説明

半導体ウェーハ用研磨液組成物

【課題】本願発明は、半導体ウェーハの研磨において、ウェーハ表面の50nm以下の大きさのLPDを効果的に低減可能な研磨液組成物の提供を課題とする。
【解決手段】 水、シリカ粒子、アルカリ化合物、水溶性高分子化合物及びポリエチレングリコールを含み、下記(a)〜(c)の条件を満たす半導体ウェーハ用研磨液組成物。
(a):前記シリカ粒子の形状係数SF1が1.00〜1.20であること
(b):前記シリカ粒子の窒素吸着法により求められる平均一次粒子径が5〜100nmであって、且つ透過型電子顕微鏡写真の画像解析から求められる粒子径変動係数CV値が0〜15%であること
(c):前記ポリエチレングリコールは、数平均分子量が200〜15000であること

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、半導体ウェーハ表面の鏡面研磨において、LPDの改善に好適な研磨液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体ウェーハの製造方法は、1)単結晶インゴットをスライスして薄円板状のウェーハを得るスライス工程と、2)該ウェーハの外周部を面取りする面取り工程と、3)面取りしたウェーハを平坦化するラッピング工程と、4)ラッピングしたウェーハの加工歪みを除去するエッチング工程と、5)エッチングされたウェーハの表面を鏡面化する研磨工程と、6)研磨されたウェーハを洗浄する洗浄工程から構成されている。
【0003】
研磨工程は、研磨液組成物を研磨パッド表面に供給しながら、被研磨物である半導体ウェーハを研磨パッドに圧接し相対移動させることにより行われる。その研磨工程は、1次研磨、2次研磨、最終研磨の複数段階からなるのが一般的である。1次研磨及び2次研磨は、ラッピングやエッチング工程で生じたウェーハ表面の深い傷を除去することを目的として行なわれるのに対して、最終研磨は1次研磨及び2次研磨後に残存した微小な表面欠陥を除去し、高精度に平坦化することを目的として行なわれる。最終研磨後の半導体ウェーハの品質の評価基準としては、一般的にLPD(Light Point Defect)、ヘイズレベル(表面曇りの程度)が用いられている。
【0004】
LPDとは、鏡面状態をなす半導体ウェーハに強い光を照射した際に、乱反射を引き起こす微小な表面欠陥のことであり、研磨時に粗大な砥粒や異物によって引き起こされる引っ掻き傷や砥粒、異物等の付着物、若しくは砥粒、異物等の付着によって引き起こされる加工変質層が起因している。
【0005】
一方ヘイズレベルとは、鏡面状態をなす半導体ウェーハに強い光を照射した際に、その反射光に表れる曇りの度合いのことである。平坦性の高い半導体ウェーハ程、乱反射が少なく、ヘイズレベルは良好である。LPDの個数やヘイズレベルの値の小さい方がより高品質なウェーハであるといえる。
【0006】
LPDやヘイズレベルを改善する目的で行われる最終研磨工程においては、水中に分散したシリカ粒子にアルカリ化合物を添加し、さらに水溶性高分子化合物を加えた研磨液組成物を用いるのが一般的である。応力緩和能をもつ水溶性高分子化合物は、砥粒や異物によるダメージを低下させるだけでなく、半導体ウェーハ表面に親水性を付与し、砥粒や異物の付着を防止する効果がある。また、半導体ウェーハ界面の濡れ性を向上させるアルコール性水酸基を有する化合物を添加することで、引っ掻き傷の低減及び付着防止の効果をより向上させ、高精度な平坦化を実現することが可能となる。
一方、近年半導体ウェーハにデザインされる配線幅の微細化が進んでいるため、半導体ウェーハのLPD及びヘイズレベルに対する要求は更に高くなっている。特にLPDは、表面欠陥検査装置の急速な進歩により50nm以下のレベルまで観察されるようになり、そこで顕在化した数十nmレベルの欠陥の抑制については、従来の研磨液組成物では十分な効果が得られていない。
【0007】
特許文献1には、ヒドロキシエチルセルロース、0.005質量%を超えるとともに0.5質量%未満のポリエチレンオキサイド、アルカリ化合物、水、二酸化ケイ素が含有される研磨液組成物が開示されている。しかしながら、50nm以下のLPDの低減に効果があるかどうかは示されていない。
【0008】
特許文献2には、球状で表面の平滑性が高く、また粒子径分布が狭く、実質的に粗大粒子を含まない改質されたシリカ系微粒子を研磨用組成物の成分として用いると、研磨速度、被研磨基材の表面粗さ及び被研磨基材の線状痕発生抑止においてバランスのとれた性能を示すとの開示がある。しかしながら、どの程度LPDの低減に効果があるかどうかは不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−128089号公報
【特許文献2】特開2008−273780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は、半導体ウェーハの研磨において、ウェーハ表面の50nm以下の大きさのLPDを効果的に低減可能な研磨液組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明の半導体ウェーハ用研磨液組成物は、第1観点として、水、シリカ粒子、アルカリ化合物、水溶性高分子化合物及びポリエチレングリコールを含み、下記(a)〜(c)の条件を満たす半導体ウェーハ用研磨液組成物、
(a):前記シリカ粒子の、下記式(1)で表される形状係数SF1が1.00〜1.20であること
(1) SF1=(DL2×π/4)/S
(但し、DLは、透過型電子顕微鏡写真から求められるシリカ粒子の最大長(nm)であり、Sは、シリカ粒子の投影面積(nm2)である。)
