説明

半導体レーザ素子および半導体レーザジャイロ

【課題】全反射モードでのレーザ光の励起が可能であり、且つ、共振器からのレーザ光の取り出しが容易な半導体レーザ素子、およびそれを用いた半導体レーザジャイロを提供する。
【解決手段】本発明の半導体レーザ素子は、共振器30を備える半導体レーザ素子であって、共振器30の端面において全反射され多角形の周回光路40を互いに逆方向に周回する第1および第2のレーザ光L1およびL2を励起する。周回光路40の途中には、共振器の実効屈折率とは異なる屈折率を有するエアギャップ41a〜41dが形成されている。第1および第2のレーザ光L1およびL2の一部は、エアギャップ41a〜41dで反射されて出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ素子および半導体レーザジャイロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、環状の共振器を備える半導体レーザ素子を用いた光ジャイロが提案されている(たとえば特許文献1)。ジャイロが回転すると、環状の共振器を互いに逆方向に周回する2つのレーザ光の周波数に差が生じるため(sagnac効果)、その差を検出することによってジャイロの回転を検出できる。2つのレーザ光の周波数差Δfは、以下の式で表される。
【0003】
【数1】

【0004】
式中、Lは共振器の周長であり、Aは共振器内の面積であり、λはレーザ光の波長であり、nは光路の屈折率であり、Ωは回転角速度である。
【特許文献1】特開2000−230831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のジャイロで用いられている半導体レーザ素子では、共振器内で周回するレーザ光が反射される端面から、レーザ光の一部が取り出されていた。レーザ光の発振の閾値を低くするためには、共振器の端面においてレーザ光が全反射されることが好ましい。しかし、端面においてレーザ光が全反射されるようにすると、端面からレーザ光を出射させることができなくなるという問題がある。したがって、従来の半導体レーザ素子には、全反射モードのレーザ光の励起と、レーザ光の充分な取り出しとを両立することが難しいという課題があった。
【0006】
このような状況において、本発明は、全反射モードでのレーザ光の励起が可能であり、且つ、共振器からのレーザ光の取り出しが容易な半導体レーザ素子を提供することを目的の1つとする。また、本発明は、その半導体レーザ素子を用いた半導体レーザジャイロを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために検討した結果、本件発明者らは、全く新しい構造によって、全反射モードのレーザ光の励起と、レーザ光の取り出しとを両立できることを見出した。本件発明はこの新たな知見に基づくものである。
【0008】
すなわち、本発明の半導体レーザ素子は、多層膜で構成された共振器を備える半導体レーザ素子であって、前記半導体レーザ素子は、前記共振器の端面において全反射され多角形の光路を互いに逆方向に周回する第1および第2のレーザ光を励起し、前記光路の途中には、前記共振器の実効屈折率とは異なる屈折率を有する少なくとも1つのギャップが形成されており、前記第1および第2のレーザ光から選ばれる少なくとも1つの光の一部が、前記ギャップで反射されて出射される。
【0009】
また、本発明の半導体レーザジャイロは、半導体レーザ素子と観測手段とを含む半導体レーザジャイロであって、前記半導体レーザ素子は多層膜で構成された共振器を備え、前記半導体レーザ素子は、前記共振器の端面において全反射され多角形の光路を互いに逆方向に周回する第1および第2のレーザ光を励起し、前記光路の途中には、前記共振器の実効屈折率とは異なる屈折率を有する第1および第2のギャップが形成されており、前記第1のレーザ光の一部は前記第1のギャップで反射されて前記半導体レーザ素子から出射され、前記第2のレーザ光の一部は前記第2のギャップで反射されて前記半導体レーザ素子から出射され、前記観測手段は、前記半導体レーザ素子から出射された前記第1および第2のレーザ光を受光する少なくとも1つの受光素子を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、全反射モードでのレーザ光の励起が可能であり、且つ、共振器からのレーザ光の取り出しが容易な半導体レーザ素子が得られる。また、本発明によれば、その半導体レーザ素子を用いたジャイロが得られる。本発明の半導体レーザ素子はジャイロに用いるのに充分なレーザ光を出射するため、本発明の半導体レーザ素子を用いることによって、特性が高いジャイロが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について例を挙げて説明する。ただし、本発明は以下で述べる例には限定されない。以下の説明において特定の材料や特定の数値を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の材料や他の数値を適用してもよい。
