説明

半導体デバイス検査装置

【課題】 電子ビームの照射により生じる基板電流を検出する技術をさらに改善し、コンタクトホールの詳細な形状や半導体デバイスの内部状態を非破壊で検査する。
【解決手段】 平行電子ビーム2を試料5に照射して試料5に流れる電流を電流計9により測定する。電子ビーム2の加速電圧を変えて測定を繰り返し、データ処理装置10において、加速電圧の違いによる試料5への電子ビーム2の透過率の違いに基づく電流値の違いから、試料5の深さ方向の構造に関する情報を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子ビームを用いた半導体デバイスの検査に関し、特に、電子ビームの照射に伴って被検査試料に生じる電流を測定することによる半導体デバイスの検査に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリー等の半導体装置には一般に、下部の能動素子と上部の配線層との間を結ぶコンタクトホールあるいはバイアホールが形成されている。コンタクトホールは、酸化膜などの絶縁膜を反応性イオンエッチングによって掘り、表面から下地基板まで届く貫通穴としたものである。エッチングの条件を最適化するためには、コンタクトホールの外観形状やコンタクトホール内部の形状あるいはコンタクトホール底の状態を検出する事が必要とされている。
【0003】
コンタクトホール径はミクロンオーダー以下の大きさなので、可視光はコンタクトホール底まで入射する事が出来ず、光学的手法でその良否を検出する事は困難である。このため、検査装置として主に、微細構造の解析に向いた走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)が利用されている。SEMでは、数十KeVに加速され、かつ数nmに絞られた電子ビームをコンタクトホール領域に当て、当てられた領域に生じる二次電子を二次電子検出装置によって検出し、画像を形成する。電子ビームを照射された試料は構成原子に応じた量の二次電子を発生するが、一般にSEMでは二次電子検出器が特定の方向に配置されており、全ての二次電子を検出するわけではない。このため、試料に凹凸があると、同じ材料でも、二次電子が検出される場合とそうで無い場合が生じ、コントラストが生じる。このことが、同一物質からなる検査対象がコントラストを生じる理由であり、かつ、SEMの特徴となっている。
【0004】
一方、コンタクトホールあるいはスルーホールでは、電気的コンタクトがコンタクトホール底で取られることから、コンタクトホール開口部の形状はもとより、コンタクトホール底の形状およびその表面状態が大変重要である。近年の高密度化、多層化によって、アスペクト比率が10を超えるようなコンタクトホールを形成するエッチングでは、プロセス条件によっては、同一開口部直径を持つ場合でも、内部の直径が異なる場合がある。このようなコンタクトホール内部寸法のバラツキはデバイスの特性に大きな影響を与えるため、コンタクトホール全体が同じ寸法になるようにプロセス担当者はプロセスを制御する必要がある。また、これらバラツキは実際の製品で起ることがあってはいけないので、製品を検査対象とすることが必要で、この両者を非破壊で検出できる技術が大変重要である。
【0005】
図4および図5はSEMを用いた例を示し、それぞれ、(a)が検査方法、(b)が検査結果の例を示す。図4は円柱状のコンタクトホールの検査例、図5はテーパー状のコンタクトホールの検査例である。SEMによる検査では、電子ビーム31を走査しながら被検査試料に照射し、被検査試料から生じた二次電子32を二次電子検出器33により検出する。
【0006】
被検査試料の構造が、図4(a)に示すように、酸化膜等の絶縁膜41が下地基板42上に設けられ、この絶縁膜41に開口部から垂直にエッチングが行われて、開口部とほぼ同一の直径で円柱状のコンタクトホール43が形成されているものとする。この場合、二次電子はエネルギーが小さいので周囲が広く開いていないと検出器に届き難く、二次電子量の測定値は図4(b)に示すようになる。すなわち、得られる二次電子像は、コンタクトホール46の開口部に対応して急激に暗くなる。これにより、そこにコンタクトホールが在ることがわかる。
【0007】
一方、図5(a)に示すように、コンタククトホール44の形状が、穴の奥に行くほど直径が小さくなって開口径とは異なった直径となるテーパー状であるとする。この場合には、検出器の位置によってテーパー部からの二次電子が観測されることはあるものの、コンタクトホール44は実際にはアスペクト比が高く、ホール内壁からの二次電子は、図5(c)に示すように、ほとんど観測できないのが実情である。したがって、コンタクトホール44の形状やその底の情報が二次電子像に反映されるわけではない。
【0008】
図5(a)に示したようなテーパー状コンタクトホールは、開口部は良好であっても、底に行くに連れて先が細くなり、設計目標とは異なった穴径となってコンタクト抵抗が増大し不良となってしまうことがある。しかし、SEMによる検査では、コンタクトホールの形状が円柱状であってもテーパー状であっても、得られる検出像は開口部のところで急速に像が暗くなり、底の情報は反映されずに同じような像となってしまう。このため、通常のSEMでは両者を区別することができないのが実情である。
【0009】
コンタクトホール内あるいはその底を検査する方法としては、試料のコンタクトホールの中心部分を縦に切断して断面を観察する方法が採用されている。この方法は、コンタクトホール中心で正確に真っ二つに割る等高等な技術が必要で、現在のコンタクトホール径が数千Åのオーダーであることを考慮すると、コンタクトホール中心部を良品判定に必要な1割の精度で割ることは事実上不可能である。また、破壊観察であり、製品が直接見られない上に、大変な手間と時間を必要とする。
【0010】
このような課題を解決する手段として、コンタクトホールを通過して基板に達した電子ビームにより生じる電流を検出し、コンタクトホールの底部の位置や寸法を検出することが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、他の技術として、電子ビームではなくイオンビームを照射して二次電子像を観測することが開示され、イオンビームの照射に伴って発生する基板電流を測定することが記載されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
また、類似技術として、マスク位置合わせズレ測定用パターンを形成し、電子ビームを照射したときに生じる基板電流によりマスク位置合わせズレ量を求めることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、他の技術として、複数のコンタクトホールを含む領域に電子ビームを照射し、それらのホールを貫通した電流値により、その領域内における正常なコンタクトホールの割合を検査することが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0012】
さらに、基板電流を測定することで膜厚を知ることも可能であり、パルス状の電子ビームを照射したときの基板電流の時間軸上の波形と電子ビームの加速電圧および膜厚との関係をあらかじめ求めておき、ある加速電圧の電子ビームを用いて測定された電流波形から膜厚を求めることが開示されている(例えば、特許文献5参照。)。また、他の技術として、被検査試料に電子ビームを照射して裏面に貫通した電流、すなわち、電流の時間的な変化ではなく電流値そのもの、を測定することが開示されている(例えば、特許文献6参照。)。さらに、薄膜を貫通して基板に到達した電流を測定し、それを標準試料の値と比較することで膜厚を求める技術(例えば、特許文献7参照。)や、それに適した標準試料が知られている(例えば、特許文献8参照。)。
【特許文献1】特開平10−281746号公報
【特許文献2】特開平4−62857号公報
【特許文献3】特開平11−026343号公報
【特許文献4】特開2000−174077号公報
【特許文献5】特開昭62−19707号公報
【特許文献6】特開2000−124276号公報
【特許文献7】特開2000−180143号公報
【特許文献8】特開2000−164715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、電子ビームの照射により生じる基板電流を検出する技術をさらに改善し、コンタクトホールの詳細な形状や半導体デバイスの内部状態を非破壊で検査することのできる半導体デバイス検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の半導体デバイス検査装置は、被検査試料の半導体デバイスに電子ビームを走査させながら照射する電子ビーム照射手段と、電子ビームの照射に伴って被検査試料に生じる電流を測定する電流測定手段と、この電流測定手段の測定結果をデータ処理するデータ処理手段とを備えた半導体デバイス検査装置において、前記電子ビーム照射手段は、電子ビームを平行化するコリメート手段と、電子ビームの加速電圧を変更する手段とを含み、前記データ処理手段は、異なる加速電圧で電子ビームを走査したときの被検査試料に対する電子ビームの透過率の違いに基づく試料に生じる電流値の違いから、被検査試料の深さ方向の構造に関する情報を求める手段を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明において平行電子ビームを用いる理由は、収束電子ビームでは測定場所の高さに電子ビームを収束させる必要があり、被検査試料の深さ方向の情報を得るためには好ましくないからである。平行電子ビームを用いれば、焦点深度が無限となり、焦点調節をしなくてもよい。
【0016】
上述した特許文献1に開示の技術は、コンタクトホールが貫通しているかどうかの検査を行うことはできるものの、コンタクトホールの形状などの詳細な情報は得られない。イオンビームを用いる特許文献2に記載の技術も同様である。特許文献6には電子ビームの電流量あるいは加速電圧を変化させることが記載されているが、これはノイズを減らすためのものであり、被検査試料の深さ方向の構までを調べるためのものではない。特開特許文献4に平行ビームを用いることが記載されているが、この平行ビームは複数のコンタクトホールを含む領域に照射するためのものであり、個々のコンタクトホールやその他の被検査試料の深さ方向の構造を調べるものではない。
【0017】
前記電子ビーム照射手段は電子銃を含み、前記コリメート手段は、前記電子銃から放出された電子ビームを平行にするコンデンサレンズと、被検査半導体デバイスに当る電子ビームのスポットサイズを制限するために、前記コンデンサレンズと被検査試料との間に、電子ビームが開口部に当るように直角に挿入されたアパーチャーとを含み、電子ビームを走査するために電子ビームに対して被検査試料を移動させる手段を備えることが望ましい。
【0018】
また、前記電子ビーム照射手段は電子銃を含み、前記コリメート手段は、前記電子銃から放出された電子ビームを平行にする第一のコンデンサレンズと、アフォーカル系をなすように配置された第二のコンデンサレンズと、対物レンズと、前記第一のコンデンサレンズと前記第二のコンデンサレンズとの間に挿入され電子ビームのスポットサイズを制限するアパーチャーとを含み、電子ビームを走査するために電子ビームに対して被検査試料を移動させる手段を備えることもできる。
【0019】
前記電子ビーム照射手段は、測定領域面積よりも小さなスポットサイズの電子ビームを、測定領域の中心を通る線分に沿って被検査試料に垂直に照射する手段を含み、前記データ処理手段は、前記線分に沿って測定された電流の立ち上がりと立ち下がりの間隔から測定領域の底部距離を求める手段を含むことができる。
【0020】
本発明は、SEMと組み合わせて利用することができる。すなわち、被検査処理の表面から放出される二次電子を検出する二次電子検出器を備え、前記データ処理手段は、この二次電子検出器により測定された二次電子量を前記電流測定手段の測定結果に対応させて処理する手段を含むことができる。具体的には、前記電子ビーム照射手段により、測定領域面積よりも小さなスポットサイズの電子ビームを、測定領域の中心を通る線分に沿って被検査試料に垂直に照射し、前記対応させて処理する手段により、前記電流測定手段により前記線分に沿って測定された電流の立ち上がりと立ち下がりの間隔から測定領域の底部距離を求め、前記二次電子検出器により検出された二次電子量の立ち上がりと立ち下がりの間隔から測定領域の上部距離を求めることができる。
【0021】
被検査試料が載置される試料ステージを傾斜させる手段を備え、前記データ処理手段は、この傾斜させる手段により生じる電子ビームに対する被検査試料の傾斜角度を取り込んで処理する手段を含むことができる。
【0022】
前記電子ビーム照射手段は、電子ビームの断面形状を、測定領域の全体を一度に照射でき、かつその少なくとも一端が直線状となるように設定する手段を含み、前記データ処理手段は、電流値の立ち上がりから最大値までの間隔から測定領域の距離を求める手段を含むことができる。
【0023】
前記電子ビーム照射手段は、電子ビームの断面形状を、測定領域の全体を一度に照射でき、かつその少なくとも一端が直線状となるように設定する手段を含み、前記データ処理手段は、電流値の距離に対する微分曲線を計算する手段と、その微分曲線の立ち上がりから頂点を示す位置までの間隔から測定領域の半径を求める手段とを含むこともできる。
【0024】
前記データ処理手段は、測定された電流値を測定位置に対応したマップ上に表示する手段を含むこともできる。
【0025】
前記データ処理手段は、ウェハー上の二つの領域をそれぞれ被検査試料とし、第一の領域で得られた測定値を基準値として第二の領域で得られた測定値と比較する比較手段と、比較結果があらかじめ定められた一定以上の差がある場合にその位置座標を抽出する手段とを含むことができる。
【0026】
前記比較手段は、電子ビームの照射位置に対する電子ビームの照射に伴って試料に生じる電流値の変化として測定された電流波形のひとつのパルスの立ち上がりから立ち下がりまでに流れた電流を積分する手段と、得られた積分値をそのパルスの立ち上がりから立ち下がりまでの幅で割る割算手段と、この割算手段により得られる単位長さ当たりの電流値を前記二つの領域について比較する手段とを含むこともできる。
【0027】
前記比較手段は、電子ビームの照射位置に対する電流値の変化として測定された第1の検査試料および第2の検査試料の電流波形パルスの立ち上がりおよび立ち下がりの位置を比較する手段を含んでもよく、その中心位置を比較する手段を含んでもよい。
【0028】
