説明

医薬脂質組成物

本発明は、粒子組成物であって、a)5〜90%の少なくとも1つのホスファチジルコリン成分と、b)5〜90%の少なくとも1つのジアシルグリセロール成分、少なくとも1つのトコフェロール、若しくはその混合物と、c)1〜40%の少なくとも1つの非イオン性安定化両親媒性物質と、を含み、全ての部が、a+b+cの重量の合計に対する重量比であり、前記組成物が、少なくとも1つの非ラメラ相構造の粒子を含むか、又は水性流体と接触すると少なくとも1つの非ラメラ相構造の粒子を形成する粒子組成物に関する。本発明はさらに、このような組成物を含む医薬製剤、その形成方法、及びその投与を含む治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物及び栄養補助組成物における活性剤の保護、可溶化、安定化、及びデリバリー(送達、delivery)に関する。特に、本発明は、両親媒性の組成物及び製剤、並びにこれらに基づいた活性剤デリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
両親媒性物質をベースとする製剤は、多くの物質の送達において、特にインビボでのヒト又は動物の体への送達に関して、非常に大きな可能性を示している。両親媒性物質は、かたまりとなって極性及び非極性領域を形成する極性基及び非極性基の両方を有しているため、極性化合物及び非極性化合物のいずれをも有効に可溶化することができる。加えて、極性及び/又は非極性溶媒中で両親媒性物質/構造化剤によって形成される構造の多くは、他の両親媒性化合物を吸着及び安定化させることができる非常に大きな面積の極性/非極性境界を有する。
【0003】
両親媒性物質/水、両親媒性物質/油、及び両親媒性物質/油/水の相図における非ラメラ領域の形成はよく知られた現象である。このような相としては、分子レベルでは流体であるが顕著な長距離秩序を示す立方P相、立方D相、立方G相、及び六方相のような液晶相、並びに液晶相の長距離秩序が無い二分子層シートの多重相互接続3次元両連続ネットワークを含むL3“スポンジ”相が挙げられる。これらの相は、それぞれの曲率に応じて、順相(非極性領域に向かう平均曲率)又は逆相(極性領域に向かう平均曲率)として説明され得る。脂質系の自発曲率が略ゼロである場合、構造は通常ユニラメラ又はマルチラメラ小胞/リポソームのようなラメラ状であり、自発曲率がさらにゼロより大きいか又は小さい場合は、ミセル相、立方相及び六方相が通常支配的となる。
【0004】
非ラメラ(例えば、液晶及びL3)相は、熱力学的に安定な系である。即ち、これらの相は、層、ラメラ相などへと分離及び/又は改質する単なる準安定状態ではなく、混合物の熱力学的に安定な形態である。
【0005】
ラメラ系及び非ラメラ系のいずれの系についても、食事療法剤、化粧剤、栄養剤、診断用剤、及び医薬品のための担体及び/又は賦形剤としての特性が研究されているが、非ラメラ系は、極性及び非極性領域間の内部表面積が大きい点で非常に有利であると考えられている。このため、特に放出制御製剤における、比較的難溶性の化合物を可溶化するための非ラメラ相の研究が非常に多く行われている。
【0006】
前述のように、バルク非ラメラ相は、通常、熱力学的に安定な系である。加えて、このバルク相を極性又は非極性溶媒中に分散させてバルク溶媒中で非ラメラ(特に液晶)相の粒子を形成することもできる。これにより、バルク非混和相を用いると問題が生じる状況、例えば非経口適用において、バルク非ラメラ相の利点を適用することができる。このような非ラメラ粒子の分散液により、化合物の放出プロファイルのさらなる制御も達成することができる。
【0007】
液晶相又はL3相は、過剰の溶媒と熱力学的に平衡又は略平衡になることが可能であり、非ラメラ粒子のコロイド的に安定な分散液に分散され得る。このような粒子は、完全に(つまり熱力学的に)安定であり得るか又は徐々に分解し得、それにより、このような粒子と共に製剤化された活性剤の放出プロファイルが制御される。分散液の形成は、自然発生的なこともあり、又はせん断若しくは超音波のような機械的な力の結果であることもある。これらの非ラメラ粒子は、活性剤の送達において非常に興味深いものであり、多くのこのような活性剤用の担体として提案されている。
【0008】
水のような溶媒中での非ラメラ相の分散粒子の形成方法が米国特許第5,531,925号に記載されている(特許文献1)。このような粒子は、非ラメラ液晶相又はL3内部相とラメラ相又はL3表面相とを有し、有効成分も含有し得る。
【0009】
液晶相又はL3内部相の公知の粒子は、この相に表面相形成剤の溶液を添加し、攪拌して粗分散液を形成し、得られた混合物を細分化するなどの方法によって形成され得る。
【0010】
液晶相の存在を評価するためには、小角X線回折(SAX)、cryo−透過型電子顕微鏡法(cryo−TEM)、又は核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて見込みのある液晶材料を調べることができる。分散粒子の大きさ及び粒度分布は、光散乱により、特にレーザ光散乱装置を用いて調べることができる。
【0011】
有効成分を含有する分散液、特にヒト又は動物の体への静脈内投与用の分散液は、コロイド状であり、すなわち、粒度が10μm以下、特に5μm以下、とりわけ1μm以下であるのが望ましい。分散液内の粒子がこの大きさを超えると、分散液がコロイド的に安定でないことがあり、調製剤を静脈内投与する際に塞栓症を引き起こす恐れが非常に大きい。さらに、いかなる活性剤の放出の制御をも最大限に行うために、粒度分布が狭いのが望ましい。粒子組成物を静脈内投与以外の方法(例えば、経口投与、筋肉内投与、皮下投与、経直腸投与、又は吸入による投与)によって投与する場合は、粒子は必ずしもコロイド状でなくてもよいが、粒子の分解及び/又は活性剤の放出の速度を制御するためには、特徴がはっきりした再現可能な粒度分布とすることがやはり有利である。
【0012】
粒子組成物の粒度は、非常に長期間にわたる保存に対して安定であることも必要である。粒度分布が著しく変化すると、組成物の有効輸送率(例えば、任意の活性剤の拡散性及び放出速度による)に悪影響が及ぶことがある。より重要性が高いのは、静脈内投与用のコロイド分散液中の粒度の安定性である。このような分散液の粒度分布が(例えば保存及び流通(distribution)に対して)安定していないと、時間が経つにつれて大きな粒子が生じることがあり、投与時に危険となり得る。直接危険とはならなくても、保存の不安定性により、薬物動態学、力学及び/又は有効性において著しいばらつきが生じる可能性がある。
【0013】
粒度の制御に加えて、所望の非ラメラ相にある粒子の割合を最大化することが、充填容量、保護封入、放出制御、再現性などの点でこの有益効果を最大化するために望ましい。したがって、ユニラメラ又はマルチラメラ小胞のようなラメラ粒子の割合は最小化する必要がある。
【0014】
非ラメラ相分散粒子の公知の形成方法は、非常に有効ではあるが、通常、粒度分布が比較的広くなり、かなりの割合の“夾雑物”ラメラ小胞粒子を生じる。粒度分布を狭くするために製剤中の細分化剤及び/又は安定化剤(例えば、界面活性剤、コポリマー及び/又はタンパク質)の割合を増加させてもよいし均質化処理のエネルギー投入量を増加させてもよいが、ラメラ粒子の割合を増加させてしまうという犠牲を払うことになる。
【特許文献1】米国特許第5,531,925号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
現在入手可能であるか、又は提案されている非ラメラ組成物の1つの制限は、それらが、高濃度ではインビボであまり許容されない脂質に頻繁に依存していることである。特に、一般に用いられているモノアシルグリセロール(よく用いられるグリセリルモノオレエート−GMOを含む)は、高濃度で投与(特に非経口投与)されると毒性を有する可能性があるため、用量が制限され得る。脂質担体による毒性の副作用の可能性によって、活性剤が用いられる適応症の範囲も副作用の危険が許容され得る非常に重篤なものに限定されることがある。したがって、粒子分散液のように形成可能で安定しており、予測可能な非ラメラ相挙動を示し、且つ、広く用いられている組成物(例えば、GMOを含む組成物)と比較して毒性が少ない(例えば、溶血指数及び/又は急性毒性の調査からわかる)脂質組成物を提供することは、非常に大きな進歩である。このような製剤がコロイドサイズの粒子(例えば、直径0.05〜約2μm)のように形成可能で安定しており、狭い単峰型(monomodal)の粒度分布を有していると、さらに有利である。文献によると、安定した特定の分散液を提供することは特に困難であり、ラメラ分散液のみが数日より長く保存しても安定していることが認められている(Kamoら、Langmuir 19、9191−9195(2003))。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、ジアシルグリセロール(DAG)、トコフェロール、若しくはジアシルホスファチジルエタノールアミン(PE)成分、又はその混合物、ホスファチジルコリン(PC)成分、及び非イオン性安定化成分を含む少なくとも3つの両親媒性成分の混合物が、安定な非ラメラ分散液を形成するのに非常に有効であり、インビボにおいて驚くほど低い毒性を示し得ることを新規に立証した。
【0017】
したがって、第1の局面において、本発明は、粒子組成物であって、
a)5〜90%の少なくとも1つのホスファチジルコリン成分と、
b)5〜90%の少なくとも1つのジアシルグリセロール成分、少なくとも1つのトコフェロール、若しくはその混合物と、
c)1〜40%(好ましくは、2〜40%)の少なくとも1つの非イオン性安定化両親媒性物質と、を含み、
全ての部が、a+b+cの重量の合計に対する重量比であり、
前記組成物が、少なくとも1つの非ラメラ相構造の粒子を含むか、又は水性流体と接触すると少なくとも1つの非ラメラ相構造の粒子を形成する粒子組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の好ましい組成物は、本明細書に記載のような少なくとも1つの活性剤をさらに含有し、溶媒(特に、水又は水性溶媒若しくは溶媒混合液)を含有し得る。組成物は、適切な担体、賦形剤、充填剤、安定化剤、及び同様の成分を含有し得る。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、少なくとも1つの本発明の組成物と、少なくとも1つの製薬上許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬製剤を提供する。
【0020】
さらなる局面において、本発明は、必要に応じて活性剤を含む本発明の組成物の投与を含む、ヒト又は動物の被検体の治療方法を提供する。この局面では、治療方法は、特に、炎症及び/又は痛み、とりわけ胃腸管などの体腔における炎症及び/又は痛みの治療方法である。
【0021】
さらなる局面において、本発明は、療法における本発明の組成物の使用、特に、必要に応じて活性剤を含む、炎症及び/又は痛み、とりわけ胃腸管などの体腔における炎症及び/又は痛みを治療するための薬物の製造における、本発明の組成物の使用を提供する。
【0022】
本発明の三元両親媒性組成物は、少なくとも1つのPC成分(成分a)、少なくとも1つのDAG、少なくとも1つのトコフェロール、及び/又は少なくとも1つのPE成分(成分b)、並びに少なくとも1つの非イオン性安定化両親媒性成分(成分c)を含む。成分cは、特に、組成物の細分化を容易にする。
【0023】
全両親媒性成分(a+b+c)のうち少なくとも5重量%が成分aであることが必要である。これは、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。これに対応して、成分bは、a+b+cの少なくとも5重量%、好ましくは20〜85重量%、より好ましくは30〜75重量%であることが必要である。成分cは、a+b+cの総重量の2〜40%、好ましくは3〜35%、より好ましくは5〜30%含まれることが必要である。
【0024】
三元両親媒性組成物において、ホスファチジルコリン成分“a”は、主に、エステル結合によって結合した2つの非極性アシル鎖を持つホスファチジルコリン極性基を有する脂質からなる。文献に記載されるように、本明細書ではこの成分をホスファチジルコリン(PC)と呼び、この成分は、合成ジオレオイルホスファチジルコリンなどの1つの純化合物から構成されてもよく、又は、より好ましくは、精製された天然供給源(natural source)由来の混合物などのPCの混合物である。PCは、広範囲且つ容易に入手可能であり、様々な天然供給源から首尾よく精製され得るという点で、特に有利な成分である。混合PCを含む天然由来の製品を用いて効果的に機能する本発明の能力は、抽出及び精製することがはるかに複雑であるか、又は合成されなければならないため、工業規模で生成及び取得することがはるかに困難である、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)などの特定の他の脂質成分に対してかなり有利である。
【0025】
通常、天然供給源から抽出されるPCは、アシル鎖の混合物を有し、この混合物は、抽出物の採取先の組織によって多少変化する。例えば、肝臓PCは、比較的広範囲のアシル鎖長(少なくとも、C16〜C20)を有し、飽和され、2つより高い不飽和度を有するアシル基を有意な割合で含む。これに対して、大豆PCは、通常、ゼロ又は2の飽和度を有するC16〜C18アシル基を主に含む。これにより、本発明の組成物の挙動は、適切なPC成分又はその混合物を選択することによって微妙に変化する。好ましいPCとしては、卵PC、心臓PC、脳PC、肝臓PC、特に大豆PC(SPC)が挙げられる。より高い割合の飽和PCが望まれる場合には、PC又はその任意の部分が水素化されてもよい。
【0026】
本発明のPC成分は、好ましくは天然抽出物であるため、通常、少量の非PC“夾雑物”が存在する。他の極性基を有する脂質の含有量に換算したPC成分の純度の正確なレベルは、本発明の組成物が用いられる特定の用途に依存する。重要な要因は、組成物の相の挙動、著しく高い安定性、及び著しく低い毒性が、適切な純成分を選択することによって維持されなければならないことである。このことが許容可能である限り、PCの純度は、比較的あまり重要ではない。しかし、一般的な基準として、PC成分は、一般に、非PC極性基を有する脂質を10重量%以下含む。実施形態によっては、これは、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2%重量以下である。
【0027】
本発明の組成物では、成分b)は、ジアシルグリセロール(DAG)及び/又はトコフェロールである。これらは、単一の純ジアシルグリセロール又はトコフェロールからなり、ジアシルグリセロール及び/又はトコフェロールの混合物、あるいはジアシルグリセロール及び/又はトコフェロールを高含有量で含む精製された天然抽出物であってもよい。好ましいジアシルグリセロールは、独立して、10〜24個の炭素、好ましくは12〜20個の炭素、最も好ましくは14〜18個の炭素を有するアシル基を有する。飽和及び/又は不飽和アシル基が適切であるが、1、2又は3個の二重結合を含む基が好ましい。アシル基は、同じであっても異なっていてもよい。特に好ましいDAGは、グリセロールジオレエート(GDO)及びその混合物である。
【0028】
本明細書において、用語「トコフェロール」は、大抵の場合ビタミンEとして知られる、非イオン性脂質トコフェロール、及び/又は任意の適切な塩、及び/又はその類似体を示すために用いられる。適切な類似体は、本発明の組成物を特徴づける相挙動、安定性、及び毒性の欠如を提供し、一般に、水中で純化合物として液晶相構造を形成しないものである。トコフェロールの中で最も好ましいものは、以下の構造を有するトコフェロールである。言うまでもなく、特にこれが天然供給源から精製される場合には、非トコフェロール“夾雑物”が少しの割合で含まれ得るが、有利な相挙動、安定性、及び毒性の欠如を変化させるほどではない。通常、トコフェロールは、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、最も好ましくは2重量%以下の非トコフェロール類似体化合物を含む。
【0029】
【化1】

