説明

半導体処理

【課題】欠陥の少ない半導体ウェハを提供する半導体ウェハ処理の提供。
【解決手段】 半導体処理および装置を開示する。半導体装置および処理は、欠陥が低減された半導体ウェハを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥の少ない半導体ウェハを提供する半導体ウェハ処理を対象とする。さらに詳しくは、本発明は、低減された表面粗さのウェハ保持物品で処理され、欠陥の少ない半導体ウェハを提供する半導体ウェハ処理を対象とする。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの処理に関連する問題の1つは、典型的にウェハがスリップとして知られる欠陥を形成することである。スリップは、単結晶の部分が、結晶面に沿って互いに相互に移動する時に形成される、結晶面に沿った分子の転位である。この移動は、サセプタとウェハとの間の接触が最適に満たない場合に発生することがある。典型的に、スリップは、サセプタ表面と接触するウェハの裏面で発生し、次いで処理続行中にウェハを通して伝搬する。スリップは多くの原因が考えられるが、根本的な問題は、ウェハが表面に配置されるときまたは表面上を移動するときの、高い局所的応力を引き起こす表面の小領域(尖った先)接触である。したがって、尖鋭な物体または突起の無い表面を生成し、かつ丸みのある縁を提供することが重要である。最適とはいえないこの接触は、多くの場合、サセプタを形成するセラミック材の粗い表面トポグラフィに起因する。この移動は、ウェハが膜形成プロセス中に、特にウェハの頂面と底面との間で、および熱がよりすばやく消散する外縁で、不均等に加熱または冷却されるときにも発生することがある。そのときウェハの熱勾配の大きい部分に熱応力が生じ、かかる応力を解放するように結晶の一部が移動するときに、スリップが引き起こされる。スリップ欠陥を有するウェハは、半導体デバイスを製造するために使用されるときに、望ましくない歩留まり損失を導くことがあり得る。
【0003】
結晶スリップは、ウェハとウェハサセプタとの間の理想的な接触を維持することによって、またはウェハを非常にゆっくりと加熱することによって、またはウェハを現在の通常のウェハより厚く、または直径を小さくすることによって、ある程度低減することができる。しかし、そのような技術は、生産環境で実現しかつ利用することが難しい。
【0004】
スリップの問題に対処する1つの試みが、Carbonaroらへの米国特許第6,099,650号に開示されている。Carbonaroは、化学気相堆積反応器内でサセプタに保持されるウェハ上にカバーを設置することによって、スリップの問題に対処する。Carbonaroによると、カバーは、サセプタからウェハへ熱を放射しかつ反射するための熱障壁として働く。これはウェハから熱が放射されることを防止し、ウェハ全体の温度勾配が低減され、それによってエピタキシャル層の形成中および形成後のウェハのスリップが低減または排除されると主張している。カバーはサセプタと同一の形状および直径を有し、厚さ0.6cm〜2.54cmのシリコンカーバイドコーティングを有するグラファイトから構成される。厚さを変化させることにより、カバーから放射される熱の量を制御することが可能であると主張している。カバーは、ウェハから0.6cmないし5cm上に設置される。距離を調整することにより、反射してウェハ上へ戻る熱の量を制御することが可能であると主張している。これは、ウェハの頂面の熱を増大させると考えられる。
【特許文献1】米国特許第6,099,650号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スリップに加えて、半導体処理に関連付けられる他の問題として、スティクションおよびフロートが挙げられる。スティクションとは、ウェハがサセプタまたは他のウェハ保持装置に固着することである。スティクションを定量的に測定することは難しいが、ウェハがサセプタから持ち上げられるときに定性的に気付くことができる。ウェハの応力損傷を伴う固着を経験した場合には、スティクションが存在する。応力損傷は、ウェハの結晶点欠陥、線状欠陥、および破断によって観察可能である。フロートは、ウェハがサセプタ表面の幾つかの高い点で支持され、サセプタ表面とウェハとの間に捕獲ガスが通過し、ウェハをサセプタに対して移動させる場合に発生する。理想的には、半導体ウェハ処理中のスティクションおよびフロートは両方とも無く、且つウェハは保持装置に不動に維持される。したがって、上述した問題に対処する改善された方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様では、ウェハ保持物品の1以上の表面を改変して3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)の表面を有するウェハ保持物品を提供すること、1以上の半導体ウェハをウェハ保持物品内に配置すること、3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)の表面を有するウェハ保持物品を1以上の半導体ウェハと共に処理チャンバ内に配置すること、および1以上の半導体ウェハを処理して50以下のスリップ欠陥を有する改変された半導体ウェハを形成するように1以上の半導体ウェハを改変することを含む方法を提供する。
【0007】
別の態様では、ウェハ保持物品の1以上の表面を改変して0.05mm以上の縁部半径、3ミクロン以下のRa、および15ミクロン以下のRz(din)を有するウェハ保持物品を提供すること、1以上のウェハを改変されたウェハ保持物品内に配置すること、3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)を有する改変されたウェハ保持物品を1以上の半導体ウェハと共に処理チャンバ内に配置すること、および1以上の半導体ウェハを処理して1以上の半導体ウェハを改変し、50以下のスリップ欠陥を有する改変された半導体ウェハを形成することを含む方法を提供する。
【0008】
さらなる態様では、3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)を有するウェハ保持物品を提供する。ウェハ保持物品はまた、0.05mm以上の縁部半径を有することもできる。
【0009】
スリップを排除または低減することに加えて、該方法は、スティクションとフロートとの間の不均衡を軽減または解消する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書中で使用される場合、以下の略語は、文脈が他を示していない限り、次の意味を有するものとする:℃=摂氏度;μm=ミクロン=マイクロメートル;m=メートル;cm=センチメートル;mm=ミリメートル:nm=ナノメートル;A=アンペア;mA=ミリアンペア;CVD=化学気相堆積;PVD=物理気相堆積;ml=ミリリットル;min=分;sec=秒;msec=ミリ秒;hr=時;Hz=ヘルツ;kHz=キロヘルツ;W=ワット=1ジュール/秒;erg=1ダイン・cm=10−7ジュール;mV=ミリボルト;1気圧=760トル;1気圧=1.01325×10ダイン/cm;psi=毎平方インチ当たりポンド;1気圧=14.7psi;rpm=毎分回転数;Å=オングストローム=1×10−4ミクロン;RMS=二乗平均平方根;SEM=走査型電子顕微鏡。
