半導体チップ及びそれを搭載した半導体モジュール

【課題】半導体チップに安定した電源電流を供給したり、電源から信号系へ混入する雑音を低くするための、半導体デバイスの電源流入及び電源流出端子の端子数の低減と、前記半導体チップを搭載した実装面積の低減を可能とする半導体モジュールを提供する。
【解決手段】半導体チップ20の両面に電源系と信号系の電気的接続端子を振り分けて配置する。大電流が流れる流路の許容電流値を大きくする構成により、少ない端子数でも安定な電源供給が可能、信号系への雑音混入を低減、ピン数の低減による実装面積の低減、放熱効果の増大などが可能となる。また、この半導体チップ20を搭載した半導体モジュールにより、大電流が流れる高速動作でも安定した特性を実現できる。
【解決手段】半導体チップ20の両面に電源系と信号系の電気的接続端子を振り分けて配置する。大電流が流れる流路の許容電流値を大きくする構成により、少ない端子数でも安定な電源供給が可能、信号系への雑音混入を低減、ピン数の低減による実装面積の低減、放熱効果の増大などが可能となる。また、この半導体チップ20を搭載した半導体モジュールにより、大電流が流れる高速動作でも安定した特性を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多ピンあるいは大電力の半導体デバイスの構成法に関するものである。また、この半導体デバイスを搭載した半導体モジュールの構成法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの技術進歩は大きく、工業用機器、民生用機器など広範囲に渡って利用されてきている。その結果、半導体デバイスを搭載した機器、システムの小型化、軽量化、低価格化、高機能化などに大きく寄与するに至っている。一方、半導体デバイスへの要求はとどまることがなく、一層の高集積化、高速化、高度化が期待されると共に、半導体デバイスの小型化も期待されている。これらの要求に応えると、半導体デバイスの多ピン化や大電力化が誘起される。また、半導体デバイスの大電力化や高速化が進むと、電源供給路などの適切な設計が必須となる。例えば、電源供給路が不安定であると、回路動作が不安定になり、また、入出力信号に雑音が重畳されやすくなり、誤動作の原因となる。かかる電源供給路の設計では、電源供給端子や接地端子を、多数のピンに並列的に割り当てて、電源供給路を安定化させる手法が多用されている。この設計手法は効果的であるが、反面、一層の多ピン化を推し進めることになる。この結果、半導体デバイスと外部回路との接続点が増大し、接続信頼性が低下することも指摘されている。さらに、半導体デバイスを応用システムに搭載する際の実装面積も大きく成らざるを得ないという欠点も指摘されている。
【0003】
多ピンで大電力、かつ高速動作の半導体デバイスでは、
(1)電源供給路となる半導体デバイスの「端子」の割り当てと、配置の仕方、
(2)入出力信号へ雑音が混入し、誤動作をなくすこと、
(3)ピン数を少なくして、接続信頼性の確保と実装面積の低減、
(4)チップ温度の上昇を低減する放熱構造、
などが重要な項目となる。特に(1)が重要である。
現状技術の一例を以下に挙げる。
(a)図14はIntel製CPU(Pentium4)のピン配列表〔下記引用非特許文献1の図9(39ページ)と図10〜11(42〜43ページ)〕である。全775ピンの端子のうち、415ピン(全ピン数の約55%に相当)が電流流入端子(VCC)と電流流出端子(VSS)(接地端子であり、流入した電源電流の戻り端子となっている)に割り当てられている。同図では、VCCの端子を灰色で、VSSの端子を斜線の塗りつぶしで表記してある。
(b)HPC(スーパーコンピュータ)向けCPUでは、8000ピンの端子のうち、約6000ピンが電源と接地に割り当てられている。CPUでは、電源から流入する電流値が100アンペア(瞬時値)にも達するので、単一の端子では容量不足となる。このため、複数の端子を並列的に利用して大容量化を図っているが、それ以上に、「安定な電源供給」のために多くの端子を電源系(電流流入端子と電流流出端子)に割り当てざるを得ないのが現状である。
【0004】
図15は、下記引用非特許文献1の図4(33ページ)に掲載されているPentium4の構造を示す図である。同図(a)は半導体デバイス部分、同図(b)はソケット部分である。同図(a)に示すように、当該半導体デバイスは、半導体チップ(Coreと表示)、コンデンサを搭載した基板(Substrateと表示)、半導体チップでの発熱を放熱するキャップ(IHS、Integrated Heat Speader)、当該半導体チップと当該キャップ間に挿入され熱伝導率を高めるための熱伝導材(TIM、Thermal Interface Material)などから構成されている。当該半導体チップは回路面を下側にして、当該基板にフリップチップ接続されている。かかる構成では、当該半導体チップとの電気的接続は、全て、前記回路面(図では下側の面)で行われている。すなわち、電源電流の流入、電源電流の流出、入出力信号の流入、入出力信号の流出は当該半導体チップの片面で行われている。かかる構成では、単一の平面を介して全ての電流(電源と入出力信号)が出入りすることになり、電源供給路や信号伝送路のパターン設計やレイアウトが複雑となる。この結果、特に電源供給のためのピン数(端子数)を数多く割り当て、配置せざるを得ない状況になっている。なお、最新鋭のCPU(Intel Core i7)でも同様なデバイス構成となっている。
【0005】
さらに、図15の構成では、前記半導体チップで発生する発熱(電子回路が配置されている面で発生する)を、当該半導体チップの厚さ方向に熱エネルギを流し、前記熱伝導材を介して、前記キャップ面から放熱している。半導体チップの熱伝導率は金属などよりも低い(銅の約40%)ので、上記した放熱路による当該半導体チップの冷却効果は十分でないと言える。
【0006】
また、電源供給路には大電流が流れるので、この電流が発生する電磁界が入出力信号路に跳び込むと、当該入出力信号路を流れる信号に雑音が重畳されることになる。かかる雑音は、前記半導体デバイスの誤動作を誘起することがあり、特に高速化された動作では大きな問題となる。かかる雑音の重畳を阻止するため、図15の構成では、電源系の端子群と入出力系の端子群とを分けて配置し、相互の電磁干渉が起こりにくくしている。かかる配置を実現するためには、前記半導体チップや前記基板のパターン設計を複雑にしている。
【0007】
少ないピン数でも「安定な電源供給」が可能となれば、半導体デバイスのピン数も低減され、さらには、前記基板の面積も低減できる。さらに、当該半導体デバイスを応用システムなどへ組込む場合にも、電気的接続点が少なくなり、接続信頼性の向上も図れ、かつ、高密度実装が可能となる。かかる理由により、多ピンで大電力、かつ高速動作の半導体デバイスでは、「安定な電源供給」を達成し、入出力信号への雑音重畳を阻止し、接続のためのピン数(端子数)を低減できる半導体デバイスの構成、および、関連する実装技術の開発が強く望まれている。
【0008】
一般に、半導体デバイスは、半導体チップとパッケージから構成されている。このため、前段落までに記載した従来の半導体デバイスでの現状に対応するためには、前記半導体チップと前記パッケージの両者を検討対象とする必要がある。すなわち、従来の半導体デバイスの上記現状を打破するためには、半導体デバイスに搭載されている半導体チップの改良を第一とすることになる。また、改良された半導体チップが実現されたならば、当該半導体チップを搭載する半導体デバイス、さらには、当該半導体チップを搭載する半導体モジュールも改良されることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】データシート Document Number:310308−002、「Intel Pentium4 Processor 6X1 Sequence」Intel社、2007年1月版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在多用されているCPU〔演算処理用のIC〕やGPU〔画像処理用のIC〕などの、多ピンで大電力、かつ高速動作の半導体デバイスでは、「安定な電源供給」を可能とするため、多くのピン数(端子数)を電源系に割り当てている。このため、許容電流値が大きい端子構成などにより、少ない端子数でも「安定な電源供給」が可能な半導体デバイスの開発が課題であった。
【0011】
高速動作では、大電流が流れる配線からの入出力信号への雑音の混入は、誤動作を引き起こすため、かかる雑音の混入を可能な限り小さくすることが課題であった。
【0012】
半導体デバイスの集積度を増大させると、ピン数も大きくなる傾向がある。さらに、前記したように、大電力に伴い電源系に割かれるピン数も大きくなる。このため、ピン数を低減して、接続信頼性を確保すると同時に、応用システムへ前記半導体デバイスを搭載する際の実装面積を低減させることも課題であった。
【0013】
特に大電力の半導体デバイスでは放熱の機構が重要である。前記したように、シリコン半導体の熱伝導率は金属と比較して小さいため、より効率的な放熱構成を達成することも課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、電子回路が集積化された半導体チップの前記電子回路が配置された第1主面に、(1)前記半導体チップへ入力信号が流入する端子及び前記半導体チップから出力信号が流出する端子を含む第1の端子群と、(2)前記半導体チップから入力信号が流出する端子及び前記半導体チップへ出力信号が流入する端子を含む第2の端子群とを配置し、前記半導体チップの第1主面の裏面である第2主面に、(3)前記半導体チップへ電源電流が流入する端子を含む第3の端子群と、(4)前記半導体チップから電源電流が流出する端子を含む第4の端子群とを配置する。
【0015】
本明細書では、関連する用語を下記のように分類している。
半導体チップ:
拡散プロセスで作成されたウェーハからスクライブにより切り出されたチップ。当該チップには少なくとも1個の半導体素子(トランジスタ、ダイオードなどの総称)、より一般的には電子回路を構成する複数個の半導体素子が配置されている。当該チップの電子回路が配列されている第1主面には、当該チップを外部回路へ電気的接続するための「端子」が配置されている。当該電気的接続がワイヤボンディング接続である場合には、当該「端子」は、酸化膜に開口が設けられ金属(アルミであることが多い)が露出している。当該電気的接続が、表面実装工法に対応したボールグリッド接続である場合には、当該「端子」には導電性のボール(ハンダであることが多い)が設けられている。また、一般には、当該半導体チップの前記第2主面や側面は「剥き出し」の状態で保護膜層が配置されていない。なお、後記する「チップサイズパッケージ(CSP)」は、その名の通り、チップと同じ(あるいはほぼ同じ)大きさで、外観上は「半導体チップ」と同等に見える。しかしながら、耐環境性を確保するために「パッケージされている」ので、本明細書では、半導体チップとは称さない。
半導体デバイス:
前記半導体チップをパッケージに封入した構成である。パッケージされているので耐環境性に優れている。パッケージには多種ある。これらの分類にも多種多様であるが、その一例を以下に記載する。
(1)パッケージ材料での分類: プラスチック系とセラミック系などの硬質材料で半導体チップを覆う形状が主流である。テープ状のプラスチックフィルムに半導体チップを搭載したTCP(あるいはTAB)もある。また、最近では、半導体デバイスの小型化を指向して、半導体チップの裏面に樹脂などの板(インターポーザ)を配置し、この板の裏面側に端子を配置した、いわゆるチップサイズパッケージも実用化されている。
(2)実装法による分類: 電気的接続の端子が棒状でプリント基板などの穴に端子を挿入して半田で固定する挿入実装型と、端子が板状あるいはボール状でプリント基板表面の導電箔に半田で固定する表面実装型とがある。
(3)端子の形状と方向による分類: パッケージの1方向あるいは2方向に、棒状あるいは板状のリードが配列されている形状(DIPが代表例)、パッケージの4方向に板状のリードが配列されている形状(QFPが代表例)、ボール状の端子がパッケージの裏面にマトリクス状(格子状)に配列されている形状(BGAが代表例)などがある。
半導体モジュール: 少なくとも1個以上の半導体チップあるいは半導体デバイスと、電子部品(抵抗、キャパシタなどの個別部品を含む)などを組み合わせて、1つの「部品」とした構成である。モジュールの構成要素、規模、外観などは多岐にわたってる。一般的には、前記した半導体チップや半導体デバイスは半導体メーカが生産するのに対して、半導体モジュールは半導体メーカ以外にも部品メーカあるいは装置メーカなどが生産する。搭載される応用システムに固有な構成であり、汎用の半導体デバイスや電子部品などを用いて固有な機能を発揮させることが多い。
電子部品:
受動素子とも称されている部品で、抵抗、キャパシタ、インダクタ(コイル)などがある。単一の素子(個別部品)を複数個組み合わせた構成(例えば、モジュール抵抗)もある。
【0016】
本明細書では、前記半導体チップの端子を下記のように分類している。
電源電流が流入する端子:
半導体チップを駆動する直流電源に接続され、大電流が流入する端子である。VDD、VCCなどと表記されることが多い。
電源電流が流出する端子:
「電源電流が流入する端子」へ流入した電流が流出する端子であり、直流電源へ接続される。VSS、GNDなどと表記されることが多い。
入力信号が流入する端子:
クロック、データ、制御などの信号が入力する端子である。
入力信号が流出する端子:
「入力信号が流入する端子」へ流入した信号電流が流出する端子である。
出力信号が流出する端子:
バス、ステータスなどの信号が出力される端子である。
出力信号が流入する端子:
「出力信号が流出する端子」から流出した信号電流が戻り電流として流入する端子である。
上記した「入力信号が流出する端子」と「出力信号が流入する端子」とは、GND〔本段落では「GND2」とする〕と表記されることが多い。また、これらの「入力信号が流出する端子」と「出力信号が流入する端子」では、いずれも流れる電流が小さいので、共通化して端子数を少なくすることも行われる。「電源電流が流出する端子」でもGND〔本段落では「GND1」とする〕と表記される場合があるが、GND2とGND1とでは流れる電流値が大きく異なっている。このため、当該半導体チップをパッケージに封入して半導体デバイスを構成する場合や、当該パッケージを介して外部回路へ接続する場合には、GND2とGND1とは別配線として、信号系を電源系から回路的に分離して、干渉を避けることが必要である。また、入出力信号用の端子としては、「トライステート」と呼ばれる回路形式が採用されていることもある。かかる「トライステート」とは、制御手段により、(1)信号入力用の端子として機能、(2)信号出力用の端子として機能、(3)出力インピーダンスを高インピーダンスに設定して接続される回路系から絶縁する機能、をそれぞれ切換えることができる手法である。かかる「トライステート」では、時刻により「入力信号が流入する端子」になったり、「出力信号が流出する端子」になる。本明細書では、かかる「トライステート」の端子は、便宜上、上記した「入力信号が流入する端子」と同等であると見做している。また、当該「トライステート」端子と対になる端子(前記GND2に相当)は、便宜上、上記した「入力信号が流出する端子」と同等であると見做している。
【0017】
上記段落に記載した構成では、前記半導体チップの片面(電子回路が形成されている前記第1主面)に入力信号や出力信号が接続され、当該半導体チップの反対の面(前記第2主面)に電源供給用の配線が接続されている。すなわち、従来の半導体チップでは、前記第1主面に、前記入力信号、前記出力信号、および、前記電源供給用の配線が全て接続されていた。一方、本発明では、前記半導体チップの表裏の両面を使い分け、一方の面(例えば前記第1主面)には少電流が流れる入出力信号系(電流が戻る前記GND2も含めて)を配置し、反対の面(例えば前記第2主面)には大電流が流れる電源系(電流が戻る前記GND1も含めて)を配置していることが特徴である。
【0018】
前記半導体チップの表裏の両面を使い分けるため、前記第1主面に配置された電子回路と、前記第2主面に配置された前記第3の端子群あるいは前記第4の端子群とを電気的接続するために、前記半導体チップの厚さ方向に貫通する配線(TSV〔スルー・シリコン・ビア〕や貫通電極とも称される)が必須となる。
【0019】
前段落に記載した「貫通する配線」には、大電流が流れるので、許容電流値が大きくなるような構成をとることが必要である。例えば、「貫通する配線」の断面積を大きくしたり、複数の「貫通する配線」を配置してこれらを並列的に電気的接続したり、当該「貫通する配線」の材料を低抵抗率の材料で構成することが挙げられる。特に、銅などの低抵抗率の材料で構成する場合には、熱伝導率も大きくなり、前記半導体チップの第1主面側に配置された電子回路で発生した熱を、第2主面側へ効率良く放熱させる効果も発生する。また、当該第2主面側に配置された前記第3の端子群あるいは第4の端子群を構成する端子の面積を大きくすることにより、前記放熱の効果が一層増大する。
【0020】
(1)前記第3の端子群を構成する、少なくとも1個の前記端子を前記第2主面側に配置された第1の導電層に接続し、(2)前記第4の端子群を構成する、少なくとも1個の前記端子を前記第2主面側に配置された第2の導電層に接続し、(3)前記第1の導電層と前記第2の導電層とでキャパシタを構成する。
【0021】
「電源電流が流入する端子」と「電源電流が流出する端子」との間には、電源電圧の変動を吸収する大容量のキャパシタと、高速に変化する電源電流に起因するスイッチング雑音などの雑音を吸収する小容量のキャパシタを並列して接続することが多い。かかる接続ではキャパシタの体積が大きいので、特に大容量のキャパシタは、当該半導体チップが搭載された半導体デバイスの外側(例えば、半導体デバイスが実装されたプリント基板など)に配置されることが多い。一方、当該「小容量のキャパシタ」は可能な限り前記半導体チップに近く配置することが、雑音低減の観点から好ましい。前段落に記載した構成は、前記第2主面側に少なくとも2層の導電層を配置し、当該導電層を構成する1組の導電層を対向電極として、前記小容量のキャパシタを構成している。
【0022】
前段落に記載した「少なくとも2層の導電層」は、前記第2主面の表面に、(1)絶縁層を形成、(2)パターニングされた金属などからなる第1の導電層を形成、(2)当該第1の導電層の表面に絶縁層を形成、(3)パターニングされた金属などからなる第2の導電層を形成、といったプロセスで形成される。また、前記プロセスを繰り返すことにより、3層以上の導電層も形成できる。当該「第1の導電層」と当該「第2の導電層」とが前記キャパシタを構成するためには、これらの2つの導電層が「空間的に重なっている」ことが必要である。さらに、当該「第1の導電層」は「電源電流が流入する端子」群を構成する指定された端子と接続され、当該「第2の導電層」は「電源が流出する端子」群を構成する指定された端子と接続されている。かかる構成により、当該「電源電流が流入する端子」と当該「電源電流が流出する端子」との間に、前記小容量のキャパシタが電気的に配置されることになる。
【0023】
前段落には、前記小容量のキャパシタが前記「第1の導電層」と前記「第2の導電層」で構成されていることが記載されている。しかしながら、当該小容量のキャパシタの構成はこれに限らない。例えば、前記した導電層を3層を超える層数で構成し、奇数番目の導電層を共通化して前記「第1の導電層」とし、偶数番目の導電層を共通化して前記「第2の導電層」とするような構成がある。かかる構成によれば、前記小容量のキャパシタの静電容量値を容易に増大できることになる。
【0024】
前記した小容量のキャパシタの数は1個に限らない。前記半導体チップの前記第2主面表面で、複数個の当該キャパシタを配置し、複数の前記「電源電流が流入する端子」と複数の前記「電源電流が流出する端子」とから指定された1組の端子セットを選択して、それぞれの端子セット毎に当該キャパシタを配置することが一例である。
【0025】
前記半導体チップの前記第1主面に、少なくとも1層から成る電気配線層を配置し、前記第1の端子群と前記第2の端子群を前記電気配線層へ電気的接続する。
【0026】
