半導体モジュ−ル及びその製造方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体チップを内蔵する半導体モジュ−ルに係り、特にモジュ−ル内の半導体チップの冷却に好適な半導体モジュ−ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体モジュ−ルの基板に実装された半導体チップを冷却するにはチップと冷却ジャッケットとの熱的接続が重要であり、好ましくはチップと冷却ジャッケットとを直接接続するのがしよい。しかし、一般に基板上のチップには、実装高さのばらつきがあるため、直接接続することは難しい。
【0003】半導体チップに冷却ジャケットを一様に接触させる方法として、米国特許第4,561,011号に記載されたものがある。その図を参照すると、基板に実装された半導体チップの高さは基板の反り、チップと基板との接続部の寸法ばらつきなどのためにばらついている。そこでこの従来技術ではチップと該チップ上に配置された熱伝導部材の間に熱伝導性接着剤を挾み、該接着剤がかたまる際に冷却ジャケットを熱伝導部材に押し当て、冷却ジャケットと熱伝導部材間の隙間が一様になるように熱伝導部材の高さを調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方法の実施にあたり次の問題が生じる。すなわちチップの高さがばらついているため、熱伝導性接着剤の必要量がチップごとに異なる。また、高さの高いチップと低いチップに同一量の接着剤を供給した場合には、一般には接着剤に対し接着面は濡れ性の良い材料を使用するため、高さの低いチップでも接着剤は接着面全面に濡れ広がり、この結果、高さの低いチップでは熱を伝えるための接着剤と冷却ジャケットとの間に空隙を生じ、伝熱性能が低下する。さらに、高さの低いチップに適切な量の接着剤を供給した場合には、高さの高いチップでは接着剤が多すぎ、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出したり、可動物となって、ショ−トなどの障害を生じる欠点があった。従って、接着剤の量を各チップごとに調整するなどの対策が必要であった。
【0005】本発明の目的は、基板に実装された各半導体チップ間に高さばらつきが有っても必要部分には必ず接着剤が充填され、かつ余分の接着剤を吸収して流れ出しのない構造の半導体モジュ−ル及びその製造方法を得ることにある。
【0006】本発明の他の目的は、常に接着剤充填部には充分な量の接着剤を満たして伝熱性能のよい半導体モジュ−ルを得ると共に、余分な接着剤の流れ出しによるチップ接続部への損傷を防止することにある。
【0007】本発明の更に他の目的は、余分な量の接着剤だけを自動的に一定の場所に保持できるようにして、伝熱性能のよい半導体モジュ−ルを容易に製作できるようにすることにある。
【0008】本発明の更に他の目的は、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出すというような心配がなくかつ伝熱性能のよい半導体モジュ−ルの製造方法を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、例えば、基板に実装された半導体チップと、これを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた熱伝導部材とを有する半導体モジュ−ルにおいて、前記半導体チップと前記熱伝導部材との間に介在された熱伝導性流体と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する熱伝導性接着剤と、前記接着剤による固着部分を囲むように、前記熱伝導部材および前記冷却ジャケットに形成された接着剤に濡れない部分とを有することにより解決される。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】また、例えば、複数の半導体チップを実装した基板における各チップの実装高さと同じものを模擬手段によって模擬し、前記模擬手段と熱伝導部材との間に熱伝導性接着剤をおいて、これを加熱しながら前記模擬手段に一定量押しつけることによって、実装された各チップの高さばらつきを補完した厚さをもつ接着剤の層を有する伝熱部材を得、次にこの得られた伝熱部材を前記実装された各チップと実冷却ジャケットとの間に介在させ、各伝熱部材と各チップの間及び各伝熱部材と冷却ジャケットとの間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、前記基板と実冷却ジャケットとを結合することにより解決される。
【0018】
【0019】
【0020】
【作用】上記本発明の半導体モジュ−ルによれば、接着剤を充填する必要の有る部分(固着部分または充填部分)の外側に接着剤に対し非親和性の濡れない部分を設けることによって、濡れない部分が熱伝導性接着剤の濡れ広がりに対する抵抗となり、接着剤が必要以上に濡れ広がるのを防止できる。したがって、必要部分に接着剤が充分に充填された後に余分な接着剤のみを前記充填部分から押しだすことができるから、伝熱性能の良い半導体モジュ−ルが得られる。
【0021】特に、前記濡れない部分の外側に溜めを設けたものでは、前記接着剤に余分が生じた場合にこれを吸収するので、実装高さの異なるチップすべてに対し要求される最大量の接着剤を供給しても、余分の接着剤をこの溜めに吸収させることができ、接着剤流出によるショ−トなどの障害を防ぐことができると共に、チップ背面に充分な量の接着剤の層を形成できる。また、各チップの高さばらつきに対応して接着剤の量を調整する必要はなく、作業が容易になる。
【0022】更に、模擬LSIによって仮想固着作業を行うものでは、余分の接着剤が流れ出しても実機に障害を与える心配はなく、この場合には接着剤に対し濡れない部分や接着剤の溜めを敢えて設ける必要もない。また、複数の熱伝導部材間に接着剤を配置した伝熱部材を使用するものでは、前記伝熱部材をチップや冷却ジャケットから自由に取外すことが可能となり、チップ交換時の作業が容易となり、かつ実モジュ−ル上だけではなく、模擬LSIや模擬冷却ジャケットを用いた模擬モジュ−ル上でも作ることができ、実モジュ−ル上への接着剤流出による障害発生を防ぐことができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1により説明する。図1では、基板1上に半田ボ−ルなどの接続部3により実装された半導体チップ2を保護するために、冷却ジャケット4と一体になった筐体により封止部5で封止している。チップ2の実装高さばらつきを吸収し、チップ2と冷却ジャケット4の熱的接続を図るために熱伝導部材6が半田などの熱伝導性接着剤7により、冷却ジャケットに固着されている。熱伝導性接着剤7の好適な例としては、錫−鉛系半田や錫−銀系半田がある。
