説明

医薬組成物

【課題】乾癬および爪疾患を含む他の炎症性皮膚疾患を処置するための2成分または多成分投薬計画の不都合を軽減する皮膚用の医薬組成物を提供する。
【解決手段】皮膚用の医薬組成物であって、少なくとも1つのビタミンDまたはビタミンD類似体からなる第1の薬理学的活性成分Aならびに少なくとも1つのコルチコステロイドからなる第2の薬理学的活性成分Bを特定の溶媒成分中に含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのビタミンDまたはビタミンD類似体および少なくとも1つのコルチコステロイドを含む、皮膚用の医薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、至適安定pH値に関して適合性が低い2つまたはそれ以上の薬理学的に活性な化合物を含み、好ましくは、前記薬理学的に活性な化合物は少なくとも1つのビタミンD類似体および少なくとも1つのコルチコステロイドである医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚適用を行う多くの処置(例えば、乾癬の治療)では、2つまたはそれ以上の異なる薬理学的に活性な化合物を併用する処置がしばしば指示される。すなわち、例えば乾癬の治療では、コルチコステロイド化合物などのステロイド化合物と、カルシポトリオールなどのビタミンD類似体との併用処置が行われることが多い。これらの各活性化合物は個別調製で処方される。
【0003】
現在までのところでは、ビタミンD類似体および局所用ステロイドの組み合わせを含む局所用医薬組成物は記載されていなかった。さらに、これらの2つの型の化合物は、しばしば互いに顕著に異なる至適安定pH値を有するので、ステロイド化合物およびビタミンD類似体を含む局所用医薬製剤を調製する試みは自明ではない。米国特許第5,565,462号は、一定のキサンチン化合物を含み、ステロイドならびにビタミンDおよびその誘導体などの活性化合物をさらに含み得る局所用医薬組成物に関する。しかし、ステロイドおよびビタミンDまたはビタミンD類似体もしくは誘導体の両方を含む局所用組成物に関する開示も、このような組成物の調製法のいかなる記載も存在しない。
【0004】
以下の例は、当業者がビタミンDまたはビタミンD類似体もしくは誘導体および局所用ステロイドの両方を含む局所用の組み合わせ組成物の調製を所望する際に遭遇する困難を説明する:ビタミンD類似体のカルシポトリオールはビタミンD類似体の他の例と同様に、最も安定するには8を超えるpH値を必要とする。一方、ベタメタゾン(9-フルオロ-11,17,21-トリヒドロキシ-16-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)などのコルチコステロイドは、最も安定するには4〜6の範囲のpH値を必要とする。局所用処方物(クリームおよび/または軟膏など)の調製に伝統的に使用される基剤用補助材料および添加物には、いくらか酸もしくはアルカリの性質または反応性を有するものがあるので、これまでのところ1つの処方物中に2つの活性化合物を組み合わせながら活性化合物の良好な安定性を維持することは不可能であった。
【0005】
したがって、この型の2成分投薬計画では、医師は、各化合物をその最大安定pHで調製したクリーム/軟膏を2種類順次適用するよう患者に指示せざるを得なかった。これにより調製物どうしが不適合を示し得るので、患者は例えば一方のクリーム/軟膏を朝に適用し、他方を夕方に適用しなければならない。いうまでも無く、このような状況下では患者の適用遵守ならびに正確な投薬量が問題となる。乾癬患者およびその適用遵守の研究について、J. Am. Acad. Dermatol. 1999, Oct.; 41(4):581-3にRichards,H.L.らが報告している。彼らは、慢性的な病態(乾癬など)における治療指示の不十分な遵守が、医療従事者にとって大きな問題となっていることを報告している:39%の患者が推奨される治療計画を遵守していないことを報告している。非遵守者群の方が遵守者群よりも乾癬の自己評価重症度が高く、若年で、発症年齢が若かった。非遵守者群の方が、日常生活に対する乾癬の影響が大きいことを報告している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、乾癬および爪疾患を含む他の炎症性皮膚疾患を処置するための2成分または多成分投薬計画の不都合を軽減する皮膚用の医薬組成物を提供することにある。前記組成物の提供により、乾癬患者の大多数、特に非遵守者群(遵守者群よりも乾癬自己評価重症度が高く、若年で、発症年齢が若い)の生活の質を実質的に改善し得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、本発明は、少なくとも1つのビタミンDまたはビタミンD類似体からなる第1の薬理学的活性成分A、および少なくとも1つのコルチコステロイドからなる第2の薬理学的活性成分Bを含む、皮膚用の医薬組成物を提供する。
【0008】
第1の薬理学的活性成分Aとして、セオカルシトール(seocalcitol)、カルシポトリオール(calcipotriol)、カルシトリオール(calcitriol)、タカルシトール(tacalcitol)、マキサカルシトール(maxacalcitol)、パリカルシトール(paricalcitol)、ファレカルシトリオール(falecalcitriol)、1α,24S-ジヒドロキシ-ビタミンD2、および1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[((3-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)-フェニル)-メトキシ)-メチル]-9,10-セコ-プレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン、ならびにその混合物からなる群から選択される化合物を使用することが好ましい。
【0009】
カルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、および1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[((3-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)-フェニル)-メトキシ)-メチル]-9,10-セコ-プレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン、ならびにその混合物からなる群から選択されるビタミンD類似体がより好ましい。天然に存在するビタミンDまたはビタミンD誘導体は、乾癬などの皮膚疾患の治療効果にあまり選択性を示し得ないので、それよりも合成ビタミンD類似体の方が、本発明の組成物ではより好ましい。
【0010】