前記電子ビーム照射手段は、被検査試料を電子ビームに対して移動させる主走査手段と、この主走査手段による主走査に重畳して、主走査の方向と異なる方向に電子ビームを繰り返し偏向させる副走査手段とを含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上詳細に説明したように、本発明の半導体デバイス検査装置は、被検査試料の深さ方向の構造に関する情報を非破壊であることができ、製造された半導体デバイスの良否判定や製造プロセスが最適であるかどうかの検査に用いて特に有効である。
【0030】
また、二次電子像から得られるコンタクトホール開口部の情報を組み合わせることで、従来のSEMでは試料を断面で割って観察するしか方法の無かったコンタクトホール断面の距離情報について、コンタクトホール底形状と組み合わせてコンタクトホールの上下の距離情報を得ることができるだけでなく、異なる加速電圧で得られた被検査試料の深さ方向の構造に関する情報と組み合わせてさらに正確な情報を得ることができる。
【0031】
長方形形状の電子ビームを用いた場合には、その電子ビームのエッジの位置が容易に特定でき、電子ビームが透過した領域の面積を容易かつ高精度に測定できる。実施例ではコンタクトホールへの応用のみ記したが、例えば、コンタクトホールと同様の構造を持つスルーホール、レジスト、配線、溝の開口判別検査や形状測定にも利用できる。同様に、種々のエッチング処理後あるいは洗浄処理後の形状検査や底の状態を検査する事も可能である。
【0032】
本発明は非破壊なので、従来のように試料断面をSEM観察しなくても、コンタクトホール深さ方向の情報が得られるので、製品を直接測定する事が可能で、モニターウェハーが不要となり、プロセスコストが安く成る。
【0033】
また、プロセス途中のコンタクトホール底の面積、直径あるいはその三次元形状が高速にかつアナログ的に測定できるので、プロセス改良をその場で進める事ができる。例えば、エッチングの条件出しを行う場合、開口形状とともにコンタクトホール底の形状を制御する必要があるが、本方法を用いれば、その場でウェハー全体でのコンタクトホール底面積の分布が測定できる。
【0034】
また、従来はコンタクトホール開口不良を開口の有無のみのデジタル的検査しか行われてこなかったため、開口していないときに始めて異常を検出できたのに対し、本発明によれば、作製されたコンタクトホールの深さ方向の径を常にモニターできるので、実際にコンタクトホール開口不良が出る前に、コンタクトホールの底径や深さ方向の情報というアナログ量の変化として異常を発見可能である。したがって、従来よりも早く異常に対する対策がとることができる。特に、一括電流法によるコンタクトホール底径の測定と組み合わせ、一括電流法による異常が検出された場合には、より精度の高い測定を行うことがよい。一括電流法は、ひとつのコンタクトホールに電子ビームが当るように位置が調節できればよいので、低い位置合わせ精度で測定できる。
【0035】
電流測定の場合、配線に流れ込んだ電流のみが測定値に寄与するので、従来検査法で必要な検査結果の平均化等が不要で、検査速度を向上できる。
【0036】
アライメントマークに流れる電流を測定して目合わせする場合には、目合わせのためだけに高価な二次電子画像取得装置は不要である。
【0037】
本発明における電流波形の測定では、電子ビームが通過する位置が配線のどの部分であっても検査に有効な情報が取得可能であり、必ずしも配線の特定の位置に電子ビームを照射する必要がない。逆に、電子ビーム照射位置を変化することで不良パターン検出感度が調節できる。また、電子ビーム照射に伴って発生する電流波形の立ち上がり立ち下がりから得られる配線の端位置情報も利用して配線良否検査を行うので、取得電流波形の大きさの変化だけでは検査結果が明瞭に出ない場合にも、検査が可能となる場合がある。
【0038】
一般に、ランダムに配置されている配線の検査よりもアレイ状に配列されている配線の検査の方が高速化できるが、両者はひとつのチップ内にて混在している。その場合には、配線の配列を最初の検査においてあらかじめ調査し、測定された電流の周波数分布から配線がアレイ状に配列されている場所を推定してその情報をもとに最適な検査方法を選択できるので、検査の高速化が可能である。
【0039】
本発明における電流波形の測定は、電子ビームを連続的に照射するだけでなく、間欠的に行っても良い。また、電子ビームの副走査を行うことによって、実効的な走査速度を向上させることができ、検査速度の向上効果がある。走査される電子ビームは必ずしも異なった位置を走査する必要はなく、検査領域の端の部分を少し重ねて走査してもよい。加速電圧、注入電流は試料によって最適な物を適宜選択して利用する。パターン欠陥が部分的である場合にも、欠陥面積に比例した電流が検出されるため、欠陥面積が発生する電流変化が検査装置のSN以上であれば、欠陥として検出される。
【0040】
本発明における電流波形の測定は、検査対象の配線が基板との間に何らかの接続が取れている場合に有効であるが、配線が大きな流域面積を持っている場合や、リーク電流が大きい場合、あるいは大きな容量を介して基板と電気的に接続されている場合にも検査ができる。複数の配線を同時に検査できるので、従来法に比較して高速に検査できる。また、デバイスの断面構造を直接表面から観察できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図において、同等の要素に対しては同符号を付してその説明を省略する。
【0042】
(平行電子ビームの発生)
図1は本発明の第一の実施形態を示すブロック構成図である。この装置は、電子ビーム2を発生する電子銃1、電子ビームをコリメートするコンデンサレンズ3およびアパーチャー4、被検査対象の試料5を移動させることにより電子ビーム2の照射位置を走査する可動ステージ6、電子ビーム2の照射に伴って試料5に生じる電流を測定する電極7および電流計9、可動ステージ6の移動距離を測定する移動距離測定装置8、電流計9の測定結果をデータ処理するコンピュータ等のデータ処理装置10、および電子ビームの加速電圧の変更や照射周期の変更その他の制御を行うビーム制御部11を備える。
【0043】
電子銃1から飛び出した電子ビーム2は、コンデンサレンズ3により一旦平行電子ビームに変換され、非常に小さな穴が設けられたアパーチャー4に照射される。アパーチャー4は金属等で出来ており、アパーチャー4に照射された電子がアパーチャー4に蓄積しないように、アースされている。アパーチャー4を通過した電子ビーム2は、アパーチャー4が規定しているのとほぼ同じ大きさの非常に細いビームとなり、試料5に照射される。加熱によってアパーチャー径が変化するのを防止するために、アパーチャーを冷却する構成とすることもできる。
【0044】
図3にアパーチャーの構成例を示し、(a)はビームの断面形状を円形にするためのアパーチャー、(b)は正方形にするためのアパーチャーである。これらのアパーチャーは、ほぼ中心部に開口部21を有し、その周辺が遮蔽部22となっている。遮蔽部22の材質としては、電子ビームが当てられた時にガスを発生しにくい材料であるタングステンやモリブデン、シリコン、ポリシリコン、金、パラジウム、チタン等が用いられる。アパーチャー径は、コンタクトホール内部を走査して距離を求める場合には数百Åから1000Å、ひとつのコンタクトホールを一度に電子ビーム照射する場合には数ミクロンの大きさとする。アパーチャーの形状は正方形や円形ばかりでなく、長方形や楕円あるいはその他の多角形を用いることができる。
【0045】
電子ビームはアパーチャーの開口部よりも断面積が広いビームを用いても、開口部よりも断面積が狭いビームを用いても、問題は生じない。電子ビームの断面積がアパーチャーの開孔部の面積よりも狭い場合は、アパーチャー開口部を走査することで断面積が開口部よりも広いビームで照射したときと同様の結果を得ることができる。
【0046】
試料5は電流収集用の電極7の上に載せられ、この電極7が可動ステージ6の上に載せられる。可動ステージ6の近傍には、干渉計などの原理によりこの可動ステージ6の移動距離をオングストロームオーダーで精密に測定する移動距離測定装置8が設けられる。移動距離測定装置8としては、光学式の装置が一般的であるが、電磁波、電気抵抗あるいは容量を用いた装置、量子力学的効果を利用した装置など、距離に応じて変化する物理量を検出することを原理とする装置を用いることもできる。
【0047】
試料5と電極7とを直流的に接触が取れるように接触配置してもよいし、試料5に照射する電子ビームが高周波数で変調されている場合には、容量結合により電流が測定できるので、電極7を試料5に隣接させるだけでもよい。一般的に半導体の製造工程においては、基板裏面は素子分離のための局所酸化膜を形成することが多いので、ウェハー裏面に絶縁膜が形成されていることが多い。このようなウェハーを試料5とする場合には、試料5とステージ6との接触を図るために、容量結合ステージを用いることも効果的である。ウェハーの側面を利用して接続することも可能である。
【0048】
測定するコンタクトホールの寸法が微細であるので、試料5はステージ6上に平坦に載置されていることが必要である。このためには試料5の外周を例えばリング状の治具で押さえ込むことも有効である。
【0049】
電極で集められた電流は電流計9によって測定される。測定結果はデジタル信号に変換されデータ処理装置10へと出力される。雑音に対する耐性をあげるために、電流計9に差動アンプ構成をとることも有効である。
【0050】
データ処理装置10は、各種のデータ処理を行い、特に、異なる加速電圧で電子ビームを走査したときの被検査試料に対する電子ビームの透過率の違いから、被検査試料の深さ方向の構造に関する情報を求めることができる。
【0051】
図2は本発明の第二の実施形態を示すブロック構成図であり、特にミクロンオーダー以下の細い電子ビームを利用する場合の構成を示す。この装置は、電子ビームの発生系として第二コンデンサレンズ15と対物レンズ16とでアフォーカル系を形成しており、入射平行ビームの径をアパーチャー14で制限された幅よりも小さな平行ビームに変換する電子光学系となっている。
【0052】
すなわち、電子銃1から放出された電子ビーム12は、一旦、第一コンデンサレンズ13により平行ビームに変換されたのち、アパーチャー14を通過し細い平行ビームに変換される。次いで第二コンデンサレンズ15によりビームは絞られ、対物レンズ16に入射する。この電子ビーム発生装置では、試料5に照射される最終ビームの成形にアパーチャーを利用しないので、直接微細加工では実現し難い100Åオーダーの非常に細いビームを容易に実現できる。このような細いビームは、広い面積を走査することによって、太いビームを一括照射した場合と同様な効果を得ることもできる。
【0053】
図1または図2に示した装置は、二次電子検出器を設けることで、図4(a)、図5(a)に示したようなSEMにも利用できる。
【0054】
ここで、本発明の主な検査対象であるコンタクトホールについて説明しておく。コンタクトホールは、シリコン基板等の下地基板上に設けられた酸化膜あるいは誘電体表面から、下地基板まで貫通する穴である。良好なコンタクトホールでは、下地基板表面あるいは下地となる配線層表面が剥き出しの状態となっている。
【0055】
コンタクトホールは、レジストによってホール状に開口された酸化膜部分に、フッ素含有ガスをエッチャントとする反応性イオンエッチングを適用することによって形成される。現在主に利用されているコンタクトホールは、コンタクトホール壁を構成する酸化膜厚み数ミクロンに対して、穴径0.15ミクロンと、アスペクトレシオ10を超える大変細長い構造をしている。反応性イオンエッチングは物理化学エッチングである。エッチングの実質速度は、基板表面に対して垂直に高速照射されるフッ素含有ガスのイオンが酸化膜をエッチングする速度とそのエッチング反応によって生じるフルオロカーボン高分子膜の生成速度とから決定される。一般に、高速にフッ素含有ガスのイオンが照射されるコンタクトホール内部は酸化膜がエッチングされる反応が進行し、エッチング反応によって形成されるコンタクトホール側壁には、フルオロカーボン高分子膜が堆積する。この機構によって側壁がエッチングから守られるので、大変深い縦穴が形成可能となる。一方、エッチングが進行してコンタクトホールが下地の基板に到達すると基板には酸素が無いことからエッチング反応が酸化膜エッチング反応から高分子膜生成主体の反応に変化し、自動的にエッチングが下地基板の中に進行するのを防止する。
【0056】
しかし、これらの反応バランスは微妙なため、製造装置の微妙な条件の変化によっては突然エッチングが下地に到達する前に停止してしまったり、下地をエッチングしてしまう事が起る。それらは、不良のコンタクトホールあるいはスルーホールを作るので、それらの不具合を検出する必要がある。
【0057】
(コンタクトホールの底径の測定)このようなコンタクトホールの底径を測定する技術について説明する。
【0058】
図6は測定方法を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系を示し、(b)は測定結果例を示す。測定対象のコンタクトホール43は、下地基板42上に設けられた絶縁膜41を貫通するように形成される。絶縁膜41としては、酸化膜あるいは窒化膜等が用いられる。良好なコンタクトホールでは、下地基板42の表面あるいは下地となる配線層表面が剥き出しの状態となっている。このようなコンタクトホール43が設けられた試料に対して、図1あるいは図2に示した装置によって得られた100Å程度のビーム径の電子ビーム31を垂直に入射する。電子ビーム31の加速電圧は0.5kVから数kV程度、電流量は数nA程度とする。電子ビーム31がコンタクトホール43を通り抜けて下地基板43に達したとき、下地基板43に電流が流れる。この電流を「補償電流」という。図6(b)には、電子ビームをコンタクトホール43の中心線に沿って左右に走査したときに生じる補償電流を、電子ビームの照射位置に対応させて示す。
【0059】
電子ビームは有限なビーム断面積をもっているので、図6(b)に示すように、絶縁膜の端部をビームが横切る瞬間から補償電流が立ち上がり、ビームが完全にコンタクトホールの底部に達した際に補償電流値が飽和する。ビームがコンタクトホールの底部から離れる際も同じで、電流は飽和電流から徐々に減ってビームが完全にコンタクトホール底部を離れた際に補償電流は零となる。
【0060】
コンタクトホールはほとんど円形であるため、コンタクトホールを特徴付ける距離は、コンタクトホール底を規定する円の直径あるいは半径である。これらを求めるためには、計測をコンタクトホールの中心線を通るように行う必要がある。電子ビームを照射する位置は、二次電子像あるいは設計情報であるCADデータから正確な位置を割り出し、ウェハーステージの位置制御用モータ、あるいは電子ビームを偏向器にて制御することによって、コンタクトホールの中心線を通過させる。
【0061】
