説明

半導体ウエ―ハの樹脂封止方法

【課題】フッ素樹脂離型フィルムの介在のもとで樹脂封止を行う方法を、電極ポスト付きウエ−ハの樹脂封止に電極ポストの頂上を確実に露出させて優れた歩留りで適用できるようにする。
【解決手段】電極ポスト21を有する半導体ウエ−ハ2を樹脂組成物4の加圧成形により電極ポスト21の頂上を露出させて封止する方法であり、動摩擦係数が0.2以下のフッ素樹脂フィルムを離型フィルム3として使用する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂による半導体の封止をチップに分割するまえのウエ−ハの段階で行う半導体ウエ−ハの樹脂封止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置を製造するには、所定の処理・加工を施したシリコンウエ−ハをチップに分割し、ワイヤボンディングまたはワイヤレスボンディングを行った後、チップを金型のキャビティにセットし、トランスファ−成形法等により樹脂で封止している。この樹脂封止において、金型内面にフッ素樹脂離型フィルムを介在させることにより離型性を高めて金型クリ−ニング回数の低減による作業能率の向上、金型の長寿命化によるコスト低減、エジェクトピンの省略による金型構造の簡易化等を図ることが公知である(特開平8−197567号、特開平8−186141号、特開昭60−240408号等)。
【0003】最近、チップサイズパッケ−ジ半導体装置の製造方法として、ウエ−ハ上に絶縁層(例えば、ポリイミド層)を形成し、その表面にスパッタ法等で金属薄膜を形成し、この金属薄膜を所定のパタ−ンに加工すると共に電極とパタ−ンとをブリッジで導通させ、このパタ−ンに電極ポストを形成し、更に電極ポストの頂上を露出させて樹脂封止を行い、而るのち、チップに分割することが提案されている〔このチップサイズパッケ−ジ半導体装置においては、絶縁層(ポリイミド層)と樹脂封止層との積層体中に電極−ブリッジ−金属薄膜パタ−ン−電極ポストからなる格子状リード構造が埋設され、電極ポストの頂上が露出されている〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明者の試験結果によれば、前記半導体ウエ−ハの樹脂封止に上記したフッ素樹脂離型フィルムを介在させる方法を使用すると、往々にして一部の電極ポスト頂上での樹脂かぶりが観られる。これは、離型フィルムにシワが発生し、一部の電極ポストの頂上面と離型フィルムとの間に樹脂が侵入する結果である。
【0005】ところで、上記樹脂封止時、離型フィルム(円形)は周囲が固定され、熱収縮により引張り応力状態となるが、フィルムの熱収縮性に方向性がないと、その応力分布は中心に対し点対称の単純なパタ−ンとなる。すなわち、中心から距離rと(r+Δr)とで囲まれた部分での半径方向応力δrと周方向応力δcとの平衡から、
【数1】
2r・Δδr=2δc・Δr
【数2】
2πδr/Er=δc/Ec ■が成立し(但し、Erは半径方向弾性率、Ecは周方向弾性率)、
【数3】
Logδr=〔2πEc/Er〕Logr+K ■の関係となり、離型フィルム(半径R)の固定端(外周)の応力をδRとすれば、
【数4】
Log(δr/δR)=〔2πEc/Er〕Log(r/R) ■であり、Ec=Erとすれば、
【数5】
δr=δR・(r/R) ■が成立し、応力が等半径位置で等しく、中心に至るに従い連続的に減少していく応力分布である。
【0006】而るに、かかる単純な応力分布のもとでは、離型フィルムにシワが発生する可能性は少ない。
【0007】しかしながら、本発明者が種々のフッ素樹脂フィルムについて、そのフィルムを離型フィルムに使用して半導体ウエ−ハの樹脂封止を行う試験を行ったところ、縦方向と横方向との熱収縮率の差を著しく小さくしたフッ素樹脂フィルムでも、シワ発生が往々にして観られた。
