説明

医薬組成物

【課題】クレマスチン又はその塩と、キサンチン誘導体との間の相互作用が抑制された医薬組成物の提供。
【解決手段】クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体及びトラネキサム酸又はその塩を含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレマスチン又はその塩及びキサンチン誘導体を含有する、保存安定性が優れた医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フマル酸クレマスチン等のクレマスチン又はその塩は、抗ヒスタミン作用を有し、総合感冒薬のほか、鼻炎用内服薬、アレルギー用剤など様々の医薬品に用いられている(非特許文献1)。
【0003】
一方、カフェイン等のキサンチン誘導体は、中枢神経興奮作用を有し、総合感冒薬、解熱鎮痛剤等の様々の医薬品に用いられている。カフェインは中枢興奮作用、強心・利尿作用、胃酸分泌亢進作用、平滑筋弛緩作用等を示し、総合感冒薬のほか、解熱鎮痛剤、鎮咳去痰薬等に用いられる薬物である(非特許文献2)。また、カフェインと類似の構造を有するテオフィリン、パラキサンチン、テオブロミン、アミノフィリン、ジプロフィリン、プロキシフィリン等の他のキサンチン誘導体も、カフェインと類似の薬理作用を有する。テオフィリンは中枢興奮作用、強心・利尿作用、平滑筋弛緩作用等を示し、鎮咳去痰薬や鎮暈薬等に用いられる薬物である。アミノフィリンはテオフィリンとエチレンジアミンの複塩であり、テオフィリンと同様の作用を示し、ジプロフィリンも、テオフィリンと同様の作用を示す(非特許文献3)。プロキシフィリンもテオフィリンと同様の作用を示し(非特許文献4)、パラキサンチンやテオブロミンも同様の作用を示す。
【0004】
クレマスチン又はその塩とキサンチン誘導体との組み合わせは、既に知られている。例えば、特許文献1の実施例5には、フマル酸クレマスチンとカフェインを含有する錠剤が開示されている。また、特許文献2の実施例4〜11、比較例4〜7には、クレマスチンフマル酸塩と無水カフェインを含有する錠剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−330245号公報
【特許文献2】特開2010−111589号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第231頁
【非特許文献2】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第198−199頁
【非特許文献3】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第292−294頁
【非特許文献4】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第688頁
【非特許文献5】第15改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−2743−2749頁
【非特許文献6】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第693−694頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、クレマスチン又はその塩とキサンチン誘導体との間に、保存安定性に影響を与えるような相互作用が生じるか否かについては、一切知られていない。
そこで、本発明者は、両成分の保存安定性について鋭意検討したところ、クレマスチン又はその塩とキサンチン誘導体とを混合して高温条件下で長期間保存すると、意外にも、これらの成分の間に相互作用が生じ、この相互作用により、混合物の経時的な状態変化(湿潤等)が生じ、保存安定性に問題が生じることを見出した。
医薬品の流通・保存過程においては長期に渡り高温に曝される可能性があるため、医薬組成物には、高温・長期間保存時における保存安定性の向上が要求される。
【0008】
従って、本発明の課題は、クレマスチン又はその塩とキサンチン誘導体の間の相互作用が抑制された医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者は、この問題を解決すべくさらに検討したところ、クレマスチン又はその塩及びキサンチン誘導体に、トラネキサム酸又はその塩を共存せしめることにより、相互作用を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体及びトラネキサム酸又はその塩を含有する医薬組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クレマスチン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用を抑制できる。従って、保存安定性が優れた、クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体を含有する医薬組成物を提供することができる。
また、複雑な工程を経ることなく、簡便かつ安価に、クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体を含有する、相互作用が抑制された医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、「クレマスチン又はその塩」には、クレマスチンそのもののほか、クレマスチンの薬学上許容される塩も含まれる。クレマスチン又はその塩の具体例としては例えば、クレマスチン、クレマスチンの鉱酸塩(塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩など)、クレマスチンの有機酸塩(フマル酸塩、メタンスルホン酸塩など)等が挙げられ、本発明においては、クレマスチンフマル酸塩が好ましい。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0013】
本発明の医薬組成物におけるクレマスチン又はその塩の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、クレマスチン又はその塩をクレマスチンのフリー体換算で、0.01〜5mg、より好適には0.05〜3mg、特に好適には0.1〜2mg服用できる量を含有せしめることができる。本発明においては、クレマスチン又はその塩を医薬組成物全質量に対してクレマスチンのフリー体換算で0.008〜0.4質量%含有するのが好ましく、0.01〜0.2質量%含有するのがより好ましく、0.015〜0.15質量%含有するのが特に好ましい。なお、クレマスチンフマル酸塩1.34mgはクレマスチンのフリー体として1mgに相当するものである。
【0014】
本発明において、「キサンチン誘導体」としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【0015】
【化1】

【0016】
[式(1)中、R1及びR2は各々独立して水素原子又はメチル基を示し、R3は水素原子
、メチル基、モノヒドロキシプロピル基又はジヒドロキシプロピル基を示す。]
【0017】
式(1)中、R3において、モノヒドロキシプロピル基としては、2−ヒドロキシプロ
ピル基が好ましい。また、ジヒドロキシプロピル基としては、2,3−ジヒドロキシプロピル基が好ましい。
【0018】
なお、上記一般式(1)において、
(1)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3がメチル基であるものは、カフ
ェインを意味するものである。
(2)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が水素原子であるものは、テオ
フィリンを意味するものである。
(3)R1が水素原子であり、R2がメチル基であり、R3がメチル基であるものは、テオ
ブロミンを意味するものである。
(4)R1がメチル基であり、R2が水素原子であり、R3がメチル基であるものは、パラ
キサンチンを意味するものである。