【0024】この構造におけるチップ高さばらつきの吸収方法を図5及び図6により説明する。図5では、基板1上に実装されたチップ2上に熱伝導部材6をおき、この上に半田などの熱伝導性接着剤7のブロックを置く。この状態で温度を上げて接着剤を溶かし、冷却ジャッケト4を押しつけることにより、チップ2の高さばらつきを補完した厚さを有する接着剤層をつくる。冷却ジャケット4及び熱伝導部材6にはそれぞれ接着剤の濡れない部分(非親和性部分)8がチップ背面に相当する部分の外側に設けられており、さらにその外側に余分な接着剤を保持するための溜め9が形成されている。この溜め9の部分は接着剤が濡れやすい構造となっている。溶けた接着剤に余分がある場合、一定の圧力を受けると図6に示したようにチップ背面部分から押し出される。この接着剤先端が濡れない部分8を超えて溜め9に接触すると、余分な接着剤が溜め9へ流れ出しこの部分に溜る。冷却ジャケット4と熱伝導部材6の位置が決まると接着剤を押し出す力が無くなり、図7のように接着剤は濡れない部分で切れ、必要以上に溜め9に流れだすことは無い。したがって、本実施例によれば、接着剤が余分にあっても余分な量だけ溜め9に吸収できるから、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出してチップに損傷を生じるのを防止できるだけでなく、必要以上に溜め9に流れ出してチップ背面に形成された接着剤層に空隙を生じることもなく、良好な伝熱性能を得ることができる。溜め9の容積は、チップ高さがもっとも高いチップでは接着剤層の厚さが0に成り得ることを考えると、供給される接着剤の量以上である必要がある。図1ではさらに、チップと熱伝導部材間にグリ−スなどの熱伝導性液体(熱伝導性流体)10をはさみ伝熱性能の向上を図っている。また、前述の接着剤を溶かし、これに冷却ジャッケトを接触させた時点で冷却ジャッケトを僅かに動かすと、接着剤の表面張力により、冷却ジャケットと熱伝導部材との自動調心も図れる。
【0025】この実施例において、図7のように半田が切れるようにするためには、図8に示すように、濡れない部分7の幅をL、熱伝導接着剤を充填すべき間隙をa、溜め9の入口の間隔をbとすれば、 L>(a+b)/2 である必要がある。溜め9の面積を小さくし、かつ接着剤を多く保持するためには、bを大きくする必要があるが、この場合にはLを大きくする必要が生じ、面積効率が悪くなる。このような場合には図9に示したように、溜め9への入口部9aの間隔を狭めると良い。
【0026】前述の実施例において、接着剤の濡れない部分8は溝形になっているが、これは必ずしも溝形である必要はない。例えば、接着剤として半田を用い、冷却ジャケット4を金属製、熱伝導部材6をセラミック製とした場合、図10のように、冷却ジャケット4上に接着剤の濡れない部分8を作るために、濡れ防止用の樹脂23を印刷するようにしても良い。また、セラミック製の熱伝導部材6の場合には、接着剤充填部および接着剤の溜めの部分にメタライズを施してメタライズ層24を形成し、濡れない部分8を形成しようとする部分はそのままにすれば良い。接着剤の濡れる部分と濡れない部分の形としては、図11のようにチップ背面に接着剤7の充填部25を形成するための濡れる部分の外周に濡れない部分8を作り、その外側に接着剤の溜め9として濡れる部分26をつくる。この形では接着剤が1ヶ所から流れ出しても溜め全体で吸収することができる。更に、各チップに対応する接着剤が干渉し合わない用に各チップ領域を区切るように濡れない部分28を作る。図11の形ではマスクが作り難い場合には、図12のように形成してもよい。すなわち、図12ではチップ領域を区切る濡れない部分28の幅を大きくして干渉を防ぐと共に、チップ外周の濡れない部分8は細くして、接着剤充填部25から溜め9の部分への接着剤の流れが起こり易いように構成している。 なお、上述した実施例では、溜め9の部分は接着剤に濡れる構成としているが、溜め9の部分は必ずしも濡れる構成である必要はない。但し、この場合には接着剤の流れ出しを防ぐため、図13及び図14R>4に示したように、接着剤を捕捉する構成とする必要がある。
【0027】すなわち、図13の例では、金属性の冷却ジャケット4の接着剤充填部25以外にはすべて接着剤の濡れ防止用の樹脂23を塗布し、セラミック製の熱伝導部材6には接着剤充填部25にのみメタライズ層を形成し、接着剤7である半田は充填部25でのみ濡れ、余分の半田は濡れない部分8に流れ出すようにすると共に、濡れない部分8に流れ出した半田のすべてを吸収できるだけの容積をもつように構成し、半田は冷却ジャッケト4と熱伝導部材6の間に溜るようにして、電気的接続部等に流れ出すことを防止した構成としている。
【0028】図14の実施例では、セラミック製冷却ジャケット4の一部を凸形に削りだし、その頂面にメタライズ層24を形成して接着剤7としての半田が濡れるようにし、他方熱伝導部材6を前記冷却ジャケットの凸部を囲むような凹形に形成して、その底面の半田固着したい部分にだけメタライズ層24を形成している。この構造によっても、余分の半田を熱伝導部材6の凹部内に留めることができ、電気的接続部に流れ出すのを防止できる。
【0029】図15は、熱伝導部材6をチップに固着するようにした本発明の他の例を示すものである。この例はチップ側面を接着剤の濡れない部分8として利用した例であり、接着剤7の層をチップ2の下面に形成する場合に有効である。
【0030】図16は、2枚の熱伝導部材6の間に熱伝導性接着剤7を挾むようにした本発明の他の例である。この例では、チップとチップ側熱伝導部材との間、及び冷却ジャケットと冷却ジャケット側熱伝導部材との間に熱伝導性流体を介在させ、熱伝導部材の取外しを可能にしたものである。本実施例においても上記各実施例と同様の効果を得ることができるとともに、チップ交換等の補修作業を容易に行うことができる。
【0031】図16に示したような取外し可能な熱伝導部材6とする場合には、図17に示したように熱伝導部材側面を接着剤の濡れない部分8として利用することもできる。この場合には、熱伝導部材の固着作業は実モジュ−ル上で行わず、図18に示したような方法を用いて接着剤の流れ出しによるチップ接続部の損傷を防ぐことが有効である。すなわち、図18に示すように、まず実モジュ−ルにおける各チップ2の実装高さを高さ測定装置30によって測定する。次に、この測定された実モジュ−ルの各チップ2の高さと同じものを、制御装置31を介しアクチュエ−タ32で支えられた模擬LSI33によって模擬し、この模擬LSI33と、前記実モジュ−ルと結合される実冷却ジャケット4とを用いて仮想の固着作業を仮想固着作業装置34により行う。すなわち、熱伝導部材6aと6bとの間に半田などの熱伝導性接着剤7のブロックをおき、これを実冷却ジャケットと模擬LSI間におき、この状態で温度を上げて接着剤を溶かし、冷却ジャケットを押しつける。このようにすることによって、チップ2の高さばらつきを補完する厚さをもつ接着剤7の層を有する伝熱部材35が得られる。