説明

医薬組成物

【課題】爪の疾患、例えば爪甲真菌症を局所処置すること。
【解決手段】全体の爪甲を横切るか爪甲をエッチングする、一つもしくはそれ以上の小さいオリフィスを例えばパルスレーザービームにより形成し、そして例えば抗真菌剤を、例えばテルビナフィンを、含有する組成物を爪に投与することにより、爪甲真菌症を処置する方法を提供する。また、該方法において使用する、(a)爪に穴をあけるレーザー、(b)処置する足指もしくは指を固定/配置する支持手段、(c)指示レーザー、(d)任意にxyz翻訳ステージモジュール、を含む、一つもしくはそれ以上の爪の中に一つもしくはそれ以上のオリフィスを形成させるためのレーザーをベースにする装置、例えばレーザー光伝達装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染した爪を、例えばパルスレーザービームで処理後に、爪の疾患、例えば爪甲真菌症を局所処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
爪について爪甲真菌症、アトピー性湿疹もしくは乾癬のような爪の疾患を処置するのは困難である。これらの疾患の或るものについては、全身性の、例えば経口の、経路による有効な処置法が利用可能であるが、有効な局所処置法についての必要性は今もなお存在する。
【0003】
爪甲真菌症は爪の全疾患の中の50%までを占め、かつ世界の人口の2%〜18%もしくはそれ以上を冒している。幾らかの研究は、人口の48%までは70歳までに冒されるであろうと示唆する。足指爪の感染は指の爪の感染より数倍も一般的であり、そして、そのより遅い成長速度のために処置するのはさらに困難である。
【0004】
テルビナフィンは、ラミシールの登録商標名で入手可能な、経口で有効な抗真菌剤である。それは広範囲の真菌性感染症に有効である。テルビナフィンは、皮膚もしくはその外肢、例えば角質層、爪および毛髪、の死んだ組織を侵す接触感染性真菌である、皮膚糸状菌に対して特に有効である。爪に対するこれらの真菌の影響は、見苦しい、重く複雑な足の手入れでもあり、患者の全体的な生活の質および快適性に有害な影響を与え、そして患者の働く能力を損なうものであろう。処置しないで放置すると、この真菌は足指爪を永久に変形させてかつ歩くと苦痛を与えるようになるであろう。これに加えて、この真菌は皮膚に亀裂を生じ細菌の感染を助長するであろう。このような感染の結果として重篤な合併症が、原発性の疾患関連合併症、例えば、最終的には致命的であるかもしくは切断を必要とし得る壊疽、を含む糖尿病性足症候群のような糖尿病に罹っている人々に起り得る。他の危険性の高い患者の下位集団としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者、後天性免疫不全症候群(AIDS)感染患者ならびに他のタイプの免疫抑制を持つ患者(例えば、被移植者および長期の副腎皮質ホルモン治療を受けている患者)が挙げられる。病巣を削り取り、病原性真菌を顕微鏡検査もしくは培養のどちらかにより実証することにより診断を確認する。
【0005】
爪甲真菌症に使用するには、抗真菌剤、例えばテルビナフィン、を通常は経口的に即時放出性錠剤として投与する。典型的には、テルビナフィン処置は12週間以上を必要とする。
【0006】
その臨床的有効性の進歩は、壊死組織片および死んだ真菌を含有する見苦しい病変爪を押し出しかつ取り替えている、健康な爪の成長に見られる。全く新しい足指爪が形成されるには約10ヶ月かかる。
【0007】
例えばテルビナフィンは経口投与で活性が高い反面、爪甲真菌症の全身性処置は、幾らかな不都合、例えば、全器官が薬物に曝されることおよび比較的高い投与量の必要性、をもたらす。それ故に、局所の、即ち局部的な処置の可能性は高度に望ましく、そして多くの患者にとって好ましいであろう。しかしながら、爪甲真菌症もしくは他の爪疾患の局部的処置の一つの困難性は、爪および爪床の深層内への薬の不十分な浸透に関係するであろう。
【0008】
爪甲は、高度増殖性の表皮性組織である爪マトリックスにより生成される、角質化細胞の層により形成される。ケラチンの他に、爪の硬質構造は、カルシウムを含む数多くの微量ミネラルを含有する。爪甲は、非角質化組織である爪床を覆っている。境界面において、爪床細胞は、自由縁に向かう成長の間に爪甲により末端部に運ばれる。マトリックス中で爪甲の角質化は、形成する爪甲の背面および腹面の両側に起こる。少なくとも二つの、多分三つの、識別して肉眼で見得る層がある。これらは、背面の爪甲および、爪半月の細胞により寄与される第三下層もしくは腹面甲を有する中間爪甲である。背面甲はさらに固く積層され、かくしてさらにコンパクトであり、化合物の浸透をさらに困難にしている。
