説明

半導体材料および半導体デバイス

【課題】半導体材料、特に、良好な電気伝導率および大きな禁制帯幅を有するドープド半導体材料において、原子の秩序化の結果生じる禁制帯幅の減少のような所望しない効果を排除することができるものを得る。
【解決手段】半導体材料中で自由電荷キャリアを提供する第1のドーパント、例えばシリコンと、該半導体材料中で原子の無秩序化を促進する第2のドーパント、例えばスズあるいはテルルとを含む半導体材料であって、該第2のドーパント濃度が該半導体材料の全体に亘って実質的に均一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料、特に、良好な電気伝導率および大きな禁制帯幅を有するドープド半導体材料に関する。また、本発明はそのようなドープド半導体材料の層を組み込んだ半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
化合物半導体系で周知のものに(Al、Ga、In)P系がある。(Al、Ga、In)P系に属する化合物は、一般式(AlxGa1-x1-yInyPを有しており、ここでxおよびyともに0と1との間である。
【0003】
(Al、Ga、In)P系は、例えば半導体レーザデバイスのようなオプトエレクトロニクスデバイスを含む半導体層状構造の製造に広く使用されている(例えば、特許文献1)。この半導体系の1つの利点は、インジウムのモル分率yが0.48に等しい場合、ガリウム砒素基板に格子整合する点である。
【0004】
周知のように、(Al、Ga、In)Pのような化合物半導体は、半導体中に意図的に不純物を導入することによって「ドープ」され得る。「ドーパント」として公知のこれらの意図的な不純物は、半導体材料中で自由電荷キャリアを生成し、従ってその電気特性を変化させる。「nドープド」半導体材料において、自由電荷キャリアの大部分は電子であるのに対し、「pドープド」半導体材料において、自由電荷キャリアの大部分はホールである。
【0005】
(Al、Ga、In)P系から製造される波長範囲630nm〜680nmの光を放射するレーザデバイスまたはレーザダイオード(LD)は、専門的職業および消費者システムのますます重要な構成要素となりつつある。例えば、デジタルビデオディスク(DVD)システムは、温度60℃まで5mWの出力を送達する能力を有する635nm〜650nmの波長のLDを使用する。次世代の半導体レーザは、同じまたはそれより高温(例えば70℃)で動作する温度までより大きな最大の出力をさえ必要とし得る。
【0006】
図1は半導体レーザデバイスの概略図である。レーザデバイス1は基板2、基板2上に順に配置されるnドープドクラッド層3、導波路4、活性領域5、別の導波路6、およびpドープドクラッド層7からなる。このレーザデバイスにおいて、光は活性領域5で発生する。活性領域5で発生した光は、導波路4、6によって図1の垂直方向に閉じ込められる。これは例えば、導波路4、6の屈折率が活性領域5の屈折率よりも大きいことを保証することで達成される。
【0007】
基板2は、主にレーザダイオードの機械強度を提供するのに役立つ。レーザダイオードは基板2上に順次層3〜7を堆積することによって生成される。これは、任意の従来の半導体成長技術によって原則的になされるが、MBE(分子線エピタキシー)またはCVD(化学気相成長法)を使用するのが好ましい。なぜならこれらの方法は、高純度および明確なジオメトリを有する材料を生成するためである。
【0008】
上部および下部のクラッド領域3、7は、活性領域内にキャリアを閉じ込めるのに役立つ。従って、クラッド層3、7が、活性領域5より大きな禁制帯幅を有することが必要である。クラッド層と活性領域との間のバンドギャップの差が増加するに従い、活性領域中にキャリアを閉じ込める効率が改善し、そのためクラッド層のバンドギャップと活性層のバンドギャップとの間の差を最大にするのが望ましい。
【0009】
現在の(Al、Ga、In)P LDの主要な制限は、LDが特定のもっとも高い動作温度で長期(または十分低い閾値電流)に亘って動作し得ないことである。これは、デバイスの活性層から光導波(optical guiding)領域の周囲および続くp型クラッド領域内への、電子のリークによって引き起こると概して考えられている。
【0010】
図1に示される構造を有するレーザダイオードは、1つの例として(Al、Ga、In)P系で製造される場合、活性領域5は、(Ga、In)P活性領域であり、光導波層4、6は、(Al0.5Ga0.50.52In0.48Pであり、ならびにクラッド層3、7は、(Al0.7Ga0.30.52In0.48Pである。一般的には層の厚さの範囲は、クラッド層3、7で0.5〜4μm、導波路4、6で0.005〜1μm、ならびに活性領域5で0.001〜0.1μmである。クラッド層3、7はドープされており、上部クラッド層はp型および下部クラッド層はn型にドープされている。従って、(Al、Ga、In)P系の図1に示される構造を有するレーザダイオードを製造するために、上部クラッド層および下部クラッド層3,7として働くドープド(Al、Ga、In)P系を生成する必要がある。