説明

半導体チップの実装方法及び液晶パネル

【課題】COG実装であっても表示ムラの発生を大幅に改善することが可能な半導体チップの実装方法及び液晶パネルを提供する。
【解決手段】液晶パネル10は、互いに対向する主面12a,12bを有するガラス基板12と、ガラス基板12の主面12aに熱硬化性樹脂20を介して搭載された半導体チップ14と、ガラス基板12の主面12bに熱硬化性樹脂24を介して搭載されたダミーチップ16とを備える。半導体チップ14は、主面12a,12bの対向方向から見て、矩形状を呈している。半導体チップ14とダミーチップ16とは、主面12a,12bの対向方向から見たときに重なり合っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップの実装方法及び液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルのガラス基板には、COG(Chip OnGlass)実装又はCOF(ChipOn Flex)実装等によって液晶駆動用の半導体チップ(ICチップ)が実装される。COG実装では、導電性粒子を含む回路接続材料を用いて半導体チップをガラス基板上に直接接合する。COF実装では、金属配線を有するフレキシブルテープに半導体チップを接合し、導電性粒子を含む回路接続材料を用いてそれらをガラス基板に接合する。
【0003】
COG実装では、上記のように半導体チップをガラス基板上に直接接合しているので、部品点数を少なくすることができ、その結果液晶パネルのコストを抑えることが可能となる。ところが、COG実装によって半導体チップをガラス基板上に接合するにあたり、ガラス基板に熱硬化性接着剤を設け、ガラス基板と共に熱硬化性接着剤を挟むように半導体チップをガラス基板に搭載した後、半導体チップ側から加圧及び加熱している。
【0004】
ここで、半導体チップ側から加熱していることに加え、半導体チップの線膨張係数はガラス基板の線膨張係数よりも大きいので、半導体チップ及びガラス基板が冷えたときには、半導体チップはガラス基板よりも大きく縮むこととなる。そのため、ガラス基板が湾曲し、液晶パネルの液晶層の厚み(いわゆるセルギャップ)が変化してしまう。その結果、ガラス基板が湾曲した部分において、液晶分子の配向が変化し、表示ムラが発生してしまう。この傾向は、低コスト化・軽量化を図るためにガラス基板を薄くした場合に、顕著となる。
【0005】
一方、COF実装では、上記のようにフレキシブルテープを介して半導体チップをガラス基板に搭載しているので、COG実装のような表示ムラの発生の問題は生じない。しかしながら、COF実装では、部品点数が多く、製造コストが大きい。
【0006】
そこで、コストの低いCOG実装にて表示ムラの発生を抑制するために、従来、半導体チップのガラス基板への実装のために行われる半導体チップの加熱に遅れて、ガラス基板を加熱する方法が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−200230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来の方法でも、最適な条件でガラス基板を加熱することが困難であるので、表示ムラが発生してしまうことがあった。そのため、COG実装であっても表示ムラがほとんど発生しない、新たな実装方法が求められていた。
【0008】
そこで、本発明は、COG実装であっても表示ムラの発生を大幅に改善することが可能な半導体チップの実装方法及び液晶パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体チップの実装方法は、互いに対向する第1の主面及び第2の主面を有する基板に半導体チップを実装する半導体チップの実装方法であって、第1の熱硬化性接着剤を介して半導体チップを基板の第1の主面に搭載し、当該半導体チップを基板に熱圧着する半導体チップ搭載工程と、第2の熱硬化性接着剤を介してダミーチップを基板の第2の主面に搭載し、当該ダミーチップを基板に熱圧着するダミーチップ搭載工程とを備え、半導体チップは、基板に実装されたときに、第1の主面及び前記第2の主面の対向方向から見て、矩形状を呈しており、ダミーチップ搭載工程では、ダミーチップが、第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、半導体チップの一方の短辺と重なる第1の仮想直線と半導体チップの他方の短辺と重なる第2の仮想直線との間の領域内に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る半導体チップの実装方法では、ダミーチップ搭載工程において、第2の熱硬化性接着剤を介してダミーチップを基板の第2の主面に搭載し、当該ダミーチップを基板に熱圧着している。そのため、ダミーチップ及び基板が冷えたときには、ダミーチップが収縮するので、第2の主面(すなわち、半導体チップが搭載されている第1の主面の裏面)側から基板に対して基板を湾曲させようとする力が働く。つまり、ダミーチップ及び基板が冷えたときには、半導体チップが基板を湾曲させようとする力を打ち消す力が、ダミーチップによって基板に与えられることとなる。その結果、半導体チップによる基板の湾曲を抑制することができ、表示ムラを改善することが可能となる。