最後に、前記仮想固着作業装置34で得られた伝熱部材35を前記実モジュ−ルの各チップと実冷却ジャケット4との間に介在させ、各伝熱部材と各チップの間、及び各伝熱部材と冷却ジャケットとの間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、実モジュ−ルと実冷却ジャケットとを結合する。なお、この実施例では仮想固着作業を実冷却ジャケットを用いて実施するようにしているが、必ずしも実冷却ジャケットを用いる必要はなく、伝熱部材35を前記実モジュ−ルの各チップに対し一定量、すなわち実モジュ−ルと実冷却ジャケットとを結合したとき熱伝導部材6bと実冷却ジャケット4との内面がちょうど接触するような伝熱部材の厚さになるように一定量押し付けるようにすれば良い。また、もし実冷却ジャケットを用いるのであれば、必ずしも二枚の熱伝導部材6aと6bを用いる必要はなく、熱伝導部材6aと接着剤7のみとし、仮想固着作業時に熱伝導部材6aを実冷却ジャケット4にチップ2の高さばらつきを補完した厚さをもつ接着剤7の層により接着してしまい、その後この実冷却ジャケット4と実モジュ−ルとを結合するようにしても良い。
【0032】いずれにしても、上記各方法によれば、仮想固着作業を行うので、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出すというような心配はなく、したがって図1に示すような濡れない部分8を設けなくてもよいという効果がある。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、実モジュ−ルの各チップの実装高さにばらつきがあっても熱伝導性接着剤の層の厚さを前記各チップの実装高さにばらつきに対応させた厚さとすることができ、常に接着剤充填部には充分な量の接着剤を満たすことができるから伝熱性能のよい半導体モジュ−ルを得ることができると共に、接着剤の流れ出しによるチップ接続部の損傷を防止できるという効果がある。
【0034】特に、熱伝導部材や冷却ジャケット内面に接着剤の濡れない部分や接着剤の溜めを設けることによって、余分な接着剤のみを接着剤の溜めに流して、その余分な接着剤を溜めの部分に保持することができ、したがって半導体モジュ−ルの製作が容易になる。
【0035】さらに、仮想固着作業を行うようにした本発明の半導体モジュ−ルの製造方法によれば、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出すというような心配はないから、接着剤の濡れない部分や溜めを設けることなく伝熱性能のよい半導体モジュ−ルを得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体モジュ−ルの一実施例を示す要部断面図である。
【図2】従来の半導体モジュ−ルの一例を示す要部断面図である。
【図3】従来の半導体モジュ−ルの欠点を説明するための要部断面図である。
【図4】従来の半導体モジュ−ルの欠点を説明するための要部断面図である。
【図5】図1に示す本発明の一実施例の半導体モジュ−ルの製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図6】本発明の一実施例における接着剤の濡れない部分の役割を説明する要部断面図である。
【図7】本発明の一実施例における接着剤の濡れない部分の役割を説明する要部断面図である。
【図8】本発明の一実施例における接着剤の濡れない部分の必要寸法を説明するための断面図である。
【図9】接着剤溜めの部分の他の例を示す断面図である。
【図10】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めの他の例を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施例における冷却ジャケットの内面構造を示す平面図である。
【図12】冷却ジャケットの内面構造の他の例を示す平面図である。
【図13】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めのさらに他の例を示す断面図である。
【図14】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めのさらに他の例を示す断面図である。
【図15】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めのさらに他の例を示す断面図である。
【図16】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めのさらに他の例を示す断面図である。
【図17】熱伝導部材側面を接着剤の濡れない部分として使用した例を示す伝熱部材の断面図である。
【図18】本発明の半導体モジュ−ルの製造方法の一例を示す系統図である。
【符号の説明】
1:基板、2:半導体チップ、3:チップ接続部、4:冷却ジャケット、5:封止部、6:熱伝導部材、7:熱伝導性接着剤、8:熱伝導性接着剤の濡れない部分、9:接着剤の溜め、10:熱伝導性液体、23:濡れ防止用樹脂、24:メタライズ層、25:接着剤充填部、26:濡れる部分、28:濡れない部分。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体チップを内蔵する半導体モジュ−ルに係り、特にモジュ−ル内の半導体チップの冷却に好適な半導体モジュ−ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体モジュ−ルの基板に実装された半導体チップを冷却するにはチップと冷却ジャッケットとの熱的接続が重要であり、好ましくはチップと冷却ジャッケットとを直接接続するのがしよい。しかし、一般に基板上のチップには、実装高さのばらつきがあるため、直接接続することは難しい。
【0003】半導体チップに冷却ジャケットを一様に接触させる方法として、米国特許第4,561,011号に記載されたものがある。その図を参照すると、基板に実装された半導体チップの高さは基板の反り、チップと基板との接続部の寸法ばらつきなどのためにばらついている。そこでこの従来技術ではチップと該チップ上に配置された熱伝導部材の間に熱伝導性接着剤を挾み、該接着剤がかたまる際に冷却ジャケットを熱伝導部材に押し当て、冷却ジャケットと熱伝導部材間の隙間が一様になるように熱伝導部材の高さを調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方法の実施にあたり次の問題が生じる。すなわちチップの高さがばらついているため、熱伝導性接着剤の必要量がチップごとに異なる。また、高さの高いチップと低いチップに同一量の接着剤を供給した場合には、一般には接着剤に対し接着面は濡れ性の良い材料を使用するため、高さの低いチップでも接着剤は接着面全面に濡れ広がり、この結果、高さの低いチップでは熱を伝えるための接着剤と冷却ジャケットとの間に空隙を生じ、伝熱性能が低下する。さらに、高さの低いチップに適切な量の接着剤を供給した場合には、高さの高いチップでは接着剤が多すぎ、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出したり、可動物となって、ショ−トなどの障害を生じる欠点があった。従って、接着剤の量を各チップごとに調整するなどの対策が必要であった。
