Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
半導体ストリップ検出器
説明

半導体ストリップ検出器

【課題】十分な検出効率を維持しつつ、電極間の浮遊容量から生じるノイズを低減できる半導体ストリップ検出器を提供する。
【解決手段】放射線を検出する半導体ストリップ検出器100であって、半導体で一体に形成され、放射線が入射される基板110と、基板110の主面上に互いに平行に設けられた複数のストリップ状電極121−1〜121−nからなる第1の電極群121と、基板110の主面に対する第1の電極群121の複数のストリップ状電極121−1〜121−nの正射影と同一の軸線上に設けられた複数のストリップ状電極122−1〜122−nからなる第2の電極群122と、を備え、第1および第2の電極群121、122は、いずれも長手方向長さと電極間長さの比が10以上となるように形成されている。これにより、検出範囲を維持しつつ、ノイズを十分に低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を検出する半導体ストリップ検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン・ストリップ検出器(Silicon Strip Detector:SSD)は、n型半導体ウェハーの表面にストリップ状に細長いP型半導体層を形成し、その上にアルミニウム電極を設けた構造の固体検出器であり、入射する荷電粒子または放射線の検出が可能である。特に、近年ではX線回折の分野で高速測定や一次元測定の用途に使われている。
【0003】
このようなシリコン・ストリップ検出器では、周囲の熱が原因となってストリップ状の電極にリーク電流が発生し、ノイズが生じる。また、電極間の浮遊容量により、リーク電流が発生し、これもノイズの原因となっている。生じたノイズは検出値のエネルギー分解能を低下させる。このような検出器のノイズ対策を課題とする先行技術として、以下のようなものが知られている。
【0004】
もっとも一般的なものは、ペルチェ素子や液体窒素などでシリコン・ストリップ検出素子を冷却する技術である。しかし、これには冷却によって結露の問題が生じたり、コスト増になるなどのデメリットがある。これに対し、特許文献1記載の半導体検出器は、半導体素子を黒燐で形成することによって、半導体検出器のエネルギー分解能を決定する2つのゆらぎΔEd、ΔEpを小さくし、エネルギー分解能を改善している。特許文献2記載の半導体放射線検出器は、検出器のリーク電流に起困する電子雑音を除去するために、入力信号の波高値に対して閾値を持たせた閾値増幅器を設けている。
【0005】
特許文献3記載の半導体センサは、導電層をシールドケースと接続することにより半導体センサが振動してもシールドケースと同電位に保ち、両者間の浮遊容量を小さくしており、振動により正負各電極への電荷の出入りを低減し振動ノイズの発生を軽減している。特許文献4記載の電離箱検出器は、各分割電極に接続された複数の信号線の近傍に複数のダミー信号線を配置することによって、信号線から出力される信号から、ダミー信号線に生じたノイズを引き算し、信号線に重畳されたノイズを相殺している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−335691号公報
【特許文献2】特開2000−356680号公報
【特許文献3】特開2008−209294号公報
【特許文献4】特開2010−156671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来のノイズ対策をストリップ検出器に適用しても、ストリップ状の電極間の浮遊容量を原因とするノイズを十分に低減できない。これに対し、リーク電流の大きさは電極間容量の大小と相関があることから、ストリップ状の電極を短くする方法が考えられるが、電極を短くすれば、X線検出面積が小さくなり、検出効率の悪化を招く。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、十分な検出効率を維持しつつ、電極間の浮遊容量から生じるノイズを低減できる半導体ストリップ検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る半導体ストリップ検出器は、放射線を検出する半導体ストリップ検出器であって、半導体で一体に形成され、放射線が入射される基板と、前記基板の主面上に互いに平行に設けられた複数のストリップ状電極からなる第1の電極群と、前記基板の主面に対する前記第1の電極群の複数のストリップ状電極の正射影と同一の軸線上に設けられた複数のストリップ状電極からなる第2の電極群と、を備え、前記第1および第2の電極群は、いずれも長手方向長さと電極間長さの比が10以上となるように形成されていることを特徴としている。
【0010】
