let.)、6巻、1015頁、1996年に記載された方法により製することができる。本明細書において、低級アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。低級アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。
【0046】
【実験例】実験1 ニューロキニン−1(NK1)受容体結合阻害作用ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal ofPharmacology)254巻、221−227頁(1994)記載の方法に準じて、IM−9細胞(4×10cell/tube)を0.3nM[H](Sar,Met11(O))サブスタンスP(Kd値:0.17nM)および公比10にて調製した検体化合物とともに150mM NaCl、3mM MnCl、40μg/mlバシトラシン、4μg/mlロイペプチン、4μg/mlキモスタチン、4μg/mlホスホラミドン、0.02%ウシ血清アルブミンを含む50mM Tris−HCl(pH7.4,25℃)0.5ml中にて室温で60分間反応させた。予め0.3%ポリエチレンイミン処置したGF/Cガラスフィルターで吸引ろ過し,ウシ血清アルブミンおよび各種蛋白分解酵素阻害剤を含まない氷冷反応緩衝液3mlで2回洗浄し、液体シンチレーションカウンターにてフィルター上の放射能(dpm)を測定した。特異的結合量は、総結合量から非特異的結合量(NK1受容体拮抗作用を持つL−703606(2μM))を差し引いて求め、各濃度における検体化合物の標識リガンドの特異的結合に対する阻害率を計算し、50%阻害濃度(IC50)を算出した。結果は、表1の通りであった。
【0047】
【表1】


【0048】実験2 ニューロキニン−1受容体作動誘発に対する作用ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal ofPharmacology)265巻、179−183頁(1994)記載の方法に準じて、雄性スナネズミ(日本エスエルシー(株):40−80g)をハロタンで麻酔後、被験薬を陰茎静脈より投与した。続いて、頭部ブレクマの側方1mm、4.5mm深部に蒸留水に溶解させたNK1受容体アゴニストであるGR73632(5pmol/5μl/head)を脳室内へ投与した。投与後、観察ゲージにスナネズミを移動し、正向反射回復後5分間のフットタッピング(foot tapping)を起こしている時間を測定した。被験薬のフットタッピングの抑制率(%)は次式により計算した。
フットタッピングの抑制率(%)={1−(被験薬投与でのタッピング時間)/(溶媒投与でのタッピング時間)}×100結果は、非線形回帰分析をして求め、表2の通りであった。
【0049】
【表2】


【0050】
【製造例】製造例1(±)−(シス−2−フェニルピペリジン−3−イル)アミン(150 mg)、5−(N−メチルインドール−5−イル)−2−メトキシベンズアルデヒド(248 mg)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(271 mg)、酢酸(0.2 ml)をジクロロメタン(6ml)に加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム、飽和重曹水を加えた後、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去後、NH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、これを酢酸エチルに溶解し、4N塩化水素の酢酸エチル溶液で処理した。得られた混合物を減圧下濃縮後、ジエチルエーテルで結晶化することにより(±)−(シス−2−フェニルピペリジン−3−イル)[2−メトキシ−5−(1−メチルインドール−5−イル)ベンジル]アミン・2塩酸塩(136 mg)を得た。融点:200−204℃(分解)。
【0051】製造例2−12対応原料化合物を用いて、製造例1と同様にして、表3記載の化合物を合成した。
【0052】
【表3】


【0053】
【表4】


【0054】製造例13[(2S, 3S)−2−フェニルピペリジン−3−イル]アミン・(2R,3R)−ビス(4−メチルベンゾイルオキシ)コハク酸塩(200 mg)、5-(6−フルオロ−4(3H)−キナゾリノン−3−イル)−2−メトキシベンズアルデヒド(117 mg)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(377 mg)、酢酸(0.2 ml)をジクロロメタン(6 ml)に加え、室温で4時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム(20 ml)、飽和重曹水(10ml)を加えた後、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=5:1)で精製し、これを酢酸エチルに溶解し4N塩化水素の酢酸エチル溶液で処理した。減圧下濃縮後、ジエチルエーテルで結晶化することにより[(2S, 3S)−2−フェニルピペリジン−3−イル][2−メトキシ−5−(6−フルオロ−4(3H)−キナゾリノン−3−イル)ベンジル]アミン・2塩酸塩(146 mg)を得た。融点:259−262℃(分解)。
【0055】製造例14−80対応原料化合物を用いて、製造例13と同様にして、表4〜表7記載の化合物を合成した。
【0056】
【表5】