【0011】
特に他に断りがない限り、全てのパーセントは重量パーセントである。全ての数値範囲は、そのような数値範囲が合計して100%になるように制約されることが論理的である場合を除き、境界値を含み、かつ任意の順序で組合せ可能である。
【0012】
方法は、ウェハ保持物品の1以上の表面を改変して3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)の表面を有するウェハ保持物品を提供すること、ウェハ保持物品内に1以上の半導体ウェハを配置すること、3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)の表面を有するウェハ保持物品を1以上の半導体ウェハと共に処理チャンバ内に配置すること、および1以上の半導体ウェハを処理して1以上の半導体ウェハを改変し50以下のスリップ欠陥を有する改変された半導体ウェハを形成することを含む。
【0013】
低減されたスリップ欠陥を提供することに加えて、3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)の表面を有するウェハ保持装置で半導体を処理することで、スティクションとフロートとの間の不均衡が軽減または解消される。
【0014】
表面の粗さは、表面テクスチャの微細凹凸から成り、RaおよびRz(din)を含む。「Ra」は、特定の評価長さ内で記録された平均線からの輪郭線の(山)高さの偏差の絶対値の算術平均を指す(平均粗さ)。Raは3ミクロン以下、または例えば0.1ミクロン〜0.001ミクロン、または例えば0.01ミクロン〜0.005ミクロンの範囲である。Rz(din)値は、測定長さ内の任意の5つの連続するサンプリング長さの最大山谷間高さの平均である。該山谷間距離は、表面フィーチャ(feature)の高さと該表面中の底または谷との間の距離である。「山」は、所与の、中心線より上にある輪郭線の部分の、最大高さの点である。「谷」は、所与の、中心線より下にある部分若しくは輪郭線の、最大深さの点である。Rz(din)は15ミクロン以下、または例えば1ミクロン〜0.005ミクロン、または例えば3ミクロン〜0.05ミクロンの範囲である。
【0015】
多種多様な方法を使用して、表面の粗さを測定することができる。1つの好適な方法は自己共分散関数である。二次元自己共分散関数は方向および距離の関数であり、ある方向に特定の距離だけ離れた全ての2点対の高さの積の予測値を表わす。換言すると、自己共分散関数は特徴のあるフィーチャ長さ、つまり特定の高さを有する2つの山の間の長さを記述する。表面トポグラフィの決定に対する自己共分散関数の適用についての説明は、Kielyらの「Quantification of Topographic Structure by Scanning Probe Microscopy」、Journal of Vacuum Sceince Technology B,vol.15,no.4、1997年7月/8月,pp1483−1493を参照されたい。粗さパラメータおよびこれらのパラメータの値を決定する方法についてのさらなる説明は、ASME規格B46.1−2002「Surface texture(Surface Roughness, Wavines and Lay)」,American Society of Mechanical Engineers(米国機械学会)2003において提供される。典型的に、表面の特徴の方向性表面トポグラフィ(directionality surface topography)は、原子間力分光法(AFM)または光学表面形状測定装置を用いて決定される。
【0016】
ウェハ保持物品はまた、0.05mm以上、または例えば0.1mm〜1mmの縁部半径を有するウェハ支持縁を有することができる。半径は、当業界で使用される従来の方法である、四分円から測定される。表面形状測定装置を使用して半径を測定することができ、あるいは顕微鏡を用いてそれを行なうことができる。0.05mm以上の縁部半径もまた、結晶点欠陥、線状欠陥、並びに応力によって生じるウェハの破断を低減または排除する。
【0017】
ウェハ保持物品は、任意の好適なセラミックを使用して作成することができる。典型的に、ウェハ保持物品を作成するために使用される材料は、シリコンカーバイドである。シリコンカーバイドは多くの異なる方法によって作成することができ、結果的に熱伝導率、電気抵抗、密度、および結晶構造をはじめとする様々な別々の特性を有するシリコンカーバイドがもたらされる。シリコンカーバイドは単結晶または多結晶とすることができる。シリコンカーバイドとしては、これらに限定されないが、化学気相堆積シリコンカーバイド、物理気相堆積シリコンカーバイド、反応結合シリコンカーバイド、焼結シリコンカーバイド、高温圧縮シリコンカーバイド、および発泡シリコンカーバイドが挙げられる。典型的に、シリコンカーバイドはCVDシリコンカーバイド、PVDシリコンカーバイド、焼結シリコンカーバイド、および高温圧縮シリコンカーバイドから選択される。より典型的には、シリコンカーバイドはCVDシリコンカーバイドおよびPVDシリコンカーバイドから選択される。最も典型的には、シリコンカーバイドはCVDシリコンカーバイドである。CVDシリコンカーバイドは典型的にβ立方晶シリコンカーバイドである。
【0018】
所望の表面粗さおよび縁部半径をもたらす方法である限り、任意の好適な方法を用いてセラミック物品の表面を改変することができる。かかる方法としては、機械加工、ラップ加工、研磨、研削、グリット吹付け、二酸化炭素吹付け、酸および塩基によるウェットエッチングまたはプラズマエッチングをはじめとするエッチング、高エネルギアブレーションをはじめとするアブレーション、酸化、放電加工、直接CVD、または例えばCVD、PVD、ならびにエネルギアシストCVDおよびPVDによるような物品上のコーティングの形成が挙げられるが、それらに限定されない。かかるコーティングとしては、窒化シリコン、シリコン、シリコンカーバイド、二酸化シリコン、または炭素が挙げられるが、それらに限定されない。所望の表面を提供するために、上記方法の組合せを使用することもできる。典型的に、シリコンカーバイドウェハ保持物品の表面は、ラッピング、研磨、または酸化を用いて平滑化される。より典型的には、シリコンカーバイドウェハ保持物品の表面は、酸化によってシリコンカーバイド上に二酸化シリコン層を形成し、続いて酸で剥離することによって平滑化される。
【0019】
