説明

医薬組成物

【課題】ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩を安定に含有する医薬組成物の提供。
【解決手段】ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩とを実質的に互いに接しないように含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物に関する。より詳細には、ピタバスタチン又はその塩及びピオグリタゾン又はその塩を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ピタバスタチン又はその塩等のHMG−CoA還元酵素阻害活性を有するスタチン類と、ピオグリタゾン又はその塩等のチアゾリジン系インスリン抵抗性改善剤との併用は、種々の疾患の予防・治療等に有用であることが知られている。
例えば、特許文献1には、ピオグリタゾン又はその塩を含むチアゾリジン系インスリン感受性増強剤と、ピタバスタチン又はその塩を含むスタチン系化合物とを組み合わせてなる医薬が、糖尿病及び糖尿病性合併症の予防及び治療に有効である旨記載されている。また、上記医薬が動脈硬化及び黄色腫(特許文献2)や、炎症性疾患(特許文献3)などの予防及び治療に有用であることも知られている。
こうした種々の疾患の予防・治療に対する有用性から、ピタバスタチン又はその塩等のスタチン類と、ピオグリタゾン又はその塩等のチアゾリジン系インスリン抵抗性改善剤とを組合わせてなる医薬、特に両成分を共に含有する医薬組成物(配合剤)の更なる開発が期待されている。
【0003】
なお、スタチン類とチアゾリジン系インスリン抵抗性改善剤を含有する医薬組成物に関し、特許文献4には、ピオグリタゾン又はその塩を含むインスリン抵抗性改善薬とHMG−CoA還元酵素阻害薬の配合性が必ずしも良好でない旨、及びインスリン抵抗性改善薬を含む粒とHMG−CoA還元酵素阻害薬を含む粒とを含有する固形製剤とすることにより、薬剤の安定性が損なわれない固形製剤を提供し得る旨記載されているものの、当該文献には、上記配合性の不良を裏付けるデータ等は何ら記載されておらず、上記構成に係る固形製剤の処方例が列記されているに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−67271号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第753298号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1254667号明細書
【特許文献4】特開2005−15477号公報
【特許文献5】特許第2774037号明細書
【特許文献6】特許第3254219号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような背景の下、本発明者は、まず、ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩を含有する医薬組成物を開発するため、これらの保存安定性について検討したところ、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩とを混合して保存すると、両成分間に相互作用が生じ、固化、変色等の状態変化が生じ、さらに各成分の分解物が生成し、保存安定性に問題が生じることを見出した。
従って、本発明の課題は、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩とを安定に含有する医薬組成物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、保存安定性の問題を解決すべく鋭意検討したところ、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩との接触が相互作用の原因であり、これにより保存安定性の問題が生じることが明らかとなった。
そして、本発明者はさらに鋭意検討し、医薬組成物中のピタバスタチン又はその塩と、ピオグリタゾン又はその塩とを実質的に互いに接触しないように含有せしめることにより、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩との間の相互作用が抑制され、分解物の生成をも抑制できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩とを実質的に互いに接しないように含有する医薬組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ピタバスタチン又はその塩と、ピオグリタゾン又はその塩とを安定に含有する医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、「ピタバスタチン又はその塩」には、ピタバスタチン(pitavastatin)そのもののほか、ピタバスタチンの薬学上許容される塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;フェネチルアミン塩等の有機アミン塩;アンモニウム塩等)、さらにはピタバスタチンやその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれ、本発明においてはこれらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、ピタバスタチンカルシウム(化学名:(+)-monocalcium bis[(3R,5S,6E)-7-[2-cyclopropyl-4-(4-fluorophenyl)-3-quinolyl]-3,5-dihydroxy-6-heptenoate})が好ましい。
