説明

半導体パッケージ及びその製造方法

【課題】 微細配線に充分対応することができ、しかも銅ワイヤによる接続で充分なワイヤボンディング接続信頼性を有する半導体パッケージ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の半導体パッケージは、端子形状の銅の表面にめっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子を有する半導体チップ搭載用基板と、ワイヤボンディング端子に接合された銅ワイヤで電気的に接続された半導体チップと、を備え、上記めっき皮膜が、銀めっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜、又は、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜との2層めっき皮膜であり、上記ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、携帯電話、無線基地局、光通信装置、サーバ及びルータ等の電子機器において、大小問わず、機器の小型化、軽量化、高性能化及び高機能化が進んでいる。また、CPU、DSP及び各種メモリ等のLSIの高速化並びに高機能化とともに、SoC(System on a chip)やSiP(System In Package)等の高密度実装技術の開発も行われている。
【0003】
このため、半導体チップ搭載用基板やマザーボードには、ビルドアップ方式の多層配線基板が使用されるようになっている。また、パッケージの多ピン狭ピッチ化といった実装技術の進歩により、半導体チップ搭載用基板は、QFP(Quad Flat Package)からBGA(Ball Grid Array)/CSP(Chip Size
Package)実装へと進化している。
【0004】
半導体チップ搭載用基板と半導体チップとの接続には、例えば、金ワイヤなどのボンディングワイヤが用いられる。金ワイヤの素材は、これまで高純度4N系(純度>99.99質量%)の金が主に用いられている。しかし、金は高価であるため、材料費が安価である他種金属のボンディングワイヤが所望されている。近年、金ワイヤより安価な銅ワイヤが急速に使用され始めている。銅ワイヤは金ワイヤと比較して電気特性や機械的特性に優れており、種々の銅ワイヤが販売されている(例えば、下記非特許文献1)。
【0005】
半導体チップ搭載用基板は、通常、半導体チップ又は配線板に接続するための接続端子を有している。これらの接続端子には、金ワイヤ又ははんだとの良好な金属接合を確保するために、金めっきが施されることが多い。
【0006】
銅ワイヤによるボンディングに関し、銅ワイヤと接続するための端子部分の金めっき皮膜の厚みは、金ワイヤと接続する場合と比較して厚くする必要があることが知られている(例えば、下記非特許文2)。これは、金ワイヤ−金めっき皮膜(端子)では金・金の同金属接合であるのに対し、銅ワイヤ−金めっき皮膜(端子)では銅・金の異種金属接合になることに起因する。
【0007】
しかし、近年の金価格の高騰に対し、金ワイヤを銅ワイヤにすることでワイヤのコストを低減することができても、半導体チップ搭載用基板の接続端子の金めっき皮膜の厚みを厚くしなければならず、半導体チップ搭載用基板のコストが高くなる課題がある。
【0008】
一方、接続端子に金めっきを施す方法としては、電解金めっきが広く適用されてきた。しかし、最近では、半導体チップ搭載用基板の小型化による配線の高密度化に伴って、接続端子の表面に電解金めっきを施すための配線を確保することが困難になりつつある。そこで、接続端子への金めっき方法として、電解めっきをするためのリード線が不要である無電解金めっき(置換金めっきや還元金めっき)のプロセスが注目され始めている。例えば、端子部分の銅箔表面に、無電解ニッケルめっき皮膜/無電解金めっき皮膜を形成することが知られている(例えば、下記非特許文献3)。
【0009】
しかしながら、配線に無電解ニッケルめっきを行うと、「ブリッジ」と呼ばれる、配線間に無電解ニッケルめっき皮膜が析出する現象が発生し、これにより短絡不良が引き起こされる場合がある。このブリッジを抑制するためには、例えば、特許文献1、2に示すようなブリッジを抑制するための前処理液及び前処理方法が提案されている。また、特許文献3に示すように、ブリッジを抑制するための無電解めっき用触媒液も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−241853号公報
【特許文献2】特許第3387507号
【特許文献3】特開平11−124680号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】“使用実績の豊富なTANAKAのCuボンディングワイヤ”、[on line]、田中電子工業株式会社、[2011年3月25日検索]、インターネット<URL: http://www.tanaka-bondingwire.com/images/pdf/gide_Cu.PDF>
【非特許文献2】社団法人エレクトロニクス実装学会「第25回エレクトロニクス実装学会春季講演大会」(2011年 368〜372頁)
【非特許文献3】社団法人プリント回路学会誌「サーキットテクノロジー」(1993年 Vol.8 No.5 368〜372頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述した特許文献1〜3に記載の前処理液や前処理方法、無電解めっき用触媒液等のブリッジを低減する手法を適用しても、微細配線とした場合には導体間の基材上に無電解ニッケルめっきが析出し易いため、充分な効果が得られないことが判明した。
【0013】
そこで、本発明者らは、ニッケルめっきを適用しないめっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子に対する銅ワイヤのボンディング性について検討を行ったところ、充分なワイヤプル強度が得られない場合があることを見出した。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微細配線に充分対応することができ、しかも銅ワイヤによる接続で充分なワイヤボンディング接続信頼性を有する半導体パッケージ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の半導体パッケージは、端子形状の銅の表面にめっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子を有する半導体チップ搭載用基板と、ワイヤボンディング端子に接合された銅ワイヤで電気的に接続された半導体チップと、を備え、上記めっき皮膜が、銀めっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜、又は、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜との2層めっき皮膜であり、上記ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有する。
【0016】
本発明の半導体パッケージは、上記構成を有することにより、微細配線に充分対応することができ、しかも銅ワイヤによる接続で充分なワイヤボンディング接続信頼性を有することができる。
【0017】
本発明の半導体パッケージは、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合されている箇所の表面の十点平均粗さが0.15〜1.0μmの範囲であることが好ましい。
【0018】
また、上記めっき皮膜が、下記(1)〜(4)のいずれかのめっき皮膜であることが好ましい。
(1)厚さが0.03〜0.4μmの銀めっき皮膜
(2)厚さが0.005〜0.35μmのパラジウムめっき皮膜
(3)厚さが0.03〜0.4μmの金めっき皮膜
(4)厚さが0.003〜0.2μmのパラジウムめっき皮膜及び厚さが0.03〜0.2μmの金めっき皮膜の2層めっき皮膜
【0019】
更に、上記めっき皮膜の純度が99%以上であることが好ましい。
【0020】
また、上記めっき皮膜が、下記(2−1)〜(2−4)のいずれかのパラジウムめっき皮膜であってもよい。
(2−1)厚さが0.005〜0.35μmであり、純度が99%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−2)厚さが0.005〜0.25μmであり、純度が98%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−3)厚さが0.005〜0.15μmであり、純度が97%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−4)厚さが0.005〜0.12μmであり、純度が94%以上のパラジウムめっき皮膜
【0021】
本発明の半導体パッケージの製造方法は、基板、及び該基板上に設けられ、端子形状の銅の表面にめっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子を備える半導体チップ搭載用基板と、ワイヤボンディング端子に接合された銅ワイヤで電気的に接続された半導体チップと、を備える半導体パッケージの製造方法であって、めっき皮膜が、銀めっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜、又は、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜との2層めっき皮膜であり、ワイヤボンディング端子に銅ワイヤを接合して、ワイヤボンディング端子の一部に端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合する箇所を設ける工程を備える。
