説明

医薬製品の識別

医薬品の同一性及び/又は供給源を証明する香りを有する医薬製品、医薬容器、又は医薬包装システムを製造するための方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月31日出願の米国仮出願第60/422,567号からの優先権を請求し、その開示は本明細書で参照によりその全体が援用される。
本発明は、製品、容器、又は包装システムに香りを添加し、医薬品の信頼性及び/又は供給源を確立することによって医薬品をマーキングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本物の医薬品は、乱用のため(例えば、興奮を得るため、又は常用を維持するための錠剤の窃盗)、又は未承認の流通及び非合法の販売のため(例えば、闇取引での利益のための医薬品販売)、例えば、合法的流通経路から流用されやすい。医薬品が誤用又は乱用されると、それらは医師によって指示された以外の形でそれらを選ぶ者に潜在的に危険をもたらす。
【0003】
法執行機関がこれらの流用製品を封じると、それらはその最初の包装ではないため、その製造源を判定することが困難である。製品が流用される場合、完全性における破壊を調査し、修復するためにその起源を識別/追跡しうることが重要である。分散した調査は時間と資金を無駄にする(例えば、ブリーチ(breech)が別の工場にある場合、1つの工場の捜査を行うこと)。流用及び/又は偽造供給源の修正の遅延はさらに経済的及び人的損害をひき起こしうる。問題を迅速に修正することは、誤用又は乱用からの故意でない又は故意のリスクをさらに防ぐために役立ちうる。製品が本物であることを証明し、その製造供給源を追跡できることは、完全性におけるブリーチを迅速かつ効果的に識別するのに役立ちうる。
【0004】
多くの医薬品は、生産物代替に基づく偽造及び不正の不利益の対象になりやすい。特定の視覚的に際立った外観が与えられた製品への信頼を顧客が得た後、視覚的に際立った外観は模倣されやすいため、製品が偽造の対象になりやすくなる。通常、偽の製品は、本物の製品が買われていることを購入者に信じ込ませる目的で可能な限り厳密に本物の製品に似せて作られる。患者、薬剤師、卸業者、及び製造業者は、場合によって製品が偽物であることを判定することができないことがある。顧客は、本物の製品を買っているという見込みで偽の製品を買い、潜在的に生命にかかわる結果を有するが、それは、過度に強力、半治療的、又は非治療的である治療を提供することによって、偽物は行政機関で承認された品質の標準を満たしえないためである。製品が本物であることを証明できることにより、品質が保証され、かつリスクが削減されることになる。容易に模倣されず、又は偽造されない医薬品をマーキングするための方法は、製品が本物であることを証明するのに役立つことになる。
【0005】
技術的に、それを視覚的に識別する以外の安全かつ信頼できるやり方で医薬品をマーキングする組成物及び方法の必要が存在する。誤用、乱用、及び流用を減らし、かつリスク管理プログラムに応じる努力において、認証及び買取り(sourcing)の新しい方法が開示される。
【0006】
本明細書で引用されたすべての文献は、すべての目的のためにその全体が参照されることにより本明細書に援用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の目的及び概要
本発明の目的は、識別手段の使用によって識別されうる医薬製剤をマーキングするための方法を提供することである。医薬製剤は、例えば、偽造、流用及び/又は乱用の対象になる医薬製剤などをそのようにマーキングすることにより利益を得ることができる、どのような医薬製剤であってもよい。一つの非限定的な実施形態においては、医薬製剤がオピオイド又は非オピオイド鎮痛製剤である。
【0008】
本発明のある実施形態の更なる目的は、医薬製剤と関連する香りの存在を識別することによって医薬製剤が本物であることを証明するための方法を提供することである。
【0009】
本発明のある実施形態の更なる目的は、包装における製剤がその香りによって識別されうるように包装された医薬製剤を提供することである。
【0010】
本発明のある実施形態の更なる目的は、その中に含まれる医薬製剤の認証を可能にする香りを含む医薬包装システムを提供することである。
【0011】
本発明のある実施形態の更なる目的は、医薬製剤の認証を可能にする香りを含む医薬製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記の目的及び他の目的は、本発明により達成され得るものであり、本発明は、そのような識別又は認証のための香りを有する医薬製品をマーキングする方法に部分的に関係するものである。
【0013】
ある実施形態においては、本発明は、その医薬製剤がその香りの含有物によって識別可能であるように、医薬製剤を含有する医薬包装システムに香りを提供する方法に関する。
【0014】
ある実施形態においては、本発明は、医薬製剤を含む包装システムであって、医薬製剤を識別するために使用されうる香り又は芳香をさらに含む包装システムに関する。
【0015】
ある実施形態においては、本発明は、香り放出剤を含む医薬包装システムに関する。ある好ましい実施形態においては、香り放出剤は、包装が開かれるたびに香りを放出するように作動する。
【0016】
ある実施形態においては、本発明は、医薬製剤を含有する医薬容器に与えられた香りを検出することを含む、医薬製品を識別するための方法に関する。
【0017】
ある実施形態においては、本発明は、医薬製品を含有する医薬容器に香りを与えることを含み、前記香りが医薬製品の同一性又は供給源を示す、医薬製品の識別性を提供するための方法に関する。
【0018】
ある実施形態においては、本発明は、医薬製品を含有するために適合された医薬容器に香りを与えること、及びその医薬製品を医薬容器へ挿入することを含み、前記香りが医薬製品の同一性又は供給源を示す、医薬製品の識別性を提供するための方法に関する。
【0019】
ある実施形態においては、本発明は、投与前に嗅覚測定装置で医薬製剤に与えられた香りを検出することを含む、医薬製品を識別するための方法に関する。
【0020】
ある実施形態においては、本発明は、投与前に非ヒト哺乳動物、好ましくは、イヌにより医薬製剤に与えられた香りを検出することを含む、医薬製品を識別するための方法に関する。
【0021】
ある実施形態においては、本発明は、リザーバの形で香り放出剤手段を含み、前記香りはリザーバが作動するたびに放出される、医薬包装システムに関する。香り放出剤手段は、好ましくは、医薬包装システムを開放する方法によって作動し、次いで香りが放出される。ある実施形態においては、包装システムが閉鎖されると、香り放出剤は、好ましくは、非活動化され、香りの放出は減少又は終了する。
【0022】
本発明のある実施形態においては、包装システムは、医薬製剤封じ込め部分と、その封じ込め部分から除去され、そこに含まれている医薬製剤へのアクセスを得る、医薬製剤閉鎖部分(例えば、キャップ)と、香り放出剤手段とを含む。例えば、香り放出剤手段は、封じ込め部分及び閉鎖部分と接触した剥れシールを有し、剥れシールは香りリザーバ中の香りをシールしうる。閉鎖部分が封じ込め部分から除去されると、剥れシールは、香りリザーバから剥れ、又は大気にアクセスしやすくし、香りを放出し、又は空気中へ揮発を可能にする。包装の閉鎖と同時に、剥れシールはリザーバを再シールし、香りのさらなる放出又は揮発を阻止し、又は最小限にする。
【0023】
ある実施形態においては、本発明において使用するための香りは、ヒト嗅覚によっては感知することが生理的に困難であり、好ましくは、生理的に不可能であるが、非ヒト動物、例えば、香りの訓練がなされたイヌによって感知される、又は放出される香りを識別することが可能な嗅覚測定装置によって検出されるのには十分な量である。例えば、ある実施形態においては、医薬製剤及び/又は包装システムに含まれる香りの量は、M.デボス(Devos)らの、「標準化ヒト嗅覚閾値(Standardized Human Olfactory Thresholds)(1990年)」に記載されているように香りのヒト嗅覚閾値を用いて測定されうるが、その開示は本明細書で参照によって援用される。
【0024】
ある実施形態においては、医薬製剤又は医薬包装システムは、隔離した形で香りを含む。かかる実施形態においては、香りは、好ましくは、医薬品剤形の完全性、又は医薬包装システムの完全性が損なわれない限り、検出不可能である。ある実施形態においては、「医薬品剤形の完全性を損なうこと」は、剤形を押しつぶし(例えば、乳鉢及び乳棒により)、それによって放出される香りを検出可能な量での放出を可能にすることを含む。ある更なる実施形態においては、「医薬包装システムの完全性を損なうこと」は、例えば、包装システムの開放(例えば、切断又は引裂き開放)を含む。
【0025】
ある好ましい実施形態においては、本発明は、本明細書で開示された医薬製剤を商業チャネルで調製、マーケティング、及び/又は流通を含む医薬製剤の偽造を防ぐ方法に関する。
【0026】
ある好ましい実施形態においては、本発明は、本明細書で開示された医薬製剤を商業チャネルで調製、マーケティング、及び/又は流通を含む医薬製剤の流用を防ぐ方法に関する。
【0027】
ある実施形態においては、本発明は、医薬製品の異なるバッチ間で区別しうるマーカーを医薬製品に提供する方法であって、1つ若しくはそれ以上の異なる香り(例えば、「香りの特性」)を医薬製品の異なるバッチに添加し、医薬製品の製造の特定の年月日又は場所を示すことを含み、ここで香りは医薬製品又はその製品を含有する医薬包装システムのいずれかに添加される方法に関する。例えば、医薬製品又は包装中の複数の香りの含有物は複雑性を、したがって、例えば、製品供給源、製造年月日、バッチ番号等、香りの特性の判定をそれによって可能にするその製品の香りの特性における情報提供のための内容を増大しうる。
【0028】
ある更なる実施形態においては、1つ若しくはそれ以上の香りに加えて、1つ若しくはそれ以上の追加の識別子又は認証コードが医薬製剤及び/又は包装システムに含まれる。ある好ましい実施形態においては、香りに加えて、医薬製剤又は包装システムは、ハプテン又は複数のハプテンなど追加のマーカーをさらに含み、医薬製剤のさらなる識別又は認証を提供する。ある好ましい実施形態においては、追加のマーカーは、医薬製剤又は医薬包装システムにおける化学化合物に共有結合されるハプテンであってもよい。ある好ましい実施形態においては、追加のマーカーは、検出可能な物理的特性、例えば、色、重量、密度、磁力、発光、蛍光、吸光度、化学反応、又は当技術分野で公知の光学的方法によって検出可能な種々の特性を有する。ある実施形態においては、異なる香り、又は香りに加えて異なるマーカーの使用は、異なる情報の破片を提供しうる。例えば、製剤、容器、及び/又は包装中の第1の香りが供給源の指標であるのと同時に、製剤、容器、及び又は包装中の第2の香りがバッチの指標であってもよい。
【0029】
