説明

半導体上からホットメルトエッチングレジストを剥離する改良された方法

【課題】シート抵抗率の増大およびアルミニウム電極の腐蝕を抑制する剥離剤配合物を提供する。
【解決手段】ホットメルトエッチングレジストが、半導体ウェハ上の反射防止コーティングもしくは選択的エミッタに選択的に適用される。無機酸含有エッチング剤を用いて、反射防止コーティングおよび選択的エミッタの露出部分がエッチング除去されて、半導体基体を露出させる。このホットメルトエッチングレジストは次いで、半導体の電気的一体性を悪化させないアルカリ剥離剤を用いて半導体から剥離される。次いで、露出した半導体は金属化されて、電流トラックを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2010年9月21日に出願された米国仮特許出願第61/385,071号に対する35U.S.C.119(e)の下での優先権の利益を主張し、その出願の全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明はアルカリ剥離剤で半導体からホットメルトエッチングレジストを剥離する改良された方法に関する。より具体的には、本発明は半導体の電気的一体性を悪化させないアルカリ剥離剤で半導体からホットメルトエッチングレジストを剥離する改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力素子および太陽電池のような半導体デバイスの製造は半導体の前面および裏面上に導電性接点もしくは電流トラックの形成を伴う。電荷担体が妨害なく半導体から導電性接点に出現するのを確実にするために、金属電流トラックは半導体とオーミック接触を確立することができなければならない。電流損失を回避するために、金属化コンタクトグリッドは適切な電流伝導性、すなわち、高い伝導性もしくは充分に高い導体トラック断面を有していなければならない。
【0003】
太陽電池の裏面をコーティングする金属のために多くのプロセスが存在する。通常、アルミニウムは裏面のための金属の選択肢である。アルミニウムは、例えば、蒸着によって、または裏面上に印刷されることにより適用され、そして組み込まれ、または合金化される。厚膜技術を使用する金属コーティングは導体トラックを金属化するための従来の方法である。使用されるペーストは金属粒子を含み、その結果として導電性である。このペーストはスクリーン、マスク、パッド印刷もしくはペースト描画によって適用される。一般的に使用されるプロセスはスクリーン印刷プロセスであり、そこでは80μm〜100μmの最小線幅の指型金属コーティング線が製造される。このグリッド幅でさえ、純粋金属構造と比較した導電損失は明白である。これは直列抵抗に対する、並びに太陽電池の効率および曲線因子(fill factor)に対する悪影響を有する場合がある。このプロセスは導体トラックをより平坦にするので、より狭い印刷導体トラック幅でこの影響は強められる。金属粒子間の非伝導性酸化物およびガラス成分はこの低減された伝導性の根本的要因を構成する。
【0004】
金属が前面もしくは光入射面をコーティングする場合には、その目的は光子を捕捉するためにその面のできるだけ多くを使用することである。前面接点を製造するための複雑なプロセスはレーザーおよび導体トラック構造の画定のための他の像形成技術を使用する。半導体の前面は場合によっては、その面に反射を低減させる向上した光入射ジオメトリを付与するために、結晶配向テクスチャエッチングにかけられることができる。半導体接合を生じさせるために、リン拡散もしくはイオン注入が半導体の前面上で起こって、n−ドープ(n+もしくはn++)領域を生じさせそしてPN接合を有する半導体を提供する。n−ドープ領域はエミッタ層とも称されうる。
【0005】
前面もしくはエミッタ層に反射防止コーティングが追加される。さらに、反射防止コーティングは不導体化層として機能しうる。好適な反射防止コーティングにはSiOのような酸化ケイ素層、Siのような窒化ケイ素層、または酸化ケイ素層と窒化ケイ素層との組み合わせが挙げられる。上記式においては、xは酸素原子の数であり、典型的にはxは整数2である。このような反射防止コーティングは様々な蒸着方法、例えば、化学蒸着および物理蒸着など多くの技術によって堆積されうる。
【0006】
次いで、開口もしくはパターンが前面上に画定される。このパターンは反射防止コーティングを貫通して半導体の表面を露出させる。このパターンを形成するために、これに限定されないが、レーザーアブレーション、機械的手段、化学的およびマスキングプロセスをはじめとする様々なプロセスが使用されることができる。典型的な化学的およびマスキングプロセスは、半導体の前面上に化学的もしくはエッチング耐性マスキング材料を適用し、次いでエッチング物質を適用して反射防止層に開口を形成する。前面上に開口を形成する化学的もしくはエッチング方法の例は、緩衝酸化物エッチング剤を用いたエッチングである。緩衝酸化物エッチング剤は1種以上の無機酸をアンモニウム化合物のような緩衝剤と組み合わせて含むことができる。エッチング後で、電流トラックの金属化の前に、通常、マスクは除去される。一般的には、半導体からマスクを除去もしくは剥離するために、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムを含むアルカリ溶液が使用される。剥離は典型的にはマスクを伴う半導体全体をアルカリ溶液中に沈めることによって、もしくはその半導体にアルカリ溶液を噴霧することによって、行われる。