(b):前記シリカ粒子の窒素吸着法により求められる平均一次粒子径が5〜100nmであって、且つ透過型電子顕微鏡写真の画像解析から求められる粒子径変動係数CV値が0〜15%の範囲であること
(c):前記ポリエチレングリコールの数平均分子量が200〜15000であること
第2観点として、前記アルカリ化合物は、アルカリ金属の無機塩及び/又はアンモニウム塩である第1観点に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第3観点として、前記アルカリ金属の無機塩は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類である第2観点に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第4観点として、前記アンモニウム塩は、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム及び塩化テトラエチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類である第2観点に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第5観点として、前記水溶性高分子化合物は、セルロース誘導体及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる化合物の少なくとも1種類である第1観点に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第6観点として、前記セルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルエチルセルロースからなる群より選ばれる化合物の少なくとも1種類である第5観点に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第7観点として、前記セルロース誘導体は、100000〜3000000のポリエチレンオキシド換算の重量平均分子量を有するヒドロキシエチルセルロースである第5観点に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第8観点として、前記シリカ粒子の含有量は、半導体ウェーハ用研磨液組成物の全質量を基準にして0.005〜50質量%である第1観点〜第7観点のいずれか一つに記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第9観点として、前記アルカリ化合物の含有量は、半導体ウェーハ用研磨液組成物の全質量を基準にして0.001〜30質量%である第1観点〜第8観点のいずれか一つに記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第10観点として、前記水溶性高分子化合物の含有量は、半導体ウェーハ用研磨液組成物の全質量を基準にして0.01〜2.0質量%である第1観点〜第9観点のいずれか一つに記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物、
第11観点として、前記ポリエチレングリコールの含有量は、半導体ウェーハ用研磨液組成物の全質量を基準にして0.01〜0.5質量%である第1観点〜第10観点のいずれか一つに記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、形状が真球状であり、且つ粒度分布が均一に制御されたシリカ粒子と特定の分子量のポリエチレングリコールとを組み合わせて用いることにより、半導体ウェーハ表面へのダメージを低減でき、砥粒や異物の付着を防止できるため、50nm以下のLPDが低減された半導体ウェーハを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明の半導体ウェーハ用研磨液組成物は、水とシリカ粒子とアルカリ化合物と水溶性高分子化合物とポリエチレングリコールとを含むものである。
【0014】
前記シリカ粒子は、下記式(1)で表される形状係数SF1が1.00〜1.20である。
(1) SF1=(DL2×π/4)/S
(但し、DLは、透過型電子顕微鏡写真から求められるシリカ粒子の最大長(nm)であり、Sは、シリカ粒子の投影面積(nm2)である。)
前記式(1)において、DLは透過型電子顕微鏡(TEM)写真の画像解析から求められるシリカ粒子の最大長(画像の周上の任意の2点間のうち最大の長さ)であり、Sは透過型電子顕微鏡写真の画像解析から求められるシリカ粒子の投影面積である。
【0015】
SF1は、1.00に近づく程真球状に近い形状であることを表す。SF1の値を上記の範囲内にすることで、半導体ウェーハ上の欠陥やダメージを低減することが可能となる。本願発明においてウェーハ表面のLPDをより低減するには、SF1は1.00〜1.18の範囲にあることがより好ましく、1.00〜1.15の範囲であることが最も好ましい。
【0016】
前記シリカ粒子は、窒素吸着法から求められる一次粒子径が5〜100nmである。5nmより小さいと研磨速度が低くなり、また粒子の凝集が起こりやすく、研磨液組成物の安定性が低くなる。また100nmより大きいと半導体ウェーハ表面にスクラッチが発生しやすく、また研磨面の平坦性は悪くなる。
【0017】
本願発明において、研磨速度を低下させず、粒子形状の効果を発揮させて半導体ウェーハ表面のLPDをより低減するには、用いるシリカ粒子の一次粒子径は10〜70nmの範囲であることが好ましく、20〜50nmの範囲であることがより好ましい。
【0018】
前記シリカ粒子は、下記式(2)で表される粒子径変動係数CV値が0〜15%である。
(2) CV値(%)=σ/DA×100