このように、本発明の半導体ストリップ検出器は、複数のストリップ状電極の正射影と同一の線上に設けられた複数の電極群を備えている。これにより、検出範囲を維持しつつ、電極群あたりの電極長さを小さくし、電極間の浮遊容量を小さくすることで、それにより生じるノイズを十分に低減できる。その結果、エネルギー分解能を向上できる。
【0011】
(2)また、本発明に係る半導体ストリップ検出器は、前記第1および第2の電極群が、いずれも前記基板の同一の主面上に設けられていることを特徴としている。これにより、半導体製造プロセスにより、一体で基板上に各ストリップ状電極が同一の軸線上に設けられた複数の電極群を容易に形成することができ、製造コストを低減できる。また、電極群の間の空隙を十分に小さくすることができる。
【0012】
(3)また、本発明に係る半導体ストリップ検出器は、前記第1および第2の電極群が、1mm以下の空隙を挟んで隣り合って設けられていることを特徴としている。これにより、たとえば電極群が一つだけ設けられた検出器を複数繋げて作製した検出器と比較して、電極群の間の不感領域を十分に小さくでき、不感領域の影響を低減できる。
【0013】
(4)また、本発明に係る半導体ストリップ検出器は、前記第1の電極群が、前記第2の電極群が設けられている主面とは異なる主面に設けられていることを特徴としている。これにより、異なる主面に設けられた電極群の間では、電極群の主面に対する正射影の空隙をゼロにできる。
【0014】
(5)また、本発明に係る半導体ストリップ検出器は、互いに前記第1の電極群と第2の電極群の関係にある電極群を3以上備えることを特徴としている。これにより、同じ検出範囲に対して電極群1つあたりの電極長さをさらに小さくすることができ、さらにノイズを低減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、十分な検出効率を維持しつつ、電極間の浮遊容量から生じるノイズを低減できる。その結果、検出値のエネルギー分解能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る半導体ストリップ検出器および読み取り回路を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る半導体ストリップ検出器を示す断面図である。
【図3】実施形態1に係る半導体ストリップ検出器を示す断面図である。
【図4】実施形態1に係る半導体ストリップ検出器を示す断面図である。
【図5】検出された信号を処理する回路を示すブロック図である。
【図6】実施形態2に係る半導体ストリップ検出器を示す断面図である。
【図7】実施形態2に係る半導体ストリップ検出器を示す断面図である。
【図8】実施形態2に係る半導体ストリップ検出器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
[第1の実施形態]
(検出器および読み出し回路)
図1は、半導体ストリップ検出器100および読み取り回路531、532を示す斜視図である。また、図2〜図4は、半導体ストリップ検出器100を示す断面図である。図2は、図1に示す断面Aによる断面図、図3は、図1に示す断面Bによる断面図、図4は、図1に示す断面Cによる断面図である。
【0019】
半導体ストリップ検出器100は、ストリップ状に形成されたpn接合面を有し、放射線を検出する半導体検出器である。用いられる半導体は、シリコン半導体であることが好ましいが、その他の材料であってもよい。検出される放射線は、X線またはγ線が好ましく、半導体ストリップ検出器100は、特にX線回折の分野で回折線の位置や強度を検出するのに有効である。半導体検出器では、逆バイアスをかけられ拡大された空乏層を放射線が通過する時、軌跡に沿って電子−ホールペアが生成される。この生成された電子やホールを分離し、その電荷量を電極で読み出すことによって放射線を検出できる。
【0020】
図1〜図4に示すように、半導体ストリップ検出器100は、基板110、電極群121(第1の電極群)、電極群122(第2の電極群)および電極130、を備えている。基板110は、半導体で一体に形成され、放射線の入射により電荷の移動を生じさせる。基板110は、バルク体115およびストリップ体111−1〜111−n、112−1〜112−nを有している。バルク体115は、たとえばn型半導体で形成され、ストリップ体111−1〜111−n、112−1〜112−nはp型半導体で形成されている。この場合には、両者間にpn接合面が形成される。
【0021】
電極群121は、基板110の主面上に互いに平行に設けられた複数のストリップ状電極121−1〜121−nからなる。なお、主面とは、板状体の最も広い面をいう。また、電極群122も同様に、基板110の主面上に互いに平行に設けられた複数のストリップ状電極122−1〜122−nからなる。ストリップ状電極122−1〜122−nは、基板110の主面に対する第1の電極群121の複数のストリップ状電極121−1〜121−nの正射影と同一の軸線上に設けられている。
