説明

半導体モジュール

【課題】特性の変動や電磁波の漏洩を抑え、高周波集積回路の放熱性に優れた半導体モジュールを得ること。
【解決手段】金属キャリア2と、サーマルビアホール14とRF線路10とを有し、金属キャリア2の上に接合されて、金属キャリア2からはみ出た部分の下面にRF線路10の接続用パッドが配置される誘電体多層基板1と、誘電体多層基板1上に実装されて、誘電体多層基板1の表面でRF線路10と電気的に接続され、サーマルビアホール14を介して金属キャリア2と熱的に接続されるRFIC4と、誘電体多層基板1の金属キャリア2からはみ出た部分と重なるように配置され、接続用パッドがRF線路10の接続用パッドと対向するように形成されたRF線路9を有する入出力インタフェース基板3と、ばね性を有し、信号接続パッド6、8の間に挟持されて、両者を電気的に接続するコンタクト端子7と、これらを収容するシャーシ5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体モジュールにおいて一般的に用いられている半導体パッケージとインタフェース基板とをワイヤやリボンにより接続する構成では、高周波集積回路を用いる場合にはワイヤ等の寄生インダクタにより特性が変動したり、ワイヤ等の部分から電磁波が空間に放射されるという問題があった。
【0003】
特許文献1には、高発熱ICを含む半導体パッケージをBGA実装によりインタフェース基板(樹脂基板)上に実装した構成が開示されているが、このような構成とすることによって、寄生インダクタの低減と空間放射抑圧とを図ることも試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−229113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術によれば、樹脂基板を介するため放熱面からICまでの熱抵抗が増大してICの温度が上昇し、信頼性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電磁波の漏洩による特性の変動を抑え、高周波集積回路の放熱性に優れた半導体モジュールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、金属キャリアと、誘電体多層基板を表裏に貫通するサーマルビアホールと、誘電体多層基板の表裏をつなぐ第1の信号線とを有し、一部が金属キャリアからはみ出すように金属キャリアの上に接合されて、金属キャリアからはみ出た部分の下面に第1の信号線の接続用パッドが配置される誘電体多層基板と、誘電体多層基板上に実装されて、誘電体多層基板の表面で第1の信号線と電気的に接続され、サーマルビアホールを介して金属キャリアと熱的に接続される高周波集積回路と、誘電体多層基板の金属キャリアからはみ出た部分と重なるように金属キャリアに隣接して配置され、第2の信号線を有し、第2の信号線の接続用パッドが第1の信号線の接続用パッドと対向するように形成された入出力インタフェース基板と、ばね性を有し、第1の信号線の接続用パッドと第2の信号線の接続用パッドとの間に挟持されて第1の信号線の接続用パッドと第2の信号線の接続用パッドとを電気的に接続するコンタクト端子と、金属キャリア、誘電体多層基板及び高周波集積回路を含んだ半導体パッケージと、入出力インタフェース基板及び半導体パッケージを収容するシャーシとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電磁波の漏洩による特性の変動を抑えることができ、かつ高周波集積回路の放熱性に優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明にかかる半導体モジュールの実施の形態の構成を示す図である。
【図2】図2は、半導体パッケージの下面図である。
【図3】図3は、コンタクト端子の形状の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる半導体モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態.
図1は、本発明にかかる半導体モジュールの実施の形態の構成を示す図である。半導体モジュール20は、誘電体多層基板1、金属キャリア2及びRFIC4を含んだ半導体パッケージ17と、入出力インタフェース基板3と、コンタクト端子7と、これらを収容するシャーシ5とを備える。図2は、半導体パッケージ17の下面図である。誘電体多層基板1は、金属キャリア2に接合され、ネジ穴16を介してシャーシ5に固定される。誘電体多層基板1の上(例えばキャビティ部1a)には発熱体であるRFIC(高周波集積回路)4が実装され、第1の信号線であるRF線路10にボンディングワイヤ11を介して誘電体多層基板1の表面で電気的に接続される。RFIC4の直下には、放熱のためにサーマルビアホール14が配置されており、電磁シールドキャップ15が誘電体多層基板1に接合されている。
【0012】
誘電体多層基板1は、一部が金属キャリア2の長辺から突出するように配置される。誘電体多層基板1の裏面が露出している部分(金属キャリア2の長辺から突出している部分)には、第1の信号線の接続用パッドとしてのRF信号用接続パッド12及び電源/制御信号用接続パッド13が設けられている。RF信号用接続パッド12及び電源/制御信号用接続パッド13が設けられた部分が入出力インタフェース基板3と対向し、それぞれの信号接続パッド直下にある入出力インタフェース基板3上の第2の信号線の接続用パッドとしての信号接続パッド8間とでばね性を有する小型のコンタクト端子7を介して接続されている。
【0013】
図3は、コンタクト端子7の形状の一例を示す図である。コンタクト端子7は、図3に示すように、入出力インタフェース基板3上の信号接続パッド8に予め接合されており、小型かつばね性を有するもので、金属キャリア2をねじ締めすることにより、誘電体多層基板1裏面の信号接続パッド6と接触する。