図6(b)の縦軸に示した補償電流は、コンタクトホール底の酸化膜厚みに依存して変化する性質を持っている。すなわち、コンタクトホール壁のように厚い酸化膜領域では補償電流はほとんど零となり、一方、下地であるシリコンあるいは配線が剥き出しになっている領域では、大きな補償電流が観測される。したがって、観測される補償電流は、中心線に沿って、コンタクトホール領域外では零、シリコン剥き出し領域ではある値を有するグラフが得られる。補償電流が零でない領域はコンタクトホール底が出ている領域に対応するので、その距離を測定することで、シリコンが剥き出しになっている実質的な幅が得られ、これをコンタクトホール底の径とみなすことができる。
【0062】
図7はテーパー形状のコンタクトホールに対する測定を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系、(b)は測定結果例を示す。測定対象のコンタクトホール44は、コンタクトホール開口部よりコンタクトホール底が小さく、コンタクトホール壁がテーパー状になっている。テーパーとはいえその傾斜は急峻であり、電子ビームの照射位置がコンタクトホール底から少し外れただけで、絶縁膜41の厚みは直ぐに1000Åを超える。このような厚い領域では、補償電流はほとんど発生しない。コンタクトホール底が出ているところでは補償電流が生じ、それ以外の場所ではほとんど補償電流は零なので、補償電流が観察される距離がコンタクトホール底径に対応する。このように、コンタクトホールがテーパー形状であっても、コンタクトホール底の距離を測定することができる。
【0063】
なお、電子ビームの径は有限であるので、補償電流は立ち上がりと立ち下がりを有する。このよう場合、補償電流の立ち上がりと立ち下がり、または電流が完全に飽和した位置から電流が零に戻った位置等、種々の位置情報からコンタクトホールの径を求めることができる。
【0064】
また、電子ビームの加速電圧によっては、絶縁膜を電子ビームが透過するようになり、順テーパーの傾斜角度がなだらかな場合には、電子ビームがコンタクトホール底部に照射されない状態でも補償電流が流れだすことがある。これを利用し、加速電圧を変えて測定を繰り返すことで、コンタクトホールの三次元構造を求めることができる。これについては後で詳細に説明する。
【0065】
図8は、ひとつのコンタクトホール底全体に均一な電子ビームを入射する条件下、コンタクトホール底面積を変化させたときに観察される補償電流量変化を示す。この図に示すように、補償電流はコンタクトホール底面積に正比例することがわかる。
【0066】
図9は、コンタクトホール底が円形であるとした場合に想定される直径(換算コンタクトホール底径)に対応する補償電流量変化を示している。面積はコンタクトホール底直径の二乗に比例するので、補償電流は二乗に比例した曲線となる。
【0067】
図10、図11はコンタクトホール開口部より大きな断面形状を有する電子ビームを用いた測定を説明する図であり、それぞれの図において、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系、(b)は測定結果例を示す。この測定では、図1あるいは図2の電子ビーム発生装置を用いて、電子ビームの太さをコンタクトホールよりも十分に大きな値(例えば数ミクロン角)とし、ひとつのコンタクトホール底全てに電子ビームが照射されるように、測定対象に対して垂直に電子ビームを一括照射する条件で補償電流を測定する。電子ビーム源としては、電子ビーム強度分布がビーム径の中で1%以内の十分平坦なものを利用することが望ましい。
【0068】
電子ビーム51が一括にコンタクトホール43または44の底に照射されると、下地基板42の剥き出し部分で生じた補償電流は、全て足し合わされて電流計9で計測される。二次電子放出効率は物質に固有な値なので、電子ビーム照射条件が同じ場合、単位面積当たりの下地がむき出しとなっている領域が示す補償電流量は一定である。したがって、コンタクトホール43または44の底の全体に一括して電子ビーム51を当てた場合には、図10(b)、図11(b)に示すように、電子ビーム51を照射している間、コンタクトホール43または44の底面積に比例した補償電流が観測される。
【0069】
(標準試料の利用)
こうして得られた補償電流値は、測定条件によって値が微妙に変化することがある。そこで、試料状態がはっきり分かっている場合に得られる補償電流の標準値を用いて、コンタクトホール面積に変換する。すなわち、コンタクトホール底面積が既知の標準試料の単位面積当たり補償電流量を、ある決められた電子ビーム照射条件で測定しておき、次に未知試料に対して同様の電子ビーム照射を行って補償電流量を求める。得られた電流値を標準試料の補償電流量で割ると、標準コンタクトホール面積に対する割合が求まり、コンタクトホール底面積を求める事ができる。これは、標準試料単位面積当たりの補償電流量と、未知試料単位面積当たりの補償電流量とが等しいとの仮定に基づいている。
【0070】
図12はコンタクトホールの径より小さいビーム径を用いた同様の測定を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系、(b)は測定結果例を示す。ビーム径がコンタクトホールの径よりも小さい場合には、電子ビームが照射された位置だけで補償電流が得られる。そこで、検査対象のホール領域全体を走査した結果流れる電流値を積分することで、上記の補償電流の総和を求める場合と同様な手法で、コンタクトホール径を求めることができる。電流測定装置の時定数が大きい場合には、積分値と平均電流値はおおよそ比例関係となるため、電流計の示す平均電流値を用いてホールの径を推定する事が出来る。
【0071】
順テーパーの側壁の角度が浅い場合は、当然ビームがコンタクトホール底部に照射されない状態でも、絶縁膜の膜厚が薄くなるので補償電流が流れだしてしまう。上記の方法が単純に適用することができる条件は、絶縁膜の厚さ、電子ビームの強度、テーパーの角度等から決定することができる。
【0072】
単位面積当たりの補償電流量は、底に露出している材料、あるいは注入する電子ビーム加速電圧、注入電流量によって変化するので、他の材料、あるいは条件で測定する場合には、必要な予備実験を行って、補償電流と面積の関係を求めて表あるいは関数に変換しておく。
【0073】
(コンタクトホール底径測定例)
本発明者らは、実際に試作した試料を用いて、コンタクトホール底径の算出を検証した。その実験では、まず、図10(a)に示したような円柱状コンタクトホールを標準試料としてあらかじめ作製した。開口部径、底直径はそれぞれ0.1ミクロンであり、ホールの底に露出した材料はシリコン、コンタクトホールの壁となる絶縁膜はシリコン酸化膜である。電子ビーム加速電圧を1kVとして電子ビームをコンタクトホールに注入すると、100pAの補償電流が観測された。次に、開口径は同じでコンタクトホール底径が未知であるコンタクトホール、すなわち図11(a)に示したようなコンタクトホールを、同様の条件にて測定した。未知試料ではおおよそ50pAの電流値が検出され、未知試料のコンタクトホール底面積が標準状態の0.5であることがわかった。
【0074】
一方、実際のコンタクトホール形状については、SEMの断面形状観察(破壊検査)により調べることができる。その断面観察で得られる標準試料のコンタクトホール直径と補償電流値とをあらかじめ対応させておくことで、未知試料で検出された測定された補償電流値から、コンタクトホール底面積を求めることができる。また、コンタクトホール底の形状がその直径に関わらず相似であると仮定すると、被測定コンタクトホールの直径は面積の平方根から求められる。
【0075】
上記の実験では、被測定コンタクトホールの底の直径が、0.07ミクロンと求められた。
【0076】
ビームの走査は測定するコンタクトホールについて1回のみでもよいが、測定の精度を向上させる目的で、同一箇所を複数回走査することも可能である。その場合には、ある検査領域を複数回走査した際に観測される補償電流の平均値からコンタクトホール径を算出することができる。
【0077】
(底面積が未知の場合の単位面積当たりの補償電流量の決定)
コンタクトホール底面積既知の標準試料を用意できないときに単位面積当たりの補償電流量を決定する方法について、図12を参照して説明する。この方法では、コンタクトホール開口よりも十分に細く、かつスポットサイズが既知である電子ビーム52を試料に垂直に入射する。図1あるいは図2の方法で作られた電子ビームのスポットサイズはアパーチャーに設けられた開口部の大きさで規制されているので、電子ビームの大きさを計算で求めることが可能である。さらに正確さを増すためには、電子ビームの径をナイフエッジ法など直接求めて電子ビーム径とする。この電子ビームを標準コンタクトホールに注入すると、図12(b)に示したような補償電流が計測される。得られた補償電流を電子ビームのスポットサイズで割ることにより、標準試料の単位面積当たりの補償電流が求められる。
【0078】
(量産工場での利用)
図13は以上説明したコンタクトホール底径の測定を量産工場で利用する場合のフローチャートおよび良否判定例を示す。
【0079】
コンタクトホールの大きさは、コンタクトホールを通じて流れる電流量を決定するひとつの因子である。高速のメモリーあるいはロジックデバイスでは、非常に高速のパルス信号が微妙なタイミングで動作している。コンタクトホールの大きさのバラツキはコンタクト抵抗を通じて回路の時定数に変化を与えるため、パルス伝達時間が設計とは異なった値となり回路の動作不良を引き起こす。したがって、ある範囲以上のコンタクトホールサイズのバラツキが存在すると、たとえ導通が取れていても、回路的には不良となる。このような不良発生を防止するために、量産工場では、製造されるコンタクトホールの底径ばらつきを厳密に管理する必要がある。
【0080】
例えば、製造許容誤差が±0.01ミクロン(±10%)で0.1ミクロンの直径のコンタクトホール底を得る事を目標として製造する場合を考える。直径の10%の許容誤差は、面積換算で±20%の誤差が許容されることと等価である。この基準を用いて、図13R>3のフローチャートに示したように、コンタクトホール底の管理を行う。
【0081】
先ず、ウェハーに存在する被測定対象のコンタクトホールに、電子ビームを照射してそれぞれのコンタクトホールの補償電流を測定する。その結果をメモリーあるいは磁気ディスクに記録する。メモリー、磁気ディスク以外のものであっても結果を記録できるものであれば問題ない。次いで、良品コンタクトホールが示す補償電流値と測定記録された補償電流値を比較する。次にそれぞれのコンタクトホールが示した補償電流と基準値を比較器を用いて比較する。基準値に対して大きさの差が±20%以内であれば、計測されたコンタクトホールは良品であると判断して記憶装置にそのコンタクトホールが良品であることを示した情報を記憶させる。図13R>3に、X座標「1」でY座標を「1」ないし「5」に走査して得られたコンタクトホール径の値と良否判定結果例を並記する。ウェハー全体での不良コンタクトホールの個数がある基準値以下の場合には、次の工程に搬送するためのウェハーキャリアーに入れる。一方、基準値範囲を超えた場合には、検査対象のウェハーは不良と判断し、それ以降のプロセス処理を停止し、ウェハーを廃棄するためのキャリアーに分別するとともに、エッチング装置の整備を行う等の指示を出す。
【0082】
各コンタクトホール底径の測定値が得られるので、その分散や平均値等の統計量を計算することで、異常が無い場合の統計値と比較する事ができる。この比較は実際にコンタクトホール導通不良が生じる前に解析が可能であるので、プロセスの揺らぎや変化傾向を細かく把握することができる。さらに、不良を速やかに発見できるため、不良の原因を究明し対処することで後続の製品の不良の発生を防ぐことができる。
【0083】
最近の半導体集積回路装置は、回路規模が膨大となりコンタクトホールの個数もそれにつれて幾何級数的に増加している。このような場合、ウェハー上の全てのコンタクトホールを測定することは困難である。一方、ウェハー上には、同一の素子(チップ)が複数規則正しく配列されている。そこで、各チップの測定しようとする同一箇所をひとつのチップから次ぎのチップへと飛び飛びに走査して、各チップの良否を判定することができる。この場合、各チップの走査する箇所の複数のコンタクトホールを一括して測定し、その底径の平均値を求めることもできる。複数のコンタクトホールの底径の平均値を求める場合、アパーチャーで整形された単一の電子ビームを一括して照射してもよく、細い電子ビームを走査してもよい。電子ビームを一括して照射する場合、複数回の照射を行ってその平均値をとることもできる。同様に、電子ビームを走査する場合、その走査回数は1回でも複数回でもよい。
【0084】
(マップ表示)
さらに、ウェハーの補償電流またはコンタクトホールの径等の測定から得られた結果を、測定位置に対応してマップ化することもできる。例えば、補償電流値またはコンタクトホールの径を等高線状にマップ化することで、ウェハー中のコンタクト径の分布状態を知ることができる。この等高線表示は、得られた補償電流の値と位置情報とを記憶しておき、画像表示装置または記録紙等に表示することで行うことができる。
【0085】
画像表示装置に表示する場合は、補償電流値、開口径等を基準に画面に表示すると、輝度が高くなりすぎたり、輝度が低い等の原因で見えずらくなる場合がある。そこで、これを補正し、常に表示画面が見えやすい状態にすることが必要である。補正方法としては、例えば、中心となる値をもとに輝度を調節するなどが考えられる。また、半導体製造工程においては良品よりも不良品の発生が重要視されるので、不良品に関する情報が見えやすいようにすることが望ましい。
【0086】
(マップ表示による良否判定およびプロセス評価)
良否の判定は、補償電流、コンタクト径、あるいはコンタクト形状から分類できる。これらの分類を、ウェハー毎あるいは複数のウェハー毎に、エッチングが同一状件、処理装置が同一、あるいは前工程の処理装置が同一等の条件で分類することで、いろいろな情報が採取できる。これらの分類データを等高線表示と同様な方法で表示することが望ましい。これにより、ウェハーの良否を判定するだけでなく、エッチング機器のエッチング分布やその他の処理状況を知ることができ、エッチング機器のエッチング量の平均化を行うなど、処理装置の障害の早期発見やプロセスの条件の最適化が容易になる。
【0087】
例えば、コンタクトホールは通常ドライエッチング法を用いて行われ、その装置はエッチング速度が装置全面で等速になるように調整されているが、それでもなお、エッチング速度の速い箇所と遅い箇所がどうしても生じてしまう。コンタクトホールについての測定結果の等高線表示を複数のウェハーについて比較すると、その装置の総合的な分布の傾向がわかり、それが補正されるように、例えば電極の傾きを変えるなどの装置調整を行うことで、エッチング速度の均一性を向上させることができる。
【0088】
複数のウェハーの分布を採取する方法は種々考えられるが、例えば、同一の作業条件で行われたウェハーのみを集計することや、異なった条件のウェハーを規格化することで行うことができる。
【0089】