高集積化された半導体チップでは、当該チップの前記第1主面の指定された領域(例えば、当該チップの周辺領域)に、入出力信号が接続される多くの端子が配置されている。前記半導体チップを応用システムに適用する場合には、当該応用システム固有の仕様で、前記端子の接続状態を「再配線」することも要求される。例えば、接続のための端子数を少なくするためのアドレス固定(外部から制御できるアドレス端子を削除する)、チップセレクト固定(常にチップが選択された状態とする)などである。他の例としては、ワイヤボンディング接続を前提として製造された半導体チップ(端子群はチップ周辺の4片に配置)を、表面実装が可能なボールグリッド接続用に変換(新たな端子群はチップ全面に渡って2次元配列される)することが挙げられる。かかる「再配線」は、完成された半導体チップ(あるいはウェーハ状態のまま)の入手後に、ユーザサイドで実施することが多い。前段落に記載した構成では、前記半導体チップの前記第1主面に、少なくとも1層から成る電気配線層を配置し、「入力信号が流入する端子」と「出力信号が流出する端子」(いずれも前記第1の端子群に対応)や、「入力信号が流出する端子」と「出力信号が流入する端子」(いずれも前記第2の端子群に対応)などを再配線している。かかる再配線により、応用システム固有の仕様(電気的な仕様と機械的な仕様である)を満足させる構成を実現することが可能となる。
【0027】
前段落に記載した構成をさらに発展させ、前記電気配線層の表面に、別の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品を搭載することも可能である。かかる構成では、前記電気配線層は、前記半導体チップと、前記した「別の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」との電気的接続手段を構成することになる。
【0028】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールを、(1)前記インターポーザ上に、前記半導体チップを含む、少なくとも1個の半導体チップを搭載し、(2)前記半導体チップの前記第1主面を前記インターポーザ側に面して配置し、(3)前記第1の端子群と前記第2の端子群とを、ボールグリッドアレイを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続し、(4)前記第3の端子群と前記第4の端子群とを、ワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続して、構成する。
【0029】
前記インターポーザを構成する素材は、シリコンなどの半導体あるいは樹脂などである。前段落に記載した構成では、当該インターポーザ上に前記半導体チップを搭載し、入出力系の信号は当該半導体チップの下側(前記第1主面である)からボールグリッドなどの接続手段で当該インターポーザに接続され、電源系の配線は当該半導体チップの上側(前記第2主面である)からボンディングワイヤなどの接続手段で当該インターポーザに接続されている。当該ボンディングワイヤを用いる場合には、製造技術上、当該インターポーザの表面側(前記半導体チップが搭載されている側)に、ボンディングワイヤの一端が接続されることになる。当該ボンディングワイヤには電源供給用の大電流が流れるので、太い(例えば100マイクロメータ以上)線を使用することが好ましい。あるいは、2本を越える本数のボンディングワイヤを並列的に配置しても良い。さらに、実装密度の増大を指向するならば、前記半導体モジュールはボールグリッドアレイ(BGA)などの接続手段を有し、当該半導体モジュールが搭載されるプリント基板などへ面実装されることが好ましいが、この限りではない。上記した構成では、電源供給用の大電流は、(1)前記プリント基板、(2)当該半導体モジュールのボールグリッド(前記インターポーザの下側の面に配置)、(3)前記インターポーザに設けられた貫通配線、(4)前記した太いボンディングワイヤ(あるいは複数本のボンディングワイヤ)、(5)前記半導体チップの前記第3の端子群(戻り電流に対しては前記第4の端子群)を構成する端子、(6)前記半導体チップの前記第2主面と前記第1主面とを接続する貫通配線、(7)前記半導体チップに作りこまれた電子回路、の順で流れることになる。これらの電流路は大電流が流れても、電圧降下や電圧変動が発生しないよう、許容電流値が大きく、かつ、そのインピーダンスが小さいように設定されている必要がある。
【0030】
前段落に記載した電源供給用の大電流は、前記(3)の貫通配線を通過している。このため、当該貫通配線の断面積を大きくしたり、複数の貫通配線を並列的に使用するなどして、当該貫通配線の許容電流値を大きくすることが必要となる。また、当該貫通配線の材料を銅などの低抵抗率材料とすることも効果がある。さらに、銅などを使用したときには、熱伝導率も大きいため、前記半導体チップの第1主面側に配置された電子回路で発生する熱を、前記インターポーザの厚さ方向に逃がし、当該インターポーザの下側の面に配置されたボールグリッドを介して、前記プリント基板側へ放熱させることができる。すなわち、前記半導体モジュールの放熱を効果的に行うことが可能となる。
【0031】
上記した構成では、入出力信号系での電流は、(1)前記プリント基板、(2)当該半導体モジュールのボールグリッド(前記インターポーザの下側の面に配置)、(3)前記インターポーザに設けられた貫通配線、(4)前記半導体チップの前記第1の端子群(あるいは前記第2の端子群)を構成する端子、(5)前記半導体チップに作りこまれた電子回路、の順で流れることになる。入出力信号系では流れる電流の値は小さいので、許容電流値を大きくする必要性は格別にはない。例えば、前記(3)での貫通配線の直径を10マイクロメータ以下にしても構わない。設計で考慮すべき事項の一例は、許容電流値ではなく、前記第1の端子群あるいは前記第2の端子群を、より高密度に配列することである。
【0032】
前記半導体モジュールに搭載される半導体チップは1個とは限らない。例えば、前記インターポーザに、演算処理系の半導体チップと1個以上の記憶系の半導体チップを搭載した形態、演算処理系の半導体チップとアナログデジタル変換系の半導体チップとセンサ系の半導体チップを搭載した形態など、多くの搭載形態がある。
【0033】
(1)前記第1主面側が前記インターポーザ側に面して配置された前記半導体チップである第1の半導体チップの前記第2主面側に、第2の半導体チップあるいは第2の半導体デバイスあるいは第2の電子部品を搭載し、(2)前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品を、前記第1の半導体チップへ電気的接続する。
【0034】
従来は、論理回路系の電源電圧として5Vが標準的に採用されてきたが、高集積化、高速化に伴い、電源消費や発熱を抑制するため、電源電圧の低電圧化が推進されている。例えば、CPUなどでは3.3V化から1.5V化が進み、モバイル機器では一層の低電圧化(例えば1.3V化)が進んでいる。しかしながら、電源電圧の低電圧化では、信号振幅も小さくなり、外部からの雑音混入に対して耐性が低くなる。このため、機器間の接続では、5Vへの要求も高い。前記半導体モジュールでも、高速演算処理を行う回路系には例えば1.5Vの電源電圧を使用し、周辺回路系やインターフェイス回路系には3.3Vあるいは5Vを使用することも多い。このため、接続端子数の低減という観点から、半導体モジュールへの供給電源は1種類(例えば3.3V)とし、当該半導体モジュール内部で他の電圧(例えば1.5V)に変換することが好ましい。前段落はかかる状況に対して記載されており、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスは、3.3Vから1.5Vへ変換する電源回路などを構成している。しかしながら、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品は前記電源回路を構成しているとは限らない。
【0035】
前々段落に記載した構成において、前記半導体チップの第2主面には、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスの他に、半導体チップや半導体デバイス、さらには、トランジスタなどの個別部品やキャパシタなどの電子部品などを配置しても構わない。特に、電源系の半導体チップなどを搭載する形態においては、電圧安定化のためのキャパシタを配置することは好ましい例である。
【0036】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールを、(1)前記インターポーザ上に、前記半導体チップを含む、少なくとも1個の半導体チップを搭載し、(2)前記半導体チップの前記第2主面側を前記インターポーザ側に面して配置し、(3)前記第3の端子群と前記第4の端子群とを、ボールグリッドアレイを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続し、(4)前記第1の端子群と前記第2の端子群とをワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続して、構成する。
【0037】
前記半導体モジュールへ流入する電源電流が大きい場合には、当該電源電流の供給路を可能な限り短くして、不要な電磁放射や電源電圧の降下を防ぐことが好ましい。前段落に記載した構成では、前記半導体チップの第3の端子群あるいは第4の端子群を、前記インターポーザに対向して配置し、ボールグリッドなどを介して電源電流を供給している。かかる構成では、ボンディングワイヤを使用していないので、より短い配線が可能となっている。また、入出力信号系(前記第1の端子群と前記第2の端子群)はワイヤボンディングなどの接続手段で、前記インターポーザと接続されている。このため、ボンディングワイヤの本数が多くなるが、自動ボンディング機などを使用することにより製造技術面からは格別に大きな課題とはならない。
【0038】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールを、(1)前記第2主面側が前記インターポーザ側に面して配置された前記半導体チップである第3の半導体チップの前記第1主面側に、第4の半導体チップあるいは第4の半導体デバイスあるいは第4の電子部品を搭載し、(2)前記第4の半導体チップあるいは前記第4の半導体デバイスあるいは前記第4の電子部品を、前記第3の半導体チップに電気的接続して、構成する。
【0039】
前記第4の半導体チップあるいは第4の半導体デバイスあるいは第4の電子部品と、前記第3の半導体チップとの電気的接続に際しては、前記第3の半導体チップの前記第1主面に、前記した「再配線層」を配置して、当該電気的接続の容易性を確保することが望ましい。特に、前記半導体チップが汎用的な製品として設計されている場合には、当該第3の半導体チップの電気的接続端子の配列と、前記第4の半導体チップあるいは第4の半導体デバイスの電気的接続端子の配列とが、必ずしも対応しているとは限らない。例えば、当該電気的接続端子の配列ピッチなどは、異なっていることが多い。このため、前記再配線層を的確に設計することにより、当該再配線層が前記した配列ピッチの差異を「吸収」して、接続の容易性を確保することが可能となる。かかる再配線層は、周知の手法で形成することが可能であり、一般的には、2層以上の電気配線層から構成されている。
【0040】
前々段落に記載した構成では、前記第3の半導体チップの前記第1主面には、1個の「第3の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」が搭載されていることが示されている。しかしながら、2個以上の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品が搭載されていても構わない。例えば、ラインドライバ、マルチプレクサ、インターフェイス(例えば、無線送受信回路など)、アナログデジタル変換器、演算増幅器、温度センサなどのセンサ、電源回路(例えば、電圧昇圧回路などで、大容量とは限らない)など、あるいは、これらの組合せがある。また、電源電圧安定化や雑音吸収のためのキャパシタ、昇圧回路や無線回路でのインダクタ、温度検出用のサーミスタなどを搭載しても構わない。
【0041】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールを、(1)前記第3の半導体チップの前記第2主面側を前記インターポーザ側に面して配置し、(2)前記第3の半導体チップの前記第1主面側に第2のインターポーザを配置し、(3)前記第2のインターポーザを前記第3の半導体チップと電気的接続し、(4)前記第2のインターポーザ上に第5の半導体チップあるいは第5の半導体デバイスあるいは第5の電子部品を配置し、(5)前記第5の半導体チップあるいは前記第5の半導体デバイスあるいは前記第5の電子部品を前記第2のインターポーザと電気的接続し、(6)前記第2のインターポーザをワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続して、構成する。
【0042】
前段落に記載した構成の半導体モジュールは、(下側から順に)インターポーザ、(第3の)半導体チップ、第2のインターポーザ、第5の半導体チップ(あるいは半導体デバイスあるいは電子部品)で構成されている。当該第2のインターポーザは、前記半導体チップと、前記第5の半導体チップあるいは第5の半導体デバイスあるいは第5の電子部品との電気的接続に際して、当該電気的接続の容易性を確保するために、配置されている。かかる状況は、前記した「再配線層」と同じ機能である。前記した半導体チップの前記第1主面に再配線層を形成することが困難な場合(例えば、当該再配線層の電気配線層数では、十分に再配線しきれないなど)には、当該再配線層の代替として、前記第2のインターポーザを配置することが有効である。当該第2のインターポーザは、樹脂基板を加工したインターポーザや、シリコン基板などを加工した半導体インターポーザなどであって良い。これらのインターポーザは周知の手法で作成することが可能である。
【0043】
前々段落に記載した構成では、前記半導体チップに対して、1個の「第2のインターポーザ」と1個の「第5の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」が配置されているが、これに限らない。例えば、(1)前記半導体チップに対して、1個の「第2のインターポーザ」の表面に2個を超える数の「第5の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」を配置した構成、(2)前記半導体チップに対して、2個を超える数の「第2のインターポーザ」を配置し、それぞれの表面に各1個の「第5の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」を配置した構成、(3)、前記半導体チップに対して、2個を超える数の「第2のインターポーザ」を配置し、それぞれの表面には、2個を超える数の「第5の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」を配置した構成、などがある。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、(1)許容電流値が大きい端子構成などにより、少ない端子数でも「安定な電源供給」が可能な半導体チップあるいは半導体デバイスが実現でき、(2)高速動作時に課題となっていた電源系の配線から入出力信号系の配線への混入雑音を低減でき、(3)ピン数の低減により接続信頼性が確保でき、(4)前記半導体チップあるいは半導体デバイスを実装する時の面積を低減でき、さらには、(5)前記半導体チップで発生した熱を効果的に放熱できるようになる。
【0045】
半導体チップに配置された端子群を、使用目的に合わせて、当該半導体チップの第1主面と第2主面に分割して配置することにより、前段落に記載した効果が得られた。具体的に例示すると、
第1主面:入力信号が流入する端子群、出力信号が流出する端子群、入力信号が流出する端子群、出力信号が流入する端子群
第2主面:電源電流が流入する端子群、電源電流が流出する端子群
という配置である。
【0046】
前段落において、第2主面に配置された電源が流入する端子群と電源電流が流出する端子群との間にキャパシタを配置し、高周波成分を有する過渡的な雑音(スイッチング雑音)を当該キャパシタで吸収させることができる。
【0047】
半導体チップの第1主面に電気配線層を配置し、当該半導体チップの端子群を電気的接続することにより、再配線が可能となる。
【0048】
半導体チップの第1主面側に配置された入出力系の端子群をボールグリッドアレイでインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群を太いボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続して構成した半導体モジュールが実現できる。
【0049】
半導体チップの第1主面側に配置された入出力系の端子群をボールグリッドアレイでインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群を太いボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続し、さらに、当該第2主面に第2の半導体チップ(例えば電源電圧を変換する半導体チップ)を配置した半導体モジュールが実現できる。
【0050】
半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群をボールグリッドアレイ状でインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第1主面側に配置された入出力系の端子群をボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続して構成した半導体モジュールが実現できる。
【0051】
半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群をボールグリッドアレイでインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第1主面側に配置された電気配線層を介して入出力系の端子群をボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続し、さらに、当該第1主面側に配置された電気配線層に第3の半導体チップ(例えばペリフェラルIC)を配置した半導体モジュールが実現できる。
【0052】
半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群をボールグリッドアレイでインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第1主面側に配置された第2のインターポーザに第4の半導体チップ(例えばペリフェラルIC)を搭載し、当該半導体チップの第1主面側に配置された入出力系の端子群および当該第2のインターポーザを、ボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続した半導体モジュールが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】半導体デバイスの内部結線を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の半導体チップの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例2の半導体チップの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例3の半導体デバイス(チップサイズパッケージ形態を持つ)の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例4の半導体チップ(キャパシタを内蔵)の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例5の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例5に使用されているインターポーザの構成を説明する図である。
【図8】本発明の実施例6の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例7の半導体チップの構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例8の半導体チップの構成を示す図である。
【図11】本発明の実施例9の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図12】本発明の実施例10の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図13】本発明の実施例11の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図14】従来のCPUのピン配列表である。
【図15】従来のCPUの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例に係る半導体チップと半導体デバイス、および、それを搭載した半導体モジュールを詳細に説明する。