【0008】そこで、上記半導体ウエ−ハの樹脂封止時でのシワ発生の原因につき鋭意究明したところ、フッ素樹脂離型フィルムの動摩擦係数が強く関与しており、シワ発生の抑制には動摩擦係数の低減が有効であることを知った。この離型フィルムの動摩擦係数が関与する理由としては、半導体ウエ−ハの樹脂封止の場合、チップ単位の樹脂封止の場合とは異なり、金型の樹脂成形空間内での樹脂の流動距離が長く、この流動樹脂と離型フィルムとの接触で離型フィルムに作用する摩擦力が大きくなり離型フィルムがたぐられる結果であると推定される。
【0009】本発明の目的は、フッ素樹脂離型フィルムの介在のもとで樹脂封止を行う方法を、電極ポスト付きウエ−ハの樹脂封止に電極ポストの頂上を確実に露出させて優れた歩留りで適用できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体ウエ−ハの樹脂封止方法は、電極ポストを有する半導体ウエ−ハを樹脂組成物の加圧成形により電極ポストの頂上を露出させて封止する方法であり、動摩擦係数が0.2以下のフッ素樹脂フィルムを離型フィルムとして使用することを特徴とする構成であり、動摩擦係数が0.2以下のフッ素樹脂フィルムを離型フィルムには、縦方向及び横方向の樹脂組成物の加圧成形条件下での寸法収縮率が5%以下のポリテトロフルオロエチレンフィルムを使用することが望ましい。上記動摩擦係数は、バ−デンレ−ベン法による測定値である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1の(イ)〜(ハ)は本発明に係る半導体ウエ−ハの樹脂封止方法の一例を示す工程図である。図1において、11は上金型、12は下金型であり、上下金型とも内蔵ヒ−タにより所望温度に加熱されている。2は電極ポスト付き半導体ウエ−ハであり、電極面側に絶縁層(例えば、ポリイミド層)を設けこの絶縁層上に金属薄膜のパタ−ンを設けこのパタ−ンと電極とをブリッジで導通すると共にパタ−ンの所定位置に電極ポスト21を設けてなる格子状リ−ドを有する。3は動摩擦係数が0.2以下のフッ素樹脂離型フィルムを示している。
【0012】本発明により電極ポスト21付きの半導体ウエ−ハ2を樹脂封止するには、まず、所望温度に加熱されている金型を開き、図1の(イ)に示すように下金型12に半導体ウエ−ハ2を固定すると共に上金型11にフッ素樹脂離型フィルム3の周囲を固定し(例えば吸引固定による。周囲のみを固定するのは、フィルムの平滑性を保持するためである)、半導体ウエ−ハ2上に封止樹脂組成物4を供給する。この封止樹脂には、半導体ウエ−ハ2上に載置される定重量のシ−ト状粉末圧縮成形体、射出機により上下金型間に定量吐出される短円柱状粉末圧縮成形体等を使用できる。
【0013】上記のようにして半導体ウエ−ハ2やフッ素樹脂離型フィルム3のセット及び封止樹脂4の供給を行ったのちは、図1の(ロ)に示すように型を閉じ、封止樹脂4を加圧成形し、余剰の樹脂をパ−ティクルラインから排出する。この加圧成形の初期に封止樹脂4が加圧流動され、離型フィルム2に摩擦力が作用し、この摩擦力が大きいと離型フィルムが伸ばされて伸び方向の先方にたぐられるが、本発明においてはフッ素樹脂離型フィルムの動摩擦係数を0.2以下の超低摩擦係数にしてあるから、離型フィルムに作用する摩擦力を僅小にして前記離型フィルムのたぐりを実質的に排除でき、離型フィルムのシワ発生を防止できる。
【0014】上記樹脂組成物の加圧成形時、成形温度によるフッ素樹脂離型フィルムの熱収縮が避けられないが、熱収縮性に方向性がない場合はその応力分布が前記式■または■から推定できるように単純であり、また熱収縮率が小さい場合は応力自体が小さくなり、これらの場合はシワ発生に殆ど関与しない。従って、樹脂組成物の加圧成形条件(例えば180℃×10分)での寸法収縮率が縦方向及び横方向ともに5%以下、好ましくは3%以下のフッ素樹脂フィルムを使用することが望ましい。
【0015】尤も、熱収縮性に方向性がある場合(従って、離型フィルムの縦方向と横方向とで熱収縮率が相当に異なる場合)や熱収縮率が大きい場合でも、これらに基づくフッ素樹脂離型フィルムのシワ発生は前記の流動封止樹脂との摩擦によるシワ発生に較べて僅少であり、動摩擦係数が0.2以下のフッ素樹脂離型フィルムであれば、本発明の目的、すなわち電極ポスト頂上での樹脂かぶりの防止を充分に達成できる。
