説明

医薬組成物

【課題】糖尿病、その合併症、肥満などのグルコキナーゼに関与する疾患の予防、治療剤の提供。
【解決手段】式[I]で表されるヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩からなる医薬を提供する。


[式中、環Aはアリール又はヘテロアリールを表す。Tはヘテロアリール、又はヘテロ環基を表す。R及びRは独立に、水素原子、ハロゲン原子、シクロアルキルスルホニル等を表す。R及びRは隣接する窒素原子と一緒になって形成する、置換若しくは非置換ヘテロ環基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、テトラゾリル等を表す。Rは水素原子等を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたグルコキナーゼ活性化作用を有し、医薬として有用な新規ヒドラゾン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコキナーゼ(GK)は、哺乳動物において見出される4つのヘキソキナーゼの中の1つである。ヘキソキナーゼは、グルコース代謝の第1段階であるグルコース−6−リン酸へのグルコースの変換を触媒する。GKは、主に肝実質細胞及び膵臓β細胞に局在しており、これらの細胞におけるグルコース代謝のための律速酵素として、体全体のグルコース恒常性に重要な役割を果たしている。該酵素の肝実質細胞及び膵臓β細胞における形態は、それぞれスプライシングの違いにより、N末15アミノ酸の配列が異なっているが、機能的には同一である。GK以外の3つのへキソキナーゼは、1mM以下のグルコース濃度にて酵素活性が飽和するが、GKのKmは8mMであり、これは血糖値の生理的な範囲内のものである。従って、血糖濃度が正常血糖(5mM)から食後血糖(10〜15mM)に上昇するにつれて、GKを介した細胞内グルコース代謝が活性化される。以前から、GKは膵臓β細胞及び肝細胞のグルコースセンサーとして機能するという仮説が提唱された(非特許文献1)。その後、GK遺伝子操作動物における研究の結果によって、GKは全身のグルコース恒常性において実際に決定的に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。GK遺伝子破壊マウスは生後まもなく死亡する(非特許文献2)が、GKを過剰発現させた正常及び糖尿病マウスは共に、野生型動物よりも低い血糖値を示した(非特許文献3)。
【0003】
遺伝的糖尿病の一つであるII型若年発症成人型糖尿病(MODY−2: maturity-onset diabetes of the young type II)において、GK遺伝子の機能喪失型突然変異が発見され、MODY−2におけるGK活性の低下が血糖上昇の原因となると考えられている(非特許文献4)。一方、酵素活性を上昇させるGK突然変異を有する家系が見つかってきており、このような人々は低血糖症を示す(非特許文献5)。従って、GKは、ヒトでもグルコースセンサーとして機能し、グルコース恒常性の維持に重要な役割を果たしていると考えられる。GKを活性化する化合物は、GKセンサー系を活性化させることから、β細胞におけるインスリン分泌促進作用、及び肝臓における糖取り込み亢進作用及び肝臓の放出抑制作用を有することが期待でき、従って、該化合物は例えばII型糖尿病の治療に有用であると考えられる。
【0004】
近年、膵臓β細胞型グルコキナーゼがラット脳において、摂食中枢(Ventromedial hypothalamus, VMH)に局在して分布していることが示された。VMHにおける約20%の神経細胞は、グルコースレスポンシブニューロンと呼ばれ、従来から体重の制御に重要な役割を果たすと考えられてきた。ラットにおけるグルコースの脳内投与により摂食量が減少するのに対して、グルコース類縁体のグルコサミンの脳内投与によってラットは過食となり、グルコース代謝の抑制を生じる。電気生理学的実験からVMHにおけるグルコースレスポンシブニューロンは、グルコースが5から20mMまで増大する際に刺激され、グルコサミン等により活性が遮断される(非特許文献6)。VHMのグルコースセンサー機序は膵臓β細胞のものと同様であると考えられる。従って、GK活性化物質は、II型糖尿病における主な問題の一つである肥満の改善ならびに高血糖の是正の可能性を有する。
上記から、GK活性化作用を有する化合物は、糖尿病、又は網膜症、腎症、神経症、虚血性心疾患若しくは動脈硬化等の糖尿病の慢性合併症、更には肥満の、治療剤及び/又は予防剤として有用である。
GK活性化作用を有する化合物としては、例えばピリジンカルボン酸誘導体(特許文献1)、2−ピリジンカルボキサミド誘導体(特許文献2)、ヘテロアリールカルバモイルベンゼン誘導体(特許文献3)、ヘテロアリール誘導体(特許文献4)、置換アリールシクロプロピルアセトアミド誘導体(特許文献5)、5−置換ピラジン若しくはピリジン誘導体(特許文献6)、置換(チアゾール−2−イル)アミド若しくはスルホンアミド誘導体(特許文献7)、置換フェニルアセトアミド誘導体(特許文献8)又はアミド誘導体(特許文献9)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO05/044801
【特許文献2】WO04/081001
【特許文献3】WO04/076420
【特許文献4】WO04/063194
【特許文献5】WO04/063179
【特許文献6】WO04/052869
【特許文献7】WO04/050645
【特許文献8】WO03/095438
【特許文献9】WO03/055482
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】American Journal Physiology,247(3Pt2),1984年,p.527-536
【非特許文献2】Cell,83,1995年,p.69-78
【非特許文献3】Proceedings of the National Academy of Sciences of the U.S.A.,93,1996年,p.7225-7230
【非特許文献4】Nature Genetics,356,1992年,p.721-722
【非特許文献5】New England Journal of Medicine,338,1998年,p.226-230
【非特許文献6】Diabetes,48(9),1999年,p.1763-72
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、糖尿病、糖尿病合併症又は肥満などのグルコキナーゼに関与する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用な優れたグルコキナーゼ活性化作用を有する新規化合物を提供することである。本発明の課題について鋭意研究した結果、次式で示されるヒドラゾン誘導体が優れたグルコキナーゼ活性化作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の具体的態様を含む。
(1) 一般式[I]:

[式中、環Aはアリール又はヘテロアリールを表す。
環Tはヘテロアリール又はヘテロ環基を表す。
は水素原子、ハロゲン原子、シクロアルキルスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、置換若しくは非置換テトラゾリル、−COR10又は−CR12(OH)R10を表す。
は水素原子、ハロゲン原子、シクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルチオ、ニトロ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アミノスルホニル、置換若しくは非置換ヘテロ環チオ、置換若しくは非置換ヘテロ環スルフィニル、置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニル、置換若しくは非置換ヘテロアリールスルホニル、アルケニルオキシ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アルキルスルフィニル、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロアリールチオ、−COR11又は−CR13(OH)R11を表す。
10はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロ環基を表す。
11は置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロアリール又はヘテロ環基を表す。
12は水素原子又はアルキルを表す。
13は水素原子又はアルキルを表す。
及びRは独立に、水素原子、置換若しくは非置換アルキル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを表すか、あるいはR及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって置換若しくは非置換ヘテロ環基を形成する。
は、水素原子、ホルミル、ハロゲン原子、オキソ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アミノスルホニル、置換若しくは非置換アルキルチオ、シアノ、置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニル、ニトロ、置換若しくは非置換シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキルスルホニル、置換若しくは非置換カルバモイル、置換若しくは非置換ヘテロアリールチオ、置換若しくは非置換アミノ、カルボキシ、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換ヘテロ環カルボニル、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、置換若しくは非置換ヘテロ環基、置換若しくは非置換ヘテロ環チオ、置換若しくは非置換シクロアルキルオキシ、アルカノイル又は置換若しくは非置換アルキルを表す。
は水素原子、置換若しくは非置換アルキル、ハロゲン原子又はカルボキシを表す。]
で示されるヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0009】
(2) 環Tが

