説明

半導体デバイスの実装方法

【課題】半導体デバイスを積層化した構造で、低背化が可能な手段を提供する。
【解決手段】半導体デバイス10の導電体12に複数の微小な金属塊13を形成、樹脂よりもヤング率が大きい半導体インターポーザ15の導電体17に複数の微小な金属塊18を形成しフリップチップ接続することで、導電体同士が微少な金属塊で接続されることになり低背化が達成された。また、積層化プロセスが容易になるように、前記金属塊の形状、大きさ、配置などを最適化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスを小型化、低背化して実装する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの技術進歩は大きく、工業用機器、民生用機器など広範囲に渡って利用されてきている。その結果、半導体デバイスを搭載した機器、システムの小型化、軽量化、低価格化、高機能化などに大きく寄与するに至っている。その代表例に携帯電話やデジタルカメラなどの携帯型機器がある。これらの機器では、搭載されるイメージセンサの多画素化や小型化が進み、動画再生機能やテレビ受信機能なども高度化されている。また、利用できる周波数帯域の限界を克服するために、多周波数での通信機能、例えば、コグニティブ通信といった将来技術も注目されている。これらの機能拡大のためには、機器内の限られた空間内に多くの半導体デバイスを実装することが必須となっている。半導体デバイス自身も微細化、高集積化が進み、機器の小型化、低消費電力化に寄与している。しかしながら、半導体デバイスを狭い空間内に実装する方法も重要であり、3次元積層構造などの高密度実装技術への期待が大きい。
【0003】
半導体デバイスを高密度に実装する場合、占有面積の低減と、低背化(占有体積の低減)がキーとなっている。特に低背化は、機器の薄型化に寄与することができ、携帯型機器で要求されている「軽薄短小」のニーズに応えることができる。このため、半導体デバイスを低背化して実装する技術の開発が強く望まれてきた。
【0004】
このような課題を解決するために、下記引用非特許文献1では、パッケージングされた半導体デバイスを上下に積層する構造が示されている。この構成によれば、半導体デバイスの低背化や小型化が可能となる。
【0005】
図19は、下記引用非特許文献1の図1に掲載されている積層構造を示す図である。同図では、電気接続のための端子がマトリクス状に配列された表面実装型の半導体デバイスが2個積層されている場合が示されている。かかる半導体デバイスは、前記端子がマトリクス状に配列された樹脂インターポーザ上に半導体チップがボンディングワイヤで電気接続されている場合が多い。同図(a)では、上側と下側の半導体デバイスが共に、ワイヤボンディング技術で作成された場合が示されている。一方、同図(b)では、上側の半導体デバイスがワイヤボンディング技術で、下側の半導体デバイスがフリップチップ技術で作成された場合が示されている。フリップチップ技術では、回路が作りこまれた半導体デバイスの表面を下にして(裏返して)、導電ボールを介して、樹脂インターポーザ上に電気接続されている。かかる構成では、ボンディングワイヤが不要となるので、低背化の一助となる。図19に示した構成では、上側の半導体デバイスは、当該半導体デバイスの下面中央部にマトリクス状の端子が配列されていない限り、市販されている表面実装型の半導体デバイスをそのまま利用することができる大きな利点がある。
【0006】
図19に示した構成での各部の大きさについて記載する。図19の1は樹脂製のインターポーザであり、その厚さの標準値は130マイクロメータ、最小値は100マイクロメータ程度である。また、下側に配置される半導体デバイスのインターポーザ2に関しては、厚さの最小値が260マイクロメータ程度と大きくなっている。図19の3はマトリクス状に配列された導電ボールであり、その大きさの標準値は300マイクロメータ、最小値は270マイクロメータ程度である。ただし、これらの値は、導電ボールの配列ピッチが650マイクロメータの場合であり、かつ、図19に示す構造体が完成した段階での値である。図19の4は、上記インターポーザ間の間隔で、半導体チップが1段と2段の場合では、それぞれの最小値は270マイクロメータと320マイクロメータである。なお、図19(b)に示したように、下側の半導体デバイスがフリップチップ技術で作成されている場合には、この値の最小値は230マイクロメータ程度に抑えることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】学会発表論文 C.Zwenger、et.al、「Next Generation Package−on−Package (PoP) Platform with Through Mold Via Interconnection Technology」、IMAPS Device Packaging Conference、 March 10−12、2009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、より一層の低背化を追求する場合には、図19に例示した構造では限界が生じている。この限界要因については以下に詳述する。
【0009】
図19の構成例での代表的な寸法値は上記した通りである。低背化を阻害する代表的な3つの要因を以下に記載する。
(1)樹脂インターポーザの厚さ:
上記したように厚さの最小値は、インターポーザが樹脂製のため、極度に薄くする
と機械的強度が維持できなくなることで決定されている。また、下側に配置される
半導体デバイスのインターポーザに関しては、インターポーザの反りや割れの影響
がでないように機械的強度を大きくするため、厚さの最小値が大きくなっている。
(2)上下段の半導体デバイスを接続する導電ボールの大きさ:
導電ボールの大きさは、個々の導電ボールの大きさのばらつき(コプラナリティに
対応)が有限のため、極度に小さい導電ボールを採用すると、接続できない端子が
発生することで制限されている。
(3)ワイヤボンディングのための高さ方向での空間:
ワイヤボンディング技術を採用する限り、ワイヤのための空間を確保することが須
である。他の電気接続技術、例えば、フリップチップ技術を採用することにより高
さ方向の空間を無くすことが必要となる。
【0010】
上記した低背化の阻害要因から、実装上の課題として、インターポーザの厚さを低減、導電ボールの大きさを低減、半導体チップの電気接続のための空間の低減が挙げられる。すなわち、一層の低背化を実現するためには、(1)インターポーザの厚さを小さくできる素材の採用とインターポーザの構造の開発、(2)導電ボールの大きさを小さくしても接続不良が発生しない工法の開発、(3)ワイヤボンディング技術を不要とし、半導体チップの電気接続のための空間を低減する工法の開発が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
電気接続のための端子がマトリクス状に配列された表面実装型の第1の半導体デバイスを、電気接続のための端子がマトリクス状に配列された表面実装型の第2の半導体デバイスあるいは配線基板の上に搭載する実装方法であって、(1)前記第1の半導体デバイスの第1主面に、該半導体デバイスを前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板へ電気接続するための、少なくとも2個から成る第1の導電体を設け、(2)前記第1の導電体のそれぞれに、少なくとも2個から成る第1の金属塊を設け、(3)前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板の第2主面に、該半導体デバイスあるいは該配線基板を前記第1の半導体デバイスへ電気接続するための、少なくとも2個から成る第2の導電体を設け、(4)前記第2の導電体のそれぞれに、少なくとも2個から成る第2の金属塊を設け、(5)前記第1の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイスあるいは前記配線基板とを、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の接合により電気接続する。
【0012】
なお、本段落では、前記した第1の半導体デバイスと第2の半導体デバイスの形状について記載する。集積回路素子などの半導体デバイスのパッケージは多種ある。これらの分類にも多種多様であるが、その一例を以下に記載する。
(1)パッケージ材料での分類:
プラスチック系とセラミック系などの硬質材料で半導体チップを覆う形状が主流である。テープ状のプラスチックフィルムに半導体チップを搭載したTCP(あるいはTAB)もある。また、最近では、半導体デバイスの小型化を指向して、半導体チップに樹脂などの板(インターポーザ)を配置し、この板の裏面側に端子を配置した、いわゆるチップサイズパッケージも実用化されている。
(2)実装法による分類:
電気接続の端子が棒状でプリント基板などの穴に端子を挿入して半田で固定する挿入実装型と、端子が板状あるいはボール状でプリント基板表面の導電箔に半田で固定する表面実装型とがある。
(3)端子の形状と方向による分類:
パッケージの1方向あるいは2方向に、棒状あるいは板状のリードが配列されている形状(DIPが代表例)、パッケージの4方向に板状のリードが配列されている形状(QFPが代表例)、ボール状の端子がパッケージの裏面にマトリクス状(格子状)に配列されている形状(BGAが代表例)などがある。
【0013】
なお、本明細書での「半導体デバイス」は、前記したように、「電気接続のための端子がマトリクス状に配列された表面実装型」である。すなわち、前段落で記載した、パッケージ材料には制限されない。また、電気接続の端子が棒状あるいは板状の形状は含まれない。さらに、「半導体デバイス」における半導体チップの搭載形態および接続技術にも制限されない。例えば、「半導体デバイス」が、(1)半導体チップがインターポーザに搭載されている形態、(2)半導体チップとインターポーザとがフリップチップ技術で電気接続されている形態、(3)半導体チップとインターポーザとがワイヤボンディング技術で電気接続されている形態、(4)前記インターポーザの裏面にボール状の端子がマトリクス状に配列されている形態などがある。
【0014】
なお、本発明においては、前記第1の半導体デバイスは、前記した「第2の半導体デバイスあるいは配線基板」へ搭載されることを前提としている。
【0015】
なお、前記した段落に記載した「前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の接合により電気接続する」の『接合』とは、単なる電気的な接触、機械的に前記2つの金属塊を押付ける圧接、前記2つの金属塊を高温処理して溶融、再凝固した形態などを示している。
【0016】
なお、本発明では、前記第1の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板との電気接続が、前記第1の半導体デバイスの個々の端子部に配置された複数の微小な金属塊(ボール形状の端子であり、前記した従来例での導電ボールに対応)を介して行われることが特徴である。前記金属塊を微小化することにより、従来例での「(2)上下段の半導体デバイスを接続する導電ボールの大きさ」による低背化の限界を克服している。また、金属塊を複数個配置することにより、コプラナリティに起因する電気接続の歩留まり改善、信頼性向上、流れる電流の最大値を増大させている。