なお、ピタバスタチン又はその塩は公知の化合物であり、例えば、特開平1−279866号公報、米国特許第5856336号明細書等に記載の方法により製造することができる。
【0010】
本発明の医薬組成物におけるピタバスタチン又はその塩の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよく、例えば、1日あたり、ピタバスタチンカルシウム換算で0.1〜16mg、より好適には0.5〜8mg、特に好適には1〜4mg服用できる量である。
本発明においては、ピタバスタチン又はその塩を医薬組成物全質量に対して、ピタバスタチンカルシウム換算で0.01〜30質量%含有する医薬組成物が好ましく、0.05〜20質量%含有する医薬組成物がより好ましく、0.1〜15質量%含有する医薬組成物が特に好ましい。
【0011】
本発明において、「ピオグリタゾン又はその塩」には、ピオグリタゾン(pioglitazone)そのもののほか、ピオグリタゾンの薬学上許容される塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の有機酸塩)、さらにはピオグリタゾンやその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれ、本発明においてはこれらの1種又は2種以上を組合わせて使用できる。これらの中でも、ピオグリタゾン塩酸塩(化学名:(5RS)-5-{4-[2-(5-Ethylpyridin-2-yl)ethoxy]benzyl}-thiazolidine-2,4-dione monohydrochloride)が好ましい。
なお、ピオグリタゾン又はその塩は公知の化合物であり、例えば、米国特許第4687777号明細書等に記載の方法により製造することができる。
【0012】
本発明の医薬組成物におけるピオグリタゾン又はその塩の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよく、例えば、1日あたり、ピオグリタゾンのフリー体換算で1〜100mg、より好適には5〜70mg、特に好適には15〜45mg服用できる量である。
本発明においては、ピオグリタゾン又はその塩を医薬組成物全質量に対して、ピオグリタゾンのフリー体換算で1〜99質量%含有する医薬組成物が好ましく、2〜98.5質量%含有する医薬組成物がより好ましく、3〜98質量%含有する医薬組成物が特に好ましい。
【0013】
本発明の医薬組成物における、ピタバスタチン又はその塩と、ピオグリタゾン又はその塩との含有質量比率は特に限定されないが、ピタバスタチン若しくはその塩及び/又はピオグリタゾン若しくはその塩の安定性の観点から、ピタバスタチン又はその塩をピタバスタチンカルシウム換算で1質量部に対して、ピオグリタゾン又はその塩をピオグリタゾンのフリー体換算で1〜75質量部が好ましく、2〜60質量部がより好ましく、3〜45質量部が特に好ましい。
【0014】
本発明の医薬組成物は、上述のピタバスタチン又はその塩と上述のピオグリタゾン又はその塩とを実質的に互いに接しないように含有するものである。斯かる「実質的に互いに接しないように含有する」形態について、詳細に説明する。
本発明において、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩とを「実質的に互いに接しないように含有する」とは、医薬組成物中、ピタバスタチン又はその塩及びピオグリタゾン又はその塩の一部又は全部が相互作用を発現しない程度に接触しないよう含有することを意味する。中でも、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩が接触しないように含有することが好ましい。また、本発明の医薬組成物の剤形は特に限定されないが、服用のしやすさ等の観点から、固形製剤が好ましい。なお、固形製剤の具体例としては、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、ドライシロップ剤、ゼリー剤、トローチ剤等の経口投与製剤や坐剤、膣錠等の非経口投与製剤が挙げられるが、経口投与製剤が好ましい。本発明の医薬組成物は、公知の方法により、糖衣やフィルムコーティング等により被覆されていてもよい。
【0015】
上記固形製剤としては、(A)ピタバスタチン若しくはその塩そのもの、又はピタバスタチン若しくはその塩を含有する固形組成物と、(B)ピオグリタゾン若しくはその塩そのもの、又はピオグリタゾン若しくはその塩を含有する固形組成物とを含有し、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩とが互いに接しないように配置されている固形製剤(但し、成分(A)がピタバスタチン若しくはその塩そのものであり、かつ、成分(B)がピオグリタゾン又はその塩そのものである場合を除く)が挙げられる。斯かる態様においては、固形組成物を構成する成分によって、ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩との接触が妨げられることとなる。本発明において、上記の成分(A)としては、ピタバスタチン又はその塩を含有する固形組成物が好ましく、成分(B)としては、ピオグリタゾン又はその塩を含有する固形組成物が好ましい。