【0055】
図1は半導体デバイスの内部結線を示す図である。図1において、10はパッケージ11に搭載された半導体デバイス、12は半導体チップである。半導体チップ12は、ボンディングワイヤなどによりパッケージ11の端子に電気的接続されている。
図1において、13は入力信号系の端子群であり、入力信号電流が流入する端子14(Iで表記)と流出する端子(GNDで表記)とから構成されている。矢印はそれぞれの電流の流れる方向を示している。15は出力信号系の端子群であり、出力電流が流出する端子16(Oで表記)と流入する端子(GNDで表記)とから構成されている。入力信号系では、流れる電流が比較的小さいので、複数の電流流入端子に対して、1個の電流流出端子を共通的に使用している。出力信号系でも同様な状況である。さらには、端子群13と15に含まれるGNDは前記パッケージの端子(gndとして表記)で共通化されることもある。17は電源電流が流入する端子(VDDで表記)、18は電源電流が流出する端子(VSSで表記)であり、それぞれ、前記パッケージの対応する端子群(vddとvssで表記)と接続されている。なお、図中の矢印は電流の流れる方向を示している。
端子17と18は、パッケージ11の一つの端子と、半導体チップ12の複数の端子とが接続されているように構成されている。かかる構成は、半導体チップ12の端子の配列ピッチは小さいため当該端子の数も大きく設定することが可能であるのに対して、パッケージ11の端子の配列ピッチは大きいため当該端子の数が少ないことを反映している。すなわち、半導体チップ12に配列されている前記端子の全てに対応して、パッケージ11の端子を配列する(端子数が増え、パッケージが大きくなり、さらには、半導体デバイスも大きくなってしまう)ことが困難である場合には、図1に例示したような配線手法が適用される。また、一般には、半導体チップ12のVSSで表記された端子と、gndで表記された端子は、共に、半導体チップ12を構成する半導体基板と同一であることも多い。本明細書では、半導体チップ12への流入する電流と、半導体チップ12から流出する電流が重要な構成要因となるため、便宜上、個別の表記を行っている。
【0056】
本明細書においては、図1に示した構成で、14の入力信号電流が流入する端子群(図では「I」として表記)と、16の出力信号電流が流出する端子群(図では「O」として表記)を「第1の端子群」としている。また、14の端子へ流入した当該入力信号電流が流出する端子と、16の端子から流出した当該出力電流が流入する端子(図では共に「gnd」として表記)を「第2の端子群」としている。さらに、17を「第3の端子群」、18を「第4の端子群」と名付けている。
図1では、半導体チップの全ての端子群が、当該半導体チップの1つの面内に配置されている。一方、本発明による半導体チップでは、大電流が流れる端子群(「第3の端子群」と「第4の端子群」)を当該半導体チップの1つの面内に配置し、入出力信号系の端子群(「第1の端子群」と「第2の端子群」)を当該半導体チップの他の面内に配置することに特徴がある。
【実施例1】
【0057】
図2は、本発明の実施例1に係る半導体チップ20の構成を示す図である。
図2(a)において、21は半導体基板であり、図の下側が第1主面22である。当該第1主面22には電子回路(図示せず)が集積化されており、表面は2層の配線層が配置されている。かかる「2層の配線層」は一例に過ぎず、より多層の配線層であっても構わない。当該半導体基板には、基板を貫通して、前記2層の配線層を構成する指定された配線層23に接続されている貫通配線(貫通電極とも称される)24が設けられている。貫通配線24は、前記半導体基板の第2主面25に配置された配線層26aと26bに接続されている。同図では、配線層26aと26bが各1個配置されている事例が示されているが、それぞれの個数はこれに限らず、2個以上の数であっても構わない。なお、貫通配線24と配線層26aと26bは、前記半導体基板とから絶縁膜などを介して電気的に絶縁されている。配線層26aと26bは絶縁層27で覆われており、当該絶縁層27の指定された領域は開口28aと28bを形成している。これらの開口は、半導体チップ20から、パッケージあるいは外部回路へ電気的接続する際の、例えば、ボンディングパッドとして利用される。すなわち、開口28aの領域が前記した「第3の端子群」に、開口28bの領域が前記した「第4の端子群」にそれぞれ対応している。さらに、前記2層の配線層には、開口29aと29bが設けられている。これらの開口は、半導体チップ20から、パッケージあるいは外部回路へ電気的接続する際の、例えば、ボールグリッドアレイのボールが配置される領域となる。すなわち、開口29aの領域が前記した「第1の端子群」に、開口29bが前記した「第2の端子群」にそれぞれ対応している。
【0058】
図2に示した構成では、配線層26aと26bには、「必ず」開口28aと28bとが配置されているかのように描かれているが、この限りではない。例えば、開口28a(あるいは28b)を有しない配線層26a(あるいは26b)が配置されていて、電気配線機能のみを有していても良い。
【0059】
図2(a)に示した実施例においては、前記電子回路を構成している「入出力信号系」は開口29aと29bを介して、また、「電源回路系」は開口28aと28bを介して、前記パッケージあるいは外部回路と接続される。より具体的に記載するならば、
開口28a(「第3の端子群」):半導体チップへ電源電流が流入する端子、
開口28b(「第4の端子群」):半導体チップから電源電流が流出する端子、
開口29a(「第1の端子群」):半導体チップへ入力信号が流入する端子、あるいは、半導体チップから出力信号が流出する端子、
開口29b(「第2の端子群」):半導体チップへ入力信号が流出する端子、あるいは、半導体チップへ出力信号が流入する端子、となっている。
なお、かかる状況は、前記した電子回路からの配線を適宜設計することにより実現される。
【0060】
図2(a)では、貫通配線24の厚さが薄く、絶縁層27が当該貫通配線領域まで入り込んでいる事例が示されている。一方、同図(b)では、貫通配線24の厚さが十分に厚く、絶縁層27は第2主面25の上面にのみ局在する事例が示されている。貫通配線24は、開口28a、28bを介して、大電流である電源電流の流入と流出の電流路となるので、電圧降下などが発生しないよう、電流路のインピーダンスは低い(例えば、貫通配線24の厚さを大きく、あるいは、貫通配線24が占める領域を大きくする)ことが必要となる。かかる観点からは、図2(a)よりも図2(b)の方が好ましい事例であると言える。さらに、貫通配線24の材料を低抵抗率の材料とすることにより、前記電流路のインピーダンスの一層の低減に効果がある。また、銅などの低抵抗率の材料では、熱伝導率も大きいので、第1主面22側に配置された電子回路(図示せず)で発生した熱を、第2主面25側へ放熱させる効果も大きい。
【0061】
実施例1の半導体チップ20では、第1主面22に、第1の端子群と第2の端子群が配置されており、入力信号が流入する端子あるいは出力信号が流出する端子を前記第1の端子群とし、入力信号が流出する端子あるいは出力信号が流入する端子を前記第2の端子群としている。また、第2主面25には、第3の端子群と第4の端子群が配置され、電源電流が流入する端子を前記第3の端子群とし、電源電流が流出する端子を前記第4の端子群としている。一方、前記した電子回路は第1主面22に配置されているので、当該電子回路の配線の一部は、第1主面22から第2主面25へ配線を延ばすことが必須となり、かかる電気的接続は貫通配線24で実現されている。
【0062】
実施例1の構成により、大電流が流れる端子群(電流路でもある)と、入出力信号が流れる端子群とを、半導体チップ20の表裏に分散配置させることができた。大電流が流れる端子群と貫通配線24の構成を最適化(例えば、インピーダンスを可能な限り小さくするなど)することにより、前記端子群を構成する端子数を少なくしても、電源系統に起因する障害(例えば、電源電圧の降下や変動)を回避し、さらには、放熱効果を増大させることができる。
【実施例2】
【0063】
図3は、本発明の実施例2に係る半導体チップ30の構成を示す図である。図3では、図2と同一番号は同一構成要素を示している。
図3(a)において、31aと31bは貫通配線であり、配線層26aに接続されている。31cと31dは貫通配線であり、配線層26bに接続されている。図3(a)では、前記電子回路を構成し、前記2層の配線層を構成する指定された配線層23の複数個所に、前記貫通配線(31aなど)が配置され、共通の配線層26aあるいは26bに接続されている。すなわち、半導体チップを構成する電子回路には、同電位である複数の前記配線層(23)が含まれているので、これらを配線層26aや26bなどで共通化することにより、当該半導体チップの端子数を実質的に低減できる。かかる状況は、図14に示した従来例のように、多数の電源電流流入端子(あるいは電源電流流出端子)を有する半導体チップの場合には、特に有効となる。
【0064】
図3(b)は、同図(a)の半導体チップを第2主面側から見た平面図である。同図において、図3(a)と同一番号は同一構成要素を示している。
図3(b)では、配線層26aと26bとが、当該半導体チップの第2主面のほぼ全面にわたって形成されている事例が示されている。かかる構成においては、当該第1主面側の電子回路で発熱した熱が、前記貫通配線(31a、31b、31c、31d)を介して、前記配線層へ導かれ、当該配線層の広い面積から放熱されることになる。また、当該配線層を、銅などの高熱伝導率の材料で形成し、さらに、当該配線層の厚さを大きくすることにより、一層の放熱効果が実現できる。
【0065】
さらに、図3の実施例2では、電子回路が形成されたウェーハ(あるいはチップ)を入手し、当該ウェーハ(あるいはチップ)を後加工することにより、図3の構成を実現することが可能である。一般に、半導体プロセスラインから得られるウェーハには、全ての端子群が前記第1主面側に配置されているチップが含まれている。当該ウェーハに、貫通配線を施すことにより、図3の構成が実現できるので、「汎用仕様」のチップを、当該チップが搭載される応用システムに合わせた「個別仕様」にチップに作りかえることができる。かかる利点により、「汎用仕様」のチップをそのまま実装した場合の「端子数」を大幅に低減できることになる。さらには、端子数の低減は、実装に必要な面積の低減をも可能とする。
【実施例3】
【0066】
図4は、図2に示した半導体チップ20を搭載した、本発明の実施例3に係る半導体デバイスの構成を示す図である。図4において、図2と同一番号は同一構成要素を示している。図4において、40は半導体デバイス、41は開口29a、29bに配置され、ボールグリッドアレイ(BGA)を構成する導電性のボールである。当該ボールはハンダ(望むらくは鉛フリーハンダ)などの金属材料で構成されている。また、同図では、「半導体デバイス」の構成例として、「BGAチップサイズパッケージ」と称されるデバイスを示している。図4の半導体デバイスは、図2の「半導体チップ」と構造が類似している。しかし、図2の半導体チップは、ウェーハから切り出された状態であり、耐環境性を高めるための保護膜層などが設けられていないのに対し、図4の半導体デバイスでは、半導体チップの表面(第1主面と第2主面)や側面(チップへスクライブした時の側壁)に保護膜(ただし、図示していない)が設けられている点が、異なっている。なお、図4に例示した「半導体デバイス」は「チップサイズパッケージ」とも称され、製品として流通する形状になっている。
【0067】
実施例3においても、入出力系の信号が流れる前記「第1の端子群」と「第2の端子群」は前記半導体チップの第1主面側に配置され、大電流が流れる前記「第3の端子群」と「第4の端子群」が前記半導体チップの第2主面側に配置されている。
【実施例4】
【0068】
図5は、本発明の実施例4に係る半導体チップを示している。図5において、図2と同一番号は同一構成要素を示している。また、図5(a)では、開口28a(第3の端子群を構成)と開口28b(第4の端子群を構成)は、それぞれ、1個の場合が示されているが、この限りではない。50は改良された半導体チップ、51は第1の導電層、52は第2の導電層である。半導体チップ51は前記第2主面に配置され、かつ、前記「第3の端子群を構成する少なくとも1個の端子」(28aに相当)および貫通配線53に電気的接続されている。第2の導電層52は前記第2主面側に配置され、かつ、前記「第4の端子群を構成する少なくとも1個の端子」(28bに相当)および貫通配線54に電気的接続されている。さらに、第1の導電層51と第2の導電層52とは、絶縁層27を介して対向配置されている。かかる構造では、導電層51と52が対向電極、絶縁層27が誘電体となるキャパシタを構成している。
【0069】
「電源電流が流入する端子(例えば、前記28a)」と「電源電流が流出する端子(例えば、前記28b)」との間には、電源電圧の変動を吸収する大容量のキャパシタと、高速に変化する電源電流に起因するスイッチング雑音などの雑音を吸収する小容量のキャパシタを並列して接続することが多い。当該大容量のキャパシタを前記半導体チップの表面に配置することは不可能であり、一般的には、前記半導体チップが搭載された半導体デバイスあるいは半導体モジュールの端子周辺に配置される。一方、当該「小容量のキャパシタ」は可能な限り前記半導体チップに近く配置することが、雑音低減の観点から好ましい。本実施例では、前記半導体チップを構成している第2主面側の配線層(図5の51と52に対応)を利用して、当該「小容量のキャパシタ」を構成している。このために、配線層51と52とは、絶縁層27を介して、対向配置されている。なお、当該「小容量のキャパシタ」の静電容量は、配線層51と52が空間的に重なっている面積に比例し、配線層51と52の間の距離(絶縁層27で決定される)に逆比例し、絶縁層27の誘電率に比例して決定される。
【0070】
図5(a)に示した構成では、前記「小容量のキャパシタ」が1個の場合が例示されているが、これに限らない。前記半導体チップの前記第2主面側に2個を超える数の前記「小容量のキャパシタ」が配置されていても良い。また、前記「小容量のキャパシタ」は2個の対向電極(51と52)のみで構成されているが、これに限らない。例えば、図5(b)に例示した構成のように、複数層から成る配線層を形成し、奇数番目の配線層を共通化して前記「第1の導電層」とし、偶数番目の配線層を共通化して前記「第2の導電層」とするような構成でも構わない。
【実施例5】
【0071】
図6は、前記した半導体チップを搭載した、本発明の実施例5に係る半導体モジュールを示している。同図において、図2と同一番号は同一構成要素を示している。図6において、60は半導体モジュール、61はインターポーザ、62は半導体チップ(図2参照)である。当該インターポーザ61の構成を図7に示し、その詳細を以下の段落に記載する。
【0072】
図7(a)において、インターポーザ61は樹脂材料あるいは半導体材料などから作成される。樹脂材料のインターポーザ61は、プリント配線基板技術をベースとしており、安価である反面、表面に配置できる電気配線層のパターン密度などに限界がある。例えば、数マイクロメータ以下の当該電気配線層パターンの形成は困難である。一方、半導体材料のインターポーザ61では、高度に発展しつつある半導体集積回路の製造技術が利用できるため、前記電気配線層のパターン密度を大幅に増大できる利点がある。本発明に記載された「インターポーザ」は、樹脂材料あるいは半導体材料のいずれで構成されていても構わない。さらには、樹脂材料と半導体材料を組合せた構成であっても構わない。かかる例としては、半導体基板の表裏面(第1主面と第2主面)に半導体技術で作成された電気配線層を設け、さらに、当該電気配線層の表面に「樹脂材料」で多層プリント基板を作成するかのように樹脂層で電気配線層を積層することがある。
【0073】
図7(a)では、半導体基板から形成されたインターポーザ61が例として示されている。図において、72はシリコンなどから成る半導体基板、73と74はそれぞれ当該半導体基板の表面と裏面に配置された電気配線層である。当該電気配線層は、それぞれ「2層」であり、各々の層の間には層間配線が施されている場合が示されているが、この限りではない。75a、75bは、当該半導体基板の表裏の電気配線層を相互に接続する貫通配線の領域である。当該領域の部分拡大図を図7(b)と(c)に示す。
図7(b)において、77aと78aは、インターポーザ61の裏面(図面上では下側の面)に配置された2層の電気配線層であり、インターポーザ61の厚さ方向で層間配線が施されている。79aと80aは、インターポーザ61の表面(図面上では上側の面)に配置された2層の電気配線層であり、インターポーザ61の厚さ方向で層間配線が施されている。76aは、電気配線層79aと77aとを電気的接続している貫通配線であり、大電流を流せるように、その断面積を大きくしているが、これに限らない。電流が流れる線路の許容電流値を大きくするための他の手法としては、「複数個の細い貫通配線を密接して配置し、電気的に当該複数個の貫通配線を並列接続する」ものがある。かかる手法を採用しても構わない。
図7(b)では、前記電気配線層の層間配線(77aと78a、あるいは、79aと80aを接続する配線)を複数個(図では各4個が例示)配列して、当該層間配線での許容電流値を大きくしている。また、層間配線80aは、後記するように、インターポーザ61に搭載される半導体チップ(図6での62)との電気的接続するための端子となる。当該端子は、前記した「第3の端子群」あるいは「第4の端子群」と、ボンディングワイヤなどで接続されることになる。一方、層間配線78aは、インターポーザ61を外部回路(図示せず)へ接続するための端子であり、導電性のボール81aが配置されている場合が示されている。すなわち、層間配線78aを、図6に対応して記載すると、前記「半導体モジュール」を外部回路へ接続するための端子となる。本段落に記載した構成により、インターポーザ61の電気配線層80aから電気配線層78aに至る電流路の許容電流値を大きく設定することができる。
【0074】
図7(c)において、77bと78bは、インターポーザ61の裏面(図面上では下側の面)に配置された2層の電気配線層であり、インターポーザ61の厚さ方向で層間配線が施されている。79bと80bは、インターポーザ61の表面(図面上では上側の面)に配置された2層の電気配線層であり、インターポーザ61の厚さ方向で層間配線が施されている。76bは、電気配線層79bと電気配線層77bとを電気的接続している貫通配線である。図7(c)の場合には、大電流を流す必要がない(入出力信号系の接続に使用するためである)ので、その断面積を特に大きくする必要はない。貫通配線76bの大きさの一例としては、5から20マイクロメータ径である。さらに、図7(c)では、前記電気配線層の層間配線(77bと78b、あるいは、79bと80bを接続する配線)も特に大きくする必要はない。当該層間配線の大きさの一例としては、5から20マイクロメータ径である。また、電気配線層80bは、後記するように、インターポーザ61に搭載される半導体チップ(図6での62)との電気的接続するための端子となる。当該端子は、前記した「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」と、導電性のボールなどで接続されることになる。一方、電気配線層78bは、インターポーザ61を外部回路(図示せず)へ接続するための端子であり、導電性のボール81bが配置されている場合が示されている。すなわち、電気配線層78bを、図6に対応して記載すると、前記「半導体モジュール」を外部回路へ接続するための端子となる。
【0075】
次に、図7に示したインターポーザ61に半導体チップを搭載した半導体モジュール60(実施例5)について、その構成をさらに説明する。
【0076】
図6では、インターポーザ61上に1個の半導体チップ62が搭載されている例が示されているが、搭載される半導体チップ62の数は2個以上であっても良い。半導体チップ62は、第1主面がインターポーザ61側に向くように配置されており、その第1主面側に配置された「第1の端子群」と「第2の端子群」は、導電性のボール63であって、インターポーザ61へ電気的接続されている。また、半導体チップ62の第2主面側に配置された「第3の端子群」と「第4の端子群」は、ボンディングワイヤ64などの接続手段でインターポーザ61へ電気的接続されている。ボンディングワイヤ64には電源供給用の大電流が流れるので、ボンディングワイヤ64の線径は太いことが要求される。なお、図6では、1本の太い線径のボンディングワイヤ64が例示されているが、細い線径のボンディングワイヤ64を複数本並列的に配置して、許容電流値を大きくしても良い。前記電源供給用の大電流の流路は、外部回路(図示せず)→81a→78a→77a→76a→79a→80a→64の経路を通って、半導体チップ62へ流入(および逆の流路を通って当該チップから流出)することになる。一方、入出力信号は、外部回路(図示せず)→81b→78b→77b→76b→79b→80b→63の経路を通って、半導体チップ62へ流入(および逆の流路を通って当該チップから流出)することになる。