【0012】
[半導体レーザ素子]
本発明の半導体レーザ素子は、多層膜で構成された共振器を備える。この半導体レーザ素子は、共振器の端面において全反射され多角形の(辺上の)光路を互いに逆方向に周回する第1および第2のレーザ光L1およびL2を励起する。以下、この多角形の光路を「周回光路」という場合がある。周回光路の途中には、共振器の実効屈折率とは異なる屈折率を有する少なくとも1つのギャップが形成されている。そして、第1および第2のレーザ光L1およびL2から選ばれる少なくとも1つの光の一部は、ギャップで反射されて出射される。レーザ光は、多層膜(共振器)の端面から出射される。
【0013】
一例の共振器は、活性層と、その上下に配置された2つのクラッド層とによって構成される。なお、共振器の一部は、活性層ではない光ガイド層(コア層)とその上下に配置された2つのクラッド層とによって構成されてもよい。クラッド層は、活性層および光ガイド層よりも屈折率が低い材料からなる。共振器は、ギャップの部分を除いて、レーザ光L1およびL2の多角形の光路を内包する平面形状を有する。共振器の好ましい一例は、環状ではなく、面状の共振器である。ただし、共振器は、細い導波路によって構成された環状の共振器であってもよい。
【0014】
共振器は、レーザ光L1およびL2が共振器の端面(以下、「端面ミラー」という場合がある)において全反射されるように設計される。すなわち、レーザ光L1およびL2は、多角形の周回光路のすべての頂点において全反射される。全反射の条件は、スネルの式から簡単に求められる。なお、レーザ光L1およびL2が一部の端面ミラーにおいて全反射しない場合であってもレーザ光を出射させることは可能であるが、その場合には充分な光を出射させることができない場合がある。
【0015】
共振器を構成する多層膜は、通常、半導体層で形成され、たとえばIII−V族化合物半導体で形成される。
【0016】
周回光路を周回するレーザ光L1およびL2を励起するため、半導体レーザ素子は、周回光路に沿って電流を注入するための構造を有する。たとえば、半導体レーザ素子は、(a)周回光路に沿って電流を注入するための電流狭窄層(絶縁層)、(b)周回光路に沿って形成されたコンタクト層(高ドープ層)、および(c)周回光路に沿って形成されたコンタクト領域から選ばれる少なくとも1つを備える。レーザ光L1およびL2を励起できる限り、電流は周回光路の全体に注入されてもよいし、周回光路の一部のみに注入されてもよい。レーザ光L1およびL2を励起するためには、通常、周回光路の50%以上(長さ比)の領域に電流が注入され、好ましくは90%以上の領域に電流が注入される。
【0017】
ギャップの屈折率は、共振器の実効屈折率よりも大きいかまたは小さいが、通常は共振器の実効屈折率よりも小さい。典型的な一例では、ギャップは、光路に対して垂直に近い角度で配置された平板状の物質からなる。その物質の一例は、空気である。すなわち、ギャップは、空気からなるものであってもよい。ギャップが空気である場合、別の見方によれば、ギャップは、周回光路に対して垂直に近い角度で形成された溝である。空気以外の例としては、たとえば、合成樹脂や無機物質(たとえば反射防止膜の材料として用いられる無機物質)が挙げられる。ギャップの表面に対する周回光路の入射角α(図6参照)は、たとえば1°〜17°の範囲にあり、一例では、3°〜10°の範囲にある。
【0018】
周回光路は、共振器の端面におけるレーザ光の全反射条件を満足する限り、三角形でもよいし、四角形でもよいし、それらより多くの辺を有する多角形であってもよい。好ましい一例は、正方形または菱形である。なお、周回光路はギャップの部分でごくわずかだけ曲折するため、実質的には三角形や四角形の周回光路であっても、微視的には、三角形や四角形ではない。しかし、その曲折はごくわずかであるため、この明細書では、周回光路の形状について述べる場合、ギャップでの曲折を無視する場合がある。
【0019】
本発明の半導体レーザ素子は、ギャップで反射されて素子から出力されるレーザ光を、多層膜(共振器)内で増幅するための電流注入手段を備えてもよい。電流注入手段は、電流を注入するための電極および半導体層を含む。電流注入手段の典型的な一例は、レーザ光L1およびL2を励起するための電流注入手段と同じ構造を有する。
【0020】
本発明の半導体レーザ素子の一例は、後述するレーザジャイロに用いることができる。この一例の半導体レーザ素子は、第1および第2のギャップを含む。そして、第1のレーザ光L1のうち第1のギャップで反射された光と、第2のレーザ光L2のうち第2のギャップで反射された光とが、半導体レーザ素子から出射される。
【0021】
