説明

半導体チップの順応性インターフェースを形成する方法

【課題】順応性のあるインターフェースを提供する。
【解決手段】半導体チップの順応性インターフェースを形成する方法は、第1の面、第2の面、第2の面にある複数の端子140及び第1の支持構造体の第1の面にある多孔弾性層を有する第1の支持構造体100を提供する工程と、弾性の多孔層が第1の支持構造体と第2の支持構造体との間に配置されかつ第1の支持構造体を第2の支持構造体から隔てるように、第2の支持構造体120の第1の面を多孔層に当接させる工程と、第1の硬化性液体が第1の支持構造体と第2の支持構造体との間に配置されるように、当接工程の後に第1の硬化性液体を多孔層内に配置する工程と、複数の端子をプラテンと係合させることによって複数の端子を互いに略共面整合させる工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、半導体チップの順応性界面を提供するものであり、より特定すると、半導体チップと印刷配線板のような支持構造体との熱膨張係数の不整合に対処するように順応性のあるインターフェースを提供する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷配線板の面積をより効率良く利用しようとするため、半導体製造者は最近、ピングリッドアレイ(「PGA」)および周辺リード化カッドフラットパック(perimeter leaded quad flat pack)(「QFP」)のような大形でより厄介な相互接続技術からボールグリッドアレイ(「BGA」)のような小形の技術へ切換を行っている。PGA技術を使用する場合には、半導体チップは多くの場合、「フリップーチップ」技術によるなどしてはんだ接続体を使用して支持基板に相互接続される。しかしながら、チップの接点を基板に相互接続するのにはんだだけを使用する場合、はんだのカラムは一般に、はんだの構造的な一体性を保持するように短く構成される。これにより、弾性のあるはんだ接続特性が最小となるので、支持基板に対するチップの熱膨張率(「TCE」)の違いによる機械的応力によりはんだのクラック感受性が高まるので、はんだ接続体の信頼性が低下する。即ち、チップが使用中にヒートアップすると、チップと基板の双方が膨張し、熱が除去されるとチップと基板はいずれも収縮する。チップと基板がこのように異なる速度と異なる時間で膨張と収縮を行うので、チップと基板との相互接続部に応力がかかるという問題が生ずる。半導体チップはサイズが減少し続けているので、所定の面積内に詰め込まれるチップの数は多くなり、これらの各チップから発散される熱は、上記した熱的不整合の問題に一層大きな影響を与える。かくして、チップに関する極めて順応性の高い相互接続技術の要望が更に高まっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
はんだ割れの問題は、マルチチップモジュールのような、パッケージに2つ以上の半導体チップを装着する場合に一層大きくなる。マルチチップモジュールは人気が高まり続けているが、より多くのチップが一緒にパックされると、より多くの熱が各パックにより発散されるので、パッケージとその支持基板との間の相互接続部は熱サイクルによる一層大きな機械的応力に遭遇することになる。更に、より多くのチップがマルチチップモジュールに集積されると、各パッケージは追加の相互接続体が必要となるので、モジュールとその支持基板との接続部全体の剛性が高まることになる。
【0004】
グラベ(Grabbe)に付与された、発明の名称が「順応性のある相互接続およびその方法」の米国特許第4,652,889号に記載の相互接続解決法は、各はんだカラムにワイヤを埋め込んではんだを補強することにより、一層高いはんだペデスタルを提供するとともに弾性を一層高めて、上記したはんだ割れの問題を軽減しようにしている。別の解決方法として、はんだの外側周囲にワイヤを螺旋状に巻く技術がある。更に別の解決方法として、ディブル(Dibble)等に付与された、発明の名称が「高密度基板に対するはんだの適用」の米国特許第5,316,788号に見受けられるような、はんだと高鉛のはんだとの組み合わせを提供する技術がある。
【0005】
更に別の先行技術の解決方法として、TCEの不整合により生ずる応力を少なくしようとする場合に、チップと支持基板との間に欠肉(underfill)材料を配置するものがある。欠肉材料がないと、この応力は多くの場合、はんだボールの最も弱い部分に集中してしまう。欠肉材料があると、この応力ははんだボールの全面に亘ってより均一に拡がることができる。血肉材料の使用は、例えば、米国特許第5,194,930号、第5,203,076号および第5,249,101号に記載されている。これらの先行技術の解決方法はいずれも、熱サイクルにより生ずる、相互接続部が受ける剪断応力を減らすことを目的としている。しかしながら、これらの方法もまたいずれも、順応性と製造コストの点で不利であるというような重要な問題に遭遇している。
【0006】