【0005】本発明の目的は、基板に実装された各半導体チップ間に高さばらつきが有っても必要部分には必ず接着剤が充填され、かつ余分の接着剤を吸収して流れ出しのない構造の半導体モジュ−ル及びその製造方法を得ることにある。
【0006】本発明の他の目的は、常に接着剤充填部には充分な量の接着剤を満たして伝熱性能のよい半導体モジュ−ルを得ると共に、余分な接着剤の流れ出しによるチップ接続部への損傷を防止することにある。
【0007】本発明の更に他の目的は、余分な量の接着剤だけを自動的に一定の場所に保持できるようにして、伝熱性能のよい半導体モジュ−ルを容易に製作できるようにすることにある。
【0008】本発明の更に他の目的は、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出すというような心配がなくかつ伝熱性能のよい半導体モジュ−ルの製造方法を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、例えば、基板に実装された半導体チップと、これを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた熱伝導部材とを有する半導体モジュ−ルにおいて、前記半導体チップと前記熱伝導部材との間に介在された熱伝導性流体と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する熱伝導性接着剤と、前記接着剤による固着部分を囲むように、前記熱伝導部材および前記冷却ジャケットに形成された接着剤に濡れない部分とを有することにより解決される。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】また、例えば、複数の半導体チップを実装した基板における各チップの実装高さと同じものを模擬手段によって模擬し、前記模擬手段と熱伝導部材との間に熱伝導性接着剤をおいて、これを加熱しながら前記模擬手段に一定量押しつけることによって、実装された各チップの高さばらつきを補完した厚さをもつ接着剤の層を有する伝熱部材を得、次にこの得られた伝熱部材を前記実装された各チップと実冷却ジャケットとの間に介在させ、各伝熱部材と各チップの間及び各伝熱部材と冷却ジャケットとの間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、前記基板と実冷却ジャケットとを結合することにより解決される。
【0018】
【0019】
【0020】
【作用】上記本発明の半導体モジュ−ルによれば、接着剤を充填する必要の有る部分(固着部分または充填部分)の外側に接着剤に対し非親和性の濡れない部分を設けることによって、濡れない部分が熱伝導性接着剤の濡れ広がりに対する抵抗となり、接着剤が必要以上に濡れ広がるのを防止できる。したがって、必要部分に接着剤が充分に充填された後に余分な接着剤のみを前記充填部分から押しだすことができるから、伝熱性能の良い半導体モジュ−ルが得られる。
【0021】特に、前記濡れない部分の外側に溜めを設けたものでは、前記接着剤に余分が生じた場合にこれを吸収するので、実装高さの異なるチップすべてに対し要求される最大量の接着剤を供給しても、余分の接着剤をこの溜めに吸収させることができ、接着剤流出によるショ−トなどの障害を防ぐことができると共に、チップ背面に充分な量の接着剤の層を形成できる。また、各チップの高さばらつきに対応して接着剤の量を調整する必要はなく、作業が容易になる。
【0022】更に、模擬LSIによって仮想固着作業を行うものでは、余分の接着剤が流れ出しても実機に障害を与える心配はなく、この場合には接着剤に対し濡れない部分や接着剤の溜めを敢えて設ける必要もない。また、複数の熱伝導部材間に接着剤を配置した伝熱部材を使用するものでは、前記伝熱部材をチップや冷却ジャケットから自由に取外すことが可能となり、チップ交換時の作業が容易となり、かつ実モジュ−ル上だけではなく、模擬LSIや模擬冷却ジャケットを用いた模擬モジュ−ル上でも作ることができ、実モジュ−ル上への接着剤流出による障害発生を防ぐことができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1により説明する。図1では、基板1上に半田ボ−ルなどの接続部3により実装された半導体チップ2を保護するために、冷却ジャケット4と一体になった筐体により封止部5で封止している。チップ2の実装高さばらつきを吸収し、チップ2と冷却ジャケット4の熱的接続を図るために熱伝導部材6が半田などの熱伝導性接着剤7により、冷却ジャケットに固着されている。熱伝導性接着剤7の好適な例としては、錫−鉛系半田や錫−銀系半田がある。
【0024】この構造におけるチップ高さばらつきの吸収方法を図5及び図6により説明する。図5では、基板1上に実装されたチップ2上に熱伝導部材6をおき、この上に半田などの熱伝導性接着剤7のブロックを置く。この状態で温度を上げて接着剤を溶かし、冷却ジャッケト4を押しつけることにより、チップ2の高さばらつきを補完した厚さを有する接着剤層をつくる。冷却ジャケット4及び熱伝導部材6にはそれぞれ接着剤の濡れない部分(非親和性部分)8がチップ背面に相当する部分の外側に設けられており、さらにその外側に余分な接着剤を保持するための溜め9が形成されている。この溜め9の部分は接着剤が濡れやすい構造となっている。溶けた接着剤に余分がある場合、一定の圧力を受けると図6に示したようにチップ背面部分から押し出される。この接着剤先端が濡れない部分8を超えて溜め9に接触すると、余分な接着剤が溜め9へ流れ出しこの部分に溜る。冷却ジャケット4と熱伝導部材6の位置が決まると接着剤を押し出す力が無くなり、図7のように接着剤は濡れない部分で切れ、必要以上に溜め9に流れだすことは無い。したがって、本実施例によれば、接着剤が余分にあっても余分な量だけ溜め9に吸収できるから、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出してチップに損傷を生じるのを防止できるだけでなく、必要以上に溜め9に流れ出してチップ背面に形成された接着剤層に空隙を生じることもなく、良好な伝熱性能を得ることができる。溜め9の容積は、チップ高さがもっとも高いチップでは接着剤層の厚さが0に成り得ることを考えると、供給される接着剤の量以上である必要がある。図1ではさらに、チップと熱伝導部材間にグリ−スなどの熱伝導性液体(熱伝導性流体)10をはさみ伝熱性能の向上を図っている。また、前述の接着剤を溶かし、これに冷却ジャッケトを接触させた時点で冷却ジャッケトを僅かに動かすと、接着剤の表面張力により、冷却ジャケットと熱伝導部材との自動調心も図れる。