また、上記固形製剤が、後述する塩基性物質を含有する場合、その配合方法・含有形態等は特に限定されないが、ピタバスタチン若しくはその塩及び/又はピオグリタゾン若しくはその塩の安定性の観点から、ピタバスタチン又はその塩の近傍に塩基性物質を存在せしめるのが好ましく、ピタバスタチン又はその塩を含有する固形組成物中に塩基性物質を含有せしめるのが好ましい。
また、上記固形組成物の形態は、粉状、粒状、錠剤状のような形態であり、その大きさ等は特に限定されない。斯様な形態の中でも、造粒して得られる粒状物が好ましい。
【0016】
上記固形製剤の具体的な形態としては、以下の(1)−(8)等を例示することができ、これらは公知の方法、例えば、第十五改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により、適宜製剤添加物を用いて、製造、製剤化することができる。なお、斯かる固形製剤において、塩基性物質を用いる場合、斯かる塩基性物質は粒状物中に含有せしめてもよいし、粒状物とは別に含有せしめてもよい。
【0017】
(1)ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩のうちいずれか一方を適当な方法で造粒して粒状物とし、これに他方を造粒せずに配合して製した散剤や顆粒剤等並びにこれらの剤を更に適当な方法で被覆した製剤。
(2)ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩をそれぞれ適当な方法で別個に造粒して粒状物とし、これらを配合して製した散剤や顆粒剤等並びにこれらの剤を更に適当な方法で被覆した製剤。
(3)上記(1)又は(2)で製した散剤や顆粒剤等並びにこれらの剤を更に適当な方法で被覆した製剤がカプセルに充填されたカプセル剤。
(4)上記(1)又は(2)で製した粒状物等を適当な方法で製錠して得た錠剤及び当該錠剤を更に適当な方法で被覆した製剤(糖衣錠やフィルムコーティング錠など)。製錠は、圧縮法のほか、適当な方法により一定の形状に成形することでも達成できる。
(5)ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩が実質的に互いに接触しないように製した多層錠並びに当該多層錠を更に適当な方法で被覆した製剤(糖衣錠やフィルムコーティング錠など)。当該多層錠としては、ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩を、互いに異なる層に位置させたものが好ましく、三層以上の多層錠として、ピタバスタチン又はその塩を含む層とピオグリタゾン又はその塩を含む層とが互いに接しないように位置させたものがより好ましい。なお、ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩として、上記(1)や(2)で製した粒状物等を用いることができる。
(6)ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩のいずれか一方を核錠(芯錠、中心錠ともいう)に配置し、ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩が実質的に互いに接触しないように製した有核錠、並びに当該有核錠を更に適当な方法で被覆した製剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠など)。なお、ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩として、上記(1)や(2)で製した粒状物等を用いることができる。
(7)上記(1)又は(2)の粒状物に換えて、ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩のいずれか一方又は両方をα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンやγ−シクロデキストリン等のシクロデキストリン類等で包接した包接化合物を用いた製剤。
(8)ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩のいずれか一方を通常の方法で製した製剤中に含有し、糖衣層やフィルムコーティング層を設けた製剤であって、当該糖衣層やコーティング層に他方を含有し、ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩が実質的に互いに接しないように製した製剤(剤形が錠剤である場合、糖衣錠やフィルムコーティング錠など)。
【0018】
上記(1)及び(2)等における粒状物は、押し出し造粒、転動造粒、撹拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒、破砕造粒、溶融造粒等の公知の造粒方法により、適宜製剤添加物を用いて製すればよい。本発明においては、ピタバスタチン又はその塩を含有する粒状物、及びピオグリタゾン又はその塩を含有する粒状物のいずれもが同一の造粒方法により製されていてもよいし、相異なる造粒方法により製されていてもよい。
【0019】
本発明の医薬組成物としては、ピタバスタチン又はその塩及びピオグリタゾン又はその塩に加えて、ピタバスタチン若しくはその塩及び/又はピオグリタゾン若しくはその塩の安定性の観点から、塩基性物質を含有するものが好ましい。後記実施例に記載のとおり、ピタバスタチン又はその塩のラクトン体生成とピオグリタゾン又はその塩の分解物の生成とに関連性があり、ピタバスタチン又はその塩等のスタチン類のラクトン体生成抑制手段として公知である(例えば、特許文献5及び特許文献6など)塩基性物質の配合により、ピタバスタチン又はその塩の分解抑制のみならず、ピオグリタゾン又はその塩の分解も抑制できることが明らかとなった。
