説明

半導体ウエハ、半導体ウエハ検査装置、及び半導体ウエハの検査方法

【課題】本発明は、半導体ウエハの検査において、半導体ウエハの裏面電極の端子としての機能を維持しつつ、半導体ウエハに過度の力がかかることを防止できる半導体ウエハ、半導体ウエハ検査装置、及び半導体ウエハの検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る半導体ウエハは、ダイシングラインを隔てて複数のチップが並ぶ半導体ウエハの表面側に形成された表面電極と、該半導体ウエハの裏面側に、該ダイシングラインを隔てて形成された複数の裏面電極と、該半導体ウエハの裏面側に、該ダイシングラインを跨いで該複数の裏面電極を電気的に接続する接続パターンと、を備える。該複数の裏面電極のうちの少なくともひとつは、該半導体ウエハのバイアホールを介して該表面電極と電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高周波デバイスチップの製造に用いられる半導体ウエハ、半導体ウエハ検査装置、及び半導体ウエハの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プローブカードを用いて半導体ウエハの特性を検査する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−344662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウエハの検査において、半導体ウエハの裏面電極を検査ステージに吸着させ、裏面電極を端子として用いることがある。その場合、裏面電極と検査ステージの電気的接続を安定させるために、半導体ウエハを検査ステージに強く吸着させなければならない。しかし、半導体ウエハと検査ステージの間に異物などが混入すると、強い吸着力により半導体ウエハに過度の力がかかり半導体ウエハがダメージを受けたり、測定精度が低下したりすることがあった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、半導体ウエハの裏面電極の端子としての機能を維持しつつ、半導体ウエハに過度の力がかかることを防止できる半導体ウエハ、半導体ウエハ検査装置、及び半導体ウエハの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明に係る半導体ウエハは、ダイシングラインを隔てて複数のチップが並ぶ半導体ウエハの表面側に形成された表面電極と、該半導体ウエハの裏面側に、該ダイシングラインを隔てて形成された複数の裏面電極と、該半導体ウエハの裏面側に、該ダイシングラインを跨いで該複数の裏面電極を電気的に接続する接続パターンと、を備える。そして、該複数の裏面電極のうちの少なくともひとつは、該半導体ウエハのバイアホールを介して該表面電極と電気的に接続されたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る半導体ウエハ検査装置は、半導体ウエハを載置する検査ステージと、該半導体ウエハの外周側の表面電極とコンタクトするように、該検査ステージに取り付けられたプローブ針と、該半導体ウエハの特性を測定するプローブカードを支持するプローブカードホルダーと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る他の半導体ウエハ検査装置は、半導体ウエハを載置する載置面を有する検査ステージと、該半導体ウエハを吸着する吸気口を該載置面の中央部に有する第1吸着手段と、該半導体ウエハを吸着する吸気口を該載置面の該中央部の外側に有し、該第1吸着手段よりも高い吸着圧で該半導体ウエハを吸着する第2吸着手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る半導体ウエハの検査方法は、表面電極と、バイアホールを介して該表面電極と電気的に接続された裏面電極を有する半導体ウエハを、検査ステージの載置面に載置する工程と、該検査ステージに取り付けられた第1プローブ針を該表面電極に接続する工程と、該第1プローブ針と該表面電極を接続した状態で、第2プローブ針を有するプローブカードを用いて該半導体ウエハの特性を測定する工程と、を有する。そして、該裏面電極は該半導体ウエハの裏面全体に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体ウエハの裏面電極の端子としての機能を維持しつつ、半導体ウエハに過度の力がかかることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハの表面を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハの裏面を示す図である。
【図3】図2のIII−III線における断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハ検査装置を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハの検査方法を示す図である。
