説明

半導体デバイス・電子部品の実装構造

【課題】 消費電力の大きい半導体デバイスや電子部品の発熱に伴う温度上昇を抑えて、安定に動作させることができる半導体デバイス・電子部品の実装構造を提供する。
【解決手段】 インターポーザ10と,インターポーザ10の表面10aに搭載された半導体デバイス11と、半導体デバイス11を包含するようにインターポーザ10の表面10aに密着・固定せしめられて、インターポーザ10と共に内部空間Sを形成するカバー12を備える。カバー12は、熱を吸収する流体Lを外部から内部空間Sに導入するインレット13と、流体Lを内部空間Sから外部に排出するアウトレット14とを有する。内部空間Sは、インレット13とアウトレット14を除いて閉じた空間である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス・電子部品の実装構造に関し、さらに言えば、消費電力の大きい半導体デバイスや電子部品の動作温度の上昇を抑え、半導体デバイスや電子部品を安定に動作させることができる、インターポーザを用いた半導体デバイス・電子部品の実装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコンを代表とする半導体工業分野の技術進歩は大きく、工業用、民生用を問わず、機器やシステムの小型化、軽量化、低価格化、高機能化などに大きく寄与するに至っている。一方、半導体デバイスへの要求はとどまることがなく、より一層の高集積化、高速化、高度化が期待されると共に、小型化も期待されている。これらの要求に応える策として、半導体デバイスを構成する単位素子(例えばトランジスタ)の寸法を微小化し、搭載される単位素子の数を増大させることがある。この策の利点は、微小化に伴う動作速度の増大(高速化)、高集積化に伴う機能の増大(あるいは必要とされる半導体デバイス数の減少)である。しかしながら、高速化や高集積化に伴い半導体デバイスの内部での消費電力が大きくなり、動作の不安定化あるいはデバイス自体の破壊の危険性が増大する。これらの危険性を低下させるには、半導体デバイスの放熱技術(あるいは冷却技術)が必須である。
【0003】
以前から、半導体デバイスの動作温度を低くする技術が数多く開発されてきた。例えば、大電力の半導体デバイスに放熱フィン(アルミ合金製が多い)を貼り付け、このフィンに空気の流れを吹き付けることにより、半導体デバイスを冷却する技術がある。消費電力が比較的低い(例えば数ワット)場合には、この技術で解決可能である。しかし、最新の半導体デバイスでは、消費電力がいっそう大きくなっており、コンピュータのCPUなどでは100ワット以上に達することもある。このため、このような大消費電力の半導体デバイスでは、放熱が十分でないと、半導体デバイスの温度が上昇し、熱暴走あるいは熱破壊に至ることもある。したがって、半導体デバイスの動作の上限は、放熱技術に支配されているとも言える。
【0004】
半導体デバイスを複数個積層してなる「積層モジュール」は、比較的容易に高集積化を実現できる利点がある。このような構成では、下層に配置された半導体デバイスでの電力消費は、この半導体デバイスの温度を上昇させるだけではなく、その上層に配置された半導体デバイスの温度も上昇させる。このため、積層モジュールの上層に、特性が動作温度に敏感な半導体デバイスが配置されている場合には、積層モジュール全体の動作が不安定になる可能性がある。このため、積層モジュールの場合には、消費電力が大きい半導体デバイスからの発熱が、より上層にある半導体デバイスに伝達される前に積層モジュールの外部に放出されるようにすることで、積層されている半導体デバイス間で熱伝達が生じないような実装構造が好ましい。
【0005】
積層された半導体デバイス(積層モジュール)の冷却技術としては、従来、図7に示す実装構造が提案されている。同図は、特許文献1の図1Aとして掲載されているものである。
【0006】
図7において、チップスタック110は、符号110a、110b、110cで示された3個の半導体チップの積層体から構成されている。それぞれのチップ110a、110b、110cには、エッチングで形成されたチャネル175が設けられている(図7では、符号175は代表的なチャネルを示している)。チャネル175内に流体(冷媒)を流すことにより、チップスタック110の冷却が行われるようになっている。この流体は、積層されたチップ110a、110b、110cの間に形成された狭いチャネル175内を流動する。なお、チップ110a、110b、110cが半導体基板から構成されている場合には、その厚さは通常、数100マイクロメータ以下である。
【0007】
各半導体チップ110a、110b、110cの垂直方向には、符号123で示されたTSV(Through Silicon Via, シリコン貫通電極)によって、チップ110a、110b、110c同士は相互接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/031186号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7に示した従来の半導体デバイスの実装構造では、チャネル175は、あたかも「多数の柱が林立する回廊」のように形成されており、しかも、その高さは数100マイクロメータ以下であるから、チャネル175内に流体(冷媒)を流し込むには、大きな圧力が必要であると思われる。
【0010】