第1の薬理学的活性成分Aを構成するビタミンD化合物のさらなる例を以下に挙げるが、それらは本発明を制限するものではない:
アルファカルシドール;
1α-ヒドロキシ-ビタミンD2;
1α-ヒドロキシ-ビタミンD5;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5-エチル-5-ヒドロキシ-1-ヘプチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(6-ヒドロキシ-6-メチル-1-ヘプチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタ-1(E)-エン-1-イル-9,10)-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(6-エチル-6-ヒドロキシ-1-オクチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(7-ヒドロキシ-7-メチル-1-オクチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(7-ヒドロキシ-7-メチルオクタ-1(E)-エン-1-イル-9,10)-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(6'-メチル-1'-ヘプチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-(5'-ヒドロキシ-5'-メチル-1'-ヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4'-ヒドロキシ-4'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(6'-ヒドロキシ-1'-ヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
【0011】
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-ヒドロキシ-5'-エチル-1'-ヘプチルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-ヒドロキシ-5'-メチル-1'-ヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-メチル-1'-ヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4'-ヒドロキシ-4'-(1"-プロピル)-1'-ヘプチルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4'-ヒドロキシ-4'-メチル-1'-ペンチルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3'-ヒドロキシ-3'-メチル-1'-ブチルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-(4-ヒドロキシ-4-メチル-1-ペンチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-(5-エチル-5-ヒドロキシ-1-ヘプチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-(5-エチル-5-ヒドロキシヘプタ-1(E)-エン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-(5'-ヒドロキシ-5'-メチルヘキサ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
【0012】
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-(5'-エチル-5'-ヒドロキシヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-(6'-ヒドロキシ-ヘキサ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-(5'-シクロプロピル-5'-ヒドロキシペンタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(5'(R)異性体および5'(S)異性体);
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-(6'-ヒドロキシ-6'-メチルヘプタ-1'(E),3"(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3-(2-ヒドロキシ-2-ペンチル)フェニルメトキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3-(3-ヒドロキシ-3-プロピル)フェニルメトキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4-ヒドロキシ-4-メチル-1-ペンチルオキシメチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4-ヒドロキシ-4-メチル-1-ペンタ-2-イニルオキシメチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4-ヒドロキシ-4-トリフルオロメチル-5,5,5-トリフルオロ-1-ペンタ-2-イニルオキシメチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
【0013】
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[3-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)フェノキシメチル]-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3-ヒドロキシ-3-エチル-1-ペンチルチオメチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3-ヒドロキシ-3-エチル-1-ペンチルスルホニルメチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3-((1-ヒドロキシ-1-メチル)エチル)フェニルチオメチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-4-メチル-1-ペンチルオキシメトル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(6'-エチル-6'-ヒドロキシオクタ-1'-イン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