【0011】
ところで、半導体チップは、第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、矩形状を呈しているので、半導体チップが冷えて収縮した場合、基板のうち半導体チップの短辺に対応する各部分が最も力を受けて湾曲することとなる。しかしながら、本発明に係る半導体チップの実装方法では、ダミーチップ搭載工程において、第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、半導体チップの一方の短辺と重なる第1の仮想直線と半導体チップの他方の短辺と重なる第2の仮想直線との間の領域内にダミーチップを配置している。そのため、基板のうち半導体チップからの力を最も受けやすい部分における湾曲が、ダミーチップによって抑制されることとなる。その結果、COG実装であっても表示ムラの発生を大幅に改善することが可能となっている。
【0012】
好ましくは、半導体チップ搭載工程とダミーチップ搭載工程とは同時に行われる。このようにすると、半導体チップ、ダミーチップ及び基板が同時に冷えるので、半導体チップ、ダミーチップ及び基板の収縮がほぼ同時に起こることとなる。そのため、半導体チップが基板を湾曲させようとする力と、ダミーチップが基板を湾曲させようとする力とがほぼ同時に基板に与えられる。その結果、両者の力がほぼ同時に打ち消されて、基板の湾曲が大きく抑制されることとなり、表示ムラの発生をより一層改善することが可能となる。
【0013】
好ましくは、ダミーチップ搭載工程は、半導体チップ搭載工程の後に行われる。
【0014】
好ましくは、基板の第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、半導体チップとダミーチップとが略同一の大きさであり、半導体チップとダミーチップとが略一致するように重なり合っている。このようにすると、基板のうち半導体チップからの力をうける部分と、基板のうちダミーチップからの力を受ける部分とがほぼ一致することとなる。その結果、両者の力が基板のうちほぼ一致する部分で打ち消されて、基板の湾曲が大きく抑制されることとなり、表示ムラの発生をより一層改善することが可能となる。
【0015】
好ましくは、ダミーチップの熱伝導率と線膨張係数との積が、基板の熱伝導率と線膨張係数との積よりも大きい。このようにすると、ダミーチップが冷えることにより基板に与える力がより大きくなるので、半導体チップが基板を湾曲させようとする力を十分に打ち消すことができる。その結果、基板の湾曲が大きく抑制されることとなり、表示ムラの発生をより一層改善することが可能となる。
【0016】
一方、本発明に係る液晶パネルは、互いに対向する第1の主面及び第2の主面を有する基板と、基板の第1の主面に第1の熱硬化性樹脂を介して搭載された半導体チップと、基板の第2の主面に第2の熱硬化性樹脂を介して搭載されたダミーチップとを備え、半導体チップは、第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、矩形状を呈しており、ダミーチップは、第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、半導体チップの一方の短辺と重なる第1の仮想直線と半導体チップの他方の短辺と重なる第2の仮想直線との間の領域内に位置していることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る液晶パネルでは、ダミーチップが、基板の第2の主面に第2の熱硬化性樹脂を介して搭載されている。ダミーチップは、基板に熱圧着されて搭載されるので、ダミーチップ及び基板が冷えるときに収縮し、第2の主面(すなわち、半導体チップが搭載されている第1の主面の裏面)側から基板に対して基板を湾曲させようとする力を与える。つまり、ダミーチップ及び基板が冷えるときに、半導体チップが基板を湾曲させようとする力を打ち消す力が、ダミーチップによって基板に与えられることとなる。その結果、半導体チップによる基板の湾曲を抑制することができ、表示ムラを改善することが可能となる。
【0018】