また、流体の流れる方向は、図7の符号111の下側にある下向き矢印と右向き矢印で示されているが、その下向き矢印に沿ってチップスタック110の周囲に流入した流体は、右向き矢印に沿ってチップ110a、110b、110cの間にあるチャネル175内に流入するだけではなく、チップ110a、110b、110cの周囲においても流動する。上述したように、チャネル175の高さが低いことと、チップ110a、110b、110cの周囲には広い空間があることを考えると、チャネル175内のみに流体を流し込むことは困難であり、多くの流体はチップ110a、110b、110cの周囲に沿って流れてしまうと思われる。しかも、チップ110a、110b、110cに形成されたチャネル175の形状(流体が流れる方向の形状)は、チップ110a、110b、110c毎に異なるので、各層に形成されたチャネル175の全てにおいて均一な流体の流れを実現することも困難であろう。
【0011】
このような理由から、図7の従来の実装構造では、チップ110a、110b、110cの十分な冷却(あるいはチップ110a、110b、110cからの放熱)を実現することは、必ずしも容易ではない。
【0012】
さらに、チップスタック110の下層に配置されたチップ110cでの電力消費が、チップ110cの温度上昇だけでなく、それより上層に配置されたチップ110a、110bの温度上昇も引き起こすため、チップスタック110自体を冷却できるだけでなく、下層のチップ110cでの発熱が上層のチップ110a、110bに伝達し難いことが望ましい。しかし、各層に形成されたチャネル175への均一な流体の流れが実現困難なのであるから、チップ110a、110b、110c間の熱伝導を抑制することは困難である。
【0013】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、消費電力の大きい半導体デバイスや電子部品が搭載された場合であっても、その半導体デバイスや電子部品の発熱に伴う温度上昇を抑えて安定に動作させることができる半導体デバイス・電子部品の実装構造を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、2個以上の半導体デバイスを積層してなる積層モジュールの場合には、前記半導体デバイス間での熱伝導を抑制してその積層モジュールの温度上昇を抑制することができる半導体デバイス・電子部品の実装装造を提供することにある。
【0015】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1) 本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造は、
インターポーザと
前記インターポーザの表面に搭載された1個以上の半導体デバイスあるいは1個以上の電子部品と、
前記半導体デバイスあるいは前記電子部品を包含するように前記インターポーザの表面に密着して固定せしめられて、前記インターポーザと共に内部空間を形成するカバーとを備え、
前記カバーは、熱を吸収する流体を外部から前記内部空間に導入するインレットと、前記流体を前記内部空間から外部に排出するアウトレットとを有しており、
前記内部空間は、前記インレットと前記アウトレットを除いて閉じた空間であることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造は、上述のような構成を有しているので、任意の流体供給手段によって、前記カバーのインレットを介して外部から前記内部空間に熱を吸収する流体を導入すると、その流体は、前記内部空間に所在する前記半導体デバイスあるいは前記電子部品の周囲を流動し、前記カバーのアウトレットを介して外部に排出される。前記内部空間は、図7に示した従来の半導体デバイスの実装構造とは異なり、前記インレットと前記アウトレットを除いて閉じた空間であるため、前記内部空間に導入された前記流体は、前記半導体デバイスあるいは前記電子部品の周囲を満遍なく流動し、これから生じる熱を効果的に吸収してから、外部に排出される。つまり、前記カバーと前記インターポーザを介しての放熱効果に加えて、前記流体による放熱効果を効果的に利用することができるのである。
【0018】
よって、前記半導体デバイスあるいは前記電子部品が消費電力の大きいものであっても、その半導体デバイスや電子部品の発熱に伴う温度上昇を抑えて安定に動作させることができる。
【0019】
また、前記半導体デバイスあるいは前記電子部品が、2個以上の半導体デバイスを積層してなる積層モジュールの場合には、任意の流体供給手段によって、前記カバーのインレットを介して外部から前記内部空間に熱を吸収する流体を導入することで、前記積層モジュールと前記インターポーザの間の隙間と、前記積層モジュールと前記カバーの間の隙間だけでなく、前記積層モジュール中の半導体デバイス間の隙間内にも、前記流体を流動させることができる。したがって、前記積層モジュール中の半導体デバイス間での熱伝導を抑制することができる。
【0020】
よって、前記半導体デバイスあるいは前記電子部品が、2個以上の半導体デバイスを積層してなる積層モジュールの場合には、その積層モジュール中の半導体デバイス間での熱伝導を抑制して、その積層モジュールの温度上昇を抑制することができる。
【0021】
(2) 本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造の好ましい例では、前記流体を加圧して前記内部空間に導入する手段(例えばポンプ)をさらに備える。
【0022】
(3) 本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造の他の好ましい例では、前記カバーが取付脚を有していると共に、前記インターポーザが取付脚受部を有しており、前記カバーの取付脚を前記インターポーザの前記取付脚受部に密着することで、前記カバーが前記インターポーザに装着される。
【0023】
(4) 本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造のさらに他の好ましい例では、前記カバーが、枠と蓋から構成される。この例では、必要に応じて、前記枠と前記蓋を異なる材料で形成することができるという利点がある。