上記で示したように、これらのクラッド層が、活性領域5より大きな禁制帯幅を有することが必須であり、その結果、活性領域にキャリアを閉じ込め、それにより光の生成が生じることを可能にし、クラッド層のバンドギャップおよび活性層のバンドギャップとの間の差を最大にすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−188506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(Al、Ga、In)P系のレーザダイオードを製造する際に直面する1つの課題は、(Al、Ga、In)P材料が、原子の秩序化(atomic ordering)を示すことがエネルギー的安定であるという点である。これは、A.G.Normanらによって、Inst.Phys.Conf.Ser.No.134、Section 6、pp.279〜290、1993の「Nature and Origin of Atomic Ordering in III−V Semiconductor Alloys」で開示されている。この秩序化によって、(Al、Ga、In)P材料の禁制帯幅の減少をもたらすことは公知である。例えば、Ga0.5In0.5Pの禁制帯幅の減少は、Applied Physics Letters Vol.50(11)、1987、pp.673〜675に開示されている。また、(Al、Ga、In)P系における原子の秩序化は、材料の構造上の劣化を引き起こし、従ってデバイスの故障につながる。従って、材料で生じる原子の秩序化の量を可能な限り減少させることが望ましい。
【0013】
原子の秩序化は、2種以上の元素のどちらかが同じ原子サイトを占有する2元素以上の任意の半導体系において生じ得る。
【0014】
原子の秩序化は(Al、Ga、In)P系で生じる、なぜならIn原子サイズは、Ga原子またはAl原子のサイズのどちらかと異なるためである。III族原子の2つの異なるサイズのサイトの存在は、Al原子およびGa原子からIn原子の偏析につながる。これは以下の形成を引き起こす:
逆位相ドメイン、
逆位相ドメイン境界、および
Inリッチな面状領域。
【0015】
Inリッチな面状領域は、半導体層の禁制帯幅を局所的に減少させる。プレートリットは、典型的には10〜1,000Å(1〜100nm)の範囲の厚さを有する。
【0016】
原子の秩序化を減少させる1つのアプローチは、「オフアクシス」基板上に(Al、Ga、In)P層を成長させることである。「オフアクシス」基板は、半導体層が成長する基板の表面が、結晶面からわずかに方位がずれた(misorient)基板のことである。例えば、成長表面が(100)結晶面ではなくて、(111)結晶面の方に数度方位すればよい。
【0017】
半導体材料における原子の秩序化を減少させる別の従来方法は、材料をアニールすることである。半導体材料をアニール(典型的には500℃から1000℃の温度範囲で)し、格子内の原子の再配列を引き起こし、原子の秩序化を減少させる。材料がアニール中に移動するような不純物を含む場合、この原子の再配列は促進される。なぜならそのような不純物が原子の再配列を助け得るからである。
【0018】
そのアニールによってアンドープド半導体材料中で原子の秩序化を減少することは、比較的複雑ではないが、ドープド(Al、Ga、In)P半導体層のようなドープド半導体層をアニールする際に、困難が生じる。(Al、Ga、In)Pの1つの共通のp型ドーパントは、ベリリウムである。しかしベリリウムは約500℃より高温でホスト(host)格子を通って拡散することが公知である。従って、ベリリウムドープド(Al、Ga、In)P層のアニールによって、ベリリウムの半導体層への拡散を引き起こし得る。ドーピング濃度が、半導体層全体に亘って一定でない場合、次いでアニール中に生じるベリリウムの拡散によりドーピングプロフィールの急峻性が減少し得、さらにベリリウムが活性領域5に拡散する。このベリリウムの拡散は、レーザダイオードの電気特性、光学特性に悪影響を与える。拡散係数はドーパント濃度に伴い増加するので、この課題は悪化する。さらに、ベリリウム原子が格子内を移動するので、ベリリウム原子はベリリウムの析出物の形成、積層欠陥の生成、およびインターステシャル(interstitial)サイト(格子点外のサイト)への移動に至り得る。それにより活性p型ドーピングレベルが減少する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の要点は、半導体材料内に自由電荷キャリアを提供するための第1のドーパント、および半導体材料中の原子の無秩序化を促進するための第2のドーパントを含み、第2のドーパント濃度は、実質的に半導体材料の全体に亘って均一である半導体材料を提供する。
【0020】
第1および第2のドーパントは、成長プロセス中に半導体材料に導入される。半導体材料が成長すると、それをアニールし、材料がアニールされた場合、第2のドーパントは半導体材料の格子を通して拡散し得る。第2のドーパントは、材料の全体に亘って不均一な濃度で最初に材料中に導入されてもよく、または材料を通じて実質的に均一な濃度で材料中に導入されてもよい。なぜなら第2のドーパント濃度が最初に不均一であっても、アニール後、第2のドーパントの拡散の結果、第2のドーパント濃度は、半導体材料の全体に亘って実質的に均一となり得るからである。アニール中に生じる第2のドーパントの拡散は、半導体材料の原子の秩序化を減少する。これにより、半導体材料の禁制帯幅が、原子の秩序化の効果により減少しないことを確実にし、半導体材料の構造上の劣化を生じないことを確実にする。第1のドーパントの存在により、アニール工程後、半導体材料中に高濃度、制御可能な自由キャリアが存在することが確実になる。第1のドーパントが格子を通って顕著には拡散しない場合、第1のドーパントのドーピングプロフィールは、アニール工程によって変化しない。
