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半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液の製造方法、及びその方法で得られた重合体または重合体溶液
説明

半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液の製造方法、及びその方法で得られた重合体または重合体溶液

【課題】金属イオン不純物濃度が低く、半導体リソグラフィーに好適に用いることができる、半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体リソグラフィー用重合体、または該重合体を含む重合体溶液の製造方法において、原料または生成物と接触する容器として、該容器に対して10体積%のメタノールで還流した時に、該還流後のメタノール中の各金属イオン不純物濃度が10ppb以下である容器を用いる工程を有する、半導体リソグラフィー用重合体または該重合体を含む重合体溶液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液の製造方法、及びその方法で得られた重合体または重合体溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子、液晶素子等の製造工程において形成されるレジストパターンは、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。微細化の手法としては、照射光の短波長化がある。具体的には、従来のg線(波長:438nm)、i線(波長:365nm)に代表される紫外線から、より短波長のDUV(Deep Ultra Violet)へと照射光が短波長化してきている。
【0003】
最近では、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)リソグラフィー技術が導入され、さらなる短波長化を図ったArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィー技術及びEUV(波長:13.5nm)リソグラフィー技術が研究されている。さらに、これらの液浸リソグラフィー技術も研究されている。また、これらとは異なるタイプのリソグラフィー技術として、電子線リソグラフィー技術についても精力的に研究されている。
【0004】
前記レーザーによる微細加工はシリコンウェハ等の半導体基板上にフォトレジストや反射防止膜等のリソグラフィー用組成物の薄膜を形成する。その後、半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線等の活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に前記パターンに対応する微細凹凸を形成する。
【0005】
ここで、高密度集積回路、コンピュータチップ及びコンピュータハードドライブ等の製造において金属イオン汚染が生じると、しばしば欠陥の増加や収量損失を招き、性能低下を引き起こす大きな要因となっている。
例えばプラズマプロセスでは、リソグラフィー用組成物中にナトリウムや鉄等の金属イオン不純物が存在すると、プラズマ剥離の際に金属イオン汚染を生じる恐れがある。
【0006】
リソグラフィー等の微細加工技術の発展により電子デバイスがより精巧なものとなっており、これらの諸問題は、完全な解決が困難となっている。非常に低レベルの金属イオン不純物の存在により、半導体デバイスの性能及び安定性が低下することがしばしば観察されており、これらの主要因は、特にリソグラフィー用組成物中に含まれるナトリウムイオン及び鉄イオンであることが確認されている。更には、リソグラフィー用組成物中の100ppb未満の金属イオン不純物濃度が、このような電子デバイスの性能及び安定性に悪影響を及ぼすことも明らかになっている。
従来、リソグラフィー用組成物中の金属イオン不純物濃度は、厳しい不純物濃度規格を満たす材料を選択することや、リソグラフィー用組成物の調整段階で金属イオン不純物が混入しないように徹底したプロセス管理を行うことで、管理されている。しかし、金属イオン不純物濃度の厳格な規格化に伴い、抜本的な金属イオン不純物の混入を管理した方法によるリソグラフィー用組成物の製造が行なわれる必要がある。
【0007】
従来、重合体溶液中の金属イオン不純物を低減する方法として、重合体溶液を有機溶媒と水の混合溶媒に接触させる方法(特許文献1)や、重合体溶液をイオン交換膜に接触させる方法(特許文献2)等が開示されている。
また、重合体を製造する際に用いる原料(モノマー、重合開始剤、溶剤等)を精製することで、原料由来の金属イオン不純物を低減させる方法(特許文献3)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−37117号公報
【特許文献2】特開2007−291387号公報
【特許文献3】特開2006−188575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、プロセス負荷が高いだけでなく、含水率の増加やイオン交換膜からの異物混入が生じる等の問題を未だ有している。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、金属イオン不純物濃度が低く、半導体リソグラフィーに好適に用いることができる、半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液の製造方法、及び該製造方法で得られた高純度な半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
通常、半導体リソグラフィー用重合体は、用途毎に重合体組成や分子量が異なり、同一の反応容器で多種多様な重合体が製造される。そこで、本発明者等は、反応容器からの金属イオン不純物の混入を抑制しないと、より高純度な重合体を再現性良く製造することは困難であると考えた。また、新品の反応容器を洗浄して使用する際にも、従来の洗浄レベルでは必ずしも十分でなく、金属イオン不純物の混入の原因となり得ることも知見した。そして、鋭意研究を行った結果、反応容器の洗浄状態を規定することにより、反応容器からの金属イオン不純物の混入を抑制して、高純度の半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液を製造できることを見出して、本発明に至った。