【0024】
(5) 本明細書では、関連する用語を下記のように定義する。
【0025】
・半導体デバイス: 以下の(i)と(ii)を含む半導体デバイス全般を指す。
【0026】
(i) ウェーハプロセスが完了し、半導体ウェーハから切り出された半導体チップ(ベアチップ)。当該半導体チップには、少なくとも1個のトランジスタ、ダイオードなどの半導体素子が配置された、いわゆる集積回路のチップを含む。
【0027】
(ii) パッケージングされた上記の半導体チップ。ボールグリッドアレイ(BGA)、チップサイズパッケージ(CSP)などと称される、種々のパッケージでパッケージングされたものが含まれる。
【0028】
・積層モジュール: 2個以上の前記半導体デバイスが積層された構造である。(積層構造を構成する各層の間の相互接続の手法には、ワイヤボンディング、貫通電極(TSV)などがあるが、その手法は問わない。
【0029】
・電子部品: 受動素子とも称されている部品で、抵抗、キャパシタ(コンデンサ)、インダクタ(コイル)などがある。単一の素子(個別部品)を複数個組み合わせた構成(例えば、モジュール抵抗)もある。また、特定の機能を有するセンサやアクチュエータも、電子部品に含まれる。さらには、信号処理回路、駆動回路などが集積化された前記センサや前記アクチュエータも、電子部品に含まれる。
【0030】
・インターポーザ: 前記半導体デバイス、前記積層モジュール、あるいは前記電子部品などを搭載する「基板」である。インターポーザの表面には、前記半導体デバイス、前記積層モジュール、あるいは前記電子部品に設けられた電気接続点(パッドとも称される)に接続される電気接続点が形成されている。また、インターポーザの裏面には、プリント基板などに電気接続される電気接点(例えば、グリッド状に配列された導電性のボール)が形成されている。インターポーザの表裏面にそれぞれ形成された前記電気接続点および前記電気接点の間には、導電路が設けられていることが多い。さらに、インターポーザの表裏面には、「再配線層」と称される配線パターンが設けられていることも多い。なお、前記した積層モジュールには、この積層モジュールを構成する半導体デバイスの間に、「上下に配置された半導体デバイス間に電気導電路を形成する」ための「配線基板」が挿入されることがあり、この「配線基板」も「インターポーザ」と称することがある。しかしながら、本明細書では、この「配線基板」は「インターポーザ」に含まれないことにする。
【0031】
・流体: 気体あるいは液体であり、熱伝導で熱を吸収することにより、放熱あるいは排熱効果を有するものである。このような機能を有する流体は、「冷媒」とも称される。具体例としては、(i)フロン類・ノンフロン類(多用されており、種類が多い)、(ii)有機化合物であるブタン、イソブタンなど、(iii)無機化合物である水素、ヘリウム、アンモニア、水、二酸化炭素などがある。
【0032】
前記カバーの形状は、前記半導体デバイスあるいは前記電子部品の外観形状に依存するが、直方体(立方体を含む)であることが好ましい。直方体の頂点と稜(面と面とが交わる線分)は、滑らかであっても構わない。前記カバーに形成されたインレットとアウトレットの位置には、多くの選択肢がある。例えば、(a)インレットとアウトレットをそれぞれ「対向する面」に配置する、(b)インレットとアウトレットをそれぞれ「対向する面」に配置し、かつ、それぞれの「水平位置」が上下にずれるように配置する、(c)インレットとアウトレットを「上面」に配置する、(d)インレットとアウトレットを「上面」に配置し、かつ、それぞれが前記「上面」の対向する隅(前記カバーの頂点)に近接するように配置する、などである。インレットとアウトレットの位置は、前記流体の流れが円滑であり、且つ、前記半導体デバイスあるいは前記電子部品で発生する熱を効率的に吸収できるように決定される。
【0033】
前記カバーと前記半導体デバイス(複数の半導体チップが積層化されている積層モジュールの場合には、最上部の半導体デバイス)との間に、熱良導体からなる部材を挟み込んでもよい。熱良導体の部材の使用により、前記半導体デバイスで発生した熱は、前記流体のみで前記カバー外部へ放熱するだけではなく、半導体デバイス→熱良導体→前記カバーの上部→前記カバーの上方空間という経路でも放熱され、有利である。また、前記熱良導体の部材の弾性率を大きくした場合、例えば、熱伝導率が大きく且つ柔かい(弾性を持つ)樹脂材料で形成した場合には、前記部材がクッションとして機能するから、前記カバーを前記インターポーザの表面に密着させた時に、前記半導体デバイスが前記インターポーザに押し付けられることになり、その結果、前記半導体デバイスと前記インターポーザの電気接続特性を改善することが可能となる。
【0034】
前記カバーの材質としては、金属、樹脂などが使用できる。冷却(放熱)効果の増大を望むならば、金属材料で前記カバーを形成することが好ましいが、この限りではない。樹脂材料で前記カバーを形成する場合は、冷却(放熱)効果の増大のために、前記カバーの表側もしくは裏側、あるいは、表側および裏側の面に、金属層を設けてもよい。
【0035】
前記カバーは、一体構造として形成して、前記インターポーザの表面に直接、密着して固定してもよい。前記カバーを前記インターポーザの表面に密着させるためには、接着剤(固化時に発生するガスが前記半導体デバイスあるいは前記電子部品の特性に悪影響を与えないことが好ましい)を用いてもよい。また、前記カバーが金属材料である場合には、前記インターポーザの表面に設けられた金属層との間で金属・金属接合(例えば、溶接、半田付けなど)させてもよい。
【0036】