【0022】
本発明の半導体パッケージの製造方法によれば、微細配線に充分対応することができ、しかも銅ワイヤによる接続で充分なワイヤボンディング接続信頼性を有する半導体パッケージを得ることができる。
【0023】
本発明の半導体パッケージの製造方法においては、先端面がマット加工されたキャピラリーにより銅ワイヤをワイヤボンディング端子に接合することが好ましい。これにより、銅の表面に上記めっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子に、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合する箇所を設けることがより確実にできる。
【0024】
また、微細配線の形成性を充分確保しつつ、充分なワイヤプル強度を得る観点から、上記めっき皮膜が、下記(1)〜(4)のいずれかのめっき皮膜であることが好ましい。
(1)厚さが0.03〜0.4μmの銀めっき皮膜
(2)厚さが0.005〜0.35μmのパラジウムめっき皮膜
(3)厚さが0.03〜0.4μmの金めっき皮膜
(4)厚さが0.003〜0.2μmのパラジウムめっき皮膜と厚さが0.03〜0.2μmの金めっき皮膜との2層めっき皮膜
【0025】
ワイヤボンディングを行なった際に、めっき皮膜の純度が高いほど変形しやすいため、銅ワイヤの銅とワイヤボンディング端子の銅との接合が起こりやすくなる観点から、上記めっき皮膜の純度が99%以上であることが好ましい。
【0026】
ワイヤボンディングを行なった際に、銅ワイヤの銅とワイヤボンディング端子の銅との接合が起こりやすくなる観点から、上記めっき皮膜が、下記(2−1)〜(2−4)のいずれかのパラジウムめっき皮膜であることが好ましい。
(2−1)厚さが0.005〜0.35μmであり、純度が99%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−2)厚さが0.005〜0.25μmであり、純度が98%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−3)厚さが0.005〜0.15μmであり、純度が97%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−4)厚さが0.005〜0.12μmであり、純度が94%以上のパラジウムめっき皮膜
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、微細配線に充分対応することができ、しかも銅ワイヤによる接続で充分なワイヤボンディング接続信頼性を有する半導体パッケージ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1における銅ワイヤが接合されたワイヤボンディング端子の表面のSEM観察結果を示す図である。
【図2】比較例23における銅ワイヤが接合されたワイヤボンディング端子の表面のSEM観察結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本実施形態の半導体パッケージは、端子形状の銅の表面にめっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子を有する半導体チップ搭載用基板と、ワイヤボンディング端子に接合された銅ワイヤで電気的に接続された半導体チップと、を備え、上記めっき皮膜が、銀めっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜、又は、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜との2層めっき皮膜であり(以下、これらをまとめて本発明に係るめっき皮膜という場合もある。)、上記ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有する。
【0030】
本実施形態の半導体パッケージにおいては、ワイヤボンディング端子の一部に、端子形状の銅と銅ワイヤの銅とが直接接合されて銅・銅結合が生じている。ここで意味する銅・銅結合とは、銅ワイヤボンディングを行うことで、銀めっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜、又は、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜との2層めっき皮膜が押し退けられて、これらのめっき皮膜の下部にあった端子形状の銅と銅ワイヤの銅とが直接接合されている状態のことである。
【0031】
上記の本実施形態の半導体パッケージを製造する方法は、端子形状の銅の表面に本発明に係るめっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子に銅ワイヤを接合して、ワイヤボンディング端子の一部に端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合する箇所を設ける工程を備える。
【0032】
上記本発明に係るめっき皮膜は、電解めっき又は無電解めっきにより形成することが可能であるが、皮膜の厚みの均一性の点から無電解めっき皮膜であることが好ましい。皮膜が厚い部分があると、銅ワイヤボンディングを行っても皮膜を押し退けることができずに、銅・銅結合が得られないワイヤボンディング端子が生じやすくなるため、充分なワイヤボンディング性が得られない場合がある。
【0033】
上記本発明に係るめっき皮膜は、置換型の無電解めっきにより形成されていることが好ましい。置換型の無電解めっきであれば端子形状の銅における置換反応だけであるためにブリッジが発生を防止することができる。微細配線を形成する場合、ブリッジの発生を抑制する観点から、還元型の無電解めっきを追加して行わないことが好ましい。
【0034】
上記本発明に係るめっき皮膜は、純度が99%以上であることが好ましく、99.9%であることがより好ましい。
【0035】
めっき皮膜の純度が99%以上であれば、めっき皮膜の硬度を下げることができるため、銅ワイヤボンディングを行った際に皮膜が変形しやすく、皮膜の下部の銅と銅ワイヤの銅との直接接合が起こりやすくなる。端子形状の銅と銅ワイヤとの直接接合を形成させる観点から、上記本発明に係るめっき皮膜は、変形が最も起こりやすい純度100%に近いことが最も好ましい。
【0036】
上記本発明に係るめっき皮膜について更に詳細に説明する。
【0037】
銀めっき皮膜は、厚みが0.03〜0.4μmであると好ましく、0.05〜0.3μmであるとより好ましく、0.1〜0.2μmであると更に好ましい。
【0038】
銀めっき皮膜の厚みが0.4μmよりも厚く、0.6μm以下の範囲では、銅ワイヤボンディングを行っても皮膜を押し退けることができずに、銅・銅結合を有していないワイヤボンディング端子が生じる場合がある。特に、銅ワイヤボンディング後に、端子形状の銅/0.05〜0.2μmの銀めっき皮膜/銅ワイヤの3層構造となり、高温の環境下で0.05〜0.2μmの銀めっき皮膜が銅と合金化されて銀・銅合金を形成し、脆弱層が形成されてボンディング部の接続信頼性が低下する問題があり、好ましくない。銀めっき皮膜の厚みを0.4μm以下とすることで、ワイヤボンディング性を向上させることができる。
【0039】
銀めっき皮膜の厚みが0.6μmを越えると、銀めっき皮膜と銅ワイヤとの良好な接続が得られるが、微細配線に用いた場合は、ブリッジが発生しやすくなるとともに、高温高湿の環境下でマイグレーションが発生しやすくなる。なお、この場合も、銅・銅結合を得られないワイヤボンディング端子が生じてしまう。
【0040】
一方、厚みが0.03μm以上であると、銀めっき皮膜が充分に析出し、例えば、ワイヤボンディング前に行う150℃の高温処理を考慮した場合であっても、銅が銀めっき表面に拡散しにくくなるため、充分なワイヤボンディング接続信頼性が得られやすい。
【0041】
本実施形態で用いる無電解銀めっき液としては、例えば、可溶性銀塩、錯化剤、pH調整剤、界面活性剤を含んだ溶液を使用することができる。
【0042】
可溶性銀塩としては、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、酢酸銀、乳酸銀、スルホコハク酸銀、硝酸銀、有機スルホン酸銀、ホウフッ化銀、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、スルファミン酸銀、シュウ酸銀、酸化銀などの可溶性塩が使用でき、また、本来は難溶性であるが、スルフィド系化合物などの作用によりある程度の溶解性を確保できる塩化銀なども使用できる。銀塩の好ましい具体例としては、メタンスルホン酸銀、エタンスルホン酸銀、酢酸銀、乳酸銀、クエン酸銀などが挙げられる。メッキ浴に対する当該可溶性銀塩の金属塩換算の含有量は、0.001〜200g/Lが好ましく、0.1〜30g/Lがより好ましく、0.5〜10g/Lが更により好ましい。
【0043】
無電解銀めっき液に用いる錯化剤としては、チオ尿素類、スルフィド類、メルカプタン類などの含イオウ化合物、グリシン、ニトリロ三酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノカルボン酸化合物、乳酸、クエン酸、サリチル酸等の水酸基を有するヒドロキシカルボン酸化合物、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール化合物、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール、ニトロレゾルシノール等のフェノール類、ニトロベンジルアルコール、ニトロフェノキシエタノール等のアルコール類、ニトロアニリン、ニトロナフチルアミン等のアミン類、ニトロベンゼンスルホン酸、ニトロフェノールスルホン酸、ニトロナフタリンスルホン酸等のスルホン酸類及びこれらのスルホン塩、ニトロ安息香酸、クロルニトロ安息香酸、アミノニトロ安息香酸、ニトロフタル酸、ニトロイソフタル酸、ニトロテレフタル酸、ニトロサリチル酸、ジニトロサリチル酸等のカルボン酸類及びこれらのカルボン酸塩等を適用できるが、添加する錯化剤は特に限定されない。これらの錯化剤は各々を単用又は併用できる。メッキ浴に対する錯化剤の添加量は、0.0001〜5モル/Lが好ましく、0.03〜2モル/Lがより好ましい。