【0057】
【表6】


【0058】
【表7】


【0059】
【表8】


【0060】
【表9】


【0061】
【表10】


【0062】
【表11】


【0063】
【表12】


【0064】製造例81[(2S,3S)-2-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル]アミン・(2R,3R)-ビス(4-メチルベンゾイルオキシ)コハク酸塩 (258 mg)、5-(3-キノリニル)-2-メトキシベンズアルデヒド(123 mg)、 トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム (377 mg)をジクロロメタン (10 ml)に加え、室温で6 時間攪拌した。反応後、反応液にクロロホルム(20 ml)、飽和重曹水(10 ml)を加えた後、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧にて留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)で精製し、これを酢酸エチルに溶解し4N塩化水素の酢酸エチル溶液で処理した。減圧下濃縮後、ジエチルエーテルで結晶化することにより[(2S, 3S)-2-(4-フルオロフェニル)ピペリジン-3-イル][2-メトキシ-5-(3-キノリニル)ベンジル]アミン・3塩酸塩 (129mg)を得た。融点: 233−236℃(分解)。
【0065】参考例1(1)5−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド(100 g)、オルトギ酸メチル(100 ml)、強酸性イオン交換樹脂(5g)をメタノール(800 ml)に加え、2時間加熱還流した。樹脂をろ別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣を蒸留し、5−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド ジメチルアセタール(119 g)を得た。沸点:98−100℃/1 mmHg。
【0066】(2)5−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド ジメチルアセタール(119g)をテトラヒドロフラン(740 ml)に溶解した後、窒素気流下、-60℃に冷却しn−ブチルリチウム(313 ml, 1.6Mヘキサン溶液)を滴下した。同温で30分攪拌した後、トリメチルボレート(256 ml)を滴下した。15分間同温で攪拌した後、室温まで昇温した。6N塩酸を加えた後、ジクロロメタンを加えた。有機層を分離し、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えた。水層を6N塩酸で酸性にした後、析出した結晶をろ取、水洗し、さらにエーテルで洗浄することにより、3−ホルミル−4−メトキシフェニルボロン酸(60g)を得た。融点:234−236℃。
【0067】参考例25−ブロモインドール(2 g)をジメチルホルムアミド(20 ml)に溶解した後、0℃に冷却し、水素化ナトリウム(490 mg, 62 %)を加えた。同温で30分攪拌した後、ヨウ化メチル(6.4 ml)を加えた。室温まで昇温後、同温で30分攪拌した。クエン酸水溶液を加えた後、酢酸エチル、水の混合溶媒中に注ぎ、有機層を分離、さらに食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、5−ブロモ−1−メチルインドール(2.1g)を得た。MS:209(M)。
【0068】参考例3トリフェニルホスフィン(27g)をジオキサン(1000 ml)に溶解し、室温下N−クロロサクシンイミド(13.7 g)を加え、30分攪拌した。次いで、2−キノキサリノール(3 g)を加え、5時間加熱還流した。溶媒を減圧下留去して得られた残渣をクロロホルムに溶解し、トリエチルアミンを加え塩基性にした後、再び溶媒を減圧下留去する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、2−クロロキノキサリン(2.5 g)を得た。融点:47−49℃。
【0069】参考例4参考例3と同様にして、3−メチル−2−キノキサリノールから2−クロロ−3−メチルキノキサリンを合成した。融点:86−87℃。
【0070】参考例57-ヒドロキシキノリン(1.08g)、トリエチルアミン(1.1ml)をジクロロメタン (10 ml)に溶解した後、0℃に冷却しトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.5ml)を加える。室温まで昇温後、同温で2時間攪拌する。ジクロロメタンと飽和重曹水の混合溶媒中に注ぎ、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧にて留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製することにより7−トリフルオロメタンスルホニルオキシキノリン(1.7g)を得た。融点:57−58℃。
【0071】参考例6上記参考例5と同様にして、3−ヒドロキシイソキノリンから3−トリフルオロメタンスルホニルオキシイソキノリン(1.7g)を合成した。MS:278(MH+)。
【0072】参考例7(1)6-メトキシキノリン(3.18g)をジクロロメタン (30 ml)に溶解した後、0℃に冷却しm-クロロ過安息香酸 (5.18g)を加える。室温まで昇温後、同温で20時間攪拌する。無水炭酸カリウムを加え30分攪拌後ろ過する。ろ液を減圧にて留去後、ジエチルエーテルで結晶化することにより 6-メトキシキノリン N-オキシド(2.6g)を得た。融点:101−103℃。
【0073】(2)6-メトキシキノリン N-オキシド(2.45g)、ジメチルホルムアミド(1ml)をトルエン (10 ml)に溶解した後、オキシ塩化リン(10ml)を加えた。100℃で30分間攪拌した後、放冷し、ジクロロメタンと飽和重曹水の混合溶媒中に注いだ。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧にて留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、イソプロピルエーテルで結晶化を行うことにより2-クロロ-6-メトキシキノリン(1.3g)を得た。融点:107−109℃。
【0074】参考例8−11(1)対応原料化合物を用いて、上記参考例7−(1)と同様にして、表8に記載の化合物を合成した。
【0075】
【表13】


