説明

医薬組成物

【課題】造粒時に装置内への造粒物の付着が少なく、ケーキングが抑制され、かつ医薬として良好な粒状医薬組成物を提供すること。
【解決手段】(B)硬化油、植物性又は動物性油脂、高級アルコール、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上のワックス状物質を加温融解し、これに(A)不快味を呈する薬物、並びに(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を分散又は溶解した後、当該分散液又は溶液を噴霧造粒し、(A)不快味を呈する薬物が分散された粒子径50〜200μmのワックス状物質粒子を形成してなる、粒状医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造粒時に装置内への造粒物の付着が防止され、かつ造粒物のケーキングの抑制された医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物の効果を持続させる製剤(持続性製剤)又は薬物の不快な味をマスキングした製剤として、溶融したワックス状物質中に薬物を溶解又は分散させ、次いでこのものをスプレードライヤ等を用いて噴霧造粒した粒状製剤が知られている(特許文献1、特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−275817号公報
【特許文献2】特開平7−242568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、薬物が溶解又は分散した溶融ワックス状物質を噴霧造粒すると造粒物が噴霧造粒機内部の壁面等に付着し、造粒物の収率が著しく低下するという問題があった。また、こうして得られた造粒物は、造粒物同士が付着する、いわゆるケーキングが生じるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者らは前記造粒物の付着を防止すべく数多くの物質を配合して検討してきたところ、噴霧造粒に際して合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を配合すると、造粒物の造粒機内付着が著しく抑制され、造粒物の収率が改善されるとともに、得られる医薬品の特性が良好であることを見出した。また、このようにして得られた造粒物はケーキングが抑制されるか又はケーキングが発生しても容易に造粒物が分離できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、(B)硬化油、植物性又は動物性油脂、高級アルコール、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上のワックス状物質を加温融解し、これに(A)不快味を呈する薬物、並びに(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を分散又は溶解した後、当該分散液又は溶液を噴霧造粒し、(A)不快味を呈する薬物が分散された粒子径50〜200μmのワックス状物質粒子を形成してなる、粒状医薬組成物を提供するものである。
また本発明は、(B)硬化油、植物性又は動物性油脂、高級アルコール、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上のワックス状物質を加温融解し、これに(A)不快味を呈する薬物を分散又は溶解した後、当該分散液又は溶液を噴霧造粒して(A)不快味を呈する薬物が分散された粒子径50〜200μmのワックス状物質粒子を形成する際の造粒機内壁への造粒物の付着防止剤であって、(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を有効成分とする付着防止剤を提供するものである。。
更に本発明は、(B)硬化油、植物性又は動物性油脂、高級アルコール、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上のワックス状物質を加温融解し、これに(A)不快味を呈する薬物を分散又は溶解した後、当該分散液又は溶液を噴霧造粒して(A)不快味を呈する薬物が分散された粒子径50〜200μmのワックス状物質粒子を形成する際の造粒機内壁への造粒物の付着防止方法であって、加温融解したワックス状物質に、(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を分散又は溶解する付着防止方法を提供するものである。
【0007】
(A)薬物、(B)ワックス状物質、並びに(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を含有する医薬組成物、及びこの組成物を含有する経口用医薬製剤を提供するものである。
また本発明は、合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を有効成分とする噴霧造粒時の造粒物の造粒機内壁付着防止剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、造粒時に装置内への造粒物の付着が少なく、ケーキングが抑制され、かつ医薬として良好な粒状医薬組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に用いられる(A)薬物としては、医薬として用いられる薬物であれば特に制限されるものではないが、本発明の医薬組成物は薬物のもつ不快味をマスキングする効果を有することから、不快味を呈する薬物が好ましい。
【0010】
