半導体デバイス評価装置及び評価方法

【課題】半導体デバイスが形成された半導体基板に対して略均一に応力を印加することができる半導体デバイス評価装置及び評価方法を提供する。
【解決手段】半導体デバイス評価装置において、半導体基板62よりも厚いベースプレート52に半導体基板62が実装され、支持体52によって裏面を支持されたベースプレート52の表面に対して荷重を印加する手段60を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス評価装置及び評価方法に関する。特に、半導体デバイスが形成された半導体基板に対して略均一に応力を印加することができる半導体デバイス評価装置及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスに応力が印加されると、その半導体デバイスの電流経路の電気抵抗は、ピエゾ抵抗効果によって変化する。最近では、半導体デバイスに応力を印加した状態で、半導体デバイスの電気特性を計測し評価するための評価装置及び評価方法が開発されている。
【0003】
図1は、従来技術における、半導体基板12に応力を印加した状態で横型MOSトランジスタの電気特性を評価するための評価装置10を示す図である。評価装置10は、半導体基板12,支持体14,接触体16及びプローブ18を備える。
【0004】
半導体基板12は、例えばシリコン基板であり、この基板の表面近傍には横型MOSトランジスタが形成される。また、半導体基板12の表面上には、横型トランジスタのドレイン,ソース,ゲートなどの電極20が形成される。
【0005】
支持体14は、半導体基板12の裏面の一部の領域に接して配置され、半導体基板12を裏面側から支持する。支持体14の材料は、半導体基板12の材料であるシリコンよりも高いヤング率を有する材料である。例えば、支持体14には鉄鋼材が用いられる。また、支持体14の形状は円柱であり、円柱の側面の一部が半導体基板12に接する。
【0006】
接触体16は、荷重印加手段(図示しない)から印加された荷重を半導体基板12の表面の一部の領域に対して垂直な方向に伝達するものであり、半導体基板12の表面の一部の領域に接して配置される。接触体16の材料及び形状は、支持体14と同様である。
【0007】
プローブ18は、電気特性計測装置(図示しない)と半導体基板12の表面上に形成された横型MOSトランジスタの電極20とを電気的に接続するために設けられた探針である。プローブ18の一端は電極20に接触され、プローブ18の他端は配線を介して電気特性計測装置に接続される。
【0008】
評価装置10において、半導体基板12の表面の一部の領域に対しては、荷重印加手段から接触体16を介して<001>方向に荷重Fが印加される。荷重Fが印加された半導体基板12は、図2に示すように湾曲する。荷重Fによって半導体基板12が湾曲すると、半導体基板12の表面には、<110>方向に圧縮応力が印加される。その結果、半導体基板12に対して<110>方向の応力が印加された状態で、横型MOSFETの電気特性を計測することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2000−131206号公報
【非特許文献1】C.Gallon et al, ”Electrical analysis of external mechanical stress effects in short channel MOSFETs on (001)silicon“,Solid−State Electronics 48(2004)pp561−566.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図3に示すように、半導体基板12に形成されたデバイスが、半導体基板12の表面と裏面とに電極20を有し、かつ、半導体基板の表面に対して垂直な方向に電流経路を有するような縦型MOSトランジスタ,ダイオード,サイリスタ,バイポーラトランジスタなど(以下、縦型半導体デバイスという)である場合には、半導体基板12の表面に対して平行な方向に印加される応力は、半導体基板12の表面近傍では圧縮応力になり、半導体基板12の裏面近傍では引張応力になる。すなわち、半導体基板12に印加される応力は、縦型半導体デバイスの電流経路が形成される半導体基板12の厚さ方向の領域において不均一に分布する。
【0011】
縦型半導体デバイスの電流経路が形成される領域に印加される応力が不均一に分布すると、ピエゾ抵抗効果によって生じる電気抵抗の変化も、電流経路が形成される領域において不均一に分布する。そのため、従来の技術では、縦型半導体デバイスの電気特性に対する印加応力の影響を正確に評価できないという問題がある。
【0012】
そこで本発明では、半導体デバイスが形成された半導体基板に対して略均一に応力を印加することができる半導体デバイス評価装置及び評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