【図6】第1プローブ針を表面電極に接続することを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る半導体ウエハ検査装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハの表面を示す図である。半導体ウエハ10には複数のチップ12が形成されている。複数のチップ12は、ダイシングライン14を隔てて並べられている。半導体ウエハ10の表面側には表面電極16a、16b、16cが形成されている。表面電極16a、16b、16cは、半導体ウエハ10の外周に沿って複数形成されるものである。表面電極16a、16b、16cは、半導体ウエハ10の測定時にグランド端子となるべき部分である。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハの裏面を示す図である。半導体ウエハ10の裏面側には複数の裏面電極20が形成されている。複数の裏面電極20は、例えばめっきやスパッタによるAuで形成されている。複数の裏面電極20の1つの裏面電極と、隣接する裏面電極との間にはダイシングライン22が形成されている。ダイシングライン22はAuが形成されずGaAs基板が露出した部分であって、複数の裏面電極20を個々の裏面電極に区切るものである。
【0014】
複数の裏面電極20を一体的に接続するように接続パターン24が形成されている。具体的に説明する。複数の裏面電極20のうちの1つの裏面電極20xは、接続パターン24a、24b、24c、24dを介して隣接する裏面電極と電気的に接続されている。つまり、接続パターン24a、24b、24c、24dは、ダイシングライン22を跨いで形成され、裏面電極20xと他の裏面電極とを電気的に接続する。同様に全ての裏面電極が接続パターン24で電気的に接続されている。このように、半導体ウエハ10の裏面側には、ダイシングライン22を跨いで複数の裏面電極20を電気的に接続する接続パターン24が形成されている。
【0015】
裏面電極20a、20b、20cには、それぞれバイアホール26a、26b、26cが形成されている。バイアホール26aは、裏面電極20aと表面電極16aを接続するために形成されている。バイアホール26bは、裏面電極20bと表面電極16bを接続するために形成されている。バイアホール26cは、裏面電極20cと表面電極16cを接続するために形成されている。
【0016】
図3は、図2のIII−III線における断面図である。バイアホール26aはGaAs基板30を貫くように形成されている。裏面電極20aは、バイアホール26aの内壁に及ぶように形成されている。裏面電極20aはバイアホール26aを通って表面電極16aと電気的に接続されている。裏面電極20aは接続パターン24により複数の裏面電極20の全てと接続されているので、表面電極16aは複数の裏面電極20と接続されている。半導体ウエハ10の表面は適宜に形成された保護膜32で保護されている。
【0017】
図4は、本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハ検査装置を示す図である。半導体ウエハ検査装置40は、外箱42の中にX−Yステージ44を備えている。X−Yステージ44の上には、X−θ軸を持つ検査ステージ46が取り付けられている。検査ステージ46は、半導体ウエハ10を載置する載置面46aを備えている。検査ステージ46には、載置面46aに半導体ウエハ10を吸着するための吸着手段48が取り付けられている。吸着手段48は吸気システムを有する。
【0018】
検査ステージ46には治具50が取り付けられている。治具50には半導体ウエハ10の外周側に形成された表面電極16a、16b、16cとコンタクトする第1プローブ針52が取り付けられている。外箱42には、半導体ウエハ10の特性を測定するプローブカードを支持するプローブカードホルダー54が形成されている。プローブカードホルダー54には、第2プローブ針56aを有するプローブカード56が取り付けられている。
【0019】
続いて、半導体ウエハの検査方法を説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハの検査方法を示す図である。まず、外箱42のカバードア又はウエハローダ部を経由して、半導体ウエハ10を載置面46aに載置する。次いで、第1プローブ針52を表面電極16a、16b、16cに接続する。図6は、第1プローブ針を表面電極に接続することを示す図である。図6に示すように、第1プローブ針52は半導体ウエハ10の外側から表面電極16a、16b、16cに伸びている。
【0020】
次いで、第1プローブ針52と表面電極16a、16b、16cを接続した状態で、プローブカード56を用いて半導体ウエハ10の特性を測定する。この測定は、例えば、高周波測定でもよい。
【0021】
本発明の実施の形態1に係る半導体ウエハ10の検査では、第1プローブ針52を表面電極16a、16b、16cに接続することで、複数の裏面電極20をグランド端子として用いることができる。複数の裏面電極20をグランド端子として用いると、第1プローブ針52を電気的に安定させることができるので、半導体ウエハ10を載置面46aに強く吸着させる必要はない。そのため吸着手段48による吸着圧は、半導体ウエハ10が位置ずれしない程度まで減圧してよい。よって、裏面電極20の端子としての機能を維持しつつ、半導体ウエハ10に過度の力がかかることを防止できる。
【0022】
さらに、本発明の実施の形態1によれば、複数の裏面電極20と検査ステージ46の電気的接続は不要であるので、検査ステージ46は導電性材料以外の材料で形成することができる。例えば、検査ステージ46の上に弾性部分を形成してもよい。弾性部分を形成すると、検査ステージと半導体ウエハの間に異物があっても弾性部分が異物を吸収するように変形するので半導体ウエハへのダメージを緩和できる。
【0023】
表面電極16a、16b、16cは、半導体ウエハ10の外周に沿って複数形成したので、これらを第1プローブ針52と接続すると、半導体ウエハ10を検査ステージ46に固定することができる。第1プローブ針52による半導体ウエハ10の固定が十分であれば、吸着手段48は省略しても良い。
【0024】
ところで、本発明の表面電極16b、16cは予備的に形成されているものである。そのため、表面電極は1つだけ形成してもよい。同様に、複数の裏面電極20のうちの少なくともひとつが、半導体ウエハ10のバイアホールを介して表面電極と電気的に接続されればよい。