ところで、半導体チップは、第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、矩形状を呈しているので、半導体チップが冷えて収縮する場合、基板のうち半導体チップの短辺に対応する各部分が最も力を受けて湾曲することとなる。しかしながら、本発明に係る液晶パネルでは、第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、半導体チップの一方の短辺と重なる第1の仮想直線と半導体チップの他方の短辺と重なる第2の仮想直線との間の領域内にダミーチップが位置しているそのため、基板のうち半導体チップからの力を最も受けやすい部分における湾曲が、ダミーチップによって抑制されている。その結果、COG実装であっても表示ムラの発生を大幅に改善することが可能となっている。
【0019】
好ましくは、基板の第1の主面及び第2の主面の対向方向から見て、半導体チップとダミーチップとが略同一の大きさであり、半導体チップとダミーチップとが略一致するように重なり合っている。このようにすると、基板のうち半導体チップからの力をうける部分と、基板のうちダミーチップからの力を受ける部分とがほぼ一致することとなる。その結果、両者の力が基板のうちほぼ一致する部分で打ち消されて、基板の湾曲が大きく抑制されることとなり、表示ムラの発生をより一層改善することが可能となる。
【0020】
好ましくは、ダミーチップの熱伝導率と線膨張係数との積が、基板の熱伝導率と線膨張係数との積よりも大きい。このようにすると、ダミーチップが冷えることにより基板に与える力がより大きくなるので、半導体チップが基板を湾曲させようとする力を十分に打ち消すことができる。その結果、基板の湾曲が大きく抑制されることとなり、表示ムラの発生をより一層改善することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、COG実装であっても表示ムラの発生を大幅に改善することが可能な半導体チップの実装方法及び液晶パネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0023】
(液晶パネルの構造)
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る液晶パネル10の構造について説明する。液晶パネル10は、ガラス基板12と、半導体チップ14と、ダミーチップ16とを備える。
【0024】
ガラス基板12は、例えば無アルカリガラスや表面にSiO膜が蒸着形成されたソーダガラスによって構成される板状体であり、互いに対向する主面(第1の主面、第2の主面)12a,12bを有している。ガラス基板12の熱伝導率は例えば1W/(m・K)程度であり、ガラス基板12の線膨張係数は例えば4×10−6−1程度であるので、ガラス基板12の熱伝導率と線膨張係数との積は4×10−6W/m程度である。
【0025】
ガラス基板12は、他方のガラス基板(図示せず)と共に液晶層(図示せず)を間に置くように配置されている。ガラス基板12の表面には、液晶層に含まれる液晶に電圧を印加するための液晶駆動用電極18が設けられている。なお、透明であってある程度の強度を有していれば、ガラス基板12以外に、例えば、ガラス強化エポキシ基板、紙フェノール基板、セラミック基板、積層板等を基板として用いてもよい。
【0026】
半導体チップ14は、液晶パネル10を駆動するための液晶ドライバとして機能する。具体的には、半導体チップ14は、液晶層に含まれる液晶に印加するための電圧のON/OFFを制御する。
【0027】
半導体チップ14は、直方体形状を呈しており、そのため、図2に示されるように、ガラス基板12の主面12a,12bの対向方向から見て、矩形状を呈している。半導体チップ14は、例えばシリコンによって構成されている。半導体チップ14の熱伝導率は例えば170W/(m・K)程度であり、半導体チップ14の線膨張係数は例えば3×10−6−1程度であるので、半導体チップ14の熱伝導率と線膨張係数との積は5.1×10−4W/m程度である。そのため、半導体チップ14の熱伝導率と線膨張係数との積は、ガラス基板12の熱伝導率と線膨張係数との積よりも大きくなっている。
【0028】
半導体チップ14は、図1及び図2に示されるように、ガラス基板12の主面12a上に搭載されている。具体的には、半導体チップ14は、半導体チップ14の側面のうち一の側面14aがガラス基板12の主面12aと対向するように、熱硬化性接着剤(第1の熱硬化性接着剤)20を介してガラス基板12の主面12aに貼付けられている。
【0029】
ここで、熱硬化性接着剤20は、導電性粒子20aを含有したバインダ20bによって構成されている。熱硬化性接着剤20は、力が加えられる厚み方向に導電性を発現するが面方向には導電性を発現しない異方導電性を有している。
【0030】
導電性粒子20aは、Au、Ag、Pt、Ni、Cu、W、Sb、Sn、半田等の金属粒子や炭素粉等、又は、非導電性のガラス、セラミックス若しくはプラスチックのような高分子等からなる核材に上記の導電材料からなる導電層を被覆形成したものを用いることができる。