【0030】
PC成分と同様に、成分b、例えば、ジアシルグリセロール、及び/又はトコフェロールは、天然抽出物として提供され得る。これは、原料の入手可能性及び信頼性の点でかなり有利である。しかし、DAG成分が天然抽出物である場合、少量の非DAG脂質が依然として存在するようである。PC成分と同様に、DAG成分の不可欠な純度テストを行うと、組成物が本発明の有利な安定性及び非毒性を提供することを示す。通常、DAG成分は、15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の他の脂質を含む。(本明細書に記載される)DAGは、好ましい成分b)である。
【0031】
成分b)の構成成分の好ましい組み合わせは、少なくとも1つのDAG(例えば、GDO)と少なくとも1つのトコフェロールとの混合物である。このような混合物は、2:98〜98:2(重量比)のトコフェロール:GDO、例えば、10:90〜90:10のトコフェロール:GDO、特に20:80〜80:20のこれらの化合物を含む。
【0032】
成分a及びbの特に好ましい組み合わせは、PCとDAGとの組み合わせであり、両成分は、少なくとも50%のC18:1(オレオイル)及び/又は50%のC18:2(リノレオイル)アシル基を有する。大豆PC及び卵PCは、特に好ましい実施例である。これらの好ましい重量比は、1:5と3:2との間であり、最も好ましくは、2:5〜4:5のPC:GDOである。脂質の生物活性の1つの尺度は、水又は水溶液への溶解度である。水溶解度が比較的高い成分は、溶液中の溶解脂質モノマーのより高い平衡濃度を維持し、このことは、観察される生物学的効果に少なくとも部分的に関与し得る。例えば、一般に用いられている“グリセロールモノオレエート”(GMO)は、例えば、室温で10-7M程度、生理的温度ではそれを上回る平衡水溶解度を有する。これに対して、好ましいジアシルグリセロール及びジアシルホスファチジルエタノールアミンの溶解度は、室温で10-8M以下、より典型的には10-9M以下、好ましくは5×10-10M、より好ましくは10-10M以下であり得る。最小の望ましい溶解度は一般に約10-15Mである。特に、高希釈では、非ラメラ系の安定性は、脂質分子が構造化された材料の表面を離れて溶液中に拡散する速度に依存する。このため、非ラメラ粒子の分散液の安定性は、溶媒へのモノマーの溶解度と直接関連付けられる。
【0033】
成分cは、細分化剤として作用するとともに、粒子相挙動の制御及び安定性と、非ラメラ相の粒子への細分化の促進及び安定化との両方に役立つ。成分cは、組成物の細分化を生じさせるのに、且つ/又は細分化された非ラメラ相粒子を安定化するのに十分なレベルで存在する。このような細分化は、自然発生的であってもよく、せん断及び/又は超音波処理によるような物理的細分化を必要としてもよい。当業者は、本明細書中の実施例に鑑みて任意の組成物が十分な細分化剤を含有しているかどうかを容易に評価できるであろう。
【0034】
非イオン性安定化両親媒性物質“c”は、一般に、分散液、特にコロイド粒子として分散液の安定性を向上させる成分である。これらの非イオン性両親媒性物質の好ましい形態は、ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン鎖(又はそのコポリマー)がグラフトした非イオン性脂質である。
【0035】
このような化合物は、例えば、ポリオキシアルキルがグラフトした脂肪酸若しくは置換脂肪酸(特に、ヒドロキシル化脂肪酸)、ポリオキシアルキルがグラフトした脂質、又はポリオキシアルキル基が1又は複数の(好ましくは、すべての)アルコール部分にグラフトしたポリオキシアルキル基を有し、ポリオキシアルキル鎖の1又は複数の対向端(opposite end)に結合した1又は複数の脂肪酸鎖を有するポリオールである。例としては、ポリエチレングリコール(PEG)ステアレート、PEGジステアレート、PEGラウレート、PEGオレエート、ポリオキシエチレンヒマシ油、PEG−DOPE、PEG−(4−ヒドロキシステアレート)(ソルトール)、PEG−ソルビタン−モノラウレート(ポリソルベート20又は21)、PEG−ソルビタン−モノパルミテート(ポリソルベート40)、PEG−ソルビタン−モノステアレート(ポリソルベート60又は61)、PEG−ソルビタン−トリステアレート(ポリソルベート65)、PEG−ソルビタン−モノオレエート(ポリソルベート80又は81)、PEG−ソルビタン−トリオレエート(ポリソルベート85)、PEG−ソルビタン−モノイソオレエート(ポリソルベート120)、及びd−αトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS)が挙げられる。PEG鎖は、エステル又はエステル結合によって、適宜、両親媒性物質の他の成分に付着され得る。通常、成分cの分子の全ポリオキシアルキレン含有量は、50モノマー以下、好ましくは30モノマー以下である。最も好ましいのは、ポリソルベート20及び80、ソルトール、d−αトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS)、及びポリオキシエチレンヒマシ油である。
【0036】
本発明者らは、非ラメラ粒子分散液の安定性が、使用される安定化剤のタイプに強い依存性を示すことを新たに立証した。特に、上記の分散剤が特に好ましい。なぜなら、高分子量界面活性剤は、上記の低分子量化合物と比較して、粒子分散液に対して著しく安定化度が低いことが発見されたからである。したがって、1つの実施形態では、成分c)は、10,000amu未満、好ましくは8,000未満、より好ましくは5,000amu未満の分子量を有する界面活性剤を含むべきであり、好ましくは実質的に該界面活性剤からなり、又は該界面活性剤からなる。同様に、成分c)は、好ましくは、ブロックコポリマー界面活性剤、特に、上記の範囲を上回る分子量を有する界面活性剤を含んではならない。これは特に驚くべきことである。なぜなら、分子量の高い界面活性剤ほど、ラメラ形態において関連の組成物を安定化させるのに有効であると示されていたからである。
【0037】
本発明の1つの重要な局面は、組成物が、上記のように、補助溶媒を含む予備濃縮物として製剤化され得ることである。これらの予備濃縮物は、特に、非経口による適用において放出制御システムとして用いられるのに特に適している。このような使用では、c/a+b+c間の最も有用な比は、1〜30%、より好ましくは3〜25%の成分cである。1週間にわたる放出が意図されたデポー剤を形成する組成物については、最も好ましい範囲は、3〜10%の成分cである。
【0038】
本発明の組成物の両親媒性成分は、成分a)、b)及びc)のみ(これが両親媒性である場合には任意の活性成分を含む)から実質的になるか、又はこれらの成分からなり得る。本実施形態では、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは実質的100%の両親媒性成分がこれらの1つである。あるいは、さらなる任意の両親媒性成分d)は、a)+b)+c)+d)の10重量%までの、好ましくは8%までの、より好ましくは5%までの量で存在し得る。この成分d)は、天然若しくは合成脂質、又はその誘導体若しくは類似体などの任意の適切な両親媒性物質であればよい。特に好ましい成分d)は、脂肪酸又は生物学的に許容可能なその塩などのイオン性脂質である。
【0039】
本発明の組成物は、非ラメラ粒子を含むか、又は水性流体と接触するとこのような粒子を形成する組成物である。このような流体は、被検体への送達用の流体(例えば、水又は無菌食塩水)であってもよく、体液、特に胃液、腸液、粘膜表面液、又は血液であってもよい。
【0040】
本明細書において、用語「非ラメラ」は、ラメラ相又はリポソーム/小胞において見られるようなラメラ構造とは対照的なものとして、立方相構造、六方相構造、L2相構造、若しくはL3相構造、又はこれらの任意の組み合わせを示すために用いられる。粒子が非ラメラ相又は構造を有すると記載されている場合は、少なくとも粒子内部がこの構造を有することを示す。粒子の多くは、2つの別個の領域、つまり内部領域と周囲の表面領域とを有している。表面領域は、“非ラメラ”粒子においてさえもラメラ状又は結晶状であり得、非常に規則正しい結晶層、液晶相、及び実質的に無秩序な流体層を含むいかなる相でもあり得る。
【0041】
用語「ラメラ粒子」は、本明細書において、内側の溶媒区画(compartment)を取り囲む1つ又は複数の外側の両親媒性物質ラメラ二分子層を含むことを特徴とする小胞粒子(例えば、リポソーム)を示すために用いられる。
【0042】
本発明の1つの局面において、組成物は非ラメラ粒子を含む。このことは、存在する(好ましくはコロイド)粒子のうち、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも85%(容積比)が、非ラメラ状であることを示している(例えば、レーザ回折とcryo−TEM又はSAXSとの併用によって判断)。本発明の別の局面において、組成物は水性流体と接触すると非ラメラ粒子を形成する。このことは、水性流体(例えば、本明細書に記載のもの)と接触すると、粒子のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも85%(容積比)が非ラメラ粒子になることを示している。
【0043】
本発明の好適な実施形態では、本組成物は、逆六方相及び/又はL3相の粒子を含むか又は生成する。最も好ましくは、組成物は、L3相の粒子を含むか又は生成する。「スポンジ」相としても知られるL3相は、広範囲(long−range)の真の(true)液晶相の秩序(order)を欠いているが、脂質二分子層の多重相互接続シートからなり、これらの“相互接続”は、立方液晶構造に見られる規則的な配置を持たない。
【0044】
他の非常に有利な実施形態では、本発明の組成物は、I2又はL2非ラメラ相を形成し得る。I2相は、不連続な水性領域を有する逆立方液晶相である。この相は、活性剤の放出が制御される点、特に、水溶性活性物質(water soluble actives)などの極性活性剤との組み合わせにおいて特に有利である。L2相は、個別の極性コアを取り囲む連続した疎水性領域を有するいわゆる“逆ミセル”相において同様の利点を有する。
【0045】
脂質の多くの組み合わせについては、特定の非ラメラ相のみが存在するか、又は安定した状態で存在する。本明細書に記載される組成物が、他の多くの成分の組み合わせとともに存在しない非ラメラ相を頻繁に示すことは、本発明の驚くべき特徴である。したがって、1つの特に有利な実施形態では、本発明は、水性溶媒で希釈されるとI2及び/又はL2相領域が存在する成分の組み合わせを有する組成物に関連する。このような領域が存在するか否かは、水性溶媒による組成物の簡単な希釈、及び本明細書に記載される方法によって生じる相構造の調査によって、特定の組み合わせについて容易にテストすることができる。
【0046】
活性剤を本発明の組成物中で製剤化する場合、活性剤は、しばしば構造化剤の相挙動に影響を及ぼす。例えば、ある活性剤(シクロスポリンAなど)は、いくつかの構造化剤よりも大きな負の曲率を生じさせ、高濃度では、立方又は六方液晶相ではなく逆ミセルL2相のような非常に負に湾曲した相を形成させ得る。それにもかかわらず、負の自発曲率の程度がそれほど大きくない成分a、b、及びcの混合物を用いて製剤化することにより、このような活性剤を例えば逆六方相に製剤化できるであろう。この方法により、混合物全体として適切な負の曲率が得られ、本発明の組成物における使用が可能になる。
【0047】
当業者は、特定の構造化剤(若しくは構造化剤と他の成分との混合物)の自発曲率の程度又は活性剤を含むことが自発曲率の程度に及ぼす影響を評価するために、標準的な方法を用いることができる。これは、例えば、水中での各構造化剤のバルク相挙動を調査し、その後、含まれる活性剤の濃度を様々に変えて調査することによって行われ得る。相は、本明細書中に示す方法(例えば、偏光、SAXS、cryo−TEMなど)のいずれかと、その都度選択された成分の適切な混合物とによって調べることができる。活性剤が混合物の相挙動に及ぼす影響が大きいような状況によっては、選択された構造化剤はそれ自体所望の非ラメラ相を提供しない(例えば、非常に小さいか非常に大きい自発曲率を有し得る)ことがあるが、活性剤と共に製剤化された場合にのみこの相を生じる。このため、平衡相は、活性剤の添加により、例えば、立方液晶相から六方液晶相へと変化し得る。
【0048】
1つの好適な局面において、本発明の組成物は少なくとも1つの活性剤を含む。適切な活性剤は、ヒト並びに獣医用薬剤及びワクチン、診断用剤、植物精油、抽出物又は香料のような「代替」活性剤、化粧剤、栄養剤、栄養補助食品などを含む。適切な薬剤としては、例えば、β−ラクタム又は大環状ペプチド抗生物質のような抗菌剤、ポリエンマクロライド(例えば、アンホテリシンB)又はアゾール抗真菌剤のような抗真菌剤、ヌクレオシド類似体、パクリタキセル及びその誘導体のような抗がん剤及び/又は抗ウイルス剤、非ステロイド性抗炎症剤のような抗炎症剤、コレステロール低下及び血圧低下剤を含む心臓血管作用剤(cardiovascular drug)、鎮痛剤、麻酔薬、セロトニン吸収阻害剤を含む抗鬱剤、ワクチン、並びに骨調節剤が挙げられる。診断用剤としては、放射性標識化合物並びにX線、超音波、及びMRIコントラスト増強剤を含むコントラスト剤がある。栄養剤としては、ビタミン類、補酵素類、栄養補助食品などがある。本発明において用いられる活性剤は、一般に、本明細書に記載の成分a、b、又はcのいずれでもない。他の好ましい活性剤としては、インスリン及びインスリン類似体、ヒト成長ホルモン(hgh)などの成長ホルモン、タクロリムス及びシクロスポリンAなどの免疫抑制剤、オクトレオチド、サーモンカルシトニン、デスモプレシン、ソマトスタチン、抗体、及び抗体断片を含む本明細書に記載されるペプチド薬物、アンチセンス及び干渉核酸(interfering nucleic acids)(例えば、siRNA)を含む核酸、並びにワクチンが挙げられる。
【0049】
本発明の1つの好ましい局面において、本発明の組成物は、I2相若しくはL2相、又はその混合相が水性液体にさらされた際に形成され、極性活性剤が組成物に含まれるようなものである。特に適切な極性活性剤には、下記に挙げられるものを含むペプチド及びタンパク質活性物質が挙げられる。この局面において特に興味があるのは、ペプチドオクトレオチド及び他のソマトスタチン関連ペプチド、極性の活性クロルヘキシジン(例えば、二グルコン酸クロルヘキシジン又は二塩酸クロルヘキシジン)、及びジホスホネート(例えば、イバンドロネート、ゾレドロネート、アレンドロネート、パミドロネート、チルドロネート等)である。
【0050】