【0021】
半導体材料のコドーピング−すなわち半導体材料に同時に2つの異なるドーパントをドーピングすること−は公知であるが、コドーピングは、本発明で使用される理由のためには、以前に使用されていなかった。
【0022】
「Journal of Applied Physics」Vol.76(12)、1994、pp.8189〜8191は、シリコンおよび亜鉛のインジウムガリウム窒化物中へのコドーピングを開示している。シリコンは、放射再結合を助ける不純物として作用し、それにより発光ダイオードの出力を増加させる。
【0023】
米国特許第5,231,298号は、p型ドーパントおよびインジウム等原子価・等電子のドーパントでコドーピングされたGaAs層を開示している。インジウム等原子価・等電子ドーパントは、p型ドーパントによって引き起こされる格子構造の応力と反対の方向に応力をもたらす。
【0024】
米国特許第4,889,830号は、亜鉛をドープしたインジウム燐化物層を開示している。インジウム燐化物層中への亜鉛気体の拡散は、カドミウム気体中、亜鉛のみが基板中に有意な量で拡散する温度で行われる。この方法によって、亜鉛拡散プロセス中のインジウム燐化物の表面形態を維持することが知られている。
【0025】
日本特許出願公開番号58−053827、58−056329、および62−232122は、GaAs層中のドーパント濃度の改善のためのGaAsのコドーピングを開示している。
【0026】
米国特許第5,766,981号は、超格子の活性層を有する半導体レーザデバイス中に閉じ込め領域を形成する方法を開示している。一旦レーザデバイスが形成されると、原子の内部混合を促進する不純物は、レーザデバイス表面からその内部へ拡散し、この不純物により活性領域が隣接するクラッド層と混ざり、その結果、混合領域の屈折率を小さくする。これらの低屈折率領域は、層の中心領域内に光を閉じ込める。
【0027】
米国特許第4,871,690号は、半導体レーザデバイスの基板中の無秩序化領域の提供を開示している(例えば、基板領域中に不純物原子を注入することによる)。次いでレーザデバイスを基板上に成長し、基板の処理された領域内に形成された欠陥がレーザデバイスの層領域内に上向きに拡散する。レーザデバイスの層は、基板の処理された領域の上にある。これによりこれらの領域のバンドギャップは増大し得る。
【0028】
EP−A−0 475 618は、GaAs/GaAlAsレーザデバイスの製造を開示している。ZnO層が、レーザのファセットに配置され、亜鉛がこれらの層からデバイスの活性層へ拡散し、窓領域を形成する。
【0029】
第1および第2のドーパント濃度は、それぞれ1017cm-3から1021cm-3の範囲であればよい。
【0030】
本発明の第2の要点は、半導体材料中に自由電荷キャリアを提供する第1のドーパントと、半導体材料中に原子の無秩序化を提供する第2のドーパントとを含む半導体材料を提供し、第1および第2のドーパントは、半導体材料の成長中に半導体材料内に導入され、第2のドーパント濃度が半導体材料の全体に亘って変化する。
【0031】
本発明の第2の要点による半導体材料の層は、アニールされ、本発明の第1の要点による半導体材料の層を生成してもよい。第2のドーパントが材料中に導入され、第2のドーパント濃度が半導体材料の全体に亘って変化するので、半導体材料をアニールする場合に生じる拡散の量は、増加し得る(アニール工程中、第2のドーパント濃度は半導体材料の全体に亘ってそれ自身均一になる傾向がある。)。従って、アニール工程前の第2のドーパント濃度が一定でない場合、より多量の拡散がアニール工程中に生じることが必要であり、それにより半導体の全体に亘って第2のドーパント濃度を均一にし得る。拡散量の増加は、半導体材料の原子の秩序化をさらに減少させ得る。
【0032】
第2のドーパントは、半導体材料内の1層または2層以上の層全体内に含まれてもよい。これは、アニール中に生じる第2のドーパントの拡散量を増加させる1つの簡単な方法である。第2のドーパントは、半導体材料内の1つ以上のδドープド層内に含まれてもよい。上記のδドープド層内の第2のドーパント濃度は、1012cm-2から1014cm-2の範囲内であればよい。
【0033】
半導体材料を(Al、Ga、In)Pとしてもよい。第1のドーパントに、炭素、および第2のドーパントにベリリウム、マグネシウム、または亜鉛としてもよい。これによりアニール後、低い原子秩序化さらに大きな禁制帯幅を有する(Al、Ga、In)P層を生成し得る。これは、例えば図1に示されるようなレーザデバイス中のp型クラッド層として使用するのに適している。
【0034】