(5)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が2−ヒドロキシプロピル基で
あるものは、プロキシフィリンを意味するものである。
(6)R1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が2,3−ジヒドロキシプロピ
ル基であるものは、ジプロフィリンを意味するものである。
【0019】
一般式(1)の化合物、とりわけ上述の化合物は公知であり、本発明においては、公知の方法により製造したもののほか、市販のものを用いることができる。
なお、キサンチン誘導体としては、上記の一般式(1)で表される化合物そのもののほか、その薬学上許容される塩(例えば、複塩を形成したもの(安息香酸ナトリウムカフェイン(安息香酸ナトリウムとカフェインの複塩)、アミノフィリン(テオフィリンとエチレンジアミンとの複塩))等)、一般式(1)で表される化合物又はその塩と水やアルコール等との溶媒和物を用いることもでき、これらも「キサンチン誘導体」に包含され、上述の化合物(カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、パラキサンチン、プロキシフィリン及びジプロフィリン)には、当該化合物、その塩やそれらの溶媒和物も包含される。なお、本発明においては、これらキサンチン誘導体のうち、1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
本発明においてキサンチン誘導体としては、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、パラキサンチン、プロキシフィリン及びジプロフィリンからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、特に、本発明の医薬組成物を解熱鎮痛剤や総合感冒薬等として利用した場合の観点からカフェインが好ましい。当該カフェインとしては、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン、クエン酸カフェインが好適な具体例として挙げられ、このうち、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインが特に好ましい。
【0021】
本発明の医薬組成物におけるキサンチン誘導体の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、キサンチン誘導体を10〜1000mg、より好適には20〜800mg、特に好適には30〜600mg服用できる量を含有せしめることができる。本発明においては、キサンチン誘導体を医薬組成物全質量に対して0.4〜65質量%含有するのが好ましく、0.8〜50質量%含有するのがより好ましく、1.6〜40質量%含有するのが特に好ましい。
【0022】
本発明において、「トラネキサム酸又はその塩」には、トラネキサム酸そのもののほか、トラネキサム酸の薬学上許容される塩、さらにはトラネキサム酸やその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。トラネキサム酸又はその塩は、抗プラスミン作用、抗アレルギー・抗炎症作用を有し、全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向、扁桃炎、咽喉頭炎等の疾患における咽喉痛・発赤・充血・腫脹等の症状や口内炎における口内痛に用いられ、また、肝班、老人性色素班、炎症後色素沈着等にも用いられる公知の化合物(非特許文献5、6)であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、トラネキサム酸又はその塩としては、トラネキサム酸(化学名:trans-4-(Aminomethyl)cyclohexanecarboxylic acid)が好ましい。
【0023】
本発明の医薬組成物におけるトラネキサム酸又はその塩の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、トラネキサム酸又はその塩をトラネキサム酸のフリー体換算で50〜2000mg、より好適には70〜750mg、特に好適には400〜750mg服用できる量を含有せしめることができる。本発明においては、トラネキサム酸又はその塩を医薬組成物全質量に対して、トラネキサム酸のフリー体換算で1〜90質量%含有するのが好ましく、1〜80質量%含有するのがより好ましく、1〜75質量%含有するのがさらに好ましい。このうち、医薬組成物が示す薬理作用を考慮すると、5〜70質量%含有するのが好ましく、5〜60質量%含有するのがより好ましく、7〜50質量%含有するのが特に好ましい。
【0024】
本発明の医薬組成物に含まれるクレマスチン又はその塩とトラネキサム酸又はその塩の含有比は特に限定されず、クレマスチン又はその塩とキサンチン誘導体の相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、クレマスチン又はその塩をクレマスチンのフリー体換算で1質量部に対し、トラネキサム酸又はその塩をトラネキサム酸のフリー体換算で10〜200000質量部含有するものが好ましく、20〜15000質量部含有するものがより好ましく、200〜7500質量部含有するものがさらに好ましく、200〜1000質量部含有するものが特に好ましい。
【0025】
また、本発明の医薬組成物に含まれるキサンチン誘導体とトラネキサム酸又はその塩の含有比は特に限定されず、クレマスチン又はその塩とキサンチン誘導体の相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、キサンチン誘導体を1質量部に対し、トラネキサム酸又はその塩をトラネキサム酸のフリー体換算で0.05〜200質量部含有するものが好ましく、0.08〜40質量部含有するものがより好ましく、0.5〜25質量部含有するものが特に好ましい。
【0026】
本発明の医薬組成物においては、クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体及びトラネキサム酸に加えて、さらにNSAID(非ステロイド性消炎鎮痛剤)を含有するのが好ましい。NSAIDを含有する医薬の服用に際しては、NSAIDに起因する副作用である消化管障害(胃粘膜刺激、潰瘍形成等)が問題となるが、下記試験例2に具体的に開示されているとおり、クレマスチン又はその塩が、NSAIDの一種であるロキソプロフェンに起因する消化管障害に対し抑制作用を有することが見出された。
従って、クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体及びトラネキサム酸又はその塩に加えてNSAIDを含有する医薬組成物は、NSAIDに起因する消化管障害が抑制されるため安全性に優れるという有利な効果を有する。特に、NSAIDがロキソプロフェン又はその塩である場合においては、従来よりロキソプロフェンを含有する医薬において投与禁忌とされている消化性潰瘍の罹患者や、慎重投与とされている消化性潰瘍の既往歴のある患者であっても安全に服用することができ、消化性潰瘍の罹患者及び/又は消化性潰瘍の既往歴のある者に投与するための医薬組成物としても利用できるため、好ましい。
【0027】
本発明の医薬組成物に好適に配合され得るNSAIDとしては、具体的には例えば、アルミノプロフェン、アンピロキシカム、アンフェナク、イブプロフェン、インドメタシン、エトドラク、エピリゾール、オキサプロジン、ケトプロフェン、ザルトプロフェン、ジクロフェナク、スリンダク、セレコキシブ、チアプロフェン酸、チアラミド、テノキシカム、トルフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、プラノプロフェン、フルフェナム酸、フルルビプロフェン、プログルメタシン、メフェナム酸、メロキシカム、モフェゾラク、ロキソプロフェン及びロルノキシカム並びにこれらの塩が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組合わせて使用できる。
【0028】