【0020】
本発明において、「塩基性物質」としては、ピタバスタチン又はその塩のpH環境を塩基性にし得るものであれば特に限定されない。斯様な塩基性物質としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等を含むアルカリ土類金属及び/又は土類金属系のもの;ナトリウム、カリウム等を含むアルカリ金属系のもの;アミン系のものが挙げられる。
また、上述のような塩基性物質は、無機系塩基性物質と有機系塩基性物質とに大別できる。
【0021】
上記無機系塩基性物質において、アルカリ土類金属及び/又は土類金属系の無機系塩基性物質としては、マグネシウム、アルミニウム及びカルシウムから選ばれる金属の無機塩が好ましい。具体的には、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・ヒドロキシプロピルスターチ・結晶セルロース、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、水酸化カルシウムが挙げられる。
【0022】
また、アルカリ金属系の無機系塩基性物質としては、ナトリウム及びカリウムから選ばれる金属の無機塩が好ましい。具体的には、乾燥炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、無水ピロリン酸ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0023】
また、上記有機系塩基性物質において、アルカリ土類金属及び/又は土類金属系の有機系塩基性物質としては、例えば、アルジオキサ、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、スクラルファート水和物、パントテン酸カルシウム等が挙げられる。
また、アルカリ金属系の有機系塩基性物質としては、例えば、クエン酸ナトリウム水和物、コハク酸二ナトリウム六水和物、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、銅クロロフィリンナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、5´−リボヌクレオチド二ナトリウム、銅クロロフィリンカリウム等が挙げられる。
また、アミン系の有機系塩基性物質としては、例えば、アミノ酢酸、L−アルギニン、メグルミン等が挙げられる。
【0024】
上述のような塩基性物質の中でも、無機系塩基性物質が好ましい。この中でも、ピタバスタチン若しくはその塩及び/又はピオグリタゾン若しくはその塩の安定性の観点から、酸化アルカリ土類金属(酸化マグネシウム、酸化カルシウムなど)、水酸化アルカリ土類金属(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、炭酸アルカリ土類金属(炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、ケイ酸アルカリ土類金属(ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなど)、炭酸水素アルカリ金属(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、及び水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)並びにこれらを構成成分の一部として含有する無機系塩基性物質(メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなど)が好ましく、酸化アルカリ土類金属及び水酸化アルカリ土類金属並びにこれらを構成成分の一部として含有する無機系塩基性物質から選ばれる無機系塩基性物質がより好ましく、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選ばれる無機系塩基性物質が更に好ましく、酸化マグネシウムが特に好ましい。
【0025】
本発明の医薬組成物が塩基性物質を含有する場合、その含有量は特に限定されないが、ピタバスタチン若しくはその塩及び/又はピオグリタゾン若しくはその塩の安定性の観点から、塩基性物質を医薬組成物全質量に対して、0.001〜30質量%含有する医薬組成物が好ましく、0.005〜20質量%含有する医薬組成物がより好ましく、0.01〜10質量%含有する医薬組成物が特に好ましい。
【0026】
本発明の医薬組成物が塩基性物質を含有する場合、ピタバスタチン又はその塩と塩基性物質との含有質量比率は特に限定されないが、ピタバスタチン若しくはその塩及び/又はピオグリタゾン若しくはその塩の安定性の観点から、ピタバスタチン又はその塩をピタバスタチンカルシウム換算で1質量部に対して、塩基性物質0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましく、0.1〜0.2質量部が特に好ましい。
【0027】
本発明の医薬組成物は、ピタバスタチン又はその塩、ピオグリタゾン又はその塩、塩基性物質の他に、薬効成分として、例えば、ピオグリタゾン及びその塩以外の糖尿病治療薬、糖尿病合併症治療薬、降圧薬、抗血栓薬、ピタバスタチン及びその塩以外の高脂血症治療薬、利尿薬等を含んでいてもよい。
【0028】