なお、ギャップの数は、3つ以上であってもよい。たとえば、多角形の光路の各辺に、1つずつギャップが形成されていてもよい。ギャップの数を増やすことによって、出射されるレーザ光の数を増やすことができる。
【0022】
[半導体レーザジャイロ]
以下、本発明の半導体レーザジャイロ(ジャイロ素子)について説明する。なお、本発明の半導体レーザ素子について述べた事項については、本発明のジャイロで用いられる半導体レーザ素子に適用できる。逆に、本発明のジャイロで用いられる半導体レーザ素子について述べた事項については、本発明の半導体レーザ素子に適用できる。
【0023】
本発明のジャイロは、上述した一例の半導体レーザ素子と、観測手段とを含む。観測手段は、半導体レーザ素子から出射される第1および第2のレーザ光の周波数差を検出するための手段である。観測手段は、半導体レーザ素子から出射された第1および第2のレーザ光を受光する少なくとも1つの受光素子を含む。
【0024】
受光素子には、たとえば、フォトダイオードやフォトトランジスタを用いることができる。観測手段は、出射された第1のレーザ光を観測する第1の受光素子と、出射される第2のレーザ光を観測する第2の受光素子とを含んでもよい。
【0025】
また、観測手段は、半導体レーザ素子から出射された第1のレーザ光と、半導体レーザ素子から出射された第2のレーザ光とによって形成された干渉縞を観測してもよい。この場合、1つの受光素子を用いて干渉縞を観測することによって、干渉縞の移動速度を求めることができる。また、2つの受光素子を用いて干渉縞を観測することによって、干渉縞の移動速度および移動方向を求めることができる。干渉縞の移動速度から、ジャイロの回転角速度を求めることが可能である。また、干渉縞の移動方向から、ジャイロの回転方向を求めることが可能である。
【0026】
ジャイロが回転している場合、サニャック効果によって、周回光路を周回するレーザ光L1とレーザ光L2との間に回転角速度に応じた周波数差が生じる。したがって、受光素子の出力信号からこの周波数差を検出することによって、回転角速度を求めることが可能である。受光素子は、たとえば、パルスカウンタなどの外部機器に接続され、その出力信号が処理・解析される。
【0027】
本発明のジャイロでは、第1および第2のギャップは、空気からなるものであってもよい。空気の屈折率と半導体の屈折率との差は比較的大きいため、空気からなるギャップを用いることによって、出射されるレーザ光の出力を大きくできる。
【0028】
本発明のジャイロでは、共振器は、環状であってもよいし、環状ではなく面状に広がっていてもよい。一例では、面状に広がる共振器の面積は、2×103μm2〜2×107μm2(μm×μm)の範囲にある。また、一例では、周回光路の内側の面積は、2×103μm2〜2×107μm2の範囲にある。理論上は、周回光路の内側の面積が大きいほど、回転角速度を精度よく求めることが可能になる。
【0029】
半導体レーザ素子は、第1のギャップで反射された第1のレーザ光L1と、第2のギャップで反射された第2のレーザ光L2とを、多層膜内(共振器内)で増幅するための電流注入手段を備えてもよい。この構成によれば、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光の強度を高めることができる。
【0030】
本発明のジャイロでは、第1および第2のギャップは、それぞれ、周回光路(多角形)の辺のうち周回光路(多角形)の1つの頂点に隣接する第1および第2の辺に形成されていてもよい。この場合、第1のギャップで反射された第1のレーザ光を、その頂点近傍の多層膜の端面から出射させることができる。また、第2のギャップで反射された前記第2のレーザ光を、その頂点近傍の多層膜の端面から出射させることができる。出射される第1のレーザ光と、出射される第2のレーザ光とがなす角度は、0°より大きく20°以下であってもよい。また、第1のレーザ光の出射位置と第2のレーザ光の出射位置との距離は、400μm以下であってもよい。両者がなす角度および両者の出射位置の距離を小さくすることによって、プリズムなどを用いることなく両者の周波数差に対応する干渉縞を発生させることが可能になる。
【0031】
本発明の半導体レーザ素子およびジャイロの製造方法に特に限定はない。本発明の半導体レーザ素子およびジャイロは、半導体素子製造プロセスで一般的に用いられる技術を用いて製造することが可能である。
【0032】
[半導体レーザ素子の一例]
本発明の半導体レーザ素子の一例の斜視図を図1に示す。図1を参照して、半導体レーザ素子10は、基板11と、基板11上に形成された多層膜20とを含む。多層膜20上には、絶縁層25および上側電極26が形成されている。また、基板11の裏面には、下側電極12が形成されている。
【0033】