本譲受人に同じく譲渡された幾つかの発明が、熱サイクルの問題を有効に取り扱っているが、態様が特に異なっている。例えば、米国特許第5,148,266号には、半導体チップ集成体の改良と製造方法が開示されている。この’266特許に記載のように、半導体チップは、シート状、好ましくは、フレキシブルな介在体を使用して基体に接続することができるようになっている。介在体は、チップの接点を担持する上面に配置されている。介在体の第1の面はチップの方を向いており、第2の面はチップから離れた方向を向いている。電気端子が介在体の第2の面に配設され、介在体には孔が介在体を貫通して形成されている。フレキシブルなリードがチップの接点と介在体の第2の面の端子との間でこれらの孔を介して延びている。端子は基板に結合させることができる。端子はチップの接点に対して可動自在となっているので、’266特許に記載の構成は、熱サイクルにより生ずる、基板とチップとの膨張差に対して優れた耐性を発揮する。’266特許に開示されている介在体はまた、端子とチップとの間に配置された順応性のある層を有している。
【0007】
1993年9月20日付で出願され、本譲受人に同じく譲渡された同時係属の米国特許出願第08/123,882号には、チップをチップキャリヤから上方へ所定の距離離隔させ、チップとキャリヤとの間のギャップに液体を導入する工程を備えた、チップとチップキャリヤとの間にインターフェースを形成する方法が開示されている。好ましくは、液体は、ギャップに導入後に弾性のある層に硬化するエラストマである。他の好ましい実施例においては、チップキャリヤの端子は平坦化されあるいは端子を所定の垂直状態にプレートとともに変形させることにより垂直方向に配置され、次に、液体をチップキャリヤとチップとの間で硬化させる。
【0008】
上記した本譲受人の所有に係る発明にもかかわらず、更なる改良が所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、チップとその支持構造体との熱膨張の大きな不整合に対処することができる、半導体チップの順応性のある(compliant)インターフェースを提供する方法と装置とが提供されている。
【0010】
より特定すると、本発明の一の観点によれば、制御された厚さを有する順応性のある封入層から多くの場合構成される、半導体チップの順応性インターフェースを形成する方法が提供されている。表面を有する、フレキシブルな実質上非延伸性の誘電フィルムのような第1の支持構造体が設けられている。複数の順応性パッドが第1の支持構造体の第1の面に取着され、各2つの隣接する順応性パッドは相互間にチャンネルを画成している。第1の支持構造体への順応性パッドの取着は、数多くの異なる方法で行うことができる。一の実施例においては、複数の貫通孔を有するステンシルマークが、支持構造体の第1の面の上部に配置される。次に、マークの孔に硬化性の液体エラストマが充填される。望ましくは、液体エラストマは、エラストマを硬化する前にマスクを除去することができるように十分なコンシステンシを有する。マスクが取り除かれてから、加熱または紫外線への暴露によるなどしてエラストマを少なくとも部分的に硬化させる。充填工程は、エラストマがマスクの孔の中に被着されるように液体エラストマをマスクの露出面にスクリーン処理することにより行うことができる。エラストマを各孔に別個に分配するなどのような、他の方法もまた適している。かくして、実質上全ての隣接するパッド間にチャンネルを更に有する順応性パッドのアレイを有する集成体が提供される。本発明方法のこの段階においては、パッドの垂直高さは、著しく均一である必要はない。
【0011】
別の段階においては、パッドのアレイを含む集成体は、第2の支持構造体とともに使用される。一の実施例においては、第2の支持構造体は、第1の面に複数の接点を有する半導体チップである。チップの第1の面は順応性パッドのアレイに当接され、接点は支持構造体の第2の側対応する複数の端子に電気的に接続される。多くの場合即ち典型的には、チップの第1の面はパッドに押圧されてパッドを圧縮することにより、チップを第1の面を介して均一に支持することができるとともに、チップの第1の面に対する第1の支持構造体即ちフレキシブルな誘電フィルムの平坦性を確保することができる。誘電フィルムが端子を有する場合には、端子はこの工程の際に互いに共面に保持されるのが望ましい。例えば、誘電フィルムとチップは、一対の対向するプラテン(platen)間に保持することができ、これにより、端子は一方のプラテンに担持され、実質上共面状態に保持される。次に、硬化性液体エラストマのような順応性充填材を、チップと支持構造体を所定の位置に保持した状態で、チップと支持構造体の間のかつ順応性パッドの周囲のチャンネルに注入する。次に、エラストマを硬化させ、チップと支持構造体との間に実質上均一で平坦なの順応性層を形成する。
【0012】
