説明

半導体収納容器搬送装置及び搬送方法及びそれに用いる吸着パッド

【目的】半導体収納容器搬送装置(ハンドラー)において、ハンドラーにおける半導体収納容器(トレー)の搬送に、品種切り替えなどによる治具交換及び治具調整をすることなく、簡易に対応できるようにすること。
【構成】吸着ハンド5は、角型の弾性体の中央に吸着口が位置するように配置した吸着パッド4と、吸着パッド4を押しつけるスプリング6で構成されている。吸着パッド4は、トレ−のICポケット2の周囲の上面に接触し、遮蔽されているICポケット2を密閉させるような位置に吸着ハンド5を移動させ、トレ−を吸着させる。吸着ハンドは位置設定の可変なロボットに設置されている。
【効果】トレーのような表面形状の複雑なものも、吸着径に関係なく大きな吸着力が得ることができる。また品種切り替え時には、ロボットの位置設定の変更だけで、機械的調整や治具交換をなくすことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体収納容器搬送装置及び搬送方法及びそれに用いる吸着パッドに関し、特に半導体パッケージの収納容器を搬送する構造に特徴のある半導体収納容器搬送装置及び搬送方法及びそれに用いる吸着パッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体収納容器搬送装置(以下、ハンドラーと称す)において、半導体収納容器(以下、トレーと称す)の搬送方式は、大別すると機械ハンド方式と吸着ハンド方式があった。
【0003】図4に示すように機械ハンド方式では、積み重ねられたトレー1を分離するため、トレーの外形端に設けられた切り欠き部を把持用ハンドで把持し、一枚毎搬送を行うものである。
【0004】吸着ハンド方式では、トレーに吸着可能な平坦部を設け、その平坦部分に吸着パッドを組み込んだハンドで、吸着把持し搬送を行うものであった。図3は、吸着パッド方式の断面図である。吸着パッド7のパッド径により吊り下げ力が決められ、トレー1の品種ごとに吸着パッド7の位置調整または、ハンド全体の交換が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術の機械ハンド方式においては、積み重ねられたトレーを一枚毎分離できるように、トレーの外形端に把持用ハンド先端が入るための切り欠き部を有しなければならない。また、トレーの切り欠き部の形状や位置が個々異なるため、品種切り替え時の治具交換の作業時間の増大、また個々の治具製作の費用が増大するといった課題があった。
【0006】一方、従来技術の吸着ハンド方式においては、トレーのICパッケージ収納部(以下、ICポケットと称す)に、本来開口部が設けられているが、吸着パッドによって吸着できるように、特定のICポケットの開口部を遮蔽している。ところがその開口部を遮蔽したICポケットの位置は、トレーの種類によって異なることがあるため、ICの品種切り替え時に治具を交換する必要があり、治具交換の作業時間が増大するという課題があった。
【0007】本発明の目的は、かかるハンドラーでのトレーの搬送を行う際に、品種切り替えなどによる治具交換及び治具調整することなく簡易に対応できる半導体パッケージ搬送装置及びそれに用いる吸着パッドを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるために本発明の半導体収納容器搬送装置においては、略中央に吸着口となる開口部を形成した吸着パッドと、半導体用トレーの搬送時に該トレーに前記吸着パッドを押圧するスプリングとを有する吸着ハンドを含んでなることを特徴とする。
【0009】また、上記構成に加えて前記吸着パッドは、前記トレーのICポケットの面積以上の吸着面を有することを特徴とする。
【0010】また上記の構成のいずれかに加えて前記吸着パッドは、軟質の弾性体を用いてなることを特徴とする。
【0011】そして前記軟質の弾性体はシリコンスポンジまたはシリコンゴムであることが好ましい。
【0012】また、本発明の半導体収納容器搬送方法においては、前記トレーのICポケットの周囲のトレー上面を吸着することを特徴とする。
【0013】また、本発明の半導体収納容器搬送装置に用いる吸着パッドであって、前記吸着パッドは、軟質の弾性体を用いてなることを特徴とする。
【0014】そして前記吸着パッドは略中央に開口部を形成されてなることを特徴とする。
【0015】
【作用】上記の手段を用いることにより、トレーの平面部を吸着することをせずに吸着することが出来る。
【0016】ICポケットの表面形状の影響を受けることなく、吸着パッドを密着させることができる。
【0017】一個あるいは、複数個のICポケットを密閉することができる吸着パッドにより、吊り下げ力を確保することができる。
【0018】
【実施例】以下に、本発明による一実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】図1はトレー1を吸着搬送する吸着ハンド5が、トレー1を吸着しているところを示した断面図である。3はICポケットの開口部であり、トレーを積み重ねた場合に、下に位置するトレーのICが収納されているか否かの確認するもであり、またトレーの重量を軽減するものである。
【0020】吸着ハンド5は、角型の弾性体の中央に吸着口が位置するように配置した吸着パッド4と、吸着パッド4を押しつけるスプリング6で構成されている。