【0009】
水和した爪は高イオン強度のヒドロゲルとして挙動し、それは厚い親水性障壁を形成して、疎水性の薬が爪甲から爪床まで浸透することを極度に困難にする。この爪の厚みおよびその比較的コンパクトな構造は、局部的に塗布した薬、例えば抗真菌剤、が爪に浸透することをさらに困難にする。
【0010】
本発明にしたがって今や見出されているのは、例えば全体の爪甲を横切るか爪甲をエッチングする、一つもしくはそれ以上の小さいオリフィスを形成し、そして例えば抗真菌剤を、例えばテルビナフィンを、含有する組成物を爪に投与することにより、爪甲真菌症を成功裏に処置することができることである。好ましくは、オリフィスは、例えば10μm(ミクロン)〜2mm、例えば50μm(ミクロン)〜1mm、例えば140μm(ミクロン)〜1mmのサイズ(直径)を持ってもよい。
【発明の概要】
【0011】
したがって一つの観点において、本発明は爪甲真菌症を処置する方法を提供するが、その方法は、一つもしくはそれ以上のオリフィスを爪中に形成し、そして例えば抗真菌剤を含有する、例えば好ましくはテルビナフィンを含有する、医薬組成物を爪に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はオリフィスアレイの一例を示す。
【図2】図2は本発明にしたがう方法における使用のための装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで記載する“オリフィス”は、80〜100%、好ましくは90〜99%の爪甲を浸透するいかなる小さい穴もしくはくぼみを意味する。
【0014】
今までは、指もしくは足指の爪中のオリフィスは、例えば米国特許第4,180,058号に記載されているような機械的なドリルによって、もしくは焼いて穴をあける熱線によって生成されてきた。米国特許第5,947,956号には、穴およびエッチングを作るレーザー装置が記載されている。
【0015】
抗真菌剤として使用し得るものは、テルビナフィンもしくはナフチフィンのようなアリルアミン、ブテナフィンのようなベンジルアミンならびに/または、チオコナゾール、エコナゾール、オキシコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾールおよびクロトリマゾールのようなアゾールをベースとする抗真菌剤である。アリルアミンおよびベンジルアミンは遊離塩基の形態でも酸付加塩の形態でもよいが、好ましくは塩酸塩の形態である。
【0016】
抗真菌剤含有医薬組成物は、組成物の約10〜約100重量%、例えば約70%以上、もしくは例えば約100%の抗真菌剤、例えば実質的に純粋な抗真菌剤、例えばテルビナフィン、の粉末の高濃度抗真菌剤製剤を含んでもよい。
【0017】
これに代えて、抗真菌剤含有医薬組成物は、組成物の約1〜約10重量%の抗真菌剤を含む。
【0018】
抗真菌剤含有医薬組成物は、例えば液状、粘稠または半固形で、例えば、クリーム、ゲル、溶液、ローション、軟膏、パッチもしくはマニキュア液の形であってもよい;製剤は、例えばリポソーム剤であってもよい。もし組成物が粘性であれば、例えば浸透し易くするために、それをオリフィス内に注ぐ前に温めてもよい。これに代えて、抗真菌剤含有医薬組成物は例えば固体、例えば粉末であってもよい。
【0019】
製剤の好ましいタイプおよび力価は、例えば爪の感染の程度および/もしくは穴のサイズにしたがって選び得る。さらに、例えばオリフィス内およびオリフィスを通してその浸透を促進するために、界面活性剤を抗真菌剤の製剤に加えてもよい。
【0020】
別の観点において、本発明は、爪のオリフィスを有効に浸透するように投与される医薬品を製造するために、抗真菌剤、例えばテルビナフィン、の使用を提供する。
【0021】
抗真菌剤含有医薬組成物を投与する前に、例えばオリフィスで処理した後で、例えば抗真菌製剤の浸透を容易にするために、爪を界面活性剤で処理をしてもよいが、これは、例えば、i)例えばゲルの形で、天然物、例えばアロエ・ベラ、もしくはii)不活性で、非刺激性でかつ薬学的作用を有しないところの非イオン性界面活性剤である。
【0022】
抗真菌剤例えばテルビナフィン含有医薬組成物を爪に投与した直後に、例えばマニキュア液を含む、例えば保護的な、例えば不活性な、被膜、磁器被膜、人工爪もしくはポリマー箔、例えばパッチ、を爪の上に被せてもよい。これは、医薬組成物が爪中に留まりそしてまた細菌やごみが爪床に到達するのを防ぎ得ることを保証する。好ましくはまた保護被膜は抗真菌剤を含む。例えば着色したマニキュア液の塗布は、感染した爪の不愉快な外観を隠すであろう。