(但し、σは粒子径標準偏差であり、DAは平均粒子径である。)
前記式(2)において、σ及びDAは透過型電子顕微鏡写真の画像解析から求められる。シリカ粒子の透過型電子顕微鏡写真における任意の1000個の粒子について、画像解析装置(例えば株式会社ニレコ製:LUZEX AP)を用いてそれぞれ粒子径を求め、その値からDA(nm)、σを算出したものである。CV値は、0%に近づく程分布が均一である。
【0019】
本願発明において、半導体ウェーハ表面のLPDをより低減するにはCV値は10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましい。
【0020】
前記シリカ粒子はコロイダルシリカであり、ケイ酸アルカリ水溶液又はアルキルシリケートを原料として製造されるものが好適である。
【0021】
前記シリカ粒子の製法としては、ケイ酸アルカリ水溶液を原料とした場合には、ケイ酸アルカリ水溶液から脱アルカリして得られるケイ酸水溶液又はケイ酸水溶液に少量のアルカリ化合物を添加して得られる安定化ケイ酸水溶液を、ヒール液に添加する製法が好ましい。その際、用いられるヒール液の成分としては、水とアルカリ化合物と一次粒子径3〜25nmの核となるコロイダルシリカ粒子、又は水とアルカリ化合物からなる。
【0022】
前記シリカ粒子の粒子成長反応において、反応温度は90〜150℃が好ましい。また、ヒール液のSiO2/M2O(Mはアルカリ金属)モル比は0〜40が好ましい。また、前記ケイ酸水溶液又は安定化ケイ酸水溶液の添加速度は、反応媒体のSiO2/M2O(Mはアルカリ金属)モル比が1分間に0.01〜0.5上昇するように設定することが好ましい。
【0023】
前記シリカ粒子の製法としては、アルキルシリケートを原料とした場合には、前記ヒール液にアルキルシリケートを添加する製法が好ましい。その際、ヒール液の成分としては水とアルカリ化合物と一次粒子径3〜25nmの核となるコロイダルシリカ粒子、又は水とアルカリ化合物からなる。
【0024】
前記シリカ粒子の粒子成長反応において、反応温度は45℃以上、反応媒体の沸点以下が好ましい。また、ヒール液のアルカリ化合物の濃度として、ヒール液1リットル当たり0.002〜0.1モル、水の濃度はヒール液1リットル当たり30モル以上が好ましい。添加するアルキルシリケートの量としては、ヒール液中のアルカリ化合物1モルに対してSi原子として7〜80モルが好ましい。アルキルシリケートの添加速度は、反応媒体のSiO2/M’OH(M’OHはアルカリ金属水酸化物又はアンモニウム水酸化物)モル比が1分間に0.1〜1.0上昇するように設定することが好ましい。
【0025】
前記シリカ粒子は、上記の製法によって得られるコロイダルシリカをSiO2濃度10〜30質量%に調整し、温度120〜300℃で2〜20時間程度の水熱処理を行ったものを使用することもできる。
【0026】
前記シリカ粒子に0.5μm以上の粗大粒子が含まれている場合には、その粗大粒子を除去することが必要である。粗大粒子の除去工程には、強制沈降法や精密ろ過法が挙げられる。精密ろ過に使用するフィルターには、デプスフィルター、プリーツフィルター、メンブレンフィルター、中空糸フィルターなどがあり、いずれも使用することが出来る。また、フィルターの材質にはコットン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ナイロン、セルロース、ガラスなどがあるが、いずれも使用することが出来る。フィルターのろ過精度は絶対ろ過精度(99.9%以上補足される粒子の大きさ)で表されるが、前記シリカ粒子においては、生産効率(処理時間やフィルターの目詰まりなど)の観点から、絶対ろ過精度0.5μm〜1.0μmのフィルターで処理することが好ましい。
【0027】
前記シリカ粒子の含有量は、研磨液組成物全量の質量に対して、一般的には0.05〜50質量%、好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは5〜10質量%である。0.05質量%以下では研磨性能が十分に発揮できず、50質量%以上では研磨液組成物の安定性が悪くなる。
【0028】
前記アルカリ化合物は、アルカリ金属の無機塩及び/又はアンモニウム塩である。前記アルカリ金属の無機塩は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類であり、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
【0029】
前記アンモニウム塩は、水酸化アンモニム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム及び塩化テトラエチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類であり、その中でも水酸化アンモニウムが好ましい。
【0030】
前記アルカリ化合物の好ましい添加量は、使用する物質によって異なるが、一般的には研磨液組成物全体の質量に対して0.01〜30質量%である。特に、加工促進剤がアルカリ金属塩である場合は0.01〜1.0質量%、アンモニウム塩である場合は0.01〜5質量%が好ましい。0.01質量%未満の添加では、加工促進剤としての作用が十分ではなく、逆に30質量%以上の添加を行ったとしても、研磨性能の更なる向上は期待でない。また、上記に示すアルカリ化合物のうち、2種以上を併用することも可能である。
【0031】
前記水溶性高分子化合物は、セルロース誘導体及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる化合物の少なくとも1種類である。前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定され、ポリエチレンオキシド換算の重量平均分子量(Mw)として100000〜3000000であり、好ましくは300000〜2500000であり、より好ましくは500000〜2000000である。
