説明

半導体インゴット搬送システム

【課題】インゴット13を容易に搬送できる半導体インゴット搬送システム7を提供する。
【解決手段】昇降装置7cは、半導体インゴットを支持した状態の支持部材14を第1の位置から第2の位置に上昇させ、移送部70及び/又は昇降装置7cは、保持部80と支持部材14とを相対的に近接する方向に移動させて、半導体インゴットを支持した状態の支持部材14を第1開口部80aから保持部80の内部に導入させ、第2開口部80cの上方に位置させると、昇降装置7cは、半導体インゴットを支持した状態の支持部材14を第2の位置から第1の位置に向けて下降させて、支持部材14を係合部に係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体インゴットを搬送する半導体インゴット搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリコンウェーハ等の半導体ウェーハは、シリコン等の原料により略円柱状に形成された半導体インゴットをスライス処理することにより製造される。そして、この半導体インゴットのスライス処理は、インゴットの大径化等に伴い、内刃スライス装置による従来のスライス処理から、ワイヤソー装置による同時スライス処理によって製造する方法に移行している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、例えば、上述のワイヤソー装置のような、ある処理工程に使用する装置が次工程を行う場所と異なる場所に配設される場合がある。この場合においては、例えば、作業者等が所定の処理が行われた半導体インゴットを搬送用台車に載せ、作業者が次工程を行う装置が配設されている場所まで半導体インゴットを運ばなければならない。
【特許文献1】特開2008−254173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、昨今においては、半導体インゴットの大径化に伴い、作業者が搬送用台車を操作して半導体インゴットを搬送させるには困難な場合がある。例えば、半導体インゴットは、脆性破壊が起こりやすいため慎重に取り扱う必要があるが、半導体インゴットは重量物である。そのため、作業者による運搬作業では、運搬中に半導体インゴットを壊してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、半導体インゴットを容易に搬送させることが可能な半導体インゴット搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の半導体インゴット搬送システムは、半導体インゴットを支持する支持部材を、第1の位置と第2の位置との間で昇降させる昇降装置と、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を保持可能な保持部と、前記保持部を所定方向に移送させる移送部と、を有する移送装置と、を備え、前記保持部は、前記移送部による移送方向の少なくとも一方側に設けられ、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を前記保持部の内部に導入可能な第1開口部と、前記保持部の下部側に設けられる第2開口部と、前記保持部の下部側に設けられ、前記支持部材と係合可能な係合部と、を有し、前記昇降装置は、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を前記第1の位置から前記第2の位置に上昇させ、前記移送部及び/又は前記昇降装置は、前記保持部と前記支持部材とを相対的に近接する方向に移動させて、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を前記第1開口部から前記保持部の内部に導入させ、前記第2開口部の上方に位置させ、前記昇降装置は、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を前記第2の位置から前記第1の位置に向けて下降させて、前記支持部材を前記係合部に係合させることを特徴とする。
【0007】
(2)また、前記昇降装置は、前記半導体インゴットを支持した状態の支持部材を搬送可能なコンベア部に設けられることが好ましい。
【0008】