【0044】
本実施形態に係る銀めっき液のpHは、使用する錯化剤に適したpHを選択すればよいが、銀めっき液の保存安定性、銀めっき皮膜の実用的な形成速度等の観点から、0.2〜2の範囲であることが好ましい。pHが2より高い場合には、下地に対する密着性に優れ、光沢のある銀めっき皮膜が形成されるが、銀めっき皮膜の形成速度が遅く、銀めっき液の保存安定性が損なわれる。また、0.2より低い場合には、酸の使用量が徒に増加するばかりであり、銀めっき皮膜の特性は改善されない。
【0045】
銀めっき液のpHを0.2〜2の範囲に調製するためには、有機酸および無機酸を使用することができる。有機酸としては、ギ酸、クロロ酢酸、2−クロロプロピオン酸、グリコール酸、乳酸、アミノ安息香酸、パラニトロ安息香酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、クエン酸、フェノキシ酢酸、フタル酸等であり、無機酸としては、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの酸は一種または二種以上を併用して用いることができる。
【0046】
なお、銀めっき液のpHを調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリやアンモニア水等を用いることができる。
【0047】
銀めっき液は、銀めっき皮膜の光沢を高めるために、界面活性剤を含んでも良い。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルアミンポリエチレンオキサイド等の非イオン系界面活性剤が好ましい。銀めっき液中の界面活性剤の濃度は、0.01〜5質量%であることが好ましい。
【0048】
銀めっき液を用いて、被めっき物である端子形状の銅に銀めっき処理を行う際の条件としては、銀めっき液の温度を10〜70℃に設定することが好ましい。銀めっきの処理時間については、所望の膜厚の銀めっき皮膜が析出するまで、被めっき物を銀めっき液に接触させればよく、その接触時間は通常10秒〜30分の範囲が好ましく、好ましくは1分〜5分であり、より好ましくは30秒〜10分である。銀めっき液と被めっき物との接触方法としては、浸漬、噴霧、塗布等の方法が挙げられる。なお、銀めっき処理を行うに当たっては、酸クリーナーあるいはマイクロエッチング剤を使用して、予め被めっき物の金属表面を清浄化することが望ましい。
【0049】
無電解パラジウムめっき皮膜を形成する場合、置換パラジウムめっきや還元剤を用いる還元型パラジウムめっきが適用できる。無電解パラジウムめっきによるパラジウム層の形成方法としては、特に、置換パラジウムめっきを行った後、還元型パラジウムめっきを行う方法が好ましい。これは、銅表面はそのままでは無電解パラジウムめっき反応が起こりづらい傾向にあるためである。あらかじめ置換パラジウムめっきでパラジウムを置換析出させておき、その後に還元型パラジウムめっきによりパラジウム層を析出させることで、良好にパラジウム層を形成することができる。
【0050】
無電解パラジウムめっき皮膜の厚みは、0.005〜0.35μmであると好ましく、0.01〜0.2μmであるとより好ましく、0.03〜0.15μmであると更に好ましい。無電解パラジウムめっき皮膜の厚みが0.35μmを越えると、銅ワイヤボンディングを行っても無電解パラジウムめっき皮膜を押し退けることができずに、銅・銅結合を得られないワイヤボンディング端子が生じてしまうことがある。パラジウムと銅ワイヤは接合強度そのものが低いため、良好なワイヤボンディング性を得るためには、無電解パラジウムめっき皮膜の厚みは0.35μm以下とすることが好ましい。一方、無電解パラジウムめっき皮膜の厚みを0.005μm以上とすることにより、無電解パラジウムめっき皮膜が充分に析出し、例えばワイヤボンディング前に行う150℃の高温処理を考慮した場合であっても、銅がパラジウムめっき表面に拡散しにくくなるため、充分なワイヤボンディング接続信頼性が得られやすい。
【0051】
特にパラジウムめっき皮膜は、金めっき皮膜や銀めっき皮膜と比較して、銅の拡散抑制効果が高いために、パラジウムめっき皮膜を用いることが最も好ましいが、金めっき皮膜や銀めっき皮膜と比較して硬度が硬く、銅ワイヤボンディングを行った際に皮膜を押し退けることができないため、純度の選定が非常に重要である。
【0052】
無電解パラジウムめっきに用いる還元剤に、ギ酸化合物を使用すると、得られるパラジウム層の純度がほぼ100%になり、その時のビッカース硬度は150HVである。純度がほぼ100%の金めっき皮膜のビッカース硬度が40〜80HV、純度がほぼ100%の銀めっき皮膜のビッカース硬度が60〜100HVであることから、パラジウム皮膜は金や銀めっき皮膜と比較して銅ワイヤボンディングを行った際に皮膜を押し退けづらくなる。一方、還元剤に次亜リン酸を用いて、リン濃度を1.5%、3%、6%にすると、ビッカース硬度はそれぞれ約420HV、約530HV、約580HVとなり非常に硬くなる。このため、純度がほぼ100%のパラジウムめっき皮膜の厚みは0.35μm以下であることが好ましく、リン濃度が1.5%では0.2μm以下、リン濃度が3%では0.15μm以下、リン濃度が6%以上では0.12μm以下であることが好ましい。
【0053】
ワイヤボンディング端子に、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とをより確実に設ける観点から、めっき皮膜がパラジウムめっき皮膜である場合、下記(2−1)〜(2−4)のいずれかのパラジウムめっき皮膜が好ましい。
(2−1)厚さが0.005〜0.35μmであり、純度が99%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−2)厚さが0.005〜0.25μmであり、純度が98%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−3)厚さが0.005〜0.15μmであり、純度が97%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−4)厚さが0.005〜0.12μmであり、純度が94%以上のパラジウムめっき皮膜
【0054】
無電解パラジウムめっきに用いるめっき液のパラジウムの供給源としては、特に限定されないが、塩化パラジウム、塩化パラジウムナトリウム、塩化パラジウムアンモニウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、酸化パラジウム等のパラジウム化合物等が挙げられる。具体的には、酸性塩化パラジウム「PdCl/HCl」、硝酸テトラアンミンパラジウム「Pd(NH(NO2」、ジニトロジアンミンパラジウム「Pd(NH(NO」、ジシアノジアンミンパラジウム「Pd(CN)(NH」、ジクロロテトラアンミンパラジウム「Pd(NHCl」、スルファミン酸パラジウム「Pd(NHSO」、硫酸ジアンミンパラジウム「Pd(NHSO」、シュウ酸テトラアンミンパラジウム「Pd(NH」、硫酸パラジウム「PdSO」等を適用することができる。また、めっき液に添加する緩衝剤等についても特に限定されない。
【0055】
無電解パラジウムめっきにより形成されるパラジウム層は、パラジウムの純度が90質量%以上であると好ましく、99質量%以上であるとより好ましく、100質量%に近いと特に好ましい。パラジウムの純度が90質量%以上であると、その形成時に銅上への析出が充分に得られやすくなり、ワイヤボンディング性やはんだ接続信頼性が充分に得られやすくなる。
【0056】
無電解パラジウムめっきに用いる還元剤に、ギ酸化合物を使用すると、得られるパラジウム層の純度が99質量%以上になり易くなり、均一な析出は可能となる。また、還元剤に次亜リン酸や亜リン酸等のリン含有化合物や、ホウ素含有化合物を使用する場合は、得られるパラジウム層がパラジウム−リン合金やパラジウム−ホウ素合金になるため、その場合は、パラジウムの純度が90質量%以上となるように還元剤の濃度、pH、浴温などを調節することが好ましい。
【0057】
パラジウムめっき皮膜の上部に更に無電解金めっき皮膜を形成してもよい。無電解金めっき皮膜は、例えば、置換・還元金めっきを行うか、或いは、置換金めっきを行った後に還元型の金めっきを行う無電解金めっきなどによって形成することができる。パラジウムめっき皮膜の厚みが0.03μm以下の場合、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜の厚みの合計は0.4μm以下、パラジウムめっき皮膜の厚みが0.03μmよりも厚く、0.3μm以下の場合は、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜の厚みの合計は0.3μm以下であることが好ましい。
【0058】