いずれの場合にしても、アルカリ剥離液は金属化が行われる露出した半導体および裏面アルミニウム電極の双方に接触して、半導体の電気的一体性を悪化させる。電流トラックの金属化を達成するために、半導体の前面およびアルミニウム電極の双方は充分に導電性でなければならない。しかし、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのようなアルカリ剥離剤は半導体のシート抵抗率を増大させ、およびアルミニウム電極の腐蝕も生じさせ、その結果半導体の導電性が低減する。このことはひいては半導体の前面の金属化を悪化させ、結果的に電流トラックと半導体との間のオーミック接触を低減させ、並びに電流損失をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、シート抵抗率の増大およびアルミニウム電極の腐蝕を抑制する剥離剤配合物についての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
方法はa)PN接合を有する半導体基体であって、PN接合を有する半導体基体の前面上に反射防止コーティングをおよび裏面上にアルミニウム含有電極を含む半導体基体を提供し;b)前記PN接合を有する半導体基体上の反射防止コーティングにホットメルトエッチングレジストを選択的に適用し;c)前記PN接合を有する半導体基体の反射防止コーティングの露出部分にエッチング剤を適用して、反射防止コーティングの露出部分を除去してPN接合を有する半導体基体の前面を選択的に露出させ;並びにd)炭酸カリウムおよびケイ酸カリウムを含む剥離剤を前記PN接合を有する半導体基体に適用して、反射防止コーティングからホットメルトエッチングレジスト除去する;ことを含む。
方法はa)PN接合を有する半導体基体であって、PN接合を有する半導体基体の前面上に選択的エミッタをおよび裏面上にアルミニウム含有電極を含む半導体基体を提供し;b)前記PN接合を有する半導体基体上の選択的エミッタにホットメルトエッチングレジストを選択的に適用し;c)前記PN接合を有する選択的エミッタの露出部分にエッチング剤を適用して、前記露出部分をエッチングし;並びにd)炭酸カリウムおよびケイ酸カリウムを含む剥離剤を前記PN接合を有する半導体基体に適用して、選択的エミッタからホットメルトエッチングレジスト除去する;ことも含む。
【発明の効果】
【0009】
本方法に使用される炭酸カリウムおよびケイ酸カリウムを含む剥離剤組成物は、反射防止コーティングもしくはドープ半導体基体の選択的エミッタ層からホットメルトエッチングレジストを容易に除去し、同時に、PN接合を有する半導体基体の電気的一体性を悪化させない。PN接合を有する半導体基体の前面のシート抵抗率はこの剥離剤によって実質的に影響を受けないままであり、その結果半導体基体の前面の露出部分上に金属が容易に堆積されて電流トラックを形成できる。さらに、この剥離剤は半導体基体の裏面上のアルミニウム含有電極の腐蝕を生じさせない。よって、所望の導電性を提供するために、電荷担体が妨害なく半導体から導電性電流トラックに出現するのを確実にするのに充分なオーミック接触が達成される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書を通じて使用される場合、用語「堆積」および「めっき」は交換可能に使用される。用語「電流トラック」および「電流線」は交換可能に使用される。用語「組成物」および「浴」は交換可能に使用される。用語「選択的に堆積」とはある物質の堆積が基体上の特定の所望の領域で起こることを意味する。用語「エッチングレジスト」は無機もしくは有機酸を含むエッチング剤によって物理的もしくは化学的に変えられない組成物を意味する。用語「水素化」はその不飽和化学結合(−C=C−)の一部分もしくは全部が化学的に処理されて、その結合を水素で破壊もしくは飽和させた(−CH−CH−)化合物を意味する。
【0011】
文脈が明確に示さない限りは、以下の略語は以下の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;mg=ミリグラム;cps=センチポイズ;1cps=1×10−3パスカル(Pas)=0.01ポイズ=1.02×10−4kps/m;A=アンペア;dm=デシメートル;μm=マイクロメートル;nm=ナノメートル;およびUV=紫外線。
【0012】
全てのパーセンテージおよび比率は他に示されない限りは重量基準である。全ての範囲は包括的であり、かつそのような数値範囲が合計で100%になることに制約されることが明らかである場合を除いて、任意に組み合わせ可能である。
【0013】
剥離剤組成物は水溶液中に炭酸カリウムおよびケイ酸カリウムの組み合わせを含む。この剥離剤は、光起電力素子および太陽電池の製造に使用されるPN接合を有する半導体基体上のホットメルトレジストの実質的に全てを除去するために使用される。炭酸カリウムおよびケイ酸カリウムは半導体のシート抵抗率を実質的に増大させず、または半導体基体の裏面上のアルミニウム含有電極の腐蝕を生じさせず、その導電性を悪化させない。よって、半導体の前面上に堆積される電流トラックは、所望の導電性を提供するために、電荷担体が妨害なく半導体から導電性電流トラックに出現するのを確実にするのに充分な、半導体表面もしくはエミッタ層とのオーミック接触を有する。剥離組成物は濃厚物として製造され、次いで適用の前に所望の濃度に希釈される。具体的な希釈率はホットメルトエッチングレジストの組成に応じて変動する。炭酸およびケイ酸のナトリウム塩は剥離剤組成物から除かれている。さらに、半導体基体の電気的一体性を悪化させうる化合物も剥離剤組成物から除かれている。場合によっては、1種以上の消泡剤が剥離剤組成物中に含まれうるが、消泡剤の選択は半導体基体の電気的一体性を実質的に悪化させない場合がある。