(3)また、前記移送部は、前記移送方向に延びる走行レール部と、前記保持部と連結され、前記走行レール部に吊り下げられた状態で前記走行レール部に取り付けられる走行部と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、半導体インゴットを容易に搬送させることが可能な半導体インゴット搬送システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、図1から図3を参照して、本発明の実施形態に係る半導体インゴット搬送システム7を備えるインゴットスライスシステム1の概略構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体インゴット搬送システムを備えるインゴットスライスシステムの概略構成を示す平面図である。図2は、図1に示すインゴットスライスシステムの概略構成を示す正面図である。図3は、本実施形態に係る半導体インゴット搬送システムにより搬送される第3インゴットを示す斜視図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、インゴットスライスシステム1は、第1ストッカ2aと、第2ストッカ2bと、接着装置3と、第1反転装置4aと、第2反転装置4bと、第1スライス装置5aと、第2スライス装置5bと、第1リフタ6aと、第2リフタ6bと、第3リフタ6cと、半導体インゴット搬送システム7と、を備えて構成されている。
【0012】
図3に示すように、第3インゴット13は、第2インゴット11と、支持台14とを有して構成されている。第3インゴット13は、第2インゴット11が支持台14に載置された状態をいう。第2インゴット11は、第1インゴット10と、固着部材としてのインゴットヘッド12と、を有する。第1インゴット10は、シリコン原料により略円柱状に形成されている。インゴットヘッド12は、当て板部12aと、ヘッド部12bと、を有する。当て板部12aは、矩形板状に形成されており、長手方向が第1インゴット10の軸方向と一致するように、第1インゴット10の外周面に接着されている。ヘッド部12bは、略直方体状に形成されている。ヘッド部12bは、長手方向が当て板部12aの長手方向と一致するように、当て板部12aの幅方向の略中央部に接着されている。第2インゴット11は、接着装置3で第1インゴット10にインゴットヘッド12が接着されることにより形成される。
【0013】
支持台14は、支持板部14aと、台座14bと、を有する。支持板部14aは、矩形板状に形成されており、後述の各搬送コンベア上を搬送可能に形成されている。台座14bは、インゴットヘッド12を下方側にした状態で第2インゴット11を支持板部14aに載置支持可能に形成されている。第2インゴット11は、支持台14に支持されることにより、後述の移送装置としての天井搬送車7aに安定した状態で載置可能になる。
【0014】
図1及び図2に示すように、第1ストッカ2a、接着装置3、第1反転装置4a、第1スライス装置5a、第1リフタ6a及び第2リフタ6bは、場所Aに配設されている。また、第2ストッカ2b、第2反転装置4b、第2スライス装置5b及び第3リフタ6cは、場所Bに配設されている。半導体インゴット搬送システム7は、場所Aと場所Bとを連通させる搬送通路Dに主として配設されている。
【0015】
第1ストッカ2aは、第1保管部20と、第1搬送コンベア22と、第2搬送コンベア23と、を有する。第1保管部20は、搬入された円柱状のインゴット(第1インゴット10)及び、接着装置3によりインゴットヘッド12が接着されたインゴット(第2インゴット11)を支持台14に支持させた状態(第3インゴット)で保管する。
【0016】
第1搬送コンベア22は、第1保管部20と第2リフタ6bとを接続する。第1搬送コンベア22は、第1保管部20に保管された第1インゴット10を第2リフタ6bに搬送する。また、第1搬送コンベア22は、接着装置3でインゴットヘッド12が接着され、支持台14に支持された第3インゴット13を第1保管部20に搬送する。第2搬送コンベア23は、第1保管部20と第1反転装置4aとを接続する。第2搬送コンベア23は、第1保管部20に保管された第3インゴット13を第1反転装置4aに搬送する。
【0017】
接着装置3は、接着装置本体30と、第3搬送コンベア31とを有する。接着装置本体30は、第1インゴット10にインゴットヘッド12を接着する(接着処理工程)。第3搬送コンベア31は、接着装置本体30と第1リフタ6aとを接続する。第3搬送コンベア31は、第1保管部20から搬送される第1インゴット10を第1リフタ6aから接着装置本体30に搬送する。また、第3搬送コンベア31は、インゴットヘッド12が接着され、支持台14に支持された第3インゴット13を接着装置本体30から第1リフタ6aに搬送する。
【0018】
第1反転装置4aは、第3搬送コンベア31により搬送された第3インゴット13から第2インゴット11を取り出し、インゴットヘッド12が上方側になるように第2インゴット11を反転させる。第1スライス装置5aは、第1反転装置4aにより反転された第2インゴット11を一定の厚さにスライスする(スライス処理工程)。
【0019】
第1リフタ6aは、上方側が第1インゴット10及び第3インゴット13を受け渡し可能に半導体インゴット搬送システム7に接続されている。また、第1リフタ6aの下方側は、第1インゴット10及び第3インゴット13を受け渡し可能に第3搬送コンベア31に接続されている。第1リフタ6aは、第1保管部20から半導体インゴット搬送システム7を介して接着装置3に搬送される第1インゴット10、又は接着装置3によりインゴットヘッド12が接着され、支持台14に支持された第2インゴット11(第3インゴット13)を昇降させる。