【0032】
前記セルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルエチルセルロースからなる群より選ばれる化合物の少なくとも1種類であり、その中でもヒドロキシエチルセルロースがより好ましい。
【0033】
前記セルロース誘導体の添加量は、研磨液組成物全量の質量に対して0.01〜2.0質量%が好ましい。0.01質量%未満の添加では、研磨後の半導体ウェーハ表面の濡れ性が不十分であり、一方2.0質量%以上の添加では、研磨用組成物の粘度が高くなり過ぎる。
【0034】
前記セルロース誘導体にはミクロン〜サブミクロンの異物が含まれているので、その異物を除去することが好ましい。異物の除去工程には精密ろ過法が好適である。精密ろ過に使用するフィルターには、デプスフィルター、プリーツフィルター、メンブレンフィルター、中空糸フィルターなどがあり、いずれも使用することが出来る。また、フィルターの材質にはコットン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ナイロン、セルロース、ガラスなどがあるが、いずれも使用することが出来る。フィルターのろ過精度は絶対ろ過精度(99.9%以上補足される粒子の大きさ)で表されるが、前記セルロース誘導体においては、生産効率(処理時間やフィルターの目詰まりなど)の観点から、絶対ろ過精度0.5μm〜1.0μmのフィルターで処理するのが好ましい。
【0035】
前記ポリエチレングリコールは、数平均分子量が200〜15000である。半導体ウェーハ表面のLPDをより低減するには、数平均分子量は10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。
【0036】
前記ポリエチレングリコールの添加量としては、研磨液組成物全量の質量に対して0.01〜0.5質量%である。ポリエチレングリコールの添加量が0.01質量%未満では、LPDを改善することはできない。また0.5質量%を超えると濡れ性が高すぎるために滑りやすくなり、研磨パッドとウェーハ表面の抵抗が低くなるため、研磨速度が低下し、そのためLPDが悪化する。半導体ウェーハ表面のLPDをより低減するためには、ポリエチレングリコールの添加量は0.02〜0.4質量%であることが好ましく、0.03〜0.2質量%であることがより好ましい。
【0037】
本願発明の研磨液組成物は、高濃度の原液として調製して、貯蔵又は輸送を行い、研磨装置で使用する際に純水を加えて希釈して使用することもできる。希釈倍率は5〜100倍、好ましくは10〜50倍である。
【0038】
本願発明の研磨液組成物を適用できる半導体ウェーハとは、シリコンウェーハ、SiCウェーハ、GaNウェーハ、GaAsウェーハ、GaPウェーハなどを示す。
【0039】
半導体ウェーハを研磨するときの研磨装置には、片面研磨方式と両面研磨方式があり、本願発明の研磨液組成物はいずれの装置にも用いることができる。
【0040】
本願発明の研磨液組成物に0.5μm以上の粗大粒子が含まれている場合には、研磨前に粗大粒子を除去することが必要である。粗大粒子の除去工程には、精密ろ過法が好適である。精密ろ過に使用するフィルターにはデプスフィルター、プリーツフィルター、メンブレンフィルター、中空糸フィルターなどがあり、いずれも使用することが出来る。また、フィルターの材質にはコットン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ナイロン、セルロース、ガラスなどがあるが、いずれも使用することが出来る。フィルターのろ過精度は絶対ろ過精度(99.9%以上補足される粒子の大きさ)で表されるが、本願発明の研磨液組成物においては、生産効率(処理時間やフィルターの目詰まりなど)の観点から、絶対ろ過精度0.5μm〜1.0μmのフィルターで処理するのが好ましい。
【実施例】
【0041】
[分析方法及び試験方法]
[1]SF1の測定方法、[2]CV値の測定方法、[3]窒素吸着法から求められる一次粒子径、[4]水溶性高分子化合物の分子量測定については特に断りのない限り、それぞれ次の分析方法[1]〜[4]に従って測定又は算定し、その結果を表1に示した。
[1]画像解析による形状係数SF1(粒子の真球度)の測定方法
透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM−1010)により、試料のシリカ粒子を倍率20万倍で写真撮影した。得られた写真投影図における任意の1000個の粒子について、画像解析装置(株式会社ニレコ製:LUZEX AP)を用いて、下記式(1)により形状係数SF1を算出した。
(1) SF1=(DL2×π/4)/S
(但し、DLは、透過型電子顕微鏡写真から求められるシリカ粒子の最大長(nm)であり、Sは、シリカ粒子の投影面積(nm2)である。)
[2]粒子径変動係数CV値(粒子径分布)の測定方法
透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM−1010)により、試料のシリカ粒子を倍率20万倍で写真撮影した。得られた写真投影図における任意の1000個の粒子について、画像解析装置(株式会社ニレコ製:LUZEX AP)を用いて、それぞれ粒子径を測定し、その値から平均粒子径及び粒子径の標準偏差を求め、下記式(2)から粒子径変動係数CV値を算定した。
(2) CV値(%)=σ/DA×100
(但し、σは粒子径標準偏差であり、DAは平均粒子径である。)