半導体デバイスが形成された半導体基板が表面又は裏面に接着層を介して接着されたベースプレートに対して荷重を印加しつつ、前記半導体デバイスの特性を評価する半導体デバイス評価装置であって、前記ベースプレートの裏面の一部に接して、前記ベースプレートを支持する支持体と、前記ベースプレートの表面の一部に接して、前記ベースプレートの表面に対して垂直な方向成分を含む荷重を印加する荷重印加装置と、を備えることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記荷重印加装置は、前記半導体基板の厚さの8倍以上の厚さを有する前記ベースプレートに荷重を印加することが好適である。この場合は、ベースプレートに荷重が印加されることによって、半導体基板に印加される応力が、半導体基板の厚さ方向で略均一に分布する点で効果が顕著である。
【0015】
また、前記荷重印加装置は、前記半導体基板よりも高いヤング率を有する前記ベースプレートに荷重を印加することが好ましい。この場合は、荷重が印加されて湾曲したベースプレートの歪みが半導体基板に低損失で伝達される点で効果が顕著である。
【0016】
また、前記荷重印加装置は、前記半導体基板の線膨張係数との差異が3.5ppm未満の線膨張係数を有する前記ベースプレートに荷重を印加すると好ましい。ベースプレートと半導体基板との熱膨張の差によって生じる半導体基板への熱応力の印加を抑制できる点で効果が顕著である。
【0017】
また、前記荷重印加装置は、モリブデンまたはタングステンからなる前記ベースプレートに荷重を印加することが好ましい。これらの材料は、シリコンのヤング率よりも高いヤング率を有し、かつ、シリコンの線膨張係数との差が3.5ppm未満の線膨張係数を有するので、荷重が印加されて湾曲したベースプレートの歪みが半導体基板に低損失で伝達される点と、ベースプレートと半導体基板との熱膨張の差によって生じる半導体基板への熱応力の印加を抑制できる点とで効果が顕著である。
【0018】
あるいは、前記ベースプレートの材料は導電性材料であり、前記接着層は導電性材料であり、さらに、前記半導体デバイスは、前記半導体基板の表面と裏面とにそれぞれ電極を有することが好適である。半導体基板の裏面に設けられた電極とベースプレートとが導電性の接着層を介して電気的に接続されるので、縦型半導体デバイスが形成された半導体基板に応力を印加しつつ、縦型半導体デバイスの電気特性を計測できる点で効果が顕著である。
【0019】
また、前記支持体を複数備え、かつ、前記複数の支持体のうち少なくとも2つの支持体は、所定の距離を隔てて配置されることが好ましい。この場合は、ベースプレートに荷重が印加されたときに、所定の距離を隔てて配置された2つの支持体に挟まれた領域においてベースプレートを湾曲させる点で効果が顕著である。
【0020】
また、前記支持体の形状は円柱であり、前記円柱の側面の一部が前記ベースプレートの裏面に接することが好ましい。この場合は、ベースプレートを安定して支持できる点で効果が顕著である。
【0021】
また、前記支持体の材料は鉄鋼材であることが好ましい。この場合は、ベースプレートに用いられる材料よりもヤング率が高いので、ベースプレートに印加された荷重が支持体で緩和されることを抑制できる点で効果が顕著である。
【0022】
また、前記荷重印加装置は、前記ベースプレートの表面の一部の領域に接し、前記ベースプレートの表面の一部の領域に対して垂直な方向に荷重を伝達する接触体と、前記接触体と接し、前記接触体に対して荷重を印加する荷重印加プレートと、を有することが好適である。この場合は、ベースプレートの一部の領域に接触体を介して荷重を印加することができる点で効果が顕著である。
【0023】
また、前記荷重印加プレートは、金属材料層と絶縁材料層とを含み、前記金属材料層と前記接触体とが接することが好ましい。この場合は、接触体と荷重印加プレートとが接する面の荷重印加プレート側で応力が緩和されることを抑制できる点と、ベースプレートと金属材料層との間に生じる接触体を介した電気接続を、絶縁材料層によって確実に遮断できる点とで効果が顕著である。
【0024】
また、前記接触体を複数備え、かつ、前記複数の接触体のうち少なくとも2つの接触体は、所定の距離を隔てて配置されることが好ましい。この場合は、2つの接触体によって挟まれた領域においては、半導体基板に印加される応力が均一になる点で効果が顕著である。
【0025】
また、前記接触体の形状は円柱であり、前記円柱の側面の一部が前記ベースプレートの表面の一部の領域に接し、前記円柱の側面の他の一部が前記荷重印加プレートに接することが好ましい。この場合は、接触体とベースプレートとの接面と、接触体と荷重印加プレートとの接面とがそれぞれ狭くなるので、荷重印加プレートから印加された荷重を、ベースプレートに低損失で伝達できる点で効果が顕著である。
【0026】