【0076】(2)対応原料化合物を用いて、上記参考例7−(2)と同様にして、表9に記載の化合物を合成した。
【0077】
【表14】


【0078】参考例12(1)参考例7−(1)と同様にして、3−ブロモキノリンから、3−ブロモキノリンN−オキシドを得た。融点:103−105℃。
【0079】(2)3-ブロモキノリン N-オキシド(3.0g)、トリメチルシリルシアニド (2.1ml)をテトラヒドロフラン (90 ml)に溶解した後、加熱還流下で1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(4.5ml)を滴下し、同温で30分攪拌する。放冷後、反応液を減圧にて留去後、残査をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、ジエチルエーテルで結晶化を行うことにより2-シアノ-3-ブロモキノリン(724mg)を得た。融点:135−137℃。
【0080】参考例133-ブロモキノリン N-オキシド(7.2g)を水酸化ナトリウム(2.95g)の水(100ml)溶液とジクロロメタン (50 ml)の混合液中に加えた後、ベンゾイルクロリド(4.5ml)を滴下する。滴下後、室温で1時間攪拌した後、生成した結晶を水洗、さらにジエチルエーテルで洗浄することにより3-ブロモ-2-キノロン(3.6g)を得た。融点:260−263℃。
【0081】参考例143-ブロモ-2-キノロン(1.7 g)をジメチルホルムアミド (20 ml)に溶解した後、0℃に冷却し水素化ナトリウム(364 mg, 62 %)を加える。同温で30分攪拌した後、ヨウ化メチル (2.4 ml)を加える。室温まで昇温後、同温で30分攪拌する。クエン酸水溶液(30ml)を加えた後、酢酸エチル(100ml)、水(100 ml)の混合溶媒中に注ぎ、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧にて留去後、ジエチルエーテルで結晶化を行うことにより3-ブロモ-1-メチル-2-キノロン(1.3g)を得た。融点:150−151℃。
【0082】参考例15氷冷下、2-オキソ-1-シクロヘキサンプロピオニトリル(10.0 g)を濃硫酸(40ml)に滴下する。滴下後、室温で3時間攪拌する。反応液を氷水(200ml)に注いだ後、ジクロロメタンを加え、水層を分離する。水層を水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、クロロホルムを加え有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧にて留去後、ジエチルエーテルで結晶化を行うことにより5,6,7,8-テトラヒドロ-2-キノロン(3.7g)を得た。融点:206−207℃。
【0083】参考例165,6,7,8-テトラヒドロ-2-キノロン(3.54g)、ジメチルホルムアミド(1ml)、オキシ塩化リン(22ml)を混合し、還流下で5時間攪拌する。放冷後、ジクロロメタンと飽和炭酸カリウム水溶液の混合溶媒中に注ぎ、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧にて留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製することにより5,6,7,8-テトラヒドロ-2-クロロキノリン(1.2g)を得た。MS:168(MH)。
【0084】参考例173−ホルミル−4−メトキシフェニルボロン酸(1.0 g)、2−クロロキノキサリン(1.4 g)、酢酸パラジウム(62 mg)、トリトリルホスフィン(169 mg)、2N炭酸ナトリウム水溶液(4.2 ml)をジメチルホルムアミド(10 ml)に加え、窒素気流下100℃で30分攪拌した。放冷後、反応混合物を酢酸エチル、飽和重曹水の混合溶媒中に注いだ後、有機層を分離、さらに食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、ジエチルエーテルで結晶化することにより、5−(キノキサリン−2−イル)−2−メトキシベンズアルデヒド(2.1 g)を得た。融点:185−187℃。
【0085】参考例18−39対応原料化合物を用いて、参考例17と同様にして、表10記載の化合物(参考例18−39)を合成した。なお、参考例37および38に記載された化合物の合成にあたっては、参考例5および参考例6で得られた化合物を原料化合物として用いた。
【0086】
【表15】


