半導体収納容器用梱包箱
【課題】小さな容積で耐衝撃性の高い半導体収納容器用梱包箱を提供すること。
【解決手段】半導体収納容器の全方位面に密接して保護する複数の内側発泡緩衝材と、前記半導体収納容器と前記内側発泡緩衝材の全てを完全に囲繞して収納する段ボール箱と、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面との間であって全方位面に密着して配置されている複数の粘弾性固体緩衝材とからなり、当該粘弾性固体緩衝材は、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面とを非接触で完全に離間させるように配されており、前記粘弾性固体緩衝材は前記段ボール箱の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤で固着されている。
【解決手段】半導体収納容器の全方位面に密接して保護する複数の内側発泡緩衝材と、前記半導体収納容器と前記内側発泡緩衝材の全てを完全に囲繞して収納する段ボール箱と、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面との間であって全方位面に密着して配置されている複数の粘弾性固体緩衝材とからなり、当該粘弾性固体緩衝材は、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面とを非接触で完全に離間させるように配されており、前記粘弾性固体緩衝材は前記段ボール箱の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤で固着されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の精密部品を収納するための半導体収納容器を梱包して安全に輸送するための半導体収納容器用梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエ−ハの輸送を行う際には、これら半導体ウエ−ハをプラスチック製の出荷用半導体収納容器に収納し、この半導体収納容器をポリエチレン袋等に機密に収納した後、例えば、ダンボール等による梱包を行うもの等では、これを発泡ウレタン等の発泡緩衝材を介してダンボール内に収納し運搬する方法が知られている。
【0003】
半導体ウエ−ハは耐衝撃性が小さいため、梱包箱に収納した状態で1.5mの高さから落下したとしても半導体収納容器には30G以上の衝撃加速度が印加されてはならず、もちろんこのとき半導体収納容器に収納されている半導体ウエ−ハが破壊されてはならない。このとき、梱包箱が落下して着地するときの姿勢はあらゆる姿勢が考えられるために、梱包箱がどのような姿勢で落下したとしても半導体ウエ−ハが破壊されてはならない。そのため、発泡緩衝材は半導体収納容器の全ての方位面に対して配されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
近年では、地球温暖化を抑制するために環境に優しい材料を率先して使用したフィルム状真空成形緩衝体を緩衝材として用いた例もみられる(例えば、特許文献2)。
さらに、一方、微小な精密部品を固定する方法として、例えばゲルにより収納品を固定したりゲルを容器として用いたりして収納品を収納するものもある(例えば、特許文献3および4参照)。
【特許文献1】特開2007−119020
【特許文献2】特開2008−247422
【特許文献3】特開2006−071368
【特許文献4】特開2006−047042
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した半導体収納容器用梱包箱では、次のような問題があった。すなわち、従来の発泡緩衝材を用いた梱包箱では、発泡緩衝材が充分な衝撃吸収力がないため発泡緩衝材の厚みを薄くすることが出来なかった。
また、緩衝材を薄くして梱包箱容積を小さくするため、ゲルなどの粘弾性固体を発泡緩衝体と組み合わせるなどの努力がなされてきたが、粘弾性固体自身の持つせん断応力が持つ応力緩和を用いることなく、圧縮応力でのみ衝撃を緩和しようとするために、全方位面からの衝撃の緩和に対して粘弾性固体を有効に用いることができていなかった。その結果、緩衝効果の大きな粘弾性固体を使用しているにも拘わらず、梱包箱を薄くすることが出来ていなかった。
そこで本発明は、粘弾性固体の持つ圧縮応力とせん断応力の両方を有効に用いることによって、全方位からの衝撃力を粘弾性固体で緩和し、その結果、梱包容積の小さな半導体収納容器用梱包箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の半導体収納容器用梱包箱は次のように構成されている。
半導体収納容器の全方位面に密接して保護する複数の内側発泡緩衝材と、前記半導体収納容器と前記内側発泡緩衝材の全てを完全に囲繞して収納する段ボール箱と、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面との間であって全方位面に密着して配置されている複数の粘弾性固体緩衝材とからなり、当該粘弾性固体緩衝材は、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面とを離間、好適には非接触で完全に離間させるように配されており、前記粘弾性固体緩衝材は前記段ボール箱の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着材で固着されていることを特徴とする。
また、上記段ボール箱の内面と上記複数の粘弾性固体緩衝材との間に外側発泡緩衝材が配されており、前記複数の粘弾性固体緩衝材は前記外側発泡緩衝材と上記内側発泡緩衝材とを離間、好適には非接触で完全に離間させるように配置されており、前記粘弾性固体緩衝材は、前記外側発泡緩衝材の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする。
【0007】
さらに、上記粘弾性固体緩衝材と上記内側発泡緩衝材との間に、高剛性材料からなる受け板が配されており、当該受け板は前記粘弾性固体緩衝材と前記内側発泡緩衝材の両方に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする。
また、上記粘弾性固体緩衝材は、粘弾性固体材料と平板状に成形してなる粘弾性固体を収納袋内に密閉されて構成されており、前記粘弾性固体と前記収納袋の内面には当該粘弾性固体材料が充填されていない空洞が形成されてなることを特徴とする。
上記粘弾性固体は、一方が平面であり、他方が複数の突起を形成された凸凹平面とからなる平板形状をしていることを特徴とする。
上記粘弾性固体緩衝材は、同一形状の粘弾性固体緩衝材が粘着剤または接着剤を介して積層されて構成されている積層粘弾性固体緩衝材であることを特徴とする。
上記梱包箱の底面には上記積層粘弾性固体緩衝材を配し、前記梱包箱の上面には1層からなる上記粘弾性固体緩衝材を配してなることを特徴とする。
上記粘弾性固体材料は放射線でセルロースまたは炭水化物を架橋してなるセルロース架橋体または炭水化物架橋体を水に分散してなるセルロースゲルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の発泡緩衝材を用いた梱包容器が有する全方位面に対する耐衝撃力を維持したまま、梱包箱の容積を小さくすることが可能となるため、半導体収納容器に収納された半導体ウエ−ハを安全かつ安価に輸送することが可能となる。
さらにまた、粘弾性固体としてセルロースゲルを用い、収納袋として生分解プラスチックフィルムを用いることによって、環境に優しい梱包箱を提供することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明に係る第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す模式的断面図、図3は本発明の第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す説明図である。図1と図3において、1は段ボール箱、2は外側発泡緩衝材底面板、3は外側発泡緩衝材上板、4は内側発泡緩衝材底面板、5は内側発泡緩衝材上板、6は内側発泡緩衝材上側板、7a、7b、7c、および7dは外側発泡緩衝剤上側板、8は底面粘弾性固体緩衝材、9は上面粘弾性固体緩衝材、10a、10b、10c、および10dは上側面粘弾性固体緩衝材、11a、11b、11c、および11dは外側発泡緩衝材下側板、12a、12b、12c、および12dは下側面粘弾性固体緩衝材、13は半導体収納容器である。
【0010】
図1と図3から分かるように、半導体収納容器13は、内側発泡緩衝材底面版4、内側発泡緩衝材上板5、および内側発泡緩衝材上側板6によって、全ての方位面を取り囲まれて保護されている。
また、段ボール箱1の内面は、外側発泡緩衝材底面板2、外側発泡緩衝材上板3、外側発泡緩衝材上側板7a、7b、7c、7d、および外側発泡緩衝材下側板11a、11b、11c、11dによって全方位面を完全に支持されている。
そして、外側発泡緩衝材底面板2と内側発泡緩衝材底面板4との間には底面粘弾性固体緩衝材8が、外側発泡緩衝材下側板11a、11b、11c、11dと内側発泡緩衝材底面板4との間には下側面粘弾性固体緩衝材12a、12b、12c、12dが、外側発泡緩衝材上側板7a、7b、7c、7dと内側発泡緩衝材上側板6との間には上側面粘弾性固体緩衝材10a、10b、10c、10dが入っており、これら外側発泡緩衝材と内側発泡緩衝材とを完全に分離している。すなわち、これらの間に力が直接加わらないようになるためには完全に分離している方が良いが、力が減衰したり分散したりするような構造である場合には、これらの間が一部または全部が(たとえば、蛇腹構造のようにして)連結していても良い。各々の粘弾性固体緩衝材は、対向する内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で貼り付けられて固着されている。