本発明の任意の適切な局面に含まれるのに特に適した1つのクラスの活性剤としては、ペプチド/タンパク質の活性物質が挙げられる。これらには、ソマトトロピン、ソマトスタチン(及び類似体)、カルシトニン(ヒト又はサーモン)、オキシトシン、ゴナドレリン(及びロイプロリド、ゴセレリン、及びトリプトレリンなどの誘導体)、バソプレシン(及びデスモプレシン及びフェリプレシンなどの誘導体)、ホリトロピン−α及びβ、ヒト絨毛膜性生殖腺刺激ホルモン−β、チロトロピンα、セクレチン(例えば、ブタ)、ブラジキニン、低血圧組織ホルモン、インスリンα、及びインスリンβなどのホルモン及びホルモン誘導体;インターフェロン−α1/13、インターフェロン−α2、インターフェロン−β、インターフェロン−γ(組換え形態を含む)、タキプレシンi、タフトシン、マゲイニンi及びii、インドリシジン(例えば、ウシ)、プロテグリン(例えば、イノシシ)、ポリフェムシンi及びii、ポリミキシンb、グラミシジンsを含む抗ウイルス性、抗菌性、及び抗真菌性ペプチド;il−1α、ヘマトポイエチン−1、il−1β、カタボリン、il−2、t細胞増殖因子(tcgf)(アルデスロイキン)、il−3、ヘマトポイエチン増殖因子、il−4、b細胞刺激因子、il−5、t細胞置換因子、il−6、b細胞刺激因子、il−7、il−8、好中球活性化(neutrophil−activating)、il−9、t細胞増殖因子p40、il−10、サイトカイン合成阻害因子、il−11、脂肪生成阻害因子、il−13、il−15、il−17、細胞傷害性tリンパ球関連抗原8、il−18、インターフェロン−γ誘導因子、il−19、メラノーマ分化関連タンパク質様タンパク質、il−20、4αヘリックスサイトカインzcyto10、il−24、メラノーマ分化関連タンパク質7、il−26を含むインターロイキン;並びに細胞間接着分子1、ニューマジン(pneumadin)、アルテプラーゼ、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、gmcsf、フィルグラスチム(g−csf)、レピルジン、ベカプレルミン、オスパ(ospa)、アヴィシン(avicine)、ツブリシンa−f、コンタクリンg(cgs−1160)、αコノトキシン様ペプチド(WO02/079236を参照)、及びメリチンを含むその他のペプチド並びにタンパク質が含まれる。
【0051】
本発明の治療方法、並びに療法における対応する使用及び薬剤の製造では、活性剤は必ずしも必要ではない。特に、脂質、とりわけ、PCなどのリン脂質は、特定の症状(本明細書で以下に記載されるものを含む)を治療するためにそれ自体非常に有益と考えられている。理論に縛られなければ、本発明の製剤における脂質などの適切な脂質は、多くの体腔の裏層及び関節の接触面などの、体の多くの構造の上面及び周囲に保護層を形成すると考えられる。これらの層は、様々な種類の化学的因子及び生物学的因子による(胃の表面上及びGI管の裏層内などにおける)付着及び攻撃からの保護として作用し、(特に、関節においてではあるが、重要なことには、心臓及び肺などの多くの内部構造を取り囲む裏層及び膜上においても)潤滑剤として作用し、並びに望ましくない膜結合及び膜溶解剤を脂質交換及び希釈させることによって細胞壁修復に貢献し得る。組成物の脂質の性質はまた、ホスホリパーゼA2(PLA2)等のホスホリパーゼなどの望ましくない炎症リパーゼ酵素に対して無害な基質を形成する。
【0052】
本発明の治療方法及び対応する使用の他の実施形態では、適切な活性物質は、唯一の薬効剤として含まれていてもよく、又は適切な脂質成分の効果を補うために含まれていてもよい。ステロイド及び非ステロイド抗炎症薬、並びに局部免疫調節剤などの適切な活性物質は、通常、炎症及び/又は痛みを治療するために適切である。このような薬剤の例は周知であるが、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾンなどのコルチコステロイド、並びに、ベンジダミン、パラセタモール、イブプロフェン、及びサリチル酸アセチルと5−アミノサリチル酸塩とを含むサリチル酸誘導体などの非ステロイド抗炎症化合物の誘導体が挙げられる。抗原認識抑制メトトレキサート、アザチオプリン、若しくは6−メルカプトプリン、及びPLA2阻害剤などのホスホリパーゼ阻害剤を含む炎症経路の局部阻害剤も適切である。これに関連して、リン脂質が放出制御された担体であることに加えて、関節の潤滑に関連する有益な効果を有することが知られている滑液に対して関節内投与するのに本発明の組成物が適していることは注目すべきことである。
【0053】
活性剤に適した充填は、投与経路を念頭に置いて、その既知の投与量を参照することによって確立され、本発明の組成物は、公知の製剤よりも大きな活性剤の生体内取込みをもたらし得る。
【0054】
本発明の組成物の1つの特に有利な局面は、非常に高度なレベルの活性剤を導入できることである。特に、ある一定の割合の水又は(本明細書に記載)補助溶媒を含む組成物は、多くのタイプの高レベルの活性剤を可溶化するのに非常に有効である。したがって、組成物は、少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%の活性剤を含み得る。20重量%までの活性剤を導入するのが有利であり得る。
【0055】
本発明の両親媒性物質をベースとする粒子(本発明の組成物から形成されるか又は形成可能なものを含む)は、望ましくは、表面活性剤(特に、ポリマー)、例えば、澱粉若しくは澱粉誘導体、アルキレンオキシド残基を含むコポリマー(エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーなど)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)若しくはそのグラフトが疎水的に改変された誘導体、アラビアゴム、疎水的に改変されたポリアクリル酸、又はポリアクリレート等で改変されてもよい。表面活性ポリマーは、例えば、粒子を所望の作用部位に選択的に結合又は標的付けるために、粒子の表面に機能的な効果を与えるためにも用いられ得る。特に、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ジェランガム、又はキトサンなどのポリマーは、粘液付着粒子を提供するために用いられ得る。したがって、このような粒子は、局在化されたままとなる傾向があり、これによって、活性剤の放出に対する空間的な制御を増大させる。このような表面改変粒子を含む本発明の組成物は、本発明の他の実施形態を構成する。
【0056】
コロイド組成物では、平均粒度は、通常、0.1〜0.6μmの範囲内であり、例えば光散乱法(例えば、レーザ回折)によって決定される。好ましくは、1%以下の粒子は、0.05〜1.5μmの範囲外であり、より好ましくは、多くとも0.1%は、この範囲外であり、最も好ましくは、(レーザ回折によって)検出不能な割合の粒子は、この範囲外である。非コロイド製剤では、平均粒度は、通常、10〜200μmの範囲内である。
【0057】
本発明の非常に顕著な利点は、さらに、コロイド製剤が、通常、周囲温度で長期間にわたって保存するのに物理的に安定している点である。このような製剤は、相挙動、粒度、及び粒度分布の点で、室温で少なくとも10日間、より典型的には少なくとも3ヶ月、好ましくは少なくとも6ヶ月、より好ましくは12ヶ月以上の期間、実質的に安定していなければならない。これに対して、同様の粒度の既知の分散液は、室温で10日未満安定な粒度を有し得る(上記のKamoらを参照)。これは、成分a+b+cを含む本発明の組成物の特定の利点である。なぜなら、成分cの存在しない成分a+bの組成物は、通常、保存するのにはあまり安定していないからである。
【0058】
粒度分布は、保存期間中の平均粒度の増加が2倍以下である場合に、保存するのには実質的に安定しているとみなされ得る。保存期間中の平均粒度の増加は、好ましくは50%以下、より好ましくは20%以下であるべきである。同様に、保存期間中の半分の高さ(half−height)での分布幅の増加は、好ましくは50%以下、より好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下であるべきである。分布が単峰型である場合、分布は、保存期間中単峰型を維持するのが好ましい。非常に好適な実施形態では、本発明の組成物の粒度分布は、半分の高さにおける平均粒度及び粒度分布幅において、多くとも10%変化し、上記の期間だけ保存しても単峰型を維持する。
【0059】
静脈内又は動脈内投与で用いられるコロイド分散液の場合、粒度分布は、保存及び使用中安定していることが特に重要である。非コロイド粒子の比較的小さい成分さえも含む組成物は、血流に直接投与されると、塞栓又は少なくとも予想不能な放出速度を引き起こし得る。同様に、活性剤の制御された放出は、他の任意の経路によって投与される組成物における信頼性のある粒度分布に依存し得る。医薬用、診断用、及び獣医用製品もまた数ヶ月間保存するのに安定していることが望ましく、さもなければ製品のコスト及び入手性は著しく悪影響を受ける。
【0060】
本発明のさらなる重要且つ非常に好適な実施形態では、本発明の液体組成物は、溶媒混合物として調製され得る。このような液体前駆体は、成分a、b、c、補助溶媒、及び必要に応じて活性剤を含む。活性剤を含む液体前駆体は、例えば、カプセルに充填することが可能であり、GI流体と接触すると非ラメラ粒子が形成される。同様に、液体前駆体は、注射前に流体(例えば、等張食塩水)に分散するためのアンプルで提供され得るか、又は直接注射され、体液と接触するとインビボにおいて非ラメラ粒子を形成し得る。最も重要なことには、本発明者は、成分cの量を変更することによって、タイムウィンドウにおけるインビボ放出期間を、数時間から数週間まで調整することが可能であることを予期せずに発見した。さらに、高い薬物初期濃度を避けることができるため、局部及び全身における副作用の可能性を低減できる。
【0061】
補助溶媒は、一般に、水と混和できるか、又は少なくとも部分的に溶解でき、組成物が用いられる用途において許容可能でなければならない。1〜6個の炭素原子、並びに好ましくは少なくとも1個の酸素置換基及びその水溶性ポリマーを有する有機溶媒が好ましい。補助溶媒の適切なクラスは、アルコール類(ポリオール類を含む)、ケトン類、エステル類、エーテル類、及びそのポリマー類である。典型的な補助溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、プロピレングリコール、PEG400、及びグリセロールが挙げられる。エタノールは、特に適切である。溶媒は、全脂質の約10〜20(重量)%までのレベルで添加され得る。
【0062】
本発明の組成物は、溶媒(水性溶媒など)中で成分a、b、及びcの分散液を調製し、次いで、必要に応じて、分散液を1又は複数サイクルの加熱及び冷却で処理することによって形成され得る。
【0063】
成分a、b、及びcを含む粒子の分散液は、任意の熱処理サイクル前に予備製剤として形成される。この予備製剤は、本実施例、並びにUS5,531,925、WO02/02716、WO02/068561、WO02/066014、及びWO02/068562で示されるような方法等の確立された方法によって調製され、それ自体本発明の組成物であってもよい。これらの引例、及び本明細書で引用されている引例の開示を本明細書では参考のために援用する。このような方法には、
i)両親媒性物質/水性液晶相(水中における成分aなど)を細分化剤(成分b及び/又はcなど)の水溶液を添加し、その混合物を自然に細分化させるか、若しくは、例えば機械的攪拌、ボルテックス、回転ステータ混合、高圧均質化、ミクロ流体化、及び/又は超音波でプロセスを加速させること、又は
ii)a+b+cの混合物(必要に応じて、少なくとも1つの生物活性剤を含む)を溶媒(例えば、水溶液)に添加し、そのまま攪拌することが含まれる。
【0064】
特に液晶相から活性剤を含む分散液を調製し得る他の方法は、組成物を溶解させ、及びその粘度を低下させるのに適した軽アルコール類(例えば、メタノール若しくはエタノール)などの超臨界二酸化炭素(sc−CO2)又は他の処理溶媒における溶解によるものである。特に、バルク立方相又は六方相などの液晶相は、大抵の場合、粘度が高く、取扱い及び混合が困難であり得る。この結果、液晶相がバルク液として調製され、次いで、活性剤が充填される場合には、活性剤の一様な分布を提供するために必要な混合を成し遂げるのが困難になる。圧力/温度図の超臨界領域(通常、室温以上で且つ150バール以上)では、二酸化炭素は、非常に有効な溶媒を形成し、液晶相の粘度を低下させ、効果的な混合及び活性剤の充填を促進させるために用いられ得る。次に、sc−CO2は、(例えば、圧力を低減させることによって)回収され、充填されたバルク相は、上記のように、溶媒内に分散される。したがって、活性剤が充填された分散液晶相(特に本発明の液晶相)の形成におけるsc−CO2の使用は、本発明の他の局面を構成する。
【0065】
本発明の粒子製剤の相挙動及び粒度分布は、1又は複数(好ましくは1)サイクルの加熱及び冷却によって制御され得る。このようなサイクルは、ラメラ粒子を非ラメラ形態に変換し、及び/又は粒度の広がりを低減させるために用いられ得る。粒子の安定性は、この方法によって向上し得る。
【0066】
熱サイクルによって、組成物は、活性剤が存在するかしないかに関係なく、周囲温度まで冷却されると粒子の少なくとも一部を非ラメラ相に変換させるのに十分な温度まで引き上げられる。これには、通常、約90℃〜150℃まで1〜30分間加熱し、次いで周囲温度まで冷却することが伴われる。より典型的には、熱サイクルは、冷却前に100℃〜120℃まで2〜20分間加熱することが伴われる。最も適切な条件は、組成物間で詳細が変化するものの、当業者によって容易に確立されるであろう。
【0067】
熱サイクルプロセスでは、平均粒度は、通常、わずかに増加するが、粒度分布は低減される。
【0068】
このように、他の局面では、本発明はまた、
a)5〜90%の少なくとも1つのホスファチジルコリン成分と、
b)5〜90%の少なくとも1つのジアシルグリセロール成分、少なくとも1つのトコフェロール、若しくはその混合物と、
c)2〜40%の少なくとも1つの非イオン性安定化両親媒性物質と、
を含む混合物を形成し、全ての部がa+b+cの重量の合計に対する重量比であり、前記混合物を水性流体中に分散させることを含む、非ラメラ粒子の形成方法を提供する。この方法は、好ましくは、本明細書に記載されるように、少なくとも1つの加熱及び冷却サイクルを含み、水性流体は、水、注射に適した水溶液、体液、又は本明細書に示されるようなその他の任意の適切な流体であり得る。混合物は、純粋に両親媒性物質a〜cからなり、又は、以下の実施例に例示されるように、活性剤及び/又は水混和性溶媒などの他の成分を含んでいてもよい。方法はまた、必要に応じて、乾燥工程(噴霧乾燥若しくは凍結乾燥など)が伴われ、それによって、組成物は粉末状になる。
【0069】
非ラメラ形態における粒子の存在は、20個を上回る粒子、好ましくは30個を上回る粒子、最も好ましくは少なくとも50個の粒子のサンプルを示すのが好ましい、cryo−透過型電子顕微鏡観察の粒子画像のセットから評価されるのが好ましい。非ラメラ粒子の存在もまた、X線散乱実験によって評価され得る。
【0070】
熱処理方法は、ラメラ粒子を非ラメラ形態に変換するために用いられ得るため、予備製剤粒子が非ラメラであることは重要ではない。したがって、本発明の熱処理方法において用いられる予備製剤を形成するために、脂質を小胞に製剤化するための周知の方法のいずれかが用いられ得る。適切な方法としては、例えば、超音波処理又は(例えば、ポリカーボネート膜を介した)押出し成形が挙げられる。このような方法は、当該技術分野で当業者に周知であろう。