【0087】
【表16】


【0088】
【表17】


【0089】参考例405−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド(1.6 g)、2−ベンゾ[b]チオフェンボロン酸(1.1 g)、酢酸パラジウム(139 mg)、トリトリルホスフィン (376 mg)、2N 炭酸ナトリウム水溶液(3.7 ml)をジメチルホルムアミド(15 ml)に加え、窒素気流下100℃で1時間攪拌した。放冷後、反応混合物を酢酸エチル、飽和重曹水の混合溶媒中に注いだ後、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、酢酸エチルで結晶化することにより、5−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−2−メトキシベンズアルデヒド(1.0g)を得た。融点:169−171℃。
【0090】参考例41参考例40と同様にして、5−(ベンゾ[b]フラン−2−イル)−2−メトキシベンズアルデヒドを合成した。融点:182−184℃。
【0091】参考例42ベンゾ[d]チアゾール(2.9 g)をテトラヒドロフラン(30 ml)に溶解した後、窒素気流下、−70℃に冷却しn−ブチルリチウム(15 ml, 1.6Mヘキサン溶液)を滴下した。同温で30分攪拌した後、塩化トリブチルスズ (6.9 ml)を滴下した。15分間同温で攪拌した後、室温まで昇温した。溶媒を減圧下留去した後、ジエチルエーテルを加え不溶物を除去する。溶媒を減圧下留去した後、蒸留し、2−(トリブチルスズ)ベンゾ[d]チアゾール (7.0 g)を得た。沸点:150−152℃/0.9 mmHg。
【0092】参考例435−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド(1.0 g)、2−(トリブチルスズ)ベンゾ[d]チアゾール (6.5 g)、塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム(326 mg)をジメチルホルムアミド(10 ml)に加え、窒素気流下120℃で30分攪拌した。放冷後、反応混合物を酢酸エチル、フッ化カリウム水溶液の混合溶媒中に注いだ後、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、ジエチルエーテルで結晶化することにより、5−(2−ベンゾ[d]チアゾリル)−2−メトキシベンズアルデヒド(451 mg)を得た。融点:191−193℃。
【0093】参考例445−フルオロ−2−アミノ安息香酸(3.5 g)とギ酸アミド(3.6 ml)を混合し、130℃で1時間攪拌、さらに180℃で1時間攪拌する。放冷後、エタノールで結晶化することにより6−フルオロ−4−キナゾリノン(3.0 g)を得た。融点:255−257℃。
【0094】参考例45−61対応原料化合物を用いて、参考例44と同様にして、表11記載の化合物を合成した。
【0095】
【表18】


【0096】参考例62参考例44と同様にして、下記ピリド[2,3−d]ピリミジン−4(3H)−オンを合成した。融点:258−259℃
【0097】
【化9】


【0098】参考例63参考例44と同様にして、下記ベンゾ[g]キナゾリン−4(3H)−オンを合成した。融点:282−283℃
【0099】
【化10】


【0100】参考例642−アセチル安息香酸(3.0g)とヒドラジン1水和物(9 ml)を混合し、2時間加熱還流する。放冷後、析出した結晶を濾取し、水、ジエチルエーテルで洗浄、乾燥することにより、4−メチル−1(2H)−フタラジノン(2.8 g)を得た。融点:226−227℃。
【0101】参考例651,5−イソキノリンジオール(20 g)をテトラヒドロフラン(480 ml)に懸濁した後、0℃に冷却し4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン(15 ml)とトリフェニルホスフィン(35.8g)を加える。次いで、ジエチルアゾジカルボキシレート(23.5 ml)のテトラヒドロフラン(80 ml)溶液を滴下する。30分間攪拌した後、室温まで昇温する。同温で16時間攪拌した後、溶媒を減圧下留去する。残渣にジクロロメタン、1N塩酸水溶液を加えた後、水層を分離し、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和する。ジクロロメタンを加えた後、有機層を分離し、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、ジエチルエーテルで結晶化することにより、5−[2−(4−モルホリノ)エトキシ]−1−イソキノロン(21.6 g)を得た。融点:173−175℃。
【0102】参考例66参考例65と同様にして、下記5−(3−ピリジルメトキシ)−1−イソキノロンを合成した。融点:192−195℃
【0103】
【化11】


