半導体光素子および半導体光装置
【課題】偏光フィルタのような追加の構造を用いることなく、特定の偏光の検出を可能にした赤外線センサおよび赤外線センサアレイの提供。
【解決手段】赤外線センサ100は、温度検知部と、温度検知部に熱的に接続された吸収体10とを含み、吸収体10に入射した光を検出する半導体光素子であって、吸収体10の表面に含まれた第1方向と、第1方向とは異なる第2方向が規定され、吸収体10は、第1方向に第1周期で設けられ、第2方向に第2周期で設けられた凹部11を有し、第1周期と第2周期が異なるか、または吸収体10は、第1方向および第2方向に周期的に設けられた凹部11を有し、吸収体10の表面における凹部11の形状が第1方向と第2方向で異なる。
【解決手段】赤外線センサ100は、温度検知部と、温度検知部に熱的に接続された吸収体10とを含み、吸収体10に入射した光を検出する半導体光素子であって、吸収体10の表面に含まれた第1方向と、第1方向とは異なる第2方向が規定され、吸収体10は、第1方向に第1周期で設けられ、第2方向に第2周期で設けられた凹部11を有し、第1周期と第2周期が異なるか、または吸収体10は、第1方向および第2方向に周期的に設けられた凹部11を有し、吸収体10の表面における凹部11の形状が第1方向と第2方向で異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体光素子および半導体光装置に関し、特に熱型の赤外線センサおよび赤外線センサアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱型赤外線センサでは、赤外線センサ自身は入射光の偏光を検出する機能を有していない。このため、特定の偏光を選択的に検出する場合、赤外線センサに様々な光学フィルタを設け、光学フィルタにより偏光を選択的に透過させて特定の偏光を検出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−29824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、偏光フィルタと赤外線センサを組み合わせた構造では、第1に、赤外線センサの他にフィルタが必要となり構造が複雑になる、第2に、どのようなフィルタを用いても必要な波長成分も部分的にカットされてしまい検出効率が低下する、第3に、複数の偏光を検出するためには、赤外線センサ毎に構造の異なるフィルタを装着しなければならず構造が複雑化する、等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、偏光フィルタのような追加の構造を用いることなく、特定の偏光の検出を可能にした赤外線センサおよび赤外線センサアレイの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、温度検知部と、温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、吸収体の表面に含まれた第1方向と、第1方向とは異なる第2方向が規定され、吸収体は、第1方向に第1周期で設けられ、第2方向に第2周期で設けられた凹部を有し、第1周期と第2周期が異なることを特徴とする半導体光素子である。
【0007】
また、本発明は、温度検知部と、温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、吸収体の表面に含まれた第1方向と、第1方向とは異なる第2方向が規定され、吸収体は、第1方向および第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、吸収体の表面における凹部の形状が第1方向と第2方向で異なることを特徴とする半導体光素子でもある。
【0008】
また、本発明は、本発明にかかる半導体光素子をアレイ状に配置した半導体光装置でもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる赤外線センサでは、非対称な2次元周期構造を有する吸収体または吸収膜を用いることにより、赤外線センサのみで偏光の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサアレイの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサの上面図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサ(吸収体なし)の上面図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサの断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる(a)赤外線センサのパターンと、(b)偏光角度である。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる吸収体の吸収特性である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる吸収体の吸収特性である。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる吸収体の吸収特性である。
【図9】本発明の実施の形態2にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図10】本発明の実施の形態3にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図11】本発明の実施の形態4にかかる赤外線センサの上面図である。
【図12】本発明の実施の形態4にかかる赤外線センサのパターンである。
【図13】本発明の実施の形態4にかかる吸収体の吸収特性である。
【図14】本発明の実施の形態4にかかる吸収体の吸収特性である。
【図15】本発明の実施の形態4にかかる吸収体の吸収特性である。
【図16】本発明の実施の形態5にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図17】本発明の実施の形態6にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図18】本発明の実施の形態7にかかる吸収体の上面図である。
【図19】本発明の実施の形態7にかかる(a)赤外線センサのパターンと、(b)配置角度である。
【図20】本発明の実施の形態7にかかる吸収体の、吸収率の偏光特性を示す。
【図21】本発明の実施の形態8にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図22】本発明の実施の形態9にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図23】本発明の実施の形態10にかかる赤外線センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、全体が1000で表される、本発明の実施の形態1にかかる熱型の赤外線センサアレイの斜視図である。赤外線センサアレイ1000では、基板1の上に複数の熱型の赤外線センサ100がマトリックス上に配置されている。赤外線センサ100の周囲には、赤外線センサ100により検出した信号を処理して画像を検出する検出回路1010が設けられている。
【0012】
図2は、全体が100で表される、本発明の実施の形態1にかかる熱型の赤外線センサの上面図である。また、図3は、吸収体10を除去した赤外線センサ100の平面図であり、明確化のために配線上の保護膜や反射膜は省略してある。また、図4は、図3の赤外線センサ100をIII−III方向に見た場合の断面図(吸収体等を含む)である。
【0013】
図2〜図4に示すように、赤外線センサ100は、例えばシリコンからなる基板1を含む。基板1には中空部2が設けられ、中空部2の上には、温度検知部4が支持脚3により支持されている。支持脚3は、ここでは2本であり、図3に示すように、上方から見るとL字型に折れ曲がったブリッジ形状となっている。支持脚3は薄膜金属配線6とこれを支える誘電体膜16を含んでいる。
【0014】
温度検知部4は、検知膜5と薄膜金属配線6を含む。検知膜5は、例えば結晶シリコンを用いたダイオードからなる。薄膜金属配線6は支持脚3にも設けられ、検知膜5とアルミニウム配線7とを電気的に接続している。薄膜金属配線6は例えば厚さ100nmのチタン合金からなる。検知膜5が出力した電気信号は、支持脚3に形成された薄膜金属配線6を経由してアルミニウム配線7に伝わり、検出回路(図1の1010)により取り出される。薄膜金属配線6と検知膜5の間、および薄膜金属配線6とアルミニウム配線7との間の電気的接続は、必要に応じて上下方向に延在する導電体(図示せず)を介して行っても良い。
【0015】
