説明

医薬組成物

【課題】本発明は、心房細動等の心不整脈の予防または治療に有用なIKur遮断薬を提供する。
【解決手段】式:


(式中、環Xはベンゼンまたはピリジンを示す。Rは置換アルキルを示す。Rは置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基を示す。Rは水素またはアルキルを示す。Rは水素、ハロゲンまたはアルキルを示す。Rは水素またはアルキルを示す。RおよびRは、同一または異なって、それぞれ水素またはハロゲンを示す。)
により表される化合物またはその製薬上許容しうる塩からなる医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心房細動などの予防または治療に有用なIKur遮断作用を有する医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動は心房が不規則かつ高頻度に興奮することにより、心房の補助ポンプとしてのまとまった収縮や拡張がなくなる臨床において最も一般的な不整脈の一つであり、特に加齢とともに罹患率が増加する。心房細動は致死的な不整脈ではないが、心機能を悪化させ、うっ血性心不全、血栓塞栓症、心室細動などの合併症を引き起こすことも知られている。
【0003】
これまで上市された抗不整脈剤は、心室性不整脈及び心房または上室性不整脈の治療薬として開発されたものである。悪性心室性不整脈は直ちに生命を脅かすものであるため緊急治療が必要であり、心室性不整脈の薬剤治療にはクラスIa(プロカインアミド、キニジンなど)、クラスIc(フレカイニド、プロパフェノンなど)、クラスIII(ドフェチリド、アミオダロンなど)の薬剤が使用されている。また、これらのクラスI及びクラスIIIの薬剤は心房細動の再発を予防することが報告されているが(非特許文献1)、致死の可能性を持つ心室性催不整脈作用を有するため、死亡率を増大させる可能性がある(非特許文献2〜4)。
【0004】
心房細動では心臓の活動電位持続時間(APD)が短縮しているため、理論的には、APDを延長させる薬剤は心房細動治療薬と成り得る。心臓のAPDの延長は、内向き電流(すなわち、NaまたはCa2+電流、以下、それぞれINaおよびICaと呼ぶ。)を増加させることにより、または外向き再分極カリウムK電流を減少させることにより生じる。遅延整流(delayed rectifier)(I)K電流は、活動電位の再分極プロセスに含まれる主な外向き電流であるが、一過性外向き電流(Ito)および内向き整流(IK1)K電流が、それぞれ再分極の初期および終末相に係わる。細胞電気生理学的研究では、Iは二つの薬理学的および速度論的に異なるK電流サブタイプ、すなわちIKr(迅速活性化)およびIKs(遅延活性化)からなる(非特許文献5)。
【0005】
クラスIIIの抗不整脈剤であるドフェチリドは、ヒトの心房及び心室に存在するIの急速な活性化成分であるIKrを遮断することによって抗不整脈作用を示す(非特許文献1)。IKr遮断剤は、伝導そのものに影響を与えずに心房と心室の両方でAPDと不応期を延長させるため、理論的には、心房細動のような不整脈の治療に有用な薬剤となる可能性を有する(非特許文献4)。しかし、この薬剤は催不整脈作用を有し、多形性心室頻拍(torsades de pointes)の発現が認められることが報告されている(非特許文献6)。
【0006】
一方、アミオダロンは、クラスIII特性を有することが報告されているが(非特許文献7、8)、複数のイオンチャネルに対する作用を有し、選択的なクラスIII薬剤ではないため、その副作用の点から使用は厳しく制限されている(非特許文献9〜11)。したがって、アミオダロンやドフェチリドなど現在利用できる薬剤は、致死の可能性を持つ心室性催不整脈作用などの重大な副作用を有するため、優れた効能を示し、安全性の高い薬剤が切望されている。
【0007】
近年、ヒト心房筋細胞で、持続性外向き電流である超急速活性化遅延整流K電流(IKur)が確認された。IKurはヒトの心室にはなく、心房に特異的に存在する。ヒト心房におけるIKurの分子相関は、Kv1.5と名付けられたカリウムチャネルであり、Kv1.5 mRNA(非特許文献12)及びタンパク質(非特許文献13)が、ヒト心房組織で検出されている。IKurはその急速な活性化と、遅い不活性化により、ヒト心房における再分極に大きく貢献するものと考えられている。したがって、IKur遮断作用を有する化合物は、心室再分極の遅延を来たさずに心室における不応期を延長することなく、心房における不応性を延長するため、現在のクラスIII薬剤で見られる脱分極後の不整脈惹起性QT延長症候群等の副作用の問題を解決できると考えられる(非特許文献14、15)。
【0008】
一方、リエントリー(興奮旋回)がヒトにおける上室性不整脈の原因となる顕著な機構であることが示されている(非特許文献16)。すなわち、心房内の種々の場所で興奮旋回が無秩序に生じ、一回の刺激で何度も電気的興奮を繰り返すことにより心房細動を発生させる。したがって、心臓のAPDの延長による心筋不応性の増加は、リエントリー不整脈を予防および/または停止させる。また、心臓のAPDは、再分極相に関わるカリウム電流IKr、IKs、IKurと、一過性外向き電流Itoの貢献度によって決まるため、これらの電流のいずれかに作用する遮断剤は、活動電位持続時間を延長させ、抗不整脈効果をもたらすことが期待される。
【0009】
また、特許文献1には、SGK−1阻害剤として有用なインダゾール誘導体が記載されているが、当該特許文献にはIKur遮断作用については何ら開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO 2005/011681
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Circulation, 102:2665-2670
【非特許文献2】Am. J. Cardiol., 65:20B-29B, 1990
【非特許文献3】Lancet, 348:7-12, 1996
【非特許文献4】Expert Opin. Invest. Drugs, 9:2695-2704, 2000
【非特許文献5】J. Gen. Physiol. 1990, 96:195-215
【非特許文献6】Am. J. Cardiol., 72:44B-49B, 1993
【非特許文献7】Br. J. Pharmacol., 39:675-689, 1970
【非特許文献8】Br. J. Pharmacol., 39:657-667, 1970
【非特許文献9】J. Am. Coll. Cardiol., 20:1063-1065, 1992
【非特許文献10】Circulation, 104:2118-2150, 2001
【非特許文献11】A. Curr. Opin. Pharmacol. 2:154-159, 2002
【非特許文献12】Basic Res. Cardiol., 97:424-433, 2002
【非特許文献13】J. Clin. Invest., 96:282-292, 1995
【非特許文献14】J. Med. Chem., 46:486-498, 2003
【非特許文献15】Naunyn-Schmedieberg's Arch. Pharmacol., 366:482-287, 2002
【非特許文献16】Nature, 415:219-226, 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、副作用が少ない優れたIKur遮断作用を有し、心房細動などの予防または治療に有用な医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために本発明者等は鋭意研究の結果、下式により表される化合物を有効成分とする医薬が優れたIKur遮断作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.式(1):
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、環Xはベンゼンまたはピリジンを示す。
は置換アルキルを示す。
は置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基を示す。
は水素またはアルキルを示す。
は水素、ハロゲンまたはアルキルを示す。
は水素またはアルキルを示す。
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素またはハロゲンを示す。)
により表される化合物またはその製薬上許容しうる塩。
2.式(1−a):
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、環Xはベンゼンまたはピリジンを示す。
は置換アルキルを示す。
は置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基を示す。
は水素またはアルキルを示す。
は水素、ハロゲンまたはアルキルを示す。
は水素またはアルキルを示す。
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素またはハロゲンを示す。)
により表される化合物またはその製薬上許容しうる塩。
3.Rが水酸基、置換されていてもよいアミノ、アルキルスルホニル、アルコキシ、置換されていてもよい複素環式基、置換されていてもよいウレイド、置換されていてもよいカルバモイルオキシおよび置換されていてもよい複素環式基置換カルボニルオキシから選ばれる1または2個の基により置換されたアルキルである前記1または2に記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩。
4.Rが置換されていてもよいベンゼンである前記1〜3のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩。
5.RおよびRが水素である前記1〜4のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩。
6.Rが水素であり、Rがアルキルである前記1〜4のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩。
7.Rがアルキルであり、Rが水素である前記1〜4のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩。
8.Rが水素であり、Rがハロゲンである前記1〜4のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩。
9.RおよびRが水素である前記1〜8のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩。
10.前記1〜9のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩からなる医薬。
11.前記1〜9のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩を有効成分として含有するIKur遮断薬。
12.前記1〜9のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩を有効成分として含有する心不整脈の予防または治療剤、あるいはそれを患者に投与することによる該疾患の治療方法。
13.前記1〜9のいずれかに記載の化合物またはその製薬上許容しうる塩を有効成分として含有する心房細動の予防または治療剤、あるいはそれを患者に投与することによる該疾患の治療方法。
【0019】
以下、本明細書における各記号で表される基について説明する。なお、本明細書において使用される略号は、それぞれ以下の意味を表す。
【0020】
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMA:ジメチルアセタミド
DME:1,2−ジメトキシエタン
LDA:リチウムジイソプロピルアミド
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
DBN:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
WSC:1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
Ac:アセチル
Me:メチル
Et:エチル
Pr:n−プロピル
Pr:イソプロピル
t−Bu:t−ブチル
Boc:t−ブトキシカルボニル
Cbz:カルボベンゾキシ
Bn:ベンジル
Ph:フェニル
PMB:p−メトキシベンジル
「アルキル」としては、例えば、直鎖または分枝鎖状のC1〜C6アルキルなどがあげられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどがあげられる。
【0021】
「アリール」としては、例えば、3〜15員の単環式、二環式または三環式の芳香族炭素環式基などがあげられ、具体例としては、例えば、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アンスリルなどがあげられる。
【0022】
「複素環式基」としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する3〜15員の単環式または二環式の不飽和複素環式基、およびその全部または一部が飽和されている複素環式基などがあげられる。
【0023】
当該不飽和複素環式基およびその全部または一部が飽和されている複素環式基の具体例としては、例えば、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、フリル、ピラニル、オキセピニル、チエニル、チアピラニル、チエピニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、オキサジニル、オキサジアジニル、オキサゼピニル、オキサジアゼピニル、チアジアゾリル、チアジニル、チアジアジニル、チアゼピニル、チアジアゼピニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロアゼピニル、テトラヒドロアゼピニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ジヒドロジアゼピニル、テトラヒドロジアゼピニル、ジヒドロオキサゼピニル、テトラヒドロオキサゼピニル、ヘキサヒドロオキサゼピニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチアピラニル、テトラヒドロチアピラニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、ホモピペリジルなどがあげられる。
【0024】
「脂環式複素環式基」としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1または2個のヘテロ原子を含有する5〜7員の単環式飽和複素環式基などがあげられ、具体的には、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジル、テトラヒドロオキサジニルなどがあげられる。
【0025】
「アルコキシカルボニル」としては、例えば、直鎖または分枝鎖状のC2〜C7アルコキシカルボニルなどがあげられ、具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなどがあげられる。このうち、C2〜C5のアルコキシカルボニルが好ましい。
【0026】
「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。このうち、塩素、フッ素が好ましい。
【0027】
「アルコキシ」としては、例えば、直鎖または分枝鎖状のC1〜C6アルコキシなどがあげられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどがあげられる。このうち、C1〜C4のアルコキシが好ましい。
【0028】
「シクロアルキル」としては、例えば、C3〜C8シクロアルキルなどがあげられ、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどがあげられる。このうち、C3〜C6のシクロアルキルが好ましい。
【0029】
「アルキルスルホニル」および「アルキルスルホニルアミノ」におけるアルキルスルホニルとしては、例えば、直鎖または分枝鎖状のC1〜C6アルキルスルホニルなどがあげられ、具体的には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニルなどがあげられる。このうち、C1〜C4アルキルスルホニルが好ましい。
【0030】
「アリールスルホニル」としては、例えば、6〜15員の単環式または二環式の芳香族炭素環式基置換スルホニルなどがあげられ、具体的には、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニルなどがあげられる。
【0031】
「アルカノイル」としては、例えば、直鎖または分枝鎖状のC1〜C6アルカノイルなどがあげられ、具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイルなどがあげられる。このうち、C1〜C4アルカノイルが好ましい。
【0032】
「アラルキル」としては、例えば、直鎖または分枝鎖状のC1〜C6アルキル、好ましくはC1〜C4アルキルにアリール(好ましくはベンゼン、ナフタレン)が置換したものがあげられ、具体的には、ベンジル、ナフチルメチル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピルなどがあげられる。
【0033】
「ハロアルキル」としては、例えば、直鎖または分枝鎖状のC1〜C6アルキル、好ましくは、C1〜C4アルキルに1〜6個のハロゲンが置換したものなどがあげられ、具体的には、フルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルなどがあげられる。
【0034】
「ヒドロキシアルキル」としては、例えば、直鎖または分枝鎖状のC1〜C6アルキル、好ましくは、C1〜C4アルキルに1〜3個の水酸基が置換したものなどがあげられ、具体的には、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルなどがあげられる。
【0035】
における「置換アルキル」の置換基としては、例えば、
(1)水酸基、
(2)置換されていてもよいアミノ、
(3)アルキルスルホニル、
(4)アリールスルホニル、
(5)シアノ、
(6)アルコキシ、
(7)置換されていてもよい複素環式基、
(8)置換されていてもよいシクロアルキル、
(9)置換されていてもよいウレイド、
(10)置換されていてもよいカルバモイル、
(11)置換されていてもよいカルバモイルオキシ、
(12)複素環式基置換カルボニル、
(13)置換されていてもよい複素環式基置換カルボニルオキシ、
(14)置換されていてもよいアミノスルホニル、
(15)アルコキシカルボニル、
(16)カルボキシ
などがあげられ、これら同一または異なる置換基を1〜3個有していてもよい。
【0036】
上記「置換アルキル」の置換基のうち、「置換されていてもよいアミノ」における置換基としては、例えば、以下の(A)〜(K)から選ばれる1または2個の基があげられる。
(A)アルコキシで置換されていてもよいアルキル、
(B)a群から選ばれる1または2個の基で置換されていてもよいアルカノイル、
(C)アルカノイルアミノ、
(D)b群から選ばれる1または2個の基で置換されていてもよいアルコキシカルボニル、
(E)c群から選ばれる1または2個の基で置換されていてもよいアルキルスルホニル、
(F)d群から選ばれる1または2個の基で置換されていてもよい複素環式基置換スルホニル、
(G)アリールカルボニル、
(H)アラルキルカルボニル、
(I)アルキルでモノもしくはジ置換されていてもよいアミノスルホニル、
(J)水酸基またはシアノで置換されていてもよいシクロアルキルカルボニル、または
(K)アルキルでモノもしくはジ置換されていてもよいカルバモイルカルボニル
などがあげられる。
a群
(a)アルコキシ、
(b)シアノ、
(c)ハロゲン、シアノ、水酸基、アルコキシカルボニル、ならびにハロゲンおよびアルコキシから選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいアルキルから選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよい複素環式基、
(d)以下の(i)〜(iii)から選ばれる1または2個の基で置換されていてもよいアミノ、
(i)アルコキシ、シアノおよびアルキルスルホニル、ならびにアルキルスルホニルおよびアルキルから選ばれる1または2個の基で置換されていてもよいアミノから選ばれる基で置換されていてもよいアルキル、
(ii)アルコキシカルボニル、および
(iii)アルコキシ、シアノおよびアルキルでモノまたはジ置換されていてもよいアミノから選ばれる基で置換されていてもよいアルカノイル
(e)アルキルスルホニル、
(f)水酸基、および
(g)ハロゲン
b群
(a)アルコキシ、および
(b)水酸基
c群
(a)アルコキシ、および
(b)水酸基
d群
(a)水酸基、
(b)アルキル、
(c)ハロアルキル、および
(d)アルコキシカルボニル
上記「置換アルキル」の置換基のうち、「置換されていてもよい複素環式基」における置換基としては、例えば、(A)オキソ、(B)アルコキシカルボニル、(C)シアノで置換されていてもよいアルカノイル、(D)水酸基で置換されていてもよいアルキル、(E)アルキルスルホニルアミノ、(F)アルキルスルホニル、(G)複素環式基置換カルボニル、(H)アルキルでモノもしくはジ置換されていてもよいアミノスルホニル、(I)アルキルでモノもしくはジ置換されていてもよいカルバモイルまたは(J)ハロゲンなどがあげられ、同一または異なる1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0037】
上記「置換アルキル」の置換基のうち、「置換されていてもよいシクロアルキル」における置換基としては、例えば、(A)アルコキシまたは(B)水酸基などがあげられ、同一または異なる1〜2個の基で置換されていてもよい。
【0038】
上記「置換アルキル」の置換基のうち、「置換されていてもよいウレイド」における置換基としては、例えば、アルコキシおよび水酸基から選ばれる基で置換されていてもよいアルキルなどがあげられ、同一または異なる1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0039】
上記「置換アルキル」の置換基のうち、「置換されていてもよいカルバモイル」における置換基としては、例えば、同一または異なる1〜2個のアルキルなどがあげられる。
【0040】
上記「置換アルキル」の置換基のうち、「置換されていてもよいカルバモイルオキシ」における置換基としては、例えば、
(A)複素環式基、
(B)(a)アルコキシ、(b)水酸基、(c)シアノ、(d)同一または異なる1または2個のアルキルで置換されていてもよいカルバモイル、から選ばれる同一または異なる1または2個の基で置換されていてもよいアルキル
などがあげられる。
【0041】
上記「置換アルキル」の置換基のうち、「置換されていてもよい複素環式基置換カルボニルオキシ」における置換基としては、例えば、(A)水酸基、(B)アルキル、(C)ヒドロキシアルキル、(D)アルカノイルなどがあげられる。
【0042】
上記「置換アルキル」の置換基のうち、「置換されていてもよいアミノスルホニル」における置換基としては、例えば、水酸基で置換されていてもよいアルキルなどがあげられ、同一または異なる1〜2個の基で置換されていてもよい。
【0043】
における「置換されていてもよいアリール」および「置換されていてもよい複素環式基」の置換基としては、それぞれ、例えば、
(1)置換されていてもよいアルキル、
(2)置換されていてもよいアルコキシ、
(3)ハロゲン、
(4)複素環式基、または
(5)アルキルでモノまたはジ置換されていてもよいアミノ
(6)水酸基
などがあげられ、これら同一または異なる置換基を1〜3個有していてもよい。
【0044】
上記Rの置換基のうち、「置換されていてもよいアルキル」における置換基としては、例えば、(A)ハロゲン、(B)アルコキシカルボニルなどがあげられ、同一または異なる1または2個の基で置換されていてもよい。
【0045】
上記Rの置換基のうち、「置換されていてもよいアルコキシ」における置換基としては、例えば、1〜3個のハロゲンなどがあげられる。
【0046】
としては、置換されていてもよいアリールが好ましく、特に置換されていてもよいフェニルが好ましい。Rが置換フェニルである場合は、少なくとも1つの置換基がメタ位に置換されたものが好ましい。当該置換基としては、置換されていてもよいアルコキシが好ましく、C1〜C4アルコキシがより好ましく、とりわけメトキシが好ましい。
【0047】
の置換基である「複素環式基」、ならびに「複素環式基置換カルボニル」および「複素環式基置換カルボニルオキシ」における複素環式基としては、好ましくは4〜7員の単環式複素環式基があげられ、具体的には、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピペリジル、ホモピペラジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘキサヒドロオキサゼピニル、アゼチジニル、ピリジル、ピリミジル、チアゾール、ピラゾール、テトラヒドロピランなどがあげられる。
【0048】
の置換基である「置換されていてもよいアミノ」および「置換されていてもよいカルバモイルオキシ」における置換基である「複素環式基」ならびに「複素環式基置換スルホニル」および「複素環式基置換カルボニル」における複素環式基としては、好ましくは上記複素環式基があげられる。
【0049】
の「複素環式基」としては、好ましくは4〜7員の単環式複素環式基または当該複素環式基とベンゼン環が縮合したものなどがあげられ、具体的には、ピリジル、ピリミジル、インドリル、キノリル、2,3−ジヒドロインドリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリルなどがあげられる。
【0050】
の置換基である「複素環式基」としては、好ましくは4〜7員の単環式複素環式基などがあげられ、具体的には、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリン、チオモルホリンなどがあげられる。
【0051】
がハロゲンである場合はフッ素が好ましく、特にRがフッ素であり、かつ、Rが水素である組み合わせが好ましい。
【0052】
としては、特に水素が好ましい。
【0053】
本発明の有効成分化合物の製薬上許容しうる塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。また、カルボキシ等の酸性基を有する場合には塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン塩等の有機塩基塩、リジン塩等のアミノ酸塩等)も挙げられる。
【0054】
本発明の有効成分化合物またはその製薬上許容しうる塩には、その分子内塩、その水和物等の溶媒和物のいずれもが含まれる。
【0055】
本発明の有効成分化合物(1)には不斉炭素に基づく光学異性体が存在しうるが、本発明の有効成分化合物(1)は、それらいずれの異性体およびそれらの混合物をも包含する。さらに、本発明の有効成分化合物(1)に二重結合あるいはシクロアルカンジイルを有する場合は、シス体、トランス体が存在し、本発明の有効成分化合物(1)にはカルボニルなどの不飽和結合に基づく互変異性体が存在しうるが、本発明の有効成分化合物(1)は、それらいずれの異性体およびそれらの混合物をも包含する。
【0056】
本発明の有効成分化合物(1)は、以下の方法により製造することができる。なお、特に言及しない限り、化合物(1−a)を用いて以下の方法を説明するが、対応する原料化合物を用いることにより、化合物(1)が調製される。
方法1:化合物(1−a)は、以下の方法により調製される。
【0057】
【化3】