【0023】
さらなる観点において、本発明は、その方法が、例えば保護被膜を爪の上に施すことをさらに含む、上に記載の方法を提供する。
【0024】
爪が成長するにつれて、小さいオリフィスは典型的に閉じて、それにより抗真菌剤を爪甲内に閉じ込める。したがって、暫くすると、例えば二、三日から一週間すると、保護被膜の施行はもはや必要でないであろう。
【0025】
本出願人は、爪中のオリフィスはレーザー、例えば、エルビウム(Er:YAG)レーザー、ネオジム(Nd:YAG)レーザー、OPOレーザー、ホルミウム(Ho:YAG)レーザー、窒素レーザーもしくはCOレーザー(ここでYAGはイットリウムアルミニウムガーネットを意味する)、を含む装置により一瞬に容易に形成され得ることを見出した。
【0026】
別の観点において、本発明は爪甲真菌症に感染した爪を処置する方法を提供するが、その方法は、レーザー、例えば、エルビウム(Er:YAG)レーザー、ホルミウム(Ho:YAG)レーザーもしくは窒素レーザーを含む装置で、一つもしくはそれ以上のオリフィスを爪中に形成し、そして抗真菌剤を含有する医薬組成物を爪に投与することを含む。
【0027】
本発明にしたがってオリフィスを爪中に形成するために、レーザーをベースにする装置の使用は、例えば、高精密性、高速性、全くか殆んど無い痛みおよび出血もしくは二次感染の危険性の無いことのために、特に有益である。
【0028】
レーザー手術、即ち爪に穴をあける本発明の方法、は硬い組織の溶融と破裂を指す、光−アブレーション・プロセスに基づいている。光−アブレーションは、目的の組織の熱的、機械的およびスペクトル的特性にしたがって選択した波長、出力およびパルス持続時間を持つパルスレーザー照射により達成される。低〜中間出力密度のパルスレーザーでの組織の照射は、微小な機械的および可逆的変化を持って吸収による熱的変化を誘導する。しかしながら、さらに高出力において、そして短時間の間に規定した容量で所定のエネルギーの閉じ込めが閾値を満足するときには、硬い組織を、例えば穴あけもしくは切り取りの目的で、選択的に破壊することができる。溶着電磁気エネルギーは殆んどすべて機械的エネルギーに転換され(即ち、hν≒mv/2)、そして照射領域は、約1’000m/sでオリフィスから排出する破片の形で射出される。“クリーン”、即ち効率的な、光アブレーション・プロセスにおいては、この破片が殆んどの溶着エネルギーを除去するので、照射された組織、例えば爪床と接触する組織は加熱されないために痛みの原因が減少する。
【0029】
爪床は非常に感受性であると知られているが、本発明にしたがえば、爪の疾患を、患者の不快感を最小にしたレーザーをベースにする技法を使って処置することができると示されている。関連する痛みは最少でかつ麻酔剤無しで耐えられることが見出されている。
【0030】
アブレーション温度が例えば約100℃より高いときには、爪および/もしくは爪オリフィスの殺菌は必要でないであろう。それ故に、本発明は、その方法が殺菌ステップを伴わない方法を提供する。
【0031】
NIR領域におけるヒト組織のスペクトル的特性は水のスペクトルによって支配されるので、組織の微細加工に使用できるレーザーは、λ=10.6μmでレーザー発振するCOガスレーザー、ならびに極めて最近に開発された二つの固体状態レーザーであって、それぞれλ=2.1μmおよびλ=2.94μmで光(電磁放射線)を発するHo:YAGおよびEr:YAGである。Nd:YAGレーザーもしくはOPOレーザーをまた使用することができる。本発明にしたがえば、Ho:YAGもしくはEr:YAGレーザーが好ましい。
【0032】
本発明にしたがって見出されているのは、一つもしくはそれ以上の小さいオリフィスが、約0.7mmの厚さの健康な爪について、約250μsの持続時間と3Hzの反復比率において約250mJ以下、例えば50mJ、の出力を持つ、好ましくは緊密焦点の、単回レーザーショットで形成され得ることである。我々はいかなる理論にも束縛されたくはないが、骨や歯に比して、爪において驚くほどさらに容易に達成される光アブレーション条件は、その構造に関係するらしいと信じられている。上述のように、爪はハイドロゲルのように挙動する。したがって、そのスペクトルは水の吸収により支配され、そして湿潤化したケラチンの融点は骨もしくは歯にそれぞれ含まれるハイドロキシアパタイト(hydroxilapatite)もしくはエナメルの融点よりさらに低い温度にあるに違いない。この理由のために、典型的にはオリフィスは横断面において、実質的に円形、円錐形、円錐台形、半球形もしくは円筒形であり、好ましくは円筒形であって、完全焦点のレーザービームプロフィルを擬態する。このプロセスは、爪中での熱拡散速度よりも速く起こるので、オリフィス中にクレーターの形での損傷は観察されない。最も重要なことには、単回ショットもしくは二、三回の弱いレーザーショットでオリフィスが作られるので、痛みの元である爪の加熱を最少に減少する。以下に説明するように、オリフィスのアレイを作りたいのであれば、この見地は時間的に適切である。例えばマスクを使用して、さらに精密化した光学的セットアップをもって、オリフィスをさらに小さく作り得るが、または Dammann 格子のような、回折光学素子(DOE)の使用をもって、オリフィスのアレイを同時に作ることができる。