【0020】
同様に、第2リフタ6bは、上方側が第1インゴット10及び第3インゴット13を受け渡し可能に半導体インゴット搬送システム7に接続されている。また、第2リフタ6bの下方側は、第1インゴット10及び第3インゴット13を受け渡し可能に第1搬送コンベア22に接続されている。第2リフタ6bは、第1保管部20から半導体インゴット搬送システム7を介して接着装置3に搬送される第1インゴット10、又は接着装置3から半導体インゴット搬送システム7を介して第1保管部20に搬送される第3インゴット13を昇降させる。
【0021】
第2ストッカ2bは、保管部24と、第4搬送コンベア25と、第5搬送コンベア26と、を有する。保管部24は、第3インゴット13を保管する。第4搬送コンベア25は、第3リフタ6cと保管部24とを接続する。第4搬送コンベア25は、接着装置3から半導体インゴット搬送システム7により搬送される第3インゴット13を、第3リフタ6cから保管部24に搬送する。第5搬送コンベア26は、保管部24と第2反転装置4bとを接続する。第5搬送コンベア26は、保管部24に保管された第3インゴット13を第2反転装置4bに搬送する。
【0022】
第2反転装置4bは、第5搬送コンベア26により搬送された第3インゴット13から第2インゴット11を取り出し、インゴットヘッド12が上方側になるように第2インゴット11を反転させる。第2スライス装置5bは、第2反転装置4bにより反転された第2インゴット11を一定の厚さにスライスする(スライス処理工程)。
【0023】
第3リフタ6cは、上方側が第3インゴット13を受け渡し可能に半導体インゴット搬送システム7に接続されている。また、第3リフタ6cの下方側は、第3インゴット13を受け渡し可能に第4搬送コンベア25に接続されている。第3リフタ6cは、接着装置3から保管部24に搬送される第3インゴット13を昇降させる。
【0024】
半導体インゴット搬送システム7は、図4から図6に示すように、走行レール部7bに取り付けられる天井搬送車7aと、コンベア部としてのローラコンベア90と、を有する。走行レール部7bは、第1リフタ6a及び第2リフタ6bと、第3リフタ6cとを繋ぐように設けられている。つまり、走行レール部7bには、第1リフタ6a、第2リフタ6b及び第3リフタ6cのそれぞれの間を天井搬送車7aが往復移動可能に取り付けられている。また、走行レール部7bは、搬送通路Dにおいて、搬送通路Dの天井に取り付けられている。天井搬送車7aは、矩形状に形成されている。天井搬送車7aは、その内部に第1インゴット10又は第3インゴット13を支持可能に形成されている。ローラコンベア90は、昇降装置7cを有する。
【0025】
次に、本実施形態に係るインゴットスライスシステム1の一使用例について説明する。なお、本実施形態に係るインゴットスライスシステム1は、場所Aに配設される接着装置3に対して、場所Aに配設される第1スライス装置5aと、場所Bに配設される第2スライス装置5bと、を備える。そのため、接着装置3によりインゴットヘッド12が接着され、支持台14に支持された第3インゴット13は、場所Aに配設される第1スライス装置5a及び場所Bに配設される第2スライス装置5bのそれぞれに搬送される。
【0026】
第1インゴット10が場所Aに搬入されると、第1インゴット10は、まず、第1保管部20に移動され、ここで一時的に保管される。第1保管部20は、第1インゴット10を複数段に保管可能に形成されており、各段において第1インゴット10が保管される。
【0027】
次いで、第1インゴット10は、接着処理工程を行うために、接着装置3に移動される。まず、第1インゴット10は、第1搬送コンベア22により第2リフタ6bに搬送される。第2リフタ6bに搬送された第1インゴット10は、第2リフタ6bにより上昇され、第2リフタ6bの上方に設けられる半導体インゴット搬送システム7の天井搬送車7aに受け渡される。天井搬送車7aに受け渡された第1インゴット10は、第1リフタ6aまで天井搬送車7aにより搬送される。第1リフタ6aに搬送された第1インゴット10は、第1リフタ6aにより下降され、第1リフタ6aの下方側に設けられる第3搬送コンベア31に送られる。第3搬送コンベア31に送られた第1インゴット10は、第3搬送コンベア31により接着装置3に搬送され、接着装置3でインゴットヘッド12が接着される。このようにして、第1インゴット10は第2インゴット11となる。
【0028】