【0071】
予備製剤は、好ましくは、周囲温度で熱力学的に安定な状態が非ラメラ状となるように製剤化されなければならず、これは、一般に、成分a、b、及びc、並びにその割合の特定の選択に依存する場合である。あるいは、非ラメラ形態は、熱力学的に準安定な状態であってもよい。活性剤が存在する場合には、活性剤は、熱サイクル前及び/又は後に粒子に導入され得る。1より多くの熱サイクルが用いられる場合には、活性剤は、サイクル間に導入され得る。活性剤が感熱性である場合(例えば、ペプチド若しくはタンパク質)、活性剤は、好ましくは、熱サイクルが完了した後に導入される。これに対して、活性剤が熱サイクル方法に対して安定している場合には、この方法(活性剤が存在する場合の熱サイクル)は、長期にわたって安定したままである非常に高い充填レベルの活性剤を提供するために用いられ得る。
【0072】
(熱処理された又は次いで熱処理され得る)粒子は、例えば、噴霧乾燥、流動床乾燥、又は凍結乾燥によって、(例えば、限外濾過又は透析によって)濃縮され、及び/又は乾燥され得る。乾燥粒子の場合、乾燥プロセスに次いで、1回の又は頻回の凝集及び造粒工程による粒度拡大が行われ得る。このようにして形成された、濃縮、乾燥、及び/又は凝集された粒子製剤は、そのまま用いられ得るか、又は水和及び/若しくは分散されて活性物質の特にインビボでの送達に用いられるのに適した非ラメラ粒子分散液を生成し得る。このような濃縮、乾燥、及び/又は凝集された粒子製剤、並びにその再懸濁/水和から生じる分散液は、本発明の他の局面を構成する。
【0073】
本発明の乾燥(溶媒が完全に無いというよりは、機能的に乾燥していることを意味する)粉末組成物は、再懸濁され、適切な(特に、水性)流体中のコロイド又は非コロイド分散液を生じ得る。あるいは、乾燥組成物は、本明細書に記載されるように、適切な補助溶媒中に溶解され、投与され、それによって、体液と接触するとインビボにおいて非ラメラ構造を形成し得る。本発明のこれらの局面は、筋肉及び/又は皮下注射に特に適しており、活性剤が数日又は数週間の期間にわたって徐々に放出され得る永続的な非ラメラ構造を形成し得る。このような徐放製剤は、本発明の任意の適切な組成物から生成され得るが、特に、再懸濁粉末からの生成に適している。
【0074】
半固体(例えば、ゲル、蝋質固体)組成物は、本発明の組成物においてポリマー剤を用いることによって調製され得る。このような半固体前駆体は、本明細書に記載されるような本発明の組成物、さらに、少なくとも1つのポリマー凝固剤を含む。通常、このような組成物は、成分a、b、c、ポリマー剤、必要に応じて補助溶媒、及び必要に応じて活性剤を含む。半固体前駆体は、通常、熱によって液化可能であり、例えば、カプセルに充填、成形などされ得る。本発明の半固体組成物は、再懸濁され、適切な(特に水性)流体においてコロイド又は非コロイド状の非ラメラ粒子分散液を生じ得る。あるいは、非ラメラ構造は、水性体液(例えば、GI流体)と接触すると形成される。ポリマー凝固剤は、好ましくは35℃と100℃との間、より好ましくは40℃〜95℃、最も好ましくは45℃〜90℃の融点を有する生物学的に許容可能なポリマーであるのが好ましい。特に好ましいポリマー剤は、950〜35000、最も好ましくは1000〜10,000の範囲のモル質量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。PEG4000が非常に好適な例である。
【0075】
本発明の製剤は、本発明の少なくとも1つの組成物と、少なくとも1つの適切な担体又は賦形剤とを含む。製剤が医薬製剤である場合には、担体又は賦形剤は、製薬上許容可能である。
【0076】
組成物は、水性担体(例えば、注射用の水)などの従来の医薬担体、希釈剤、及び/又は賦形剤、バインダー、充填剤、安定剤、重量オスモル濃度調整剤、酸化防止剤、発泡剤(effervescing agent)、pH緩衝剤及び調節剤、粘度調節剤、甘味料、滑剤、乳化剤、香味料、塗布剤(例えば、胃液耐性コーティング)等を用いて製剤化され得る。
【0077】
本発明の組成物及び少なくとも1つの製薬上許容可能な担体及び/又は希釈剤を含む製剤は、液体の懸濁液、粉剤、錠剤、カプセル剤、コーティングされたカプセル剤、コーティングされた錠剤、エアロゾル、坐薬、ドロップ、クリーム、経皮パッチ、噴霧剤等を含む任意の公知の剤形で製剤化され得る。本発明の組成物が乾燥している場合には、投与前に適切な媒質(純水又は生理学的重量オスモル濃度の溶液など)に再懸濁される適切な剤形(粉末など)で製剤化されてもよい。製剤及び医薬組成物は、経口、目、吸入、非経口(例えば、筋肉、皮下若しくは静脈注射又は点滴により)、局所、直腸などを含む任意の適切な方法で投与され得る。本発明は、(粒度及び相構造における)高い安定性と、非常に低い非経口毒性との顕著な組み合わせを提供するため、非経口組成物が好ましい。しかし、局所組成物もまた非常に効果的であり、ポンプ噴霧剤又は加圧噴霧分散液は、皮膚、鼻、及び口腔内(特に、頬側)の適用に使用され得る。濃縮した分散液又は凝固坐薬としての直腸投与もまた非常適切である。
【0078】
炎症又は痛みの治療に関連する本発明の製剤、組成物、及び方法は、体腔内の炎症及び/又は痛みに対処するために特に適切である。したがって、体腔への投与は、この点において非常に適切であり、治療される腔に適した方法によって実施される。例えば、口内洗浄剤が経口又は頬面窩洞に適し得るのに対して、GI管の他の部分は、分散液及び乾燥予備製剤、並びに浣腸剤又は坐薬などの直腸製剤を含む経口製剤によって適切に治療され得る。リンス液及び膣坐薬は同様に膣への送達に適している。
【0079】
本発明の組成物は、非ラメラ相の高度な生体付着性及び結果として生じる長期間にわたる効果のため、体腔における炎症を治療するのに非常に適している。構成成分の固有の無痛化及び高度な生体適合特性だけでなく、非ラメラ粒子を含むか又は分散させ、適用部位の周囲に容易に搬送及び分配させる製剤の能力もまた重要である。
【0080】
したがって、本発明の治療及び対応する使用方法は、例えば、創傷又は擦傷によって生じた炎症性疾患及び炎症に最も適している。少なくとも1つの体腔に影響を与える炎症性の疾患に特に適している。GI管の疾患、特に、クローン病及び潰瘍性結腸炎を含む炎症性の腸疾患には、本発明の組成物による治療が非常に適している。同様に、手術中の体腔への適用もまた、製剤の特性を利用するために用いられ得る。したがって、手術から生じるか又は手術中に露出された炎症を和らげるため、及び手術によって処理された組織が望ましくない部位に「付着」し、及び/又は癒着/ブリッジ(bridges)を形成する性質を低減させるために、製剤は、噴霧又は塗布によって直接適用され得る。
【0081】
本発明の組成物の特定の利点は、特に、非経口投与されたときに、毒性が著しく低いことである。特に、本組成物は、静脈注射によって投与されると、著しく低い急性毒性を示し得る。したがって、好適な局面では、本発明は、体重1kg当たり少なくとも200mg、好ましくは少なくとも600mg、より好ましくは少なくとも1gのレベルの割合で静脈注射により急性毒性を示さない組成物を提供する。
【0082】
上記のように、本発明の組成物のさらに重要な利点は、これらの組成物が“短期間”デポー組成物を生成するために用いられ得ることである。特に、活性剤の即時放出製剤は、一般的であり、コーティング等は、約12時間までの期間にわたって活性剤を放出する製剤を提供するためにときどき用いられ得る。これに対して、長期にわたって作用する“デポー”注射は、通常、浸透圧によって作用する、ポリラクテートコグリコレート又は埋め込み物理的ポンプなどの、ポリマーの溶液又は懸濁液を含む。これらの方法は、通常、1ヶ月以上の期間にわたる放出を提供し、通常、複雑な調製及び/又は投与を必要とする。これに対して、例えば、術後の痛覚脱失又は一定期間にわたる抗生物質による治療に対して必要とされ得る1〜30日の期間、特に1〜14日の期間、及び最も好ましくは2〜7日の期間にわたって活性剤を放出するための方法はほとんどない。本発明の組成物は、特定組成物によって提供される以下の利点特性を1つ又はそれ以上有する。
【0083】
本発明の組成物は、調製がほとんど又は全く必要ない即座に注射できる組成物を提供する。
【0084】
本発明の組成物は、デポー製品に対して通常必要である長期にわたる調製及び投与を必要としない。
【0085】
本発明の組成物は、組成物を含む予め充填された注射デバイスから直接注射され得る(これもまた、本発明の局面を構成する)。
【0086】
本発明の組成物は、上記のように、貯蔵が安定している。
【0087】
本発明の組成物は、微小口径の針(例えば、20ゲージ未満、好ましくは23ゲージ以下、より好ましくは27ゲージ以下)を通して注射され得る。
【0088】
本発明の組成物は、筋肉内又は皮下又はキャビティ内で効果的に注射され得る。
【0089】
(上記のように)高レベルの活性剤を導入してもよい。
【0090】
特に風味が添えられた短期間持続デポー剤は、皮下又は筋肉注射用のGLP−1又は類似体又はその誘導体を(好ましくは、0.1〜20mgの投与量で)有する本発明の組成物を含むものである。このようなデポー剤は、2〜14日間、好ましくは、5〜10日間にわたって、GLP−1類似体を持続的に放出することができる。このような組成物は、糖尿病(特に、タイプII)の治療、又はこのように使用するための薬剤の製造において最も適切に使用されるであろう。
【0091】
グルカゴン様ペプチド(GLP)−1は、栄養素の摂取、並びに神経及び内分泌物の刺激に応答して、腸L細胞から放出され循環する効力の強いブドウ糖制御(glucoregulatory)ホルモンである。構造的には、GLP−1は、異なる種の間で高度に保存された配列を有する、4.2KDaのMWを有する37アミノ酸ペプチドである。GLP−1は、グルコース刺激インスリンの分泌及び生合成の増強、グルカゴン分泌の抑制、胃の内容物排出、並びに食物摂取を含む作用を通したグルコース恒常性の改変に関与する。GLP−1がインスリン分泌を刺激し、グルカゴン放出を阻害する能力は、グルコースに依存するため、GLP−1投与による低血糖のリスクは低い。GLP−1はまた、β細胞増殖及び再生の刺激、並びにβ細胞アポートシスの阻害を含むメカニズムを通した糖尿病の前臨床モデルにおけるβ細胞質量を増加させる。動物及びヒトの両方における研究により、GLP−1が循環系における保護的な役割も果たし得ることが示される。
【0092】
GLP−1の組み合わせ作用により、タイプ2糖尿病を治療するための治療薬としてこのペプチドを用いることに対する関心がかなり高まった。しかし、未変性(native)のGLP−1の治療能力は、非常に短いプラズマ半減期(2分未満)によって制限される。これは、タンパク質分解酵素ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)−IV及び腎クリアランスによる迅速な不活性化によるものである。この結果、エクセナチド(Byetta,Amylin−Lilly)、リラグルチド(Novo Nordisk)、CJC−1131(ConjuChem)、AVE010(Zealand Pharma−Sanofi−Aventis)、LY548806(Lilly)、及びTH−0318(Thera Technologies)を含む、長期のわたって作用するDPP−IV耐性GLP−1類似体は、臨床使用のために開発された。これらは全て、1日1回又は2回投与される製品であり、放出が制御された(1週間)エクセナチド製品(Alkermes−Amylin−Lilly)は、現在臨床検査中である。これらのGLP−1擬似物は、同様の親和性を有するGLP−1レセプターに結合し、未変性のGLP−1と同一の生物作用を生じるが、DPP−IV媒介不活性化及び腎クリアランスに耐性を有する。これらの化合物は、インビボにおいてより長期にわたってより持続したGLP−1様活性を発揮することが可能である。未変性のGLP−1の作用を延ばすための他の治療アプローチとしては、DPP−IV活性を阻害してGLP−1低下を防止することが挙げられる。DPP−IV活性を阻害するいくつかの経口活性剤は、タイプ2糖尿病の治療について評価されている。
【0093】
さらに他の局面では、本発明は、懸濁液の形態である本発明の組成物を調製するためのキットを提供する。このキットは、粉剤の形態である本発明の組成物を少なくとも1つ、並びに、必要に応じて且つ好ましくは、水性流体に粉剤を懸濁させるための説明書を含む。
【0094】
以下、本発明を以下の非制限的な実施例及び添付の図面を参照することによってされらに説明する。
【0095】
略語
SPC=Lipoid GmbH(ドイツ)から入手できる大豆ホスファチジルコリン
GDO=Danisco(デンマーク)から入手できるグリセロールジオレエート
P80=Apoteket(スウェーデン)から入手できるポリソルベート80
ソルトール(登録商標)HS15=BASF(ドイツ)から入手できるマクロゴール15ヒドロキシステアレート
Cryo−TEM=低温透過型電子顕微鏡
PPF=Sigma−Aldrich(スウェーデン)から入手できるプロポフォール
EPC=Lipoid GmbH(ドイツ)から入手できる卵ホスファチジルコリン
DOPE−PEG(5000)=Avanti Polar Lipids(米国)から入手できるジオレオイルホスファチジルエタノールアミンポリ(エチレングリコール)5000
CMC=Sigma−Aldrich(スウェーデン)から入手できるカルボキシメチルセルロース(ナトリウム塩)
PVP=ISP(米国)から入手できるポリビニルピロリドン
PEG=Merck(米国)から入手できるポリエチレングリコール
【実施例1】
【0096】
非ラメラ逆相ナノ粒子
1.1−非ラメラ分散液の調製
2.125gのSPC/GDO(40/60wt/wt)混合物(エタノール中に脂質を混合し、その後溶媒を蒸発させることによって形成される)と、0.3826gのP80とを混合することによって、非ラメラ粒子(80重量%より多くの両親媒性物質)及びラメラ粒子(20重量%より少量の両親媒性物質)の分散液を形成した。成分を70℃で5分間加熱し、ボルテックスすることによって、分子混合した。均質な溶融脂質(2.012g)を38.01gの脱イオン水に滴状添加した。得られた粗分散液を振盪テーブル(350rpm)上に置き、24時間振盪させ、混濁した均質分散液を得た。
【0097】
レーザ回折(コールターLS230)を用いて粒度を測定した。粒度分布は狭く、平均粒度95nmの単峰型であることが判明した。
【0098】
1.2−熱処理
熱処理の任意のサイクルを実施例1.1で調製された分散液に対して実施した。
【0099】
実施例1.1で生成された分散液の試料(25mL)をオートクレーブにかけ(125℃、20分間)、室温まで冷却した。粒度分布は狭くなり、平均粒度は137nmまで増加し、Cryo−TEMで検査をすると、依然として高い割合の粒子が非ラメラ特性を示した。熱処理前後の粒度分布は、図1に示される。
成分:
a SPC
b GDO
c P80
【0100】
【表1】