【0014】
単結晶、多結晶もしくは非晶質シリコン半導体ウェハから構成されうる光起電力素子および太陽電池の製造に剥離剤組成物が使用される。以下の記載はシリコン半導体ウェハに関するものであるが、他の好適な半導体基体、例えば、ガリウム−ヒ素、シリコン−ゲルマニウム、およびゲルマニウムウェハも使用されうる。シリコンウェハが使用される場合には、それらは典型的にはp−型ベースのドーピングを有する。
【0015】
半導体基体の裏面全体はアルミニウムコーティングされていてよく、または裏面の一部分は、例えば、グリッドを形成するために、アルミニウムコーティングされていてよい。このような裏面の金属化は当該技術分野で知られた様々な技術によって提供されうる。典型的には、アルミニウムコーティングは導電性アルミニウムペーストの形態で裏面に適用され、または他の金属、例えば、銀、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛もしくはスズも含むことができるアルミニウム含有ペーストであってよい。このような導電性ペーストは典型的には、ガラスマトリックスおよび有機バインダーに埋め込まれた金属の導電性粒子を含む。導電性ペースト様々な技術、例えば、スクリーン印刷によって基体に適用されうる。ペーストが適用された後で、導電性ペーストは焼かれて有機バインダーを除去する。燃焼は典型的には600℃〜800℃で行われる。アルミニウムを含む導電性ペーストが使用される場合には、アルミニウムは部分的に基体の裏面に拡散するか、または、銀もしくは他の金属を含むペースト形態において使用される場合には、その銀もしくは他の金属との合金を形成しうる。このようなアルミニウム含有ペーストの使用は抵抗接触を改良することができ、「p+」ドープ領域を提供することができる。後の相互拡散を伴う、アルミニウムまたはホウ素の従前の適用によって重度にドープされた「p+」型領域(「p++」型領域)が形成されても良い。典型的には重度にドープされた「p+」型領域が製造される。
【0016】
基体の前面は、その表面に反射を低減する改良された光入射ジオメトリを付与するために、結晶配向テクスチャエッチングにかけられうる。半導体接合を生じさせるために、リン拡散もしくはイオン注入がウェハの前面上で起こって、nドープ(n+もしくはn++)領域を生じさせそしてPN接合を有するウェハを提供する。nドープ領域はエミッタ層とも称されうる。
【0017】
反射防止コーティングがウェハの前面もしくはエミッタ層に追加される。さらに、反射防止コーティングは不導体化層として機能しうる。好適な反射防止コーティングには、限定されないが、SiOのような酸化ケイ素コーティング、Siのような窒化ケイ素コーティング、または酸化ケイ素コーティングと窒化ケイ素コーティングとの組み合わせが挙げられる。上記式においては、xは酸素原子の数であり、典型的にはxは整数2、すなわち二酸化ケイ素である。このような反射防止コーティングは様々な蒸着方法、例えば、化学蒸着および物理蒸着によるなど多くの技術によって堆積されうる。酸化ケイ素コーティングおよび窒化ケイ素コーティングの厚みの限定はないが、典型的には、それらは50nm〜150nmの厚みである。
【0018】
ホットメルトエッチングレジストはインクジェット印刷、エアロゾルもしくはスクリーン印刷によって反射防止コーティング上に選択的に堆積されうる。ホットメルトエッチングレジストは選択的に適用されて、電流トラックに対してネガである像を形成する。国際公開第2005/013323号および第2005/011979号は光起電力素子の製造においてレジストをスクリーン印刷する方法を開示する。好ましくはホットメルトエッチングレジストは、インクジェット印刷もしくはエアロゾルを使用して反射防止コーティングに選択的に適用される。より好ましくは、それらはインクジェット印刷を用いて選択的に適用される。インクジェット印刷もしくはエアロゾルによる適用中のホットメルトエッチングレジストの粘度は7cps〜21cps、好ましくは9cps〜15cpsの範囲である。最も好ましくは、ホットメルトは10cps〜12cpsの粘度で適用される。
【0019】
インクジェット印刷方法は連続的インクジェット方法もしくはドロップオンデマンド方法であることができる。この連続的方法は、ポンプを用いてエッチングレジストを連続的に噴射しつつ、電磁場を変化させることによりエッチングレジストの方向が調節される印刷方法である。ドロップオンデマンドは、電子信号に基づいて必要とされる場合にのみエッチングレジストを分配する方法である。ドロップオンデマンドは、電気により機械的変化を生じる圧電プレートを使用することにより圧力が発生させられる圧電インクジェット方法と、熱により生じた泡の膨張によって発生する圧力を使用する熱インクジェット方法とに分けられうる。
【0020】
インクジェット印刷方法とは対照的に、エアロゾル方法は最初にエッチングレジストのエアロゾルを形成する。このエアロゾルは加圧ノズルを介して半導体基体に導かれ、この加圧ノズルはプリントヘッドに取り付けられている。エアロゾルは集束用ガスと混合されて、集束された形態で加圧ノズルに輸送される。エッチングレジストを分配するための集束用ガスの使用はノズルの詰まりの可能性を低減し、インクジェット適用を用いるよりも、より微細な電流トラック、より大きなアスペクト比の形成も可能にする。