【実施例6】
【0077】
図8は、本発明の実施例6に係る半導体モジュールの構成を示す図である。図8において、図6と同一番号は同一構成要素を示している。
図8において、インターポーザ61には半導体チップ62が搭載され、半導体チップ62の上には第2の半導体チップ85が搭載されている。第2の半導体チップ85は、導電性のボール86を介して、半導体チップ62と電気的接続されている。第2の半導体チップ85は、例えば、電源ICなどであり、ボンディングワイヤ64を介して供給された電源電圧を降圧(例えば、3.3Vから1.5Vへ)して、半導体チップ62へ電源供給する機能を有している。
第2の半導体チップ85は、半導体チップに限らず、パッケージされた半導体デバイス、あるいは、抵抗、キャパシタ、コイルなどの電子部品であっても構わない。特に、当該半導体デバイスがボールグリッドアレイの表面実装型デバイスである場合には、同図に示したような導電性のボールで電気的接続することが可能である。
図8の構成では、半導体チップ62の第2主面側に、電源供給用の「第3の端子群」と「第4の端子群」、さらには、前記第2の半導体チップ(あるいは第2の半導体デバイス)から構成される「電源系統」を配置している。図8の構成では、前記第2の半導体チップが1個である場合が示されているが、2個以上の、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品が搭載されていても構わない。
【0078】
図8では、前記半導体チップ(62)が1個である場合が示されているが、当該個数は1個とは限らない。前記インターポーザ61の上に、2個以上の半導体チップが搭載される構成であっても構わない。また、2個以上の半導体チップが搭載されているような構成では、選択された1個以上の半導体チップ、あるいは、全ての半導体チップの上に、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品を配置しても構わない。
【実施例7】
【0079】
図9は、本発明の実施例7に係る半導体チップの構成を示す図である。同図において、図2と同一番号は同一構成要素を示しているが、半導体チップは図の上下が逆転して示されている。図9において、90は半導体チップ、91aと91bは、それぞれ、開口28aと28bに配置された導電性のボールである。
実施例7においては、半導体チップ90の第2主面側に配置された「第3の端子群」(例えば28a)と「第4の端子群」(例えば28b)へ、導電性のボール(91aと91b)を介して電源供給のための大電流が流れるように構成されている。また、半導体チップ90の第1主面側に配置された「第1の端子群」(例えば29a)と「第2の端子群」(例えば29b)へは、ボンディングワイヤなど(図示せず)を介して、入出力系の信号電流が流れるように構成されている。
【0080】
図9に示した構成では、大電流が流れる流路は、貫通配線24→配線層26a(あるいは26b)→導電性のボール91a(あるいは91b)となる。このため、図2から図4に示した構成と比較して、当該流路を短くできる(ボンディングワイヤよりも短く配線できる)利点がある。
【実施例8】
【0081】
図10は、本発明の実施例8に係る半導体チップの構成を示す図である。同図において図9と同一番号は同一構成要素を示している。
図10において、100は改良された半導体チップであり、101で示したチップ要素と、102で示した電気配線層とから構成されている。なお、チップ要素101は、図9に記載した構成と同一である。電気配線層102は、チップ要素101の表面(前記した半導体チップの第1主面である)に配置されており、配線層104と、配線層104の上側に積層配置された配線層105から構成されている。さらに、配線層104と105とは、同図の縦方向で電気的接続されている(層間配線である)。また、配線層104は、前記した「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」を構成している開口(例えば29a)と電気的接続されている。すなわち、配線層102は、配線層101に配置された「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」を、再配線していることになる。かかる再配線は、当該改良された半導体チップを応用する時に、個々の応用分野毎に、入出力信号に係る配線を最適化することを可能としている。この結果、例えば、「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」の数を低減することが可能となる。なお、図10では、当該電気配線層が2層配線である場合が示されているが、これに限らない。
【0082】
図10に示した実施例8は、図9に記載した半導体チップ90について、(1)半導体チップ90の第1主面に少なくとも1層から成る電気配線層を配置し、(2)前記第1の端子群と前記第2の端子群を前記電気配線層へ電気的接続することにより、実現されている。
【実施例9】
【0083】
図11は、本発明の実施例9に係る半導体モジュールの構成を示す図である。当該半導体モジュールは、図7に記載したインターポーザに、図9あるいは図10に記載した半導体チップを搭載した構成となっている。なお、同図では、図9に記載した半導体チップが示されている。また、同図では、前記インターポーザに搭載された半導体チップは1個である場合が示されているが、2個以上の半導体チップが搭載されていても構わない。図11において、図7および図9と同一番号は同一構成要素を示している。
図11において、110は半導体モジュールであり、前記したインターポーザ61(図7)と、前記した半導体チップ90(図9)とから構成されている。半導体チップ90は、その第2主面がインターポーザ61と向き合うように配置されている。当該第2主面に配置されている「第3の端子群」あるいは「第4の端子群」(例えば111)は、導電性のボール91aで、インターポーザ61を構成している電気配線層80aに接続されている。半導体チップ90とインターポーザ61の電気的接続手段としては、導電性のボールによるボールグリッドアレイに限られることはない。
半導体チップ61の第1主面に配置されている「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」(例えば29a)は、ボンディングワイヤ112などの接続手段により、電気配線層80bに接続されている。ボンディングワイヤ112には入出力信号系の電流のみが流れるので、必ずしも大電流用の太いボンディングワイヤを使用することはない。直径が、50〜200マイクロメータのボンディングワイヤの使用が可能である。半導体モジュール110は、(1)インターポーザ61と半導体チップ90を構成要素とし、(2)インターポーザ61上には、半導体チップ90を含む、少なくとも1個以上の半導体チップが搭載され、(3)半導体チップ90の第2主面がインターポーザ61側に配置され、(4)前記第3の端子群と前記第4の端子群とが、ボールグリッドアレイを含む接続手段でインターポーザ61に電気的接続され、(5)前記第1の端子群と前記第2の端子群とがワイヤボンディングを含む接続手段でインターポーザ61に電気的接続されている。
【0084】
実施例9では、半導体チップ90の下側(インターポーザ61に向き合っている側であり、第2主面でもある)に大電流が流れる電源供給用の電流路を形成し、導電性のボールなどを介して、インターポーザ61と電気的接続している。当該電流路は、81a→78a→76a(太い貫通配線)→80a→91a→111→26a→24となる。一方、半導体チップ90の上側(インターポーザ61から離れて配置されている側であり、第1主面でもある)には、小電流が流れる入出力信号系の電流路を形成し、ボンディングワイヤなどを介して、インターポーザ61と電気的接続している。当該電流路は、81b→78b→76b(細い貫通配線)→80b→112→29aとなる。
【実施例10】
【0085】
図12は、本発明の実施例10に係る半導体モジュールの構成を示す図である。当該半導体モジュールは、図7に記載したインターポーザに、図10に記載した半導体チップ(「第3の半導体チップ」である)を搭載し、さらに、当該半導体チップの表面(図では上側の表面)に第4の半導体チップを搭載した構成となっている。同図では、前記インターポーザに搭載された前記第3の半導体チップは1個である場合が示されているが、2個以上の半導体チップが搭載されていても構わない。同図において、図7および図10と同一番号は同一構成要素を示している。
図12において、120は半導体モジュールであり、前記したインターポーザ61(図7)61と、前記した第3の半導体チップ100(図10)を構成要素として含んでいる。半導体チップ100は、その第2主面がインターポーザ61と向き合うように配置されている。第2主面に配置されている「第3の端子群」あるいは「第4の端子群」(例えば111)は、導電性のボール91aで、インターポーザ61を構成している電気配線層80aに接続されている。半導体チップ100とインターポーザ61の電気的接続手段としては、導電性のボールによるボールグリッドアレイに限られることはない。
【0086】
半導体チップ100の上側表面(前記第1主面側である)には、配線層104と105から成る電気配線層102が配置されている。電気配線層102には、第4の半導体チップ125が搭載され、導電性のボール126を介して電気的接続されている。すなわち、実施例8(図10)で記載したように、半導体チップ100の第1主面に配置された「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」は、電気配線層102により再配線され、第4の半導体チップ125と電気的接続されていることになる。この結果、例えば、「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」の数を低減することが可能となる。なお、図12では、電気配線層102が2層配線である場合が示されているが、これに限らない。
【0087】
図12では、「第4の半導体チップ」が搭載されている事例を示したが、半導体チップ以外にも「第4の半導体デバイスあるいは第4の電子部品」などを搭載しても構わない。さらに、当該「第4の半導体デバイス」が、ボールグリッドアレイの表面実装型である場合には、前記電気配線層102との電気的接続を導電性のボールで行うことができるため、より好ましい事例となる。
【0088】
図12に示した実施例10では、第3の半導体チップ100の第1主面には、1個の「第4の半導体チップ125(あるいは半導体デバイスあるいは電子部品)」が搭載されていることが示されている。しかしながら、2個以上の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品が搭載されていても構わない。例えば、ラインドライバ、マルチプレクサ、インターフェイス(例えば、無線送受信回路など)などの周辺回路IC(ペリフェラルIC)、アナログデジタル変換器、演算増幅器、温度センサなどのセンサ、電源回路(例えば、電圧昇圧回路などで、大容量とは限らない)など、あるいは、これらの組合せがある。また、電源電圧安定化や雑音吸収のためのキャパシタ、昇圧回路や無線回路でのインダクタ、温度検出用のサーミスタなどを搭載しても構わない。
【実施例11】
【0089】
図13は、本発明の実施例11に係る半導体モジュールの構成を示す図である。当該半導体モジュールは、図7に記載したインターポーザ61に、図9に記載した半導体チップ90を搭載し、さらに、半導体チップ90の表面に、第2のインターポーザを介して第5の半導体チップを搭載した構成となっている。同図において、図7および図9と同一番号は同一構成要素を示している。
図13において、131は第2のインターポーザであり、半導体チップ90(これは第3の半導体チップである)と電気的接続されている。135は「第5の半導体チップ」であり、導電性のボール136などにより、第2のインターポーザ131に電気的接続されている。第2のインターポーザ131の開口137からは、ボンディングワイヤ138が設けられ、インターポーザ61へ電気的接続されている。かかる構成では、図12に示した半導体チップ100の電気配線層(図12の102)の代替として、第2のインターポーザ131を配置している。第2のインターポーザ131の構成材料は、樹脂材料あるいはシリコンなどの半導体材料、あるいは、これらを組み合わせた材料であっても構わない。
【0090】
図13の実施例11では、前記電気配線層の代替として第2のインターポーザ131を用いている。かかる構成によれば、前記電気配線層と比較して、第3の半導体チップ90とは別プロセスで作成できるので、(1)半導体チップ90の後加工で要求される制限事項が回避できる、(2)第2のインターポーザ131の表裏面に配置された電気配線層の設計自由度が増大できる、といった利点がある。例えば、(1)では、電気配線層102を後加工で作成する場合、前記半導体チップの特性を劣化させないために、温度、材料、処理雰囲気などが制限されることがある。また、(2)では、電気配線層102の層数、配線の引きまわしなどにより、電気配線層102に対して要求仕様を満足するような設計が困難となることがある。一方、第2のインターポーザ131を用いる場合には、半導体モジュールの組立工数が増大する欠点があるものの、設計自由度、プロセス自由度が大幅に増大するため、利点が多い。
【0091】
図13では、1個の第3の半導体チップ90の上方に、1個の第5の半導体チップ135を搭載した構成を例示したが、これに限らない。例えば、(1)インターポーザ(61)に少なくとも1個以上の半導体チップ(90)を搭載する構成、(2)当該半導体チップの中で指定された1個以上の半導体チップに、少なくとも1個以上の前記「第2のインターポーザ」を搭載する構成、(3)当該「第2のインターポーザ」の中で指定された1個以上の前記「第2のインターポーザ」に、少なくとも1個以上の「第5の半導体チップあるいは第5の半導体デバイスあるいは第5の電子部品」などを搭載した構成、などがある。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、(1)許容電流値が大きい端子構成などにより、少ない端子数でも「安定な電源供給」が可能な半導体チップあるいは半導体デバイスが実現でき、(2)高速動作においても、大電流が流れる配線から入出力信号へ混入する雑音を低減でき、(3)ピン数を低減して、接続信頼性を確保することが可能であり、(4)ピン数低減により実装時の面積を低減でき、さらには、(5)前記半導体チップで発生した熱を効果的に放熱できるようになる。
このため、情報処理分野(例えば、CPUやGPUを含む応用システム)へ本発明を適用すると効果が大きい。また、本発明による半導体チップを半導体モジュールへ適用することにより、個々の応用システムに適合した機能を有する独自の半導体モジュールを容易に実現することができる。このため、情報処理機器、車載用機器、携帯型機器などの応用システムに適用すると、これらの機器の軽量小型化などへ大きく貢献できる。
【符号の説明】
【0093】
10、40 半導体デバイス
11 パッケージ
12、20、30、50、62、90、100、135 半導体チップ
13 入力信号系の端子群
14 入力信号電流が流入する端子群(第1の端子群)
15 出力信号系の端子群
16 出力信号電流が流出する端子群(第1の端子群)
17 電源電流が流入する端子群(第3の端子群)
18 電源電流が流出する端子群(第4の端子群)
21、72 半導体基板
22 第1主面
23、26a、26b、104、105 配線層
24、31a、31b、31c、31d、53、54、76a、76b 貫通配線
25 第2主面
27 絶縁層
28a、28b、29a、29b、137 開口
41、63、81a、81b、86、91a、91b、126、136 導電性のボール
51、52 導電層
60、110、120、130 半導体モジュール
61、131 インターポーザ
64、112、138 ボンディングワイヤ
73、74、77a、77b、78a、78b、79a、79b、80a、80b、102 電気配線層
75a、75b 貫通配線の領域
85、125、135 半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品
101 チップ要素
111 端子群
【技術分野】
【0001】
本発明は、多ピンあるいは大電力の半導体デバイスの構成法に関するものである。また、この半導体デバイスを搭載した半導体モジュールの構成法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの技術進歩は大きく、工業用機器、民生用機器など広範囲に渡って利用されてきている。その結果、半導体デバイスを搭載した機器、システムの小型化、軽量化、低価格化、高機能化などに大きく寄与するに至っている。一方、半導体デバイスへの要求はとどまることがなく、一層の高集積化、高速化、高度化が期待されると共に、半導体デバイスの小型化も期待されている。これらの要求に応えると、半導体デバイスの多ピン化や大電力化が誘起される。また、半導体デバイスの大電力化や高速化が進むと、電源供給路などの適切な設計が必須となる。例えば、電源供給路が不安定であると、回路動作が不安定になり、また、入出力信号に雑音が重畳されやすくなり、誤動作の原因となる。かかる電源供給路の設計では、電源供給端子や接地端子を、多数のピンに並列的に割り当てて、電源供給路を安定化させる手法が多用されている。この設計手法は効果的であるが、反面、一層の多ピン化を推し進めることになる。この結果、半導体デバイスと外部回路との接続点が増大し、接続信頼性が低下することも指摘されている。さらに、半導体デバイスを応用システムに搭載する際の実装面積も大きく成らざるを得ないという欠点も指摘されている。
【0003】
多ピンで大電力、かつ高速動作の半導体デバイスでは、
(1)電源供給路となる半導体デバイスの「端子」の割り当てと、配置の仕方、
(2)入出力信号へ雑音が混入し、誤動作をなくすこと、
(3)ピン数を少なくして、接続信頼性の確保と実装面積の低減、
(4)チップ温度の上昇を低減する放熱構造、
などが重要な項目となる。特に(1)が重要である。
現状技術の一例を以下に挙げる。
(a)図14はIntel製CPU(Pentium4)のピン配列表〔下記引用非特許文献1の図9(39ページ)と図10〜11(42〜43ページ)〕である。全775ピンの端子のうち、415ピン(全ピン数の約55%に相当)が電流流入端子(VCC)と電流流出端子(VSS)(接地端子であり、流入した電源電流の戻り端子となっている)に割り当てられている。同図では、VCCの端子を灰色で、VSSの端子を斜線の塗りつぶしで表記してある。
(b)HPC(スーパーコンピュータ)向けCPUでは、8000ピンの端子のうち、約6000ピンが電源と接地に割り当てられている。CPUでは、電源から流入する電流値が100アンペア(瞬時値)にも達するので、単一の端子では容量不足となる。このため、複数の端子を並列的に利用して大容量化を図っているが、それ以上に、「安定な電源供給」のために多くの端子を電源系(電流流入端子と電流流出端子)に割り当てざるを得ないのが現状である。
【0004】
図15は、下記引用非特許文献1の図4(33ページ)に掲載されているPentium4の構造を示す図である。同図(a)は半導体デバイス部分、同図(b)はソケット部分である。同図(a)に示すように、当該半導体デバイスは、半導体チップ(Coreと表示)、コンデンサを搭載した基板(Substrateと表示)、半導体チップでの発熱を放熱するキャップ(IHS、Integrated Heat Speader)、当該半導体チップと当該キャップ間に挿入され熱伝導率を高めるための熱伝導材(TIM、Thermal Interface Material)などから構成されている。当該半導体チップは回路面を下側にして、当該基板にフリップチップ接続されている。かかる構成では、当該半導体チップとの電気的接続は、全て、前記回路面(図では下側の面)で行われている。すなわち、電源電流の流入、電源電流の流出、入出力信号の流入、入出力信号の流出は当該半導体チップの片面で行われている。かかる構成では、単一の平面を介して全ての電流(電源と入出力信号)が出入りすることになり、電源供給路や信号伝送路のパターン設計やレイアウトが複雑となる。この結果、特に電源供給のためのピン数(端子数)を数多く割り当て、配置せざるを得ない状況になっている。なお、最新鋭のCPU(Intel Core i7)でも同様なデバイス構成となっている。
【0005】