【0058】
(式中、Halは臭素、ヨウ素などのハロゲンを示し、他の記号は前記と同義である。)
化合物(3)は、例えば、Tetrahedron 55 (1999) 6917-6922に記載の方法に準じて調製される。すなわち、化合物(2)を溶媒(DMF、DMSOなど)中、アルカリ(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなど)または有機塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下で、氷冷下から室温で30分〜5時間、ハロゲン(臭素、ヨウ素など)と反応させることにより、化合物(3)が得られる。
【0059】
化合物(1−a)は、例えば、Tetrahedron Lett. 41 (2000) 4363-4366およびJournal of the American Chemical Society, 1968, 90, 5518-5526に記載の方法に準じて調製される。すなわち、化合物(3)と化合物(4)とを、溶媒(DMF、DMSO、ジオキサン、THF、ジエチルエーテル、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロパノールなど)中、触媒(酢酸パラジウム−トリフェニルホスフィン、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)など)および塩基(トリエチルアミン、テトラブチルアンモニウムヨーダイドなど)の存在下で反応させることにより、化合物(1−a)が得られる。
方法2:化合物(1−a)は、以下の方法によっても調製される。
【0060】
【化4】

【0061】
(式中、Rはアルキルを示し、他の記号は前記と同義である。)
化合物(3)と化合物(5)との反応は、方法1と同様に実施することができる。
【0062】
化合物(6)を溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジオキサン、THF、ジエチルエーテルなど)中または無溶媒で、酸(塩酸、硫酸など)の水溶液または塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)の水溶液と処理することにより、化合物(7)が得られる。
【0063】
化合物(7)を溶媒(ジオキサン、THF、ジエチルエーテルなど)中、ハロゲン化剤(N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミドなど)およびトリフェニルホスフィンおよび塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリンなど)と処理した後、同温度条件下で、化合物(8)と1〜12時間反応させることにより、化合物(1−a)が得られる。
方法3:化合物(1−a)は、以下の方法によっても調製される。
【0064】
【化5】

【0065】
(式中、Rはアルキルまたはアリールを示し、他の記号は前記と同義である。)
化合物(9)を溶媒(ジオキサン、THF、ジエチルエーテルなど)中、室温から溶媒の還流温度で1〜12時間、化合物(10−A)と反応させることにより、化合物(1−a)が得られる。
【0066】
また、化合物(9)を溶媒(ジオキサン、THF、ジエチルエーテルなど)中、塩基(水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド、n−ブチルリチウムなど)の存在下、室温から溶媒の還流温度で1〜12時間、化合物(10−B)と反応させることにより、化合物(1−a)が得られる。
方法4:化合物(6)は、以下の方法によっても調製される。
【0067】
【化6】

【0068】
(式中、Rはアルキルまたはアリールを示し、RおよびRはそれぞれアルキルを示し、Qは水素、−B(OH)、−B(OR)(OR)または−Sn(Rを示し、RおよびRはそれぞれアルキルを示すか、またはRおよびRが結合して直鎖または分枝鎖状のアルキレンを形成する基を示し、Rはアルキルを示し、他の記号は前記と同義である。)
化合物(9)は、以下の方法(1)〜(3)により調製される。
(1)化合物(3)を化合物(14)と溶媒(DME、THF、1,4−ジオキサン、DMF、DMA、トルエン、ベンゼン、水またはこれらの混合物など)中、パラジウム触媒〔テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、パラジウム(II)アセテート等のパラジウム触媒〕の存在下、室温から溶媒の還流温度で1時間〜3日間反応させた後、酸(塩酸、硫酸など)と処理することにより、Rがメチルである化合物(9)が得られる。
【0069】
なお、Qが−B(OH)または−B(OR)(OR)である化合物(14)を用いる場合は、塩基を加えるのが好ましい。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、リン酸アルカリ金属、フッ化アルカリ金属等の無機塩基や、トリエチルアミン等の有機塩基などを用いることができる。
【0070】
Qが水素である化合物(14)を用いる場合は、配位子及び塩または塩基を加えるのが好ましい。配位子としては、例えば1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、メチルジフェニルホスフィン等を、塩または塩基としては、例えば硝酸銀、酢酸タリウム等の金属塩や、トリエチルアミン等の有機塩基などを用いることができる。
(2)化合物(11)、または化合物(11)と化合物(12)とを常法により縮合剤(DCC、WSCなど)などを用いて縮合させることにより得られる化合物(13)を、溶媒(ジオキサン、THF、ジエチルエーテルなど)中、0〜100℃で1〜24時間、還元剤(水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなど)で還元することにより、Rが水素である化合物(9)が得られる。
(3)化合物(13)を溶媒(ジオキサン、THF、ジエチルエーテルなど)中、氷冷下から室温で1〜12時間、RMgHal(式中、各記号は前記と同義である。)と反応させることにより、Rがアルキルである化合物(9)が得られる。
【0071】
化合物(9)と化合物(10−C)または化合物(10−D)との反応は、方法3と同様に実施することができる。
方法5:Rがアルキルであり、Rが水素である化合物(7)は、以下の方法によっても調製される。
【0072】
【化7】