【0104】参考例67(1)ジエチルエーテル(150 ml)にn−ブチルリチウム(78 ml、1.6Mヘキサン溶液)を加えた後、窒素気流下、−70℃に冷却する。次いで3−ブロモピリジン(18.9 g)のジエチルエーテル(150 ml)溶液を同温で滴下する。同温で30分攪拌した後、無水フタル酸(21.3 g)のテトラヒドロフラン(150 ml)溶液を同温で滴下する。同温で2時間攪拌した後、室温まで昇温する。水を加えた後、水層を分離し、2N塩酸水溶液を加えて酸性(pH=4)にする。ジクロロメタン(200ml)を加えた後、有機層を分離し、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、酢酸エチルで結晶化することにより、2−ニコチノイル安息香酸(12.0 g)を得た。融点:176−179℃。
【0105】(2)2−ニコチノイル安息香酸(11.5 g)をエタノール(300 ml)に懸濁し、ヒドラジン1水和物(3.7 ml)加え、7時間加熱還流する。放冷後、析出した結晶をエタノールで洗浄することにより、4−ニコチノイル−1(2H)−フタラジノン (9.9g)を得た。融点:>250℃。
【0106】参考例68窒素気流下、n−ブチルリチウム(40ml、1.6Mヘキサン溶液)をテトラヒドロフラン(100ml)に滴下し、これを−78℃に冷却し、次いでジエチルアミン(914mg)のテトラヒドロフラン25ml溶液を滴下した。滴下後0℃に昇温し、30分攪拌した後、再び反応混合物を−78℃に冷却した。ここにo−トルイル酸(3.40g)のテトラヒドロフラン25ml溶液を滴下した。滴下後0℃に昇温し、30分攪拌した後、再び反応混合物を−78℃に冷却し、アセトニトリル(1.96ml)のテトラヒドロフラン25ml溶液を滴下した。滴下後、室温で一晩攪拌した。反応混合物に塩酸水溶液を加えた後に、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル 4:1〜酢酸エチルのみ)で精製し、3−メチル−1−イソキノロン(95.3mg)を得た。融点:212−215℃。
【0107】参考例69(1)4−ブロモイソキノリン(10.4g)及び塩化1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケル(II)(2.71g)のジエチルエーテル200ml溶液に、3.0M メチルマグネシウムブロミド/ジエチルエーテル溶液(33ml)を0℃で滴下し、7時間加熱還流した。反応混合物に水を加えた後、不溶物をセライトでろ去した。ろ液を酢酸エチルで抽出し、2N 塩酸水溶液を加えた。この水層に20%水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性にした後、クロロホルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル 1/1)で精製し、4−メチルイソキノリン(7.16g)を得た。MS:144(MH)。
【0108】(2)4−メチルイソキノリン(3.02g)のクロロホルム溶液50mlを0℃に冷却し、m−クロロ過安息香酸(4.0g)を加えて、室温で3時間攪拌した。その後、反応混合物をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル、次いでクロロホルム/メタノール 9/1)を用いて精製し、得られた化合物をジイソプロピルエーテルで洗浄、ろ取し、4−メチルイソキノリン N−オキシド(2.23g)を得た。融点:130−131℃。
【0109】(3)4−メチルイソキノリン N−オキシド(2.22g)のジメチルホルムアミド30ml溶液に無水トリフルオロ酢酸(3.87ml)を加え、室温で6時間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水を加え、次いで2N 塩酸水溶液を加えて水層を酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル 1/2〜0/1)で精製し、得られた化合物をエーテルで洗浄、ろ取し、4−メチル−1−イソキノロン(2.23g)を得た。融点:170−172℃。
【0110】参考例70(1)3−ブロモ−o−キシレン(14.8g)のテトラヒドロフラン300ml溶液にマグネシウム(2.92g)を加え、3.5時間加熱還流した。反応混合物を0℃に冷却後、ジメチルホルムアミド(10ml)のテトラヒドロフラン30ml溶液を滴下した。30分室温で攪拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、次いで不溶物をセライトでろ去した。ろ液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル 10/1)で精製し、2,3−ジメチルベンズアルデヒド(9.83g)を得た。MS:134(M)。
【0111】(2)2,3−ジメチルベンズアルデヒド(9.80g)、シクロヘキシルアミン(8.70g)、及びp−トルエンスルホン酸(695mg)のトルエン150ml溶液を、ディーン・スターク(Dean-Stark)装置を用いて一晩加熱還流した。反応混合物を冷却後、析出する結晶をろ去し、ろ液を減圧下濃縮して2,3−ジメチルベンズアルデヒド シクロヘキシルイミン(14.57g)を得た。融点:40−44℃。