【0017】
前記第1の半導体デバイスを、半導体チップと半導体インターポーザの積層構造で構成し、前記半導体インターポーザの前記半導体チップが配置された主面とは相対する主面に前記第1の導電体および前記第1の金属塊を配置する。
【0018】
なお、前段落に記載した前記第1の導電体と前記第1の金属塊が配置される、前記半導体インターポーザの主面とは、前記した第1の半導体デバイスでの前記した第1主面に対応している。
【0019】
なお、本発明ではインターポーザの材料として半導体(例えばシリコン)を用いている。該インターポーザの表面側には半導体チップが搭載され、該インターポーザの裏面側には半導体デバイスの電気接続用の端子(金属塊)が配置されている。前記したように、従来の樹脂材料で該インターポーザを構成した場合と比較して、半導体インターポーザを採用することにより、その機械的強度を低下させることなく、大略200マイクロメータ程度あるいはそれを超えない厚さまで厚さを低減できる利点が発生する。
【0020】
なお、前記第1の半導体デバイスを構成する前記半導体チップと前記半導体インターポーザを積層する際には、(1)前記半導体チップが前記半導体インターポーザに向き合う面に前記第1の導電体や前記第1の金属塊を配置し、(2)前記半導体インターポーザが前記半導体チップに向き合う面に前記第2の導電体や前記第2の金属塊を配置し、(2)前記半導体チップと前記半導体インターポーザとが、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の接合により電気接続する実装方法も可能である。すなわち、前記第1の半導体デバイスを実現するために、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の接合を利用することである。
【0021】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状を円形とし、かつ、前記円形の直径と、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の配列ピッチの比を0.58を超える値にする。
【0022】
なお、本段落では、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の形状、大きさ、および、配列ピッチについて記載する。前記第1の金属塊と前記第2の金属塊は、それらの形状、大きさ、および、配列ピッチが互いに等しいことが好ましいが、必ずしもこの限りではない。もし、互いに等しく、該形状が半球状である場合には、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の直径と配列ピッチの比を0.58よりも大きく設定することが好ましい。かかる設定では、前記第1の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板とを対向させて積層化する場合に、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の相互の位置関係によらず、これらの金属塊を接合させることができるという利点が発生する。また、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊との配列形態については、(1)「餅焼き網」の網目の交点にこれらの金属塊が配置されている形態、(2)「千鳥配置」のようにライン毎に半ピッチずれて配置されている形態などがある。
【0023】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状を多角形とし、かつ、前記多角形に内接する円の直径と、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の配列ピッチの比を0.58を超える値にする。
【0024】
なお、本段落では、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の形状と配列について記載する。前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が半球ではなく、それらが前記第1の導電体と前記第2の導電体に接する面での形状が、四角形を含む多角形(本明細書では単に「多角形」と記載している)である場合においては、該金属塊は共に「頂上と稜線が丸くなったピラミッド形状」とみなすことができる。かかる場合においては、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の「多角形の内接円の直径」とそれらの配列ピッチの比を0.58よりも大きく設定することにより、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の相互の位置関係によらず、これらの金属塊を接合させることができる。
【0025】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状を楕円あるいは長円とし、かつ、前記第1の金属塊を構成する前記楕円あるいは前記長円の長径と、前記第2の金属塊を構成する前記楕円あるいは前記長円の長径とを互いに交差させる。
【0026】
なお、本段落では、前段落に記載した金属塊の配置形態について記載する。前記第1の金属塊の楕円(あるいは長円)の長径と、前記第2の金属塊の楕円(あるいは長円)の長径とは交差している。この交差の角度は90度であることが好ましいが、この限りではない。これらの長径同士が互いに交差しているため、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊とを接合させる場合に、それらの金属塊の相互の位置関係によらず、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊との接合が達成される。
【0027】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状をストライプ状とし、かつ、前記第1の金属塊を構成する前記ストライプと、前記第2の金属塊を構成する前記ストライプとを互いに交差させる。
【0028】
なお、本段落では、前段落に記載した金属塊の配置形態について記載する。前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の形状はストライプ(細長い線)であり、複数のストライプが平行して配列されている。前記第1の金属塊を構成するストライプと、前記第2の金属塊を構成するストライプとは互いに交差するような位置関係にある。この交差の角度は90度であることが好ましいが、この限りではない。これらのストライプ同士が互いに交差しているため、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊とを接合させる場合に、それらの金属塊の相互の位置関係によらず、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊との接合が達成される。
【0029】
半導体チップが搭載されている領域内の指定された領域の前記半導体インターポーザの厚さを、前記第1の導電体および前記第1の金属塊が配置されている領域の前記半導体インターポーザの厚さを超えないようにする。
【0030】
なお、前記半導体インターポーザの厚さは指定された一定値ではなく、該半導体インターポーザの指定された領域の厚さが、他の領域の厚さよりも小さい構成も本発明に含まれる。例えば、該半導体インターポーザの中央部分を占める領域の厚さを、該半導体インターポーザの周辺領域の厚さよりも小さくすることである。なお、「指定された領域」とは、前記半導体チップが搭載される領域であり、一般的には、該半導体チップの面積よりも小さい面積を有する領域である。また、前記半導体インターポーザの厚さを部分的に小さくする場合、該半導体インターポーザの表面側からエッチングなどの周知の手法で掘りこんでも良く、また、該半導体インターポーザの裏面側から掘りこんでも良い。さらには、該半導体インターポーザの表裏面の両側から掘りこんで部分的に厚さを小さくしても良い。
【0031】
なお、本発明では、前記第1の半導体デバイスが前記した「第2の半導体デバイスあるいは配線基板」上に搭載される、「2段構成」(前記配線基板も1段としている)が示されているが、これに限らず、3段以上の多段構成であっても良い。かかる多段構成の場合には、前々段落に記載したような、前記半導体インターポーザの指定された領域の厚さが部分的に薄くなっているような構成により、該多段構成の全体の高さを低く(低背化)できる利点が発生する。
【0032】
前記半導体インターポーザの中央部に開口形状を持たせ、前記開口形状の上部に半導体チップを搭載する。
【0033】
なお、前記半導体インターポーザに開口を設け、前記半導体チップの周辺領域を該半導体インターポーザで支持しても良い。この構成では、該半導体チップの4辺の端部を該半導体インターポーザの開口形状で支持しても良く、さらには、該半導体チップの相対する2辺の端部を該半導体インターポーザの開口形状で支持しても良い。
【0034】
なお、本発明では、前記第1の半導体デバイスが前記した「第2の半導体デバイスあるいは配線基板」上に搭載される、「2段構成」(前記配線基板も1段としている)が示されているが、これに限らず、3段以上の多段構成であっても良い。かかる多段構成の場合には、前々段落に記載したような、前記半導体インターポーザの中央部に開口があるような構成により、該多段構成の全体の高さを低く(低背化)できる利点が発生する。
【0035】
なお、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊とを接合する際に、その接合強度を増大させるために、該接合の領域周辺、あるいは、前記第1の半導体デバイスと前記した「第2の半導体デバイスあるいは配線基板」との間に、樹脂などから形成されるアンダーフィルを設けても良い。該アンダーフィルに用いられる樹脂の種類は多く、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、導体を含有した導電性樹脂などがある。また、特定の樹脂に対しても、粘度や融点などが異なる多くのグレードが存在する。しかしながら、本発明では、アンダーフィルに用いられる樹脂の種類やグレードなどには限定されない。例えば、プリアプライ樹脂と称される機能性樹脂(熱硬化性樹脂内にハンダ粒子を混合)を用い、該樹脂が有する「導電体が存在する領域には溶融したハンダ粒子が集合して再凝固し、導電体が存在しない領域には樹脂のみが残り固化する」特性を利用することが挙げられる。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、従来例よりも一層の低背化を達成する実装方法が提供された。
【0037】