次に、インゴットヘッド12が接着された第1インゴット10、すなわち、第2インゴット11は、支持台14に載せられ、第3インゴット13とされる。次いで、第3インゴット13は、第3搬送コンベア31により第1リフタ6aに送られる。第1リフタ6aに送られた第3インゴット13は、第1リフタ6aにより上昇され、第1リフタ6aの上方に設けられる半導体インゴット搬送システム7の天井搬送車7aに受け渡される。天井搬送車7aに受け渡された第3インゴット13は、天井搬送車7aにより、場所A内の第2リフタ6b又は場所Bの第3リフタ6cまで搬送される。
【0029】
第2リフタ6bまで搬送された第3インゴット13は、第2リフタ6bにより下降され、第2リフタ6bの下方側に設けられる第1搬送コンベア22に送られる。第1搬送コンベア22に送られた第3インゴット13は、第1保管部20に送られ、第1保管部20で所定時間乾燥される。
【0030】
次いで、第1保管部20で所定時間乾燥された第3インゴット13は、スライス処理工程を行うために、第2搬送コンベア23により、第1反転装置4aに移動される。第1反転装置4aに移動された第3インゴット13は、第2インゴット11が取り出され、第1反転装置4aにより第2インゴット11が反転される。第1反転装置4aにより反転された第2インゴット11は、所定の搬送台車(図示せず)により、第1スライス装置5aに移動される。第1スライス装置5aに移動された第2インゴット11は、第1スライス装置5aにより、所定の厚さにスライスされる。
【0031】
同様に、天井搬送車7aにより場所Aと異なる場所Bに設けられる第3リフタ6cまで搬送された第3インゴット13は、第3リフタ6cにより下降され、第3リフタ6cの下方側に設けられる第4搬送コンベア25に送られる。第4搬送コンベア25に送られた第3インゴット13は、保管部24に送られ、保管部24で所定時間乾燥される。
【0032】
次いで、保管部24で所定時間乾燥された第3インゴット13は、スライス処理工程を行うために、第5搬送コンベア26により、第2反転装置4bに移動される。第2反転装置4bに移動された第3インゴット13は、第2反転装置により反転される。第2反転装置により反転された第2インゴット11は、所定の搬送台車(図示せず)により、第2スライス装置5bに移動される。第2スライス装置5bに移動された第2インゴット11は、第2スライス装置により、所定の厚さにスライスされる。
【0033】
次に、図4から図6を参照して、本実施形態に係る半導体インゴット搬送システム7について説明する。
図4は、本実施形態に係る半導体インゴット搬送システム7の外観を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る天井搬送車7aの外観を示す斜視図である。図6は、本実施形態に係るローラコンベアの外観を示す斜視図である。
【0034】
図4に示すように、本実施形態に係る半導体インゴット搬送システム7は、移送装置としての天井搬送車7aと、コンベア部としてのローラコンベア90と、を備えて構成されている。天井搬送車7aは、第3インゴット13を保持すると共に、第3インゴット13の軸方向(以下、「移送方向」という)Xに第3インゴット13を移送可能に構成されている。つまり、第3インゴット13は、第3インゴット13の軸方向に向けて移送される。ローラコンベア90は、昇降装置7cを有する。ローラコンベア90は、第3インゴット13を移送方向Xに移送し、ローラコンベア90の端部に設けられる昇降部95に配置される昇降装置7cに移動させる。昇降装置7cは、第3インゴット13を移送方向Xと直交する上下方向(以下、「昇降方向」という)Zに昇降させる。
なお、以下においては、移送方向Xと昇降方向Zとに直交する方向を横方向Yというものとする。
【0035】
図5に示すように、天井搬送車7aは、移送部70と、保持部80と、を有して構成されている。移送部70は、第3インゴット13を移送する移送方向Xに延びる走行レール部7bと、保持部80と連結され、保持部80を移送させる走行部71と、を有する。
走行レール部7bは、場所Aの内部と場所Bの内部とを繋ぐように配設されている。具体的には、走行レール部7bは、場所Aの内部に設けられる第1リフタ6a及び第2リフタ6bと、場所Bの内部に設けられる第3リフタ6cとを繋ぐように設けられている(図1及び図2参照)。また、走行レール部7bには、走行部71を移動可能に支持する取付支持部(図示せず)が設けられている。取付支持部は、走行部71を移送方向Xに移動可能に支持する。
【0036】
走行部71は、走行支持部72と、駆動部(図示せず)と、を有する。走行支持部72は、走行レール部7bに吊り下げられた状態で前記取付支持部に支持されている。また、走行支持部72は、保持部80と連結されている。駆動部は、走行支持部72を駆動させる。走行部71は、駆動部で走行支持部72を駆動させることにより、走行支持部72に連結された保持部80を走行レール部7bに沿って移送させる。
【0037】