【0031】
このうち、導電性粒子20aとしては、はんだ等の熱溶融金属やプラスチック等の高分子からなる核材に導電層を被覆形成したものが好ましい。この場合、半導体チップ14のガラス基板12への熱圧着の際に(詳しくは後述する)、導電性粒子20aが変形しやすくなるので、電極18,22との接触面積が増加し、信頼性の向上を図ることができる。特に、高分子類を核とすると、はんだのように融点を示さないので、軟化の状態を接続温度で広く制御でき、電極18,22の厚みや平坦性のばらつきにも対応可能となることから、より好ましい。
【0032】
また、例えば、導電性粒子20aが、Ni、W等の硬質金属粒子である場合や表面に多数の突起を有する粒子であると好ましい。この場合、導電性粒子20aが電極18,22に突き刺さるので、電極18,22に酸化膜や汚染層が存在していても低い接続抵抗を得ることができる。
【0033】
導電性粒子20aは、異方導電性を発現させるため、その粒径がバインダ20bの厚み以下であると好ましい。導電性粒子20aの粒径がバインダ20bの厚み以下であると、バインダ20bによって導電性粒子20aを保持しやすくなるので、導電性粒子20aのバインダ20bからの脱落防止が可能となる。具体的に、導電性粒子20aの粒径は、15μm以下であると好ましく、7μm以下であるとより好ましい。
【0034】
導電性粒子20aは、バインダ20bの表面から突出していてもよい。導電性粒子20aがバインダ20bの表面から突出していると、導電性粒子20aがガラス基板12の液晶駆動用電極18や半導体チップ14の突出電極22(詳しくは後述する)と接触しやすくなり、異方導電性を得やすくなる。バインダ20bに対する導電性粒子20aの割合は、0.1体積%〜30体積%程度であると、異方導電性を得やすくなるため好ましい。
【0035】
バインダ20bは、熱硬化性を有する接着剤であれば種々の材料を用いることが可能である。中でもエポキシ系接着剤は、短時間硬化が可能で接続作業性が良く、分子構造上接着性に優れる等の特長から好ましく適用できる。エポキシ系接着剤は、例えば高分子量のエポキシ、固形エポキシと液状エポキシ、ウレタン、ポリエステル、アクリルゴム、NBR、ナイロン等で変性したエポキシを主成分とし、硬化剤や触媒、カップリング剤、充填剤等を添加してなるものが一般的である。また、熱硬化性接着剤20の厚み方向における導電性を発現しやすくするために、バインダ20bの厚さは膜の形成が可能な範囲で薄い方がよく、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
【0036】
図1に戻って、半導体チップ14の側面14aには、Cu等によって構成された突出電極22が設けられている。半導体チップ14がガラス基板12に搭載された状態において、突出電極22とガラス基板12の液晶駆動用電極18とは、対向し、導電性粒子20aを挟持している。
【0037】
導電性粒子20aは、突出電極22と液晶駆動用電極18との間において密度の高い状態で存在しており、電極18,22の周囲の大部分は、バインダ20bによって覆われている。そのため、電極18,22が導通し、液晶駆動用電極18同士及び突出電極22同士並びに液晶駆動用電極18と当該液晶駆動用電極18に対応しない突出電極22との間で導通が行われないようになっている(絶縁状態とされている)。
【0038】
ダミーチップ16は、直方体形状を呈しており、そのため、図2に示されるように、ガラス基板12の主面12a,12bの対向方向から見て、矩形状を呈している。ダミーチップ16は、例えばシリコン、アルミニウム、銀、銅、鉄によって構成することができる。
【0039】
ダミーチップ16は、半導体チップ14と同じ材料(本実施形態においては、シリコン)であると好ましい。この場合、半導体チップ14及びダミーチップ16を加熱後冷却したときに半導体チップ14と同程度の力がガラス基板12に与えられることとなり、表示ムラを一層低減することができるようになる。なお、ダミーチップ16の熱伝導率と線膨張係数との積が、ガラス基板12の熱伝導率と線膨張係数との積よりも大きくなっている。
【0040】
ダミーチップ16は、図1及び図2に示されるように、ガラス基板12の主面12b上に搭載されている。具体的には、ダミーチップ16は、ダミーチップ16の側面のうち一の側面16aがガラス基板12の主面12bと対向するように、熱硬化性接着剤(第2の熱硬化性接着剤)24を介してガラス基板12の主面12bに貼付けられている。熱硬化性接着剤24としては、熱硬化性を有する接着剤であれば種々の材料を用いることが可能であるが、熱硬化性接着剤20のバインダ20bと同じエポキシ系接着剤を用いることができる。
【0041】