前記第1の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板との電気接続を、前記第1の半導体デバイスの個々の端子部に配置された複数の微小な金属塊(ボール形状の端子となる)を介して行なうことにより、従来、低背化の制限要素となっていた導電ボールの大きさの課題が克服できた。さらに、前記金属塊を複数個配置することにより、コプラナリティに起因する電気接続の歩留まり改善、信頼性向上、流れる電流の最大値を増大させることもできた。
【0038】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の形状を半球とし、その半径をrとする。かかる条件では、前記第1の半導体デバイスを前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板に対向させて、前記2つの金属塊を接触させた状態では、前記第1の半導体デバイスの第1主面と前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板の第2主面との距離は2rである。また、2つの金属塊の体積の和は半径rの球の体積となるので、その値は(4π/3)×r^3となる。なお、ここで「r^3」なる表記は「rの3乗」を表している。次に2つの金属塊の温度を上げ、両者が溶融し、円柱になったと仮定する。かかる状態では、円柱の底面積はπr^2になると考えられるので、円柱の高さは4r/3となる。この結果、前記した2つの主面間の距離は4r/3に減少することになる。前記溶融状態では、完全な円柱ではなく、中央部が膨らんだ「ビア樽」形状に近いので、該主面間の距離は4r/3よりも小さい値になる。すなわち、前記した2つの金属塊を接触、溶融する過程では、該主面間の距離は前記金属塊の大きさに比例する。例えば、r=280マイクロメータ(従来例での導電ボールの標準値)の場合には、該主面間の距離は370マイクロメータ(ビア樽形状ではこの値以下)になる。一方、r=5マイクロメータ(本発明を実施した時の一例として例示した数値)の場合には、該主面間の距離は7マイクロメータ(ビア樽形状ではこの値以下)になる。すなわち、前記金属塊(導電ボール)の大きさを小さくすることにより、前記した「(2)上下段の半導体デバイスを接続する導電ボールの大きさ」に起因する低背化の限界を打破することが可能となる。また、前記金属塊を微小化することにより、それぞれの金属塊の大きさがばらつき(コプラナリティが劣化)、対向する2つの金属塊の接触、溶融が達成されにくくなる。しかし、少なくとも2個の前記金属塊を配置することにより、接触と溶融が達成される金属塊の数を増やすことができ、コプラナリティの課題を解決することができた。
【0039】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状を円形とし、その直径をd、配列ピッチをpとした時、直径の配列ピッチに対する比(=d/p)を0.58を超える値に設定することにより、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板とを電気接続するプロセスでの目合わせ精度を大幅に改善することができた。すなわち、前記した比(0.58以上)にすると、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊との相対位置に制限されず、確実に電気導電路を形成することが可能となった。また、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の前記形状が正方形を含む多角形である場合には、該多角形に内接する円の直径と配列ピッチの比を0.58を超える値とすることにより、前記目合わせ精度の改善が可能となった。
【0040】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状を楕円形あるいは長円形とし、該楕円あるいは該長円の長径同士を交差させることにより、前記目合わせ精度の改善が可能となった。さらに、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状をストライプ状とし、該ストライプ同士を交差させることにより、前記目合わせ精度の一層の改善が可能となった。
【0041】
さらに、半導体チップとインターポーザの積層構造で前記第1の半導体デバイスを作成する時、前記半導体チップと前記半導体インターポーザに複数の微小な金属塊を配置し、これらの接合により電気接続を得る実装方法を採用した結果、前記第1の半導体デバイス自身の低背化が達成された。かかる実装方法によれば、電気接続のためのボンディングワイヤが必要とする空間が不要になり、さらに、従来の「単一の金属塊」で実装する場合と比較してより一層の高さ低減を図ることが可能となった。
【0042】
インターポーザの材料として機械的強度が大きいシリコン半導体を採用することにより、従来多用されてきた樹脂製インターポーザと比較して、インターポーザ部分の厚さを小さくでき、より一層の低背化が実現できた。インターポーザに機械的応力が印加された場合、変形量(例えば、撓みの量)は、材質のヤング率(機械的強度を表す1つの指標)に比例することが知られている。半導体シリコンのヤング率は130GPaであり、一方、樹脂材料のヤング率は樹脂の種類、グレードなどで大きく変動するが、10〜800MPa程度である。すなわち、半導体シリコンは樹脂と比較して100倍以上強度が大きい。このため、インターポーザの厚さを100マイクロメータ以下にしても十分な機械的強度が得られた。さらに、半導体インターポーザは集積回路技術を用いて作成される(樹脂製インターポーザはプリント基板技術で作成されることが多い)ので、インターポーザ表面の配線パターンを微細化、あるいは、複数の配線層による積層化も可能となった。
【0043】
半導体インターポーザを部分的に薄く加工することにより、複数の半導体デバイスを積層した時に、積層構造の高さを低減することができた。すなわち、2つの半導体デバイスが上下に積層される構成では、上側の半導体デバイスの半導体インターポーザの窪み(該インターポーザの厚さが小さい部分である)に、下側の半導体デバイスを構成する半導体チップが入り込むことになる。この結果、低背化に寄与する実装方法が得られた。
【0044】
さらに、半導体インターポーザの中央領域を除去して開口形状を設けることにより、前段落で記載した場合よりも一層の低背化が可能となった。また、半導体チップの裏面に放熱機構を直接接触させることが可能となったため、放熱効果を大幅に増大させることも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】半導体デバイスの実装を示す図である。 <実施例1>
【図2】金属塊に着目して本発明を説明する図である。
【図3】金属塊の形状を説明する図である。
【図4】半導体デバイスの位置関係を説明する図である。
【図5】金属塊の大きさにより電気的接続が容易になることを説明する図である。 <実施例2>
【図6】金属塊の配置により電気的接続が容易になることを説明する図である。 <実施例3>
【図7】金属塊の形状と配置を説明する図である。 <金属塊の形状と配置−1> <実施例4>
【図8】金属塊の形状と配置を説明する図である。 <金属塊の形状と配置−2> <実施例5>
【図9】金属塊の形状と配置を説明する図である。 <金属塊の形状と配置−3> <実施例6>
【図10】半導体デバイスの実装を示す図である。 <半導体デバイスの実装−1> <実施例7>
【図11】半導体デバイス実装の製造フローである。 <半導体デバイスの実装−2> <実施例8>
【図12】金属塊と導電路の作成を説明する図である。 <導電路の形成方法> <実施例9>
【図13】半導体デバイスを多段に構成した図である。 <実施例10>
【図14】半導体チップとインターポーザの接続を説明する図である。 <半導体チップとインターポーザとの電気的接続への適用> <実施例11>
【図15】半導体インターポーザの形状を説明する図である。 <半導体インターポーザの形状−1> <実施例12>
【図16】半導体インターポーザの形状を説明する図である。 <半導体インターポーザの形状−2> <実施例13>
【図17】図16に示した半導体デバイス実装の製造フローである。 <半導体デバイスの実装−3> <実施例14>
【図18】放熱効果が大きい構成を示す図である。 <半導体デバイスの実装−4> <実施例15>
【図19】半導体デバイスの積層例である。 <従来例>
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面に示した本発明によるインターポーザを詳細に説明する。
【実施例1】
【0047】
図1は半導体デバイスの実装を示す図であり、本発明の実施例1である。同図(a)において、10は第1の半導体デバイス、11は10の第1主面、12は11上に配置された第1の導電体、13は12上に配置された第1の金属塊である。同図(a)においては、12は少なくとも2個配置された前記第1の導電体であり、説明の便宜上、1個のみが図示されている。また、同図(a)には、4個の金属塊13が配置されている例が示されているが、その数については少なくとも2個であれば良い。15は第2の半導体デバイスあるいは配線基板、16は15の第2主面、17は16上に配置された第2の導電体、18は17上に配置された第2の金属塊である。17は少なくとも2個配置された前記第2の導電体であり、説明の便宜上、1個のみが図示されている。また、同図(a)では、4個の金属塊18が配置されている例が示されているが、その数については少なくとも2個であれば良い。金属塊13と18は半田や金錫共晶などで構成されており、それぞれの大きさと配列ピッチは等しいことが望ましいが、これに限らない。同図(a)では、10と15とが電気接続される前に、前記金属塊(13と18)が対抗するように配置された状態が示されている。かかる状態から、10と15は図の上下方向に移動され、互いに機械的に接触するよう相互の位置関係が設定される。さらに、機械的に接触している10と15を高温雰囲気で熱処理することにより、13と18が溶融、再凝固して一体化され、導電路20が形成される。同図(b)は、一体化された状態での10と15が示されている。
【0048】