保持部80は、上面部81と、第1フレーム82と、第2フレーム83と、第3フレーム84と、第4フレーム85と、第5フレーム86と、第6フレーム87と、を有する。上面部81は、移送方向Xに長い矩形状に形成されている。上面部81には、上面部81の横方向Yにおける略中央部に、走行支持部72が移送方向Xに沿った状態で連結されている。第1フレーム82、第2フレーム83、第3フレーム84及び第4フレーム85は、上面部81の4角にそれぞれ設けられている。
【0038】
第1フレーム82は、上面部81の第1角部81aに設けられている。第1フレーム82は、第1角部81aから昇降方向Zにおける下方側に立設されている。第2フレーム83は、第2角部81bに設けられている。第2角部81bは、第1角部81aの移送方向X側の角部に設けられている。第2フレーム83は、第2角部81bから昇降方向Zにおける下方側に立設されている。第3フレーム84は、上面部81の第3角部81cに設けられている。第3角部81cは、第1角部81aの横方向Y側の角部に設けられている。第3フレーム84は、第3角部81cから昇降方向Zにおける下方側に立設されている。第4フレーム85は、上面部81の第4角部81dに設けられている。第4角部81dは、第1角部81aと対向する側の角部に設けられている。第4フレーム85は、第4角部81dから昇降方向Zにおける下方側に立設されている。
【0039】
第5フレーム86は、移送方向Xに延びるように第1フレーム82の下方側の端部82aと第2フレーム83の下方側の端部83aとを連結する。第6フレーム87は、移送方向Xに延びるように第3フレーム84の下方側の端部84aと第4フレーム85の下方側の端部85aとを連結する。
保持部80は、上面部81、第1フレーム82、第2フレーム83、第3フレーム84、第4フレーム85、第5フレーム86、及び第6フレーム87により外形が直方体状になるように形成される。また、保持部80は、上面部81、第1フレーム82、第2フレーム83、第3フレーム84、第4フレーム85、第5フレーム86、及び第6フレーム87により、移送方向Xにおける一方側に第1開口部としての第1導入口80aと、移送方向Xにおける他方側に第1開口部としての第2導入口80bと、が形成されると共に、内部に第3インゴット13を配置可能になる。
【0040】
また、保持部80には、第5フレーム86から横方向Yにおける保持部80の内部側に突出する係合部としての第1係合部88が設けられている。また、保持部80には、第6フレーム87から横方向Yにおける保持部80の内部側に突出する係合部としての第2係合部89が設けられている。第1係合部88及び第2係合部89は、上面部81と略平行になるように形成されている。また、第1係合部88及び第2係合部89は、第3インゴット13の支持台14を載置可能に形成されている。支持台14は、後述の第2開口部80cを跨ぐようにして、第1係合部88及び第2係合部89の上に載置される。
【0041】
更に、第1係合部88と第2係合部89との間には、昇降装置7c(後述の第1昇降装置93及び第2昇降装置94)が配置可能な第2開口部80cが設けられている。第2開口部80cは、保持部80の内部、第1導入口80a及び第2導入口80bと連通している。また、第2開口部80cは、上面と対向するように設けられている。第2開口部80cは、昇降装置7c(後述の第1昇降装置93及び第2昇降装置94)により上昇された第3インゴット13を第1導入口80a又は第2導入口80bから保持部80の内部に導入可能に形成されている。つまり、第2開口部80cの横方向Yにおける長さは、昇降装置7c(後述の第1昇降装置93及び第2昇降装置94)の横方向Yにおける長さよりも長くなるように形成されている。また、第2開口部80cの横方向Yにおける長さは、支持台14の横方向Yにおける長さよりも短くなるように形成されている。
【0042】
図6に示すように、ローラコンベア90は、コンベア本体91と、昇降装置7cと、を有する。コンベア本体91は、移送方向Xに延びるように形成されている。コンベア本体91は、第1リフタ6a、第2リフタ6b及び第3リフタ6cのそれぞれに接続されている。ローラコンベア90は、第1リフタ6a及び第2リフタ6bにより昇降される第1インゴット、第1リフタ6a、第2リフタ6b及び第3リフタ6cにより昇降される第3インゴットを昇降部95に向けて搬送する。
【0043】
また、コンベア本体91は、横方向Yに延びる回転軸を有する複数のローラ92が移送方向Xに並列に配置されて構成される。コンベア本体91は、複数のローラ92を回転させることにより、第1インゴット又は第3インゴット13を移送方向Xに搬送させる。
【0044】
昇降装置7cは、昇降部95において、ローラコンベア90に設けられている。昇降装置7cは、第1昇降装置93と第2昇降装置94とを有する。第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、ローラ92とローラ92との間から昇降方向Zに昇降可能に形成されている。具体的には、第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、第3インゴット13を第1の位置から第2の位置に昇降可能に形成されている。