炭素は、「Applied Physics Letters」Vol.71(8)、1977、pp.1095−1097で開示されるように、(Al、Ga、In)Pに対して公知のp型ドーパントである。(Al、Ga、In)P中の炭素の拡散係数は、(Al、Ga、In)P中のベリリウムの拡散係数よりもかなり小さいであろう。例えば、GaAs中の炭素の拡散係数は、GaAs中のベリリウムの拡散係数よりも約2桁小さい(E.F.Schubertの「Doping in III―V Semiconductors」p.190を参照されたい)、および同様の結果が(Al、Ga、In)P中での拡散係数に関して予想される。従って炭素は、アニール中に再配列する確率は極めて小さく、高濃度のp型キャリアが維持され得る。さらに、炭素は顕著には再配列しないため、ドーピングプロフィールのシャープネスは維持される。また、炭素原子はインターステシャルサイトに移動し得ないので、活性p型ドーピングレベルは維持され得る。ベリリウム原子は、アニール中格子を通って拡散し得、半導体材料の原子の秩序化を減少させ得る。従って、ベリリウムおよび炭素のコドーピングは、アニールの後で無秩序化し、高い、制御可能なp型ドーピングプロフィールを有する材料に結果的になり得る。
【0035】
マグネシウムまたは亜鉛は、ベリリウムの位置にp型ドーパントとして使用されてもよい。マグネシウム原子および亜鉛原子は、アニール時に半導体の格子を通って拡散し得、この拡散により原子の秩序化の減少をもたらし得る。
【0036】
あるいは、第1のドーパントはシリコン、および第2のドーパントにはセレン、スズ、またはテルルであってもよい。これらのドーパントはn型ドープド材料を生成する。シリコンは、高レベルのn型ドーピングを提供し得、セレン、スズまたはテルルは、アニール時に半導体材料を通って拡散し得、それにより原子の秩序化を減少させ得る。
【0037】
本発明の第3の要点は、上記で定義したような半導体材料の層を含む半導体デバイスを提供する。デバイスは、半導体レーザデバイスであり得、半導体材料の層は、半導体レーザデバイスのクラッド層を形成し得る。
【0038】
レーザデバイスは、第2のドーパントを意図的にドープしない半導体材料の層をさらに含む。これにより、デバイスがアニールされる場合に第2のドーパントがレーザデバイスの活性領域中に拡散し得る可能性を減少する。
【0039】
本発明の第4の要点は、第1および第2のドーパントを半導体材料の成長中に半導体材料に導入する工程であって、第1のドーパントは、半導体材料内の自由電荷キャリアを提供し、第2のドーパントは半導体材料内の原子の無秩序化を促進する工程を含む、半導体材料の製造方法を提供する。
【0040】
第2のドーパントが半導体材料内に導入され、第2のドーパント濃度が半導体材料の全体に亘って変化してもよい。
【0041】
その方法は、第2のドーパントが動く温度で半導体材料のアニール工程を含み、それにより第2のドーパント濃度を半導体材料の全体に亘って実質的に均一にし得る。アニール工程は500℃から900℃の範囲の温度で行われ得る。
【0042】
第2のドーパントは、半導体材料の成長中、半導体材料の1層または2層以上の層全体に亘ってのみ導入されてもよい。半導体材料は、アニール工程が行われる前に、第2のドーパントの1つ以上のδドープド層を含んでもよい。δドープド層全体または各々のδドープド層内の第2のドーパントの濃度は、1012cm-2から1014cm-2の範囲内であればよい。
【0043】
半導体材料は(Al、Ga、In)Pでもよい。第1のドーパントは炭素、および第2のドーパントは、ベリリウム、マグネシウム、または亜鉛であってもよい。あるいは第1のドーパントはシリコン、および第2のドーパントは、セレン、スズ、またはテルルでもよい。
【0044】
アニール工程後、第1および第2のドーパント濃度は、それぞれ1017cm-3から1021cm-3の範囲内であればよい。
【0045】
本発明の第5の要点は、上記で定義した方法を用いて半導体材料の層の成長を含む、半導体レーザデバイスの製造方法を提供する。
【0046】
その方法は、レーザデバイスの活性領域と本発明の方法を用いて成長した半導体材料の層との間のスペーサ層を成長する工程をさらに含み得、スペーサ層は第2のドーパントを意図してドープされない。
【0047】
本発明の半導体材料は、半導体材料中で自由電荷キャリアを提供する第1のドーパントと該半導体材料中で原子の無秩序化を促進する第2のドーパントとを含む半導体材料であって、該第2のドーパント濃度が該半導体材料の全体に亘って実質的に均一である。
【0048】
前記第1および第2のドーパント濃度が、それぞれ1017cm-3から1021cm-3の範囲内であってもよい。
【0049】
本発明の半導体材料は、半導体材料中で自由電荷キャリアを提供する第1のドーパントと該半導体材料中で原子の無秩序化を促進する第2のドーパントとを含む半導体材料であって、該第1および第2のドーパントは該半導体材料の成長中に該半導体材料中に取り込まれ、該第2のドーパント濃度が該半導体材料の全体に亘って変化する。
【0050】
前記第2のドーパントは、前記半導体材料内の1層または2層以上の層全体に含まれてもよい。
【0051】
前記第2のドーパントは、前記半導体材料内に1つ以上のδドープド層内に含まれてもよい。
【0052】
前記δドープド層内の前記第2のドーパント濃度は、1012cm-2から1014cm-2の範囲内であってもよい。
【0053】