で示される、ヘテロアリール又はヘテロ環基である(1)記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(3) 環Tがチアゾリル、チアゾロピリジニル、ピリジル、ピラジニル、ベンゾチアゾリル、キノリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニル、シクロヘキサノチアゾリル又はジヒドロピラゾピリジニルである(1)又は(2)記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(4) 環Tが、チアゾリル、チアゾロピリジニル、ピリジル、ピラジニル、ベンゾチアゾリル、チアジアゾリル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニル、シクロヘキサノチアゾリル又はジヒドロピラゾロピリジニルである(1)又は(2)記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0010】
(5) 環Tが、チアゾリル、チアゾロピリジニル、ピラジニル、チアジアゾリル、チアゾロピラジニル又はチアゾロピリミジニルである(1)又は(2)記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(6) 環Tが、チアゾリル又はチアゾロピリジニルである(1)又は(2)記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(7) 環Aがアリールである(1)〜(6)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0011】
(8) 環Aがフェニル又はピリジルである(1)〜(6)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(9) Rが水素原子又はハロゲン原子である(1)〜(8)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0012】
(10) Rが水素原子である(1)〜(8)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(11) Rがシクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルチオ、ニトロ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アミノスルホニル、置換若しくは非置換ヘテロ環チオ、置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニル、置換若しくは非置換ヘテロアリールスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルフィニル、置換若しくは非置換ヘテロアリール又は置換若しくは非置換ヘテロアリールチオである(1)〜(10)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0013】
(12) Rがシクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルホニル、置換若しくは非置換アミノスルホニル又は置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニルである(1)〜(10)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(13) Rがシクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルホニル又は置換若しくは非置換アミノスルホニルである(1)〜(10)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(14) Rがシクロアルキルスルホニル又は置換若しくは非置換アルキルスルホニルである(1)〜(10)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0014】
(15) Rにおける「置換アミノスルホニル」の置換基が置換若しくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルコキシ又は置換若しくは非置換ヘテロ環である(1)〜(13)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0015】
(16) Rにおける「置換アルキルスルホニル」の置換基がアルコキシである(1)〜(14)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(17) R及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって置換若しくは非置換ヘテロ環基を形成する(1)〜(16)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(18) 「R及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって形成する置換若しくは非置換ヘテロ環基」のヘテロ環基がピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼチジン、ホモピペラジン、ホモモルホリン又はホモチオモルホリンである(1)〜(17)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0016】
(19) 「R及びRが隣接する窒素原子と一緒になって形成する置換若しくは非置換ヘテロ環基」の置換ヘテロ環の置換基がアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ又はオキソである(1)〜(18)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(20) Rが水素原子、ホルミル、ハロゲン原子、オキソ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アミノスルホニル、置換若しくは非置換アルキルチオ、シアノ、置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニル、ニトロ、置換若しくは非置換シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アルケニル、置換若しくは非置換カルバモイル、置換若しくは非置換ヘテロアリールチオ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、アルカノイル又は置換若しくは非置換アルキルである(1)〜(19)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0017】
(21) Rが水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アルキルチオ、シアノ、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換カルバモイル、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、アルカノイル又は置換若しくは非置換アルキルである(1)〜(19)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(22) Rがハロゲン原子、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アルキルチオ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ又は置換若しくは非置換アルキルである(1)〜(19)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0018】
(23) Rが置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ又は置換若しくは非置換アルキルである(1)〜(19)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(24) Rが置換又は非置換アルキルである(1)〜(19)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(25) Rにおける、「置換アルキル」の置換基が置換若しくは非置換ヘテロ環基、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換カルバモイル、ヒドロキシ、トリアルキルシリルオキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヒドロキシイミノ、ハロゲン原子、カルボキシ、アルコキシカルボニル又はアルカノイルオキシである(1)〜(24)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0019】
(26) Rが置換又は非置換アルコキシである(1)〜(19)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(27) Rにおける「置換アルコキシ」の置換基がアルキル、アルコキシカルボニルから選択される1若しくは2の基で置換されていても良いアミノ、アルコキシカルボニル、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル、カルボキシル、ヒドロキシ、オキソで置換されていても良いヘテロ環基、トリアルキルシリルオキシ又はアルコキシである(1)〜(19)及び(26)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
【0020】
(28) Rが水素原子又は置換若しくは非置換アルキルである(1)〜(27)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(29) Rが水素原子である(1)〜(27)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩。
(30) (1)〜(29)のいずれか記載のヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩からなる医薬。
(31) グルコキナーゼ活性化薬である(30)記載の医薬。
(32) 糖尿病の治療剤及び/又は予防剤である(30)記載の医薬。
(33) 網膜症、腎症、神経症、虚血性心疾患、動脈硬化等の糖尿病の慢性合併症の治療及び/又は予防剤である(30)記載の医薬。
(34) 肥満の治療及び/又は予防剤である(30)記載の医薬。
【0021】
本明細書において次の用語は以下に定義の意味を有する。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子又は塩素原子が挙げられる。
「アルキル」(「アルキルチオ」、「ヒドロキシアルキル」等のように他の基と結合している「アルキル」部分を含む。以下に定義の他の基について同じ。)としては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖又は分枝鎖アルキルが挙げられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0022】
「アルケニル」としては、例えばC2−6、好ましくはC2−4の直鎖又は分枝鎖アルケニルが挙げられ、具体的にはビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
「アルキニル」としては、例えばC2−6、好ましくはC2−4の直鎖又は分枝鎖アルキニルが挙げられ、具体的にはアセチレニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が挙げられる。
「アルコキシ」としては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖又は分枝鎖アルコキシが挙げられ、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0023】
「アルカノイル」としては、例えばC2−7、好ましくはC2−5の直鎖又は分枝鎖アルカノイルが挙げられ、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル等が挙げられる。
「シクロアルキル」としては、例えばC3−8、好ましくはC3−6のシクロアルキルが挙げられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルが挙げられる。
【0024】
「アリール」としては、6〜14員、好ましくは6〜10員の単環式、二環式又は三環式の芳香族炭化水素が挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル、フェナントリル、アンスリル等が挙げられ、特にフェニルが好ましい。
「ヘテロアリール」としては、1〜3の炭素原子が酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択されるヘテロ原子で置換される、4〜10員、好ましくは5〜9員の単環式又は二環式の芳香族炭化水素が挙げられ、具体的にはチエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリル、ベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニル等である。
【0025】
「ヘテロ環基」としては、1〜3の炭素原子が独立して酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子で置換される、4〜10員、好ましくは4〜9員の単環式又は二環式の非芳香族炭化水素が挙げられ、具体的にはオキセタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、テトラヒドロピラニル、チアシクロヘキシル、モルホリニル、チオモルホリニル、シクロヘキサノチアゾリル、ジヒドロチアゾロピリジニル、テトラヒドロチアゾロピリジニル等が挙げられる。
あるいは、「ハロゲン原子」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「アルコキシ」、「アルカノイル」、「シクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「ヘテロ環基」の具体例としては、実施例に具体的に示したものが挙げられる。
【0026】
化合物[I]の各記号で示される基について以下に説明する。
環Aにおける「アリール」としては、好ましくはフェニルが挙げられる。
環Aにおける「ヘテロアリール」としては、好ましくはチエニル又はピリジルが挙げられ、特にピリジルが好ましい。
環Aが6員環の場合、R2の置換位置は4位が好ましい。
【0027】
環Tにおける「ヘテロアリール」としては、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していてもよい5〜9員の単環式、二環式のヘテロアリールが挙げられ、具体的にはチアゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニル、キノリルなどである。このうち、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ベンゾチアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニルが好ましく、より好ましくはチアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チアゾロピリジニル、チアゾロピラジニルであり、特にチアゾリル、チアゾロピリジニル、更に特にチアゾリルが好ましい。
環Tにおける「ヘテロ環基」としては、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していてもよい5〜9員の単環式、二環式のヘテロ環基が挙げられ、好ましくは9員の二環式ヘテロ環基であり、具体的にはシクロヘキサノチアゾリル、ジヒドロチアゾロピリジニル、テトラヒドロチアゾロピリジニル等である。
【0028】
10及びR11における「シクロアルキル」としては、例えば3〜4員のシクロアルキルが挙げられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル等であり、特にシクロプロピルが好ましい。
10及びR11における「ヘテロ環基」としては、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していてもよい5〜9員の単環式、二環式のヘテロ環基が挙げられ、好ましくは5〜7員の単環式ヘテロ環基であり、具体的にはアゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサゼピジニル(oxazepidinyl)、ペルヒドロジアゼピニルが好ましい。
【0029】
における「シクロアルキル」としては、例えば3〜4員のシクロアルキルが挙げられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル等であり、特にシクロプロピルが好ましい。
における「ヘテロ環基」としては、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していてもよい5〜9員の単環式、二環式のヘテロ環基が挙げられ、好ましくは5〜7員の単環式ヘテロ環基であり、具体的にはアゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサゼピジニル(oxazepidinyl)、ペルヒドロジアゼピニルが好ましい。
及びRの「ヘテロアリール」としては、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していても良い5〜9員の単環式、二環式のヘテロアリールであり、好ましくは、1〜3の窒素原子を適宜有していても良い5〜6員の単環式ヘテロアリールであり、具体的にはピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジル、又はピリミジルなどであり、特にピリミジルが好ましい。
【0030】
及びRの好ましい組み合わせの例としては、一方が、置換アルキル、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールであり、他方が水素原子、又はアルキルの基から選ばれる組み合わせが挙げられる。
「R及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって置換若しくは非置換ヘテロ環基を形成する」におけるヘテロ環基は、好ましくは窒素原子以外に0〜1個の酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を含む5〜7員環のヘテロ環基であり、好ましいヘテロ環基としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ホモピペリジン、ホモピぺラジン、ホモモルホリン、及びホモチオモルホリンが挙げられる。特に好ましいヘテロ環基としてはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、又はチオモルホリンが挙げられる。
【0031】
における「ヘテロ環基」としては、例えば4〜6員の単環式ヘテロ環基が挙げられ、具体的にはアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル等が好ましい。
【0032】
化合物[I]の各記号で示される基における置換基は、例えば以下の意味を有する。
「置換アミノ」、「置換アミノスルホニル」、「置換アミノアルキル」、「置換アミノアルカノイル」、「置換カルバモイル」、「置換カルバモイルアルキル」、「置換アルキル」、「置換アルキルチオ」、「置換アルキルスルフィニル」、「置換アルキルスルホニル」、「置換アルコキシ」、「置換アルカノイル」、「置換アルキニル」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルキルオキシ」、「置換シクロアルキルカルボニル」、「置換シクロアルキルスルホニル」、「置換アリール」、「置換アリールオキシ」、「置換アリールカルボニル」、「置換アリールカルボニルオキシ」、「置換アリールスルホニル」、「置換アリールアルキルカルボニル」、「置換へテロアリール」、「置換へテロアリールチオ」、「置換へテロアリールスルホニル」、「置換へテロアリールアルキル」、「置換ヘテロ環基」、「置換ヘテロ環オキシ」、「置換へテロ環カルボニル」、「置換ヘテロ環チオ」、「置換ヘテロ環スルフィニル」、「置換ヘテロ環スルホニル」、「置換ヒドロキシイミノ」、「置換フェニル」、「置換ピリジル」、「置換チアゾロピリジニル」、「置換ピラジニル」、「置換ピラゾリル」、「置換イミダゾリル」、「置換チアゾリル」、「置換ベンゾチアゾリル」、「置換キノリル」、「置換チアジアゾリル」、「置換ピラゾリル」、「置換チアゾロピラジニル」、「置換チアゾロピリミジニル」、「置換シクロヘキサノチアゾリル」、「置換ジヒドロチアゾロピリジニル」、「置換トリアゾリル」、「置換ピリミジニル」、「置換ピロリジニル」、「置換テトラヒドロフリル」、「置換チアシクロヘキシル」、「置換シクロペンチル」、「置換ピペラジニル」、「置換ピペラジニルスルホニル」、「置換ホモピペラジニル」、「置換ピペリジニル」、「置換モルホリニル」、「置換チオモルホリニル」、「置換ペルヒドロジアゼピニル」及び「置換テトラゾリル」における置換基としては、(1)適宜ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノ若しくはジアルキルアミノ、カルバモイル、テトラヒドロフリル又はピリジルで置換されていてもよいアルキル、(2)シクロアルキル、(3)ヒドロキシ、(4)アルコキシ、(5)シアノ、(6)ハロゲン原子、(7)モノ又はジアルキルアミノ、(8)適宜アルカノイル、アルコキシアルカノイル又はアルコキシカルボニルで置換されていてもよいアミノ、(9)ピリジル、(10)カルボキシル、(11)ホルミル、(12)適宜モノ若しくはジアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ又はアルカノイルオキシで置換されていてもよいアルカノイル、(13)シクロアルキルカルボニル、(14)アルコキシカルボニル、(15)オキソ、(16)アルキルスルホニル、(16)実施例及び参考例に具体的に示したもの等が挙げられ、上記の基から選択される同一又は異なる1〜3の置換基を有することができる。
【0033】
さらに、化合物[I]の各記号(R〜R及びR11)に応じて、好ましい各置換基を説明する。これらの記号の基は、以下に定義の基から選択される同一又は異なる1〜3の置換基を有することができる。
【0034】
における「置換テトラゾリル」の好ましい置換基としては、アルキルが挙げられる。
における「置換アルキルスルホニル」の好ましい置換基としては、アルコキシカルボニル、アルコキシ、シクロアルキル(好ましくはシクロプロピル)、ヒドロキシ、置換若しくは非置換アミノ(置換基:アルキル、アルカノイルから選択される1又は2の基)、置換若しくは非置換ヘテロアリール(好ましくはイミダゾリル、トリアゾリル)(置換基:アルキル)、アルキルスルホニル、シアノ、置換若しくは非置換ヘテロ環基(好ましくはテトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロ−3H−イソインドリル)(置換基:オキソ、ジオキソ)が挙げられる。このうち、アルコキシ、シクロアルキル(好ましくはシクロプロピル)、ヒドロキシがより好ましく、特にアルコキシが好ましい。
における「置換アルキルチオ」の好ましい置換基としては、アルコキシ、シクロアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、シアノ、アルキルチオ、置換若しくは非置換ヘテロ環基(好ましくはテトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロ−3H−イソインドリル)(置換基:オキソ、ジオキソ)、へテロアリール(好ましくはピリジル)が挙げられる。このうち、アルコキシ、シクロアルキル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、シアノ、アルキルチオ、へテロアリール(好ましくはピリジル)がより好ましい。
【0035】
における「置換アミノ」の好ましい置換基としては、ヘテロアリールカルボニル(好ましくはピリジルカルボニル)、ヘテロアリールアルカノイル(チエニルアルカノイル)、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルスルホニル、アルコキシカルボニルカルボニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルホニルが挙げられる。このうち、アルコキシカルボニルカルボニル、アルキルスルホニルがより好ましい。
【0036】
における「置換アミノスルホニル」の置換基である置換アルキルの好ましい置換基としては、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヒドロキシ;アルコキシ;適宜アルキルで置換されていてもよいヘテロアリール;シクロアルキル;アルコキシカルボニル;ヒドロキシアルコキシ;適宜アルキルで置換されていてもよいヘテロ環基;ハロゲン原子;アルキルチオが挙げられる。このうち、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヒドロキシ;アルコキシ;シクロアルキル;アルコキシカルボニル;適宜アルキルで置換されていてもよいヘテロ環基;ハロゲン原子がより好ましく、特にヒドロキシ、アルコキシが好ましい。
【0037】
における「置換アミノスルホニル」の置換基である置換又は非置換アルキルの置換基であるヘテロ環基としては、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していてもよい5〜9員の単環式、二環式のヘテロ環基が挙げられ、好ましくは5員の単環式ヘテロ環基である。特にテトラヒドロフリルが好ましい。
における「置換アミノスルホニル」の置換基である置換ヘテロ環基の好ましい置換基としては、アルキルが挙げられる。
【0038】
における「置換ヘテロ環チオ」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ;アルキル;オキソ;アルカノイル;ヒドロキシアルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヘテロアリール;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;アルキルスルホニル;アルコキシ;アルコキシアルキルが挙げられる。このうち、ヒドロキシ;アルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;オキソ;アルコキシ;アルコキシアルキルがより好ましく、特にアルキルが好ましい。
における「置換ヘテロ環スルフィニル」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ;アルキル;オキソ;アルカノイル;ヒドロキシアルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヘテロアリール;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;アルキルスルホニル;アルコキシ;アルコキシアルキルが挙げられる。このうち、ヒドロキシ;アルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;オキソ;アルコキシ;アルコキシアルキルがより好ましく、特にアルキルが好ましい。
【0039】
における「置換ヘテロ環スルホニル」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ;アルキル;オキソ;アルカノイル;ヒドロキシアルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヘテロアリール;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;アルキルスルホニル;アルコキシ;アルコキシアルキルが挙げられる。このうち、ヒドロキシ;アルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;オキソ;アルコキシ;アルコキシアルキルがより好ましい。
【0040】
における「置換ヘテロアリールスルホニル」の好ましい置換基としては、アルキルが挙げられる。
における「置換アルコキシ」の好ましい置換基としては、シクロアルキルが挙げられる。
における「置換アルキルスルフィニル」の好ましい置換基としては、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、シクロアルキル(好ましくはシクロプロピル)、ヒドロキシ、置換若しくは非置換アミノ(置換基:アルキル、アルカノイルから選択される1又は2の基)、置換若しくは非置換ヘテロアリール(好ましくはイミダゾリル、トリアゾリル)(置換基:アルキル)、アルキルスルホニル、シアノ、置換若しくは非置換ヘテロ環基(好ましくはテトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロ−3H−イソインドリル)(置換基:オキソ、ジオキソ)が挙げられる。このうち、アルコキシ、シクロアルキル(好ましくはシクロプロピル)、ヒドロキシがより好ましく、特にヒドロキシが好ましい。
における「置換ヘテロアリール」の好ましい置換基としては、アルキルが挙げられる。
【0041】
11における「置換アルキル」の好ましい置換基としては、アルコキシカルボニル、アルコキシ、シクロアルキル(好ましくはシクロプロピル)、ヒドロキシ、置換若しくは非置換アミノ(置換基:アルキル、アルカノイルから選択される1又は2の基)、置換若しくは非置換ヘテロアリール(好ましくはイミダゾリル、トリアゾリル)(置換基:アルキル)、アルキルスルホニル、シアノ、置換若しくは非置換ヘテロ環基(好ましくはテトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロ−3H−イソインドリル)(置換基:オキソ、ジオキソ)等が挙げられる。このうち、アルコキシ、シクロアルキル(好ましくはシクロプロピル)、ヒドロキシ、ジアルキルアミノ等がより好ましく、特にアルコキシが好ましい。
【0042】
11における「置換シクロアルキル」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ;アルキル;オキソ;アルカノイル;ヒドロキシアルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヘテロアリール;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;アルキルスルホニル;アルコキシ;アルコキシアルキルが挙げられる。このうち、ヒドロキシ;アルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;オキソ;アルコキシ;アルコキシアルキルがより好ましく、特にアルキルが好ましい。
【0043】
11における「置換ヘテロアリール」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ;アルキル;アルカノイル;ヒドロキシアルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヘテロアリール;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;アルキルスルホニル;アルコキシ;アルコキシアルキルが挙げられる。このうち、ヒドロキシ;アルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;アルコキシ;アルコキシアルキルがより好ましく、特にアルキルが好ましい。
【0044】
及びRにおける「置換アルキル」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ、アルコキシ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロ環、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールが挙げられ、特に好ましくは置換若しくは非置換のヘテロアリールが挙げられる。
及びRにおける「置換アルキル」の置換基である「置換若しくは非置換のヘテロ環」のヘテロ環は、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していても良い4〜6員の単環式ヘテロ環が挙げられ、具体的にはオキセタニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒロドチオピラニル等が挙げられ。特にテトラヒドロピラニルが好ましい。
【0045】
及びRにおける「置換アルキル」の置換基である「置換若しくは非置換のヘテロアリール」のヘテロアリールは、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していても良い5〜9員の単環式、二環式のヘテロアリールであり、好ましくは、1〜3の窒素原子を適宜有していても良い5〜6員の単環式ヘテロアリールであり、具体的にはピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジル、又はピリミジルなどであり、特にピリミジルが好ましい。
【0046】
「R及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって形成する、置換若しくは非置換ヘテロ環基」の置換へテロ環、R及びRにおける「置換ヘテロアリール」、並びにR及びRにおける「置換アルキル」の置換基である置換ヘテロアリール及び置換ヘテロ環の好ましい置換基としては、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、置換又は非置換のアミノ及びアルコキシが挙げられる。特に好ましくは、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、及びアルコキシが挙げられる。
【0047】
における「置換アルコキシ」の好ましい置換基としては、置換若しくは非置換アミノ(置換基:アルキル、アルコキシカルボニルから選択される1又は2の基);アルコキシカルボニル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;カルボキシル;ヒドロキシ;置換若しくは非置換ヘテロ環基(置換基:オキソ);トリアルキルシリルオキシ;アルコキシが挙げられる。このうち、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヒドロキシがより好ましく、特に適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;ヒドロキシが好ましい。
【0048】
における「置換アミノスルホニル」の好ましい置換基としては、アルキルが挙げられる。したがって、該置換基は、モノアルキル又はジアルキルであり、好ましくはジアルキルである。
における「置換アルキルチオ」の好ましい置換基としては、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;アルコキシカルボニルアミノ;ハロゲン原子;ヒドロキシ;カルボキシル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;アルコキシカルボニルが挙げられる。このうち、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;アルコキシカルボニルアミノ;ヒドロキシ;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイルがより好ましく、特にジアルキルカルバモイルが好ましい。
【0049】
における「置換ヘテロ環スルホニル」の好ましい置換基としては、アルキルが挙げられる。
における「置換シクロアルキル」の好ましい置換基としては、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノが挙げられる。
における「置換シクロアルキルオキシ」の好ましい置換基としては、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノが挙げられる。
【0050】
における「置換カルバモイル」の好ましい置換基としては、置換若しくは非置換アルキル(置換基:ヒドロキシ;シクロアルキル;ヘテロ環基;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;ヘテロアリールから選択される1又は2の基)、シクロアルキル、ヘテロアリールが挙げられる。このうち、置換若しくは非置換アルキル(置換基:ヒドロキシ、ヘテロ環基、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールから選択される1又は2の基)、シクロアルキルがより好ましい。
における「置換ヘテロアリールチオ」の好ましい置換基としては、アルキルが挙げられる。
【0051】
における「置換アミノ」の好ましい置換基としては、アルキル、置換若しくは非置換アミノアルキル(置換基:アルキル、アルカノイルから選択される1又は2の基)、アルカノイル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニルが挙げられる。このうち、アルキル、したがってモノアルキル又はジアルキルがより好ましく、特にジアルキルが好ましい。
における「置換ヘテロアリール」の好ましい置換基としては、アルキルが挙げられる。
【0052】
における「置換アルキニル」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノが挙げられる。このうち、ヒドロキシ、ジアルキルアミノがより好ましい。
における「置換ヘテロ環カルボニル」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ、アルキル、オキソ、ヒドロキシアルキル、アルカノイルが挙げられる。このうち、ヒドロキシ、アルキル、ヒドロキシアルキルがより好ましい。
における「置換ヘテロ環オキシ」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ、アルキル、オキソ、ヒドロキシアルキル、アルカノイルが挙げられる。このうち、アルキル、オキソがより好ましい。
【0053】
における「置換ヘテロ環基」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ、アルキル、オキソ、ヒドロキシアルキル、アルカノイルが挙げられる。このうち、オキソがより好ましい。
における「置換ヘテロ環チオ」の好ましい置換基としては、ヒドロキシ、アルキル、オキソ、ヒドロキシアルキル、アルカノイルが挙げられる。このうち、アルキル、アルカノイルがより好ましい。
【0054】
における「置換アルキル」の好ましい置換基としては、置換若しくは非置換ヘテロ環基、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換カルバモイル、ヒドロキシ、トリアルキルシリルオキシ、置換若しくは非置換アルキルチオ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヒドロキシイミノ、ハロゲン原子が挙げられ、より好ましくは置換若しくは非置換ヘテロ環基、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アルコキシ、ヒドロキシ、置換若しくは非置換アルキルチオ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、置換若しくは非置換ヒドロキシイミノ、ハロゲン原子であり、さらに好ましくは置換若しくは非置換ヘテロ環基、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシであり、特に好ましくは置換若しくは非置換ヘテロ環基、置換若しくは非置換アルコキシであり、さらに特に好ましくは置換若しくは非置換ヘテロ環基である。
【0055】
における「置換アルキル」の置換基である置換ヘテロ環基の好ましい置換基としては、アルキル;オキソ;アルコキシアルカノイル;アルカノイル;アルコキシ;アルカノイルアミノ;シクロアルキルカルボニルアミノ;トリ(ハロゲノ)アルカノイルアミノ;ホルミルアミノ;アルコキシカルボニルアミノ;ヒドロキシ;シクロアルキルカルボニル;トリ(ハロゲノ)アルキル;アルコキシカルボニル;ホルミル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル;アルキルスルホニル;ヘテロアリール;アルコキシカルボニルアルキル;アルカノイルオキシアルカノイル;アルコキシカルボニルカルボニル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノアルカノイル;置換若しくは非置換カルバモイル(置換基:アルキル、アルコキシから選択される1又は2の基);ヒドロキシアルカノイル;ジ(ハロゲノ)アルカノイル;置換若しくは非置換ヘテロ環カルボニル(置換基:オキソ);置換若しくは非置換ヒドロキシイミノ(置換基:アルコキシカルボニル);カルボキシル;ヒドロキシアルコキシ;アルコキシアルコキシ;ハロゲン原子;アルカノイルオキシが挙げられる。このうち、アルキル;オキソ;アルコキシアルカノイル;アルカノイル;アルコキシ;アルカノイルアミノ;シクロアルキルカルボニルアミノ;トリ(ハロゲノ)アルカノイルアミノ;ホルミルアミノ;アルコキシカルボニルアミノ;シクロアルキルカルボニル;トリ(ハロゲノ)アルキル;アルコキシカルボニル;ホルミル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル;アルキルスルホニル;ヘテロアリール;アルコキシカルボニルアルキル;アルカノイルオキシアルカノイル;アルコキシカルボニルカルボニル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノアルカノイル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル;ヒドロキシアルカノイル;ジ(ハロゲノ)アルカノイル;置換若しくは非置換ヘテロ環カルボニル(置換基:オキソ);置換若しくは非置換ヒドロキシイミノ(置換基:アルコキシカルボニル)がより好ましく、更にアルキル;オキソ;アルコキシアルカノイル;アルカノイル;ホルミル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノ;アルキルスルホニル;アルカノイルオキシアルカノイル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノアルカノイル;ヒドロキシアルカノイルがより好ましく、更にアルキル、アルカノイル、ホルミル、ヒドロキシアルカノイルがより好ましく、特にアルキル、アルカノイルが好ましい。
【0056】
における「置換アルキル」の置換基である置換アミノの好ましい置換基としては、アルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイルアルキル;置換若しくは非置換アミノアルキル(置換基:アルキル、アルカノイルから選択される1又は2の基);アルコキシアルキル;ヒドロキシアルキル;アルコキシアルカノイル;ヘテロアリール;ヘテロアリールアルキルが挙げられる。このうち、アルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイルアルキル;適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいアミノアルキル;アルコキシアルキル;ヘテロアリールがより好ましく、特にアルキルが好ましい。
【0057】
における「置換アルキル」の置換基である置換アルコキシの好ましい置換基としては、ヒドロキシ、アルコキシが挙げられる。
における「置換アルキル」の置換基である置換カルバモイルの好ましい置換基としては、アルキル、アルコキシが挙げられる。
における「置換アルキル」の置換基である置換ヘテロ環オキシの好ましい置換基としては、アルカノイル、アルキル、ホルミル、シクロアルキルカルボニル、アルコキシアルカノイル、アルキルスルホニルが挙げられる。このうち、アルカノイル、アルキルがより好ましく、特にアルカノイルが好ましい。
【0058】
における「置換アルキル」の置換基である置換ヒドロキシイミノの好ましい置換基としては、アルコキシカルボニルが挙げられる。
における「置換アルキル」の置換基である「置換又は非置換ヘテロ環基」のヘテロ環基としては、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していてもよい5〜9員の単環式、二環式のヘテロ環基が挙げられ、好ましくは適宜1〜3の窒素原子を有していてもよい4〜6員の単環式ヘテロ環基であり、具体的にはアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ペルヒドロジアゼピニル、オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピペラジニル等である。このうちより好ましくは、ピペラジニル、モルホリニルであり、特にピペラジニルが好ましい。
【0059】
における「置換アルキル」の置換基である「置換又は非置換ヘテロ環オキシ」のヘテロ環基としては、例えば酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を適宜有していてもよい5〜9員の単環式、二環式のヘテロ環基が挙げられ、好ましくは適宜1〜3の窒素原子を有していてもよい4〜6員の単環式ヘテロ環基であり、具体的にはアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ペルヒドロジアゼピニル、オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピペラジニル等である。このうちより好ましくは、ピペリジニルである。
【0060】
化合物[I]のうち、好ましい化合物としては、環Aがフェニルであり、環Tが2−チアゾリルまたは2−チアゾロピリジルであり、Rが水素原子であり、Rがシクロプロピルスルホニルまたはアルコキシアルキルスルホニルであり、R及びRが隣接する窒素原子ともにモルホリン又はピロリジンを形成しており、Rが適宜アルキル、オキソ、アルカノイル及びアルコキシアルカノイルから選択される1〜3の置換基で置換されていてもよいピペラジニル置換アルキルである、化合物が挙げられる。
【0061】
他の好ましい化合物としては、環Aがフェニルであり、環Tが2−チアゾロピリジルであり、Rが水素原子であり、Rがシクロプロピルスルホニルまたはアルコキシアルキルスルホニルであり、R及びRが隣接する窒素原子ともにモルホリン又はピロリジンを形成しており、Rが1若しくは2のアルキルで置換されていても良いアミノに置換されているアルコキシ、1若しくは2のアルキルで置換されていても良いアミノに置換されているアミノ、又は1若しくは2のアルキルで置換されていても良いアミノに置換されているアルキルアミノである化合物が挙げられる。
【0062】
本発明の化合物[I]のうちの他の好ましい具体的化合物としては、すべての実施例及び参考例のいずれかに記載の化合物が挙げられる。 さらに、各基(環A、T、R〜R、R10及びR11)の具体例としては、実施例及び参考例に具体的に示した化合物に対応したものが挙げられる。
【0063】
本発明の化合物[I]は、立体異性体の混合物、又は純粋若しくは実質的に純粋な形態の各立体異性体を包含する。例えば、本発明化合物がいずれかの炭素原子にて一つ以上の不斉中心を有する場合、化合物[I]は、エナンチオマー又はジアステレオマー又はその混合物にて存在しうる。本発明化合物は、その異性体又はその混合物を包含する。また、本発明化合物[I]が二重結合を含む場合には、幾何異性体(シス体、トランス体)が存在することができ、本発明化合物[I]がカルボニル等の不飽和結合を含む場合には、互変異性体が存在することができるが、本発明化合物は、これらすべての異性体又はその混合物を包含する。本発明の化合物[I]のヒドラゾン部分において、幾何異性体が存在し得るが、好ましくはトランス体(E体)である。
【0064】
化合物[I]の薬理的に許容し得る塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩若しくは臭化水素酸塩等の無機酸塩、又は酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩若しくはマレイン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、カルボキシル等の置換基を有する場合には、該塩としては、例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩等のアルカリ金属塩又はカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等の塩基との塩が挙げられる。本発明の化合物[I]の薬理的に許容し得る塩はまた、分子内塩を含み、化合物[I]及びその塩は、その水和物等の溶媒和物の形態であることができる。
【0065】
本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、治療的有効量の本化合物及び薬理的に許容し得る担体を含む医薬組成物に製剤化することができる。薬理的に許容し得る担体としては、希釈剤、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント又はポリビニルピロリドン)、賦形剤(乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット又はグリシン)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール又はシリカ)、崩壊剤(ジャガイモデンプン)及び湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム)等を挙げることができる。
【0066】
本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、経口的又は非経口的に投与することができ、適当な医薬製剤にて用いることができる。経口投与のための適当な医薬製剤としては、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤若しくは散剤等の固形製剤、又は液剤、懸濁剤若しくは乳剤の形態が挙げられる。非経口投与のための適当な医薬製剤としては、坐剤、又は注射用蒸留水、生理食塩水若しくはブドウ糖水溶液を用いた注射用液剤若しくは点滴製剤、又は吸入剤等が挙げられる。
【0067】
本発明の化合物[I]若しくはその薬理的に許容し得る塩又はその医薬製剤は、抗糖尿病薬及び抗高血糖薬から選択される他の1つ以上の薬剤と併用することができる。この場合において用語「併用」の概念としては、これら他の薬剤と同時に又は任意の間隔をあけて別々に投与する場合、ならびにこれら他の薬剤と一緒に製剤化して一の医薬製剤として投与する場合が挙げられる。このような他の薬剤としては、スルホニルウレア(例えばグリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミド、グリクラジド、グリソキセピド、アセトヘキサミド、グリボーンウリド、トルブタミド、トラザミド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド等)、ビグアニド(例えばメトフォルミン、フェンフォルミン、ブフォルミン等)、グルカゴン・アンタゴニスト(例えばペプチド性又は非ペプチド性グルカゴン・アンタゴニスト)、グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ミグリトール等)、インスリン感受性増強薬(例えばトログリタゾン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン等)、抗肥満薬(例えばシブトラミン、オルリスタット等)などが挙げられる。
【0068】
本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重又は病態によって異なるが、通常、1日当り約0.01〜約100mg/kgであり、好ましくは約0.1〜約10mg/kgである。
【0069】
本発明の化合物[I]は、以下の方法により製造することができる。