ここで、ダミーチップ16は、図2に示されるように、主面12a,12bの対向方向から見たときに、半導体チップ14と略同一の大きさであり、半導体チップ14と略一致するように重なり合っている。ただし、ダミーチップ16は、主面12a,12bの対向方向から見たときに、半導体チップ14と同じ大きさでなくてもよい。このとき、ダミーチップ16は、主面12a,12bの対向方向から見たときに、半導体チップ14の一方の短辺と重なる仮想直線L1と半導体チップ14の他方の短辺と重なる仮想直線L2との間の領域R内に位置していればよい。
【0042】
(半導体チップの実装方法)
続いて、図3〜図6を参照して、本実施形態に係る半導体チップ14のガラス基板12への実装方法について説明する。
【0043】
まず、図3に示されるように、液晶駆動用電極18が主面12aに設けられたガラス基板12を用意する。続いて、図4に示されるように、熱硬化性接着剤20をガラス基板12の主面12aに配置する。
【0044】
ここで、熱硬化性接着剤20をガラス基板12の主面12aに配置するにあたっては、図示しないセパレータに熱硬化性接着剤20が設けられたものをガラス基板12の主面12aに貼り付けるようにしてもよく、熱硬化性接着剤20をガラス基板12の主面12aに直接塗布するようにしてもよい。なお、セパレータとしては、例えばシリコーン等によって表面が離型処理されたPET基材が挙げられる。
【0045】
続いて、図5に示されるように、ガラス基板12の主面12aに半導体チップ14を搭載する(半導体チップ搭載工程)。具体的には、半導体チップ14の突出電極22と、ガラス基板12の対応する液晶駆動用電極18とが合うように、図示しない圧着手段にて半導体チップ14をガラス基板12に熱圧着する。このとき、熱硬化性接着剤20が100℃〜250℃程度となるように圧着手段の温度を設定することができる。
【0046】
続いて、主面16aに熱硬化性接着剤24が配置されたダミーチップ16を用意する。熱硬化性接着剤24をダミーチップ16の主面16aに配置するにあたっては、図示しないセパレータに熱硬化性接着剤24が設けられたものをダミーチップ16の主面16aに貼り付けるようにしてもよく、熱硬化性接着剤24をダミーチップ16の主面16aに直接塗布するようにしてもよい。
【0047】
そして、図6に示されるように、ガラス基板12の主面12bにダミーチップ16を搭載する(ダミーチップ搭載工程)。具体的には、主面12a,12bの対向方向から見たときに、ダミーチップ16が半導体チップ14と重なり合うように、図示しない圧着手段にて熱硬化性接着剤24が設けられたダミーチップ16をガラス基板12の主面12bに熱圧着する。このとき、熱硬化性接着剤24が100℃〜250℃程度となるように圧着手段の温度を設定することができる。
【0048】
以上のような本実施形態においては、熱硬化性接着剤24を介してダミーチップ16をガラス基板12の主面12bに搭載し、ダミーチップ16をガラス基板12に熱圧着している。そのため、ダミーチップ16及びガラス基板12が冷えたときには、ダミーチップ16が収縮するので、主面12b(すなわち、半導体チップ14が搭載されている主面12aの裏面)側からガラス基板12に対してガラス基板12を湾曲させようとする力が働く。つまり、ダミーチップ16及びガラス基板12が冷えたときには、半導体チップ14がガラス基板12を湾曲させようとする力を打ち消す力が、ダミーチップ16によってガラス基板12に与えられることとなる。その結果、半導体チップ14によるガラス基板12の湾曲を抑制することができ、表示ムラを改善することが可能となる。
【0049】
ところで、半導体チップ14は、ガラス基板12の主面12a,12bの対向方向から見て、矩形状を呈しているので、半導体チップ14が冷えて収縮した場合、ガラス基板12のうち半導体チップ14の短辺に対応する各部分が最も力を受けて湾曲することとなる。しかしながら、本実施形態においては、ガラス基板12の主面12a,12bの対向方向から見て、半導体チップ14の一方の短辺と重なる仮想直線L1と半導体チップ14の他方の短辺と重なる仮想直線L2との間の領域R内にダミーチップ16を配置している。そのため、ガラス基板12のうち半導体チップ14からの力を最も受けやすい部分における湾曲が、ダミーチップ16によって抑制されることとなる。その結果、COG実装であっても表示ムラの発生を大幅に改善することが可能となっている。
【0050】