また、前記接触体の材料は鉄鋼材であることが好ましい。この場合は、荷重印加プレートを介してベースプレートに印加された荷重が、接触体において緩和されることを抑制できる点で効果が顕著である。
【0027】
また、前記接着層の材料は、AuSnであることが好適である。この場合は、半導体デバイスが形成された半導体基板の裏面にダメージを与えることなく、ベースプレート上に半導体基板を実装することができる点と、半導体基板に印加された応力が緩和されることを抑制できる点とで効果が顕著である。
【0028】
更に、前記半導体基板の表面又は裏面に設けられた電極に接触されるプローブと、前記プローブを介して前記半導体デバイスに電気的に接続される電気特性計測装置と、を備えることが好ましい。この場合は、半導体基板に応力が印加された状態で、半導体デバイスの電気特性を計測することができる点で効果が顕著である。
【0029】
また、前記ベースプレートの前記半導体基板が実装された面とは反対側の面の歪みを測定する歪みゲージと、前記歪みゲージによって計測された前記ベースプレートの歪みに基づいて、前記半導体基板の表面に対して平行な方向に印加された応力を測定する応力測定装置と、を備えると好ましい。この場合は、荷重が印加されたベースプレートの歪みを測定することによって、半導体基板に印加された応力を定量化して測定でき、特に大きな応力を印加して測定する場合の応力値を高い精度で測定できるという点で効果が顕著である。
【0030】
また本発明は、半導体デバイスが形成された半導体基板が表面又は裏面に接着層を介して接着されたベースプレートに対して荷重を印加しつつ、前記半導体デバイスの特性を評価する半導体デバイス評価方法において、前記ベースプレートの裏面の一部に支持体を接触させて、前記ベースプレートを支持する工程と、前記ベースプレートの表面の一部に荷重印加装置を接触させて、前記ベースプレートの表面に対して垂直な方向に荷重を印加する工程と、前記荷重が印加された前記ベースプレートの歪みを歪みゲージによって計測し、前記半導体基板の表面に平行な方向に印加された応力を測定する工程と、前記ベースプレートに荷重が印加された状態で、半導体デバイスの電気特性を計測する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、半導体デバイスが形成された半導体基板に対して、略均一に応力を印加することができる半導体デバイス評価装置及び評価方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
<第一の実施の形態の評価装置>
図4は、本発明における半導体デバイス評価装置50の上面図を示したものである。図5は、半導体デバイス評価装置50の側方断面図を示したものである。
【0033】
半導体デバイス評価装置50は、半導体基板62,接着層64,ベースプレート52,支持体54,荷重印加装置60,歪みゲージ66及びプローブ68を備える。
【0034】
半導体基板62は、MOSトランジスタ,バイポーラトランジスタ,ダイオード及びサイリスタなどの半導体デバイスが形成されたシリコンやシリコン−ゲルマニウム、化合物半導体などの基板である。以下では、半導体基板62がシリコン基板である場合であって、さらに、半導体基板62に形成されたデバイスが、半導体基板62の表面と裏面とに電極(図示しない)を有する縦型半導体デバイスである場合について説明する。尚、半導体基板62に形成される半導体デバイスは、横型MOSトランジスタ,横型ダイオード及び横型バイポーラトランジスタのような横型半導体デバイスであってもよい。
【0035】
ベースプレート52は、半導体デバイス評価装置50において試料台として用いられるものであり、その表面には接着層64を介して半導体基板62が実装される。ベースプレート52の材料としては、導電性を有し、半導体基板62の材料であるシリコンに比べて高いヤング率を有し、かつ、シリコンの線膨張係数との差が3.5ppm未満の線膨張係数を有する材料が用いられる。このようなベースプレート52に適した材料として、モリブデンやタングステンなどが用いられる。
【0036】
接着層64は、ベースプレート52の表面又は裏面に半導体基板62を実装するために用いられる。接着層64の材料としては、ベースプレート52の表面に半導体基板62を強固に拘束し、かつ、導電性を有する材料が用いられる。このような接着層64の材料としては、銀ペースト,Pb/63Sn,Au/Sn(Au/20Sn)、またはAu/Si(Au/3.15Si)などが用いられる。特に、大きな応力を印加する必要がある場合は、強度の高いAu/Sn(Au/20Sn)、またはAu/Si(Au/3.15Si)が接着層64に用いられる。また、縦型半導体デバイスが形成された半導体基板62をベースプレート52に実装する場合には、半導体基板62の裏面をスクラブすることなく接着できる材料が用いられる。そのような材料として、Au/Sn(Au/20Sn)が接着層64に用いられる。
【0037】