別の実施例においては、第2の支持構造体は複数のチップを有している。順応性パッドのアレイは、幾つかのチップを同時に配置するように十分に大きい。この方法は、個々のチップに切り離すことができあるいはマルチチップモジュールとして使用することができる複数のチップの順応性インターフェースを形成するのに使用することができる。上記した方法は、個々のチップに分離される前に、半導体ウエハの順応性インターフェースを形成するのにも使用することができる。順応性インターフェースが形成されてから、ウエハを個々のチップにまたはマルチチップモジュールに切り離すすることができる。
【0013】
更に別の実施例によれば、保持素子を使用して所定の位置に保持される順応性パッドの列が提供されている。次に、パッドをチップの面または支持基板に固定配置する。次いで、保持素子を取り外し、パッドをチップと支持構造体との間で圧縮する。液体エラストマを、上記した実施例において説明したように、隣接するパッド間のチャンネルに注入する。
【0014】
パッドまたはパッド/注入エラストマ組み合わせ体は、チップと支持基板との熱膨張係数の不整合に有効に対処することにより、チップと支持基板との間の接続部の応力の多くを軽減する順応性のある平坦なインターフェースを提供する。更に、この組み合わせ体は、水分と汚染物に対して有効な封止バリヤを提供する。
本発明の上記したおよび他の目的と利点は、添付図面に関してなされている以下の好ましい実施例の説明から一層良好に理解されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および2は、本発明に係るチップサイズのパッケージの実施例を示す側面図である。第1および第2の面を有する支持構造体100が配設されている。支持構造体100は、略剛性、半剛性またはフレキシブルに構成することができる。しかしながら、多くの場合、支持構造体100は、デュポン・ケミカル・コーポレーションから入手することができ、厚さが約25ミクロン乃至75ミクロンのKapton(商標)「E」のような重合材料から形成するのが好ましいフレキシブルであるが実質上非延伸性の誘電フィルムから構成される。更に、誘電フィルム100は、多くの場合、第2の面に導電端子140を有する。
【0016】
複数の誘電順応性パッド110が、フィルム100の第1の面に取着されている。順応性パッド110は、典型的には、剛性のあるチキソトロープコンシステンシを得るために、約5ー10%のヒュームドシリカを含む、「Sylgard」(商標)として知られているダウ・コーニング(Dow Corning)のシリコーンエラストマ577のような硬化性液体エラストマ材料から形成される。順応性パッド110の高さは、フィルムの第1の面に位置するパッドの基部からパッドの頂点までの測定により定められるが、基本的には均一である。しかしながら、高さが精確に均一であることは、以下に述べるように、臨界的ではない。各パッド110の高さに対する幅の比は、パッドの構造的な一体性を良好に保持するために約2対1(2:1)以上であるのが望ましい。各パッドは、フィルム100の第1の面の接合部で測定した幅または直径が約300μm乃至2000μmであるのが望ましい。パッドは、中心間距離即ち「ピッチ」が各パッドの最小幅よりも大きく、好ましくは各パッドの最大幅よりも大きくしたグリッドパターンで配置される。かくして、各対をなす互いに隣接するパッドは相互間にチャンネル117を画成し、チャンネルは全てが相互接続され、チャンネル117の略連続するグリッドを画成する。パッドのピッチ従ってチャンネル117の幅は、以下において詳細に説明するように、順応性充填材170をチャンネル117に注入することができるように十分に大きくなくてはならない。
【0017】
図3Aおよび3Bに示すように、順応性パッド110が多くの場合形成され、上面および下面を有するとともに、複数の孔90が貫通して設けられているステンシルマスク80を使用して、誘電フィルム100に取着される。好ましい実施例においては、マスク80の底面はフィルム100の第1の面に配置され、硬化性液体エラストマがマスク80の第1の面を介してぬぐわれてスクリーン処理されることにより、エラストマは各孔90内に被着される。エラストマが十分に粘性があり即ちチキソトロープ性がある場合には、多くの場合はマスクが次に除去され、パッドは加熱もしくは紫外線への暴露により、またはエラストマを紫外線暴露して硬化エラストマの「皮」を形成し、次いで、エラストマを加熱工程により硬化または部分硬化するなどして、紫外線暴露および加熱を組み合わせることにより硬化または部分硬化される。ダウ(Dow)577エラストマの場合には、エラストマは多くの場合、約125℃に40分間加熱する。この場合、エラストマは硬化を開始すると、マスクの孔の形状に従う。かくして、図3Aのパッド110は上面が略平坦な円筒形をなす。マスク80が硬化工程の際に誘電フィルム100の上に置かれると、パッドは、エラストマが硬化するにつれてマスクの第1の面の各孔90の露出上縁においてマスク80に部分的に被着する。これにより、パッドの一体性を保持した状態でのマスクの除去は困難となる。かかる問題は、図3Bに示す別のステンシルマスク85を使用することにより有効に対処され、図3Bにおいては、マスクの各孔は、マスク85の底面よりもマスク85の上面において上縁周辺が小さくなっている。各孔の周辺が小さくなると、マスク85に対する順応性パッド110の取着の強度が小さくなる。しかしながら、図3Bに示す実施例の囲い95の形状のため、液体エラストマは多くの場合、マスクの第1の面を介してスクリーン処理して囲い95が完全に充填されるようにしなければならない。次いで、エラストマは囲いの形状に対応する丸い形状をとり、硬化後にその形状を保持するようになる。上記したダウ577エラストマは、硬化工程の際に約5%収縮するので、マスク85の取り外しが容易となる。この問題に対する別の解決方法として、硬化したときにエラストマの付着に耐性を示す材料をマスク80にコーティングする方法がある。