前記カバーは、複数の構成部品から構成し、これら構造部品を合体させる(組み立てる)ことで、前記カバーとなるようにしてもよい。例えば、前記インレットと前記アウトレットが配置された「蓋」(平板状である)と、前記カバーの側面部を形成する「枠」とを組み合わせて、前記カバーを構成する。この構成例では、前記枠の下面を前記インターポーザの表面に密着させ、かつ、前記枠の上面を前記蓋の下面に密着させる。前記枠の材料は、前記カバーと同一とは限らない。例えば、前記蓋は金属材とし、前記枠は樹脂あるいはガラスとするといった組合せがある。
【0037】
前記蓋と前記枠の密着接合、および、前記枠と前記インターポーザの表面との密着固定には、接着剤(固化時に発生するガスが前記半導体デバイスあるいは前記電子部品の特性に悪影響を与えないことが好ましい)を用いてもよい。前記蓋と前記枠とが共に金属材料である場合には、金属・金属接合(例えば、溶接、半田付け)させてもよい。前記蓋が金属(例えば、アルミニウム)、前記枠がガラスの場合には、静電接合(金属とガラスの接着法)を用いてもよい。前記枠が金属材料であれば、前記インターポーザの表面に設けられた金属層との間で、金属・金属接合(例えば、溶接、半田付け)させてもよい。前記枠がガラス、前記インターポーザの表面が金属(あるいは逆の組合せ)の場合には、静電接合を用いてもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造によれば、消費電力の大きい半導体デバイスや電子部品が搭載された場合であっても、その半導体デバイスや電子部品の発熱に伴う温度上昇を抑えて安定に動作させることができる。また、2個以上の半導体デバイスを積層してなる積層モジュールの場合には、前記半導体デバイス間での熱伝導を抑制してその積層モジュールの温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造を示す断面説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造を示す、図3のA−A線に沿った断面説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造において、カバーをインターポーザから分離した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造を示す、図5のB−B線に沿った断面説明図である。
【図5】本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造の第3実施形態において、カバーと枠とインターポーザを相互に分離した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造を示す説明図である。
【図7】従来の半導体デバイスの実装構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して、本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造の好適な実施形態を説明する。
【0041】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造を図1に示す。
【0042】
図1において、10はインターポーザ、11はインターポーザ10の表面10aに搭載された半導体デバイス、12はインターポーザ10の表面10aに密着して固定されたカバーである。カバー12は、半導体デバイス11を包含する(包み込む)形状を有しており、ここでは、下面を開放した略直方体の箱状である。インターポーザ10とカバー12とにより、略直方体の内部空間Sが形成されており、半導体デバイス11はその内部空間Sに所在している。カバー12は、熱を吸収する流体Lを外部から内部空間Sに導入するためのインレット13と、流体Lを内部空間Sから外部に排出するためのアウトレット14とを有している。内部空間Sは、インレット13とアウトレット14を除いて閉じた空間である。
【0043】
矢印15は、外部からインレット13へ流入する流体Lの流れを示す。矢印16は、アウトレット14から外部に流出する流体Lの流れを示す。インレット13には、矢印15で示すように流体Lが流れ込み、内部空間Sに入る。流体Lは、内部空間Sを流動した後、矢印16で示すようにアウトレット14から流れ出る。
【0044】
インレット13とアウトレット14には、それぞれ、樹脂製あるいは金属製の管T1とT2の一端が接続されている。管T1の他端と管T2の他端は、それぞれ、流体Lに所定圧力を加えてインレット13に供給するポンプPの送出口と復帰口に接続されている。流体Lの加圧機構としては、流体Lに所定圧力を加えてインレット13に供給するものであればよく、ポンプ以外も使用可能である。
【0045】
熱を吸収する流体Lは、管T1を介して、ポンプPにより所定圧力をもってカバー12の内部空間Sに送り込まれる。送り込まれた流体Lは、管T2を介してポンプPまで戻される。流体Lは、このようにして、ポンプP→管T1→内部空間S→管T2→ポンプPと循環する。流体Lは、内部空間Sにおいて半導体デバイス11から生じた熱を吸収し、また、吸収した熱を外部を流動する間に自然放散する。半導体デバイス11から生じた熱は、こうしてカバー12の外部に放散せしめられる。このため、インレット13に供給される際には、流体Lは冷却されている。
【0046】
流体Lは、半導体デバイス11で発生した熱を吸収してこれを冷却できるような性質を有しているものが好ましい。このような流体Lの例としては、(1)フロン類・ノンフロン類、(2)ブタン、イソブタンなどの有機化合物、(3)水素、ヘリウム、アンモニア、水、二酸化炭素などの無機化合物がある。いずれも「冷媒」とも称されているが、本実施形態においては、冷媒の種類に限定されることはない。
【0047】