本実施形態においては、厚さが0.003〜0.2μmのパラジウムめっき皮膜と厚さが0.03〜0.2μmの金めっき皮膜との組合せが好ましく、厚みが0.01〜0.1μmのパラジウムめっき皮膜と、厚みが0.005〜0.1μmの金めっき皮膜との組み合わせがより好ましい。パラジウムめっき皮膜が銅の拡散を防止することでワイヤボンディング前の熱処理によるワイヤボンディング性の低下を抑制できるとともに、銅ワイヤボンディングを行った際に、パラジウムめっき皮膜に直接銅ワイヤを接着させる場合と比較し、金めっき皮膜が銅ワイヤとの初期の接着性を改善できるので、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜両方の皮膜の変形が起こりやすくなるため、端子形状の銅と銅ワイヤの銅との接合が起こりやすく、結果として銅ワイヤボンディング性を向上させることができる。
【0059】
無電解金めっき皮膜は、例えば、置換・還元金めっきを行うか、或いは、置換金めっきを行った後に還元型の金めっきを行う無電解金めっきなどによって形成することができる。無電解金めっきは、本発明による効果が得られる限り、どちらの手法を用いて行ってもよいが、置換金めっきを行った後に還元型の金めっきを行う方法は、下層の金属(この場合は銅)との良好な密着性が得られる観点から好ましく、また置換・還元金めっきを行う方法は、めっきの際に下層の金属(この場合は銅)を溶出させ難く、良好な金めっき皮膜を形成できる傾向にある。
【0060】
置換金めっき後、還元型の金めっきを行う場合、具体的には、HGS―100(日立化成工業株式会社製、商品名)のような置換金めっき液により、0.01〜0.1μm程度の金めっき下地皮膜(置換金めっき皮膜)を形成した後、その上に、HGS―2000(日立化成工業株式会社製、商品名)のような還元型の無電解金めっき液により、0.1〜0.4μm程度の金めっき仕上げ層(還元型の金めっき皮膜)を形成する方法が挙げられる。ただし、無電解金めっきの手法はこれに限定されず、通常行われる金めっきに適した方法であれば制限なく適用できる。
【0061】
置換金めっきに用いるめっき液には、シアン化合物を含むものと含まないものがあるが、いずれのめっき液でも使用できる。なかでも、シアン化合物を含むものが好ましい。この理由としては、銅における置換金めっきの均一性は、シアンを含むめっき液を用いた方が、シアンを含まないものを用いた場合と比較して良好であることが挙げられる。このようなシアンを含むめっき液で置換金めっきを行った後に、後述するような還元型の金めっきを行うと、金めっき皮膜が均一に成長し易い傾向にある。
【0062】
還元型の金めっき皮膜は、置換金めっき皮膜に更に金皮膜を形成することができる。そのため、置換金めっきに続いて還元型の金めっきを行うことで、厚い金めっき皮膜を形成することが可能となる。還元型の金めっきに用いるめっき液は、還元剤を含むことで、自己触媒的に金層を形成できる。このめっき液にも、シアン化合物を含むものと含まないものがあるが、いずれのめっき液でも使用できる。
【0063】
還元型の金めっきに用いるめっき液の還元剤としては、酸化により水素ガスが発生しないものが好ましい。ここで、水素ガスが発生しない、もしくは発生しにくい還元剤としては、アスコルビン酸、尿素系化合物、フェニル系化合物等が挙げられる。なお、水素ガスが発生する還元剤としては、ホスフィン酸塩、ヒドラジンがある。このような還元剤を含む金めっき液は、60〜80℃程度の温度で使用可能なものが好ましい。
【0064】
一方、置換・還元金めっきは、置換金めっきと還元型の金めっき反応を同一の液で行うものである。このようなめっき液には、シアン化合物を含むものと含まないものがあり、いずれのめっき液でも使用することができる。また、置換・還元金めっきを行った後に、金層の厚膜化のために更に無電解金めっきを行うこともできる。
【0065】
このようにして形成される金めっき皮膜は、99質量%以上の純度の金からなることが好ましい。金めっき皮膜の金の純度が99質量%以上であると、この部分を端子として適用する際に銅ワイヤボンディング接続信頼性が得られやすい。接続信頼性をより高める観点からは、金層の純度は、99.5質量%以上であることがより好ましい。
【0066】
また、金めっき皮膜の厚さは、0.03〜0.4μmとすることが好ましく、0.05〜0.3μmとすることがより好ましく、0.1μm〜0.25μmとすることが更に好ましい。
【0067】
金めっき皮膜の厚みが0.4μm〜0.7μmの範囲では、銅ワイヤボンディングを行っても皮膜を押し退けることができずに、銅・銅結合を得られないワイヤボンディング端子が生じてしまう。特に、銅ワイヤボンディング後に、端子形状の銅/0.05〜0.3μmの金めっき皮膜/銅ワイヤの3層構造となり、高温高湿の環境下で0.05〜0.3μmの金めっき皮膜が銅と合金化されて金・銅合金を形成し、脆弱層が形成されてボンディング部の接続信頼性が低下する問題があり好ましくない。
【0068】
金めっき皮膜の厚みが0.7μmを越えると、金めっき皮膜と銅ワイヤとの良好な接続が得られるが、微細配線に用いた場合は、ブリッジが発生しやすくなるために、好ましくなく、また、経済的な観点からも好ましくない。更に、この場合も、銅・銅結合を得られないワイヤボンディング端子が生じてしまう。
【0069】
一方、金めっき皮膜の厚みが0.03μm以上であると、金めっき皮膜が析出していない部分ができにくくなり、例えばワイヤボンディング前に行う150℃の高温処理を考慮した場合であっても、銅が金めっき表面に拡散しにくくなるため、充分なワイヤボンディング接続信頼性が得られやすくなる。
【0070】
ワイヤボンディング端子と銅ワイヤとの接合にはキャピラリーが用いられる。
【0071】
ワイヤボンディングで用いるキャピラリーとしては、キャピラリー先端の仕上げは「ポリッシュ加工」と呼ばれる平滑性のある表面仕上げが一般的であるが、本実施形態で用いるキャピラリーは、「マット加工」と呼ばれるキャピラリーの先端面を粗くした仕上げの方がより効果的である。具体的には、CuPRAplus(登録商標) Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)のような「マット加工」を施したキャピラリーが好ましい。
【0072】
ワイヤボンディング後の、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所の十点平均粗さ(Rz)を0.15〜1.0μmとすることが好ましく、0.2〜0.8μmとすることがより好ましく、0.3μm〜0.6μmとすることが更に好ましい。
【0073】
十点平均粗さ(Rz)が、1.0μm以下であると、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された領域が狭くなりにくく、充分なワイヤボンディング接続信頼性が得られやすい。また、一方、十点平均粗さ(Rz)が、0.15μm以上であると、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合されやすく、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された領域を広くすることができ、充分なワイヤボンディング接続信頼性が得られやすくなる。
【0074】
本実施形態で用いる銅ワイヤは、99.9質量%以上のCuであることが好ましい。また、銅ワイヤは、表面の酸化を防止するために異種金属がコートされていてもよい。異種金属としては、銅の拡散防止効果に優れたPdが好ましい。
【実施例】
【0075】
<半導体チップ搭載用基板の製造>
(実施例1)
(1a)内層板の準備
まず、絶縁基材に厚さ18μmの銅箔を両面に貼り合わせた、厚さ0.2mmのガラス布基材エポキシ銅張積層板であるMCL−E−679(日立化成工業株式会社製、商品名)を準備し、その不要な箇所の銅箔をエッチングにより除去し、スルーホールを形成して、表面に内層回路が形成された内層板を得た。
【0076】
(1b)樹脂付き銅箔の積層
内層板の両面に、3μmの厚みの銅箔に接着剤を塗布したMCF−7000LX(日立化成工業株式会社製、商品名)を、170℃、30kgf/cmの条件で60分間加熱加圧してラミネートした。
【0077】
(1c)IVHの形成
炭酸ガスインパクトレーザー穴あけ機L−500(住友重機械工業株式会社製、商品名)により、銅箔上から直径80μmの非貫通孔であるIVH30をあけた。さらに、IVH30形成後の基板を過マンガン酸カリウム65g/Lと水酸化ナトリウム40g/Lの混合水溶液に、液温70℃で20分間浸漬し、孔内のスミアの除去を行った。
【0078】
(1d)無電解銅めっき
(1c)の工程後の基板を、パラジウム溶液であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に25℃で15分間浸漬して、銅箔表面に触媒を付与した。その後、CUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)を使用して、液温25℃、30分の条件で無電解銅めっきを行った。これにより銅箔上及びIVH内の表面に厚さ0.3μmの無電解銅めっき層を形成した。
【0079】
(1e)電解めっきレジストの形成
ドライフィルムフォトレジストであるRY−3025(日立化成工業株式会社製、商品名)を、無電解銅めっき層の表面にラミネートし、電解銅めっきを行うべき箇所をマスクするフォトマスクを介してフォトレジストに紫外線を露光した後、現像して、電解めっきレジストを形成した。
【0080】
(1f)電解銅めっき
硫酸銅浴を用い、液温25℃、電流密度1.0A/dmの条件で、銅めっき層3上に電解銅めっきを12μmほどの厚さが得られるように行い、回路導体幅/回路導体間隔(L/S)=15/15μmのパターン形状を有する第2の銅層を形成した。また、かかるパターン形状を形成した面と反対側の面には、はんだボール接続用のランド径600μmのパッドが形成されるように、電解銅めっき皮膜を形成した。
【0081】
(1g)電解めっきレジストの剥離
レジスト剥離液であるHTO(ニチゴー・モートン株式会社製、商品名)を用いて、電解めっきレジストの除去を行った。