【0018】
図1に戻ると、半導体チップ120は、次に、順応性パッド110に当接される。チップ120は、接点130を担持する表面即ち前面と裏面即ち後面とを有している。チップの表面は、パッド110がいずれもチップの接点を覆うことがないように順応性パッドと整合される。操作の次に工程においては、誘電フィルム100と第2の支持構造体即ちチップ120が、第1のプラテン107と第2のプラテン127との間でスクィーズされる(squeezed)。プラテンは、プレス(図示せず)により互いの方向に付勢される。第1のプラテンは、フィルム100の端子140に当接し、これらの端子を付勢して略共面をなすように整合させる。パッド110は、この処理の際に圧縮される。かかる圧縮の程度は、各パッドのもとの高さ、種々の端子140の高さその他のトレランスによりパッドごとに異なる。パッドはこのように変動に適応することができるので、圧縮前のパッドの高さは、精確に均一である必要はない。パッド115のような幾つかの特に短いパッドは、圧縮後においてもチップ面と接触しない場合がある。残りのパッドが端子140を第1のプラテンに対して実質上支持するのであれば、このような状況は許容することができる。
【0019】
パッド110が上記したようにパッド形成処理の際に極く一部だけ硬化する場合には、パッドは粘着性を持ち、チップがパッドに対して圧縮されたときにチップに接着する。好ましい実施例においては、チップ120は、部分硬化したパッド110がチップ120の熱により完全に硬化してチップの表面に接着するように、約100乃至180℃に加熱され、次いでパッド110に対して圧縮される。あるいは、各パッドの先端は、接着材、シリコーンゲルまたは未硬化のシリコーンエラストマのフィルムを被着することにより粘着性とすることにより、チップをパッドに接着させるようにすることができる。同様に、チップの表面の接点130から離隔した領域に接着材を被覆して、パッド110の先端をかかる接着材と係合させることもできる。チップ120に対してパッド110を接着させることによりチップ120とフィルム100との整合を保持し易くなるが、チップをパッド110に対して圧縮することよりチップを所定の位置に保持することができれば、パッド110をチップ120に接着させることは重要ではない。本発明の方法のこの工程において印加される熱と圧力により、パッドは、フィルムとチップがプラテン間でスクィーズされるときに得られる高さと形状に永久的に変形即ち「硬化」("set)される。パッドは、このようにして一度硬化されると、フィルムとチップを、スクィーズ工程の際に得られるのと同じ相対的位置に保持するようになり、従って、端子140を互いに共面をなす整合状態に保持するようになる。
【0020】
次に、チップ120の接点130を適宜の手段を介してフィルム100の端子140に取着する。この実施例においては、各接点130は、1つの端子140に、接点と端子間を延びるフレキシブルなリード150を介して電気的に接続される。端子140は、導電性の盲バイア(blind via)(フィルム100に第2の面から第1の面へ延び、誘電フィルム100の第1の面と略平面をなす閉止された底面を有するバイア)と、一般的にはパッケージが完成された後に取着される(一点鎖線で示す)はんだボールとから構成される。
【0021】
次に、図2に示すように、低粘度の順応性充填材170が、隣接するパッド110間のチャンネルを介してチップ120と誘電フィルム100との間に配置される。射出ノズル160がフィルム100の縁部に隣接して配置されている。充填材170がノズルを介してチャンネル117に導入される。順応性充填材170は、エラストマ、ゲルまたは順応性チキソトロープ性材料が順応性を保持する限りは、これらの材料のいずれかから構成することができる。かかる充填材の一例として、ダウ・コーニングのエラストマQ1ー4939がある。好ましい実施例においては、充填材170は、隣接するパッド110間のチャンネル117への液体の流入を容易にするように適合された粘度を有する硬化性液体エラストマから構成される。エラストマの流入の際には、減圧環境にして、閉じこめられた空気を原因とする液体エラストマの空隙をなくすようにすることができる。毛管現象により、エラストマがパッド、チップおよびフィルムを湿潤にするにつれて、低粘度の液体エラストマ170はチャンネル117に引き入れられるようになる。液体エラストマは、表面張力により、チップと基板との間に留まろうとする。しかしながら、所要の場合には、集成体の縁部を適宜の手段により閉止して液体170を閉じこめることができる。この処理の際には、液体エラストマはまた、リード150を封入する。次に、典型的には圧縮工程に使用されるプラテン107、127のような平坦な対向する面間に集成体を保持した状態で集成体を加熱することにより、液体170が硬化される。これにより、チップ120と誘電フィルム100との間に平坦な順応性インターフェースが形成される。次に、得られた集成体を自由にし、個々の半導体チップパッケージを形成する。