【0025】この実施例において、図7のように半田が切れるようにするためには、図8に示すように、濡れない部分7の幅をL、熱伝導接着剤を充填すべき間隙をa、溜め9の入口の間隔をbとすれば、 L>(a+b)/2 である必要がある。溜め9の面積を小さくし、かつ接着剤を多く保持するためには、bを大きくする必要があるが、この場合にはLを大きくする必要が生じ、面積効率が悪くなる。このような場合には図9に示したように、溜め9への入口部9aの間隔を狭めると良い。
【0026】前述の実施例において、接着剤の濡れない部分8は溝形になっているが、これは必ずしも溝形である必要はない。例えば、接着剤として半田を用い、冷却ジャケット4を金属製、熱伝導部材6をセラミック製とした場合、図10のように、冷却ジャケット4上に接着剤の濡れない部分8を作るために、濡れ防止用の樹脂23を印刷するようにしても良い。また、セラミック製の熱伝導部材6の場合には、接着剤充填部および接着剤の溜めの部分にメタライズを施してメタライズ層24を形成し、濡れない部分8を形成しようとする部分はそのままにすれば良い。接着剤の濡れる部分と濡れない部分の形としては、図11のようにチップ背面に接着剤7の充填部25を形成するための濡れる部分の外周に濡れない部分8を作り、その外側に接着剤の溜め9として濡れる部分26をつくる。この形では接着剤が1ヶ所から流れ出しても溜め全体で吸収することができる。更に、各チップに対応する接着剤が干渉し合わない用に各チップ領域を区切るように濡れない部分28を作る。図11の形ではマスクが作り難い場合には、図12のように形成してもよい。すなわち、図12ではチップ領域を区切る濡れない部分28の幅を大きくして干渉を防ぐと共に、チップ外周の濡れない部分8は細くして、接着剤充填部25から溜め9の部分への接着剤の流れが起こり易いように構成している。 なお、上述した実施例では、溜め9の部分は接着剤に濡れる構成としているが、溜め9の部分は必ずしも濡れる構成である必要はない。但し、この場合には接着剤の流れ出しを防ぐため、図13及び図14R>4に示したように、接着剤を捕捉する構成とする必要がある。
【0027】すなわち、図13の例では、金属性の冷却ジャケット4の接着剤充填部25以外にはすべて接着剤の濡れ防止用の樹脂23を塗布し、セラミック製の熱伝導部材6には接着剤充填部25にのみメタライズ層を形成し、接着剤7である半田は充填部25でのみ濡れ、余分の半田は濡れない部分8に流れ出すようにすると共に、濡れない部分8に流れ出した半田のすべてを吸収できるだけの容積をもつように構成し、半田は冷却ジャッケト4と熱伝導部材6の間に溜るようにして、電気的接続部等に流れ出すことを防止した構成としている。
【0028】図14の実施例では、セラミック製冷却ジャケット4の一部を凸形に削りだし、その頂面にメタライズ層24を形成して接着剤7としての半田が濡れるようにし、他方熱伝導部材6を前記冷却ジャケットの凸部を囲むような凹形に形成して、その底面の半田固着したい部分にだけメタライズ層24を形成している。この構造によっても、余分の半田を熱伝導部材6の凹部内に留めることができ、電気的接続部に流れ出すのを防止できる。
【0029】図15は、熱伝導部材6をチップに固着するようにした本発明の他の例を示すものである。この例はチップ側面を接着剤の濡れない部分8として利用した例であり、接着剤7の層をチップ2の下面に形成する場合に有効である。
【0030】図16は、2枚の熱伝導部材6の間に熱伝導性接着剤7を挾むようにした本発明の他の例である。この例では、チップとチップ側熱伝導部材との間、及び冷却ジャケットと冷却ジャケット側熱伝導部材との間に熱伝導性流体を介在させ、熱伝導部材の取外しを可能にしたものである。本実施例においても上記各実施例と同様の効果を得ることができるとともに、チップ交換等の補修作業を容易に行うことができる。
【0031】図16に示したような取外し可能な熱伝導部材6とする場合には、図17に示したように熱伝導部材側面を接着剤の濡れない部分8として利用することもできる。この場合には、熱伝導部材の固着作業は実モジュ−ル上で行わず、図18に示したような方法を用いて接着剤の流れ出しによるチップ接続部の損傷を防ぐことが有効である。すなわち、図18に示すように、まず実モジュ−ルにおける各チップ2の実装高さを高さ測定装置30によって測定する。次に、この測定された実モジュ−ルの各チップ2の高さと同じものを、制御装置31を介しアクチュエ−タ32で支えられた模擬LSI33によって模擬し、この模擬LSI33と、前記実モジュ−ルと結合される実冷却ジャケット4とを用いて仮想の固着作業を仮想固着作業装置34により行う。すなわち、熱伝導部材6aと6bとの間に半田などの熱伝導性接着剤7のブロックをおき、これを実冷却ジャケットと模擬LSI間におき、この状態で温度を上げて接着剤を溶かし、冷却ジャケットを押しつける。このようにすることによって、チップ2の高さばらつきを補完する厚さをもつ接着剤7の層を有する伝熱部材35が得られる。最後に、前記仮想固着作業装置34で得られた伝熱部材35を前記実モジュ−ルの各チップと実冷却ジャケット4との間に介在させ、各伝熱部材と各チップの間、及び各伝熱部材と冷却ジャケットとの間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、実モジュ−ルと実冷却ジャケットとを結合する。なお、この実施例では仮想固着作業を実冷却ジャケットを用いて実施するようにしているが、必ずしも実冷却ジャケットを用いる必要はなく、伝熱部材35を前記実モジュ−ルの各チップに対し一定量、すなわち実モジュ−ルと実冷却ジャケットとを結合したとき熱伝導部材6bと実冷却ジャケット4との内面がちょうど接触するような伝熱部材の厚さになるように一定量押し付けるようにすれば良い。また、もし実冷却ジャケットを用いるのであれば、必ずしも二枚の熱伝導部材6aと6bを用いる必要はなく、熱伝導部材6aと接着剤7のみとし、仮想固着作業時に熱伝導部材6aを実冷却ジャケット4にチップ2の高さばらつきを補完した厚さをもつ接着剤7の層により接着してしまい、その後この実冷却ジャケット4と実モジュ−ルとを結合するようにしても良い。
【0032】いずれにしても、上記各方法によれば、仮想固着作業を行うので、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出すというような心配はなく、したがって図1に示すような濡れない部分8を設けなくてもよいという効果がある。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、実モジュ−ルの各チップの実装高さにばらつきがあっても熱伝導性接着剤の層の厚さを前記各チップの実装高さにばらつきに対応させた厚さとすることができ、常に接着剤充填部には充分な量の接着剤を満たすことができるから伝熱性能のよい半導体モジュ−ルを得ることができると共に、接着剤の流れ出しによるチップ接続部の損傷を防止できるという効果がある。