【0045】
なお、第1の位置とは、第1昇降装置93及び第2昇降装置94が第3インゴット13を支持しない位置であり、第3インゴット13がコンベア本体91上にある位置をいう(後述の図7及び図8参照)。第1の位置においては、第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、コンベア本体91の内部に収容されている。また、第2の位置とは、第1昇降装置93及び第2昇降装置94が第3インゴット13を上昇させ、第3インゴット13の支持台14とコンベア本体91との間に、第1係合部88及び第2係合部89が配置可能になる位置をいう(後述の図11及び図12参照)。
【0046】
第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、矩形板状に形成されている。第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、第1の面93a,94aで第3インゴット13を保持可能に形成されている。
【0047】
第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、ローラコンベア90の端部側に位置する昇降部95において、互いに対向するように設けられている。第1昇降装置93及び第2昇降装置94の横方向Yの長さは、第2開口部80cの横方向Yの長さよりも短くなるように形成されている。また、第1昇降装置93と第2昇降装置94とは、支持台14の移送方向Xにおける長さよりも、間隔が短くなるように移送方向Xに互いに離間して配置されている。
【0048】
次に、図7から図15を参照して、本実施形態に係る半導体インゴット搬送システム7の一使用例について説明する。図7は、第3インゴットがローラコンベアを昇降部に向かって搬送される状態を示す斜視図である。図8は、図7の正面図である。図9は、第3インゴットが昇降装置により第1の位置から第2の位置に上昇されると共に、第3インゴットの後方に天井搬送車が配置された状態を示す斜視図である。図10は、図9の正面図である。図11は、昇降装置により第2の位置に上昇された第3インゴットが天井搬送車の内部に導入された状態を示す斜視図である。図12は、図11の正面図である。図13は、昇降装置が第2の位置から第1の位置に向かって下降することにより、第3インゴットが第1係合部及び第2係合部に係合する状態を示す斜視図である。図14は、図13の正面図である。図15は、天井搬送車の第1係合部及び第2係合部に係合された第3インゴットが移送方向に移送される状態を示す斜視図である。
【0049】
本使用例においては、場所Aに配設される接着装置3で第3インゴット13とされた半導体インゴットが第1リフタ6aにより上昇され、半導体インゴット搬送システム7を介して場所Bに配設される第3リフタ6cに移送される例を用いて説明する。
【0050】
まず、接着装置3等で第3インゴット13とされた半導体インゴットは、第1リフタ6aにより上昇され、半導体インゴット搬送システム7に受け渡される。
第1リフタ6aにより上昇された第3インゴット13は、第1昇降装置93及び第2昇降装置94を有するローラコンベア90に載置されることにより受け渡される。
【0051】
図7に示すように、ローラコンベア90に載置された第3インゴット13は、ローラコンベア90の端部に設けられる昇降部95に搬送される。昇降部95に搬送された第3インゴット13は、昇降部95に搬送されると図7に示す昇降部95で停止する。このとき、第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、図8に示すように、コンベア本体91の内部に収容された状態にある。つまり、第3インゴット13は、コンベア本体91の上に載置された状態にある(第1の位置)。
【0052】
第3インゴット13が図7に示す昇降部95に移動されると、天井搬送車7aは、ローラコンベア90の移送方向Xに沿って、第1導入口80aが移送方向X側にある状態で第3インゴット13の後方に移動される。
【0053】
天井搬送車7aが第3インゴット13の後方に移動されると、次に、図9及び図10に示すように、第1昇降装置93及び第2昇降装置94が上昇を開始する。第1昇降装置93及び第2昇降装置94が上昇すると、第1昇降装置93の第1の面93aと第2昇降装置94の第1の面94aとが図8に示す第1の位置にある第3インゴット13の支持台14と当接する。このとき、第1の面93aと第1の面94aとは、第3インゴット13と当接した状態で第3インゴット13を支持する。第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、第1の面93aと第1の面94aとで第3インゴット13を支持した状態で更に上昇し、第3インゴット13を図10に示す第2の位置に移動させる。