ピオグリタゾン及びその塩以外の糖尿病治療薬としては、例えば、インスリン製剤;ボグリボース、アカルボース、ミグリトール及びエミグリテート等のα−グルコシダーゼ阻害剤;フェンフォルミン、メトフォルミン及びブフォルミン等のビグアナイド剤;トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラシド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトへキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール等のスルホニルウレア剤;レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド等のグリニド薬;シダグリプチン、アログリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン等のDPP−4阻害薬;ASP1941、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、レモグリフロジン、ルセオグリフロジン、BI−10773、CSG−452等のSGLT2阻害剤;タスポグルチド、リラグルチド、エキセナチド等のGLP−1アゴニスト等が挙げられる。
【0029】
糖尿病合併症治療薬としては、例えば、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット等のアルドース還元酵素阻害剤等が挙げられる。
【0030】
降圧薬としては、例えば、ペリンドプリル、デラプリル、トランドプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、ラミプリル等のACE阻害剤;ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、エプロサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、オルメサルタンメドキソミル等のアンジオテンシンII拮抗剤;アムロジピン、アラニジピン、アゼルニジピン、エフォニジピン、
クレビジピン、シルニジピン、ニカルジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン、ニモジピン、バルニジピン、フェロジピン、ベニジピン、マニジピン、ラシジピン、レルカニジピン等のカルシウム拮抗剤;レブクロマカリム等のカリウムチャネル開口剤;クロニジン等のα2受容体アゴニスト等が挙げられる。
【0031】
抗血栓薬としては、例えば、ヘパリン;ワルファリン;アルガトロバン等の抗トロンビン薬;シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、塩酸サルポグレラート、チクロピジン、クロピドグレル、プラスグレル等の抗血小板剤;YM150、エドキサバン等の抗Xa剤;ウロキナーゼ、チソキナーゼ、アルテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、パミテプラーゼ等の抗トロンビン剤等が挙げられる。
【0032】
ピタバスタチン及びその塩以外の高脂血症治療薬としては、例えば、ベザフィブラート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シムフィブラート、テオフィブラート等のフィブラート剤;TAK−475等のスクワレン合成酵素阻害剤;トルセトラピブ、アナセトラピブ、ダルセトラピブ、JTT−302、DRL−17822、TA−8995等のCETP阻害剤;ニコモール、ニセリトロール等のニコチン系薬剤等が挙げられる。
【0033】
利尿薬としては、例えば、テオブロミン等のキサンチン誘導体、フロセミド、トラセミド、アゾセミド、ピレタニド等のループ利尿薬;エチアジド、シクロペンチアジド、ヒドロクロロチアジド、ペンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチアジド、ポリチアジド、メチクロチアジド、ヒドロフルメチアジド、トリクロルメチアジド、インダパミド、クロルタリドン等のチアジド系利尿薬;トリアムテレン、スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、エプレレノン等の抗アルドステロン薬;アセタゾラミド等の炭酸脱水酵素阻害剤等が挙げられる。
【0034】
本発明の医薬組成物を製するにあたり、用いられ得る製剤添加物としては、例えば、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、着色剤等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、デキストリン、部分アルファー化デンプン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、ポビドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。なお、上記(1)及び(2)等における粒状物を製する際に溶融造粒を用いる場合は、常温時に固体であって、加熱により溶融又は軟化するような融点(凝固点)が低い結合剤を用いることが好ましい。このような結合剤の融点(凝固点)としては、本発明に係る成分(ピタバスタチン又はその塩、及びピオグリタゾン又はその塩)の融点よりも低いものが好ましい。具体的には、融点(凝固点)が30〜100℃の結合剤が好ましく、50〜80℃のものがより好ましい。