【0112】(3)2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(5.93g)のテトラヒドロフラン100ml溶液を−15℃に冷却し、ここに1.3M s−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液(32.3ml)を加え、−15℃で15分攪拌した。更に同温下で2,3−ジメチルベンズアルデヒド シクロヘキシルイミン(4.30g)を加え、0℃で20分攪拌した後、ジメチルホルムアミド(2.71ml)を加えた。室温に昇温し、45分攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、次いで酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をエタノールに溶かし、28%アンモニア水溶液100ml及び酢酸6mlを加え、一晩加熱還流した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した後、有機層に1N塩酸水溶液150mlを加えた。この水層に10%水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性にした後、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル 4/1)で精製し、5−メチルイソキノリン(621mg)を得た。MS:144(MH)。
【0113】(4)参考例69(2)と同様の操作を行い、5−メチルイソキノリン(621mg)から、5−メチルイソキノリン N−オキシド(532.1mg)を得た。融点:114−117℃。
【0114】(5)5−メチルイソキノリン N−オキシド(521mg)に無水酢酸11mlを加えて、5時間加熱還流した。反応混合物を減圧下濃縮した後、トルエンを加え減圧下共沸留去した。濃縮残渣をエタノールに溶かし、1N水酸化ナトリウム水溶液9mlを加え、1.5時間加熱還流した。反応混合物に2N塩酸水溶液を加えて酸性にした後、クロロホルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、次いでクロロホルム/アセトン 20/1〜10/1)で精製し、得られた化合物をジエチルエーテルで洗浄、ろ取し、5−メチル−1−イソキノロン(341mg)を得た。融点:187−189℃。
【0115】参考例71(1)p−トルアルデヒド(8.41g)及びアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(7.36g)のトルエン50ml溶液を、ディーン・スターク(Dean-Stark)装置を用いて一晩加熱還流した。反応混合物を減圧下濃縮した後、トルエンを加え減圧下共沸留去した。残渣をテトラヒドロフラン50mlに溶かし、−10℃に冷やした後、塩化ギ酸エチル(6.69ml)を加え、−10℃で5分攪拌した。さらに、反応混合物を室温に昇温し、亜リン酸トリメチル(10.3ml)を加え、室温で21時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、トルエンを加え減圧下共沸留去した。残渣をジクロロメタンに溶かし0℃に冷却した後、四塩化チタン(46ml)を加え、二日間加熱還流した。20%水酸化ナトリウム水溶液を反応混合物に加え、析出した白色の不溶物をセライトでろ去した。ろ液に1N塩酸水溶液を加え、次いでジクロロメタンで洗浄した。この水層に10%水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル 1/1)で精製し、6−メチルイソキノリン(1.19g)を得た。融点:88−91℃。
【0116】(2)参考例69(2)と同様の操作を行い、6−メチルイソキノリン(888mg)から、6−メチルイソキノリン N−オキシド(887mg)を得た。融点:143−146℃。
【0117】(3)参考例70(5)と同様の操作を行い、6−メチルイソキノリン N−オキシド(887mg)から、6−メチル−1−イソキノロン(651mg)を得た。融点:186−188℃。
【0118】参考例72(1)参考例70(2)と同様の操作を行い、2,5−ジメチルベンズアルデヒド(9.80g)から、2,5−ジメチルベンズアルデヒド シクロヘキシルイミン(15.7g)を得た。融点:34−36℃。
【0119】(2)参考例70(3)と同様の操作を行い、2,5−ジメチルベンズアルデヒド シクロヘキシルイミン(4.31g)から、7−メチルイソキノリン(718mg)を得た。融点:64−67℃。
【0120】(3)参考例69(2)と同様の操作を行い、7−メチルイソキノリン(701mg)から、7−メチルイソキノリン N−オキシド(500mg)を得た。融点:84−88℃。
【0121】(4)参考例70(5)と同様の操作を行い、7−メチルイソキノリン N−オキシド(493mg)から、7−メチル−1−イソキノロン(306mg)を得た。融点:197−200℃。