典型的に、セラミック物品は最初に機械加工される。一般的に、セラミック物品の望ましくない表面フィーチャは、例えばCVDまたはPVDなどによって形成された後、機械加工により肉眼的に除去され、物品はそれらの所望の機能を果たすように成形される。通常の機械加工プロセスを使用することができる。かかるプロセスとしては、研削、ラッピング、ホーニング、超音波加工、水噴流もしくは研磨剤加工、レーザ加工、放電加工、イオンビーム加工、電子ビーム加工、化学加工、および電気化学加工が挙げられるが、それらに限定されない。
【0020】
所望のRaおよびRz(din)並びに所望の縁部半径を提供するために、表面の機械加工および平滑化のプロセスを組み合わせることができる。ウェットエッチング、ラッピング、研磨、研削、放電、レーザアブレーション、電子ビームアブレーション、X線アブレーション、マイクロ波アブレーション、および放射エネルギアブレーションをはじめとする表面平滑化の方法を機械加工と組み合わせることができる。粗面処理方法を機械加工プロセスと組み合わせる場合、軽微な実験を実行して、所望の物品が得られるように機械加工のプロセスパラメータおよび表面の粗面処理方法を修正することができる。
【0021】
CVDは機械加工後に使用される。CVDによって形成することのできるセラミック材としては、シリコンカーバイド、窒化シリコン、合成ダイアモンド、炭素、ホウ化チタン、炭化チタン、炭化ホウ素、窒化ホウ素、および窒化炭素が挙げられるが、それらに限定されない。通常の堆積チャンバおよび反応前駆物質を使用することができる。堆積プロセスは、例えばアルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、およびそれらの混合物をはじめとする不活性雰囲気内で実行される。堆積中のかかる不活性ガスの流量は通常通りである。前駆物質の堆積速度は5ミクロン/分未満、または例えば0.005ミクロン/分〜1ミクロン/分である。かかる速度は、堆積チャンバの温度、圧力、および流量、または前駆物質に依存する。かかるパラメータは、所望の堆積速度が得られるように、堆積中に調整することができる。例えば、堆積チャンバ温度は1200℃〜1700℃の範囲、例えば1250℃〜1600℃の範囲とすることができる。堆積圧力は100トル〜400トルまで、または例えば125トル〜350トルまで、または例えば150トル〜250トルまでの範囲である。通常の前駆物質の流量を使用し、堆積中に所望の堆積速度が得られるように変化させることができる。
【0022】
高エネルギアブレーションは、放射エネルギまたは電磁波のビームまたは粒子を使用して、セラミック表面を改変する。放射エネルギアブレーションまたは熱処理は典型的に、通常の真空チャンバ内で行われる。真空はセラミック物品の周囲に徐々に形成される。圧力は10−4〜10−10トル、または例えば10−6〜10−8トルの範囲とすることができる。次いでセラミックが1000℃〜2000℃、または例えば1200℃〜1500℃の温度まで上昇する間、圧力は一定に維持される。セラミック物品は2〜10時間、または例えば4〜8時間、一定の温度および圧力に維持される。次いでセラミックは徐々に冷却され、大気圧の状態になり、チャンバから取り出される。冷却および圧力減少は5分〜60分の期間、または例えば10分〜30分の期間をかけて行なわれ、セラミックはチャンバ内に放置され、6時間〜48時間、または例えば12時間〜24時間かけて室温まで冷却される。
【0023】
電磁波または粒子として、陽子、中性子、電子、X線、レーザ(高強度光放射)、電気アークとしても知られる放電加工(EDM)、およびマイクロ波が挙げられるが、それらに限定されない。表面を改変するために使用される装置として一般的に、特定のビームのエネルギを制御してセラミックの表面に集束させるための手段が挙げられる。ビームを制御しかつ集束させるために使用される具体的な手段は、使用される具体的な電磁放射に依存して異なる。かかる装置は当業界でよく知られている。
【0024】
一般的に、電磁ビームが電子ビーム、イオンビーム、または電気アークによって発生する場合、物品に電流が流れる。電流は5mA〜100mA、または例えば10mA〜80mAの範囲とすることができる。電磁ビームによって送り込まれるエネルギは、セラミックの表面の平均電力である電力密度で定義することができる。平均電力密度は、ビームが向けられる物品の表面の1点で、1000W/cm〜5000W/cm、または例えば2000W/cm〜4000W/cmの範囲とすることができる。電磁ビームの最高電力密度は、セラミックの表面の1点で、5000W/cm〜10,000W/cm、または例えば5500W/cm〜8000W/cmとすることができる。最高電力密度は、所与の電力設定でビームがその最大焦点(つまり最小スポットサイズ)のときのプロセス設定と定義することができる。電磁ビームの滞留時間は0.1ミリ秒〜5ミリ秒、または例えば0.5ミリ秒〜2ミリ秒の範囲とすることができる。
【0025】
ウェットエッチングをはじめとする化学処理として、酸および塩基を用いてセラミック表面を改変することが挙げられる。かかる酸として、例えば硫酸、硝酸、塩酸、フッ化水素酸、リン酸、およびそれらの組合せをはじめとする酸水溶液が挙げられるが、それらに限定されない。使用される酸の濃度は20重量%〜80重量%、または例えば65重量%〜70重量%の範囲である。2以上の酸を混合する場合、典型的に各々等量が使用される。エッチングは30分〜240分間、または例えば60分〜180分間行なわれる。エッチングは20℃〜100℃、または例えば30℃〜85℃の温度で行なわれる。
【0026】
塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。塩基の濃縮形態が使用される。典型的に、溶融塩基を用いて物品の表面がエッチングされる。溶融塩基によるエッチングは500℃〜1000℃の温度を伴う。
【0027】
ドライエッチングまたはプラズマエッチングは、セラミックの表面と相互作用してそこから物質を除去する反応性ガス種を励起または解離させるために、プラズマを発生させることを含む。エネルギを低圧ガスに伝達することによって、プラズマ放電が発生する。ドライエッチングは、1000℃〜5000℃、または例えば1500℃〜3000℃のプラズマ温度で行なうことができる。物品は典型的に100℃〜500℃の温度である。エネルギ源として、高周波エネルギ、マイクロ波エネルギ、および磁界が挙げられるが、それらに限定されない。圧力は典型的に10−3トル〜10−10トル、または例えば10−5トル〜10−8トルの範囲である。様々な種類のプラズマガスおよび混合物を使用することができる。かかるガスとして、塩素、フッ素、三フッ化窒素、塩化水素、三塩化ホウ素、六フッ化イオウ、過フッ化炭化水素、酸素、ならびに不活性ガス、例えばアルゴン、ネオン、クリプトン、ヘリウム、およびキセノンが挙げられるが、それらに限定されない。エッチング時間は30秒〜90分、または例えば60秒〜60分、または例えば120秒〜30分の範囲とすることができる。