【0011】
本発明の第一の観点は、半導体リソグラフィー用重合体、または該重合体を含む重合体溶液の製造方法において、原料または生成物と接触する容器として、該容器に対して10体積%のメタノールで還流した時に、該還流後のメタノール中の各金属イオン不純物濃度が10ppb以下である容器を用いる工程を有する、半導体リソグラフィー用重合体または該重合体を含む重合体溶液の製造方法に関する。
【0012】
本発明の第二の観点は、半導体リソグラフィー用重合体、または該重合体を含む重合体溶液の製造方法において、原料または生成物と接触する容器として、該容器に対して10体積%の超純水で還流した時に、該還流後の超純水の電気伝導度が5.0μS/cm以下である容器を用いる工程を有する、半導体リソグラフィー用重合体または該重合体を含む重合体溶液の製造方法に関する。
【0013】
本発明の第三の観点は、本発明の製造方法で得られた重合体または重合体溶液であって、該重合体中に存在する金属イオン不純物の濃度、または該重合体溶液中に存在する金属イオン不純物の濃度が、いずれの金属についても20ppb以下である、半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体リソグラフィー用に好適な、金属イオン不純物濃度が低い、高純度な半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における重合体とは、単量体を重合させて得られる乾燥粉体状の重合体を意味する。該重合体は製造工程上不可避の化合物を含んでもよい。該乾燥粉体とは、含液率が5質量%以下である粉体を意味する。
該含液率は、測定対象の重合体粉体中に含まれる残存単量体、残存水分、残存溶媒のそれぞれについて含有量を測定し、それらの合計が重合体粉体に占める割合を算出して得られる値である。
上記成分(残存単量体、残存水分、残存溶媒)は、それぞれ液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーおよびカールフィッシャー水分計のうち少なくとも1つ以上、必要に応じて2つ以上の方法を組み合わせて、当該成分の含有量を測定し、それらの合計が重合体粉体に占める割合を算出することができる。
本発明における、重合体溶液とは、単量体を重合させて得られる重合体と溶媒とを含み、重合体の製造工程上不可避の化合物を含んでもよい溶液を意味する。重合体と溶媒と製造工程上不可避の化合物とからなる重合体溶液が好ましい。
該重合体溶液における半導体リソグラフィー用重合体の含有量は、当該重合体の種類、用途等を考慮して適宜設定できるが、製造上の観点から、5〜70質量%が好ましく、8〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
本発明の重合体溶液には、例えば、単量体を重合反応させて得られる重合反応溶液、該重合反応溶液を精製し、乾燥させた重合体粉体を溶媒に溶解させた重合体溶液、該重合体溶液を濃縮した濃縮液、重合体溶液またはその濃縮液を濾過した濾液等が含まれる。
【0016】
<容器の洗浄方法>
本発明の、半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液(以下、単に重合体または重合体溶液ということもある。)の製造方法は、原料または生成物と接触する容器を使用する工程を1工程以上有する。
原料または反応生成物と接触する容器としては、例えば、原料調合容器、重合容器、再沈殿容器、再溶解容器、濾過容器、濃縮容器等の処理容器(処理槽)が挙げられる。
【0017】
本発明の製造方法は、原料または生成物と接触する容器として、新品の容器を1回以上洗浄した容器、もしくは原料または生成物と接触した後に1回以上洗浄された容器であって、後述する清浄度を満たすように洗浄された容器(以下、高清浄容器ということもある。)を使用する工程を有する。
すなわち、本発明では、原料または生成物と接触する容器を使用する工程のうちの少なくとも1工程、好ましくは全工程において、該容器を1回以上洗浄して、後述する清浄度を満たす高清浄容器としてから使用する。
特に、原料または生成物と接触した後の容器を1回以上洗浄して、後述する清浄度を満たす高清浄容器としてから再度使用する工程を有することが好ましく、原料または生成物と接触する容器を使用する工程の全工程において、原料または生成物と接触した後の容器を1回以上洗浄して、後述する清浄度を満たす高清浄容器としてから再度使用することが、さらに好ましい。
【0018】
容器の洗浄方法は、容器内の内容物を排出した後に、容器内の付着物(重合体、単量体等の原料、金属イオン不純物等)を除去できる方法であれば、特に限定されず公知の方法を用いることができる。
有機溶剤を用いた洗浄を1回以上行うことが好ましい。有機溶剤を用いた洗浄方法としては、例えば、有機溶媒を容器に仕込んでから、還流洗浄する方法、攪拌洗浄する方法、振盪洗浄する方法、加熱洗浄する方法、または有機溶媒をノズル等で散布洗浄する方法等が挙げられる。容器内に付着した重合体等を効率よく除去できる観点から、有機溶媒を容器に仕込んでから還流洗浄する方法、または有機溶媒をノズル等で散布洗浄する方法が好ましい。これらの洗浄方法は、組み合わせて行ってもよいし、複数回繰り返し行ってもよい。
【0019】
洗浄に用いる有機溶媒は、容器内に付着した重合体等を効率よく除去できる観点から、SP値18.0〜25.0(MPa1/2)の有機溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メタノール、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、ヒドロキシイソ酪酸ブチル等が好ましい。
さらに、残溶媒管理の観点から、容器の洗浄に用いる有機溶媒が、該容器内で行われる処理に用いられる有機溶媒と同じであることが、より好ましい。
溶媒のSP値は、例えば、「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」、第4版、VII−675頁〜VII−711頁に記載の方法により求めることができ、具体的には、表1(VII−683頁)、表7〜8(VII−688頁〜VII−711頁)に記載されている。また、複数の溶媒の混合溶媒におけるSP値は、公知の方法により求めることができる。例えば、混合溶媒のSP値は、加成性が成立するとして、各溶媒のSP値と体積分率との積の総和として求めることができる。