【0022】
ストリップ状電極121−1とストリップ状電極122−1は、基板110主面上の同一軸線上に設けられ、ストリップ状電極121−2とストリップ状電極122−2等の関係も同様である。すなわち、半導体ストリップ検出器100は、平行に設けられたストリップ状電極が分割された構造を有している。これにより、検出範囲を維持しつつ、電極群あたりの電極長さを小さくできる。そして、ストリップ状電極間の浮遊容量を小さくすることで、それにより生じるノイズを十分に低減できる。なお、各ストリップ状電極は、対応するストリップ体の上に重ねて形成されており、幅、ピッチ、長手方向長さ等の寸法は同じに設計されている。
【0023】
電極群内の各ストリップ状電極の長さは、同じであり、ストリップ状電極の長手方向の電極群の長さは、各ストリップ状電極の長さを意味する。また、電極間の長さ(ピッチ)も、電極群内で同一である。検出したい範囲をカバーできる長さのストリップを中央で分割した形状であることが好ましい。たとえば検出範囲として20mm必要な場合に、各ストリップ状電極の長さを10mmとして2つの電極群を設けることができる。また、電極群121、122は、いずれも長手方向長さと電極間長さの比(ピッチ比)が10以上となるように形成されている。したがって、電極群は微細に分割されたピクセルディテクターのような電極構造を有するわけではない。なお、電極幅については後述する。
【0024】
図1〜図4に示すように、電極群121、122は、いずれも基板110の同一の主面上に設けられていることが好ましい。これにより、半導体製造プロセスにより、一体で基板110上に各ストリップ状電極を容易に形成することができ、製造コストを低減できる。また、電極群の間の空隙を十分に小さくすることができる。
【0025】
電極群121、122は、1mm以下の空隙150を挟んで隣り合って設けられている。したがって、たとえば電極群が一つだけ設けられた一般的な検出器を複数繋げて検出器を作製しても、電極群の間の不感領域を十分に小さくできず、不感領域の影響を免れない。
【0026】
読み出し回路531、532は、電極群毎に複数設けられ、電極群から信号を読み出す。読み出し回路は複数必要になるが、集積回路で構成できるため、検出器の構成上大きな負担とはならない。図1に示す例では、読み出し回路531は、それぞれ第1の電極群121の各ストリップ状電極121−1〜121−nとワイヤ・ボンディング521−1〜521−nで接続されている。
【0027】
また、読み出し回路532は、それぞれ第2の電極群122の各ストリップ状電極122−1〜122−nとワイヤ・ボンディング522−1〜522−nで接続されている。放射線が基板110に入射したときには、その位置に最も近いストリップ状電極に電荷が流れ、読み出し回路531により、その位置および強度を検出できる。
【0028】
なお、上記のような半導体ストリップ検出器100は、上記のような複数の電極群を設けるように決定した設計に基づいて、通常の半導体製造プロセスにより作製することができる。
【0029】
(信号の処理回路)
次に、半導体ストリップ検出器100で検出された信号の処理回路について説明する。図5は、検出された信号を処理する処理回路500を示すブロック図である。図5に示すように、処理回路500は、読み出し回路531、532、カウンター541、542、制御回路550を有している。
【0030】
読み出し回路531、532は、それぞれ第1の電極群121、第2の電極群122から信号を読み出す。読みだされた信号は、カウンター541、542に入力され、カウンター541、542は、入力されたパルス信号の回数をカウントする。制御回路550は、カウントされた回数について、異なる電極群間で同一軸上のストリップ状電極でカウントされた回数を足し合わせる。分割された電極群で検出、カウント等を行ない、その後カウント数を足し合わせることで、ノイズが大幅に低減できる。その結果、検出面積を損なわずにエネルギー分解能の良い検出器を実現できる。なお、カウント数の足し合わせは、制御回路550で行なっても良いし、ソフトウェア上で行なっても良い。
【0031】
(電極幅の影響の検証)
上記の例では、ストリップ状電極の電極幅を特に特定していないが、これを特定することが不要であることを説明する。同一の主面上に2つの電極群を設けた半導体ストリップ検出器を、下表のようにストリップ状電極長さ、ピッチ、電極幅を設計して2種類作製した。いずれの半導体ストリップ検出器についても電極長さおよびピッチは同一に設計し、電極幅すなわち電極間のギャップを変えた。そして、それぞれの半導体ストリップ検出器の電極群について、電極間の静電容量を測定した。静電容量の測定は、JIS C 5101-1に準拠した方法で行なった。
【表1】

【0032】