【0022】
順応性パッドの機能が、チップと誘電フィルムとの間に均一に支持される平坦な支え(standoff)を提供するとともに、順応性のある充填材が隣接するパッド100間に射出されて制御された厚さを有する順応性封入層を形成することができるようにすることにある点を理解することは重要である。均一な支持が得られる限りは、パッド110が図4Aおよび4Bに示すように1つのまたは複数の端子140と直接整合しているかどうか、あるいはパッド110が図4Cに示すように端子140に対してランダムに整合しているかどうかは問題とはならない。また、共通のアレイのパッドの全てが同じ一般形状または寸法であるかどうかも問題とはならない。
【0023】
図5Aは、第1の支持構造体と順応性パッドの好ましい実施例の平面図である。テープ200は、半導体工業におけるテープ自動化結合即ち「TAB」処理において広く採用されているタイプのテープ処理装置が係合するように適合された、スプロケット孔210のような処理および位置決め構成体を備えた連続する細長いストリップ状のフィルムである。テープ200は、長手方向に沿って離隔配置された複数の領域201を有しており、各領域は各チップの支持構造体を構成している。各領域には第1の面にパッド220がグリッド状に配置され、パッドは相互間にチャンネル203を画成している。各領域の第2の面には端子207が配設されており、端子はテープの開口即ち「結合窓」("bond window")を介して延びるリード225に接続され、結合窓は矩形ループの周囲を延びるスロットの形態をなしている。リードは、チップの接点に結合するようになっている。例えば、各リードは、国際特許公報WO94/03036号に開示されているような着脱自在の部分を有することができる。本明細書では、この公報を引用してその説明に代える。端子とリードは、「扇形に拡がる」("fan out")パターンに配置することができ、この場合には端子は結合窓により画成されるループの外側のテープの部分に配置される。あるいは、端子とリードは、端子が結合窓により囲まれるテープの部分に配置される「扇形にすぼまる」("fan in")パターンに配置することもできる。あるいは、これらの双方のパターンに配置することもできる。多数の領域を含むかかるテープは、大量生産することができる。
【0024】
使用の際には、各チップを1つの領域の順応性パッドに当接し、チップとパッドを上記したのと同じ態様で圧縮し結合することにより、一連のチップをテープの種々の領域に結合することができる。各パッド220は極く一部だけ硬化させることができ、あるいは先端部に接着材、シリコーンゲルまたは未硬化シリコーンエラストマの粘着層230(図5B)を有することができ、これによりパッドはチップに接着する。あるいはまたは更には、チップは第1の面の、接点から離隔した領域にかかる粘着層を有することができる。当接工程の際には、テープの1つの領域がチップに位置するようにテープは各チップと並列配置され、各チップの接点は、従来の機械/視覚整合技術を使用してテープの連係する領域のリードと概略的に整合される。この整合は、圧縮およびパッド結合工程の際に保持される。パッドがチップの表面に結合されると、結合されたパッドはリードおよび接点の整合を保持する。各領域の端子は、結合工具を結合窓の中へ進入させて各リードをチップの係合接点と係合接続させるなどして、連係するチップの接点に電気的に接続される。
【0025】
好ましくは、結合工具は、リードの結合領域を捕捉し、これをチップ接点と一層精確に整合させる。リードの結合後に、順応性充填材が、上記したのと実質上同じようにしてパッド間のチャンネル203に導入される。典型的には、フィルム200とチップは、液体材料を導入しながら圧縮される。これらの操作は、処理ラインの別々のステーションで行うことができる。領域のパッドがチップに結合された後の任意の時点で、スプロケット孔210を使用してテープを動かすことにより処理ラインの次のステーションへチップを移送することができる。テープの各領域は、全ての処理工程が完了して個々のチップおよびフィルム集成体が提供されてから、テープの残りの部分から切り離すことができる。あるいは、各領域は最終の処理工程の前に切り離すことができ、処理の一部を切り離し後に完了することができる。本発明の別の実施例においては、テープの複数の個々の領域は互いに接続した状態に保持することができる。
【0026】