【0073】
(式中、R4aはアルキルを示し、Halは塩素または臭素を示し、他の記号は前記と同義である。)
化合物(3)と化合物(15)を溶媒(DMSO、DMF、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、トルエンなど)中、ヨウ化第一銅および塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下で、パラジウム触媒(ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、酢酸パラジウム、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウムなど)と0℃〜100℃で1〜24時間処理することにより、化合物(16)が得られる。
【0074】
化合物(16)を溶媒(THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなど)中、一価銅塩(ヨウ化第一銅、臭化第一銅、シアノ第一銅など)の存在下、化合物(17−a)または化合物(17−b)と−78℃〜室温で1〜24時間反応させることにより、化合物(18)が得られる。
【0075】
化合物(18)を溶媒(メタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリルなど)中、塩基(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、DBUなど)と、室温から溶媒の還流温度で1〜12時間処理することにより、化合物(19)が得られる。
【0076】
化合物(19)の加水分解反応は、方法2と同様に実施することができる。
方法6:Rがハロゲンであり、Rが水素である化合物(7)は、以下の方法によっても調製される。
【0077】
【化8】

【0078】
(式中、R4bはハロゲンを示し、他の記号は前記と同義である。)
化合物(16)を溶媒(DMSO、DMFなど)中、ハロゲン化セシウムまたはハロゲン化水素と、室温から溶媒の還流温度で1〜48時間処理することにより、化合物(20)が得られる。
【0079】
なお、本反応は、必要に応じて塩基(フッ化水素カリウム、フッ化水素ナトリウムなど)および水の存在下で実施することができる。
【0080】
化合物(20)の加水分解反応は、方法2と同様に実施することができる。
方法7:
方法1において、化合物(4)に代えて、下記化合物(4’):
【0081】
【化9】

【0082】
を用いることにより、化合物(1−b):
【0083】
【化10】

【0084】
が調製される。
【0085】
また、上記と同様に対応する原料化合物を用いて、方法2または方法3と同様に反応・処理することにより、化合物(1−b)を調製することもできる。
方法8:Rが水素であり、式:
【0086】
【化11】

【0087】
が式:
【0088】
【化12】

【0089】
である化合物(2)は、以下の方法により調製される。
【0090】
【化13】

【0091】
(式中、各記号は前記と同義である。)
化合物(22)は、Chem. Pharm. Bull., 50(8), 1066 (2002)に記載の方法に準じて調製される。すなわち、化合物(21)を溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)中、−78℃から室温で1〜24時間、還元剤(水素化ジイソブチルアルミニウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなど)で還元することにより、化合物(22)が得られる。
【0092】
化合物(2−a)は、Chemical Communications 293-294 (1966)に記載の方法に準じて調製される。すなわち、化合物(22)を必要に応じて溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)中、触媒(p−トルエンスルホン酸など)の存在下、ヒドラジンまたはその水和物と、室温から加熱下で1〜48時間反応させることにより、化合物(2−a)が得られる。
方法9:上記方法において、本発明の有効成分化合物、中間体化合物、原料化合物等に官能基(水酸基、アミノ、カルボキシ等)を有する場合は、Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis" 3rd. ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999に記載の方法に準じて、有機合成化学において通常用いる保護基で保護し、反応後、当該保護基を除去することにより、目的とする化合物を得ることができる。保護基としては、同書に記載された有機合成化学において通常用いる保護基があげられ、例えば、水酸基の保護基としては、例えばテトラヒドロピラニル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ベンジル、4−メトキシベンジル、メトキシメチル、アセチル等が挙げられ、アミノの保護基としては、例えばt−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、4−メトキシベンジル、2−ニトロベンゼンスルホニル、2,4−ジニトロベンゼンスルホニル等が挙げられ、カルボキシの保護基としては、例えばメチル、エチル、t−ブチル等のアルキル、ベンジル等が挙げられる。
【0093】
また、上記方法に従って本発明の有効成分化合物、中間体化合物を製造した後、官能基を常法に従って変換または修飾することもできる。具体的には以下の方法が挙げられる。
(1)アミノのアミドへの変換
アミノをアシルハライドと反応させるか、カルボキシを縮合剤存在下でアミンと反応させることにより、対応するアミドに変換することができる。
(2)カルボキシまたはそのエステルのカルバモイルへの変換
カルボキシまたはその塩をアシルハライドに変換した後アミンと反応させるか、カルボキシまたはその塩に縮合剤の存在下でアミンを反応させるか、あるいはそのエステルにアミンを反応させることにより、対応するカルバモイルに変換することができる。
(3)エステルの加水分解
エステルを水酸化アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)または酸(塩酸、硫酸等)で加水分解する、あるいは金属触媒を用いて水素添加することにより、対応するカルボキシまたはその塩に変換することができる。
(4)N−アルキル化、N−フェニル化
アミノをアルキルハライドまたはフェニルハライドと反応させることにより、対応するモノまたはジアルキル置換アミノまたはフェニル置換アミノに変換することができる。また、アミノを還元的アミノ化反応に付することにより、対応するモノまたはジアルキル置換アミノに変換することができる。
(5)N−スルホニル化
アミノをアルキルスルホニルハライドまたはフェニルスルホニルハライドと反応させることにより、対応するアルキルスルホニルアミノまたはフェニルスルホニルアミノに変換することができる。
(6)アミノのウレイドへの変換
アミノをアルキルイソシアネートと反応させるか、あるいはアミノをカルバモイルハライドと反応させることにより、アルキルウレイドに変換することができる。また、アミノをイソシアネート、あるいはカルバモイルハライド、あるいはカルバメートにした後、アミンと反応させることにより、ウレイドに変換することもできる。
(7)アミノのカルバメートへの変換
アミノをハロ炭酸アルキル(クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチルなど)と反応させるか、あるいはアミノをイソシアネートにした後、アルコールと反応させることにより、カルバメートに変換することができる。
(8)アミノの3−アミノプロピオニル、2−アミノエチルスルホニルへの変換
アミノを2,3−不飽和カルボニル化合物あるいはビニルスルホニル化合物とマイケル反応に付すことにより、対応する3−アミノプロピオニルあるいは2−アミノエチルスルホニルに変換することができる。
(9)芳香族ニトロの芳香族アミンへの変換
芳香族ニトロを、常法により、還元剤〔例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウムリチウム等の金属還元試薬、金属(鉄、亜鉛、スズ、塩化スズ(II)、チタン、三塩化チタン等)による還元、遷移金属(パラジウム−炭素、白金、ラネーニッケル等)を用いた接触還元〕と処理することにより、芳香族アミンへ変換することができる。なお、接触還元を行う場合、水素源としてギ酸アンモニウム、ヒドラジン等を使用することもできる。
【0094】
また、上記の製造において、製造される本発明の有効成分化合物および各中間体は、通常の方法、例えばクロマトグラフィー、再結晶等で精製することができる。再結晶溶媒としては例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF等のエーテル溶媒、酢酸エチル等のエステル溶媒、トルエン等の芳香族溶媒、アセトン等のケトン溶媒、ヘキサン等の炭化水素溶媒、水等またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。また、本発明の有効成分化合物は常法に従って製薬上許容される塩にすることができ、その後再結晶等を行うこともできる。
【発明の効果】
【0095】
本発明の有効成分化合物またはその製薬上許容しうる塩は、IKur遮断作用を有し、哺乳動物の心不整脈、例えば、心房細動、心房粗動、心房不整脈、上室性頻拍症等の予防または治療に有用である。また、本発明の有効成分化合物またはその製薬上許容しうる塩は、血栓塞栓症(卒中など)、心不全(うっ血心不全など)の予防にも有用である。
【0096】
本発明の有効成分化合物またはその製薬上許容しうる塩は、当該化合物の治療上有効量および製薬上許容される担体からなる医薬組成物に製剤化することができる。製薬上許容される担体としては、希釈剤、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポリビニルピロリドン)、賦形剤(乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ)、崩壊剤(バレイショデンプン)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム)等を挙げることができる。
【0097】
本発明の有効成分化合物またはその製薬上許容しうる塩は、経口的または非経口的に投与することができ、適当な医薬製剤として用いることができる。経口投与用の適当な医薬製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤などの固体製剤、あるいは溶液製剤、懸濁製剤または乳化製剤などが挙げられる。非経口投与用の適当な医薬製剤としては、坐剤、注射用蒸留水、生理食塩水またはブドウ糖水溶液などを用いた注射剤または点滴製剤、あるいは吸入剤等が挙げられる。
【0098】
本発明の有効成分化合物またはその製薬上許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態によっても異なるが、通常、1日当り約0.003〜100mg/kg、好ましくは約0.01〜30mg/kg、とりわけ約0.05〜10mg/kg程度とするのが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下に、実施例、参考例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0100】
実施例1−1
【0101】
【化14】

【0102】
化合物1(200mg)を無水THF7mlに懸濁させ、撹拌下トリフェニルホスフィン(279mg)を加え、氷冷下、N−クロロスクシンイミド(156mg)をゆっくり加えた。化合物2(345mg)のTHF(0.5ml)溶液を加え、室温に昇温して、3時間撹拌した。混合物に10%クエン酸水溶液を加え、クロロホルムにて抽出し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:3%メタノール−クロロホルム)により精製し、淡黄色結晶として化合物3(121mg)を得た。
MS(APCI): 349 [M+H]+
実施例1−2
【0103】
【化15】

【0104】
化合物1(270mg)とトリフェニルホスフィン(385mg)をTHF(6ml)に懸濁し、氷冷下N−クロロスクシンイミド(214mg)を加え、室温にて1分間撹拌した。氷冷下、化合物2(357mg)とジイソプロピルエチルアミン(465μl)のTHF(5ml)溶液を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物に水と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:3%〜10%メタノール−クロロホルム グラジエント)にて精製し、減圧濃縮後、得られた混合物を酢酸エチル−ヘキサン(1:1)にて結晶化することにより、化合物3を得た。
MS(APCI) 363 [M+H]+
実施例1−3
【0105】
【化16】

【0106】
(1)化合物1(1.502g)をTHF(70ml)に溶解し、氷冷撹拌下、トリフェニルホスフィン(2.510g)、次いでN−クロロスクシンイミド(1.279g)を順次加えた。氷冷下60分撹拌し、化合物2(2.391g)およびジイソプロピルエチルアミン(2.777ml)のTHF(30ml)溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、室温に昇温し、25時間撹拌した。氷冷撹拌下、反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:1〜2%メタノール−クロロホルム)にて精製し、淡褐色油状物として化合物3(1.877g)を得た。
MS(APCI) 421[M+H]+
NMR(DMSO-d6)ppm 1.27-1.35(9H,m), 2.74-2.78(3H,m), 3.44(2H,m), 3.89(2H,m), 6.58(1H,m), 7.10 (1H,m), 7.3-7.6(8H,m),7.76(1H,m), 13.41(1H,br.s)
(2)化合物3(1.877g)を酢酸エチル(10ml)に懸濁し、4N塩酸−酢酸エチル溶液(9ml)を氷冷撹拌下加えた。反応混合物を室温に昇温し、2時間撹拌した。反応混合物にイソプロピルエーテル(10ml)を加え、析出した結晶をろ取し、酢酸エチル−イソプロピルエーテル(1:1)混液にて洗浄し、減圧乾燥することにより、淡黄色粉末として化合物4(1.654g)を得た。
MS(APCI) 321[M+H]+
NMR(DMSO-d6)ppm 2.62(3H, t, J=5Hz), 3.09(2H, q, J=6Hz), 4.08(2H, t, J=6Hz), 6.56(1H, d, J=15.6Hz), 7.11(1H, t, J=7.5Hz), 7.37(2H, m), 7.45-7.62(6H, m), 7.80(1H, d, J=15.6Hz), 8.62(2H, m), 13.5(1H, br.s)
(3)化合物4(130mg)をクロロホルム(5ml)に懸濁撹拌し、トリエチルアミン(152μl)を加えた。氷冷下、クロロギ酸メチル(32μl)のクロロホルム(2ml)溶液を滴下した。室温で7.5時間撹拌し、水を加え、クロロホルム抽出した。クロロホルム層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をメタノール(5ml)に溶解し、28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液(7μl)を加え、室温で10分撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム−メタノール=9:1)にて精製することにより、化合物5(125.5mg)を無色泡状物として得た。
MS (APCI) 379 [M+H]+
NMR (DMSO-d6) ppm 2.79(3H,s), 3.46(2H,t,J=5.9Hz), 3.51-3.54(3H,m), 3.93(2H,t,J=5.9Hz), 6.58(1H,m), 7.11(1H,t,J=7.5Hz), 7.3-7.6(8H,m), 7.76(1H,m), 13.4(1H,br.s)
実施例1−4
【0107】
【化17】