(7'-エチル-7'-ヒドロキシノナ-1'-イン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(1,5-ジヒドロキシ-5-エチル-2-ヘプチン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;異性体A;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5-エチル-5-ヒドロキシ-1-メトキシ-2-ヘプチン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;異性体A;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(1-エトキシ-5-エチル-5-ヒドロキシ-2-ヘプチン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;異性体A;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(1-メトキシ-4-ヒドロキシ-4-エチル-2-ヘキシン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;異性体A;
【0014】
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(1-エトキシ-4-ヒドロキシ-4-エチル-2-ヘキシン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;異性体A;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-(4-エチル-4-ヒドロキシ-1-ヘキシン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),17(20)(Z)-テトラエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-(5-エチル-5-ヒドロキシ-1-ヘプチン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),17(20)(Z)-テトラエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-(6-エチル-6-ヒドロキシ-1-オクチン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),17(20)(Z)-テトラエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5-エチル-4,4-ジフルオロ-5-ヒドロキシヘプチルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4,4-ジクロロ-5-ヒドロキシ-5-メチルヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4,4-ジフルオロ-5-ヒドロキシ-5-メチルヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4-フルオロ-4-メチルペンチルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4-エチル-4-フルオロヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5-フルオロ-5-メチルヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
【0015】
1(S),3(R),20(S)-トリヒドロキシ-20-(4-メチル-4-ヒドロキシ-1-ヘキシル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-メトキシ-20-(4-エチル-4-ヒドロキシ-1-ヘキシル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-エトキシ-20-(4-エチル-4-ヒドロキシ-1-ヘキシル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロポキシ)プロパ-1E-エン-1-イル]-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(4-エチル-4-ヒドロキシ-1-ヘキシルチオ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[5-メチル-5-ヒドロキシ-1-ヘキシルチオ]-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[3-(1-メチル-1-ヒドロキシエチル)ベンジルチオ]-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3-メチル-3-ヒドロキシ-1-ブチルチオ]-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5-エチル-5-ヒドロキシヘプタ-1(E)-エン-3-イン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
24-オキソ-1(S),3(R),25-トリヒドロキシ-20(S)-9,10-セココレスタ-5(Z),7(E)-,10(19)-トリエン;
【0016】
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3-オキソ-4-ヒドロキシ-4-エチル-1-ヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-メチル-18-(5-メチル-5-ヒドロキシヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-メチル-18-(4-エチル-4-ヒドロキシヘキシルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-メチル-18-(4-エチル-4-ヒドロキシヘキサ-2-イニニルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-メチル-18-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-メチル-18-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンタ)-2-イン-1-イルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20-メチル-18-(3,1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルメチルオキシ)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(1-メトキシ-4-ヒドロキシ-4-メチル-1-ペンチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;異性体A;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(1-エトキシ-4-ヒドロキシ-4-メチル-1-ペンチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;異性体A;