【0033】
本発明にしたがえば、爪を天然の補給所、例えばリザーバ、として使用することができるが、そこでは、爪の中に等間隔にレーザーで形成されたオリフィスのアレイが作られ、そして引き続き、爪床内に、例えば徐放性で、放出されるべき抗真菌剤含有組成物で満たされる。爪を再生するには5〜10ヶ月掛かるので、オリフィスは、抗真菌剤、例えばテルビナフィン、を爪甲真菌症の局部的処置のために爪床内に徐送達するためには理想的な補給所、例えばリザーバ、を構成する。
【0034】
一つもしくはそれ以上の爪の中に一つもしくはそれ以上のオリフィスを形成させるためのレーザーをベースにする装置、例えばレーザー光伝達装置、は以下の要素を含んでもよい:
(a)アブレーションを爪甲上に誘導する、即ち爪に穴をあける、例えばオリフィスを作る能力のあるレーザー、例えば主要な光アブレーション・レーザーとして、例えばパルスの、例えば固体状態のレーザー光源、例えば、エルビウム(Er:YAG)レーザー(λ=2.94ミクロン)、Nd:YAGレーザー、OPOレーザー、Ho:YAGレーザー(λ=2.1ミクロン)もしくはCOレーザー(λ=10.6ミクロン)、好ましくはエルビウム(Er:YAG)もしくはホルミウム(Ho:YAG)レーザー、
(b)処置する足指もしくは指を、例えばクランプにより、固定/配置して、レーザー照射もしくは露光に対して爪甲を覆わないままにする、支持手段、
(c)好ましくは、第二の可視連続波(cw)レーザー、例えば低出力の、いわゆる指向的もしくは標的レーザー(ポインターとして作用する)、例えば可視領域で放射するレーザー、例えばλ=633nmにおいてレーザー発振する赤色He−Neレーザーもしくは、例えばレーザーダイオード、を使用してさらに高度な微細加工精度、即ち穴をあけるべきスポットの視覚化を保証してもよい、
(d)レーザービームを爪の望ましい区域に配置するためのコンピュータ制御xyz翻訳ステージモジュール、好ましくはいわゆるレーザービームスキャナー。これに代えて、支持台(b)を、レーザービームが固定されそして足指もしくは指が移動するように、翻訳ステージ上に据えつけてもよい。これに代えて、支持台(b)を、足指もしくは指が固定されそして、レーザービームが指甲上に移動するように翻訳ステージ上に据えつけてもよい。
【0035】
(e)アブレーション・レーザー(a)および任意に指向レーザー(d)からのレーザービームを共軸的に混合するための、レーザービームを指向させる手段、例えばミラー、例えば二色性ミラー、もしくはプリズム、
(f)爪の破片を除去する手段、例えば爪破片除去ディスク、例えば真空系もしくは、平坦な薄片、例えば丸い、レーザービーム波長に透明な材料、例えば石英製の、例えば溶融シリカ製の丸いディスク、を使用して焦点化光学素子(i)の汚染を防止してもよい、
(g)爪破片除去ディスク(f)を爪の破片から洗浄する手段、例えばジェット流の滅菌水を射出する薄い管、
(h)アブレーション・レーザーを発射するときに爪破片除去ディスク(f)が清浄であることを保証する手段、例えば曲げやすい材質、例えばゴムもしくはシリコンポリマー製の、例えばワイパーまたはブラシ、
(i)レーザー(a)および(d)ならびに爪破片除去ディスク(f)の間に置かれた
一つもしくはそれ以上のレンズを含む、例えば手動もしくは自動焦点モードでの、一つもしくはそれ以上の焦点光学素子、
【0036】
(j)例えば次の目的に役立つ計算手段、例えばパソコン:
ビデオカメラもしくは荷電結合装置カメラ(k)を使って爪甲をモニターすること;オリフィスがコンピュータ制御xyz翻訳ステージ(c)を使って形成される爪甲のポイントにレーザービーム(a)および(d)をあてること;ならびに異なるレーザーパラメーター、例えばxyz翻訳ステージ(c)の望ましい位置に到達したときにレーザーの発射、または、例えばレーザーが同調可能なレーザーであれば、レーザーの出力、パルスの持続時間もしくは波長、を制御および/もしくは選択すること、