支持体54は、ベースプレート52の裏面の一部の領域に接して、ベースプレート52を支持する。ベースプレート52に印加された荷重が支持体54において緩和されることを抑制するために、支持体54には、ベースプレート52の材料よりも高いヤング率を有する材料が用いられる。例えば鉄鋼材が支持体54に用いられる。
【0038】
荷重印加装置60は、ベースプレート52の表面の一部の領域に接し、この接した領域の面に対して垂直な方向(z方向)に荷重を印加する。この荷重印加装置60は、外部から荷重が印加される荷重印加プレート58と、荷重印加プレート58に印加された荷重をベースプレート52の表面の一部の領域に伝達させる接触体56とを備える。
【0039】
荷重印加プレート58から伝達される荷重をベースプレート52に伝達させる際に、接触体56において荷重が緩和されることを抑制するために、接触体56には、ベースプレート52の材料よりも高いヤング率を有する材料が用いられる。例えば、接触体56は鉄鋼材によって形成される。
【0040】
半導体デバイス評価装置50において、荷重印加プレート58は、円柱状の2つの接触体56に接する。荷重印加プレート58に印加された荷重は、2つの接触体56に均等に印加される。更に、接触体56を介して、ベースプレート52の表面の一部の領域に対して垂直な方向に荷重が伝達される。
【0041】
荷重印加プレート58は、金属材料層58a,58bと絶縁材料層58cとを備える。金属材料層58aは、半導体デバイス評価装置50に設けられた2つの接触体56と接する。荷重印加プレート58と接触体56とが接触する面において、印加された荷重が緩和されるのを抑制するために、金属材料層58aには、接触体56と略同じ、あるいは、高いヤング率を有する材料が用いられる。例えば、金属材料層58aには鉄鋼材が用いられる。外部から直接荷重が印加される金属材料層58bにも、高いヤング率を有する材料、例えば鉄鋼材が用いられる。また、金属材料層58aと58bとの間を電気的に絶縁するために、金属材料層58aと58bとの間に絶縁材料層58cが形成される。絶縁材料層58bには、絶縁性を有し、かつ、荷重を印加されても割れにくい性質を有する材料が用いられる。例えば、絶縁材料層58bにはエポキシ材料が用いられる。
【0042】
歪みゲージ66は、印加された荷重によって湾曲したベースプレート52の歪みを電気抵抗の変化として検出する。半導体デバイス評価装置50においては、ベースプレート52の裏面に、歪みゲージ66が実装される。ここでは図示しないが、歪みゲージ66はブリッジ回路を介して応力測定装置に接続される。
【0043】
プローブ68は、タングステンやタングステンカーバイトなどの導電性材料によって形成された探針である。プローブ68の一方の端は、半導体基板62の表面に形成された電極、又は、接着層64を介して半導体基板62の裏面の電極と電気的に接続されたベースプレ−ト52の表面に接触させられる。プローブ68の他方の端は、配線を介して電気特性計測装置(図示しない)に接続される。尚、半導体基板62に形成される半導体デバイスへの電気的接続には、プローブ68を用いることに限定されず、ワイヤボンドされたリード線などを用いてもよい。
【0044】
図6は、荷重印加装置60によって荷重が印加された場合の、ベースプレート52の歪みと、ベースプレート52に実装された半導体基板62に印加される応力との関係を説明するための模式図である。図6においては、荷重印加プレート58,プローブ68の図示を省略する。また以下では、接触体56を介してベースプレート52の表面の一部の領域に対して垂直な方向(z軸方向)に印加される荷重をFとする。また、接着層64は非常に薄いので、接着層64の厚さは無視する。
【0045】
図6において、ベースプレート52に荷重Fが印加されると、ベースプレート52は裏面側に押し出されるように湾曲する。その結果として、ベースプレート52の表面及びベースプレート52に実装された半導体基板62には、表面に対して平行な方向(x軸方向)に圧縮応力が印加される。
【0046】
間隔dで配置された2つ接触体56によって挟まれた領域内においては、半導体基板62に印加される上記の圧縮応力は、次式のような一定値になる。
【0047】
【数1】
【0048】
半導体基板62は厚さTsiを有するので、半導体基板62の表面(z=0)と裏面(z=Tsi)とでは圧縮応力の大きさが異なる。すなわち、半導体基板62に印加される平行方向の圧縮応力は、厚さ方向(z=0〜Tsi)において不均一になる。
【0049】
ベースプレート52の厚さをTbase,荷重Fが印加されたことによって生じるベースプレート52と半導体基板62との接合界面(z=0)の歪みをεintとすると、半導体基板62の歪みの厚さ方向の分布εsi(z)は、次式のようになる。
【0050】
【数2】
【0051】
半導体基板62の表面と裏面との歪みの差より、次式が導出される。
【0052】
【数3】
【0053】