【0016】上記樹脂組成物の加圧成形を所定の条件、例えば180℃×10分で行い封止樹脂を硬化させたのち、図1の(ハ)に示すように型を開き、フッ素樹脂離型フィルムを剥離したうえで樹脂封止半導体ウエ−ハを取出し、これにて本発明による半導体ウエ−ハの樹脂封止を終了する。
【0017】本発明に係る半導体ウエ−ハの樹脂封止方法によれば、樹脂組成物の加圧成形をフッ素樹脂離型フィルムにシワを発生させることなく行い得、電極ポストの頂上面とフッ素樹脂離型フィルムとを最終的に平滑面で完全に接触させることができ、電極ポストの頂上を樹脂かぶりを排除して確実に露出させ得、良好な歩留りで樹脂封止を行うことができる。
【0018】なお、上記実施例においては半導体ウエ−ハの電極ポスト側のみを樹脂封止しているが、下金型に前記動摩擦係数が0.2以下のフッ素樹脂離型フィルムを固定し、この離型フィルムと半導体ウエ−ハの裏面との間にギャップを保持し半導体ウエ−ハの裏面側も樹脂封止することができる。
【0019】本発明において使用する動摩擦係数0.2以下のフッ素樹脂離型フィルムは、耐熱性キャリアシ−ト上にフッ素樹脂ディスパ−ジョンを塗布し、これをフッ素樹脂の融点以上の温度で焼成し、ついで焼成フィルムをキャリアシ−トから剥離することにより得ることができる。この場合、一段加熱で一挙に焼成することもできるが、フッ素樹脂ディスパ−ジョンの分散媒の蒸発温度でまず加熱して分散媒の一部または大部分を蒸発により除去し、次いでフッ素樹脂の融点以上に加熱して焼成する多段加熱を使用することが好ましい。塗布は浸漬法の外、スプレ−法、刷毛塗り法等により行うこともできる。通常、フッ素樹脂離型フィルムの厚みを所望厚さとするために、塗布したフッ素樹脂ディスパ−ジョンの加熱焼成とフッ素樹脂ディスパ−ジョンの塗布とが数回繰り返えして所望厚みのフッ素樹脂離型フィルムを得る。
【0020】上記焼成フィルムの剥離をよりスム−ズに行うために、キャリアシ−トにシリコ−ン系等の剥離剤を塗布することもできる。
【0021】上記耐熱性キャリアシ−トには、フッ素樹脂ディスパ−ジョンの焼成温度に耐え、かつ表面粗さRa(JIS B0601−1982法による)が0.5μm以下のプラスチックフィルムであれば適宜のものを使用でき、例えばポリイミドフィルム、ポリエ−テルエ−テルケトンフィルム、ポリエ−テルサルホンフィルムや金属箔を使用できる。
【0022】上記フッ素樹脂ディスパ−ジョンの分散媒としては、例えば水を使用できる。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パ−フルオロアルキルビニルエ−テル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等の使用も可能であるが、ポリテトラフロオロエチレンが離型性に優れているので好適である。このフッ素樹脂ディスパ−ジョンの固形分濃度は作業性の面から20〜60重量%、特に40〜60重量%とすることが好ましい。
【0023】本発明において使用する動摩擦係数0.2以下のフッ素樹脂離型フィルムは、フッ素樹脂のモ−ルディングパウダ−、好ましくはポリテトラフロオロエチレンモ−ルディングパウダ−を円筒形金型に充填し、これを常温で予備加圧成形し、次いで、フッ素樹脂の融点以上の温度で焼成して円筒体を得、この円筒体を切削旋盤で所望厚みのフィルム状に切削することにより得ることもでき、必要に応じ切削加工歪を除去して寸法収縮率を調整するために加熱処理することができる。
【0024】本発明において、フッ素樹脂離型フィルムの厚みは加圧力の均一化のために100μm以下、特に50μm以下とすることが好ましい。
【0025】本発明において封止樹脂には、熱硬化性樹脂と硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、離型剤等との粉末混合組成物のシ−ト状または短円柱状圧縮成形体を使用でき、硬化性樹脂にはエポキシ樹脂を使用することが好ましい。