[式中、環A、T、R〜Rは前記定義と同じ]
化合物[II]と化合物[III]との反応は、適当な溶媒中、縮合剤の存在又は非存在下に実施することができる。縮合剤としては、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−メチル−2−ブロモピリジニウムヨージド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジフェニルホスホリルアジド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスフォニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド、フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート等をいずれも好適に用いることができる。溶媒としては、水、メタノール、イソプロパノール、エタノール、塩化メチレン、THF、DMF、ジメチルアセトアミド、クロロホルム等を単一、又は混合溶媒としていずれも好適に使用することができる。反応は-78℃〜100℃下、好ましくは-25〜25℃で好適に進行する。塩基として、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムやトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモリホリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピコリン、ルチジン等を、又、添加剤として、N-ヒドロキシスクシンイミド、又は3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N−ジメチルアミノピリジン、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール等を加えることにより、反応の進行を促進することができる。
【0070】
化合物[II]から化合物[I]への反応は、化合物[II]を酸クロリド、又は、混合酸無水物等の反応性中間体へと変換後、化合物[III]と反応させることによっても実施することができる。酸クロリドへの変換は、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン、又は四塩化炭素存在下にトリフェニルホスフィンなどを用いることで、又、混合酸無水物への変換はジフェニルホスホリルクロリド、メタンスルホニルクロリド、クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸イソブチルなどをトリエチルアミンなどの塩基の存在下に用いることで、いずれも好適に行うことができる。溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、THF、DMF等を単一、又は混合溶媒としていずれも好適に用いることができる。反応は-78℃〜100℃下、好ましくは-25〜25℃で好適に進行する。これらの反応性中間体と化合物[II]との反応は、溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、DMF等を単一、又は混合溶媒としていずれも好適に用いることができ、-78℃〜100℃下、好ましくは-25〜25℃で好適に進行する。
また、化合物[II]としてヒドラゾン部がシス体−トランス体の混合物を用いて、後述の(LL)と同様に反応させることで、化合物[I]を製造することもできる。
【0071】
化合物[II]は、以下の方法によって製造できる。