【0054】
第3インゴット13が図10に示す第2の位置に移動すると、次に、図11及び図12に示すように、天井搬送車7aが昇降部95に向かって移動する。
ここで、天井搬送車7aには、移送方向X側に第1導入口80aが設けられている。また、図12に示すように、第1導入口80aは、第3インゴット13が天井搬送車7aの内部に導入可能に形成されている。また、天井搬送車7aの底部には、第1導入口80aと連通する第2開口部80cが設けられている。図12に示すように、第2開口部80cの横方向Yにおける長さは、第1昇降装置93及び第2昇降装置94の横方向Yにおける長さよりも長くなるように形成されている。つまり、第1昇降装置93及び第2昇降装置94が第2の位置に向かって昇降方向Zに延びた状態においては、図11及び図12に示すように、天井搬送車7aは、第1係合部88と第2係合部89とを昇降方向Zにおける支持台14とコンベア本体91との間に位置させることにより、第3インゴット13を内部に配置させることが可能になる。
【0055】
第3インゴット13が天井搬送車7aの内部に配置されると、図13及び図14に示すように、第1昇降装置93及び第2昇降装置94は、下降を開始する。第1昇降装置93及び第2昇降装置94が下降を開始すると、第1昇降装置93及び第2昇降装置94に支持される第3インゴット13も下降される。ここで、第3インゴット13を構成する支持台14の横方向Yにおける長さは、第2開口部80cの横方向Yにおける長さよりも長くなるように形成されている。そのため、第1昇降装置93及び第2昇降装置94の下降により第3インゴット13も下降するが、第3インゴット13は、下降の途中で、第1係合部88及び第2係合部89と係合する。つまり、第3インゴット13は、図14に示すように、第1係合部88及び第2係合部89に係合される。具体的には、支持台14が第1係合部88及び第2係合部89に係合される。第3インゴット13は、このようにして保持部80に保持される。
【0056】
第3インゴット13が保持部80に保持されると、図15に示すように、天井搬送車7aは、走行レール部7bに沿って移送方向Xに移動する。このようにして、第3インゴット13は、天井搬送車7aに保持された状態で、走行レール部7bに沿って第3リフタ6cまで搬送される。
【0057】
以上のように構成された本実施形態に係る半導体インゴット搬送システム7によれば、以下のような効果が奏される。
本実施形態によると、半導体インゴット搬送システム7は、昇降装置7cが第3インゴット13を第1の位置から第2の位置に上昇させ、移送部70が、保持部80と第3インゴット13とを相対的に近接する方向に移動させて、第3インゴット13を第1開口部80aから保持部80の内部に導入させ、第2開口部80cの上方に位置させると、昇降装置7cは、第3インゴット13を第2の位置から第1の位置に向けて下降させて、支持台14を係合部に係合させる。
そのため、第3インゴット13の第1リフタ6a等から天井搬送車7aに容易に受け渡しを行うことができると共に、受け渡された第3インゴットを次工程に向けて容易に移送させることが可能になる。
【0058】
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、天井搬送車7aを移動させて第3インゴット13を天井搬送車7aの内部に配置させる構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、第3インゴット13を支持した状態の第1昇降装置93及び第2昇降装置94を移動させて、天井搬送車7aの内部に配置させる構成としてもよい。また、この場合においては、天井搬送車7aを第1昇降装置93及び第2昇降装置94側に移動させてもよく、移動させなくてもよい。
【0059】
また、本実施形態においては、第3インゴット13は、第1導入口80aから保持部80の内部に配置させる構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、第3インゴット13は、第2導入口80bから保持部80の内部に導入させる構成としてもよい。
また、本実施形態においては、保持部80は、第1導入口80a及び第2導入口80bを有するように構成したが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、第1導入口80a又は第2導入口80bのいずれか一方を有する構成であってもよい。
【0060】
また、本実施形態においては、第1インゴット(半導体インゴット)10は、シリコンを原料として製造されたものを用いて説明したが、本発明においてはこれに限らない。例えば、第1インゴット(半導体インゴット)は、GaA、InP、ZnS、ZnSeを原料として製造されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態に係る半導体インゴット搬送システムを備えるインゴットスライスシステムの概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示すインゴットスライスシステムの概略構成を示す正面図である。