【0082】
(1h)エッチング
主成分として硫酸20g/L、過酸化水素10g/Lの組成のエッチング液を用いて、電解めっきレジストで覆われていた部分の銅をエッチングにより除去した。
【0083】
(1i)ソルダーレジストの形成
エッチング後の基板の上側の表面に、感光性のソルダーレジスト「PSR−4000 AUS5」(太陽インキ製造株式会社製、商品名)をロールコータにより塗布し、硬化後の厚みが40μmとなるようにした。続いて、露光・現像をすることにより、導体回路上の所望の場所に開口部を有するソルダーレジストを形成した。また、下側の表面には、はんだボール接続用のパッドを形成するために、ランド径600μmの銅パッドの上部に、500μmの開口径を有するソルダーレジストを形成した。
【0084】
(1j)無電解パラジウムめっき
ソルダーレジスト形成後の基板を、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗した。得られた無電解パラジウムめっき皮膜の厚みは0.005μmであった。なお、本実施例及び以下の実施例や比較例においては、パラジウム層、銀層、金層の膜厚は、蛍光X線膜厚計SFT9500(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、商品名)を用いて測定した。
【0085】
このようにして、上下面にパラジウム層で覆われた端子部分を有する半導体チップ搭載用基板を得た。この半導体チップ搭載用基板においては、片面の端子部分がワイヤボンディング接続用の端子に該当し、反対面の端子部分がはんだ接続用の端子に該当する。半導体チップ搭載用基板は、これらの端子をそれぞれ1000個有している(以下の実施例、比較例も同様)。
【0086】
<特性評価>
(1)微細配線形成性
上記で得られた半導体チップ搭載用基板について、下記の基準によりめっき皮膜形成後の微細配線形成性を評価した。得られた結果を表1に示す。
A:ブリッジが形成されておらず、端子部分にめっき皮膜が良好に形成されており、回路導体間隔が13μm以上である。
B:端子部分の外周に部分的にめっきがはみ出して析出しており、回路導体間隔が10μm以上、13μm未満である。
C:端子部分の外周に部分的にめっきがはみ出して析出しており、回路導体間隔が8μm以上、10μm未満である。
D:端子部分の外周に部分的にめっきがはみ出して析出しており、回路導体間隔が5μm以上、8μm未満である。
E:端子部分の外周に部分的にめっきがはみ出して析出しており、回路導体間隔が5μm未満である。
【0087】
(2)ワイヤボンディング性
上記で得られた半導体チップ搭載用基板について、下記の基準により接続端子のワイヤボンディング性(ワイヤボンディング接続性)を評価した。
【0088】
すなわち、実施例1に対応する複数の半導体チップ搭載用基板に対し、未処理(熱処理無し:0時間)と、150℃で3、10、50時間の熱処理とをそれぞれ実施し、各熱処理時間が経過した時点でワイヤボンディングを行った。ワイヤボンディングは、ワイヤ径25μmのPd被覆銅ワイヤ(日鉄マイクロメタル社製、商品名)を用い、1000箇所のワイヤボンディング接続用の端子の全てで行った。ワイヤボンディング装置としては、Power Series Iconn(K&S社製、商品名)を用い、ボンディング温度(ヒートブロック温度):175℃、ボンド荷重:70gf、超音波出力:125mAmps、超音波時間:25ms、スクラブの種類:サークル(円状)、スクラブ回数:2回、の条件を設定した。キャピラリーとして、先端面を「マット加工」したCuPRAplus(登録商標) Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)を用いた。
【0089】
銅ワイヤが接合されたワイヤボンディング端子の表面を、収束イオンビーム加工観察装置(FIB:Forcused Ion Beam System)を用いて断面加工し、FIBに併設されているエネルギー分散型X線分析(EDS:Energy Dispersive x−ray Spectroscopy)を用いて断面の面分析を行うことで、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合されていることを確認した。また、ワイヤボンディング端子の一部にはめっき皮膜が残されていることを確認した。なお、銅ワイヤが接合されたワイヤボンディング端子の表面のSEM観察結果を図1に示す。
【0090】
端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合されている箇所の十点平均粗さ(Rz)は0.32μmであった。なお、十点平均粗さ(Rz)は、原子間力顕微鏡ナノピクス2100(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)により測定した。
【0091】
ワイヤボンディング後の半導体チップ搭載用基板について、ボンドテスタ(Dage社製、商品名:BT2400PC)を用いて、銅ワイヤを引っ張り、端子から外れるまでの強度を測定する銅ワイヤプルテストを行い、下記基準に基づいて、ワイヤボンディング接続信頼性について端子毎にそれぞれ評価した。また、ワイヤボンディング前の熱処理を行わなかった基板にワイヤボンディングを行った後、150℃で100、300、500、1000時間の熱処理をそれぞれ実施し、銅ワイヤプルテストを行い、下記基準に基づいて、ワイヤボンディング接続信頼性について端子毎にそれぞれ評価した。得られた結果を表1に示す。
A:ワイヤプル強度の平均値が10g以上
B:ワイヤプル強度の平均値が8g以上10g未満
C:ワイヤプル強度の平均値が3g以上8g未満
D:ワイヤプル強度の平均値が3g未満
【0092】
(3)皮膜の硬度
めっき皮膜の硬度(ビッカース硬度)の測定は、マイクロビッカース硬度計を用いて、クリープ速度5gf/2s、クリープ時間5sで測定した。
【0093】
(実施例2)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗し、下記組成の還元型無電解パラジウムめっき液に70℃で5秒間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解パラジウムめっき皮膜を0.01μm析出させることにより、端子の銅上に純度約100%の無電解パラジウム層を形成する工程を行った。
塩化パラジウム:0.01mol/L
エチレンジアミン:0.08mol/L
ギ酸ナトリウム:0.1mol/L
チオジグリコール酸:10ppm
pH:8
【0094】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0095】
(実施例3〜7)
実施例2記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて表1に示される膜厚を有する無電解パラジウムめっき皮膜を形成したこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0096】
(実施例8)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗し、下記組成の無電解パラジウムめっき液に60℃で5秒間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解パラジウムめっき皮膜を0.01μm析出させることにより、端子の銅上に純度約99.2%(パラジウム:99.2質量%、リン:0.8質量%)の無電解パラジウム層を形成する工程を行った。
塩化パラジウム:0.01mol/L
エチレンジアミン:0.08mol/L
ギ酸ナトリウム:0.1mol/L
次亜リン酸ナトリウム:0.003mol/L
チオジグリコール酸:10ppm
pH:8
【0097】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0098】
(実施例9〜12)
実施例8に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて表1に示される膜厚を有する無電解パラジウムめっき皮膜を形成したこと以外は実施例8と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0099】
(実施例13)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗し、下記組成の無電解パラジウムめっき液に60℃で7秒間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解パラジウムめっき皮膜を0.01μm析出させることにより、端子の銅上に純度約98.5%(パラジウム:98.5質量%、リン:1.5質量%)の無電解パラジウム層を形成する工程を行った。
塩化パラジウム:0.01mol/L
エチレンジアミン:0.08mol/L
ギ酸ナトリウム:0.1mol/L
次亜リン酸ナトリウム:0.005mol/L
チオジグリコール酸:10ppm
pH:8
【0100】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0101】
(実施例14〜16)
実施例13に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて表1に示される膜厚を有する無電解パラジウムめっき皮膜を形成したこと以外は実施例13と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0102】