多層膜20の平面形状を図2(a)に示す。多層膜20は、ほぼ正方形の第1の領域20aに、野球のベース状の形状を有する4つの第2の領域20bを接続した平面形状を有する。第2の領域20bは、不要なモードのレーザ光の励起を抑制するとともに、迷光を吸収するための領域である。なお、図2(a)に示す第2の領域20bの形状は一例であり、不要なモードのレーザ光の励起を抑制できる限り、その形状に限定はない。
【0034】
多層膜20によって構成される共振器30内を周回するレーザ光L1およびL2の周回光路40の形状を図2(b)に示す。周回光路40は、4つの頂点40a〜40dを結ぶ環状の光路であり、ほぼ正方形の形状を有する。頂点40a〜40dは、共振器30の4つの端面(端面ミラー)30a〜30dの部分にある。すなわち、レーザ光L1およびL2は、端面30a〜30dで全反射されて周回光路40上を周回する。
【0035】
レーザ光の光路を図3に示す。レーザ光L1は、周回光路40を時計回りに周回する。レーザ光L2は、周回光路40を反時計回りに周回する。周回光路40の4つの辺の中央部には、周回光路40を横切るように、エアギャップ41a〜41dが形成されている。この一例では、エアギャップ41a〜41dはすべて同じ形状であり、それらの表面と周回光路40とがなす角度はすべて同じである。第1および第2のレーザ光L1およびL2の一部はエアギャップ41a〜41dで反射され、第1および第2のレーザ光L1’およびL2’として多層膜20の端面から出射される。図3の線IVaの部分における、半導体レーザ素子10の断面図を図4(a)に示す。
【0036】
図4(a)を参照して、半導体レーザ素子10は、基板11と、基板11上に形成された多層膜20と、基板11の裏面に形成された下側電極12とを含む。多層膜20は、基板11側から順に積層された、下側クラッド層21、活性層22および上側クラッド層23を含む。半導体レーザ素子10は、さらに、上側クラッド層23上に形成された、キャップ層24、絶縁層25および上側電極26を含む。キャップ層24と上側電極26とは、絶縁層25の開口部25hの部分で接触している。キャップ層24と上側電極26とが接触している領域が、コンタクト領域31である。図4(a)に示すように、周回光路40の部分と、ギャップ41aで反射されたレーザ光L1’の光路の部分とは、同じ積層構造を有する。このため、レーザ光L1’も共振器内で増幅される。
【0037】
活性層22には、下側電極12および上側電極26から、電流が注入される。電流の注入によって発生した光は、下側クラッド層21、活性層22および上側クラッド層23で構成される共振器30内に閉じ込められる。電流が閾値を超えると、レーザ発振が生じる。
【0038】
なお、多層膜20は、バッファ層などの層の上に形成されていてもよい。また、多層膜20は、必要に応じて他の層(たとえばキャリアの閉じ込め層など)を含んでもよい。活性層とクラッド層との間に他の層(たとえばSCH層)が配置されている場合には、それらの他の層も共振器を構成する層の1つとなる。好ましい一例では、共振器を構成するすべての層は、同じ平面形状を有する。
【0039】
図3の線IVbの部分における断面図を図4(b)に示す。エアギャップ41bは、少なくとも活性層22の下面よりも深くなるように形成され、好ましくは下側クラッド層21の下面に到達する深さまたはそれよりも深くなるように形成される。エアギャップ41bは溝状であり、その内部には空気が存在する。
【0040】
コンタクト領域31の形状を図5に示す。コンタクト領域31は、周回光路40に沿って形成されている。コンタクト領域31の幅Wは、一定である。コンタクト領域31から電流を注入することによって、コンタクト領域31に沿った周回光路40を時計回りに周回するレーザ光L1と、周回光路40を反時計回りに周回するレーザ光L2とが励起される。なお、以下の説明では、頂点40aと頂点40cとを結ぶ方向をX軸方向と呼び、頂点40bと頂点40dとを結ぶ方向をY軸方向と呼ぶ場合がある。
【0041】
また、コンタクト領域31は、エアギャップで反射されたレーザ光L1’およびL2’が通過する光路上にも形成されている。その部分のコンタクト領域31によって、レーザ光L1’およびL2’が増幅される。
【0042】
エアギャップ41aおよび41dは、周回光路40の4つの辺のうち頂点40aに隣接した2つの辺の途中に形成されている。エアギャップ41aで反射されたレーザ光L1’は、頂点40a近傍の端面から出射される。また、エアギャップ41dで反射されたレーザ光L2’は、頂点40a近傍の端面から出射される。同様に、頂点40c近傍の端面からも、レーザ光L1’およびL2’が出射される。
【0043】
半導体レーザ素子10は、頂点40aおよび40cを通り活性層22の表面に垂直な面に対して、面対称の構造を有する。また、半導体レーザ素子10は、頂点40bおよび40dを通り活性層22の表面に垂直な面に対して、面対称の構造を有する。ただし、本発明の効果が得られる限り、半導体レーザ素子は、それらの面対称の構造を有さなくてもよい。
【0044】