【0011】
このようにして、半導体収納容器13は、内側発泡緩衝材と共に粘弾性固体緩衝材だけで完全に分離して支持されている。そして、段ボール箱1の外部から与えられる衝撃は、外側発泡緩衝材を介して粘弾性固体緩衝材のみに与えられる構造となっている。
本実施例では、粘弾性固体緩衝材は、幅50mm、奥行き50mm、厚さ10mmのものを標準として用いた。もちろん、実際は、より大きな衝撃がかかると考えられる部分には、後述するように、より厚みの厚い粘弾性固体緩衝材を用いたり、衝撃を受ける面の面積が大きな粘弾性固体緩衝材を用いたりすることが望ましい。
【0012】
図7に本発明の実施形態で用いた粘弾性固体緩衝材の断面構造を示す。図7において、21は支持板、22は収納袋、23は粘弾性固体、25は空洞、および24は粘着剤である。粘着剤24は接着剤を用いてもよいことは言うまでもない。支持板21は、例えば図1と図2においては内側発泡緩衝材がその役目を果たしており、この粘弾性緩衝材を固着するための支持体である。
一方、粘弾性固体緩衝材に用いられる粘弾性固体としては、一般にゴム系材料や液体中に固形分を混合分散させてゲル化させたものなどを用いることができる。例えば、粘弾性ゴムやシリコーンゴムなどのゴム系粘弾性固体や、シリコーンオイルに石英粒子やガラス粒子やフェライト粒子あるいはアルミナ粒子などの酸化物粒子を混合分散させて作られたシリコーンゲルや、水や油あるいはシリコーンオイルなどにセルロース繊維を混合分散させたセルロースゲルなどを用いることができる。セルロースゲルは、放射線でセルロースまたは炭水化物を架橋してなるセルロース架橋体または炭水化物架橋体を水に分散したものを用いることができる。
【0013】
粘弾性固体23は、収納袋22に密封されている。粘弾性固体23に衝撃が印加されて変形したときにその変形が逃げる部分を確保するため、この収納袋22と粘弾性固体23との間には空洞25が設けられている。この空洞25が存在するために、例え収納袋22の変形量がほとんどない場合においても、粘弾性固体23に衝撃力が印加されたときに粘弾性固体23が充分変形して衝撃力を吸収することができる。この空洞25が小さすぎると、衝撃を受けた時に粘弾性固体23が充分変形できずに衝撃の吸収ができなかったり、収納袋22が破れてしまったりする原因となる。
収納袋の材質としては、ポリエチレンや塩化ビニルなどの一般包装用の高分子フィルムや、ポリエチレンなどの高分子が被覆された紙などを用いることができる。
また、粘弾性固体23として、水や油に固形分を分散させたゲルなどを用いる場合は、非通気性の高分子フィルムを収納袋22の材質として用いるのが良いが、合成ゴムやシリコーンゴムなどを用いる場合は、紙や網状に無数の穴が開いたフィルムを用いることもできる。
さらにまた、上記セルロースゲルを用いる場合は、ポリ乳酸フィルムやポリカプロラクトンフィルムやポリブチレンサクシネートのような生分解プラスチックフィルムや天然ゴムなどを収納袋22として用いることによって、環境に優しい粘弾性固体緩衝材とすることができる。また、これらの生分解プラスチップ材料を紙に被覆することによって、柔軟強度と環境への優しさを維持した安価な収納袋とすることができる。
収納袋22が、例えば合成ゴムや天然ゴムなどの伸縮性のある高分子材料で構成されており、粘弾性固体23の衝撃による変形が収納袋22の伸縮で吸収される場合などは、空洞25は必ずしも必要ではない。
【0014】
図1に示される(300mm半導体ウエ−ハ用)段ボール箱1、外側発泡緩衝材、粘弾性固体緩衝材、および内側発泡緩衝材を合わせた厚みが最も薄い部分の厚みは約50mmであった。これに対して、従来の発泡緩衝材のみを用いた梱包箱の最も薄い部分の厚みは120mm程度である。すなわち、本発明の半導体収納容器の梱包箱は、従来のものに比べて緩衝材部の厚みを70mm近くも薄くすることが出来ている。これを梱包箱の容積に換算すると、およそ40%従来のものに比べて減少していることになる。
なお、発泡緩衝材としては、スチレンやウレタンあるいはポリプロピレンを物理的または化学的に発泡させて作った発泡スチロールや発泡ウレタンあるいは発泡ポリプロピレンなどの発泡緩衝材を使用することができる。
【0015】
半導体収納容器13は、図11に示すように、収納容器本体28と蓋体29とから構成されており、内部に半導体ウエ−ハが最大で25枚収納できるようになっている。また、収納容器本体28と蓋体29との間には図示しないガスケットが配されており、半導体収納容器13の内部を外部環境から隔離して収納されている半導体ウエ−ハが外部からの汚染粒子やコンタミなどから汚染されないようになっている。
この半導体収納容器13は通常ポリカーボネート樹脂や環状オレフィン樹脂などのコンタミガスが少ない熱可塑性プラスチックで形成されている。また、内部に収納されている半導体ウエ−ハは、一枚ずつ隔離整列してプラスチックの弾性支持体で支持されている。
【0016】
半導体ウエ−ハは単結晶シリコンを切断研磨した板材であるため、機械的衝撃に対してはもろく割れやすい。そのため、半導体収納容器13には、例え30Gの衝撃加速度が加わったとしても、収納されている半導体ウエ−ハが破壊されないような支持構造が形成されている。さらに、半導体収納容器を構成する熱可塑性プラスチックも、100Gを超えるような大きな衝撃加速度が加わると脆性破壊を起こす可能性がある。
そのため、一般に、半導体収納容器に半導体ウエ−ハを収納した状態で輸送する場合は、万一輸送中に梱包箱が落下して大きな衝撃が印加されたとしても、梱包箱内部の半導体収納容器には30Gを超えるような衝撃加速度がかからないように工夫されている。例えば、直径300mmのシリコンウエ−ハを収納して輸送する半導体収納容器用梱包箱においては、1500mmの高さから落下させても、収納されているシリコンウエ−ハが破壊しないようになっている。
【0017】
図12は、種々の厚みの発泡緩衝材を用いた梱包箱に300mm半導体ウエ−ハを25枚収納した半導体収納容器を梱包して種々の高さから任意の姿勢で落下させたときに、半導体収納容器に印加される衝撃加速度を示したグラフである。図12において、33は発泡緩衝材の最薄部の厚みが50mmの場合、34は発泡緩衝材の最薄部の厚みが100mmの場合、および35は発泡緩衝材の最薄部の厚みが125mmの場合を示した直線である。衝撃加速度の測定値は、梱包箱の落ち方でばらつくために、図12には、各条件で測定を10回繰り返して行って得られた数値の平均値を外挿した直線が示されている。なお、落下高さは、25cm、50cm、75cm、および100cmとした。
半導体収納容器に印加された衝撃加速度は、データロガーを取り付けた加速度センサを収納容器外壁に両面テープで貼り付けて測定し、梱包箱落下後に梱包箱を開封し、データロガーから記録された衝撃加速度データを読み取った。
【0018】
図12から明らかなように、当然のごとく、発泡緩衝材が薄くなるとともに、また落下高さが高くなるとともに半導体収納容器に印加される衝撃加速度は増加した。特に、発泡緩衝材の最薄部の厚みを50mmとして100mmの高さから落下させると、150Gを超える衝撃加速度が半導体収納容器にかかり、収納した半導体ウエ−ハの1/3近くが破壊される場合もあった。また、100mmの最薄部を持つ発泡緩衝材を用いた場合においても、120G程度の衝撃加速度が印加され、破壊される半導体ウエ−ハも出てくる。100〜120G程度の衝撃加速度においては、必ずしも全ての半導体ウエ−ハが破壊されるわけではないが、発泡緩衝材を用いる限り、その最薄部の厚みは100〜125mm程度あることが望ましい。
一方、図1と図3に示した本発明の半導体収納容器梱包箱において、最薄部である外側発泡緩衝材上側板7aと上側面粘弾性固体緩衝材10aと内側発泡緩衝材上側板6とから構成される緩衝材部分の厚み(最薄部の緩衝材部の厚み)を50mmに維持した状態で、粘弾性固体緩衝材の厚みを変化させた場合に半導体収納容器13に印加される衝撃加速度の大きさを示したグラフが図13である。
【0019】
図13において、35は図12に示した発泡緩衝材における最薄部の厚みを125mmとした場合に得られた直線と同じ直線、36は図1における全ての粘弾性固体緩衝材の厚みを10mmとした上で最薄部の緩衝材部の厚みを50mmとなるようにして得られた直線、37は図1における全ての粘弾性固体緩衝材の厚みを20mmとした上で最薄部の緩衝材部の厚みを50mmとなるようにして得られた直線である。なお、粘弾性固体緩衝材の厚さを変えて最薄部の厚さを変化させるにあたって、外側発泡緩衝材と内側発泡緩衝材の厚みは等しくした。
図13より、10mm厚の粘弾性固体緩衝材を外側発泡緩衝材と内側発泡緩衝材でサンドイッチし、半導体収納容器の全方位面を覆うことによって、125mm厚の発泡緩衝材を用いた場合よりも約30%衝撃力を低減することができることがわかった。さらにこのとき、図1の粘弾性固体緩衝材の厚みを20mmと厚くすることによって、125mm厚の発泡緩衝材を用いた場合よりも約60%衝撃力を低減することができることがわかった。
【0020】
さらに、外側発泡緩衝材を省略して、粘弾性固体緩衝材で段ボール箱の内面と内側発泡緩衝材の外面とを離間させて配置する場合にも同様の効果が得られることを確認することができる。しかしこの場合、段ボール箱内面と内側発泡緩衝材との間隙として10〜20mm程度しか取ることができないために、外部衝撃力が印加されたときに段ボール箱が変形して直接内部発泡緩衝材に直接衝撃力が印加される場合があるため、図1や図3に示した場合に比べて、粘弾性固体緩衝材の厚みを厚くすることが好ましい。
【0021】
