説明

半導体搭載用放熱基板の製造方法

【課題】合せ材を用いなく、用いても層の中心部の基材にのみ用いることにして鋭意研究を重ねてきたもので、各金属層が不離一体に形成されるために、層間において剥離が生じなく、安定した放熱性および機械的強度を保持する信頼性の高い半導体搭載用放熱基板の製造方法を提供する。
【解決手段】層厚の中心部となる基母材の両面に1以上の金属層をめっきにより上下対称の配置となるように形成することを特徴とする。
【効果】基母材以外では合せ金属材を用いなく、これを中心にめっきにより各金属層が不離一体に形成されるために、層間において剥離が生じなく、上下均等且つ対称を正確に形成した構造となることとも相まって、安定した放熱性および機械的強度を保持する信頼性の高い半導体搭載用放熱基板の製造方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED等の半導体素子を保持するとともに、それに蓄熱するのを防止する機能を果たす半導体搭載用放熱基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)や半導体集積回路等では、最近の高密度化および高出力化により放熱量が増加する傾向にある。LEDについてみると(図11の左図参照))、そのLEDは、サファイア基板の上にそれが搭載されているが、これであると、LEDの発光部から発する熱が熱伝導率の悪いサファイア基板との間に溜まりやすく(図12の左図参照)、多くの半導体素子ではその蓄熱があると機能が低下し、特にLEDではその輝度と低反射率で弊害が生じることから、それを受ける部分に熱伝動性の良好な金属製の放熱基板が使用される(図11の右図参照)。たとえば、銅やモリブデン、タングステン、チタン、モリブデン等のメタルウエハーと称する金属である。そして、主にモリブデン(Mo)を銅(Cu,Cu)でサンドイッチしたもの(DMD)が良好であることが知られている(図12の右図参照)。
【0003】
放熱基板に要求される性質ないし性能等については、優れた熱伝動性が求められる他に、熱による歪みがない安定性と高い機械的強度、機械加工性が要求される。また、半導体素子を取り付ける接着やロウ付け等に適すること、耐薬品性に優れていること等が求められるときもある。これらの性質は、従来、図11、図12の各右図に示す如く複数の金属層の結合により総合的に発揮するよう開発が進められる(特許文献1、特許文献2)。この多層構造を取る手段としては、従来圧延方法や熱間一軸加工法が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−268115号公報
【特許文献2】特許第3862737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧延方法や熱間一軸加工法は、いずれも複数枚の合せ金属材(グラッド材、グラッド金属とも称する))を重ねて圧縮することにより熱可塑性により偏平化するとともに合せ材どうしを加熱圧着してグラッド層を形成するものであるが、その接着には過熱温度、時間、圧縮強さ等の条件整合が難しく剥離しないという信頼性に乏しく、剥離が発生すると、機械的強度や放熱性能に支承(剥離部分に蓄熱する)をきたし、盛り上がりでパッケージ基板や半導体素子との結合が不安定となる等という問題があった。
【0006】
また、異種金属の接合に伴う反りを防ぐ方法として、中心部となる母材を中心としてその上下両面に対称になるよう多種金属の合せ金属材が配置される。しかしながら、それでも熱変形の異なる異種金属を同時に過熱圧縮するため、グラッド層の厚みに偏在が生じたり層にうねりやコロニーが生じたりしやすく、これらの発生も全体的な反りの原因となり、また、機械的強度や放熱性能に支承を招く要因となるという問題もあった。
【0007】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、合せ材を用いなく、用いても層の中心部の基材にのみ用いることにして鋭意研究を重ねてきたもので、各金属層が不離一体に形成されるために、層間において剥離が生じなく、安定した放熱性および機械的強度を保持する信頼性の高い半導体搭載用放熱基板の製造方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明は、層厚の中心部となる基母材の両面に1以上の金属層をめっきにより上下対称の配置となるように形成することを特徴とする半導体搭載用放熱基板の製造方法を提供する。
【0009】
半導体搭載用放熱基板を上記のように形成したから、基母材は、合せ材の金属片単独又は合せ材の両面に多種金属の合せ材を貼りあわせてこれに使用されるもので、これには、圧延方法や熱間一軸加工法等が使用されるが、この基母材をコアとしてその両面に確実に金属層がめっきにより形成される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、この発明によれば、基母材以外では合せ金属材を用いなく、これを中心にめっきにより各金属層が不離一体に形成されるために、層間において剥離が生じなく、上下均等且つ対称を正確に形成した構造となることとも相まって、安定した放熱性および機械的強度を保持する信頼性の高い半導体搭載用放熱基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の第1実施例に係る半導体搭載用放熱基板の製造方法 を矢印順に且つ断面模式的に示す説明図である。