[式中、Zはハロゲン原子を表し、Zはアルコキシを表し、その他の記号は同一意味を有する。]
化合物[XI]と化合物[XII]の反応は、適当な溶媒(クロロホルム、塩化メチレン等)中、酸(塩化アルミニウム等)の存在下で実施することができる。
化合物[XIII]とヒドラジン[XV]またはその適当な酸との塩の反応は、適当な溶媒(メタノール、クロロホルム等)中、塩基共存下、又は非共存下で実施することができる。用いる塩基としてはピリジン、ピコリン、ルチジン、N,N-ジメチルアニリン、トリエチルアミン等が挙げられる。生成するヒドラゾンが、シス体−トランス体の混合物である場合は、シリカゲルカラムカラムクロマトグラフィにより分離することができ、シス体は、酸(トリフルオロ酢酸、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸等)で処理することで、所望のトランス体若しくはシス体−トランス体の混合物に変換することができる。
このようにして得られた生成物は、塩基(水酸化ナトリウム等)で処理して、Z部分を加水分解することにより、化合物〔II〕とすることができる。この際、化合物[XIV]としてヒドラゾン部がシス体−トランス体の混合物を用いて、後述の(KK)と同様に反応させることで、化合物[II]を製造することもできる。
また、化合物[XIII]は、先に塩基(水酸化ナトリウム等)で処理して、Z部分を加水分解し、[XVI]に導いたのち、ヒドラジンと[XV]と適当な溶媒(メタノール、塩化メチレン、クロロホルム、DMF等)中、塩基共存下、又は非共存下で反応させることにより、化合物〔II〕とすることができる。
化合物[XV]は、例えばOrganic Synthesis II,211(1943)、Organic Synthesis II,290(1943)、Organic Synthesis II,418(1943)、Organic Synthesis II,460(1943)、Organic Synthesis V, 893(1973), Organic Synthesis V, 542(1988)等の通常の方法により、芳香族又は脂肪族アミンをニトロソ化し還元することによって、製造できる。または、一方を保護したヒドラジンとハロゲン化ヘテロアリール又はアルキルハライドを、適当な溶媒(クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等)中、塩基存在下で反応させることにより、製造できる。
【0072】
化合物[I]は次の方法により更に変換することができる。
(A)本発明の目的化合物[I]のうち、R1〜R6及びR11上にてスルフィニル(SO)又はスルホニル(SO)を含む化合物は、対応するスルフィド化合物をスルフィニル又はスルホニル化合物に変換するための任意の常法を用いて酸化することにより製造することができる。例えば本酸化は、適当な溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、THF、メタノール、水等又はその混合溶媒)中、酸化剤で処理することにより実施することができる。酸化剤として、過酸化水素、m−クロロ安息香酸、過酢酸等の過酸類ならびにオキソン(登録商標)(「ペルオキシ硫酸水素カリウム・硫酸二カリウム・硫酸水素カリウムの混合物」デュポン社製)などの過酸を好適に用いることができ、本反応は、-78℃〜100℃にて好適に実施することができる。
【0073】
(B)目的化合物[I]のうち、R〜R上にて式:−CHN(R21)(R22
[式中、R21及びR22は、本明細書に記載の置換アミノ基の置換基であるか、またはR21及びR22は該アミノ基の窒素原子と一体となって、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から独立して選択される1〜3のヘテロ原子を有するヘテロ環基(ここに、該ヘテロ環基は置換されていてもよい)を形成する]
で示される基を有する化合物はまた、対応する部位がホルミルである化合物と、式:HN(R21)(R22
[式中、記号は前記と同一意味を有する]
で示される置換又は非置換アミン(以下の説明において、この化合物は「置換又は非置換アミン」を意味し、この置換又は非置換アミンから水素原子を除去した後の基は「置換又は非置換アミノ」を意味する)とを還元条件下にて反応させる、いわゆる「還元的アミノ化」により製造することもできる。本反応は、還元的アミノ化の任意の常法により実施することができる。例えば本反応は、適当な溶媒(メタノール、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸等又はその混合溶媒中)中-78℃〜100℃にて、還元剤(水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等)を用いることにより、好適に実施することができる。
【0074】
(C)目的化合物[I]のうち、R〜R上における窒素原子がアルカノイル、シクロアルキルカルボニル、アルコキシアルカノイル、アルカノイルオキシアルカノイル等の置換又は非置換アルカノイル(以下、単に置換又は非置換アルカノイルと称する)で置換されている化合物はまた、対応する窒素原子が非置換である化合物(例えばRがピペラジニルメチル、ピペラジニルカルボニル又はピペラジニルスルホニルである化合物等)のアルカノイル化により製造することもできる。該アルカノイル化は、ペプチド合成等に通常用いられるアミド形成の任意の常法を用いることにより製造することができる。例えば該アルカノイル化は、適当な溶媒(塩化メチレン、THF、DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、クロロホルム又はその混合溶媒)中、塩基(トリエチルアミン、ピリジン等)の存在下又は非存在下、-78℃から100℃にて酸塩化物、酸無水物又はエステルを用いることにより好適に実施することができる。本反応はまた、例えば適当な溶媒中、縮合剤の存在下又は非存在下にて実施することもできる。縮合剤として、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−メチル−2−ブロモピリジニウムヨージド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジフェニルホスホリルアジド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド、フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート等をいずれも好適に用いることができる。溶媒として、水、メタノール、イソプロパノール、エタノール、塩化メチレン、THF、DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、クロロホルム等を単一又は混合溶媒としていずれも好適に用いることができる。本反応は、好ましくは-78℃〜100℃、より好ましくは-25℃〜25℃にて進行する。塩基として、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピコリン、ルチジン等を加え、添加剤として、N−ヒドロキシスクシンイミド又は3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等を加えることにより、本反応の進行を促進することができる。
【0075】
(D)目的化合物[I]のうち、R〜R上にて置換又は非置換アミノカルボニル、すなわち置換又は非置換カルバモイルを有する化合物は、対応する部位がカルボキシである化合物と置換又は非置換アミンとを反応させることにより製造することができる。本反応は上記(C)の反応と同様に実施することができる。
(E)目的化合物[I]のうち、R又はRが置換若しくは非置換アルコキシメチル又は置換若しくは非置換ヘテロアリールメチルを有する化合物はまた、対応する部位がヒドロキシメチルである化合物を任意のエステル化の常法にてアルカノイルメチル、好ましくはアセチルオキシメチルに変換した後、置換又は非置換アルカノール、シクロアルカノール、アルキルチオ、又はヒドロキシル基を有するヘテロ環化合物、又は窒素原子上に水素原子を有する置換若しくは非置換ヘテロアリール化合物、例えばピラゾール等を縮合させることにより製造することもできる。本縮合反応は、無溶媒又は適当な溶媒(THF、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ベンゼン等)中、酸(p−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等)の存在下又は非存在下-78℃〜200℃にて、より好ましくは25℃〜100℃にて好適に実施することができる。
【0076】
(F)目的化合物[I]のうち、R〜R上にヒドロキシメチルを有する化合物は、ホルミルをアルコールに還元する任意の常法にて、対応する部位がホルミルである化合物を還元することにより製造することができる。例えば本反応は、適当な溶媒(メタノール、エタノール、塩化メチレン、クロロホルム、ジオキサン、THF等)中、還元剤(水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、ジボラン、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム等)を-78℃〜100℃にて用いることにより好適に実施することができる。
(G)目的化合物[I]のうち、R〜R上にカルボキシルを有する化合物は、ホルミルをカルボキシルに酸化する任意の常法にて、対応する部位がホルミルである化合物を酸化することにより製造することができる。該酸化は、例えば適当な溶媒(DMF、ジメチルスルホキシド、アセトン、t−ブタノール、水、塩化メチレン、クロロホルム等)中、酸化剤(亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、二クロム酸ピリジニウム等)を-78℃〜100℃にて用いることにより好適に実施することができる。
【0077】
(H)目的化合物[I]のうち、R〜R上にアルコキシカルボニルを有する化合物はまた、カルボキシルをアルコキシカルボニルにエステル化する任意の常法にて、対応する部位がカルボキシルである化合物をエステル化することにより製造することもできる。該エステル化は、例えば適当な溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等)中、酸(硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸)を-78℃〜200℃にて、より好ましくは0℃〜100℃にて用いることにより好適に実施することができる。
さらに、エステル化はまた、適当な溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、THF、ジオキサン等)中、ハロゲン化剤(塩化オキサリル、塩化チオニル等)を用いて、カルボキシル化合物を酸ハライド体等の反応中間体に変換した後、アルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)を-78℃〜200℃にて用いることにより実施することもできる。
【0078】
(I)目的化合物[I]のうち、R〜R上にカルボキシルを有する化合物はまた、エステル加水分解の任意の常法にて、対応する部位がアルコキシカルボニルである化合物を加水分解することにより製造することもできる。該加水分解は、適当な溶媒(メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒又はジオキサン、THF、水等又はその混合溶媒)中、塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム等)を-78℃〜200℃にて、より好ましくは0℃〜100℃にて用いることにより好適に実施することができる。
さらに、加水分解はまた、適当な溶媒(THF、ジオキサン、酢酸、水等又はその混合溶媒)中、酸(硫酸、塩酸等)を-78℃〜200℃にて用いることにより好適に実施することもできる。
【0079】
(J)目的化合物[I]のうち、R〜R上にホルミルを有する化合物はまた、カルボキシルをアルデヒドに還元する任意の常法にて、対応する部位がカルボキシルである化合物から製造することもできる。本反応は、適当な溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、THF等又はその混合溶媒)中、ハロゲン化剤(塩化オキサリル、塩化チオニル等)を用いて酸ハライドを合成した後、該酸ハライドを水素雰囲気下-78℃〜200℃にて金属触媒(パラジウム炭素、二酸化白金等)で還元することにより好適に実施することができる。
(K)目的化合物[I]のうち、R〜R上にヒドロキシメチルを有する化合物は、エステル又はカルボン酸のアルコールへの還元反応の任意の常法を用いることにより製造することができる。例えば本反応は、適当な溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、THF等)中、-78℃〜200℃にて対応するカルボキシル又はアルコキシカルボニルを還元剤(水素化ホウ素ナトリウム、ジボラン、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等)で処理することにより好適に実施することができる。
【0080】
(L)目的化合物[I]のうち、R〜R上にカルボキシルを有する化合物は、第一級アルコールのカルボン酸への酸化の常法を用いることにより製造することができる。例えば本反応は、適当な溶媒(塩化メチレン、アセトン、クロロホルム、DMF等)中、例えば0℃〜100℃にて、対応する部位がヒドロキシメチルである化合物を酸化剤(三酸化クロム、二クロム酸ピリジニウム等)で処理することにより好適に実施することができる。
【0081】
(M)目的化合物[I]のうち、R〜R上にアミノを有する化合物は、ニトロのアミンへの還元の任意の常法を用いることにより製造することができる。例えば本反応は、適当な溶媒(メタノール、エタノール、DMF、THF、ジオキサン等)中、水素雰囲気下-78℃〜200℃にて、対応する部位がニトロである化合物を金属触媒(パラジウム炭素、二酸化白金等)で処理することにより実施することができる。
さらに、本工程はまた、適当な溶媒(メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒又は塩化メチレン、クロロホルム、THF、ジオキサン、酢酸、水等又はその混合溶媒)中-78℃〜200℃にて、より好ましくは0℃〜100℃にて還元剤(塩化第一スズ、鉄、亜鉛等)を用いることにより好適に実施することもできる。
【0082】
(N)目的化合物[I]のうち、R〜R上にハロゲノスルホニルを有する化合物は、対応する部位がアミノである化合物をいわゆるSandmayer反応条件下反応させて、ジアゾニウム塩を経由してハロゲノスルホニル化することにより製造することができる。ジアゾニウム塩の形成は、例えば適当な溶媒(水、塩化メチレン、クロロホルム、THF等又はその混合溶媒)中、適当な酸(塩酸、硫酸等)及び/又は添加剤(塩化第二銅等)の存在下又は非存在下-78℃〜200℃にて酸化剤(亜硝酸ナトリウム、亜硝酸イソアミル、亜硝酸−t−ブチル等)を用いることにより好適に実施することができる。続くハロゲノスルホニル化は、後述の(MM)を参考にすることにより実施することができる。
【0083】
(O)目的化合物[I]のうち、R〜R上に置換又は非置換アミノスルホニルを有する化合物はまた、対応する部位がハロゲノスルホニルである化合物と置換又は非置換アミンとを反応させることにより製造することもできる。本反応は、適当な溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、THF、ジオキサン、水等)中、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等)の存在下、又は非存在下-78℃〜200℃にて好適に実施することができる。
(P)目的化合物[I]のうち、R〜R上にアルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロ環チオを有する化合物はまた、例えば文献(Young R. N., et al., Tetrahedron Lett., 1984, 25(17), 1753.)に記載と同様の方法にて、対応する部位がメチルスルフィニルである化合物をチオールに変換した後、塩基(水素化ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等)存在下又は非存在下、アルキル化剤(ハロアルキル、ハロシクロアルキル、ハロヘテロ環化合物、アルキルメシレート、シクロアルキルメシレート、ヘテロ環メシレート、アルキルトシレート、シクロアルキルトシレート、ヘテロ環トシレート等)と反応させることにより製造することもできる。
【0084】
(Q)目的化合物[I]のうち、R〜R上に置換又は非置換アルカノイルアミノを有する化合物はまた、対応する部位がアミノである化合物をアルカノイル化することにより製造することもできる。該アルカノイル化は上記(C)の反応と同様に実施することができる。また、該アルカノイル化は、対応する部位が第2級アミンならびに第1級アミンである化合物にて実施することができる。
(R)目的化合物[I]のうち、R〜R上にアルキルスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ヘテロ環スルホニルアミノ等の置換スルホニルアミノを有する化合物はまた、対応する部位がアミノである化合物をスルホニル化することにより製造することもできる。該スルホニル化は、適当な溶媒(水、THF、塩化メチレン、クロロホルム等)中、塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等)の存在下又は非存在下-78℃〜200℃にて実施することができる。また、該スルホニル化は、対応する部位が第2級アミンならびに第1級アミンである化合物にて実施することができる。
【0085】
(S)目的化合物[I]のうち、R〜R上に第2級アルコールを有する化合物は、ケトンを第2級アルコールに変換する任意の常法を用いることにより製造することができる。例えば本反応は、対応するオキソを有する化合物を上記(K)の反応と同様に実施することができる。
【0086】
(T)目的化合物[I]のうち、R〜R上にオキソを有する化合物は、第2級アルコールをケトンに変換する任意の常法を用いることにより製造することができる。例えば本反応は、適当な溶媒(ジメチルスルホキシド、クロロホルム、塩化メチレン等)中、塩化オキサリル等の活性化剤を用いたジメチルスルホキシド酸化(Swern酸化)によるか、又は塩基(トリエチルアミン等)の存在下若しくは非存在下、酸化剤(活性化二酸化マンガン、三酸化硫黄−ピリジン錯体、1−ヒドロキシ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン−1−オキシド、1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン、クロロクロム酸ピリジニウム、二クロム酸ピリジニウム等)を用いることにより、実施することができる。
【0087】
(U)目的化合物[I]のうち、R〜R上に第2級アルコールを有する化合物は、ホルミルを有する化合物を第2級アルコールに変換する任意の常法を用いることにより製造することができる。例えば本反応は、適当な溶媒(THF、トルエン、ジエチルエーテル等)中、-78℃〜100℃にて、対応するホルミル体及び金属試薬(アルキルマグネシウムハライド、アルキルリチウム、ジアルキル亜鉛等)を用いることにより好適に実施することができる。
【0088】
(V)目的化合物[I]のうち、R〜R上にヒドロキシアミジノを有する化合物は、シアノ基をヒドロキシアミジノ基に変換する任意の常法を用いることにより製造することができる。例えば本反応は、対応するシアノを有する化合物とヒドロキシルアミン(又はその適当な酸との塩)とを、適当な溶媒(水、メタノール、エタノール等又はその混合溶媒)中、0℃〜100℃にて塩基(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムt−ブトキシド、トリエチルアミン、ピリジン等)の存在下又は非存在下、反応させることにより、好適に実施することができる。
【0089】
(W)目的化合物[I]のうち、R〜R上に非置換カルバモイルを有する化合物は、シアノ基を非置換カルバモイル基に変換する任意の常法を用いることにより製造することができる。例えば本反応は、対応するシアノを有する化合物を、適当な溶媒(水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、又はその混合溶媒)中、-20℃〜100℃にて塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムt−ブトキシド等)で処理することにより、好適に実施することができる。
(X)目的化合物[I]のうち、R〜R上に第3級アルコールを有する化合物は、例えば上記(U)の条件下、対応するオキソを有する化合物を反応させることにより製造することができる。
【0090】
(Y)目的化合物[I]のうち、R〜R上に光学活性な第2級アルコールを有する化合物の製造は、第2級アルコール化合物を酵素的トランスエステル化法にて分割する任意の常法を用いることにより実施することができる。例えば本製造は、適当な溶媒(t−ブチルメチルエーテル、ヘキサン、ジイソプロピルエーテル、THF、ジエチルエーテル、水等)中、-78℃〜100℃にて、対応するラセミの第2級アルコール体を酵素(リパーゼPS等)存在下、アシル供与体(ビニル酢酸等)で処理することにより、好適に実施することができる。
【0091】
(Z)目的化合物[I]のうち、R〜R上にアルキルを有する化合物の製造は、いわゆる接触水素化法を用いることにより実施することができる。例えば本化合物は、適当な溶媒(メタノール、エタノール、DMF、THF、酢酸等又はその混合溶媒)中、0℃〜200℃にて水素雰囲気下、対応するアルケニルを有する化合物を金属触媒(パラジウム炭素、二酸化白金等)で処理することにより、好適に製造することができる。
(AA)目的化合物[I]のうち、R〜R上に1,2−ジオールを有する化合物の製造は、例えば適当な溶媒(水、アセトン、THF、アセトニトリル、酢酸エチル等又はその混合溶媒)中、0℃〜100℃にて、対応するアルケニルを有する化合物を酸化剤(四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、過ヨウ素酸ナトリウム等)で処理することにより、好適に実施することができる。
【0092】
(BB)目的化合物[I]のうち、R〜R上にハロゲン原子を有する化合物の製造は、アルコールをハロゲン化する任意の常法を用いることにより実施することができる。例えば本製造は、適当な溶媒(塩化メチレン、クロロホルム等)中、0℃〜100℃にて、対応するアルコール体をトリフェニルホスフィン存在下、四臭化炭素で処理することにより、好適に実施することができる。
(CC)目的化合物[I]のうち、R、R、R又はR上に非置換及び置換アルキルチオ、ヘテロアリールチオ又はアリールチオを有する化合物の製造は、チオール体をハロゲン化アリール、ハロゲン化ヘテロアリール、アリールトリフラート又はヘテロアリールトリフラートとカップリングさせる任意の常法を用いることにより実施することができる。例えば本製造は、適当な溶媒(ジオキサン、トルエン、THF、1,2−ジメトキシエタン等又はその混合溶媒)中、塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等)存在下、又は非存在下0℃〜200℃にて、金属触媒(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等)存在下、対応するハロゲン原子またはトリフラートを有する化合物をチオール(ヒドロキシアルキルチオール、ジアルキルアミノアルキルチオール等)で処理することにより、好適に実施することができる。
【0093】
(DD)目的化合物[I]のうち、R〜R上にモノ置換又はジ置換アルキルアミノを有する化合物の製造は、例えば適当な溶媒(メタノール、エタノール、ジオキサン、トルエン、THF、1,2−ジメトキシエタン等)中、塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等)存在下、又は非存在下0℃〜200℃にて、対応するハロアルキルを有する化合物をモノ置換又はジ置換アルキルアミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン等)で処理することにより好適に実施することができる。またジメチルアミノを有する化合物は、適当な溶媒(メタノール、エタノール、ジオキサン、トルエン、THF、1,2−ジメトキシエタン等)中0℃〜200℃にて、対応するハロアルキルを有する化合物をN−(トリメチルシリル)ジメチルアミンで処理することにより、好適に製造することができる。
【0094】
(EE)目的化合物[I]のうち、R、R、R又はR上にアルキニルを有する化合物の製造は、ハロゲン化アリール、ハロゲン化ヘテロアリール、アリールトリフラート又はヘテロアリールトリフラートとアルキンを有する化合物とのいわゆる薗頭カップリング反応の任意の常法を用いることにより実施することができる。例えば本製造は、適当な溶媒(ジオキサン、トルエン、THF、1,2−ジメトキシエタン等)中、塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等)及び/又は銅塩(例えばヨウ化第一銅)存在下、又は非存在下0℃〜200℃にて、金属触媒(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等)存在下、対応するハロゲン原子を有する化合物をアルキン(プロパルギルアルコール、N,N−ジメチルプロパルギルアミン等)で処理することにより、好適に実施することができる。
【0095】
(FF)目的化合物[I]のうち、R〜R上にテトラゾリルを有する化合物の製造は、シアノ基をテトラゾリル基に変換する任意の常法を用いることにより実施することができる。例えば本製造は、適当な溶媒(メタノール、エタノール、DMF、ジオキサン、トルエン、THF、1,2−ジメトキシエタン等)中、塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等)又は塩(トリエチルアミン塩酸塩等)存在下、又は非存在下0℃〜200℃にて、対応するシアノを有する化合物をアジ化金属(アジ化ナトリウム、アジ化トリブチルスズ、アジ化トリメチルシリル)で処理することにより好適に実施することができる。
(GG)目的化合物[I]のうち、R〜R上にO−アルコキシカルボニルヒドロキシイミンを有する化合物の製造は、適当な溶媒(DMF、ジオキサン、トルエン、THF、1,2−ジメトキシエタン等)又は無溶媒中、塩基(ピリジン、トリエチルアミン等)存在下、又は非存在下0℃〜200℃にて、対応するヒドロキシイミンを有する化合物をクロロ炭酸アルキル(クロロ炭酸エチル等)で処理することにより好適に実施することができる。
【0096】
(HH)目的化合物[I]のうち、R、R、R又はR上にアリール又はヘテロアリールを有する化合物の製造は、いわゆるスティルカップリング又は鈴木カップリング反応の任意の常法を用いることにより実施することができる。例えば本製造は、適当な溶媒(ジオキサン、トルエン、THF、1,2−ジメトキシエタン等又はその混合溶媒)中、塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ナトリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム等)存在下、又は非存在下0℃〜200℃にて、金属触媒(例えばジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、酢酸パラジウム等)存在下、対応するハロアリールを有する化合物をアリールトリアルキルスズ、ヘテロアリールトリアルキルスズ、アリールジヒドロキシボラン、ヘテロアリールジヒドロキシボラン、アリールカテコールボラン、ヘテロアリールカテコールボラン等で処理することにより、好適に実施することができる。
【0097】
(II)上記の各々の反応において、保護基を、適宜導入するか、又は除去して、最終的に所望の化合物[I]を得ることができる。かかる保護基の導入及び除去の方法は、Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition(Theodora W. Green and Peter G. Wuts)の記載に準じて、実施することができる。
(JJ)あるいは、本化合物[I]はまた、その製造の各工程における適当な段階にて、化合物[II]〜化合物[XVI]について上記(A)〜(II)の任意の反応を適宜実施することにより、合成することもできる。
【0098】
(KK)