1(S),3(R),25-トリヒドロキシ-(20(S)-9,10-セココレスタ-5(Z),7(E),10(19),23(E)-テトラエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-(20(S)-(6'-ヒドロキシ-6'-メチル-4'(E)-ヘプテン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン;
1(S),3(R),22(S),25-テトラヒドロキシ-20(R),9,10-セココレスタ-5(Z),7(E),10(19),23(E)-テトラエン;
【0017】
22(S)-エトキシ-1(S),3(R),25-トリヒドロキシ-10(R)-9,10-セココレスタ-5(Z),7(E),10(1,23(E)-テトラエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-(3-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェノキシメチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),16-テトラエンまたはその対応する20(R)異性体;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-(3-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニルチオメチル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),16-テトラエンまたはその対応する20(R)異性体;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(S)-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンタ-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),16-テトラエン;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5-エチル-5-ヒドロキシヘプタ-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),16-テトラエンまたはその対応する20(S)異性体;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5-エチル-5-ヒドロキシヘプタ-1(E),3(E)-ジエン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),16-テトラエンまたはその対応する20(S)異性体;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(3-シクロプロピル-3-ヒドロキシプロパ-1(E)-エン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),16-テトラエン(24(S)異性体)またはその対応する24(R)異性体;
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(1,5-ジヒドロキシ-5-エチル-2-ヘプチン-1-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19),17(20)Z-テトラエン、両方の22-異性体。
【0018】
第2の薬理学的活性成分Bとして、第I群、第II群、または第III群の局所用ステロイドを使用することが好ましく、中ないし弱作用ステロイド(第I群および第II群)がより好ましい。成分Bは、ベタメタゾン(9-フルオロ-11,17,21-トリヒドロキシ-16-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)およびそのエステル(21-アセテート、17-アダマントエート、17-ベンゾエート、17-バレレート、および17,21-ジプロピオネート);アルクロメタゾンおよびそのエステル(ジプロピオネートなど);クロベタゾールおよびそのエステル(プロピオネートなど);クロベタゾンおよびそのエステル(17-ブチレートなど);デゾキシメタゾン;ジフルコルトロンおよびそのエステル;ジフロラゾンおよびそのエステル(ジアセテートなど);フルオシノニド;フルメタゾンおよびそのエステル(ピバレートなど);フルオシノロンおよびそのエステルおよびエーテル(アセトニドなど);フルチカゾンおよびそのエステル(プロピオネートなど);フルプレドニデンおよびそのエステル(アセテートなど);ハルシノニド;ヒドロコルチゾンおよびそのエステル(17-ブチレートなど);モメタゾンおよびそのエステル(フロエートなど);トリアムシノロンおよびそのエーテルおよびエステル(アセトニドなど);ならびにその混合物からなる群から選択されることが好ましい。より好ましいコルチコステロイドの例は、ベタメタゾンまたはそのエステル(17-バレレートまたは17,21-ジプロピオネートなど)、クロベタゾールまたはそのエステル(プロピオネートなど)、トリアムシノロンまたはそのエーテルおよび/またはそのエステル(アセトニドまたはアセトニド-21-N-ベンゾイル-2-メチル-β-アラニネートまたはアセトニド-21-(3,3-ジメチルブチレートなど)、またはヒドロコルチゾンまたはそのエステル(17-ブチレートなど)である。
【0019】
さらに、本発明は、少なくとも1つのビタミンDまたはビタミンD類似体および少なくとも1つのコルチコステロイドを含み、単独で使用されたいずれの薬理学的活性成分よりもヒトおよび他の哺乳動物における乾癬および他の炎症性皮膚疾患の処置に高い有効性を示す皮膚用医薬組成物に関する。この有効性を、乾癬および関連皮膚疾患(皮脂性乾癬および脂漏性皮膚炎など)におけるPASIスコアの変化率として測定することが好ましい。
【0020】
PASI(乾癬の領域および重症度指数)スコアは、患者の乾癬の範囲および重症度を評価する。以下の式を使用して、PASIスコアを計算する。
腕 0.2(R+T+S)E=X
胴 0.3(R+T+S)E=Y
脚 0.4(R+T+S)E=Z