エッチング速度に分布の生じる原因として、その前の工程である絶縁膜の厚さの分布の影響もある。絶縁膜の厚さの分布は、CVD装置の状態に起因する。このような場合、前の製造工程とエッチング工程とが同一機種で行われたウェハーのデータを集計することで、不良の原因を調査することができる。このようなデータを採取することで、エッチングの良否を判定するコンタクト径の測定から、当該工程の前の工程の問題点を同定することも可能となる。
【0090】
また、装置の傾向が分かっている場合、ウェハーの全面を検査するのではなく、ウェハーの不良になりやすい箇所のみを重点的に検査することで、測定時間を短縮することができる。例えば、分布的に、エッチング速度が早い(補償電流値が高い、開口径が大きい)箇所や、エッチング速度が遅い(補償電流値が低い、開口径が狭い)部分のみを測定することで行うことも可能である。
【0091】
コンタクトホール径の分布からは、以上述べてきた以外に、装置の新規立ち上げや、オーバーホール後の調整、修理後の確認等の交換、修理を行う場合に有益な情報が得られ、これらの情報から、立ち上げ、調整等の作業に必要なデータを供給することでこれらの作業を短時間で終了することが可能となる。コンクトホール径の分布はまた、装置のメンテナンス情報としても有用である。例えば、不良分布が通常の分布からの偏向/増大等を統計的にモニターしたり、後述する異物の検査等も活用することで、オーバーホールの時期の推定を精密に行うことができる。また、装置の異常を不良が生じる前に検知できるという効果もある。
【0092】
ウェハーの良否判定については、通常の工程ではウェハーが複数枚を1組(これを「バッチ」という)として半導体製造に投入されるので、当該工程に投入されるバッチの先頭のウェハーと最後のウェハーを検査してもよい。先頭のウェハーの状態が危険な状態であることが検査の結果分かった場合は、当該工程に投入される後続のウェハーを全て検査して不良が発生した時点で当該工程の機器を調整してもよいし、先頭のウェハーの結果に基づいて当該工程の機器を調整してもよい。
【0093】
(SEMとの連係)
コンタクトホールは立体構造物なので、立体としての特徴が一目で分かるような検査結果が得られると非常に便利である。正確な立体構造を求める方法については後述するが、ここでは、比較的簡単におおよその構造を知る方法について説明する。
【0094】
ここで説明する方法では、コンタクトホールあるいはスルーホールは通常は円形の断面をもつことから、ホール開口部径αとホール底径β、およびその深さdを特定し、測定対象のコンタクトホール形状をおおよそ表現する。すなわち、補償電流測定から得られるコンタクトホール底の形状あるいは材料情報と、通常の走査電子像から得られるコンタクトホール開口形状とを合成する。材料情報は、下地材料によって補償電流量が異なることを利用して、いくつかの加速電圧を用いて測定された補償電流量から推定される。コンタクトホールの深さについては、後述する電子ビーム測定によって得ることもできるが、そのコンタクトホールが形成された絶縁膜の形成時に測定された厚みの実測値を用いてもよい。
【0095】
図14および図15は測定方法を説明する図であり、図14は円柱形状をもつコンタクトホールの測定例、図15は順テーパー形状を持つコンタクトホールの測定例を示す。それぞれの図において、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系を示し、(b)はコンタクトホール中心線に沿って測定された二次電子量と補償電流とを電子ビームの照射位置に対して示し、(c)は復元された3次元表示図形を示す。ここでは、簡単のために、コンタクトホール中心線に沿って一回だけ走査するものとする。
【0096】
コンタクトホールの周辺あるいはその中を走査する電子ビームとして、図1または図2に示した装置により得られる平行電子ビームを利用する。収束電子ビームを使用すると、コンタクトホールの周辺部を走査する場合と底部を走査する場合とで、それぞれの高さに電子ビームを収束させる必要がある。これに対して平行電子ビームを用いれば、焦点深度が無限となり、焦点調節をしなくてもよい。
【0097】
図14(a)に示したコンタクトホール43は、開口径αの大きさと底径βの大きさがほぼ同じである。この場合、図14(b)のように、二次電子量と補償電流との双方のグラフは、立ち上がり下がり位置が一致している。この測定結果と、プロセスデータから得られるコンタクトホールの深さdから、図14(c)に示すような円柱状コンタクトホールの3次元表示図形が得られる。さらに、コンタクトホールの中心を通過するように走査方向を変えて多数の断面形状を測定すれば、より正確なコンタクトホールの3次元表示図形を得ることができる。断面形状を3次元画像に還元する手法は、3次元コンピュータグラフィックの世界で使用されているさまざまな手法を使うことができる。
【0098】
図15(a)示したコンタクトホール44は、開口径αに比べてコンタクトホール底径βの大きさが小さい。この場合、図15(b)に示すように、二次電子から得られるグラフの立ち上がり下がり形状と、補償電流から得られるグラフ立ち上がり立ち下がり形状との間に差が生じる。開口径αに相当する二次電子量を示すグラフの矩形領域の幅は、底径βに対応する補償電流が示す矩形領域の幅よりも大きくなり、開口径とコンタクトホール底径に差があることが分かる。プロセスデータからわかっているコンタクトホール深さdを加味して3次元表示すれば、検査対象のコンタクトホールの形状は、図15(c)に示したような逆三角錘として表示される。
【0099】
なお、図15(a)に示したようなテーパー状のコンタクトホールの場合、そのテーパー形状と二次電子検出器との位置関係によっては、テーパー部から放出される二次電子が検出されることもある。しかし、実際のコンタクトホールのアクペクトは高いので、ホール内壁からの二次電子はほとんど観測されないのが実情である。図15(b)および以下の図では、特にことわらない限り、そのような二次電子は無視する。
【0100】
(SEMとの連係およびビームの斜入射)
コンタクトホール底の大きさの方が開口部の幅よりも大きい逆テーパー形状のコンタクトホールの場合には、垂直に電子ビームを注入しただけでは、開口部径と底径が同じ径をもつコンタクトホールと区別ができない。そこで、被検査試料に対する電子ビームの入射角を傾斜させることにより、コンタクトホール底の周辺部にも電子ビームが到達するようにして、コンタクトホール底形状を計測する。小さな角度に電子ビームを傾斜させるためには、電子レンズあるいは電子ビーム走査用偏向器を利用する。大きな角度に電子ビームを傾斜させるには、ウェハー支持ステージをウェハー中心を傾斜軸として傾斜させる。ステージ傾斜を行えば±数10度の傾斜実現が容易にできるため、コンタクトホールのテーパー角度とほぼ等しい角度の電子ビームを注入することができる。
【0101】
図16、図17および図18は円柱状、順テーパー状および逆テーパー状のコンタクトホールにそれぞれに傾斜させた電子ビームを照射する測定例を示す。それぞれの図において、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系を示し、(b)はコンタクトホール中心線に沿って測定された二次電子量と補償電流とを電子ビームの照射位置に対して示す。電子ビームの傾斜による二次電子量の測定位置と補償電流の測定位置とのずれについては補正し、コンタクトホールの位置に対応させて示す。また、図18(c)は復元された3次元表示図形を示す。
【0102】
円柱状のコンタクトホール43に傾斜した電子ビーム61をコンタクトホール中心軸に沿って移動しながら照射すると、コンタクトホール43の周囲の絶縁膜41の領域に電子ビーム61が照射されている間は、二次電子32が強く観察される。電子ビーム61がコンタクトホール43のエッジ領域に達すると、二次電子強度は急激に減少する。コンタクトホール43の底に電子ビーム61が照射されている間は、二次電子は観測されない。再び電子ビーム53が対岸の絶縁膜41に当るようになると、二次電子が検出されるようになる。 一方、補償電流は電子ビーム61が絶縁膜41に照射されている間は観察されず、電子ビーム61がコンタクトホール43のエッジに達すると検出され始める。コンタクトホール43の底に電子ビーム61が当るようになると急激に補償電流が増加し、再び絶縁膜41に電子ビーム61が当るようになると急激に電流量が減少する。
【0103】
テーパー型のコンタクトホール44では、絶縁膜41に電子ビーム61が照射されているときは強く二次電子が検出され、電子ビーム61がコンタクトホール44のエッジに差し掛かると急激に二次電子量が減少する。コンタクトホール44の底に電子ビーム61が照射されている間はほとんど二次電子は検出されず、再びコンタクトホール44の外側の絶縁膜41に電子ビーム61が照射されると、二次電子が観測されるようになる。一方、補償電流は、電子ビーム61がコンタクトホール44の周囲の絶縁膜41に照射されている間は検出されず、コンタクトホール44の底に電子ビーム61が照射されている間は大きな補償電流が検出される。電子ビーム61が再びテーパー部に照射されるようになると、補償電流は急激に減少する。
【0104】
図18に示した逆テーパー状コンタクトホール45では、電子ビーム61がコンタクトホール45の周囲の絶縁膜42を照射している間は二次電子が強く検出され、電子ビーム61がコンタクトホール45のエッジに差し掛かると二次電子量が急激に減少する。電子ビーム61がコンタクトホール45の底を照射している間は二次電子はほとんど検出されず、コンタクトホール45の対岸の表面に電子ビーム61が照射されて始めて、二次電子が観察されるようになる。一方、補償電流は電子ビーム61が絶縁膜42の表面を照射しているときは検出されず、電子ビーム61がコンタクトホール45の底に照射されている間だけ補償電流が検出され、電子ビーム61が再び絶縁膜42あるいはその逆テーパー部に照射され始めると、補償電流は検出されなくなる。
【0105】
コンタクトホールのテーパーの傾きと入射電子ビームの傾きとが一致しているときには、二次電子量の増加または減少と補償電流の減少または増加とが、同じビーム照射位置で生じる。したがって、逆テーパー形状のコンタクトホールの底径を求めるためには、種々の電子ビーム入射角で実験を行い、最も外側で補償電流が検出される角度を探す。ホールの深さdは既知なので、電子ビームの入射角度と深さから、開口部からみてそれより外側あるコンタクトホール底の最外周までの距離を求める事ができ、開口部径にその値を加える事でホール底径が算出される。それらを加味して3次元表示すると、図18(c)に示したコンタクトホールの3次元図形が得られる。
【0106】
(異物検出)
図19ないし図21はコンタクトホール内部に生じた異物を検出し特定する方法を説明する図である。それぞれの図において、(a)は検査対象の構造と測定系を示し、(b)は測定される二次電子量と補償電流とを電子ビームの照射位置に対応して示す。
【0107】
コンタクトホール底にはエッチングを行った際に生じるレジスト滓、パーティクルあるいは他のプロセスで発生したごみ等の種々の異物が存在することがある。これら異物が存在すると、プラグとして電気的導通を取るためにコンタクトホール中に堆積されるタングステンやアルミ、ポリシリコン等の充填が不十分となるため、電気的コンタクト不良を引き起こす。そこで、半導体プロセスではプラグ形成以前にこれら異物を検出する必要がある。
【0108】
問題となるごみは、その材質にも依存するが、一般に厚みが500Å以上あるので、照射される電子ビームがコンタクトホール底に到達するのを妨害する。そのため、異物がコンタクトホール底に存在すると、観測される補償電流は正常コンタクトホールに生じる補償電流よりも小さな値となる。
【0109】
図19(a)、(b)の例では、円柱状のコンタクトホール43の外に小さいなごみ71が存在している。図1あるいは図2の方法で発生された細い電子ビーム31を試料に対して垂直に図19(a)の左側からコンタクトホール43に沿って走査すると、電子ビーム31がコンタクトホール43の周囲の絶縁膜41に照射されている間は、補償電流は観測されない。電子ビーム31がコンタクトホール43のエッジに差し掛かると補償電流が検出されはじめる。コンタクトホール43の底に電子ビーム31が照射されている間は補償電流が検出されるが、ごみ71に電子ビーム31が照射されると、補償電流が検出されなくなる。図19(a)の例ではごみ71がコンタクトホール43の底の一端にかたまっているが、中央部に存在する場合には、電子ビーム31がごみ領域を越えると、補償電流が再び観察されるようになる。電子ビーム31の照射位置に対応して補償電流の変化を測定し、図19(b)のような結果を得る。これをごみのないときの測定結果と比較することにより、ごみ71の大きさを求められる。このように、コンタクトホール底のごみの有無あるいは大きさを、補償電流を測定することにより求めることができる。
【0110】
図20(a)、(b)はテーパー状のコンタクトホール44の底にごみ72が堆積している場合の例を示す。図20(a)の左側から電子ビーム31の走査を開始した場合、コンタクトホール44の周囲の絶縁膜41に電子ビーム31が照射されている間は補償電流は検出されない。テーパー部に照射されている間も、絶縁体厚みが厚いので、補償電流は検出されない。一方、電子ビーム31がコンタクトホール44の底に照射されるようになると、補償電流が検出される。底が出ている間は同じ大きさの補償電流が検出されるが、ごみ72が存在する領域に電子ビーム31が照射されている間は、補償電流は検出されなくなる。ごみの無い試料のグラフと比較する事によって、ごみの存在有無を調べること、あるいはその大きさを知ることができる。
【0111】
図21(a)、(b)は逆テーパー型コンタクトホール45の中心部にごみ73が存在する場合を示している。電子ビーム31を走査すると、電子ビーム31がコンタクトホール44の周囲の絶縁膜41に照射されている間は、補償電流は検出されない。電子ビーム31がコンタクトホール45のエッジに達すると補償電流が観測されはじめ、電子ビーム31がコンタクトホール45の底に照射されている間は、大きな補償電流が検出される。ごみ73に差し掛かると、補償電流が検出されなくなる。ごみ73を通過して再びコンタクトホール45の底を電子ビーム31が照射するようになると、再び補償電流が検出される。電子ビーム31がコンタクトホール45のエッジに差し掛かると、補償電流は検出されなくなる。補償電流が検出されない位置はごみ73が存在する領域に対応し、この幅からごみ73の大きさが推定できる。
【0112】
以上のごみ検出方法において、二次電子放出比は材料によって異なり、かつその大きさは原子番号によって照射電子ビームのエネルギー依存性が異なる性質がある。そこで、ので、コンタクトホール底にあるごみの有無を特定した後、種々の加速エネルギーを有する電子ビームを照射して、補償電流の変化を見る。あらかじめ、想定される異物に対して同じような実験を行って補償電流の加速エネルギー依存性を決定しておき、その依存性の近似度をニューラルネット等の技術を利用して求めることで、測定対象物を特定できる。