[式中、Cyは有機環状基(例えば、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、又は置換若しくは非置換のヘテロ環)を表し、Alkylはアルキルを表し、R、及びRはそれぞれ独立して有機基を表すか、あるいは、R及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって環状の有機基を形成する。]
シス体(ヒドラゾン部とカルボキシル基又はアルコキシカルボニル基の位置関係がシスである化合物。以下、この項で同じ)−トランス体の混合物である化合物[XIVa]を、トランス体の反応速度が、シス体の反応速度より速い事を利用し、選択的に加水分解することによりトランス体化合物である[E−IIa]を得ることができる。加水分解の条件としては、アルカリ加水分解が好ましい。アルカリ加水分解の条件としては、塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム等のような、水酸化アルカリ金属、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムのような水酸化アルカリ土類金属が好ましく、溶媒はメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒又はジオキサン、THF、水等又はその混合溶媒が好ましい。反応温度は-78℃〜200℃にて行え、好ましくは-20℃〜100℃、より好ましくは0℃〜25℃が好ましい。反応時間は、10分間から7日間で行え、好ましくは1時間から48時間、より好ましくは1時間から24時間反応させるか、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等でモニタリングし反応時間を決めるのが好ましい。Cyは、R及びRを有する環Aが好ましい。R及びRは、好ましくは、それぞれR及びRである。[Z−XIVa]と[E−XIIa]は転溶、又はイオン交換樹脂若しくはカラムクロマトグラフィーによる精製等で、良好に分離できる。
なお、本方法に従って、化合物[II]も製造できる。
【0099】
(LL)

