説明

半導体材料の物品の作製方法

半導体材料の物品の作製方法は半導体材料の固体層がその外表面上に既に形成されている中実鋳型を溶融半導体材料の融液から引き出す工程を含む。引出し中に固体層を覆って形成される半導体材料の固体被覆層において1つないしさらに多くの所望の属性を達成するために、温度、力及び相対引出し速度の内の1つないしさらに多くが引出し作業中に制御される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2009年10月30日に出願された、名称を「半導体材料の物品の作製方法(Method of Making an Article of Semiconducting Material)」とする、米国特許出願第11/609987号の恩典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は半導体材料の物品の作製方法に関し、さらに詳しくは、半導体材料の物品が鋳型の外表面を覆って形成されるエキソキャスティング(exocasting)法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体材料は様々な用途に用いられ、例えば、光起電力デバイスのような電子デバイスに組み入れることができる。光起電力デバイスは光電効果によって入射光を電気エネルギーに変換する。
【0004】
半導体材料の特性は、結晶構造、真性欠陥の密度及びタイプ、並びにドーパント及びその他の不純物の存在及び分布を含む、様々な要因に依存し得る。例えば、半導体材料内の結晶粒径及び粒径分布は、得られるデバイスの性能に大きく影響し得る。例として、導電度及び、したがって、光電池のような半導体ベースデバイスの総合効率は一般に、粒径が大きくなり、一様になるほど、向上するであろう。
【0005】
シリコンベースデバイスについては、シリコンは様々な手法を用いて形成することができる。例には、インゴット、シートまたはリボンとして形成されたシリコンがある。シリコンは下層の基板で支持されていることも、自立していることもあり得る。そのような支持型及び自立型のシリコンの物品の従来の作製方法には多くの短所がある。
【0006】
シリコンシートを含む、自立型薄半導体材料シートの作製方法は、時間がかかるかまたは原料半導体材料を浪費し得る。自立型単結晶半導体材料は、例えばチョクラルスキー法を用いて、作製することができる。しかし、そのようなバルク法は材料を割断して薄いシートまたはウエハにする際にかなりの切り代損が生じ得る点で不利である。自立型多結晶半導体材料を作製できる別の方法には電磁鋳造法及びリボン成長法がある。しかしこれらの手法に、時間がかかり、高費用になりがちである。シリコンリボン成長法を用いて作製される多結晶シリコンリボンは一般に、約1〜2cm/分の速度でしか形成されない。
【0007】
支持型半導体材料シートは低費用で作製することができるが、半導体材料シートは、半導体材料シートがその上に形成される基板によって制限され得る。また基板は両立しないことがあり得る様々なプロセス及び用途の要件を満たさなければならないであろう。
【0008】
自立型多結晶半導体材料を作製するための有用な方法が、共通に所有される、2008年2月29日に出願された、名称を「純粋なまたはドープされた半導電性の元素または合金の自立型物品の作製方法(Method of Making an Unsupported Article of Pure or Doped Semiconducting Element or Alloy)」とする特許文献1、及び2009年2月27日に出願された、名称を「純粋なまたはドープされた半導電性の元素または合金の自立型物品の作製方法(Method of Making an Unsupported Article of Pure or Doped Semiconducting Element or Alloy)」とする特許文献2に開示されている。上記文献のそれぞれの開示は本明細書に参照として含まれる。
【0009】
本明細書に説明されるように、発明者等はここに半導体材料の支持型及び自立型の物品を作製することができる別の方法を見いだした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/067679号明細書
【特許文献2】国際特許出願第PCT/US09/01268号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、改善された結晶粒構造、低減された不純物濃度及び/または欠陥密度、小さい表面粗さ及び一様な厚さのような、所望の属性を有するエキソキャスト半導体材料の、材料の浪費を抑え、作製速度を高めた、形成を容易化できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