赤外線を反射する反射膜8は、中空部2を覆うように配置されている。但し、反射膜8と温度検知部4は熱的に接続されない状態で、支持脚3の少なくとも一部の上方を覆うように配置されている。
【0016】
温度検知部4の上には、支持柱9が設けられ、その上に吸収体10が支持されている。通常、支持柱9と吸収体10は一体構造からなる。図2に示すように、赤外線センサ100は、上方から見ると吸収体(吸収傘)10のみが見える。吸収体10は、例えばAu、Agなどの金属薄膜からなり、膜厚は数nm程度から数百nm程度であり、対象とする吸収波長において入射光の漏れ出しがない厚さが望ましい。ここでは、吸収体10は金属薄膜の単層構造としたが、例えば100〜200nm程度の酸化シリコンなどの誘電体薄膜で金属薄膜の上下を挟み込んだ3層構造や、誘電体薄膜の上に金属薄膜を形成した2層構造を用いても良い。金属薄膜としてはAu、Ag、Cu、Alを用いることが好ましい。
【0017】
吸収体10には、円筒状の凹部11が2次元的な周期構造を形成するように設けられている。但し、図2に示すように、x軸方向の周期とy軸方向の周期は互いに異なり、これを非対称周期構造と呼ぶ。なお、非対称周期構造については後述する。
【0018】
吸収体10の膜厚は、吸収、熱時定数、材料の応力等を考慮して適宜決められる。図4から分かるように、吸収体10は温度検知部4の上に支持柱9で接続されており、即ち、吸収体10と温度検知部4は熱的に接続されている。一方、吸収体10は、反射膜8とは熱的に接続されない状態で、反射膜8より上方に保持され、反射膜8の少なくとも一部を覆い隠すように側方に板状に広がっている。
【0019】
かかる赤外線センサ100では、入射した赤外線は主に吸収体10で吸収される。一方、吸収体10を透過した赤外線は、反射膜8で反射されて吸収体10に裏面から入射して吸収される。吸収体10に吸収された赤外線は熱に変換され、支持柱9を通って温度検知部4に伝わる。温度検知部4では、検知膜5の電気抵抗が温度により変化するため、外部に設けた検出回路でこれを検出することにより、赤外線の量を検出する。ここでは反射膜8を設けた構造を示したが、反射膜8は無くても良い。
【0020】
次に、非対称周期構造を有する吸収体10の吸収特性について説明する。図5(a)は、図2に示す赤外線センサ100の吸収体10の一部であり、図5(b)は、入射光の電界の向きである。ここでは、凹部11は円筒形状であり、xy平面における形状は円形となっている。図5(a)に示すように、d:凹部11の直径、px:x軸方向の周期、py:y軸方向の周期、h:凹部11の深さ、λab:吸収波長とする。
【0021】
図6〜図8は、Auからなる金属薄膜から形成され、d=3μm、px=6μm、py=4μm、h=1μmの2次元非対称周期構造を有する吸収体10の吸収特性を、厳密結合波解析により求めた結果(破線で表示)である。横軸は吸収波長、縦軸は吸収率を表す。
【0022】
図6、7、8において、入射光の偏光角度θはそれぞれ0°、45°、90°である。なお、入射光の電界成分は、x軸方向に平行(偏光角度0°)および、y軸方向に平行(偏光角度90°)な方向について解析した。従って、図5(b)に示すように、偏光角度θは、x軸方向が0°であり、y軸方向に向かって角度が増加し、y軸方向が90°となる。また、比較例として、px=py=6μmの対称周期構造の吸収特性も併せて示した(実線で表示)。
【0023】
図6〜図8から、本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサ100では、吸収体10が非対称周期構造を有することにより、偏光角度に対して吸収特性のプロファイル(吸収波長、吸収率)が変化することがわかる。即ち、凹部11の周期を方向によって非対称とすることで、吸収特性に偏光依存性が現れる。ここでは、一つの具体例を用いて説明したが、例えば、px=5μm、px=6μmの場合でも吸収特性の偏光依存性が見られる。つまり、周期に非対称性を導入することで、吸収特性が偏光依存性を有するようになり、所望の波長で偏光を検出するには、吸収体にこのような非対称周期構造を形成すればよいことがわかる。
【0024】
ここでは、図5(a)のような正方格子型(直交する2方向に凹部を配列)を示したが、三角格子型(直交しない2方向、例えば45の角度で凹部を配列)などの他の単位格子、あるいは放射状に凹部が周期的に配置されている構造においてもこの特性は成立する。
【0025】
金属膜の表面に周期構造を設けることより、特定波長の光を選択的に吸収できる現象は、物理の分野においては、表面プラズモン、表面プラズモン共鳴、プラズモニクス、あるいはメタマテリアルとも呼ばれる。名称は異なっているが、いずれの場合においても、金、銀、アルミニウム等の金属に微細構造を形成すると、表面の形状に応じて、表面に強く局在する表面モードが生じ吸収が発生するというメカニズムは同じである。
【0026】
以上で述べたように、非対称周期構造を有する吸収体を備えることにより、入射光の偏光角度に依存して吸収特性を変化させることができる。このため、予め、図6〜図8に示すような偏光角度θに依存した吸収特性をデータベース化しておき、赤外線センサ100で検出した入射光の吸収特性と比較することにより、入射光の偏光角度を特定することができる。この際、赤外線センサ100を、z軸を中心軸として回転させることが好ましい。
【0027】
このように、本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサ100では、非対称周期構造を有する吸収体を用いることにより、非対称性を有する2次元周期構造に応じた偏光のみを吸収することが可能となる。従って、第1に、偏光フィルタを別途設けることが不要となり、偏光検出システムを赤外線センサ単体からなる最少構造とすることができる。第2に、フィルタにおける赤外線吸収がなくなり、検出効率を高くできる。第3に、複数の異なる偏光を検出する場合、赤外線センサの赤外線吸収部分の非対称周期構造を偏光するだけで、所望の偏光をフィルタ無しで検出することが可能になる。
【0028】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、図2に示す赤外線センサ100をアレイ状(マトリックス状)に配置したものである。これは、図1に示す赤外線センサアレイ1000に含まれる、4つの赤外線センサ100を示すものである。
【0029】
ここでは、説明を簡単にするために2行2列(2×2)の合計4個の赤外線センサを示すが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各センサが検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0030】
このように、非対称周期構造を有する吸収体をアレイ状に並べることにより、偏光情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、アレイを回転させることで、本発明の実施の形態1で述べたように各画素(1つの吸収体が1画素に対応する)において偏光角度を求めることが可能になり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0031】
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、(a)に示すように、異なる非対称周期構造を有する4つの吸収体10、20、30、40をアレイ状に配置したものである。但し、非対称周期構造でない対称周期構造(x軸方向、y軸方向の周期が同じ)の吸収体を含んでもよい。また、周期のみならず、凹部の直径等の大きさが異なる非対称周期構造を含んでも良い。
また、(b)に示すように、同一構造の吸収体を複数含む構造であっても良い((b)では、吸収体10が2つ設けられている)。
【0032】
ここでは、説明を簡単にするために2行2列の合計4個の赤外線センサ(実施の形態1と同様の吸収体A:10、吸収体B:20、吸収体C:30、吸収体D:40)からなる赤外線センサアレイを示すが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各素子が検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0033】
本発明の実施の形態1で述べたように、各赤外線センサ(各画素)において偏光角度および入射光強度の情報を有する画像を検出することに加えて、各赤外線センサが異なる非対称周期構造を有することで、各画素における検出波長を制御することが可能になる。即ち、各画素において、偏光角度、および画素によって異なる波長における入射光強度情報を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0034】
実施の形態4.