本発明の医薬組成物に好適に配合され得るNSAIDとしては、イブプロフェン、ロキソプロフェン又はそれらの塩が挙げられ、ロキソプロフェン又はその塩が特に好ましい。
試験例3に具体的に開示されているとおり、ロキソプロフェン又はその塩と、クレマスチン若しくはその塩又はキサンチン誘導体とを混合して保存すると、これらの成分の間に相互作用が生じ、この相互作用により混合物の湿潤、固化等の状態変化が生じ、安定性に問題が生じること、当該混合物にさらにトラネキサム酸又はその塩を共存せしめることにより、当該相互作用を抑制することができることが見出された。
従って、本発明の医薬組成物としては、ロキソプロフェン又はその塩と、クレマスチン若しくはその塩又はキサンチン誘導体の相互作用も抑制される点から、クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体及びトラネキサム酸又はその塩に加えて、さらにロキソプロフェン又はその塩を含有する態様の本発明の医薬組成物が、好ましい。
【0029】
また、試験例4に具体的に開示されているとおり、ロキソプロフェン又はその塩と、クレマスチン又はその塩の組み合わせが、格別に優れた鎮痛作用を有することが見出された。
従って、クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体及びトラネキサム酸又はその塩に加えて、さらにロキソプロフェン又はその塩を含有する態様の本発明の医薬組成物は、優れた鎮痛作用を有し、鎮痛用組成物、より具体的には、頭痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽頭痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、月経痛(生理痛)及び外傷痛から選ばれる1種以上の痛みの鎮痛;のどの痛み、頭痛、関節の痛み及び筋肉の痛みから選ばれる1種以上の症状の緩和(なお、当該「のどの痛み」としては、かぜの諸症状としてののどの痛み及び急性鼻炎、アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎による諸症状としてののどの痛みを含む。また、「頭痛」、「関節の痛み」及び「筋肉の痛み」としては、かぜの諸症状としてのこれらの症状を含む。)に用いられる医薬として好適に利用できる。
【0030】
また、クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体、トラネキサム酸又はその塩、及びロキソプロフェン又はその塩を含有する態様の本発明の医薬組成物の好適な具体例としては、下記組成物(A)〜(C)からなる群より選ばれる1種以上:
(A)クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体、トラネキサム酸又はその塩、及びロキソプロフェン又はその塩を含有する、頭痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽頭痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、月経痛(生理痛)及び外傷痛から選ばれる1種以上の痛みの鎮痛用組成物、
(B)クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体、トラネキサム酸又はその塩、及びロキソプロフェン又はその塩を含有する、のどの痛み、頭痛、関節の痛み及び筋肉の痛みから選ばれる1種以上の緩和(かぜの諸症状としてののどの痛み、頭痛、関節の痛み及び筋肉の痛みから選ばれる1種以上の症状の緩和を含む)用組成物、並びに
(C)クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体、トラネキサム酸又はその塩、及びロキソプロフェン又はその塩を含有する、のどの痛みの緩和(急性鼻炎、アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎による諸症状としてののどの痛みの緩和を含む)用組成物
が挙げられ、上記組成物(B)が特に好ましい。
【0031】
本発明において、「ロキソプロフェン又はその塩」には、ロキソプロフェンそのもののほか、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらにはロキソプロフェンやその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名:Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
【0032】
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩の含有量は特に限定されず、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、適宜検討して決定すればよい。例えば、1日あたり、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で10〜300mg、より好適には30〜240mg、特に好適には60〜180mg服用できる量を含有せしめることができる。本発明においては、ロキソプロフェン又はその塩を医薬組成物全質量に対して、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で0.4〜50質量%含有するのが好ましく、1.2〜30質量%含有するのがより好ましく、1.2〜25質量%含有するのがさらに好ましい。このうち、1.2〜20質量%含有するのがより好ましく、2.4〜15質量%含有するのがさらにより好ましく、2.4〜12質量%含有するのが特に好ましい。
【0033】
本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩とクレマスチン又はその塩の含有比は特に限定されず、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、クレマスチン又はその塩をクレマスチンのフリー体換算で0.0006〜0.5質量部含有するものが好ましく、0.0012〜0.1質量部含有するものがより好ましく、0.002〜0.03質量部含有するものがさらに好ましい。
【0034】
また、本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩とキサンチン誘導体の含有比は特に限定されず、上述した各成分の1日あたりの服用量に応じて適宜検討して決定すればよいが、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、キサンチン誘導体を0.03〜100質量部含有するものが好ましく、0.08〜27質量部含有するものがより好ましく、0.2〜10質量部含有するものがさらに好ましい。
【0035】
また、本発明の医薬組成物におけるロキソプロフェン又はその塩とトラネキサム酸又はその塩の含有比は特に限定されず、ロキソプロフェン又はその塩とクレマスチン若しくはその塩又はキサンチン誘導体との相互作用の抑制効果に応じて適宜検討して決定すればよいが、相互作用抑制の観点から、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、トラネキサム酸又はその塩をトラネキサム酸のフリー体換算で0.1〜25質量部含有するものが好ましく、0.2〜15質量部含有するものがより好ましく、0.5〜10質量部含有するものが特に好ましい。
【0036】
本発明の医薬組成物は、例えば、第十五改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。また、剤形は、特に限定されるものではなく、固形状、半固形状、液状のいずれの形状であってもよく、その利用目的等に応じて医薬品において通常利用される形状とすることができる。具体的には例えば、錠剤(チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠などを含む)、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、坐剤、パップ剤、プラスター剤などの固形製剤;舐剤、チューインガム剤、ゼリー剤、ゼリー状ドロップ剤、ホイップ剤、軟膏剤、クリーム剤、フォーム剤、インへラー剤、ナザールジェル剤などの半固形製剤;シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤、スプレー剤などの液状製剤などの、第十五改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形とすることができる。