【実施例2】
【0101】
さらなる組成物
さらに高濃度の安定化剤を添加することによって得られる効果を、実施例1.1及び1.2の方法で第2の組成物を調製することによって検討した。SPC及びGDO(40/60wt/wt)(2.017g)及びP80(0.514g)の溶液を70℃で5分間加熱し、ボルテックスすることにより分子混合した。均質な溶融脂質(2.006g)を38.00gの脱イオン水に滴状添加した。得られた粗分散液を振盪テーブル上に置き、24時間振盪させ、混濁した均質分散液を得た。その後、分散液を実施例1.2に従って熱処理した。
【0102】
熱処理前後の粒度分布は狭く、平均粒度がそれぞれ88及び129nmの単峰型であることが判明した。図2に示されるように、熱処理によって粒度分布も狭くなった。図3に示されるように、熱処理前後に、試料からCryo−TEM画像を得た。Cryo−TEMの結果は、多重接続二分子層の無秩序な内部構造を含む均一な粒度の非ラメラナノ粒子が形成されていることを明らかに証明している。熱処理後に観察される粒子は、熱処理前に観察される粒子と比較して、より高密度のコアを示している。
【0103】
成分
a SPC
b GDO
c P80
【0104】
【表2】

【0105】
この特定の組成物もまた、非ラメラ相分散の液体前駆体を調製するのに非常に適している。同じ成分を同じ比で用いた。成分を70℃で5分間加熱し、ボルテックスすることによって、分子混合した。液体前駆体製剤を10重量%の補助溶媒(例えば、エタノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、プロピレングリコール、PEG400、グリセロール)で強化し、その後、ゆるやかに振盪させながら水(5重量%の両親媒性物質)に分散させ、非ラメラ相粒子の混濁した白色分散液を得た。
【実施例3】
【0106】
さらなる組成物
他のタイプの安定化剤を添加することによって得られる効果を、実施例1.1及び1.2の方法で他の組成物を調製することによって検討した。SPC及びGDO(40/60wt/wt)(2.004g)及びソルトール(登録商標)HS15(0.516g)の溶液を70℃で5分間加熱し、ボルテックスすることによって、分子混合した。均質な溶融脂質(2.042g)を38.00gの脱イオン水に滴状添加した。得られた粗分散液を振盪テーブル上に置き、24時間振盪させ、十分に分散していないマクロ粒子をいくつか含む混濁した分散液を得た。均質な分散液を得るために、5000PSIで動作するミクロ流動化装置を用いて室温で試料を均質化した。試料をホモジナイザーに5回通過させて乳状の均質な分散液を得た。その後、分散液を実施例1.2に従って熱処理した。
【0107】
熱処理前後に得られる粒度分布を図4に示す。この粒度分布は、熱処理工程により、平均粒度343nmの単峰型の狭い分布となることを示している。熱処理後のCryo−TEM実験では、図5に示されるような高密度の非ラメラ内部構造を有する分子が示された。
【0108】
成分:
a SPC
b GDO
c ソルトール(登録商標)HS15
【0109】
【表3】