ある実施形態においては、本発明は、香りを医薬製品に与えることを含む医薬製剤をマーキングするための方法であって、香りはヒト嗅覚によっては検出不可能であるが、非ヒト動物又は嗅覚測定装置によっては検出可能であり、かつ香りは医薬製品の同一性、医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す方法に関する。
【0030】
ある実施形態においては、本発明は、医薬品を含有するために適合された医薬容器に香りを与えることを含む医薬製剤をマーキングするための方法であって、香りはヒト嗅覚によっては検出不可能であるが、非ヒト動物又は嗅覚測定装置によっては検出可能であり、かつ香りは医薬品の同一性、医薬品の供給源、又はそれらの組合せを示す方法に関する。
【0031】
ある実施形態においては、本発明は、医薬製剤に与えられる香りの識別を変化させることを含む医薬製剤を識別する方法であって、その香りは所定のスケジュールにより製剤の製造業者によって変化され、いつ及び/又はどこでその医薬製剤が製造され、瓶詰めされ、又は包装されたかを示す方法に関する。
【0032】
ある実施形態においては、本発明は、a)本明細書で開示された医薬製品、キット、又は包装システムを製造すること、及びb)ヘルスケア提供者にその医薬製品、キット、又は包装システムを用いる利点を売り込み、その医薬製品の偽造、流用、又は窃盗を阻止することを含む、医薬品ビジネスを行うための方法に関する。
【0033】
ある実施形態においては、本発明は、a)本明細書で開示された医薬製品、キット、又は包装システムを製造すること、及びb)法執行機関にその医薬製品、キット、又は包装システムを用いる利点を知らせ、その医薬製品の偽造、流用、又は窃盗を阻止することを含む、医薬品ビジネスを行うための方法に関する。この方法は、法執行機関に、押収医薬製品の香りの特性を分析し、その信頼性、供給源等を判定する検出機器を備えることをさらに含んでいてもよい。
【0034】
ある実施形態においては、本発明は、a)本明細書で開示された医薬製品又はキットを販売するための流通ネットワークを提供すること、及びb)その医薬製品又はキットの供給源を識別するための指示資料を患者又は医師に提供することを含む、医薬品ビジネスを行うための方法に関する。
【0035】
ある実施形態においては、本発明は、a)本明細書で開示された医薬製品又はキットを販売するための流通ネットワークを提供すること、及びb)その医薬製品又はキットの供給源を識別するための指示資料を法執行機関に提供することを含む、医薬品ビジネスを行うための方法に関する。この方法は、法執行機関に、押収医薬製品の香りの特性を分析し、その信頼性、供給源等を判定する検出機器を備えることをさらに含んでいてもよい。
【0036】
ある実施形態においては、本発明は、公衆への流通及び販売のための行政機関によって承認されている有効成分を含有する医薬製品を識別することと、香りを含むように再調製された医薬製品の行政機関による再承認を必要としない量で医薬製品に香りを与えることとを含み、その香りがその医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せを示す、識別のための医薬製品をマーキングするための方法に関する。
【0037】
ある実施形態においては、本発明は、第1の香りを医薬製品に与え、第2の香りをその医薬製品用の容器に与えることを含み、第1及び第2の香りがその医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せの識別性を提供する、医薬製品をマーキングするための方法に関する。
【0038】
ある実施形態においては、本発明は、第1の香りを医薬製品に与え、第2の香りをその医薬製品用の包装システムに与えることを含み、第1及び第2の香りがその医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せの識別性を提供する、医薬製品をマーキングするための方法に関する。
【0039】
ある実施形態においては、本発明は、ヒト嗅覚閾値未満である量で香りを医薬品に与えることを含み、その香りが嗅覚装置又は非ヒト哺乳動物によって検出可能である、医薬品の流用を減らす方法に関する。
【0040】
ある実施形態においては、本発明は、医薬製品、医薬製品用の容器、医薬製品用の包装、又はそれらの組合せに香りを与えることを含み、その香りがヒト嗅覚には検出不可能である量で与えられ、その香りが嗅覚装置又は非ヒト哺乳動物、例えばイヌなどによって検出可能である、予防医薬品の偽造を減らす方法に関する。
【0041】
他の実施形態においては、本発明は、本物の医薬製品のものと同じである香りの存在について未知の識別又は供給源で医薬製品を試験することを含む、医薬製品が偽物であるかどうかを分析する方法に関する。かかる実施形態においては、香りの非存在は偽の製品を示し、香りの存在は本物の製品を示す。
【0042】
好ましくは、本発明は、医薬製剤が本物であることを証明し、又は医薬製剤の流用を防ぎ、又は医薬製剤の流通を追跡し、又は医薬製剤の供給源を判定し、又は医薬製剤の特定のバッチを判定し、及び/又は医薬製剤の製造の年月日を判定し、又はそれらの組合せにおいて有用である。
【0043】
本発明の目的で、「識別のために製品をマーキングする」なる用語は、製品に関する信頼性、供給源、識別、又は他の情報が判定されうるように、特定の香りを製品と関連付けることを意味する。香りは、特に使用される濃度で、製品に対して非有害であり、好ましくは、製品とすでに関連付けられていてはならない。
【0044】
本発明の目的で、「芳香」、「香り」、「臭気」、又は「におい」なる用語が交換可能に使用されうる。
【0045】
本発明の目的で、「医薬製剤」及び「医薬製品」は交換可能に使用されうる。
【0046】
「香りの特性」なる用語は、本発明の目的では、医薬製品、容器、又は包装の同一性、供給源、又は他の情報を示すために使用される特定の香り又は諸々の香りを意味する。香りの特性は、香り「指紋」と比較されうる。例えば、「香りの特性」は、本発明の組成物が嗅覚測定装置で試験されると存在する特定のピーク又は諸ピークであってもよい。
【0047】
「医薬製剤」又は「医薬製品」なる用語は、本発明の目的では、行政機関(例えば、米国食品医薬品局)によってヒト対象において安全かつ有効である承認を受けた薬品組成物を意味する。
【0048】
「香りを変化させること」なる用語は、本発明の目的では、製剤、容器、及び/又は包装システムにおいて使用される香りを変更することを意味する。例えば、医薬製剤における香りを変化させることは、一か月、医薬製剤が、例えば、リンゴの香りを有する場合は、翌月、医薬製剤の香りは、例えば、オレンジの香りに変更されることを意味する。あるいは、「香りを変化させること」は、同じ香りを変化させること、例えば、オレンジの香りの効力を、例えば、月ごとに変化させることを意味する。
【0049】
本発明の目的で、「の識別性を提供するための方法」なる用語は、医薬製品、容器、及び/又は医薬包装システムにマーカーを添加し、その製品、容器、及び/又は包装システムがそのマーカーに対して識別されうるようにすることを含む。
【0050】
本発明の目的で、「オピオイドアゴニスト」なる用語は、「オピオイド」又は「オピオイド鎮痛薬」なる用語と交換可能であり、両方は単一のオピオイドアゴニスト及び2つ以上のオピオイド鎮痛薬の組合せを含み、かつオピオイドの基礎、アゴニスト−アンタゴニストの混合、パーシャルアゴニスト、その薬学的に許容し得る塩、その立体異性体、そのエーテル及びエステル、及びその混合物をも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明は、医薬製剤、容器、又は包装材料に香りを染込ませることによって、医薬製剤が本物であることを証明し、及び/又は流通の供給源又は製造の場所を識別する方法を提供する。香りマーカーは、におい認識可能因子、香りの又は他のにおいがする部材、「スクラッチ及びにおいを嗅ぐ(sniff)」部材、それらの組合せなどを含みうる。
【0052】
本発明において使用するための香りは、医薬製剤そのもの、又は医薬製剤を含有する容器装置(例えば、瓶)、若しくは箱、又は容器を含有する他の医薬包装システム、及びそれらの組合せに適用され、又はその中へ組込まれうる。代替的又は追加的に、香りを含む香り放出剤が、医薬品を含有する容器、若しくは箱又は医薬包装システム、又はそれらの組合せに添加することができる。
【0053】
本発明の香りの含有物は、医薬製剤の使用者、調剤師、及び/又は法執行機関の職員に、試験されている製剤が正確な供給源からの本物の医薬製剤である確認を提供するために有用でありうる。ある好ましい実施形態においては、この香りは、法執行機関の職員、国境監視警察などに、医薬製剤を「現場で」本物であることを証明し、及び/又は検証し、又は逆に、偽の製剤を検出する方法を提供するために有用である。
【0054】
香りが医薬製剤に含まれるある実施形態においては、その香りは、好ましくは、当技術分野で公知の標準のコーティング工程によって、例えば、当技術分野で公知の適切な噴霧法によって医薬製剤に直接適用される。例えば、医薬製剤がカプセル化され、又は錠剤化されると、カプセル又は錠剤はさらに、医薬製剤の識別に有用な香りでコーティングされる。ある他の実施形態においては、香りは、錠剤化又はカプセル化の工程中に製剤の中へ組入れられる。例えば、香りは、例えば、造粒中、ビーズ製剤のコーティング工程中、スフェロン化(spheronization)中に製剤の中へ組入れられ、上述した工程の後に、上述した工程などのいずれかの組合せで適用されうる。
【0055】
ある好ましい実施形態においては、香りが医薬製剤に含まれる場合、香りは製剤上のコーティングに含まれる。ある他の実施形態においては、香りは医薬製剤の中間コーティング及び/又は最終医薬製剤上のフィルムコーティングに含まれる。例えば、香りは、Opadry(登録商標)(Colorcon,Inc.)などのコーティングに含まれうる。あるいは、香りは、例えば、製剤の製造において、例えば、造粒又は噴霧コーティング中に使用される溶液に含まれうる。
【0056】
好ましくは、香りが医薬製剤に含まれる場合、香りは最終製剤の約0.1%未満の量で医薬製剤中に存在する。好ましい実施形態においては、香りは、最終製剤の100 ppm未満、50 ppm未満、25 ppm未満、10 ppm未満、又は5 ppm未満の量で含まれる。医薬品を規制する行政機関(例えば、米国食品医薬品局)によってすでに承認されている医薬製剤に香りが添加されるある好ましい実施形態においては、香りは、香りを含めるために再調製された医薬製品の行政機関への再出願、又は行政機関による再承認を必要としない量(例えば、許容不純物量など)で含まれる。
【0057】
医薬製剤の香りと有効成分が不適合である、ある実施形態においては、香りは、医薬製剤の製造工程中及び/又は最終医薬製剤中で医薬製剤の有効成分と接触することはない。
【0058】
香りが医薬製剤に含まれるある実施形態においては、香りは隔離した形で存在する。香りは、公知の工程、例えば、PCT国際公開第01/58451号パンフレットに開示されている工程などを用いて隔離されうるが、その開示は本明細書で参照によって援用される。香りが隔離されている実施形態においては、香りは、好ましくは、医薬製剤の完全性が損なわれない限り、実質的に放出されない。医薬製剤の完全性は、剤形を押しつぶすことによって損なわれうる。