本発明においては、服用の簡便性や薬物服用量の管理等の点で、固形製剤であるのが好ましく、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤及びカプセル剤からなる群より選ばれる固形製剤であるのがより好ましく、錠剤又はカプセル剤であるのが特に好ましい。
【0037】
本発明の医薬組成物が固形製剤である場合においては、相互作用抑制の観点から、固形製剤中のクレマスチン又はその塩及びキサンチン誘導体を実質的に互いに接触しないように含有せしめ、製造、製剤化してもよい。当該実質的に互いに接触しないように含有せしめて製した製剤とは、一般の製剤技術研究者であれば、容易に理解されうるものであり、公知の方法に基づき、適宜製剤添加物を用いて製造、製剤化できる。具体的には、固形製剤の形態としては、以下の(イ)−(ヘ)を例示することができ、これらは公知の方法により製造、製剤化できる。
【0038】
(イ)クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体のいずれか一方を適当な方法で造粒して粒状物とし、これに他方を造粒せずに含有せしめて製した散剤や顆粒剤等、並びに当該粒状物を更に適当な方法で被覆した製剤。なお、本発明で用いられるトラネキサム酸又はその塩は粒状物中に含有させてもよいし、粒状物とは別に含有させてもよい。
(ロ)クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体をそれぞれ適当な方法で別個に造粒して粒状物とし、これらを含有せしめて製した散剤や顆粒剤等、並びに当該粒状物を更に適当な方法で被覆した製剤。
なお、本発明で用いられるトラネキサム酸又はその塩は、いずれか一方の粒状物中に含有させてもよいし、両方の粒状物中に含有させてもよいし、また、これら粒状物とは別に含有させてもよい。
また、(イ)又は(ロ)で製した粒状物がクレマスチンフマル酸塩を含有する場合、当該粒状物中に、セルロースやその誘導体を含有せしめてもよい。
(ハ)上記(イ)又は(ロ)で製した散剤や顆粒剤等をカプセルに充填したカプセル剤。(ニ)上記(イ)又は(ロ)で製した粒状物等を製錠して得た錠剤。
(ホ)クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体が互いに接触しないように製した多層錠、並びに当該多層錠を更に適当な方法で被覆した製剤。当該多層錠としては、クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体を、互いに異なる層に位置させたものが好ましく、三層以上の多層錠として、クレマスチン又はその塩を含む層とキサンチン誘導体を含む層が互いに接しないように位置させたものがより好ましい。なお、クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体として、上記(イ)や(ロ)で製した粒状物を用いることができる。多層錠において、トラネキサム酸又はその塩はクレマスチン又はその塩を含む層か、キサンチン誘導体を含む層のいずれかに位置させてもよいし、分けて、両方の層に位置させてもよい。さらに、いずれかの層の中間層に位置させてもよい。
(ヘ)クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体のいずれか一方を核錠に配置し、他方を外殻に配置した有核錠、並びに当該有核錠を更に適当な方法で被覆した製剤。なお、クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体として、上記(イ)や(ロ)で製した粒状物を用いることができる。有核錠において、トラネキサム酸又はその塩は核錠に位置させてもよいし、外殻に位置させてもよいし、分けて、核錠と外殻のいずれにも位置させてもよい。
上述の固形製剤は、公知の方法により、糖衣やフィルムコーティング等により、被覆されていてもよい。
【0039】
本発明の医薬組成物の服用経路としては、経口及び経直腸や経膣等の非経口が挙げられ、本発明においては、経口投与製剤が好ましい。また、本発明の医薬組成物は、1日につき1〜4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができる。
【0040】
本発明の医薬組成物には、医薬成分として、クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体、トラネキサム酸又はその塩、NSAID以外の薬物、例えば、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、制酸剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいても良い。
【0041】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エバスチン、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、オキサトミド、オロパタジン塩酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、シプロへプタジン塩酸塩水和物、セチリジン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェキソフェナジン、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、ロラタジン等が挙げられる。
【0042】
鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、コデイン、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデインリン酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、等が挙げられる。
【0043】
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩、l−メチルエフェドリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、l−メチルエフェドリンサッカリン塩、dl−メチルエフェドリンサッカリン塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
【0044】
去痰剤としては、例えば、アンブロキソール塩酸塩、アンモニア・ウイキョウ精、エチルシステイン塩酸塩、塩化アンモニウム、カルボシステイン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、l−メントール、リゾチーム塩酸塩等が挙げられる。
【0045】
催眠鎮静剤としては、アリルイソプロピルアセチル尿素やブロムワレリル尿素等が挙げられる。
ビタミン類としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、パンテノール、パンテチン、パントテン酸ナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)が挙げられる。
【0046】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン等が挙げられる。
【0047】
胃粘膜保護剤としては、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、テプレノン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