式中、R=赤みのスコア、T=厚さのスコア、S=鱗屑のスコア、およびE=範囲のスコアであり、このスコアは以下の0〜4のスケールで評価する:0=なし、1=10%未満、2=10〜29%、3=30〜49%、および4=50〜69%。X+Y+Zの合計により、総PASIスコアが得られ、これは0〜64.8の範囲であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、カルシポトリオール水和物(52.2μg/g)およびベタメタゾンジプロピオネート(0.643mg/g)を含む本発明の製剤の有効性を、同一の賦形剤中にカルシポトリオール水和物(52.2μg/g)のみを含む製剤の有効性およびベタメタゾンジプロピオネート(0.643mg/g)のみを含む製剤の有効性と比較した4週間の臨床試験で得られたPASIスコアの変化率を示すグラフである。図1は、本発明の製剤の有効性が2つの単一成分製剤から得られる有効性よりもはるかに高いことを示す。このようなPASIスコアの変化からわかるように、本発明の製剤で処置した患者群においては、カルシポトリオールまたはベタメタゾンのいずれか一方を含む市販の製剤での処置またはこのような市販の製剤での交互処置によって現在まで達成できなかった(cf.)効果的な乾癬処置が達成され、すなわち、同一製剤中に2つの活性成分を有することの利点が示されている(EOT=処置の終了)。
【図2】図2は、図1と同一の臨床試験について、各来診時および処置終了時のPASIスコア変化率値を示す表である。
【図3】図3は、図1と同一の臨床試験について、各来診時および処置終了時の総合的効果についての調査者評価の結果として、応答者の割合を示す棒グラフである。応答者とは、顕著な改善または回復を示す患者と定義する。
【図4】図4は、図1と同一の臨床試験について、各来診時および処置終了時の総合的効果についての調査者評価の結果として、応答者の割合の値を示す表である(図3を参照のこと)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
局所用製剤
好ましい実施形態では、本発明は、軟膏、クリーム、ローション(好ましくは、頭皮ローション)、リニメントまたは他の展延可能な液体もしくは半液体製剤(好ましくは非水性)、または水中油もしくは油中水型エマルジョンの形態の局所用医薬組成物を提供する。1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、単相組成物(すなわち、単一の溶媒系を含む組成物(軟膏など))である。
【0023】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、皮膚用の非水性の医薬組成物を提供し、前記組成物は、
少なくとも1つのビタミンD類似体からなる第1の薬理学的活性成分A、
少なくとも1つのコルチコステロイドからなる第2の薬理学的活性成分B、
を含有し、
第1の薬理学的活性成分Aの至適安定pHと第2の薬理学的活性成分Bの至適安定pHとの差が少なくとも1であり、
(i)一般式R3(OCH2C(R1)H)xOR2 (I)(式中、xは2〜60の範囲であり、各x単位中のR1は独立してHまたはCH3であり、R2は直鎖または分枝鎖C1-20アルキルまたはベンゾイルであり、R3はHまたはフェニルカルボニルオキシである)の化合物、
(ii)C4〜C8ジカルボン酸のジ-(直鎖または分枝鎖)-C4-10アルキルエステル
(iii)直鎖または分枝鎖C12-18-アルキルベンゾエート、
(iv)直鎖または分枝鎖C10-18アルカン酸またはアルケン酸の直鎖または分枝鎖C2-4アルキルエステル、
(v)C8-14アルカン酸とのプロピレングリコールジエステル、および
(vi)分枝鎖第1級C18-24アルカノール
からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒成分C
を含有する(成分AおよびBは上記のように定義される)。
【0024】
溶媒成分Cを含むこのような組み合わせ組成物では、活性成分はpH/安定性プロフィールが異なるにもかかわらず分解することなく共存することができることが見出された。活性化合物がpHに関して互いに影響しあう傾向は、最小になるか消滅する。
薬理学的に活性な化合物の間の至適安定pHの最大差は少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも2、特に少なくとも2.5、さらに特に少なくとも3、とりわけ少なくとも4(少なくとも5など)であることが好ましい。
【0025】
上記の一般式(I)では、指数x(括弧内の単位数を示す)は好ましくは4〜50、より好ましくは4〜40、さらに好ましくは4〜30、特に5〜25、さらに特に10〜20(約15など)の範囲である。R1はCH3であることがさらに好ましい。
成分Cは、一般式H(OCH2C(R1)H)xOR2 (II)(式中、R1、x、およびR2は上記のように定義される)の化合物およびその混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0026】
上記溶媒成分Cの(i)〜(vi)の非限定的な例として、以下のものが挙げられる(商品名を含む):
Arlamol E(ポリオキシエチレン(15)ステアリルエーテル)、
Arlamol DoA(アジピン酸のジイソオクチルエステル)、
Arlasolve 200(ポリオキシエチレン-20-イソヘキサデシルエーテル)、
Eutanol G(2-オクチルドデカノール)、
Finsolv(イソステアリルベンゾエート)、
Finsolv P(ポリオキシプロピレン-15-ステアリルエーテルベンゾエート)、
直鎖または分枝鎖C10〜C18アルカン酸またはアルケン酸のイソプロピルエステル(イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルイソステアレート、イソプロピルリノレート、およびイソプロピルモノオレエートなど)、
Miglyol 840(カプリル酸およびカプリン酸のプロピレングリコールジエステル)、
DPPG(プロピレングリコールジペラゴネート)、
Procetyl AWS(CH3(CH2)14CH2(OCH(CH3)CH2)5-(OCH2)20OH)。
【0027】
製薬学分野の当業者に周知の方法に従って、本発明の組成物を調製することができる。したがって、白色ワセリン(ワセリンとしても公知)またはPlastibase(登録商標)(ポリエチレン(平均分子量約21,000)および流動パラフィンから調製された基剤)またはESMA-P(登録商標)(微晶質ワックス)などのよく知られた軟膏またはローション基剤への成分の組み込みによって、非水性組成物を調製することができる。例として、本発明の組成物の調製を、典型的には、白色ワセリンの融解、必要量の溶媒成分C(例えば、Arlamol E)中のビタミンD類似体溶液(典型的には、0.0005〜2.5% w/wの濃度)の添加、その後のパラフィンオイル中のコルチコステロイド成分B分散液(典型的には、0.1〜20μmの粒子サイズ)の添加、およびその後の混合物の冷却によって行う。本発明の最終組成物中の成分の典型的な含有量の範囲は、0.005〜0.1% w/wのコルチコステロイド成分B、0.0001〜0.025% w/wのビタミンD類似体成分A、および1〜20% w/wの溶媒成分Cであり、残りは典型的には上記の白色ワセリンおよび/またはパラフィンオイルなどの主に基剤である。組成物はまた、抗酸化剤(例えば、α−トコフェロール)などの一般的に使用される添加物を含むことができる。