【0113】
(断面形状の大きな電子ビームによる測定)
図22は断面形状の大きな電子ビームを利用した測定例を示す図であり、(a)はコンタクトホール81と電子ビーム82との位置関係を示す平面図、(b)は断面図、(c)は電子ビームの走査位置に対して得られる補償電流およびその微分値を示す。
【0114】
この例では、断面形状が長方形で 、ひとつのコンタクトホールの大きさよりも面積が大きく、かつ試料に垂直入射される電子ビーム82を用いる。このような電子ビーム82を、図22(a)、(b)に示すように、ひとつのコンタクトホール81を含む領域の一方から他方に向かって、照射軸を試料に対して垂直に保持したまま、かつ、ビーム軸を回転させないで走査する。この走査は、電子ビーム82自身を走査してもよいし、電子ビーム82の照射軸をウェハーに対して一定角度に固定しておき、ウェハーを水平に移動させてもよい。ここで用いる電子ビーム82は平行ビームであるが、このような平行ビームでも、二つの偏向器を利用してビームを平行移動シフトさせることで、ビームを走査することができる。このとき検出される補償電流の大きさは、コンタクトホール81 の底に照射されている電子ビーム面積に比例する。そのため、その微分値が、長方形の電子ビーム82がまさに照射されようとしているビームエッジ83近傍の位置における補償電流量を示す。
【0115】
図22(a)、(b)に示したように、この例では、電子ビーム82を、コンタクトホール81の周囲の領域から徐々に、コンタクトホール81の底に照射されるように走査を行う。電子ビーム82がコンタクトホール81の周囲の領域を照射している間は、補償電流は検出されない。コンタクトホール81の底に電子ビーム82が照射される位置になると、補償電流が急激に増加する。電子ビーム82がコンタクトホール81の底を通過している間は徐々に補償電流量が大きくなっていき、コンタクトホール81を全て含んだところで最大値となる。コンタクトホール81を電子ビーム82が通過して、もう片側のビームエッジがコンタクトホール81に来ると、補償電流は減少しはじめ、コンタクトホール81の領域に電子ビーム82が照射されなくなると補償電流は検出されなくなる。
【0116】
測定された補償電流の立ち上がり位置と、補償電流の最大値を示す山の頂上との距離が、コンタクトホール81の底の一端から他端まで距離に対応する。この方法で測定される距離は円を2本の平行線で挟んだときに得られる距離に相当するので、電子ビーム82を正確にコンタクトホール81に対して位置合わせしなくても、円の正確な直径を測定できる。
【0117】
また、コンタクトホール81が円形であると仮定すると、円の面積増加率は円の中心線の場所で最大となるため、補償電流の増加率が最大となった位置が円の中心線の位置に相当する。このことから、コンタクトホール81をすべて走査しなくても、補償電流の増加率が最大になる位置までの測定を行うことで、コンタクトホール81の底径を求めることができる。すなわち、おおよそ半分の時間でコンタクトホール底径を測定できる。また、微分値は頂点がはっきりしているので、距離を正確に求められる。
【0118】
太い電子ビームの使用は、細い電子ビームを使用する場合に比べて検査装置の電子ビーム系の構成が容易であるという利点がある。
【0119】
(細い電子ビームと太い電子ビームとを組み合わせた測定)
図23および図24は、細い電子ビームによる測定精度の優れた測長モードと、太い電子ビームを用いて短時間でコンタクトホール底径を求める一括測定モードとを組み合わせた測定方法を説明する図であり、図23はフローチャートを示し、図24はウェハー91上の測長モード対象領域92と一括測定モード対象領域93との位置関係の一例を示す。
【0120】
半導体デバイスの製造においては、コンタクトホール底径を高速にしかも正確に測定する必要がある。一般に、ひとつのコンタクトホールに対して精密な細い電子ビーム走査を行い、その補償電流量変化位置の間隔からコンタクトホール底径を測定する測長モードでは、補償電流の相対変化を用いるので下地の微妙なバラツキの影響が少なく、コンタクトホール径測定精度が高い。しかし、ひとつのコンタクトホールに対して緻密な電子ビーム走査を行って多くの情報取得を行うので、多くのコンタクトホールの検査を行うためには長い時間と多量のデータ処理が必要である。
【0121】
そこで、測定精度に優れた細い電子ビームを走査して得られる測長モードと、比較的太い電子ビームを利用してコンタクトホール底全体を流れる補償電流を測定することによってコンタクトホール径を測定する一括測定モードとを組み合わせる。これにより、検査精度を高く維持し、かつ検査速度を高速化することができる。
【0122】
図23および図24を参照して具体的な例を説明すると、まず、被測定対象であるコンタクトホールのうちひとつあるいは比較的少数の(測長モード対象領域92内の)コンタクトホールについて、測長モードで精度良くコンタクトホール底径測定を行う。次に、同じコンタクトホールに対して、一括測定モードを適用して、コンタクトホールを流れる補償電流とコンタクトホール底径の関係を求め、一括測定モードにおける面積の規格化を行う。この測定により、測定対象におけるコンタクトホール径と補償電流の関係が決定される。ついで、他の(一括測定モード対象領域93の)コンタクトホールに一括モードを順次適用して、それぞれのコンタクトホールに対する補償電流を測定し、先ほど求めた補償電流とコンタクトホール底径の関係より、測定された補償電流をコンタクトホール底面積あるいは径へと変換する。これにより、高い測定精度で、高速にコンタクトホール底径を測定できる。
【0123】
(二つの領域の比較検査)
図25は二つの被検査試料を利用して比較検査を行うための装置構成を示し、図26はその検査フローを示す。また、図27は比較検査の原理を説明する図であり、図28はその拡大図である。
【0124】
半導体LSIの回路パターンはステッパーと呼ばれる露光装置を利用して作製されるため、隣同士のチップの間隔あるいはチップ内部のレイアウトは正確に同じになるようになっている。図27および図28を参照して説明すると、第一の被検査試料101の角を原点(0,0)として相対座標で表現されたチップ内部のレイアウトは、同じウェハー上の第二の被検査試料102の角を原点(0,0)として表したチップ内部のレイアウトと正確に一致する。そこで、両者を比較してある一定基準以上の変化が認められれば、その領域は不具合を含んでいると考えられる。このような比較検査を用いることで、検査試料のレイアウト情報をCADデータから知る必要なしに、配線の配置状態に関わらず、配線不良の位置を特定することができる。なお、第一、第二の被検査試料101、102は、同一基板の上に形成された、最終的にひとつのチップとして切り取られる領域である。
【0125】
比較検査を行うための装置は、図25に示すように、ウェハー111上の検査試料に電子ビームを垂直に照射する電子銃112、ウェハー111がその底を接して配置される補償電流測定用の電極113、この電極113が載置されウェハー111と照射される電子ビームとの位置関係を定めるXYステージ114、電子ビームが照射された位置を正確に測定する電子ビーム照射位置検出装置115、この電子ビーム照射位置検出装置115の検出結果に基づいて電子ビームの照射位置を制御するための制御信号を生成する電子ビーム照射位置制御装置116、この電子ビーム照射位置制御装置116の出力する制御信号に基づいて電子銃112を制御する電子銃制御装置117、電子ビーム照射位置制御装置116の出力する制御信号に基づいてXYステージ114を制御するステージコントローラ118、電極113の電流を増幅する電流アンプ119、電流アンプ119の出力をデジタル信号に変換するD/A変換器120、デジタル信号を位置座標に対応した電流波形として記憶する第一および第二の記憶装置121、122、記憶された電流波形を比較する波形比較装置123、比較結果に基づいて配線の良否を判断する不良判定装置124、判定のための情報が記録された判定用データベース125、不良と反対された位置を記憶する不良位置記憶装置126、およびその不良移値を表示、印刷またはネットワーク上の他の処理装置に出力する不良位置出力装置127を備える。電子ビーム照射位置検出装置125としては、例えば光学式精密距離測定装置を用いる。
【0126】
記憶装置121、122は、各チップに対応した電流波形を別々に記憶することから、図25では別のものとして示しているが、これらは共通の記憶装置で実施できる。また、不良位置記憶装置126についても、図25では別個の装置として示しているが、記憶装置121、122と同じ装置の別の記憶領域を用いることができる。
【0127】
不良位置記憶装置126は、必要に応じて、不良のランク分けを行って、ランク別に位置情報を記録することができる。
【0128】
電子ビームの走査は、電子銃112を特定の位置に固定しておき、XYステージ114を電子銃112の位置に対して移動することによって行う。XYステージ114の位置を電子ビーム照射位置検出装置115により測定することで、100Åの精度で電子ビームが照射されている位置を正確に測定することができる。ウェハー111上の第一の検査試料101に対して電子ビームがライン状に走査されている間、その試料で生じる電流を電流アンプ119およびD/A変換器120によって第一の電流波形として測定し、XYステージ114の位置から計算される第一の電子ビーム照射位置座標と組にして、第一の記憶装置121に記録する。同じ測定を別のチップの同一パターン形成箇所である第二の被検査試料102に対しても行い、第二の電流波形を取得し、第二の電子ビーム照射位置座標と組にして第二の記憶装置122に記録する。第一および第二の記憶装置121、122に記憶された電流波形の差から不良判定装置124でパターン欠陥を判定し、不良位置記憶装置125に記憶する。必要な場合には、不良位置出力装置127から、ディスプレイ、プリンター、あるいは他の解析に利用できるようにネットワーク上の他の装置に出力する。
【0129】
補償電流を用いた測定の場合、二次電子を用いた場合と異なって、配線以外に照射された電子ビームは有効な電流を生じないため、二次電子の場合と比較して、検出された信号に含まれるノイズが小さい。
【0130】
良品と不良品チップとの比較をどの時点で行うかは、波形記憶装置121、122に利用される記憶装置の容量によって異なる。1ライン毎に良品と不良品の比較を行う場合には、1ライン分の波形を記録できる記憶容量で十分である。良品1チップ全てを測定してから不良品チップを測定する場合には、1チップ分の情報のすべてを記憶するだけの記憶容量が必要となる。物理的に距離のあるチップ間の電子ビーム照射位置の移動には多くの時間を必要とすることから、検査速度を向上させるためには1チップの測定が終了してから次ぎのチップの測定を行うことが望ましく、できるだけ容量の大きな記憶装置を用いることが望ましい。
【0131】
図29は検査例を示す図であり、(a)は良品チップの測定例、(b)は不良品チップの測定例である。図の左側の数字は帯状に走査される電子ビームのライン番号を示し、右側のWは1回に走査する電子ビームの幅を示す。また、図29(a)、(b)の下側には、パターン欠陥に関連する4番目の電子ビーム走査時に観測された補償電流を示す。この例では、通常の半導体デバイスで見られるように、検査対象配線の大きさは一定(例えば0.15ミクロン)であるものとしている。一般に、半導体デバイスは露光技術やエッチング技術などの制約から、配線と配線の間隔は配線の直径よりも長い。この例では、配線はランダムに並んでおり、一定の周期をもってはいない。
【0132】
図29(a)、(b)に示すチップは、図27、28を参照して説明した性質をもち、半導体ウェハー上に同時に形成された複数のチップから任意に選択される。どのチップを比較測定の対象とするかは、場合によって異なるが、一般的には隣同士、あるいは良品が取れやすい特定のチップを第一の被検査試料に指定し、第二の被検査試料を順次代えて検査を行う。3つ以上のチップの検査結果を比較し、同じ検査結果が多数のものを良品と判断することもできる。
【0133】
電子ビームを利用した配線の良不良判定は、電子ビームを照射した際に生じる電流の大きさや極性の変化を利用する。ここでは、簡単のために、不良品配線にはパターン欠陥が存在するために、不良品配線に対して観測される電流は良品配線の場合に比べてかなり少ないものとして議論を進める。
【0134】
具体的な検査方法を説明する。まず、検査試料となるチップの位置座標を電子ビーム照射を行うための位置座標に一致させる。検査試料となる最先端デバイスの配線のサイズは0.2ミクロン以下であるので、この位置座標が十分に再現できる1000Åよりも高い位置精度でアライメントを行う。これを行うためには、ウェハー上に形成されているアライメントマークを利用する。
【0135】
アライメントマークを利用する方法には幾つかの方法がある。ひとつは半導体プロセスで通常利用されているマスクアライメントのためのアライメントマークを利用する方法である。このアライメントマークは酸化膜、金属膜などでできており、基板表面にあるので、検査装置内部に設けられた走査顕微鏡を利用して、二次電子画像に変換する。画像で見えている位置が正しく電子ビームが照射されている位置なので、アライメントマークの位置を原点とするように電子ビーム走査系の位置座標を一致させる。
【0136】
走査顕微鏡を使用しない別の方法としては、アライメントマークに流れる電流を測定する方法がある。アライメントマークとして検査試料と同様の配線形状のものを別途作製する。配線の大きさは検査試料と同様の大きさの物でもよいし、測定精度を上げるためにもっと小さな物を用いてもよい。配線の測定原理と同じように、電子ビームが配線以外の場所を照射している間は観測される電流が小さく、配線の位置に電子ビームが照射されると電流は多く流れる。電子ビーム照射位置がマークに一致していると、観測される電流は最大になるので、この位置をアライメントが合っている位置として利用する。
【0137】
アライメントが終了後、第一の被検査試料の配線132が形成されている領域に対して、ライン「1」に沿って、長さが配線幅に相当する線状電子ビーム131を検査試料表面に垂直に左から右に走査する。検査領域の端にたどり着いたら幅Wだけ走査方向とは垂直の方向に電子ビーム131の照射位置をずらし、再び電子ビーム131の走査をライン「2」に沿って行う。走査の方向はs字型あるいはミアンダ状にしてもよいし、最初の位置に復帰して左から右に走査を行ってもよい。垂直方向の移動幅Wはおおよそ配線幅の大きさに取る。同様にライン「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、に沿って走査を行い、検査試料全体を隈なく走査する。
【0138】