様々な実施形態例にしたがえば、半導体材料の物品の作製方法は、溶融半導体材料に浸漬された、半導体材料の固体層がその外表面上に既に形成されている、鋳型を提供する工程を含む。溶融半導体材料に対する鋳型の相対位置が、溶融半導体材料からの固体層を有する鋳型が引き出されるように、変えられる。引出しの間、温度、力、及び相対引出し速度の内の1つないしさらに多くが制御される。これらのプロセス変数の内の1つないしさらに多くを操作することにより、引出し作業中に固体層を覆って形成される半導体材料の固体被覆層において1つないしさらに多くの所望の属性を達成することができる。開示される方法にしたがえば、被覆層の、厚さの最小化及び/または表面粗さの最小化が可能である。
【0013】
本明細書に用いられるように、語句「半導体材料」には、例えば、シリコン、シリコンの合金及び化合物、ゲルマニウム、ゲルマニウムの合金及び化合物、ヒ化ガリウム、ヒ化ガリウムの合金及び混成物、スズの合金及び化合物、及びこれらの組合せのような、半導体特性を示すことができる材料が含まれる。様々な実施形態において、半導体材料は、(例えば、真性またはi型のシリコンのように)純粋材料あるいは(例えば、それぞれリンまたはホウ素のような、少なくとも1つのn型またはp型のドーパントを含有するシリコンのような)ドープト材料とすることができる。
【0014】
本明細書に用いられるように、語句「半導体材料の物品」、「エキソキャスト物品」及びこれらの変形には、開示される方法を用いて作製された、いかなる形状または形態の半導体材料も含まれる。そのような物品の例は、平滑であるか、表面構造があるか、平坦であるか、湾曲しているか、曲がっているか、傾いているか、対称であるかまたは非対称であり得る。半導体材料の物品は、例えば、シート、ウエハ及びチューブのような、形態をとることができる。
【0015】
本明細書に用いられるように、語句「鋳型」は、半導体材料の物品がその上にまたはそれを覆って形成され得る外表面を有する、物理的構造を意味する。溶融しているかまたは固体の半導体材料が鋳型の外表面に物理的に接触する必要はないが、接触はおこり得る。
【0016】
本明細書に用いられるように、語句「鋳型の外表面」は、溶融半導体材料への鋳型の浸漬時に溶融半導体材料にさらされ得る、鋳型の表面を意味する。
【0017】
本明細書に用いられるように、語句「支持型」は半導体材料の物品が鋳型と一体であることを意味する。支持型半導体材料物品は、必要に応じ、以降の処理に対して鋳型上にあるままとすることができる。
【0018】
本明細書に用いられるように、語句「自立型」は半導体材料の物品が鋳型と一体ではないことを意味する。自立型半導体材料物品は、形成されている間は鋳型によって支持され得るが、次いで鋳型から分離される。
【0019】
本明細書に用いられるように、語句「鋳型の外表面を覆って半導体材料の固体層を形成する」及びその変形は、鋳型の外表面上にまたは鋳型の外表面を覆って、溶融半導体材料から半導体材料の少なくともいくらかが固化することを意味する。
【0020】
本明細書に用いられるように、語句「結晶」は、例えば単結晶及び多結晶の半導体材料を含む、結晶構造を有するいずれの材料も意味する。
【0021】
本明細書に用いられるように、語句「多結晶」は複数の結晶粒からなるいずれの材料も含む。例えば、多結晶材料にはマイクロクリスタル材料及びナノクリスタル材料を含めることができる。
【0022】
本明細書に用いられるように、語句「溶融半導体材料の温度」、「溶融半導体材料のバルク温度」及びこれらの変形は、槽内に入れられている溶融半導体材料の平均温度を意味する。溶融半導体材料内の局所温度は、例えば、鋳型が浸漬されている間の鋳型近傍の溶融半導体材料の領域あるいは槽の上面近傍の雰囲気条件にさらされている溶融半導体材料の領域におけるように、いかなる点においてもいつかは空間的に変わり得る。様々な実施形態において、溶融半導体材料の平均温度は、いかなる局所温度変動にもかかわらず、実質的に一様である。
【0023】
本明細書に用いられるように、語句「過冷却」は、溶融半導体材料と鋳型の間に、溶融半導体材料の固化をおこさせ得る温度差が発生されるプロセスを指す。過冷却の程度は摂氏温度(℃)または華氏温度(°F)で測定することができる。
【0024】
エキソキャスティングプロセス中に形成される固体被覆層の厚さ及び/または構造形態に影響を与える方法が本明細書に説明される。以下の説明において、いくつかの態様及び実施形態が明らかになるであろう。本発明が、最も広い意味において、それらの態様及び実施形態の1つないしさらに多くの特徴を含むことなく実施され得るであろうことは当然である。それらの態様及び実施形態が例示及び説明に過ぎず、特許請求されるような本発明の限定ではないことも当然である。
【0025】