【0108】
化合物1(150mg)とトリフェニルホスフィン(214mg)をTHF(3.5ml)に溶解し、氷冷撹拌下、N−クロロスクシンイミド(119mg)を加え、室温で2分撹拌した。反応混合物に化合物2(198mg)とジイソプロピルエチルアミン(258μl)のTHF(2.5ml)溶液を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム−2〜9%メタノール)にて精製し、得られた固体を酢酸エチル−ヘキサンにてトリチユレーションすることにより、化合物3(176mg)を得た。
MS (APCI) 363 [M+H]+
実施例1−5〜実施例2−59
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例1−5〜実施例2−59の化合物を得た。
実施例3−1
【0109】
【化18】

【0110】
(1)化合物1(2.25g)をTHF(80ml)に溶解し、氷冷撹拌下、トリフェニルホスフィン(3.78g)、次いでN−クロロスクシンイミド(1.923g)を順次加えた。氷冷下、60分撹拌し、化合物2(3.605g)およびジイソプロピルエチルアミン(4.18ml)のTHF(40ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下後、室温に昇温し、18時間撹拌した。氷冷撹拌下、反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:50%酢酸エチル−ヘキサン〜1%メタノール−クロロホルム)にて精製し、無色固体として化合物3(2.88g)を得た。
MS(APCI) 421[M+H]+
IR(Nujor) 1709, 1651 cm-1
(2)化合物3(2.88g)を酢酸エチル(10.27ml)に懸濁し、4N塩酸−酢酸エチル溶液(17.13ml)を氷冷撹拌下滴下した。反応混合物を室温に昇温し、終夜撹拌した。反応混合物を氷冷し、10%水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性とした後、クロロホルムにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去して、化合物4(1.83g)得た。
MS(APCI) 321[M+H]+
IR(Nujor) 3349, 1651 cm-1
(3)化合物4(160mg)をピリジン(1.6ml)に懸濁し、THF−クロロホルム−DMF(2ml−2ml−2ml)を加えて溶解し、無水酢酸(0.05ml)をゆっくり加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を0.5N塩酸水溶液、飽和重曹水、および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム−5%メタノール)により精製し、得られた固体を酢酸エチルにてトリチュレーションすることにより、無色粉末として化合物5(127mg)を得た。
MS (APCI) 363[M+H]+
IR (Nujor) 3272, 1650, 1618 cm-1
実施例3−2
【0111】
【化19】

【0112】
化合物1(120.5mg)をクロロホルム(5ml)−THF(3ml)に懸濁し、氷冷撹拌下トリエチルアミン(63μl)を加え、化合物2(45μl)のクロロホルム(1ml)溶液を15分かけて滴下した。室温にて1時間撹拌し、水を加え激しく撹拌した後、クロロホルムにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム〜クロロホルム−メタノール 20:1)にて精製し、無色粉末として化合物3(145.0mg)を得た。
MS (APCI) 423 [M+H]+
実施例3−3
【0113】
【化20】

【0114】
化合物1(120.2mg)をDMF(5ml)に懸濁し、シアノ酢酸(33.5mg)およびHOBt(66.1mg)を加え、氷冷撹拌下WSC(93.5mg)を加えた。室温に昇温し、1時間撹拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 20:1)にて精製することにより、無色粉末として化合物3(113mg)を得た。
MS (APCI) 388 [M+H]+
実施例3−4
【0115】
【化21】

【0116】
化合物1(120.0mg)をDMF(2ml)に懸濁し、蟻酸エチル(3ml)を加え、室温にて3日間撹拌した。反応混合物に酢酸エチルを加え、水にて数回洗浄し、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム〜クロロホルム−メタノール 9:1グラジエント)にて精製することにより、無色粉末として化合物2(93.6mg)を得た。
MS (APCI) 349 [M+H]+
実施例3−5
【0117】
【化22】

【0118】
化合物1(110mg)をクロロホルム(10ml)に懸濁し、トリエチルアミン(53μl)を加え、氷冷撹拌下p−ニトロフェニルクロロホルメート(73.0mg)を15分かけて滴下した。1.5時間氷冷下撹拌し、4−ヒドロキシピペリジン(70mg)およびトリエチルアミン(100μl)を加え、室温に昇温し、1日間撹拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムにて抽出した。抽出層を合わせて飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。減圧濃縮し、残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム〜クロロホルム−メタノール 80:20グラジエント)にて精製することにより、無色アモルファス粉末として化合物2(87.1mg)を得た。
MS (APCI) 448 [M+H]+
NMR(DMSO-d6) ppm 1.21(2H,m), 1.61(2H,q,J=7Hz), 1.64(2H,m), 2.85(2H,m), 3.05(2H,q,J=6.7Hz), 3.58(1H,m), 3.65(2H,dt,13.5,14Hz), 3.80(2H,t,J=7.4Hz), 4.65(1H,d,J=4Hz), 6.48(1H,t,J=5.5Hz), 6.55(1H,d,J=15Hz), 7.10(1H,t,J=7Hz), 7.3-7.6(8H,m), 7.74(1H,d,J=16Hz), 13.4(1H,brs)
実施例3−6および実施例3−7
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例3−6および実施例3−7の化合物を得た。
実施例4−1
【0119】
【化23】

【0120】
化合物1(5.0g)をTHF(720ml)に加熱溶解し、室温撹拌下、トリフェニルホスフィン(11.09g)およびN−クロロスクシンイミド(5.27g)を加え、5分間撹拌した。室温撹拌下、化合物2(6.64g)とN,N−ジメチルアニリン(7.37ml)のTHF(50ml)溶液を加え、室温にて1時間撹拌した。反応混合物を水にあけ、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−0%〜5%メタノール グラジエント)にて精製することにより、無色結晶性粉末として化合物3(15.588g)を得た。
MS (APCI) 400[M+H]+
(別法)
【0121】
【化24】

【0122】
化合物1(630mg)をクロロホルム(50ml)−THF(15ml)に溶解し、トリエチルアミン(641μl)を加え、氷冷撹拌下、メタンスルホニルクロリド(160μl)を滴下した。氷冷下1時間撹拌し、反応混合物を水にあけ、クロロホルムにて抽出した。抽出層を合わせて炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄し、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液クロロホルム−メタノール 100:1〜30:1)にて精製した。溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルから結晶化し、さらにイソプロピルエーテルにてトリチユレーションすることにより、無色粉末として化合物2(561mg)を得た。
MS (APCI) 400[M+H]+
IR (Nujol) 1656 cm-1
実施例4−2〜実施例4−61
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例4−2〜実施例4−61の化合物を得た。
実施例5−1
【0123】
【化25】

【0124】
化合物1(110mg)とトリフェニルホスフィン(184mg)のTHF(3ml)溶液に、室温撹拌下N−クロロスクシンイミド(101mg)を加え、氷冷下で1分間撹拌し、化合物2(167mg)とN,N−ジメチルアニリン(148μl)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物にクエン酸水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 97:3〜11:89 グラジエント)にて精製することにより、無色アモルファス粉末として化合物3(196mg)を得た。
MS (APCI) 409[M+H]+
実施例5−2〜実施例5−35
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例5−2〜実施例5−35の化合物を得た。
実施例6−1
【0125】
【化26】

【0126】
化合物1(25mg)の塩化メチレン(3ml)溶液にオキザリルクロリド(36μl)を加え、DMFを1滴加えた後、1時間加熱還流した。反応液を冷却した後、減圧濃縮した。残渣をクロロホルム(3ml)に懸濁し、2−アニリノエタノール(51μl)のクロロホルム(3ml)溶液を加え、室温にて16時間撹拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−1〜8%メタノール グラジエント)にて精製することにより、無色粉末として化合物2(11.5mg)を得た。
MS (APCI) 309 [M+H]+
実施例6−2
【0127】
【化27】

【0128】
化合物1(12.4g)をTHF(1860ml)に加熱溶解し、室温撹拌下、トリフェニルホスフィン(27.5g)およびN−クロロスクシンイミド(13.1g)を加え、1分間撹拌した。室温撹拌下、化合物2(14.1g)とN,N−ジメチルアニリン(16.6ml)のTHF(140ml)溶液を加え、室温にて3時間撹拌した。反応混合物を2N水酸化ナトリウム水溶液(900ml)と飽和食塩水(900ml)の混液に注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、析出した結晶をろ取し、エタノールから再結晶することにより、淡黄色結晶性粉末として化合物3(15.588g)を得た。
MS (APCI) 367 [M+H]+
IR (Nujol) 1651 cm-1
実施例6−3
【0129】
【化28】

【0130】
化合物1(154mg)にアセトニトリル(5ml)−THF(5ml)を加え、N,N’−ジスクシンイミジルカーボナート(323mg)およびN,N’−ジメチルアミノピリジン(6mg)を加え、室温にて20時間撹拌した。化合物2(178mg)を加え、室温にて24時間撹拌した。反応混合物に5%炭酸カリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をメタノール(5ml)に溶解し、氷冷撹拌下、水(2.5ml)および炭酸カリウム(346mg)を加え、室温にて2.5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 メタノール−酢酸エチル 3:97〜12:88 グラジエント)により精製することにより、無色油状物として化合物3(91mg)を得た。
MS (APCI) 424[M+H]+
実施例6−4〜実施例7−5
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例6−4〜実施例7−5の化合物を得た。
実施例8−1
【0131】
【化29】

【0132】
(1)化合物1(200mg)をTHF(20ml)に溶解し、室温撹拌下、トリフェニルホスフィン(254mg)を加え、さらにN−クロロスクシンイミド(147mg)を加えて、1分撹拌し、次いで、3−アニリノプロパノール(108mg)とジイソプロピルエチルアミン(225μl)のTHF(1ml)溶液を加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−クロロホルム 1:1)にて精製することにより、淡黄色粉末として化合物2(143.6mg)を得た。
MS (APCI) 443 [M+H]+
(2)化合物2(136.3mg)をトリフルオロ酢酸(4.5ml)に懸濁し、4.5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残渣に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール〜8% グラジエント)にて精製することにより、無色粉末として化合物3(35.8mg)を得た。
MS (APCI) 323 [M+H]+
実施例8−2〜実施例8−39
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例8−2〜実施例8−39の化合物を得た。
実施例9−1
【0133】
【化30】

【0134】
化合物1(200mg)を無水THF7mlに懸濁し、トリフェニルホスフィン(307mg)を加え、氷冷撹拌下、N−クロロスクシンイミド(170mg)をゆっくり加えた。化合物2(408mg)のTHF(0.5ml)−塩化メチレン(1.5ml)溶液を加え、室温に昇温して2時間撹拌した。10%クエン酸水溶液を加え、クロロホルムにて抽出した。無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−2%メタノール)により精製することにより、淡黄色油状物として化合物3(338mg)を得た。
MS (APCI): 384[M+H]+
実施例9−2
【0135】
【化31】

【0136】
(1)化合物1(400mg)とトリフェニルホスフィン(613mg)のTHF(17ml)溶液に、室温撹拌下、N−クロロスクシンイミド(341mg)を加え、氷冷下で1分間撹拌した。氷冷下、3−フェニルアミノプロピオン酸メチルエステル(686mg)を加え、室温にて4時間撹拌した。氷冷下、トリフェニルホスフィン(112mg)およびN−クロロスクシンイミド(57mg)を加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応混合物にクエン酸水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 40:1)にて精製することにより、無色固体として化合物3(565mg)を得た。
MS (APCI) 352[M+H]+
(2)化合物3(648mg)をメタノール(4.6ml)に懸濁し、THF(2.3ml)を加え、次いで2N水酸化ナトリウム水溶液(4.6ml)を加えた。混合物を室温にて2時間撹拌し、氷冷下、2N塩酸水溶液(4.6ml)を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。混合物を減圧濃縮し、残渣をイソプロピルエーテルにてトリチユレーションし、ろ別後、乾燥することにより、無色粉末として化合物4(535mg)を得た。
MS (ESI) 334[M-H]-
(3)化合物4(140mg)およびHOBt(73mg)をDMF(2ml)に溶解し、2Nメチルアミン−THF溶液(522μl)、WSC(104mg)を加え、室温にて5時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 98:2〜グラジエント)にて精製することにより、無色粉末として化合物5(111mg)を得た。
MS (APCI) 349[M+H]+
実施例9−3
【0137】
【化32】

【0138】
化合物1(120mg)とトリフェニルホスフィン(184mg)のTHF(5ml)溶液に、室温撹拌下、N−クロロスクシンイミド(102mg)を加え、室温で1分間撹拌した。室温撹拌下、化合物2(169mg)とジイソプロピルエチルアミン(222μl)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物に食塩水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 98:2)にて精製することにより、無色泡状物として化合物3(195mg)を得た。
MS (APCI) 391[M+H]+
実施例9−4〜実施例10−32
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例9−4〜実施例10−32の化合物を得た。
実施例11−1
【0139】
【化33】