【0028】
一般的に、1以上の非不活性ガス、例えば塩素、フッ素、三フッ化窒素、塩化水素、および酸素は、プラズマの10体積%〜50体積%、または例えば15体積%〜25体積%を構成し、残りは1以上の不活性ガスである。典型的に、エッチングは塩素、酸素、および1以上の不活性ガスの混合物で行なわれる。より典型的には、エッチングはフッ素、酸素、およびアルゴンで行なわれる。ハロゲンガスは10体積%〜30体積%を構成し、酸素は10体積%〜30体積%を構成し、残りは1以上の不活性ガスである。エッチングは典型的に60秒〜3時間、または例えば15分〜2時間,または例えば30分〜1時間行なわれる。
【0029】
シリコンカーバイドの表面を改変するために使用される別の化学処理方法は酸化である。シリコンカーバイド物品は、800℃〜2000℃または例えば1000℃〜1500℃の温度の通常の開放型の炉内に配置される。加熱は100時間〜400時間、または例えば150時間〜250時間続く。プロセスを促進するために、追加酸素を炉内に送り込むことができる。代替的に、該方法は、閉鎖型の炉で酸素を炉内に送り込みながら行なうことができる。閉鎖型の炉における典型的な圧力は、50トル〜1気圧の範囲である。閉鎖型の炉における酸化は典型的に5時間〜30時間、または例えば10時間〜20時間かかる。
【0030】
二酸化シリコン層は、物品上で0.1ミクロン〜5ミクロン、または例えば0.3ミクロン〜2ミクロンの厚さの範囲とすることができる。次いで二酸化シリコン層は、濃縮鉱酸溶液を用いて剥離される。好適な酸として、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、リン酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。典型的にはフッ化水素酸が使用される。剥離は20℃〜90℃の温度で行なわれる。
【0031】
二酸化シリコンが除去されるときに、二酸化シリコンが覆っている粗い表面フィーチャおよび尖鋭な頂点も除去される。二酸化シリコン層の除去は、所望の表面特徴を有する平滑な表面をもたらす。
【0032】
ラッピングおよび研磨は、様々なラッピング装置および研磨パッドをはじめとする通常の装置を用いて行なうことができる。ラッピング板を使用する場合、プレートは300m/分〜3000m/分または例えば600m/分〜2500m/分の表面速度で回転する。ラッピングおよび研磨は、1psi〜15psiの圧力で、または例えば1時間〜10時間行なわれる。
【0033】
ラッピングおよび研磨は、スラリ、ペースト、および乾燥粒子を用いて行なうことができる。様々な種類の粒子、並びに様々な粒子サイズを使用することができる。ラッピングおよび研磨は、所望の表面粗さを達成するために、粒子サイズを変えて複数の段階で行なうことができる。
【0034】
化学機械的研磨は、式AO・xZを(式中、Aは少なくとも1つの二価陽イオンであり、Zは少なくとも1つの三価陽イオンであり、0.01≦x≦100である)を有する粒子を用いて行なうことができる。陽イオンとして、マグネシウム、鉄(II)、亜鉛、マンガン、ニッケル、カルシウム、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。Z陽イオンとして、アルミニウム、鉄(III)、クロム、チタン、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。かかる粒子は5m/g〜200m/gの特異的面積(specific area)、および5nm〜500nmの平均結晶直径、および10nm〜5000nmの平均凝集粒径を有する。ゼータ電位は正、零、または負とすることができる。典型的にスラリのゼータ電位は+10mV以上または−10mV以下である。水性スラリは0.1重量%〜10重量%の量の粒子を含む。粒子以外に、スラリは、酸化剤および還元剤、例えばヒドロキシルアミン化合物、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、高分子電解質、および有機酸を含むことができる。キレート剤、並びに界面活性剤、安定剤、懸濁化剤、緩衝剤、および潤滑剤も含めることができる。追加の陽イオン、例えばこれらに限られないがジルコニウム、銅、コバルト、リチウム、および希土類陽イオン、も含めることができる。
【0035】
使用することができる他の研磨粒子として、ダイアモンド、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化炭素、シリコンカーバイド、窒化シリコン、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。粒子サイズは0.005ミクロン〜30ミクロン、または例えば0.05ミクロン〜20ミクロン、または例えば0.5ミクロン〜10ミクロンの範囲とすることができる。ダイアモンドペーストを使用する場合、粒子サイズは2ミクロン以下、典型的には1ミクロン以下の範囲とし得る。かかる研磨粒子はスラリの1重量%〜30重量%を構成し得る。通常の添加剤、例えばキレート剤、緩衝剤、および界面活性剤は、通常の量においてスラリ中に含み得る。
【0036】
他の形の研磨処理として、固定研削材研削およびグリット吹付け、例えばサンドブラストが挙げられるが、それらに限定されない。固定研削材研削は典型的に、ダイアモンド、シリコンカーバイド、および9以上のモース硬度を有する他の研削材の使用を包含する。かかる材料の組合せも使用することもできる。研磨材は粒子の形または例えばダイアモンドホイールをはじめとする砥石車の形を取ることができる。砥石車の表面速度は少なくとも1000m/分、または例えば2000m/分〜10,000m/分である。粒子は10psi〜100psi、または例えば20psi〜80psiの圧力で適用される。通常の研削装置を使用することができる。
【0037】
グリット吹付けを使用する場合、通常のサンドブラスト装置、粒子ブラスト装置、およびブラストキャビネットを使用することができる。研磨材としてダイアモンド、シリコンカーバイド、窒化シリコン、窒化ホウ素、炭化ホウ素、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。研磨材は、10psi〜500psi、または例えば25psi〜150psiの圧力で物品の表面に適用される。かかる圧力は、所望の表面が得られるまで加えられる。
【0038】