[3]窒素吸着法により求められるシリカ粒子の平均一次粒子径の算出方法
シリカ粒子の水性ゾル10mlを陽イオン交換樹脂に接触させた後、110℃で12時間乾燥した試料について乳鉢で粉砕した。さらに300℃で1時間乾燥させたものを測定用試料とした。窒素吸着法(BET法)の測定装置にはQuantachrome社製Monosorbを用いた。シリカ粒子の平均一次粒子径は以下の式(3)より求めた。
(3) 平均一次粒子径(nm)=2727/窒素吸着法比表面積(m2/g)
[4]水溶性高分子化合物の分子量測定
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法により下記の条件で測定した。
カラム:OHpak SB−806M HQ(8.0mmID×300mm)
カラム温度:40℃
溶離液:0.1M 硝酸ナトリウム水溶液
試料濃度:0.11質量%
流速:0.5mL/分
注入量:200μL
検出器:RI(示差屈折計)
[5]半導体ウェーハに対する研磨特性の評価方法
SF1、CV値の異なるシリカ粒子に、水、アンモニア、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコールを添加して研磨液組成物を調製し、絶対ろ過精度1.0μmのフィルターで濾過処理した。その研磨液組成物を40倍に希釈した研磨スラリーを用いて、同一条件で一次研磨されたシリコンウェーハを以下に示す条件で仕上げ研磨した。
【0042】
研磨機:900φ片面加工機
荷重:120g/cm2
定盤回転数:40rpm
ヘッド回転数:40rpm
研磨組成物の希釈液:350ml/分
研磨時間:5分
ウェーハ:シリコンウェーハP-(100)
仕上げ研磨後のシリコンウェーハに公知のSC1洗浄(アンモニア:過酸化水素:水の混合比=1:1〜2:5〜7の洗浄液(SC1液)に75〜85℃、10〜20分浸漬処理)及びSC2洗浄(塩酸:過酸化水素:水=1:1〜2:5〜7の洗浄液(SC2液)に75〜85℃、10〜20分浸漬処理)を施し、ウェーハ表面の不純物を除去した。仕上げ研磨後のシリコンウェーハ表面のLPDは、KLA−Tencor社製Surf Scan SP−2を用いて測定した。LPDは37nm以上の個数で示した。表1において、(○)はウェーハ1枚あたりの37nm以上のLPDの個数が80個未満、(△)は80個以上200個未満、(×)は200個以上を示す。
〔実施例1〕
平均一次粒子径が37nmであり、SF1が1.11、CV値が7%のメチルシリケートを原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾル79gに水156g、28質量%アンモニア水5g、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロース59g、数平均分子量1000のポリエチレングリコール1.5gを加えて、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.0mPa・sであった。
〔実施例2〕
平均一次粒子径が31nmであり、SF1が1.17、CV値が7%のメチルシリケートを原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾルを用いた以外は実施例1と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.2mPa・sであった。
〔実施例3〕
平均一次粒子径が37nmであり、SF1が1.20、CV値が12%のケイ酸ナトリウム水溶液を原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾルを用いた以外は実施例1と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.1mPa・sであった。
〔比較例1〕
平均一次粒子径が32nmであり、SF1が1.34、CV値が32%のケイ酸ナトリウム水溶液を原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾルを用いた以外は実施例1と同様に行ってシリカ濃度が8質量%の、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.1mPa・sであった。
〔比較例2〕
平均一次粒子径が29nmであり、SF1が1.89、CV値が13%のメチルシリケートを原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾルを用いた以外は実施例1と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.2mPa・sであった。
〔実施例4〕
平均一次粒子径が31nmであり、SF1が1.17、CV値が7%のメチルシリケートを原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾル79gに水156g、28質量%アンモニア水5g、重量平均分子量120万のヒドロキシエチルセルロース59g、数平均分子量1000のポリエチレングリコール1.5gを加えて、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量120万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は7.0mPa・sであった。
〔実施例5〕