本発明において、不快味とは、服用者が薬物を口中に含んだとき感じる苦味、渋味、辛味、刺激、更にはにおいも包含する。不快味を呈する薬物としては、例えば塩酸セトラキサート、エカパピド、ネフィラセタム、塩酸タランピシリン、塩酸インデノロール、塩酸ヒドララジン、塩酸クロルプロマジン、塩酸チアラミド、塩化ベルベリン、ジキトキシン、スルピリン、塩酸アゼラスチン、塩酸エチレフリン、塩酸ジルチアゼム、塩酸プロプラノロール、クロラムフェニコール、アミノフィリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、フェノバルビタール、パントテン酸カルシウム、塩酸インデロキサジン、塩酸アミノグアニジン、塩酸ビフェメラン、7β−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−(Z)−ハイドロキシイミノアセトアミド]−3−N,N−ジメチルカルバモイルオキシメチル−3−セフェム−カルボン酸 1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチルエステル塩酸塩、(E)−3−(2−メトキシ−3,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン−5−イル)−2−[5−(3−ピリジル)ペンチル]−2−プロペン酸、アミノフィリン、テオフィリン、ジフェンヒドラミン、メトクロプラミド、フェニルブタゾン、フェノバルビタール、アンピシリン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、アセトアミノフェン、エピリゾール、ピラジナミド、カフェイン、エチオナミド、カルベジロール、塩酸ラニチジン、塩酸ロキサジンアセタート、塩酸イミプラミン、塩酸エフェドリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ドネペジル、塩酸テトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリン、塩酸ナファゾリン、塩酸ノスカピン、塩酸パパベリン、臭化水素酸デキストロメトルファン、臭化チメピジウム、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸アリメマジン、塩酸ピルジカイニド、N−メチルスコポラミンメチル硫酸塩、マレイン酸シネパジド、塩酸アルギニン、塩酸ヒスチジン、塩酸リジン、酢酸リジン、エンゴサク、オウバク、オウレン、ホミカ、マオウ、トコン、ロートコン、ベラドンナ、クジン等の生薬あるいはこれら生薬の抽出物、次の一般式(1)〜(4)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、
1a、R1b及びR1cはそれぞれ独立して、置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、置換基を有することもあるC3−C6の環状アルキル基、置換基を有することもあるアリール基又は置換基を有することもあるヘテロアリール基を意味する。
2a、R2b、R2c及びR2dはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基又はアミノ基を意味する。
3a、R3b、R3c及びR3dはそれぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を意味する。
4a又はR4cは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基又は置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルコキシル基を意味する。
5dは、水素原子又は置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を意味する。
a、Yb、Yc及びYdはそれぞれ独立して含窒素基を意味する。)で表されるピリドンカルボン酸化合物又はその塩、及び次の一般式(5)
【0013】
【化2】

【0014】
〔式中、
1は、C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、フルオロ置換−C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシル基、フルオロ置換−C1−C4アルコキシル基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選ばれる置換基を1〜3個有していてもよいフェニル基を示し、
2は、水素原子、カルボキシ基、C1−C6アルコキシカルボニル基、又はハロゲン原子、水酸基、C1−C6アルコキシル基若しくはシアノ基で置換されることもあるC1−C7脂肪族アシル基を示し、
3は、水酸基、C1−C4アルコキシル基、C1−C4アルコキシル基若しくはC1−C6アルカノイルオキシ基で置換されたC1−C4アルコキシル基、C7−C14アラルキルオキシ基、C1−C18アルカノイルオキシ基、C3−C7シクロアルキルカルボニルオキシ基、C6−C10アリールカルボニルオキシ基、C1−C4アルコキシカルボニルオキシ基若しくはC7−C14アラルキルオキシカルボニルオキシ基で置換されることもある4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5−イル基を示す。〕
【0015】
で表される4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン類又はその塩から選ばれる薬物を挙げることができる。
【0016】
前記の一般式(1)〜(4)で表されるピリドンカルボン酸化合物及びその塩は、特開昭53−141286号公報、特開昭55−31042号公報、特開昭57−46986号公報、特開昭57−77683号公報、特開昭60−36482号公報、特開昭60−64979号公報、特開昭60−228479号公報、特開昭62−252772号公報、特開昭62−252790号公報、特開昭62−277362号公報、特開平1−230558号公報、特開平1−258666号公報、特開平1−294680号公報、特開平2−28178号公報、特開平2−124873号公報、特開平2−231475号公報、特開平5−271229号公報、特開平7−309864号公報、特開平8−41050号公報、WO91/02526号公報、WO94/14794号公報、WO94/15933号公報、WO95/5373号公報、WO96/37475号公報、WO96/39407号公報、WO97/29102号公報、WO97/19072号公報、WO97/40037号公報、WO98/02431号公報、WO98/13370号公報、WO98/18783号公報、WO98/24781号公報、WO98/52939号公報、WO98/54169号公報及びWO98/58923号公報等に記載され、これら公開公報には製造方法も記載されている。