前記半導体材料は、(Al、Ga、In)Pであってもよい。
【0054】
前記第1のドーパントは炭素であり、前記第2のドーパントがベリリウム、マグネシウム、または亜鉛であってもよい。
【0055】
前記第1のドーパントはシリコンであり、前記第2のドーパントはセレン、スズまたはテルルであってもよい。
【0056】
本発明の半導体デバイスは、上記に記載される半導体材料の層を含む。
【0057】
前記デバイスは半導体レーザデバイスであってもよい。
前記半導体材料の層は、前記半導体レーザデバイスのクラッド層を含んでもよい。
【0058】
前記デバイスは前記第2のドーパントが意図的にドープされない半導体材料の層をさらに含んでもよい。
【0059】
本発明の半導体材料の製造方法は、第1および第2のドーパントを該半導体材料の成長中に該半導体材料中に導入する工程を包含し、該第1のドーパントは自由電荷キャリアを提供し、該第2のドーパントは該半導体材料内の原子の無秩序化を促進する。
【0060】
前記第2のドーパントは、前記半導体材料の成長中に該半導体材料中に導入され、該第2のドーパント濃度が該半導体材料の全体に亘って変化してもよい。
【0061】
前記第2のドーパントが移動する温度で前記半導体材料をアニールする工程をさらに包含してもよい。
【0062】
前記アニール工程は、500℃から900℃の範囲内の温度で行われてもよい。
【0063】
前記第2のドーパントは、前記半導体材料の成長中に該半導体材料の1層または2層以上の層全体に全体にのみ導入されてもよい。
【0064】
前記半導体材料は、前記アニール工程が行われる前に、前記第2のドーパントの1つ以上のδドープド層を含んでもよい。
【0065】
前記δドープド層中の前記第2のドーパント濃度が1012cm-2から1014cm-2の範囲内であってもよい。
【0066】
前記半導体材料は、(Al、Ga、In)Pであってもよい。
【0067】
前記第1のドーパントは炭素であり、前記第2のドーパントはベリリウム、マグネシウム、または亜鉛であってもよい。
【0068】
前記第1のドーパントはシリコンであり、前記第2のドーパントはセレン、スズ、またはテルルであってもよい。
【0069】
前記アニール工程後の前記第1および第2のドーパント濃度が、それぞれ1017cm-3から1021cm-3の範囲内であってもよい。
【0070】
本発明の半導体レーザデバイスの製造方法は、上記に記載される方法を用いて半導体材料の層を成長する工程を包含する。
【0071】
本発明の半導体レーザデバイスの製造方法は、上記に記載される方法を用いて半導体材料の層を成長する工程と、レーザデバイスの活性領域と、上記に記載の方法を用いて成長した該半導体材料の層との間のスペーサ層を成長する工程とを含み、該スペーサ層は前記第2のドーパントが意図的にドープされない。
【発明の効果】
【0072】
従って、本発明の半導体材料により、原子の秩序化の結果生じる禁制帯幅の減少のような所望しない効果を排除することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、半導体レーザダイオードの模式断面図である。
【図2】図2は、アニール前の本発明の実施形態に従う半導体材料の構造の概略図である。
【図3】図3は、アニール後の図2の半導体材料の概略図である。
【図4】図4は、アニール前の本発明の別の実施形態に従う半導体材料のドーピング濃度を示す。
【図5】図5は、アニール後の図4の材料のドーピング濃度を示す。
【図6】図6は、本発明に従うコドープド半導体層を組み込んだ半導体レーザダイオードの模式断面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態に従うコドープド半導体層を組み込んだ半導体レーザダイオードの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
これより本発明の好適な実施形態を添付の図を参照して、実例により説明する。
【0075】
1つの実施形態において、本発明は(Al、Ga、In)P層に適用される。pドープド層を提供するために、本実施形態において、その層は炭素およびベリリウムをコドープされる。
【0076】
(Al、Ga、In)P層を、適した品質の材料を生成する任意の従来の半導体成長技術によって成長させ得る。原理的に、LPE(液相エピタクシ、MBE、およびCVDが、高純度の材料を生成し得る方法である。しかし、LPEは半導体層状構造の成長にはあまり適していない。なぜならこの成長技術は、明確な厚さを有する薄い層を生成し得ないからである。従って、MBEまたはCVDによる半導体材料の成長が好ましい。なぜならこれらの方法は高純度および明確な厚さを有する半導体層を生成し得るからである。
【0077】
MBEまたはCVD成長プロセスが用いられる場合、本発明による半導体材料は、従来のドープド半導体材料と同様の方法で成長される。1つではなくて2つのドーパント原子種を成長プロセス中において導入することを単に必要とし、両方のドーパント種は半導体材料が成長する時、半導体材料中に導入される。第1のドーパントは、材料中に自由電荷キャリアを提供し、第2のドーパントは、材料内の原子の無秩序化を促進する。第1のドーパント濃度は、材料のキャリア濃度に関して所定のプロフィールを提供する方法で、材料の全体に亘って変化する。第2のドーパントは、材料の全体に亘って最初は不均一である濃度で材料中に導入され得るか、または材料を通じて実質的に均一な濃度で導入され得る。