制酸剤としては、アミノ酢酸、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ等が挙げられる。
【0048】
抗コリン剤としては、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、チペピジウム臭化物、メチルアトロピン臭化物、メチルアニソトロピン臭化物、メチルスコポラミン臭化物、メチル−l−ヒヨスチアミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ブチルスコポラミン臭化物、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等が挙げられる。
【0049】
生薬類としては、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、インヨウカク(淫羊霍)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カミツレ、カロニン(か楼仁)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイシン(細辛)、サンショウ(山椒)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン(沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、トコン(吐根)、ナンテンジツ(南天実)、ニンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、マオウ(麻黄)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
【0050】
漢方処方としては、カッコントウ(葛根湯)、ケイシトウ(桂枝湯)、コウソサン(香蘇散)、サイコケイシトウ(柴胡桂枝湯)、ショウサイコトウ(小柴胡湯)、ショウセイリュウトウ(小青竜湯)、バクモンドウトウ(麦門冬湯)、ハンゲコウボクトウ(半夏厚朴湯)、マオウトウ(麻黄湯)等が挙げられる。
【0051】
なお、本発明の医薬組成物としては、ブロムヘキシン塩酸塩及び抗コリン剤の組合せを含有しないものが好ましい。また、以下の(a)〜(c)以外のものが好ましい。
(a)フマル酸クレマスチン 1.34質量部と低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 150質量部とヒドロキシプロピルセルロース 60質量部とを含有する造粒粒子 211.34質量部、アセトアミノフェン 900質量部、dl−塩酸メチルエフェドリン 60質量部、グアヤコールスルホン酸カリウム 250質量部、トラネキサム酸 420質量部、無水カフェイン 75質量部、乳糖 700質量部、クロスカルメロースナトリウム 50質量部及びステアリン酸マグネシウム 30質量部を含有する、1錠約300mgの錠剤。
(b)以下の組成(1日量として3包)の顆粒剤。
トラネキサム酸 420mg、クレマスチンフマル酸塩 1.34mg、ブロムヘキシン塩酸塩 12mg、ベラドンナ総アルカロイド 0.3mg、アセトアミノフェン 900mg、ジヒドロコデインリン酸塩 24mg、メチルエフェドリン塩酸塩 60mg、ベンフォチアミン 24mg、無水カフェイン 60mg、エリスリトール 50mg、トウモロコシデンプン 50mg、結晶セルロース 適量、アスパルテーム 82mg。(c)以下の組成(1日量)の錠剤。
トラネキサム酸 420mg、クレマスチンフマル酸塩 1.34mg、ブロムヘキシン塩酸塩 12mg、ベラドンナ総アルカロイド 0.3mg、アセトアミノフェン 900mg、ジヒドロコデインリン酸塩 24mg、メチルエフェドリン塩酸塩 60mg、ベンフォチアミン 24mg、無水カフェイン 60mg、乳糖 適量、結晶セルロース 適量、ポリビニールアルコール 1mg、軽質無水ケイ酸 24mg、ステアリン酸マグネシウム 微量。
【0052】
本発明の医薬組成物は、相互作用抑制の点から、さらに乾燥剤存在下で保存してもよい。以下、本発明の医薬組成物及び乾燥剤を容器中に含むものを、本発明の「医薬製剤」ということもある。
【0053】
本発明の医薬製剤において、乾燥剤は特に限定されるものではない。当然にその形状も限定されず、例えば、板状や袋状のシート型、円柱状(錠剤型)に成形されたもの等が挙げられ、円柱状のものにペーパーラッピングやフィルムコーティングを施したものでもよい。
【0054】
乾燥剤としては、具体的には例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、天然ゼオライト、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、塩化カルシウム、生石灰(酸化カルシウム)、ベントナイトクレイ(モンモリロナイト)、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられ、これらと活性炭を混合したものであってもよい。これらのうち、シリカゲル、シリカアルミナゲル(アロフェン)、合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、及び塩化カルシウムからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
【0055】
乾燥剤としては市販品を用いることができ、市販品としては例えば、株式会社東海化学工業所製のシブレット、MS−タブレット、MS−セラムW、トーカイゲル、デシカイト25、アルプシート、山仁薬品株式会社製のドライヤーン(登録商標)分包品、ドライヤーン(登録商標)タブレット、ドライヤーン(登録商標)シート、品川化成株式会社製のセカード、アロシート、ゼオシート、株式会社OZO化学技研製のOZO、株式会社アイディ製のアイディシート、アイディパッキング乾燥剤等が挙げられる。
【0056】
本発明の医薬製剤において、乾燥剤の含有量は適宜検討して決定すればよいが、本発明の医薬組成物1質量部に対して、0.001〜1質量部が好ましく、0.004〜0.4質量部がより好ましい。
【0057】
本発明の医薬製剤に用いられる容器は、食品、サプリメント、医薬品や健康食品等の容器として使用可能なものであれば特に限定されないが、定形容器、不定形容器のいずれも用いることができ、密閉可能なものが好ましい。当該定形容器としては、例えば、瓶、缶、箱等が挙げられる。不定形容器としては、例えば、袋(ピロー包装、スティック包装、PTP包装、SP包装等)等が挙げられる。これら容器のうち、具体的には瓶、袋が好ましい。
【0058】
容器の形成部材は、特に限定されるものではなく、例えば、紙、ガラス、樹脂若しくは樹脂フィルム、又は金属若しくは金属フィルム等の部材を挙げることができ、これら部材を適宜組み合わせた複合構造や多層構造としたものでもよい。また、紙などの透湿性を有する部材については透湿防止処理が施されていることが好ましい。
当該容器は透明、半透明、不透明のいずれでもよい。
【0059】
本発明の医薬組成物と乾燥剤を容器中へ収納する方法は、特に限定されるものではなく、いずれをも容器内へ投入等の適当な手段により配置することで達成できる。
【0060】
容器内への収納は、例えば、容器が瓶の場合、乾燥剤(好ましくは、円柱状(錠剤型))を瓶内に配置、又は瓶蓋の裏側(内キャップ)に格納するとともに、本発明の医薬組成物を瓶内に格納する等により達成できる。瓶内に格納するに際して、本発明の医薬組成物の剤形としては、固形製剤であるのが好ましい。
【0061】
また、容器が袋の場合は、乾燥剤(好ましくは、板状や袋状のシート型)と本発明の医薬組成物を袋内に格納する等により達成できる。袋内に格納するに際して、本発明の医薬組成物の剤形としては、固形製剤であるのが好ましい。
【0062】
さらに、本発明の医薬組成物をSP包装、PTP包装や袋により一旦包装し、次いで包装された医薬組成物と乾燥剤を袋に同封した形態とすることもできる。より具体的には、SP包装又はPTP包装した医薬組成物と、板状や袋状のシート型乾燥剤とを併せてピロー包装する形態等が挙げられる。さらに当該ピロー包装形態のものは箱等に格納されてもよい。医薬組成物をSP包装、PTP包装や袋により一旦包装するに際して、本発明の医薬組成物の剤形としては、固形製剤であるのが好ましい。