【0059】
ある実施形態においては、本発明は、活性剤、及び医薬製剤の同一性又は供給源を示す隔離された香りを含み、医薬製剤の完全性が損なわれていない場合にヒト嗅覚系には検出可能である医薬製剤に関する。あるいは、本発明は、活性剤、及び医薬製剤の同一性又は供給源を示す隔離された香りを含み、医薬製剤の完全性が損なわれている場合にヒト嗅覚系には検出不可能であるが、医薬製剤の完全性が損なわれている場合に非ヒト動物(例えばイヌ)、又は嗅覚測定装置のいずれかによっては検出可能である医薬製剤に関する。
【0060】
香りが隔離された形である、ある好ましい実施形態においては、香りは多粒子状物質で含まれており、ここで多粒子状物質は、多粒子状物質が溶解又は破壊されるまで香りの放出を実質的に防ぐ材料で個別にコーティングされる。多粒子状物質は、活性剤とともに医薬製剤へ、例えば、錠剤又はカプセルへ組入れられうる。
【0061】
ある他の実施形態においては、隔離された形での香りは、香りの放出を実質的に防ぐ材料を含む基質に分散される。基質は、活性剤とともに医薬製剤へ、例えば、錠剤又はカプセルへ組入れられうる。
【0062】
本発明に従って使用される隔離材料はとしては、とりわけ、PCT国際公開第01/58451号パンフレットにおいて開示された材料が挙げられる。ある好ましい実施形態においては、隔離された形の香りが、1つ若しくはそれ以上の薬学的に許容し得る疎水性材料と香りを組合わせることによって調製されうる。例えば、香りを含む粒子が、香りを隔離する疎水性コーティングでコーティングされうる。別の例は、香りを隔離する基質中に分散する香りであろう。他の実施形態においては、香りは、基質上のコーティングの使用で強化された隔離により基質中に隔離されうる。
【0063】
製剤の完全性を含む隔離された香りに関するある実施形態においては、製剤が「バースト」効果を提供しうる。これは、例えば、ヒト嗅覚系、非ヒト哺乳動物、又は嗅覚測定装置、又はそれらの組合せによって香りも検出を促進しうる。これは、偽物が製剤の「バースト」効果を再現することは困難であるため、偽装を妨げる医薬製剤をも提供しうる。他の実施形態においては、香りは、管理され、延長され、及び/又は緩徐な放出で医薬製剤から放出される。
【0064】
香りが医薬製剤を含有する容器に含まれるある更なる実施形態においては、香りは容器の製造工程中に容器へ組込まれ、及び/又は香りは容器の内側及び/又は外側部分に適用されうる。この実施形態によれば、容器は任意の適切な形をとりうる。好ましくは、容器は、容器に不可欠であり、又は容器から取外しうる閉鎖部分を有する。ある好ましい実施形態においては、容器は、オープントップを含む首部を有する瓶であり、これは瓶の首部へ回転可能に取付けられる閉鎖部分(例えば、ネジ式又は子供に安全なキャプ)を有する。ある実施形態においては、香りは、容器が開くと放出される。
【0065】
ある実施形態においては、容器の壁は、香りで含浸されている基質(例えば、ナイロン)を含み、これは香りが基質によって吸収されるのに十分な時間にわたり香りを含有する水溶液に容器を浸すことによって調製されうる。芳香成分は、その後に瓶の簡単な操作によって放出されうる。かかる臭気含浸法の例は、とりわけ、米国特許第3,871,334号明細書及び同第4,674,444号明細書において開示されており、その開示は本明細書で参照によって援用される。別の実施形態においては、香り産生成分を、容器の初期製造中に容器(例えば、ポリウレタン容器)に添加し、かつ全体にわたって均一に分配されうる。
【0066】
ある好ましい実施形態においては、香りは、香り放出剤手段を通じて容器から放出されるが、この手段は好ましくは本発明によるマーカーとして有用な少なくとも1つの香りを含有する。香り放出剤は、例えば、香り付き接着剤、香りパッチ、香りバーストフィルム、香り調剤用錠剤、香り含有カプセル、マイクロカプセル化された香り、マイクロカプセル化された香りのフィルム、又はそれらの組合せであってもよいが、これらに限定されない。
【0067】
ある実施形態においては、香り放出剤は、容器が開かれると放出される香り又は香り供給源が揮発性組成物に保存されている吸収剤基質を含む。吸収剤は、好ましくは、リザーバとして作用し、揮発性香り組成物を保持するとともに、リザーバが容器の開放時に暴露されるたびに揮発性香り組成物の一部を放出する。ある好ましい実施形態においては、香りは、吸収剤基質を引裂き、又は伸ばすことによって放出され、香りを放出する。
【0068】
ある実施形態においては、香り含有基質は、再シール可能なフィルムによって保護されている芳香ストリップの形であり、フィルムがストリップから(例えば、容器を開くことによって)引込められるたびに、ストリップが揮発性香りを放出し、香りの放出は、フィルムをストリップに再適用することによってその後に停止し、又は最小限に抑えられる。ある実施形態においては、香りは、フィルムの穴が開くまでフィルムを引裂き、又は伸ばすことによって放出される。好ましくは、フィルムは、ストリップが容器の各閉鎖時に放出されることを確実にする関連した再シール可能な感圧接着剤を有する。
【0069】
ある実施形態においては、香り放出剤は、容器に適用され、又は容器に含まれうる香り調剤用錠剤であってもよい。例えば、錠剤は、それらに辛うじて固定された穴あきドームを有し、液体の香りによって飽和した吸収性パッドによって占有されたベント式チャンバーを規定する基礎によって構成された嚢の形であってもよい。錠剤は、好ましくは、感圧接着剤の層を有し、医薬製剤を含有する容器への錠剤の付着を可能にする。
【0070】
ある好ましい実施形態においては、香り放出剤は、香りマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル化された香りの材料の層であり、容器の最上部又は閉鎖部分の少なくとも1つに固定される。医薬製品がそこから分配されるために、最上部から除去して容器を開放するために容器の首部で閉鎖部分が回転すると、芳香カプセルの少なくとも一部分は破裂し、香りが放出される。
【0071】
マイクロカプセル化は、不活性天然又は合成ポリマー材料のきわめて薄いコーティングが、固体のマイクロサイズ化粒子、液体の液滴、又は気体の周りに挿入される工程である。形成された製品は、マイクロカプセルとして公知である。マイクロカプセルは通常、2つの主要な部分(すなわち、内部と外部)からなる。内部は、有効成分の1つ若しくはそれ以上からなるコア材料である。本発明によれば、カプセル化のための有効成分は、本明細書で記載されている香りの1つ若しくはそれ以上である。これらの有効成分は、固体、液体、又は気体の形であってもよい。外部は、好ましくは高分子量のポリマー又はかかるポリマーの組合せであるコーティング材料である。コーティング材料は、多くの天然又は合成ポリマーから選択されうる。コーティング材料は、好ましくは、コア材料と非反応性であり、かつ好ましくは生体分解性及び非毒性である。例えば、界面活性剤及び可塑剤など他の成分もマイクロカプセルに添加されうる。
【0072】
カプセル化は、香りを含むコア材料の安定性の強化を提供しうる。例えば、香りのカプセル化は、好ましくは、大気劣化に対して香りを保護する。
【0073】
好ましくは、本明細書で記載されている香り放出剤は、容器と接触する。好ましくは、香り放出剤は、容器に含まれた医薬製剤と関連しうる独自の香りを放出する。
【0074】
ある実施形態においては、容器の外側にラベルが備えられる。ラベルは、接着剤によって容器の外側に張付けられうる。ある実施形態においては、接着剤は香りを含むことができ、香りはラベル上に適用されることができ、ラベルそのものは香りを含むことができ、又は上述の組合せを使用することができる。ラベルは、薬物の他の識別特徴をさらに含みうる。さらに、ラベルは、容器に含まれる医薬製剤に関する詳細を提供し、接着剤によって容器に適用される添付文書を含んでいてもよい。さらに、ラベル又は容器の香り領域は、剥し型カバーで保護され、出荷及び貯蔵中に香りの新鮮さを維持する。
【0075】
ラベルは、香り産生成分を含有する液体溶液で簡単にコーティングされ、次いで保護被膜でシールされうる。香り産生成分をラベルに適用する1つの方法では、Sandy Alexander社(ニュージャージー州クリフトン(Clifton,NJ))によって市販されている方法を利用するが、これは、印刷機に直接適用される印刷ニスを使用し、高品質のカラー印刷とインライン操作内の香りの組合せを可能にする。この工程により合成した香りのラベルが得られ、追加の工程なしにラベルを製造することが可能となる。この工程によれば、香りの強度は制御され、シート材料上に印刷された画像は香りを放出するまで変形又は破壊されることはない。さらに、この工程は明確な領域での応用を可能にし、材料の単一シートで複数の香りを可能にしうる。この香りの放出は何回も活性可能であり、かつ特殊な紙又は基質を必要としないため、従来のラベル用基質が適している。
【0076】
ある実施形態においては、医薬製剤を含有する容器のヘッドスペースは、容器の開放と同時に、容器を開放する人がそこから放出される香り又は芳香によってその中に含まれる医薬品を識別しうるために香り又は芳香が充填される。
【0077】
香り付きのヘッドスペース部分を有する容器は、食品包装技術において公知の方法によって調製されうる。本発明に従って使用されうる食品包装の芳香ヘッドスペースのためのシステムが、とりわけ、欧州特許第0 706 944号明細書及び米国特許第5,885,640号明細書において開示されており、その開示は本明細書でその全体が参照によって援用される。別の方法として挙げられるのは、医薬製剤を含有するための空洞を規定する医薬容器を備え、医薬製剤をその空洞へ挿入し、薬学的に許容し得る香り組成物の液体担体の液体混合物を容器の一部分へ医薬製剤を含有する空洞から切り離して挿入し、液体担体を香り組成物から、好ましくは、担体を蒸発させることによって除去すると同時に、好ましくは固化形態を含有する好ましくは残留物の形で香り組成物を放置し、香りが容器の開放と同時に容器から放出するようにし、かつ保護部で容器部を保護してシールして、医薬品及び香り組成物がシールされ、包装内に互いに切り離して別個の包装空洞内に含まれるようにし、保護部が除去可能であり、保護部が除去されると、別個の空洞が大気に開放され、香りを放出するようになっている方法である。
【0078】
液体担体を用いる工程の実行においては、担体の除去が生じるため、担体は、好ましくは、担体の蒸発又は揮発を容易に行うことを可能にする標準の大気圧下で100℃以下の沸点を有する溶媒から選択される。かかる溶媒は水性又は有機性であり、例えば、水、エタノール、メチルホルメート、エチルホルメート、プロパノール、ヘキサン、それらの混合物などを含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態においては、液体溶媒担体は、真空を引くことによって除去され、溶媒は蒸発又は揮発する。好ましくは、残っている残留物は視覚的に知覚されないが、包装の開放と同時に意図された嗅覚効果を提供するのに有効な濃度又は量で存在する。ある実施形態においては、香り組成物は、単に残留物としてではなく、エアロゾルの形又は気体の形でも存在しうる。