多くの場合即ち典型的には、これらの各リード225は、かかるリードがそれぞれのチップ接点パッドに接続されたときに、結合窓の縁部内または該縁部の付近で取り外される。リードと端子が「扇形に拡がる」パターンに配置される場合には、この動作により、結合窓215として画成されたループ内の略中心に位置する中央部205がテープの外側部から取り外される。しかしながら、テープの中央部205に配置された順応性パッド220は、結合工程においてリード225の支持体を提供する。逆に、「扇形にすぼまる」パターンで配置される場合には、各領域の外部はリードを接続した後に、任意に取り除くことができる。
【0027】
図5Cに示す別の実施例においては、テープの複数の領域210は一体に保持され、処理中は互いに分離されない。かくして、テープの短い長さが、複数のチップをマルチチップモジュールとして並列状態に保持する。かくして、これらのチップ即ちモジュールの後面は、図5Cに示すように、チップを担持するテープの短い長さ部分をテープの残りから切断する工程の前または後に、熱スプレッダ/シンク270に連係させることができる。更に、熱伝導ダイ取着材料をチップ240と熱スプレッダ270との間に使用して、チップからの熱の移送を促進することができる。かかるダイ取着材料は、半導体工業において広く使用されている。
【0028】
更に別の構成においては、それぞれが個々のチップの支持構造体を形成するようになっている複数の領域は、パネルの形態をなす一体フィルムに2次元配列で並行して形成される。複数のチップが、上記したのと同じ態様でこれらの領域に取着されている。複数のチップが使用されるいずれの構成においても、パッドを当接圧縮し、液体の順応性充填材を注入する工程は、アレイ全体を収容するように十分に大きいプラテンを使用してチップ全てに同時に行ってもよく、あるいは各チップを別々に処理するように順次行うこともできる。
【0029】
図6は、第1の面に接点(図示せず)を有する第2の支持構造体即ち半導体ウエハ350と第1の支持構造体即ちフィルム300との間に形成される、図1および2に関して説明したような順応性インターフェースを示す側面図である。ウエハ350は、一体をなす複数のチップを有しており、各チップは第1の面の一部を画成するとともに複数の接点を有している。フィルム300は、第2の面に端子305を、端子305に接続されたリード(図示せず)とともに有している。端子305とリードは複数の領域に配置され、それぞれが1つのチップに対応している。フィルムの各領域は、上記したような結合窓(図示せず)を有することができる。
【0030】
相互間にチャンネル325を画成する順応性パッド320は、ウエハ350と係合する前に、フィルムの第1の面に形成される。この場合にもまた、各パッド320は、極く一部だけ硬化することができ、あるいは先端に硬化性粘着材料を有することができる。フィルム300は緊張して拡げられ、剛性のあるリング構造体310に結合される。次に、フィルム300は、フィルムの各領域がウエハの1つのチップと整合されかつリードが接点と整合されるように、ウエハと整合される。次いで、ウエハは順応性パッド320に当接される。別のプラテン370が端子305と係合するようにフィルムの第2の面に当てられる。プラテンは、上記と同じ態様で互いに対して付勢されることにより、パッド320を圧縮するとともに、接点303を互いに略共面をなして整合させる。接点とパッドがこの状態に保持されている状態で、パッドはプラテン360/ウエハ350を加熱することにより完全に硬化し、フィルムをウエハの所定の位置に固着することができる。あるいは、粘着性接着材を接点の周囲でウエハの第1の面に塗布して、ウエハ350に対するパッド320の付着を確実にすることができる。この操作の後に、リードはウエハ接点に結合され、次いで、液体の硬化性エラストマ340がチャンネル325に注入される。接点がプラテンにより所定の位置に再び保持されている状態で、液体エラストマは硬化されてウエハ全体とフィルムの全領域とを含む完全な集成体が形成される。
【0031】
次に、完全に封入された部品をウエハから切り取ることができる。これらの分離された部品は、部品と印刷配線板のような支持構造体との間の熱膨張係数の不整合に対処する順応性インターフェースを備えるものとなる。更に、封入材は、個々の部品を水分および汚染物質から保護する。
【0032】
図7は、保持素子400を使用して所定位置に保持された順応性パッド410のアレイを有する別の実施例を示す。次に、パッド410は、半導体チップ(第2の支持構造体)の接点担持面またはフレキシブルな誘電フィルム(第2の支持構造体)の上に、典型的には粘着性接着材をこれらの面の一方に配置することにより、固定配置される。次いで、保持素子400を除去する。望ましくは、保持素子400は、ウエハまたはフィルムへのパッド410の接着がなされないようにパッドから容易にもぎ取りまたは剥ぎ取ることができる材料から形成される。パッド110は典型的には、図1に示すように、接点がはぐれた未硬化のエラストマにより汚染されるおそれがあるので、チップの接点担持面を介してスクリーン処理されて外面に硬化されることはない。しかしながら、図7に示す実施例においては、パッドは、完全に硬化しあるいはそれぞれの構造的一体性を保持することができる程度まで部分硬化してから取着される。かくして、パッド410は、精確に位置決めされ、典型的には、実質上チップの接点が汚染されるおそれなしにチップの面に接着される。次に、パッドはプラテンを使用してチップと支持構造体との間に圧縮され、次いで、液体エラストマが隣接パッド間のチャンネルに注入され、上記した実施例に関してより詳細に説明したように硬化される。