【0028】
本発明の組成物は、先行技術の単一化合物療法または併用療法と比較して、皮膚疾患(乾癬、皮脂性乾癬、および関連疾患など)の処置において以下の処置利点を提供する:
・臨床試験により、カルシポトリオールおよびベタメタゾンを含む本発明の組成物での乾癬患者の治療により、1つのみの活性化合物で治療した患者よりもより早い治癒開始およびより有効な斑治癒が得られることが示された。
・ビタミンD類似体と局所用ステロイドとを組み合わせた組成物により、活性物質の直接的処置価とは別に、患者に対するさらなる利点の形態での相乗効果が得られる。カルシポトリオールなどのビタミンD類似体の皮膚刺激副作用がベタメタゾンなどのステロイドの乾癬皮膚への同時適用によって緩和されることが示され、これは、製剤の不適合性により罹患した皮膚にビタミンD類似体およびステロイドを同時適用することができない2成分または多成分治療計画では達成できない効果である。ビタミンD類似体および局所用ステロイドの両方を乾癬の併用処置に使用する場合、これまでは個別に適用(典型的には、一方を朝に他方を夕方に適用)する必要があったので、これら2種の活性化合物の相乗作用を得ることは不可能であった(Ortonne, J.P., Nouv. Dermatol., 1994, 13(10),p.746-751を参照のこと)。あるいは2成分投薬計画についてある程度の相乗効果(より少ない皮膚刺激)が報告されている場合もあるが(Kragballe,K.ら、Br J Dermatol, 1998, Oct., 139(4):649-54およびRuzicka,T. et Lorenz,B., Br J Dermatol, 1998,138(2), 254-58を参照のこと)、実質的な割合の乾癬患者は治療計画非遵守の故にその恩恵を受け得ない。
【0029】
・乾癬などの皮膚障害の満足な薬物療法を本発明の組成物を使用してより短期間で達成することができ、それ故、ステロイドによる副作用(皮膚萎縮およびリバウンドなど)も低減する。さらに、より穏やかな作用のステロイド第I群(現在乾癬処置用に投与されていないヒドロコルチゾンなど)でさえもカルシポトリオール処置に伴う皮膚刺激の緩和または消滅に有効であり得ることを認識することができる。
・したがって、活性化合物の副作用の低減により、処置耐性が顕著に改良され得る。
・1つの製剤を必要とする場合は処置指示はより単純になるので、患者の適用遵守が改善され、さらにより多数の乾癬患者の有効な治療が可能になる。
・1つの製剤を必要とする場合は処置指示はより単純になるので、患者の安全性が改善される。
【0030】
本発明はまた、さらなる真菌感染を合併している乾癬性皮膚疾患の処置に特に有用であり、例えば、ミコナゾール、クロトリマゾール、テルビナフィン、シクロピロックス、ビフォナゾール、ナイスタチン、ケトコナゾール、エコナゾール、およびアモロルフィンからなる群から選択される抗真菌薬をさらに含む本発明の好ましい医薬製剤に関する。
好ましくは、本発明の組成物は、キサンチン誘導体であるペントキシフィリン、プロペントフィリン、およびトルバフィリン、または任意の他のキサンチンもしくはキサンチン誘導体からなる群から選択される他の処置有効化合物を含まない。
【0031】
本発明はまた、有効量の本発明組成物を処置を必要とする患者へ局所投与することを含む、乾癬および関連皮膚疾患の処置方法に関する。前記方法は、好ましくは、医学的に十分な投薬量の前記組成物の1日1回または2回の局所投与を含む。
本発明の組成物は、好ましくは、0.001〜0.5mg/gまたはml、より好ましくは0.001〜0.25mg/gまたはmlの前記成分Aおよび0.05〜0.1mg/gまたはmlの前記成分Bを含む。
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【実施例1】
【0032】
カルシポトリオールおよびベタメタゾンジプロピオネートを含む軟膏
919.3gの白色ワセリンを80℃で融解後、70℃に冷却してその温度を維持する。その後、52.2mgのカルシポトリオール水和物(50mgカルシポトリオール)を50gのArlamol E(ポリオキシプロピレン-15-ステアリルエーテル)中に溶解して、溶液を形成させる(溶液1)。次いで、溶液1を、撹拌しながら融解ワセリンにゆっくり添加する。
【0033】
粒子状(99%<15μm)のベタメタゾン(0.5g(そのジプロピオネートとして0.643g))を、30gの流動パラフィンに分散させて分散物1を形成させる。分散物1および20mgのα−トコフェロールを、撹拌しながらカルシポトリオール含有ワセリ混合物に添加後、混合物を30℃未満まで冷却して以下の組成の本発明の組成物を得る。
【0034】
1gの軟膏中:
ベタメタゾン…………………………………………0.5mg
(ジプロピオネートとして0.643mg)
カルシポトリオール…………………………………50μg
(水和物として52.2μg)
流動パラフィン………………………………………30mg
ポリオキシプロピレン-15-ステアリルエーテル…50mg
α−トコフェロール…………………………………20μg
白色ワセリン ………………………………合計1gにする
【実施例2】
【0035】
安定性試験
40℃で1ヶ月ならびに25℃および40℃で3ヶ月保存後に、2つの活性成分の化学安定性を試験した。カルシポトリオールの含有量を、HPLCによって測定した。
カルシポトリオールを製剤からメタノールと0.01Mのリン酸水素二アンモニウム(70:30)との混合物に抽出し、以下のHPLC条件下で定量した:カラム:LiChrospher RP-18、5μmを充填した長さ約125mmで内径4mmのステンレススチールカラム;移動相:アセトニトリル-メタノール-0.01Mリン酸アンモニウム水溶液(pH6)(20:50:30);流速:約2ml/分;検出:265nmに設定した可変波長UV検出器。カルシポトリオールおよび関連物質を、上記の逆相HPLC法(カラム:Superspher RP-18、4μm;流速:1.2ml/分)によって分離した。ベタメタゾンジプロピオネートの含有量を、HPLCによって測定した。
【0036】