【0078】
半導体材料が成長する場合、原子の秩序化を示し得る。この原子の秩序化は、図2で模式的に示すように、結晶欠陥を生じ得る。材料は、逆位相ドメイン境界11によって分けられる逆位相ドメイン10を含む。逆位相ドメインは、Inリッチプレートリットを含み得、バンドギャップは減少し得る。これらの欠陥は結晶の構造的および電気特性に悪影響を与え、材料のバンドギャップにも影響し得る。
【0079】
MBEが用いられる場合、成長プロセス中の基板温度は、400℃と700℃との間にあるべきである。多くの用途に対して、ベリリウムおよび炭素のドーピング濃度は、1017cm-3から1021cm-3の範囲内にあるべきである。2つのドーピング濃度は、等しくある必要はない。
【0080】
半導体材料が成長した後、次いでアニールされ、コドープド材料の原子の秩序化を減少させる。アニール中の温度は、成長中の温度よりも高くあるべきである。400℃から700℃の成長温度の場合、適したアニール温度は、約500℃と900℃との間であり得る。アニール工程の時間は、好ましくは1から20分の範囲内であるか、またはラピッドサーマルアニーリング(RTA)工程を用いる場合は10秒から3分の範囲内である。アニールは、好ましくは不活性ガス雰囲気中で行われる。
【0081】
アニール工程中、ベリリウム原子は半導体格子を通って拡散し得る。それにより材料の原子の秩序化が減少する。(Al、Ga、In)P中の炭素の拡散係数は、(Al、Ga、In)P中のベリリウムの拡散係数よりはるかに小さい。従って炭素はアニール工程中、有意に拡散し得ない。従って炭素原子のドーピングプロフィールは、有意に変化し得ない。結果として、アニールされた材料は、アニール工程中のベリリウムの拡散による低い原子の秩序化を有し得るが、高濃度の自由ホール(炭素ドーパント原子による)を有し得、その結果高い電気伝導率を有し得る。低い原子の秩序化は、材料のバンドギャップが有意には減少し得ず、材料の構造的特性は劣化し得ない。従ってその材料は、例えば半導体レーザデバイスのpドープドクラッド層として使用するのに適している。
【0082】
本発明はドーパントとしてベリリウムおよび炭素を使用することに限定されない。概して、任意のドーパントの組み合わせが使用され、1つのドーパントがアニール工程中に格子を通って拡散し、原子の秩序化を減少させ得、もう一方のドーパントはアニール工程中に有意に拡散し得ないことを提供し得る。例えば、ベリリウムはマグネシウムまたは亜鉛で置換してもよい。マグネシウムおよび亜鉛は、アニール工程中に半導体の格子を通って共に拡散し得る。
【0083】
また、本発明は、2つの適したn型ドーパントを選択し、nドープド材料を得るために使用されてもよい。シリコンは、炭素の代わりに使用され、(Al、Ga、In)P半導体層内に自由電子を提供し得る。シリコン原子は、アニール工程中、格子を通って有意に拡散しない。n型層に関して適した第2のドーパントは、セレン、スズ、またはテルルである。これらのドーパント原子が、半導体材料に取り込まれる場合、これらのドーパント原子は、アニール工程中、格子を通って拡散し、それにより原子の秩序化を減少させ得る。
【0084】
本発明は、上記の特定のドーパント種に限定されない。アニール工程中に格子を通って拡散するドーパント、および必要なタイプの電荷キャリアを生成し、アニール工程中に有意に拡散しないドーパントの任意の組み合わせが使用されてもよい。
【0085】
第1および第2のドーパントはともにn型またはともにp型のいずれかが好ましい。なぜなら、この場合、材料の全キャリア濃度は、第1のドーパントによって生成されたキャリア濃度と第2のドーパントによって生成されたキャリア濃度との合計であり得るためである。原理として、ドーパントのうち1つがn型、およびもう1つがp型であることも可能である。しかし、この場合、1つのドーパントがホールを生成し得、もう1つのドーパントが電子を生成し、これらは互いに再結合する傾向があり得ることに注意すべきである。従って、半導体材料の全キャリア濃度は、2つのドーパントによって生成したキャリア濃度との間の差となる。
【0086】
アニール工程中に第2のドーパントの拡散の結果生成された原子の無秩序化の量は、拡散の量に依存している。従って、第2のドーパントの拡散量を可能な限り増加することが望ましい。なぜならそうすることで生成される原子の無秩序化の量が増加するからである。
【0087】
第2のドーパントの拡散量を増加させ得る1つの方法は、不均一な濃度を有するように半導体材料中に第2のドーパントを導入することである。半導体材料をアニールする場合、第2のドーパントが拡散し、その結果、半導体材料全体を通して第2のドーパント濃度を均一にする。第2のドーパント濃度の高い領域において第2のドーパントの拡散係数がより大きくなり得るので、この均一化の効果が助長され得る。従って、半導体材料の全体に亘る第2のドーパントの濃度における変化を提供することは、拡散量を増加させ得、従って材料をアニールする場合に生じる原子の秩序化を減少させる。
【0088】