【実施例4】
【0110】
さらなる組成物:濃縮した非ラメラ粒子分散液
濃縮した非ラメラ粒子分散液を、実施例1.1及び1.2の方法によって調製した。SPC及びGDO(40/60wt/wt)(4.7958g)及びP80(0.8152g)の溶液を70℃で5分間加熱し、ボルテックスすることによって、分子混合した。均質な溶融脂質(5.001g)を44.999gの脱イオン水に滴状添加した。得られた粗分散液を振盪テーブル上に置き、48時間(350rpmで)振盪させ、混濁した均質分散液を得た。その後、分散液を実施例1.2に従って熱処理した。
【0111】
図6に示されるように、熱処理前後に得られる粒度分布は狭く、平均粒度がそれぞれ103及び174nmの単峰型であることが判明した。
【0112】
成分:
a SPC
b GDO
c P80
【0113】
【表4】

【実施例5】
【0114】
保存安定性
実施例1.1及び1.2の方法に従って非ラメラ分散液を調製した。分散液の組成を以下の表に表示する。分散液を25℃で保存し、粒度分布を一定の間隔で測定した。粒度分布は、少なくとも2ヶ月の保存期間中、元の粒度分布と合致し、優れたコロイド及び保存安定性を有することが判明した。
【0115】
保存中、非ラメラ粒子の形態の変化は、(cryo−TEMによって)観察され得なかった。元の分散液の粒度分布及び2ヶ月保存後の粒度分布を図7(SPC/GDO/P80=34/51/15wt%)及び図8(SPC/GDO/P80=322/48/20wt%)に示す。観察され得るように元の分散液及び保存された分散液の粒度分布は実質的に同じである。
【0116】
【表5】

【実施例6】
【0117】
活性剤充填
SPC(32重量%の両親媒性物質)、GDO(48重量%の両親媒性物質)、及びP80(20%の両親媒性物質)を含む組成物と、PPFとを以下の表に示される割合で混合することによって、麻酔活性剤PPFを含有する非ラメラ粒子分散液を形成した。成分を70℃で5分間加熱し、ボルテックスすることによって、分子混合した。均質な脂質/PPF融液を(総製剤の重量に基づき)2.5%のグリセロールを含む水溶液に滴状添加した。得られた粗分散液を振盪テーブル(350rpm)上に置き、12時間振盪させ、均質分散液を得た。その後、分散液を実施例1.2の方法で熱処理した。図9に示されるように、得られた分散液の粒度分布は狭く、平均粒度140〜150nmの単峰型であった。PPFが充填された分散液は、少なくとも2ヶ月室温で保存するのに安定していることが判明した。
【0118】
【表6】

【実施例7】
【0119】
非ラメラ粒子に充填されるプロポフォールの薬物動態学及び薬物動力学
PPFを含有する非ラメラ粒子の分散液を、実施例6と同じ組成物を用い、実施例6と同じ方法で調製した。但し、この場合、PPFの濃度は、10mg/mLであり、両親媒性物質の濃度は、25mg/mL(PPF:両親媒性物質=1:2.5wt/wt)であった。ラット(雄のSPF Sprague−Dawleyのラット(Mol:SPRD HAN,M&B Taconic,Lille Skensved,デンマーク))における麻酔期間について、非ラメラ粒子PPF分散液と、参照用の市販のプロポフォールフレゼニウスカビ(Fresenius Kabi)エマルジョン製剤(10mgのPPF/mL)とを比較した。動物に、体重1kg当たり10mgのPPFを1回だけボーラス静脈注射した(麻酔の誘導は、両ケースにおいて注射の直後発生した)。薬力学パラメーターについては、回復時間(立ち上がろうとすることによって示される復原(righting)応答時間)を記録した。この結果を以下の表にまとめる。表は、非ラメラ粒子PPF分散液が、必要な麻酔効果を高効率で維持することを示している。
【0120】
【表7】

【0121】
血液試料(0.3mL)を投与前(投与の1日前)、投与から5分後、15分後、30分後、1時間後、3時間後、6時間後、及び24時間後に採取した。ラットの血漿におけるプロポフォール濃度を、当業者に公知の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法によって決定した。プロポフォールの経時的な血漿濃度は、基準製剤及び非ラメラ粒子プロポフォール製剤のそれぞれについて同様であった(図10)。末期の半減期(terminal half−life)(thalf)、平均滞留時間(MRT)、総クリアランス(CL)、時間0における外挿血漿濃度(C0)、及び曲線下総面積(AUC)を、非コンパートメント薬物動態学的(PK)方法によって計算した。AUCを、Clastから無限大までの外挿法を用いて台形公式によって計算した。
【0122】
【表8】