【0079】
好ましくは、香り組成物は、保護部が容器から剥れると嗅覚反応のために有効に利用可能であるような量で存在する。ある好ましい実施形態においては、保護部は、保護部が剥離可能であり且つシールされて包装本体を形成するように、繊維又はシートであってもよいが、又は医薬製剤を含有する包装瓶を保護及びシールするために適切な他の公知の材料であってもよい。
【0080】
ある実施形態においては、容器及び/又は医薬製剤に、適用される及び/又は組み入れられる香りの量は、香り濃度のにおい強度によって決まる。好ましくは、使用される量は、香りが保持され、かつ通常の貯蔵下に消散しないように容器に所望の香り(ヒトには検出可能又は検出不可能)を与えるために十分な量である。香りは、好ましくは、容器又は包装システムに含まれる医薬製剤の同一性及び/又は医薬製剤の供給源を提供する。ある実施形態においては、香りは、医薬製剤の製造場所、医薬製剤の特定のバッチ、医薬製品が製造された年月日、又はそれらの組合せを判定する能力を提供する。ある実施形態においては、医薬製剤及び/又は包装システムに含まれる香りは、同じ香りで医薬製剤及び/又は包装システムの製造から偽造を防ぐために変化されうる。例えば、香りは調製される新しい医薬品のバッチごとに、又は数か月ごとに、又は1年ないし2年ごと等に変化されうる。
【0081】
ある実施形態においては、医薬製剤を含む容器は、例えば、箱などの包装システム内に配置されうる。ある実施形態においては、包装システムは、本明細書で記載されている香り放出剤を含む。例えば、包装システムが箱の場合、箱は、好ましくは、閉鎖部を規定する少なくとも1つのフラップを含む。香り放出剤は、箱のフラップをシールし、又は証印、例えば、患者用添付文書を箱へ固定するために利用される接着剤に含まれうる。接着剤に含まれる香りは、好ましくは、医薬製剤の製造場所、医薬製剤の特定のバッチ、医薬製品が製造された年月日、又はそれらの組合せを判定する能力を提供する。好ましくは、香りは持続的に接着剤から放出される。
【0082】
別の実施形態においては、香り放出剤は箱のフラップ上に配置された香りバーストフィルムであってもよい。好ましくは、香りバーストフィルムは、閉鎖可能な包装システムの2つのフラップ間に配置されるが、ここでフラットは重なり合う対向関係にあり、香りバーストフィルムは対向して重なり合うフラップ間に付着されうる。好ましい実施形態においては、香りバーストフィルムは、包装の少なくとも1つのフラップに付着した支持ベース、支持ベースの外面に結合された層、例えば、香りを含有するビニールプラスチゾル樹脂を含む層、及び当該層を保護する可撓性、連続的、平滑保護シートを含み、それによって、香りは長時間にわたって保持される。保護シートは、好ましくは、包装の第2の重なり合ったフラップに付着される。保護シートの除去(例えば、重なり合ったフラップの1つの除去によって)と同時に、香りは直ちに利用可能であり、緩徐に放出される。
【0083】
ある他の実施形態においては、本発明の包装システムの香り放出剤は、包装のフラップに付着された別個の香りコンパートメントである。香りを含有するために適したコンパートメントは、取外し可能なカバーでシールされる。香りは、コンパートメントの取外し可能なカバーが取外されると放出される。
【0084】
別の実施形態においては、香りコンパートメントはフラップに形成される別個の空洞であり、この空洞は取外し可能なカバーでシールされている。香りは、取外し可能なカバーが取外されると放出可能である。
【0085】
別の実施形態においては、香り放出剤は、ホイル包装が破裂するまで香りの放出を防ぐ密閉してシールされたホイル包装に包まれた香り調剤用錠剤であり、ここでホイル包装システムは、包装の少なくとも1つのフラップ又は上述した容器のに付着するように適合されうる。香り調剤用錠剤は、フラップの(若しくは容器又は容器閉鎖部)内側又は外側に配置されうる。香り調剤用錠剤は、その中に香りを保持し、放出する濃縮された液体香料で飽和したパッド又は芯であってもよい。
【0086】
別の実施形態においては、香り放出剤は、上述した容器又は上述した包装システムにおける接着ラベルであってもよいが、このラベルはその外表面をマイクロカプセル化された香りの薄いフィルムでコーティングされており、ここでマイクロカプセル化された香りは保護コーティングによって覆われ、それによって、保護コーティングをスクラッチすることにより香りを含有するカプセル(例えば、「スクラッチし、においを嗅ぐ(sniff)」製剤など)を分裂させることで前記香りが放出される。ある実施形態においては、包装システム又は容器装置の香り放出剤は、手圧によって破壊可能な香り含有カプセルであり、それによってカプセルはフラップの外側に固定される。
【0087】
本発明のある好ましい実施形態においては、香りは、ヒト嗅覚によっては検出不可能であるが、電子嗅覚測定装置の使用によっては検出可能である量又は濃度で存在する。嗅覚測定装置は、例えば、医薬製品の使用者(例えば患者)、医薬製品の調剤師、製品の流通のチェーン関係者、法執行機関職員、又は製品の製造業者によって使用されうる。
【0088】
適切な嗅覚測定装置としては、例えば、米国特許第5,675,070号明細書及び同第5,177,994号明細書に記載されているもの、及びNeotronics of Hertfordshire(英国)、ALPHA M.O.S.社(インディアナ州デモット(DeMotte,Ind.))、及びAromascan社(ニューハンプシャー州ホリス(Hollis,N.H.))によって製造されたものが挙げられる。
【0089】
ある実施形態においては、嗅覚測定装置は、電子鼻(Electronic Nose)として公知である。H. T. Nagle、S.Schiffman、及びR. Guitierrez-Osuna、「電子鼻の どのように 及び なぜ(The How and Why of Electronic Noses)」、IEEE Spectrum、pp.22−33(1998年9月)を参照。電子鼻は、おそらく数百種類の化学種を含有する特定の蒸気混合物(芳香)のN次元空間(N=センサーの数)における認識可能な視覚映像を提供する。電子鼻は香りを定量化し、特徴づけるために設計されている。センサーはその化学的親和性に対して選択され、化学吸収性(chemi-sorbing)ポリマーフィルムが通常、この目的のために使用される。多くのセンサーが使用されうるとともに、各センサー読取の連続的ポーリングによりセンサー出力のヒストグラムが得られるが、これは電子鼻の嗅覚反応を含む。本発明に従って使用されうる、ある「人工鼻」は、トランスデューサーアレイを含み、その集合的出力シグナルは、ある臭気を有する化合物の存在に相関する。かかる人工鼻は、とりわけ、米国特許第4,818,348号明細書、同第4,844,535号明細書、同第5,071,770号明細書、同第5,541,851号明細書、及び同第5,928,609号明細書に記載されている。J. Yinon、Analytical Chemistry、「電子鼻による爆発物の検出(Detection of Explosives by Electronic Noses)」(2003年)に記載された電子鼻も本発明に従って使用されうる。
【0090】
ある実施形態においては、PCT国際公開第02/22075 A2号パンフレットに記載された方法、装置、及びシステムを用いて、それらと関係したUVから近IRにおける光学吸収スペクトルの比較に基づく液体及び気体芳香材料の臭気特徴を比較することができる。
【0091】
ある実施形態においては、嗅覚測定装置は、ガスクロマトグラフィー装置であり、又はこれを含む。Robert L. Grobe、「ガスクロマトグラフィーの最新の実践(Modem Practice of Gas Chromatography)」、John Wiley & Sons、版権、1985年、第1部、第2章、ガスクロマトグラフィーの理論(Theory of Gas Chromatography)、pp. 50-114を参照し、蒸気を個別の化学成分に分離し、クロマトグラフの「香りの特性」を得る。通常のGCシステムでは、長さが数メートルの長いキャピラリーカラムが利用され、分析時間は長くなるが、それらは正確かつ精密である傾向がある。最近の動向では、直接加熱された短いクロマトグラフィーカラム、冷却サンプルトラップ、及び集束表面弾性波(SAW)干渉蒸気検出器が使用されている。米国特許第5,289,715号明細書を参照。SAW検出器は、温度制御圧電性結晶の表面上で凝縮し、そこから蒸発する被分析物に応じて可変周波数を生じる。
【0092】
ある別の実施形態においては、嗅覚測定装置は、IR、NMR、及び質量分析装置を含む。
【0093】
ある実施形態においては、嗅覚装置は、例えば、国境警察などの法執行機関職員によって容易に使用可能である手持ち式の嗅覚装置である。好ましくは、嗅覚装置は、医薬製剤及び/又は医薬包装システムに含まれる香り(例えば、隔離された香り)の検出に基づき特定の医薬製剤が本物であることを証明するように設計され、かつ簡単な「はい」又は「いいえ」を示すように設計されている。ある好ましい実施形態においては、嗅覚装置は、嗅覚装置又は嗅覚装置にインストールされている任意のソフトウエアプログラムの複製又は不正変更を回避するために装置そのものに手が加えられると自動的に破壊する。
【0094】
本発明において使用するための香りは、例えば、揮発性油、合成香油、香味芳香族化合物、天然香油、香味液体含油樹脂、花抽出物、果実抽出物、それらの組合せなどよりなる群のいずれかの香りを含む、当技術分野で公知の適切な香りから選択されうる。ある実施形態においては、香りは、アルデヒド及びエステル、例えば、ベンズアルデヒド(サクランボ又はアーモンド)、シトラール、すなわち、アルファシトラール(レモン又はライム)、ネラール、すなわち、ベータ−シトラール(レモン又はライム)、デカナール(オレンジ又はレモン)、アルデヒドC-8(かんきつ類の果実)、アルデヒドC-9(かんきつ類の果実)、アルデヒドC-12(かんきつ類の果実)、トリルアルデヒド(サクランボ又はアーモンド)、2-6-ジメチルオクタナール(熟していない果実)、2-ドデセナール(かんきつ類又はマンダリン)、及びそれらの混合物などよりなる群から選択されうる。使用されうる他の香りとしては、例えば、アニス、リンゴ、アルニカ、バルムミント、バナナ、バジル、クロマツ、キャラウェイ、カーネーション、カモミール、サクランボ、チャイニーズシーダーウッド、チョコレート、シナモン、ココナッツ、コーヒー、イトスギ、ディルウィード、ユーカリ、モミ、フルーリエ、フロロゲニア(florogenia)、森林の地面、焼きたてのパン、ジンジャーブレッド、青リンゴ、グリーンビーン、グリーントウヒ、ヘイフラワー(hay flower)、ハシバミ、ハチミツ、ヒヤシンス、線香、ジャシリア(jacilia)、ジャスミン、ネズノミ、ケイミ(keymi)、ラベンダー、レザー、レモン、ライラック、ハス、マンダリン、マンゴ、マラクジャ、マルジョラム、メイ−フラワー、メタノール、混合高山植物、ムゴル(mugol)、ノーザンバーチ、浜風、オレンジ、ラン、オゾンマツ(ozone pine)、モモ、ナシ、ペチュニア、松、松林、ピンクペッパー、ピザ、プラム、バラ、ラズベリー、ローズマリー、ビャクダン、潮風、ウスリーヒバ(Siberian spruce)、泉、スプルースパイン(spruce pine)、イチゴ、タイム(thyme)、タバコ、トマト、カノコソウ、バニラ、スミレ、ワッフル、野生ウッドベリー、それらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態においては、ジャコウの香りが使用されうる。