【0020】
さらに、有機溶媒を用いる洗浄方法で容器内に付着した重合体等を効率よく除去した後、金属イオン不純物等をより良好に除去するために、高極性溶媒で洗浄することが好ましい。
容器内に付着した金属イオン不純物を効率よく除去できる観点から、前記高極性溶媒は、アルコール類や水が好ましく、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、超純水等が好ましい。また、電子材料グレード等の高純度溶媒や超純水を用いることが、金属イオン不純物等の混入防止の点から、特に好ましい。
【0021】
<容器の清浄度確認工程(作業)>
本発明における高清浄容器は、(1)容器に対して10体積%のメタノールで還流した時に、該還流後のメタノール中に存在する金属イオン不純物の濃度が、いずれの金属も10ppb以下である清浄度、または(2)容器に対して10体積%の超純水で還流した時に、該還流後の超純水の電気伝導度が5.0μS/cm以下である清浄度の、少なくとも一方を満たす。
上記清浄度を満たす高清浄容器を用いることにより、容器からの金属イオン不純物の混入を良好に抑えることができ、より高純度な重合体または重合体溶液を、再現性良く製造することができる。
上記(1)、(2)において、容器に対して10体積%とは、容器の容量に対して10体積%であることを意味する。容器の容量とは、容器に表示されている容量またはカタログの容量(メーカー指定の容量)を意味する。
上記(1)、(2)において、還流とは、液体が常に沸騰と凝縮を繰り返している状態のことで、反応容器に冷却器をつないで加熱することで達成される。
なお、上記メタノールまたは超純水の還流は、各々の沸点以上における温度に加温することで実現でき、還流時間は、製造効率および金属イオン不純物の効率的な除去の観点から、15分〜3時間が好ましく、20分〜2時間がより好ましく、30分〜1時間が特に好ましい。
【0022】
本発明において、清浄度確認液(メタノールまたは超純水)、重合体、または重合体溶液中の金属イオン不純物とは、Naイオン、Kイオン、及びFeイオンを意味する。これらの金属イオンは、半導体リソグラフィー用重合体の製造工程において、生成物に比較的多く含まれやすい金属イオンであり、これらの濃度が低ければ、その他の金属イオン不純物の濃度は十分に低いと推測することできる。
上記(1)の清浄度は、これらの金属イオン不純物の全てについて、それぞれの濃度を測定したときに、10ppbを超えるものが無いことを意味する。
上記(1)で用いるメタノールは、清浄度を正確に測定する観点から、純度が99.0質量%以上であることが好ましく、99.5質量%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。また、該メタノール中の金属イオン不純物の含有量として、容器の汚染防止の観点から、Naイオン、Kイオン、及びFeイオンの各金属不純物イオン濃度が、5ppb以下が好ましく、3ppb以下がより好ましく、1ppb以下が特に好ましい。
【0023】
上記(1)において、1回以上洗浄された容器に対して、10体積%のメタノールで還流して還流後のメタノール中の金属イオン不純物濃度を測定する清浄度確認工程(作業)を行った時に、還流後のメタノール中に存在する金属イオン不純物の濃度が、いずれの金属も10ppb以下である場合、該清浄度確認工程の対象とした容器が高い清浄度を有し、付着している金属イオン不純物の量が少ないことを意味する。
上記(2)において、1回以上洗浄された容器に対して、10体積%の超純水で還流して還流後の超純水の電気伝導度を測定する清浄度確認工程を行った時に、還流後の超純水の電気伝導度が5.0μS/cm以下である場合、該清浄度確認工程の対象とした容器が高い清浄度を有し、付着している金属イオン不純物の量が少ないことを意味する。
また、本発明において、前記清浄度確認工程で行う洗浄は、容器の洗浄回数には含めないものとする。
【0024】
前記清浄度確認工程を行ったときに上記(1)または(2)の清浄度を満たす場合、該清浄度確認工程を行った直後の容器を高清浄容器として用いてもよく、さらに追加の洗浄工程を行なった後の容器を高清浄容器として用いてもよく、製造工程及び洗浄工程が一定の条件で行われている場合は、清浄度確認工程を行う直前の容器と同条件で使用及び洗浄された容器を高清浄容器として用いてもよい。
また前記清浄度確認工程を行ったときに、所定の清浄度を満たさなかった場合は、さらに追加の洗浄工程を適宜行った後に、再度清浄度確認工程を行う操作を、所定の清浄度を満たすまで繰り返すことが好ましい。
【0025】
<リソグラフィー用重合体>
本発明のリソグラフィー用重合体は、極性基を有する構成単位を有することが好ましい。
[極性基を有する構成単位]
「極性基」とは、極性を持つ官能基または極性を持つ原子団を有する基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、フッ素原子を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基、エーテル結合を含む基などが挙げられる。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、極性基を有する構成単位として、ラクトン骨格を有する構成単位を有することが好ましく、さらに後述の親水性基を有する構成単位を有することが好ましい。
【0026】
(ラクトン骨格を有する構成単位・単量体)
ラクトン骨格としては、例えば、4〜20員環程度のラクトン骨格が挙げられる。ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に脂肪族または芳香族の炭素環または複素環が縮合していてもよい。
重合体がラクトン骨格を有する構成単位を含む場合、その含有量は、基板等への密着性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、感度及び解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0027】
ラクトン骨格を有する単量体としては、基板等への密着性に優れる点から、置換あるいは無置換のδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、置換あるいは無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、無置換のγ−ブチロラクトン環を有する単量体が特に好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。