(実施例17)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗し、下記組成の無電解パラジウムめっき液に60℃で10秒間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解パラジウムめっき皮膜を0.01μm析出させることにより、端子の銅上に純度約97%(パラジウム:97質量%、リン:3質量%)の無電解パラジウム層を形成する工程を行った。
塩化パラジウム:0.01mol/L
エチレンジアミン:0.08mol/L
次亜リン酸ナトリウム:0.03mol/L
チオジグリコール酸:10ppm
pH:8
【0103】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0104】
(実施例18〜20)
実施例17に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて表1に示される膜厚を有する無電解パラジウムめっき皮膜を形成したこと以外は実施例17と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0105】
(実施例21)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗し、下記組成の無電解パラジウムめっき液に60℃で10秒間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解パラジウムめっき皮膜を0.01μm析出させることにより、端子の銅上に純度約94%(パラジウム:94質量%、リン:6質量%)の無電解パラジウム層を形成する工程を行った。
塩化パラジウム:0.01mol/L
エチレンジアミン:0.08mol/L
次亜リン酸ナトリウム:0.12mol/L
チオジグリコール酸:10ppm
pH:8
【0106】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0107】
(実施例22〜24)
実施例21に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて表1に示される膜厚を有する無電解パラジウムめっき皮膜を形成したこと以外は実施例21と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0108】
(実施例25)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、プリディップ(商品名:SSP−700P 四国化成製)、液温=40℃にて40秒間浸漬し、置換銀めっき(商品名:SSP−700M 四国化成製)、液温=40℃にて30秒間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解銀めっき皮膜を0.03μm析出させることにより、端子の銅上に純度100質量%の無電解銀めっき層を形成する工程を行った。
【0109】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0110】
(実施例26〜30)
実施例25に記載の置換銀めっき液への浸漬時間を変化させて表2に示される膜厚を有する無電解銀めっき皮膜を形成したこと以外は実施例25と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0111】
(実施例31)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換金めっき液であるHGS−100(日立化成工業株式会社、商品名)に、85℃で2分間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解金めっき皮膜を0.03μm析出させることにより、端子の銅上に純度100質量%の無電解金層を形成する工程を行った。
【0112】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0113】
(実施例32)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換金めっき液であるHGS−100(日立化成工業株式会社、商品名)に、85℃で2分間浸漬した。次いで、還元型の金めっき液であるHGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)に、70℃で2分間浸漬させ、更に5分間水洗して、無電解金めっき皮膜を0.05μm析出させることにより、端子の銅上に純度100質量%の無電解金層を形成する工程を行った。
【0114】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0115】
(実施例33〜36)
実施例32に記載の還元型の金めっき液への浸漬時間を変化させて表2に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は実施例32と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0116】
(実施例37)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗し、下記組成の還元型無電解パラジウムめっき液に70℃で15秒間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解パラジウムめっき皮膜を0.03μm析出させることにより、端子の銅上に純度約100質量%の無電解パラジウム層を形成する工程を行った。続いて、置換金めっき液であるHGS−100(日立化成工業株式会社、商品名)に、85℃で2分間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解金めっき皮膜を0.03μm析出させることにより、無電解パラジウムめっき皮膜上に100質量%の無電解金層を形成する工程を行った。
塩化パラジウム:0.01mol/L
エチレンジアミン:0.08mol/L
ギ酸ナトリウム:0.1mol/L
チオジグリコール酸:10ppm
pH:8
【0117】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0118】
(実施例38)
実施例37と同様にして無電解金層を形成する工程までを行った後、さらに、還元型の金めっき液であるHGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)に、70℃で2分間浸漬させ、更に5分間水洗して、無電解金めっき皮膜を0.05μm析出させることにより、端子の銅上に100質量%の無電解金層を形成する工程を行った。
【0119】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0120】
(実施例39〜41)
実施例38に記載の還元型の金めっき液への浸漬時間を変化させて表2に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は実施例38と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0121】
(実施例42)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗し、下記組成の還元型無電解パラジウムめっき液に70℃で1分間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解パラジウムめっき皮膜を0.1μm析出させることにより、端子の銅上に純度約100質量%の無電解パラジウム層を形成する工程を行った。続いて、置換金めっき液であるHGS−100(日立化成工業株式会社、商品名)に、85℃で2分間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解金めっき皮膜を0.03μm析出させることにより、端子の銅上に純度100質量%の無電解金層を形成する工程を行った。
塩化パラジウム:0.01mol/L
エチレンジアミン:0.08mol/L
ギ酸ナトリウム:0.1mol/L
チオジグリコール酸:10ppm
pH:8
【0122】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0123】
(実施例43)
実施例42と同様にして無電解金層を形成する工程までを行った後、さらに、還元型の金めっき液であるHGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)に、70℃で2分間浸漬させ、更に5分間水洗して、無電解金めっき皮膜を0.05μm析出させることにより、端子の銅上に純度100質量%の無電解金層を形成する工程を行った。
【0124】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0125】
(実施例44〜46)
実施例43に記載の還元型の金めっき液への浸漬時間を変化させて表2に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は実施例43と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0126】
(実施例47)
実施例1の工程(1a)〜(1i)を行った後、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗し、下記組成の還元型無電解パラジウムめっき液に70℃で2分間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解パラジウムめっき皮膜を0.2μm析出させることにより、端子の銅上に純度約100%の無電解パラジウム層を形成する工程を行った。続いて、置換金めっき液であるHGS−100(日立化成工業株式会社、商品名)に、85℃で2分間浸漬し、更に2分間水洗して、無電解金めっき皮膜を0.03μm析出させることにより、端子の銅上に純度100質量%の無電解金層を形成する工程を行った。