本発明のさらなる実施形態(アニール工程が行われる前に、第2のドーパントが不均一な濃度を有するように半導体材料に導入される)を図4に示す。これは、アニールが行われる前の半導体材料のキャリア濃度の概略図である。第1のドーパント(この場合炭素)のキャリア濃度が半導体の層全体を通して一定であることが分かり得る。しかし、第2のドーパントのキャリア濃度は一連の「δドープド層」からなる。これらのδドープド層間において第2のドーパント(この場合ベリリウム)のドーピング濃度は実質的にはゼロである。15層のδドープド層を図4に示すが、本発明はδドープド層のこの特定の数に限定されない。原則として、任意の数のδドープド層が使用されてよい。
【0089】
また「シートドープド層」として公知のδドープド層は、バルク半導体層の成長が中断され、ドーパント種のみが成長基板に供給される場合に形成される。GaAs中のそのようなδドープド層の生成は、「Proceedings of 17th International Conference on the Physics of Semiconductors」San Francisco、1984、pp.325〜328で説明されている。この例において、n型GaAs(n〜5×1015cm-3)の成長が20〜400秒間中断し、Si原子のみが基板に供給される場合にδドープド層が生成される。この結果、2×1018cm-3(バルクSi)と等価なGaAsへの2次元的なドーピングレベルに増加する。この例は、n型GaAs中のδドープド層の生成に関するが、(Al、Ga、In)P系のような他の半導体系、またpドープド層およびnドープド層においても適用可能である。
【0090】
理想的には、第2のドーパント(本実施形態においてはベリリウム)のドーパントプロフィールは、一連の数学的なδ関数であり得る。つまり、ベリリウムのドープされた領域は薄いが、高ドーピング濃度のベリリウム(例えば1012cm-2から1014cm-2の範囲)を有する。
【0091】
第1のドーパント(本実施形態のおいては炭素)は、δドープド層を成長させる場合に、第1のドーパントが供給されないことを別にすれば、成長プロセスを通して連続的に供給される。これにより、半導体材料全体を通して第1のドーパントの均一な濃度を生成し得る。
【0092】
図4の半導体層をアニールする前に、半導体層は原子の秩序化を示し得る。図4の半導体層をアニールする場合、ベリリウム原子は格子を通って拡散し得る。ベリリウムの拡散係数は、ベリリウム濃度に伴い増加し、δドープド層で拡散係数は大きくなり得る。結果としてベリリウムのドーピングプロフィールは、均一となり、図5に示されるドーピング濃度となり得る。ベリリウムの拡散により、層の原子の秩序化は減少し得る。
【0093】
引き起こされた原子の無秩序量は、ベリリウムの拡散量に依存する。第2のドーパントの拡散量を増加させるために、図4に示されるドーピングプロフィールを用いる必要はない。概して、高濃度領域および低濃度領域を有するドーパントプロフィールは、第2のドーパントの均一なドーピングプロフィールと較べて第2のドーパントのさらなる拡散を提供する。適したドーピングプロフィールの例(これに限定されないが)は、鋸歯状プロフィール、三角形ドーピングプロフィール、または、ほぼシヌソイドドーピングプロフィールを含む。
【0094】
上記の実施形態において、ある第1のドーパントおよびある第2のドーパントのみが使用されている。しかし、原則として、2つ以上の第1のドーパントおよび/または2つ以上の第2のドーパントを提供することが可能である。従って、例えば、(Al、Ga、In)Pは、炭素、ベリリウム、およびマグネシウムをドープされ得る。炭素は、半導体中で自由ホールを生成し、ベリリウムおよびマグネシウムは、材料をアニールした場合に格子を通って共に拡散し得、従って原子の無秩序化を増加させる。
【0095】
図6は、本実施形態に従う半導体レーザデバイスを示す。このレーザデバイスは、本質的には図1のレーザデバイスと同様の構造を有しているが、上部クラッド層7は、本発明のコドープド半導体層である。例えば炭素、ベリリウムをコドープされている(Al0.7Ga0.30.52In0.48P層からなり、1×1017cm-3から1×1019cm-3の範囲の全自由ホール濃度を与える。図6のレーザデバイスの残りの層1から6は、図1のレーザデバイスと同じである。
【0096】
他の実施形態(図示せず)において、図6のレーザの下部クラッド層3は、例えばシリコン、スズをコドープされている(Al0.7Ga0.30.52In0.48P層のようなコドープド層と置換され、1×1017cm-3から1×1019cm-3の範囲の全自由電子濃度を与える。さらなる実施形態(図示せず)において、レーザは、図1のレーザの下部クラッド層3が例えばシリコン、スズをコドープされている(Al0.7Ga0.30.52In0.48P層のようなコドープド層と置換され、1×1017cm-3から1×1019cm-3の範囲の全自由電子濃度を与えるということを別にすれば、図1に示される構造を有する。
【0097】