材料のコーティングを使用して所望の表面粗さをもたらすこともできる。かかるコーティングとして、シリコンカーバイド、シリコン、窒化シリコン、二酸化シリコン、および炭素が挙げられるが、それらに限定されない。かかるコーティングは、CVDまたはPVDによってセラミック物品の表面上に堆積させることができる。通常の反応物質を使用して、コーティングを形成することができる。堆積温度および圧力は、コーティングの種類に応じて変えることができる。典型的に、炉の温度は1000℃〜1500℃、または例えば1200℃〜1400℃の範囲とすることができる。炉の圧力は20トル〜760トル、または例えば80トル〜125トルの範囲とすることができる。コーティングの堆積速度は0.01ミクロン/分〜5ミクロン/分、または例えば0.5ミクロン/分〜3ミクロン/分の範囲とすることができる。コーティングの厚さは0.01ミクロン〜10ミクロン、または例えば0.1ミクロン〜5ミクロンの範囲とすることができる。
【0039】
上述した方法は、スリップが低減され、並びにスティクションとフロートとの間のバランスも改善されるウェハの処理に使用することのできる、シリコンカーバイドウェハ保持物品の形成を可能にするプロセスの典型例である。
【0040】
任意の種類の半導体ウェハを、該ウェハ保持装置で処理することができる。典型的に、半導体ウェハは、これらに限られないがシリコン、サファイア、ガリウムヒ素、またはシリコンカーバイドをはじめとする材料から構成される。より典型的には、半導体ウェハはシリコンから構成される。1以上のウェハが同時に処理されてもよい。ウェハは、スリップを低減し、かつスティクションとフロートのバランスを取るために、ウェハ保持装置の平滑な表面がウェハの表面の5%〜80%に、例えばウェハの表面の20%〜70%に接触するように、ウェハ保持装置に配置される。さらに、上述した表面パラメータは、スリップの形成を助長するおそれのある尖鋭なフィーチャを提供しない。典型的に、ウェハの裏面はウェハ保持物品(典型的にはサセプタリングである)上に置かれる。ウェハ処理中の高い温度は典型的にウェハの反りを生じさせ、あるいはウェハがウェハ保持物品によって支持されない凸状の裏面を中心付近に形成する。反りの程度はわずか数ミクロンにすぎないが、ウェハが載置されるウェハ保持物品の縁部にウェハが擦り付けられるのに充分な反りがあり、縁が粗いときにはウェハに損傷を引き起こす。かかる損傷は、結晶点欠陥、線状欠陥、および破断になり得る。反りの過程においてウェハの損傷を防止または低減するために、ウェハ保持物品の縁部は0.05mm以上の縁部半径を有する。
【0041】
図1、2、および3は、ある様式のサセプタリングの一例である。図示する通り、サセプタリング10は、様々な製造工程中に半導体ウェハ12を支持するために使用される。サセプタ10は2つの基本的構成要素、つまりリング14および閉塞物16から形成される。リング14は、上面および下面それぞれ18および20を有する環状部材である。リングはまた、ウェハショルダ26および閉塞物ショルダ28と表わされた、内部側壁22に形成された2つのショルダをも含む。ウェハショルダ26は上面18に通じる一方、閉塞物ショルダ28はウェハショルダに通じる。座30および後壁36は縁部33でつながる。
【0042】
ウェハショルダは、リングの縦軸に垂直に延びる平面状の座30と、縦軸と同軸の管状の後壁32とを含む。後壁32は上面18と交わる。同様に、閉塞物ショルダは座34と後壁36とを含み、閉塞物ショルダの後壁36は座30と交わって縁部33を形成する。縁部の外周から4分の1の地点に当たる点「q」から測定した、縁部33の半径「r」は0.05mm以上である。図示する通り、座はウェハおよび閉塞物に対し重力に抗する支持を提供する一方、後壁はウェハおよび閉塞物に対し重力に抗する支持を提供する一方、後壁はウェハまたは閉塞物の側方の移動に抗する支持を提供する。いずれの場合も、後壁の直径はそれぞれウェハまたは閉塞物のそれより大きいので、これらの品目を容易にリングに挿入したりそこから取り外すことができる。さらに、それぞれの座は閉塞物の厚さより大きい距離の間隔を置いているので、図2に示すように、ウェハの底面と閉塞物の頂面との間に空間ができる。
【0043】
ウェハ保持器は、様々なウェハ処理方法に使用することができる。かかる方法として、バッチ処理チャンバ、例えばウェハの高温アニーリング、高温拡散、窒化物堆積、単一ウェハ処理チャンバ、例えばエピタキシャルシリコン成長、化学蒸着膜成長、ウェハアニーリング、高温拡散、およびプラズマエッチングが挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
半導体ウェハは、任意の好適なウェハ処理チャンバ内、並びに任意の好適な方法で、ウェハ保持物品において処理される。かかる方法として、アニーリング、拡散および窒化物堆積、エピタキシャル成長、CVD膜成長、ならびにプラズマエッチングが挙げられるが、それらに限定されない。かかるプロセスは半導体ウェハの表面を改変して、それらを電子デバイスで使用できるようにする。
【0045】
アニーリングの例として、断熱加熱、熱流束、および等温加熱が挙げられるが、それらに限定されない。断熱は、パルスエネルギ源(例えばレーザ、イオンビーム、電子ビーム)によって提供されるエネルギの10〜100×10−9秒の非常に短時間の印加を含む。この高強度の短時間のエネルギは、半導体の表面を1〜2ミクロンの深さまで溶融させる。熱流束は、5×10−6〜2×10−2秒間のエネルギの印加を含む。熱流束加熱はウェハの表面より下に2ミクロン以上にわたって実質的な温度勾配を発生させるが、ウェハの厚さ全体にわたる均等な加熱に近いものは何ももたらさない。等温加熱は、1〜100秒間印加されるエネルギを伴い、ウェハの温度を任意の所与の領域でその厚さ全体にわたって均等にする。
【0046】
アニーリングプロセスは、通常の炉または急速熱アニーリング(RTA)システムで行なうことができる。例えばシリコンの急速熱アニーリングは、ウェハが高出力ランプの列によって個別に加熱される数多くの商業的に入手可能なRTA炉のいずれかで実行することができる。RTA炉は、シリコンウェハを数秒で室温から1200℃に急速に加熱することができる。かかる商業的に入手可能な炉の1つとして、AG Associates(カリフォルニア州マウンテンビュー)から入手可能な610型炉がある。
【0047】
エピタキシャル層は、当業界でよく知られた多くの異なるプロセスによって半導体ウェハ上に堆積または成長させることができる。典型的に、エピタキシャル層の成長は、化学気相堆積によって達成される。一般に、化学気相堆積は、SiCl、SiHCl、SiHCl、またはSiHをはじめとする揮発性反応物質を、水素をはじめとするキャリアガスと共にエピタキシャル反応装置に導入することを含む。プロセス条件は様々であってもよいが、単結晶層の堆積の場合、温度は一般的に1080℃〜1150℃の範囲である。加えて、堆積が行なわれる環境は典型的に粒子状汚染物質が無い。
【0048】