【0122】参考例73(1)参考例71(1)と同様の操作を行い、o−トルアルデヒド(8.41g)から、8−メチルイソキノリン(3.59g)を得た。MS:144(MH)。
【0123】(2)参考例69(2)と同様の操作を行い、8−メチルイソキノリン(3.57g)から、8−メチルイソキノリン N−オキシド(2.60g)を得た。融点:140−143℃。
【0124】(3)参考例70(5)と同様の操作を行い、8−メチルイソキノリン N−オキシド(2.60g)から、8−メチル−1−イソキノロン(2.15g)を得た。融点:144−146℃。
【0125】参考例74(1)2−シアノメチル安息香酸メチルエステル(5.26g)のエタノール40ml溶液に2N水酸化ナトリウム水溶液(22.5ml)を加えて、室温で2時間攪拌した。反応液に6N 塩酸水溶液を加えて酸性にした後、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄、ろ取し、2−シアノメチル安息香酸(4.57g)を得た。融点:117−120℃。
【0126】(2)2−シアノメチル安息香酸(2.42g)の塩化メチレン(30ml)溶液を0℃に冷やし、5塩化リン(3.44g)を加えて、室温で一晩攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣を水、およびエーテルで洗浄、ろ取し、3−クロロ−1−イソキノロン(1.39g)を得た。融点:216−218℃。
【0127】参考例75o−フルオロけい皮酸(3.32g)に、塩化チオニル(30ml)およびジメチルホルムアミド(0.2ml)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をジオキサン(5ml)に溶かした。0℃に冷却し、アジ化ナトリウム(3.90g)の水(10ml)−ジオキサン(3ml)溶液を滴下した。反応液を室温で2時間攪拌した後、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣を塩化メチレンに溶かし、220℃に加熱したジフェニルエーテル(15ml)に滴下し、220℃で2.5時間攪拌した。反応液を室温まで冷やし、反応液をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、次いで酢酸エチル)を用いて精製した。得られた化合物をエーテルで洗浄、ろ取した後、酢酸エチルで再結晶し5−フルオロ−1−イソキノロン(389mg)を得た。融点:263−266℃。
【0128】参考例76(1)参考例71(1)と同様にして、p−クロロベンズアルデヒド(9.84g)から、6−クロロ−1−イソキノリン (373mg)を得た。融点:38−40℃。
【0129】(2)参考例69(2)と同様にして、6−クロロ−1−イソキノリン(362mg)から、6−クロロ−1−イソキノリン N−オキシド(386mg)を得た。融点:168−171℃。
【0130】(3)参考例70(5)と同様にして、6−クロロ−1−イソキノリン N−オキシド(386mg)から、6−クロロ−1−イソキノロン (285mg)を得た。融点:271−273℃。
【0131】参考例77(1)参考例71(1)と同様にして、p−フルオロベンズアルデヒド(8.69g)から、6−フルオロ−1−イソキノリン(102mg)を得た。融点:50−53℃。
【0132】(2)参考例69(2)と同様にして、6−フルオロ−1−イソキノリン(102mg)から、6−フルオロ−1−イソキノリンN−オキシド(105mg)を得た。融点:223−225℃。
【0133】(3)参考例70(5)と同様にして、6−フルオロ−1−イソキノリンN−オキシド(105mg)から、6−フルオロ−1−イソキノロン(103mg)を得た。融点:211−212℃。
【0134】参考例78参考例75と同様にして、p−クロロけい皮酸(3.14g)から、7−クロロ−1−イソキノロン(411mg)を得た。融点:256−258℃。
【0135】参考例79参考例75と同様にして、p−フルオロけい皮酸(3.32g)から、7−フルオロ−1−イソキノロン(284mg)を得た。融点:234−235℃。
【0136】参考例80参考例75と同様にして、p−トリフルオロメチルけい皮酸(4.32g)から、7−トリフルオロメチル−1−イソキノロン(456mg)を得た。融点:185−188℃。
【0137】参考例813−ホルミル−4−メトキシフェニルボロン酸(1.5 g)、6−フルオロ−4(3H)−キナゾリノン(684 mg)、酢酸銅(II)(758 mg)、ピリジン(1.7 ml)、4Aモレキュラーシーブ(2.0 g)をジクロロメタン(30 ml)に加え、室温下2日間攪拌した。反応混合物をろ過して不溶物をろ去した後、ろ液を減圧下留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、ジエチルエーテルで結晶化することにより、5−(6−フルオロ−4(3H)−キナゾリノン−3−イル)−2−メトキシベンズアルデヒド(691 mg)を得た。融点:233−234℃。
【0138】参考例82−130参考例81と同様にして、表12〜表15記載の化合物を合成した。
【0139】
【表19】