図29(a)、(b)に示したように、4番目のラインに沿った走査では、良品では配線132に相当する位置に電子ビーム走査位置が来たときに電流が観測されるが、不良品の配線133では電流が観測されない。すなわち、良品と不良品ではパターン欠陥134の位置で電流波形に差が生じるため、そこに不良が存在することが分かる。
【0139】
以上の検査方法では、検査試料の配線位置が未知であっても、不良配線の位置を特定することができる。
【0140】
(細い電子ビームによる比較検査)
図30は、比較検査の別の例として、細い電子ビームを使用した例を示す。(a)は良品チップの測定例、(b)は不良品チップの測定例である。図の左側の数字は電子ビームのライン番号を示す。また、図30の下側には、パターン欠陥に関連する4番目の電子ビーム走査時に観測された補償電流を示す。
【0141】
補償電流を測定する場合、配線の材質が均一であるときは、配線のどこの部分に電子ビームを照射された場合にも、単位面積当たりに換算すれば同じ電流が流れる性質がある。したがって、配線の良否検査を行うためには、必ずしも配線全体を一遍に電子ビーム照射する必要が無い。また、パターン欠陥はパターン周辺部から起るので、電子ビーム照射する位置を配線の周辺部に設定すれば、欠陥検出感度が高くなる。逆に、配線の中心に電子ビームが照射されるように設定すれば、欠陥検出感度は小さくなる。図30の例では、配線幅よりも十分に細い点状平行電子ビーム141を使用し、配線幅と同じ程度の走査間隔Lで走査する。
【0142】
この検査も、図29に示した検査と同様に、図25に示した装置を用い、図26に示した検査フローにしたがって実施することができる。ただし、電子銃112は、配線幅よりも十分に細い点状平行電子ビームを発生できるものとする。
【0143】
この検査では、図29を参照して説明した検査と同様にアライメントを行い、第一の検査試料の配線142が形成されている領域に対して、ライン「1」に沿って、配線幅に比べて十分に小さいサイズを持つ電子ビーム141を検査試料表面に垂直に入射して走査する。上述したように電子ビーム照射位置は欠陥検出感度に影響するので、感度を大きくしたい場合はラインの端に、感度を下げたい場合には配線の中心部を通過するように設定する。検査領域の端にたどり着いたら、走査間隔Lだけ走査方向とは垂直の方向に電子ビーム照射位置をずらし、再び電子ビームの走査をライン「2」に沿って行う。走査の方向はs字型にしてもよいし、最初の位置に復帰して同じ方向に走査を行ってもよい。走査間隔Lは、おおよそ配線幅の大きさに取る。同様にライン「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、に沿って走査を行い、検査試料全体を隈なく走査する。以上の測定を別のチップの同一パターン形成箇所である第二の検査試料に対しても行い、それぞれの電流波形を電子ビームの照射位置座標に対応して記憶する。
【0144】
図28(a)、(b)の例では、4番目の走査において、良品では配線142に相当する位置に電子ビーム141を走査した補償電流が観測されるが、不良品の配線143に差し掛かったときには補償電流が観測されず、この差を検出することで、配線のパターン欠陥143を検出できる。
【0145】
(線状電子ビームによる比較検査)
図31は、比較検査の別の例として、ランダムに配置された複数の配線に同時に線状電子ビームを照射する例を説明する図であり、(a)は良品チップの測定例、(b)は不良品チップの測定例である。ここで用いる電子ビームは走査方向には非常に短く、例えば100Å、走査方向に垂直の方向には複数の配線が含まれるような数ミクロンの長さの線状形状をしている。電子ビーム165の照射電流量は数ピコから数ナノアンペアー、加速電圧は数百から数キロボルトである。
【0146】
図31(a)に示す良品試料においては、電子ビーム151が位置aにおいて配線152に差しかかると、電流が流れはじめる。さらに、電子ビーム151が位置bに達すると、電子ビーム151が照射される配線152の範囲が大きくなるため、さらに電流が流れる。電子ビーム151が位置cに達すると、電子ビーム151が照射される配線152の範囲が小さくなり、電流が減少する。電子ビーム151が位置dに達すると、電子ビーム151に照射されないため、電流が零になる。一方、図31(b)に示す不良品試料においては、配線154により得られる電流値が小さく、良品と不良品の同じパターンが形成されている位置で得られた二つの電流波形を比較すると、パターン欠陥156により波形が異なっている。一方、良品配線153、155が形成されている位置e、f、g、hでは、良品および不良品の双方のチップで同じ電流波形が得られる。
【0147】
このように、複数の配線に電子ビーム照射した場合にも、配線位置がずれているときは、それぞれの配線が発生する電流が測定位置に対して独立して測定され、良品チップと不良品チップの電流波形には大きな差が生じるため、電流波形を比較することによって配線の不良を検出できる。
【0148】
この検査は、図29、図30に示した検査と同様に、図25に示した装置を用い、図26示した検査フローにしたがって実施することができる。ただし、電子銃112は線状電子ビームを発生できるものとする。
【0149】
図32は配線が縦方向に同じ形状を持つ場合の検査例を説明する図であり、(a)は良品チップの測定例、(b)は不良品チップの測定例を示す。照射する電子ビームは走査方向に100Å程度、横方向には数ミクロンの幅を持つ線状電子ビームである。
【0150】
本発明の測定原理である電流測定法で得られる電流値は、同時照射されている配線がそれぞれ生じる電流の合計値が測定されることである。すなわち、細い電子ビームがそれぞれの配線部分に照射された場合に生じる電流値の合計の電流量が、線状電子ビームにより測定される。
【0151】
図32(a)、(b)の例では、電子ビーム161が位置aないし位置bを通過すると、良品でも不良品でも、それぞれ配線162、164による同じような電流が観測される。これに対して、電子ビーム161が位置cないし位置dを通過するときには、良品では配線163による電流が観測されるのに対し、不良品では配線165による小さな電流値しか観測されない。したがって、大きな電流波形の違いが生じ、パターン欠陥1665の存在が検出される。すなわち、電子ビームの走査に対して配線の位置が重なっている場合にも、図25の検査装置および図26の検査手順を用いて不良の検出および不良位置の特定を行うことができる。
【0152】
図33は配線幅の異なった配線が軸対称に存在する場合の検査例を説明する図であり、(a)は良品の測定例、(b)は不良品の測定例を示す。この検査例においては、図32に示した検査例と同様の線状電子ビームを用い、細い電子ビームをそれぞれの配線部分に照射した場合に生じる電流値の合計の電流量を測定する。
【0153】
図33(a)に示す良品では電子ビーム171が位置aに差し掛かったときに配線172による電流が得られるのに対し、図33(b)に示す不良品では、配線173にパターン欠陥174があるため、電子ビーム171が位置aを走査に差し掛かっても電流は観測されず、電流波形に差が生じる。位置bにおいても、不良品にはパターン欠陥174があるため、観測される電流波形は良品と比較して小さくなる。このように、配線幅の異なった配線が軸対称に存在する場合には、それらを同時検査しても、良品チップと不良品チップの間では波形に差が生じるため、不良を検出できる。
【0154】
図34は幅の異なった配線がばらばらに存在する場合の検査例を示す図であり、(a)は良品の測定例、(b)は不良品の測定例を示す。線状の電子ビーム181を用いて走査を行うと、良品チップの配線182と不良品チップの配線183とでは、パターン欠陥184のある位置bの電流変化量が異なる。この差を検出することによって、不良が検出される。
【0155】
(積分による電流波形の比較)
以上の説明では、電子ビームを試料に照射して得られた電流波形を直接比較する場合を例に説明した。電流波形を比較するには、この他にも種々の方法が考えられる。
【0156】
図35は電流波形をその積分値により比較する検査装置の構成例を示し、図36はその検査フローを示す。この検査装置は、図25に示した装置の波形比較装置123の代わりにパルス積分器191、192および積分値比較装置配191を備え、配線検査に対応して取得された電流波形のパルス1個で流れた電流値の積分値をパルス積分器191、192により求め、それを積分値比較装置193で比較する。
【0157】
(単位面積当たりの電流値による比較)
比較検査においては、CAD等の位置座標を利用しないので、検査に利用される電子ビームは必ずしも配線に完全に照射されるとは限らない。そこで、単位面積当たりの電流値を比較の基準とすることもできる。
【0158】
図37は単位面積当たりの電流値により比較検査を行う検査装置の構成例を示し、図38はその検査フローを示す。この検査装置は、図25に示した構成における記憶装置121、122および波形比較装置123に代えて、記憶装置201、パルス積分器202、パルス幅検出器203、割算装置204および記憶装置205を備える。測定された電流波形は記憶装置201に記憶され、パルス積分器202は、記憶された電流波形に属するひとつのパルスの立ち上がりから立ち下がりまでに流れた電流量を積分して、1パルス間に流れた総電流量を求める。パルス幅検出器203は、記憶装置201に記憶された電流波形のパルス幅から、配線横断距離を求める。割算装置204は、パルス積分器202で求めて総電流量をパルス幅検出器203で求めた配線横断距離で割算する。この割算により、配線幅に無関係である単位面積当たりに流れる電流値が得られる。不良判定装置124は、割算装置204により得られた値と、あらかじめ求められている判定用データベース125に貯えられている基準値とを比較することで、その大きさの違いより良品と不良品とを判断する。
【0159】
図39は配線に対する電子ビームのカバレッジと電流波形との関係を説明する図であり、(a)はひとつの配線を完全に電子ビームが通過するカバレッジ100%の例、図(b)は半分の領域だけ通過したカバレッジ50%の例を示す。電子ビームの走査範囲である電子ビーム走査帯211内に配線212が完全に含まれているときには、走査毎に同じ電流波形が得られる。これに対して配線212が電子ビーム走査帯211からずれているときには、ある走査では配線212による電流波形が得られるものの、別の走査では得られないことになる。しかし、良品コンタクト配線を流れる単位面積当たりの電流量は一定であり、それを比較することで、良否を判定することができる。
【0160】
ここで用いる不良判定のための基準値は、良品配線の示す単位面積当たりの電流量である。したがって、その値としては、同一工程を経た他のウェハーのチップの配線が示す値や、テストパターンなどで得られたデータ、あるいはシミュレーション等を行って推測した値を利用する。別のウェハー由来の基準値の利用は、プロセス開発当初のウェハー内部での良品率が著しく低いときなどに有効である。
【0161】
(量産工場での単位面積当たりの電流値による比較)
図40は同一基板上にある複数のチップを用いて比較検査を行うための検査装置の構成例を示し、図41はその検査フローを示す。この検査装置は、図37に示した記憶装置201、パルス積分器202、パルス幅検出器203、割算装置204および記憶装置205と同等の回路を二系統、すなわち記憶装置221、231、パルス積分器222、232、パルス幅検出器223、233、割算装置224、234および記憶装置225、235を備え、さらに、記憶装置225、235に記憶された値を割算する割算装置236を備えたことが図37に示した装置構成と異なる。
【0162】
この装置は、生産がある程度安定している量産工場等で利用するものであり、同一基板上にある複数のチップを用いて比較検査を行う。すなわち、第一の被検査試料に電子ビームを照射して得られる電流波形を記憶装置221に記憶し、測定された電流波形に属するひとつのパルスの立ち上がりから立ち下がりまでに流れた電流量をパルス積分器222により積分して1パルス間に流れた総電流量を求め、配線横断距離と等しいパルス波形の立ち上がりから立ち下がりまでの幅をパルス幅検出器223により求め、パルス積分器222により得られた総電流量をパルス幅検出器223により求めたパルス幅で割算し、配線幅に無関係な単位面積当たりに流れる電流量を得る。これを記憶装置225に記憶する。第二の被検査試料に対しても同様の検査を行い、得られた単位面積当たりの電流量を記憶装置235に記憶する。記憶装置225、235の値を割算装置236で割算し、不良判定装置124で、判定用データベース125にあらかじめ記録された基準値と比較する。この基準値はチップ間で許容される差を定義している。比較結果が大きい場合は、その位置に不良が存在することになる。
【0163】
(電流波形の立ち上がりおよび立ち下がりの比較)
図42は取得された電流波形の立ち上がりおよび立ち下がりにより配線の良否を判定する検査フローを示す。この検査では、電流波形におけるパルスの立ち上がりおよび立ち下がりが配線パターンの縁に対応することを利用して、配線の良否を判定する。すなわち、第一の検査試料を走査して電流波形を取得し、第一の検査試料の配線位置を決定する。次に第二の検査試料を走査して電流波形を取得し、第二の検査試料の配線位置を決定する。両者の波形の立ち上がりおよび立ち下がりの違いを比較することで、配線の位置ずれがわかる。この位置ずれが一定値以上である場合には、その配線を不良と判定し、その位置を記憶装置に記憶する。
【0164】
図43は検査例を示す図であり、(a)は良品、(b)は不良品を示す。良品では配線241が周期的に形成されており、それに対応して、電子ビーム照射位置T1〜T8で周期的に電流波形の立ち上がりおよび立ち下がりが測定される。これに対して不良品では、T3の立ち上がり位置が良品とずれている。
【0165】
図44は電流波形の立ち上がりと立ち下がりの中心位置により配線の良否を判定する検査フローを示す。この検査では、第一の検査試料を走査して電流波形を取得し、その電流波形におけるパルスの立ち上がりおよび立ち下がり位置座標の中心座標を算出して配線の中心位置を特定する。同様に、第二の検査試料を走査して電流波形を取得し、その電流波形におけるパルスの立ち上がりおよび立ち下がり位置座標の中心座標を算出して配線の中心位置を特定する。両者の配線中心位置を比較し、その結果に一定以上の差がある場合には、少なくとも一方の配線中心位置を記憶装置に記憶する。
【0166】
(電子ビームの副走査)
図45は、細い電子ビームを利用して検査を行う場合に、検査速度を飛躍的に向上させる装置構成例を示す。この構成例では、電子ビームを偏向させる副走査用偏向装置251を備え、XYステージ114によりウェハー位置を移動させる主走査に加え、副走査用偏向装置251による副走査を同時に行う。
【0167】