【0028】
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、(メタ)アクリル酸パントイルラクトン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、8−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6
]デカン−3−オン、9−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−3−オン等が挙げられる。また、類似構造を持つ単量体として、メタクリロイルオキシこはく酸無水物等も挙げられる。
ラクトン骨格を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
(親水性基を有する構成単位・単量体)
本明細書における「親水性基」とは、−C(CF−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基及びアミノ基の少なくとも1種である。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、親水性基としてヒドロキシ基またはシアノ基を有することが好ましい。
重合体における親水性基を有する構成単位の含有量は、レジストパターン矩形性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
【0030】
親水性基を有する単量体としては、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリ酸エステル;単量体の親水性基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体;環式炭化水素基を有する単量体(例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル等。)が置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性基を有するもの;が挙げられる。
【0031】
親水性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。基板等に対する密着性の点から、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
親水性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
[酸脱離性基を有する構成単位]
本発明のリソグラフィー用重合体がレジスト用途に用いられる場合、上述した極性基を有する構成単位の他に、酸脱離性基を有する構成単位を有することが好ましく、その他に、必要に応じて公知の構成単位をさらに有していてもよい。
「酸脱離性基」とは、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が重合体の主鎖から脱離する基である。
レジスト用組成物において、酸脱離性基を有する構成単位を有する重合体は、酸成分と反応してアルカリ性溶液に可溶となり、レジストパターン形成を可能とする作用を奏する。
酸脱離性基を有する構成単位の割合は、感度及び解像度の点から、重合体を構成する全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0033】
酸脱離性基を有する単量体は、酸脱離性基及び重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
酸脱離性基を有する単量体の具体例として、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有し、かつ酸脱離性基を有している(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。該脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合し
ていてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
該(メタ)アクリル酸エステルには、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、または、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、該脂環式炭化水素基に−COOR基(Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、またはオキセパニル基を表す。)が直接または連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
【0034】
特に、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト組成物を製造する場合には、酸脱離性基を有する単量体の好ましい例として、例えば、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−(1’−アダマンチル)−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、イソプロピルアダマンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸脱離性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本発明におけるリソグラフィー用重合体は、リソグラフィー工程に用いられる重合体であれば、特に限定されずに適用することができる。例えば、レジスト膜の形成に用いられるレジスト用重合体、レジスト膜の上層に形成される反射防止膜(TARC)、またはレジスト膜の下層に形成される反射防止膜(BARC)の形成に用いられる反射防止膜用重合体、ギャップフィル膜の形成に用いられるギャップフィル膜重合体、トップコート膜の形成に用いられるトップコート膜用重合体が挙げられる。
レジスト用重合体の例としては、前記酸脱離性基を有する構成単位の1種以上と、前記極性基を有する構成単位の1種以上とを含む共重合体が挙げられる。