図1(c)から図1(e)は上記した金属塊の溶融状況を説明する図である。これらの図では、説明の便宜上、10に配置された単一の金属塊22と、15に配置された単一の金属塊23のみが示されている。同図(c)では、これらの金属塊が共に半径rの半球である場合が示されている。半球を仮定すると、それぞれの金属塊の高さはrであり、前記した第1と第2の導電体に接するのは直径2rの円となる。また、それぞれの半球金属塊の体積の和は(4π/3)・r^3となる。すなわち、2つの半球の体積の和は、仮想的な全球の体積と等しくなっている。ここで、「r^3」なる表記は「rの3乗」を表している。次に、同図(d)のように、2個の金属塊が溶融、再凝固して、単一の円柱形状に変化し、導電路24が形成された場合を想定する。この円柱の底は直径2rの円である。また、溶融しても金属塊の全体積が変化しないと仮定すると、円柱の高さは4r/3となる。しかしながら、溶融して再凝固する場合には表面張力が働くので、円柱ではなく、同図(e)に例示したような「ビア樽」形状の導電路25になる。この結果、ビア樽の高さbは4r/3よりも小さい値になる。同図(e)に示した高さbの詳細な値は、表面張力や前記熱処理過程における10と15を押し付ける力に依存するが、大略rと等しいと想定できる。かかる分析によれば、「それぞれが等しい大きさを有する半球状の2個の金属塊を接触させ、熱処理で溶融、再凝固させた時、金属塊の半径とほぼ等しい高さのビア樽形状の導電路で電気接続される」ことが明らかになった。なお、本段落での説明においては、22と23とが同一材料で構成されており、溶融と再凝固がほぼ同じタイミングで起こると仮定している。しかしながら、本実施例では、これに限らず、22と23が別の材料、例えば、22が高温半田、23が低温半田のような組合せであっても良い。また、前記した10と15とを互いに押し付ける力に関しても、何ら制限はない。一般には、導電体12と17の数や、面積などにより、実験的に決定されるが、これに限らない。さらには、前記第1の半導体デバイス10を前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板15上に置き、当該10の自重で押し付ける力を発生させても良い。
【0049】
図2は金属塊の大きさに着目し、本実施例1と従来例との差異を説明する図であり、図1と同一番号は同一構成要素を示している。同図(a)と(b)は従来例を、同図(c)と(d)は本発明による実施例を示している。また、同図(a)と(c)は2つの半導体デバイスを電気接続するための金属塊が配置されている状態を平面図として示しており、同図(b)と(d)は2つ半導体デバイスが電気接続された状態を断面図として示している。同図(a)において、30は半導体デバイスであり、31は当該半導体デバイスの下面(第1主面に相当)である。32は電気接続のための金属塊であり、同図(a)では、当該金属塊の直径が250マイクロメータ、配列ピッチが500マイクロメータである場合が例示されている。同図(b)は同図(a)に例示した構造を用いて、2つの半導体デバイス30と35を電気接続した状態を示している。前記したように、金属塊の溶融、再凝固により形成された導電路の高さは大略当該金属塊の半径と等しくなるので、同図(b)では125マイクロメータになることが例示されている。なお、従来例である同図(b)の断面図から明らかなように、図2(a)の構成では、「前記第1の導電体表面に、1個の『大きな』金属塊が配置されており、導電路は1個の『大きな』金属塊で実現している」ことになる。一方、同図(c)に示した本発明による実施例では、前記した『大きな』金属塊の代りに、複数の『小さな』金属塊が配置されている。同図(c)は、従来例である同図(a)の一部(丸印で表記)を拡大して描いた図である。同図(c)では、前記第1の導電体12の表面に、より具体的には直径250マイクロメータの円内に、多数の前記第1の金属塊13が配置されている。当該13の大きさ(直径)は大略10マイクロメータ、最小値としては大略5マイクロメータである。かかる構成で、前記第1の半導体デバイス10と前記第2の半導体デバイス15とを電気接続した状態が図2(d)に示されている。なお、同図(d)は同図(c)の丸印の部分を拡大したことに対応している。前記したように、当該13の直径を10マイクロメータとした場合には、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスとを電気接続する導電路の高さは大略5マイクロメータとなる。この結果、従来技術での課題であった低背化の制限を克服することができる。なお、本段落では、前記15と35とが半導体デバイスであると仮定した表現になっているが、当該15と35とがプリント基板などの配線基板などであっても良い。
【0050】
前段落では、本発明による実施例1が従来例とは異なることを記載した。すなわち、 従来例:半導体デバイスに設けられた導電体上に単一の『大きな』金属塊を配置し、
当該金属塊で前記導電路を形成する。
実施例1:半導体デバイスに設けられた導電体上に複数の『小さな』金属塊を配置 し、当該複数の金属塊で前記導電路を形成する。
ことが差異である。
【0051】
図3は前記第1の金属塊の形状を説明する図であり、同図において図1と同一番号は同一構成要素を示している。また、説明の便宜上、上下逆転して図が示されている。同図(a)において、40は第1の導電体12の表面に積層された樹脂膜などから成るマスク層であり、当該12の領域の一部、すなわち、当該第1の金属塊が配置されない領域を被覆している。当該マスク層は第1の金属塊41を形成する際に利用される。特に、前記した金属塊の溶融、再凝固過程で、当該金属塊が横方向に拡がることを防止する。かかる防止のためには、当該第1の金属塊が溶融した状態で、当該マスク層の表面が「撥水性」(より厳密な表現では「濡れ性が低い」)であることが必要である。同図(a)、(b)、(c)において、41、42、43はそれぞれ形状の異なる第1の金属塊であり、41は球に近い形状の場合、42は半球形状の場合、43は半球よりも平らな形状の場合が示されている。前段落までは、当該42の形状に対して記載している。しかしながら、前記第1の金属塊の製造条件によっては、前記41から43のような形状になる。すなわち、前記第1の金属塊を配置する際の、当該金属塊の体積(あるいは量)によって、前記第1の金属塊の形状は決定される。同図(a)から同図(b)に例示した形状のいずれが最適な形状であるかは、前記した溶融、再凝固の条件などにより決定され、設計要因であると言える。また、本段落では半球状類似の前記第1の金属塊について記載したが、これ以外の形状、例えば、前記第1の導電体に接する形状が四角形を含む多角形であっても良い。例えば、該形状が正方形の場合には、前記第1の金属塊の3次元形状は、「頂上と稜線が丸くなったピラミッド形状」になる。さらに、本段落では、前記第1の金属塊について記載したが、前記第2の金属塊についても同様な記載が可能である。
【0052】
図4は前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板との位置関係を説明するための図であり、図1と同一番号は同一構成要素を示している。なお、同図では、前記第1の半導体デバイス10に設けられた第1の金属塊13と、前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板15に設けられた第2の金属塊18とが、同じ形状(図では半球)、同じ数(図では各5個)、同じ配列ピッチであることが例示されている。同図(a)は、前記第1の金属塊13と前記第2の金属塊18とが、同じ「空間的位相」で対向している場合が示されている。かかる場合には、前記10と15とを接触させ、前記した溶融、再凝固により、対向する上下の金属塊が前記導電路を形成する。同図(b)は、前記13と18との「空間的位相」がずれて対向している場合が示されている。かかる場合では、上下の金属塊は、ずれてはいるものの、互いに接触できる状態なので、前記した溶融、再凝固が起こり、前記導電路を形成することが可能である。同図(c)では、前記13と18との「空間的位相」が1ピッチ分ずれて対向している場合が示されている。かかる場合においても、ずれた状態で上下の金属塊が接触できるので、前記導電路の形成が可能である。ただし、かかる場合では、各5個の金属塊が配列されているが、そのうち4個のみが前記導電路の形成に寄与できることになる。一方、同図(d)に示した事例では、第1の金属塊51と第2の金属塊52の大きさ(半球の直径)が小さいので、前記した「空間的位相」の値によっては、対向する金属塊が接触できない場合が発生する。かかる場合には、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板との電気的接続が達成されなくなる。すなわち、金属塊の大きさと「空間的位相」によっては当該電気的接続が達成されないという不都合が発生する。
【実施例2】
【0053】
<金属塊の大きさ>
図5は、前段落に記載した電気的接続の不達成という不都合を回避する実施例2を説明する図である。図において図1と同一番号は同一構成要素を示している。同図(a)は図4(a)と同様、「空間的位相」が一致、すなわち、前記第1の金属塊13と前記第2の金属塊18の全てが対向しており、これらの金属塊の最頂点の空間的位置が一致している場合である。また、同図(b)は「空間的位相」が180度ずれている場合、すなわち、前記第1の金属塊の配列に対して、前記第2の金属塊の配列が半ピッチだけずれている場合である。かかる「空間的位相」の180度のずれは、最大の位相ずれの状態であると言える。同図(b)のような場合に、前記第1の半導体デバイス10と前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板15との距離を近接させた状況を想定する。ここで、前記13と18の配列が1次元である、すなわち、前記した金属塊が1列に並んでいると仮定する。次に、(1)前記第1の金属塊13の最頂部(図では最下の点になる)が前記第2主面17にある第1の導電体12の表面に接し、かつ、(2)前記第2の金属塊18の最頂部(図では最上の点になる)が前記第1主面にある第2の導電体17の表面に接し、かつ、(3)前記第1の金属塊13と前記第2の金属塊18がそれぞれの表面(曲面である)で接している状態を想定する。かかる状態の平面図を同図(c)に、断面図を同図(d)に示す。同図(c)では、1個の前記第1の金属塊(図では61で表記)と、2個の前記第2の金属塊(図では62で表記)とが示されている。ただし、半球形状を仮定したこれらの3個の金属塊の直径はd1で、配列ピッチはpとしている。また、同図(c)のA−A’での断面図が同図(d)に示されている。すなわち、同図(d)には、上記(1)から(3)に記載した条件での、金属塊の位置関係が示されている。同図(d)から、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の直径d1と、配列ピッチpとの関係は d1/p=1/√3 =0.58 であることが導かれる。この関係は、金属塊が1次元に配列されている場合である。もし、金属塊が同図(e)のように2次元で配列されている場合には、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の直径d2と、配列ピッチpとの関係は d2/p=√2/√3=0.82 であることが導かれる。なお、同図(e)のB−B’での断面構造は同図(d)と同様になる。
【0054】
前段落では、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の直径d1(あるいはd2)と配列ピッチpを一定の関係に設定しておくことにより、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板との位置関係がずれても(「空間的位相」が180度であっても)、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊とは接触することが可能で、前記導電路を形成できることが示された。従来例では、各1個の前記第1の金属塊と前記第2の金属塊とを接触させ前記導電路を形成していた。このため、これらの金属塊の直径を小さくすると、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスあるいは配線基板との相互の位置を正しく正対させることが必要となり、微細な位置調整を含む組立工程が必須であるという課題が存在した。しかしながら、本実施例では、微細な位置調整が不要であり、ラフな位置合わせでも確実に前記導電路が形成できることになり、本実施例の効果は大きい。