このようなものとしては、例えば、マクロゴール類(例えば、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000等);油脂類(例えば、牛脂硬化油、硬化油、水素添加植物油、ダイズ硬化油、カルナウバロウ、サラシミツロウ、ミツロウ、モクロウ等);炭化水素類(例えば、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等);高級アルコール類(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール等);脂肪酸類(例えば、ステアリン酸等);脂肪酸エステル類(例えば、アセチルグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリン等)等が挙げられる。
【0035】
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、粉末セルロース、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0036】
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプピルセルロース、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。
【0037】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
流動化剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、酸化チタン等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号等が挙げられる。
【0038】
本発明の医薬組成物は、HMG−CoA還元酵素阻害活性を有するピタバスタチン又はその塩、及びチアゾリジン系インスリン抵抗性改善剤であるピオグリタゾン又はその塩を含有するため、糖尿病、糖尿病合併症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症を始めとする種々の疾患の予防及び/又は治療に有用である。
【実施例】
【0039】
以下に実施例等を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら限定されるものではない。
【0040】
<試験例1>相互作用の検討
下記に示す参考例1、対照例1及び2のサンプルを製造し、参考例1のサンプルについては500mgを、対照例1及び2のサンプルについては250mgをそれぞれガラス瓶に入れ、60℃で2週間保存した。
【0041】
[対照例1]
ピタバスタチンカルシウムをそのまま対照例1のサンプルとした。
[対照例2]
ピオグリタゾン塩酸塩をそのまま対照例2のサンプルとした。
[参考例1]
ピタバスタチンカルシウム及びピオグリタゾン塩酸塩を等量混合し、得られた混合物を参考例1のサンプルとした。
【0042】
上記各種サンプルにつき、下記の性状及び分解物量の確認を行なった。
【0043】
(性状の確認)
各種サンプルにつき、保存開始直後及び2週間保存後の状態(性状)を目視により評価した。
(ピタバスタチンカルシウムの分解物量の確認)
各種サンプルにつき、保存開始直後及び2週間保存後のピタバスタチンカルシウムの分解物量を、HPLC法を用いて測定した。具体的には、HPLC装置(SERIES1100:Agilent製)を用いて、ピタバスタチンカルシウムの分解物量を、ピタバスタチン及びその分解物に由来する総ピーク面積に対する面積百分率(%)として測定した。
(ピオグリタゾン塩酸塩の分解物量の確認)
上記ピタバスタチンカルシウムの分解物量の確認と同様の方法により、ピオグリタゾン塩酸塩の分解物量を、ピオグリタゾン及びその分解物に由来する総ピーク面積に対する面積百分率(%)として測定した。
結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示すように、ピタバスタチンカルシウム及びピオグリタゾン塩酸塩を各々単独で保存すると、性状及び分解物量はほとんど変化しなかった(対照例1及び2)。その一方で、ピタバスタチンカルシウムとピオグリタゾン塩酸塩を混合して保存すると、混合物は固化し、褐色に変色するとともに、各成分の分解物量の増加が確認された(参考例1)。
このことから、ピタバスタチンカルシウムとピオグリタゾン塩酸塩との接触により相互作用が生じることが判明した。
また、参考例1のサンプルについて、ピタバスタチンカルシウムの分解物の組成を確認した結果、そのほとんどがラクトン体であった(26.3%(ピタバスタチンの分解物のうちの約85%))。
【0046】
<試験例2>相互作用の抑制手段の検討
ピタバスタチンカルシウムとピオグリタゾン塩酸塩との接触により相互作用が生じる、との上記試験例1の結果を踏まえ、本発明者は、ピタバスタチンカルシウムとピオグリタゾン塩酸塩を実質的に互いに接しないように含有する医薬組成物とすれば相互作用を抑制できるとの予測に立ち、相互作用の抑制手段について以下の検討を行なった。
まず、下記の方法に従い、ピタバスタチンカルシウム及び酸化マグネシウムを含有する顆粒(以下、顆粒Iとも称する)と、ピオグリタゾン塩酸塩を含有する顆粒(以下、顆粒IIとも称する)とを製造した。
【0047】
(ピタバスタチンカルシウム及び酸化マグネシウムを含有する顆粒(顆粒I)の製造)
50mg当たりに以下の成分を含有する顆粒を、常法により製造した。