【0036】
反射防止膜用重合体の例としては、吸光性基を有する構成単位と、レジスト膜と混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能なアミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、エポキシ基等の反応性官能基を有する構成単位とを含む共重合体が挙げられる。吸光性基とは、レジスト組成物中の感光成分が感度を有する波長領域の光に対して、高い吸収性能を有する基であり、具体例としては、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、キノキサリン環、チアゾール環等の環構造(任意の置換基を有していてもよい。)を有する基が挙げられる。特に、照射光として、KrFレーザ光が用いられる場合には、アントラセン環又は任意の置換基を有するアントラセン環が好ましく、ArFレーザ光が用いられる場合には、ベンゼン環又は任意の置換基を有するベンゼン環が好ましい。
上記任意の置換基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、又はアミド基等が挙げられる。これらのうち、吸光性基として、保護された又は保護されていないフェノール性水酸基を有するものが、良好な現像性・高解像性の観点から好ましい。上記吸光性基を有する構成単位・単量体として、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
ギャップフィル膜用重合体の例としては、狭いギャップに流れ込むための適度な粘度を有し、レジスト膜や反射防止膜との混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能な反応性官能基を有する構成単位を含む共重合体、具体的にはヒドロキシスチレンと、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の単
量体との共重合体が挙げられる。
液浸リソグラフィーに用いられるトップコート膜用重合体の例としては、カルボキシル基を有する構成単位を含む共重合体、水酸基が置換したフッ素含有基を有する構成単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0038】
<重合体または重合体溶液の製造方法>
本発明のリソグラフィー用重合体または重合体溶液の製造方法は、原料または生成物と接触する容器を用いる工程を有する方法であれば、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
概略、重合容器内で単量体を重合させて重合反応溶液を得る重合工程と、再沈殿容器内で重合反応溶液から重合体を析出させ、さらに濾過容器を用いて析出物(湿粉)を回収する回収工程と、該析出物を乾燥させて、目的の重合体の乾燥粉体を得る方法、または、前記析出物(湿粉)または前記乾燥粉体を、再溶解容器内で良溶媒に溶解させる溶解工程を経て、目的の重合体が溶媒に溶解した重合体溶液を得る方法が好ましい。
【0039】
[重合工程]
重合方法としては溶液重合法を用いる。すなわち、重合溶媒の存在下に重合開始剤を使用して単量体をラジカル重合させて重合反応溶液を得る。
溶液重合法において、単量体及び重合開始剤の重合容器への供給は、連続供給であってもよく、滴下供給であってもよい。溶液重合法としては、製造ロットの違いによる平均分子量、分子量分布等のばらつきが小さく、再現性のある重合体が簡便に得られる点から、単量体及び重合開始剤を重合容器内に滴下する滴下重合法が好ましい。
【0040】
滴下重合法においては、重合容器内を所定の重合温度まで加熱した後、単量体及び重合開始剤を、それぞれ独立に、または任意の組み合わせで、重合容器内に滴下する。
単量体は、単量体のみで滴下してもよく、単量体を重合溶媒に溶解させた単量体溶液として滴下してもよい。
重合溶媒及び/又は単量体をあらかじめ重合容器に仕込んでもよい。
重合開始剤は、単量体に直接に溶解させてもよく、単量体溶液に溶解させてもよく、重合溶媒のみに溶解させてもよい。
単量体及び重合開始剤は、同じ貯槽内で混合した後、重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器に供給する直前で混合し、重合容器中に滴下してもよい。
単量体及び重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
滴下速度は、滴下終了まで一定であってもよく、単量体または重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に変化させてもよい。
滴下は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。
重合温度は、50〜150℃が好ましい。
所定の重合温度で所定時間、重合反応させた後、重合反応を停止させ、重合反応溶液を得る。重合反応を停止させる手法は反応液を冷却させる工程が一般的に用いられるが、ラジカル捕捉剤を投入することによって停止させることもできる。
【0041】
重合溶媒としては、例えば、下記のものが挙げられる。
エーテル類:鎖状エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等。)、環状エーテル(テトラヒドロフラン(以下、「THF」と記す。)、1,4−ジオキサン等。)等。
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記す。)、γ−ブチロラクトン等。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す。)、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と記す。)、シクロヘキサノン等。
アミド類:N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド等。
芳香族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等。
脂肪族炭化水素:ヘキサン等。
脂環式炭化水素:シクロヘキサン等。
重合溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