【0021】
ホットメルトエッチングレジストは、95℃以下、好ましくは65℃〜90℃の温度で反射防止コーティングの表面に適用される。より好ましくは、ホットメルトエッチングレジストは70℃〜80℃の温度で適用される。このような低いインクジェット温度は、ほとんどのインクジェットプリントヘッドモジュールにおいてこのレジストが使用されるのを可能にする。また、このエッチングレジストは低温でさらに長い貯蔵寿命を有する。ホットメルトエッチングレジストは適用後に素早く固化し、反射防止コーティングの表面に接着するので、固化剤もしくは架橋剤が配合物中に必要とされない。よって、UV適用工程および他の従来の固化工程または硬化は本方法から除かれる。ホットメルトエッチングレジストは未硬化のレジストである。本方法で製造される電流ラインの厚みに限定はないが、典型的には、ホットメルトエッチングレジストはSiOもしくは窒化ケイ素のコーティングに選択的に適用されて、100μm以下、または例えば、80μm〜20μm、または例えば、70μm〜30μmの幅を有する電流ラインを形成する。
【0022】
別の実施形態においては、ホットメルトエッチングレジストは反射防止コーティング上ではなく、選択的エミッタの表面に選択的に適用される。半導体の選択的エミッタ層は高い表面ドーピング濃度、例えば、5×1019cm−3超の領域を含み、これは例えば、60オーム/スクエア未満、典型的には50オーム/スクエア未満、およびより典型的には40オーム/スクエア未満のシート抵抗率をもたらす。低い表面ドーピング濃度の隣の領域は、例えば、1×1019cm−3未満であり、これは、例えば、60オーム/スクエア超、典型的には70オーム/スクエア超、およびより典型的には80オーム/スクエア超のシート抵抗率をもたらす。典型的には、ホットメルトエッチングレジストは高いドーピング濃度の領域もしくは低いシート抵抗率の領域を覆うように選択的に適用される。ホットメルトレジストのエッチングおよび除去の後までは、反射防止層は選択的エミッタ層上に堆積されない。典型的には、窒化ケイ素もしくは二酸化ケイ素の反射防止層は選択的エミッタの全体上に堆積され、電流トラックは高いドーピングもしくは低いシート抵抗率の領域にわたって選択的に形成される。スパイクの手段によって、電流トラックは低いシート抵抗率の下地領域とオーミック接触する。米国特許出願公開第2010/0218826号はこのような選択的エミッタおよび太陽電池におけるその製造を開示する。
【0023】
ホットメルトエッチングレジストは無機酸エッチング剤および緩衝酸化物エッチング剤に耐性の成分を含む。このような物質には、限定されないが、天然ワックス、化学修飾ワックスおよび合成ワックスのようなワックス、並びにポリアミド樹脂が挙げられる。天然ワックスには、限定されないが、カルナバワックス、モンタンワックス、植物ワックス、脂肪酸ワックスが挙げられる。合成ワックスには、限定されないが、パラフィンワックス、微結晶ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブチレンワックス、ポリエチレンアクリル系ワックス、ポリエステルワックスおよびフィッシャートロプシュ(Fischer−Tropsch)ワックスが挙げられる。化学修飾ワックスにはワックスの誘導体が挙げられる。典型的には、使用されるワックスは脂肪酸ワックスおよびパラフィンワックス並びにこれらの誘導体である。より典型的には、パラフィンワックスが使用される。ホットメルトレジストに使用されうるポリアミド樹脂の例は、米国特許第5,645,632号;第5,783,657号;第5,998,570号;第6,268,466号;第6,399,713号;第6,492,458号;第6,552,160号;第5,981,680号;第4,816,549号;第6,870,011号;第6,864,349号;および第6,956,099号;並びに、米国特許出願公開第20040186263号に開示されており、これらは参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる。市販のポリアミド樹脂の例は、Sylvaclear(登録商標)2612、Sylvagel(登録商標)5600、Sylvagel(登録商標)6100、Sylvaclear(登録商標)100、Sylvaclear(登録商標)100LM、Sylvaclear(登録商標)C75v、Uniclear(登録商標)100およびUniclear(登録商標)100vである。これら全ては米国、フロリダ州、ジャクソンビルのアリゾナケミカルカンパニーから入手可能である。ワックスは当該技術分野および文献で知られている様々な量でホットメルトエッチングレジスト中に含まれる。例えば、典型的な脂肪酸ワックスは50〜400、または例えば、150〜300(mg KOH/g)の酸価を提供する量で含まれる。
【0024】