図11は、本発明の実施の形態4にかかる熱型の赤外線センサの上面図である。吸収体50に形成した凹部51のxy平面における形状を、非対称な楕円形状とし、一方で、x軸方向およびy軸方向には、凹部51を一定周期で配置する構造とした。つまり本実施の形態4では、吸収体50に形成する凹部51の形状自体に非対称性を導入する。かかる構造は、非対称形状周期構造とよぶ。
【0035】
図11の吸収体50では、Auからなる金属薄膜から形成され、図12に示すように、dx:凹部51のx軸方向の径(長径)、dy:凹部51のy軸方向の径(短径)、p:周期、h:凹部51の深さとする。図13〜図15は、dx=3μm、dy=1.5μm、p=6μm、h=1μmの構造について、吸収率の偏光特性を厳密結合波解析によって求めた結果である。図13、14、15において、入射光の偏光角度θはそれぞれ0°、45°、90°である。
【0036】
図13〜図15から分かるように、非対称形状周期構造を有する吸収体50を用いることにより、偏光角度θが0°から90°に変化するにつれて、特定波長において吸収率が増加することが分かる。このように、楕円形状等の凹部51からなる非対称形状周期構造の場合、主たる吸収波長は周期構造の場合とほぼ等しいが、偏光角度θによって吸収率が変化する。
【0037】
この特性を利用し、吸収率を相対的に検出することにより偏光角度を決定することが可能となる。偏光角度の検出方法としては、赤外線センサをz軸を中心として回転させて、吸収率を検出する方法がある。または、参照画素として、対称周期構造の画素(例えば、dx=dy=3μmである吸収体10)を同時に設置し、検出出力の差分を取り、この差分値を予め設定した値(データベースの値)と比較して偏光角度を決定しても良い。
【0038】
なお、図12では、正方格子型を示したが、三角格子型などの他の単位格子、あるいは放射状に凹部が周期的に配置されている構造においてもこの特性は成立する。また、非対称の凹部形状としては、xy平面における形状は、楕円の他に、長方形、三角形などでもよい。重要なのは、凹部形状の対称性が破れていることにより、凹部に局在する電界に偏りが生じ、偏光依存性が現れることである。
【0039】
実施の形態5.
図16は、本発明の実施の形態5にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、図11に示す非対称形状周期構造の吸収体50を有する赤外線センサをアレイ状に配置したものである。ここでは、説明を簡単にするために、2行2列の合計4個の赤外線センサからなる赤外線センサアレイを示しているが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各素子が検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0040】
このように、熱型の赤外線センサをアレイ状に並べて、非対称形状周期構造に固有の吸収の偏光特性を利用することで、偏光情報を有した画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、赤外線センサアレイを、z軸を中心として回転させることにより、本発明の実施の形態1で述べたように各画素において偏光角度を求めることが可能となり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0041】
実施の形態6.
図17は、本発明の実施の形態6にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、異なる周期および楕円形状を有する非対称形状周期構造を有する4つの吸収体50、60、70、80をアレイ状に配置したものである。但し、非対称形状周期構造でない吸収体を含んでもよく、また、周期が非対称な非対称周期構造を含んでも良い。
【0042】
ここでは、説明を簡単にするために2行2列の合計4個(実施の形態4と同様の吸収体E:50、吸収体F:60、吸収体G:70、吸収体H:80)を有する赤外線センサからなる赤外線センサアレイを示しているが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各素子が検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0043】
このように、本発明の実施の形態6かかる赤外線センサアレイでは、熱型の赤外線センサをアレイ状に並べて、非対称形状周期構造に固有の吸収の偏光特性を利用することにより、複数の波長における偏光情報を有した画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、赤外線アレイを、z軸を中心として回転させることで、本発明の実施の形態1で述べたように各画素において偏光角度を求めることが可能になり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0044】
実施の形態7.
図18は、本発明の実施の形態7にかかる熱型の赤外線センサの上面図である。図19に示すように、吸収体90に形成した凹部91のxy平面における形状を正方形とし、正方形の中心を固定してθだけ回転させた配置となっている。また、この場合の回転角度θは例えば30°であり、中心点に対して回転対称となる角度、90°、180°、270°ではない。一方で、x軸方向およびy軸方向には、凹部91を一定周期(px、py)で配置する。
【0045】
つまり本実施の形態7では、吸収体90に形成する凹部91の、吸収体表面における形状が、x軸、y軸の双方の軸に対して鏡面対称とならない(非鏡面対称となる)回転角度θを持つ。かかる構造を、非鏡面対称形状周期構造とよぶ。より具体的には、図19(b)に示すように、凹部91は、凹部91の中心を通るx軸、y軸のいずれの軸に対しても鏡面対称とはならない。
【0046】
図18の吸収体90では、吸収率の偏光特性を厳密結合波解析によって求めると凹部91の周期とほぼ等しい波長において吸収率がピークをもつ。図18の吸収体90では、図19に示すように、L:凹部91の一辺の長さ、p:周期、h:凹部91の深さとなる。
【0047】
図20は、Auからなる金属薄膜から形成され、L=3μm、p(px、py)=6μm、h=1μmの構造について、波長6μmにおける吸収率の偏光特性を厳密結合波解析によって求めた結果である。図20において、横軸は偏向角度、縦軸は吸収率を表す。この波長において、偏光角度θが0°から180°に変化するにつれて、特定偏光角度において吸収率が増加することが分かる。
このように、楕円形状等の凹部91からなる非対称形状周期構造の場合、主たる吸収波長は周期構造の場合とほぼ等しいが、回転角度θによって吸収率に偏光依存性が現れる。
【0048】
この特性を利用して、吸収率を相対的に検出することにより偏光角度を決定することが可能となる。偏光角度の検出方法としては、赤外線センサを、z軸を中心として回転させて、吸収率を検出する方法がある。または、参照画素として、対称周期構造の画素(例えば、px=py=6μmである吸収体10)を同時に設置し、検出出力の差分を取り、この差分値を予め設定した値(データベースの値)と比較して偏光角度を決定しても良い。
なお、図18では、凹部形状としては、xy平面における形状は、正方形の他に、正三角形、正五角形などの正多角形、長方形、ひし形でもよい。重要なのは、凹部形状において周期を規定する軸に対して形状が鏡面対称とならないことである。
【0049】
実施の形態8.