【0033】
図8は、本発明の別の実施例を示す側面図であり、この実施例においては、パッド510は、第1の側にくぼみを有する熱スプレッダ520を備えた第2の支持構造体と、フレキシブルな誘電フィルムを有する第1の支持構造体500との間で圧縮される。チップ530は、チップの前面即ち接点担持面580がくぼみの開口において外方を向き、かくして、熱スプレッダの第1の面570から外方へ向くように熱スプレッダ520のくぼみ内に配置される。誘電フィルム500は、結合窓550と、一方の面に端子590と、端子590に接続されたリード595とを有する。パッド510が上記した技術のいずれかにより誘電フィルム570または熱スプレッダに配置されてから、誘電フィルム500および熱スプレッダ520は、誘電フィルムの外側部が第1の面に位置しかつ結合窓550がチップの接点と整合されるように整合される。リード595はチップの接点に結合される。結合窓は、リードの結合後に、フィルム500に接着し、かくして、フィルム500の連続部を形成するはんだマスク材料のような別の誘電材料のシート540により閉止される。パッド510は、典型的にはリードの結合前に、対をなすプラテン(図示せず)の一方が第1の面570とは反対側の熱スプレッダの後面に当接しかつ他方のプラテンが端子590に当接するように、プラテン間に熱スプレッダ520とフィルム500とを係合させることにより第1の面570に対して圧縮される。この圧縮により、端子は共面整合される。上記したように、液体の順応性充填材560はパッド間のチャンネルに注入され、プラテンが系を圧縮保持している状態で硬化される。この実施例においては、パッドはシート540とチップ530との間のインターフェースには設けられない。はんだマスク540その他の適宜の手段が結合窓550に配置される場合には、順応性充填材560が隣接するパッド510間に注入され、チップ530を同時に封入した状態で平坦な順応性界面を形成する。
【0034】
本発明の幾つかの実施例を詳細に説明したが、上記した本発明から逸脱しない数多くの変更例および均等例が存在することは当業者に明らかである。従って、本発明は上記説明に限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、半導体チップその他の電子構成素子の装着に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る、複数の順応性パッドを有する順応性半導体チップインターフェースの一の実施例を示す側面図。
【図2】本発明に係る、順応性パッドに硬化性液体が充填されている、図1に示す実施例の側面図。
【図3A】本発明の別の実施例に係る、順応性パッドを形成するのに使用するマスクとエラストマを示す側面図。
【図3B】本発明の別の実施例に係る、順応性パッドを形成するのに使用するマスクとエラストマを示す側面図。
【図4A】本発明の別の実施例に係る、幾つかの異なるパッドの形状と、端子の位置に対するかかるパッドの整合を示す平面図。
【図4B】本発明の別の実施例に係る、幾つかの異なるパッドの形状と、端子の位置に対するかかるパッドの整合を示す平面図。
【図4C】本発明の別の実施例に係る、幾つかの異なるパッドの形状と、端子の位置に対するかかるパッドの整合を示す平面図。
【図5A】本発明の別の実施例に係る、支持構造体および順応性パッドを示す斜視図および側面図。
【図5B】本発明の別の実施例に係る、支持構造体および順応性パッドを示す斜視図および側面図。
【図5C】複数の封入チップが順応性パッドに当接されている、図5Aおよび5Bに示す実施例を示す側面図。
【図6】本発明の別の実施例に係る、ウエハと支持構造体との間に形成される順応性インターフェースを示す側面図。
【図7】本発明の別の実施例に係る、保持素子の孔内に配置された複数の順応性パッドを示す側面図。
【図8】熱スプレッダ(spreader)と支持構造体との間に順応性インターフェースを有する本発明の別の実施例を示す側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面、第2の面、第2の面にある複数の端子(140)及び第1の支持構造体の第1の面にある多孔弾性層を有する第1の支持構造体(100)を提供する工程と、
弾性の多孔層が第1の支持構造体と第2の支持構造体との間に配置されかつ第1の支持構造体を第2の支持構造体から隔てるように、第2の支持構造体(120)の第1の面を多孔層に当接させる工程と、