ピタバスタチンカルシウム 4.18mg
酸化マグネシウム 0.5mg
乳糖水和物 42.42mg
ヒプロメロース 0.4mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 2.5mg
【0048】
(ピオグリタゾン塩酸塩を含有する顆粒(顆粒II)の製造)
120mg当たりに以下の成分を含有する顆粒を、常法により製造した。
ピオグリタゾン塩酸塩 30mg
乳糖水和物 78mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6mg
カルメロースカルシウム 6mg
【0049】
次いで、下記に示す実施例1〜3のサンプルを製造し、各サンプル6gをガラス瓶に入れ、60℃で2週間保存した。
【0050】
[実施例1]
ピタバスタチンカルシウムと顆粒IIとを、ピタバスタチンカルシウムの量と顆粒II中のピオグリタゾン塩酸塩の量とが等量となるように混合し、実施例1のサンプルとした。
[実施例2]
顆粒Iとピオグリタゾン塩酸塩とを、ピオグリタゾン塩酸塩の量と顆粒I中のピタバスタチンカルシウムの量とが等量となるように混合し、実施例2のサンプルとした。
[実施例3]
顆粒Iと顆粒IIとを、顆粒I中のピタバスタチンカルシウムの量と顆粒II中のピオグリタゾン塩酸塩の量とが等量となるように混合し、実施例3のサンプルとした。
【0051】
そして、各種サンプルにつき、保存開始直後及び2週間保存後のピタバスタチンカルシウム及びピオグリタゾン塩酸塩の分解物量を、試験例1と同様の方法により測定した。
結果を表2に示す。なお、表2中の参考例1は、試験例1の参考例1である。
【0052】
【表2】

【0053】
表2から明らかなように、ピタバスタチンカルシウム、又はピオグリタゾン塩酸塩の少なくとも一方を造粒して顆粒とし、互いに接しないようにすることにより、ピタバスタチンカルシウムとピオグリタゾン塩酸塩の分解物の生成が抑制され、相互作用が抑制されることが確認された(実施例1〜3)。
また、塩基性物質である酸化マグネシウムを配合した実施例2及び3のサンプルにおいては、ピタバスタチン及びピオグリタゾンの分解物の生成が顕著に抑制されていた。特に、実施例3のサンプルにおいては、ピタバスタチンカルシウム及びピオグリタゾン塩酸塩をそれぞれ別々に造粒して顆粒とし、両成分が接しないようにすることに加えて、塩基性物質である酸化マグネシウムを配合することにより、ピタバスタチン及びピオグリタゾンの分解物の生成が特に顕著に抑制されていた。
【0054】
上記試験例1〜2の結果から、ピタバスタチン又はその塩と、ピオグリタゾン又はその塩とを実質的に互いに接しないように含有する医薬組成物とすることにより、ピタバスタチン又はその塩と、ピオグリタゾン又はその塩との間の相互作用が抑制でき、両成分を安定化できることが明らかとなった。
【0055】
[製造例1]
ピタバスタチンカルシウム4.18g、29.2gのマクロゴール6000及びトウモロコシデンプン24.3gを65℃湯浴上のガラスビーカー中にて撹拌し、次いで冷却した後、18号篩で篩過して、造粒物を得る。得られた造粒物にピオグリタゾン塩酸塩30g、カルメロースカルシウム81g、乳糖水和物633.22g及びステアリン酸マグネシウム8.1gを混合した後、直径8.5mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所製:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の質量が270mgの錠剤を得る。
【0056】
[製造例2]
マクロゴール6000を硬化油に換える以外は、製造例1と同様にして、錠剤を得る。
【0057】
[製造例3]
ピオグリタゾン塩酸塩30g、29.2gのマクロゴール6000及びトウモロコシデンプン24.3gを65℃湯浴上のガラスビーカー中にて撹拌し、次いで冷却した後、18号篩で篩過して、造粒物を得る。得られた造粒物にピタバスタチンカルシウム4.18g、カルメロースカルシウム81g、乳糖水和物633.22g及びステアリン酸マグネシウム8.1gを混合した後、直径8.5mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所製:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の質量が270mgの錠剤を得る。
【0058】
[製造例4]
マクロゴール6000を硬化油に換える以外は、製造例3と同様にして、錠剤を得る。
【0059】
[製造例5]
ピタバスタチンカルシウム4.18g、ヒドロキシプロピルセルロース24.3g、カルメロースカルシウム81g、結晶セルロース662.42gを高速攪拌造粒機(パウレック製:VG−05型)に投入して混合後、精製水328.8gを添加して練合し、造粒物を得る。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業製:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工製:ND−10型)を用いて整粒する。この整粒物771.9g、ピオグリタゾン塩酸塩30g及びステアリン酸マグネシウム8.1gを混合機(コトブキ製:PM50型)に投入して混合した後、直径8.5mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所製:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の質量が270mgの錠剤を得る。