【0017】
また、一般式(5)で表される化合物及びその塩は、特開昭50−46688号公報、特開昭58−10583号公報、特開昭59−27895号公報、特開平6−41139号公報等に記載の方法により製造することができる。
【0018】
上記一般式(1)〜(5)で表される化合物は、不斉炭素を有する場合があり、光学異性体又はジアステレオ異性体が存在する場合もあるが、純粋な形態のこれらの異性体、これら異性体の任意の混合物、ラセミ体などはいずれも本発明に含まれる。また、上記一般式(1)〜(5)で表される化合物又はそられの塩は、水和物、溶媒和物として存在する場合もあるが、これらも本発明に含まれる。
【0019】
本発明において、(A)薬物としては、不快味のマスキング効果の点で(B)ワックス状物質に難溶性であるのが好ましく、更に水溶性で(B)ワックス状物質に難溶性であるのがより好ましい。
【0020】
また、上記一般式(1)〜(4)で表される化合物又はその塩のうちの好ましい例としては、下記の化合物又はその塩が挙げられる。
【0021】
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
また、上記一般式(5)で表される化合物又はその塩のうち、好ましい例としては、下記のものが挙げられる。
2−ヒドロキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−クロロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−ヒドロキシ−5−(α−プロピオニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−ヒドロキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−プロピオニルオキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、2−ブチリルオキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−ピバロイルオキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−バレリルオキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−ヘキサノイルオキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、2−t−ブトキシカルボニルオキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−ピバロイルオキシメトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−クロロベンジル)−2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−プロピオニル−2−フルオロベンジル)−2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−アセトキシ−5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−クロロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−ヒドロキシ−5−(α−2−フルオロシクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−2−フルオロシクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−アセトキシ−5−(α−2−フルオロシクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−メトキシカルボニル−2−クロロベンジル)−2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−アセトキシ−5−(α−メトキシカルボニル−2−クロロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−メトキシカルボニル−2−フルオロベンジル)−2−オキソ−2,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
2−アセトキシ−5−(α−メトキシカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(2−クロロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(一般名:チクロピジン、塩酸チクロピジンとして入手可能)、
5−(α−メトキシカルボニル−2−クロロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン(一般名:クロピドグレル、硫酸クロピドグレルとして入手可能)、
5−(α−メトキシカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−クロロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−シクロプロピルカルボニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、