一方、粘弾性固体緩衝材は柔らかな弾性体であるために機械的強度がなく、半導体収納容器の全方位面を粘弾性固体緩衝材のみで支持する構造にすると半導体収納容器の梱包箱への納まりが良くない。たとえば、半導体収納容器が動いたりする。これを改善するために、粘弾性固体緩衝材に比べると機械的強度に優れた発泡緩衝材の一部が噛み合わさる構造の梱包箱を作製し比較例とした。図6は、発泡緩衝材が互いに組み合わせるようにした半導体収納容器の梱包箱を示した模式的断面図である。図6において、図1と同様の機能を有する要素には同一の番号を付し、その説明は省略した。
図6に示した半導体収納容器の梱包箱は、図1の内側発泡緩衝材上側板6の下部形状を変更して外側発泡緩衝材下側板11a〜11dの上部に嵌合するようにしたものである。このようにすることによって、発泡緩衝材同士が噛み合わさって比較的機械強度の強い結合が可能となるために、収納される半導体収納容器の納まりが良くなる。
【0022】
図6に示した半導体収納容器の収納箱を用いて、図13を得た時と同じ実験を行った。すなわち、緩衝材の最薄部の厚みを50mmとした状態で、使用している粘弾性固体緩衝材の厚みを10mmと20mmに変化させた時に、梱包されている半導体収納容器にどの程度の衝撃加速度が印加されているかを測定した。その結果、半導体収納容器に印加される衝撃加速度は、図13で示した結果とほぼ同様の結果が得られた。ただし、不確定ではあるが時々、極めて大きな衝撃加速度が実測された。その大きさは、1m落下時で100〜130Gの範囲内に入るような大きな値であり、ウエ−ハが破損するほどの数値であった。これは、落下時に着地姿勢が定まらないために、内側発泡緩衝材上側板6と外側発泡緩衝材下側板11a〜11dとが嵌合した部分が偶然に着地部になってしまったためと考えられる。このようなことが起こると、ウエ−ハの破損が生じることがあるために、使用する粘弾性固体緩衝材は、内側発泡緩衝材の外面と外側発泡緩衝材の内面とを非接触で完全に離間させるように配した方が良いことが分かった。これは、外側発泡緩衝材を省略して、粘弾性固体緩衝材で段ボール箱内面と内側発泡緩衝材の外面とを離間させて配する場合にも同様のことが言える。
【0023】
なお、図1と図3では、外側発泡緩衝材上側板7a、7b、7c、7dは各々分離して形成されている場合を示したが、内側発泡緩衝材6のように一体に形成しても良いことは言うまでもない。同様に、外側発泡緩衝材下側板11a、11b、11c、11dも、内側発泡緩衝材6のように一体化しても良いことは言うまでもない。また、これら外側発泡緩衝材上側板と外側発泡緩衝材下側板とを一緒にして一体化しても良いし、さらに外側発泡緩衝材底面板をも一緒にして一体化しても良いことは言うまでもない。さらに、内側発泡緩衝材6と内側発泡緩衝材底面板4とを一緒にして一体化することもできる。
【0024】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。図2は本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す模式的断面図、図4は本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す説明図である。図2と図4が各々図1や図3と異なっている点は、粘弾性固体緩衝材が受板に固着されている点である。図2と図4において、14a、14b、14c、14dは上側面粘弾性固体緩衝材受板、15a、15b、15c、15dは下側面粘弾性固体緩衝材受板、16は底面粘弾性固体緩衝材受板、17は上面粘弾性固体受板である。図2と図4において、図1と図3に示された要素と同様の機能を有する要素には同一の記号を付し、その説明を省略した。
【0025】
図2と図4に示した上側面粘弾性固体緩衝材受板、下側面粘弾性固体緩衝材受板、底面粘弾性固体緩衝材受板、および上面粘弾性固体受板は発泡緩衝材と比較して剛性の強い材料(高剛性材料)で作製された粘弾性固体緩衝材を固着して支持する平板である。この受板を形成する板材としては、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの一般の熱可塑性樹脂や、セルロース繊維や木材チップを樹脂バインダーで固めたものや、厚紙や段ボールなどを用いることができる。この第2の実施形態における粘弾性固体緩衝材を図7によって説明すると、支持板21が上記受板に対応することになる。
これら上側面粘弾性固体緩衝材受板、下側面粘弾性固体緩衝材受板、底面粘弾性固体緩衝材受板、および上面粘弾性固体受板は、粘弾性固体緩衝材が受けた衝撃力を受板全面積で内側発泡緩衝材側に分散して伝達する機能を有している。その結果、内側発泡緩衝材が単位面積当りに受ける衝撃力は、受板に固着してある全粘着弾性固体の総面積と受板面積との比率で小さくすることができる。
また上記受板は内側発泡弾性体の見掛け上の剛性を向上させることができると同時に、粘弾性固体緩衝材の固着位置を安定させることができるために、梱包箱全体の剛性を強化する機能をも有している。
【0026】
図2と図4に示す第2の実施形態に示した本発明に係る梱包箱を用いて、図13に示すグラフを得たのと同じ実験を行った。すなわち、最薄部である外側発泡緩衝材上側板7aと上側面粘弾性固体緩衝材10aと内側発泡緩衝材上側板6および上側面粘弾性固体緩衝材受板14a〜14dとから構成される緩衝材部分の厚みを50mmに維持した状態で、粘弾性固体緩衝材の厚みを10mmと20mmに変化させて作製した本発明の半導体収納容器用梱包箱を種々の高さから姿勢を定めずに落下させたときに、半導体収納容器13に印加される衝撃加速度の大きさを測定した。ただしこのとき、上側面粘弾性固体緩衝材受板、下側面粘弾性固体緩衝材受板、底面粘弾性固体緩衝材受板、および上面粘弾性固体受板としては板厚3mmのポリプロピレン板を用い、内側発泡緩衝材と外側発泡緩衝材および粘弾性固体緩衝材は、図13を得た場合と同じ条件とした。その結果得られたのが図14に示すグラフである。
【0027】
図14において、35は図12に示した発泡緩衝材における最薄部の厚みを125mmとした場合に得られた直線と同一の直線が示してあり、38は図2における全ての粘弾性固体緩衝材の厚みを10mmとして得られた直線、39は図1における全ての粘弾性固体緩衝材の厚みを20mmとして得られた直線である。図14より、粘弾性固体緩衝材を粘弾性固体緩衝材受板に固着することによって、粘弾性固体緩衝材受板を用いなかった場合よりも約15%衝撃力を低減することができることがわかった。さらにこのとき、図1の粘弾性固体緩衝材の厚みを20mmと厚くすることによって、粘弾性固体緩衝材の厚みが10mmであるときと比べて衝撃力を半分に低減することができることがわかった。
【0028】
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。図8は本発明に係る第3の実施形態に用いた粘弾性固体緩衝材の断面構造図であり、図9は本発明に係る第3の実施形態に用いた粘弾性固体緩衝材に設けられた突起の配列の1例を示す平面図である。図8と9において、26は突起であり、27は突起空洞である。なお、図8と図9において、図7と同様の機能を有する要素には同一の番号を付してその説明を省略した。
図8と図9に示すように、本実施形態においては、平板状の粘弾性固体23の片面に複数の突起26が設けられており凸凹平面となっている。このように突起26を設けることによって、突起26に隣接して突起空洞27が形成される。そして、本実施形態に示される粘弾性固体緩衝材に衝撃力が印加されたとき、その衝撃力は突起26に集中して印加されるために突起26が変形すると同時に、その変形した容積変化は突起の高さ方向のみならず、突起空洞27の方向にも生じる。突起空洞27はこの突起26の容積変化に対する逃げとして作用するために、突起26が変形し易くなる。そのため、粘弾性固体緩衝材全体の衝撃力に対する見掛けの変形量を大きくすることができるために、衝撃吸収も大きくすることができる。
【0029】
突起26の大きさは、粘弾性固体緩衝材の厚み10mmに対して、高さ2〜5mmで、幅と奥行きは各々2〜20mmの範囲にあるのが望ましいが、幅と奥行きに関してはこれよりも大きな寸法であってもよい。高さの目安は粘弾性固体緩衝材の厚みの20〜50%程度であり、幅と奥行きの寸法に関しては突起26部の面積総和が、突起26がない平面の面積の約30%以下とならないようにするのが好ましい。
突起26の高さが厚みの20%よりも小さくなると、突起による衝撃吸収の効果が小さくなってしまう。また、突起26の高さが厚みの50%を超えると、粘弾性固体緩衝材そのものの機械的剛性が小さくなってしまう。特に突起26にかかるせん断力に対しては剛性を取れなくなるために、梱包される半導体収納容器の保持性能が悪くなるという問題が生じる。この問題は、突起26部の面積総和が、突起26がない平面の面積の30%程度以下になった場合にも発生する。
【0030】
次に図8と図9に示した突起付き粘弾性固体緩衝材を図2に示した本発明に係る半導体収納容器用梱包箱に用い、図13に示すグラフを得たのと同じ落下実験を行った。図15は、本発明の第3の実施形態に係る半導体収納容器用梱包箱を種々の高さから落下させたときに半導体収納容器(300mmウエ−ハ)に印加された衝撃加速度を測定した結果を示したグラフである。図15において、35は従来の発泡緩衝材を用いた場合、40は厚さ10mmの粘弾性固体緩衝材に幅5mm、奥行き5mm、高さ2.5mmの突起を一面に形成した場合、41は厚さ10mmの粘弾性固体緩衝材に幅5mm、奥行き5mm、高さ5mmの突起を一面に形成した場合を示す。図15から明らかなように、粘弾性固体緩衝材の一面に突起を付けることによって、従来の発泡緩衝材を用いた場合の60〜70%程度まで衝撃加速度を軽減させることが可能となった。この衝撃吸収の効果は突起の高さが高い方が大きくなることが分かった。さらにまた、突起を形成しない場合に比べて使用する粘弾性固体緩衝材の厚みを薄くすることができるために、梱包箱の容積を少なくすることが可能となり、その結果輸送コストの低減をはかることができた。
【0031】