さらに、図15の構成では、前記半導体チップで発生する発熱(電子回路が配置されている面で発生する)を、当該半導体チップの厚さ方向に熱エネルギを流し、前記熱伝導材を介して、前記キャップ面から放熱している。半導体チップの熱伝導率は金属などよりも低い(銅の約40%)ので、上記した放熱路による当該半導体チップの冷却効果は十分でないと言える。
【0006】
また、電源供給路には大電流が流れるので、この電流が発生する電磁界が入出力信号路に跳び込むと、当該入出力信号路を流れる信号に雑音が重畳されることになる。かかる雑音は、前記半導体デバイスの誤動作を誘起することがあり、特に高速化された動作では大きな問題となる。かかる雑音の重畳を阻止するため、図15の構成では、電源系の端子群と入出力系の端子群とを分けて配置し、相互の電磁干渉が起こりにくくしている。かかる配置を実現するためには、前記半導体チップや前記基板のパターン設計を複雑にしている。
【0007】
少ないピン数でも「安定な電源供給」が可能となれば、半導体デバイスのピン数も低減され、さらには、前記基板の面積も低減できる。さらに、当該半導体デバイスを応用システムなどへ組込む場合にも、電気的接続点が少なくなり、接続信頼性の向上も図れ、かつ、高密度実装が可能となる。かかる理由により、多ピンで大電力、かつ高速動作の半導体デバイスでは、「安定な電源供給」を達成し、入出力信号への雑音重畳を阻止し、接続のためのピン数(端子数)を低減できる半導体デバイスの構成、および、関連する実装技術の開発が強く望まれている。
【0008】
一般に、半導体デバイスは、半導体チップとパッケージから構成されている。このため、前段落までに記載した従来の半導体デバイスでの現状に対応するためには、前記半導体チップと前記パッケージの両者を検討対象とする必要がある。すなわち、従来の半導体デバイスの上記現状を打破するためには、半導体デバイスに搭載されている半導体チップの改良を第一とすることになる。また、改良された半導体チップが実現されたならば、当該半導体チップを搭載する半導体デバイス、さらには、当該半導体チップを搭載する半導体モジュールも改良されることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】データシート Document Number:310308−002、「Intel Pentium4 Processor 6X1 Sequence」Intel社、2007年1月版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在多用されているCPU〔演算処理用のIC〕やGPU〔画像処理用のIC〕などの、多ピンで大電力、かつ高速動作の半導体デバイスでは、「安定な電源供給」を可能とするため、多くのピン数(端子数)を電源系に割り当てている。このため、許容電流値が大きい端子構成などにより、少ない端子数でも「安定な電源供給」が可能な半導体デバイスの開発が課題であった。
【0011】
高速動作では、大電流が流れる配線からの入出力信号への雑音の混入は、誤動作を引き起こすため、かかる雑音の混入を可能な限り小さくすることが課題であった。
【0012】
半導体デバイスの集積度を増大させると、ピン数も大きくなる傾向がある。さらに、前記したように、大電力に伴い電源系に割かれるピン数も大きくなる。このため、ピン数を低減して、接続信頼性を確保すると同時に、応用システムへ前記半導体デバイスを搭載する際の実装面積を低減させることも課題であった。
【0013】
特に大電力の半導体デバイスでは放熱の機構が重要である。前記したように、シリコン半導体の熱伝導率は金属と比較して小さいため、より効率的な放熱構成を達成することも課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、電子回路が集積化された半導体チップの前記電子回路が配置された第1主面に、(1)前記半導体チップへ入力信号が流入する端子及び前記半導体チップから出力信号が流出する端子を含む第1の端子群と、(2)前記半導体チップから入力信号が流出する端子及び前記半導体チップへ出力信号が流入する端子を含む第2の端子群とを配置し、前記半導体チップの第1主面の裏面である第2主面に、(3)前記半導体チップへ電源電流が流入する端子を含む第3の端子群と、(4)前記半導体チップから電源電流が流出する端子を含む第4の端子群とを配置する。
【0015】
本明細書では、関連する用語を下記のように分類している。
半導体チップ:
拡散プロセスで作成されたウェーハからスクライブにより切り出されたチップ。当該チップには少なくとも1個の半導体素子(トランジスタ、ダイオードなどの総称)、より一般的には電子回路を構成する複数個の半導体素子が配置されている。当該チップの電子回路が配列されている第1主面には、当該チップを外部回路へ電気的接続するための「端子」が配置されている。当該電気的接続がワイヤボンディング接続である場合には、当該「端子」は、酸化膜に開口が設けられ金属(アルミであることが多い)が露出している。当該電気的接続が、表面実装工法に対応したボールグリッド接続である場合には、当該「端子」には導電性のボール(ハンダであることが多い)が設けられている。また、一般には、当該半導体チップの前記第2主面や側面は「剥き出し」の状態で保護膜層が配置されていない。なお、後記する「チップサイズパッケージ(CSP)」は、その名の通り、チップと同じ(あるいはほぼ同じ)大きさで、外観上は「半導体チップ」と同等に見える。しかしながら、耐環境性を確保するために「パッケージされている」ので、本明細書では、半導体チップとは称さない。
半導体デバイス:
前記半導体チップをパッケージに封入した構成である。パッケージされているので耐環境性に優れている。パッケージには多種ある。これらの分類にも多種多様であるが、その一例を以下に記載する。
(1)パッケージ材料での分類: プラスチック系とセラミック系などの硬質材料で半導体チップを覆う形状が主流である。テープ状のプラスチックフィルムに半導体チップを搭載したTCP(あるいはTAB)もある。また、最近では、半導体デバイスの小型化を指向して、半導体チップの裏面に樹脂などの板(インターポーザ)を配置し、この板の裏面側に端子を配置した、いわゆるチップサイズパッケージも実用化されている。
(2)実装法による分類: 電気的接続の端子が棒状でプリント基板などの穴に端子を挿入して半田で固定する挿入実装型と、端子が板状あるいはボール状でプリント基板表面の導電箔に半田で固定する表面実装型とがある。
(3)端子の形状と方向による分類: パッケージの1方向あるいは2方向に、棒状あるいは板状のリードが配列されている形状(DIPが代表例)、パッケージの4方向に板状のリードが配列されている形状(QFPが代表例)、ボール状の端子がパッケージの裏面にマトリクス状(格子状)に配列されている形状(BGAが代表例)などがある。
半導体モジュール: 少なくとも1個以上の半導体チップあるいは半導体デバイスと、電子部品(抵抗、キャパシタなどの個別部品を含む)などを組み合わせて、1つの「部品」とした構成である。モジュールの構成要素、規模、外観などは多岐にわたってる。一般的には、前記した半導体チップや半導体デバイスは半導体メーカが生産するのに対して、半導体モジュールは半導体メーカ以外にも部品メーカあるいは装置メーカなどが生産する。搭載される応用システムに固有な構成であり、汎用の半導体デバイスや電子部品などを用いて固有な機能を発揮させることが多い。
電子部品:
受動素子とも称されている部品で、抵抗、キャパシタ、インダクタ(コイル)などがある。単一の素子(個別部品)を複数個組み合わせた構成(例えば、モジュール抵抗)もある。
【0016】
本明細書では、前記半導体チップの端子を下記のように分類している。
電源電流が流入する端子:
半導体チップを駆動する直流電源に接続され、大電流が流入する端子である。VDD、VCCなどと表記されることが多い。
電源電流が流出する端子:
「電源電流が流入する端子」へ流入した電流が流出する端子であり、直流電源へ接続される。VSS、GNDなどと表記されることが多い。
入力信号が流入する端子:
クロック、データ、制御などの信号が入力する端子である。
入力信号が流出する端子:
「入力信号が流入する端子」へ流入した信号電流が流出する端子である。
出力信号が流出する端子:
バス、ステータスなどの信号が出力される端子である。
出力信号が流入する端子:
「出力信号が流出する端子」から流出した信号電流が戻り電流として流入する端子である。
上記した「入力信号が流出する端子」と「出力信号が流入する端子」とは、GND〔本段落では「GND2」とする〕と表記されることが多い。また、これらの「入力信号が流出する端子」と「出力信号が流入する端子」では、いずれも流れる電流が小さいので、共通化して端子数を少なくすることも行われる。「電源電流が流出する端子」でもGND〔本段落では「GND1」とする〕と表記される場合があるが、GND2とGND1とでは流れる電流値が大きく異なっている。このため、当該半導体チップをパッケージに封入して半導体デバイスを構成する場合や、当該パッケージを介して外部回路へ接続する場合には、GND2とGND1とは別配線として、信号系を電源系から回路的に分離して、干渉を避けることが必要である。また、入出力信号用の端子としては、「トライステート」と呼ばれる回路形式が採用されていることもある。かかる「トライステート」とは、制御手段により、(1)信号入力用の端子として機能、(2)信号出力用の端子として機能、(3)出力インピーダンスを高インピーダンスに設定して接続される回路系から絶縁する機能、をそれぞれ切換えることができる手法である。かかる「トライステート」では、時刻により「入力信号が流入する端子」になったり、「出力信号が流出する端子」になる。本明細書では、かかる「トライステート」の端子は、便宜上、上記した「入力信号が流入する端子」と同等であると見做している。また、当該「トライステート」端子と対になる端子(前記GND2に相当)は、便宜上、上記した「入力信号が流出する端子」と同等であると見做している。
【0017】
上記段落に記載した構成では、前記半導体チップの片面(電子回路が形成されている前記第1主面)に入力信号や出力信号が接続され、当該半導体チップの反対の面(前記第2主面)に電源供給用の配線が接続されている。すなわち、従来の半導体チップでは、前記第1主面に、前記入力信号、前記出力信号、および、前記電源供給用の配線が全て接続されていた。一方、本発明では、前記半導体チップの表裏の両面を使い分け、一方の面(例えば前記第1主面)には少電流が流れる入出力信号系(電流が戻る前記GND2も含めて)を配置し、反対の面(例えば前記第2主面)には大電流が流れる電源系(電流が戻る前記GND1も含めて)を配置していることが特徴である。
【0018】
前記半導体チップの表裏の両面を使い分けるため、前記第1主面に配置された電子回路と、前記第2主面に配置された前記第3の端子群あるいは前記第4の端子群とを電気的接続するために、前記半導体チップの厚さ方向に貫通する配線(TSV〔スルー・シリコン・ビア〕や貫通電極とも称される)が必須となる。
【0019】
前段落に記載した「貫通する配線」には、大電流が流れるので、許容電流値が大きくなるような構成をとることが必要である。例えば、「貫通する配線」の断面積を大きくしたり、複数の「貫通する配線」を配置してこれらを並列的に電気的接続したり、当該「貫通する配線」の材料を低抵抗率の材料で構成することが挙げられる。特に、銅などの低抵抗率の材料で構成する場合には、熱伝導率も大きくなり、前記半導体チップの第1主面側に配置された電子回路で発生した熱を、第2主面側へ効率良く放熱させる効果も発生する。また、当該第2主面側に配置された前記第3の端子群あるいは第4の端子群を構成する端子の面積を大きくすることにより、前記放熱の効果が一層増大する。
【0020】
(1)前記第3の端子群を構成する、少なくとも1個の前記端子を前記第2主面側に配置された第1の導電層に接続し、(2)前記第4の端子群を構成する、少なくとも1個の前記端子を前記第2主面側に配置された第2の導電層に接続し、(3)前記第1の導電層と前記第2の導電層とでキャパシタを構成する。
【0021】
「電源電流が流入する端子」と「電源電流が流出する端子」との間には、電源電圧の変動を吸収する大容量のキャパシタと、高速に変化する電源電流に起因するスイッチング雑音などの雑音を吸収する小容量のキャパシタを並列して接続することが多い。かかる接続ではキャパシタの体積が大きいので、特に大容量のキャパシタは、当該半導体チップが搭載された半導体デバイスの外側(例えば、半導体デバイスが実装されたプリント基板など)に配置されることが多い。一方、当該「小容量のキャパシタ」は可能な限り前記半導体チップに近く配置することが、雑音低減の観点から好ましい。前段落に記載した構成は、前記第2主面側に少なくとも2層の導電層を配置し、当該導電層を構成する1組の導電層を対向電極として、前記小容量のキャパシタを構成している。
【0022】
前段落に記載した「少なくとも2層の導電層」は、前記第2主面の表面に、(1)絶縁層を形成、(2)パターニングされた金属などからなる第1の導電層を形成、(2)当該第1の導電層の表面に絶縁層を形成、(3)パターニングされた金属などからなる第2の導電層を形成、といったプロセスで形成される。また、前記プロセスを繰り返すことにより、3層以上の導電層も形成できる。当該「第1の導電層」と当該「第2の導電層」とが前記キャパシタを構成するためには、これらの2つの導電層が「空間的に重なっている」ことが必要である。さらに、当該「第1の導電層」は「電源電流が流入する端子」群を構成する指定された端子と接続され、当該「第2の導電層」は「電源が流出する端子」群を構成する指定された端子と接続されている。かかる構成により、当該「電源電流が流入する端子」と当該「電源電流が流出する端子」との間に、前記小容量のキャパシタが電気的に配置されることになる。
【0023】
前段落には、前記小容量のキャパシタが前記「第1の導電層」と前記「第2の導電層」で構成されていることが記載されている。しかしながら、当該小容量のキャパシタの構成はこれに限らない。例えば、前記した導電層を3層を超える層数で構成し、奇数番目の導電層を共通化して前記「第1の導電層」とし、偶数番目の導電層を共通化して前記「第2の導電層」とするような構成がある。かかる構成によれば、前記小容量のキャパシタの静電容量値を容易に増大できることになる。
【0024】
前記した小容量のキャパシタの数は1個に限らない。前記半導体チップの前記第2主面表面で、複数個の当該キャパシタを配置し、複数の前記「電源電流が流入する端子」と複数の前記「電源電流が流出する端子」とから指定された1組の端子セットを選択して、それぞれの端子セット毎に当該キャパシタを配置することが一例である。
【0025】
前記半導体チップの前記第1主面に、少なくとも1層から成る電気配線層を配置し、前記第1の端子群と前記第2の端子群を前記電気配線層へ電気的接続する。
【0026】
高集積化された半導体チップでは、当該チップの前記第1主面の指定された領域(例えば、当該チップの周辺領域)に、入出力信号が接続される多くの端子が配置されている。前記半導体チップを応用システムに適用する場合には、当該応用システム固有の仕様で、前記端子の接続状態を「再配線」することも要求される。例えば、接続のための端子数を少なくするためのアドレス固定(外部から制御できるアドレス端子を削除する)、チップセレクト固定(常にチップが選択された状態とする)などである。他の例としては、ワイヤボンディング接続を前提として製造された半導体チップ(端子群はチップ周辺の4片に配置)を、表面実装が可能なボールグリッド接続用に変換(新たな端子群はチップ全面に渡って2次元配列される)することが挙げられる。かかる「再配線」は、完成された半導体チップ(あるいはウェーハ状態のまま)の入手後に、ユーザサイドで実施することが多い。前段落に記載した構成では、前記半導体チップの前記第1主面に、少なくとも1層から成る電気配線層を配置し、「入力信号が流入する端子」と「出力信号が流出する端子」(いずれも前記第1の端子群に対応)や、「入力信号が流出する端子」と「出力信号が流入する端子」(いずれも前記第2の端子群に対応)などを再配線している。かかる再配線により、応用システム固有の仕様(電気的な仕様と機械的な仕様である)を満足させる構成を実現することが可能となる。
【0027】
前段落に記載した構成をさらに発展させ、前記電気配線層の表面に、別の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品を搭載することも可能である。かかる構成では、前記電気配線層は、前記半導体チップと、前記した「別の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」との電気的接続手段を構成することになる。
【0028】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールを、(1)前記インターポーザ上に、前記半導体チップを含む、少なくとも1個の半導体チップを搭載し、(2)前記半導体チップの前記第1主面を前記インターポーザ側に面して配置し、(3)前記第1の端子群と前記第2の端子群とを、ボールグリッドアレイを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続し、(4)前記第3の端子群と前記第4の端子群とを、ワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続して、構成する。
【0029】
前記インターポーザを構成する素材は、シリコンなどの半導体あるいは樹脂などである。前段落に記載した構成では、当該インターポーザ上に前記半導体チップを搭載し、入出力系の信号は当該半導体チップの下側(前記第1主面である)からボールグリッドなどの接続手段で当該インターポーザに接続され、電源系の配線は当該半導体チップの上側(前記第2主面である)からボンディングワイヤなどの接続手段で当該インターポーザに接続されている。当該ボンディングワイヤを用いる場合には、製造技術上、当該インターポーザの表面側(前記半導体チップが搭載されている側)に、ボンディングワイヤの一端が接続されることになる。当該ボンディングワイヤには電源供給用の大電流が流れるので、太い(例えば100マイクロメータ以上)線を使用することが好ましい。あるいは、2本を越える本数のボンディングワイヤを並列的に配置しても良い。さらに、実装密度の増大を指向するならば、前記半導体モジュールはボールグリッドアレイ(BGA)などの接続手段を有し、当該半導体モジュールが搭載されるプリント基板などへ面実装されることが好ましいが、この限りではない。上記した構成では、電源供給用の大電流は、(1)前記プリント基板、(2)当該半導体モジュールのボールグリッド(前記インターポーザの下側の面に配置)、(3)前記インターポーザに設けられた貫通配線、(4)前記した太いボンディングワイヤ(あるいは複数本のボンディングワイヤ)、(5)前記半導体チップの前記第3の端子群(戻り電流に対しては前記第4の端子群)を構成する端子、(6)前記半導体チップの前記第2主面と前記第1主面とを接続する貫通配線、(7)前記半導体チップに作りこまれた電子回路、の順で流れることになる。これらの電流路は大電流が流れても、電圧降下や電圧変動が発生しないよう、許容電流値が大きく、かつ、そのインピーダンスが小さいように設定されている必要がある。
【0030】
前段落に記載した電源供給用の大電流は、前記(3)の貫通配線を通過している。このため、当該貫通配線の断面積を大きくしたり、複数の貫通配線を並列的に使用するなどして、当該貫通配線の許容電流値を大きくすることが必要となる。また、当該貫通配線の材料を銅などの低抵抗率材料とすることも効果がある。さらに、銅などを使用したときには、熱伝導率も大きいため、前記半導体チップの第1主面側に配置された電子回路で発生する熱を、前記インターポーザの厚さ方向に逃がし、当該インターポーザの下側の面に配置されたボールグリッドを介して、前記プリント基板側へ放熱させることができる。すなわち、前記半導体モジュールの放熱を効果的に行うことが可能となる。
【0031】
上記した構成では、入出力信号系での電流は、(1)前記プリント基板、(2)当該半導体モジュールのボールグリッド(前記インターポーザの下側の面に配置)、(3)前記インターポーザに設けられた貫通配線、(4)前記半導体チップの前記第1の端子群(あるいは前記第2の端子群)を構成する端子、(5)前記半導体チップに作りこまれた電子回路、の順で流れることになる。入出力信号系では流れる電流の値は小さいので、許容電流値を大きくする必要性は格別にはない。例えば、前記(3)での貫通配線の直径を10マイクロメータ以下にしても構わない。設計で考慮すべき事項の一例は、許容電流値ではなく、前記第1の端子群あるいは前記第2の端子群を、より高密度に配列することである。
【0032】