【0095】
ある好ましい実施形態においては、香りは、香料抽出物製造者協会(Flavor and Extract Manufacturer's Association)によって「一般に安全と認識されて」いる。ある好ましい実施形態においては、香りは、例えば、トランス-アネトール(1-メトキシ-4-プロペニルベンゼン)-アニス、ベンズアルデヒド(ベンゾインアルデヒド)-ビターアーモンド、イソ酪酸ブチル(n-ブチル2,プロパン酸メチル)-パイナップル、桂皮アルデヒド(3-フェニルプロペナール)-シナモン、シトラール(2-トランス-3, 7-ジメンチル-2,6-オクタジエン-1-アル)-シトラス、メントール(1-メチル-4-イソプロピルシクロヘキサン-3-オル)-メントール、及びアルファ-ピネン(2,6,6-トリメチルビシクロ-(3,1,1)-2-ヘプテン)-マツであるが、これらに限定されない。
【0096】
ある他の実施形態においては、香りは、2個から6個の炭素原子の短鎖を有する脂肪族脂肪酸類、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、及びイソカプロン酸など、ケトン類、例えば、α-イオノン及び2-ピペリドンなど、アルデヒド類、例えば、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドなど、アミン類、例えば、トリメチルアミンなど、o-及びp-ヒドロキシ安息香酸及びそのエステル、特にp-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシメチルベンゾエート、p-ヒドロキシエチルベンゾエート、及びp-ヒドロキシプロピルベンゾエート、及びメチルサリチレート(オルトヒドロキシベンゾエート)、それらの組合せなどから選択される。
【0097】
その分子量及びその飽和蒸気圧によって識別される臭気分子の追加のリストは、「有機化学ハンドブック(Handbook of Organic Chemistry)」などの標準の著作物において、例えば、嗅覚、精神生理学、及び動物行動の分野における専門著作物、例えば、「脊椎動物における化学信号(Chemical Signals in Vertebrates)」第1-9巻(Kluwer Academic Publishers、1977-2001年)と称される一連の著作物などにおいて確認できる。
【0098】
ある実施形態においては、米国特許第5,409,839号明細書において記載され、その開示が本明細書で参照によって援用される、ペルフルオロカーボントレーサー(PFT)技術が本発明に従って使用される。かかる実施形態においては、医薬品、容器、及び/又は包装システムは、ヒト、非ヒト、及び/又は嗅覚測定装置によって検出されうる検出可能なトレーサー(例えば、蒸気又は香り)を放つPFTを含む。かかるPFTとしては、例えば、ペルフルオロシクロアルカン類、例えば、ペルフルオロジメチルシクロブタン(PDCB)、ペルフルオロメチルシクロヘキサン(PMCH)、及びペルフルオロジメチルシクロヘキサン(PDCH)など、ペルフルオロ芳香族化合物、例えば、ヘキサフルオロベンゼン(HGB)、オクタフルオロトルエン(OFT)、デカフルオロビンフェニル(DFBP)、デカフルオロキシレン(DFX)、オクタフルオロナフタレン(OFN)、及びペンタフルオロピリデン(PFP)など、ペルフルオロアルカン類、例えば、ペルフルオロヘキサン(PFH)、ペルフルオロペンタン(PFPT)、及びペルフルオロオクタン(PFO)など、及びペルフルオロシクロアルカン類、例えば、デカフルオロシクロヘキセン(DFCH)及びオクタフルオロシクロペンテン(OFCP)など、pf-メチルシクロペンタン(PMCP)、pf-1,2-ジメチルシクロヘキサン(o-PDCH1)、pf-1,3-ジメチルシクロヘキサン(m-PDCH1)、pf-1,4-ジメチルシクロヘキサン(p-PDCH1)、pf-トリメチルシクロヘキサン(PTCH)、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましいPFT類は、PMCH、PMCP、o-PDCH1、m-PDCH1、p-PDCH1、及びPTCHである。
【0099】
ある実施形態においては、本発明において使用するための香りは、ヒト嗅覚によって感知可能である量で存在する。ある別の実施形態においては、芳香の偽造を回避するために、かつ医薬製品の隔離された「香りの特性」を提供するために、香りは、ヒト嗅覚によっては感知するのが困難又は感知不可能であるが、他の手段によって検出されえる量で存在する。
【0100】
例えば、ある実施形態においては、本発明において使用するための香りは、ヒト嗅覚によっては感知することが生理的に困難であり、好ましくは、生理的に不可能であるが、非ヒト動物(例えば、イヌ)感知され、又は放出される臭気を識別することが可能な嗅覚測定装置によっては検出されるのに十分な量である。好ましくは、香りは、きわめて低い閾値で、非ヒト哺乳動物、又は臭覚測定装置(上記開示)のいずれかによって検出可能であることが公知である。
【0101】
嗅覚はある哺乳動物では、生来又は訓練後に関係なく、ヒトにおけるよりもはるかに良く発達している。それらの嗅覚の使用によって、これらの哺乳動物は、きわめて弱い又はかすかな臭気の正体又は原因を識別することができる。ある実施形態においては、ヒト嗅覚によっては検出不可能であるが、所定の動物又は嗅覚測定装置によって検出可能であることが公知の特定の香りを医薬製品に添加するのに十分である。イヌは本発明の実施に従って特に有用でありうるが、それはイヌの嗅覚がヒトの嗅覚の最大で百万倍になるためである。また、イヌには特に不快感を与えるある臭気があり、それらは、かんきつ類の香り(例えば、レモン、ライム、及びオレンジ)、ピリッとした香り(例えば、赤トウガラシ)、及びシトロネラなどである。したがって、ある実施形態においては、イヌによってより検出可能であるため、これらの香りの1つ若しくはそれ以上が好ましい。
【0102】
ある好ましい実施形態においては、使用される香りの量はきわめて低い濃度であり、かつ具体的には、香りを含む担体がヒト眼には感知できないように印をつける対象に香りを含有する担体を当業者が容易に加えうる濃度である。
【0103】
ある実施形態においては、本発明はさらに、好ましくは、医薬製剤が製造され、瓶詰めされ、又は包装された特定の時間及び/又は場所によって、本発明において使用するための香りを変化又は変更する方法に関する。例えば、医薬製剤が月曜日に製造された場合は、香りは特定の臭気又は各臭気(例えば、サクランボ、リンゴ、それらの組合せ)の組合せであり、ある「香りの特性」又は「香りの指紋」を示しうるが、医薬製剤が火曜日に製造された場合は、香りは異なる特定の臭気又は各臭気(例えば、チョコレート、バナナ、それらの組合せ)であってもよい。好ましい実施形態においては、香りは、医薬製剤のロット又はバッチ番号によって変化しうる。例えば、医薬製剤に組込まれた香り、医薬製剤を含有する容器、瓶又は装置を含有する箱又は他の医薬包装システム、それらの組合せなど、1つのロットにおいては1つの臭気又は各臭気(例えば、サクランボ、リンゴ、それらの組合せ)の組合せであってもよいが、別のロットは別の臭気又は各臭気(例えば、チョコレート、バナナ、それらの組合せ)の組合せであってもよい。
【0104】
ある好ましい実施形態においては、本発明はさらに、医薬製剤の流用を防ぐ方法に関する。例えば、本発明による香りの含有物を用いて、医薬製剤の供給源(例えば、製造工場又は医薬品流通施設)を判定しうる。医薬製品の製造及び包装が一国の異なる場所及び/又は複数の国々において実行されうるという事実に照らして、医薬製品における異なる香りの含有物は、例えば、製造施設がその医薬品の供給源であったことを示す必要がある情報を提供しうる。医薬製品における異なる香りの含有物は、製品が適切な消費者、クライアント、又は顧客から適切でない消費者、クライアント、又は顧客に流用されたかを示すのに役立ちうる。
【0105】
ある好ましい実施形態においては、本発明の包装システム、容器、又は医薬製剤は、視覚的指標をさらに含んでいてもよい。視覚的指標は、例えば、あるインク、染料、発光材料、ホログラム、透かし、マイクロ複製(micro-replicated)パターン、又はそれらの組合せであってもよい。
【0106】
ある実施形態においては、低分子量のハプテンからなるマーカーが、医薬組成物における成分、容器若しくは医薬包装における構成要素、又はそれらの組合せに共有結合されうる。かかるマーカーは、例えば、PCT国際公開第95/06249号パンフレットにおいて記載されており、その開示は本明細書によって参照することにより含まれる。ハプテンが含まれているある実施形態においては、マーカーは最初に機能モノマーに共有結合し、次いでハプテンモノマー化合物を重合し、共有結合ハプテンを有するポリマーを形成することによって製造されうる。その後、ポリマーは、医薬品剤形、容器、及び/又は医薬包装に組込まれうる。ハプテンマーカーの存在は、PCT国際公開第95/06249号パンフレットに記載されているように検出されうる。
【0107】
本発明の方法は、当技術分野で公知の、かつ特に窃盗、流用、偽造、及び/又は誤用又は乱用を起こしやすい医薬製剤に従って使用されうる。ある好ましい実施形態においては、本発明の医薬製剤は、オピオイド鎮痛薬を含む。非限定的な実施形態においては、医薬製剤において有用なオピオイド鎮痛薬は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキシトロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトへプタジン、エチルメエチルチアムブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニル、フェンタニル誘導体、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルフィン、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレツム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、上述のいずれかの混合物、上述のいずれかの塩などから選択されうる。ある実施形態においては、医薬製剤の剤形におけるオピオイド鎮痛薬の量は約75 ng〜約750 mgであってもよい。オピオイド鎮痛薬は、即時放出型又は制御放出型であってもよい。
【0108】