【0026】本発明により樹脂封止された半導体ウエ−ハにおいてはチップに分割され、チップの実装においてリフロ−法等により電極ポストの露出頂上が回路板の導体にはんだ付けされる。
【0027】
【実施例】以下の実施例及び比較例で使用するフッ素樹脂離型フィルムの縦方向及び横方向の寸法収縮率は、180℃雰囲気下で10分間加熱直後の各方向の寸法をL2、加熱前の同寸法をL1として、(L2 −L1)×100%/L1により算出し、フッ素樹脂離型フィルムの動摩擦係数は、バ−デンレ−ベン法により測定時の接触相手材として鋼球を使用し荷重量100g、駆動速度600mm/minのもとで測定した。
【0028】〔実施例1〕ポリテトラフルオロエチレン粉末濃度60重量%の水性ディスパ−ジョンを厚さ0.1mmのポリイミドキャリアシ−トに浸漬塗布し、90℃×2分の加熱で分散媒(水)を除去し、次いで360℃×2分の加熱で焼成することを4回繰り返して厚み50μmのポリテトラフルオロエチレンフィルムを得、このフィルムを離型フィルムとして使用した。この離型フィルムの動摩擦係数及び寸法収縮率は表1に示す通りである。電極ポスト付きシリコンウエ−ハの直径は5インチであり、離型フィルムをこれよりもやや大きい円形に切断した。封止樹脂には、エポキシ樹脂主剤60重量部,難燃助剤10重量部,硬化剤30重量部,充填剤220重量部,難燃剤5重量部,離型剤1重量部,顔料1重量部,硬化促進剤1重量部,表面処理剤1重量部からなる粉末混合組成物のシ−ト状圧縮成形体を使用した。図1において、上金型及び下金型の加熱温度を180℃とし、成形圧力30kg/cm2,成形時間120秒の成形条件で樹脂を硬化させ樹脂封止した。かかる樹脂封止を20枚のウエ−ハについて行い、その封止状態を調査したところ、全てのウエ−ハの全電極ポストの頂上が露出されており、不良率は0であった。
【0029】〔実施例2〕ポリテトラフルオロエチレンモ−ルディグパウダ−を円筒形金型に充填し、常温で200kgf/cm2×1時間にて予備成形し、次いで予備成形体を380℃×3時間の加熱で焼成し、この円柱形焼成体を切削旋盤によりフィルム状に切削し、更に300℃の熱ロ−ルに1分間接触させ7%延伸する熱処理で歪み取りを行って厚み50μmのポリテトラフルオロエチレンフィルムを得、このフィルムを離型フィルムとして使用した。この離型フィルムの動摩擦係数及び寸法収縮率は表1に示す通りである。他は実施例1と同様とした。この実施例の樹脂封止を20枚のウエ−ハについて行い、その封止状態を調査したところ、全てのウエ−ハの全電極ポストの頂上が露出されており、不良率は0であった。
【0030】〔実施例3〕実施例2に対し、フィルム状に切削したのちでの歪み取りのための熱処理を、300℃の熱ロ−ルに1分間接触させ10%延伸する処理とした以外、実施例2に同じとした。この実施例での離型フィルムの厚みは48μmであり、離型フィルムの動摩擦係数及び寸法収縮率は表1に示す通りである。この実施例の樹脂封止を20枚のウエ−ハについて行い、その封止状態を調査したところ、1枚のウエ−ハに若干の電極ポストの樹脂かぶりが観察された。しかし、後述の比較例に較べ優れた合格率である。
【0031】〔比較例1〕トラフルオロエチレ−エチレン共重合体(ETFE)ンペレットをTダイ押出し機によりダイス温度340℃,リップ間隙0.6mm,引取速度5m/minの成形条件で押出し成形して厚み50μmのETFEフィルムを得、このフィルムを離型フィルムとして使用した。この離型フィルムの動摩擦係数及び寸法収縮率は表1に示す通りである。他は実施例1と同様とした。この比較例の樹脂封止を20枚のウエ−ハについて行い、その封止状態を調査したところ、6枚のウエ−ハに電極ポストの樹脂かぶりが観察された。
【0032】〔比較例2〕市販の厚み50μmのFEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)フィルムを離型フィルムとして使用した。この離型フィルムの動摩擦係数及び寸法収縮率は表1に示す通りである。他は実施例1と同様とした。