ホットメルトエッチングレジストは1種以上の水素化ロジン樹脂を含むことができ、この水素化ロジン樹脂は主成分として水素化もしくは部分水素化ロジン酸もしくはその塩を含み、このロジン酸もしくはその塩は、一般式C1929COOHを有し、フェナントレン核を有するアビエチンおよびピマル型のロジン酸から生じる。異性体には、これに限定されないが、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸(3つが可能である)およびテトラヒドロアビエチン酸が挙げられる。平均重量分子量は300〜308、または例えば302〜306の範囲である。酸価は少なくとも150、または例えば155〜200、または例えば170〜190(mgKOH/g)である。ロジンは松の木(主として、ダイオウマツおよびスラッシュマツ)から得られる。ガムロジンは生きている木から採取されたオレオレジンからのテレピン油の蒸留後に得られる残留物である。木材ロジンはマツの幹をナフサで抽出し、揮発性画分を蒸留除去することにより得られる。タル油はタル油の分画の副生成物である。水素化ロジン樹脂は商業的に得られうるか、またはその天然のソースから抽出され、そして文献に開示されている方法に従って精製されることができる。商業的に入手可能な部分的に水素化されたロジン樹脂の例は、Pinova Incorporated(ピノバ インコーポレーテッド)から入手可能なSTAYBELITE登録商標A水素化ロジンである。別の商業的に入手可能な部分的に水素化されたロジン樹脂はSTAYBELITE登録商標レジン−Eである。商業的に入手可能な完全に水素化されたロジンはFORAL商標AX−Eである。一般的に、水素化ロジン樹脂はホットメルトエッチングレジストに、20重量%以上、または例えば20重量%〜30重量%、または例えば25重量%〜28重量%の量で含まれうる。
【0025】
ホットメルトエッチングレジストが1種以上の水素化ロジン樹脂を含む場合には、それは典型的には式RCOO−M(式中、Rは7〜48個の炭素原子、好ましくは12〜24個の炭素原子を有する線状、分岐もしくは環式アルキルもしくはアルケニル基であり、Mは水素または対イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、もしくはNH(CHCHOH)、yおよびzは0〜4の整数であり、その合計は常に4である)を有する1種以上の脂肪酸もしくはその塩を含む。このような脂肪酸には、これに限定されないが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、リノール酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸およびステアリン酸、またはその塩が挙げられる。典型的には、脂肪酸はラウリン酸、リノール酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびその塩から選択される。好ましくは、脂肪酸はミリスチン酸、パルミチン酸、およびその塩から選択される。このような脂肪酸およびその塩は200以上、典型的には215〜250(mgKOH/g)の酸価を有する。脂肪酸もしくはその塩の多くは天然油、例えば、海産物、菜種、獣脂、トール油、ダイズ、綿実およびココナッツから得られうる。このような脂肪酸、塩および混合物は商業的に入手可能であるか、または当該技術分野において既知の技術によって製造されうる。一般的に、このような脂肪酸およびその塩は、少なくとも65重量%、または例えば70重量%〜80重量%、または例えば75重量%〜82重量%の量でホットメルトエッチングレジストに含まれうる。
【0026】
場合によっては、ホットメルトエッチングレジストは1種以上の任意の光沢剤を含む。従来の蛍光増白剤、例えば、蛍光漂白剤が使用されうる。このような蛍光増白剤には、これに限定されないが、4,4’−ビス[2−(2−メトキシフェニル)エチル]−1,1’−ビフェニル;1,4−ビス(2−シアノスチリル)ベンゼン;2,2’−(1,4−ナフタレンジイル)ビスベンゾオキサゾール;2,2’−(2,5−チオフェンジイル)ビス[5−(1,1−ジメチルエチル)]−ベンゾオキサゾール;2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール);および2,2’−(1,2−エテンジイルジ−4,1−フェニレン)ビスベンゾオキサゾールが挙げられる。商業的に入手可能な蛍光漂白剤の例には、チバ(Ciba)スイスによるUVITEX商標FPおよびUVITEX商標OB、およびバイエル(Bayer)A.G.ドイツによるBLANKOPHOR商標ERである。このような蛍光増白剤はホットメルトエッチングレジスト中に0.01重量%〜1重量%、または例えば0.05重量%〜0.1重量%の量で含まれうる。
【0027】
エッチング剤は当該技術分野において知られている何らかの好適な方法で、SiO、窒化ケイ素もしくは選択的エミッタを選択的にコーティングするホットメルトエッチングレジストを伴う半導体基体に適用されることができる。このような方法には、半導体基体のエッチング浴中での浸漬、インクジェット印刷、エアロゾルもしくは従来の噴霧装置を使用することによる選択的適用が挙げられる。エッチング剤は穏やかな温度で適用されうる。エッチング温度は室温〜50℃、または例えば25℃〜40℃の範囲である。
【0028】
エッチング剤は1種以上の無機酸、および1種以上のポリオールと、残部の水を含むことができる。エッチング時間はエッチング剤中の成分および成分の濃度、並びに反射防止コーティングの種類に応じて変化しうる。例えば、反射防止コーティングが窒化ケイ素である場合には、エッチングは典型的には180秒〜300秒である。反射防止コーティングが二酸化ケイ素である場合には、エッチング時間は典型的には30秒〜180秒である。