図3の領域Aの拡大図を図6に示す。なお、図6では、周回光路40上を伝播するレーザ光としてレーザ光L1のみを示し、レーザ光L2の図示を省略する。
【0045】
図6を参照して、エアギャップ41aは、対向する2つの側壁が平行になるように形成された溝である。その溝内には、空気が存在する。好ましい一例では、エアギャップの側壁41sは、活性層22の表面に対して垂直に形成される。
【0046】
エアギャップ41aの幅は、図6のdで表される。エアギャップ41aの表面(側壁41s)と周回光路40とがなす角度は、[90°−α]である。すなわち、レーザ光L1は、エアギャップ41aの表面に対して入射角αで入射する。多層膜20(共振器30)とエアギャップ41aとの界面において、レーザ光L1の一部は反射され、レーザ光L1’となる。その他のレーザ光L1は、多層膜20とエアギャップ41との界面において屈折しながら進行する。エアギャップ41aを通過する前のレーザ光L1と、反射されたレーザ光L1’とがなす角度は、2αである。
【0047】
エアギャップ41aを通過する前と通過した後の周回光路40のずれは、Y軸方向の成分でΔLである。エアギャップ41aの前後において周回光路40はわずかにずれるため、周回光路40は厳密には正方形ではない。しかし、エアギャップ41a前後における周回光路40のずれは非常にわずかであるため、周回光路40は実質的に正方形である。周回光路40は、エアギャップ41b〜41dにおいても、Y軸方向の成分でΔLだけずれている。したがって、周回光路40のY軸方向の長さは、X軸方向の長さよりも2ΔLだけ長い。
【0048】
図3の領域Bの拡大図を図7に示す。周回光路40の1つの頂点40aでは、共振器30の端面30aによって、レーザ光L1およびL2が反射される。共振器30の端面30aは、外側に凸の曲面となっている。好ましい一例では、端面30aは、仮想の円柱の曲面の一部と同じ形状を有する。その仮想の円柱は、頂点40aと頂点40cとを結ぶ対角線40acの延長線上を通る中心軸であって、活性層22の表面に対して垂直な中心軸を有する。端面30b〜30dも、端面30aと同様の形状を有する。端面30a〜30dを外側に向かって凸の曲面とすることによって、周回光路40を周回するレーザ光を安定に励起できる。
【0049】
端面30aに対して、レーザ光L1およびL2は、ほぼ45°の入射角で入射する。後述する一例のように、共振器をIII−V族化合物半導体で形成した場合、その実効屈折率はたとえば3.3である。その場合、全反射が生じる臨界入射角度は、約17.6°である。そのため、レーザ光L1およびL2は、端面30aにおいて全反射される。同様に、他の端面30b〜30dにおいても、レーザ光L1およびL2は、全反射される。
【0050】
頂点40aの近傍には、エアギャップ41aで反射されたレーザ光L1’と、エアギャップ41dで反射されたレーザ光L2’とが到達し、多層膜20(共振器30)の端面から出射される。レーザ光L1’が出射される端面20sとY軸方向とがなす角度は、角度φである。同様に、レーザ光L2’が出射される端面とY軸方向とがなす角度は、角度φである。
【0051】
端面20sに入射するレーザ光L1’の入射角βは、以下の式で表される。
β=3π/4+2α−φ
式中、π=180°である。αは、図6で示される角度αである。
【0052】
端面20sから出射されるレーザ光L1’の出射角γは、以下の式で表される。
γ=sin-1[neffsin(3π/4+2α−φ)]
式中、neffは、共振器の実効屈折率を示す。
【0053】
したがって、レーザ光L1’の出射方向とX軸とがなす角度θは、以下の式で表される。
θ=π−φ−sin-1[neffsin(3π/4+2α−φ)]
【0054】
上記式から明らかなように、レーザ光L1’の出射方向は、角度αおよび角度φによって変更できる。そのため、半導体レーザ素子10では、レーザ光が出射される端面の角度およびエアギャップの角度を変更することによって、レーザ光の出射方向を制御できる。
【0055】
半導体レーザ素子10を用いたジャイロの一例について、構成要素の配置を図8に模式的に示す。図8の一例のジャイロは、フォトダイオード81および82を含む。フォトダイオード81および82は、レーザ光L1’およびレーザ光L2’によって形成される干渉縞83を受光できる位置に配置される。図8の例では、フォトダイオード81および82は、頂点40aと頂点40cとを結ぶ対角線の延長線上またはその近傍に配置されている。フォトダイオード81は、フォトダイオード82に対してY軸方向にずれた位置に配置される。レーザ光L1’およびL2’によって形成される干渉縞83の移動方向を検出するため、フォトダイオード81とフォトダイオード82との間隔は、干渉縞83の周期の整数倍とは異なる長さとされる。
【0056】