主走査はXYステージ114の移動によって行われるので、現在の技術では1[m/秒]を超えるスピードで安定移動することは困難である。このため、電流測定系の処理速度が非常に高速であっても、検査速度の上限は電子ビーム走査速度が決定することになってしまう。そこで、実質的に走査速度が向上するように、主走査を行うと同時に、主走査方向に垂直な方向に高速に副走査を行う。副走査は電子ビーム偏向によって行われるため、XYステージの移動速度の何万倍も速い。
【0168】
小さな副走査距離の場合には電子ビームの入射角度は実質的に垂直であり、検査に影響しないため、通常の電子ビーム偏向器を利用する。大振幅の副走査を行う場合には、ビームを平行移動させるビームシフターを利用する。
【0169】
図46は走査軌跡の一例を示す。配線251に対して主走査262がゆっくり一定方向に進行する間に、一定幅で高速に往復する副走査263を同時に行う。副走査263は、測定対象配線の幅に相当する間隔で、平行に行う。このようにすると、主走査の速度に副走査の速度を掛けた速度と同じ速度で走査を行っているのと同じになり、検査速度を飛躍的に向上できる。
【0170】
(アレイ領域の検査の高速化)
図47は検査を高速化する検査フローを示す。SOCデバイス等では、ランダムロジックと共に、メモリー等のコンタクト配線が等間隔で長距離にわたって配置されたアレイ領域が存在する。このようなアレイ領域をCAD等からのレイアウト情報を必要とせずに検査試料から自動的に抽出し、その部分をアレイ特有の別の高速化手法で検査する。そのためには、まず、最初のチップを検査し、全ての検査対象領域の電流波形を取得する。次に、走査方向に現れる配線の位置を電流波形の立ち上がりおよび立ち下がりから検出し、記憶しておく。次に、配線の位置の空間分布をある特定の区間毎(例えば数十から数百ミクロン)に周波数分析する。
【0171】
図48は周波数分析により得られるパワースペクトラムの一例を示す。このパワースペクトラムには位置依存性がある。パワーの大きい領域は電流波形の相関が強いことに相当し、その領域にアレイが存在することが検出される。逆に相関が小さい領域は、ランダムロジック領域と考えられる。
【0172】
このようにして検出されたアレイ部には、複数の配線に同時に電子ビームを照射し、一括して不良割合を求める。これにより、検査が高速化される。
【0173】
(三次元形状の測定)
本発明によれば、ホールの底の直径だけでなく、ホールの三次元形状を測定することができる。すなわち、電子ビームの加速電圧を変えることにより、さらにはウェハーの傾きを変えることにより、ホール底に照射される電子ビーム強度および分布が変化することを利用する。これを図49、図50を参照して説明する。ホール510に照射する電子ビームの加速電圧が低い場合、図49に示すように、電子は絶縁膜512をほとんど透過することができず、ホール510の底の部分、すなわちウェハー511が露出した部分の他は、ほとんど測定電流に寄与しない。照射する電子ビームの加速電圧を高めると、図50に示すように、電子がホール510の底の周囲の絶縁膜512を透過するようになり、測定される電流値が変化する。これを利用することで、ホールエッジあるいは絶縁膜厚を測定することができる。
【0174】
図49および図50に示したホール形状は上広がりがりであるが、図51および図52に示すように下広がりがりの場合にも同様の測定結果が得られる。この場合、この測定だけでは、ホール形状が上広がりなのか下広がりなのか区別できない。そこで、図53および図54に示すように、ウェハーの傾斜角を変えて測定を繰り返す。角度により検出されるウェハー電流の強度分布の変化から、ホール形状が上広がりなのか下広がりなのかを区別できる。
【0175】
ホールの三次元形状を求めるためには、被測定試料を構成する各材料について、電子ビームの加速電圧に対する電子ビーム吸収係数の依存性をあらかじめ求めておき、ライブラリとして保存しておく。
【0176】
測定された電流値から三次元形状を画像として再構成する方法としては、フーリエ変換法、逐次近似法および重畳積分法が考えられる。このうち、逐次近似法について、図55ないし図58を参照して説明する。図55は処理フローを示し、図56ないし図58は個々の処理を説明する図である。
1)まず、図56に示すように、被測定サンプル2次元画像を(M×N)画素に分解されたものとし、各画素に対して一様な吸収係数を適当な初期値で与える。
2)次に、電子ビームを照射した軌跡にあるセルの吸収係数cmnの総和をとる。ただし、この総和値は、実測の基板電流値とI = I0・exp[-Σcmn] ...(1)
の関係が成り立つとする。式(1)が成立するように、相当するセルの吸収係数cmnをモディファイする。
3)電子ビームの照射角度Θを順次変えて、2)の作業を順次行う。すなわち、いかなる測定条件(照射角度Θ、加速電圧E)においても式(1)が常に成立するように各セルの吸収係数cmnを順次モディファイしてゆく。
4)2)、3)の作業を電子ビームの加速電圧Eを順次変えて繰り返し、図57に示すように、各加速電圧ごとの吸収係数マップを近似で求める。
5)図58に示すように、各々のセルについて、吸収係数の加速電圧依存性をライブラリ上のデータと比較する。
6)これにより、被測定サンプルの定性三次元画像が得られる。
【0177】
以上の画像再構成方法において、解像度は、電子ビームのプローブ径、電子ビームのスポット間隔、および逐次近似法におけるセルの大きさにより決定される。また、定性分析の精度は、電子ビーム加速電圧の振り間隔、振り幅、および基板電流計の感度により決定される。
【0178】
(目ずれ検査)
本発明では、電子ビームが絶縁層を透過することを利用して、層間で発生したずれ(目ずれ)を非破壊で検出することもできる。すなわち、加速電圧を順次上げていき、絶縁膜を通過させて拡散層や配線などに電子ビームを照射することにより下層の構造を取得するとともに、上層の拡散層や配線などの情報も得る。同時に得られる異なる層の情報から、ホール位置と下層の構造とのずれを検出でき、目ずれを評価できる。また、加速電圧を変えて電子ビームの到達深さを変化させることにより、例えば表面から2層目と3層目との間、3層目と4層目の間、あるいは2層目と4層目の間のずれも評価できる。加速電圧を上げて下層を測定する場合、下層の情報に上層の情報が含まれてしまうが、これは画像処理で分離できる。また、上層に配線などの導電層が基板との電気的接続なしに配置されている場合には、下層の測定時に陰画として検出することができる。
【0179】
図59は目ずれ評価の一例を示し、(a)はデバイスの断面図、(b)は測定結果の電流像を示す。この例では、拡散層が設けられたウェハーの上に絶縁層が設けられ、この絶縁層に設けられたホールにより拡散層の一部が露出している。加速電圧が低く電子ビームが絶縁膜を透過できないときには、電子ビームの照射位置と基板電流の測定値とからホールの位置がわかる。絶縁膜を透過できる程度に加速電圧を上げると、半導体基板の不純物の違いにより同様に拡散層全体の位置がわかる。ホールと拡散層との中心位置のずれ、もしくはホールと拡散層との外周の距離を評価することにより、ずれを評価できる。
【0180】
図60および図61は目ずれ評価の別の例を示す図であり、図60は目ずれがない場合、図61は目ずれがある場合について、それぞれ(a)にデバイスの断面図、(b)に測定結果の電流像を示す。この例では、ウェハーの表面に配線が設けられ、その上に絶縁層が設けられ、この絶縁層にホールが設けられている。配線の位置とホールの位置は元々ずれているが、図61の例ではそのずれが大きくなっている。この場合にも図59に示した例と同様に、低加速電圧の電子ビームにより配線の位置、高加速電圧の電子ビームにより配線の位置がそれぞれわかり、それらの間の距離を測定することによりずれを評価できる。
【0181】
図62の例では、ウェハーの表面に拡散層が設けられ、その上に第一の絶縁膜を介して下層配線が設けられ、その上に第二の絶縁膜を介して上層配線が設けられ、さらにその上に第三の絶縁膜が設けられる。電子ビームの加速電圧を変化させて順次基板電流値を測定することで、各層の位置がわかる。
【0182】
目ずれ検出を行うためには、所望の層に電子ビームが達するように加速電圧を調整して測定を行う必要がある。図63に、主な絶縁層が1種類の材質のときの測定フローを示す。まず、CADデータに基づいて各層の配線または拡散層が重ならない場所を選定し、必要な倍率を決定する。重なった場所は観測できず、倍率が低すぎると構造が見えず、倍率が高すぎると配線や拡散層がない場所を無駄に検査することになる可能性があるため、最適な場所を事前に設計データから決定することが望ましい。これにより、判定処理も容易になる。続いて、各層のプロセスデータを読み込み、各層の下端までの絶縁層の厚みを算出し、その絶縁層厚みに対応した加速電圧をデータベースより読み込み、その加速電圧で補償電流を測定する。この測定は層数と同じだけ必要である。
【0183】
絶縁層の材質が1種類であれば、電子ビームに対する挙動が同一となる。また、絶縁層が複数種の場合でも、二次電子放出量などの電子ビームに対する物理的挙動が同じならば、同一材料として扱うことが可能である。各材料については事前の測定でデータベース化しておき、プロセスデータの読み込み時に自動的に判定する。
【0184】
加速電圧の調整の前に準備すべきデータとして、絶縁層の種類および厚さに対する補償電流もしくは配線で検出される電流値と、絶縁層の種類および厚さごとの加速電圧に対する補償電流もしくは配線で検出される電流値とがある。これらのデータは事前に測定しておき、データベースに記録しておく。膜厚に対する補償電流の一例を図64に示し、加速電圧に対する補償電流の一例を図65に示す。
【0185】
図66は複数の絶縁層があるときの測定フローを示す。この場合にも、まず、CADデータに基づいて各層の配線または拡散層が重ならない場所を選定し、その測定領域の範囲に適した倍率を決定する。続いて、プロセスデータに基づいて、各層までの複数種の絶縁層の厚さを個別に計算し、データベース中にそれらの組み合わせと一致する設定があるかどうかを検索する。一致する設定がある場合には、複数種の絶縁層のトータルの絶縁層の厚みに対応した加速電圧をデータベースより読み込み、その加速電圧で補償電流を測定する。一致する設定がない場合には、プロセスデータに基づいてトータルの絶縁層厚さを計算し、使用している中で最も電子線が透過しにくい材質を仮定し、その場合でも最下層まで透過可能な加速電圧を求める。次に、500V程度の低加速で補償電流を測定し、画像化する。この程度の低加速電圧であれば、表層しか見えない。次に、上で求めた最下層まで透過可能な加速電圧を「層数×n」で割って、得られた加速電圧毎に補償電流を測定して画像化する。nの値については、1から9程度までの最適な値を用いる。このとき得られる下層の画像には、上層の情報が含まれている。得られた画像を比較し、一致する画像がある場合、その前後で加速電圧をさらに細かく変えて再測定する。2、3番目の画像が一致する場合、1、2番目の画像をとったときの加速電圧の中間の電圧、3、4番目の画像をとったときの中間の電圧で測定、異なる画像が得られるまで操作を続ける。そして、プロセスデータより得られる層数分だけ違う画像が得られたところで測定を終了する。
【0186】
図67は層毎の画像が得られたあとの目ずれ判定のフローを示す。各層の画像(電流像で見えるパターン)とCADデータのレイアウト情報とを比較し、それぞれの画像がCADデータ上の何に対応するか、すなわち、どの配線か、どの拡散層か、を確定させる。次に、得られたパターンが、CADデータで設計時に指定される座標位置を調査し、上面からの投影像での距離を計算する。この計算で得られた理想値と、画像により求められる実測値を比較する。このときのずれ分が目ずれに相当する。
【0187】
電子ビームの加速電圧を変化させて層毎に分離して情報を得るのではなく、まとめて取得することもできる。その場合の測定フローを図68に示す。この測定フローでは、まず、図65および図66に示した測定フローと同様に、CADデータに基づいて各層の配線または拡散層が重ならない場所を選定し、必要な倍率を決定する。続いて、プロセスデータに基づいてトータルの絶縁層の厚さを計算し、使用している中で最も電子線が透過しにくい材質を仮定し、その場合でも最下層まで透過可能な加速電圧を求め、その加速電圧で電流像を取得する。電流像に寄与すると思われる各層のパターンをCADデータより取得し、測定された電流像と比較する。このとき、CADデータから得られる情報で電流像がそれぞれどの層に属するかを分離し、電流像での位置座標と、CADデータから得られる理想状態とを比較して、ずれを求める。CADデータにより電流像を分類する作業が必要になるが、単一の画像でずれを評価できるので、精度が向上すると考えられる。
【0188】
(バックグランド補正)以上の検査においては、試料表面に電子ビームを走査照射して基板に生じる電流を電子ビーム走査位置の関数として記録し、それを画像表示用の輝度信号として利用することで、基板面に対応する電流画像を形成している。また、画像をコンタクトホール検査に用いる場合には、コンタクトホールに直流的に流れる電流の大小が良否判定の基準となる。しかし、実際には、電子ビームをパルス状に周期的に照射したり、電子ビームを走査するため、交流成分が生じてしまう。このため測定される電流には、実際に試料を直流的に流れる成分の他に、容量的に生じる成分が含まれてしまう。このような成分があると、画像の明るさと対象物の物理的な対応がとれなくなってしまい、コンタクトホールの良否判定が不正確になり、三次元形状の復元も困難になってしまう。
【0189】
そこで、電子ビームの照射周波数あるいは走査周波数を変化させて電流を測定し、被検査試料のもつ容量を介して流れる電流成分を補正することが望ましい。そのような補正を行うための二つの処理フロー例をそれぞれ図69および図70に示す。
【0190】
図69に示す処理フローでは、パルス状の電子ビームを繰り返し照射する場合に、その繰り返し周期を変更して測定を繰り返し、得られた電流波形から、電子ビームが連続的に照射される場合の値を外挿して直流成分を求める。図1に示した装置構成を例に説明すると、電子銃1はパルス状の電子ビームを繰り返し発生する構成であり、ビーム制御部11によりこの電子ビームの繰り返し周期を変更し、データ処理装置10では、異なる繰り返し周期で電子ビームを照射したときにそれぞれ測定される電流値から、電子ビームが連続的に照射される場合の値を外挿して直流成分を求める。
【0191】
図70に示す処理フローでは、電子ビームの走査速度を切り替えて測定を繰り返し、得られた電流波形から、走査速度を零に外挿したときの値を求める。 図45に示した装置構成を例に説明すると、電子ビーム照射位置制御装置116は副走査用偏向装置251を介して電子ビームの走査速度を切り替え可能であり、D/A変換器120の出力が供給されるデータ処理装置(例えば図1のブロック10)では、異なる走査速度で電子ビームを走査したときにそれぞれ測定される電流値から、走査速度を零に外挿したときの値を求める。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の第二の実施形態を示すブロック構成図である。