重合開始剤としては、熱により効率的にラジカルを発生するものが好ましい。例えば、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等。
)、有機過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等。)等が挙げられる。
【0043】
[回収工程]
重合工程で得られた重合反応溶液を貧溶媒と混合して、重合体を析出させ、析出物を得る。この手法は再沈殿法と呼ばれ、重合反応溶液中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等を取り除くために有効である。未反応単量体は、そのまま残存しているとレジスト組成物として用いた場合に感度が低下するため、できるだけ取り除くことが好ましい。本発明の製造方法で得られる重合体中の不純物としての単量体含有量は2.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましく、0.29質量%以下が特に好ましく、0.25質量%以下が最も好ましい。
貧溶媒は、目的の重合体を溶解させる能力が小さくて、該重合体が析出し得る溶媒である。重合体の組成に応じて、公知のものを適宜選択して使用できる。リソグラフィー用重合体に用いられる未反応の単量体、重合開始剤等を効率的に取り除くことができる点で、メタノール、イソプロピルアルコール、ジイソプロピルエーテル、ヘプタン、または水が好ましい。貧溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
回収工程において、好ましくは重合反応溶液を貧溶媒中に滴下して、重合反応溶液中の重合体を析出させる。重合反応溶液を貧溶媒中に滴下する際の貧溶媒の量は、特に限定されないが、未反応単量体をより低減しやすい点で、希釈後溶液と同質量以上が好ましく、質量基準で3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましく、6倍以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、多すぎると後の濾過工程における作業効率が悪くなる。例えば質量基準で10倍以下が好ましい。
【0045】
重合反応溶液を貧溶媒と混合する前に、必要に応じて重合反応溶液を希釈溶媒で適当な溶液粘度に希釈してもよい。希釈溶媒としては、1,4−ジオキサン、アセトン、THF、MEK、MIBK、γ−ブチロラクトン、PGMEA、PGME、乳酸エチル等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
希釈を行う場合、希釈後の重合反応溶液中の溶媒(重合溶媒と希釈溶媒の混合物)の溶解度パラメーター(以下、SP値とも記す。)と、再沈殿に用いられる貧溶媒のSP値の差は、重合体の良好な分散性が得られ、効率的に単量体を除去できる点で、小さい方が好ましい。
【0046】
回収工程において、貧溶媒中で析出した析出物を濾別することにより、目的の重合体が湿粉の状態で得られる。
または、濾別した湿粉を再び貧溶媒に分散させた後に濾別する操作を繰り返して、目的の重合体の析出物を得ることもできる。この工程は、リスラリと呼ばれ、湿粉中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等の不純物をより低減させるために有効である。
重合体を高い生産性を維持したまま取得できる点では、リスラリを行わず、再沈殿法のみで重合体の析出物を回収することが好ましい。
【0047】
[乾燥工程]
回収工程で得られた析出物(湿粉)を乾燥させることにより、目的の重合体の乾燥粉体が得られる。
乾燥方法は、湿粉を、所望の含液率になるように乾燥できればよく、公知の乾燥方法を用いることができる。より短い時間で乾燥できる点で、乾燥雰囲気下で減圧する減圧乾燥法、乾燥雰囲気下で加熱する加熱乾燥法、または乾燥雰囲気下で減圧及び加熱を行う減圧加熱乾燥法が好ましい。
乾燥工程で得られる乾燥粉体は、リソグラフィー性能の観点から、乾燥粉体中の含液率は、5質量%以下が好ましく、3%質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
【0048】
[溶解工程]
回収工程で得られた析出物(湿粉)、または乾燥工程で得られた乾燥粉体を、良溶媒に溶解させる。これにより目的の重合体が良溶媒に溶解された重合体溶液が得られる。
良溶媒は、目的の重合体を溶解させることができる公知の溶媒を用いることができ、上記に重合溶媒として挙げた溶媒を用いることができる。目的の重合体をレジスト組成物の製造に用いる場合、該レジスト組成物におけるレジスト溶媒と同じ溶媒を、溶解工程における良溶媒として使用することが好ましい。
【0049】
[濃縮工程]
前記溶解工程で得られた溶液を、濃縮容器を用いて濃縮し、目的の重合体が良溶媒に溶解された濃縮液としてもよい。濃縮を行うことで、残留する低沸点化合物を除去することができる。
公知の濃縮方法を用いることができる。短い時間で濃縮できる点で減圧濃縮することが好ましい。減圧濃縮を行う場合の減圧度は、50kPa以下が好ましく、40kPa以下がより好ましく、30kPa以下がさらに好ましい。該減圧度の下限値は特に限定されな
いが、現実的には0.05kPa以上である。
また、減圧濃縮中に加熱することも短い時間で濃縮できる点で好ましい。加熱温度としては20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。また、重合体の熱劣化を防ぐ点で加熱温度は100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
濃縮中は突沸を防ぐ点で攪拌しながら行うのが好ましい。また、圧力制御ができ、熱伝導性に優れ反応温度制御が容易になる点で、濃縮容器として耐圧製金属容器内で濃縮することが好ましい。金属としては耐食性が高く重合体への金属イオン不純物の混入が低減できる点でステンレス鋼(以下SUSとも言う)が好ましい。
【0050】
[濾過工程]
前記溶解工程で得られた溶液、または前記濃縮工程で得られた濃縮液を必要に応じて濾過してもよい。これにより重合体のゲル物や異物が低減された重合体溶液を得ることができる。
濾過フィルター前後の圧力損失を低く抑えたまま、短時間で濾過できる点では、濃縮工程の前に、記溶解工程で得られた溶液を濾過することが好ましい。