[式中、Waは水素又は有機基(置換若しくは非置換のアルキル等)を表し、Wbは水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、又は置換若しくは非置換のヘテロ環を表し、R、及びRはそれぞれ独立して有機基を表すか、あるいは、R及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって環状の有機基を形成し、その他の記号は同一意味を有する。]
シス体(ヒドラゾン部とカルボキシル基又は置換若しくは非置換のカルバモイル基の位置関係がシスである化合物。以下、この項で同じ)−トランス体の混合物である化合物[IIa]を、トランス体の反応速度が、シス体の反応速度より速い事を利用し、選択的にアミド化反応を行うことによりトランス体化合物である[E−Ia]を得ることができる。アミド化反応は常法により行え、好ましくは(C)に記載した方法が挙げられる。反応時間は、10分間から7日間で行え、好ましくは1時間から48時間、より好ましくは1時間から24時間反応させるか、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等でモニタリングし反応時間を決めるのが好ましい。Cyは、R及びRを有する環Aが好ましい。Waは好ましくはアルキル又は水素であり、水素が特に好ましい。Wbは好ましくはR及びRを有する環Tである。R及びRは、好ましくは、それぞれR及びRである。[Z−IIa]と[E−Ia]は転溶、又はイオン交換樹脂若しくはカラムクロマトグラフィーによる精製等で、良好に分離できる。
なお、本方法に従って、化合物[I]も製造できる。
【0100】
(MM)アリールジアゾニウム又はヘテロアリールジアゾニウムの塩に添加剤(塩化第二銅等)の存在下、ハロゲノスルホニル化剤(二酸化硫黄、亜硫酸水素ナトリウム等ような亜硝酸アルカリ金属塩、亜硝酸水素アルカリ金属、亜硝酸アルカリ土類金属塩)を反応させることにより、ハロゲノスルホニルアリール又はハロゲノスルホニルヘテロアリールに変換できる。ハロゲノスルホニル化剤として、亜硝酸塩(亜硝酸アルカリ金属塩、亜硝酸水素アルカリ金属、亜硝酸アルカリ土類金属塩など)を用いた場合、秤量が容易となるため、好ましい。反応溶媒としては、塩酸、臭化水素酸、及びヨウ化水素酸から選ばれる酸が好ましく、適宜、酢酸、硫酸、水、THF、酢酸エチル等又はその混合溶媒等を混合することができる。反応温度は-78℃〜200℃で実施でき、好ましくは-20℃〜100℃、より好ましくは-20℃〜30℃が好ましい。アリールアミン若しくはヘテロアリールアミン、又はその塩より、(N)に従って生成できるアリールジアゾニウム塩、又はヘテロアリールジアゾニウム塩の反応液に対して、ハロゲノスルホニル化剤及び添加剤を加えても実施できる。なお、(MM)における、アリール及びヘテロアリールは置換基を1〜5個有しても良い。

実験例
【0101】
グルコキナーゼ活性化作用
グルコキナーゼ活性は、生成したグルコース-6-リン酸を直接測定するのではなく、グルコース-6-リン酸が共役酵素であるグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼにより6-ホスホグルコン酸が生成する際に生じるNADPH量を測定することにより調べた。グルコキナーゼ酵素は、E.Coliで発現させたヒト肝臓型GST-GKを使用した。活性測定は以下の手順で行った。すなわち、反応液として、30 mM MgCl2, 30 mM KCl, 1 mM DTT, 5 mM NADP (Nacalai),0.7 mU/mL G6PDH (Roche 737-232 grade II from yeast), 0.17 μL/mL GST-GKを含む30 mM HEPES buffer (pH7.4)を作製した。評価化合物をDMSOに溶解し、最終濃度が0.01〜100 μM (5% DMSO)になるように反応液に加えた。基質としてグルコース(最終濃度 5mM)を加え、ATP (最終濃度 5 mM)を添加して反応を開始させた。反応温度は30℃とし、340 nmの吸光度の変化でNADPHの生成をモニターした。反応開始から10分間の吸光度の増加を測定し、ブランク補正したものをGK活性(mOD/min)とした。各濃度の評価化合物添加時のGK活性値よりEC50値を算出した。
【0102】

【0103】
本発明の化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩は、優れたグルコキナーゼ活性化作用を有するため、グルコキナーゼが関与する疾患、例えば糖尿病、特にII型糖尿病、又は網膜症、腎症、神経症、虚血性心疾患若しくは動脈硬化等の糖尿病の慢性合併症、更には肥満の予防又は治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0104】
実施例及び参考例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、APCIは大気圧化学イオン化マススペクトル(atmospheric pressure chemical ionization mass spectrum)を、ESIはエレクトロスプレーイオン化マススペクトル(electrospray ionization mass spectrum)を表す。本明細書において、THFはテトラヒドロフランを、DMFはジメチルホルムアミドを、DMSOはジメチルスルホキシドをそれぞれ表す。実施例中、Meはメチル基、Etはエチル基、Acはアセチル基、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。
【実施例】
【0105】
実施例1

(1)塩化アルミニウム67.0 g(503 mmol)の塩化メチレン溶液(380 ml)に塩化グリオキシル酸メチル48.9 g(399 mmol)を氷冷下加え、そのまま30分攪拌後、シクロプロピルフェニルスルフィド(1−A)50 g(333 mmol)の塩化メチレン溶液(60 ml)を加えた後、氷冷浴を外し室温で1.5時間攪拌した。反応液を氷に注いだ後、塩化メチレン層を分液、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をヘキサンで結晶化させることにより、化合物(1−B)69.5 g(収率88%)を淡黄色結晶として得た。MS(m/z)APCI:237[M+H]+
【0106】
(2)上記の化合物(1−B)57.0 g(241 mmol)のメタノール:THF(1:1)溶液(1480 ml)に、氷冷下オキソンTM 178 g(289 mmol)の水溶液(513 ml)を滴下後、同温で1時間、氷浴を外し、室温でさらに12時間攪拌した。不溶物を濾去後、減圧下濃縮、残渣を酢酸エチルに溶解し、水、飽和食塩水で順次洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテルから再結晶することにより、化合物(1−C)44.3 g(収率69%)を淡黄色結晶として得た。MS(m/z)APCI:286[M+H]+
【0107】
(3)上記の化合物(1−C)16.7 g(62.1 mmol)、アミノピロリジン塩酸塩9.89 g(80.7 mmol)、及びピリジン8.37 ml(99.3 mmol)のメタノール溶液(160 ml)を65℃で6時間、更に室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮して得られた残渣に酢酸エチル続いて、飽和重曹水を加えた。有機層を分取後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶出溶媒として酢酸エチル用いたNHシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。溶出液を減圧下、濃縮して得えられた残渣にトルエンを加え、残留したピリジンを減圧下共沸することによって除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(50〜67%酢酸エチル−ヘキサン)することにより、化合物(1−D)(E:Z=5:1)10.4 g(収率50%)を淡黄色固体として得た。
【0108】
(4)上記の化合物(1−D)16.7 g(49.8 mmol)のメタノール溶液(250 ml)に、氷冷下2N水酸化ナトリウム水溶液99.5 ml(199 mmol)を加え、同温で1時間、更に室温で26時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮して得られた残渣に、ジエチルエーテル(700 ml)及び水(300 ml)を加えた。水層を分取後、有機層を水(300 ml)で更に抽出した。併せた水層に注意深く2N塩酸(99.5 ml)を加え、クロロホルムで3回抽出した。水層に更に2N塩酸(20 ml)を加え、クロロホルムで2回抽出した。併せた抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮して得られた粗結晶をTHF−ジエチルエーテル中粉砕し、ろ取することにより、化合物(1−E)(E−異性体)14.2 g(収率87%)を無色結晶として得た。MS(m/z)ESI:321[M-H]-
【0109】
(5)上記の化合物(1−E)42 mg(0.13 mmol)、5−メトキシ[1,3]チアゾール[5,4−b]ピリジン−2−アミン72 mg(0.40 mmol)、及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン37 mg(0.27 mmol)のクロロホルム溶液(2 ml)に、室温下、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩28.6 g(184 mmol)のクロロホルム溶液(0.54 ml)を加え、同温で終夜攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、10分間激しく撹拌した。有機層を分取後、減圧下濃縮した。得られた残渣をメタノール−THF−DMSO−ジエチルエーテル中粉砕後、ろ取し、ジエチルエーテルで洗浄することにより、化合物(1−F)41 mg(収率65%)を無色固体として得た。
MS(m/z)APCI:486[M+H]+
【0110】
実施例2

(1)化合物(1−C2)10.0 g(35.4 mmol)の16%塩酸(100ml)溶液を24時間加熱還流した。冷却後、反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をトルエン中で粉砕することにより、化合物(2−A)9.0 g(定量的)を無色固体として得た。MS(m/z)ESI:253[M-H]-
【0111】
(2)化合物(2−A)2.54 g(9.99 mmol)及び4−アミノモルホリン1.02 g(9.99 mmol)の塩化メチレン溶液を3時間室温で撹拌した。反応液を減圧下濃縮後、得られた残渣を塩化メチレン−ジエチルエーテル中で結晶化することにより、化合物(2−B)(E:Z=4.2:1)2.32 g(収率69%)を無色結晶として得た。MS(m/z)ESI:337[M-H]-
(3)化合物(2−B)169 mg(0.50 mmol)、2−アミノ−5−フルオロチアゾール塩酸塩231 mg(1.50 mmol)、及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン91 mg(0.75 mmol)の塩化メチレン溶液に室温下、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 0.136 ml(0.75 mmol)を加え、同温で24時間撹拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(2〜10%メタノール含有クロロホルム)することにより、化合物(2−C)(E−異性体)65 mg(収率30%)を無色固体として得た。MS(m/z)APCI:439[M+H]+
【0112】
本明細書記載の合成方法、及び実施例と同様の方法により処理して、以下の化合物を得た。
【0113】

【0114】
実施例6

MS(m/z)APCI:413/415[M+H]+
【0115】

【0116】
実施例13

MS(m/z)APCI:431[M+H]+
【0117】
実施例14

MS(m/z)APCI:380[M+H]+
【0118】

【0119】
実施例27

MS(m/z)APCI:567[M+H]+
【0120】
実施例28

MS(m/z)ESI:406[M+H]+
【0121】
実施例29

MS(m/z)APCI:406[M+H]+
【0122】
実施例30

MS(m/z)APCI:453/455[M+H]+
【0123】

【0124】
実施例36

MS(m/z)APCI:397/399[M+H]+
【0125】
実施例37

MS(m/z)APCI:401[M+H]
【0126】

【0127】

【0128】
実施例49

MS(m/z)APCI:422[M+H]+
【0129】

【0130】

【0131】
実施例58

MS(m/z)APCI:477[M+H]+
【0132】
実施例59

MS(m/z)ESI:540[M+H]+
【0133】
実施例60

MS(m/z)ESI:504[M+H]+
【0134】
実施例61

MS(m/z)ESI:420[M+H]+
【0135】
実施例62

MS(m/z)ESI:450[M+H]+
【0136】
実施例63

MS(m/z)ESI:498[M+H]+
【0137】
実施例64

MS(m/z)ESI:512[M+H]+
【0138】
実施例65

MS(m/z)APCI:564[M+H]+
【0139】
実施例66

MS(m/z)APCI:451[M+H]+
【0140】
実施例67

MS(m/z)APCI:394/396[M+H]+
【0141】
実施例68

【0142】
実施例58の化合物1.90 g(3.99 mmol)のエタノール溶液(20 ml)に1N水酸化ナトリウム水溶液(5 ml)を加え、室温で、24時間撹拌した。反応混合物を2N塩酸(10 ml)で酸性とし、析出物をろ取することにより上記化合物1.73 g(収率97%)を無色固体として得た。MS(m/z)APCI:449[M+H]+
【0143】
実施例69

実施例68の化合物100 mg(0.223 mmol)のTHF(5 ml)溶液に、0℃でN−メチルモルホリン37.0μl(0.337 mmol)及びクロロギ酸イソブチル43.5μl(0.337 mmol)を順次加え、同温で30分間撹拌した。更に、2NジメチルアミンのTHF溶液335μl(0.670 mmol)を加え、同温で1時間、室温で40時間撹拌した。反応混合物に水(2 ml)を加え、クロロホルムを溶出溶媒として用いChem Elut(VARIAN社)でろ過した。併せた溶出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製(3〜10%メタノール−クロロホルム)することにより、上記化合物46 mg(収率45%)を淡黄色固体として得た。MS(m/z)APCI:462[M+H]+
【0144】
実施例70

実施例68の化合物100 mg(0.223 mmol)、2−(4−モルホリニル)エチルアミン44μl(0.335 mmol)、及び1−ハイドロキシベンゾトリアゾール52 mg(0.391 mmol)の塩化メチレン(5 ml)溶液に、0℃下、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド59μl(0.34 mmol)を加え、同温で10分間、更に室温で3時間撹拌した。反応混合物に水(500μl)を加え、酢酸エチル(30 ml)を溶出溶媒として用いChem Elut(VARIAN社)及びBond Elut JR-NH2(VARIAN社)を通してろ過した。併せた溶出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(3〜10%メタノール−クロロホルム)することにより、上記化合物89 mg(収率72%)を無色固体として得た。MS(m/z)APCI:561[M+H]+
【0145】
本明細書記載の合成方法、及び実施例と同様の方法により処理して、以下の化合物を得た。
【0146】

【0147】

【0148】

【0149】
実施例113

MS(m/z)APCI:534[M+H]+
【0150】
実施例114

MS(m/z)APCI:518[M+H]+
【0151】
実施例115

MS(m/z)APCI:550[M+H]+
【0152】
実施例116

MS(m/z)APCI:566[M+H]+
【0153】
実施例117

実施例10の化合物50 mg(0.12 mmol)のメタノール(1 ml)溶液に、0℃で水素化ホウ素ナトリウム23 mg(0.37 mmol)を加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物にアセトン(1 ml)を加え、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(2〜10%メタノール−クロロホルム)することにより、上記化合物46 mg(収率92%)を無色固体として得た。MS(m/z)APCI:409[M+H]+
【0154】
実施例118

対応原料化合物を実施例117と同様に処理して、上記化合物を無色固体として得た。MS(m/z)APCI:435[M+H]+
【0155】
実施例119

実施例18の化合物212 mg(0.49 mmol)及び1−メチルピペラジン66μl(0.594 mmol)の塩化メチレン(10 ml)溶液に、0℃でトリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム156 mg(0.736 mmol)を加え、同温で5分間、室温で4時間撹拌した。反応混合物に、更に1−メチルピペラジン66 μl(0.594 mmol)及び0℃でトリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム156 mg(0.736 mmol)を順次加え、室温で18時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2 ml)を加え、室温で10分間激しく撹拌した。反応混合物をChem Elut(VARIAN社)に通し、20%メタノール−クロロホルム混合溶媒(30 ml)で溶出した。併せた溶出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(9.1%メタノール−クロロホルム)し、エタノールで洗浄することにより、上記化合物141 mg(収率56%)を無色固体として得た。MS(m/z)APCI:517[M+H]+
【0156】
本明細書記載の合成方法、及び実施例と同様の方法により処理して、以下の化合物を得た。
【0157】