出射されるレーザ光の角度θを適正な値にした状態でレーザ光L1’とレーザ光L2’とを重ねた場合、両者は干渉する。サニャック効果によってレーザ光L1の周波数(=レーザ光L1’の周波数)とレーザ光L2の周波数(=レーザ光L2’の周波数)との間に差が生じたときに両者を重ねると、周波数差に対応した干渉縞83が生じる。この干渉縞83をフォトダイオード81および82で観測することによって、回転角速度および回転方向を求めることができる。なお、光学素子(たとえばプリズム)を用いてレーザ光L1’とレーザ光L2’とを重ね合わせてもよい。出射されたレーザ光を光学素子を用いて重ね合わせる場合、互いに離れた箇所(たとえば頂点40a近傍と頂点40c近傍)から出射されたレーザ光L1’およびL2’を重ね合わせることも可能である。
【0057】
半導体レーザ素子10では、頂点40aの近傍から2つのレーザ光が出射され、頂点40cの近傍から2つのレーザ光が出射される。しかし、1つのレーザ光L1’と1つのレーザ光L2’とが出射されれば、回転角速度および回転方向の検出が可能である。そのため、エアギャップは2つであってもよい。
【実施例】
【0058】
半導体レーザ素子10の一例を実際に作製して特性を測定した。作製工程を図9に示す。図9(a)、図9(c)および図9(e)は上面図である。図9(b)は、図9(a)の線IXbの部分における断面図である。図9(d)は、図9(c)の線IXdの部分における断面図である。図9(f)は、図9(e)の線IXfの部分における断面図である。
【0059】
作製した半導体レーザ素子は、下側クラッド層21と活性層22との間に配置された下側SCH層と、活性層22と上側クラッド層23との間に配置された上側SCH層とを備える。以下の製造工程は、半導体素子製造プロセスで用いられる公知の方法によって実施した。たとえば、MOCVD法や蒸着法などの気相成膜法、フォトリソグラフィー、ドライエッチング、およびリフトオフ法などによって実施した。
【0060】
まず、基板11上に、下側クラッド層21、下側SCH層81、活性層22、上側SCH層82および上側クラッド層23およびキャップ層24を形成した。これらの層は、MOCVD法によって形成した。基板11には、n−GaAs基板を用いた。下側クラッド層21には、n−Al0.5Ga0.5As層(厚さ:1.5μm)を用いた。下側SCH層81および上側SCH層82は、分離閉じ込めヘテロ構造(Separate Confinement Heterostructure)を構成するための層である。下側SCH層81には、n−AlxGa1-xAs(x=0.5〜0.2)からなるグレーデッド層(厚さ0.2μm)を用いた。上側SCH層82には、p−AlxGa1-xAs(x=0.2〜0.5)からなるグレーデッド層(厚さ0.2μm)を用いた。活性層22には、GaAsからなる単一量子井戸層(厚さ10nm)を用いた。上側クラッド層23には、p−Al0.5Ga0.5As層(厚さ:1.5μm)を用いた。キャップ層24には、p−GaAs層(厚さ0.2μm)を用いた。
【0061】
次に、コンタクト領域31(図5参照)の近傍以外の部分に形成されているキャップ層24を除去した。このようにして、図9(a)および(b)に示す構造を形成した。基板11上には、多層膜70とパターニングされたキャップ層24とが形成された。
【0062】
次に、多層膜70およびキャップ層24を覆うように、SiO2からなる絶縁層25(厚さ500nm)を形成した。エアギャップ41a〜41dが形成される部分の絶縁層25は、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングによって除去した。
【0063】
次に、絶縁層25をマスクとして多層膜70をエッチングし、エアギャップ41a〜41dを形成した。エアギャップ41a〜41dは、キャップ層24の表面からの深さが3.5μmになるように形成した。
【0064】
次に、第1の領域20aおよび第2の領域20b(図2(a)参照)以外の領域に形成されている絶縁層25を除去した。そして、残った絶縁層25をマスクとして多層膜70をエッチングした。このエッチングによって、下側クラッド層21、下側SCH層81、活性層22、上側SCH層82、および上側クラッド層23の平面形状は、すべて同じとされた。また、エッチングによって、レーザ光L1およびL2が反射される端面ミラーが形成された。このようにして、図9(c)および(d)に示す構造を形成した。
【0065】
エアギャップ41a〜41dの形成、および共振器の形成の際のエッチングは、エッチング端面が基板11の表面に対してほぼ垂直になるように行われることが好ましい。そのため、多層膜70は、反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチングした。
【0066】