図15に示した結果は、厚み10mmの粘弾性固体緩衝材を用いたが、図14の結果からも明らかなように、粘弾性固体緩衝材を厚くしたものに突起を形成することによって、さらに衝撃吸収力が増大することは言うまでもない。
さらにまた、粘弾性固体緩衝材の変形例として、図10に示すように突起を形成した粘弾性固体緩衝材を二段に積層して使用しても良い。図10は突起を形成した粘弾性固体緩衝材を二段に積層し積層粘弾性固体緩衝材の1構成例を示した断面図であり、21は支持板、22a、22bは収納袋、23a、23bは粘弾性固体、24a、24bは粘着剤、26a、26bは突起である。粘着剤24a、24bは接着剤を用いてもよいことは言うまでもない。
図10に示すように2つの粘弾性固体緩衝材は互いの突起26aと26bとを同じ向きにして重ねられている。図では突起26aと26bとは同じ大きさの場合を示してあるが、これらの大きさや数は異なっていても良い。また、収納袋22aと22bとの材質は必ずしも同じである必要はない。さらに、粘弾性固体23aと23bの材質も異なっていても良い。しかしながら、一般に同一の粘弾性固体緩衝材を積層するのが経済的であるため、多くはそのようにする。
【0032】
図10では、粘弾性固体乾緩衝材を二段に積層した積層粘弾性固体緩衝材の場合を示したが、もちろん、三段積みや四段積み等にしてもよい。
特に、半導体収納容器用梱包箱に使用されている緩衝材にかかる荷重は、底面部に配されている緩衝材に対して大きくなる。その結果、落下しないまでもトラック輸送等において、常時上下方向に加震されることが多くなるため、底面部に配されている緩衝材への負荷が大きくなる。そのため、半導体収納容器用梱包箱の底面部には図10に示されるような多段に積層された積層粘弾性固体緩衝材を配することが好ましい。
最後に、梱包箱の底面を強化した例として、本発明に係る第4の実施形態を示す。図5は本発明に係る第4の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す断面図であり、18aと18bは底側面粘弾性体緩衝材、19aと19bは底側面粘弾性体緩衝材受板、20aと20bは内側発泡緩衝材上端板である。なお、図1と同様の機能を有する要素には同一の符号を付してその説明を省略した。図5に示すように、底面角に底側面粘弾性体緩衝材受板に固着された底側面粘弾性体緩衝材を配することによって、実質的に粘弾性固体緩衝材の衝撃受け面積を増大させることが可能となり、底面からの衝撃力を緩和することができる。この受面積を増大させることは、梱包箱の大きさの制限を受けるために、上記に示した第1〜第3の実施形態を併用することが好ましい。
【0033】
以上説明したように、本発明に係る半導体収納容器用梱包箱は、半導体収納容器の全方位面に密接して保護する複数の内側発泡緩衝材と、前記半導体収納容器と前記内側発泡緩衝材の全てを完全に囲繞して収納する段ボール箱と、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面との間であって全方位面に密着して配置されている複数の粘弾性固体緩衝材とからなり、当該粘弾性固体緩衝材は、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面とを離間、好適には非接触で完全に離間させるように配されており、前記粘弾性固体緩衝材は前記段ボール箱の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする構造とし、特に、上記段ボール箱の内面と上記複数の粘弾性固体緩衝材との間に外側発泡緩衝材が配されており、前記複数の粘弾性固体緩衝材は前記外側発泡緩衝材と上記内側発泡緩衝材とを離間、好適には非接触で完全に離間させるように配置されており、前記粘弾性固体緩衝材は、前記外側発泡緩衝材の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されている構造とすることによって、従来の半導体収納容器用梱包箱に比べて容積を約40%も低減することが可能となると同時に、外部衝撃に対する耐性を約30〜70%向上させることができ、半導体収納容器を従来よりも安全かつ安価に輸送できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、半導体ウエ−ハを搬送あるいは保管するために用いられる半導体収納容器を使用する半導体産業に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す断面図。
【図2】本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す断面図。
【図3】本発明に係る第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す説明図。
【図4】本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す説明図。
【図5】本発明に係る第4の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す断面図。
【図6】本発明に係る第1の実施形態に関する比較例を示す断面図。
【図7】本発明に係る半導体収納容器用梱包箱に用いた粘弾性固体緩衝材の構造を示す断面図。
【図8】本発明に係る第3の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱に用いた粘弾性固体緩衝材の構造を示す断面図。
【図9】本発明に係る第3の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱に用いた粘弾性固体緩衝材の構造を示す平面図。
【図10】本発明に係る半導体収納容器用梱包箱に用いた粘弾性固体緩衝材の変形例の構造を示す平面図
【図11】半導体収納容器の構成を示す斜視図。
【図12】従来の半導体収納容器用梱包箱の落下衝撃特性を示すグラフ。
【図13】本発明に係る第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の落下衝撃特性を示すグラフ。
【図14】本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の落下衝撃特性を示すグラフ。
【図15】本発明に係る第3の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の落下衝撃特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0036】
1…段ボール箱、2…外側発泡緩衝材底面板、3…外側発泡緩衝材上板、4…内側発泡緩衝材底面板、5…内側発泡緩衝材上板、6…内側発泡緩衝材上側板、7a、7b、7c、7d…外側発泡緩衝材上側板、8…底面粘弾性固体緩衝材、9…上面粘弾性固体緩衝材、10a、10b、10c、10d…上側面粘弾性固体緩衝材、11a、11b、11c、11d…外側発泡緩衝材下側板、12a、12b、12c、12d…下側面粘弾性固体緩衝材、13…半導体収納容器、14a、14b、14c、14d…上側面粘弾性固体緩衝材受板、15a、15b、15c、15d…下側面粘弾性固体緩衝材受板、16…底面粘弾性固体緩衝材受板、17…上面粘弾性固体緩衝材受板、22…収納袋、23…粘弾性固体、25…空洞、26…突起、27…突起空洞。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の精密部品を収納するための半導体収納容器を梱包して安全に輸送するための半導体収納容器用梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエ−ハの輸送を行う際には、これら半導体ウエ−ハをプラスチック製の出荷用半導体収納容器に収納し、この半導体収納容器をポリエチレン袋等に機密に収納した後、例えば、ダンボール等による梱包を行うもの等では、これを発泡ウレタン等の発泡緩衝材を介してダンボール内に収納し運搬する方法が知られている。
【0003】
半導体ウエ−ハは耐衝撃性が小さいため、梱包箱に収納した状態で1.5mの高さから落下したとしても半導体収納容器には30G以上の衝撃加速度が印加されてはならず、もちろんこのとき半導体収納容器に収納されている半導体ウエ−ハが破壊されてはならない。このとき、梱包箱が落下して着地するときの姿勢はあらゆる姿勢が考えられるために、梱包箱がどのような姿勢で落下したとしても半導体ウエ−ハが破壊されてはならない。そのため、発泡緩衝材は半導体収納容器の全ての方位面に対して配されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
近年では、地球温暖化を抑制するために環境に優しい材料を率先して使用したフィルム状真空成形緩衝体を緩衝材として用いた例もみられる(例えば、特許文献2)。
さらに、一方、微小な精密部品を固定する方法として、例えばゲルにより収納品を固定したりゲルを容器として用いたりして収納品を収納するものもある(例えば、特許文献3および4参照)。
【特許文献1】特開2007−119020
【特許文献2】特開2008−247422
【特許文献3】特開2006−071368
【特許文献4】特開2006−047042
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した半導体収納容器用梱包箱では、次のような問題があった。すなわち、従来の発泡緩衝材を用いた梱包箱では、発泡緩衝材が充分な衝撃吸収力がないため発泡緩衝材の厚みを薄くすることが出来なかった。
また、緩衝材を薄くして梱包箱容積を小さくするため、ゲルなどの粘弾性固体を発泡緩衝体と組み合わせるなどの努力がなされてきたが、粘弾性固体自身の持つせん断応力が持つ応力緩和を用いることなく、圧縮応力でのみ衝撃を緩和しようとするために、全方位面からの衝撃の緩和に対して粘弾性固体を有効に用いることができていなかった。その結果、緩衝効果の大きな粘弾性固体を使用しているにも拘わらず、梱包箱を薄くすることが出来ていなかった。