【0029】
無機酸には、これに限定されないが、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸が挙げられる。典型的には、無機酸は濃厚もしくは希釈水溶液としての水性形態で提供される。好ましくは、無機酸はフッ化水素酸である。無機酸はエッチング剤の1重量%〜20重量%の量で含まれうる。
【0030】
ポリオールは室温で水溶性であり、安定性の問題がないように無機酸と適合性である。このようなポリオールには、これに限定されないが、グリコール、例えば、多価アルコール、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびグリセリンが挙げられる。典型的には、ポリオールはエチレングリコールおよびプロピレングリコールから選択される。このようなポリオールは、エッチング剤中に20体積%〜80体積%、または例えば40体積%〜70体積%、または例えば50体積%〜60体積%の量で含まれうる。
【0031】
無機酸およびポリオールに加えて、アンモニウム化合物がエッチング剤中に含まれても良い。典型的には、エッチング剤は1種以上のアンモニウム化合物を含む。アンモニウム化合物には、これに限定されないが、フッ化アンモニウムおよび二フッ化水素アンモニウムが挙げられる。好ましくは、アンモニウム化合物はフッ化アンモニウムである。典型的にはアンモニウム化合物は水性濃厚物として、もしくは希溶液として提供される。このようなアンモニウム化合物はエッチング剤の10重量%〜40重量%の量で含まれうる。
【0032】
典型的には、アンモニウム化合物がエッチング剤に含まれる場合には、アンモニウム化合物:無機酸の体積比は10:1〜4:1で変動する。好ましいエッチング剤は40体積%〜60体積%の量の1種以上のポリオールを含む、10:1〜4:1の体積:体積比の水性フッ化アンモニウムおよび水性フッ化水素である。配合物の残部は水であり得る。
【0033】
エッチングが完了した後で、半導体はエッチング剤を除去するために水ですすがれうる。次いで、ホットメルトエッチングレジストは半導体基体から剥離される。ホットメルトエッチングレジストは炭酸カリウムおよびケイ酸カリウム水性アルカリ組成物でで剥離される。炭酸カリウムは剥離組成物中に5g/L〜50g/L、または例えば、10g/L〜30g/Lの量で含まれる。ケイ酸カリウムは剥離組成物中に0.1g/L〜10g/L、または例えば、0.5g/L〜5g/Lの量で含まれる。炭酸カリウムはこの組成物の主たるはくりせいぶんであり、一方でケイ酸カリウムは主として半導体基体の裏面上のアルミニウム含有電極を腐蝕から保護するために含まれる。1種以上の消泡剤が剥離剤組成物中に含まれる場合には、消泡剤は0.1g/L〜10g/Lの量で含まれる。剥離剤組成物の残部は水である。
【0034】
剥離剤組成物は室温〜70℃の温度で、または例えば、30℃〜60℃の温度で使用される。典型的には、その温度は40℃〜50℃の範囲である。剥離は5分間以下、または例えば、1分間〜15秒間かかる場合がある。典型的には、剥離は15秒間〜45秒間の範囲である。レジストの剥離は実質的に完全である。室温でさえ、このレジストは溶液中にとどまる。検出できない少量のレジスト残留物が半導体上に残る場合があるが、それは水で半導体基体からすすがれうる。
【0035】
剥離剤組成物は最初に水性濃厚物として製造される。この濃厚物は150g/L〜300g/Lの炭酸カリウムおよび5g/L〜50g/Lのケイ酸カリウムを含む。この濃厚物中に消泡剤が含まれていてよく、または消泡剤は剥離前の希釈された使用される組成物中に必要に応じて添加されてもよい。消泡剤が濃厚物中に含まれる場合には、消泡剤は1g/L〜20g/Lの範囲であり得る。典型的には、消泡剤は剥離前に、希釈された剥離組成物に添加される。この濃厚物および希釈された使用される剥離組成物のpH範囲は8〜12、または例えば、9〜11である。典型的には、このpHは9〜10の範囲である。
【0036】
消泡剤には、これに限定されないが、植物油、例えば、ダイズ油、長鎖脂肪アルコール、例えば、C−C22脂肪アルコール、シリコーンベースの消泡剤、例えば、ポリジメチルシロキサン、シリコーングリコール、フルオロシリコーンおよびエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーが挙げられる。市販の消泡剤の例は、ANTIFOAM2750−1(ザダウケミカルカンパニーから入手可能)、ANTIFOAM1430(ダウコーニングから入手可能)およびTEGO(登録商標)FOAMEX835(Evonikから入手可能)である。
【0037】
次いで、金属の層が前面電流線上に堆積される。典型的には銀ペーストが電流線に適用され、焼かれる。これは次いで、典型的には、当該技術分野において知られている光誘起金属めっきされる。金属には、これに限定されないが、銀、銅およびニッケルが挙げられる。金属のソースが無電解浴である場合には、外部電流の適用なしにめっきが行われる。金属のソースが電解浴からである場合には、裏面電位(整流器)が半導体ウェハ基体に適用される。商業的に入手可能な無電解ニッケル浴の例はDURAPOSIT商標SMT88、並びにNIPOSIT商標PM980およびPM988である。商業的に入手可能な電解ニッケル浴の例は電解用製品のNICKEL GLEAM商標シリーズである。商業的に入手可能な銅電気めっき浴の例は、COPPER GLEAM商標ST901および901である。商業的に有用な銀めっき浴の例はENLIGHT商標620銀プレートとして入手可能である。上記商業的に入手可能な浴の全てはマサチューセッツ州マルボロのローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズLLCから得られる。