【0014】
第2の信号線である入出力インタフェース基板3のRF線路(トリプレート線路)9を伝搬するRF信号は、疑似同軸を形成するように配置された信号接続パッド8に伝達され、同じく疑似同軸を形成するように配置されたコンタクト端子7を通って誘電体多層基板1の裏面の信号接続パッド6に伝わる。誘電体多層基板1内では、疑似同軸及びトリプレート線路となるRF線路10により誘電体多層基板1の表面のパッドに接続されたボンディングワイヤ11を介してRFIC4に伝達される。
【0015】
このような構成とすることにより、RFIC4で発生した熱は、サーマルビアホール14を介して効果的に金属キャリア2を通ってシャーシ5側へ放熱される。また、RF線路9、10は、入出力インタフェース基板3及び誘電体多層基板1内でトリプレートや疑似同軸線路とし、RFIC4には電磁シールドキャップ15を施し、信号接続部においてRF信号端子をグランドで囲んだ疑似同軸構成としているため、RF信号の外部への漏洩を低減できる。RF信号の漏洩を低減することにより、RF信号の結合に起因する特性劣化を回避できる。
【0016】
入出力インタフェース基板3と誘電体多層基板1との間の信号接続にばね性を有する小型なコンタクト端子7による対向パッド間の面間接続を用いているため、接続に起因する寄生インダクタンスを低減でき、半導体パッケージ17の小型化も図れる。
【0017】
また、ばねのたわみ量により入出力インタフェース基板3及び金属キャリア2の厚さの誤差を吸収できる。また、複数回の着脱が可能であり、RFIC4の故障時に容易に半導体パッケージ17の交換ができ、モジュールの低コスト化が図れる。
【0018】
本実施の形態では、コンタクト端子7は誘電体多層基板1のハンドリング性向上のため、入出力インタフェース基板3上の信号接続パッド8に接合されているが、誘電体多層基板1側に予め接合しても良い。
【0019】
本実施の形態によれば、誘電体多層基板は金属キャリアを介してシャーシにねじ締めされるため、放熱性に優れる。また、RF線路の接続は、ばね性を有するコンタクト端子を介してなされているため、接続に起因するインダクタ成分を低減でき、特性の改善と放射の抑圧とを図れる。さらに、故障時のリワークが容易であり、低コスト化を図ることができる。加えて、半導体パッケージ/入出力インタフェース基板を含めRF線路接続部について信号端子の周りにグランド端子を配置し疑似同軸形態とすることにより半導体パッケージ及び入出力インタフェース基板外部への信号漏洩をさらに低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように、本発明にかかる半導体モジュールは、高周波集積回路で生じる熱の放熱成に優れ、特性の変動や電磁波の漏洩を抑えられる点で有用である。
【符号の説明】
【0021】
1 誘電体多層基板
2 金属キャリア
3 入出力インタフェース基板
4 RFIC
5 シャーシ
6、8 信号接続パッド
7 コンタクト端子
9、10 RF線路
11 ボンディングワイヤ
12 RF信号用接続パッド
13 電源/制御信号用接続パッド
14 サーマルビアホール
15 電磁シールドキャップ
16 ネジ穴
17 半導体パッケージ
20 半導体モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属キャリアと、
誘電体多層基板を表裏に貫通するサーマルビアホールと、該誘電体多層基板の表裏をつなぐ第1の信号線とを有し、一部が前記金属キャリアからはみ出すように該金属キャリアの上に接合されて、該金属キャリアからはみ出た部分の下面に前記第1の信号線の接続用パッドが配置される前記誘電体多層基板と、
前記誘電体多層基板上に実装されて、該誘電体多層基板の表面で前記第1の信号線と電気的に接続され、前記サーマルビアホールを介して前記金属キャリアと熱的に接続される高周波集積回路と、
前記誘電体多層基板の前記金属キャリアからはみ出た部分と重なるように前記金属キャリアに隣接して配置され、第2の信号線を有し、該第2の信号線の接続用パッドが前記第1の信号線の接続用パッドと対向するように形成された入出力インタフェース基板と、
ばね性を有し、前記第1の信号線の接続用パッドと前記第2の信号線の接続用パッドとの間に挟持されて前記第1の信号線の接続用パッドと前記第2の信号線の接続用パッドとを電気的に接続するコンタクト端子と、
前記金属キャリア、前記誘電体多層基板及び前記高周波集積回路を含んだ半導体パッケージと、
前記入出力インタフェース基板及び前記半導体パッケージを収容するシャーシとを備えることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記コンタクト端子が前記第2の信号線の接続用パッドに接合されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記コンタクト端子が前記第1の信号線の接続用パッドに接合されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記高周波集積回路を覆うように前記誘電体多層基板に接合された電磁シールドキャップを有し、
前記第1の信号線の接続用パッド及び前記第2の信号線の接続用パッドは、信号パッドの周囲にグラウンドを配置した疑似同軸線路の配置であり、前記第1の信号線及び前記第2の信号線は、疑似同軸線路構造又はトリプレート線路構造であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の半導体モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−98200(P2013−98200A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236811(P2011−236811)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】