ある好ましい実施形態においては、オピオイド鎮痛薬は、ヒドロコドン、モルフィン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、オキシモルフォン、ブプレノルフィン、フェンタニル、フェンタニル誘導体、ジピパノン、ヘロイン、トラマドール、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、レボルファノール、それらの塩、及びそれらの組合せよりなる群から選択される。ある実施形態においては、オピオイド鎮痛薬は、オキシコドン若しくはヒドロコドン、又はそれらの塩である。
【0109】
本発明に従って有用である、ある他の薬物としては、例えば、栄養薬、抗感染薬(例えば、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、例えば抗HIV/AIDS薬及び抗ヘルペス薬など、抗マラリア薬)、心血管薬(例えば、ace阻害剤、及びスタチンなどのコレステロール低下薬(例えば、Lipitor(登録商標))、CNS薬(例えば、Zoloft(登録商標)、Prozac(登録商標)、Effexor(登録商標)、Lexapro(登録商標)などのSSRI、ベンゾジアゼピンなどの抗不安薬、Ritalin(登録商標)などの興奮剤)、皮膚用薬、性尿器用薬、ホルモン剤(例えば、アナボリックステロイド剤、成長ホルモン剤、及びエストロゲン)、生活改善薬(例えば、Viagra(登録商標)、Levitra(登録商標)などの勃起不全治療薬、Propecia(登録商標)などの脱毛治療薬)、筋骨格薬、及び呼吸器用薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
以下の説明は、例示目的に限られており、実施例はいかなる方法によっても本発明を限定することにはならない。
【0111】
図面、最初に図1を参考にすると、キャップ12がネジ込み式に係合されるネジ込み首部11を有し、首部のシールを保つ従来の医薬容器が示されている。ネジ込み首部11は、キャップ12の内面上に形成された1つ若しくはそれ以上の補助ネジに係合する上に形成されたらせん形のネジを有する。さらに、首部11は、周知の方法でキャップの基部に固定されているキャップ12の下端で補助的に内方へ突出するリングに係合するそれから突出するアニュラリング又はフランジ13を有する。この実施形態に従って、マイクロカプセル化芳香を含有する材料14の層が、首部11におけるフランジ13の下面に適用される。好ましくは、マイクロカプセル化材料14は、スラリーとしてフランジ13に適用され、乾燥させられる。キャップを回すことによって瓶が開けられると、マイクロカプセルがバーストし、芳香を放出する。
【0112】
図2は、ベースフラップ21、香りを含む層22で保護されている面21a、及び接着剤とともに、表面22aに接触するフラップ23を含む医薬包装システムの重複フラップの断面図である。フラップ23が除去されると、層22の香りが放出される。
【実施例1】
【0113】
予言的な(prophetic)本実施例においては、ヒドロコドン持続放出錠剤が以下の表1に記載されている製法で製造される。
【0114】
【表1】

【0115】
以下の手順に従う。
1. 分散遅延剤: オイドラギット(Eudragit)RS30Dとトリアセチン(Triacetin)をライトニングミキサーを用いて混合する。
2. ステアリルアルコールを融解させる。
3. 分散遅延剤を酒石酸水素ヒドロコドン、噴霧乾燥乳糖、及びポビドン上へ流動床造粒機を用いて噴霧する。
4. ステンレス鋼トレイ上で15分間、又は一定の重量までバッチを乾燥させる。
5. 融解ステアリルアルコールをホバート(Hobart)ミキサーを用いてバッチへ組入れる。
6. ワックス顆粒をステンレス鋼上で30分間、又は顆粒の温度が35℃以下に達するまで乾燥させる。
7. 冷却顆粒をCoMilにより粉砕する。
8. 顆粒をタルク及びステアリン酸マグネシウムでホバート(Hobart)ミキサーを用いて潤滑化する。
9. 顆粒を錠剤機を用いて錠剤へ圧縮する。
【0116】
次いで、錠剤は、例えば、5.0 gmオパドライパープル(Opadry Purple)YS-1-10371-A(バッチ毎)及び純水中のデカナール量を分散し、かつそれを錠芯に適用することによって水性フィルムコーティングでコーティングされる。デカナールの量は、ヒト閾値超、又はヒト閾値未満の量であるが、電子鼻によって検出可能である量であってもよい。所望の閾値を得るデカナールの量は、当業者によって、例えば、M.デボス(Devos)ら、標準化ヒト嗅覚閾値(Standardized Human Olfactory Thresholds)(1990年)の51ページを参照することによって決定されうる。
【実施例2】
【0117】
香り付きナルトレキソン
予言的な(prophetic)本実施例においては、オピオイドアンタゴニストのナルトレキソンHClが、溶融押出多粒子(以下「MEM」)として調製され、隔離製品を得る。製法は以下の表に示されている。
【0118】
【表2】

【0119】
実施例1のナルトレキソンHClは以下の工程を用いて調製される。
工程
1. 破砕:ステアリルアルコールフレークを16メッシュスクリーンが装備された振動ミルを通過させ、容易に混合可能である粉末を得る。
2. 混合:ナルトレキソンHCl、オイドラギットRSPO、破砕ステアリルアルコール、ステアリン酸、及びBHTをツインシェルブレンダー中で混合する。
3. 押出し:工程2からの混合材料を2軸押出し機へ連続的に供給し、1.7 kg/時〜2.6 kg/時の速度で押出収集する(Leistritz ZSE-27)。混合物をバレル温度範囲75℃〜100℃で直径約1mmのより糸に押出す。押出より糸をコンベヤー上に収集する。
4. 冷却:より糸をコンベヤー上で冷却させる。
5.ペレット化:冷却より糸をペレタイザーを用いて長さ約1mmのペレットに切断する。
6. 篩い分け:ペレットを16 TBCメッシュ及び26 TBCメッシュスクリーンを用いて振動分離器を通じて篩い分ける。26 TBCメッシュスクリーン上に保持された材料を所望の製品として収集する。
7. カプセル化:篩い分けされたペレットを目標重量121mgで硬ゼラチンカプセルへ充填する。
【0120】
ベンズアルデヒドの量が、混合及び/又は押出し工程における上記工程に含まれる。
【0121】
次いで、MEM類の香りを以下のとおりアクリルポリマーの25%コーティングでコーティングする。
【0122】
【表2A】

【0123】
コーティングは以下の工程に従って調製される。
工程
1.機能的コーティング分散液:オイドラギットRS30Dをクエン酸トリエチルと混合し、15分間可塑化する。Cab-O-Silを合計20% w/w固体の分散液を得るために十分な水中に分散する。Cab-O-Sil分散液をオイドラギット混合物に添加する。
2. 着色コーティング分散液:オパドライを水と混合し、10% w/w分散液を得る。
3. 機能的コーティング:オイドラギット分散液を流動床プロセッサ(GPCG-1)を用いる700 gスケールで以下のパラメータガイドラインにより上記で調製されたナルトレキソンペレット上に噴霧する。
・気流速度:8.5から9.5 m/秒
・吸気温度:35℃
・分散噴霧速度:14 g/分
理論分散量が5%、10%、15%、20%、及び25%増量のために噴霧された時点でサンプルを採取した。
4. 着色コーティング:機能的コーティングの終了と同時に、オパドライ分散液をコーティングペレット上に以下のパラメータガイドラインを用いて噴霧する。
・気流速度:8.5m/秒
・吸気温度:35〜45℃
・分散噴霧速度:8.5 g/分
5. 篩い分け:14 USメッシュスクリーン及び20 USメッシュスクリーンを通じてペレットを篩い分ける。20 USメッシュスクリーン上に保持された材料を所望の製品として収集する。
6. 硬化:篩い分けされたペレット及びサンプルを45℃で、24時間オーブン中に配置する。
【0124】
乳鉢及び乳棒による押しつぶしと同時に、香りの「バースト」が放出されることが予想されるが、これは例えば、ヒト嗅覚系、非ヒト哺乳動物、若しくは嗅覚測定装置、又はそれらの組合せによって香りの検出を促進しうる。所望の閾値を得るデカナールの量は、当業者によって、例えば、M.デボス(Devos)ら、標準化ヒト嗅覚閾値(Standardized Human Olfactory Thresholds)(1990年)の28ページを参照することによって決定されうる。
【0125】
別の実施形態においては、第2の香り、例えば、デカナールが、実施例1と同じように工程4の着色コーティングに含有されうる。
【0126】
本明細書で開示された本発明は特定の実施形態及びその応用によって記載されているが、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに当業者によってそれに対する多くの変更及び変型がなされうる。かかる変更は添付の請求の範囲の範囲内であると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明による香りを含む医薬容器を示す図である。
【図2】本発明による香りを含む医薬包装システムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製品を識別するための方法であって、投与前に医薬製品に与えられた香りを嗅覚測定装置により検出することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記医薬製品がオピオイド鎮痛薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、香りを医薬製品に与えることを含み、前記香りはヒトの嗅覚によっては検出不可能であるが、非ヒト動物又は嗅覚測定装置によって検出可能であり、かつ前記香りが医薬製品の同一性、医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項4】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、医薬製品に与えられる香り又は香りの特性(scent profile)を変更することを含み、前記香り又は香りの特性は、前記医薬製品がいつ製造され、瓶詰めされ、又は包装されるかを示すために変更され、前記香り又は香りの特性は前記医薬製品、前記医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項5】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、医薬製品に与えられる香り又は香りの特性を変更することを含み、前記香り又は香りの特性は、前記医薬製品がどこで製造され、瓶詰めされ、又は包装されるかを示すために変更され、前記香り又は香りの特性は前記医薬製品、前記医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項6】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、公衆へ流通及び販売するための政府機関によって承認されている有効成分を含有する医薬製品を識別すること、及び香りを含むように再調製される前記医薬製品の政府機関による再承認を必要とすることがない量で前記医薬製品に香りを与えることを含み、前記香りは前記医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項7】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、第1の香りを医薬製品に与え、かつ第2の香りを前記医薬製品用の容器に与えることを含み、前記第1及び第2の香りが前記医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せの表示を提供する、前記方法。