【0038】
光は連続的もしくはパルスであることができる。半導体は金属めっき浴中に浸漬され、半導体に光が適用され、電流線に金属めっきを生じさせる。光源には、これに限定されないが、白熱灯、LED光(発光ダイオード)、赤外灯、蛍光灯、水銀灯、ハロゲンランプおよびレーザーが挙げられる。
【0039】
半導体基体が選択的エミッタを含む場合には、反射防止コーティングは選択的エミッタ層の全体上に、例えばプラズマエンハンスト化学蒸着工程によって堆積される。電流トラックは次いで、銀粒子含有厚膜ペーストを用いて、反射防止コーティング上の高ドープ領域上へのスクリーン印刷の手段によるなどして印刷される。次いで、半導体基体は当該技術分野において知られている従来の方法を用いて焼かれて、電流トラック上に印刷されたものを反射防止コーティングに浸透させて、高ドーピングの領域とのオーミック接触を作る。
【0040】
典型的な電流密度は0.1A/dm〜5A/dmである。具体的な電流要求は、使用されるウェハの具体的なサイズに応じて変化する。使用される電気めっきプロセスは従来のものである。典型的には、このような金属層は厚さ1μm〜50μm、より典型的には5μm〜25μmの範囲である。
【0041】
下記の実施例は本発明の様々な形態を示すために含まれるが、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0042】
実施例1
以下の表に開示される配合を有するホットメルトインクジェットレジストが準備された。
【0043】
【表1】

STAYBELITE登録商標A 典型的な組成および特性:アビエチン酸<3重量%、デヒドロアビエチン酸6−10重量%、ジヒドロアビエチン酸60−80重量%、テトラヒドロアビエチン酸5−15重量%、他のレジン酸および中性物質10−15重量%、軟化点、Ring&Ball、℃=65−69、酸価158−160。
UVITEX OB商標:蛍光増白剤。
【0044】
ホットメルトはDirectMask商標DoD300インクジェットプリンター(シュミッド(Schmid)GmbH、フローデンスタット、ドイツから入手可能)のリザーバーに入れられた。リザーバー内の温度は75℃に上げられて、ホットメルトエッチングレジストを溶融させた。単結晶シリコンウェハの二酸化ケイ素コーティング上に、室温で、このレジストが選択的に印刷されて、ウェハ上に「H」パターンを形成した。ホットメルトエッチングレジストは室温まで冷却されて、硬化された。
【0045】
ホットメルトエッチングレジストを伴うウェハは、10g/Lの炭酸カリウム、および1g/Lのケイ酸カリウム、並びに残部の水からなる剥離剤組成物中に浸漬された。剥離剤組成物の温度は40℃であり、pHは11であった。このウェハは剥離剤組成物中にある間は攪拌された。60秒後に、レジストの全てがウェハから除かれた。シリコンウェハ上にレジスト残留物は観察されなかった。
【0046】
この方法は2枚の追加のさらなるウェハについて繰り返された。1つは45℃で剥離剤組成物中に浸漬され攪拌された。40秒後に、レジストの全てがウェハから除かれた。第2のウェハは50℃で剥離剤組成物中に浸漬され、20秒間攪拌された。20秒後に、レジスト残留物は観察されなかった。温度と共に剥離時間量は変動したが、この剥離組成物は、商業的に許容可能な時間内に、ウェハ上に残る観察可能な微量のレジスト残留物を残すことなく、ウェハからレジストの全てを除去した。
【0047】
実施例2
PN接合を伴う3枚の単結晶シリコンウェハが選択的に印刷されて、上記実施例1のホットメルトエッチングレジストで「H」パターンを形成した。このホットメルトエッチングレジストは実施例1に記載される装置で印刷された。次いで、印刷されたレジストは室温まで冷却されて硬化された。
【0048】
各ウェハのシート抵抗率が決定された。ウェハのシート抵抗率は60オーム/スクエア〜65オーム/スクエアの範囲であった。Jandel Engineering Ltd.からの4点抵抗プローブが使用されてシート抵抗率を測定した。1つのウェハは水酸化カリウム5g/L、pH13の水溶液中に浸漬され、第2のウェハは炭酸ナトリウム10g/L、pH11の水溶液中に浸漬され、そして第3のウェハは炭酸カリウム10g/L、pH11の水溶液中に浸漬された。各溶液の温度は50℃であった。各ウェハの各溶液中での滞留時間は9分間であった。このレジストの全てが各ウェハから除去された。
【0049】
ウェハはこれら溶液から取り出され、水ですすがれた。次いで、各ウェハのエミッタ層のシート抵抗率が測定された。5g/Lの水酸化カリウムで処理されたウェハのシート抵抗率は当初の65オーム/スクエアから155オーム/スクエアの高さまで増加した。10g/Lの炭酸ナトリウムで処理されたウェハは65オーム/スクエアから70オーム/スクエアまで増大した。10g/Lの炭酸カリウムで処理されたウェハは60オーム/スクエアから65オーム/スクエアまで増大した。炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムで処理されたウェハのシート抵抗率は水酸化カリウムで処理されたウェハのシート抵抗率と比較して、シート抵抗率のわずかな変化しか示さなかった。しかし、可溶化したレジストを伴った炭酸ナトリウム溶液が室温まで冷却された場合には、炭酸ナトリウム溶液はゲルを形成した。これに対して、可溶化したレジストを伴った炭酸カリウム溶液が室温まで冷却された場合には、この溶液は透明かつ流動可能なままであり、これは炭酸カリウム剥離剤が安定でありかつレジストを溶液中に維持したことを示す。