最終製品に混入する恐れのある重合体のゲル物や異物を効率的に低減できる点では、濃縮工程の後に、得られた濃縮液を濾過することが好ましい。
前記溶解工程で得られた溶液と前記濃縮液の両方を濾過してもよい。すなわち溶解工程で得られた溶液を濾過した後、得られた濾液を前記濃縮工程に供して濃縮し、得られた濃縮液を、さらに濾過してもよい。
【0051】
<半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液>
本発明の半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液の製造方法によれば、重合体中に存在する金属イオン不純物の濃度、または重合体溶液中に存在する金属イオン不純物の濃度が、いずれの金属についても20ppb以下である、高純度の半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液を得ることができる。
重合体中の該各金属イオン不純物濃度は、好ましくは15ppb以下であり、10ppb以下がより好ましい。
重合体溶液中の該各金属イオン不純物濃度は、好ましくは15ppb以下であり、10ppb以下がより好ましく、5ppb以下が特に好ましい。
重合体溶液中の溶媒は前記良溶媒が好ましい。
【実施例】
【0052】
以下の実施例及び比較例は、本発明を用いて重合体または重合体溶液を製造した例である。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に利用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈されるべきものではない。また、特に断りがない場合、全ての部及び百分率は重量に基づく値である。
【0053】
下記実施例及び比較例において得られた重合体の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:東ソー製HLC8220GPC)により、ポリスチレン換算で求めた(測定条件:乾粉20mg/溶離液5mL、溶離液:THF)。
また、清浄度確認液(メタノールまたは超純水)、重合体、または重合体溶液を高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS−Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer:Agilent Technologies製7500cs)により金属分析し、Na、K、およびFeの各金属について、金属イオン不純物濃度を求めた。
また、電気伝導度は、電気伝導度計((株)堀場製作所製、カスタニーACT導電率メーターES−14(商品名))を用いて求めた。
【0054】
[実施例1]
容器(重合容器(重合釜)、再沈殿容器、濾過容器、再溶解容器)を、各容器に対して10体積%のメチルエチルケトン/メタノール混合物(質量比1/1)で還流洗浄を2回実施し、その後、容器に対して10体積%のメタノール(純度:99.99質量%、金属イオン(Na、K,Fe)不純物濃度:各1ppb以下。以下同様。)で還流(1時間)した後の、該メタノール(清浄度確認液)の金属分析をした結果を表1に示す。
次に、この容器を用いて、下記手順にて共重合体Aを合成した。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、及び温度計を備えた重合容器に、窒素雰囲気下で、PGME(Propylene Glycol Monomethyl Ether)を56.5部供給し、重合容器の内温を80℃に上げた。
その後、下記の単量体m−1、m−2、m−3の混合物、溶媒、及び重合開始剤を含む滴下溶液を4時間かけて一定の滴下速度で重合容器内に滴下し、さらに内温80℃で3時間保持した。
滴下溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させ、重合反応溶液を得た。
単量体m−1(下記式m−1):18.7部(24.4モル%)、
単量体m−2(下記式m−2):18.7部(23.5モル%)、
単量体m−3(下記式m−3):30.5部(52.1モル%)、
PGME:101.7部、
2,2’-アゾビス(2−メチルプロピオニトリル):3.7部
【0055】
【化1】

【0056】
次いで、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、及び温度計を備えた再沈殿容器に、ジイソプロピルエーテル(以下、IPEと表記する。)を1047部供給し、当該容器内を攪拌しながら、当該容器の内温を25℃に調整し、前記重合反応溶液を重合容器から2時間かけて一定の滴下速度で再沈殿容器内に滴下し、再沈殿した。
重合反応溶液の滴下終了後、当該容器内の再沈殿スラリーを、濾過容器に供給し、濾過し、濾別した固形物(重合体湿粉)を乾燥した。
得られた共重合体A(重合体乾粉)を、再溶解容器中で、20質量%の濃度なるようにPGMEに溶解し、濃度20質量%の重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液中の各金属イオン不純物の濃度を表1に合わせて示す。
【0057】
[比較例1]
容器(重合容器、再沈殿容器、濾過容器、再溶解容器)を、容器に対して10体積%のメチルエチルケトン/メタノール(質量比1/1)で還流洗浄を1回のみ実施した以外は、実施例1と同様に実施した。
各容器を還流(1時間)したメタノール(清浄度確認液)中の金属イオン不純物濃度及び得られた重合体溶液中の金属イオン不純物濃度を表1に示す。
【0058】
[実施例2]
容器(重合容器、再沈殿容器、濾過容器)を、各容器に対して10体積%のメチルエチルケトン/メタノール混合物(質量比1/1)で還流洗浄を3回実施した。その後、容器に対して10体積%のメタノールで還流(1時間)した後の、該メタノール(清浄度確認液)の金属分析をした結果を表1に示す。
次に、この容器を用いて、下記手順にて、共重合体Bを合成した。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、及び温度計を備えた重合容器に、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを64.5部供給し、内温を80℃に上げた。
その後、下記の単量体m−4、m−5、m−6の混合物、溶媒、及び重合開始剤を含む滴下溶液を4時間かけて一定の滴下速度で重合容器内に滴下し、さらに内温80℃で3時間保持した。