半導体ウェハ上の膜の形成は、熱化学気相堆積によって行なうことができる。典型的に、該プロセスは単一ウェハ堆積チャンバ内で実行される。例えば堆積チャンバ内で、ヘキサクロロジシランソースガスは酸化窒素のような酸化ソースガスと混合されて、酸化シリコン膜を形成する。代替的に、ヘキサクロロジシランソースガスはアンモニアのような窒化ソースガスと混合されて、窒化シリコン膜を形成する。代替的に、ヒキサクロロジシランソースガスは亜酸化窒素のような酸化ソースガスおよびアンモニアのような窒化ソースガスと混合されて、酸窒化シリコン膜を形成する。膜は、10トル〜350トルの全圧および500℃〜800℃の範囲の温度のチャンバ内で形成される。膜は45Å/分〜2000Å/分の堆積速度で形成される。ヘキサクロロジシランを用いて形成される膜は、300Å未満および10Åを越える厚さを有することができる。
【0049】
改変された半導体ウェハは、当業界で知られている任意の好適な方法を用いて、スリップについて測定することができる。スリップの測定は方法によって異なる。当業界で用いられる1つの方法は、入射偏光のウェハ透過後の偏光解消を測定して記録するものである。これは、例えばSIRD(商標)走査型赤外偏光解消ツールのような偏光解消撮像装置(depolarization imager)を用いて実行され得る。当業界でスリップを測定する別の方法は、レーザに基づく検査技術である固定ビーム技術(SBT)によるものである。これは、例えばSurfscan(登録商標)SP1非パターン化表面検査システムのような表面検査システムを用いることによって行なうことができる。
【0050】
以下の実施例は本発明をさらに例証するものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0051】
実施例1
通常の研削装置を使用して、CVDシリコンカーバイドサセプタリングをRa=0.8ミクロンの表面粗さまで機械加工した。表面粗さは、接触表面形状測定装置を用いて測定した。機械加工は、最初に150グリットを有するダイアモンドホイールで行い、続いて320グリットを有するダイアモンドホイールで行なった。研削は1750rpmの速度で9時間行なった。サセプタの表面の写真を撮影した。図4の上の部分は、サセプタの機械加工された表面の一部分の30倍の拡大写真を示す。図4は、従来の機械加工によって生じる特徴的な溝および隆条を示す。
【0052】
次いでサセプタリングは、4ミクロン〜8ミクロンの粒子サイズを有するダイアモンドペーストを用いて、Pellon Pad(商標)ラッピングパッドを使用してラッピングした。ラッピングは600m/分の表面速度で2時間行なった。
【0053】
次いでサセプタの表面の一部分の写真を撮影した。図4の下の部分は、ラッピング後のサセプタの30倍の拡大写真を示す。通常の機械加工に特徴的な溝および隆条は除去された。より平滑な表面が得られた。
【0054】
接触表面形状測定装置を用いて表面粗さを測定した。Ra値は0.1ミクロンであることが決定され、かつRz(din)は1ミクロンであることが決定された。ラッピング方法は、通常の機械加工プロセスより低いRa値を有する表面をもたらした。
【0055】
次いでサセプタリングをウェハボート内に置き、半導体ウェハをサセプタリング内に配置した。次いでウェハボートを通常のCVD炉内に配置した。炉を1100℃の温度まで加熱し、エピタキシャル膜形成の場合のように不活性アルゴンおよび水素雰囲気を形成した。ウェハボートをウェハごと炉内で6時間加熱した。次いで炉を室温まで冷却し、ウェハボートをサセプタリングおよびウェハごと炉から取り出した。
【0056】
Surfscan(登録商標)SP1を使用する固定ビーム技術を使用して、スリップを測定した。測定の結果、スリップは無かった。したがって、ラッピング方法はスリップを防止するサセプタをもたらした。
【0057】
実施例2
実施例1に記載した通りに、通常の研削装置および方法を使用して、CVDシリコンカーバイドサセプタリングをRa=0.8ミクロンの表面粗さまで機械加工する。表面粗さは、接触表面形状測定装置を用いて測定する。
【0058】
次いでサセプタリングは、4ミクロン〜8ミクロンの粒子サイズを有するダイアモンドペーストを用いて、Pellon Pad(商標)ラッピングパッドを使用してラッピングする。ラッピングは1200m/分の表面速度で2時間行なった。次いでサセプタは、2ミクロン〜4ミクロンの粒子サイズを有するダイアモンドペーストを用いて3時間研磨した。接触表面形状測定装置で測定した場合、Raは0.05ミクロン未満になると予想され、Rz(din)は0.5ミクロン未満になると予想される。
【0059】
次いでサセプタリングをウェハ保持装置内に配置し、半導体ウェハをサセプタリング内に配置する。次いで装置を、不活性アルゴン雰囲気のCVD炉内に配置する。炉の温度を室温から1100℃に上昇させる。装置を炉内で10時間加熱する。次いで炉を室温まで冷却させる。ウェハ保持装置が室温に達したときに、それを炉から取り出す。シリコンウェハを装置から取り出し、スリップの量を決定する。測定可能なスリップは無いと予想される。
【0060】
実施例3
実施例1に記載した通り、通常の研削装置を使用して、CVDシリコンカーバイドサセプタリングをRa=0.8ミクロンの表面粗さまで機械加工する。表面粗さは、接触表面形状測定装置を用いて測定する。
【0061】
次いでサセプタリングは、4ミクロン〜8ミクロンの粒子サイズを有するダイアモンドペーストを用いて、Pellon Pad(商標)ラッピングパッドを使用してラッピングする。ラッピングは1500m/分の表面速度で3時間行なわれる。次いでサセプタは、0.25ミクロン〜1ミクロンのサイズ範囲を有する粒子のダイアモンドペーストを用いて4時間研磨する。Raは0.005ミクロンになると予想され、Rz(din)は0.05ミクロンになると予想される。サセプタの縁部半径は0.1mmを越えると予想される。
【0062】
次いでサセプタリングをウェハボート内に置く。シリコン半導体ウェハをサセプタボート内に配置し、次いでボートを炉内に配置する。炉に不活性雰囲気のアルゴンおよび水素を提供する。炉を1200℃に加熱し、ボートを10時間炉内に維持する。炉の温度を室温まで冷却させる。ボートがサセプタリングごと室温に達した後、Surfscan(登録商標)SP1を使用して、固定ビーム技術を用いてスリップを測定する。測定可能なスリップは無いと予想される。
【0063】
実施例4
実施例1と同じ手順に従って、CVDシリコンカーバイドサセプタリングを機械加工して、Ra=0.8を達成した。次いでサセプタは、20%の酸素を含む標準熱開放型炉に配置した。炉の温度を1000℃に上昇させ、圧力を1気圧に維持した。サセプタを炉内で12時間加熱して、サセプタの表面に厚さ0.1ミクロンの二酸化シリコン層を生成した。
【0064】
次いでサセプタをウェハボート内に配置した。半導体ウェハをサセプタ内に配置し、次いでボートを不活性アルゴンおよび水素雰囲気の炉内に配置した。炉を1200℃に加熱した。ボートを炉内で10時間加熱した。次いで炉の温度を室温まで冷却させた。ボートがサセプタリングおよびウェハごと室温に達した後、Surfscan(登録商標)SP1を使用して、固定ビーム技術によってスリップを測定した。測定可能なスリップは検出されなかった。