図21は、本発明の実施の形態8にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、図18に示す非対称形状周期構造の吸収体90を有する赤外線センサをアレイ状に配置したものである。ここでは、説明を簡単にするために、2行2列の合計4個の赤外線センサからなる赤外線センサアレイを示しているが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各赤外線センサが検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0050】
このように、熱型の赤外線センサをアレイ状に並べて、非鏡面対称形状周期構造に固有の吸収の偏光特性を利用することで、偏光情報を有した画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、赤外線センサアレイを、z軸を中心として回転させることにより、本発明の実施の形態1で述べたように各画素において偏光角度を求めることが可能となり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることも可能となる。
【0051】
実施の形態9.
図22は、本発明の実施の形態9にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、周期(p)や大きさ(L)が異なる非鏡面対称形状周期構造を有する4つの吸収体90、110、120、130をアレイ状に配置したものである。但し、非対称形状周期構造でない吸収体を含んでも良く、また、周期が非対称な非対称周期構造を含んでも良い。
【0052】
ここでは、説明を簡単にするために2行2列の合計4個(実施の形態4と同様の吸収体E:90、吸収体F:110、吸収体G:120、吸収体H:130)を有する赤外線センサからなる赤外線センサアレイを示しているが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各素子が検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0053】
このように、本発明の実施の形態7かかる赤外線センサアレイでは、熱型の赤外線センサをアレイ状に並べて、非鏡面対称形状周期構造に固有の吸収の偏光特性を利用することにより、複数の波長における偏光情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、赤外線アレイを、z軸を中心として回転させることで、本発明の実施の形態1で述べたように各画素において偏光角度を求めることが可能になり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0054】
実施の形態10.
図23は、本発明の実施の形態10にかかる熱型の赤外線センサの温度検知部4の断面図である。温度検知部4は、検知膜5と薄膜金属配線6を含む。検知膜5は、例えばダイオードであり、シリコンからなる。薄膜金属配線6は、例えば厚みが100nmのチタン合金の膜からなる。
【0055】
更に、温度検知部4は、赤外線を吸収する吸収膜25を、その上部に直接備えている。吸収膜25はAu、Agなどの金属からなる。更に、吸収膜25は、実施の形態1または実施の形態4で示したような、非対称周期構造または非対称形状周期構造を有する。
なお、温度検知部4以外の構造は、図4の熱型赤外線センサ100と同じであり、温度検知部4は支持脚3で中空部2の上部に支持される。
【0056】
このような、吸収膜25と一体形成された温度検知部4を有する赤外線センサを用いることによっても、所望の波長において、特定の偏光で固有の吸収特性を有する。これにより、特定の偏光特性を検出することが可能となる。
【0057】
特に、本実施の形態10にかかる構造では、吸収体を支持柱で支持する工程が不要となり、製造工程が簡略化され、より安価に製品を製造できる。
【0058】
なお、実施の形態3、6、8において、互いに異なる非対称周期構造の吸収体を有する赤外線センサアレイ、互いに異なる非対称形状周期構造の吸収体を有する赤外線センサアレイ、互いに異なる非鏡面対称形状周期構造の吸収体を有する赤外線センサアレイ、に加えて、これらの複数の構造の吸収体が混在した赤外線センサアレイ、更には対称周期構造や対称形状周期構造の吸収体が混在した赤外線センサアレイを用いることも可能である。実施の形態10の吸収膜25に凹部を形成する場合も同様である。
【0059】
また、本実施の形態1〜10では、x軸方向とy軸方向に、凹部を配列した構造について説明したが、これ以外の方向(例えば、互いに45°角度を有する方向)に凹部を並列しても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1 基板、2 中空部、3 支持脚、4 温度検知部、5 検知膜、6 薄膜金属配線、7 アルミニウム配線、8 反射膜、9 支持柱、10 吸収体、11 凹部、12 絶縁膜、100 赤外線センサ、1000 赤外線センサアレイ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体光素子および半導体光装置に関し、特に熱型の赤外線センサおよび赤外線センサアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱型赤外線センサでは、赤外線センサ自身は入射光の偏光を検出する機能を有していない。このため、特定の偏光を選択的に検出する場合、赤外線センサに様々な光学フィルタを設け、光学フィルタにより偏光を選択的に透過させて特定の偏光を検出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−29824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、偏光フィルタと赤外線センサを組み合わせた構造では、第1に、赤外線センサの他にフィルタが必要となり構造が複雑になる、第2に、どのようなフィルタを用いても必要な波長成分も部分的にカットされてしまい検出効率が低下する、第3に、複数の偏光を検出するためには、赤外線センサ毎に構造の異なるフィルタを装着しなければならず構造が複雑化する、等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、偏光フィルタのような追加の構造を用いることなく、特定の偏光の検出を可能にした赤外線センサおよび赤外線センサアレイの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、温度検知部と、温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、吸収体の表面に含まれた第1方向と、第1方向とは異なる第2方向が規定され、吸収体は、第1方向に第1周期で設けられ、第2方向に第2周期で設けられた凹部を有し、第1周期と第2周期が異なることを特徴とする半導体光素子である。
【0007】
また、本発明は、温度検知部と、温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、吸収体の表面に含まれた第1方向と、第1方向とは異なる第2方向が規定され、吸収体は、第1方向および第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、吸収体の表面における凹部の形状が第1方向と第2方向で異なることを特徴とする半導体光素子でもある。
【0008】
また、本発明は、本発明にかかる半導体光素子をアレイ状に配置した半導体光装置でもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる赤外線センサでは、非対称な2次元周期構造を有する吸収体または吸収膜を用いることにより、赤外線センサのみで偏光の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサアレイの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサの上面図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサ(吸収体なし)の上面図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサの断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる(a)赤外線センサのパターンと、(b)偏光角度である。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる吸収体の吸収特性である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる吸収体の吸収特性である。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる吸収体の吸収特性である。