【0140】
化合物1(100mg)の塩化チオニル(2.9ml)懸濁液を60℃にて1.5時間加熱撹拌した。冷却後、減圧濃縮し、得られた淡黄色固体をTHF(4ml)およびクロロホルム(6ml)に懸濁し、ジメチルアミノピリジン(71mg)を加え、次いで、氷冷下、化合物2(363mg)のTHF(2ml)溶液を加え、室温にて22時間撹拌した。反応混合物に水と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、さらにメタノール−クロロホルム(1:5)を加えて激しく撹拌した。不溶物をセライトで濾別し、メタノール−クロロホルム(1:5)にて十分に洗浄した。濾液および洗液を合わせ分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:1%〜6%メタノール−クロロホルム グラジエント)にて精製し、化合物3(61mg)を無色粉末として得た。
MS (APCI) 380[M+H]+
実施例12−1
【0141】
【化34】

【0142】
化合物1(30mg)とトリフェニルホスフィン(51mg)のTHF(6ml)溶液に、氷冷撹拌下、N−クロロスクシンイミド(24mg)を加え、氷冷下、10分間撹拌した。氷冷撹拌下、化合物2(43mg)とN,N−ジメチルアニリン(42mg)を加え、室温にて20時間撹拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 98:2〜92:8)にて精製することにより、無色粉末として化合物3(56mg)を得た。
MS (APCI) 408[M+H]+
実施例12−2
【0143】
【化35】

【0144】
化合物1(62mg)とトリフェニルホスフィン(126mg)のTHF(12ml)溶液に、室温撹拌下、N−クロロスクシンイミド(60mg)を加え、室温で2分間撹拌した。室温撹拌下、化合物2(75mg)とN,N−ジメチルアニリン(76μl)を加え、室温にて4時間撹拌した。反応混合物に食塩水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 98:2〜92:8)にて精製することにより、無色粉末として化合物3(79mg)を得た。
MS (APCI) 398[M+H]+
実施例12−3〜実施例12−13
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例12−3〜実施例12−13の化合物を得た。
実施例13−1
【0145】
【化36】

【0146】
(1)化合物1(400mg)とトリフェニルホスフィン(723mg)をTHF(58ml)に溶解し、氷冷撹拌下、N−クロロスクシンイミド(342mg)を加えた。氷冷下、5分間撹拌し、化合物2(720mg)およびN,N−ジメチルアニリン(596mg)のTHF(2ml)溶液を滴下した。滴下後、60℃にて18時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を留去した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:メタノール−クロロホルム 0:1〜1:9)にて精製し、淡黄色油状物として化合物3(1016mg)を得た。
MS(APCI) 491[M+H]+
(2)化合物3(1016mg)を塩化メチレン(10ml)に溶解し、室温にて撹拌下、4N塩酸−酢酸エチル溶液(20ml)を滴下した。反応混合物にエタノール(20ml)を加え、50℃にて20分間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を留去した。残渣をジエチルエーテルにてトリチュレーションし、ろ別後、乾燥することにより、淡黄色粉末として化合物4(898mg)を得た。
MS(APCI) 391[M+H]+
(3)化合物4(150mg)をTHF(4ml)に懸濁し、氷冷撹拌下、トリエチルアミン(184μl)、ジメチルカルバモイルクロライド(34mg)を順次加えた。室温にて18時間撹拌後、溶媒を留去した。残渣に飽和食塩水を加えて、酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:メタノール−クロロホルム 0:1〜1:9)により精製し、無色粉末として化合物5(105mg)を得た。
MS (APCI) 462[M+H]+
実施例13−2〜実施例13−11
対応する原料化合物を用いて、上記実施例と同様に反応、処理することにより、実施例13−2〜実施例13−11の化合物を得た。
参考例1
【0147】
【化37】

【0148】
(1)J. Prak. Chem. 1924, 297-320に記載の方法に準じ、化合物1(60.0g)をDMF(800ml)に溶解し、氷冷下、粒状水酸化カリウム(114.08g)およびヨウ素(255.2g)をゆっくり加えた。反応混合物を室温にて1時間撹拌し、氷冷した10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(3L)に注ぎ、撹拌した。析出した白色固体を濾取し、水で洗浄後、乾燥することにより、淡黄色結晶として化合物2(107.4g)を得た。
融点140.3〜141.3℃
また、濾液をジエチルエーテルにて抽出し、硫酸ナトリウムにて乾燥後、ジエチルエーテルを減圧留去し、得られた残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶することにより、淡黄色結晶として化合物2(4.939g)を得た。
【0149】
(2)化合物2(100g)およびジメチルアミノピリジン(2.5g)をアセトニトリル1200mlに懸濁した。トリエチルアミン(115ml)を加え、さらに室温にてジ−tert−ブチル ジカルボナート(98.6g)を加え、同温度で1日撹拌した。溶媒を減圧留去し、酢酸エチル(800ml)を加えたのち、水(1L)と飽和食塩水(約1L)にて洗浄した。洗浄した水層は酢酸エチル(200ml)にて抽出し、先の酢酸エチル層と合わせた後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。酢酸エチル層を減圧濃縮し、ヘキサンを加えて析出した結晶性粉末を濾取した。さらに、ろ液を濃縮し、ヘキサンを加えて再度析出した結晶性粉末を濾取することにより、淡褐色粉末として化合物3(115.22g)を得た。
【0150】
さらに、ろ液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン 1:20〜1:10)にて精製することにより白色固体として化合物3(11.92g)を得た。
MS (APCI) 345[M+H]+
(3)化合物3(1.0g)、酢酸パラジウム(16.3mg)、トリフェニルホスフィン(38.2mg)およびトリエチルアミン(3.2ml)をジオキサン15mlに懸濁した。アルゴン雰囲気下、アクリル酸エチル(2.5ml)を加えた後、80℃にて加熱撹拌した。19時間後、反応液を室温まで冷却し、溶媒を留去した。残渣に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル層を水洗し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル:グラジエント溶出)により精製することにより、淡褐色粉末として化合物4(634.1mg)を得た。
MS (APCI) 317[M+H]+
(4)化合物4(2.31g)をエタノール36.5mlに溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液(18.25ml)を室温にて加えた。反応混合物を21時間室温にて撹拌し、氷冷下、塩酸水溶液を加えpH4とした後、水を加え、クロロホルムにて抽出した。クロルホルム層で結晶の析出が認められるため、酢酸エチルにて水層を抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去した後、イソプロピルエーテルにてトリチユレーションし、淡黄色粉末として化合物5(1.25g)を得た。
MS 187[M-H]-
(別法)
【0151】
【化38】

【0152】
(1)化合物1(200mg)、10%パラジウム炭素(15.4mg)およびトリエチルアミン(0.650ml)を無水ジオキサン3mlに懸濁し、アルゴン雰囲気下、アクリル酸エチル(0.500ml)を加えた後、100℃にて加熱撹拌した。19時間後、室温まで冷却し、不溶物を濾別した後、ろ液を減圧濃縮した。残渣に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル層を水洗し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル:グラジエント溶出)により精製することにより、無色粉末として化合物2(53.4mg)を得た。
MS (APCI): 217[M+H]+
NMR(DMSO-d6,ppm): 1.29(3H,t,J=7.2Hz), 4.23(2H,q,J=7.2Hz), 6.76 (1H, d, J=16.4Hz), 7.26(1H,d,J=7.5Hz), 7.43(1H,t,J=7.9Hz), 7.62(1H,d,J=8.34Hz), 7.90(1H,d,J=16.2Hz), 8.11(1H,d,J=8.2Hz), 13.65(1H,brs)
(2)化合物2を参考例1(4)と同様に反応、処理することにより、化合物3が得られた。
参考例2
【0153】
【化39】

【0154】
(1)化合物1(3.0g)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.35g)およびHOBt(3.25g)をDMF(37ml)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン(3.87ml)を加え、更にWSC(4.61g)を加えた。反応混合物を室温にて18時間撹拌し、減圧濃縮した後、水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をイソプロピルエーテルによりトリチユレーションすることにより、無色粉末として化合物2(3.61g)を得た。
MS (APCI) 206 [M+H]+
(2)リチウムアルミニウムヒドリド(277mg)をTHF(5ml)に懸濁し、氷−アセトン浴にて約0℃に冷却し、化合物2(1.00g)のTHF(25ml)溶液を5分かけて滴下した。氷冷下、30分間撹拌した後、水(277μl)、15%水酸化ナトリウム水溶液(277μl)、水(830μl)を順次加えた。酢酸エチルを加えて室温にて5時間撹拌し、不溶物を濾別し、酢酸エチル−クロロホルム−メタノールにて洗浄した。濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:メタノール−クロロホルム 1/30)にて精製することにより、淡褐色粉末として化合物3(622mg)を得た。
MS (APCI) 147: [M+H]+, 161: [M+H+MeOH-H2O]+
(3)化合物3(620mg)をTHF(21ml)に溶解し、化合物4(3.84g)を加え、40〜45℃にて加熱撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル−トルエン 1:8)にて精製し、無色粉末として化合物5を516mg得た。また、未反応の化合物3(272mg)を得た。
MS (APCI) 231 [M+H]+
(4)化合物5(515mg)をエタノール(11.2ml)に懸濁し、THF(5.6ml)を加えた。氷冷撹拌下、2N水酸化ナトリウム水溶液(11.2ml)を加え、室温にて18時間撹拌した。氷冷下2N塩酸(11.2ml)を加えて酸性とし、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル−ヘキサン(1:1)にてトリチユレーションし、乾燥することにより、化合物6(338mg)を無色粉末として得た。
MS (ESI-MS) 201[M-H]-
参考例3
【0155】
【化40】

【0156】
(1)化合物1(17.67g)のTHF(690ml)溶液に、冷却撹拌下、−8℃にてメチルマグネシウムクロライドの3.0MTHF溶液(86.1ml)を50分かけて滴下した。同温にて1時間撹拌し、10%塩化アンモニウム水溶液(860ml)に注ぎ、混合物を酢酸エチルにて抽出した。抽出層を水および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル−クロロホルム1/7〜1/2)にて精製することにより、無色粉末として化合物2(9.03g)を得た。
MS (APCI) 161[M+H]+
(2)60%水素化ナトリウム(3.11g)をジオキサン(160ml)に懸濁し、氷冷下、化合物3(13.6g)のジオキサン(80ml)溶液を10分かけて滴下した。室温にて10分撹拌し、氷冷下、10分かけて化合物2(5.67g)を少しずつ加えた。混合物を室温で10分撹拌後、80℃にて24時間加熱撹拌した。反応液を冷却し、水および食塩水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン 1/4)にて精製し、得られた固体をイソプロピルエーテルにてトリチユレーションすることにより、淡黄色結晶として化合物4(3.96g)を得た。
MS (APCI) 231[M+H]+
(3)化合物4(2.87g)をエタノール(62ml)に溶解し、氷冷下、2N−水酸化ナトリウム水溶液(31ml)を加え、室温にて14時間撹拌した。氷冷下、2N−水酸化ナトリウム水溶液(31ml)を追加し、室温にて3日間撹拌した。氷冷下、2N−塩酸水溶液(62ml)を滴下し、析出した固体を濾取し、水洗後、乾燥することにより、無色粉末として化合物5(2.13g)を得た。
MS (APCI) 203[M+H]+
参考例4
【0157】
【化41】