【0034】特に、熱伝導部材や冷却ジャケット内面に接着剤の濡れない部分や接着剤の溜めを設けることによって、余分な接着剤のみを接着剤の溜めに流して、その余分な接着剤を溜めの部分に保持することができ、したがって半導体モジュ−ルの製作が容易になる。
【0035】さらに、仮想固着作業を行うようにした本発明の半導体モジュ−ルの製造方法によれば、余分な接着剤がチップ接続部に流れ出すというような心配はないから、接着剤の濡れない部分や溜めを設けることなく伝熱性能のよい半導体モジュ−ルを得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体モジュ−ルの一実施例を示す要部断面図である。
【図2】従来の半導体モジュ−ルの一例を示す要部断面図である。
【図3】従来の半導体モジュ−ルの欠点を説明するための要部断面図である。
【図4】従来の半導体モジュ−ルの欠点を説明するための要部断面図である。
【図5】図1に示す本発明の一実施例の半導体モジュ−ルの製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図6】本発明の一実施例における接着剤の濡れない部分の役割を説明する要部断面図である。
【図7】本発明の一実施例における接着剤の濡れない部分の役割を説明する要部断面図である。
【図8】本発明の一実施例における接着剤の濡れない部分の必要寸法を説明するための断面図である。
【図9】接着剤溜めの部分の他の例を示す断面図である。
【図10】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めの他の例を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施例における冷却ジャケットの内面構造を示す平面図である。
【図12】冷却ジャケットの内面構造の他の例を示す平面図である。
【図13】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めのさらに他の例を示す断面図である。
【図14】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めのさらに他の例を示す断面図である。
【図15】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めのさらに他の例を示す断面図である。
【図16】接着剤充填部、濡れない部分、及び溜めのさらに他の例を示す断面図である。
【図17】熱伝導部材側面を接着剤の濡れない部分として使用した例を示す伝熱部材の断面図である。
【図18】本発明の半導体モジュ−ルの製造方法の一例を示す系統図である。
【符号の説明】
1:基板、2:半導体チップ、3:チップ接続部、4:冷却ジャケット、5:封止部、6:熱伝導部材、7:熱伝導性接着剤、8:熱伝導性接着剤の濡れない部分、9:接着剤の溜め、10:熱伝導性液体、23:濡れ防止用樹脂、24:メタライズ層、25:接着剤充填部、26:濡れる部分、28:濡れない部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた熱伝導部材とを有する半導体モジュ−ルにおいて、前記半導体チップと前記熱伝導部材との間に介在された熱伝導性流体と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する熱伝導性接着剤と、前記接着剤による固着部分を囲むように、前記熱伝導部材および前記冷却ジャケットに形成された接着剤に濡れない部分とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項2】 請求項1において、前記熱伝導部材の前記冷却ジャケットを固着する面および冷却ジャケットの前記熱伝導性部材を固着する面に、前記接着剤の濡れない部分の更に外側に接着剤の溜めを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項3】 請求項2において、前記接着剤の濡れない部分は溝形であり、前記溜めの前記溝側には、前記溜めの間隔よりも狭い間隔の入口部を形成したことを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項4】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する金属製の冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられたセラミック製の熱伝導部材と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する半田と、前記半田による固着部分に対応する前記セラミック製の熱伝導部材に形成されたメタライズ層と、前記金属製の冷却ジャケットの前記半田による固着部分に対応する部分の周囲に該固着部分を囲むように設けられた樹脂層とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項5】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する金属製の冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた金属製の熱伝導部材と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する半田と、前記金属製の冷却ジャケットの前記半田による固着部分に対応する部分の周囲に該固着部分を囲むように設けられた樹脂層とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項6】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却するセラミック製の冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられたセラミック製の熱伝導部材と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する半田と、前記半田による固着部分に対応する前記セラミック製の冷却ジャケット及び熱伝導部材に形成されたメタライズ層とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項7】 