そこで本発明は、粘弾性固体の持つ圧縮応力とせん断応力の両方を有効に用いることによって、全方位からの衝撃力を粘弾性固体で緩和し、その結果、梱包容積の小さな半導体収納容器用梱包箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の半導体収納容器用梱包箱は次のように構成されている。
半導体収納容器の全方位面に密接して保護する複数の内側発泡緩衝材と、前記半導体収納容器と前記内側発泡緩衝材の全てを完全に囲繞して収納する段ボール箱と、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面との間であって全方位面に密着して配置されている複数の粘弾性固体緩衝材とからなり、当該粘弾性固体緩衝材は、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面とを離間、好適には非接触で完全に離間させるように配されており、前記粘弾性固体緩衝材は前記段ボール箱の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着材で固着されていることを特徴とする。
また、上記段ボール箱の内面と上記複数の粘弾性固体緩衝材との間に外側発泡緩衝材が配されており、前記複数の粘弾性固体緩衝材は前記外側発泡緩衝材と上記内側発泡緩衝材とを離間、好適には非接触で完全に離間させるように配置されており、前記粘弾性固体緩衝材は、前記外側発泡緩衝材の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする。
【0007】
さらに、上記粘弾性固体緩衝材と上記内側発泡緩衝材との間に、高剛性材料からなる受け板が配されており、当該受け板は前記粘弾性固体緩衝材と前記内側発泡緩衝材の両方に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする。
また、上記粘弾性固体緩衝材は、粘弾性固体材料と平板状に成形してなる粘弾性固体を収納袋内に密閉されて構成されており、前記粘弾性固体と前記収納袋の内面には当該粘弾性固体材料が充填されていない空洞が形成されてなることを特徴とする。
上記粘弾性固体は、一方が平面であり、他方が複数の突起を形成された凸凹平面とからなる平板形状をしていることを特徴とする。
上記粘弾性固体緩衝材は、同一形状の粘弾性固体緩衝材が粘着剤または接着剤を介して積層されて構成されている積層粘弾性固体緩衝材であることを特徴とする。
上記梱包箱の底面には上記積層粘弾性固体緩衝材を配し、前記梱包箱の上面には1層からなる上記粘弾性固体緩衝材を配してなることを特徴とする。
上記粘弾性固体材料は放射線でセルロースまたは炭水化物を架橋してなるセルロース架橋体または炭水化物架橋体を水に分散してなるセルロースゲルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の発泡緩衝材を用いた梱包容器が有する全方位面に対する耐衝撃力を維持したまま、梱包箱の容積を小さくすることが可能となるため、半導体収納容器に収納された半導体ウエ−ハを安全かつ安価に輸送することが可能となる。
さらにまた、粘弾性固体としてセルロースゲルを用い、収納袋として生分解プラスチックフィルムを用いることによって、環境に優しい梱包箱を提供することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明に係る第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す模式的断面図、図3は本発明の第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す説明図である。図1と図3において、1は段ボール箱、2は外側発泡緩衝材底面板、3は外側発泡緩衝材上板、4は内側発泡緩衝材底面板、5は内側発泡緩衝材上板、6は内側発泡緩衝材上側板、7a、7b、7c、および7dは外側発泡緩衝剤上側板、8は底面粘弾性固体緩衝材、9は上面粘弾性固体緩衝材、10a、10b、10c、および10dは上側面粘弾性固体緩衝材、11a、11b、11c、および11dは外側発泡緩衝材下側板、12a、12b、12c、および12dは下側面粘弾性固体緩衝材、13は半導体収納容器である。
【0010】
図1と図3から分かるように、半導体収納容器13は、内側発泡緩衝材底面版4、内側発泡緩衝材上板5、および内側発泡緩衝材上側板6によって、全ての方位面を取り囲まれて保護されている。
また、段ボール箱1の内面は、外側発泡緩衝材底面板2、外側発泡緩衝材上板3、外側発泡緩衝材上側板7a、7b、7c、7d、および外側発泡緩衝材下側板11a、11b、11c、11dによって全方位面を完全に支持されている。
そして、外側発泡緩衝材底面板2と内側発泡緩衝材底面板4との間には底面粘弾性固体緩衝材8が、外側発泡緩衝材下側板11a、11b、11c、11dと内側発泡緩衝材底面板4との間には下側面粘弾性固体緩衝材12a、12b、12c、12dが、外側発泡緩衝材上側板7a、7b、7c、7dと内側発泡緩衝材上側板6との間には上側面粘弾性固体緩衝材10a、10b、10c、10dが入っており、これら外側発泡緩衝材と内側発泡緩衝材とを完全に分離している。すなわち、これらの間に力が直接加わらないようになるためには完全に分離している方が良いが、力が減衰したり分散したりするような構造である場合には、これらの間が一部または全部が(たとえば、蛇腹構造のようにして)連結していても良い。各々の粘弾性固体緩衝材は、対向する内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で貼り付けられて固着されている。
【0011】
このようにして、半導体収納容器13は、内側発泡緩衝材と共に粘弾性固体緩衝材だけで完全に分離して支持されている。そして、段ボール箱1の外部から与えられる衝撃は、外側発泡緩衝材を介して粘弾性固体緩衝材のみに与えられる構造となっている。
本実施例では、粘弾性固体緩衝材は、幅50mm、奥行き50mm、厚さ10mmのものを標準として用いた。もちろん、実際は、より大きな衝撃がかかると考えられる部分には、後述するように、より厚みの厚い粘弾性固体緩衝材を用いたり、衝撃を受ける面の面積が大きな粘弾性固体緩衝材を用いたりすることが望ましい。
【0012】
図7に本発明の実施形態で用いた粘弾性固体緩衝材の断面構造を示す。図7において、21は支持板、22は収納袋、23は粘弾性固体、25は空洞、および24は粘着剤である。粘着剤24は接着剤を用いてもよいことは言うまでもない。支持板21は、例えば図1と図2においては内側発泡緩衝材がその役目を果たしており、この粘弾性緩衝材を固着するための支持体である。
一方、粘弾性固体緩衝材に用いられる粘弾性固体としては、一般にゴム系材料や液体中に固形分を混合分散させてゲル化させたものなどを用いることができる。例えば、粘弾性ゴムやシリコーンゴムなどのゴム系粘弾性固体や、シリコーンオイルに石英粒子やガラス粒子やフェライト粒子あるいはアルミナ粒子などの酸化物粒子を混合分散させて作られたシリコーンゲルや、水や油あるいはシリコーンオイルなどにセルロース繊維を混合分散させたセルロースゲルなどを用いることができる。セルロースゲルは、放射線でセルロースまたは炭水化物を架橋してなるセルロース架橋体または炭水化物架橋体を水に分散したものを用いることができる。
【0013】
粘弾性固体23は、収納袋22に密封されている。粘弾性固体23に衝撃が印加されて変形したときにその変形が逃げる部分を確保するため、この収納袋22と粘弾性固体23との間には空洞25が設けられている。この空洞25が存在するために、例え収納袋22の変形量がほとんどない場合においても、粘弾性固体23に衝撃力が印加されたときに粘弾性固体23が充分変形して衝撃力を吸収することができる。この空洞25が小さすぎると、衝撃を受けた時に粘弾性固体23が充分変形できずに衝撃の吸収ができなかったり、収納袋22が破れてしまったりする原因となる。
収納袋の材質としては、ポリエチレンや塩化ビニルなどの一般包装用の高分子フィルムや、ポリエチレンなどの高分子が被覆された紙などを用いることができる。
また、粘弾性固体23として、水や油に固形分を分散させたゲルなどを用いる場合は、非通気性の高分子フィルムを収納袋22の材質として用いるのが良いが、合成ゴムやシリコーンゴムなどを用いる場合は、紙や網状に無数の穴が開いたフィルムを用いることもできる。
さらにまた、上記セルロースゲルを用いる場合は、ポリ乳酸フィルムやポリカプロラクトンフィルムやポリブチレンサクシネートのような生分解プラスチックフィルムや天然ゴムなどを収納袋22として用いることによって、環境に優しい粘弾性固体緩衝材とすることができる。また、これらの生分解プラスチップ材料を紙に被覆することによって、柔軟強度と環境への優しさを維持した安価な収納袋とすることができる。
収納袋22が、例えば合成ゴムや天然ゴムなどの伸縮性のある高分子材料で構成されており、粘弾性固体23の衝撃による変形が収納袋22の伸縮で吸収される場合などは、空洞25は必ずしも必要ではない。
【0014】
図1に示される(300mm半導体ウエ−ハ用)段ボール箱1、外側発泡緩衝材、粘弾性固体緩衝材、および内側発泡緩衝材を合わせた厚みが最も薄い部分の厚みは約50mmであった。これに対して、従来の発泡緩衝材のみを用いた梱包箱の最も薄い部分の厚みは120mm程度である。すなわち、本発明の半導体収納容器の梱包箱は、従来のものに比べて緩衝材部の厚みを70mm近くも薄くすることが出来ている。これを梱包箱の容積に換算すると、およそ40%従来のものに比べて減少していることになる。
なお、発泡緩衝材としては、スチレンやウレタンあるいはポリプロピレンを物理的または化学的に発泡させて作った発泡スチロールや発泡ウレタンあるいは発泡ポリプロピレンなどの発泡緩衝材を使用することができる。