【0063】
本発明の医薬組成物は、抗ヒスタミン作用を有するクレマスチン又はその塩、中枢神経興奮作用を有するキサンチン誘導体及び抗炎症作用を有するトラネキサム酸又はその塩を含有することから、総合感冒薬(かぜ薬)や鼻炎用薬等として有用である。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[試験例1]クレマスチンフマル酸塩と無水カフェインの相互作用の検討
以下に示すサンプル1−A〜1−Bをそれぞれ調製後60℃で19日間保存し、保存開始直後、1日後、2日後、6日後及び19日後におけるサンプル中の混合物の状態を評価し、相互作用の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0065】
〔サンプル1−A〕
クレマスチンフマル酸塩(ダイト製:商品名 クレマスチンフマル酸塩)10mg及び無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)1866mgを混合して混合物を得、ガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル1−Aを得た。
〔サンプル1−B〕
クレマスチンフマル酸塩(ダイト製:商品名 クレマスチンフマル酸塩)2mg、無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)373.2mg及びトラネキサム酸(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方 トラネキサム酸)1119.4mgを混合して混合物を得、ガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル1−Bを得た。
【0066】
【表1】

【0067】
表1に示す試験結果から、クレマスチンフマル酸塩と無水カフェインのみを混合した混合物においては、相互作用が生じ、時間の経過に伴い混合物が湿潤することが判明した。
一方、クレマスチンフマル酸塩、無水カフェインに、さらにトラネキサム酸を加えて混合した混合物においては、19日間保存後も保存開始直後と同様に白色粉体の状態が保たれることが判明した。
以上の試験結果から、トラネキサム酸又はその塩が、クレマスチン又はその塩と、無水カフェインを包含するキサンチン誘導体との相互作用を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0068】
[試験例2]クレマスチンフマル酸塩による、ロキソプロフェン誘発消化管障害抑制作用の検討
8週齢のWistar系雄性ラットを用い、被験薬物投与群、及び溶媒投与群(対照群)それぞれ1群当り4〜8匹として試験を実施した。ラットは、試験開始の16時間以上前より絶食とした。水の摂取は試験開始前1時間までは自由摂取とし、以後絶水とした。
被験薬物として、クレマスチンフマル酸塩(以下、「CF」と表記する。)を0.5%メチルセルロース溶液に溶解又は懸濁し、所定量(1mg/5mL/kg体重)を経口投与した。また、溶媒投与群には0.5%メチルセルロース溶液のみ(以下、「0.5%MC」と表記する。)をそれぞれ同容量(5mL/kg)経口投与した。
被験薬物又は溶媒の投与1時間後に、ロキソプロフェンナトリウム水和物120mg/2mL生理食塩水/kg体重を経口投与し、胃粘膜障害を誘発した。ロキソプロフェンナトリウム水和物の投与5時間後、ラットを頚椎脱臼により安楽死させ、噴門部を結紮し胃を摘出した。幽門部から胃内に1%ホルマリン溶液10mLを注入し、幽門部を結紮後、胃全体を同ホルマリン溶液中に約20分間浸漬して軽度に固定した。
【0069】
胃粘膜障害の程度の評価は、胃を大弯に沿って切開した後、実体顕微鏡下にて腺胃部に発生した個々の損傷(びらん)の長さ(mm)を測定することにより行い、ラット1匹当たりの損傷の長さの総和を潰瘍指数とし、被験薬物投与群、及び溶媒投与群それぞれ各群につき、潰瘍指数(平均値±標準誤差)を算出した。また、以下の式に従い、溶媒投与群の潰瘍指数の平均値を100%とした場合における被験薬物による潰瘍抑制率(%)を算出した。
【0070】
潰瘍抑制率(%)=(溶媒投与群における潰瘍指数の平均値−被験薬物投与群における潰瘍指数の平均値)/溶媒投与群における潰瘍指数の平均値×100
【0071】
結果を表2に示す。なお、潰瘍指数は各群当りの平均値±標準誤差で表示した。
【0072】
【表2】

【0073】
表2から明らかなように、クレマスチンフマル酸塩を投与することにより、ロキソプロフェンナトリウム水和物に起因する胃粘膜障害を抑制できることが明らかとなった。
【0074】
以上の試験結果から、クレマスチン又はその塩が、ロキソプロフェン又はその塩に起因する消化管障害に対し抑制作用を有することが明らかとなった。また、クレマスチン又はその塩は、ロキソプロフェンと同様に消化管障害を引き起こす他のNSAIDに対しても、同様の抑制作用を有するものと考えられた。
【0075】
[試験例3]ロキソプロフェンナトリウム水和物と他の成分の相互作用の検討
試験例3−1 ロキソプロフェンナトリウム水和物とクレマスチンフマル酸塩の相互作用の検討
以下に示すサンプル3−1−A〜3−1−Cをそれぞれ調製後60℃で1週間保存し、保存開始直後、1日後、3日後及び1週間後におけるサンプル中の混合物の状態を評価し、相互作用の有無を確認した。結果を表3に示す。
【0076】
〔サンプル3−1−A〕
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg及びクレマスチンフマル酸塩(ダイト製:商品名 クレマスチンフマル酸塩)1.34mgを混合して混合物を得、ガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル3−1−Aを得た。
〔サンプル3−1−B〕
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg、クレマスチンフマル酸塩(ダイト製:商品名 クレマスチンフマル酸塩)1.34mg及びトラネキサム酸(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方 トラネキサム酸)750mgを混合して混合物を得、ガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル3−1−Bを得た。
〔サンプル3−1−C〕
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg、クレマスチンフマル酸塩(ダイト製:商品名 クレマスチンフマル酸塩)1.34mg及びトラネキサム酸(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方 トラネキサム酸)750mgを混合して混合物を得、乾燥剤である合成ゼオライト(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)1gとともにガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル3−1−Cを得た。
【0077】
【表3】

【0078】
表3に示す試験結果から、ロキソプロフェンナトリウム水和物とクレマスチンフマル酸塩のみを混合した混合物においては、相互作用が生じ、混合物が湿潤することが判明した。
一方、ロキソプロフェンナトリウム水和物、クレマスチンフマル酸塩に、さらにトラネキサム酸を加えて混合した混合物においては、1週間保存後も保存開始直後と同様に白色粉体の状態が保たれることが判明した。
以上の試験結果から、トラネキサム酸又はその塩が、ロキソプロフェン又はその塩と、クレマスチン又はその塩との相互作用を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0079】
試験例3−2 ロキソプロフェンナトリウム水和物と無水カフェインの相互作用の検討