5−(α−プロピオニル−2−クロロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン及び
5−(α−プロピオニル−2−フルオロベンジル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン並びにそれらの塩。
【0027】
本発明において、(A)薬物としては、中でもオフロキサシン、レボフロキサシン、シタフロキサシンハイドレート、塩酸セトラキサート、ネフィラセタム、塩酸チクロピジン及び硫酸クロピドグレルが好ましい。
【0028】
本発明における(B)ワックス状物質(具体的には、融点40〜150℃)の例としては、例えば、油脂として、硬化ヒマシ油、硬化大豆油、硬化ナタネ油、硬化綿実油等の各種硬化油、カルナウバロウ、サラシミツロウ、牛脂等の植物性又は動物性油脂;アルコール及び多価アルコールとして、ステアリルアルコール、セタノール等の高級アルコール、マクロゴール4000、マクロゴール6000等のポリエチレングリコール;脂肪酸及びその誘導体として、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル;又はそれらの2種以上の混合物が挙げられる。このうち、硬化油、脂肪酸、脂肪酸の誘導体が好ましく、硬化油、高級脂肪酸、脂肪酸エステルが更に好ましく、硬化油、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、ステアリン酸が特に好ましい。また、(A)薬物の不快味のマスキング効果の点から、ワックス状物質の融点は、薬物の融点よりも低いものが好ましい。
【0029】
本発明において(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素は、噴霧造粒時の造粒物の造粒機内壁付着防止剤として作用するものである。合成ケイ酸アルミニウム又は含水二酸化ケイ素を用いた場合には、医薬製剤の添加剤として用いられる他の成分を用いた場合に比べて、造粒機内壁への造粒物の付着が顕著に抑制される。従って、これら(C)成分を配合すれば、造粒物の生産効率が飛躍的に向上する。また、(C)成分を配合せずに得られた造粒物は強いケーキングが発生するため、製品化においては、発生したケーキを解砕する操作が必要である。しかし、(C)成分を配合して得られた造粒物はケーキングが抑制されるか又はケーキングが発生しても容易に造粒物を分離することができるため、製品化においてケーキを解砕する操作は不要であり、作業効率を向上させることができる。
【0030】
更にまた、これら(C)成分を配合した本発明医薬組成物は、(A)薬物の不快味マスキング効果が高いだけでなく、溶出性も良好である。
【0031】
本発明において、(A)薬物と(B)ワックス状物質の重量比は、不快味のマスキング効果及び溶出性のバランスの点から、1:1〜1:5が好ましく、また、(C)合成ケイ酸アルミニウムと含水二酸化ケイ素は併用してもよい。これら(C)成分の配合量は、前記付着防止効果及びケーキング防止効果の点から本発明医薬組成物中に0.1〜5重量%、特に0.5〜4重量%、さらには1〜4重量%が好ましい。
【0032】
本発明の医薬組成物には、更に糖アルコールを配合することにより不快味マスキング効果と服用感を向上させることができる。糖アルコールとしては、溶解熱が小さいものが好ましく、例えば、エリスリトール、キシリトール、マルチトール又はそれらの2種以上の混合物が好ましい。服用感の点から、溶解熱−30cal/g以下の糖アルコールが好ましく、エリスリトール、キシリトールが特に好ましい。これらの糖アルコールの配合量は不快味のマスキング効果、溶出性及び服用感の観点から、本発明医薬組成物中10重量%以上が好ましく、10〜99.9重量%がより好ましく、20〜80重量%が更に好ましく、30〜70重量%が特に好ましい。
【0033】
本発明の医薬組成物は、(B)ワックス状物質を加温融解し、これに(A)薬物、(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素、並びに必要に応じて他の成分を添加して分散又は溶解した後、当該分散液又は溶液を噴霧造粒することにより得られる。
噴霧造粒手段としては、上記分散液又は溶液を通常の噴霧造粒機の回転しているディスク上に滴下する方法が好ましい。ここで、回転ディスクは、通常200〜30000r/min、好ましくは、500〜25000r/minで高速回転させるのが好ましい。また、回転ディスクへの分散液又は溶液の滴下(送液)速度は、回転ディスクの回転数等を考慮して適宜決めればよいが、通常、2g/分〜300g/分、特に5g/分〜200g/分が好ましい。
【0034】
回転ディスクの形状は、ピン型、ベーン型、ケスナー型等が挙げられるが、ピン型が好ましい。
【0035】
かくして得られた(A)薬物、(B)ワックス状物質、(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を含む造粒物は、そのまま医薬製剤とすることもできるが、更に二次造粒することもできる。
【0036】
二次造粒の手段としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ソルビトール等の結合剤溶液を用いた湿式流動層造粒法、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン等の低融点物質を結合剤とする溶融造粒法を挙げることができる。
【0037】
かかる二次造粒を採用する場合には、前記の糖アルコールは、二次造粒の段階で添加するのが好ましい。すなわち、口中では二次造粒に用いられた糖アルコールが唾液により10秒程度で溶解するため、一次造粒により得られた、薬物が分散されたワックス状物質粒子のみが残存するが、粒子径が50〜200μmに調整されたワックス状物質粒子は微小な球体であるため異物感を感じない。更に、薬物はワックス状物質中に均一に分散されて、粒子を形成しており、口中での溶解は極めて少ないため薬物の有する不快味は良好にマスキングされる。また、糖アルコール、とりわけエリスリトール、キシリトールは口に含むと甘味があり、清涼感があるため薬物の不快味のマスキングに寄与する。ワックス状物質粒子は嚥下されたのち、消化管内で薬物を放出し、放出された薬物は生体内に吸収される。