【0055】
なお、上記段落では、金属塊が半球形状を有している場合について記載されている。もし、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の底面が円形でなく、正方形を含む多角形である場合には、上記した直径d1とd2を当該多角形の内接円の直径とし、上記した配列ピッチを当該多角形の配列ピッチとすることにより、同様な数値関係が得られることは明らかである。以上より、図5(d)に例示したような構造を実現するためには、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の底面の大きさ(dと表記する)を、当該金属塊の配列ピッチpの58%を超える値とすることが条件となる。
【実施例3】
【0056】
<金属塊の配置>
図6は本発明の実施例3であり、金属塊の配置により電気的接続が容易になることを説明する図である。同図において、図5と同一番号は同一構成要素を示している。本実施例では、前記した第1の金属塊と前記第2の金属塊を「千鳥配置」状に配列することに特徴がある。同図(a)において、71と72は、それぞれ、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊であり、縦と横方向にピッチpで配列されている。また、各配列のライン毎にp/2だけずれた状態で配列されている(「千鳥配置」状である)。本実施例3においては、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状が円形であり、かつ、その直径がd3である場合が示されている。かかる配列における、d3/p=1/3=0.33での前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の接触状態を同図(b)に示す。同図(b)は同図(a)の折れ線C−C’での構造断面図であり、それぞれの金属塊が3次元空間で互いに接触していることが示されている。すなわち、d3/pを33%以上に設定することにより、ラフな位置合わせでも確実に前記導電路が形成できることになる。
【実施例4】
【0057】
<金属塊の形状と配置−1>
図7は本発明の実施例4であり、金属塊の形状と配置を説明する図である。本段落では、「前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状」を単に「形状」として記載している。同図では、
同図(a):形状が楕円形であり、「餅焼き網」の網目の交点に金属塊を配置
同図(b):形状が楕円形であり、「千鳥配置」状に金属塊を配置
同図(c):形状が長円形であり、「餅焼き網」の網目の交点に金属塊を配置
同図(d):形状が長円形であり、「千鳥配置」状に金属塊を配置
した場合がそれぞれ示されている。
同図(a)において、81と82は、それぞれ、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊である。また、83と84はそれぞれの楕円の長径方向を示しており、一例として、長径同士が直角に交差している場合が示されている。一方、同図(b)では、金属塊が千鳥配置状に配置されており、かつ、それぞれの長径同士が直角に交差している。同図(c)において、85と86は、それぞれ、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊であり、形状は共に長円形である。また、87と88はそれぞれの長円の長径方向を示しており、一例として、長径同士が直角に交差している場合が示されている。同図(d)では、長円形の前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が千鳥配置状に配置されており、かつ、それぞれの長径同士が直角に交差している。なお、図7では、長径同士が直角に交差している場合が示されているが、交差する角度は直角に限らない。また、本実施例での形状(例えば長径の大きさ)と配列ピッチなどの大きさについては特に制限がなく、ラフな位置合わせでも確実に前記導電路が形成できるよう、適宜選択することが可能である。
【実施例5】
【0058】
<金属塊の形状と配置−2>
図8は本発明の実施例5であり、金属塊の形状と配置を説明する図である。本段落では、「前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状」を単に「形状」として記載している。同図では、
同図(a):形状が長方形であり、「餅焼き網」の網目の交点に金属塊を配置
同図(b):形状が長方形であり、「千鳥配置」状に金属塊を配置
した場合がそれぞれ示されている。
同図(a)において、91と92は、それぞれ、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊である。また、93と94はそれぞれの長方形の長手方向を示しており、一例として、長手方向同士が直角に交差している場合が示されている。一方、同図(b)では、金属塊が千鳥配置状に配置されており、かつ、それぞれの長手方向同士が直角に交差している。なお、図8では、長手方向同士が直角に交差している場合が示されているが、交差する角度は直角に限らない。また、本実施例での形状(例えば長手方向の大きさ)と配列ピッチなどの大きさについては特に制限がなく、ラフな位置合わせでも確実に前記導電路が形成できるよう、適宜選定することが可能である。
【実施例6】
【0059】
<金属塊の形状と配置−3>
図9は本発明の実施例6であり、金属塊の形状と配置を説明する図である。同図(a)において、100と101は、それぞれ、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊であり、細いストライプ状に配置されている。また、102と103はそれぞれのストライプの方向を示している。同図(a)では、それぞれのストライプが直角に交差している場合が示されている。一方、同図(b)において、104と105は、それぞれ、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊であり、細いストライプ状に配置されている。また、106と107はそれぞれのストライプの方向を示している。同図(b)では、それぞれのストライプが交差する角度が直角ではない場合が示されている。本実施例では、それぞれのストライプが交差する角度について制限はない。また、金属塊の形状(ストライプ幅など)と配列ピッチなどの大きさについても特に制限がなく、ラフな位置合わせでも確実に前記導電路が形成できるよう、適宜選定することが可能である。さらに、本実施例では、金属塊がストライプ状の形状を有しているため、前記した位置合わせがより容易になる特徴がある。
【0060】
実施例6において、一組のストライプ(第1の金属塊と第2の金属塊)が電気接続された状態では、網目状にストライプが配置されることになる。この網目は密閉された空間を形成しており、もし、この空間に空気が密閉されている場合には、動作温度の上昇に伴い、空気が膨張し、前記ストライプの電気接続を剥がす力が発生する。一方、当該ストライプを電気接続する時に真空中で行えば、前記膨張の効果は発生せず、該電気接続の信頼性を増大させることが可能となる。さらに、真空が密閉された状態では、常に大気圧でストライプ同士が押圧されることになるので、該電気接続の信頼性を一層増大させることが可能である。
【実施例7】
【0061】
<半導体デバイスの実装−1>
図10は本発明の実施例7であり、第1の半導体デバイスが第2の半導体デバイスの上に積層化された構造の断面図を示している。同図(a)は当該積層化された構造の断面図、同図(b)は同図(a)の丸印で示した部分の拡大図である。同図(b)に示すように、本実施例では、前記第1の半導体デバイスの積層化に、前記した実施例1(複数の『小さな』金属塊で導電路を形成する)が利用されている。なお、本実施例では、「半導体デバイス」として、半導体チップとインターポーザから成る構造体が例示されている。同図(a)において、110は第1の半導体デバイスであり、第1の半導体チップ111と第1のインターポーザ112とで構成されている。115は第2の半導体デバイスであり、第2の半導体チップ116と第2のインターポーザ117とで構成されている。なお、当該インターポーザ112と117は、前記したように樹脂材料よりも機械的強度が大きい半導体で構成することが好ましいが、この限りではない。半導体材料(例えばシリコン)でインターポーザを構成した場合には、当該インターポーザの厚さを大略200マイクロメータ程度あるいはそれを超えない厚さまで厚さを低減できる。当該110と115とは、同図(b)に拡大表示したように、実施例1で詳述した「半導体デバイスに設けられた導電体上に複数の『小さな』金属塊を配置し、当該複数の金属塊で前記導電路を形成」している。同図(b)において、113は前記第1のインターポーザ112の第1主面(図では下側の面になる)に設けられた前記第1の導電体である。また、118は前記第2のインターポーザ117の第2主面(図では上側の面になる)に設けられた前記第2の導電体である。当該113と118とは、導電路119で電気的接続されている。当該119は、前記したように、113の表面と118の表面に設けられた少なくとも各2個から成る金属塊を、高温雰囲気中において溶融、再凝固させることにより形成されている。かかる構成において、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスとは機械的かつ電気的に接続され、積層構造となっている。当該積層構造は、前記第2のインターポーザ117の下側の表面に設けられた導電ボール120などにより、プリント基板などから成る外部回路(図示せず)に電気的接続されている。同図(a)では、当該導電ボール120は単一の「大きな」形状として例示されているが、この部分にも、実施例1に記載した「複数の『小さな』金属塊から形成された導電路」を採用しても良い。
【0062】
図10(a)において、インターポーザ112は均一な厚さではなく、121に示すように部分的に厚さが薄く加工されている。すなわち、前記第2の半導体デバイスを構成する前記半導体チップ116が占める領域に対応して、121が形成されている。より一般的に表現するならば、「第1の半導体チップが搭載されている領域内の指定された領域(第2の半導体チップに対応する領域)における当該インターポーザの厚さを、前記第1の導電体および前記第1の金属塊が配置されている領域における当該インターポーザの厚さを超えないようにする」ことである。かかる構成により、当該積層構造の高さ(同図(a)の「h」として示す)を低減(すなわち低背化である)することが可能となる。実施例7においては、前記した2個の半導体デバイスを「複数の『小さな』金属塊から形成された導電路」を用いて積層化し、さらに、前記インターポーザの厚さを部分的に薄くすることにより、低背化を達成している。