本第1実施形態では、冷却効果を上げるために、インレット13はインターポーザ10に相対的に近い位置(図面の下位)に配置され、アウトレット14はインターポーザ10から相対的に遠い位置(図面の上位)に配置されている。
【0048】
インターポーザ10は、プリント基板あるいは半導体材料等で形成されることができる。インターポーザ10の表面10aと裏面10bには、それぞれ、複数の配線層から成る配線構造10cと10dが設けられている。インターポーザ10の裏面10bにある配線構造10dの外面には、プリント基板(図示せず)等に電気接続するための複数の導電性ボール17(これらは電気接点を構成する)が設けられており、これらのボール17はボールグリッドアレイを構成している。インターポーザ10の表面10aにある配線構造10cの外面には、半導体デバイス11を電気接続するための複数の導電性ボール18c(これらは電気接続点を構成する)が設けられており、これらのボール18cもボールグリッドアレイを構成している。
【0049】
本第1実施形態では、半導体デバイス11は、3個のチップ状半導体デバイス(半導体チップ) が積層化された積層モジュールとされている。この積層モジュールは、最上層にある第1半導体チップ11aと、中間層にあって貫通電極が内部に形成された第2半導体チップ11bと、最下層にあって貫通電極が内部に形成された第3半導体チップ11cとから構成されている。
【0050】
最下層の第3半導体チップ11cは、複数の導電性ボール18cによって、インターポーザ10の表面10aにある配線構造10cに電気接続されている。第3半導体チップ11cとインターポーザ10の表面10aの配線構造10cとの間には、隙間があいている。
【0051】
中間層の第2半導体チップ11bは、複数の導電性ボール18bによって、最下層の第3半導体チップ11cに電気接続されている。第2半導体チップ11bと第3半導体チップ11cの間に配置されたボール18bは、ボールグリッドアレイを構成している。第2半導体チップ11bと第3半導体チップ11cとの間にも、隙間があいている。
【0052】
最上位の第1半導体チップ11aは、複数の導電性ボール18aによって、中間層の第2半導体チップ11bに電気接続されている。第1半導体チップ11aと第2半導体チップ11bの間に配置されたボール18aも、ボールグリッドアレイを構成している。第1半導体チップ11aと第2半導体チップ11bとの間にも、隙間があいている。
【0053】
このように、第1〜第3の半導体チップ11a、11b、11c同士は、ボールグリッドアレイで相互接続されており、第3半導体チップ11cとインターポーザ10も、ボールグリッドアレイで相互接続されており、それらの相互接続領域には隙間があるので、流体Lはこれらの隙間を通って流動することが可能である。しかし、これらの隙間には、必要に応じて、樹脂などの物質(アンダーフィラと呼ばれる)が充填されていてもよい。この場合、流体Lはこれらの隙間を通って流動できない。
【0054】
図1に示した半導体デバイス11の構成は、一例であり、本発明はこの構成に限定されない。例えば、半導体デバイス11を構成する第1〜第3の半導体チップ11a、11b、11cがボンディングワイヤを用いて電気接続された積層モジュールでもよい。さらに、1個の半導体チップ(半導体デバイス)がインターポーザ10の表面10aに搭載されていてもよいし、2個以上の半導体チップ(半導体デバイス)がインターポーザ10の表面10aに搭載されていてもよい。また、半導体デバイス11に代えて、1個あるいは2個以上の電子部品がインターポーザ10の表面10aに搭載されていてもよい。
【0055】
図7に示した従来の半導体デバイスの実装構造では、極度に狭い空間(例えば、半導体チップ11aと11bの間の隙間に相当する空間であり、100マイクロメータ以下であることが多い)に流体を流し込むようにしているが、本第1実施形態では、半導体デバイス11としての積層モジュールの周囲に流体Lを流し込むようにしている点で、両者は異なっている。本第1実施形態では、カバー12の内側の広い内部空間Sに流体Lを流し込むようにしているため、流体Lの所望の流れを容易に実現することができる。内部空間Sの大きさは、半導体デバイス11とカバー12の大きさに依存するが、数ミリメータ程度に設定することは容易である。
【0056】
本第1実施形態において、第1〜第3の半導体チップ11a、11b、11cの間にアンダーフィラが充填されている場合には、流体Lが半導体チップ11aと11bの間の隙間と、半導体チップ11bと11cの間の隙間に流れ込むことはない。しかし、これらの隙間にアンダーフィラが充填されていない場合には、流体Lの一部がこれらの隙間に流れ込む。ただし、これらの隙間に流れ込む流体Lの量は少ないので、放熱効果の一部として寄与するに過ぎない。
【0057】
第3半導体チップ11cとインターポーザ10の間の隙間についても、同様に、アンダーフィラが充填されていない場合には、流体Lの一部がこの隙間に流れ込み、放熱効果に寄与する。
【0058】
熱の吸収を効果的にするため、カバー12を金属材料で作成し、カバー12と半導体デバイス11(より具体的には最上位の第1半導体チップ11a)との間に熱良導体を挟み込むことも可能である。熱良導体を挟み込むことにより、半導体デバイス11で発生した熱は、流体Lによってカバー12の外部に放熱されるだけでなく、半導体デバイス11→熱良導体→カバー12の上蓋部→カバー12の上方空間という経路で放熱されることができる。この構成では、熱良導体の存在のため、第1半導体チップ11aとカバー12との間の隙間に流体Lが流れることがなく、流体Lは半導体デバイス11の側面だけに沿って流れることになる。
【0059】