【図2】同製造方法による半導体搭載用放熱基板の斜視図である。
【図3】同半導体搭載用放熱基板の使用状態を示す断面模式的に示す説明図である。
【図4】第2実施例に係る図1に対応する説明図である。
【図5】第3実施例に係る図1に対応する説明図である。
【図6】第4実施例に係る図1に対応する説明図である。
【図7】第5実施例に係る図1に対応する説明図である。
【図8】第6実施例に係る図1に対応する説明図である。
【図9】第7実施例に係る図1に対応する説明図である。
【図10】第8実施例に係る図1に対応する説明図である。
【図11】従来例の説明図である。
【図12】従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明は、層厚のコアとなる合せ金属材からなる基母材1,2の両面にめっき層8,8を形成し且つ上下対称に形成してめっき層半導体搭載用放熱基板Pを製造するものである(図3)。
基母材は、一枚の金属の単一基母材1である場合と、複数枚のサンドイッチ構造の複合基母材2である場合とがある。いずれも、合せ材として金属薄片が使用され、複合基母材2の場合であると、圧延加工法や熱間一軸加工法等により加圧して一体化される。
【0013】
基母材1,2の金属には、比較的熱伝導率の小さいモリブデン(Mo)やタングステン(W)などが使用される。なお、こうして重合された原多層材は、ウエハーのチップ化と同じくカッティングにより縦横に細分される。
【0014】
こうして造られた基母材1,2の両面には、上下対称に比較的熱伝導率の良好な他の金属層がめっきにより形成される。それら金属層の厚みについては、例えば、Au層であると0.05〜1.5μm、Ni又はNi合金層であると0.02〜10μm、Au・Sn合金層であると、0.2〜10μm、Sn層であると0.2〜5.0μm、Cu層であると0.2〜40μmであることが良好である。また、このうち、特にAu層7が外面であると、酸化しにくいので、パッケージ基板10やLED発光体12等(図3参照)との接着性が良好であり望ましい。 半導体搭載用放熱基板Pの他の部品との接着については、表面がAu層7,7又はSn層11,11であるきは、Ag系又はAu・Sn系のペーストないし接着剤が好適に使用される。
【0015】
めっきは、電解、無電解、イオンプレーティング(IP)法等が望ましいが、めっきであれば特に限定するものではない。いずれにしても、めっきによって各金属層の厚みが上下対称で均一な層に形成され、各層が緊密に結合する。また、Cu金属層の形成については、Cuめっきの他に、Cuイオンプレーティング法を最適に用いることができる。
【0016】
イオンプレーティング法は、乾式のめっきで湿式とは違い僅かな表面改質でめっき加工が可能である。Moは非常にめっきが密着しにくい金属である。面粗さを失わずにCuめっきを付ける場合は、イオンプレーティング法が最適である。この場合、Moの上にCuめっきをする際に薄膜の銅をIPで付けてから、電解若しくは無電解でCuめっきを施す工程とするので上記目的が達成される。つまり、Moの金属片の上にCu層をイオンプレーティング法により例えば0.2μm程度形成し、その上にCuめっき(電解又は無電解)で施すのが最善な方法である。無電解めっきは、電解めっきと比較してめっきの均一性が良い。めっきの効率は電解めっき>無電解>銅めっき(電解・無電解)となる。
【実施例1】
【0017】
図1ないし図3は実施例1を示し、複合基母材2となる広い原材としては、Mo層3をCu層4,4でサンドイッチした3層構造のものを使用する(図1)。それには基母材2のCu層4,4の面を研磨機18で研磨してからNiめっきをその両面に施しNi層5,5(層厚1.0μm)を形成し、さらにその両Ni層5,5にAuめっきを施し両面がAu層7,7(層厚2μm)として形成する。めっき工程を経て広く製造されためっき元材は縦横カンティングにより細分化されて加工される。図2がこうして加工された製品としての放熱基板Pを示すが円形とは限らない。
【0018】
図3はLEDを搭載した使用状態を示したもので、パッケージ基板10の上に接着剤14を介して半導体搭載用放熱基板Pが搭載され、その上に接着剤16を介してLED12が搭載される。いずれも、表面がAu層7,7であるので、接着剤14,16の乗りが良く接着性が良好である。また、Au層7で反射してLED12の反射効率が良好であり、反射しなくても金属層の光の通りが良く蓄熱量が少ないという利点がある。
【実施例2】
【0019】
図4において、前記実施例に対して前記Au層7,7がその合金となっている違いがある。つまり、めっきを施すことによりAu・Sn合金層9,9として両面を形成して放熱基板Pが形成される。この実施例の場合も、Auの性質等から上記と同じ利点がある。以下においても同じである。
【実施例3】
【0020】
図5において、その放熱基板Pは、実施例1に対してそのNi層5,5がSn層11,11になっている違いがある。
【実施例4】
【0021】
図6において、その放熱基板Pは、複合基母材2の両面にAu層7,7をさらにその上にSn層11,11が形成される。
【実施例5】
【0022】