【0050】
実施例3
従来のスクリーン印刷アルミニウムペーストから製造された裏面上のアルミニウム電極およびPN接合を伴う、深いエミッタ(250〜300nmより深い)単結晶シリコンウェハがMetler ToledoからのSartorius分析天秤上で秤量された。これは炭酸カリウムの10g/L溶液中に浸漬された。この炭酸カリウム溶液は11のpHを有しており、温度は70℃であった。
ウェハはこの溶液中に10分間攪拌しつつ浸漬された。浸漬中に、炭酸カリウムがアルミニウム電極を腐蝕していたことを示す、アルミニウム電極において形成される水素ガスの泡が観察された。ウェハはこの溶液から取り出されて水ですすがれ、空気乾燥され、秤量された。ウェハの重量は0.2重量%減っていた。この重量損失は、アルミニウム電極が炭酸カリウム溶液によってなされたことをさらに示す。
【0051】
実施例4
従来のスクリーン印刷アルミニウムペーストから製造された裏面上のアルミニウム電極およびPN接合を伴う、深いエミッタ単結晶シリコンウェハが、炭酸カリウムの10g/L、およびケイ酸カリウム1g/L、pH11の水溶液中に10分間、70℃の温度で、攪拌しつつ浸漬された。アルミニウム電極からの観察可能な泡の発生はなかった。ケイ酸カリウムの添加は、アルミニウム電極の炭酸カリウムによる腐蝕を抑制した。この溶液を室温まで冷却したときに、この溶液は流動可能かつ透明なままであった。この溶液の観察可能なゲル化はなかった。
【0052】
実施例5
Direct Mask商標DoD300インクジェットプリンターを用いて、PN接合を伴う深いエミッタ単結晶シリコンウェハが、上記実施例1に記載されるホットメルトレジストで選択的にコーティングされた。このシリコンウェハはその裏面上にアルミニウム電極も含んでいた。このアルミニウム電極は焼かれた従来のアルミニウムペーストから製造された。次いで、このウェハは水酸化カリウムの5g/L溶液中に浸漬された。この水酸化カリウムの溶液は13のpHを有しており、温度は40℃であった。水酸化カリウム中で3分後に、アルミニウム電極から発生する泡が観察された。これは水酸化カリウムによるアルミニウム電極に対する腐食作用を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)PN接合を有する半導体基体であって、PN接合を有する半導体基体の前面上に反射防止コーティングをおよび裏面上にアルミニウム含有電極を含む半導体基体を提供し;
b)前記PN接合を有する半導体基体上の反射防止コーティングにホットメルトエッチングレジストを選択的に適用し;
c)前記PN接合を有する半導体基体の反射防止コーティングの露出部分にエッチング剤を適用し、反射防止コーティングの露出部分を除去して、PN接合を有する半導体基体の前面を選択的に露出させ;並びに
d)炭酸カリウムおよびケイ酸カリウムを含む剥離剤を前記PN接合を有する半導体基体に適用して、反射防止コーティングからホットメルトエッチングレジスト除去する;
ことを含む方法。
【請求項2】
前記PN接合を有する半導体基体の選択的に露出した前面上に金属を堆積させて、電流トラックを形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
剥離剤が1種以上の消泡剤をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
剥離剤組成物のpHが8〜12の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
剥離剤の温度が室温〜70℃の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ホットメルトレジストが1種以上のワックスおよび1種以上の水素化ロジン樹脂を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
炭酸カリウム、ケイ酸カリウムおよび水から本質的になる剥離剤組成物。
【請求項8】
1種以上の消泡剤をさらに含む請求項8に記載の剥離剤組成物。
【請求項9】
a)PN接合を有する半導体基体であって、PN接合を有する半導体基体の前面上に選択的エミッタをおよび裏面上にアルミニウム含有電極を含む半導体基体を提供し;
b)前記PN接合を有する半導体基体上の選択的エミッタにホットメルトエッチングレジストを選択的に適用し;
c)前記PN接合を有する選択的エミッタの露出部分にエッチング剤を適用して、前記露出部分をエッチングし;並びに
d)炭酸カリウムおよびケイ酸カリウムを含む剥離剤を前記PN接合を有する半導体基体に適用して、選択的エミッタからホットメルトエッチングレジスト除去する;
ことを含む方法。

【公開番号】特開2012−89829(P2012−89829A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−204197(P2011−204197)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】