【0123】
非ラメラプロポフォール製剤におけるプロポフォールを投与することによって、血漿中の循環時間が増加するであろうと仮定された。観察されたPKパラメーターは、プロポフォールの増加が実際に達成されたことを示唆していた。これは、基準製品と比較して約3倍増加したMRT(即ち、薬物化合物の単一分子が循環に属する時間)を分析する際に最も明らかであった。プロポフォールのインビボにおける運命を反映する他のパラメーター、即ち、非ラメラ粒子プロポフォール製剤についてのthalfの増加及びCLの減少もまた、プロポフォールが、より長い時間、血漿で維持されていたことを示していた(相違は満足に証明されなかったが、傾向は明らかであった)。また、プロポフォールへの曝露を含意する非ラメラ粒子プロポフォール製剤についてのAUCの増加は、同じ投与量で、基準製剤よりもこの製剤の方が大きかった。すべての観察結果は、非ラメラ粒子プロポフォール製剤が、活性成分の循環時間を向上させることが可能であることを示唆している。
【実施例8】
【0124】
急性毒性テスト
以下の成分を用いて、非ラメラ分散液を実施例1.1及び1.2の方法によって調製した。
a)SPC
b)GDO
c)P80
10重量%の総両親媒性物質の濃度に対して重量比a:b:c=34:51:15で水中に分散されている。塩化ナトリウム(NaCl)を分散液に添加して9mgのNaCl/mLを達成した。その後、ラットのモデルに静脈注射した後の急性毒性について、分散液をテストした。
【0125】
投与量依存調査において、非ラメラ分散液は、10重量%の両親媒性分散液の10mL/kgまでの投与量(1kg当たり1gの両親媒性物質)で、急性毒性を示さなかった。
【実施例9】
【0126】
親水性水溶液着色料のカプセル化
水溶性の高い着色料であるパテントブルーをカプセル化する非ラメラ粒子を以下のように調製した。3.0gのSPC/GDO/P80(34/51/15重量%)の製剤を実施例1に従って調製した。この溶液に、0.15gのエタノールを添加し、製剤をボルテックス混合によって混合した。0.20gのパテントブルー(20mg/mL)の水溶液を3.0gのSPC/GDO/P80/EtOH製剤に添加した。得られた試料をボルテックス混合によって混合し、均質な低粘度の製剤を生成した。2.55gのこの製剤を22.5gの脱イオン水に添加し、得られた製剤を350rpmで18時間振盪させて青色に着色した均質な分散液を得た。分散液を限外濾過(30000MWCOフィルター)後、カプセル化効率を元の分散液の吸光度(640nm)から濾液(カプセル化されていない画分)の吸光度を差し引き、その差を元の分散液の吸光度によって除算して測定した(すべての吸光度測定の前にTritonX100(脱イオン水中10重量%)を添加して透明な溶液を得た)。
【0127】
カプセル化効率は、85%とであることが判明し、これは、水溶性活性物質をカプセル化する非ラメラ粒子の能力が高いことを示している。
【実施例10】
【0128】
親水性水溶性ペプチドのカプセル化
水溶性ペプチドであるオクトレオチドをカプセル化する非ラメラ粒子を以下のようにして調製した。1.0gのSPC/GDO/P80(34/51/15重量%)の製剤を実施例1に従って調製した。この溶液に、0.10gのエタノールを添加し、製剤をボルテックス混合によって混合した。その後、0.054gのオクトレオチド(35.5mg/mL)の水溶液を添加し、得られた試料をボルテックス混合によって混合して低粘度の均質な製剤を生成した。1.0gのこの製剤を9.0gの生理的食塩水(9mgのNaCl/mL)に添加し、得られた製剤を350rpmで18時間振盪させて均質な分散液(平均粒度:約100nm)を得た。カプセル化されたオクトレオチドを2.5mLの分散液をセファデックスG25(PD−10)カラムに通し、脂質画分及び遊離したオクトレオチド画分を別個のガラス瓶に収集することによってカプセル化されていないペプチドから分離した。TritonX100を添加後、HPLCによって脂質画分及び遊離オクトレオチド画分の濃度を分析した。
【0129】
カプセル化効率は、71%であることが判明し、繰り返すが、これは、水溶性活性物質をカプセル化する非ラメラ粒子の能力が高いことを示している。
【実施例11】
【0130】
SPC/トコフェロール混合物からの非ラメラ粒子
SPC、α−トコフェロール、及びエタノール(27/63/10重量%)(1.34g)の溶液をd−αトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS)(0.30g)と混合した。試料を40℃で15分間加熱し、ボルテックスすることによって、分子混合した。均質な脂質融液(1.0g)を19gの脱イオン水に滴状添加した。得られた粗分散液を振盪テーブル上に置き、20時間(350rpm)振盪させ、混濁した均質な非ラメラ粒子分散液を得た。
【0131】
図11に示されるように、粒度分布は狭く、平均粒度128nmの単峰型であることが判明した。
【0132】
その後、分散液を実施例1.2に従って熱処理し、熱処理された試料のcryo−TEM画像は、無秩序な表面構造及び高密度の非ラメラ内部構造を含む非ラメラ粒子を示した。
【実施例12】
【0133】
SPCの代替としてEPCの使用
EPC(1.539g)、GDO(2.302g)、P80(0.685g)をエタノール(0.501g)と混合した。試料を3時間にわたるボルテックス混合及び転倒型回転によって混合し、均質且つ透明な液体を得た。液体製剤(1.665g)を滅菌水(28.335g)に添加し、得られた粗分散液を振盪テーブルにおいて400rpmで18時間混合した。図12に示されるように、得られた分散液は均質であり、粒度分布は狭く、平均粒度114nmの単峰型であることが判明した。
【0134】
Cryo−TEMの結果は、多重接続二分子層の無秩序な表面構造及び高密度の非ラメラ内部構造を含む均一な粒度の非ラメラナノ粒子が形成されていることを示した。
【実施例13】
【0135】
組成物のロバスト性
非ラメラナノ粒子の容易な製造に対する、脂質組成物の変化の影響を調べるために、SPC/GDOの比が変化し、P80の比が一定である試料を調製した。48時間振盪させた試料#1128以外は実施例13に記載されるように、成分をエタノールと混合し、その後、滅菌水に分散させた。試料の最終組成、振盪(400rpm)後の平均粒度及び多分散性指数(PI)、並びに(実施例1.2による)加熱処理後の平均粒度及び多分散性指数を以下の表に示す。
【0136】
【表9】

【0137】
上記の表に示される結果から、非ラメラナノ粒子系は、SPC/GDO比が変化した場合の平均粒度及び粒度分布に対して高いロバスト性を有する。熱処理もまた、すべての場合において、粒度分布を狭く(PIより低く)することが観察され得る。熱処理前後の試料#1128及び#1131のCryo−TEM画像をそれぞれ図13及び図14に示し、これらの画像は、高密度の非ラメラ内部コア構造を囲む多重接続二分子層の無秩序な表面構造を有する非ラメラ粒子を示す。
【実施例14】
【0138】
液体非ラメラ粒子前駆体の調製
SPC(1.45g)、GDO(2.15g)、P80(0.90g)、及びEtOH(0.50g)を混合することによって液体非ラメラ粒子前駆体を調製し、5時間にわたる転倒型回転によって、均質且つ透明な脂質を得た。
【0139】
2.0gの上記の液体製剤を0.198gの滅菌水に添加することによって第2の製剤を調製し、1分間ボルテックス混合することによって、透明且つ均質な液体を得た。液体非ラメラ粒子前駆体の正確な組成を以下の表に示す。
【0140】
【表10】

【0141】
液体前駆体は、27G針を有する注射器を用いて容易に分散されるか、例えば、ポンプ噴霧デバイスを用いて噴霧された。
【実施例15】
【0142】
皮下(s.c.)注射後に液体非ラメラ粒子前駆体に充填されるオクトレオチド(OCT)の薬物動態
以下の表に示される割合(製剤1g当たり0.6mgのオクトレオチド)で、SPC、GDO、P80、EtOH、及びOCTを混合することによって、実施例15に記載されるように、オクトレオチドを含む液体非ラメラ粒子前駆体を調製した。得られた試料を、転倒型回転によって混合し、透明且つ均質な液体製剤を得た。
【0143】
【表11】

【0144】
液体非ラメラ粒子前駆体製剤を、体重1kg当たり0.6mgのOCTの投与量に対応する1mL/kgの投与量で、ラットに皮下注射した。血液試料(0.3mL)を、2022OCT−Cについては、投与前(投与の1日前)、投与から10分後、30分後、1時間後、3時間後、6時間後、24時間後、及び48時間後、並びに2022OCT−Eについては、投与前、投与から1時間後、6時間後、24時間後、48時間後、120時間後、及び168時間後に採取した。
【0145】
すべての血漿試料におけるOCTの含有量を、競合イムノアッセイによって測定した。簡単に言うと、マイクロプレートに塗布されたOCTペプチドは、血漿試料中にOCTが存在する溶液中で、抗体を求めて競合する。溶液中に残存する抗体の画分を除去し、固定化されたペプチドに結合された画分を定量化し、得られる信号は、試料中のOCTの濃度と反比例する。
【0146】
液体非ラメラ粒子前駆体に製剤化された場合のOCTの薬物動態を、OCTの生理食塩水溶液の薬物動態と比較した。図15の結果は、非ラメラ粒子前駆体製剤が、初期においては、低い血漿マレベル(低い「バースト(burst)」)のOCT(Cmaxは、生理食塩水の場合と比較して、約15分の1に減少)を有し、2022OCT−Cについては、少なくとも48時間まで、2022OCT−Eについては少なくとも168時間(1週間)までの放出期間(又は徐放性)を有することを示している。
【実施例16】
【0147】
皮下注射後に生理食塩水に分散された非ラメラ粒子に充填されるOCTの薬物動態
SPC(0.918g)、GDO(1.377g)、P80(0.405g)、及びEtOH(0.30g)をガラス瓶中で混合し、15時間にわたる転倒型回転によって、液体脂質保存溶液を調製した。OCT(5mg)を滅菌水(0.095g)に溶解させ、2.2gの脂質保存溶液をオクトレオチド水溶液に添加した。得られた混合物を、試料が均質になるまでボルテックスした。脂質/オクトレオチド混合物(1.85g)を生理食塩水(18.15g)に添加し、得られた分散液(0.2mgのOCT/mL)を振盪テーブルにおいて400rpmで15時間混合した。その後、分散液を滅菌濾過(0.22μmのフィルター)で滅菌した。得られた分散液は、混濁から乳状であり、レーザ回折で測定したところ、平均粒度約100nmで、均質であった。
【0148】
液体非ラメラ粒子前駆体製剤を、体重1kg当たり0.6mgのOCTの投与量に対応する3mL/kgの投与量で、ラットに皮下注射した。血液試料(0.3mL)を投与前(投与の1日前)、投与から10分後、30分後、1時間後、3時間後、6時間後、24時間後、及び48時間後に採取した。
【0149】
OCTの血漿濃度を実施例16に記載されるように測定した。
【0150】
生理食塩水に分散された非ラメラ粒子に製剤化された場合のOCTの薬物動態を、OCTの生理食塩水溶液の薬物動態と比較した。図16の結果は、非ラメラ粒子分散液が、初期において著しくプラズマレベルが低下したOCT(Cmaxは、生理食塩水の場合と比較して、約2.5分の1に減少)を有し、少なくとも24時間までの放出期間(又は徐放性)を有することを示している。
【実施例17】
【0151】
注射(例えば、静脈(i.v.)、皮下、又は筋肉注射)用の非ラメラ粒子に充填されたOCTのさらなる組成物
OCT(0.2mgのOCT/mL)を含む非ラメラ粒子分散液を、実施例17に記載されるように、生理食塩水中で調製した。得られた分散液は、混濁から乳状であり、レーザ回折で測定したところ、平均粒度約100nmで、均質であった。製剤の組成を以下の表に示す。
【0152】
【表12】