塩化パラジウム:0.01mol/L
エチレンジアミン:0.08mol/L
ギ酸ナトリウム:0.1mol/L
チオジグリコール酸:10ppm
pH:8
【0127】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0128】
(実施例48)
実施例47と同様にして無電解金層を形成する工程までを行った後、さらに、還元型の金めっき液であるHGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)に、70℃で2分間浸漬させ、更に5分間水洗して、無電解金めっき皮膜を0.1μm析出させることにより、端子の銅上に純度100質量%の無電解金層を形成する工程を行った。
【0129】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0130】
(実施例49〜50)
実施例48に記載の還元型の金めっき液への浸漬時間を変化させて表2に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は実施例48と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、めっき皮膜が形成された箇所と、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有していることが確認された。
【0131】
(比較例1)
実施例1に記載の置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)への浸漬時間を2分間に変化させ、無電解パラジウムめっき皮膜の厚みを0.003μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0132】
(比較例2)
実施例2に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて、無電解パラジウムめっき皮膜の厚みを0.4μmとしたこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0133】
(比較例3)
実施例8に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて、無電解パラジウムめっき皮膜の厚みを0.4μmとしたこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0134】
(比較例4)
実施例13に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて、無電解パラジウムめっき皮膜の厚みを0.3μmとしたこと以外は実施例2と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0135】
(比較例5〜6)
実施例17に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて表3に示される膜厚を有する無電解パラジウムめっき皮膜を形成したこと以外は実施例17と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0136】
(比較例7〜9)
実施例21に記載の還元型無電解パラジウムめっき液への浸漬時間を変化させて表3に示される膜厚を有する無電解パラジウムめっき皮膜を形成したこと以外は実施例21と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0137】
(比較例10〜14)
実施例25に記載の置換銀めっき液への浸漬時間を変化させて表3に示される膜厚を有する無電解銀めっき皮膜を形成したこと以外は実施例25と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0138】
(比較例15)
実施例31に記載の置換金めっき液への浸漬時間を変化させて表3に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は全て実施例31と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0139】
(比較例16〜19)
実施例32記載の還元型の金めっき液への浸漬時間を変化させて表3に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は全て実施例32と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0140】
(比較例20)
実施例38記載の還元型の金めっき液への浸漬時間を変化させて表3に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は全て実施例38と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0141】
(比較例21)
実施例43記載の還元型の金めっき液への浸漬時間を変化させて表3に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は全て実施例43と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0142】
(比較例22)
実施例48記載の還元型の金めっき液への浸漬時間を変化させて表3に示される膜厚を有する無電解金めっき皮膜を形成したこと以外は全て実施例48と同様にして、半導体チップ搭載用基板を作製した。得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。なお、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。
【0143】
(比較例23〜26)
比較例23〜26はそれぞれ、実施例4〜7と同様にして作製した基板をそれぞれ用い、ワイヤボンディングに用いたキャピラリーを、先端面を「マット加工」したCuPRAplus(登録商標) Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)の代わりに、先端面を「ポリッシュ加工」したCIC Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)を用いてワイヤボンディングを行った。しかし、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。なお、比較例23の銅ワイヤが接合されたワイヤボンディング端子の表面のSEM観察結果を図2に示す。ワイヤボンディング性以外については実施例1と同様に特性評価を行った。
【0144】
(比較例27〜30)
比較例27〜30はそれぞれ、実施例27〜30と同様にして作製した基板をそれぞれ用い、ワイヤボンディングに用いたキャピラリーを、先端面を「マット加工」したCuPRAplus(登録商標) Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)の代わりに、先端面を「ポリッシュ加工」したCIC Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)を用いてワイヤボンディングを行った。しかし、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。ワイヤボンディング性以外については実施例1と同様に特性評価を行った。
【0145】
(比較例31〜34)
比較例31〜34はそれぞれ、実施例33〜36と同様にして作製した基板をそれぞれ用い、ワイヤボンディングに用いたキャピラリーを、先端面を「マット加工」したCuPRAplus(登録商標) Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)の代わりに、先端面を「ポリッシュ加工」したCIC Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)を用いてワイヤボンディングを行った。しかし、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。ワイヤボンディング性以外については実施例1と同様に特性評価を行った。
【0146】
(比較例35〜37)
比較例35〜37はそれぞれ、実施例38〜40と同様にして作製した基板をそれぞれ用い、ワイヤボンディングに用いたキャピラリーを、先端面を「マット加工」したCuPRAplus(登録商標) Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)の代わりに、先端面を「ポリッシュ加工」したCIC Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)を用いてワイヤボンディングを行った。しかし、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。ワイヤボンディング性以外については実施例1と同様に特性評価を行った。
【0147】
(比較例38〜39)