【0065】
実施例5
実施例1に記載した通り、CVDシリコンカーバイドサセプタリングをRa=0.8まで機械加工した。次いでサセプタリングを標準熱開放型炉内に配置して、リングの表面上に厚さ0.8ミクロンの二酸化シリコンの層を生成した。
【0066】
開放型炉の温度を1100℃に200時間維持して、サセプタリングの表面上に二酸化シリコン層を生成した。次いで炉を周囲温度まで冷却した。サセプタリングが冷却されると、それを1Nのフッ化水素酸溶液に30分間浸漬して、二酸化シリコン層をサセプタから剥離させた。剥離中のフッ化水素酸溶液の温度は30℃であった。
【0067】
サセプタの表面粗さを接触表面形状測定装置で測定した。Raは0.1ミクロンであると測定され、Rzは1ミクロンであると測定された。
【0068】
サセプタリングをウェハボート内に配置し、シリコン半導体ウェハをリング内に配置した。次いでボートを炉内に配置し、1050℃の温度に加熱した。ボートをアルゴンおよび水素の雰囲気の炉内に5.5時間放置した。5.5時間後に、炉を室温まで冷却させた。ボートが室温に達すると、それを炉から取り出した。ウェハをボートから取り出し、Surfscan(登録商標)SP1非パターン化表面検査システムを用いて、スリップの量を測定した。測定の結果、スリップは無かった。
【0069】
実施例6
通常の機械加工装置を使用して、焼結シリコンカーバイドサセプタをRa=1ミクロンの表面粗さまで機械加工する。機械加工は、実施例1に記載されたものと同じ方法によって行われる。次いで、研磨パッドおよび0.5ミクロン〜1ミクロンの平均粒子サイズを有するダイアモンド粒子を使用して、サセプタを研磨する。研磨は2400m/分の表面速度で5時間かけて行なわれる。
【0070】
サセプタを研磨した後、それを通常の誘導結合プラズマ反応装置内に配置する。プラズマの温度は、エッチング中、10−5トルの圧力で1400℃に維持される。塩化水素ガスを1000ml/分の速度でチャンバ内に導入する。エッチングは60秒間行なわれる。Raは0.5ミクロン未満になると予想され、およびRz(din)は5ミクロン未満になると予想される。縁部の半径は0.5mmになると予想される。表面測定は光学表面形状測定装置により行なわれる。
【0071】
次いで、シリコンウェハを含むサセプタをシリコンカーバイドウェハボート内に配置する。次いでウェハを、水素雰囲気の炉内で1200℃で1時間アニールする。次いでウェハを乾燥酸素雰囲気中で1200℃で1時間アニールする。炉を室温に冷却させる。ウェハが室温に冷却した後、それをサセプタから取り出す。SIRD(商標)またはSurfscan(登録商標)SP1のいずれかによって測定したときに、ウェハにいかなるスリップも現われないものと予想される。
【0072】
実施例7
通常の研削装置を使用して、焼結シリコンカーバイドサセプタリングをRa=2ミクロンの表面粗さまで機械加工する。研削が、9時間の代わりに6時間行なわれることを除いては、実施例1と同じ方法によって行われる。
【0073】
サセプタをヘリコンプラズマエッチングリアクタ内に配置する。リアクタの温度は、エッチング中、10−5トルの圧力で1200℃に維持される。フッ素ガスの供給源としてフッ化窒素を500ml/分の流量でリアクタ内に供給する。エッチングは30分間行なわれる。次いでリアクタを室温まで冷却させ、サセプタが室温に達したときに、それをチャンバから取り出す。
【0074】
次いでサセプタの表面を、50重量%のフッ化水素酸および50重量%の硝酸を含む鉱酸の混合物で処理する。サセプタを酸混合物の浴に20秒間浸漬する。溶液の温度は35℃である。サセプタは0.5ミクロンのRaおよび3ミクロンのRz(din)を有すると予想される。縁部半径は0.1mmになると予想される。
【0075】
シリコンウェハをサセプタ上に配置する。それらをアルゴン雰囲気の炉内に配置し、1400℃で10時間加熱する。炉内の温度を室温まで低下させる。サセプタおよびウェハが室温に達したときに、それらを炉から取り出す。ウェハは、Surfscan(登録商標)SP1およびSIRD(商標)を用いることによって、測定可能なスリップを示さないと予想される。
【0076】
実施例8
実施例1に記載された同じ方法によってCVDシリコンカーバイドサセプタリングを機械加工する。次いでサセプタリングをヘリコンプラズマリアクタ内に配置する。リアクタに50ml/分の流速で水素ガスを加え、塩素ガスを300ml/分の速度でリアクタに加える。ネオンガスをチャンバに100ml/分の速度で追加して、リアクタ内に不活性雰囲気をもたらす。リアクタ内の温度は10−8トルの圧力で1500℃に維持される。エッチングは60分かけて行なわれる。サセプタは0.5ミクロンのRaおよび3ミクロンのRz(din)を有すると予想される。縁部半径は0.25mmになると予想される。
【0077】
サセプタをシリコンウェハごと水素雰囲気を有するリアクタ内に配置する。リアクタの温度は1300℃である。ウェハを3分間処理する。次いでウェハの表面を65体積%の塩化水素ガスによりエッチングする。リアクタ内の圧力は2トルである。
【0078】
ウェハをエッチングした後、ジクロロシランおよび水素を反応物質として使用して、ウェハ上にシリコン層を成長させる。反応混合物は60体積%のジクロロシランおよび40体積%の水素である。リアクタの温度はシリコン成長中に1050℃まで低下する。圧力は2トルに維持される。成長速度は毎分0.2〜0.3ミクロンである。
【0079】
ウェハが室温まで冷却されたときに、それをリアクタから取り出す。ウェハは、SIRD(商標)またはSurfscan(登録商標)SP1計器を用いて測定可能なスリップ欠陥は示されないと予想される。
【0080】
実施例9
実施例1に記載されたようにして、CVDシリコンカーバイドサセプタリングを、Ra=0.1ミクロンおよびRz(din)=1ミクロンの表面粗さまで機械加工し、ラッピングする。次いでシリコンウェハをリング上に配置し、両方を単一ウェハ堆積チャンバ内に配置する。
【0081】
シリコンウェハ上に膜を形成するための堆積温度は800℃であり、チャンバ内の圧力は50トルである。反応物質は50ml/分の速度で供給されるアンモニアガス、および60ml/分の速度で供給されるヘキサクロロジシランである。膜堆積は毎分0.2〜0.3ミクロンの速度で行なわれる。
【0082】
窒化シリコン膜がシリコンウェハ上に形成された後、それをチャンバ内で室温まで冷却させる。SIRD(商標)またはSurfscan(登録商標)SP1計器を用いて、ウェハで測定可能なスリップは検出されることはないと予想される。
【0083】
実施例10
化学気相堆積されたシリコンカーバイドサセプタリングを、実施例1に記載した通常の研削装置および方法を使用して、Ra=0.8ミクロンの表面粗さに機械加工した。表面粗さは接触表面形状測定装置を用いて測定した。