【0015】
半導体収納容器13は、図11に示すように、収納容器本体28と蓋体29とから構成されており、内部に半導体ウエ−ハが最大で25枚収納できるようになっている。また、収納容器本体28と蓋体29との間には図示しないガスケットが配されており、半導体収納容器13の内部を外部環境から隔離して収納されている半導体ウエ−ハが外部からの汚染粒子やコンタミなどから汚染されないようになっている。
この半導体収納容器13は通常ポリカーボネート樹脂や環状オレフィン樹脂などのコンタミガスが少ない熱可塑性プラスチックで形成されている。また、内部に収納されている半導体ウエ−ハは、一枚ずつ隔離整列してプラスチックの弾性支持体で支持されている。
【0016】
半導体ウエ−ハは単結晶シリコンを切断研磨した板材であるため、機械的衝撃に対してはもろく割れやすい。そのため、半導体収納容器13には、例え30Gの衝撃加速度が加わったとしても、収納されている半導体ウエ−ハが破壊されないような支持構造が形成されている。さらに、半導体収納容器を構成する熱可塑性プラスチックも、100Gを超えるような大きな衝撃加速度が加わると脆性破壊を起こす可能性がある。
そのため、一般に、半導体収納容器に半導体ウエ−ハを収納した状態で輸送する場合は、万一輸送中に梱包箱が落下して大きな衝撃が印加されたとしても、梱包箱内部の半導体収納容器には30Gを超えるような衝撃加速度がかからないように工夫されている。例えば、直径300mmのシリコンウエ−ハを収納して輸送する半導体収納容器用梱包箱においては、1500mmの高さから落下させても、収納されているシリコンウエ−ハが破壊しないようになっている。
【0017】
図12は、種々の厚みの発泡緩衝材を用いた梱包箱に300mm半導体ウエ−ハを25枚収納した半導体収納容器を梱包して種々の高さから任意の姿勢で落下させたときに、半導体収納容器に印加される衝撃加速度を示したグラフである。図12において、33は発泡緩衝材の最薄部の厚みが50mmの場合、34は発泡緩衝材の最薄部の厚みが100mmの場合、および35は発泡緩衝材の最薄部の厚みが125mmの場合を示した直線である。衝撃加速度の測定値は、梱包箱の落ち方でばらつくために、図12には、各条件で測定を10回繰り返して行って得られた数値の平均値を外挿した直線が示されている。なお、落下高さは、25cm、50cm、75cm、および100cmとした。
半導体収納容器に印加された衝撃加速度は、データロガーを取り付けた加速度センサを収納容器外壁に両面テープで貼り付けて測定し、梱包箱落下後に梱包箱を開封し、データロガーから記録された衝撃加速度データを読み取った。
【0018】
図12から明らかなように、当然のごとく、発泡緩衝材が薄くなるとともに、また落下高さが高くなるとともに半導体収納容器に印加される衝撃加速度は増加した。特に、発泡緩衝材の最薄部の厚みを50mmとして100mmの高さから落下させると、150Gを超える衝撃加速度が半導体収納容器にかかり、収納した半導体ウエ−ハの1/3近くが破壊される場合もあった。また、100mmの最薄部を持つ発泡緩衝材を用いた場合においても、120G程度の衝撃加速度が印加され、破壊される半導体ウエ−ハも出てくる。100〜120G程度の衝撃加速度においては、必ずしも全ての半導体ウエ−ハが破壊されるわけではないが、発泡緩衝材を用いる限り、その最薄部の厚みは100〜125mm程度あることが望ましい。
一方、図1と図3に示した本発明の半導体収納容器梱包箱において、最薄部である外側発泡緩衝材上側板7aと上側面粘弾性固体緩衝材10aと内側発泡緩衝材上側板6とから構成される緩衝材部分の厚み(最薄部の緩衝材部の厚み)を50mmに維持した状態で、粘弾性固体緩衝材の厚みを変化させた場合に半導体収納容器13に印加される衝撃加速度の大きさを示したグラフが図13である。
【0019】
図13において、35は図12に示した発泡緩衝材における最薄部の厚みを125mmとした場合に得られた直線と同じ直線、36は図1における全ての粘弾性固体緩衝材の厚みを10mmとした上で最薄部の緩衝材部の厚みを50mmとなるようにして得られた直線、37は図1における全ての粘弾性固体緩衝材の厚みを20mmとした上で最薄部の緩衝材部の厚みを50mmとなるようにして得られた直線である。なお、粘弾性固体緩衝材の厚さを変えて最薄部の厚さを変化させるにあたって、外側発泡緩衝材と内側発泡緩衝材の厚みは等しくした。
図13より、10mm厚の粘弾性固体緩衝材を外側発泡緩衝材と内側発泡緩衝材でサンドイッチし、半導体収納容器の全方位面を覆うことによって、125mm厚の発泡緩衝材を用いた場合よりも約30%衝撃力を低減することができることがわかった。さらにこのとき、図1の粘弾性固体緩衝材の厚みを20mmと厚くすることによって、125mm厚の発泡緩衝材を用いた場合よりも約60%衝撃力を低減することができることがわかった。
【0020】
さらに、外側発泡緩衝材を省略して、粘弾性固体緩衝材で段ボール箱の内面と内側発泡緩衝材の外面とを離間させて配置する場合にも同様の効果が得られることを確認することができる。しかしこの場合、段ボール箱内面と内側発泡緩衝材との間隙として10〜20mm程度しか取ることができないために、外部衝撃力が印加されたときに段ボール箱が変形して直接内部発泡緩衝材に直接衝撃力が印加される場合があるため、図1や図3に示した場合に比べて、粘弾性固体緩衝材の厚みを厚くすることが好ましい。
【0021】
一方、粘弾性固体緩衝材は柔らかな弾性体であるために機械的強度がなく、半導体収納容器の全方位面を粘弾性固体緩衝材のみで支持する構造にすると半導体収納容器の梱包箱への納まりが良くない。たとえば、半導体収納容器が動いたりする。これを改善するために、粘弾性固体緩衝材に比べると機械的強度に優れた発泡緩衝材の一部が噛み合わさる構造の梱包箱を作製し比較例とした。図6は、発泡緩衝材が互いに組み合わせるようにした半導体収納容器の梱包箱を示した模式的断面図である。図6において、図1と同様の機能を有する要素には同一の番号を付し、その説明は省略した。
図6に示した半導体収納容器の梱包箱は、図1の内側発泡緩衝材上側板6の下部形状を変更して外側発泡緩衝材下側板11a〜11dの上部に嵌合するようにしたものである。このようにすることによって、発泡緩衝材同士が噛み合わさって比較的機械強度の強い結合が可能となるために、収納される半導体収納容器の納まりが良くなる。
【0022】
図6に示した半導体収納容器の収納箱を用いて、図13を得た時と同じ実験を行った。すなわち、緩衝材の最薄部の厚みを50mmとした状態で、使用している粘弾性固体緩衝材の厚みを10mmと20mmに変化させた時に、梱包されている半導体収納容器にどの程度の衝撃加速度が印加されているかを測定した。その結果、半導体収納容器に印加される衝撃加速度は、図13で示した結果とほぼ同様の結果が得られた。ただし、不確定ではあるが時々、極めて大きな衝撃加速度が実測された。その大きさは、1m落下時で100〜130Gの範囲内に入るような大きな値であり、ウエ−ハが破損するほどの数値であった。これは、落下時に着地姿勢が定まらないために、内側発泡緩衝材上側板6と外側発泡緩衝材下側板11a〜11dとが嵌合した部分が偶然に着地部になってしまったためと考えられる。このようなことが起こると、ウエ−ハの破損が生じることがあるために、使用する粘弾性固体緩衝材は、内側発泡緩衝材の外面と外側発泡緩衝材の内面とを非接触で完全に離間させるように配した方が良いことが分かった。これは、外側発泡緩衝材を省略して、粘弾性固体緩衝材で段ボール箱内面と内側発泡緩衝材の外面とを離間させて配する場合にも同様のことが言える。
【0023】
なお、図1と図3では、外側発泡緩衝材上側板7a、7b、7c、7dは各々分離して形成されている場合を示したが、内側発泡緩衝材6のように一体に形成しても良いことは言うまでもない。同様に、外側発泡緩衝材下側板11a、11b、11c、11dも、内側発泡緩衝材6のように一体化しても良いことは言うまでもない。また、これら外側発泡緩衝材上側板と外側発泡緩衝材下側板とを一緒にして一体化しても良いし、さらに外側発泡緩衝材底面板をも一緒にして一体化しても良いことは言うまでもない。さらに、内側発泡緩衝材6と内側発泡緩衝材底面板4とを一緒にして一体化することもできる。
【0024】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。図2は本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す模式的断面図、図4は本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す説明図である。図2と図4が各々図1や図3と異なっている点は、粘弾性固体緩衝材が受板に固着されている点である。図2と図4において、14a、14b、14c、14dは上側面粘弾性固体緩衝材受板、15a、15b、15c、15dは下側面粘弾性固体緩衝材受板、16は底面粘弾性固体緩衝材受板、17は上面粘弾性固体受板である。図2と図4において、図1と図3に示された要素と同様の機能を有する要素には同一の記号を付し、その説明を省略した。
【0025】
図2と図4に示した上側面粘弾性固体緩衝材受板、下側面粘弾性固体緩衝材受板、底面粘弾性固体緩衝材受板、および上面粘弾性固体受板は発泡緩衝材と比較して剛性の強い材料(高剛性材料)で作製された粘弾性固体緩衝材を固着して支持する平板である。この受板を形成する板材としては、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの一般の熱可塑性樹脂や、セルロース繊維や木材チップを樹脂バインダーで固めたものや、厚紙や段ボールなどを用いることができる。この第2の実施形態における粘弾性固体緩衝材を図7によって説明すると、支持板21が上記受板に対応することになる。