前記半導体モジュールに搭載される半導体チップは1個とは限らない。例えば、前記インターポーザに、演算処理系の半導体チップと1個以上の記憶系の半導体チップを搭載した形態、演算処理系の半導体チップとアナログデジタル変換系の半導体チップとセンサ系の半導体チップを搭載した形態など、多くの搭載形態がある。
【0033】
(1)前記第1主面側が前記インターポーザ側に面して配置された前記半導体チップである第1の半導体チップの前記第2主面側に、第2の半導体チップあるいは第2の半導体デバイスあるいは第2の電子部品を搭載し、(2)前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品を、前記第1の半導体チップへ電気的接続する。
【0034】
従来は、論理回路系の電源電圧として5Vが標準的に採用されてきたが、高集積化、高速化に伴い、電源消費や発熱を抑制するため、電源電圧の低電圧化が推進されている。例えば、CPUなどでは3.3V化から1.5V化が進み、モバイル機器では一層の低電圧化(例えば1.3V化)が進んでいる。しかしながら、電源電圧の低電圧化では、信号振幅も小さくなり、外部からの雑音混入に対して耐性が低くなる。このため、機器間の接続では、5Vへの要求も高い。前記半導体モジュールでも、高速演算処理を行う回路系には例えば1.5Vの電源電圧を使用し、周辺回路系やインターフェイス回路系には3.3Vあるいは5Vを使用することも多い。このため、接続端子数の低減という観点から、半導体モジュールへの供給電源は1種類(例えば3.3V)とし、当該半導体モジュール内部で他の電圧(例えば1.5V)に変換することが好ましい。前段落はかかる状況に対して記載されており、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスは、3.3Vから1.5Vへ変換する電源回路などを構成している。しかしながら、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品は前記電源回路を構成しているとは限らない。
【0035】
前々段落に記載した構成において、前記半導体チップの第2主面には、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスの他に、半導体チップや半導体デバイス、さらには、トランジスタなどの個別部品やキャパシタなどの電子部品などを配置しても構わない。特に、電源系の半導体チップなどを搭載する形態においては、電圧安定化のためのキャパシタを配置することは好ましい例である。
【0036】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールを、(1)前記インターポーザ上に、前記半導体チップを含む、少なくとも1個の半導体チップを搭載し、(2)前記半導体チップの前記第2主面側を前記インターポーザ側に面して配置し、(3)前記第3の端子群と前記第4の端子群とを、ボールグリッドアレイを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続し、(4)前記第1の端子群と前記第2の端子群とをワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続して、構成する。
【0037】
前記半導体モジュールへ流入する電源電流が大きい場合には、当該電源電流の供給路を可能な限り短くして、不要な電磁放射や電源電圧の降下を防ぐことが好ましい。前段落に記載した構成では、前記半導体チップの第3の端子群あるいは第4の端子群を、前記インターポーザに対向して配置し、ボールグリッドなどを介して電源電流を供給している。かかる構成では、ボンディングワイヤを使用していないので、より短い配線が可能となっている。また、入出力信号系(前記第1の端子群と前記第2の端子群)はワイヤボンディングなどの接続手段で、前記インターポーザと接続されている。このため、ボンディングワイヤの本数が多くなるが、自動ボンディング機などを使用することにより製造技術面からは格別に大きな課題とはならない。
【0038】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールを、(1)前記第2主面側が前記インターポーザ側に面して配置された前記半導体チップである第3の半導体チップの前記第1主面側に、第4の半導体チップあるいは第4の半導体デバイスあるいは第4の電子部品を搭載し、(2)前記第4の半導体チップあるいは前記第4の半導体デバイスあるいは前記第4の電子部品を、前記第3の半導体チップに電気的接続して、構成する。
【0039】
前記第4の半導体チップあるいは第4の半導体デバイスあるいは第4の電子部品と、前記第3の半導体チップとの電気的接続に際しては、前記第3の半導体チップの前記第1主面に、前記した「再配線層」を配置して、当該電気的接続の容易性を確保することが望ましい。特に、前記半導体チップが汎用的な製品として設計されている場合には、当該第3の半導体チップの電気的接続端子の配列と、前記第4の半導体チップあるいは第4の半導体デバイスの電気的接続端子の配列とが、必ずしも対応しているとは限らない。例えば、当該電気的接続端子の配列ピッチなどは、異なっていることが多い。このため、前記再配線層を的確に設計することにより、当該再配線層が前記した配列ピッチの差異を「吸収」して、接続の容易性を確保することが可能となる。かかる再配線層は、周知の手法で形成することが可能であり、一般的には、2層以上の電気配線層から構成されている。
【0040】
前々段落に記載した構成では、前記第3の半導体チップの前記第1主面には、1個の「第3の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」が搭載されていることが示されている。しかしながら、2個以上の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品が搭載されていても構わない。例えば、ラインドライバ、マルチプレクサ、インターフェイス(例えば、無線送受信回路など)、アナログデジタル変換器、演算増幅器、温度センサなどのセンサ、電源回路(例えば、電圧昇圧回路などで、大容量とは限らない)など、あるいは、これらの組合せがある。また、電源電圧安定化や雑音吸収のためのキャパシタ、昇圧回路や無線回路でのインダクタ、温度検出用のサーミスタなどを搭載しても構わない。
【0041】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールを、(1)前記第3の半導体チップの前記第2主面側を前記インターポーザ側に面して配置し、(2)前記第3の半導体チップの前記第1主面側に第2のインターポーザを配置し、(3)前記第2のインターポーザを前記第3の半導体チップと電気的接続し、(4)前記第2のインターポーザ上に第5の半導体チップあるいは第5の半導体デバイスあるいは第5の電子部品を配置し、(5)前記第5の半導体チップあるいは前記第5の半導体デバイスあるいは前記第5の電子部品を前記第2のインターポーザと電気的接続し、(6)前記第2のインターポーザをワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続して、構成する。
【0042】
前段落に記載した構成の半導体モジュールは、(下側から順に)インターポーザ、(第3の)半導体チップ、第2のインターポーザ、第5の半導体チップ(あるいは半導体デバイスあるいは電子部品)で構成されている。当該第2のインターポーザは、前記半導体チップと、前記第5の半導体チップあるいは第5の半導体デバイスあるいは第5の電子部品との電気的接続に際して、当該電気的接続の容易性を確保するために、配置されている。かかる状況は、前記した「再配線層」と同じ機能である。前記した半導体チップの前記第1主面に再配線層を形成することが困難な場合(例えば、当該再配線層の電気配線層数では、十分に再配線しきれないなど)には、当該再配線層の代替として、前記第2のインターポーザを配置することが有効である。当該第2のインターポーザは、樹脂基板を加工したインターポーザや、シリコン基板などを加工した半導体インターポーザなどであって良い。これらのインターポーザは周知の手法で作成することが可能である。
【0043】
前々段落に記載した構成では、前記半導体チップに対して、1個の「第2のインターポーザ」と1個の「第5の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」が配置されているが、これに限らない。例えば、(1)前記半導体チップに対して、1個の「第2のインターポーザ」の表面に2個を超える数の「第5の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」を配置した構成、(2)前記半導体チップに対して、2個を超える数の「第2のインターポーザ」を配置し、それぞれの表面に各1個の「第5の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」を配置した構成、(3)、前記半導体チップに対して、2個を超える数の「第2のインターポーザ」を配置し、それぞれの表面には、2個を超える数の「第5の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品」を配置した構成、などがある。
【発明の効果】
【0044】
本発明により、(1)許容電流値が大きい端子構成などにより、少ない端子数でも「安定な電源供給」が可能な半導体チップあるいは半導体デバイスが実現でき、(2)高速動作時に課題となっていた電源系の配線から入出力信号系の配線への混入雑音を低減でき、(3)ピン数の低減により接続信頼性が確保でき、(4)前記半導体チップあるいは半導体デバイスを実装する時の面積を低減でき、さらには、(5)前記半導体チップで発生した熱を効果的に放熱できるようになる。
【0045】
半導体チップに配置された端子群を、使用目的に合わせて、当該半導体チップの第1主面と第2主面に分割して配置することにより、前段落に記載した効果が得られた。具体的に例示すると、
第1主面:入力信号が流入する端子群、出力信号が流出する端子群、入力信号が流出する端子群、出力信号が流入する端子群
第2主面:電源電流が流入する端子群、電源電流が流出する端子群
という配置である。
【0046】
前段落において、第2主面に配置された電源が流入する端子群と電源電流が流出する端子群との間にキャパシタを配置し、高周波成分を有する過渡的な雑音(スイッチング雑音)を当該キャパシタで吸収させることができる。
【0047】
半導体チップの第1主面に電気配線層を配置し、当該半導体チップの端子群を電気的接続することにより、再配線が可能となる。
【0048】
半導体チップの第1主面側に配置された入出力系の端子群をボールグリッドアレイでインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群を太いボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続して構成した半導体モジュールが実現できる。
【0049】
半導体チップの第1主面側に配置された入出力系の端子群をボールグリッドアレイでインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群を太いボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続し、さらに、当該第2主面に第2の半導体チップ(例えば電源電圧を変換する半導体チップ)を配置した半導体モジュールが実現できる。
【0050】
半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群をボールグリッドアレイ状でインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第1主面側に配置された入出力系の端子群をボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続して構成した半導体モジュールが実現できる。
【0051】
半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群をボールグリッドアレイでインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第1主面側に配置された電気配線層を介して入出力系の端子群をボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続し、さらに、当該第1主面側に配置された電気配線層に第3の半導体チップ(例えばペリフェラルIC)を配置した半導体モジュールが実現できる。
【0052】
半導体チップの第2主面側に配置された電源系の端子群をボールグリッドアレイでインターポーザへ電気的接続し、当該半導体チップの第1主面側に配置された第2のインターポーザに第4の半導体チップ(例えばペリフェラルIC)を搭載し、当該半導体チップの第1主面側に配置された入出力系の端子群および当該第2のインターポーザを、ボンディングワイヤで当該インターポーザへ電気的接続した半導体モジュールが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】半導体デバイスの内部結線を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の半導体チップの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例2の半導体チップの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例3の半導体デバイス(チップサイズパッケージ形態を持つ)の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例4の半導体チップ(キャパシタを内蔵)の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例5の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例5に使用されているインターポーザの構成を説明する図である。
【図8】本発明の実施例6の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例7の半導体チップの構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例8の半導体チップの構成を示す図である。
【図11】本発明の実施例9の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図12】本発明の実施例10の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図13】本発明の実施例11の半導体モジュールの構成を示す図である。
【図14】従来のCPUのピン配列表である。
【図15】従来のCPUの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例に係る半導体チップと半導体デバイス、および、それを搭載した半導体モジュールを詳細に説明する。
【0055】
図1は半導体デバイスの内部結線を示す図である。図1において、10はパッケージ11に搭載された半導体デバイス、12は半導体チップである。半導体チップ12は、ボンディングワイヤなどによりパッケージ11の端子に電気的接続されている。
図1において、13は入力信号系の端子群であり、入力信号電流が流入する端子14(Iで表記)と流出する端子(GNDで表記)とから構成されている。矢印はそれぞれの電流の流れる方向を示している。15は出力信号系の端子群であり、出力電流が流出する端子16(Oで表記)と流入する端子(GNDで表記)とから構成されている。入力信号系では、流れる電流が比較的小さいので、複数の電流流入端子に対して、1個の電流流出端子を共通的に使用している。出力信号系でも同様な状況である。さらには、端子群13と15に含まれるGNDは前記パッケージの端子(gndとして表記)で共通化されることもある。17は電源電流が流入する端子(VDDで表記)、18は電源電流が流出する端子(VSSで表記)であり、それぞれ、前記パッケージの対応する端子群(vddとvssで表記)と接続されている。なお、図中の矢印は電流の流れる方向を示している。
端子17と18は、パッケージ11の一つの端子と、半導体チップ12の複数の端子とが接続されているように構成されている。かかる構成は、半導体チップ12の端子の配列ピッチは小さいため当該端子の数も大きく設定することが可能であるのに対して、パッケージ11の端子の配列ピッチは大きいため当該端子の数が少ないことを反映している。すなわち、半導体チップ12に配列されている前記端子の全てに対応して、パッケージ11の端子を配列する(端子数が増え、パッケージが大きくなり、さらには、半導体デバイスも大きくなってしまう)ことが困難である場合には、図1に例示したような配線手法が適用される。また、一般には、半導体チップ12のVSSで表記された端子と、gndで表記された端子は、共に、半導体チップ12を構成する半導体基板と同一であることも多い。本明細書では、半導体チップ12への流入する電流と、半導体チップ12から流出する電流が重要な構成要因となるため、便宜上、個別の表記を行っている。
【0056】
本明細書においては、図1に示した構成で、14の入力信号電流が流入する端子群(図では「I」として表記)と、16の出力信号電流が流出する端子群(図では「O」として表記)を「第1の端子群」としている。また、14の端子へ流入した当該入力信号電流が流出する端子と、16の端子から流出した当該出力電流が流入する端子(図では共に「gnd」として表記)を「第2の端子群」としている。さらに、17を「第3の端子群」、18を「第4の端子群」と名付けている。
図1では、半導体チップの全ての端子群が、当該半導体チップの1つの面内に配置されている。一方、本発明による半導体チップでは、大電流が流れる端子群(「第3の端子群」と「第4の端子群」)を当該半導体チップの1つの面内に配置し、入出力信号系の端子群(「第1の端子群」と「第2の端子群」)を当該半導体チップの他の面内に配置することに特徴がある。
【実施例1】
【0057】
図2は、本発明の実施例1に係る半導体チップ20の構成を示す図である。
図2(a)において、21は半導体基板であり、図の下側が第1主面22である。当該第1主面22には電子回路(図示せず)が集積化されており、表面は2層の配線層が配置されている。かかる「2層の配線層」は一例に過ぎず、より多層の配線層であっても構わない。当該半導体基板には、基板を貫通して、前記2層の配線層を構成する指定された配線層23に接続されている貫通配線(貫通電極とも称される)24が設けられている。貫通配線24は、前記半導体基板の第2主面25に配置された配線層26aと26bに接続されている。同図では、配線層26aと26bが各1個配置されている事例が示されているが、それぞれの個数はこれに限らず、2個以上の数であっても構わない。なお、貫通配線24と配線層26aと26bは、前記半導体基板とから絶縁膜などを介して電気的に絶縁されている。配線層26aと26bは絶縁層27で覆われており、当該絶縁層27の指定された領域は開口28aと28bを形成している。これらの開口は、半導体チップ20から、パッケージあるいは外部回路へ電気的接続する際の、例えば、ボンディングパッドとして利用される。すなわち、開口28aの領域が前記した「第3の端子群」に、開口28bの領域が前記した「第4の端子群」にそれぞれ対応している。さらに、前記2層の配線層には、開口29aと29bが設けられている。これらの開口は、半導体チップ20から、パッケージあるいは外部回路へ電気的接続する際の、例えば、ボールグリッドアレイのボールが配置される領域となる。すなわち、開口29aの領域が前記した「第1の端子群」に、開口29bが前記した「第2の端子群」にそれぞれ対応している。
【0058】
図2に示した構成では、配線層26aと26bには、「必ず」開口28aと28bとが配置されているかのように描かれているが、この限りではない。例えば、開口28a(あるいは28b)を有しない配線層26a(あるいは26b)が配置されていて、電気配線機能のみを有していても良い。
【0059】
図2(a)に示した実施例においては、前記電子回路を構成している「入出力信号系」は開口29aと29bを介して、また、「電源回路系」は開口28aと28bを介して、前記パッケージあるいは外部回路と接続される。より具体的に記載するならば、
開口28a(「第3の端子群」):半導体チップへ電源電流が流入する端子、
開口28b(「第4の端子群」):半導体チップから電源電流が流出する端子、
開口29a(「第1の端子群」):半導体チップへ入力信号が流入する端子、あるいは、半導体チップから出力信号が流出する端子、
開口29b(「第2の端子群」):半導体チップへ入力信号が流出する端子、あるいは、半導体チップへ出力信号が流入する端子、となっている。