【0084】
次に、400のメッシュ(グリット)サイズを有するシリコンカーバイド粉末を用いて、サセプタリングをサンドブラストした。シリコンカーバイド粉末は、直径1/8インチのタングステンカーバイドノズルを通して、100psiの圧力で吹き付けた。サセプタリングの表面全体に、表面の全ての機械加工痕が見えなくなり、かつ表面がむらの無い外観を有するようになるまで、サンドブラストを行なった。全てのサンドブラスト作業は完了するまで約30分かかる。
【0085】
表面粗さは接触表面形状測定装置を使用して測定し、平均粗さはRa=1.9ミクロンおよびRz(din)=7.6ミクロンであった。
【0086】
次いでサセプタリングをウェハボート内に配置した。シリコンウェハをサセプタリング上に配置し、次いでボートを不活性アルゴンおよび水素雰囲気の炉内に配置した。炉を1200℃に加熱した。ボートを炉内で10時間加熱した。次いで、炉の温度を室温まで冷却させた。ボートがサセプタリングおよびウェハごと室温に達した後、スリップを測定した。SIRD(商標)またはSurfscan(登録商標)SP1計器を用いて測定可能なスリップはシリコンウェハ上で検出されなかった。
【0087】
実施例11
化学気相堆積されたシリコンカーバイドサセプタリングを、実施例1に記載した通常の研削装置および方法を使用して、Ra=0.8ミクロンの表面粗さに機械加工した。表面粗さは接触表面形状測定装置を用いて測定した。
【0088】
次に、400のメッシュ(グリット)サイズを有するシリコンカーバイド粉末を用いて、サセプタリングをサンドブラストした。シリコンカーバイド粉末は、直径1/8インチのタングステンカーバイドノズルを通して、100psiの圧力で吹き付けた。サセプタリングの表面全体に、表面の全ての機械加工痕が見えなくなり、かつ表面がむらの無い外観を有するようになるまで、サンドブラストを行なった。全てのサンドブラスト作業は完了するまで約30分かかる。
【0089】
次に、1000のメッシュ(グリット)サイズを有するシリコンカーバイド粉末を用いて、サセプタリングをサンドブラストした。シリコンカーバイド粉末は、直径1/8インチのタングステンカーバイドノズルを通して、120psiの圧力で吹き付けた。サセプタの表面全体を約20分間サンドブラストした。
【0090】
表面粗さは接触表面形状測定装置を使用して測定し、平均粗さはRa=1.3ミクロンおよびRz(din)=5.5ミクロンであった。
【0091】
次いでサセプタリングをウェハボート内に配置した。シリコンウェハをサセプタリング上に配置し、次いでボートを不活性アルゴンおよび水素雰囲気の炉内に配置した。炉を1200℃に加熱した。ボートを炉内で10時間加熱した。次いで、炉の温度を室温まで冷却させた。ボートがサセプタリングおよびウェハごと室温に達した後、スリップを測定した。SIRD(商標)またはSurfscan(登録商標)SP1計器を用いて測定可能なスリップはシリコンウェハ上で検出されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】サセプタリングを示す部分切欠き斜視図。
【図2】図2のサセプタおよびウェハの側面断面図。
【図3】サセプタの丸みのある縁部の側面断面図。
【図4】機械加工およびラップ加工されたシリコンカーバイド表面の30倍の写真。
【符号の説明】
【0093】
10 サセプタリング
12 半導体ウェハ
14 リング
16 閉塞物
18 上面
20 下面
22 内部側壁
26 ウェハショルダ
28 閉塞物ショルダ
30 座
32 後壁
33 縁部
34 座
36 後壁
r 縁部33の半径
q 縁部の外周から4分の1の地点に当たる点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ウェハ保持物品の1以上の表面を改変して、3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)を有するウェハ保持物品を提供すること、
b)1以上の半導体ウェハを前記ウェハ保持物品内に配置すること、
c)前記ウェハ保持物品を1以上の半導体ウェハと共に処理チャンバ内に配置すること、および
d)前記1以上の半導体ウェハを処理して該1以上の半導体ウェハを改変し、50以下のスリップ欠陥を有する改変された半導体ウェハを形成すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記ウェハ保持物品がシリコンカーバイドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコンカーバイドがCVDシリコンカーバイド、PVDシリコンカーバイド、反応結合シリコンカーバイド、焼結シリコンカーバイド、高温圧縮シリコンカーバイド、または発泡シリコンカーバイドから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
a)ウェハ保持物品の表面を改変して、0.05mm以上の縁部半径、3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)を有するウェハ保持物品を提供すること、
b)1以上の半導体ウェハを前記ウェハ保持物品内に配置すること、
c)前記ウェハ保持物品を1以上の半導体ウェハと共に処理チャンバ内に配置すること、および
d)前記1以上の半導体ウェハを処理して該1以上の半導体ウェハを改変し、50以下のスリップ欠陥を有する改変された半導体ウェハを形成すること、
を含む方法。
【請求項5】
前記ウェハ保持物品が機械加工、ブラスト処理、ラップ加工、研磨、コーティング、エッチング、アブレーション、またはそれらの組合せによって改変される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェハ保持物品が、ウェハ保持物品上に厚さ0.5ミクロン〜5ミクロンの二酸化シリコン層を形成することによって改変される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
3ミクロン以下のRaおよび15ミクロン以下のRz(din)の表面粗さを含むウェハ保持物品。
【請求項8】
0.05mm以上の縁部半径をさらに含む、請求項7に記載のウェハ保持物品。
【請求項9】
表面が0.5ミクロン〜5ミクロンの二酸化シリコンコーティングを有する、請求項7に記載のウェハ保持物品。
【請求項10】
前記ウェハ保持物品がシリコンカーバイドである、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−134688(P2007−134688A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−274839(P2006−274839)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】