【図9】本発明の実施の形態2にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図10】本発明の実施の形態3にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図11】本発明の実施の形態4にかかる赤外線センサの上面図である。
【図12】本発明の実施の形態4にかかる赤外線センサのパターンである。
【図13】本発明の実施の形態4にかかる吸収体の吸収特性である。
【図14】本発明の実施の形態4にかかる吸収体の吸収特性である。
【図15】本発明の実施の形態4にかかる吸収体の吸収特性である。
【図16】本発明の実施の形態5にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図17】本発明の実施の形態6にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図18】本発明の実施の形態7にかかる吸収体の上面図である。
【図19】本発明の実施の形態7にかかる(a)赤外線センサのパターンと、(b)配置角度である。
【図20】本発明の実施の形態7にかかる吸収体の、吸収率の偏光特性を示す。
【図21】本発明の実施の形態8にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図22】本発明の実施の形態9にかかる赤外線センサアレイの上面図である。
【図23】本発明の実施の形態10にかかる赤外線センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、全体が1000で表される、本発明の実施の形態1にかかる熱型の赤外線センサアレイの斜視図である。赤外線センサアレイ1000では、基板1の上に複数の熱型の赤外線センサ100がマトリックス上に配置されている。赤外線センサ100の周囲には、赤外線センサ100により検出した信号を処理して画像を検出する検出回路1010が設けられている。
【0012】
図2は、全体が100で表される、本発明の実施の形態1にかかる熱型の赤外線センサの上面図である。また、図3は、吸収体10を除去した赤外線センサ100の平面図であり、明確化のために配線上の保護膜や反射膜は省略してある。また、図4は、図3の赤外線センサ100をIII−III方向に見た場合の断面図(吸収体等を含む)である。
【0013】
図2〜図4に示すように、赤外線センサ100は、例えばシリコンからなる基板1を含む。基板1には中空部2が設けられ、中空部2の上には、温度検知部4が支持脚3により支持されている。支持脚3は、ここでは2本であり、図3に示すように、上方から見るとL字型に折れ曲がったブリッジ形状となっている。支持脚3は薄膜金属配線6とこれを支える誘電体膜16を含んでいる。
【0014】
温度検知部4は、検知膜5と薄膜金属配線6を含む。検知膜5は、例えば結晶シリコンを用いたダイオードからなる。薄膜金属配線6は支持脚3にも設けられ、検知膜5とアルミニウム配線7とを電気的に接続している。薄膜金属配線6は例えば厚さ100nmのチタン合金からなる。検知膜5が出力した電気信号は、支持脚3に形成された薄膜金属配線6を経由してアルミニウム配線7に伝わり、検出回路(図1の1010)により取り出される。薄膜金属配線6と検知膜5の間、および薄膜金属配線6とアルミニウム配線7との間の電気的接続は、必要に応じて上下方向に延在する導電体(図示せず)を介して行っても良い。
【0015】
赤外線を反射する反射膜8は、中空部2を覆うように配置されている。但し、反射膜8と温度検知部4は熱的に接続されない状態で、支持脚3の少なくとも一部の上方を覆うように配置されている。
【0016】
温度検知部4の上には、支持柱9が設けられ、その上に吸収体10が支持されている。通常、支持柱9と吸収体10は一体構造からなる。図2に示すように、赤外線センサ100は、上方から見ると吸収体(吸収傘)10のみが見える。吸収体10は、例えばAu、Agなどの金属薄膜からなり、膜厚は数nm程度から数百nm程度であり、対象とする吸収波長において入射光の漏れ出しがない厚さが望ましい。ここでは、吸収体10は金属薄膜の単層構造としたが、例えば100〜200nm程度の酸化シリコンなどの誘電体薄膜で金属薄膜の上下を挟み込んだ3層構造や、誘電体薄膜の上に金属薄膜を形成した2層構造を用いても良い。金属薄膜としてはAu、Ag、Cu、Alを用いることが好ましい。
【0017】
吸収体10には、円筒状の凹部11が2次元的な周期構造を形成するように設けられている。但し、図2に示すように、x軸方向の周期とy軸方向の周期は互いに異なり、これを非対称周期構造と呼ぶ。なお、非対称周期構造については後述する。
【0018】
吸収体10の膜厚は、吸収、熱時定数、材料の応力等を考慮して適宜決められる。図4から分かるように、吸収体10は温度検知部4の上に支持柱9で接続されており、即ち、吸収体10と温度検知部4は熱的に接続されている。一方、吸収体10は、反射膜8とは熱的に接続されない状態で、反射膜8より上方に保持され、反射膜8の少なくとも一部を覆い隠すように側方に板状に広がっている。
【0019】
かかる赤外線センサ100では、入射した赤外線は主に吸収体10で吸収される。一方、吸収体10を透過した赤外線は、反射膜8で反射されて吸収体10に裏面から入射して吸収される。吸収体10に吸収された赤外線は熱に変換され、支持柱9を通って温度検知部4に伝わる。温度検知部4では、検知膜5の電気抵抗が温度により変化するため、外部に設けた検出回路でこれを検出することにより、赤外線の量を検出する。ここでは反射膜8を設けた構造を示したが、反射膜8は無くても良い。
【0020】
次に、非対称周期構造を有する吸収体10の吸収特性について説明する。図5(a)は、図2に示す赤外線センサ100の吸収体10の一部であり、図5(b)は、入射光の電界の向きである。ここでは、凹部11は円筒形状であり、xy平面における形状は円形となっている。図5(a)に示すように、d:凹部11の直径、px:x軸方向の周期、py:y軸方向の周期、h:凹部11の深さ、λab:吸収波長とする。
【0021】
図6〜図8は、Auからなる金属薄膜から形成され、d=3μm、px=6μm、py=4μm、h=1μmの2次元非対称周期構造を有する吸収体10の吸収特性を、厳密結合波解析により求めた結果(破線で表示)である。横軸は吸収波長、縦軸は吸収率を表す。
【0022】
図6、7、8において、入射光の偏光角度θはそれぞれ0°、45°、90°である。なお、入射光の電界成分は、x軸方向に平行(偏光角度0°)および、y軸方向に平行(偏光角度90°)な方向について解析した。従って、図5(b)に示すように、偏光角度θは、x軸方向が0°であり、y軸方向に向かって角度が増加し、y軸方向が90°となる。また、比較例として、px=py=6μmの対称周期構造の吸収特性も併せて示した(実線で表示)。
【0023】
図6〜図8から、本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサ100では、吸収体10が非対称周期構造を有することにより、偏光角度に対して吸収特性のプロファイル(吸収波長、吸収率)が変化することがわかる。即ち、凹部11の周期を方向によって非対称とすることで、吸収特性に偏光依存性が現れる。ここでは、一つの具体例を用いて説明したが、例えば、px=5μm、px=6μmの場合でも吸収特性の偏光依存性が見られる。つまり、周期に非対称性を導入することで、吸収特性が偏光依存性を有するようになり、所望の波長で偏光を検出するには、吸収体にこのような非対称周期構造を形成すればよいことがわかる。
【0024】
ここでは、図5(a)のような正方格子型(直交する2方向に凹部を配列)を示したが、三角格子型(直交しない2方向、例えば45の角度で凹部を配列)などの他の単位格子、あるいは放射状に凹部が周期的に配置されている構造においてもこの特性は成立する。
【0025】
金属膜の表面に周期構造を設けることより、特定波長の光を選択的に吸収できる現象は、物理の分野においては、表面プラズモン、表面プラズモン共鳴、プラズモニクス、あるいはメタマテリアルとも呼ばれる。名称は異なっているが、いずれの場合においても、金、銀、アルミニウム等の金属に微細構造を形成すると、表面の形状に応じて、表面に強く局在する表面モードが生じ吸収が発生するというメカニズムは同じである。
【0026】