【実施例8】
【0063】
<半導体デバイスの実装−2>
図11は本発明の実施例8であり、図10で示した構成を実現するための製造フローを示している。同図において図10と同一番号は同一構成要素を示している。なお、本実施例においては、インターポーザは半導体インターポーザとして説明されている。同図(a)は前記第1の半導体デバイスを構成するインターポーザ(図10の112に相当)の構造を示す断面図である。同図(a)において、124は前記第1のインターポーザを構成する第1の半導体基板で、125は当該インターポーザの第1主面(図では下側の面)、126は当該第1のインターポーザの第2主面(図では上側の面)である。当該第1主面125の表面には前記第1の導電体113が、また、当該第2主面126の表面には配線用導電体127が設けられ、当該113と当該127とは貫通電極128により前記第1の半導体基板の厚さ方向(図では垂直方向)で接続されている。なお、図では当該貫通電極128を前記第1の半導体基板124から電気的に絶縁する構造は省略されている。また、前記第1の半導体基板124には、121に示す厚さが薄い領域が設けられている。当該121は異方性エッチングなど周知の半導体プロセス技術で容易に製造される。同図(b)は、前記第1の半導体チップ111が前記第1のインターポーザ112の第2主面の表面に搭載された図である。130は、当該第1の半導体チップの接続端子を前記配線用導電体127へ接続するための接続手段であり、例えば、ボールグリッドアレイなどである。当該接続手段としては、これ以外に、周知のワイヤボンディングを用いても良い。131はアンダーフィルと称される樹脂層であり、接続手段130で前記第1の半導体チップ111が搭載されてから、当該接続手段の機械的強度を大きくするために設けられている。当該アンダーフィルは前記第1の半導体チップ111での発熱による膨張を吸収したり、発熱を前記第1のインターポーザ側へ放熱させる機能を有している。この放熱効果を向上させるためには、前記アンダーフィル内に空気の泡が発生しないよう、真空中でアンダーフィルを構成する樹脂を流しこむこともある。同図(b)において、13は前記第1の導電体113の表面に設けられた前記第1の金属塊である。同図では、第1の導電体の各々の表面に3個の当該第1の金属塊が配置されていることが例示されている。同図(b)に示した構造が前記第1の半導体デバイスの構造となる。
【0064】
図11(c)は前記前記第2の半導体デバイスを構成するインターポーザ(図10の115に相当)の構造を示す断面図である。同図(c)において、132は前記第2のインターポーザを構成する第2の半導体基板で、135は当該第2のインターポーザの第1主面(図では下側の面)、136は当該第2のインターポーザの第2主面(図では上側の面)である。当該第2主面136の表面には前記第2の導電体118が、また、当該第1主面135の表面には外部接続用導電体133が設けられ、当該118と当該133とは貫通電極138により前記第2の半導体基板の厚さ方向(図では垂直方向)で接続されている。なお、図では当該貫通電極138を前記第2の半導体基板132から電気的に絶縁する構造は省略されている。また、前記第2の導電体118は、前記した配線用導電体127と同じように、当該第2のインターポーザでの配線用導電体をも兼ねている。同図(d)は、前記第2の半導体チップ116が前記第2のインターポーザ117の第2主面の表面に搭載された図である。140は、当該第2の半導体チップの接続端子を、前記配線用導電体を兼ねる前記第2の導電体118へ接続するための接続手段であり、例えば、ボールグリッドアレイなどである。当該接続手段としては、これ以外に、周知のワイヤボンディングを用いても良い。141はアンダーフィルと称される樹脂層であり、接続手段140で前記第2の半導体チップ116が搭載されてから、当該接続手段の機械的強度を大きくするために設けられている。当該アンダーフィルは前記第2の半導体チップ116での発熱による膨張を吸収したり、発熱を前記第2のインターポーザ側へ放熱させる機能を有している。この放熱効果を向上させるためには、前記アンダーフィル内に空気の泡が発生しないよう、真空中でアンダーフィルを構成する樹脂を流しこむこともある。同図(d)において、18は前記第2の導電体118の表面に設けられた前記第2の金属塊である。同図では、第2の導電体の各々の表面に3個の当該第2の金属塊が配置されていることが例示されている。同図(d)において、前記外部接続用導電体133の表面には導電ボール120が配置され、プリント基板などから成る外部回路(図示せず)との電気的接続用に用いられる。同図(d)に示した構造が前記第2の半導体デバイスの構造となる。
【0065】
図11(e)は、同図(b)の前記第1の半導体デバイスを、同図(d)の前記第2の半導体デバイスに積層実装した断面構造を示している。同図(e)において、143は導電路であり、前記第1の金属塊13と前記第2の金属塊18とを対向させ、高温雰囲気中の熱処理で溶融、再凝固させることにより形成されている。当該導電路の機械的接続強度を増大させるため、当該導電路の領域に樹脂層を流し込み、アンダーフィルとしても良い。また、当該樹脂層は当該導電路の領域だけではなく、前記第1のインターポーザと前記第2のインターポーザの間の領域に流しこんでも良い。同図(e)に示されているように、前記第2の半導体チップの上側が、前記第1のインターポーザの厚さが薄い領域(121)に入り込んだ形態となっている。前記した121の掘りこみ深さ(前記第1のインターポーザの周辺部、すなわち、前記第1の導電体が存在する領域、の厚さと、当該第2の半導体チップが入り込む領域の厚さ、との差)は、(1)当該第2の半導体チップの厚さ、(2)接続手段140の厚さ、(3)導電路143の厚さで決定される。さらに、前記第1のインターポーザの厚さが薄い領域の下側表面と、前記第2の半導体チップの上側表面との間の空隙(144で示す)に、熱伝導率の大きい樹脂を充填し、前記第1の半導体チップと前記第2の半導体チップの発熱を放熱させる構成も可能である。
【0066】
なお、実施例8においては、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスとが、半導体チップと半導体インターポーザで構成されている場合が示された。かかる構成においては、前記第1の半導体デバイスの前記第1主面は、前記第1のインターポーザの前記第1主面と同じであり、同様に、前記第2の半導体デバイスの前記第2主面は、前記第2のインターポーザの前記第2主面と同じことになる。
【0067】
図11を用いて詳述した実施例8では、前記第2の半導体デバイスが前記第2の半導体チップと前記第2のインターポーザで構成されている場合が示された。しかしながら、実施例8では、前記第2の半導体デバイスの代替として、プリント基板あるいは半導体チップが搭載されたプリント基板などの配線基板を採用しても良い。
【実施例9】
【0068】
<導電路の形成方法>
図12は本発明の実施例9であり、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊を形成し、導電路を形成する製造プロセスを説明する図である。同図において、図11と同一番号は同一構成要素を示している。なお、図12(a)から図12(d)は前記第1のインターポーザの部分図であり、説明の便宜上、上下が逆転して描かれている。図12(a)において、124は前記第1のインターポーザを構成する第1の半導体基板であり、113は前記第1の導電体である。当該113は124の第1主面の表面に酸化膜(図示せず)などを介して、蒸着とパターニングといった周知の方法で形成される。113の構成としては、チタン箔膜の上に銅などが積層化された構造などがある。同図(b)において、150は酸化膜や樹脂から構成された絶縁層であり、蒸着や塗布した当該絶縁層にパターニングが施されている。同図(c)において、151は金属層であり、以後のプロセスを経ることにより、前記第1の金属塊となる母体である。当該151は蒸着や塗布などで124の第1主面表面に一様に形成されてから、パターニングされている。なお、当該151の材質としては、半田(望むらくは鉛フリー半田)や金錫合金などが選定されている。同図(d)において、13は、前記151を高温雰囲気中で処理することにより、溶融、再凝固した前記第1の金属塊である。なお、152は上記プロセスで作成された前記第1のインターポーザを示している。上記プロセスから明らかなように、前記絶縁層150は、複数の前記第1の金属塊13が、前記溶融、再凝固過程で、互いに結合して「大きな」金属塊になることを防止する役割りがある。このため、150の表面は、溶融した前記金属層151に対して「低い濡れ性」を有していることが好ましい。
【0069】
図12(e)において、153は前記152と同様な製造プロセスで作成された前記第2のインターポーザであり、前記152(図12(d)とは上下が逆転して表記されている)と対向して互いに接触している。同図(e)では、前記152と前記153との「空間的位相」が一致している、いわば理想状態で示されている。しかしながら、この「空間的位相」がずれていても、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が接触できる限り、この「空間的位相」のずれは無視できる。また、前記した段落で、金属塊と配列ピッチに関する記載を行ったが、前記した一定の関係(例えば、d1/p>1/√3 =0.58)を満たすならば、前記「空間的位相」の効果は無視できることになる。
【0070】
図12(f)は、前記第1の金属塊13と前記第2の金属塊18とが、溶融、再凝固して、導電路119が形成された状態である。同図(g)では、前記導電路119の周囲に樹脂層154を充填した状態が示されている。当該樹脂層154は、前記第1の導電体と前記第2の導電体の領域に限定して充填されている。当該樹脂層154は、前記導電路の接着強度を補強すると同時に、前記第1のインターポーザと前記第2のインターポーザとの熱伝導性を増大させる役割りを有している。当該熱伝導性の増大をより大きくするためには、当該樹脂層内に空気の泡が含まれていないことが重要であり、このために真空中で当該樹脂を充填するなどの手法が採用される。図12(h)は、樹脂層155が前記第1のインターポーザと前記第2のインターポーザの全面に渡って充填されている場合が示されている。かかる場合には、図12(g)の場合と比較して、前記導電路の接着強度をより一層増大できる利点がある。
【実施例10】
【0071】
<多段の構成>