以下で説明される、また本明細書に組み込まれて本明細書の一部をなす、以下の図面は実施形態例を示し、本発明の範囲の限定と見なされるべきではない。図面は必ずしも比例尺で描かれておらず、図面のいくつかの特徴及びいくつかの概観は明解さ及び強調のためスケール上または図式的に誇張されて示されていることがある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】図1Aは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1B】図1Bは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1C】図1Cは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1D】図1Dは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1E】図1Eは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1F】図1Fは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1G】図1Gは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1H】図1Hは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1I】図1Iは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1J】図1Jは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1K】図1Kは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図1L】図1Lは半導体材料の物品を作製するためのエキソキャスティング法の一例を示す。
【図2】図2は理論上の固体層厚対浸漬時間のグラフである。
【図3】図3は、1.2mm厚鋳型に対して実験で得られた、様々な引出し速度における固体層厚対浸漬時間グラフである。
【図4】図4は、0.8mm厚鋳型に対して実験で得られた、様々な引出し速度における固体層厚対浸漬時間のグラフである。
【図5】図5は、様々な鋳型厚に対する、理論上の固体層厚対引出し速度のグラフである。
【図6】図6は、様々な鋳型厚に対して実験で得られた、固体層厚対引出し速度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
エキソキャスティングプロセスにおいては、ある体積の溶融半導体材料に中実鋳型が浸漬され、次いで引き出される。大部分は鋳型及び周囲環境への熱損失により、溶融半導体材料の一部が液相−固相転移を受け、この結果、鋳型の外表面を覆う半導体材料の固体層の形成がおこる。このプロセスにおいて、鋳型はヒートシンク及び固化がおこるための中実雄型の両者としてはたらく。
【0028】
図1Aに示されるように、溶融半導体材料120が入っている槽110の上方に、外表面102を有する中実鋳型100が吊り下げられる。鋳型100は開示される方法における使用に適するいずれかの形態とすることができる。例えば、鋳型100は厚さが0.5mmから5mmの範囲のモノリスまたはウエハの形態とすることができる。鋳型100は多孔質体または無孔質体からなることができ、必要に応じて、1つないしさらに多くの多孔コーティングまたは無孔コーティングを有することができる。鋳型100は1つないしさらに多くの平坦外表面102あるいは1つないしさらに多くの湾曲外表面を有することができる。湾曲外表面は凸形または凹形とすることができる。鋳型及びその外表面の特徴は、形状、寸法、表面積、表面粗さ、等を含む構造要素によって表すことができる。これらの構造要素の内の1つないしさらに多くは一様または非一様とすることができる。得られるエキソキャスト物品の特性に鋳型100及びその外表面102の構造要素が影響し得ることは当然であろう。
【0029】
鋳型100及び外表面102は二次元断面で示されているが、鋳型100が三次元体であり、鋳型の外表面を覆って形成される固体層104も長さ、幅及び厚さを有する三次元体であることは理解されよう。以降でさらに詳細に説明されるように、エキソキャスト固体層140はエキソキャスティングプロセスの様々な段階中に形成され、少なくとも3段階の固化中に形成された固体材料を含む。
【0030】
実施形態において、鋳型100は溶融半導体材料120に適合する材料で形成される。例えば、鋳型100は吊り下げられたときに溶融または軟化しない材料で形成することができる。別の例として、鋳型100は熱的に安定であり、及び/または溶融半導体材料120に対して化学的に不活性であり、よって溶融半導体材料と反応しないかまたは実質的に反応しないでいることができる。
【0031】