【0158】
(1)Chemical Communications 293-294(1966)に記載の方法に準じ、化合物1(20.0g)とp−トルエンスルホン酸1水和物(15.6g)の混合物に氷冷撹拌下、ヒドラジン1水和物(26.6ml)をゆっくり加えた。混合物を130℃にて21時間加熱撹拌した。反応混合物を放冷した後、25%炭酸カリウム水溶液中に注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 2:1〜1:1)にて精製した。得られた固体を ヘキサン−酢酸エチル(1:1)にてトリチユレーションすることにより、無色粉末性結晶として化合物2(12.27g)を得た。
融点97.3−98℃
(2)化合物2(12.2g)をDMF(200ml)に溶解し、氷冷撹拌下、水酸化カリウム(26.86g)を加え、次いでヨウ素(52.24g)を少量ずつ加え、ゆっくり室温まで昇温し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(1L)中に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水洗後、乾燥することにより、淡黄色結晶として化合物3(21.07g)を得た。
融点183.7−186.3℃
MS (APCI) 246[M+H]+
(3)60%水素化ナトリウム(10.8g)を無水ヘキサンにて洗浄し、DMF(350ml)に懸濁した。氷冷撹拌下、化合物3(55.11g)のDMF(200ml)溶液を約2時間かけて滴下し、氷冷下、1時間撹拌した。混合物にp−メトキシベンジルクロリド(36.6ml)を加え、その後室温まで昇温し、1時間撹拌した。反応混合物を氷水(3.5L)中に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水洗後、乾燥した。得られた固体をクロロホルム−イソプロピルエーテル(2:1)にてトリチユレーションし、淡赤色結晶として化合物4(35.0g)を得た。
【0159】
さらに、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム−酢酸エチル 100:1)にて精製し、淡赤色結晶として化合物4(29.0g)を得た。
融点134.3−135.5℃
MS (APCI) 366[M+H]+
(4)化合物4(24.7g)のジオキサン(430ml)溶液に、トリフェニルホスフィン(3.55g)、酢酸パラジウム(1.52g)およびトリエチルアミン(123ml)を加えた。アルゴン置換後、アクリル酸エチル(74ml)を加え、100℃にて4時間加熱撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、水および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。混合物を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 4:1〜3:1)にて精製し、得られた固体をイソプロピルエーテルにてトリチユレーションし、乾燥することにより、無色結晶として化合物5(20.838g)を得た。
融点105.9−106.8℃
MS (APCI) 338[M+H]+
(5)化合物5(19.2g)のTHF−エタノール(80ml−160ml)溶液に氷冷下2N水酸化ナトリウム水溶液(140ml)を加え、室温にて2時間撹拌した。氷冷下、反応混合物に2N塩酸(140ml)を加え、さらに水を加えた。析出した結晶をろ取し、水洗後、乾燥し、無色結晶として化合物6(16.9g)を得た。さらに、ろ液を酢酸エチル−THF混液にて抽出し、抽出層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。混合物を減圧濃縮し、残渣をジエチルエーテルにてトリチユレーションし、無色結晶として化合物6(0.52g)を得た。先に得られた結晶と合わせて、化合物6(17.42g)を得た。
MS (ESI) 308[M-H]-
(6)化合物6(522.9mg)をトリフルオロ酢酸(5ml)に懸濁し、加熱還流した。16時間後、反応混合物を減圧濃縮し、メタノール−酢酸エチルにてトリチユレーションすることにより、淡黄色結晶として化合物7(0.303g)を得た。
融点269.0−271.2℃
MS (APCI) 190[M+H]+
(7)化合物5(45.7g)をトリフルオロ酢酸(300ml)に懸濁し、3.5時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル(100ml)および10%炭酸カリウム水溶液を加えて撹拌した。析出した結晶をろ取し、水、イソプロピルエーテルおよび酢酸エチルにて洗浄し乾燥することにより、無色結晶として化合物8(28.12g)を得た。
融点170.5−171.0℃
MS (APCI) 218[M+H]+
IR (Nujor) 1672 cm-1
(8)化合物8(33.22g)のTHF−エタノール(200ml−200ml)溶液に氷冷下2N水酸化ナトリウム水溶液(338ml)を加え、室温にて16時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、氷冷撹拌下、2N塩酸(340ml)を加えてpH3とした。析出した結晶をろ取し、水洗後、乾燥し、クロロホルムにてトリチユレーションすることにより、無色結晶として化合物7(26.63g)を得た。
融点272.4−274℃
MS (APCI) 190[M+H]+
IR (Nujor) 1685cm-1
参考例5
【0160】
【化42】

【0161】
(1)化合物1(500mg)と1−エトキシビニルトリブトキシスズ(663mg)をジオキサン(5ml)に懸濁した。混合物にアルゴン雰囲気下、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)(49mg)を加え、21時間加熱還流した。反応混合物を放冷し、酢酸エチルを加え、さらに10%フッ化カリウム水溶液を加えて、室温にて1時間撹拌した。不溶物をセライト濾過により除き、ろ液に水を加え、分液した。有機層に1N塩酸を加え、室温にて激しく撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、有機層を分液し、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 9:1〜2:1)にて精製することにより、淡黄色固体として化合物2(321.6mg)を得た。
MS (APCI) 282[M+H]+
NMR(DMSO-d6)ppm 2.63(3H,s), 3.71(3H,s), 5.75(2H,s), 6.90(2H,d,J=8.5Hz), 7.31(2H,d,J=8.5Hz), 7.47(1H,m), 8.58(1H,d,J=8Hz), 8.71(1H,d,J=3Hz)
(2)ジエチルホスホノ酢酸エチルエステル(11.95g)のジオキサン(40ml)溶液を、室温撹拌下、60%水素化ナトリウム(2.13g)のジオキサン(40ml)懸濁液中に15分かけて滴下した。混合物を室温にて1時間撹拌し、化合物2(5.00g)を加え、55〜58℃で3時間撹拌した。反応混合物を冷却し、水(100ml)を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせて飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム)にて精製した。得られたフラクション(9.41g)をジオキサン(30ml)に溶解し、室温にて60%水素化ナトリウム(1.07g)を加え、エタノール(1.56ml)のジオキサン(10ml)溶液を滴下した。混合物を45〜55℃にて加熱撹拌し、冷却後、水(40ml)を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル グラジエント)にて精製することにより、無色固体として化合物3(4.86g)を得た。
MS (APCI) 352[M+H]+
NMR (DMSO-d6) ppm 1.27(3H,t,J=7Hz), 2.66(3H,s), 3.70(3H,s), 4.18(2H,q,J=7Hz), 5.66(2H,s), 6.59(1H,s), 6.87(2H,d,J=8.7Hz), 7.27(2H,d,J=8.7Hz), 7.36(1H,dd,J=4.5,8.7Hz), 8.51(1H,d,J=7.9Hz), 8.65(1H,d,J=4.1Hz)
(3)化合物3(4.86g)をトリフルオロ酢酸(48.6ml)に懸濁し、加熱還流した。4時間後、冷却した後、減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解した。混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−酢酸エチル グラジエント)にて精製することにより、無色粉末として化合物4(3.36g)を得た。
MS (APCI) 232[M+H]+
NMR (DMSO-d6)ppm 1.27(3H,t,J=7Hz), 2.68(3H,s), 4.19(2H,q,J=7Hz), 6.59(1H,s), 7.31(1H,dd,J=4,8Hz), 8.47(1H,d,J=8Hz), 8.58(1H,d,J=4Hz), 14.18(1H,br.s)
(4)化合物4(3.36g)をTHF−エタノール(34ml−34ml)に溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液(34.6ml)を加え、50℃にて加熱撹拌した。8時間後、反応液を室温まで冷却した。溶媒を減圧留去し、2N塩酸(34.5ml)を加え、ゆっくり冷却した。析出した無色結晶をろ取し、乾燥することにより、無色粉末として化合物5(2.05g)を得た。
MS (APCI) 204[M+H]+
NMR (DMSO-d6)ppm 2.65(3H,s), 6.58(1H,s), 7.31(1H,dd,J=4, 8Hz), 8.46(1H,d,J=8Hz), 8.57(1H,d,J=4Hz), 12.4(1H,br.s), 14.0(1H,s)
参考例6
【0162】
【化43】

【0163】
(1)化合物1(4.20g)をDMF(70ml)に溶解し、氷冷下、水酸化カリウム(9.20g)を加え、次いでヨウ素(17.9g)を少量ずつ加えた。混合物をゆっくり室温まで昇温し、30分間撹拌した。反応混合物を10%ナトリウムメタビサルファイト水溶液(350ml)中に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水洗後、乾燥することにより、淡褐色粉末として化合物2(5.76g)を得た。
MS (APCI) 246[M+H]+
(2)60%水素化ナトリウム(204mg)をDMF(4.3ml)に懸濁し、氷冷下、化合物2(1.00g)のDMF(12ml)溶液を約5分間かけて滴下し、室温にて1時間撹拌した。混合物を氷冷し、p−メトキシベンジルクロリド(664μl)を加え、その後室温まで昇温し2時間撹拌した。反応混合物を氷水(80ml)中に注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル−イソプロピルエーテル(1:1)にてトリチユレーションし、生成物をろ取し、淡桃色粉末として化合物3(746mg)を得た。さらに、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、イソプロピルエーテルにてトリチユレーションすることにより、淡桃色粉末として化合物3(309mg)を得た。
MS (APCI) 366[M+H]+
(3)化合物3(744mg)のジオキサン(10.2ml)溶液に、トリフェニルホスフィン(26.8mg)、酢酸パラジウム(11.4mg)およびトリエチルアミン(2.27ml)を加えた。アルゴン雰囲気下、アクリル酸エチル(1.77ml)を加え、混合物を100℃にて22時間加熱撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム−酢酸エチル 2:1)にて精製し、得られた固体をイソプロピルエーテルにてトリチユレーションすることにより、淡黄色粉末として化合物4(328mg)を得た。
MS (APCI) 218[M+H]+
(4)化合物4(590mg)をトリフルオロ酢酸(17.5ml)に懸濁し、加熱還流した。23時間後、反応液を減圧濃縮し、NHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 メタノール−クロロホルム 1:50)にて精製することにより、淡黄色粉末として化合物5(328mg)を得た。
MS (APCI) 218[M+H]+
(5)化合物5(327mg)をTHF−エタノール(3.8ml−3.8ml)に溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液(3.76ml)を加え、室温にて21時間撹拌した。氷冷撹拌下、2N塩酸(3.76ml)を滴下した。析出した無色結晶をろ取し、水−エタノール(10:1)およびイソプロピルエーテルにて洗浄し、乾燥することにより、無色粉末として化合物6(279mg)を得た。
MS (ESI) 188[M-H]-
参考例7
【0164】
【化44】

【0165】
(1)化合物1(2.00g)とヨウ化銅(I)(105mg)と炭酸水素ナトリウム(953mg)とプロピオール酸メチル(1.84g)をDMF(50ml)に懸濁した。混合物にアルゴン雰囲気下、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)(384mg)を加え、60℃にて6時間加熱撹拌した。反応混合物を放冷し、酢酸エチルを加えた後、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 20:1〜3:1)にて精製することにより、淡黄色粉末として化合物2(1.09g)を得た。
MS (APCI) 322[M+H]+
(2)ヨウ化銅(I)(1.94g)をジエチルエーテル(20ml)に懸濁した。0℃にて撹拌下、エチルリチウムの0.5Mベンゼン−シクロへキサン溶液(41ml)を30分かけて滴下した。−78℃にて撹拌下、化合物2(1.09g)のTHF(10ml)溶液を20分かけて滴下した。混合物を−78℃にて30分撹拌した後、水(2ml)を加え、室温まで昇温した。不溶物をセライト濾過により除き、酢酸エチルにて洗浄した。濾洗液にクエン酸水溶液を加えて分液した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 20:1〜7:3)にて精製することにより、赤色油状物として化合物3(1.15g)を得た。
MS (APCI) 352[M+H]+
(3)化合物3(1.00g)のジオキサン(30ml)溶液に、ナトリウムメトキサイドの28%メタノール溶液(0.2ml)を加えた。50℃にて1時間加熱撹拌した。反応混合物を冷却した後、クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 20:1〜7:3)にて精製することにより、無色粉末として化合物4(289mg)を得た。
MS (APCI) 352[M+H]+
(4)化合物4(280mg)をトリフルオロ酢酸(6ml)に懸濁し、加熱還流した。18時間後、冷却した後、減圧濃縮した。残渣にメタノールとエタノールの3:1混合溶媒を加え、不溶物をセライト濾過により除き、濾液を減圧濃縮した。残渣にエタノール(3ml)、THF(3ml)、2N水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加え、室温にて18時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮後、氷冷下、2N塩酸(1ml)を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルとイソプロピルエーテルの混合溶媒にてトリチュレーションし、ろ別後、乾燥することにより、無色粉末として化合物5(124mg)を得た。
MS (APCI) 218[M+H]+
参考例8
【0166】
【化45】

【0167】
(1)化合物1(8.11g)のDMF(325ml)溶液に、フッ化セシウム(11.5g)、フッ化水素カリウム(2.76g)、水(3.63ml)を加え、80℃にて24時間加熱撹拌した。反応混合物を放冷し、酢酸エチルを加えた後、食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 4:1〜2:1)にて精製することにより、淡黄色固体として化合物2(4.34g)を得た。
MS (APCI) 342[M+H]+
(2)化合物2(4.34g)をトリフルオロ酢酸(87ml)に溶解し、3日間加熱還流した。冷却した後、減圧濃縮した。残渣にクロロホルムと炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分液した。抽出層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム−THF−メタノール 10:1:0〜20:1:1)にて精製することにより、淡褐色粉末として化合物3(2.70g)を得た。
MS (APCI) 222[M+H]+
(3)化合物3(2.70g)をTHF(30.5ml)に懸濁し、氷冷下、2N水酸化ナトリウム水溶液(30.5ml)を加え、室温にて5時間撹拌した。氷冷下、1N塩酸水溶液(61ml)を滴下し、析出した固体を濾取し、水洗後、乾燥することにより、灰白色粉末として化合物4(2.13g)を得た。
MS (APCI) 208[M+H]+
参考例9
【0168】
【化46】

【0169】
化合物2(4.82g)のトルエン(80ml)溶液に化合物1(11.1g)を加え、6時間加熱還流した。反応混合物を氷冷し、飽和重曹水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、淡褐色油状物として化合物3(2.77g)を得た。
MS (APCI) 179[M+H]+
参考例10
【0170】
【化47】