平均一次粒子径が31nmであり、SF1が1.17、CV値が7%のメチルシリケートを原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾル79gに水156g、28質量%アンモニア水5g、重量平均分子量170万のヒドロキシエチルセルロース59g、数平均分子量1000のポリエチレングリコール1.5gを加えて、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量170万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は11.0mPa・sであった。
〔実施例6〕
重量平均分子量170万のヒドロキシエチルセルロースの添加量を0.43質量%とした以外は実施例5と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は12.0mPa・sであった。
〔比較例3〕
平均一次粒子径が31nmであり、SF1が1.17、CV値が7%のメチルシリケートを原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾル79gに水156g、28質量%アンモニア水5g、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロース59gを加え、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.2mPa・sであった。
〔実施例7〕
平均一次粒子径が31nmであり、SF1が1.17、CV値が7%のメチルシリケートを原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾル79gに水156g、28質量%アンモニア水5g、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロース59g、数平均分子量200のポリエチレングリコール1.5gを加えて、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量100のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.1mPa・sであった。
〔実施例8〕
数平均分子量10000のポリエチレングリコールを用いた以外は実施例7と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量10000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.1mPa・sであった。
〔実施例9〕
数平均分子量15000のポリエチレングリコールを用いた以外は実施例7と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量15000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.1mPa・sであった。
〔比較例4〕
数平均分子量100のポリエチレングリコールを用いた以外は実施例7と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量100のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.2mPa・sであった。
〔比較例5〕
数平均分子量50000のポリエチレングリコールを用いた以外は実施例7と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量50000のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.1mPa・sであった。
〔実施例10〕
平均一次粒子径が31nmであり、SF1が1.17、CV値が7%のメチルシリケートを原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾル79gに水156g、28質量%アンモニア水5g、重量平均分子量120万のヒドロキシエチルセルロース59g、数平均分子量600のポリエチレングリコール1.5gを加えて、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量120万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量600のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は7.0mPa・sであった。
〔比較例6〕
平均一次粒子径が32nmであり、SF1が1.34、CV値が32%のケイ酸ナトリウム水溶液を原料とするシリカ粒子を含有するシリカ濃度30質量%の水性シリカゾルを用いた以外は実施例10と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量120万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量600のポリエチレングリコールが0.1質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は6.8mPa・sであった。
〔実施例11〕
数平均分子量1000のポリエチレングリコールの添加量を0.05質量%とした以外は実施例2と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.05質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.2mPa・sであった。
〔実施例12〕
数平均分子量1000のポリエチレングリコールの添加量を0.2質量%とした以外は実施例2と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.2質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.2mPa・sであった。