【0038】
本発明の医薬組成物は、そのまま又は必要に応じて他の添加剤を配合して、散剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤等の経口用医薬製剤とすることができる。中でも散剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤が好ましい。
【0039】
ここで用いられる他の添加剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、ソルビトール等の結合剤;アスパルテーム、サッカリンナトリウム、サッカリン、ソーマチン、ステビア等の甘味剤;dl−メントール、1−メントール、メントールミクロン等の香料;軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、エチルセルロース等の流動化剤;クロスカルメロースナトリウム、デンプングルコール酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤等が挙げられる。
【実施例】
【0040】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0041】
実施例1
モノイソステアリン酸グリセリン209.87gを約90℃で溶融させ、その中に合成ケイ酸アルミニウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、オリーブ油、プロピレングリコール、シリコーン樹脂、タルク又はトリアセチルグリセリン3.13gを混合した。更に、この混合液に塩酸チクロピジン100gを均一に分散し、この分散液をスプレードライヤを用いて噴霧造粒し、造粒物を得た。
このときの噴霧造粒条件は以下の通りである。
【0042】
(噴霧造粒条件)
装置:L−8型スプレードライヤ(直径:80cm)(大川原化工機(株))
回転ディスク:MC−50(大川原化工機(株))
回転ディスク径:50mm
回転ディスク回転数:12400〜12600rpm
送液(滴下)速度:28〜31g/分
吸気温度:49.6〜50.3℃(約50℃)
【0043】
このとき造粒機内壁への造粒物の付着量を測定したところ、モノステアリン酸グリセリンと塩酸チクロピジン以外に成分を添加しなかった場合に比べて、付着量が低下したのは合成ケイ酸アルミニウム又は含水二酸化ケイ素を添加した場合だけであり、他の成分を添加した場合は無添加の場合に比べて付着量の改善が見られなかった。
【0044】
実施例2
実施例1において、合成ケイ酸アルミニウム又は含水二酸化ケイ素を添加して得た造粒物について、粒度分布、溶出試験及び苦味マスキング試験を行った。
【0045】
(1)粒度分布測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS & RODOS)を用いて行った。その結果、いずれの造粒物も50%粒子径が100μmであった。
(2)溶出試験は、パドル法(50r/min、精製水900mL、37℃)で行った。その結果、いずれの造粒物も良好な溶出性(30分でほとんど溶出)を示し、医薬製剤として使用し得ることが判明した。
(3)苦味マスキング試験は、パドル法(100r/min、精製水300mL、37℃)における30秒の溶出試験により行った。その結果、いずれの造粒物も30秒で4.4〜5.2%しか溶出せず、十分な口腔内での苦味マスキング効果が得られることが判明した。
【0046】
実施例3
モノステアリン酸グリセリン203.61重量部を約90℃で溶融させ、その中に合成ケイ酸アルミニウムを9.39重量部混合した。更に、この混合液に塩酸チクロピジン100重量部を均一に分散し、この分散液をスプレードライヤを用いて噴霧造粒し、造粒物を得た。
造粒時、造粒物の付着は少なかった。また得られた造粒物の粒度分布、溶出性、及び苦味マスキング性も良好であった。
【0047】
実施例4
モノステアリン酸グリセリン203.7重量部を約90℃で溶融させ、その中に合成ケイ酸アルミニウム9.3重量部を混合した。さらに、この混合液に塩酸チクロピジン100重量部を均一に分散した。この分散液をスプレードライヤを用いて噴霧造粒し、微小な粒状物を得た。この造粒物313重量部にエリスリトール526重量部を加え、流動層造粒機を用いて混合後、D−ソルビトールとして100重量部相当量の68%W/W水溶液を噴霧し、流動造粒した。噴霧終了後、引き続き流動層造粒機内で乾燥を行い、造粒物を得た。この造粒物939重量部に軽質無水ケイ酸45重量部、タルク15重量部およびメントールミクロン1重量部を混合し、散剤を得た。
【0048】
実施例5
モノステアリン酸グリセリン203.7重量部、合成ケイ酸アルミニウム9.3重量部及びレボフロキサシン100重量部の混合末を90〜100℃で加温し、モノステアリン酸グリセリンを溶融させた。この液を混合後、スプレードライヤ(上部に円筒部、下部に円錐部を有する)を用いて噴霧造粒し、造粒物を得た。
このときの噴霧条件は以下の通りである。
【0049】
(噴霧造粒条件)
装置:L−8型スプレードライヤ(直径:80cm)(大川原化工機(株))
回転ディスク:MC−50(大川原化工機(株))
回転ディスク径:50mm
回転ディスク回転数:約20,000rpm
送液(滴下)速度:約50g/分
吸気温度:約50℃
【0050】
対照例1
モノステアリン酸グリセリン213重量部、及びレボフロキサシン100重量部の混合末を90〜100℃で加温し、モノステアリン酸グリセリンを溶融させた。この液を混合後、スプレードライヤを用いて噴霧造粒し、造粒物を得た。
このときの噴霧条件は実施例5の噴霧条件と同一の条件を用いた。