ベタメタゾンジプロピオネートを製剤からアセトニトリル:水(50:55)の混合物中に抽出し、以下のHPLC条件下で定量した:カラム:LiChrospher RP-18、5μmを充填した長さ約125mmで内径4mmのステンレススチールカラム;移動相:アセトニトリル:水(50:55);流速:約2ml/分;検出:240nmに設定した可変波長UV検出器。ベタメタゾンに加えて、関連物質も上記に類似の逆相HPLC法によって測定した。ベタメタゾン:移動相としてアセトニトリル/メタノール/0.05M緩衝液(pH7)(25:5:70)を用いる以外は上記のように測定した。
【0037】
結果を、以下の表1に示す。
【表1】

表1から、カルシポトリオールおよびベタメタゾンエステルが共に、試験条件下で非常に安定であることが認められる。
【0038】
カルシポトリオールの安定性を、プロピレングリコールを溶媒として使用し、且つラノリンを乳化剤として使用した類似の軟膏と比較した。比較軟膏の組成は、カルシポトリオールおよびベタメタゾンジプロピオネートに関して上記と同一で、10% w/wプロピレングリコール、10% w/w無水ラノリン、および80% w/wの白色ワセリンであった。比較軟膏を、5℃および40℃で2.5ヶ月間保存した。カルシポトリオール関連物質の含有量のみを、上記の様式で同定した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

上記結果から認められるように、カルシポトリオールが本発明の組成物中では実質的に分解されずに保持されるのとは対照的に、カルシポトリオールは比較組成物中では試験条件下にほとんど完全に分解される。
【実施例3】
【0040】
二相溶媒系を含む医療用皮膚ローション
1g中の含有量:
ベタメタゾン……………………………………… 0.5mg
(ジプロピオネートとして0.643mg)
カルシポトリオール……………………………… 50μg
(水和物として52.2μg)
リン酸二ナトリウム二水和物…………………… 2.5mg
ジアゾリジニル尿素……………………………… 3mg
ポリオキシプロピレン-15-ステアリルエーテル
(Arlamol(登録商標)E)……………… 50mg
イソヘキサデカン
(Arlamol(登録商標)HD)…………… 200mg
ポリオキシエチレン-2-ステアリルエーテル
(Brij(登録商標)72)………………… 30mg
精製水…………………………………… 合計1gにする
【0041】
1kgのローションの調製手順:
2.5gのリン酸二ナトリウムおよび3gのジアゾリジニル尿素を、約714gの水に溶解する。この溶液を60〜70℃に加熱して水相を得る。30gのポリオキシエチレン-2-ステアリスエーテルを200gのイソヘキサデカンと共に60〜70℃で融解し、50gのポリオキシプロピレン-15-ステアリルエーテル中の52.2mgのカルシポトリオール水和物溶液を添加して油相を得る。2つの相をホモジナイズによって混合し、643mgのベタメタゾンジプロピオネートを混合物中に分散させ、混合しながらローションを室温に冷却する。製剤は、25℃で14日以上安定である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚用の医薬組成物であって、少なくとも1つのビタミンDまたはビタミンD類似体からなる第1の薬理学的活性成分A、および少なくとも1つのコルチコステロイドからなる第2の薬理学的活性成分Bを含む、医薬組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリア、溶媒、または希釈剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ビタミンD類似体は、セオカルシトール、カルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、パリカルシトール、ファレカルシトリオール、1α,24S-ジヒドロキシ-ビタミンD2、および1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[((3-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)-フェニル)-メトキシ)-メチル]-9,10-セコ-プレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン、ならびにその混合物からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ビタミンD類似体は、カルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、および1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[((3-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)-フェニル)-メトキシ)-メチル]-9,10-セコ-プレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン、ならびにその混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ビタミンD類似体は、ヒトおよび他の哺乳動物の乾癬および関連皮膚障害に有効である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ビタミンD類似体は、カルシポトリオールまたはその水和物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記コルチコステロイドは、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロベタソン、デゾキシメタゾン、ジフルコルトロン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルメタゾン、フルオシノロン、フルチカゾン、フルプレドニデン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、および薬学的に受容可能なそのエステルおよびアセトニドならびにその混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記エステルまたはアセトニドは、17-バレレート、17-プロピオネート、17,21-ジプロピオネート、アセトニド、アセトニド-21-N-ベンゾイル-2-メチル-β-アラニネート、アセトニド-21-(3,3-ジメチルブチレート)、および17-ブチレートからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記コルチコステロイドは、中ないし弱作用コルチコステロイドからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記コルチコステロイドがヒドロコルチゾンまたはその17-ブチレートエステルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