図13は本発明の実施例10であり、半導体チップと半導体インターポーザで構成した半導体デバイスを多段に構成した図である。同図(a)は前記第1の半導体デバイス110と前記第2の半導体デバイス115との間に、第3の半導体デバイス160を挟んで3段の積層構造とした場合が示されている。また、同図(b)は前記第1の半導体デバイス110と前記第2の半導体デバイス115から成る積層構造を、配線基板161の上に実装した場合が示されている。本実施例においては、上記した本発明が、前記第1の半導体デバイスが前記第2の半導体デバイスに実装されるだけではなく、多段(図13(b)では配線基板を含めた多段である)の積層構造へ容易に拡大できることが示されている。これらの半導体デバイスあるいは配線基板との間の電気的接続には、前段落までに記載した「半導体デバイスに設けられた導電体上に複数の『小さな』金属塊を配置し、当該複数の金属塊で前記導電路を形成する」という実装方法が採用されている。この結果、(1)機械的強度の大きい半導体インターポーザの採用による低背化、(2)複数の『小さな』金属塊から生成された導電路による低背化、(3)ワイヤボンディング不要の実装による低背化などが達成される。
【実施例11】
【0072】
<半導体チップとインターポーザとの電気的接続への適用>
図14は本発明の実施例11であり、前記半導体チップの前記インターポーザへの搭載に適用した例である。同図において、図10と同一番号は同一構成要素を示している。同図(a)では、前記第1の半導体チップ111が前記第1のインターポーザ112の上側にフリップチップ構成で実装されている。当該フリップチップ構成には、同図(b)に拡大表示するように、本発明の特徴である「導電体上に複数の『小さな』金属塊を配置し、当該複数の金属塊で導電路を形成する」という構成になっている。具体的には、前記第1の半導体チップ111の下側表面に配置された電気的接続のためのパッド170領域と、前記第1のインターポーザ112の上側表面に配置された電気的接続のための配線用導電体領域171との間には、少なくとも2個から成る導電路が形成されている。かかる構成を採用することにより、ワイヤボンディングで前記第1の半導体チップと前記第1のインターポーザとが電気的接続されていた従来例と比較して、ボンディングワイヤのための空間が不要となり、前記第1の半導体デバイス110の低背化が実現できる。
【0073】
なお、本実施例においては、本明細書に記載した他の実施例と構成要素の名称付け(符号付け)を異にしている。以下には、本実施例11(図14)と前記実施例7(図10)を用いて、名称付けの対応を記載する。
実施例11(図14)では、
(1)半導体チップ111がインターポーザ112の上側に搭載されている。すなわち、本発明の特徴である「導電体上に複数の『小さな』金属塊を配置し、当該複数の金属塊で導電路を形成する」場所は、当該インターポーザ112の上側の面であり、かつ、当該半導体チップ111の下側の面でもある。
(2)このため、「第1の導電体」と「第1の金属塊」は当該半導体チップ111の下側の面に配置されている。また、「第2の導電体」と「第2の金属塊」は当該インターポーザ112の上側の面に配置されている。
(3)すなわち、当該インターポーザ112の上側(「第2主面」である)に「第2の導電体」と「第2の金属塊」が配置されていることになる。
一方、実施例7(図10)では、
(1)半導体チップ111とインターポーザ112とで構成される半導体デバイス110は、半導体デバイス(あるいは配線基板)115の上側に搭載されている。すなわち、本発明の特徴である「導電体上に複数の『小さな』金属塊を配置し、当該複数の金属塊で導電路を形成する」場所は当該インターポーザ112の下側の面であり、かつ、当該115の上側の面でもある。
(2)このため、「第1の導電体」「第1の金属塊」は当該インターポーザ112の下側の面に配置されている。また、「第2の導電体」「第2の金属塊」は当該115の上側の面に配置されている。
(3)すなわち、当該インターポーザ112の下側(「第1主面」である)に「第1の導電体」と「第1の金属塊」が配置されていることになる。
上記説明のように、当該「インターポーザ」に注目すると、本実施例11と前記実施例7とでは、「主面」、「導電体」、「金属塊」の場所と名称付けが異なっていることになる。
【0074】
図14(a)では、前記第1の半導体チップと前記第1のインターポーザとの間には、アンダーフィルとしての樹脂層155が充填され、接着強度を増大させている。また、図14(c)は図14(a)の構成と類似しているが、同図(d)に拡大表示するように、アンダーフィルとしての樹脂層154が、前記パッド170領域のみに限定して充填されている。
【実施例12】
【0075】
<半導体インターポーザの形状−1>
図15は本発明の実施例12であり、前記した半導体インターポーザの形状を示している。同図において、図14と同一番号は同一構成要素を示している。同図において、前記第1のインターポーザ112の厚さは一様でなく、前記第1の半導体チップ111が搭載される領域の厚さが薄くなっており、窪み180を形成していることが特徴である。当該窪みは、異方性エッチングなどを用いて形成される。また、前記した配線用導電体は、前記第1のインターポーザの厚さが大きい領域から、厚さが小さい領域にかけて、段差に沿って設けられている。かかる配線用導電体の例を181で示す。本実施例においても、前記第1のインターポーザの表面領域の一部に、前記第1の半導体チップを「落とし込んで」搭載しているため、低背化に有効である。なお、低背化のために、前記第1のインターポーザの表面と裏面の両側から窪みを形成しても良い。
【実施例13】
【0076】
<半導体インターポーザの形状−2>
図16は本発明の実施例13であり、前記第1の半導体デバイスの高さをさらに低くできる実施例である。同図において、図10と同一番号は同一構成要素を示している。同図(a)は前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスが積層された形態の構造断面図であり、同図(b)は、これら2つの半導体デバイスを電気的接続している部分の拡大図である。前記した実施例7(図10)とは異なり、本実施例では、第1のインターポーザ190の中央部分が除去されている。すなわち、前記第1の半導体チップは、その周辺領域が当該190で支えられている形態となっている。換言するならば、前記第1のインターポーザは、中央部に開口形状を有し、前記第1の半導体チップの中央部の領域が前記第1のインターポーザと接触していないことになる。かかる構成により、前記実施例7の「薄く加工されたインターポーザ部分」がなくなり、図16(a)の「h2」で示した高さをより低減することが可能となる。なお、同図(a)の構造断面図から明らかなように、本実施例では、前記第2の半導体チップの大きさが、前記第1の半導体チップの大きさよりも小さいという制限が付随している。しかしながら、前記第1の半導体デバイス110と前記第2の半導体デバイス115の構成や、前記第1のインターポーザ190第2のインターポーザ117の配線を適宜設計することにより、前記制限事項は回避できる。また、本段落での「第2の半導体デバイス」は、代替として、プリント基板あるいは半導体チップが搭載されたプリント基板などの配線基板であっても構わない。
【実施例14】
【0077】
<半導体デバイスの実装−3>
図17は実施例14を説明する図であり、図16に示した半導体デバイス実装の製造フローを示す図である。同図において、図11と同一番号は同一構成要素を示している。図17(a)と図17(b)は前記第1のインターポーザ190を作製するプロセスを説明する図である。同図(a)において、124は前記第1のインターポーザ190を構成する第1の半導体基板で、125は当該第1のインターポーザの第1主面(図では下側の面)、126は当該第1のインターポーザの第2主面(図では上側の面)である。当該第1主面125の表面には前記第1の導電体113が、また、当該第2主面126の表面には配線用導電体127が設けられ、当該113と当該127とは貫通電極128により前記第1の半導体基板の厚さ方向(図では垂直方向)で接続されている。なお、図では当該貫通電極128を前記第1の半導体基板124から電気的に絶縁する構造は省略されている。次に、同図(b)に構造断面図を示すように、当該第1のインターポーザ190の中央領域が異方性エッチングなどの周知の手法により除去され、開口形状200が形成される。同図(c)は、前記第1の半導体チップ111が前記第1のインターポーザ190の第2主面の表面に搭載された図である。同図(c)に示すように、当該第1の半導体チップは、当該第1の半導体チップの周辺領域のみが、前記190の開口形状の周辺領域と機械的に接続されていることになる。また、当該第1のインターポーザは中央部分に設けられた開口のため、すなわち、前記した実施例7で示したような「薄く加工されたインターポーザ部分」が存在しないため、当該第1のインターポーザの機械的強度は低下することになる。しかしながら、当該第1の半導体チップを搭載することにより、積層構造全体が、いわゆる「モノコック構造」的な構造となり、機械的強度の低下を補正していることになる。130は当該第1の半導体チップの接続端子を、前記配線用導電体127へ接続するための接続手段であり、例えば、ボールグリッドアレイなどである。当該接続手段としては、これ以外に、周知のワイヤボンディングを用いても良い。201はアンダーフィルと称される樹脂層であり、接続手段130で前記第1の半導体チップ111が搭載されてから、当該接続手段の機械的強度を大きくするために設けられている。本実施例においては、当該アンダーフィルは前記第1の半導体チップと前記第1のインターポーザの機械的接続強度、および、前記した積層構造全体の機械的強度を増大させるために必須な構成要素となっている。同図(c)において、13は前記第1の導電体113の表面に設けられた前記第1の金属塊である。同図では、第1の導電体の各々の表面に3個の当該第1の金属塊が配置されていることが例示されている。同図(c)に示した構造が前記第1の半導体デバイスの構造となる。
【0078】
図17(d)は前記前記第2の半導体デバイス(図16の115に相当)を構成する第2のインターポーザの構造を示す断面図である。同図(d)において、132は前記第2のインターポーザを構成する第2の半導体基板で、135は当該第2のインターポーザの第1主面(図では下側の面)、136は当該第2のインターポーザの第2主面(図では上側の面)である。当該第2主面136の表面には前記第2の導電体118が、また、当該第1主面135の表面には外部接続用導電体133が設けられ、当該118と当該133とは貫通電極138により前記第2の半導体基板の厚さ方向(図では垂直方向)で接続されている。なお、図では当該貫通電極138を前記第2の半導体基板132から電気的に絶縁する構造は省略されている。また、前記第2の導電体118は、前記した配線用導電体127と同じように、当該第2のインターポーザでの配線用導電体をも兼ねている。同図(e)は、前記第2の半導体チップ116が前記第2のインターポーザ117の第2主面の表面に搭載された図である。140は当該第2の半導体チップの接続端子を、前記配線用導電体を兼ねる前記第2の導電体118へ接続するための接続手段であり、例えば、ボールグリッドアレイなどである。当該接続手段としては、これ以外に、周知のワイヤボンディングを用いても良い。141はアンダーフィルと称される樹脂層であり、接続手段140で前記第2の半導体チップ116が搭載されてから、当該接続手段の機械的強度を大きくするために設けられている。当該アンダーフィルは前記第2の半導体チップ116での発熱による膨張を吸収したり、発熱を前記第2のインターポーザ側へ放熱させる機能を有している。この放熱効果を向上させるためには、前記アンダーフィル内に空気の泡が発生しないよう、真空中でアンダーフィルを構成する樹脂を流しこむこともある。同図(e)において、18は前記第2の導電体118の表面に設けられた前記第2の金属塊である。同図では、第2の導電体の各々の表面に3個の当該第2の金属塊が配置されていることが例示されている。同図(e)において、前記外部接続用導電体133の表面には導電ボール120が配置され、プリント基板などから成る外部回路(図示せず)との電気的接続用に用いられる。同図(e)に示した構造が前記第2の半導体デバイスの構造となる。