【請求項8】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、第1の香りを医薬製品に与え、かつ第2の香りを前記医薬製品用の包装システムに与えることを含み、前記第1及び第2の香りが前記医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せの表示を提供する、前記方法。
【請求項9】
医薬製品の流用を減らす方法であって、ヒト嗅覚閾値未満である量で香りを医薬製品に与えることを含み、前記香りが嗅覚装置又は非ヒト哺乳動物によって検出可能である、前記方法。
【請求項10】
予防医薬製品の偽造を減らす方法であって、医薬製品、前記医薬製品用の容器、前記医薬製品用の包装、又はそれらの組合せに香りを与えることを含み、前記香りがヒト嗅覚には検出不可能である量で与えられ、前記香りが嗅覚装置又は非ヒト哺乳動物によって検出可能である、前記方法。
【請求項11】
医薬製品が偽物であるかどうかを分析する方法であって、本物の医薬製品のものと同じである香りの存在について、未知の同一性又は供給源のものを用いて医薬製品を試験することを含む、前記方法。
【請求項12】
前記香りの非存在が偽造製品を示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、医薬製品を含有する医薬容器に香りを与えることを含み、前記香りが前記医薬製品の同一性又は供給源を示す、前記方法。
【請求項14】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、医薬製品を含有するために適合する医薬容器に香りを与えること、及び前記医薬製品を前記医薬容器へ挿入することを含み、前記香りが前記医薬製品の同一性又は供給源を示す、前記方法。
【請求項15】
前記香りが香り放出剤(scent releasant)に含まれている、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記香り放出剤が、香り付き接着剤、香りパッチ、香りバーストフィルム、香り調剤用錠剤、香り含有カプセル、マイクロカプセル化された香り、マイクロカプセル化された香りのフィルム、及びそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬容器が、医薬製品封じ込め部分と、閉鎖部分と、前記閉鎖部分と前記医薬製品封じ込め部分との間のヘッドスペースとを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項18】
前記ヘッドスペースが前記香りを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記香りがエアロゾル又は気体の形態である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記香りが、揮発性油、芳香化合物、香味液体含油樹脂、花抽出物、果実抽出物、及びそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項21】
前記香りが、アルデヒド、エステル、及びそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項22】
前記香りが、ベンズアルデヒド、シトラール、ネラール、デカナール、アルデヒドC-8、アルデヒドC-9、アルデヒドC-12、トリルアルデヒド、2,6−ジメチルオクタナール、2-ドデセナール、及びそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
医薬製品を含有するための容器であって、前記容器が、
医薬製品を含有する医薬製品封じ込め部分、
前記封じ込め部分と接触した閉鎖部分であって、前記医薬製品封じ込め部分へのアクセスを得るために、前記封じ込め部分から少なくとも部分的に除去されていてもよい前記閉鎖部分、及び
前記容器と接触する香り放出剤
を含む、前記容器。
【請求項24】
前記封じ込め部分がオープントップを有する首部を含む、請求項23に記載の容器。
【請求項25】
前記首部がネジが切られることで、前記閉鎖部分が前記首部にネジ込み式に係合できるようになっている、請求項24に記載の容器。
【請求項26】
前記香り放出剤が、フランジに挿入されたマイクロカプセル化された香りの材料の層を含む、請求項25に記載の容器。
【請求項27】
閉鎖部分が最上部からの除去のため前記首部で回転し、前記容器を開放し、その前記医薬製品を分配することで、前記マイクロカプセルの少なくとも一部分が破裂し、前記香りが放出される、請求項26に記載の容器。
【請求項28】
医薬包装システムであって、
医薬製品を含有する医薬容器を保持するための包装であり、前記包装が前記包装を開放及び閉鎖するための閉鎖部分を有する包装と、前記包装と接触する香り放出剤とを含み、前記包装が開放すると、前記香り放出剤が香りを放出する、前記システム。
【請求項29】
前記包装が箱である、請求項28に記載の包装システム。
【請求項30】
前記香り放出剤が接着剤である、請求項28に記載の包装システム。
【請求項31】
前記香り放出剤が、印刷された医薬製品情報添付文書を前記包装上に固定するための接着剤である、接着剤28に記載の包装システム。
【請求項32】
前記包装が識別ラベルを受入れることに適合し、かつ前記香り放出剤が前記ラベルをシールするための接着剤である、接着剤28に記載の包装システム。
【請求項33】
前記香り放出剤が香りバーストフィルムである、接着剤28に記載の包装システム。
【請求項34】
前記閉鎖部分が、対向して重なる少なくとも2つのフラップを含む、接着剤28に記載の包装システム。
【請求項35】
前記香り放出剤は、密閉してシールされたホイル包装システムに包まれた香り調剤用錠剤であり、前記ホイル包装システムは前記包装が開放される際に破られるまで前記香りの放出を防ぐ、請求項28に記載の包装システム。
【請求項36】
前記香り調剤用錠剤が前記閉鎖部分に配置される、請求項35に記載の包装システム。
【請求項37】
前記香り調剤用錠剤が、濃縮液体香料で飽和したパッド又は芯である、請求項36に記載の包装システム。
【請求項38】
前記香り放出剤は、その外表面がマイクロカプセル化された香りのフィルムでコーティングされた接着ラベルであり、前記マイクロカプセル化された香りが保護コーティングによって覆われており、それによって、保護コーティングをスクラッチすることにより前記香りを含有する前記マイクロカプセルの少なくとも一部を分裂させることで前記香りが放出される、請求項28に記載の包装システム。
【請求項39】
前記香り放出剤が、手圧によって破壊可能であるカプセルを含む香りである、請求項28に記載の包装システム。
【請求項40】
医薬キットであって、
医薬製品を含有することに適合した薬学的に許容し得る容器、
前記医薬製品の同一性又は供給源を示すための1つ若しくはそれ以上の香り、及び
前記1つ若しくはそれ以上の香りが前記医薬製品、前記医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを識別することを示す証印
を含む、前記キット。
【請求項41】
前記証印が印刷された証印である、請求項41に記載のキット。
【請求項42】
医薬製品をさらに含む、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
前記医薬製品が少なくとも1つの香りを含む、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記容器が少なくとも1つの香りを含む、請求項40に記載のキット。
【請求項45】
前記容器及び前記医薬製品が各々少なくとも1つの香りを含む、請求項42に記載のキット。
【請求項46】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、
医薬製品を含有することに適合した医薬容器に香りを与えること、及び、前記医薬製品を前記医薬容器へ挿入することを含み、前記香りがヒトの嗅覚によっては検出不可能であるが、非ヒト動物又は嗅覚測定装置によって検出可能であり、かつ前記香りが前記医薬製品の同一性、前記医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項47】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、
医薬製品を含有することに適合した医薬容器に与えられる香りを変化させることを含み、前記香りが、前記医薬製品がいつ製造され、瓶詰めされ、又は包装されるかによって変化し、前記香りが前記医薬製品の同一性、前記医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項48】
医薬製品を含有する医薬容器に与えられる香りを検出することを含む、医薬製品を識別するための方法。
【請求項49】
前記香りがヒト嗅覚の使用により検出される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記香りが電子嗅覚測定装置の使用により検出される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記香りがガスクロマトグラフィー装置の使用により検出される、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記香りが非ヒト哺乳動物の使用により検出される、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記香りから前記医薬製品の供給源を識別することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記香りから前記容器に含まれる前記医薬製品を識別することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
複数の香りが医薬製品を含有する前記医薬容器に与えられ、香りの特性を生ずる、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、
医薬製品を含有する医薬容器に香りを与えることを含み、前記香りが前記医薬製品の供給源又は同一性を示す、前記方法。
【請求項57】
前記医薬製品がオピオイド鎮痛薬を含む、請求項56に記載の容器。
【請求項58】
前記医薬製品がオピオイド鎮痛薬を含む、請求項28に記載の包装システム。
【請求項59】
前記医薬製品がオピオイド鎮痛薬を含む、請求項42に記載のキット。