単相組成物の形態である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
軟膏である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
実質的に本明細書中の実施例1に記載されたものである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ローションである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
実質的に本明細書中の実施例3に記載されたものである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
ヒトおよび他の哺乳動物の乾癬および関連皮膚障害処置において、前記成分AまたはBの一方のみを含む任意の組成物を使用した場合に達成される効果よりも高い効果を示す、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記効果がPASIスコアの変化率として測定される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記第1成分Aの至適安定pHと前記第2成分Bの至適安定pHとの差が少なくとも1であり;
(i)一般式R3(OCH2C(R1)H)xOR2 (I)(式中、xは2〜60の範囲であり、各x単位中のR1は独立してHまたはCH3であり、R2は直鎖または分枝鎖C1-20アルキルまたはベンゾイルであり、R3はHまたはフェニルカルボニルオキシである)の化合物、
(ii)C4〜C8ジカルボン酸のジ-(直鎖または分枝鎖)-C4-10アルキルエステル、
(iii)直鎖または分枝鎖C12-18-アルキルベンゾエート、
(iv)直鎖または分枝鎖C10-18アルカン酸またはアルケン酸の直鎖または分枝鎖C2-4アルキルエステル、
(v)C8-14アルカン酸とのプロピレングリコールジエステル、および
(vi)分枝鎖第1級C18-24アルカノール
からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒成分Cを含有し;
化合物AおよびBは上記のように定義される
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
前記成分Cは、一般式H(OCH2C(R1)H)xOR2 (II)(式中、R1、x、およびR2は請求項18のように定義される)の化合物およびその混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記R1がCH3である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記成分Cがポリオキシプロピレン-15-ステアリルエーテルである、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
前記第2成分Bは、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、デゾキシメタゾン、ジフルコルトロン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルメタゾン、フルオシノロン、フルチカゾン、フルプレドニデン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、および薬学的に受容可能なそのエステルおよびアセトニドならびにその混合物からなる群から選択される、請求項18〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記エステルは、17-バレレート、17-プロピオネート、17,21-ジプロピオネート、アセトニド、アセトニド-21-N-ベンゾイル-2-メチル-β-アラニネート、アセトニド-21-(3,3-ジメチルブチレート)、および17-ブチレートからなる群から選択される、請求項18〜22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記第1成分Aは、カルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、および1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-[((3-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)-フェニル)-メトキシ)-メチル]-9,10-セコ-プレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン、ならびにその混合物からなる群から選択される、請求項18〜23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
0.001〜0.25mg/gまたはmlの前記成分Aおよび0.05〜0.1mg/gまたはmlの前記成分Bを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
ミコナゾール、クロトリマゾール、テルビナフィン、シクロピロックス、ビフォナゾール、ナイスタチン、ケトコナゾール、エコナゾール、およびアモロルフィンからなる群から好ましくは選択される抗真菌薬をさらに含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
ペントキシフィリン、プロペントフィリン、およびトルバフィリンからなる群から選択されるキサンチン誘導体または任意の他のキサンチンもしくはキサンチン誘導体を含まない、請求項1〜26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
ヒトおよび他の哺乳動物の乾癬および関連皮膚障害を局所処置するための、請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項29】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物の有効量を処置を必要とする患者に局所投与することを含んで成る、乾癬および関連皮膚疾患の処置方法。
【請求項30】
前記組成物の医学的有効量を1日1回または2回局所投与することを含んで成る、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−75923(P2013−75923A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−14098(P2013−14098)
【出願日】平成25年1月29日(2013.1.29)
【分割の表示】特願2008−191182(P2008−191182)の分割
【原出願日】平成12年1月27日(2000.1.27)
【出願人】(508069752)レオ ファーマ アクティーゼルスカブ (22)
【Fターム(参考)】