図7において、その放熱基板Pは、Mo層3を合せ金属材の単一基母材1としたもので、まずその両面にCu層4,4をめっき(Cuイオンプレーティングによることもできる)を施した場合と、Mo層3の両面にNi層5,5とCu層4,4を順次めっきした場合とに分けて製造される。それぞれについて次の如くである。
【0023】
前者については、両面のCu層4,4にNi層5,5を、さらにAu層7,7を順次めっきして形成して放熱基板Pを製造した。また、後者については、その両面のCu層4,4にNi層5,5、Au層7,7を順次めっきで形成して放熱基板Pを製造した。
【実施例6】
【0024】
図8においてもMo層3を単一基母材1としたもので、この場合も、まずその両面にCu層4,4をめっき(Cuイオンプレーティングによることもできる)を施した場合と、Mo層3の両面にNi層5,5とCu層4,4を順次めっきした場合とに分けられる。それぞれについて次の如くである。
【0025】
すなわち、前者については、両面のCu層4,4の上にNi層5,5をめっきにより形成し、その上にそれぞれAu・Sn合金層9,9をめっきし、放熱基板Pの原材を形成した。また、後者については、両面のCu層4,4の上にNi層5,5をさらにその上にAu・Sn合金層9,9を形成して放熱基板Pの原材を構成した。
【実施例7】
【0026】
図9において、Mo層3としての基母材1の両面にCu層4,4をめっきにより形成した場合と、Ni層5,5とCu層4,4を順次めっきにより形成した場合とに分けられて製造した。それぞれについてさらに次の如くである。
【0027】
つまり、前者では、Cu層4,4にNi層5,5をめっきで形成し、この上にSn層11,11とAu層7,7がめっきにより形成して放熱基板Pの原材が作られる。また、後者では、Cu層4,4の上にNi層5,5を、その上にSn層11,11とAu層7,7をそれぞれめっきにより形成して放熱基板Pの原材が作られる。
【実施例8】
【0028】
図10において、この場合も、前記と同じであって、Mo層3としての単一基母材1の両面にCu層4,4をめっきにより形成した場合と、Ni層5,5とCu層4,4を順次めっきにより形成した場合とに分けられ、それぞれについてさらにめっきが施される。
【0029】
前者の場合であると、Cu層4,4にNi層5,5をめっきにより形成し、その上にAu層7,7とSn層11,11を順次めっきにより形成して放熱基板Pの原材が形成される。また、後者であると、Cu層4,4の上にNi層5,5をめっきにより形成し、Ni層5,5の上にAu層7,7とSn層11,11が順次めっきにより形成して放熱基板Pの原材が作られる。
【符号の説明】
【0030】
P 半導体搭載用放熱基板
1 単一基母材
2 複合基母材
3 Mo層
4 Cu層
5 Ni層
7 Au層
9 Au・Sn合金層
11 Sn層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合せ金属材からなる基母材の両面に1以上の金属層をめっきにより上下対称の配置となるように形成することを特徴とする半導体搭載用放熱基板の製造方法。
【請求項2】
基母材が、中心のMo層の両面にCu層を形成した複合基母材、若しくはMo層の単一基母材であることを特徴とする請求項1記載の半導体搭載用放熱基板の製造方法。
【請求項3】
前記複合基母材の両面のCu層に、それぞれNi層とAu層とを順次めっきにより形成することを特徴とする請求項2記載の半導体搭載用放熱基板の製造方法。
【請求項4】
前記複合基母材の両面のCu層の上にNi層をめっきにより形成し、さらにその上に、Au層若しくはAu・Sn合金層をめっきにより形成することを特徴とする請求項2記載の半導体搭載用放熱基板の製造方法。
【請求項5】
前記複合基母材の両面のCu層4,4の上にSn層とAu層とをいずれかを外面になるようそれぞれめっきにより順次形成したことを特徴とする請求項2記載の半導体搭載用放熱基板の製造方法。
【請求項6】
Mo層の単一基母材の両面にCu層をめっきにより形成し、Cu層の上にNi層をめっきにより形成し、さらに両Ni層の上にAu・Sn合金層をめっきで形成するか、若しくは、Au層とSn層とをいずれかが外側になるようにめっきにより形成することを特徴とする請求項2記載の半導体搭載用放熱基板の製造方法。
【請求項7】
Mo層の単一基母材の両面にNi層とCu層とをそれぞれめっきにより形成し、さらに、Ni層の上にAu層若しくはAu・Sn合金層をめっきで形成することを特徴とする請求項2記載の半導体搭載用放熱基板の製造方法。
【請求項8】
Mo層の単一基母材の両面にNi層とCu層とをそれぞれめっきにより形成し、さらに、Cu層の上にNi層をめっきにより形成し、Ni層の上に、Au層とSn層とをいずれか外側になるように順次めっきにより形成することを特徴とする請求項2記載の半導体搭載用放熱基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−254044(P2011−254044A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128721(P2010−128721)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(504453328)株式会社高松メッキ (16)
【出願人】(510156882)
【Fターム(参考)】