また、本実施形態においては、ガラス基板12の主面12a,12bの対向方向から見て、半導体チップ14とダミーチップ16とが略同一の大きさであり、半導体チップ14とダミーチップ16とが略一致するように重なり合っている。そのため、ガラス基板12のうち半導体チップ14からの力をうける部分と、ガラス基板12のうちダミーチップ16からの力を受ける部分とがほぼ一致することとなる。その結果、両者の力がガラス基板12のうちほぼ一致する部分で打ち消されて、ガラス基板12の湾曲が大きく抑制されることとなり、表示ムラの発生をより一層改善することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態においては、ダミーチップ16の熱伝導率と線膨張係数との積が、ガラス基板12の熱伝導率と線膨張係数との積よりも大きい。そのため、ダミーチップ16が冷えることによりガラス基板12に与える力がより大きくなるので、半導体チップ14がガラス基板12を湾曲させようとする力を十分に打ち消すことができる。その結果、ガラス基板12の湾曲が大きく抑制されることとなり、表示ムラの発生をより一層改善することが可能となる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では熱硬化性接着剤20が異方導電性を有していたが、熱硬化性接着剤24のように導電性を有しないものを用いてもよい。また、本実施形態では熱硬化性接着剤24が導電性を有していなかったが、熱硬化性接着剤20のように導電性粒子20aを含むものであってもよい。
【0053】
また、本実施形態では半導体チップ14をガラス基板12の主面12aに搭載した後にダミーチップ16をガラス基板12の主面12bに搭載したが、半導体チップ14のガラス基板12の主面12aへの搭載とダミーチップ16のガラス基板12の主面12bへの搭載とを同時に行うようにしてもよい。このようにすると、半導体チップ14、ダミーチップ16及びガラス基板12が同時に冷えるので、半導体チップ14、ダミーチップ16及びガラス基板12の収縮がほぼ同時に起こることとなる。そのため、半導体チップ14が基板を湾曲させようとする力と、ダミーチップ16が基板を湾曲させようとする力とがほぼ同時に基板に与えられる。その結果、両者の力がほぼ同時に打ち消されて、ガラス基板12の湾曲が大きく抑制されることとなり、表示ムラの発生をより一層改善することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態ではガラス基板12の主面12bにダミーチップ16を一つ搭載していたが、これに限られない。具体的には、主面12a,12bの対向方向から見たときに、半導体チップ14の一方の短辺と重なる仮想直線L1と半導体チップ14の他方の短辺と重なる仮想直線L2との間の領域R内に位置していれば、図7に示されるように、ガラス基板12の主面12bにダミーチップ16を二以上搭載してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、半導体チップ14とダミーチップ16とが、ガラス基板12の主面12a,12bの対向方向から見たときに重なり合っていたが、これに限られない。具体的には、主面12a,12bの対向方向から見たときに、半導体チップ14の一方の短辺と重なる仮想直線L1と半導体チップ14の他方の短辺と重なる仮想直線L2との間の領域R内に位置していれば、図8及び図9に示されるように、ダミーチップ16を半導体チップ14よりもガラス基板12の縁寄りに配置するようにしてもよく、図10及び図11に示されるように、ダミーチップ16を半導体チップ14よりもガラス基板12の中央寄りに配置するようにしてもよい。なお、図8においては、主面12a,12bの対向方向から見たときに、半導体チップ14とダミーチップ16との幅が略同一となっているが、図9〜図11においては、主面12a,12bの対向方向から見たときに、ダミーチップ16の幅が半導体チップ14の幅よりも小さくなっている。また、図8〜図10においては、主面12a,12bの対向方向から見たときに、ダミーチップ16の一部が半導体チップ14の一部と重なり合っているが、図11においては、主面12a,12bの対向方向から見たときに、半導体チップ14とダミーチップ16とが重なり合っていない。
【0056】
また、半導体チップ14の突出電極22は、一般に、主面12a,12bの対向方向から見て、半導体チップ14の長辺に沿うように長辺近傍に配置されているので、主面12a,12bの対向方向から見たときに半導体チップ14の長辺に対応する部分のガラス基板12は湾曲し難くなっている。そこで、主面12a,12bの対向方向から見たときの大きさが半導体チップ14よりも小さいダミーチップ16を用い、主面12a,12bの対向方向から見て、半導体チップ14の突出電極22が設けられていない部分(半導体チップ14の長手方向に延びる中央部分)と重なり合うように、ダミーチップ16をガラス基板12に配置するようにしてもよい(図12参照)。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本実施形態に係る液晶パネルを示す断面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る液晶パネルを示す側面図である。