【0079】
図17(f)は、同図(c)の前記第1の半導体デバイスを、同図(e)の前記第2の半導体デバイスに積層実装した構造断面を示している。同図(f)において、143は導電路であり、前記第1の金属塊13と前記第2の金属塊18とを対向させ、高温雰囲気中の熱処理で溶融、再凝固させることにより形成されている。当該導電路の機械的接続強度を増大させるため、当該導電路の領域に樹脂層を流し込み、アンダーフィルとしても良い。また、当該樹脂層は当該導電路の領域だけではなく、前記第1のインターポーザと前記第2のインターポーザの間の領域に流しこんでも良い。同図(f)に示されているように、前記第2の半導体チップの上側が、前記第1のインターポーザの開口形状(200)の領域に入り込んだ形態となっている。また、前記第1のインターポーザの開口形状の領域であって、前記第2の半導体チップの上側表面との間の空隙(205で示す)に、熱伝導率の大きい樹脂を充填し、前記第1の半導体チップと前記第2の半導体チップの発熱を放熱させる構成も可能である。
【0080】
なお、実施例14においては、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスとが、半導体チップとインターポーザで構成されている場合が示された。かかる構成においては、前記第1の半導体デバイスの前記第1主面は、前記第1のインターポーザの前記第1主面と同じであり、同様に、前記第2の半導体デバイスの前記第2主面は、前記第2のインターポーザの前記第2主面と同じことになる。
【0081】
図16と図17を用いて詳述した実施例13と実施例14では、共に、前記第2の半導体デバイスが前記第2の半導体チップと前記第2のインターポーザで構成されている場合が示された。しかしながら、これらの実施例では、前記第2の半導体デバイスの代替として、プリント基板あるいは半導体チップが搭載されたプリント基板などの配線基板を採用しても良い。
【実施例15】
【0082】
<半導体デバイスの実装−4>
図18は実施例15を説明する図であり、放熱効果が大きい構成に本発明を適用した例である。本実施例においては、前記第1の半導体デバイスと前記第2の半導体デバイスが共に半導体チップとインターポーザで構成され、かつ、共に「薄く加工されたインターポーザ部分」を設けることにより、放熱機構と組合せが容易になる利点がある。図18(a)において、前記第1の半導体デバイス110が、前記第2の半導体デバイス115の上に積層化された構造210が示されている。当該110を構成する第1のインターポーザ211の指定された領域212(第1の半導体チップ213が搭載される領域)は、当該インターポーザの厚さが部分的に薄く加工されている。また、当該115を構成する第2のインターポーザ216の指定された領域217(第2の半導体チップ218が搭載される領域)も、当該インターポーザの厚さが部分的に薄く加工されている。領域212の部分には、前記第2の半導体チップ218が入り込む形態になっている。さらに、前記積層構造210の下側領域(すなわち、前記217に相当)には空間219が設けられていることになる。同図(b)は前記積層構造210を配線基板220へ搭載した形態が示されている。前記した空間219には、放熱手段221が配置されている。かかる放熱手段は、熱伝導率の大きい材料(例えば、銅などの金属)の塊りで構成されていても良い。また、ヒートパイプや冷媒流路などの放熱手段を採用しても良い。本実施例では、前記第2のインターポーザの指定された領域の厚さを薄く加工することにより形成された空間219に放熱手段を組み合わせることに特徴があり、当該放熱手段を含む前記積層構造の低背化に大きく寄与できる。
【0083】
前段落までには、金属塊を接合して導電路を形成する際に、樹脂などからなるアンダーフィルを設けることにより接合強度を増大させることが記載された。本段落では、このアンダーフィルについて記載する。アンダーフィルに用いられる樹脂の種類は多く、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、導体を含有した導電性樹脂などがある。また、特定の樹脂に対しても、粘度や融点などが異なる多くのグレードが存在する。本発明では、アンダーフィルに用いられる樹脂の種類やグレードなどには限定されない。例えば、熱硬化性樹脂内にハンダ粒子を混合させた材料を所要の領域に配置し、熱処理することにより、「導電体が存在する領域には溶融したハンダ粒子が集合して再凝固し、導電体が存在しない領域には樹脂のみが残り固化する」ような材料(プリアプライ樹脂とも称されている)がある。かかる特性を有する材料を、本発明に適用すれば、金属塊の形成とアンダーフィル樹脂の充填とが同時に達成されることになり、その効果は大きい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、低背で、かつ、高密度実装を容易に達成できる実装方法を提供できる。より具体的には、半導体インターポーザの採用によるインターポーザの機械的強度の確保、少なくとも2個から成る小さい金属塊を並列的に配置することによる電気的接続性の確保、ワイヤボンディングに必要とされた高さ方向の空間の排除などで、低背化の課題を解決できた。このため、携帯電話やデジタルカメラ以外にも、車載用機器、産業用機器など広範囲な分野にわたって、機器の軽量小型化は言うに及ばず、低消費電力化、高信頼化などと両立させることができ、利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0085】
1、2 インターポーザ
3 導電ボール
4 合計した厚さ
10、30、110 第1の半導体デバイス
11、31、125、135 第1主面
12、22、113 第1の導電体
13、41、42、43、51、61、71、81、85、91、100、104
第1の金属塊
15、35、115 第2の半導体デバイスあるいは配線基板
16、126、136 第2主面
17、118 第2の導電体
18、23、52、62、72、82、86、92、101、105
第2の金属塊
20、24、25、119、143 導電路
32 金属塊
40 マスク層
83、84、87、88 長径の方向
93、94 長手方向
102、103、106、107 方向
111、213 第1の半導体チップ
112、152、190、211 第1のインターポーザ
116、218 第2の半導体チップ
117、153、216 第2のインターポーザ
120 導電ボール
121、212、217 薄く加工されたインターポーザの部分
124 第1の半導体基板
127、171、181 配線用導電体
128、138 貫通電極
130、140 接続手段
131、141、154、155、201 樹脂層(アンダーフィル)
132 第2の半導体基板
133 外部接続用導電体
144、205 空隙
150 絶縁層
151 金属層
160 第3の半導体デバイス
161、220 配線基板
170 パッド
180 窪み
200 開口形状
210 積層構造
219 空間
221 放熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続のための端子がマトリクス状に配列された表面実装型の半導体デバイスを、電気接続のための端子がマトリクス状に配列された配線基板上に搭載する実装方法であって、
前記半導体デバイスの第1主面には、該半導体デバイスを前記配線基板へ電気接続するための、少なくとも2個から成る第1の導電体が設けられ、
前記第1の導電体のそれぞれには、少なくとも2個から成る第1の金属塊が設けられ、
前記配線基板の第2主面には、該配線基板を前記半導体デバイスへ電気接続するための、少なくとも2個から成る第2の導電体が設けられ、
前記第2の導電体のそれぞれには、少なくとも2個から成る第2の金属塊が設けられ、
前記半導体デバイスと、前記配線基板とが、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の接合により電気接続されること
を特徴とする半導体デバイスの実装方法。
【請求項2】
前記半導体デバイスは、半導体チップと半導体インターポーザの積層構造で構成され、前記半導体インターポーザの前記半導体チップが配置された主面とは相対する主面に前記第1の導電体および前記第1の金属塊が配置されていること
を特徴とする請求項1に記載の実装方法。
【請求項3】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状が円形であって、かつ、
前記円形の直径と、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の配列ピッチの比が0.58を超える値であること
を特徴とする請求項1または2に記載の実装方法。
【請求項4】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状が多角形であって、かつ、
前記多角形に内接する円の直径と、前記第1の金属塊と前記第2の金属塊の配列ピッチの比が0.58を超える値であること
を特徴とする請求項1または2に記載の実装方法。
【請求項5】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状が楕円あるいは長円であって、かつ、
前記第1の金属塊を構成する前記楕円あるいは前記長円の長径と、前記第2の金属塊を構成する前記楕円あるいは前記長円の長径とが互いに交差すること
を特徴とする請求項1または2に記載の実装方法。
【請求項6】
前記第1の金属塊と前記第2の金属塊が、それぞれ、前記第1の導電体と前記第2の導電体と接する形状がストライプ状であって、かつ、
前記第1の金属塊を構成する前記ストライプと、前記第2の金属塊を構成する前記ストライプとが互いに交差すること
を特徴とする請求項1または2に記載の実装方法。
【請求項7】
半導体チップが搭載されている領域内の指定された領域の前記半導体インターポーザの厚さが、前記第1の導電体および前記第1の金属塊が配置されている領域の前記半導体インターポーザの厚さを超えないこと
を特徴とする請求項1乃至6に記載の実装方法。
【請求項8】
前記半導体インターポーザは中央部に開口形状を有し、前記開口形状の上部に半導体チップが搭載されていること
を特徴とする請求項1乃至6に記載の実装方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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