【請求項60】
前記香りが、前記容器に含まれる前記医薬製品の同一性又は供給源を、前記容器における医薬製剤の使用者又は調剤師に示す、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項61】
医薬ビジネスを行うための方法であって、
a.請求項42に記載のキットを製造すること、及び
b.前記キットを使用する利点をヘルスケア提供者に知らせ、偽造又は流用を防ぐこと
を含む、前記方法。
【請求項62】
医薬製品ビジネスを行うための方法であって、
a.請求項42に記載のキットを製造すること、及び
b.前記キットを使用する利点を法執行機関に知らせ、偽造又は流用を防ぐこと
を含む、前記方法。
【請求項63】
医薬製品ビジネスを行うための方法であって、
a.請求項42に記載のキットを販売するための流通ネットワークを提供すること、及び
b.指示材料を、前記キットの供給源を識別するために患者又は医師に提供すること
を含む、前記方法。
【請求項64】
医薬製品ビジネスを行うための方法であって、
a.請求項42に記載のキットを販売するための流通ネットワークを提供すること、及び
b.指示材料を、前記キットの供給源を識別するために法執行機関に提供すること
を含む、前記方法。
【請求項65】
前記香りがヒト嗅覚系によって検出可能である、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記香りがヒト嗅覚系には検出不可能であり、非ヒト動物又は嗅覚測定装置には検出可能である、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
少なくとも2つの香りが前記医薬製品の供給源又は同一性を示すために使用される、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
少なくとも1つの香りを利用し、前記医薬製品の同一性を示す、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
少なくとも1つの香りを利用し、前記医薬製品の供給源を示す、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1つの香りを利用し、前記医薬製品の流通を追跡する、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも1つの香りを利用し、前記医薬製品の製造バッチを示す、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1つの香りを利用し、前記医薬製剤の製造年月日を示す、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
少なくとも1つの追加のマーカーを利用し、前記同一性、供給源、流通、バッチ、年月日、又はそれらの組合せを示す、請求項61〜64のいずれか1項に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製品を識別するための方法であって、投与前に医薬製品に与えられた香りを嗅覚測定装置により検出することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記医薬製品がオピオイド鎮痛薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、香りを医薬製品に与えることを含み、前記香りはヒトの嗅覚によっては検出不可能であるが、非ヒト動物又は嗅覚測定装置によって検出可能であり、かつ前記香りが医薬製品の同一性、医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項4】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、医薬製品に与えられる香り又は香りの特性(scent profile)を変更することを含み、前記香り又は香りの特性は、前記医薬製品がいつ製造され、瓶詰めされ、又は包装されるかを示すために変更され、前記香り又は香りの特性は前記医薬製品、前記医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項5】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、医薬製品に与えられる香り又は香りの特性を変更することを含み、前記香り又は香りの特性は、前記医薬製品がどこで製造され、瓶詰めされ、又は包装されるかを示すために変更され、前記香り又は香りの特性は前記医薬製品、前記医薬製品の供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項6】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、公衆へ流通及び販売するための政府機関によって承認されている有効成分を含有する医薬製品を識別すること、及び香りを含むように再調製される前記医薬製品の政府機関による再承認を必要とすることがない量で前記医薬製品に香りを与えることを含み、前記香りは前記医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せを示す、前記方法。
【請求項7】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、第1の香りを医薬製品に与え、かつ第2の香りを前記医薬製品用の容器に与えることを含み、前記第1及び第2の香りが前記医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せの表示を提供する、前記方法。
【請求項8】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、第1の香りを医薬製品に与え、かつ第2の香りを前記医薬製品用の包装システムに与えることを含み、前記第1及び第2の香りが前記医薬製品の同一性、供給源、又はそれらの組合せの表示を提供する、前記方法。
【請求項9】
医薬製品の流用を減らす方法であって、ヒト嗅覚閾値未満である量で香りを医薬製品に与えることを含み、前記香りが嗅覚装置又は非ヒト哺乳動物によって検出可能である、前記方法。
【請求項10】
予防医薬製品の偽造を減らす方法であって、医薬製品、前記医薬製品用の容器、前記医薬製品用の包装、又はそれらの組合せに香りを与えることを含み、前記香りがヒト嗅覚には検出不可能である量で与えられ、前記香りが嗅覚装置又は非ヒト哺乳動物によって検出可能である、前記方法。
【請求項11】
医薬製品が偽物であるかどうかを分析する方法であって、本物の医薬製品のものと同じである香りの存在について、未知の同一性又は供給源のものを用いて医薬製品を試験することを含む、前記方法。
【請求項12】
前記香りの非存在が偽造製品を示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、医薬製品を含有する医薬容器に香りを与えることを含み、前記香りが前記医薬製品の同一性又は供給源を示す、前記方法。
【請求項14】
医薬製品の識別性を提供するための方法であって、医薬製品を含有するために適合する医薬容器に香りを与えること、及び前記医薬製品を前記医薬容器へ挿入することを含み、前記香りが前記医薬製品の同一性又は供給源を示す、前記方法。
【請求項15】
前記香りが香り放出剤(scent releasant)に含まれている、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記香り放出剤が、香り付き接着剤、香りパッチ、香りバーストフィルム、香り調剤用錠剤、香り含有カプセル、マイクロカプセル化された香り、マイクロカプセル化された香りのフィルム、及びそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬容器が、医薬製品封じ込め部分と、閉鎖部分と、前記閉鎖部分と前記医薬製品封じ込め部分との間のヘッドスペースとを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項18】
前記ヘッドスペースが前記香りを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記香りがエアロゾル又は気体の形態である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記香りが、揮発性油、芳香化合物、香味液体含油樹脂、花抽出物、果実抽出物、及びそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項21】
前記香りが、アルデヒド、エステル、及びそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項22】
前記香りが、ベンズアルデヒド、シトラール、ネラール、デカナール、アルデヒドC-8、アルデヒドC-9、アルデヒドC-12、トリルアルデヒド、2,6−ジメチルオクタナール、2-ドデセナール、及びそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
医薬製品を含有するための容器であって、前記容器が、
医薬製品を含有する医薬製品封じ込め部分、
前記封じ込め部分と接触した閉鎖部分であって、前記医薬製品封じ込め部分へのアクセスを得るために、前記封じ込め部分から少なくとも部分的に除去されていてもよい前記閉鎖部分、及び
前記容器と接触する香り放出剤
を含む、前記容器。
【請求項24】
前記封じ込め部分がオープントップを有する首部を含む、請求項23に記載の容器。
【請求項25】
前記首部がネジが切られることで、前記閉鎖部分が前記首部にネジ込み式に係合できるようになっている、請求項24に記載の容器。
【請求項26】
前記香り放出剤が、フランジに挿入されたマイクロカプセル化された香りの材料の層を含む、請求項25に記載の容器。
【請求項27】
閉鎖部分が最上部からの除去のため前記首部で回転し、前記容器を開放し、その前記医薬製品を分配することで、前記マイクロカプセルの少なくとも一部分が破裂し、前記香りが放出される、請求項26に記載の容器。
【請求項28】
医薬包装システムであって、
医薬製品を含有する医薬容器を保持するための包装であり、前記包装が前記包装を開放及び閉鎖するための閉鎖部分を有する包装と、前記包装と接触する香り放出剤とを含み、前記包装が開放すると、前記香り放出剤が香りを放出する、前記システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504491(P2006−504491A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550314(P2004−550314)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/034634
【国際公開番号】WO2004/041328
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】