なお、かかる状況は、前記した電子回路からの配線を適宜設計することにより実現される。
【0060】
図2(a)では、貫通配線24の厚さが薄く、絶縁層27が当該貫通配線領域まで入り込んでいる事例が示されている。一方、同図(b)では、貫通配線24の厚さが十分に厚く、絶縁層27は第2主面25の上面にのみ局在する事例が示されている。貫通配線24は、開口28a、28bを介して、大電流である電源電流の流入と流出の電流路となるので、電圧降下などが発生しないよう、電流路のインピーダンスは低い(例えば、貫通配線24の厚さを大きく、あるいは、貫通配線24が占める領域を大きくする)ことが必要となる。かかる観点からは、図2(a)よりも図2(b)の方が好ましい事例であると言える。さらに、貫通配線24の材料を低抵抗率の材料とすることにより、前記電流路のインピーダンスの一層の低減に効果がある。また、銅などの低抵抗率の材料では、熱伝導率も大きいので、第1主面22側に配置された電子回路(図示せず)で発生した熱を、第2主面25側へ放熱させる効果も大きい。
【0061】
実施例1の半導体チップ20では、第1主面22に、第1の端子群と第2の端子群が配置されており、入力信号が流入する端子あるいは出力信号が流出する端子を前記第1の端子群とし、入力信号が流出する端子あるいは出力信号が流入する端子を前記第2の端子群としている。また、第2主面25には、第3の端子群と第4の端子群が配置され、電源電流が流入する端子を前記第3の端子群とし、電源電流が流出する端子を前記第4の端子群としている。一方、前記した電子回路は第1主面22に配置されているので、当該電子回路の配線の一部は、第1主面22から第2主面25へ配線を延ばすことが必須となり、かかる電気的接続は貫通配線24で実現されている。
【0062】
実施例1の構成により、大電流が流れる端子群(電流路でもある)と、入出力信号が流れる端子群とを、半導体チップ20の表裏に分散配置させることができた。大電流が流れる端子群と貫通配線24の構成を最適化(例えば、インピーダンスを可能な限り小さくするなど)することにより、前記端子群を構成する端子数を少なくしても、電源系統に起因する障害(例えば、電源電圧の降下や変動)を回避し、さらには、放熱効果を増大させることができる。
【実施例2】
【0063】
図3は、本発明の実施例2に係る半導体チップ30の構成を示す図である。図3では、図2と同一番号は同一構成要素を示している。
図3(a)において、31aと31bは貫通配線であり、配線層26aに接続されている。31cと31dは貫通配線であり、配線層26bに接続されている。図3(a)では、前記電子回路を構成し、前記2層の配線層を構成する指定された配線層23の複数個所に、前記貫通配線(31aなど)が配置され、共通の配線層26aあるいは26bに接続されている。すなわち、半導体チップを構成する電子回路には、同電位である複数の前記配線層(23)が含まれているので、これらを配線層26aや26bなどで共通化することにより、当該半導体チップの端子数を実質的に低減できる。かかる状況は、図14に示した従来例のように、多数の電源電流流入端子(あるいは電源電流流出端子)を有する半導体チップの場合には、特に有効となる。
【0064】
図3(b)は、同図(a)の半導体チップを第2主面側から見た平面図である。同図において、図3(a)と同一番号は同一構成要素を示している。
図3(b)では、配線層26aと26bとが、当該半導体チップの第2主面のほぼ全面にわたって形成されている事例が示されている。かかる構成においては、当該第1主面側の電子回路で発熱した熱が、前記貫通配線(31a、31b、31c、31d)を介して、前記配線層へ導かれ、当該配線層の広い面積から放熱されることになる。また、当該配線層を、銅などの高熱伝導率の材料で形成し、さらに、当該配線層の厚さを大きくすることにより、一層の放熱効果が実現できる。
【0065】
さらに、図3の実施例2では、電子回路が形成されたウェーハ(あるいはチップ)を入手し、当該ウェーハ(あるいはチップ)を後加工することにより、図3の構成を実現することが可能である。一般に、半導体プロセスラインから得られるウェーハには、全ての端子群が前記第1主面側に配置されているチップが含まれている。当該ウェーハに、貫通配線を施すことにより、図3の構成が実現できるので、「汎用仕様」のチップを、当該チップが搭載される応用システムに合わせた「個別仕様」にチップに作りかえることができる。かかる利点により、「汎用仕様」のチップをそのまま実装した場合の「端子数」を大幅に低減できることになる。さらには、端子数の低減は、実装に必要な面積の低減をも可能とする。
【実施例3】
【0066】
図4は、図2に示した半導体チップ20を搭載した、本発明の実施例3に係る半導体デバイスの構成を示す図である。図4において、図2と同一番号は同一構成要素を示している。図4において、40は半導体デバイス、41は開口29a、29bに配置され、ボールグリッドアレイ(BGA)を構成する導電性のボールである。当該ボールはハンダ(望むらくは鉛フリーハンダ)などの金属材料で構成されている。また、同図では、「半導体デバイス」の構成例として、「BGAチップサイズパッケージ」と称されるデバイスを示している。図4の半導体デバイスは、図2の「半導体チップ」と構造が類似している。しかし、図2の半導体チップは、ウェーハから切り出された状態であり、耐環境性を高めるための保護膜層などが設けられていないのに対し、図4の半導体デバイスでは、半導体チップの表面(第1主面と第2主面)や側面(チップへスクライブした時の側壁)に保護膜(ただし、図示していない)が設けられている点が、異なっている。なお、図4に例示した「半導体デバイス」は「チップサイズパッケージ」とも称され、製品として流通する形状になっている。
【0067】
実施例3においても、入出力系の信号が流れる前記「第1の端子群」と「第2の端子群」は前記半導体チップの第1主面側に配置され、大電流が流れる前記「第3の端子群」と「第4の端子群」が前記半導体チップの第2主面側に配置されている。
【実施例4】
【0068】
図5は、本発明の実施例4に係る半導体チップを示している。図5において、図2と同一番号は同一構成要素を示している。また、図5(a)では、開口28a(第3の端子群を構成)と開口28b(第4の端子群を構成)は、それぞれ、1個の場合が示されているが、この限りではない。50は改良された半導体チップ、51は第1の導電層、52は第2の導電層である。半導体チップ51は前記第2主面に配置され、かつ、前記「第3の端子群を構成する少なくとも1個の端子」(28aに相当)および貫通配線53に電気的接続されている。第2の導電層52は前記第2主面側に配置され、かつ、前記「第4の端子群を構成する少なくとも1個の端子」(28bに相当)および貫通配線54に電気的接続されている。さらに、第1の導電層51と第2の導電層52とは、絶縁層27を介して対向配置されている。かかる構造では、導電層51と52が対向電極、絶縁層27が誘電体となるキャパシタを構成している。
【0069】
「電源電流が流入する端子(例えば、前記28a)」と「電源電流が流出する端子(例えば、前記28b)」との間には、電源電圧の変動を吸収する大容量のキャパシタと、高速に変化する電源電流に起因するスイッチング雑音などの雑音を吸収する小容量のキャパシタを並列して接続することが多い。当該大容量のキャパシタを前記半導体チップの表面に配置することは不可能であり、一般的には、前記半導体チップが搭載された半導体デバイスあるいは半導体モジュールの端子周辺に配置される。一方、当該「小容量のキャパシタ」は可能な限り前記半導体チップに近く配置することが、雑音低減の観点から好ましい。本実施例では、前記半導体チップを構成している第2主面側の配線層(図5の51と52に対応)を利用して、当該「小容量のキャパシタ」を構成している。このために、配線層51と52とは、絶縁層27を介して、対向配置されている。なお、当該「小容量のキャパシタ」の静電容量は、配線層51と52が空間的に重なっている面積に比例し、配線層51と52の間の距離(絶縁層27で決定される)に逆比例し、絶縁層27の誘電率に比例して決定される。
【0070】
図5(a)に示した構成では、前記「小容量のキャパシタ」が1個の場合が例示されているが、これに限らない。前記半導体チップの前記第2主面側に2個を超える数の前記「小容量のキャパシタ」が配置されていても良い。また、前記「小容量のキャパシタ」は2個の対向電極(51と52)のみで構成されているが、これに限らない。例えば、図5(b)に例示した構成のように、複数層から成る配線層を形成し、奇数番目の配線層を共通化して前記「第1の導電層」とし、偶数番目の配線層を共通化して前記「第2の導電層」とするような構成でも構わない。
【実施例5】
【0071】
図6は、前記した半導体チップを搭載した、本発明の実施例5に係る半導体モジュールを示している。同図において、図2と同一番号は同一構成要素を示している。図6において、60は半導体モジュール、61はインターポーザ、62は半導体チップ(図2参照)である。当該インターポーザ61の構成を図7に示し、その詳細を以下の段落に記載する。
【0072】
図7(a)において、インターポーザ61は樹脂材料あるいは半導体材料などから作成される。樹脂材料のインターポーザ61は、プリント配線基板技術をベースとしており、安価である反面、表面に配置できる電気配線層のパターン密度などに限界がある。例えば、数マイクロメータ以下の当該電気配線層パターンの形成は困難である。一方、半導体材料のインターポーザ61では、高度に発展しつつある半導体集積回路の製造技術が利用できるため、前記電気配線層のパターン密度を大幅に増大できる利点がある。本発明に記載された「インターポーザ」は、樹脂材料あるいは半導体材料のいずれで構成されていても構わない。さらには、樹脂材料と半導体材料を組合せた構成であっても構わない。かかる例としては、半導体基板の表裏面(第1主面と第2主面)に半導体技術で作成された電気配線層を設け、さらに、当該電気配線層の表面に「樹脂材料」で多層プリント基板を作成するかのように樹脂層で電気配線層を積層することがある。
【0073】
図7(a)では、半導体基板から形成されたインターポーザ61が例として示されている。図において、72はシリコンなどから成る半導体基板、73と74はそれぞれ当該半導体基板の表面と裏面に配置された電気配線層である。当該電気配線層は、それぞれ「2層」であり、各々の層の間には層間配線が施されている場合が示されているが、この限りではない。75a、75bは、当該半導体基板の表裏の電気配線層を相互に接続する貫通配線の領域である。当該領域の部分拡大図を図7(b)と(c)に示す。
図7(b)において、77aと78aは、インターポーザ61の裏面(図面上では下側の面)に配置された2層の電気配線層であり、インターポーザ61の厚さ方向で層間配線が施されている。79aと80aは、インターポーザ61の表面(図面上では上側の面)に配置された2層の電気配線層であり、インターポーザ61の厚さ方向で層間配線が施されている。76aは、電気配線層79aと77aとを電気的接続している貫通配線であり、大電流を流せるように、その断面積を大きくしているが、これに限らない。電流が流れる線路の許容電流値を大きくするための他の手法としては、「複数個の細い貫通配線を密接して配置し、電気的に当該複数個の貫通配線を並列接続する」ものがある。かかる手法を採用しても構わない。
図7(b)では、前記電気配線層の層間配線(77aと78a、あるいは、79aと80aを接続する配線)を複数個(図では各4個が例示)配列して、当該層間配線での許容電流値を大きくしている。また、層間配線80aは、後記するように、インターポーザ61に搭載される半導体チップ(図6での62)との電気的接続するための端子となる。当該端子は、前記した「第3の端子群」あるいは「第4の端子群」と、ボンディングワイヤなどで接続されることになる。一方、層間配線78aは、インターポーザ61を外部回路(図示せず)へ接続するための端子であり、導電性のボール81aが配置されている場合が示されている。すなわち、層間配線78aを、図6に対応して記載すると、前記「半導体モジュール」を外部回路へ接続するための端子となる。本段落に記載した構成により、インターポーザ61の電気配線層80aから電気配線層78aに至る電流路の許容電流値を大きく設定することができる。
【0074】
図7(c)において、77bと78bは、インターポーザ61の裏面(図面上では下側の面)に配置された2層の電気配線層であり、インターポーザ61の厚さ方向で層間配線が施されている。79bと80bは、インターポーザ61の表面(図面上では上側の面)に配置された2層の電気配線層であり、インターポーザ61の厚さ方向で層間配線が施されている。76bは、電気配線層79bと電気配線層77bとを電気的接続している貫通配線である。図7(c)の場合には、大電流を流す必要がない(入出力信号系の接続に使用するためである)ので、その断面積を特に大きくする必要はない。貫通配線76bの大きさの一例としては、5から20マイクロメータ径である。さらに、図7(c)では、前記電気配線層の層間配線(77bと78b、あるいは、79bと80bを接続する配線)も特に大きくする必要はない。当該層間配線の大きさの一例としては、5から20マイクロメータ径である。また、電気配線層80bは、後記するように、インターポーザ61に搭載される半導体チップ(図6での62)との電気的接続するための端子となる。当該端子は、前記した「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」と、導電性のボールなどで接続されることになる。一方、電気配線層78bは、インターポーザ61を外部回路(図示せず)へ接続するための端子であり、導電性のボール81bが配置されている場合が示されている。すなわち、電気配線層78bを、図6に対応して記載すると、前記「半導体モジュール」を外部回路へ接続するための端子となる。
【0075】
次に、図7に示したインターポーザ61に半導体チップを搭載した半導体モジュール60(実施例5)について、その構成をさらに説明する。
【0076】
図6では、インターポーザ61上に1個の半導体チップ62が搭載されている例が示されているが、搭載される半導体チップ62の数は2個以上であっても良い。半導体チップ62は、第1主面がインターポーザ61側に向くように配置されており、その第1主面側に配置された「第1の端子群」と「第2の端子群」は、導電性のボール63であって、インターポーザ61へ電気的接続されている。また、半導体チップ62の第2主面側に配置された「第3の端子群」と「第4の端子群」は、ボンディングワイヤ64などの接続手段でインターポーザ61へ電気的接続されている。ボンディングワイヤ64には電源供給用の大電流が流れるので、ボンディングワイヤ64の線径は太いことが要求される。なお、図6では、1本の太い線径のボンディングワイヤ64が例示されているが、細い線径のボンディングワイヤ64を複数本並列的に配置して、許容電流値を大きくしても良い。前記電源供給用の大電流の流路は、外部回路(図示せず)→81a→78a→77a→76a→79a→80a→64の経路を通って、半導体チップ62へ流入(および逆の流路を通って当該チップから流出)することになる。一方、入出力信号は、外部回路(図示せず)→81b→78b→77b→76b→79b→80b→63の経路を通って、半導体チップ62へ流入(および逆の流路を通って当該チップから流出)することになる。
【実施例6】
【0077】
図8は、本発明の実施例6に係る半導体モジュールの構成を示す図である。図8において、図6と同一番号は同一構成要素を示している。
図8において、インターポーザ61には半導体チップ62が搭載され、半導体チップ62の上には第2の半導体チップ85が搭載されている。第2の半導体チップ85は、導電性のボール86を介して、半導体チップ62と電気的接続されている。第2の半導体チップ85は、例えば、電源ICなどであり、ボンディングワイヤ64を介して供給された電源電圧を降圧(例えば、3.3Vから1.5Vへ)して、半導体チップ62へ電源供給する機能を有している。
第2の半導体チップ85は、半導体チップに限らず、パッケージされた半導体デバイス、あるいは、抵抗、キャパシタ、コイルなどの電子部品であっても構わない。特に、当該半導体デバイスがボールグリッドアレイの表面実装型デバイスである場合には、同図に示したような導電性のボールで電気的接続することが可能である。
図8の構成では、半導体チップ62の第2主面側に、電源供給用の「第3の端子群」と「第4の端子群」、さらには、前記第2の半導体チップ(あるいは第2の半導体デバイス)から構成される「電源系統」を配置している。図8の構成では、前記第2の半導体チップが1個である場合が示されているが、2個以上の、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品が搭載されていても構わない。
【0078】
図8では、前記半導体チップ(62)が1個である場合が示されているが、当該個数は1個とは限らない。前記インターポーザ61の上に、2個以上の半導体チップが搭載される構成であっても構わない。また、2個以上の半導体チップが搭載されているような構成では、選択された1個以上の半導体チップ、あるいは、全ての半導体チップの上に、前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品を配置しても構わない。
【実施例7】
【0079】
図9は、本発明の実施例7に係る半導体チップの構成を示す図である。同図において、図2と同一番号は同一構成要素を示しているが、半導体チップは図の上下が逆転して示されている。図9において、90は半導体チップ、91aと91bは、それぞれ、開口28aと28bに配置された導電性のボールである。
実施例7においては、半導体チップ90の第2主面側に配置された「第3の端子群」(例えば28a)と「第4の端子群」(例えば28b)へ、導電性のボール(91aと91b)を介して電源供給のための大電流が流れるように構成されている。また、半導体チップ90の第1主面側に配置された「第1の端子群」(例えば29a)と「第2の端子群」(例えば29b)へは、ボンディングワイヤなど(図示せず)を介して、入出力系の信号電流が流れるように構成されている。
【0080】
図9に示した構成では、大電流が流れる流路は、貫通配線24→配線層26a(あるいは26b)→導電性のボール91a(あるいは91b)となる。このため、図2から図4に示した構成と比較して、当該流路を短くできる(ボンディングワイヤよりも短く配線できる)利点がある。
【実施例8】
【0081】
図10は、本発明の実施例8に係る半導体チップの構成を示す図である。同図において図9と同一番号は同一構成要素を示している。
図10において、100は改良された半導体チップであり、101で示したチップ要素と、102で示した電気配線層とから構成されている。なお、チップ要素101は、図9に記載した構成と同一である。電気配線層102は、チップ要素101の表面(前記した半導体チップの第1主面である)に配置されており、配線層104と、配線層104の上側に積層配置された配線層105から構成されている。さらに、配線層104と105とは、同図の縦方向で電気的接続されている(層間配線である)。また、配線層104は、前記した「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」を構成している開口(例えば29a)と電気的接続されている。すなわち、配線層102は、配線層101に配置された「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」を、再配線していることになる。かかる再配線は、当該改良された半導体チップを応用する時に、個々の応用分野毎に、入出力信号に係る配線を最適化することを可能としている。この結果、例えば、「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」の数を低減することが可能となる。なお、図10では、当該電気配線層が2層配線である場合が示されているが、これに限らない。
【0082】
図10に示した実施例8は、図9に記載した半導体チップ90について、(1)半導体チップ90の第1主面に少なくとも1層から成る電気配線層を配置し、(2)前記第1の端子群と前記第2の端子群を前記電気配線層へ電気的接続することにより、実現されている。
【実施例9】
【0083】
図11は、本発明の実施例9に係る半導体モジュールの構成を示す図である。当該半導体モジュールは、図7に記載したインターポーザに、図9あるいは図10に記載した半導体チップを搭載した構成となっている。なお、同図では、図9に記載した半導体チップが示されている。また、同図では、前記インターポーザに搭載された半導体チップは1個である場合が示されているが、2個以上の半導体チップが搭載されていても構わない。図11において、図7および図9と同一番号は同一構成要素を示している。