これら上側面粘弾性固体緩衝材受板、下側面粘弾性固体緩衝材受板、底面粘弾性固体緩衝材受板、および上面粘弾性固体受板は、粘弾性固体緩衝材が受けた衝撃力を受板全面積で内側発泡緩衝材側に分散して伝達する機能を有している。その結果、内側発泡緩衝材が単位面積当りに受ける衝撃力は、受板に固着してある全粘着弾性固体の総面積と受板面積との比率で小さくすることができる。
また上記受板は内側発泡弾性体の見掛け上の剛性を向上させることができると同時に、粘弾性固体緩衝材の固着位置を安定させることができるために、梱包箱全体の剛性を強化する機能をも有している。
【0026】
図2と図4に示す第2の実施形態に示した本発明に係る梱包箱を用いて、図13に示すグラフを得たのと同じ実験を行った。すなわち、最薄部である外側発泡緩衝材上側板7aと上側面粘弾性固体緩衝材10aと内側発泡緩衝材上側板6および上側面粘弾性固体緩衝材受板14a〜14dとから構成される緩衝材部分の厚みを50mmに維持した状態で、粘弾性固体緩衝材の厚みを10mmと20mmに変化させて作製した本発明の半導体収納容器用梱包箱を種々の高さから姿勢を定めずに落下させたときに、半導体収納容器13に印加される衝撃加速度の大きさを測定した。ただしこのとき、上側面粘弾性固体緩衝材受板、下側面粘弾性固体緩衝材受板、底面粘弾性固体緩衝材受板、および上面粘弾性固体受板としては板厚3mmのポリプロピレン板を用い、内側発泡緩衝材と外側発泡緩衝材および粘弾性固体緩衝材は、図13を得た場合と同じ条件とした。その結果得られたのが図14に示すグラフである。
【0027】
図14において、35は図12に示した発泡緩衝材における最薄部の厚みを125mmとした場合に得られた直線と同一の直線が示してあり、38は図2における全ての粘弾性固体緩衝材の厚みを10mmとして得られた直線、39は図1における全ての粘弾性固体緩衝材の厚みを20mmとして得られた直線である。図14より、粘弾性固体緩衝材を粘弾性固体緩衝材受板に固着することによって、粘弾性固体緩衝材受板を用いなかった場合よりも約15%衝撃力を低減することができることがわかった。さらにこのとき、図1の粘弾性固体緩衝材の厚みを20mmと厚くすることによって、粘弾性固体緩衝材の厚みが10mmであるときと比べて衝撃力を半分に低減することができることがわかった。
【0028】
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。図8は本発明に係る第3の実施形態に用いた粘弾性固体緩衝材の断面構造図であり、図9は本発明に係る第3の実施形態に用いた粘弾性固体緩衝材に設けられた突起の配列の1例を示す平面図である。図8と9において、26は突起であり、27は突起空洞である。なお、図8と図9において、図7と同様の機能を有する要素には同一の番号を付してその説明を省略した。
図8と図9に示すように、本実施形態においては、平板状の粘弾性固体23の片面に複数の突起26が設けられており凸凹平面となっている。このように突起26を設けることによって、突起26に隣接して突起空洞27が形成される。そして、本実施形態に示される粘弾性固体緩衝材に衝撃力が印加されたとき、その衝撃力は突起26に集中して印加されるために突起26が変形すると同時に、その変形した容積変化は突起の高さ方向のみならず、突起空洞27の方向にも生じる。突起空洞27はこの突起26の容積変化に対する逃げとして作用するために、突起26が変形し易くなる。そのため、粘弾性固体緩衝材全体の衝撃力に対する見掛けの変形量を大きくすることができるために、衝撃吸収も大きくすることができる。
【0029】
突起26の大きさは、粘弾性固体緩衝材の厚み10mmに対して、高さ2〜5mmで、幅と奥行きは各々2〜20mmの範囲にあるのが望ましいが、幅と奥行きに関してはこれよりも大きな寸法であってもよい。高さの目安は粘弾性固体緩衝材の厚みの20〜50%程度であり、幅と奥行きの寸法に関しては突起26部の面積総和が、突起26がない平面の面積の約30%以下とならないようにするのが好ましい。
突起26の高さが厚みの20%よりも小さくなると、突起による衝撃吸収の効果が小さくなってしまう。また、突起26の高さが厚みの50%を超えると、粘弾性固体緩衝材そのものの機械的剛性が小さくなってしまう。特に突起26にかかるせん断力に対しては剛性を取れなくなるために、梱包される半導体収納容器の保持性能が悪くなるという問題が生じる。この問題は、突起26部の面積総和が、突起26がない平面の面積の30%程度以下になった場合にも発生する。
【0030】
次に図8と図9に示した突起付き粘弾性固体緩衝材を図2に示した本発明に係る半導体収納容器用梱包箱に用い、図13に示すグラフを得たのと同じ落下実験を行った。図15は、本発明の第3の実施形態に係る半導体収納容器用梱包箱を種々の高さから落下させたときに半導体収納容器(300mmウエ−ハ)に印加された衝撃加速度を測定した結果を示したグラフである。図15において、35は従来の発泡緩衝材を用いた場合、40は厚さ10mmの粘弾性固体緩衝材に幅5mm、奥行き5mm、高さ2.5mmの突起を一面に形成した場合、41は厚さ10mmの粘弾性固体緩衝材に幅5mm、奥行き5mm、高さ5mmの突起を一面に形成した場合を示す。図15から明らかなように、粘弾性固体緩衝材の一面に突起を付けることによって、従来の発泡緩衝材を用いた場合の60〜70%程度まで衝撃加速度を軽減させることが可能となった。この衝撃吸収の効果は突起の高さが高い方が大きくなることが分かった。さらにまた、突起を形成しない場合に比べて使用する粘弾性固体緩衝材の厚みを薄くすることができるために、梱包箱の容積を少なくすることが可能となり、その結果輸送コストの低減をはかることができた。
【0031】
図15に示した結果は、厚み10mmの粘弾性固体緩衝材を用いたが、図14の結果からも明らかなように、粘弾性固体緩衝材を厚くしたものに突起を形成することによって、さらに衝撃吸収力が増大することは言うまでもない。
さらにまた、粘弾性固体緩衝材の変形例として、図10に示すように突起を形成した粘弾性固体緩衝材を二段に積層して使用しても良い。図10は突起を形成した粘弾性固体緩衝材を二段に積層し積層粘弾性固体緩衝材の1構成例を示した断面図であり、21は支持板、22a、22bは収納袋、23a、23bは粘弾性固体、24a、24bは粘着剤、26a、26bは突起である。粘着剤24a、24bは接着剤を用いてもよいことは言うまでもない。
図10に示すように2つの粘弾性固体緩衝材は互いの突起26aと26bとを同じ向きにして重ねられている。図では突起26aと26bとは同じ大きさの場合を示してあるが、これらの大きさや数は異なっていても良い。また、収納袋22aと22bとの材質は必ずしも同じである必要はない。さらに、粘弾性固体23aと23bの材質も異なっていても良い。しかしながら、一般に同一の粘弾性固体緩衝材を積層するのが経済的であるため、多くはそのようにする。
【0032】
図10では、粘弾性固体乾緩衝材を二段に積層した積層粘弾性固体緩衝材の場合を示したが、もちろん、三段積みや四段積み等にしてもよい。
特に、半導体収納容器用梱包箱に使用されている緩衝材にかかる荷重は、底面部に配されている緩衝材に対して大きくなる。その結果、落下しないまでもトラック輸送等において、常時上下方向に加震されることが多くなるため、底面部に配されている緩衝材への負荷が大きくなる。そのため、半導体収納容器用梱包箱の底面部には図10に示されるような多段に積層された積層粘弾性固体緩衝材を配することが好ましい。
最後に、梱包箱の底面を強化した例として、本発明に係る第4の実施形態を示す。図5は本発明に係る第4の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す断面図であり、18aと18bは底側面粘弾性体緩衝材、19aと19bは底側面粘弾性体緩衝材受板、20aと20bは内側発泡緩衝材上端板である。なお、図1と同様の機能を有する要素には同一の符号を付してその説明を省略した。図5に示すように、底面角に底側面粘弾性体緩衝材受板に固着された底側面粘弾性体緩衝材を配することによって、実質的に粘弾性固体緩衝材の衝撃受け面積を増大させることが可能となり、底面からの衝撃力を緩和することができる。この受面積を増大させることは、梱包箱の大きさの制限を受けるために、上記に示した第1〜第3の実施形態を併用することが好ましい。
【0033】
以上説明したように、本発明に係る半導体収納容器用梱包箱は、半導体収納容器の全方位面に密接して保護する複数の内側発泡緩衝材と、前記半導体収納容器と前記内側発泡緩衝材の全てを完全に囲繞して収納する段ボール箱と、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面との間であって全方位面に密着して配置されている複数の粘弾性固体緩衝材とからなり、当該粘弾性固体緩衝材は、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面とを離間、好適には非接触で完全に離間させるように配されており、前記粘弾性固体緩衝材は前記段ボール箱の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする構造とし、特に、上記段ボール箱の内面と上記複数の粘弾性固体緩衝材との間に外側発泡緩衝材が配されており、前記複数の粘弾性固体緩衝材は前記外側発泡緩衝材と上記内側発泡緩衝材とを離間、好適には非接触で完全に離間させるように配置されており、前記粘弾性固体緩衝材は、前記外側発泡緩衝材の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されている構造とすることによって、従来の半導体収納容器用梱包箱に比べて容積を約40%も低減することが可能となると同時に、外部衝撃に対する耐性を約30〜70%向上させることができ、半導体収納容器を従来よりも安全かつ安価に輸送できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、半導体ウエ−ハを搬送あるいは保管するために用いられる半導体収納容器を使用する半導体産業に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す断面図。