【0051】
評価(1)
実施例5、対照例1それぞれの造粒後に缶体内壁面への造粒物の付着の程度を観察した。観察結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
表1から、対照例1と比較して実施例5の造粒物付着量は明らかに少なかった。以上より、合成ケイ酸アルミニウムの添加による缶体内壁面への造粒物の付着防止効果が確認された。
【0054】
評価(2)
以下に示す式を用いて、造粒時の缶体内壁面への造粒物の付着率を算出した。
【0055】
【数1】

【0056】
付着率の評価結果を表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
対照例1の付着率と比較して実施例5の付着率は低い値を示した。以上より、合成ケイ酸アルミニウムの添加による缶体内壁面への造粒物の付着防止効果が確認された。
【0059】
評価(3)
実施例5と対照例1の造粒物約80gをガラス瓶に入れ室温で1日間保存後、ケーキング発生の有無を確認したところどちらの造粒物についてもケーキングの発生を確認した。ケーキングした造粒物を篩(12号篩;目開き1400μm)の上に取り出し、金属スパーテルで篩のふちをタッピングした。ケーキングした造粒物全てが解砕され篩を全量通過するまでに要したタッピング回数を計測し造粒物のケーキング強度の指標とした。
造粒物のケーキング強度の評価結果を表3に示す。
【0060】
【表3】

【0061】
対照例1のタッピング回数と比較して実施例5のタッピング回数は低い値を示した。以上より、合成ケイ酸アルミニウムの添加による造粒物の流動性改善効果が確認された。
【0062】
実施例6
モノステアリン酸グリセリン203.6重量部を90〜100℃で加温し、モノステアリン酸グリセリンを溶融させた。溶融確認後、この液に合成ケイ酸アルミニウム9.4重量部及び塩酸チクロピジン100重量部を混合した。スプレードライヤにより混合液を噴霧造粒し、造粒物を得た。
このときの噴霧条件は以下の通りである。
【0063】
(噴霧造粒条件)
装置:OC−16型スプレードライヤ(直径:160cm)(大川原化工機(株))
回転ディスク:MC−65(大川原化工機(株))
回転ディスク径:65mm
回転ディスク回転数:約12,000rpm
送液(滴下)速度:約8kg/時間
吸気温度:約50℃
【0064】
対照例2
モノステアリン酸グリセリン213重量部を90〜100℃で加温し、モノステアリン酸グリセリンを溶融させた。溶融確認後、この液に塩酸チクロピジン100重量部を混合した。スプレードライヤにより混合液を噴霧造粒し、造粒物を得た。
このときの噴霧条件は実施例6の噴霧条件と同一の条件を用いた。
【0065】
評価
実施例6及び対照例2について、それぞれの造粒物をポリ袋に入れ1日間保存し、保存後の造粒物の流動性を評価した。
評価結果を表4に示す。
【0066】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば造粒時に装置内への造粒物の付着が少なく、ケーキングが抑制され、かつ医薬として良好な粒状医薬組成物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(B)硬化油、植物性又は動物性油脂、高級アルコール、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上のワックス状物質を加温融解し、これに(A)不快味を呈する薬物、並びに(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を分散又は溶解した後、当該分散液又は溶液を噴霧造粒し、(A)不快味を呈する薬物が分散された粒子径50〜200μmのワックス状物質粒子を形成してなる、粒状医薬組成物。
【請求項2】
成分(A)が、塩酸セトラキサート、エカパピド、ネフィラセタム、塩酸タランピシリン、塩酸インデノロール、塩酸ヒドララジン、塩酸クロルプロマジン、塩酸チアラミド、塩化ベルベリン、ジキトキシン、スルピリン、塩酸アゼラスチン、塩酸エチレフリン、塩酸ジルチアゼム、塩酸プロプラノロール、クロラムフェニコール、アミノフィリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、フェノバルビタール、パントテン酸カルシウム、塩酸インデロキサジン、塩酸アミノグアニジン、塩酸ビフェメラン、7β−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−(Z)−ハイドロキシイミノアセトアミド]−3−N,N−ジメチルカルバモイルオキシメチル−3−セフェム−カルボン酸 1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチルエステル 塩酸塩、(E)−3−(2−メトキシ−3,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン−5−イル)−2−[5−(3−ピリジル)ペンチル]−2−プロペン酸、アミノフィリン、テオフィリン、ジフェンヒドラミン、メトクロプラミド、フェニルブタゾン、フェノバルビタール、アンピシリン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、アセトアミノフェン、エピリゾール、ピラジナミド、カフェイン、エチオナミド、カルベジロール、塩酸ラニチジン、塩酸ロキサジンアセタート、塩酸イミプラミン、塩酸エフェドリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ドネペジル、塩酸テトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリン、塩酸ナファゾリン、塩酸ノスカピン、塩酸パパベリン、臭化水素酸デキストロメトルファン、臭化チメピジウム、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸アリメマジン、塩酸ピルジカイニド、N−メチルスコポラミンメチル硫酸塩、マレイン酸シネパジド、塩酸アルギニン、塩酸ヒスチジン、塩酸リジン、酢酸リジン、生薬あるいは生薬の抽出物及び次の一般式(1)〜(4)