半導体基板62に生じる歪みと、半導体基板62に印加される応力との関係は、フックの法則により比例関係になることが知られている。したがって、半導体基板62の表面と裏面とで印加される応力の差が、20%(=±10%)以内になるように、半導体基板62の厚さ方向の応力分布を抑制するためには、半導体基板62の表面と裏面とで歪みの差を20%以内に抑制すればよい。このような条件として、式(3)より次式が導出される。
【0054】
【数4】
【0055】
すなわち、半導体基板62の厚さの8倍以上の厚さを有するベースプレート52を半導体デバイス評価装置50に用いると、ベースプレート52に荷重Fが印加されたときに、式(1)に示される大きさで、表面と裏面との差が20%以内に抑制された圧縮応力が半導体基板62に印加される。
【0056】
例えば、半導体デバイス評価装置50における各サイズが、a=20mm,b=30mm,Tbase=3.0mm、Tsi=0.2mmである場合には、ベースプレート52に印加される荷重Fと半導体基板64に印加される応力σとの関係は、図7のようになる。この例においては、半導体基板62の表面と裏面とでは応力σの分布は12%以内に抑制される。
【0057】
上記のように半導体基板62に略均一に抑制されて印加された応力は、ベースプレート52の裏面に実装された歪みゲージ66によって計測される。ベースプレート52の表面に荷重Fが印加されると、ベースプレート52の表面に実装された半導体基板62には、平行方向(x軸方向)に沿って略均一な大きさσの圧縮応力が印加されるとともに、ベースプレート52の裏面に実装された歪みゲージ66には、平行方向(x軸方向)に沿って略均一な大きさσの引張応力が印加される。したがって、歪みゲージ66によって引張応力の大きさが測定される。その結果を、半導体基板62に印加された圧縮応力の大きさとする。
【0058】
<第一の実施の形態の評価方法>
図8は、半導体デバイス評価装置50を用いて半導体基板62に応力を印加しつつ、半導体基板62に形成された半導体デバイスの電気特性を計測する処理を示したフローチャートである。
【0059】
ステップS01では、半導体基板62,歪みゲージ68をそれぞれ表面と裏面とに実装したベースプレート52が支持体54の上に載せられ、ベースプレート52の裏面の一部の領域が支持体54によって支持される。次にステップS02に処理を移行する。
【0060】
ステップS02においては、ベースプレート52の表面の一部の領域に接触体56が接するように荷重印加装置60が配置され、さらに、荷重印加装置60を介してベースプレート52に対して荷重が印加される。このとき、ベースプレート52は印加された荷重によって湾曲する。次にステップS03に処理を移行する。
【0061】
ステップS03においては、ベースプレート52が湾曲することによって生じた歪みを、歪みゲージ68によって計測し、計測されたベースプレート52の歪みに基づいて、半導体基板62に印加された平行方向(x軸方向)の応力を応力測定装置によって測定する。次に、ステップS04に処理を移行する。
【0062】
ステップS04においては、半導体基板62に応力が印加された状態で、半導体基板62に形成された半導体デバイスの電気特性を計測する。ここでは、半導体基板62の表面に形成された電極、又は、接着層64を介して半導体基板62の裏面の電極と電気的に接続されたベースプレ−ト52の表面に接触されたプローブ68と、プローブ68に電気的に接続された電気特性計測装置とによって、半導体基板62に形成された半導体デバイスの電気特性が計測される。
【0063】
尚、本発明において、ステップS03とステップS04との順序を入れ替えて行なってもよい。あるいは、ステップS03とステップS04とを同時に行ってもよい。
【0064】
<第二の実施の形態>
図9は、本発明における半導体デバイス評価装置80の上面図を示したものである。半導体デバイス評価装置80の側方断面図は、図5に示した半導体デバイス評価装置50の側方断面図と同様であるので、ここでは図示を省略する。また、半導体デバイス評価装置50と重複する構成要素については、半導体デバイス評価装置50と同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0065】
半導体デバイス評価装置80は、2つ支持体54が配置される間隔cに比べて2つの接触体56が配置される間隔dが大きくなる点と、2つの支持体54が配置される位置よりも外側に2つの接触体56が配置される点とで、半導体デバイス評価装置50と構成が異なる。半導体デバイス評価装置80によれば、荷重印加装置60によって荷重が印加されたベースプレート52の湾曲方向は、半導体デバイス評価装置50におけるベースプレート52の湾曲方向とは逆方向になる。したがって、本実施の形態において、ベースプレート52の表面に実装された半導体基板62には、基板の表面に対して平行な方向(x軸方向)に引張応力が印加される。
【0066】