前記熱良導体の材料としては、弾性率の大きい材料、例えば、熱伝導率が大きく且つ柔かい(弾性のある)樹脂材料を選択することができる。この場合、この熱良導体がクッションとして機能するので、カバー12をインターポーザ10の表面10aに密着して固定する時に、半導体デバイス11とインターポーザ10との電気接続特性を改善することが可能となる。
【0060】
カバー12の材質としては、金属、樹脂などが使用可能である。カバー12の表面からの冷却効果を増大させる場合には、金属材料を使用するのが好ましい。例えば、薄い金属板を折り曲げ加工あるいは絞り加工してカバー12を形成する場合には、カバー12の稜は角張らずに滑らかになる。図1では角張った稜が例示されているが、稜や頂点が滑らかであっても構わない。また、鋳造、ロストワックスなどの型技術を用いて金属製のカバー12を作製することも可能である。カバー12を樹脂で作製する場合は、カバー12の表側もしくは裏側、あるいは、表側および裏側の両面に金属層を付着させることで、放熱効果を上げることが可能である。
【0061】
カバー12をインターポーザ10の表面10aに密着して固定する際には、接着剤が利用できる。カバー12が金属材料であり、インターポーザ10の表面10aの配線構造10cが金属層を含んでいる場合には、半田付けや溶接といった金属・金属接合技術も利用できる。
【0062】
以上説明したように、本第1実施形態の半導体デバイスの実装構造は、上述のような構成を有しているので、ポンプPによって、カバー12のインレット13を介して外部から内部空間Sに熱を吸収する流体Lを導入すると、その流体Lは、内部空間Sに所在する半導体デバイス11の周囲を流動し、カバー12のアウトレット14を介して外部に排出される。内部空間Sは、図7に示した従来の半導体デバイスの実装構造とは異なり、インレット13とアウトレット14を除いて閉じた空間であるため、内部空間Sに導入された流体Lは、半導体デバイス11の周囲を満遍なく流動し、これから生じる熱を効果的に吸収してから、外部に排出される。つまり、カバー12とインターポーザ10を介しての外部への放熱効果に加えて、流体Lによる放熱効果を効果的に利用することができるのである。
【0063】
よって、半導体デバイス11が消費電力の大きいものであっても、半導体デバイス11の発熱に伴う温度上昇を抑えて安定に動作させることができる。
【0064】
また、半導体デバイス11が、3個の半導体チップ11a、11b、11cを積層してなる積層モジュールであるため、ポンプPによって、カバー12のインレット13を介して外部から内部空間Sに熱を吸収する流体Lを導入することで、前記積層モジュールとインターポーザ10の間の隙間と、前記積層モジュールとカバー12の間の隙間だけでなく、前記積層モジュール中の半導体チップ11a、11b、11cの間の隙間にも、流体Lを流動させることができる。したがって、前記積層モジュール中の半導体チップ11a、11b、11cの間での熱伝導を抑制して、その積層モジュールの温度上昇を抑制することができる。
【0065】
(第2実施形態)
図2及び図3は、本発明の第2実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造を示す。両図において、図1に示した第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造と同一番号は、同一構成要素を示している。
【0066】
カバー12の底部には、取付脚20が設けられており、インターポーザ10の表面10aには、取付脚20を受け止めるための取付脚受部21が設けられている。図3の太い矢印で示すように、カバー12は、その取付脚20をインターポーザ10の取付脚受部21に密着させることで、インターポーザ10の表面10aに固定されている。この点以外は、上述した第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造と同じ構成であるから、その説明は省略する。
【0067】
取付脚20は、カバー12に含まれるが、必ずしもカバー12と一体的に形成されるとは限らない。カバー12の取付脚20を除く部分(カバー本体といい、インレット13とアウトレット14を含む)と、取付脚20とを、別個に作成してから、両者を一体化してもよい。また、最初からカバー本体と取付脚20を一体的に形成してもよい。ここでは、取付脚20は、略直方体の箱状のカバー本体(下面が開放されている)の底部の4個の端縁にそれぞれ接続された4個の矩形部材から構成されており、全体として帽子の鍔のような形状をしている。しかし、取付脚20は、カバー12の底部をインターポーザ10の表面10aに密着して固定できるものであれば、これ以外の構成でもよいことは言うまでもない。
【0068】
取付脚受部21は、インターポーザ10の表面10aの取付脚20に対応する箇所に形成されていればよい。取付脚受部21は、インターポーザ10の表面10aに形成されている配線構造10cの一部として形成してもよいし、その配線構造10cとは別個に形成してもよい。
【0069】
次に、取付脚20と取付脚受部21との接続について記載する。この接続に要求される事項としては、機械的な接着強度、流体Lが漏れ出さないための密閉性、高温雰囲気での特性維持(接着強度や、熱膨張係数の差がある場合の密閉性の維持)、流体Lに対する耐腐食性などがある。これらの要求事項を満たす取付脚20と取付脚受部21の材料としては、多くの選択肢がある。以下に、いくつかの例を列挙する。
【0070】
(a)取付脚=金属、取付脚受部=樹脂
例えば、インターポーザ10が樹脂製であり、取付脚受部21がインターポーザ10の表面10aの配線構造10cが形成されていない領域(すなわち、インターポーザ10を形成する樹脂が露出している領域)に設けられている場合である。この場合、取付脚20と取付脚受部21との接続には、エポキシ系などの接着剤が利用できる。一般に、接着剤は乾燥過程でガスを発生することが多いが、このガスによる腐食などが発生しないよう、接着剤の材質を選択することが必要である。