【0171】
化合物2(1.38g)のトルエン(17ml)溶液に化合物1(4.01g)を加え、2日間加熱還流した。反応混合物を氷冷し、飽和重曹水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、淡褐色油状物として化合物3(1.10g)を得た。
MS (APCI) 214[M+H]+
参考例11−1
【0172】
【化48】

【0173】
化合物2(1.50g)に化合物1(2.25ml)、ヨウ化テトラn−ブチルアンモニウム(30mg)およびヨウ化ナトリウム(30mg)を加え、100℃にて2日間加熱撹拌した。反応混合物を氷冷し、飽和重曹水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 20:1〜4:1)にて精製することにより、オレンジ色油状物として化合物3(508mg)を得た。
MS (APCI) 269[M+H]+
参考例11−2
【0174】
【化49】

【0175】
化合物2(12.3g)、化合物1(12.0g)、酢酸セシウム(28.2g)およびヨウ化銅(11.2g)をDMSO(15ml)に懸濁した。アルゴン雰囲気下、90℃で終夜加熱撹拌した。冷却後、水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル−n−ヘキサン グラジエント)にて精製し、無色油状物として化合物3(8.71g)を得た。
MS (APCI) 251 [M+H]+
IR (Nujol) 3356, 1683 cm-1
参考例11−3〜11−6
参考例11−2と同様に反応、処理することにより、以下の化合物を得た。
【0176】
【表1】

【0177】
参考例11−7
【0178】
【化50】

【0179】
酢酸セシウム(7.29g)とヨウ化銅(2.89g)をトルエン共沸乾燥し、化合物1(2.41g)のDMSO(10ml)溶液、ヨードベンゼン(1.90ml)およびDMSO(5ml)を順次加え、脱気後、アルゴン置換した。混合物を90℃にて20時間加熱撹拌した。氷冷下、アンモニア水(15ml)、飽和食塩水(15ml)、水(15ml)および酢酸エチル(100ml)を加え、撹拌後、分液した。水層を酢酸エチルにて抽出し、抽出層を合わせて飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた褐色油状物(3.66g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:5〜20%酢酸エチル−クロロホルム グラジエント)にて精製し、淡黄色油状物として化合物2(1536mg)を得た。
MS (APCI) 209[M+H]+
参考例12
【0180】
【化51】

【0181】
化合物1(2.971g)をメタノール(30ml)に溶解し、室温下、ジt−ブチルジカルボネート(4.46g)のメタノール(30ml)溶液をゆっくり滴下した。混合物を2.5時間撹拌し、溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 5:1)にて精製することにより、無色粉末として化合物2(2.71g)を得た。
MS (APCI) 251[M+H]+
参考例13−1
【0182】
【化52】

【0183】
化合物1(3.78g)のトルエン(50ml)溶液に氷冷下、化合物2(2.50ml)のトルエン(10ml)溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。析出物をろ別し、5%クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた油状物をエタノール(25ml)に溶解した後、水酸化カリウム(5.55g)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、エタノールを加えた。不溶物をろ別後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−酢酸エチル 10:1)にて精製することにより、淡褐色油状物として化合物3(2.92g)を得た。
MS (APCI) 152[M+H]+
参考例13−2〜13−12
参考例13−1と同様に反応、処理することにより、以下の化合物を得た。
【0184】
【表2】

【0185】
参考例14
【0186】
【化53】

【0187】
化合物2(54.1ml)のエタノール(30ml)溶液を、化合物1(19.18g)酢酸エチル−ヘキサン 1:20〜1:10のエタノール(600ml)溶液に3℃で30分かけて滴下した。反応混合物を7℃で18.5時間撹拌し、水(600ml)を加え、オキソン(504.6g)を3℃で加え、同温にて3時間撹拌した。不溶物をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮後、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留し、化合物3(38.047g)を得た。
沸点:112〜123℃/1mmHg
MS (APCI) 176[M+NH4+2]+/174 [M+NH4]+
NMR (DMSO-d6)ppm 2.12-2.17 (2H,m), 3.01 (3H,s), 3.22-3.25 (2H,m), 3.76 (2H,t,J=6.5Hz)
参考例15−1
【0188】
【化54】

【0189】
化合物2(1.38g)をトルエン(17ml)に溶解し、化合物1(4.01ml)を加え、2日間加熱還流した。反応混合物を冷却後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−酢酸エチル 10:1)にて精製することにより、無色結晶として化合物3(1.10g)を得た。
MS (APCI) 214[M+H]+
参考例15−2〜15−8
参考例15−1と同様に反応、処理することにより、以下の化合物を製造した。
【0190】
【表3】

【0191】
参考例16
【0192】
【化55】

【0193】
3−臭化プロピルアミン臭化水素酸塩から合成できる化合物1(1.28g)とアニリン(1.38g)をアルゴン雰囲気下110℃にて1時間加熱撹拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 2:1〜1:1)にて精製することにより、淡褐色油状物として化合物2(1.10g)を得た。
MS (APCI) 229[M+H]+
参考例17−1
【0194】
【化56】

【0195】
過塩素酸リチウム(14.76g)をジエチルエーテル(27.7ml)に懸濁し、氷冷下、化合物1(1.38ml)および化合物2(1.23ml)を加えた。混合物を室温にて1.5時間撹拌した後、水に注ぎ、クロロホルムにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル グラジエント)にて精製することにより、無色油状物として化合物3(895mg)を得た。
MS (APCI) 166[M+H]+
参考例17−2〜17−10
参考例17−1と同様に反応、処理することにより、以下の化合物を得た。
【0196】
【表4】

【0197】
参考例18−1
【0198】
【化57】

【0199】
化合物2(500mg)と化合物1(835μl)を混合し、120℃で1時間撹拌した。反応液を放冷し、10%炭酸カリウム水溶液を加え、クロロホルムにて抽出した。抽出層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム−メタノール 1:30)にて精製することにより、淡褐色油状物として化合物3(631mg)を得た。
MS (APCI) 221[M+H]+
参考例18−2〜18−6
上記参考例と同様に反応、処理することにより、以下の化合物を得た。
【0200】
【表5】

【0201】
参考例19
【0202】
【化58】

【0203】
J. Chem. Soc., 4166 (1957)に記載の方法に準じて、化合物2を製造した。
融点 36.0〜37.5℃
MS (APCI) 180[M+H]+
参考例20−1
【0204】
【化59】

【0205】
(1)化合物1(1.50g)をクロロホルム(22ml)に溶解し、氷冷下、ピリジン(1.33ml)を加え、カルボベンゾキシクロリド(1.87ml)のクロロホルム(5ml)溶液を3分間で滴下し、30分撹拌した。氷冷下で1N塩酸(22ml)を加え、クロロホルムにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−酢酸エチル 6:1)にて精製することにより、無色油状物として化合物2(3006mg)を得た。
【0206】
(2)化合物2(1500mg)をアセトニトリル(25ml)に溶解し、N,N’−スクシンイミジル カルボナート(1856mg)、N,N’−ジメチルアミノピリジン(68mg)を加え、室温にて15時間撹拌した。さらにN,N’−スクシンイミジル カルボナート(286mg)を追加し、3時間撹拌した後、2−メチルアミノエタノール(831mg)のアセトニトリル(3ml)溶液を加え、室温にて1時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 酢酸エチル−クロロホルム 3:2)にて精製することにより、無色油状物として化合物3(1876mg)を得た。
MS (APCI) 373[M+H]+
(3)化合物3(1874mg)をメタノール(25ml)に溶解し、含水10%パラジウム炭素(583mg)を加え、水素雰囲気下、4時間激しく撹拌した。パラジウム炭素をセライトろ過により除き、メタノール−酢酸エチルにて洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 30:1)により精製することにより、淡黄色油状物として化合物4(904mg)を得た。
MS (APCI) 239[M+H]+
参考例20−2〜20−11
上記参考例と同様に反応、処理することにより、以下の化合物を得た。
【0207】
【表6】

【0208】
参考例21
【0209】
【化60】

【0210】
(1)化合物1(3.0g)のTHF(18ml)溶液に氷冷下、2.0NジメチルアミンTHF溶液(17.8ml)を滴下した。氷冷下で20分撹拌した後、反応混合物に氷水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 3:1)により精製することにより、無色油状物として化合物2(1642mg)を得た。
MS (APCI) 205/203[M+H]+
(2)化合物2(820mg)をアニリン(1.03g)に加え、120℃にて5時間撹拌した。熱時トルエン(2.2ml)を加えた後、放冷し、酢酸エチル(4.4ml)を加え、混合物を1時間撹拌した。析出した不溶物をろ別し、酢酸エチルにて洗浄した。ろ液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 3:1〜1:1)にて精製することにより、無色粉末として化合物3(141mg)を得た。
MS (APCI) 291[M+H]+
(3)上記(2)と同様に、化合物2(820mg)とm−アニシジン(1.36g)を反応、処理することにより、淡褐色油状物として化合物4(325mg)を得た。
MS (APCI) 351[M+H]+
参考例22
【0211】
【化61】

【0212】
化合物1(600mg)のTHF(9ml)溶液に1.17Mボラン・THFコンプレックス(4.81ml)を氷冷下3分間かけて滴下した。混合物を室温にて15時間撹拌し、1.17Mボラン・THFコンプレックス(2.4ml)を追加し、30℃にて6時間加熱撹拌した。氷冷下、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を加え、30分撹拌後、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色油状物として化合物2(495mg)を得た。
MS (APCI) 200[M+H]+
参考例23
【0213】
【化62】

【0214】
(1)チオモルホリン(11.55g)をTHF(120ml)に溶解し、トリエチルアミン(13.6g)を加え、氷冷下、ジ−t−ブチル ジカルボナート(25.7g)のTHF(80ml)溶液を20分かけて滴下した。混合物を室温にて4時間撹拌し、酢酸エチルを加えた。有機層をクエン酸水溶液および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルショートカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム)にて精製し、無色結晶として化合物1(22.2g)を得た。
【0215】
(2)化合物1(11.1g)をクロロホルム(220ml)に溶解し、氷冷下、m−クロロ過安息香酸(23.6g)を30分かけて加えた。混合物を氷冷下1時間撹拌し、室温まで昇温した後、20時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液に反応混合物を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 100:1〜30:1)にて精製することにより、無色粉末として化合物2(8.92g)を得た。
MS (APCI) 253[M+NH4+]+
(3)化合物2(2.00g)をクロロホルム(8.5ml)に溶解し、氷冷下、トリフルオロ酢酸(8.5ml)を加え、室温まで昇温した後30分撹拌した。混合物を減圧濃縮し、ジイソプロピルエーテルを加え、減圧留去を繰り返し、残渣をジイソプロピルエーテルにてトリチユレーションすることにより、無色粉末として化合物3(2.10g)を得た。
【0216】
(4)化合物3(2.10g)をエタノール(43ml)に懸濁し、室温下、炭酸水素ナトリウム(2.14g)を加え、5分後に2−臭化エトキシ t−ブチルジメチルシラン(2.74ml)を加え、60℃にて3時間撹拌した。さらに80℃まで昇温し、4日間加熱撹拌した。2−臭化エトキシ t−ブチルジメチルシラン(0.91ml)および炭酸水素ナトリウム(0.71g)を加え、80℃にてさらに1日加熱撹拌した。反応混合物を冷却し、水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 酢酸エチル−クロロホルム 1:5)にて精製することにより、無色結晶として化合物4(1.94g)を得た。
MS (APCI) 294 [M+H]+
(5)化合物4(1.94g)をTHF(10ml)に懸濁し、室温下、1Nフッ化テトラブチルアンモニウムTHF溶液(9.9ml,9.9mmol)を加え、さらに1時間撹拌した。減圧濃縮後、残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 100:1)にて精製し、無色結晶として化合物5(1.100g)を得た。
MS (APCI) 180[M+H]+
(6)化合物5(2.50g)、化合物6(4.66g)およびトリフェニルホスフィン(5.49g)をクロロホルム(70ml)に溶解し、氷冷下、40%DEADトルエン溶液(9.10ml)を5分間で滴下し、室温まで昇温した後1時間撹拌した。反応混合物にトルエン(5ml)を加え、析出物をろ別し、クロロホルム−トルエン(5:1)にて洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 酢酸エチル−クロロホルム 1:20)にて精製することにより、無色泡状物として化合物7(6.07g)を得た。
MS(APCI) 440[M+H]+
〔化合物6の調製〕
アニリン(4.41g)をTHF(90ml)に溶解し、トリエチルアミン(7.55ml)を加え、氷冷下、塩化2−ニトロベンゼンスルホニル(10.0g)を少しずつ加えた。混合物を室温まで昇温した後、3時間撹拌した。反応混合物を0.5N塩酸に注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣にジイソプロピルエーテルを加えて結晶化することにより、化合物6(9.54g)を得た。
MS (ESI) 277[M-H]-
(7)氷冷下、60%水素化ナトリウム(829mg)をTHF(69ml)に懸濁し、1−ドデカンチオール(5.29ml)を加え、室温にて16時間撹拌した。氷冷下、化合物7(6.07g)のTHF(104ml)溶液を10分かけて加え、室温にて2時間撹拌した。これに、60%水素化ナトリウム(276mg)および1−ドデカンチオール(1.98ml)のTHF(23ml)懸濁液を加え、室温にて1時間撹拌した。再び60%水素化ナトリウム(276mg)および1−ドデカンチオール(1.98ml)のTHF(23ml)懸濁液を反応混合物に加え、室温にて1時間撹拌した。反応混合物を、酢酸(1.98ml)の食塩水(360ml)溶液に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 200:1〜70:1)にて精製し、得られた油状物にヘキサンを加えて結晶化することにより、無色結晶として化合物8(2.802g)を得た。
MS (APCI) 255[M+H]+
参考例24−1
【0217】
【化63】