図11において、110は半導体モジュールであり、前記したインターポーザ61(図7)と、前記した半導体チップ90(図9)とから構成されている。半導体チップ90は、その第2主面がインターポーザ61と向き合うように配置されている。当該第2主面に配置されている「第3の端子群」あるいは「第4の端子群」(例えば111)は、導電性のボール91aで、インターポーザ61を構成している電気配線層80aに接続されている。半導体チップ90とインターポーザ61の電気的接続手段としては、導電性のボールによるボールグリッドアレイに限られることはない。
半導体チップ61の第1主面に配置されている「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」(例えば29a)は、ボンディングワイヤ112などの接続手段により、電気配線層80bに接続されている。ボンディングワイヤ112には入出力信号系の電流のみが流れるので、必ずしも大電流用の太いボンディングワイヤを使用することはない。直径が、50〜200マイクロメータのボンディングワイヤの使用が可能である。半導体モジュール110は、(1)インターポーザ61と半導体チップ90を構成要素とし、(2)インターポーザ61上には、半導体チップ90を含む、少なくとも1個以上の半導体チップが搭載され、(3)半導体チップ90の第2主面がインターポーザ61側に配置され、(4)前記第3の端子群と前記第4の端子群とが、ボールグリッドアレイを含む接続手段でインターポーザ61に電気的接続され、(5)前記第1の端子群と前記第2の端子群とがワイヤボンディングを含む接続手段でインターポーザ61に電気的接続されている。
【0084】
実施例9では、半導体チップ90の下側(インターポーザ61に向き合っている側であり、第2主面でもある)に大電流が流れる電源供給用の電流路を形成し、導電性のボールなどを介して、インターポーザ61と電気的接続している。当該電流路は、81a→78a→76a(太い貫通配線)→80a→91a→111→26a→24となる。一方、半導体チップ90の上側(インターポーザ61から離れて配置されている側であり、第1主面でもある)には、小電流が流れる入出力信号系の電流路を形成し、ボンディングワイヤなどを介して、インターポーザ61と電気的接続している。当該電流路は、81b→78b→76b(細い貫通配線)→80b→112→29aとなる。
【実施例10】
【0085】
図12は、本発明の実施例10に係る半導体モジュールの構成を示す図である。当該半導体モジュールは、図7に記載したインターポーザに、図10に記載した半導体チップ(「第3の半導体チップ」である)を搭載し、さらに、当該半導体チップの表面(図では上側の表面)に第4の半導体チップを搭載した構成となっている。同図では、前記インターポーザに搭載された前記第3の半導体チップは1個である場合が示されているが、2個以上の半導体チップが搭載されていても構わない。同図において、図7および図10と同一番号は同一構成要素を示している。
図12において、120は半導体モジュールであり、前記したインターポーザ61(図7)61と、前記した第3の半導体チップ100(図10)を構成要素として含んでいる。半導体チップ100は、その第2主面がインターポーザ61と向き合うように配置されている。第2主面に配置されている「第3の端子群」あるいは「第4の端子群」(例えば111)は、導電性のボール91aで、インターポーザ61を構成している電気配線層80aに接続されている。半導体チップ100とインターポーザ61の電気的接続手段としては、導電性のボールによるボールグリッドアレイに限られることはない。
【0086】
半導体チップ100の上側表面(前記第1主面側である)には、配線層104と105から成る電気配線層102が配置されている。電気配線層102には、第4の半導体チップ125が搭載され、導電性のボール126を介して電気的接続されている。すなわち、実施例8(図10)で記載したように、半導体チップ100の第1主面に配置された「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」は、電気配線層102により再配線され、第4の半導体チップ125と電気的接続されていることになる。この結果、例えば、「第1の端子群」あるいは「第2の端子群」の数を低減することが可能となる。なお、図12では、電気配線層102が2層配線である場合が示されているが、これに限らない。
【0087】
図12では、「第4の半導体チップ」が搭載されている事例を示したが、半導体チップ以外にも「第4の半導体デバイスあるいは第4の電子部品」などを搭載しても構わない。さらに、当該「第4の半導体デバイス」が、ボールグリッドアレイの表面実装型である場合には、前記電気配線層102との電気的接続を導電性のボールで行うことができるため、より好ましい事例となる。
【0088】
図12に示した実施例10では、第3の半導体チップ100の第1主面には、1個の「第4の半導体チップ125(あるいは半導体デバイスあるいは電子部品)」が搭載されていることが示されている。しかしながら、2個以上の半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品が搭載されていても構わない。例えば、ラインドライバ、マルチプレクサ、インターフェイス(例えば、無線送受信回路など)などの周辺回路IC(ペリフェラルIC)、アナログデジタル変換器、演算増幅器、温度センサなどのセンサ、電源回路(例えば、電圧昇圧回路などで、大容量とは限らない)など、あるいは、これらの組合せがある。また、電源電圧安定化や雑音吸収のためのキャパシタ、昇圧回路や無線回路でのインダクタ、温度検出用のサーミスタなどを搭載しても構わない。
【実施例11】
【0089】
図13は、本発明の実施例11に係る半導体モジュールの構成を示す図である。当該半導体モジュールは、図7に記載したインターポーザ61に、図9に記載した半導体チップ90を搭載し、さらに、半導体チップ90の表面に、第2のインターポーザを介して第5の半導体チップを搭載した構成となっている。同図において、図7および図9と同一番号は同一構成要素を示している。
図13において、131は第2のインターポーザであり、半導体チップ90(これは第3の半導体チップである)と電気的接続されている。135は「第5の半導体チップ」であり、導電性のボール136などにより、第2のインターポーザ131に電気的接続されている。第2のインターポーザ131の開口137からは、ボンディングワイヤ138が設けられ、インターポーザ61へ電気的接続されている。かかる構成では、図12に示した半導体チップ100の電気配線層(図12の102)の代替として、第2のインターポーザ131を配置している。第2のインターポーザ131の構成材料は、樹脂材料あるいはシリコンなどの半導体材料、あるいは、これらを組み合わせた材料であっても構わない。
【0090】
図13の実施例11では、前記電気配線層の代替として第2のインターポーザ131を用いている。かかる構成によれば、前記電気配線層と比較して、第3の半導体チップ90とは別プロセスで作成できるので、(1)半導体チップ90の後加工で要求される制限事項が回避できる、(2)第2のインターポーザ131の表裏面に配置された電気配線層の設計自由度が増大できる、といった利点がある。例えば、(1)では、電気配線層102を後加工で作成する場合、前記半導体チップの特性を劣化させないために、温度、材料、処理雰囲気などが制限されることがある。また、(2)では、電気配線層102の層数、配線の引きまわしなどにより、電気配線層102に対して要求仕様を満足するような設計が困難となることがある。一方、第2のインターポーザ131を用いる場合には、半導体モジュールの組立工数が増大する欠点があるものの、設計自由度、プロセス自由度が大幅に増大するため、利点が多い。
【0091】
図13では、1個の第3の半導体チップ90の上方に、1個の第5の半導体チップ135を搭載した構成を例示したが、これに限らない。例えば、(1)インターポーザ(61)に少なくとも1個以上の半導体チップ(90)を搭載する構成、(2)当該半導体チップの中で指定された1個以上の半導体チップに、少なくとも1個以上の前記「第2のインターポーザ」を搭載する構成、(3)当該「第2のインターポーザ」の中で指定された1個以上の前記「第2のインターポーザ」に、少なくとも1個以上の「第5の半導体チップあるいは第5の半導体デバイスあるいは第5の電子部品」などを搭載した構成、などがある。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、(1)許容電流値が大きい端子構成などにより、少ない端子数でも「安定な電源供給」が可能な半導体チップあるいは半導体デバイスが実現でき、(2)高速動作においても、大電流が流れる配線から入出力信号へ混入する雑音を低減でき、(3)ピン数を低減して、接続信頼性を確保することが可能であり、(4)ピン数低減により実装時の面積を低減でき、さらには、(5)前記半導体チップで発生した熱を効果的に放熱できるようになる。
このため、情報処理分野(例えば、CPUやGPUを含む応用システム)へ本発明を適用すると効果が大きい。また、本発明による半導体チップを半導体モジュールへ適用することにより、個々の応用システムに適合した機能を有する独自の半導体モジュールを容易に実現することができる。このため、情報処理機器、車載用機器、携帯型機器などの応用システムに適用すると、これらの機器の軽量小型化などへ大きく貢献できる。
【符号の説明】
【0093】
10、40 半導体デバイス
11 パッケージ
12、20、30、50、62、90、100、135 半導体チップ
13 入力信号系の端子群
14 入力信号電流が流入する端子群(第1の端子群)
15 出力信号系の端子群
16 出力信号電流が流出する端子群(第1の端子群)
17 電源電流が流入する端子群(第3の端子群)
18 電源電流が流出する端子群(第4の端子群)
21、72 半導体基板
22 第1主面
23、26a、26b、104、105 配線層
24、31a、31b、31c、31d、53、54、76a、76b 貫通配線
25 第2主面
27 絶縁層
28a、28b、29a、29b、137 開口
41、63、81a、81b、86、91a、91b、126、136 導電性のボール
51、52 導電層
60、110、120、130 半導体モジュール
61、131 インターポーザ
64、112、138 ボンディングワイヤ
73、74、77a、77b、78a、78b、79a、79b、80a、80b、102 電気配線層
75a、75b 貫通配線の領域
85、125、135 半導体チップあるいは半導体デバイスあるいは電子部品
101 チップ要素
111 端子群
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路が集積化された半導体チップであって、
前記半導体チップの前記電子回路が配置された第1主面には、
前記半導体チップへ入力信号が流入する端子及び前記半導体チップから出力信号が流出する端子を含む第1の端子群と、
前記半導体チップから入力信号が流出する端子及び前記半導体チップへ出力信号が流入する端子を含む第2の端子群とが配置され、
前記半導体チップの第1主面の裏面である第2主面には、
前記半導体チップへ電源電流が流入する端子を含む第3の端子群と、
前記半導体チップから電源電流が流出する端子を含む第4の端子群とが配置されている
ことを特徴とする半導体チップ。
【請求項2】
前記第3の端子群を構成する、少なくとも1個の前記端子を前記第2主面側に配置された第1の導電層に接続し、
前記第4の端子群を構成する、少なくとも1個の前記端子を前記第2主面側に配置された第2の導電層に接続し、
前記第1の導電層と前記第2の導電層とがキャパシタを構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記半導体チップの前記第1主面に、少なくとも1層から成る電気配線層を配置し、
前記第1の端子群と前記第2の端子群が前記電気配線層へ電気的接続されている
ことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の半導体チップ。
【請求項4】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールであって、
前記インターポーザ上には、前記半導体チップを含む、少なくとも1個の半導体チップが搭載され、
前記半導体チップの前記第1主面が前記インターポーザ側に面して配置され、
前記第1の端子群と前記第2の端子群とが、ボールグリッドアレイを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続され、
前記第3の端子群と前記第4の端子群とが、ワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続されている
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項5】
前記第1主面側が前記インターポーザ側に面して配置された前記半導体チップである第1の半導体チップの前記第2主面側には、第2の半導体チップあるいは第2の半導体デバイスあるいは第2の電子部品が搭載され、
前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品は、前記第1の半導体チップと電気的接続される
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールであって、
前記インターポーザ上には、前記半導体チップを含む、少なくとも1個の半導体チップが搭載され、
前記半導体チップの前記第2主面側が前記インターポーザ側に面して配置され、
前記第3の端子群と前記第4の端子群とが、ボールグリッドアレイを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続され、
前記第1の端子群と前記第2の端子群とがワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続される
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項7】
前記第2主面側が前記インターポーザ側に面して配置された前記半導体チップである第3の半導体チップの前記第1主面側には、第4の半導体チップあるいは第4の半導体デバイスあるいは第4の電子部品が搭載され、
前記第4の半導体チップあるいは前記第4の半導体デバイスあるいは前記第4の電子部品は、前記第3の半導体チップと電気的接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記第3の半導体チップの前記第2主面側が前記インターポーザ側に面して配置され、
前記第3の半導体チップの前記第1主面側に第2のインターポーザを配置し、
前記第2のインターポーザは前記第3の半導体チップと電気的接続され、
前記第2のインターポーザ上に第5の半導体チップあるいは第5の半導体デバイスあるいは第5の電子部品を配置し、
前記第5の半導体チップあるいは前記第5の半導体デバイスあるいは前記第5の電子部品は前記第2のインターポーザと電気的接続され、
前記第2のインターポーザはワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体モジュール。
【請求項1】
電子回路が集積化された半導体チップであって、
前記半導体チップの前記電子回路が配置された第1主面には、
前記半導体チップへ入力信号が流入する端子及び前記半導体チップから出力信号が流出する端子を含む第1の端子群と、
前記半導体チップから入力信号が流出する端子及び前記半導体チップへ出力信号が流入する端子を含む第2の端子群とが配置され、
前記半導体チップの第1主面の裏面である第2主面には、
前記半導体チップへ電源電流が流入する端子を含む第3の端子群と、
前記半導体チップから電源電流が流出する端子を含む第4の端子群とが配置されている
ことを特徴とする半導体チップ。
【請求項2】
前記第3の端子群を構成する、少なくとも1個の前記端子を前記第2主面側に配置された第1の導電層に接続し、
前記第4の端子群を構成する、少なくとも1個の前記端子を前記第2主面側に配置された第2の導電層に接続し、
前記第1の導電層と前記第2の導電層とがキャパシタを構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記半導体チップの前記第1主面に、少なくとも1層から成る電気配線層を配置し、
前記第1の端子群と前記第2の端子群が前記電気配線層へ電気的接続されている
ことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の半導体チップ。
【請求項4】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールであって、
前記インターポーザ上には、前記半導体チップを含む、少なくとも1個の半導体チップが搭載され、
前記半導体チップの前記第1主面が前記インターポーザ側に面して配置され、
前記第1の端子群と前記第2の端子群とが、ボールグリッドアレイを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続され、
前記第3の端子群と前記第4の端子群とが、ワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続されている
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項5】
前記第1主面側が前記インターポーザ側に面して配置された前記半導体チップである第1の半導体チップの前記第2主面側には、第2の半導体チップあるいは第2の半導体デバイスあるいは第2の電子部品が搭載され、
前記第2の半導体チップあるいは前記第2の半導体デバイスあるいは前記第2の電子部品は、前記第1の半導体チップと電気的接続される
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
インターポーザと前記半導体チップを構成要素とする半導体モジュールであって、
前記インターポーザ上には、前記半導体チップを含む、少なくとも1個の半導体チップが搭載され、
前記半導体チップの前記第2主面側が前記インターポーザ側に面して配置され、
前記第3の端子群と前記第4の端子群とが、ボールグリッドアレイを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続され、
前記第1の端子群と前記第2の端子群とがワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続される
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項7】
前記第2主面側が前記インターポーザ側に面して配置された前記半導体チップである第3の半導体チップの前記第1主面側には、第4の半導体チップあるいは第4の半導体デバイスあるいは第4の電子部品が搭載され、
前記第4の半導体チップあるいは前記第4の半導体デバイスあるいは前記第4の電子部品は、前記第3の半導体チップと電気的接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記第3の半導体チップの前記第2主面側が前記インターポーザ側に面して配置され、
前記第3の半導体チップの前記第1主面側に第2のインターポーザを配置し、
前記第2のインターポーザは前記第3の半導体チップと電気的接続され、
前記第2のインターポーザ上に第5の半導体チップあるいは第5の半導体デバイスあるいは第5の電子部品を配置し、
前記第5の半導体チップあるいは前記第5の半導体デバイスあるいは前記第5の電子部品は前記第2のインターポーザと電気的接続され、
前記第2のインターポーザはワイヤボンディングを含む接続方法で前記インターポーザに電気的接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体モジュール。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【公開番号】特開2012−9717(P2012−9717A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145712(P2010−145712)
【出願日】平成22年6月26日(2010.6.26)
【出願人】(503456832)株式会社ザイキューブ (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月26日(2010.6.26)
【出願人】(503456832)株式会社ザイキューブ (36)
【Fターム(参考)】
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