【0153】
非ラメラ粒子分散液は、31G針を有する注射器を用いて容易に分散されるか、例えば、ポンプ噴霧デバイスを用いて噴霧された。
【実施例18】
【0154】
液体非ラメラ粒子前駆体におけるサーモンカルシトニン(sCT)の製剤化
以下の表に示される割合(製剤1g当たり0.5mgのsCT)で、SPC、GDO、P80、EtOH、及びsCTを混合することによって、実施例14に記載されるように、sCTを含む液体非ラメラ粒子前駆体を調製した。得られた試料を、転倒型回転によって混合し、透明且つ均質な液体製剤を得た。
【0155】
【表13】

【実施例19】
【0156】
OCTを含む非ラメラ粒子の凍結乾燥粉末前駆体
SPC(0.3046g)、GDO(0.4570g)、P80(0.1344g)、EtOH(0.100g)、及びOCT(0.004g)を混合することによって液体非ラメラ粒子前駆体を調製し、15時間にわたる転倒型回転によって、透明な均質液体を得た。OCTを含む液体前駆体(0.50g)を9.5gの滅菌水に添加し、得られた分散液を振盪テーブルにおいて400rpmで20時間混合し、製剤1g当たり0.2mgのOCTを含む均質な非ラメラ粒子分散液を得た。非ラメラ粒子分散液(9.0g)に対して、9.0gの1重量%のCMC水溶液及び18gの5重量%のPVP溶液を添加した。得られた混合物を丸底フラスコに添加し、EtOH/ドライアイス混合物上で凍結させ、一晩凍結乾燥させた。得られた粉末は、白色から淡黄色の乾燥状態(dry consistency)であり、2重量%未満の残留水を含み、OCT含有量は、粉末1g当たり1.3mgであった。粉末は、ボルテックス混合によって生理食塩水中に容易に再分散され、乳状の白色(混濁)非ラメラ粒子分散液を得た。
【実施例20】
【0157】
非ラメラ粒子の噴霧乾燥
実施例1.1に記載されるように調製された6gのSPC/GDO/P80(31/54/15重量%)の予め形成された非ラメラ粒子分散液(5重量%の両親媒性物質)と、12gの1重量%のCMC水溶液及び12gの5重量%のPVP水溶液とを混合することによって、噴霧乾燥された非ラメラ粒子前駆体を得た。得られた混合物は、BUCHIミニスプレードライヤー B−290を用いて噴霧乾燥し、乾燥状態で、且つ、2重量%未満の残留水を含む白色から淡黄色の粉末を得た。噴霧乾燥された粉末は、ボルテックス混合によって生理食塩水中に容易に再分散され、乳状から白色(混濁)の非ラメラ粒子分散液を得た。
【実施例21】
【0158】
インスリンを含む液体非ラメラ粒子前駆体及び非ラメラ粒子分散液
SPC(0.918g)、GDO(1.377g)、P80(0.574g)、及びEtOH(0.319g)をガラス瓶中で混合し、15時間にわたる転倒型回転によって、液体脂質保存溶液を調製した。インスリン(10mg)を滅菌水(0.190g)に添加し、1.80gの脂質保存溶液をインスリン水溶液(製剤1g当たり5mgのインスリン)に添加した。得られた混合物を試料が均質になるまでボルテックスした。
【0159】
上記のように調製された脂質/インスリン混合物(1.85g)を滅菌水(18.15g)に添加し、得られた分散液(1mL当たり0.46mgのインスリン)を振盪テーブルにおいて400rpmで15時間混合した。得られた分散液は、混濁から乳状で、且つ均質であった。
【実施例22】
【0160】
GLP−1を含む液体非ラメラ粒子前駆体及び非ラメラ粒子分散液
SPC(0.918g)、GDO(1.377g)、P80(0.574g)、及びEtOH(0.319g)をガラス瓶中で混合し、15時間にわたる転倒型回転によって、液体脂質保存溶液を調製した。GLP−1(10mg)を滅菌水(0.190g)に添加し、1.80gの脂質保存溶液をインスリン水溶液(製剤1g当たり5mgのインスリン)に添加した。得られた混合物を試料が均質になるまでボルテックスした。
【0161】
上記のように調製された脂質/GLP−1混合物(1.85g)を滅菌水(18.15g)に添加し、得られた分散液(1mL当たり0.46mgのGLP−1)を振盪テーブルにおいて400rpmで15時間混合した。得られた分散液は混濁から乳状で、且つ均質であった。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は、熱処理前及び熱処理後における分散された非ラメラSPC/GDO/P80試料の粒度分布を示す図である。
【図2】図2は、熱処理前及び熱処理後における分散された非ラメラSPC/GDO/P80試料の粒度分布を示す図である。
【図3】図3は、熱処理前及び熱処理後における分散された非ラメラSPC/GDO/P80試料のcryo−透過型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図4】図4は、熱処理前及び熱処理後における分散された非ラメラSPC/GDO/ソルトール(登録商標)HS15試料の粒度分布を示す図である。
【図5】図5は、熱処理後における分散されたSPC/GDO/ソルトール(登録商標)HS15試料のcryo−透過型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図6】図6は、熱処理前及び熱処理後における濃縮され分散された非ラメラSPC/GDO/P80試料の粒度分布を示す図である。
【図7】図7は、調製し、25℃で2ヶ月間保存した後の分散された非ラメラSPC/GDO/P80試料の粒度分布を示す図である。
【図8】図8は、調製し、25℃で2ヶ月間保存した後の分散された非ラメラSPC/GDO/P80試料の粒度分布を示す図である。
【図9】図9は、2つの異なるプロポフォール対両親媒性物質比で麻酔薬プロポフォールが充填された、分散された非ラメラSPC/GDO/P80粒子分散液の粒度分布を示す図である。
【図10】図10は、静脈内投与後のラットにおけるプロポフォールのプラズマ濃度を示す図である。
【図11】図11は、分散された非ラメラSPC/α−トコフェロール/ビタミンE TPGS試料の粒度分布を示す図である。
【図12】図12は、分散された非ラメラEPC/GDO/P80試料の粒度分布を示す図である。
【図13】図13は、熱処理前及び熱処理後の分散された非ラメラSPC/GDO/P80試料のcryo−透過型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図14】図14は、熱処理前及び熱処理後の分散された非ラメラSPC/GDO/P80試料のcryo−透過型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図15】図15は、皮下投与後のラットにおけるオクトレオチドのプラズマ濃度を示す図である。
【図16】皮下投与後のラットにおけるオクトレオチドのプラズマ濃度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子組成物であって、
a)5〜90%の少なくとも1つのホスファチジルコリン成分と、
b)5〜90%の少なくとも1つのジアシルグリセロール成分、少なくとも1つのトコフェロール、若しくはその混合物と、
c)1〜40%の少なくとも1つの非イオン性安定化両親媒性物質と、を含み、
全ての部が、a+b+cの重量の合計に対する重量比であり、前記組成物が、少なくとも1つの非ラメラ相構造の粒子を含むか、又は水性流体と接触すると少なくとも1つの非ラメラ相構造の粒子を形成する粒子組成物。
【請求項2】
前記成分a)が、卵PC、心臓PC,脳PC、肝臓PC、及び大豆PCから選択される少なくとも1つのPCを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分b)が、炭素14〜18のアシル鎖を有するジアシルグリセロールを含む請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分b)が、GDO、又はGDOとトコフェロールの混合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記成分a)及び/又は前記成分b)が、天然供給源から得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分a)が、少なくとも50%のC18:1及び/又はC18:2のアシル基を有し、前記成分b)が、少なくとも50%のC18:1及び/又はC18:2のアシル基を有するジアシルグリセロールである請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分c)が、ポリソルベート20及び80、ソルトール、d−αトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS)、並びにポリオキシエチレンヒマシ油から選択される少なくとも1つの非イオン性安定化両親媒性物質を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
さらに活性剤を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記活性剤が、オクトレオチド及び他のソマトスタチン関連ペプチド、インスリン、二グルコン酸クロルヘキシジン、二塩酸クロルヘキシジン、ビスホスホネート、非ステロイド抗炎症剤、コルチコステロイド、メトトレキサート、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、及びホスホリパーゼ阻害剤から選択される少なくとも1つである請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、I2及び/又はL2相構造の粒子を含み、及び/又は水性流体と接触するとI2及び/又はL2相構造の粒子を形成する請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物を含むか、又は水性流体と接触すると形成される粒子の平均粒度が0.1〜0.6μmである請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、少なくとも3ヶ月間、相挙動、粒度、及び粒度分布に関して実質的に安定している請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
1〜6個の炭素原子、及び/又はその水溶性ポリマーを有する少なくとも1つの有機溶媒を20%までさらに含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
a)分散液、
b)補助溶媒中の予備濃縮物、
c)乾燥粉末、又は生物学的に許容可能なポリマーを含む固化混合物の形態である請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の少なくとも1つの組成物、及び少なくとも1つの生物学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬製剤。
【請求項16】
液体の懸濁液、粉剤、錠剤、カプセル剤、コーティングされたカプセル剤、コーティングされた錠剤、エアロゾル、坐薬、ドロップ、クリーム、経皮パッチ、及び噴霧剤から選択される形態の請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
非経口投与に適する請求項15又は16に記載の製剤。
【請求項18】
a)5〜90%の少なくとも1つのホスファチジルコリン成分と、
b)5〜90%の少なくとも1つのジアシルグリセロール成分、少なくとも1つのトコフェロール、若しくはその混合物と、
c)2〜40%の少なくとも1つの非イオン性安定化両親媒性物質と、を含み、
全ての部が、a+b+cの重量の合計に対する重量比である混合物を形成すること、及び
前記混合物を水性流体に分散させることを含む非ラメラ粒子の製造方法。
【請求項19】
懸濁液の形態で本発明の組成物を調製するためのキットであって、粉末の形態の本発明の少なくとも1つの組成物と、必要に応じて、前記粉末を水性流体に懸濁させるための説明書とを含むキット。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物の投与を含む動物又はヒトの被検体の治療方法。
【請求項21】
体腔における炎症及び/又は痛みを治療するための請求項20に記載の治療方法。
【請求項22】
炎症性の腸疾患を治療するための請求項19〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物及び少なくとも1つの活性剤を含む製剤を投与することを含む、1〜30日の期間にわたる活性剤の持続放出方法。
【請求項24】
療法における、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項25】
炎症を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−528463(P2008−528463A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551724(P2007−551724)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004745
【国際公開番号】WO2006/077362
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(505345749)カムルス エービー (17)
【Fターム(参考)】