本実施の形態においては、半導体基板62に印加される応力を引張応力にするための構成を除くと、動作原理及び半導体デバイス評価方法は、第一の実施の形態と重複するので、詳細な説明は省略する。
【0067】
尚、半導体基板62に対して引張応力を印加するためには、第一の実施の形態における半導体デバイス評価装置50において、ベースプレート52の裏面に半導体基板62が実装され、ベースプレート52の表面に歪みゲージ66が実装されてもよい。この場合は、半導体基板62に形成された半導体デバイスの電気特性を計測するために、プローブ68もベースプレート52の裏面側に配置される。
【0068】
<その他の実施の形態>
図10は、本発明における半導体デバイス評価装置90の側方断面図を示したものである。半導体デバイス評価装置50と重複する構成要素については、半導体デバイス評価装置50と同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0069】
所定の間隔cで配置された2つの支持体54に挟まれた略中央の領域において、荷重印加装置60に備えられた接触体56は、ベースプレート52の表面の一部の領域と接する。また、一方の支持体54と接触体56との間隔aで示された領域内では、ベースプレート52の表面に接着層64を介して半導体基板62が実装され、ベースプレート52の裏面に歪みゲージ66が実装される。
【0070】
荷重印加装置60に荷重が印加されると、接触体56を介してベースプレート52の略中央に荷重が加わることによって、ベースプレート52が湾曲する。湾曲したベースプレート52の表面においては、実装された半導体基板62に圧縮応力が印加される。また、ベースプレート52の裏側に実装された歪みゲージ66によって、半導体基板62に印加された圧縮応力の大きさと略同じ大きさの引張応力が測定される。
【0071】
図11は、本発明における半導体デバイス評価装置92の側方断面図を示したものである。半導体デバイス評価装置50と重複する構成要素については、半導体デバイス評価装置50と同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0072】
支持体54は、ベースプレート52の裏面側で一の方向に偏って配置される。また支持体54は、ベースプレート52の一部の領域を強固に支持する。そのため、ベースプレート52の裏面あるいは側面の一つと支持体54とが接触する面積は大きい方がよい。あるいは、ボルトなどの固定具によって、支持体54とベースプレート52とを強固に固定してもよい。あるいは、支持体54とベースプレート52とが一体成型されてもよい。
【0073】
接触体56は、支持体54と所定の距離aを隔てて、ベースプレート52の表面の一部の領域に接して配置される。更に、接触体56と支持体54との間の領域において、ベースプレート52の表面に接着層64を介して半導体基板62が実装され、ベースプレート52の裏面に歪みゲージ66が実装される。
【0074】
荷重印加装置60に荷重が印加されると、接触体56を介してベースプレート52に荷重が加わり、ベースプレート52が湾曲する。このとき湾曲したベースプレート52の表面に実装された半導体基板62には引張応力が印加される。また、ベースプレート52を挟んで半導体基板62の裏側に実装された歪みゲージ66によって、半導体基板62に印加された引張応力の大きさと略同じ大きさの圧縮応力が測定される。
【0075】
半導体デバイス評価装置90,92においても、ベースプレート52の厚さを半導体基板の厚さの8倍以上にすることによって、半導体基板62に対して印加される圧縮応力または引張応力が、半導体基板62の表面と裏面とで20%以内の差に抑制されるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】従来技術における、半導体基板12に応力を印加した状態で横型MOSトランジスタの電気特性を評価するための評価装置10を示す図である。
【図2】図1に示した評価装置10において、半導体基板12に印加される応力を模式的に示した図である。
【図3】図1,2に示した評価装置10において、表面と裏面とにそれぞれ電極を有する半導体基板12を用いた場合に、半導体基板12に印加される応力を模式的に示した図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態に係る半導体デバイス評価装置50の上面図である。
【図5】本発明の第一の実施の形態に係る半導体デバイス評価装置50の側方断面図である。
【図6】本発明において荷重印加装置60によって荷重が印加された場合の、ベースプレート52の歪みと、ベースプレート52に実装された半導体基板62に印加される応力との関係を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第一の実施の形態に係る半導体デバイス評価装置50の各サイズがa=20mm,b=30mm,Tbase=3.0mm、Tsi=0.2mmである場合の、ベースプレート52に印加される荷重Fと半導体基板64に印加される応力σとの関係を示す図である。