【0140】
【表20】


【0141】
【表21】


【0142】
【表22】


【0143】
【表23】


【0144】参考例1315−(6−ブロモ−4(3H)−キナゾリノン−3−イル)−2−メトキシベンズアルデヒド(1.43g)、シアン化亜鉛(935mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(460mg)をジメチルホルムアミド(15ml)に加え、窒素気流下120℃で2時間攪拌した。放冷後、反応混合物をろ過して不溶物をろ去した後、ろ液を酢酸エチルと水を加え抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去後、ジエチルエーテルで結晶化することにより、5−(6−シアノ−4(3H)−キナゾリノン−3−イル)−2−メトキシベンズアルデヒド(427mg)を得た。融点:291−292℃。
【0145】参考例132(1)2−アミノ安息香酸(5.0 g)を無水トリフルオロ酢酸(50 ml)に溶解し、18時間加熱還流する。反応混合物を減圧下留去した後、190℃で2時間攪拌する。放冷後、反応混合物を酢酸エチル、飽和重曹水の混合溶媒中に注いだ後、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製することにより、2−トリフルオロメチル−4H−3,1−ベンゾ[d]オキサジン−4−オン(7.5 g)を得た。融点:51−53℃。
【0146】(2)2−トリフルオロメチル−4H−3,1−ベンゾ[d]オキサジン−4−オン(4.3g)、4−メトキシアニリン(2.7 g)、亜リン酸トリフェニル(5.8 ml)をピリジン(25 ml)に溶解し、110℃で22時間攪拌する。放冷後、溶媒を減圧下留去する。残渣に酢酸エチル、クエン酸水溶液を加えた後、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、ジエチルエーテルで結晶化することにより、2−トリフルオロメチル−3−(4−メトキシフェニル)−4(3H)−キナゾリノン(4.0 g)を得た。融点:159−160℃。
【0147】(3)2−トリフルオロメチル−3−(4−メトキシフェニル)−4(3H)−キナゾリノン(2.0 g)をトリフルオロ酢酸(20 ml)に溶解し、氷冷下ヘキサメチレンテトラミン(8.8g)を加え2日間加熱還流する。放冷後、反応混合物を減圧下濃縮する。残渣に酢酸エチル、飽和重曹水を加えた後、有機層を分離、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を減圧下留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、ジエチルエーテルで結晶化することにより、5−(2−トリフルオロメチル−4(3H)−キナゾリノン−3−イル)−2−メトキシベンズアルデヒド(439 mg)を得た。融点:211−213℃。
【0148】
【発明の効果】本発明の有効成分である化合物は、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有する。また、本発明の有効成分である化合物は、吸収性、脳内移行性、代謝安定性、血中濃度、持続性等の点で優れ、このため優れた薬効を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(I)
【化1】


(式中、R1は、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する縮合複素芳香環式基であって、当該縮合複素芳香環式基は、ハロゲン原子、オキソ基、ニトロ基、シアノ基、低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、低級アルコキシ基、モルホリニル基またはピリジル基で置換された低級アルコキシ基、或いはピリジル基から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、さらに、当該縮合複素芳香環式基に含まれる硫黄原子は酸化されていてもよく、R2は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、または低級アルコキシ基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、または低級アルコキシ基を表す。)で示されるベンジルアミン誘導体またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項2】 ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する縮合複素芳香環式基が以下の基から選ばれる基である請求項1記載の医薬組成物:インドリル基、イソインドリル基、キノキサリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、フェナントリジニル基、ベンゾキナゾリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基、ベンゾイミダゾリル基およびクロメニル基。
【請求項3】 R1がキノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基またはキノキサリニル基(当該キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基またはキノキサリニル基は、オキソ基、ハロゲン原子、低級アルキル基、ニトロ基、低級アルコキシ基、シアノ基およびトリフルオロメチル基から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよい)、R2およびR3が水素原子である請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】 R1がキノリル基、キノロニル基、イソキノロニル基またはキナゾリノニル基(当該キノリル基、キノロニル基、イソキノロニル基またはキナゾリノニル基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ニトロ基、低級アルコキシ基、シアノ基およびトリフルオロメチル基から選ばれる1〜2個の基で置換されていてもよい)である請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】 R1がハロゲン原子、低級アルキル基またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよいイソキノロニル基;またはハロゲン原子、低級アルキル基またはニトロ基で置換されていてもよいキナゾリノニル基である請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】 R1がハロゲン原子または低級アルキル基で置換されていてもよい1−イソキノロン−2−イル基;またはハロゲン原子または低級アルキル基で置換されていてもよい4(3H)−キナゾリノン−3−イル基である請求項4記載の医薬組成物。
【請求項7】 タキキニン受容体拮抗剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】 炎症、アレルギー性疾患、疼痛、偏頭痛、神経痛、掻痒、咳、中枢神経系疾患、消化器疾患、悪心、嘔吐、排尿異常、循環器疾患及び免疫異常から選ばれる疾患の予防・治療剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】 疾患が中枢神経系疾患、嘔吐または排尿異常である請求項8項記載の医薬組成物。
【請求項10】 治療有効量の請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することからなる、炎症、アレルギー性疾患、疼痛、偏頭痛、神経痛、掻痒、咳、中枢神経系疾患、消化器疾患、悪心、嘔吐、排尿異常、循環器疾患及び免疫異常から選ばれる疾患の予防・治療方法。
【請求項11】 疾患が、中枢神経系疾患、嘔吐または排尿異常である請求項10記載の方法。

【公開番号】特開2003−277263(P2003−277263A)
【公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−82305(P2002−82305)
【出願日】平成14年3月25日(2002.3.25)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】