次に、コンタクト領域31となる部分の絶縁層25を除去し、開口部25hを形成した。そして、開口部25hに電極が充填されるように、第1の領域20aおよびその近傍に上側電極26を形成した。上側電極26は、AuZnNi/Au積層膜を形成したのち、リフトオフ法によって不要な部分の積層膜を除去することによって形成した。その後、上側電極26が形成された基板をアニールした。このようにして、図9(e)および(f)に示す構造を形成した。なお、上側電極26は、エアギャップ41a〜41dの開口部周辺に堆積するが、その内部には堆積しない。したがって、エアギャップ41a〜41dの内部は空気で満たされている。
【0067】
次に、基板11の厚さが100μmになるまで基板11の裏面を研磨した。次に、基板11の裏面に、AuGeNi/Au積層膜からなる下側電極12を形成した。最後に、下側電極12が形成された基板をアニールした。このようにして、半導体レーザ素子を作製した。
【0068】
作製した半導体レーザ素子の対角線40acの長さは600μmとした。図6のΔLは、0.405μmであった。端面30a〜30dの曲率半径(上述した仮想の円柱の半径)は、600μmとした。端面30a〜30dの幅は、30μmとした。キャップ層24の幅は、40μmとした。エアギャップの幅d(図6参照)は、1.35μmとした。コンタクト領域31の幅W(図5参照)は、5μmとした。入射角α(図6参照)は、5°とした。角度φ(図7参照)は、132°とした。共振器の実効屈折率は、3.3であった。なお、共振器の実効屈折率は、活性層22の表面に垂直な方向の層構造に対して、波動方程式を解くことによって求めた。
【0069】
形成された半導体レーザ素子を、ヒートシンク上にマウントした。そして、半導体レーザ素子を25℃で連続発振させ、その特性を評価した。具体的には、注入電流と出力との関係、遠視野発光パターン、およびレーザスペクトルについて評価した。
【0070】
注入電流と出力との関係を図10に示す。図10に示すグラフから閾値電流を求めたところ、349mAであった。この閾値は、それほど低い値ではないが、これは、半導体レーザ素子の設計が充分に最適化されていないためであると考えられる。たとえば、エアギャップの数を減らしたり、キャップ層の幅を狭めたりすることによって、閾値をさらに低減できると考えられる。
【0071】
出力が8mWのときのレーザ光の遠視野像を、図11(a)に示す。また、図11(a)の一部の拡大図を図11(b)に示す。図11(a)および(b)において、横軸の角度は、対角線40ac(図7参照)とレーザ光とがなす角度を示している。図11(a)に示すように、レーザ光L1’およびL2’は、対角線40acの方向とほぼ同じ方向に出射された。図11(b)に示すように、観測されたレーザ光は、フリンジパターンを示した。フリンジピークの間隔Δθは、0.78°であった。フリンジピークがレーザ光L1’とレーザ光L2’との干渉によって生じていると仮定し、且つレーザ光の波長を868.8nmであると仮定すると、フリンジピークの間隔は0.779°になると計算される。この計算値は実測値とよく一致しており、フリンジピークが2つのレーザ光の干渉によって生じていることを示唆している。
【0072】
出力が8mWのときのレーザ光のスペクトルを、図12(a)に示す。また、図12(a)の一部の拡大図を図12(b)に示す。レーザ光のピーク波長は、868.8nmであった。また、図12(b)から、縦モードの波長間隔は、平均で、0.11nmであった。ここで、dneff/dλ=−1.0×104cm-1と仮定し、レーザ光の波長を867nmと仮定すると、縦モードの波長間隔は、0.106nmと算出される。この計算値は実測値とよく一致している。このことは、エアギャップが存在しても、周回光路40に沿ったモードのレーザ光が励起されたことを示唆している。
【0073】
このように、実施例によって、本発明の半導体レーザ素子からレーザ光L1’およびL2’が出射されることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、半導体レーザ素子および半導体レーザジャイロに利用できる。本発明のジャイロは、物体の回転の検出が必要な様々な電子機器に適用できる。代表的な例としては、姿勢制御装置やナビゲーション装置、手ぶれ補正装置に利用できる。具体的には、本発明のジャイロは、ロケットや飛行機などの航空機、自動車やバイクといった移動手段に利用できる。また、本発明のジャイロは小型で消費電力が低いという利点を生かし、携帯電話や小型のパーソナルコンピュータといった携帯情報端末、玩具、カメラなどに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の半導体レーザ素子の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した半導体レーザ素子について、(a)多層膜の平面形状、(b)励起されるレーザ光の光路を示す図である。
【図3】図1に示した半導体レーザ素子の機能を示す図である。
【図4】図1に示した半導体レーザ素子について、(a)周回光路を横切る断面図、および(b)エアギャップを横切る断面図である。