滴下溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させ、重合反応溶液を得た。
単量体m−4(下記式m−4):27.20部(240.0モル%)
単量体m−5(下記式m−5):31.36部(40.0モル%)
単量体m−6(下記式m−6):18.88部(20.0モル%)
乳酸エチル:112.6部
ジメチル−2,2’−アゾイソブチレート:2.576部
【0059】
【化2】

【0060】
次いで、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、及び温度計を備えた再沈殿容器に、重合反応溶液に対して約10倍量のメタノール及び水の混合溶媒(メタノール/水=80/20質量比)を供給し、当該容器内を攪拌しながら、当該容器の内温を25℃に調整し、前記重合反応溶液を重合容器から2時間かけて一定の滴下速度で再沈殿容器内に滴下し、再沈殿した。
重合反応溶液の滴下終了後、当該容器内の再沈殿スラリーを、濾過容器に供給し、濾過し、濾別した固形物(重合体湿粉)を含液率が1.0質量%以下となるように乾燥した。
得られた重合体中の金属イオン不純物濃度を表1に合わせて示す。
【0061】
[比較例2]
容器(重合容器、再沈殿容器、濾過容器)を、各容器に対して10体積%のメチルエチルケトン/メタノール混合物(質量比1/1)で還流洗浄を1回のみ実施した以外は、実施例2と同様に実施した。
各容器を還流(1時間)したメタノール(清浄度確認液)中の金属イオン不純物濃度及び得られた重合体中の金属イオン不純物濃度を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
[実施例3]
容器(重合容器、再沈殿容器、濾過容器、再溶解容器)を、各容器に対して10体積%のテトラヒドロフラン(THF)で還流洗浄を2回実施した。その後、容器に対して10体積%の超純水で還流(1時間)した後の、該超純水(清浄度確認液)の電気伝導度を測定した。結果を表2に示す。
当該容器を用いて、実施例1と同様に共重合体Aを合成した。
各容器を還流した超純水の電気伝導度及び得られた重合体溶液中の金属イオン不純物濃度を表2に示す。
【0064】
[比較例3]
容器(重合容器、再沈殿容器、濾過容器、再溶解容器)を、各容器に対して10体積%のテトラヒドロフラン(THF)で還流洗浄を1回のみ実施した以外は、実施例3と同様に実施した。
各容器を還流(1時間)した超純水(清浄度確認液)の電気伝導度及び得られた重合体溶液中の金属イオン不純物濃度を表2に示す。
【0065】
[実施例4]
容器(重合容器、再沈殿容器、濾過容器)を、各容器に対して10体積%のテトラヒドロフラン(THF)で還流洗浄を3回実施した。その後、容器に対して10体積%の超純水で還流した超純水(清浄度確認液)の電気伝導度を測定した結果を表2に示す。
当該容器を用いて、実施例2と同様に共重合体Bを合成した。
各容器を還流(1時間)した超純水(清浄度確認液)の電気伝導度及び得られた重合体中の金属イオン不純物濃度を表2に示す。
【0066】
[比較例4]
容器(重合容器、再沈殿容器、濾過容器)を容器に対して10体積%のテトラヒドロフラン(THF)で還流洗浄を1回のみ実施した以外は、実施例4と同様に実施した。
各容器を還流(1時間)した超純水(清浄度確認液)の電気伝導度及び得られた重合体中の金属イオン不純物濃度を表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
表1の通り、容器に対して10体積%のメタノールで還流した時に、当該メタノール(清浄度確認液)中の金属イオン不純物濃度が10ppb以下になるように、洗浄した容器を用いた実施例1及び2は、得られた重合体溶液中または重合体中に含まれる金属イオン不純物濃度も各々20ppb以下となり、純度が高かった。
一方、当該メタノール(清浄度確認液)中の金属イオン不純物濃度が各々10ppbより多い、洗浄が不十分な容器を用いた比較例1及び2は、得られた重合体溶液中または重合体中に含まれる金属イオン不純物濃度も各々20ppbより多くなり、純度が低かった。
【0069】
表2の通り、容器に対して10体積%の超純水で還流した時に、当該超純水(清浄度確認液)の電気伝導度が5.0μS/cm以下になるように、洗浄した容器を用いた実施例3及び4は、得られた重合体溶液中または重合体中に含まれる金属イオン不純物濃度も各々20ppb以下となり、純度が高かった。
一方、当該超純水(清浄度確認液)の電気伝導度が5.0μS/cmより大きい、洗浄が不十分な容器を用いた比較例3及び4は、得られた重合体溶液中または重合体中に含まれる金属イオン不純物濃度も各々20ppbより多くなり、純度が低かった。
【0070】
以上より、本発明の方法を用いることで、金属イオン不純物濃度が極めて少ない、高純度な半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体リソグラフィー用重合体、または該重合体を含む重合体溶液の製造方法において、
原料または生成物と接触する容器として、該容器に対して10体積%のメタノールで還流した時に、該還流後のメタノール中の各金属イオン不純物濃度が10ppb以下である容器を用いる工程を有する、半導体リソグラフィー用重合体または該重合体を含む重合体溶液の製造方法。
【請求項2】
半導体リソグラフィー用重合体、または該重合体を含む重合体溶液の製造方法において、
原料または生成物と接触する容器として、該容器に対して10体積%の超純水で還流した時に、該還流後の超純水の電気伝導度が5.0μS/cm以下である容器を用いる工程を有する、半導体リソグラフィー用重合体または該重合体を含む重合体溶液の製造方法。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の製造方法で得られた重合体または重合体溶液であって、該重合体中に存在する金属イオン不純物の濃度、または該重合体溶液中に存在する金属イオン不純物の濃度が、いずれの金属についても20ppb以下である、半導体リソグラフィー用重合体または重合体溶液。

【公開番号】特開2013−112705(P2013−112705A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257916(P2011−257916)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】