【図3】本実施形態に係る半導体インゴット搬送システムにより搬送される第3インゴットを示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る半導体インゴット搬送システム7の外観を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る天井搬送車の外観を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係る昇降装置の外観を示す斜視図である。
【図7】第3インゴットがローラコンベアに沿って、昇降装置に向かって搬送される状態を示す斜視図である。
【図8】図7の正面図である。
【図9】昇降装置により第1の位置から第2の位置に上昇された第3インゴットの後方に天井搬送車が配置された状態を示す斜視図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】昇降装置により第2の位置に上昇された第3インゴットが天井搬送台車の内部に導入された状態を示す斜視図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】昇降装置が第2の位置から第1の位置に向かって下降することにより、第3インゴットが係合部に係合する状態を示す斜視図である。
【図14】図13の正面図である。
【図15】天井搬送車の係合部に係合された第3インゴットが移送方向に移送される状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 インゴットスライスシステム
7 半導体インゴット搬送システム
7a 天井搬送車(移送装置)
7b 走行レール部
7c 昇降装置
12 第2インゴット(半導体インゴット)
13 第3インゴット
14 支持台(支持部材)
70 移送部
80 保持部
80a 第1導入口(第1開口部)
80b 第2導入口(第1開口部)
80c 第2開口部
88 第1係合部(係合部)
89 第2係合部(係合部)
93 第1昇降装置(昇降装置)
94 第2昇降装置(昇降装置)
A 場所
B 場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体インゴットを支持する支持部材を、第1の位置と第2の位置との間で昇降させる昇降装置と、
前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を保持可能な保持部と、前記保持部を所定方向に移送させる移送部と、を有する移送装置と、を備え、
前記保持部は、
前記移送部による移送方向の少なくとも一方側に設けられ、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を前記保持部の内部に導入可能な第1開口部と、
前記保持部の下部側に設けられる第2開口部と、
前記保持部の下部側に設けられ、前記支持部材と係合可能な係合部と、を有し、
前記昇降装置は、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を前記第1の位置から前記第2の位置に上昇させ、
前記移送部及び/又は前記昇降装置は、前記保持部と前記支持部材とを相対的に近接する方向に移動させて、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を前記第1開口部から前記保持部の内部に導入させ、前記第2開口部の上方に位置させ、
前記昇降装置は、前記半導体インゴットを支持した状態の前記支持部材を前記第2の位置から前記第1の位置に向けて下降させて、前記支持部材を前記係合部に係合させる半導体インゴット搬送システム。
【請求項2】
前記昇降装置は、前記半導体インゴットを支持した状態の支持部材を搬送可能なコンベア部に設けられる請求項1に記載の半導体インゴット搬送システム。
【請求項3】
前記移送部は、
前記移送方向に延びる走行レール部と、
前記保持部と連結され、前記走行レール部に吊り下げられた状態で前記走行レール部に取り付けられる走行部と、
を有する請求項1又は2に記載の半導体インゴット搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−149987(P2010−149987A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329655(P2008−329655)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】