【0025】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る発明は、実施の形態1に係る発明と共通点が多いので、実施の形態1に係る発明との相違点を中心に説明する。図7は、本発明の実施の形態2に係る半導体ウエハ検査装置を示す図である。検査ステージ60は導電性の材料で形成されている。検査ステージ60のうち、半導体ウエハ10を載置する面は載置面60aである。検査ステージ60には、半導体ウエハ10を載置面60aに吸着するための第1吸着手段62と第2吸着手段64が形成されている。第1吸着手段62は、載置面60aの中央部に半導体ウエハ10を吸着する吸気口を有している。第2吸着手段64は、載置面60aの中央部の外側に半導体ウエハ10を吸着する吸気口を有している。第2吸着手段64は、第1吸着手段62よりも高い吸着圧で半導体ウエハ10を吸着するものである。
【0026】
上述の半導体ウエハ検査装置を用いて、実施の形態1と同様の検査方法により半導体ウエハ10の特性を測定する。ただし、実施の形態1と異なり、本発明の実施の形態2に係る半導体ウエハ検査装置には第1プローブ針はない。
【0027】
半導体ウエハ10の外側は、第2吸着手段64により載置面60aに強く吸着する。こうすると、表面電極16a、16b、16cの直下の裏面電極が載置面60aに強く吸着し、表面電極16a、16b、16cから検査ステージ60に至る最短経路の接続を強化できる。よって、裏面電極と検査ステージ60の電気的接続を安定させ測定精度を高めることができる。
【0028】
他方、半導体ウエハ10の中央部は、第1吸着手段62により比較的弱く載置面60aに吸着する。こうすると、半導体ウエハ10と検査ステージ60の間の異物による半導体ウエハ10のダメージを緩和できる。以上より、半導体ウエハ10の裏面電極の端子としての機能を維持しつつ、半導体ウエハ10に過度の力がかかることを防止できる。
【0029】
なお、本発明の実施の形態2に係る半導体ウエハ、半導体ウエハ検査装置、及び半導体ウエハの検査方法は、少なくとも実施の形態1と同程度の変形が可能である。また、本発明の実施の形態1、2では基板はGaAsで形成されることとしたが、例えばSi、SiC、InP、Al(サファイア)、又はGaNで基板を形成してもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 半導体ウエハ、 12 複数のチップ、 14 ダイシングライン、 16a,16b,16c 表面電極、 20 複数の裏面電極、 22 ダイシングライン、 24 接続パターン、 26a,26b,26c バイアホール、 30 GaAs基板、 32 保護膜、 40 半導体ウエハ検査装置、 42 外箱、 44 X−Yステージ、 46 検査ステージ、 46a 載置面、 48 吸着手段、 50 治具、 52 第1プローブ針、 54 プローブカードホルダー、 56 プローブカード、 56a 第2プローブ針、 60 検査ステージ、 60a 載置面、 62 第1吸着手段、 64 第2吸着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングラインを隔てて複数のチップが並ぶ半導体ウエハの表面側に形成された表面電極と、
前記半導体ウエハの裏面側に、前記ダイシングラインを隔てて形成された複数の裏面電極と、
前記半導体ウエハの裏面側に、前記ダイシングラインを跨いで前記複数の裏面電極を電気的に接続する接続パターンと、を備え、
前記複数の裏面電極のうちの少なくともひとつは、前記半導体ウエハのバイアホールを介して前記表面電極と電気的に接続されたことを特徴とする半導体ウエハ。
【請求項2】
前記表面電極は前記半導体ウエハの外周に沿って複数形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエハ。
【請求項3】
半導体ウエハを載置する検査ステージと、
前記半導体ウエハの外周側の表面電極とコンタクトするように、前記検査ステージに取り付けられたプローブ針と、
前記半導体ウエハの特性を測定するプローブカードを支持するプローブカードホルダーと、
を備えたことを特徴とする半導体ウエハ検査装置。
【請求項4】
半導体ウエハを載置する載置面を有する検査ステージと、
前記半導体ウエハを吸着する吸気口を前記載置面の中央部に有する第1吸着手段と、
前記半導体ウエハを吸着する吸気口を前記載置面の前記中央部の外側に有し、前記第1吸着手段よりも高い吸着圧で前記半導体ウエハを吸着する第2吸着手段と、
を備えたことを特徴とする半導体ウエハ検査装置。
【請求項5】
前記検査ステージの上に形成された弾性部分を備えたことを特徴とする請求項3に記載の半導体ウエハ検査装置。
【請求項6】
表面電極と、バイアホールを介して前記表面電極と電気的に接続された裏面電極を有する半導体ウエハを、検査ステージの載置面に載置する工程と、
前記検査ステージに取り付けられた第1プローブ針を前記表面電極に接続する工程と、
前記第1プローブ針と前記表面電極を接続した状態で、第2プローブ針を有するプローブカードを用いて前記半導体ウエハの特性を測定する工程と、を有し、
前記裏面電極は前記半導体ウエハの裏面全体に形成されたことを特徴とする半導体ウエハの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80842(P2013−80842A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220357(P2011−220357)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】