【0033】この比較例の樹脂封止を20枚のウエ−ハについて行い、その封止状態を調査したところ、4枚のウエ−ハに電極ポストの樹脂かぶりが観察された。
【0034】
【表1】
表1 離型フィルムの 離型フィルムの 離型フィルムの 封止不良割合 縦方向収縮率 横方向収縮率 動摩擦係数実施例1 4% 2% 0.16 0/20実施例2 5% 0% 0.15 0/20実施例3 7% −1% 0.15 1/20比較例1 11% 6% 0.41 6/20比較例2 0% 2% 0.27 4/20
【0035】比較例2から、フッ素樹脂離型フィルムの縦方向寸法収縮率及び横方向寸法収縮率が小またはその差が小であっても、フッ素樹脂離型フィルムの動摩擦係数が大(0.2を越える値)であれば、電極ポスト頂上の樹脂かぶりの発生頻度が高くなることが明らかであり、実施例3から、フッ素樹脂離型フィルムの縦方向寸法収縮率及び横方向寸法収縮率が大またはその差が大(実施例3では8%の差)であっても、フッ素樹脂離型フィルムの動摩擦係数が小(0.2以下)であれば、電極ポスト頂上の樹脂かぶりの発生を効果的に防止できることが明らかである。従って、フッ素樹脂離型フィルムの動摩擦係数の低減がフッ素樹脂離型フィルムの寸法収縮率を小または寸法収縮の方向性を無くするよりもウエ−ハの電極ポスト頂上の樹脂かぶりの防止に有効に寄与することが推定される。
【0036】而るに、本発明においては、動摩擦係数が0.2以下のフッ素樹脂フィルムを離型フィルムに使用して半導体ウエ−ハを樹脂封止しており、電極ポスト頂上の樹脂かぶりを排除して優れた歩留まりで樹脂封止できる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、電極ポストを有する半導体ウエ−ハを電極ポストの頂上を露出させて樹脂組成物の加圧成形により封止する場合、離型フィルムを使用するにもかかわらず、電極ポスト頂上の樹脂かぶりを排除して優れた歩留まりで樹脂封止でき、その結果、金型クリ−ニング回数の低減による作業能率の向上、金型の長寿命化によるコスト低減、エジェクトピンの省略による金型構造の簡易化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体ウエ−ハの樹脂封止方法の一例を示す図面である。
【符号の説明】
11 上金型
12 下金型
2 ウエ−ハ
21 電極ポスト
3 フッ素樹脂離型フィルム
4 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】電極ポストを有する半導体ウエ−ハを樹脂組成物の加圧成形により電極ポストの頂上を露出させて封止する方法であり、動摩擦係数が0.2以下のフッ素樹脂フィルムを離型フィルムとして使用することを特徴とする半導体ウエ−ハの樹脂封止方法。
【請求項2】電極ポストを有する半導体ウエ−ハを樹脂組成物の加圧成形により電極ポストの頂上を露出させて封止する方法であり、動摩擦係数が0.2以下で、かつ樹脂組成物の加圧成形条件下での縦方向及び横方向の寸法収縮率が5%以下のフッ素樹脂フィルムを離型フィルムとして使用することを特徴とする半導体ウエ−ハの樹脂封止方法。
【請求項3】フッ素樹脂フィルムがポリテトロフルオロエチレンフィルムである請求項1または2記載の半導体ウエ−ハの樹脂封止方法。

【図1】
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【公開番号】特開2000−195883(P2000−195883A)
【公開日】平成12年7月14日(2000.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−369618
【出願日】平成10年12月25日(1998.12.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】