(k)計算手段、例えばパソコン(j)、好ましくは荷電結合装置カメラ、の画面上で爪甲をモニターするために、爪甲をモニターするための手段、例えばビデオカメラもしくは荷電結合装置、
(l)オリフィスが予め決めた深さ、例えば爪床、に到達した後でレーザーが停止することを保証するためのフィードバック手段、例えばセンサー、例えば圧電性(PZE)材料で作ったセンサー。好ましくは、アブレーション・レーザー(a)条件を軟組織に到達すること無しにオリフィスを形成するように選ぶ。このフィードバックセンサーを使用して、最初のオリフィスの形成を始める時からこの条件を選びかつ最適化する、ならびに
(m)2個以上のオリフィス、例えば等間隔のオリフィスのアレイを、単回ショットにより作り、それによりオリフィスを一つずつ連続モードで作ることを避けるために、光学素子、例えば回折光学素子、例えば Dammann 格子を使用して、レーザービーム(a)および(d)を多重化してもよい。
【0037】
好ましくは、作業者は捕獲しかつ保存した爪画像の画像を使用化させるソフトウェアを使って、作業者が、オリフィスアレイのパターン、サイズ、形状等を規定し、ならびに、この情報をもって、爪に関して個別のオリフィスの座標を計算し、対応するレーザー・アブレーション条件を計算し、そして/もしくは配置素子を操作する、例えば1個以上のレーザーおよびハードウェアを操作する手助けをする。図1にオリフィスアレイの一例を示す。
【0038】
好ましくは、レーザー光伝達装置、例えば特に支持台(b)、ミラー(e)および爪破片除去装置(f)、は洗浄し易いものであり、そして無菌状態で操作し得るものである。
【0039】
したがって、さらなる観点において本発明は、例えば図2に記載するように、例えば本発明にしたがう方法における使用のための装置を提供するが、この装置は以下のものを含む:
(a)爪に穴をあけるレーザーおよび任意に一以上の下記の要素、
(b)処置する足指もしくは指を固定/配置する支持手段、
(c)指向レーザー、
(d)xyz翻訳ステージモジュール、
(e)レーザービームを指向させる手段、
(f)爪の破片を除去する手段、
(g)爪の破片から爪破片除去ディスク(f)を洗浄する手段、
(h)アブレーション・レーザーを発射するときに、爪破片除去ディスク(f)が清潔であることを保証する手段、
(i)一つもしくはそれ以上のレンズを含む一つもしくはそれ以上の焦点光学素子、
(j)計算手段、
(k)爪甲をモニターする手段、
(l)フィードバック手段、
(m)回折光学素子、ならびに
(n)オリフィスアレイのパターン、サイズ、形状等を規定し、個別のオリフィスの座標を計算し、対応するレーザー・アブレーション条件を計算し、そして/もしくは配置素子を操作するソフトウェア。
【0040】
好ましくは、例えば本発明にしたがう方法での使用のための装置は以下の要素を含む:
(a)例えばオリフィスを作るために、爪に穴をあけるためのレーザー、例えば固体状態のパルスレーザー光源、例えば、エルビウム(Er:YAG)レーザー、ネオジム(Nd:YAG)レーザー、OPOレーザー、ホルミウム(Ho:YAG)レーザーもしくはCOレーザー、好ましくはエルビウム(Er:YAG)レーザー、ホルミウム(Ho:YAG)レーザーもしくはCOレーザー、さらになお好ましくは、主要な光アブレーション・レーザーとして、エルビウム(Er:YAG)レーザー、
(b)処置する足指もしくは指を固定/配置する支持手段、
(c)指示レーザー、例えば可視領域で放射するレーザーからの、例えば低出力の可視連続波(cw)レーザー、例えば赤色He−Neレーザーもしくはレーザーダイオード、ならびに
(d)任意にxyz翻訳ステージモジュール。
【実施例】
【0041】
以下の実施例はこの発明を例示する。
実施例1
一連のオリフィス(約20個のオリフィス)を、インビトロで水和した0.7mm厚のヒトの爪中にEr:YAGレーザーを使用して穴をあける。オリフィスの直径は1mm〜140ミクロンの範囲である。
【0042】
実施例2
一連のオリフィス(約20個のオリフィス)を、健康な被験者からの種々の爪中にEr:YAGレーザーを使用して、麻酔薬無しにインビボで穴をあける。オリフィスの直径は1mm〜50ミクロンの範囲である。
【0043】
実施例3
組成物の全重量に基づき10%のテルビナフィンを含有する組成物を作成し、そして爪甲真菌症に罹っている患者のレーザーで穴をあけた爪に毎日一回、12週間投与する。その臨床的有効性の進歩は健康な爪の成長に見られる。
【符号の説明】
【0044】
(a)爪に穴をあけるレーザーおよび任意に一以上の下記の要素、
(b)処置する足指もしくは指を固定/配置する支持手段、
(c)指示レーザー、