【図3】アパーチャーの構成例を示す図であり、(a)はビームの断面形状を円形にするためのアパーチャー、(b)は正方形にするためのアパーチャーを示す。
【図4】SEMを用いた円柱状のコンタクトホールの検査例を説明する図であり、(a)は検査方法、(b)は検査結果の例を示す。
【図5】SEMを用いたテーパー状のコンタクトホールの検査例を説明する図であり、(a)は検査方法、(b)は検査結果の例を示す。
【図6】測定方法を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系を示し、(b)は測定結果例を示す。
【図7】テーパー形状のコンタクトホールに対する測定を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系、(b)は測定結果例を示す。
【図8】コンタクトホール底面積に対する補償電流量の変化を示す。
【図9】コンタクトホール底の直径に対する補償電流量変化を示す。
【図10】ホール開口部より大きな断面形状を有する電子ビームを用いた測定を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系、(b)は測定結果例を示す。
【図11】ホール開口部より大きな断面形状を有する電子ビームを用いた測定を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系、(b)は測定結果例を示す。
【図12】コンタクトホールの径より小さいビーム径を用いた同様の測定を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系、(b)は測定結果例を示す。
【図13】コンタクトホール底径の測定を量産工場で利用する場合のフローチャートおよび良否判定例を示す。
【図14】円柱形状をもつコンタクトホールについてのSEMとの連係測定例を説明する図であり、(a)は対象となるコンタクトホールの構造とその測定系を示し、(b)はコンタクトホール中心線に沿って測定された二次電子量と補償電流とを電子ビームの照射位置に対して示し、(c)は復元された3次元表示図形を示す。
【図15】順テーパー形状をもつコンタクトホールについての同様の測定を説明する図である。
【図16】傾斜電子ビームによる円柱状コンタクトホールについての同様の測定を説明する図である。
【図17】順テーパー状コンタクトホールについての同様の測定を説明する図である。
【図18】逆テーパー状コンタクトホールについての同様の測定を説明する図である。
【図19】コンタクトホール内部に生じた異物を検出し特定する方法を説明する図であり、(a)は検査対象の構造と測定系を示し、(b)は測定される二次電子量と補償電流とを電子ビームの照射位置に対応して示す。
【図20】コンタクトホール内部に生じた異物を検出し特定する方法を説明する同様の図である。
【図21】コンタクトホール内部に生じた異物を検出し特定する方法を説明する同様の図である。
【図22】断面形状の大きな電子ビームを利用した測定例を示す図であり、(a)はコンタクトホールと電子ビームとの位置関係を示す平面図、(b)は断面図、(c)は電子ビームの走査位置に対して得られる補償電流およびその微分値を示す。
【図23】測長モードと一括測定モードとを組み合わせた測定方法のフローチャートを示す。
【図24】ウェハー上の測長モード対象領域と一括測定モード対象領域との位置関係の一例を示す。
【図25】二つの被検査試料を利用して比較検査を行うための装置構成例を示す。
【図26】検査フローを示す。
【図27】比較検査の原理を説明する図である。
【図28】拡大図である。
【図29】検査例を示す図であり、(a)は良品チップの測定例、(b)は不良品チップの測定例を示す。
【図30】細い電子ビームを使用した比較検査例を説明する図であり、(a)は良品チップの測定例、(b)は不良品チップの測定例を示す。
【図31】ランダムに配置された複数の配線に同時に線状電子ビームを照射する比較検査例を説明する図であり、(a)は良品チップの測定例、(b)は不良品チップの測定例を示す。
【図32】配線が縦方向に同じ形状を持つ場合の検査例を説明する図であり、(a)は良品チップの測定例、(b)は不良品チップの測定例を示す。
【図33】配線幅の異なった配線が軸対称に存在する場合の検査例を説明する図であり、(a)は良品の測定例、(b)は不良品の測定例を示す。
【図34】幅の異なった配線がばらばらに存在する場合の検査例を示す図であり、(a)は良品の測定例、(b)は不良品の測定例を示す。
【図35】電流波形をその積分値により比較する検査装置の構成例を示す。
【図36】検査フローを示す。
【図37】単位面積当たりの電流値により比較検査を行う検査装置の構成例を示す。
【図38】検査フローを示す。
【図39】配線に対する電子ビームのカバレッジと電流波形との関係を説明する図であり、(a)カバレッジ100%の例、図(b)はカバレッジ50%の例を示す。
【図40】同一基板上にある複数のチップを用いて比較検査を行うための検査装置の構成例を示す。
【図41】検査フローを示す。
【図42】電流波形の立ち上がりおよび立ち下がりにより配線の良否を判定する検査フローを示す。
【図43】検査例を示す図であり、良品、不良品を示す。
【図44】電流波形の立ち上がりと立ち下がりの中心位置により配線の良否を判定する検査フローを示す。
【図45】電子ビームの副走査を行う装置構成例を示す。
【図46】走査軌跡の一例を示す。
【図47】アレイ領域の検査を高速化する検査フローを示す。
【図48】周波数分析により得られるパワースペクトラムの一例を示す。
【図49】ホールの三次元形状の測定を説明する図である。
【図50】ホールの三次元形状の測定を説明する図である。
【図51】ホールの三次元形状の測定を説明する図である。
【図52】ホールの三次元形状の測定を説明する図である。
【図53】ホールの三次元形状の測定を説明する図である。
【図54】ホールの三次元形状の測定を説明する図である。
【図55】三次元形状を逐次近似法により求めるための処理フローを示す。
【図56】処理を説明する図である。
【図57】処理を説明する図である。
【図58】処理を説明する図である。
【図59】目ずれ評価の一例を示し、(a)はデバイスの断面図、(b)は測定結果を示す。
【図60】目ずれ評価の別の例を示し、(a)は目ずれがない場合のデバイスの断面図、(b)は測定結果を示す。
【図61】図60と同等の素子に目ずれがある場合の例を示し、(a)はデバイスの断面図、(b)は測定結果を示す。
【図62】目ずれ評価のさらに別の例を示し、(a)はデバイスの断面図、(b)は測定結果を示す。
【図63】主な絶縁層が1種類の材質のときの測定フローを示す。
【図64】膜厚に対する補償電流の一例を示す。
【図65】加速電圧に対する補償電流の一例を示す。
【図66】複数の絶縁層があるときの測定フローを示す。
【図67】層毎の画像が得られたあとの目ずれ判定のフローを示す。
【図68】複数層の情報をまとめて取得するための測定フローを示す。
【図69】バックグランド補正の一例の処理フローを示す。
【図70】バックグランド補正の別の例の処理フローを示す。
【符号の説明】
【0193】
1 電子銃
2、12 電子ビーム
3、13、15 コンデンサレンズ
4、14 アパーチャー
5 試料
6 可動ステージ
7 電極
8 移動距離測定装置
9 電流計
10 データ処理装置
11 ビーム制御部
16 対物レンズ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査試料の半導体デバイスに電子ビームを走査させながら照射する電子ビーム照射手段と、電子ビームの照射に伴って被検査試料に生じる電流を測定する電流測定手段と、この電流測定手段の測定結果をデータ処理するデータ処理手段とを備えた半導体デバイス検査装置において、前記電子ビーム照射手段は、電子ビームを平行化するコリメート手段と、電子ビームの加速電圧を変更する手段とを含み、前記データ処理手段は、異なる加速電圧で電子ビームを走査したときの被検査試料に対する電子ビームの透過率の違いに基づく試料に生じる電流値の違いから、被検査試料の深さ方向の構造に関する情報を求める手段を含むことを特徴とする半導体デバイス検査装置。
【請求項2】
前記電子ビーム照射手段は電子銃を含み、前記コリメート手段は、前記電子銃から放出された電子ビームを平行にするコンデンサレンズと、被検査半導体デバイスに当る電子ビームのスポットサイズを制限するために、前記コンデンサレンズと被検査試料との間に、電子ビームが開口部に当るように直角に挿入されたアパーチャーとを含み、電子ビームを走査するために電子ビームに対して被検査試料を移動させる手段を備えた請求項1記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項3】
前記電子ビーム照射手段は電子銃を含み、前記コリメート手段は、前記電子銃から放出された電子ビームを平行にする第一のコンデンサレンズと、アフォーカル系をなすように配置された第二のコンデンサレンズと、対物レンズと、前記第一のコンデンサレンズと前記第二のコンデンサレンズとの間に挿入され電子ビームのスポットサイズを制限するアパーチャーとを含み、電子ビームを走査するために電子ビームに対して被検査試料を移動させる手段を備えた請求項1記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項4】
前記電子ビーム照射手段は、測定領域面積よりも小さなスポットサイズの電子ビームを、測定領域の中心を通る線分に沿って被検査試料に垂直に照射する手段を含み、前記データ処理手段は、前記線分に沿って測定された電流の立ち上がりと立ち下がりの間隔から測定領域の底部距離を求める手段を含む請求項1記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項5】
被検査試料の表面から放出される二次電子を検出する二次電子検出器を備え、前記データ処理手段は、この二次電子検出器により測定された二次電子量を前記電流測定手段の測定結果に対応させて処理する手段を含む請求項1の半導体デバイス検査装置。
【請求項6】
前記電子ビーム照射手段は、測定領域面積よりも小さなスポットサイズの電子ビームを、測定領域の中心を通る線分に沿って被検査試料に垂直に照射する手段を含み、前記対応させて処理する手段は、前記電流測定手段により前記線分に沿って測定された電流の立ち上がりと立ち下がりの間隔から測定領域の底部距離を求める手段と、前記二次電子検出器により検出された二次電子量の立ち上がりと立ち下がりの間隔から測定領域の上部距離を求める手段を含む請求項5記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項7】
被検査試料が載置される試料ステージを傾斜させる手段を備え、前記データ処理手段は、この傾斜させる手段により生じる電子ビームに対する被検査試料の傾斜角度を取り込んで処理する手段を含む請求項1記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項8】
前記電子ビーム照射手段は、電子ビームの断面形状を、測定領域の全体を一度に照射でき、かつその少なくとも一端が直線状となるように設定する手段を含み、前記データ処理手段は、電流値の立ち上がりから最大値までの間隔から測定領域の距離を求める手段を含む請求項1記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項9】
前記電子ビーム照射手段は、電子ビームの断面形状を、測定領域の全体を一度に照射でき、かつその少なくとも一端が直線状となるように設定する手段を含み、前記データ処理手段は、電流値の距離に対する微分曲線を計算する手段と、その微分曲線の立ち上がりから頂点を示す位置までの間隔から測定領域の半径を求める手段とを含む請求項1記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項10】
前記データ処理手段は、測定された電流値を測定位置に対応したマップ上に表示する手段を含む請求項1記載の半導体デバイス検査装置
【請求項11】
前記データ処理手段は、ウェハー上の二つの領域をそれぞれ被検査試料とし、第一の領域で得られた測定値を基準値として第二の領域で得られた測定値と比較する比較手段と、比較結果があらかじめ定められた一定以上の差がある場合にその位置座標を抽出する手段とを含む請求項1記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項12】
前記比較手段は、電子ビームの照射位置に対する電子ビームの照射に伴って試料に生じる電流値の変化として測定された電流波形のひとつのパルスの立ち上がりから立ち下がりまでに流れた電流を積分する手段と、得られた積分値をそのパルスの立ち上がりから立ち下がりまでの幅で割る割算手段と、この割算手段により得られる単位長さ当たりの電流値を前記二つの領域について比較する手段とを含む請求項11記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項13】
前記比較手段は、電子ビームの照射位置に対する電流値の変化として測定された電流波形のパルスの立ち上がりおよび立ち下がりの位置を比較する手段を含む請求項11記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項14】
前記比較手段は、電子ビームの照射位置に対する電流値の変化として測定された第1の検査試料の電流波形パルスの立ち上がり位置と立ち下がり位置との中心位置と、第2の検査試料の電流波形パルスの立ち上がり位置と立ち下がり位置との中心位置とを比較する手段を含む請求項11記載の半導体デバイス検査装置。
【請求項15】
前記電子ビーム照射手段は、被検査試料を電子ビームに対して移動させる主走査手段と、この主走査手段による主走査に重畳して、主走査の方向と異なる方向に電子ビームを繰り返し偏向させる副走査手段とを含む請求項1記載の半導体デバイス検査装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【公開番号】特開2006−119133(P2006−119133A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300312(P2005−300312)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【分割の表示】特願2000−311196(P2000−311196)の分割
【原出願日】平成12年10月11日(2000.10.11)
【出願人】(502277762)ファブソリューション株式会社 (9)
【Fターム(参考)】