〔実施例13〕
数平均分子量1000のポリエチレングリコールの添加量を0.4質量%とした以外は実施例2と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが0.4質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.2mPa・sであった。
〔比較例7〕
数平均分子量1000のポリエチレングリコールを1.0質量%加えた以外は実施例2と同様に行って、シリカ濃度が8質量%、アンモニアが0.46質量%、重量平均分子量60万のヒドロキシエチルセルロースが0.22質量%、数平均分子量1000のポリエチレングリコールが1.0質量%の研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物のpHは10.7、25℃におけるオストワルド粘度は3.2mPa・sであった。
【0043】
【表1】

【0044】
表1に示された通り、SF1が1.20を超える比較例1、2及び6、ポリエチレングリコールを含まない比較例3及び0.5質量%を超える比較例7、ポリエチレングリコールの数平均分子量が200に満たない比較例4及び15000を超える比較例5のLPDの評価結果が良好でなかったのに対して、実施例1〜13において、LPDの評価結果は優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本願発明の半導体ウェーハ用研磨液組成物は仕上げ研磨性能の優れ、半導体ウェーハ表面のLPDの低減に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、シリカ粒子、アルカリ化合物、水溶性高分子化合物及びポリエチレングリコールを含み、下記(a)〜(c)の条件を満たす半導体ウェーハ用研磨液組成物。
(a):前記シリカ粒子の、下記式(1)で表される形状係数SF1が1.00〜1.20であること
(1) SF1=(DL2×π/4)/S
(但し、DLは、透過型電子顕微鏡写真から求められるシリカ粒子の最大長(nm)であり、Sは、シリカ粒子の投影面積(nm2)である。)
(b):前記シリカ粒子の窒素吸着法により求められる平均一次粒子径が5〜100nmであって、且つ透過型電子顕微鏡写真の画像解析から求められる粒子径変動係数CV値が0〜15%であること
(c):前記ポリエチレングリコールの数平均分子量が200〜15000であること
【請求項2】
前記アルカリ化合物は、アルカリ金属の無機塩及び/又はアンモニウム塩である請求項1に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項3】
前記アルカリ金属の無機塩は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項2に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項4】
前記アンモニウム塩は、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム及び塩化テトラエチルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類である請求項2に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項5】
前記水溶性高分子化合物は、セルロース誘導体及びポリビニルアルコールからなる群から選ばれる化合物の少なくとも1種類である請求項1に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項6】
前記セルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルエチルセルロースからなる群より選ばれる化合物の少なくとも1種類である請求項5に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項7】
前記セルロース誘導体は、100000〜3000000のポリエチレンオキシド換算の重量平均分子量を有するヒドロキシエチルセルロースである請求項5に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項8】
前記シリカ粒子の含有量は、半導体ウェーハ用研磨液組成物の全質量を基準にして0.005〜50質量%である請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項9】
前記アルカリ化合物の含有量は、半導体ウェーハ用研磨液組成物の全質量を基準にして0.001〜30質量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項10】
前記水溶性高分子化合物の含有量は、半導体ウェーハ用研磨液組成物の全質量を基準にして0.01〜2.0質量%である請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールの含有量は、半導体ウェーハ用研磨液組成物の全質量を基準にして0.01〜0.5質量%である請求項1〜10のいずれか一項に記載の半導体ウェーハ用研磨液組成物。


【公開番号】特開2012−79964(P2012−79964A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224731(P2010−224731)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】