【0218】
(1)1−ブロモ−2−クロロエタン(14.3g)とアニリン(28.0g)の混合物を60−70℃にて1.5時間加熱撹拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(80ml)を加え、析出した固体をろ別した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−ヘキサン 1:1〜2:3)にて精製することにより、淡褐色油状物として化合物1(3.40g)を得た。
MS (APCI) 156/158 [M+H]+
(2)化合物1(202mg)および1−アセチルピペラジン(416mg)をアセトニトリル(3.9ml)に溶解し、炭酸カリウム(359mg)およびヨウ化ナトリウム(19mg)を加え、95℃にて24時間加熱撹拌した。反応液を冷却し、水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 99:1〜91:9)にて精製することにより、無色油状物として化合物2(251mg)を得た。
MS (APCI) 248[M+H]+
参考例24−2
【0219】
【化64】

【0220】
化合物1(300mg)および2−ピペラジノン(483mg)をアセトニトリル(6ml)に溶解し、炭酸カリウム(533mg)およびヨウ化ナトリウム(29mg)を加え、90℃にて3日間加熱撹拌した。反応液を冷却し、水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−メタノール 98:2〜90:10)にて精製することにより、無色油状物として化合物1(239mg)を得た。
MS (APCI) 220[M+H]+
参考例24−3
【0221】
【化65】

【0222】
(1)化合物1(1.0g)をクロロホルム(20ml)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン(1.35ml)を加え、ベンジル クロロホルメート(1.38g)を滴下した。ピリジン(783μl)を加え、ベンジル クロロホルメート(1.73g)を滴下し、ゆっくり昇温し、室温にて撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、塩酸および飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 9:1)にて精製することにより、淡黄色油状物として化合物2(1.2846g)を得た。
MS (APCI) 290/292[M+H]+
(2)水素化ナトリウム(144mg)をDMSO(6ml)に懸濁し、70℃で撹拌した。室温まで冷却し、1−t−ブトキシカルボニル−3−オキソピペラジン(600mg)のDMSO(10ml)溶液を加え、化合物2(956mg)のDMSO(4ml)溶液を滴下した。混合物を室温にて3時間、続いて、50℃にて2時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 1:1〜1:2)にて精製することにより、無色アモルファス粉末として化合物3(505.9mg)を得た。
MS (APCI) 454[M+H]+
(3)化合物3(150mg)をメタノール(3ml)に溶解し、10%パラジウム炭素(75mg)を加え、水素雰囲気下、室温常圧にて接触水素添加を行った。触媒をろ去し、ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 1:1〜1:4)にて精製することにより、無色油状物として化合物4(39.9mg)を得た。
MS (APCI) 320[M+H]+
参考例25−1
【0223】
【化66】

【0224】
(1)化合物1(10.0g)を48%臭化水素水(140ml)に溶解し、140℃にて15時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を留去した。残渣にジエチルエーテルを加え、氷冷撹拌下、炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくりと加えた。分液後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:n−へキサン−酢酸エチル 9:1)にて精製し、淡黄色油状物として化合物2(11.6g)を得た。
MS (APCI) 200/202[M+H]+
(2)化合物2(5.63g)をアセトニトリル(150ml)に溶解し、炭酸カリウム(9.75g)、ヨウ化ナトリウム(0.42g)、化合物3(7.86g)を加え、90℃にて5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を留去した。飽和食塩水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:n−へキサン−酢酸エチル 20:1〜3:2)にて精製することにより、淡黄色油状物として化合物4(7.69g)を得た。
MS (APCI) 306[M+H]+
参考例25−2
【0225】
【化67】

【0226】
(1)化合物1(475mg)のアセトニトリル(8ml)溶液に、トリフェニルホスフィン(1.24g)を加えた。氷冷撹拌下、四臭化炭素(1.56g)のアセトニトリル(8ml)溶液を滴下した。室温にて1時間撹拌後、溶媒を留去した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:n−へキサン−酢酸エチル 20:1〜5:1)にて精製し、淡黄色油状物として化合物2(456mg)を得た。
MS (APCI) 214/216[M+H]+
(2)化合物2(349mg)をアセトニトリル(8ml)に溶解し、炭酸カリウム(452mg)、ヨウ化ナトリウム(24mg)および化合物3(461mg)を加え、75℃にて5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を留去した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:メタノール−クロロホルム 0:1〜1:10)にて精製し、淡黄色油状物として化合物4(168mg)を得た。
MS (APCI) 262[M+H]+
上記参考例と同様に反応、処理することにより、以下の化合物を得た。
【0227】
【表7】

【0228】
参考例26−1
【0229】
【化68】

【0230】
(1)化合物1(1.041g)、化合物2(1.20g)およびトリフェニルホスフィン(1.70g)をクロロホルム(21ml)に溶解し、氷冷下、40%DEADトルエン溶液(2.81ml)を3分間かけて滴下した。室温まで昇温し、混合物を17時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、ヘキサンを加え、析出物をろ別し、ヘキサン−クロロホルム(1:1)にて洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 4:1〜3:1)にて精製することにより、無色油状物として化合物3(1055mg)を得た。
MS (APCI) 479[M+H]+
(2)60%水素化ナトリウム(52mg)をTHF(5.5ml)に懸濁し、氷冷下、1−ドデカンチオール(324μl)を加え、室温まで昇温し、混合物を30分撹拌した。化合物3(500mg)のTHF(5.5ml)溶液を氷冷下で加え、室温まで昇温した後、19時間撹拌した。さらに、60%水素化ナトリウム(13mg)および1−ドデカンチオール(91μl)のTHF(3ml)懸濁液を反応混合物に加え、室温にて4時間撹拌した。反応混合物に食塩水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 ヘキサン−酢酸エチル 5:1)にて精製することにより、無色油状物として化合物4(206mg)を得た。
MS (APCI) 277[M+H]+
参考例26−2
【0231】
【化69】

【0232】
(1)化合物1(150mg)、化合物2(300g)およびトリフェニルホスフィン(425g)をクロロホルム(5.4ml)に溶解し、氷冷下、40%DEADトルエン溶液(0.704ml)を1分間かけて滴下した。室温まで昇温し、4時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、ヘキサンを加え、析出物をろ別し、ヘキサン−クロロホルム(1:1)にて洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 クロロホルム−酢酸エチル 1:1〜酢酸エチル)にて精製することにより、無色泡状物として化合物3(395mg)を得た。
MS (APCI) 376[M+H]+
(2)60%水素化ナトリウム(63mg)をTHF(10.5ml)に懸濁し、氷冷下、1−ドデカンチオール(402μl)を加え、室温まで昇温し30分撹拌した。これに、化合物3(394mg)のTHF(2ml)溶液を氷冷下加え、室温まで昇温した後、2時間撹拌した。反応混合物に食塩水を加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液 酢酸エチル〜酢酸エチル−メタノール 1%〜3% グラジエント)にて精製することにより、無色アモルファス粉末として化合物4(334mg)を得た。
MS (APCI) 461[M+H]+
以下の表に、上記実施例化合物の化学構造式および物性値などを示す。
【0233】
【表8】

【0234】
【表9】

【0235】
【表10】

【0236】
【表11】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0237】
【表12】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0238】
【表13】

【0239】
【表14】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0240】
【表15】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0241】
【表16】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0242】
【表17】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0243】
【表18】

【0244】
【表19】

【0245】
【表20】

【0246】
【表21】

【0247】
【表22】

【0248】
【表23】

【0249】
【表24】

【0250】
【表25】

【0251】
【表26】

【0252】
【表27】

【0253】
【表28】

【0254】
【表29】

【0255】
【表30】

【0256】
【表31】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0257】
【表32】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0258】
【表33】

【0259】
【表34】

【0260】
【表35】

【0261】
【表36】

【0262】
【表37】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0263】
【表38】

*: MS(ESI) [M+H]+
【0264】
【表39】

【0265】
【表40】

【0266】
【表41】

【0267】
【表42】

【0268】
【表43】

【0269】
【表44】

【0270】
【表45】

【0271】
【表46】

【0272】
【表47】

【0273】
【表48】

【0274】
【表49】

【0275】
【表50】

【0276】
【表51】

【0277】
【表52】

【0278】
実験例1:麻酔犬における心房有効不応期(ERP)に及ぼす影響
(1)外科手術
両性雑種交雑イヌを用い、ペントバルビタールナトリウムの静脈内投与(導入:30mg/kg,持続:5mg/kg/hr)にて麻酔し、カニューレを気道に挿入して人工呼吸(15cc×20cycle/min)を行った。両側前腕正中皮静脈に持続麻酔用および検体投与用のカテーテルをそれぞれ挿入した。左大腿静脈にカテーテルを挿入し、KN補液3B(大塚製薬)を持続投与した(50〜100ml/hr)。左大腿動脈に挿入したカテーテルから圧トランスデューサーを介して圧歪アンプにより血圧を、また脈波をトリガーとして心拍数をそれぞれ測定した。正中開胸した後、心のう膜を切開して心臓を露出させ、心房に電気刺激用電極および心筋電図測定用電極を装着した。体表面に心電図測定用電極を装着した(第II誘導)。
(2)ERPの測定
心房ERPの測定は、S1−S2期外刺激法を用いて行った。基本刺激周期は200msとし、興奮を誘発する閾値の2〜4倍、幅2msの矩形波刺激を加えた。連続した8回のS1刺激後、S2刺激を加え、S1−S2連結期は5msずつ短縮した。S2刺激に伴う心房興奮が消失する最長のS1−S2間隔をERPとした。心房興奮の有無は、心房電図から判断した。安静下においてERP(ms)が2回以上安定して得られることを確認した後、検体あるいは溶媒を静脈内投与した。薬物投与から一定時間後にERPを測定した。薬物投与開始後のERPを、薬物投与前のERPと比較し、変化率(%)を算出した。
【0279】
その結果、本発明の好ましい有効成分化合物、特に下表に示す化合物は、1mg/kg投与により、10%以上のERP延長作用を示した。
【0280】
【表53】

【産業上の利用可能性】
【0281】
本発明の有効成分化合物またはその製薬上許容しうる塩は、IKur遮断作用を有し、心房細動等の心不整脈の予防または治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

(式中、環Xはベンゼンまたはピリジンを示す。
は置換アルキルを示す。
は置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基を示す。
は水素またはアルキルを示す。
は水素、ハロゲンまたはアルキルを示す。
は水素またはアルキルを示す。
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素またはハロゲンを示す。)
により表される化合物またはその製薬上許容しうる塩からなる医薬。
【請求項2】
式(1−a):
【化2】

(式中、環Xはベンゼンまたはピリジンを示す。
は置換アルキルを示す。
は置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基を示す。
は水素またはアルキルを示す。
は水素、ハロゲンまたはアルキルを示す。
は水素またはアルキルを示す。
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素またはハロゲンを示す。)
により表される化合物またはその製薬上許容しうる塩からなる医薬。
【請求項3】
が水酸基、置換されていてもよいアミノ、アルキルスルホニル、アルコキシ、置換されていてもよい複素環式基、置換されていてもよいウレイド、置換されていてもよいカルバモイルオキシおよび置換されていてもよい複素環式基置換カルボニルオキシから選ばれる1または2個の基により置換されたアルキルである請求項1または2に記載の医薬。
【請求項4】
が置換されていてもよいベンゼンである請求項1〜3のいずれかに記載の医薬。
【請求項5】
およびRが水素である請求項1〜4のいずれかに記載の医薬。
【請求項6】
が水素であり、Rがアルキルである請求項1〜4のいずれかに記載の医薬。
【請求項7】
がアルキルであり、Rが水素である請求項1〜4のいずれかに記載の医薬。
【請求項8】
が水素であり、Rがハロゲンである請求項1〜4のいずれかに記載の医薬。
【請求項9】
およびRが水素である請求項1〜8のいずれかに記載の医薬。
【請求項10】
Kur遮断薬である請求項1〜9のいずれかに記載の医薬。
【請求項11】
心不整脈の予防または治療剤である請求項1〜10のいずれかに記載の医薬。
【請求項12】
心房細動の予防または治療剤である請求項1〜10のいずれかに記載の医薬。

【公開番号】特開2010−229096(P2010−229096A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79419(P2009−79419)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】