請求項4乃至6のいずれかにおいて、半田による固着部分の周囲には余った余分な半田を保持する保持部を有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項8】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた熱伝導部材とを有する半導体モジュ−ルにおいて、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットまたは半導体チップに固着する熱伝導性接着剤と、前記接着剤による固着部分を囲むように前記熱伝導部材に形成された接着剤に濡れない部分とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項9】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた熱伝導部材とを有する半導体モジュ−ルにおいて、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットまたは半導体チップに熱伝導性接着剤により固着して構成するとともに、前記接着剤による固着部分を囲むように接着剤に対し非親和性の濡れない部分を形成してなることを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項10】 基板に実装された複数の半導体チップと、これらを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと前記複数の半導体チップとの各々の間に配置され、前記冷却ジャケットに熱伝導性接着剤により固着される伝熱部材とを備え、前記伝熱部材は熱伝導性液体を介して前記複数の半導体チップにそれぞれ接続されていることを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項11】 請求項10において、前記伝熱部材の前記熱伝導性接着剤による固着面には、当該固着面を囲むように前記熱伝導性接着剤が付着しない部分を形成してなる半導体モジュ−ル。
【請求項12】 基板に複数の半導体チップを実装し、一方接着剤による固着部分周囲に接着剤に濡れない部分とさらにその濡れない部分の外に接着剤の溜めを有する熱伝導部材を準備し、前記各半導体チップ上に前記熱伝導部材を介して熱伝導性接着剤のブロックをおき、さらにその接着剤の上に冷却ジャケットを配置し、この状態で温度を上げて前記接着剤を溶かし、冷却ジャケットを押しつけることによって、チップの高さばらつきを補完する厚さをもつ接着剤の層により熱伝導部材を固着した冷却ジャケットを得、次に前記各半導体チップと前記各熱伝導部材との間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、前記基板と冷却ジャケットとを結合することを特徴とする半導体モジュ−ルの製造方法。
【請求項13】 複数の半導体チップを実装した基板における各チップの実装高さと同じものを模擬手段によって模擬し、前記模擬手段と熱伝導部材との間に熱伝導性接着剤をおいて、これを加熱しながら前記模擬手段に一定量押しつけることによって、実装された各チップの高さばらつきを補完した厚さをもつ接着剤の層を有する伝熱部材を得、次にこの得られた伝熱部材を実装された前記チップと冷却ジャケットとの間に介在させ、前記伝熱部材と前記チップの間及び前記伝熱部材と前記冷却ジャケットとの間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、前記基板と前記冷却ジャケットとを結合することを特徴とする半導体モジュ−ルの製造方法。
【請求項14】 複数の半導体チップを実装した基板における各チップの実装高さと同じものを模擬手段によって模擬し、次に前記模擬手段と実冷却ジャケットとの間に熱伝導部材及び熱伝導性接着剤をおき、これを加熱しながらに一定量押しつけることによって、実装された各チップの高さばらつきを補完した厚さをもつ接着剤の層により接着された熱伝導部材を有する実冷却ジャケットを得、次にこの得られた実冷却ジャケットを、前記実装された各チップと前記各熱伝導部材間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、前記基板に結合することを特徴とする半導体モジュ−ルの製造方法。
【請求項1】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた熱伝導部材とを有する半導体モジュ−ルにおいて、前記半導体チップと前記熱伝導部材との間に介在された熱伝導性流体と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する熱伝導性接着剤と、前記接着剤による固着部分を囲むように、前記熱伝導部材および前記冷却ジャケットに形成された接着剤に濡れない部分とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項2】 請求項1において、前記熱伝導部材の前記冷却ジャケットを固着する面および冷却ジャケットの前記熱伝導性部材を固着する面に、前記接着剤の濡れない部分の更に外側に接着剤の溜めを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項3】 請求項2において、前記接着剤の濡れない部分は溝形であり、前記溜めの前記溝側には、前記溜めの間隔よりも狭い間隔の入口部を形成したことを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項4】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する金属製の冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられたセラミック製の熱伝導部材と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する半田と、前記半田による固着部分に対応する前記セラミック製の熱伝導部材に形成されたメタライズ層と、前記金属製の冷却ジャケットの前記半田による固着部分に対応する部分の周囲に該固着部分を囲むように設けられた樹脂層とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項5】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する金属製の冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた金属製の熱伝導部材と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する半田と、前記金属製の冷却ジャケットの前記半田による固着部分に対応する部分の周囲に該固着部分を囲むように設けられた樹脂層とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項6】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却するセラミック製の冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられたセラミック製の熱伝導部材と、前記熱伝導部材と前記冷却ジャケットとの間に介在され、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットに固着する半田と、前記半田による固着部分に対応する前記セラミック製の冷却ジャケット及び熱伝導部材に形成されたメタライズ層とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項7】 