その結果、表1に示すように、電極幅26μmの場合の静電容量は、2.62pFであったのに対してほぼ半分の電極幅15μmの場合の静電容量は、2.14pFとなり、静電容量の差は、20%程度であり、効果は薄い。したがって、電極間のギャップの差は、電極間の静電容量に劇的に寄与しないため、別の方法が求められる。
【0033】
[第2の実施形態]
上記の実施形態では、電極群121と電極群122とが、同一の主面上に設けられているが、各電極群が設けられている主面が異なっていてもよい。図6〜図8は、半導体ストリップ検出器200を示す断面図である。図6は、ストリップ状電極の軸上に沿った断面の断面図、図7は、図6に示す断面Dの断面図、図8は、図6に示す断面Eの断面図である。
【0034】
図6〜図8に示すように、半導体ストリップ検出器200では、基板210、第1の電極群221、第2の電極群222および電極231、232を備えている。基板210は、バルク体215およびストリップ体211−1〜211−n、212−1〜212−nを有している。第1の電極群221は、ストリップ状電極221−1〜221−nからなる。また、第1の電極群222は、ストリップ状電極222−1〜222−nからなる。
【0035】
半導体ストリップ検出器200では、電極群221(第1の電極群)が、電極群222(第2の電極群)の設けられている主面とは異なる主面に設けられている。これにより、異なる主面に設けられた電極群221、222の間では、主面に対する正射影について生じる隣り合う電極群同士の空隙(たとえば図1に示す空隙150に相当)をゼロにできる。なお、図6に示す方向Fは、基板210の主面に対する法線方向を示しており、半導体ストリップ検出器200では、空隙をゼロにする設計が可能であることが分かる。半導体ストリップ検出器200は、半導体製造プロセスの多層技術を応用することで形成することができる。
【0036】
[その他の実施形態]
なお、以上の実施形態では、半導体ストリップ検出器は2つの電極群を有しているが、互いに第1の電極群と第2の電極群の関係にある電極群を3以上備えていてもよい。これにより、同じ検出範囲に対して電極群1つあたりの電極長さを小さくすることができ、さらにノイズを低減できる。
【符号の説明】
【0037】
100 半導体ストリップ検出器
110 基板
111−1〜111−n、112−1〜112−n ストリップ体
115 バルク体
121 電極群(第1の電極群)
121−1〜121−n ストリップ状電極
122 電極群(第2の電極群)
122−1〜122−n ストリップ状電極
130 電極
150 空隙
200 半導体ストリップ検出器
210 基板
211−1〜211−n、212−1〜212−n ストリップ体
215 バルク体
221 電極群(第1の電極群)
221−1〜221−n ストリップ状電極
222 電極群(第2の電極群)
222−1〜222−n ストリップ状電極
231、232 電極
500 処理回路
521−1〜521−n ワイヤ・ボンディング
522−1〜522−n ワイヤ・ボンディング
531、532 読み出し回路
541、542 カウンター
550 制御回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する半導体ストリップ検出器であって、
半導体で一体に形成され、放射線が入射される基板と、
前記基板の主面上に互いに平行に設けられた複数のストリップ状電極からなる第1の電極群と、
前記基板の主面に対する前記第1の電極群の複数のストリップ状電極の正射影と同一の軸線上に設けられた複数のストリップ状電極からなる第2の電極群と、を備え、
前記第1および第2の電極群は、いずれも長手方向長さと電極間長さの比が10以上となるように形成されていることを特徴とする半導体ストリップ検出器。
【請求項2】
前記第1および第2の電極群は、いずれも前記基板の同一の主面上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の半導体ストリップ検出器。
【請求項3】
前記第1および第2の電極群は、1mm以下の空隙を挟んで隣り合って設けられていることを特徴とする請求項2記載の半導体ストリップ検出器。
【請求項4】
前記第1の電極群は、前記第2の電極群が設けられている主面とは異なる主面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の半導体ストリップ検出器。
【請求項5】
互いに前記第1の電極群と前記第2の電極群の関係にある電極群を3以上備えることを特徴とする請求項1記載の半導体ストリップ検出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−57598(P2013−57598A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196275(P2011−196275)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】