【0158】

【0159】

【0160】

【0161】

【0162】
実施例154

実施例132の化合物313 mg(0.52 mmol)の1,4−ジオキサン(5 ml)懸濁液に、室温下、4N塩化水素ジオキサン溶液(5 ml)を加えて、同温で24時間激しく撹拌した。反応混合物に水(10 ml)を加えて希釈し、クロロホルム(20 ml)で洗浄した。水層に10%炭酸ナトリウム水溶液(10 ml)を加え塩基性とし、クロロホルム(20 ml)で3回抽出した。併せたクロロホルム層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣を酢酸エチル(10 ml)−ジエチルエーテル(20 ml)の混合溶媒中で粉砕し、ろ取することにより上記化合物208 mg(収率80%)を淡黄色固体として得た。MS(m/z)APCI:503[M+H]+
【0163】
本明細書記載の合成方法、及び実施例と同様の方法により処理して、以下の化合物を得た。
【0164】
実施例155

MS(m/z)APCI:460[M+H]+
【0165】
実施例156

MS(m/z)APCI:517[M+H]+
【0166】
実施例157

実施例154の化合物の3塩酸塩(中和する前の粗成生物)60 mg(0.098 mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン77μl(0.44 mmol)のクロロホルム(3 ml)溶液に、氷冷下プロピオニルクロライド12μl(0.13 mmol)を加え、同温で1時間、室温で6時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1 ml)を加え、室温で1時間撹拌した。硫酸ナトリウムで乾燥し、Bond Elut JR-NH2(VARIAN社)に通して酢酸エチル、及び9%メタノール−クロロホルム混合溶媒で溶出した。併せた溶出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(0〜10%メタノール−クロロホルム)することにより上記化合物48 mg(収率88%)を無色固体として得た。MS(m/z)APCI:559[M+H]+
【0167】
本明細書記載の合成方法、及び実施例と同様の方法により処理して、以下の化合物を得た。
【0168】

【0169】
実施例162

MS(m/z)APCI:559[M+H]+
【0170】
実施例163

MS(m/z)APCI:557[M+H]+
【0171】
実施例164

実施例154の化合物の3塩酸塩(中和する前の粗生成物)60 mg(0.098 mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン154μl(0.98 mmol)のクロロホルム(3 ml)溶液に、氷冷下、無水トリフルオロ酢酸38μl(0.27 mmol)を加え、同温で1時間、室温で終夜撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1 ml)を加え、室温で1時間撹拌した。硫酸ナトリウムで乾燥し、Bond Elut JR-NH2(VARIAN社)に通して酢酸エチル、及び9%メタノール−クロロホルム混合溶媒で溶出した。併せた溶出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(0〜10%メタノール−クロロホルム)することにより、上記化合物46 mg(収率78%)を淡黄色粉末として得た。MS(m/z)APCI:599[M+H]+
【0172】
実施例165

実施例154の化合物の3塩酸塩(中和する前の粗生成物)60 mg(0.098 mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン77 μl(0.44 mmol)のぎ酸メチル(3 ml)溶液を室温で24時間攪拌した。反応液をBond Elut JR-NH2(VARIAN社)に通して酢酸エチル、及び9.1%メタノール−クロロホルム混合溶媒で溶出した。併せた溶出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(0〜10%メタノール−クロロホルム)することにより上記化合物39 mg(収率75%)を淡黄色アモルファスとして得た。MS(m/z)APCI:531[M+H]+
【0173】
実施例166

実施例154の化合物の3塩酸塩60 mg(0.098 mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン77 μl(0.444 mmol)のアセトニトリル(3 ml)溶液を氷冷し、クロロぎ酸p−ニトロフェニルを加えた後、室温で終夜攪拌した。反応液にアセトニトリル(1.5 ml)及び40%メチルアミン水溶液(4.5 ml)を加え、室温で22時間攪拌した。反応液に飽和食塩水を加え、酢酸エチルで2回抽出を行った。抽出液を併せ、有機層を飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥後、Bond Elut JR-NH2(VARIAN社)に通して酢酸エチルで溶出した。溶出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(0〜10%メタノール−クロロホルム)することにより上記化合物48 mg(収率87%)を淡黄色粉末として得た。MS(m/z)APCI:560[M+H]+
【0174】
実施例167

実施例154の化合物52.0 mg(0.103 mmol)の水(1 ml)懸濁液に4N塩化水素ジオキサン溶液103 μl(0.412 mmol)を加え、氷冷下シアン酸カリウム25.2 mg(0.310 mmol)を加えた後、室温で20時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(0〜10%メタノール−クロロホルム)することにより上記化合物41 mg(収率72%)を淡黄色粉末として得た。MS(m/z)APCI:546[M+H]+
【0175】
実施例168

実施例65の化合物770 mg(1.37 mmol)、ヒドラジン一水和物343 mg(6.85 mmol)、エタノール(10 ml)及びTHF(10 ml)の混合物を室温で24時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、クロロホルムで抽出を3回行った。抽出液を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。NH−シリカゲルクロマトグラフィーで精製(75〜100%クロロホルム−ヘキサン)し、得られた粗結晶を50%酢酸エチル−ヘキサンで洗浄することにより、上記化合物510 mg(収率86%)を無色粉末として得た。MS(m/z)APCI:434[M+H]+
【0176】
実施例169

実施例11の化合物260 mg(0.65 mmol)のメタノール(10 ml)懸濁液を氷冷し、塩化ヒドロキシルアンモニウム135 mg(1.94 mmol)及び28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液374 mg(1.94 mmol)を加えた後、加熱環流を12時間行った。反応混合物を室温に冷却し、水を加え析出物をろ取、乾燥することにより上記化合物218 mg(収率77%)を無色粉末の単一の異性体として得た。MS(m/z)APCI:437[M+H]+
【0177】
実施例170

実施例18の化合物600 mg(1.39 mmol)のピリジン(4 ml)溶液に塩化ヒドロキシルアンモニウム106 mg(1.53 mmol)を一度に加え、室温で30分間攪拌した。反応液を60℃に加熱し、無水酢酸262 μg(2.78 mmol)を加え、同温で2時間攪拌した。反応液を室温に冷却し、減圧下濃縮後、残渣に水(10 ml)を加え、ジクロロメタン(10 ml)で2回抽出を行った。抽出液を併せ、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(0〜5%メタノール−クロロホルム)することにより、粗結晶452 mgを得た。この粗結晶250 mgを酢酸エチル−イソプロピルエーテル(1:2)で再結晶することにより、上記化合物189 mg(収率58%)を淡黄色粉末として得た。MS(m/z)APCI:430[M+H]+
【0178】
実施例171

実施例170の化合物を用い、実施例169と同様に処理し、上記化合物を得た。MS(m/z)APCI:463[M+H]+
【0179】
実施例172

実施例66の化合物110 mg(0.237 mmol)の塩化メチレン(3 ml)溶液を氷冷し、65%m−クロロ過安息香酸101 mg(0.378 mmol)を加え、同温度で40分間攪拌した。反応液に亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで3回抽出を行った。抽出液を併せて硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(0〜7%メタノール−クロロホルム)した後、50%酢酸エチルヘキサンで結晶化することにより上記化合物51 mg(収率44%)を得た。MS(m/z)APCI:483[M+H]+
【0180】
実施例173

実施例172において、シリカゲルクロマトグラフィーにおいて別途得られた化合物を、50%酢酸エチルヘキサン中から結晶化することにより、上記化合物47 mg(収率43%)を得た。MS(m/z)APCI:467[M+H]+
【0181】
本明細書記載の合成方法、及び実施例と同様の方法により処理して、以下の化合物を得た。
【0182】

【0183】

【0184】
本明細書記載の合成方法、及び実施例と同様の方法により処理して、以下の化合物を製造できる。
【0185】

【0186】

【0187】

【0188】

【0189】


【0190】

【0191】

【0192】
本明細書記載の合成方法、及び実施例と同様の方法により処理して、以下の化合物を得た。
【0193】
参考例1

(1)上記化合物(1−a)88.0 g(439 mmol)のTHF溶液1760 mlに−78℃でn−ブチルリチウム(1.59M)のヘキサン溶液729 ml(1159 mmol)を20分かけて滴下して加え、1時間かけて−10℃まで昇温した。−78℃に再度冷却後DMF102 ml(1320 mmol)を一度に加えた。アセトン−ドライアイス浴を外し、30分撹拌後、反応混合物を冷水1000 mlに注ぎ、酢酸エチル2000mlを加えた。有機層を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルで再結晶することにより、上記化合物(1−b)74.8 gを得た。MS(m/z)APCI:229[M+H]+
(2)上記化合物(1−b)64.5 g(282 mmol)の塩化メチレン322 ml溶液に、氷冷下20分かけてトリフルオロ酢酸322 mlを滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、溶媒を留去した。これにクロロホルム50 mlを加え、次いで氷冷下4N塩化水素−ジオキサン溶液300 mlを滴下した。溶媒留去後、残渣を酢酸エチルで洗浄、乾燥し、上記化合物(1−c)41.3 gを一塩酸塩として得た。MS(m/z)APCI:検出されず
【0194】
参考例2

(1)上記化合物(1−a)60.0 g(299 mmol)のTHF溶液1200 mlに−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.59M)428 ml(659 mmol)を20分かけて滴下して加え、1時間かけて−10℃まで昇温した。−78℃に再度冷却後、N−フルオロベンゼンスルホニルイミド142 g(449 mmol)を一度に加えた。アセトン−ドライアイス浴を外し、30分撹拌後、冷水(1000 ml)に反応混合物を注ぎ、酢酸エチル(1200 ml)を加えて分液した。有機層を2N塩酸、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%酢酸エチル:ヘキサン)で精製した後、ジエチルエーテルで再結晶し、上記化合物(2−a)45.1 gを得た。
MS(m/z)APCI:219[M+H]+
(2)上記化合物(2−a)38.0 g(174 mmol)の塩化メチレン(190 ml)溶液に、氷冷下20分かけてトリフルオロ酢酸(190 ml)を滴下して加えた。室温で2.5時間撹拌し、濃縮した。残渣にクロロホルム(20 ml)を加え、氷冷下、4N塩酸−ジオキサン溶液(180 ml)を滴下して加えた。濃縮後、残渣を酢酸エチルで洗浄、乾燥し、上記化合物(2−b)24.6 gを一塩酸塩として得た。MS(m/z)APCI:119[M+H]+
【0195】
参考例3

(1)アルゴン雰囲気下、既知の化合物(WO02/14312)(3−a)9.30 g(30.6 mmol)をトルエン(100 ml)に溶解し、ビス(トリブチルすず)35.5 g(61.2 mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.77 g(1.53 mmol)を加え、120℃で2日間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、NHシリカゲルカラムクロマトグラフィーで直接に精製(50%酢酸エチルヘキサン)後、更にシリカゲルクロマトグラフィーで精製(0〜17%酢酸エチルヘキサン)することにより、スズ化合物(3−b)10.70 g(収率75%)を淡黄色液体として得た。MS(m/z)APCI:465/467/469[M+H]+
(2)アルゴン雰囲気下、上記スズ化合物(3−b)10.7 g(22.9 mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン5.19 ml(29.8 mmol)、炭酸カリウム189 mg(1.37 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)1.05 g(1.14 mmol)及びTHF(100 ml)の混合物を氷冷し、クロログリオキシル酸エチル3.83 g(34.3 mmol)をゆっくり滴下した後、氷浴を外し室温で4時間攪拌した。反応混合物にジエチルエーテル(15 ml)、飽和フッ化カリウム水溶液(50 ml)及び水(10 ml)を加え、室温で終夜攪拌した後、混合物をセライト濾過した。濾液を減圧下濃縮することで有機溶媒を留去した後、得られた水溶液にジエチルエーテルを加え、不溶物を再びセライト濾過後、濾液を分液した。水層をジエチルエーテルで2回抽出し、先の有機層と抽出液を併せて、水及び飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(30%酢酸エチルヘキサン、次いで10%メタノール−クロロホルム)することにより、ケトエステル体(3−c)0.93 g(収率15%)を淡黄色粉末として得た。MS(m/z)APCI:279[M+H]+
【0196】
参考例4

(1)クロロ硫酸80.0 g(687 mmol)を氷冷し、2−アセトアミドチアゾール(4−a)20.00 g(140.6 mmol)を数回に分けて加え、次いで混合物を100℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却後、氷水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮することにより、粗生成物(4−b)9.41 gを黄色固体として得た。
(2)2Mジメチルアミン水溶液7.2 ml(14 mmol)とピリジン3 mlの混合物を氷冷し、化合物(4−b)1.50 gを数回に分けて加え、同温度で15分間、室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜10%メタノール−クロロホルム)で精製することにより、粗生成物(4−c)677 mgを黄色粉末として得た。
(3)上記化合物(4−c)447 mgに6N塩酸を加え、110℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下濃縮した。残渣に水及びアンモニア水を加え、塩基性とし、析出した結晶を集めて乾燥し、化合物(4−d)283 mg(3工程で収率9%)を黄色粉末として得た。MS(m/z)APCI:208[M+H]+
【0197】
参考例5

対応原料化合物を参考例4と同様に処理し、上記化合物を得た。
【0198】
参考例6

(1)化合物(6−a)10.0 g(63.1 mmol)及びN−(−ブトキシカルボニル)−N−メチルエタノールアミン16.55 g(94.6 mmol)のジメチルスルホキシド溶液100 mlを氷水浴で冷却しながらカリウムt−ブトキシド10.6 g(94.6 mmol)を少しずつ加え、室温で50分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、水及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。活性炭処理した後、混合物を減圧下濃縮することにより粗生成物(6−b)21.8 gを得た。MS(m/z)APCI:298[M+H]+
(2)上記化合物(6−b)18.5 gの酢酸エチル溶液200 mlに10%パラジウム炭素(ドライ)1.00 gを加え、混合物を常圧水素雰囲気下、室温で激しく3時間撹拌した。反応混合物を濾過して、濾液を減圧下濃縮し、粗アミン体(6−c)17.1 gを得た。MS(m/z)APCI:268[M+H]+
(3)上記アミン体(6−c)20.1 gの酢酸溶液250 mlに酢酸カリウム31.0 g(319 mmol)及びチオシアン酸カリウム36.8 g(379 mmol)を加え、氷水浴で冷却しながら臭素3.40 ml(66.4 mmol)を滴下して加え、次いで室温で2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水、亜硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。活性炭処理後、溶媒を減圧下留去し、残渣を酢酸エチルで結晶化して、上記化合物(6−d)13.36 g(3工程で収率65%)を得た。MS(m/z)APCI:325[M+H]+
【0199】
参考例7