【図3】図3は、ガラス基板へ半導体チップを実装する一工程を示す図である。
【図4】図4は、図3の後続の工程を示す図である。
【図5】図5は、図4の後続の工程を示す図である。
【図6】図6は、図5の後続の工程を示す図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る液晶パネルの他の例(第1の例)を示す断面図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る液晶パネルの他の例(第2の例)を示す側面図である。
【図9】図9は、本実施形態に係る液晶パネルの他の例(第3の例)を示す側面図である。
【図10】図10は、本実施形態に係る液晶パネルの他の例(第4の例)を示す側面図である。
【図11】図11は、本実施形態に係る液晶パネルの他の例(第5の例)を示す側面図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る液晶パネルの他の例(第6の例)を示す側面図である。
【符号の説明】
【0058】
10…液晶パネル、12…ガラス基板、12a,12b…主面(第1の主面、第2の主面)、14…半導体チップ、16…ダミーチップ、20,24…熱硬化性接着剤(第1の熱硬化性接着剤、第2の熱硬化性接着剤)、L1,L2…仮想直線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の主面及び第2の主面を有する基板に半導体チップを実装する半導体チップの実装方法であって、
第1の熱硬化性接着剤を介して前記半導体チップを前記基板の前記第1の主面に搭載し、当該半導体チップを前記基板に熱圧着する半導体チップ搭載工程と、
第2の熱硬化性接着剤を介してダミーチップを前記基板の前記第2の主面に搭載し、当該ダミーチップを前記基板に熱圧着するダミーチップ搭載工程とを備え、
前記半導体チップは、前記基板に実装されたときに、前記第1の主面及び前記第2の主面の対向方向から見て、矩形状を呈しており、
前記ダミーチップ搭載工程では、前記ダミーチップが、前記第1の主面及び前記第2の主面の対向方向から見て、前記半導体チップの一方の短辺と重なる第1の仮想直線と前記半導体チップの他方の短辺と重なる第2の仮想直線との間の領域内に配置されることを特徴とする半導体チップの実装方法。
【請求項2】
前記半導体チップ搭載工程と前記ダミーチップ搭載工程とは同時に行われることを特徴とする請求項1に記載された半導体チップの実装方法。
【請求項3】
前記ダミーチップ搭載工程は、前記半導体チップ搭載工程の後に行われることを特徴とする請求項1に記載された半導体チップの実装方法。
【請求項4】
前記基板の前記第1の主面及び前記第2の主面の対向方向から見て、前記半導体チップと前記ダミーチップとが略同一の大きさであり、前記半導体チップと前記ダミーチップとが略一致するように重なり合っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載された半導体チップの実装方法。
【請求項5】
前記ダミーチップの熱伝導率と線膨張係数との積が、前記基板の熱伝導率と線膨張係数との積よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載された半導体チップの実装方法。
【請求項6】
互いに対向する第1の主面及び第2の主面を有する基板と、
前記基板の前記第1の主面に第1の熱硬化性樹脂を介して搭載された半導体チップと、
前記基板の前記第2の主面に第2の熱硬化性樹脂を介して搭載されたダミーチップとを備え、
前記半導体チップは、前記第1の主面及び前記第2の主面の対向方向から見て、矩形状を呈しており、
前記ダミーチップは、前記第1の主面及び前記第2の主面の対向方向から見て、前記半導体チップの一方の短辺と重なる第1の仮想直線と前記半導体チップの他方の短辺と重なる第2の仮想直線との間の領域内に位置していることを特徴とする液晶パネル。
【請求項7】
前記基板の前記第1の主面及び前記第2の主面の対向方向から見て、前記半導体チップと前記ダミーチップとが略同一の大きさであり、前記半導体チップと前記ダミーチップとが略一致するように重なり合っていることを特徴とする請求項6に記載された液晶パネル。
【請求項8】
前記ダミーチップの熱伝導率と線膨張係数との積が、前記基板の熱伝導率と線膨張係数との積よりも大きいことを特徴とする請求項6又は7に記載された液晶パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−218498(P2009−218498A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62985(P2008−62985)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】