【化1】

〔式中、
1a、R1b及びR1cはそれぞれ独立して、置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、置換基を有することもあるC3−C6の環状アルキル基、置換基を有することもあるアリール基又は置換基を有することもあるヘテロアリール基を意味する。
2a、R2b、R2c及びR2dはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基又はアミノ基を意味する。
3a、R3b、R3c及びR3dはそれぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を意味する。
4a又はR4cは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基又は置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルコキシル基を意味する。
5dは、水素原子又は置換基を有することもあるC1−C6の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を意味する。
a、Yb、Yc及びYdはそれぞれ独立して含窒素基を意味する。〕
で表されるピリドンカルボン酸化合物又はその塩、及び次の一般式(5)
【化2】

〔式中、
1は、C1−C4アルキル基、ハロゲン原子、フルオロ置換−C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシル基、フルオロ置換−C1−C4アルコキシル基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選ばれる置換基を1〜3個有していてもよいフェニル基を示し、
2は、水素原子、カルボキシ基、C1−C6アルコキシカルボニル基、又はハロゲン原子、水酸基、C1−C6アルコキシル基若しくはシアノ基で置換されることもあるC1−C7脂肪族アシル基を示し、
3は、水酸基、C1−C4アルコキシル基、C1−C4アルコキシル基若しくはC1−C6アルカノイルオキシ基で置換されたC1−C4アルコキシル基、C7−C14アラルキルオキシ基、C1−C18アルカノイルオキシ基、C3−C7シクロアルキルカルボニルオキシ基、C6−C10アリールカルボニルオキシ基、C1−C4アルコキシカルボニルオキシ基若しくはC7−C14アラルキルオキシカルボニルオキシ基で置換されることもある4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−5−イル基を示す。〕
で表される4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン類又はその塩から選ばれる薬物である請求項1記載の粒状医薬組成物。
【請求項3】
成分(A)が、オフロキサシン、レボフロキサシン、塩酸チクロピジン又は硫酸クロピドグレルである請求項1記載の粒状医薬組成物。
【請求項4】
成分(A)と成分(B)との重量比が1:1〜1:5である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粒状医薬組成物。
【請求項5】
成分(C)の含有量が0.1〜5重量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒状医薬組成物。
【請求項6】
さらに糖アルコールを用いて造粒することにより得られるものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の粒状医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の粒状医薬組成物を含有することを特徴とする、経口用医薬製剤。
【請求項8】
剤形が散剤、細粒剤又は顆粒剤である、請求項7記載の経口用医薬製剤。
【請求項9】
(B)硬化油、植物性又は動物性油脂、高級アルコール、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上のワックス状物質を加温融解し、これに(A)不快味を呈する薬物を分散又は溶解した後、当該分散液又は溶液を噴霧造粒して(A)不快味を呈する薬物が分散された粒子径50〜200μmのワックス状物質粒子を形成する際の造粒機内壁への造粒物の付着防止剤であって、
(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を有効成分とする、付着防止剤。
【請求項10】
(B)硬化油、植物性又は動物性油脂、高級アルコール、ポリエチレングリコール、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上のワックス状物質を加温融解し、これに(A)不快味を呈する薬物を分散又は溶解した後、当該分散液又は溶液を噴霧造粒して(A)不快味を呈する薬物が分散された粒子径50〜200μmのワックス状物質粒子を形成する際の造粒機内壁への造粒物の付着防止方法であって、
加温融解したワックス状物質に、(C)合成ケイ酸アルミニウム及び/又は含水二酸化ケイ素を分散又は溶解する、付着防止方法。

【公開番号】特開2012−158610(P2012−158610A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118701(P2012−118701)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2002−528203(P2002−528203)の分割
【原出願日】平成13年9月19日(2001.9.19)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】