以下に示すサンプル3−2−A〜3−2−Cをそれぞれ調製後40℃75%RHで1週間保存し、保存開始直後、1日後、3日後及び1週間後におけるサンプル中の混合物の状態を評価し、相互作用の有無を確認した。結果を表4に示す。
【0080】
[サンプル3−2−A]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg及び無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mgを混合して混合物を得、ガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル3−2−Aを得た。
[サンプル3−2−B]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg、無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mg及びトラネキサム酸(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方 トラネキサム酸)750mgを混合して混合物を得、ガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル3−2−Bを得た。
[サンプル3−2−C]
ロキソプロフェンナトリウム水和物(大和薬品工業製:商品名 日本薬局方 ロキソプロフェンナトリウム水和物)204.3mg、無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製:商品名 無水カフェイン)250mg及びトラネキサム酸(第一三共プロファーマ製:商品名 日本薬局方 トラネキサム酸)750mgを混合して混合物を得、乾燥剤である合成ゼオライト(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)1gとともにガラス瓶(3K規格瓶)に入れて、サンプル3−2−Cを得た。
【0081】
【表4】

【0082】
表4に示す試験結果から、ロキソプロフェンナトリウム水和物と無水カフェインのみを混合した混合物においては、相互作用が生じ、混合物が固化することが判明した。
一方、ロキソプロフェンナトリウム水和物、無水カフェインに、さらにトラネキサム酸を加えて混合した混合物においては、1週間保存後も保存開始直後と同様に白色粉体の状態が保たれることが判明した。
以上の試験結果から、トラネキサム酸又はその塩が、ロキソプロフェン又はその塩と、無水カフェインを包含するキサンチン誘導体との相互作用を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0083】
[試験例4]クレマスチンフマル酸塩とロキソプロフェンナトリウム水和物の組み合わせによる鎮痛作用の検討
5〜6週齢のWistar系雄性ラットの右後肢足の疼痛閾値を測定し、「炎症惹起前疼痛閾値」とした。
炎症惹起前疼痛閾値の測定後、右後肢足蹠に20%酵母液を100μL皮下投与して炎症を惹起した。炎症惹起3時間後に疼痛閾値を測定し、「薬物投与前疼痛閾値」とした。
薬物投与前疼痛閾値の測定直後に被験薬物を経口投与し、当該薬物投与の1時間後を測定ポイントとして疼痛閾値を測定し、「薬物投与後疼痛閾値」とした。
なお、疼痛閾値は、ランダルセリット式鎮痛効果測定装置(MK−201D:室町機械(株)製)を用いて測定した。
【0084】
被験薬物は、それぞれ以下の群構成に従い投与した。
1:ロキソプロフェンナトリウム水和物 単独投与群(以下、「LX単独」と表記する。)
ロキソプロフェンナトリウム水和物を0.1mg/kg体重の用量で、0.5%メチルセルロース溶液に溶解又は懸濁させて投与した。
【0085】
2:クレマスチンフマル酸塩3mg/kg 単独投与群(以下、「CF単独(3mg/kg)」と表記する。)
クレマスチンフマル酸塩を3mg/kg体重の用量で、0.5%メチルセルロース溶液に溶解又は懸濁させて投与した。
3:クレマスチンフマル酸塩30mg/kg 単独投与群(以下、「CF単独(30mg/kg)」と表記する。)
クレマスチンフマル酸塩を30mg/kg体重の用量で、0.5%メチルセルロース溶液に溶解又は懸濁させて投与した。
4:ロキソプロフェンナトリウム水和物とクレマスチンフマル酸塩3mg/kgの2成分併用投与群(以下、「LX+CF(3mg/kg)」と表記する。)
ロキソプロフェンナトリウム水和物を0.1mg/kg体重の用量で、クレマスチンフマル酸塩を3mg/kg体重の用量で、0.5%メチルセルロース溶液に溶解又は懸濁させて、同時に投与した。
5:ロキソプロフェンナトリウム水和物とクレマスチンフマル酸塩30mg/kgの2成分併用投与群(以下、「LX+CF(30mg/kg)」と表記する。)
ロキソプロフェンナトリウム水和物を0.1mg/kg体重の用量で、クレマスチンフマル酸塩を30mg/kg体重の用量で、0.5%メチルセルロース溶液に溶解又は懸濁させて、同時に投与した。
【0086】
上記試験にて得られた疼痛閾値から、以下の式に従い、疼痛改善率を算出した。
【0087】
疼痛改善率(%)=(薬物投与後疼痛閾値−薬物投与前疼痛閾値)/(炎症惹起前疼痛閾値−薬物投与前疼痛閾値)×100
【0088】
なお、被験薬物投与群それぞれ各群につき、4匹のラットを使用した。
結果を表5に示す。なお、疼痛改善率は、各群当りの平均値±標準誤差で表示した。
【0089】
【表5】

【0090】
表5に示す試験結果より、ロキソプロフェンナトリウム水和物とクレマスチンフマル酸塩の組み合わせは、優れた鎮痛作用を有することが明らかとなった(第4群の疼痛改善率:約41%、第5群の疼痛改善率:約68%)。
【0091】
以上の試験結果から、ロキソプロフェン又はその塩とクレマスチン又はその塩とを組み合わせることにより、格別に優れた鎮痛作用が奏されることが明らかとなった。
【0092】
[実施例1]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
無水カフェイン 150mg
トラネキサム酸 750mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1188.46mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0093】
[実施例2]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
無水カフェイン 75mg
トラネキサム酸 750mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1263.46mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0094】
[実施例3]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
無水カフェイン 75mg
トラネキサム酸 750mg
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 1059.16mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0095】
かぜに伴う諸症状(のどの痛み、頭痛、関節の痛み及び筋肉の痛み)を訴えている成人男性(33歳)に、同意のうえ実施例3の錠剤を1回3錠 1日3回毎食後の用法で2日間投薬した。投薬後、上記諸症状に関しヒアリングしたところ、いずれの症状についても緩和された旨の回答が得られた。
【0096】
[実施例4]
9錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
無水カフェイン 75mg
トラネキサム酸 750mg
イブプロフェン 450mg
ヒドロキシプロピルセルロース 72.9mg
カルメロースカルシウム 243mg
結晶セルロース 813.46mg
ステアリン酸マグネシウム 24.3mg
【0097】
[実施例5]
6錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
トラネキサム酸 750mg