第1の硬化性液体が第1の支持構造体と第2の支持構造体との間に配置されるように、当接工程の後に第1の硬化性液体(170)を多孔層内に配置する工程と、
複数の端子をプラテン(107)と係合させることによって複数の端子(104)を互いに略共面整合させる工程と、
を備える半導体チップの順応性インターフェースを形成する方法。
【請求項2】
第1の液体は硬化性エラストマまたは硬化性ゲル封入材である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
3.配置工程に先立ち減圧環境を提供する工程を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
4.多孔弾性層は複数の順応性誘電パッド(110)を有し、パッドは相互間にチャンネルを画成し、第1の硬化性液体はチャンネル間に配置される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
チャンネル間に第1の液体が導入されてから第1の液体を少なくとも部分的に硬化させて順応性層を支持構造体間に形成する工程を更に備える請求項4に記載の方法。
【請求項6】
配置工程に先立ち第1と第2の支持構造体(100、120)との間で順応性パッド(110)を圧縮する工程を更に備える請求項5に記載の方法。
【請求項7】
圧縮工程はプラテン(107)と対向するプラテン(127)との間で第1および第2の支持構造体を係合させかつプラテンを互いに付勢する工程を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
端子を互いに略共面整合させる工程が配置する工程の前に実行される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
圧縮工程はパッドが端子を前記略共面整合状態に保持するように順応性パッドを硬化する工程を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の支持構造体はフレキシブルな誘電シートである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
弾性の多孔層を有する前記第1の支持構造体を提供する工程は、
複数の貫通孔を有し、支持構造体(100)の第1の面に配置されるマスク(80)を提供する工程と、
マスクの孔に第2の硬化性液体を充填する工程と、
マスクを除去する工程と、
第2の液体を少なくとも部分的に硬化させて順応性パッド(110)を有する弾性の多孔層を形成する工程とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第2の液体を硬化させる工程は第2の液体を100乃至180℃に加熱する工程を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の液体を硬化させる工程は第2の液体を紫外線に暴露する工程を含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第2の液体を硬化させる工程は紫外線と熱の組み合わせを使用して第2の液体を少なくとも部分的に硬化させる工程を含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
充填工程は第2の液体がマスクの孔を充填するようにマスクの露出面を介して第2の液体を塗布する工程を含み、マスク(85)の孔(95)は露出面が小さな直径を有し、誘電シートの第1の面に隣接する面が大きな直径を有する請求項11項に記載の方法。
【請求項16】
第2の支持構造体(120)は第1の面に複数の接点(130)を有する半導体チップである請求項10に記載の方法。
【請求項17】
配置工程に先立ち各接点(130)を1つの端子(140)に電気的に接続する工程を更に備える請求項16に記載の方法。
【請求項18】
当接工程は順応性パッドが接点を覆うことがないようにチップを整合させる工程を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
チップを順応性パッドに対して圧縮する前にチップを加熱して、部分硬化したパッドをより完全に硬化させるとともにチップに接着させる工程を更に備える請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−60585(P2008−60585A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239062(P2007−239062)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【分割の表示】特願2003−436008(P2003−436008)の分割
【原出願日】平成7年9月20日(1995.9.20)
【出願人】(502078631)テセラ,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】