【0071】
(b)取付脚=金属、取付脚受部=酸化膜などの絶縁物
例えば、インターポーザ10がシリコンなどの半導体製であり、取付脚受部21がインターポーザ10の表面10aに露出した酸化膜などの絶縁物で形成されている場合である。この場合、取付脚20と取付脚受部21との接続には、(a)で述べた接着剤が使用可能である。
【0072】
(c)取付脚=樹脂、取付脚受部=樹脂
この場合には、取付脚20と取付脚受部21との接続に(a)で述べた接着剤が使用可能であるが、取付脚20の素材および取付脚受部21の素材との相性を考慮する必要がある。接着剤の種類によっては、特定の素材に対して接着力が低下することが知られているからである。また、プライマなどを併用することで、接着力を増強してもよい。
【0073】
(d)取付脚=金属、取付脚受部=金属
例えば、インターポーザ10の表面10aの配線構造10cを取付脚受部21として利用する場合である。この場合には、(a)で述べた接着剤を使用可能であるが、金属・金属接合を利用することも可能である。例えば、半田付けや溶接である。また、この場合には、取付脚20と取付脚受部21を構成する素材に対応して、適切な金属・金属接合技術を適用することができる。
【0074】
(e)取付脚=金属、取付脚受部=ガラス(または、取付脚=ガラス、取付脚受部=金属)
この場合には、(a)で述べた接着剤が使用できるほか、静電接合技術が適用可能である。
【0075】
なお、図2では、インレット13の位置とアウトレット14の位置が、インターポーザ10の表面10aから同じ高さに設定されているが、これに限定されない。例えば、図1の第1実施形態のように、インレット13が相対的に低い位置(インターポーザ10に近い位置)に配置され、アウトレット14が相対的に高い位置(インターポーザ10から遠い位置)に配置されてもよい。
【0076】
以上説明したように、本発明の第2実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造では、第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造と同じ効果を有すると共に、カバー12のインターポーザ10の表面への密着・固定が容易であるという効果がある。
【0077】
(第3実施形態)
図4及び図5は、本発明の第3実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造を示す。両図において、図1に示した第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造と同一番号は、同一構成要素を示している。
【0078】
本第3実施形態では、カバー32が矩形の枠31と矩形の蓋30とから構成されており、インレット13とアウトレット14が蓋30に形成されている点で、上述した第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造とは異なっている。蓋30は、枠31の頂部に接続されて一体化されている。カバー32は、枠31の底部をインターポーザ10の表面10aに密着して固定させることで、その表面10aに固定されている。
【0079】
このように、本第3実施形態では、カバー32が一体で作成されることなく、蓋30と枠31とを別個に形成し、両者を一体化させることで、カバー32を構成している点で、上述した第1及び第2実施形態とは異なる。蓋30と枠31は、同じ材料で形成されてもよいが、必要に応じて互いに異なる材料で形成される。通常、蓋30は金属などの材料で形成される。枠31は金属、樹脂、ガラスなどから形成される。
【0080】
枠31の底部は、インターポーザ10の表面10aに密着して固定されている。枠31の頂部は、蓋30の裏面に接合されている。インレット13とアウトレット14は、蓋30の表面側に突出して形成されている。
【0081】
蓋30と枠31との接合、および、枠31とインターポーザ10との接合には、それぞれの素材に応じて、上記した多くの技術が適用可能である。好ましい例では、蓋30を金属、枠31をガラス、インターポーザ10を樹脂(すなわち、樹脂製インターポーザ)で形成してから、蓋30と枠31とを静電接合で一体化してカバー32を形成し、また、接着剤などを用いてカバー32(すなわち枠31)をインターポーザ10の表面10aに密着・固定する。
【0082】
蓋30に形成されたインレット13とアウトレット14は、流体Lが上下方向に流動するように、垂直方向に立てて配置されている。この構成では、インレット13とアウトレット14にそれぞれ接続される管T1及びT2(これらは金属製あるいは樹脂製が多い)は、インターポーザ10に対して垂直に立てて配置される。一般に、インターポーザ10が配置されるプリント基板(図示せず)には、多くの半導体デバイスや電子部品などが高密度に実装されているので、これらの管T1及びT2が当該プリント基板に対して垂直になるように配置することが好ましい場合があることを、考慮したものである。
【0083】
以上説明したように、本発明の第3実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造では、第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造と同じ効果を有すると共に、カバー32のインターポーザ10の表面への密着・固定が容易であり、また、インターポーザ10が配置されるプリント基板上に半導体デバイス等が高密度で実装されている場合にも対応可能であるという効果がある。