対応原料化合物を参考例6と処理し、上記化合物を得た。
【0200】
参考例8

(1)上記の化合物(6−a)30.0 g(94.6 mmol)、N,N−ジメチルエタノールアミン22.7 ml(227.1 mmol)、炭酸カリウム52.3 g(378.5 mmol)及びDMF(150 ml)の混合物を60℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却後セライト濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた残渣に、水を加え酢酸エチルで2回抽出を行った。抽出液を合わせ飽和食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)、活性炭処理後、減圧下濃縮して、粗ニトロ化合物(8−a)36.10 gを得た。
(2)上記粗ニトロ化合物(8−a)36.10 gのメタノール溶液(300 ml)にドライ10%パラジウム炭素(ドライ)5.0 gを加え、水素雰囲気下5時間激しく攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧下濃縮することにより、粗アミン体(8−b)31.96 gを得た。
(3)上記粗アミン体(8−b)31.96 gの酢酸溶液(300 ml)にチオシアン酸カリウム 110.3 g(1135 mmol)を加え、氷浴で冷却しながら臭素 10.2 ml(199 mmol)を滴下し、次いで室温で2.5日間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、トルエン共沸後、残渣に水及び飽和重曹水を加え、更に塩化ナトリウムを加えた。セライト濾過後、濾液に28%アンモニア水を加え水層をアルカリ性にした後に、クロロホルムで抽出を4回行った。抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。残渣をメタノールに溶解、活性炭処後、減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチルで洗浄することにより、化合物(8−c)22.2 g(3工程で収率49%)を淡赤色粉末固体として得た。MS(m/z)APCI:239[M+H]+
【0201】
参考例9

対応原料化合物を参考例8と処理し、上記化合物を得た。
【0202】
参考例10

2−アミノ−4−ニトロ安息香酸メチル4.3 g(22 mmol)の酢酸エチル(21 ml)、濃塩酸(39 ml)の混合溶液に、亜硝酸ナトリウム1.61 g(23 mmol)の水溶液(10 ml)を氷浴で冷却しながら滴下し、同温で30分間撹拌した。塩化銅(II)二水和物1.76 g(10 mmol)、亜硫酸水素ナトリウム23 g(220 mmol)、酢酸28 ml及び濃塩酸10 mlの混合液を滴下し、室温で30分間撹拌した。反応液を、氷に注ぎ析出した塩化スルホニル体をろ取し、水洗した。得られた塩化スルホニル体を、飽和アンモニア水に、室温で加え、同温で2日間撹拌した。濃塩酸で、pHを1〜2にし、酢酸エチルで抽出し、抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチル−ヘキサンでろ取することにより、上記化合物3.0 g(収率60%)で得た。MS(m/z):227[M‐H]+
【0203】
参考例11

対応原料化合物を参考例8と処理し、上記化合物を得た。
【0204】
参考例12

対応原料化合物を参考例8と処理し、上記化合物を得た。
【0205】
参考例12

(1)化合物(6−a)5.18 g(32.7 mmol)及びエチレングリコール20.3 g(327 mmol)のDMF(20 ml)溶液に炭酸カリウム13.6 g(98.0 mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下濃縮した残渣を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶化することにより、化合物(12−a)5.59 g(収率93%)を黄色結晶として得た。MS(m/z)APCI:185[M+H]+
(2)化合物(12−a)5.57 g(30.3 mmol)のエタノール溶液50 mlに10%パラジウム炭素0.50 gを加え、水素気流下2時間激しく撹拌し、反応混合物を減圧下濃縮することにより、粗アミン体を得た。
(3)上記アミン体の酢酸溶液(100 ml)にチオシアン酸カリウム17.6 g(182 mmol)を加え、氷浴で冷却しながら臭素1.62 ml(31.8 mmol)を滴下し、次いで室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、トルエンで共沸後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(NH−シリカゲル;5〜9%メタノール−クロロホルム)で精製し、酢酸エチルでトリチュレーションし、化合物(12−b)5.55 g(収率87%)を無色結晶として得た。MS(m/z)APCI:212 [M+H]+
(4)上記化合物175 mg(0.833 mmol)及びイミダゾール188 mg(2.76 mmol)のDMF(4 ml)溶液に、氷冷下t−ブチルジメチルクロロシラン188 mg(1.25 mmol)のDMF(2 ml)溶液を滴下し、室温で終夜撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40〜70%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、化合物(12−c)172 mgを無色結晶として得た。MS(m/z)APCI:326 [M+H]+
【0206】
参考例13

(1)化合物(13−a)3.05 g(16.4 mmol)、2,5−ヘキサンジオン3.85 ml(32.9 mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物313 mg(1.64 mmol)のトルエン30 ml中の混合物をDean-Stark装置で水を除去しながら、6時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(9%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、化合物(13−b)3.84 g(収率89%)を淡褐色結晶として得た。MS(m/z)APCI:264/266[M+H]+
(2)上記化合物(13−b)1.00 g(3.79 mmol)及びN,N−ジメチルエチレンジアミン3.34 g(37.0 mmol)の混合物を120℃で15時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、NHシリカゲルクロマトグラフィーで精製(30〜60%酢酸エチル−ヘキサン)で精製することにより化合物(13−c)を黄色粉末として得た。MS(m/z)APCI:316[M+H]+
(3)上記化合物(13−c)500 mg(1.59 mmol)、メタノール(2.0 ml)及び10%塩酸(3.3 ml)の混合物を60℃で19時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、炭酸水素ナトリウム粉末を加えて中性とした後、減圧下濃縮を行った。残渣をクロロホルムで希釈し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮を行った後、残渣を酢酸エチル−ジエチルエーテルの混合溶媒で洗浄することにより、上記化合物(13−d)を褐色粉末として得た。MS(m/z)APCI:238[M+H]+
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明によって、糖尿病、糖尿病合併症又は肥満などのグルコキナーゼに関与する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用な優れたグルコキナーゼ活性化作用を有する新規化合物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[I]:

[式中、環Aはアリール又はヘテロアリールを表す。
環Tはヘテロアリール又はヘテロ環基を表す。
は水素原子、ハロゲン原子、シクロアルキルスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、置換若しくは非置換テトラゾリル、−COR10又は−CR12(OH)R10を表す。
は水素原子、ハロゲン原子、シクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルチオ、ニトロ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アミノスルホニル、置換若しくは非置換ヘテロ環チオ、置換若しくは非置換ヘテロ環スルフィニル、置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニル、置換若しくは非置換ヘテロアリールスルホニル、アルケニルオキシ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アルキルスルフィニル、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロアリールチオ、−COR11又は−CR13(OH)R11を表す。
10はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロ環基を表す。
11は置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換ヘテロアリール又はヘテロ環基を表す。
12は水素原子又はアルキルを表す。
13は水素原子又はアルキルを表す。
及びRは独立に、水素原子、置換若しくは非置換アルキル、又は置換若しくは非置換ヘテロアリールを表すか、あるいはR及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって置換若しくは非置換ヘテロ環基を形成する。
は水素原子、ホルミル、ハロゲン原子、オキソ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アミノスルホニル、置換若しくは非置換アルキルチオ、シアノ、置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニル、ニトロ、置換若しくは非置換シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキルスルホニル、置換若しくは非置換カルバモイル、置換若しくは非置換ヘテロアリールチオ、置換若しくは非置換アミノ、カルボキシ、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換ヘテロ環カルボニル、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、置換若しくは非置換ヘテロ環基、置換若しくは非置換ヘテロ環チオ、置換若しくは非置換シクロアルキルオキシ、アルカノイル又は置換若しくは非置換アルキルを表す。
は水素原子、置換若しくは非置換アルキル、ハロゲン原子又はカルボキシを表す。]
で示されるヒドラゾン誘導体又はその薬理的に許容し得る塩からなる医薬。
【請求項2】
環Tが

で示される、ヘテロアリール又はヘテロ環基である請求項1記載の医薬。
【請求項3】
環Tがチアゾリル、チアゾロピリジニル、ピリジル、ピラジニル、ベンゾチアゾリル、キノリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニル、シクロヘキサノチアゾリル又はジヒドロピラゾピリジニルである請求項1又は2記載の医薬。
【請求項4】
環Tがチアゾリル、チアゾロピリジニル、ピリジル、ピラジニル、ベンゾチアゾリル、チアジアゾリル、チアゾロピラジニル、チアゾロピリミジニル、シクロヘキサノチアゾリル又はジヒドロピラゾロピリジニルである請求項1又は2記載の医薬。
【請求項5】
環Tがチアゾリル、チアゾロピリジニル、ピラジニル、チアジアゾリル、チアゾロピラジニル又はチアゾロピリミジニルである請求項1又は2記載の医薬。
【請求項6】
環Tがチアゾリル又はチアゾロピリジニルである請求項1又は2記載の医薬。
【請求項7】
環Aがアリールである請求項1〜6のいずれか記載の医薬。
【請求項8】
環Aがフェニル又はピリジルである請求項1〜6のいずれか記載の医薬。
【請求項9】
が水素原子又はハロゲン原子である請求項1〜8のいずれか記載の医薬。
【請求項10】
が水素原子である請求項1〜8のいずれか記載の医薬。
【請求項11】
がシクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルチオ、ニトロ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アミノスルホニル、置換若しくは非置換ヘテロ環チオ、置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニル、置換若しくは非置換ヘテロアリールスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルフィニル、置換若しくは非置換ヘテロアリール又は置換若しくは非置換ヘテロアリールチオである請求項1〜10のいずれか記載の医薬。
【請求項12】
がシクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルホニル、置換若しくは非置換アミノスルホニル又は置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニルである請求項1〜10のいずれか記載の医薬。
【請求項13】
がシクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換アルキルスルホニル又は置換若しくは非置換アミノスルホニルである請求項1〜10のいずれか記載の医薬。
【請求項14】
がシクロアルキルスルホニル又は置換若しくは非置換アルキルスルホニルである請求項1〜10のいずれか記載の医薬。
【請求項15】
における「置換アミノスルホニル」の置換基が置換若しくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルコキシ又は置換若しくは非置換ヘテロ環である請求項1〜13のいずれか記載の医薬。
【請求項16】
における「置換アルキルスルホニル」の置換基がアルコキシである請求項1〜14のいずれか記載の医薬。
【請求項17】
及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって置換若しくは非置換ヘテロ環基を形成する請求項1〜16のいずれか記載の医薬。
【請求項18】
「R及びRが連結し隣接する窒素原子と一緒になって形成する置換若しくは非置換ヘテロ環基」のヘテロ環基がピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼチジン、ホモピペラジン、ホモモルホリン又はホモチオモルホリンである請求項1〜17のいずれか記載の医薬。
【請求項19】
「R及びRが隣接する窒素原子と一緒になって形成する置換若しくは非置換ヘテロ環基」の置換ヘテロ環の置換基がアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ又はオキソである請求項1〜18のいずれか記載の医薬。
【請求項20】
が水素原子、ホルミル、ハロゲン原子、オキソ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アミノスルホニル、置換若しくは非置換アルキルチオ、シアノ、置換若しくは非置換ヘテロ環スルホニル、ニトロ、置換若しくは非置換シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アルケニル、置換若しくは非置換カルバモイル、置換若しくは非置換ヘテロアリールチオ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、アルカノイル又は置換若しくは非置換アルキルである請求項1〜19のいずれか記載の医薬。
【請求項21】
が水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アルキルチオ、シアノ、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換カルバモイル、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、アルカノイル又は置換若しくは非置換アルキルである請求項1〜19のいずれか記載の医薬。
【請求項22】
がハロゲン原子、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アルキルチオ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ又は置換若しくは非置換アルキルである請求項1〜19のいずれか記載の医薬。
【請求項23】
が置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ又は置換若しくは非置換アルキルである請求項1〜19のいずれか記載の医薬。
【請求項24】
が置換又は非置換アルキルである請求項1〜19のいずれか記載の医薬。
【請求項25】
における「置換アルキル」の置換基が置換若しくは非置換ヘテロ環基、置換若しくは非置換アミノ、置換若しくは非置換アルコキシ、置換若しくは非置換カルバモイル、ヒドロキシ、トリアルキルシリルオキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、置換若しくは非置換ヘテロ環オキシ、ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヒドロキシイミノ、ハロゲン原子、カルボキシ、アルコキシカルボニル又はアルカノイルオキシである請求項1〜24のいずれか記載の医薬。
【請求項26】
が置換又は非置換アルコキシである請求項1〜19のいずれか記載の医薬。
【請求項27】
における「置換アルコキシ」の置換基がアルキル、アルコキシカルボニルから選択される1若しくは2の基で置換されていても良いアミノ、アルコキシカルボニル、適宜モノ若しくはジアルキルで置換されていてもよいカルバモイル、カルボキシル、ヒドロキシ、オキソで置換されていても良いヘテロ環基、トリアルキルシリルオキシ又はアルコキシである請求項1〜19及び26のいずれか記載の医薬。
【請求項28】
が水素原子又は置換若しくは非置換アルキルである請求項1〜27のいずれか記載の医薬。
【請求項29】
が水素原子である請求項1〜27のいずれか記載の医薬。

【請求項30】
グルコキナーゼ活性化薬である請求項1〜29のいずれか記載の医薬。
【請求項31】
糖尿病の治療剤及び/又は予防剤である請求項1〜29のいずれか記載の医薬。
【請求項32】
網膜症、腎症、神経症、虚血性心疾患、動脈硬化等の糖尿病の慢性合併症の治療及び/又は予防剤である請求項1〜29のいずれか記載の医薬。
【請求項33】
肥満の治療及び/又は予防剤である請求項1〜29のいずれか記載の医薬。

【公開番号】特開2010−37337(P2010−37337A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162288(P2009−162288)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】