(d)xyz翻訳ステージモジュール、
(e)レーザービームを指向させる手段、
(f)爪の破片を除去する手段、
(g)爪の破片から爪破片除去ディスク(f)を洗浄する手段、
(h)アブレーション・レーザーを発射するときに、爪破片除去ディスク(f)が清潔であることを保証する手段、
(i)一つもしくはそれ以上のレンズを含む一つもしくはそれ以上の焦点光学素子、
(j)計算手段、
(k)爪甲をモニターする手段、
(l)フィードバック手段、
(m)回折光学素子、ならびに
(n)オリフィスアレイのパターン、サイズ、形状等を規定し、個別のオリフィスの座標を計算し、対応するレーザー・アブレーション条件を計算し、そして/もしくは配置素子を操作するソフトウェア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルビウム(Er:YAG)レーザーもしくはホルミウム(Ho:YAG)レーザーを含む装置で形成された爪中の一つもしくはそれ以上のオリフィスに投与されることを特徴とする、爪甲真菌症に感染した爪を処置するための抗真菌剤含有医薬組成物。
【請求項2】
液状、粘稠もしくは半固形である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物の1〜10重量%の量で抗真菌剤を含む、請求項1もしくは2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物の10〜100重量%の量で抗真菌剤を含む、請求項1もしくは2に記載の組成物。
【請求項5】
組成物の70重量%以上の量で抗真菌剤を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
実質的に純粋な抗真菌剤粉末を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
爪が、抗真菌剤含有組成物の投与前に界面活性剤でさらに処理されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
保護被膜が爪の上にさらに施されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
抗真菌剤がアリルアミン、ベンジルアミン、およびアゾールをベースとする抗真菌剤からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
抗真菌剤がテルビナフィン、ナフチフィン、ブテナフィン、チオコナゾール、エコナゾール、オキシコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾールおよびクロトリマゾールからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
抗真菌剤がテルビナフィンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
(a)爪に穴をあけるレーザー、
(b)処置する足指もしくは指を固定/配置する支持手段、および
(c)指示レーザー、
を含む装置。
【請求項13】
(d)xyz翻訳ステージモジュール、
をさらに含む請求項12に記載の装置。
【請求項14】
穴をあけるレーザーがエルビウム(Er:YAG)もしくはホルミウム(Ho:YAG)レーザーである、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
指示レーザーが可視連続波(cw)レーザーである、請求項12〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
可視連続波(cw)レーザーが赤色He−Neレーザーもしくはレーザーダイオードである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
爪甲をモニターする手段をさらに含む、請求項12〜16のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−132247(P2011−132247A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22246(P2011−22246)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【分割の表示】特願2008−31851(P2008−31851)の分割
【原出願日】平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】