以上で述べたように、非対称周期構造を有する吸収体を備えることにより、入射光の偏光角度に依存して吸収特性を変化させることができる。このため、予め、図6〜図8に示すような偏光角度θに依存した吸収特性をデータベース化しておき、赤外線センサ100で検出した入射光の吸収特性と比較することにより、入射光の偏光角度を特定することができる。この際、赤外線センサ100を、z軸を中心軸として回転させることが好ましい。
【0027】
このように、本発明の実施の形態1にかかる赤外線センサ100では、非対称周期構造を有する吸収体を用いることにより、非対称性を有する2次元周期構造に応じた偏光のみを吸収することが可能となる。従って、第1に、偏光フィルタを別途設けることが不要となり、偏光検出システムを赤外線センサ単体からなる最少構造とすることができる。第2に、フィルタにおける赤外線吸収がなくなり、検出効率を高くできる。第3に、複数の異なる偏光を検出する場合、赤外線センサの赤外線吸収部分の非対称周期構造を偏光するだけで、所望の偏光をフィルタ無しで検出することが可能になる。
【0028】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、図2に示す赤外線センサ100をアレイ状(マトリックス状)に配置したものである。これは、図1に示す赤外線センサアレイ1000に含まれる、4つの赤外線センサ100を示すものである。
【0029】
ここでは、説明を簡単にするために2行2列(2×2)の合計4個の赤外線センサを示すが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各センサが検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0030】
このように、非対称周期構造を有する吸収体をアレイ状に並べることにより、偏光情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、アレイを回転させることで、本発明の実施の形態1で述べたように各画素(1つの吸収体が1画素に対応する)において偏光角度を求めることが可能になり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0031】
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、(a)に示すように、異なる非対称周期構造を有する4つの吸収体10、20、30、40をアレイ状に配置したものである。但し、非対称周期構造でない対称周期構造(x軸方向、y軸方向の周期が同じ)の吸収体を含んでもよい。また、周期のみならず、凹部の直径等の大きさが異なる非対称周期構造を含んでも良い。
また、(b)に示すように、同一構造の吸収体を複数含む構造であっても良い((b)では、吸収体10が2つ設けられている)。
【0032】
ここでは、説明を簡単にするために2行2列の合計4個の赤外線センサ(実施の形態1と同様の吸収体A:10、吸収体B:20、吸収体C:30、吸収体D:40)からなる赤外線センサアレイを示すが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各素子が検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0033】
本発明の実施の形態1で述べたように、各赤外線センサ(各画素)において偏光角度および入射光強度の情報を有する画像を検出することに加えて、各赤外線センサが異なる非対称周期構造を有することで、各画素における検出波長を制御することが可能になる。即ち、各画素において、偏光角度、および画素によって異なる波長における入射光強度情報を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0034】
実施の形態4.
図11は、本発明の実施の形態4にかかる熱型の赤外線センサの上面図である。吸収体50に形成した凹部51のxy平面における形状を、非対称な楕円形状とし、一方で、x軸方向およびy軸方向には、凹部51を一定周期で配置する構造とした。つまり本実施の形態4では、吸収体50に形成する凹部51の形状自体に非対称性を導入する。かかる構造は、非対称形状周期構造とよぶ。
【0035】
図11の吸収体50では、Auからなる金属薄膜から形成され、図12に示すように、dx:凹部51のx軸方向の径(長径)、dy:凹部51のy軸方向の径(短径)、p:周期、h:凹部51の深さとする。図13〜図15は、dx=3μm、dy=1.5μm、p=6μm、h=1μmの構造について、吸収率の偏光特性を厳密結合波解析によって求めた結果である。図13、14、15において、入射光の偏光角度θはそれぞれ0°、45°、90°である。
【0036】
図13〜図15から分かるように、非対称形状周期構造を有する吸収体50を用いることにより、偏光角度θが0°から90°に変化するにつれて、特定波長において吸収率が増加することが分かる。このように、楕円形状等の凹部51からなる非対称形状周期構造の場合、主たる吸収波長は周期構造の場合とほぼ等しいが、偏光角度θによって吸収率が変化する。
【0037】
この特性を利用し、吸収率を相対的に検出することにより偏光角度を決定することが可能となる。偏光角度の検出方法としては、赤外線センサをz軸を中心として回転させて、吸収率を検出する方法がある。または、参照画素として、対称周期構造の画素(例えば、dx=dy=3μmである吸収体10)を同時に設置し、検出出力の差分を取り、この差分値を予め設定した値(データベースの値)と比較して偏光角度を決定しても良い。
【0038】
なお、図12では、正方格子型を示したが、三角格子型などの他の単位格子、あるいは放射状に凹部が周期的に配置されている構造においてもこの特性は成立する。また、非対称の凹部形状としては、xy平面における形状は、楕円の他に、長方形、三角形などでもよい。重要なのは、凹部形状の対称性が破れていることにより、凹部に局在する電界に偏りが生じ、偏光依存性が現れることである。
【0039】
実施の形態5.
図16は、本発明の実施の形態5にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、図11に示す非対称形状周期構造の吸収体50を有する赤外線センサをアレイ状に配置したものである。ここでは、説明を簡単にするために、2行2列の合計4個の赤外線センサからなる赤外線センサアレイを示しているが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各素子が検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0040】
このように、熱型の赤外線センサをアレイ状に並べて、非対称形状周期構造に固有の吸収の偏光特性を利用することで、偏光情報を有した画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、赤外線センサアレイを、z軸を中心として回転させることにより、本発明の実施の形態1で述べたように各画素において偏光角度を求めることが可能となり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0041】
実施の形態6.
図17は、本発明の実施の形態6にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、異なる周期および楕円形状を有する非対称形状周期構造を有する4つの吸収体50、60、70、80をアレイ状に配置したものである。但し、非対称形状周期構造でない吸収体を含んでもよく、また、周期が非対称な非対称周期構造を含んでも良い。
【0042】
ここでは、説明を簡単にするために2行2列の合計4個(実施の形態4と同様の吸収体E:50、吸収体F:60、吸収体G:70、吸収体H:80)を有する赤外線センサからなる赤外線センサアレイを示しているが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各素子が検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0043】
このように、本発明の実施の形態6かかる赤外線センサアレイでは、熱型の赤外線センサをアレイ状に並べて、非対称形状周期構造に固有の吸収の偏光特性を利用することにより、複数の波長における偏光情報を有した画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、赤外線アレイを、z軸を中心として回転させることで、本発明の実施の形態1で述べたように各画素において偏光角度を求めることが可能になり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0044】
実施の形態7.