【0084】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造を示す。同図において、図4及び図5に示した第3実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造と同一番号は、同一構成要素を示している。
【0085】
本第4実施形態では、図6に示すように、カバー42が、インレット13とアウトレット14を備えた蓋40と、第3実施形態で使用された枠31とから構成されている。蓋40は、枠31の頂部に接続されて一体化されている。カバー42は、枠31の底部をインターポーザ10の表面10aに密着して固定させることで、その表面10aに固定されている。
【0086】
本第4実施形態では、上述した第3実施形態とは異なり、インレット13とアウトレット14が蓋40に対して横方向に延在するように取り付けられている。すなわち、流体Lが、インターポーザ10の表面10aに沿って水平方向に流れるようになっている。この構成では、インレット13とアウトレット14に接続される管T1及びT2が、インターポーザ10の表面10aに平行に配置されるので、インターポーザ10に対して垂直方向に実装用空間を確保することが可能である。このため、インターポーザ10に対して垂直方向の実装密度を高めることが容易である。
【0087】
以上説明したように、本発明の第4実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造では、第1実施形態の半導体デバイス・電子部品の実装構造と同じ効果を有すると共に、カバー42のインターポーザ10の表面への密着・固定が容易であり、また、インターポーザ10に対して垂直方向の実装密度を高めることが容易であるという効果がある。
【0088】
(変形例)
図4および図6に示したインレット13とアウトレット14の取付(延在)方向は、例示であり、本発明はこれらに限定されない。例えば、インレット13が水平方向、アウトレット14が垂直方向といった組合せでもよい。さらに、インレット13あるいはアウトレット14、あるいはインレット13およびアウトレット14の双方が、斜め方向に取り付けられていてもよい。
【0089】
また、インレット13およびアウトレット14の水平面内での取付(延在)方向も、任意に設定してよい。すなわち、インレット13およびアウトレット14の取付(延在)方向は、半導体デバイス11の搭載されたインターポーザ10が配置されるプリント基板(上記第3実施形態を参照)上で、インターポーザ10がどのような位置に配置されるかに応じて、管T1及びT2の引き回しが容易となるように決定されることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造は、放熱を容易にする実装分野だけに止まらず、半導体デバイスを遮蔽する分野にも利用可能である。例えば、光を用いた信号伝送系において、外部からの光が雑音として当該系に混入し、正常な伝送動作を妨げる場合である。このような場合、本発明の半導体デバイス・電子部品の実装構造は、放熱と光遮断の両面で有効である。
【符号の説明】
【0091】
10 インターポーザ
10a インターポーザの表面
10b インターポーザの裏面
10c インターポーザの表面の配線構造
10d インターポーザの裏面の配線構造
12 カバー
11 半導体デバイス
11a 半導体チップ(チップ状半導体デバイス)
11b 半導体チップ(チップ状半導体デバイス)
11c 半導体チップ(チップ状半導体デバイス)
12 カバー
13 インレット
14 アウトレット
15 矢印
16 矢印
17 導電性ボール
18a 導電性ボール
18b 導電性ボール
18c 導電性ボール
20 取付脚
21 取付脚受部
30 蓋
31 枠
32 カバー
40 蓋
42 カバー
L 流体
P ポンプ
S 内部空間
T1 管
T2 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターポーザと
前記インターポーザの表面に搭載された1個以上の半導体デバイスあるいは1個以上の電子部品と、
前記半導体デバイスあるいは前記電子部品を包含するように前記インターポーザの表面に密着して固定せしめられて、前記インターポーザと共に内部空間を形成するカバーとを備え、
前記カバーは、熱を吸収する流体を外部から前記内部空間に導入するインレットと、前記流体を前記内部空間から外部に排出するアウトレットとを有しており、
前記内部空間は、前記インレットと前記アウトレットを除いて閉じた空間であることを特徴とする半導体デバイス・電子部品の実装構造。
【請求項2】
さらに、前記流体を加圧して前記内部空間に導入する手段を備えている請求項1に記載の半導体デバイス・電子部品の実装構造。
【請求項3】
前記カバーが取付脚を有していると共に、前記インターポーザが取付脚受部を有しており、
前記カバーの取付脚を前記インターポーザの前記取付脚受部に密着することで、前記カバーが前記インターポーザに装着されている請求項1または2に記載の半導体デバイス・電子部品の実装構造。
【請求項4】
前記カバーが、前記インターポーザの表面に密着して固定せしめられた枠と、その枠に接合された蓋とから構成されており、
前記インレットと前記アウトレットが前記蓋に設けられている請求項1または2に記載の半導体デバイス・電子部品の実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−138473(P2012−138473A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290003(P2010−290003)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(503456832)株式会社ザイキューブ (36)
【Fターム(参考)】