ベリリウム原子がアニール中に活性領域に拡散し得る可能性がある。これを防ぐために、本実施形態の別の要点において、(Al、Ga、In)P層はその厚さ全体に亘ってコドープされない。層は、その厚さ全体に亘って第1のドーパントをドープされるが、活性領域から離れた層の一部分のみは意図的に第2のドーパントがドープされる。意図的に第2のドーパントをドープしない層の部分7”の厚さは、意図的に第2のドーパントをドープした層の部分7’および活性層5との間の間隔を十分大きくし、アニール工程の結果、活性層5中に第2のドーパントの有意な拡散を防ぐように選択される。好ましくは、意図的に第2のドーパントをドープした層の部分は、活性領域から約1000Å(100nm)の間隔を空けられる。意図的に第2のドーパントをドープしないこの領域を提供することにより、第2のドーパントがアニール工程中に活性領域中に拡散し得る可能性を減少させる。
【0098】
図7は、本実施形態に従ってp型クラッド層7として半導体層を組み込んだアニール前の半導体レーザ構造の概略図である。活性層5から遠いp型クラッド層の部分7’は、第1のドーパントとして炭素、および第2のドーパントとしてベリリウムをコドーピングされ、一方活性領域5近傍の部分7”は、意図的に炭素のみがドープされ、最初にベリリウムがドープされない。図7のレーザ構造の残りの層は、図6に示されるレーザの対応する層と同じである。
【0099】
図7のレーザ構造をアニールする場合、上部クラッド層7のコドープド領域7’に含まれるベリリウムは、クラッド層を通って最初に炭素のみをドープした領域7”に拡散し得る。この拡散により、上記の方法でクラッド層中の秩序化を減少する。炭素のみがドープされる上部クラッド層7の部分7”の存在により、ベリリウムが活性層中に拡散し得る可能性を下げる。
【0100】
pクラッド層7のコドープド部分7’内のベリリウム濃度は、好ましくは、アニール前は不均一であり、従ってアニール中に生じるベリリウムの拡散を増加させる。しかし、pクラッド層7のコドープド部分7’は均一なベリリウム濃度を有して成長されてもよい。
【0101】
半導体層に2つのドーパントをコドープする。第1のドーパントは、半導体材料中に電荷キャリアを生成し、第2のドーパントは材料内の原子の無秩序化を促進する。半導体材料をアニールする場合、第2のドーパントは可動性となり、格子を通って移動し、それにより原子の無秩序化が促進される。これにより、例えばさもなくば原子の秩序化の結果生じ得る禁制帯幅の減少のような所望しない効果を排除する。
【0102】
アニール中の第2のドーパントの拡散量は、最初の第2のドーパント濃度を半導体材料の全体に亘って不均一にさせることにより増加し得る。
【0103】
本発明は(Al、Ga、In)P系を特に参照して上述される。しかし、本発明は、この特定の半導体系に限定されない。本発明は、原子の秩序化が有意に所望されない結果を引き起こす任意の半導体系に適用されてもよい。本発明を適用し得る他の系の例として(Al、Ga、In)Asおよび(Al、Ga、In)(N、As、P)系も含む。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の半導体材料により、原子の秩序化の結果生じる禁制帯幅の減少のような所望しない効果を排除することが可能となる。
【符号の説明】
【0105】
1 レーザデバイス
2 基板
3 n型クラッド層
4、6 導波路
5 活性領域
7 p型クラッド層
7’ ベリリウムを含むコドープド領域
7” 炭素のみをドープした領域
10 逆位相ドメイン
11 逆位相ドメイン境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを構成する層に用いる半導体材料であって、
主材料となる、原子の秩序化を示すことがエネルギー的に安定である化合物半導体材料と、
該化合物半導体材料にその成長中にドーピングされた第1および第2のドーパントとを含み、
該第1のドーパントは、シリコンであり、
該第2のドーパントは、スズまはたテルルである、半導体材料。
【請求項2】
前記化合物半導体材料では、その全体に亘って前記第2のドーパントの濃度が実質的に均一になっている、請求項1に記載の半導体材料。
【請求項3】
前記化合物半導体材料は、(Al、Ga、In)Pである、請求項1または2に記載の半導体材料。
【請求項4】
前記第1および第2のドーパント濃度が、それぞれ1017cm-3から1021cm-3の範囲内である、請求項1から3のいずれかに記載の半導体材料。
【請求項5】
複数の半導体層を備えた半導体デバイスであって、
該複数の半導体層のうちの少なくとも1つは、請求項1から4のいずれかに記載の半導体材料により構成した化合物半導体層である半導体デバイス。
【請求項6】
前記デバイスは前記第2のドーパントがドープされない半導体材料の層をさらに含む、請求項5に記載の半導体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−158964(P2009−158964A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20700(P2009−20700)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【分割の表示】特願2000−177538(P2000−177538)の分割
【原出願日】平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】