図18は、本発明の実施の形態7にかかる熱型の赤外線センサの上面図である。図19に示すように、吸収体90に形成した凹部91のxy平面における形状を正方形とし、正方形の中心を固定してθだけ回転させた配置となっている。また、この場合の回転角度θは例えば30°であり、中心点に対して回転対称となる角度、90°、180°、270°ではない。一方で、x軸方向およびy軸方向には、凹部91を一定周期(px、py)で配置する。
【0045】
つまり本実施の形態7では、吸収体90に形成する凹部91の、吸収体表面における形状が、x軸、y軸の双方の軸に対して鏡面対称とならない(非鏡面対称となる)回転角度θを持つ。かかる構造を、非鏡面対称形状周期構造とよぶ。より具体的には、図19(b)に示すように、凹部91は、凹部91の中心を通るx軸、y軸のいずれの軸に対しても鏡面対称とはならない。
【0046】
図18の吸収体90では、吸収率の偏光特性を厳密結合波解析によって求めると凹部91の周期とほぼ等しい波長において吸収率がピークをもつ。図18の吸収体90では、図19に示すように、L:凹部91の一辺の長さ、p:周期、h:凹部91の深さとなる。
【0047】
図20は、Auからなる金属薄膜から形成され、L=3μm、p(px、py)=6μm、h=1μmの構造について、波長6μmにおける吸収率の偏光特性を厳密結合波解析によって求めた結果である。図20において、横軸は偏向角度、縦軸は吸収率を表す。この波長において、偏光角度θが0°から180°に変化するにつれて、特定偏光角度において吸収率が増加することが分かる。
このように、楕円形状等の凹部91からなる非対称形状周期構造の場合、主たる吸収波長は周期構造の場合とほぼ等しいが、回転角度θによって吸収率に偏光依存性が現れる。
【0048】
この特性を利用して、吸収率を相対的に検出することにより偏光角度を決定することが可能となる。偏光角度の検出方法としては、赤外線センサを、z軸を中心として回転させて、吸収率を検出する方法がある。または、参照画素として、対称周期構造の画素(例えば、px=py=6μmである吸収体10)を同時に設置し、検出出力の差分を取り、この差分値を予め設定した値(データベースの値)と比較して偏光角度を決定しても良い。
なお、図18では、凹部形状としては、xy平面における形状は、正方形の他に、正三角形、正五角形などの正多角形、長方形、ひし形でもよい。重要なのは、凹部形状において周期を規定する軸に対して形状が鏡面対称とならないことである。
【0049】
実施の形態8.
図21は、本発明の実施の形態8にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、図18に示す非対称形状周期構造の吸収体90を有する赤外線センサをアレイ状に配置したものである。ここでは、説明を簡単にするために、2行2列の合計4個の赤外線センサからなる赤外線センサアレイを示しているが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各赤外線センサが検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0050】
このように、熱型の赤外線センサをアレイ状に並べて、非鏡面対称形状周期構造に固有の吸収の偏光特性を利用することで、偏光情報を有した画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、赤外線センサアレイを、z軸を中心として回転させることにより、本発明の実施の形態1で述べたように各画素において偏光角度を求めることが可能となり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることも可能となる。
【0051】
実施の形態9.
図22は、本発明の実施の形態9にかかる熱型の赤外線センサアレイの平面図であり、周期(p)や大きさ(L)が異なる非鏡面対称形状周期構造を有する4つの吸収体90、110、120、130をアレイ状に配置したものである。但し、非対称形状周期構造でない吸収体を含んでも良く、また、周期が非対称な非対称周期構造を含んでも良い。
【0052】
ここでは、説明を簡単にするために2行2列の合計4個(実施の形態4と同様の吸収体E:90、吸収体F:110、吸収体G:120、吸収体H:130)を有する赤外線センサからなる赤外線センサアレイを示しているが、配置される赤外線センサの個数に制限は無い。これらの赤外線センサアレイは、外部の走査回路(図示せず)等により各行、各列の赤外線センサを選択して、各素子が検出した情報を時系列に取り出す方式としてもよい。また、並列に読み出す方式であってもよい。
【0053】
このように、本発明の実施の形態7かかる赤外線センサアレイでは、熱型の赤外線センサをアレイ状に並べて、非鏡面対称形状周期構造に固有の吸収の偏光特性を利用することにより、複数の波長における偏光情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。また、赤外線アレイを、z軸を中心として回転させることで、本発明の実施の形態1で述べたように各画素において偏光角度を求めることが可能になり、各画素において偏光角度ならびに入射光強度情報を有する画像を検出する熱画像イメージャとして用いることが可能となる。
【0054】
実施の形態10.
図23は、本発明の実施の形態10にかかる熱型の赤外線センサの温度検知部4の断面図である。温度検知部4は、検知膜5と薄膜金属配線6を含む。検知膜5は、例えばダイオードであり、シリコンからなる。薄膜金属配線6は、例えば厚みが100nmのチタン合金の膜からなる。
【0055】
更に、温度検知部4は、赤外線を吸収する吸収膜25を、その上部に直接備えている。吸収膜25はAu、Agなどの金属からなる。更に、吸収膜25は、実施の形態1または実施の形態4で示したような、非対称周期構造または非対称形状周期構造を有する。
なお、温度検知部4以外の構造は、図4の熱型赤外線センサ100と同じであり、温度検知部4は支持脚3で中空部2の上部に支持される。
【0056】
このような、吸収膜25と一体形成された温度検知部4を有する赤外線センサを用いることによっても、所望の波長において、特定の偏光で固有の吸収特性を有する。これにより、特定の偏光特性を検出することが可能となる。
【0057】
特に、本実施の形態10にかかる構造では、吸収体を支持柱で支持する工程が不要となり、製造工程が簡略化され、より安価に製品を製造できる。
【0058】
なお、実施の形態3、6、8において、互いに異なる非対称周期構造の吸収体を有する赤外線センサアレイ、互いに異なる非対称形状周期構造の吸収体を有する赤外線センサアレイ、互いに異なる非鏡面対称形状周期構造の吸収体を有する赤外線センサアレイ、に加えて、これらの複数の構造の吸収体が混在した赤外線センサアレイ、更には対称周期構造や対称形状周期構造の吸収体が混在した赤外線センサアレイを用いることも可能である。実施の形態10の吸収膜25に凹部を形成する場合も同様である。
【0059】
また、本実施の形態1〜10では、x軸方向とy軸方向に、凹部を配列した構造について説明したが、これ以外の方向(例えば、互いに45°角度を有する方向)に凹部を並列しても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1 基板、2 中空部、3 支持脚、4 温度検知部、5 検知膜、6 薄膜金属配線、7 アルミニウム配線、8 反射膜、9 支持柱、10 吸収体、11 凹部、12 絶縁膜、100 赤外線センサ、1000 赤外線センサアレイ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度検知部と、該温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、該吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収体の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収体は、該第1方向に第1周期で設けられ、該第2方向に第2周期で設けられた凹部を有し、該第1周期と該第2周期が異なることを特徴とする半導体光素子。
【請求項2】
温度検知部と、該温度検知部の上に積層された吸収膜とを含み、該吸収膜に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収膜の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収膜は、該第1方向に第1周期で設けられ、該第2方向に第2周期で設けられた凹部を有し、該第1周期と該第2周期が異なることを特徴とする半導体光素子。
【請求項3】
温度検知部と、該温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、該吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収体の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収体は、該第1方向および該第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、該吸収体の表面における該凹部の形状が該第1方向と該第2方向で異なることを特徴とする半導体光素子。
【請求項4】
温度検知部と、該温度検知部の上に積層された吸収膜とを含み、該吸収膜に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収膜の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収膜は、該第1方向および該第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、該吸収膜の表面における該凹部の形状が該第1方向と該第2方向で異なることを特徴とする半導体光素子。