【図2】本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す断面図。
【図3】本発明に係る第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す説明図。
【図4】本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の構成を示す説明図。
【図5】本発明に係る第4の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱を示す断面図。
【図6】本発明に係る第1の実施形態に関する比較例を示す断面図。
【図7】本発明に係る半導体収納容器用梱包箱に用いた粘弾性固体緩衝材の構造を示す断面図。
【図8】本発明に係る第3の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱に用いた粘弾性固体緩衝材の構造を示す断面図。
【図9】本発明に係る第3の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱に用いた粘弾性固体緩衝材の構造を示す平面図。
【図10】本発明に係る半導体収納容器用梱包箱に用いた粘弾性固体緩衝材の変形例の構造を示す平面図
【図11】半導体収納容器の構成を示す斜視図。
【図12】従来の半導体収納容器用梱包箱の落下衝撃特性を示すグラフ。
【図13】本発明に係る第1の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の落下衝撃特性を示すグラフ。
【図14】本発明に係る第2の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の落下衝撃特性を示すグラフ。
【図15】本発明に係る第3の実施形態に関する半導体収納容器用梱包箱の落下衝撃特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0036】
1…段ボール箱、2…外側発泡緩衝材底面板、3…外側発泡緩衝材上板、4…内側発泡緩衝材底面板、5…内側発泡緩衝材上板、6…内側発泡緩衝材上側板、7a、7b、7c、7d…外側発泡緩衝材上側板、8…底面粘弾性固体緩衝材、9…上面粘弾性固体緩衝材、10a、10b、10c、10d…上側面粘弾性固体緩衝材、11a、11b、11c、11d…外側発泡緩衝材下側板、12a、12b、12c、12d…下側面粘弾性固体緩衝材、13…半導体収納容器、14a、14b、14c、14d…上側面粘弾性固体緩衝材受板、15a、15b、15c、15d…下側面粘弾性固体緩衝材受板、16…底面粘弾性固体緩衝材受板、17…上面粘弾性固体緩衝材受板、22…収納袋、23…粘弾性固体、25…空洞、26…突起、27…突起空洞。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエ−ハを収納して輸送するための半導体収納容器を梱包するための梱包箱であって、当該梱包箱は、
前記半導体収納容器の全方位面に密接して保護する複数の内側発泡緩衝材と、
前記半導体収納容器と前記内側発泡緩衝材の全てを完全に囲繞して収納する段ボール箱と、
前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面との間であって全方位面に密着して配置されている複数の粘弾性固体緩衝材とからなり、
当該粘弾性固体緩衝材は、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面とを離間させるように配されており、
前記粘弾性固体緩衝材は前記段ボール箱の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする半導体収納容器用梱包箱。
【請求項2】
上記段ボール箱の内面と上記複数の粘弾性固体緩衝材との間に外側発泡緩衝材が配されており、
前記複数の粘弾性固体緩衝材は前記外側発泡緩衝材と上記内側発泡緩衝材とを離間させるように配置されており、
前記粘弾性固体緩衝材は、前記外側発泡緩衝材の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項3】
上記粘弾性固体緩衝材と上記内側発泡緩衝材との間に、高剛性材料からなる受け板が配されており、当該受け板は前記粘弾性固体緩衝材と前記内側発泡緩衝材の両方に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項4】
上記粘弾性固体緩衝材は、粘弾性固体材料と平板状に成形してなる粘弾性固体を収納袋内に密閉されて構成されており、前記粘弾性固体と前記収納袋の内面には当該粘弾性固体材料が充填されていない空洞が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項5】
上記粘弾性固体は、一方が平面であり、他方が複数の突起を形成された凸凹平面とからなる平板形状をしていることを特徴とする請求項4に記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項6】
上記粘弾性固体緩衝材は、同一形状の粘弾性固体緩衝材が粘着剤または接着剤を介して積層されて構成されている積層粘弾性固体緩衝材であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項7】
上記梱包箱の底面には上記積層粘弾性固体緩衝材を配し、前記梱包箱の上面には1層からなる上記粘弾性固体緩衝材を配してなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項8】
上記粘弾性固体材料は放射線でセルロースまたは炭水化物を架橋してなるセルロース架橋体または炭水化物架橋体を水に分散してなるセルロースゲルであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項1】
ウエ−ハを収納して輸送するための半導体収納容器を梱包するための梱包箱であって、当該梱包箱は、
前記半導体収納容器の全方位面に密接して保護する複数の内側発泡緩衝材と、
前記半導体収納容器と前記内側発泡緩衝材の全てを完全に囲繞して収納する段ボール箱と、
前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面との間であって全方位面に密着して配置されている複数の粘弾性固体緩衝材とからなり、
当該粘弾性固体緩衝材は、前記内側緩衝材と前記段ボール箱の内面とを離間させるように配されており、
前記粘弾性固体緩衝材は前記段ボール箱の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする半導体収納容器用梱包箱。
【請求項2】
上記段ボール箱の内面と上記複数の粘弾性固体緩衝材との間に外側発泡緩衝材が配されており、
前記複数の粘弾性固体緩衝材は前記外側発泡緩衝材と上記内側発泡緩衝材とを離間させるように配置されており、
前記粘弾性固体緩衝材は、前記外側発泡緩衝材の内面または前記内側発泡緩衝材の表面に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項3】
上記粘弾性固体緩衝材と上記内側発泡緩衝材との間に、高剛性材料からなる受け板が配されており、当該受け板は前記粘弾性固体緩衝材と前記内側発泡緩衝材の両方に粘着剤または接着剤で固着されていることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項4】
上記粘弾性固体緩衝材は、粘弾性固体材料と平板状に成形してなる粘弾性固体を収納袋内に密閉されて構成されており、前記粘弾性固体と前記収納袋の内面には当該粘弾性固体材料が充填されていない空洞が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項5】
上記粘弾性固体は、一方が平面であり、他方が複数の突起を形成された凸凹平面とからなる平板形状をしていることを特徴とする請求項4に記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項6】
上記粘弾性固体緩衝材は、同一形状の粘弾性固体緩衝材が粘着剤または接着剤を介して積層されて構成されている積層粘弾性固体緩衝材であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項7】
上記梱包箱の底面には上記積層粘弾性固体緩衝材を配し、前記梱包箱の上面には1層からなる上記粘弾性固体緩衝材を配してなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【請求項8】
上記粘弾性固体材料は放射線でセルロースまたは炭水化物を架橋してなるセルロース架橋体または炭水化物架橋体を水に分散してなるセルロースゲルであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体収納容器用梱包箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−132331(P2010−132331A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311648(P2008−311648)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
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