【0060】
[製造例6]
ピオグリタゾン塩酸塩30g、ヒドロキシプロピルセルロース24.3g、カルメロースカルシウム81g、結晶セルロース662.42gを高速攪拌造粒機(パウレック製:VG−05型)に投入して混合後、精製水328.8gを添加して練合し、造粒物を得る。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業製:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工製:ND−10型)を用いて整粒する。この整粒物797.72g、ピタバスタチンカルシウム4.18g及びステアリン酸マグネシウム8.1gを混合機(コトブキ製:PM50型)に投入して混合した後、直径8.5mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所製:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の質量が270mgの錠剤を得る。
【0061】
[製造例7]
ピタバスタチンカルシウム4.18g、ヒドロキシプロピルセルロース12.1g、カルメロースカルシウム40.5g、結晶セルロース344.12gを高速攪拌造粒機(パウレック製:VG−05型)に投入して混合後、精製水164.3gを添加して練合し、造粒物を得る。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業製:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工製:ND−10型)を用いて整粒する(整粒物A)。また、ピオグリタゾン塩酸塩30g、ヒドロキシプロピルセルロース12.1g、カルメロースカルシウム40.5g、結晶セルロース318.3gを高速攪拌造粒機(パウレック製:VG−05型)に投入して混合後、精製水164.3gを添加して練合し、造粒物を得る。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業製:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工製:ND−10型)を用いて整粒する(整粒物B)。整粒物A 400g、整粒物B 400g及びステアリン酸マグネシウム8g(太平化学工業製:商品名 ステアリン酸マグネシウム(植物性))を混合機(コトブキ製:PM50型)に投入して混合した後、直径8.5mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所製:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の質量が270mgの錠剤を得る。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、HMG−CoA還元酵素阻害活性を有するピタバスタチン又はその塩と、チアゾリジン系インスリン抵抗性改善剤であるピオグリタゾン又はその塩との間の相互作用を抑制でき、HMG−CoA還元酵素阻害活性を有するピタバスタチン又はその塩、及びチアゾリジン系インスリン抵抗性改善剤であるピオグリタゾン又はその塩を安定に含有する医薬組成物を提供することができ、医薬品産業等において利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピタバスタチン又はその塩とピオグリタゾン又はその塩とを実質的に互いに接しないように含有する医薬組成物。
【請求項2】
ピオグリタゾン又はその塩が、ピオグリタゾン塩酸塩である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
ピタバスタチン又はその塩が、ピタバスタチンカルシウムである請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
さらに、塩基性物質を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
塩基性物質が、無機系塩基性物質である請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
塩基性物質が、酸化アルカリ土類金属、水酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、ケイ酸アルカリ土類金属、炭酸水素アルカリ金属、及び水酸化アルカリ金属並びにこれらを構成成分の一部として含有する無機系塩基性物質から選ばれる無機系塩基性物質である請求項4又は5記載の医薬組成物。
【請求項7】
塩基性物質が、酸化マグネシウムである請求項4〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
固形製剤である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
剤形が、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤又は錠剤である請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2012−176920(P2012−176920A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41669(P2011−41669)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】