請求項4乃至6のいずれかにおいて、半田による固着部分の周囲には余った余分な半田を保持する保持部を有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項8】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた熱伝導部材とを有する半導体モジュ−ルにおいて、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットまたは半導体チップに固着する熱伝導性接着剤と、前記接着剤による固着部分を囲むように前記熱伝導部材に形成された接着剤に濡れない部分とを有することを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項9】 基板に実装された半導体チップと、これを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと半導体チップとの間に設けられた熱伝導部材とを有する半導体モジュ−ルにおいて、前記熱伝導部材を前記冷却ジャケットまたは半導体チップに熱伝導性接着剤により固着して構成するとともに、前記接着剤による固着部分を囲むように接着剤に対し非親和性の濡れない部分を形成してなることを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項10】 基板に実装された複数の半導体チップと、これらを冷却する冷却ジャケットと、前記冷却ジャケットと前記複数の半導体チップとの各々の間に配置され、前記冷却ジャケットに熱伝導性接着剤により固着される伝熱部材とを備え、前記伝熱部材は熱伝導性液体を介して前記複数の半導体チップにそれぞれ接続されていることを特徴とする半導体モジュ−ル。
【請求項11】 請求項10において、前記伝熱部材の前記熱伝導性接着剤による固着面には、当該固着面を囲むように前記熱伝導性接着剤が付着しない部分を形成してなる半導体モジュ−ル。
【請求項12】 基板に複数の半導体チップを実装し、一方接着剤による固着部分周囲に接着剤に濡れない部分とさらにその濡れない部分の外に接着剤の溜めを有する熱伝導部材を準備し、前記各半導体チップ上に前記熱伝導部材を介して熱伝導性接着剤のブロックをおき、さらにその接着剤の上に冷却ジャケットを配置し、この状態で温度を上げて前記接着剤を溶かし、冷却ジャケットを押しつけることによって、チップの高さばらつきを補完する厚さをもつ接着剤の層により熱伝導部材を固着した冷却ジャケットを得、次に前記各半導体チップと前記各熱伝導部材との間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、前記基板と冷却ジャケットとを結合することを特徴とする半導体モジュ−ルの製造方法。
【請求項13】 複数の半導体チップを実装した基板における各チップの実装高さと同じものを模擬手段によって模擬し、前記模擬手段と熱伝導部材との間に熱伝導性接着剤をおいて、これを加熱しながら前記模擬手段に一定量押しつけることによって、実装された各チップの高さばらつきを補完した厚さをもつ接着剤の層を有する伝熱部材を得、次にこの得られた伝熱部材を実装された前記チップと冷却ジャケットとの間に介在させ、前記伝熱部材と前記チップの間及び前記伝熱部材と前記冷却ジャケットとの間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、前記基板と前記冷却ジャケットとを結合することを特徴とする半導体モジュ−ルの製造方法。
【請求項14】 複数の半導体チップを実装した基板における各チップの実装高さと同じものを模擬手段によって模擬し、次に前記模擬手段と実冷却ジャケットとの間に熱伝導部材及び熱伝導性接着剤をおき、これを加熱しながらに一定量押しつけることによって、実装された各チップの高さばらつきを補完した厚さをもつ接着剤の層により接着された熱伝導部材を有する実冷却ジャケットを得、次にこの得られた実冷却ジャケットを、前記実装された各チップと前記各熱伝導部材間にそれぞれ熱伝導性流体を介在させて、前記基板に結合することを特徴とする半導体モジュ−ルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図17】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図17】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図18】
【特許番号】特許第3018554号(P3018554)
【登録日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【発行日】平成12年3月13日(2000.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−95146
【出願日】平成3年4月25日(1991.4.25)
【公開番号】特開平4−324966
【公開日】平成4年11月13日(1992.11.13)
【審査請求日】平成10年2月13日(1998.2.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−230345(JP,A)
【文献】特開 平2−187058(JP,A)
【登録日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【発行日】平成12年3月13日(2000.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成3年4月25日(1991.4.25)
【公開番号】特開平4−324966
【公開日】平成4年11月13日(1992.11.13)
【審査請求日】平成10年2月13日(1998.2.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−230345(JP,A)
【文献】特開 平2−187058(JP,A)
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