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
ブロムヘキシン塩酸塩 12mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 60mg
ジヒドロコデインリン酸塩 24mg
チアミン硝化物(ビタミンB1硝酸塩) 25mg
リボフラビン(ビタミンB2) 12mg
無水カフェイン 150mg
トレハロース 440mg
結晶セルロース 317.36mg
マクロゴール6000 60mg
クロスカルメロースナトリウム 240mg
ポリビニールアルコール 1mg
軽質無水ケイ酸 24mg
硬化油 65mg
ステアリン酸マグネシウム 44mg
【0098】
[実施例6]
6錠(1日量)中に以下の成分を含有する錠剤を、第十五改正日本薬局方 製剤総則の「錠剤」の項に準じて、常法により製造した。
トラネキサム酸 750mg
イブプロフェン 450mg
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
ブロムヘキシン塩酸塩 12mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 60mg
ジヒドロコデインリン酸塩 24mg
チアミン硝化物(ビタミンB1硝酸塩) 25mg
リボフラビン(ビタミンB2) 12mg
無水カフェイン 150mg
トレハロース 440mg
結晶セルロース 71.66mg
マクロゴール6000 60mg
クロスカルメロースナトリウム 240mg
ポリビニールアルコール 1mg
軽質無水ケイ酸 24mg
硬化油 65mg
ステアリン酸マグネシウム 44mg
【0099】
[実施例7]
第十五改正日本薬局方 製剤総則の「顆粒剤」の項に準じてA顆粒及びB顆粒を製造した後混合し、3包(1日量)中に以下の成分を含有する顆粒剤を常法により製造した。
<A顆粒>
トラネキサム酸 750mg
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
ブロムヘキシン塩酸塩 12mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 60mg
ジヒドロコデインリン酸塩 24mg
リボフラビン(ビタミンB2) 6.5mg
無水カフェイン 75mg
エリスリトール 973.5mg
結晶セルロース 445.7mg
プルラン 120mg
アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS 96mg
クロスカルメロースナトリウム 40mg
アスパルテーム(L−フェニルアラニン化合物) 18mg
<B顆粒>
ロキソプロフェンナトリウム水和物 204.3mg
チアミン硝化物(ビタミンB1硝酸塩) 25mg
リボフラビン(ビタミンB2) 5.5mg
トレハロース 590.2mg
結晶セルロース 100mg
プルラン 64mg
アスパルテーム(L−フェニルアラニン化合物) 64mg
【0100】
[実施例8]
第十五改正日本薬局方 製剤総則の「顆粒剤」の項に準じてA顆粒及びB顆粒を製造した後混合し、3包(1日量)中に以下の成分を含有する顆粒剤を常法により製造した。
<A顆粒>
イブプロフェン 450mg
ブロムヘキシン塩酸塩 12mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 60mg
ジヒドロコデインリン酸塩 24mg
リボフラビン(ビタミンB2) 6.5mg
無水カフェイン 75mg
エリスリトール 973.5mg
結晶セルロース 200mg
プルラン 120mg
アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS 96mg
クロスカルメロースナトリウム 40mg
アスパルテーム(L−フェニルアラニン化合物) 18mg
<B顆粒>
トラネキサム酸 750mg
クレマスチンフマル酸塩 1.34mg
チアミン硝化物(ビタミンB1硝酸塩) 25mg
リボフラビン(ビタミンB2) 5.5mg
トレハロース 590.2mg
結晶セルロース 100mg
プルラン 64mg
アスパルテーム(L−フェニルアラニン化合物) 64mg
【0101】
[実施例9]
実施例1で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0102】
[実施例10]
実施例2で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0103】
[実施例11]
実施例3で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0104】
[実施例12]
実施例4で得た錠剤30錠及び合成ゼオライト1g(新越化成工業製:商品名 MS−W1506)をガラス瓶(3K規格瓶)に入れ、医薬製剤を製した。
【0105】
[実施例13]
実施例5で得た錠剤12錠をアルミPTP包装した。
【0106】
[実施例14]
実施例6で得た錠剤12錠をアルミPTP包装した。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明によれば、クレマスチン又はその塩とキサンチン誘導体との相互作用を抑制できる。従って、保存安定性が優れた、クレマスチン又はその塩、及びキサンチン誘導体を含む医薬組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレマスチン又はその塩、キサンチン誘導体、及びトラネキサム酸又はその塩を含有する医薬組成物。
【請求項2】
クレマスチン又はその塩が、クレマスチンフマル酸塩である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
クレマスチン又はその塩を、クレマスチンのフリー体換算で0.01〜5mgを1日量として含有する請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
キサンチン誘導体が、カフェインである請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項5】
カフェインが、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン及びクエン酸カフェインからなる群より選ばれる1種以上である請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
キサンチン誘導体を、10〜1000mgを1日量として含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
トラネキサム酸又はその塩を、トラネキサム酸のフリー体換算で50〜2000mgを1日量として含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
さらにNSAIDを含有するものである請求項1〜7のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】
NSAIDがイブプロフェン及びロキソプロフェン並びにそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上である請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
固形製剤である、請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
剤形が、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤又はカプセル剤である請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2012−31158(P2012−31158A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145380(P2011−145380)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】