【図8】本発明の第一の実施の形態に係る半導体デバイス評価装置50を用いて半導体基板62に応力を印加しつつ、半導体基板62に形成された半導体デバイスの電気特性を計測する処理を示したフローチャートである。
【図9】本発明の第二の実施の形態に係る半導体デバイス評価装置80の上面図である。
【図10】本発明における半導体デバイス評価装置90の側方断面図である。
【図11】本発明における半導体デバイス評価装置92の側方断面図である。
【符号の説明】
【0077】
50 半導体デバイス評価装置、52 ベースプレート、54 支持体、56 接触体、58 荷重印加プレート、58a,58b 金属材料層、58c 絶縁材料層、60 荷重印加装置、62 半導体基板、64 接着層、66 歪みゲージ、68a,68b プローブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスが形成された半導体基板が表面又は裏面に接着層を介して接着されたベースプレートに対して荷重を印加しつつ、前記半導体デバイスの特性を評価する半導体デバイス評価装置であって、
前記ベースプレートの裏面の一部に接して、前記ベースプレートを支持する支持体と、
前記ベースプレートの表面の一部に接して、前記ベースプレートの表面に対して垂直な方向成分を含む荷重を印加する荷重印加装置と、
を備えることを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体デバイス評価装置において、
前記荷重印加装置は、前記半導体基板の厚さの8倍以上の厚さを有する前記ベースプレートに荷重を印加することを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体デバイス評価装置において、
前記荷重印加装置は、前記半導体基板よりも高いヤング率を有する前記ベースプレートに荷重を印加することを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、
前記荷重印加装置は、前記半導体基板の線膨張係数との差異が3.5ppm未満の線膨張係数を有する前記ベースプレートに荷重を印加することを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、
前記荷重印加装置は、モリブデンまたはタングステンからなる前記ベースプレートに荷重を印加することを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、
前記ベースプレートの材料は導電性材料であり、
前記接着層の材料は導電性材料であり、
さらに、前記半導体デバイスは、前記半導体基板の表面と裏面とにそれぞれ電極を有することを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において
前記支持体を複数備え、かつ、
前記複数の支持体のうち少なくとも2つの支持体は、所定の距離を隔てて配置されることを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、
前記支持体の形状は円柱であり、
前記円柱の側面の一部が前記ベースプレートの裏面に接することを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、前記支持体の材料は鉄鋼材であることを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、
前記荷重印加装置は、
前記ベースプレートの表面の一部の領域に接し、前記ベースプレートの表面の一部の領域に対して垂直な方向に荷重を伝達する接触体と、
前記接触体と接し、前記接触体に対して荷重を印加する荷重印加プレートと、
を有することを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体デバイス評価装置において、
前記荷重印加プレートは、金属材料層と絶縁材料層とを含み、
前記金属材料層と前記接触体とが接することを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の半導体デバイス評価装置において、
前記接触体を複数備え、かつ、
前記複数の接触体のうち少なくとも2つの接触体は、所定の距離を隔てて配置されることを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、
前記接触体の形状は円柱であり、
前記円柱の側面の一部が前記ベースプレートの表面の一部の領域に接し、
前記円柱の側面の他の一部が前記荷重印加プレートに接する
ことを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項14】