比較例38〜39はそれぞれ、実施例43〜44と同様にして作製した基板をそれぞれ用い、ワイヤボンディングに用いたキャピラリーを、先端面を「マット加工」したCuPRAplus(登録商標) Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)の代わりに、先端面を「ポリッシュ加工」したCIC Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)を用いてワイヤボンディングを行った。しかし、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。ワイヤボンディング性以外については実施例1と同様に特性評価を行った。
【0148】
(比較例40〜41)
比較例40〜41はそれぞれ、実施例47〜48と同様にして作製した基板をそれぞれ用い、ワイヤボンディングに用いたキャピラリーを、先端面を「マット加工」したCuPRAplus(登録商標) Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)の代わりに、先端面を「ポリッシュ加工」したCIC Capillary(Kulicke&Soffa社製、商品名)を用いてワイヤボンディングを行った。しかし、ワイヤボンディング端子は、端子形状の銅と銅ワイヤとが直接接合された箇所を有していなかった。ワイヤボンディング性以外については実施例1と同様に特性評価を行った。
【0149】
(比較例42)
実施例1に示した工程(1a)〜(1i)を行った。ソルダーレジスト形成後の基板を、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、置換パラジウムめっき液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗した。続いて、下記組成の処理液に浸漬した後、水洗乾燥した。
チオ硫酸カリウム:50g/L
pH:6
pH調整剤:クエン酸ナトリウム
【0150】
続いて、無電解ニッケルめっき液であるニッケルPS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、85℃で8分間、浸漬処理し、1分間水洗した。こうして、2μmの無電解ニッケルめっき皮膜を得た。続いて、置換金めっき液であるHGS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、85℃で10分間、浸漬処理し1分間水洗した。さらに、還元型の金めっき液であるHGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)へ、70℃において25分間浸漬させ、5分間水洗した。このとき、置換金めっき及び還元型の金めっき皮膜の膜厚の合計は0.3μmであった。
【0151】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。
【0152】
(比較例43)
実施例1に示した工程(1a)〜(1i)を行った。ソルダーレジスト形成後の基板を、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に、50℃で3分間浸漬し、2分間水洗し、その後、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、10%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。続いて、めっき活性化処理液である下記組成の置換パラジウムめっき液に、5分間浸漬後、水洗、乾燥した。
塩酸(35%):70ml/L
塩化パラジウム(Pd)として:50mg/L
次亜リン酸:100mg/L
酸性度:約0.8N
【0153】
続いて、無電解ニッケルめっき液であるニッケルPS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、85℃で8分間、浸漬処理し、1分間水洗した。なお、2μmの無電解ニッケルめっき皮膜を得た。続いて、置換金めっき液であるHGS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に、85℃で10分間、浸漬処理し1分間水洗した。さらに、還元型の金めっき液であるHGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)へ、70℃において25分間浸漬させ、5分間水洗した。このとき、置換金めっき及び還元型の金めっき皮膜の膜厚の合計は0.3μmであった。
【0154】
得られた半導体チップ搭載用基板について、実施例1と同様に特性評価を行った。
【0155】
【表1】



【0156】
【表2】



【0157】
【表3】



【0158】
【表4】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子形状の銅の表面にめっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子を有する半導体チップ搭載用基板と、前記ワイヤボンディング端子に接合された銅ワイヤで電気的に接続された半導体チップと、を備え、
前記めっき皮膜が、銀めっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜、又は、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜との2層めっき皮膜であり、
前記ワイヤボンディング端子は、前記めっき皮膜が形成された箇所と、前記端子形状の銅と前記銅ワイヤとが直接接合された箇所とを有する、半導体パッケージ。
【請求項2】
前記端子形状の銅と前記銅ワイヤとが直接接合されている箇所の表面の十点平均粗さが0.15〜1.0μmの範囲である、請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記めっき皮膜が、下記(1)〜(4)のいずれかのめっき皮膜である、請求項1又は2に記載の半導体パッケージ。
(1)厚さが0.03〜0.4μmの銀めっき皮膜
(2)厚さが0.005〜0.35μmのパラジウムめっき皮膜
(3)厚さが0.03〜0.4μmの金めっき皮膜
(4)厚さが0.003〜0.2μmのパラジウムめっき皮膜と厚さが0.03〜0.2μmの金めっき皮膜との2層めっき皮膜
【請求項4】
前記めっき皮膜の純度が99%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記めっき皮膜が、下記(2−1)〜(2−4)のいずれかのパラジウムめっき皮膜である、請求項1又は2に記載の半導体パッケージ。
(2−1)厚さが0.005〜0.35μmであり、純度が99%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−2)厚さが0.005〜0.25μmであり、純度が98%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−3)厚さが0.005〜0.15μmであり、純度が97%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−4)厚さが0.005〜0.12μmであり、純度が94%以上のパラジウムめっき皮膜
【請求項6】
基板、及び該基板上に設けられ、端子形状の銅の表面にめっき皮膜が形成されたワイヤボンディング端子を備える半導体チップ搭載用基板と、前記ワイヤボンディング端子に接合された銅ワイヤで電気的に接続された半導体チップと、を備える半導体パッケージの製造方法であって、
前記めっき皮膜が、銀めっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜、又は、パラジウムめっき皮膜と金めっき皮膜との2層めっき皮膜であり、
前記ワイヤボンディング端子に前記銅ワイヤを接合して、前記ワイヤボンディング端子の一部に前記端子形状の銅と前記銅ワイヤとが直接接合する箇所を設ける工程を備える、半導体パッケージの製造方法。
【請求項7】
先端面がマット加工されたキャピラリーにより前記銅ワイヤを前記ワイヤボンディング端子に接合する、請求項6に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項8】
前記めっき皮膜が、下記(1)〜(4)のいずれかのめっき皮膜である、請求項6又は7に記載の半導体パッケージの製造方法。
(1)厚さが0.03〜0.4μmの銀めっき皮膜
(2)厚さが0.005〜0.35μmのパラジウムめっき皮膜
(3)厚さが0.03〜0.4μmの金めっき皮膜
(4)厚さが0.003〜0.2μmのパラジウムめっき皮膜と厚さが0.03〜0.2μmの金めっき皮膜との2層めっき皮膜
【請求項9】
前記めっき皮膜の純度が99%以上である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項10】
前記めっき皮膜が、下記(2−1)〜(2−4)のいずれかのパラジウムめっき皮膜である、請求項6又は7に記載の半導体パッケージの製造方法。
(2−1)厚さが0.005〜0.35μmであり、純度が99%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−2)厚さが0.005〜0.25μmであり、純度が98%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−3)厚さが0.005〜0.15μmであり、純度が97%以上のパラジウムめっき皮膜
(2−4)厚さが0.005〜0.12μmであり、純度が94%以上のパラジウムめっき皮膜


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−89630(P2013−89630A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225874(P2011−225874)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】