【図5】図1に示した半導体レーザ素子について、コンタクト領域およびエアギャップの配置を示す図である。
【図6】図1に示した半導体レーザ素子について、エアギャップ近傍でのレーザ光の進路を示す図である。
【図7】図1に示した半導体レーザ素子について、出射端面近傍でのレーザ光の進路を示す図である。
【図8】本発明の半導体レーザジャイロの一例の配置を模式的に示す図である。
【図9】実施例の半導体レーザ素子の製造方法を示す工程図である。
【図10】実施例で作製した半導体レーザ素子について、注入電流と出力との関係を示すグラフである。
【図11】実施例で作製した半導体レーザ素子について、出射光の遠視野像を示す図である。
【図12】実施例で作製した半導体レーザ素子について、出射光のスペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10 半導体レーザ素子
11 基板
20、70 多層膜
12 下側電極
21 下側クラッド層
22 活性層
23 上側クラッド層
24 キャップ層
25 絶縁層
26 上側電極
30 共振器
30a、30b、30c、30d 端面(端面ミラー)
31 コンタクト領域
40 周回光路
40a、40b、40c、40d 頂点
40ac 対角線
41a、41b、41c、41d エアギャップ
81 下側SCH層
82 上側SCH層
L1、L2、L1’、L2’ レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層膜で構成された共振器を備える半導体レーザ素子であって、
前記半導体レーザ素子は、前記共振器の端面において全反射され多角形の光路を互いに逆方向に周回する第1および第2のレーザ光を励起し、
前記光路の途中には、前記共振器の実効屈折率とは異なる屈折率を有する少なくとも1つのギャップが形成されており、
前記第1および第2のレーザ光から選ばれる少なくとも1つの光の一部が、前記ギャップで反射されて出射される半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記ギャップが空気からなる請求項1に記載の半導体レーザ素子。
【請求項3】
半導体レーザ素子と観測手段とを含む半導体レーザジャイロであって、
前記半導体レーザ素子は多層膜で構成された共振器を備え、
前記半導体レーザ素子は、前記共振器の端面において全反射され多角形の光路を互いに逆方向に周回する第1および第2のレーザ光を励起し、
前記光路の途中には、前記共振器の実効屈折率とは異なる屈折率を有する第1および第2のギャップが形成されており、
前記第1のレーザ光の一部は前記第1のギャップで反射されて前記半導体レーザ素子から出射され、
前記第2のレーザ光の一部は前記第2のギャップで反射されて前記半導体レーザ素子から出射され、
前記観測手段は、前記半導体レーザ素子から出射された前記第1および第2のレーザ光を受光する少なくとも1つの受光素子を含む半導体レーザジャイロ。
【請求項4】
前記観測手段は、前記半導体レーザ素子から出射された前記第1のレーザ光と、前記半導体レーザ素子から出射された前記第2のレーザ光とによって形成された干渉縞を観測する請求項3に記載の半導体レーザジャイロ。
【請求項5】
前記第1および第2のギャップが空気からなる請求項3に記載の半導体レーザジャイロ。
【請求項6】
前記共振器が環状ではない請求項3に記載の半導体レーザジャイロ。
【請求項7】
前記半導体レーザ素子は、前記第1のギャップで反射された前記第1のレーザ光と、前記第2のギャップで反射された前記第2のレーザ光とを、前記多層膜内で増幅するための電流注入手段を備える請求項3に記載の半導体レーザジャイロ。
【請求項8】
前記第1および第2のギャップは、それぞれ、前記多角形の辺のうち前記多角形の1つの頂点に隣接する第1および第2の辺に形成されており、
前記第1のギャップで反射された前記第1のレーザ光が、前記頂点近傍の前記多層膜の端面から出射され、
前記第2のギャップで反射された前記第2のレーザ光が、前記頂点近傍の前記多層膜の端面から出射され、
出射される前記第1のレーザ光と、出射される前記第2のレーザ光とがなす角度が、0°より大きく20°以下である請求項3に記載の半導体レーザジャイロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−124046(P2009−124046A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298492(P2007−298492)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「シームレスな位置情報検出を実現する高精度角速度センサチップの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】