【請求項5】
温度検知部と、該温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、該吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収体の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収体は、該第1方向および該第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、該吸収体の表面における該凹部の形状が、該第1方向および該第2方向のそれぞれの軸に対して、非鏡面対称であることを特徴とする半導体光素子。
【請求項6】
温度検知部と、該温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、該温度検知部の上に積層された吸収膜とを含み、該吸収膜に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収膜の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収膜は、該第1方向および該第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、該吸収膜の表面における該凹部の形状が、該第1方向および該第2方向のそれぞれの軸に対して、非鏡面対称であることを特徴とする半導体光素子。
【請求項7】
上記吸収体または上記吸収膜は、金属膜の単層構造、または金属膜と誘電体膜の多層構造であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体光素子。
【請求項8】
上記吸収体または上記吸収膜の凹部は、上記表面内での形状が円形または正方形であり、該表面に垂直な断面での形状が矩形であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体光素子。
【請求項9】
上記吸収体または上記吸収膜の凹部は、上記表面内での形状が楕円形または長方形であり、該表面に垂直な断面での形状が矩形であることを特徴とする請求項3または4に記載の半導体光素子。
【請求項10】
上記吸収体または上記吸収膜の凹部は、上記表面内での形状が正方形または正多角形であり、該表面に垂直な断面での形状が矩形であることを特徴とする請求項5または6に記載の半導体光素子。
【請求項11】
請求項1〜6に記載された半導体光素子から選択された1種類の半導体光素子をアレイ状に配置した半導体光装置であって、
該半導体光素子がすべて同一構造であること、少なくとも1つの該半導体光素子が他の該半導体光素子と異なる周期構造であること、または少なくとも1つの該半導体光素子が他の該半導体光素子と異なる凹部の形状および/または大きさを有する構造であること、を特徴とする半導体光装置。
【請求項12】
請求項1、3、または5に記載された半導体光素子から選択される少なくとも2種類の半導体光素子をアレイ状に配置したことを特徴とする半導体光装置。
【請求項13】
請求項2、4、または6に記載された半導体光素子から選択される少なくとも2種類の半導体光素子をアレイ状に配置したことを特徴とする半導体光装置。
【請求項14】
請求項11〜13に記載の半導体光装置が、更に、上記第1周期と上記第2周期が同一である半導体光素子、および/または該凹部の形状が、上記第1方向および上記第2方向のそれぞれの軸に対して鏡面対称である半導体光素子を含むことを特徴とする半導体光装置。
【請求項1】
温度検知部と、該温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、該吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収体の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収体は、該第1方向に第1周期で設けられ、該第2方向に第2周期で設けられた凹部を有し、該第1周期と該第2周期が異なることを特徴とする半導体光素子。
【請求項2】
温度検知部と、該温度検知部の上に積層された吸収膜とを含み、該吸収膜に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収膜の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収膜は、該第1方向に第1周期で設けられ、該第2方向に第2周期で設けられた凹部を有し、該第1周期と該第2周期が異なることを特徴とする半導体光素子。
【請求項3】
温度検知部と、該温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、該吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収体の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収体は、該第1方向および該第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、該吸収体の表面における該凹部の形状が該第1方向と該第2方向で異なることを特徴とする半導体光素子。
【請求項4】
温度検知部と、該温度検知部の上に積層された吸収膜とを含み、該吸収膜に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収膜の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収膜は、該第1方向および該第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、該吸収膜の表面における該凹部の形状が該第1方向と該第2方向で異なることを特徴とする半導体光素子。
【請求項5】
温度検知部と、該温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、該吸収体に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収体の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収体は、該第1方向および該第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、該吸収体の表面における該凹部の形状が、該第1方向および該第2方向のそれぞれの軸に対して、非鏡面対称であることを特徴とする半導体光素子。
【請求項6】
温度検知部と、該温度検知部に熱的に接続された吸収体とを含み、該温度検知部の上に積層された吸収膜とを含み、該吸収膜に入射した光を検出する半導体光素子であって、
該吸収膜の表面に含まれた第1方向と、該第1方向とは異なる第2方向が規定され、
該吸収膜は、該第1方向および該第2方向に周期的に設けられた凹部を有し、該吸収膜の表面における該凹部の形状が、該第1方向および該第2方向のそれぞれの軸に対して、非鏡面対称であることを特徴とする半導体光素子。
【請求項7】
上記吸収体または上記吸収膜は、金属膜の単層構造、または金属膜と誘電体膜の多層構造であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体光素子。
【請求項8】
上記吸収体または上記吸収膜の凹部は、上記表面内での形状が円形または正方形であり、該表面に垂直な断面での形状が矩形であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体光素子。
【請求項9】
上記吸収体または上記吸収膜の凹部は、上記表面内での形状が楕円形または長方形であり、該表面に垂直な断面での形状が矩形であることを特徴とする請求項3または4に記載の半導体光素子。
【請求項10】
上記吸収体または上記吸収膜の凹部は、上記表面内での形状が正方形または正多角形であり、該表面に垂直な断面での形状が矩形であることを特徴とする請求項5または6に記載の半導体光素子。
【請求項11】
請求項1〜6に記載された半導体光素子から選択された1種類の半導体光素子をアレイ状に配置した半導体光装置であって、
該半導体光素子がすべて同一構造であること、少なくとも1つの該半導体光素子が他の該半導体光素子と異なる周期構造であること、または少なくとも1つの該半導体光素子が他の該半導体光素子と異なる凹部の形状および/または大きさを有する構造であること、を特徴とする半導体光装置。
【請求項12】
請求項1、3、または5に記載された半導体光素子から選択される少なくとも2種類の半導体光素子をアレイ状に配置したことを特徴とする半導体光装置。
【請求項13】
請求項2、4、または6に記載された半導体光素子から選択される少なくとも2種類の半導体光素子をアレイ状に配置したことを特徴とする半導体光装置。
【請求項14】
請求項11〜13に記載の半導体光装置が、更に、上記第1周期と上記第2周期が同一である半導体光素子、および/または該凹部の形状が、上記第1方向および上記第2方向のそれぞれの軸に対して鏡面対称である半導体光素子を含むことを特徴とする半導体光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−208104(P2012−208104A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207424(P2011−207424)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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