【0021】このとき、吸着パッド4は、トレーのICポケット2の周囲の上面に接触し、遮蔽されているICポケット2を密閉させるような位置に吸着ハンド5を移動させ、トレーを吸着させる。
【0022】図2は、トレー1の鳥瞰図である。ICポケット2のように開口部3が、トレーを積み重ねた場合の、下に位置するトレーのICが収納されているか否かの確認するためと、またトレーの重量を軽減するために設けられており、部分的に遮蔽されたICポケット2が配置されている。この遮蔽されたICポケット2の位置が、品種によって異なっている。
【0023】本発明による半導体パッケージ搬送装置では、吸着ハンドを位置設定の可変なロボットに設置することにより、遮蔽したICポケット2を、図1または図5R>5に示すごとく、遮蔽したICポケット2の周囲のトレー上面と、吸着パッド4が接触し、吸着パッドの吸着口が、遮蔽したICポケット2を吸着可能な位置に配置できるようにする。
【0024】この時、吸着パッド4には、トレー1を吸着搬送する吸着ハンド5の有するスプリング7による押しつけ力で、トレー1に密着することが可能な、軟質の弾性体が使用される。軟質の弾性体としては、例えばシリコンスポンジや軟質のシリコンゴムなどのものを用いると良い。
【0025】吸着パッド4の大きさは、多品種あるトレーの中の、ICポケット寸法Aの最大のものが密閉できる大きさが適している。その理由は、本発明による吸着パッドは、従来の吸着パッドが、その吸着面積から吸着力を得るのに対し、遮蔽されたICポケットの数とその内容積から吸着力を得るため、ICポケット寸法Aの最大のものが密閉できる大きさが必要だからである。例えば、一辺40mmのICパッケージの場合、ICポケット寸法Aが、約45mmになるため、吸着パッド4の大きさは、約55mmが適正な大きさになる。
【0026】シリコンスポンジの厚みは、吸着ハンド5の有するスプリング6による押しつけ力と、シリコンスポンジの弾性によるが、スプリング6の押しつけ力により、シリコンスポンジが、トレー1に密着できるような弾性を得るといった理由から、約10mmが適している。
【0027】また、隣接したICポケット間の寸法Bが小さく、トレー1を吸着搬送できる吊り下げ力を得るだけの吸着面積がない場合、例えば、隣接したICポケット間の寸法Bが、約5mmになると吸着パッドを図5のように、複数個のICポケットにまたがって、吸着するように配置する。このとき、吸着パッド4の吸着径Cは、約8mmが適している。
【0028】
【発明の効果】本発明による吸着パッドによると、トレーのような表面形状の複雑なものも、吸着径に関係なく、大きな吸着力が得ることができる。
【0029】また品種切り替え時には、ロボットの位置設定の変更だけで、機械的調整や治具交換をなくすことができる。このため、本発明による吸着パッドを採用したハンドラーでは、品種切り替え時の作業時間の短縮が可能になる。
【0030】また、隣接したICポケット間の寸法が小さく、トレー1を吸着搬送できる吊り下げ力を得るだけの吸着面積がない場合でも、吸着パッドを図5のように、複数個のICポケットにまたがって、吸着するように配置するため、複数個のICポケットの表面積から大きな吸着力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で、トレー1を吸着搬送する吸着ハンド5が、トレー1を吸着しているところを示した断面図である。
【図2】トレーの鳥瞰図である。
【図3】従来技術の吸着パッド方式の断面図である。
【図4】従来技術の機械ハンド方式の鳥瞰図である。
【図5】本発明の一実施例で、隣接したICポケット間の寸法が小さく、トレーを吸着搬送できる吊り下げ力を得るだけの吸着面積がない場合で、トレーを吸着搬送する吸着ハンドが、トレーを吸着しているところを示した断面図である。
【符号の説明】
1・・・トレー
2・・・遮蔽したICポケット
3・・・ICポケットの開口部
4、7・・・吸着パッド
5・・・吸着ハンド
6・・・スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】 略中央に吸着口となる開口部を形成した吸着パッドと、半導体用トレーの搬送時に該トレーに前記吸着パッドを押圧するスプリングとを有する吸着ハンドを含んでなることを特徴とする半導体収納容器搬送装置。
【請求項2】 前記吸着パッドは、前記トレーのICポケットの面積以上の吸着面を有することを特徴とする請求項1記載の半導体収納容器搬送装置。
【請求項3】 前記吸着パッドは、軟質の弾性体を用いてなることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体収納容器搬送装置。
【請求項4】 前記軟質の弾性体はシリコンスポンジまたはシリコンゴムであることを特徴とする請求項3記載の半導体収納容器搬送装置。
【請求項5】 半導体パッケージ用トレーを搬送する半導体収納容器搬送方法であって、前記トレーのICポケットの周囲のトレー上面を吸着することを特徴とする半導体収納容器搬送方法。
【請求項6】 半導体収納容器搬送装置に用いる吸着パッドであって、前記吸着パッドは、軟質の弾性体を用いてなることを特徴とする半導体収納容器搬送装置に用いる吸着パッド。
【請求項7】 前記吸着パッドは略中央に開口部を形成されてなることを特徴とする請求項6記載の半導体収納容器搬送装置に用いる吸着パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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