請求項10から請求項13のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、 前記接触体の材料は鉄鋼材であることを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、前記接着層の材料は、AuSnであることを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、
前記半導体基板の表面又は裏面に設けられた電極、または、前記ベースプレートに接触されるプローブと、
前記プローブを介して前記半導体デバイスに電気的に接続される電気特性計測装置と、
を備えることを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一つに記載の半導体デバイス評価装置において、
前記ベースプレートの前記半導体基板が実装された面とは反対側の面の歪みを測定する歪みゲージと、
前記歪みゲージによって計測された前記ベースプレートの歪みに基づいて、前記半導体基板の表面に対して平行な方向に印加された応力を測定する応力測定装置と、
を備えることを特徴とする半導体デバイス評価装置。
【請求項18】
半導体デバイスが形成された半導体基板が表面又は裏面に接着層を介して接着されたベースプレートに対して荷重を印加しつつ、前記半導体デバイスの特性を評価する半導体デバイス評価方法において、
前記ベースプレートの裏面の一部に支持体を接触させて、前記ベースプレートを支持する工程と、
前記ベースプレートの表面の一部に荷重印加装置を接触させて、前記ベースプレートの表面に対して垂直な方向に荷重を印加する工程と、
前記荷重が印加された前記ベースプレートの歪みを歪みゲージによって計測し、前記半導体基板の表面に平行な方向に印加された応力を測定する工程と、
前記ベースプレートに荷重が印加された状態で、半導体デバイスの電気特性を計測する工程と、
を備えることを特徴とする半導体デバイス評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−273580(P2007−273580A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
電気 | 基本的電気素子 | 半導体装置,他に属さない電気的固体装置 | 半導体装置または固体装置またはそれらの部品の製造または処理に特に適用される方法または装置 | 製造または処理中の試験または測定
物理学 | 測定;試験 | 電気的変量の測定;磁気的変量の測定 | 電気的性質を試験するための装置;電気的故障の位置を示すための装置;試験対象に特徴のある電気的試験用の装置で,他に分類されないもの | 個々の半導体装置の試験
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査 | 定曲げ力の適用によるもの
【出願番号】特願2006−95112(P2006−95112)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社
【Fターム(参考)】
個々の半導体装置の試験 | 試験対象 | トランジスタ(バイポーラトランジスタ)
個々の半導体装置の試験 | 試験対象 | ユニポーラ素子、FET、MOS、UJT
個々の半導体装置の試験 | 試験対象 | ウェハー
個々の半導体装置の試験 | 測定項目 | インピーダンス
個々の半導体装置の試験 | 試験条件の付与 | 振動、荷重、圧力の印加
個々の半導体装置の試験 | 試験信号 | 直流
個々の半導体装置の試験 | 接触部、信号の印加 | プローブ
個々の半導体装置の試験 | 制御、判定、目的、その他 | 試験精度の向上
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査方法;試験の仕方 | 曲げ試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 力を掛ける方法(時間的、空間的) | 静的負荷による試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、材料 | その他
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | シート状
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | 電気、電子部品
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 荷重
半導体等の試験・測定 | 対象 | ウエハ
半導体等の試験・測定 | 手段 | 機械的なもの
半導体等の試験・測定 | 検査内容 | 電圧−電流特性
半導体等の試験・測定 | 検査内容 | その他
半導体等の試験・測定 | その他の検査装置 | その他
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