例として、鋳型100は、石英ガラス、黒鉛、窒化ケイ素、単結晶または多結晶のシリコンのような材料を、またこれらの組合せ材料及び複合材料も、含むかまたはこれらの材料からなることができる。少なくとも1つの実施形態において、得型100は多結晶二酸化ケイ素でつくられる。
【0032】
溶融半導体材料120は適する半導体材料を槽110内で溶融することで提供することができる。槽110は、石英ガラス、黒鉛及び窒化ケイ素から選ばれる材料でつくることができる。半導体材料は光電級シリコンまたは純シリコンとすることができる。シリコンだけでなく、溶融半導体材料は、シリコンの合金及び化合物、スズの合金及び化合物、ゲルマニウム、ゲルマニウムの合金及び化合物、ヒ化ガリウム、ヒ化ガリウムの合金及び混成物、及びこれらの組合せから選ぶことができる。
【0033】
溶融半導体材料は、半導電性の合金または化合物を形成できる少なくとも1つの非半導電性元素を含むことができる。例えば、溶融半導体材料には、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化アルミニウム(AlN)またはリン化インジウム(InP)を含めることができる。
【0034】
様々な実施形態にしたがえば、溶融半導体材料120は純粋であるかまたはドープされていることができる。ドーパントの例には、存在すれば、ホウ素、リンまたはアルミニウムを含めることができ、ドーパントは、例えば得られる半導体材料物品内の所望のドーパント濃度に基づいて選ぶことができる、適するいずれかの濃度、例えば1〜100ppmで存在することができる。
【0035】
半導体材料の物品を形成するため、鋳型100は、少なくともある程度溶融半導体材料120に浸漬され、次いで引き出される。浸漬工程及び引出し工程中に、鋳型の外表面102を覆って溶融半導体材料120が固化して、半導体材料の固体層140を形成する。
【0036】
理論に束縛されることは望まずに、固化は3つの主要段階でおこる。エキソキャスティングプロセスは、段階I〜IIIにおける固化のさらに詳細な説明を含む、様々な実施形態にしたがうプロセスの順次する一連の略図を示す、図1A〜1Lの参照によって理解することができる。溶融半導体材料120への鋳型100の浸漬は図1A〜1Fに簡略に示され、溶融半導体120からの鋳型100の引出しは図1G〜1Lに簡略に示される。
【0037】
一実施形態例において、適するいずれかの加熱デバイスまたは加熱方法を用いて、鋳型100の温度をTにすることができ、溶融半導体材料の温度を、半導体材料の融点以上の、Tにすることができる。
【0038】
所望の温度における、鋳型100,槽110の加熱及び/または溶融半導体材料120の維持のために少なくとも1つの加熱素子(図示せず)を用いることができる。適する加熱素子の例には、抵抗加熱素子または誘導加熱素子、赤外線(IR)加熱源(例えばIR灯)、及び火炎加熱源がある。誘導加熱素子の一例は、無線周波数(RF)誘導加熱素子である。RF誘導加熱は、融液内の異物の存在を最小限に抑えることにより、さらに清浄な環境を提供することができる。
【0039】
溶融半導体材料120の上方の雰囲気190の組成は、浸漬前、浸漬中及び浸漬後に、制御することができる。鋳型100及び/または槽110に石英ガラスを使用すると、半導体材料の物品の酸素汚染が生じ得ると考えられる。したがって、様々な実施形態において、必要に応じ、例えば水素と、アルゴン、クリプトンまたはキセノンのような、不活性ガスの無水(例えば水素の水分含有量が1ppmより少ない)混合気を含む、低酸素環境において半導体材料を溶融し、物品をエキソキャストすることによって、酸素汚染を軽減するかまたは実質的に軽減することができる。低酸素環境は水素、ヘリウム、アルゴンまたは窒素の内の少なくともとも1つを含むことができる。少なくとも1つの実施形態例において、雰囲気はAr/1重量%H混合気またはAr/2.5重量%H混合気から選ぶことができる。
【0040】
浸漬前(図1A)に、鋳型の温度T及び溶融半導体の温度Tはそれぞれ、T<Tになるように、制御することができる。溶融半導体材料がシリコンからなる実施形態において、溶融シリコンのバルク温度Tは、例えば1450℃から1490℃までの、例えば1460℃のような、1414℃から1550℃までの範囲とすることができる。鋳型の温度Tは、溶融半導体材料120への浸漬に先立ち、−50℃から1400℃(例えば、−35℃から0℃,20℃から30℃,300℃から500℃)までの範囲とすることができる。鋳型及び溶融半導体材料の温度の制御に加えて、槽110の壁112のような熱放射環境の温度も制御することができる。
【0041】
図1B及び1Cを参照すれば、鋳型100が溶融半導体材料120に近づけられ、次いで浸漬されるにつれて、鋳型の温度、例えば前縁104における鋳型100の温度は、初めは輻射による、次いで伝導及び対流による、溶融半導体材料102から鋳型100への熱伝達によって上昇するであろう。
【0042】
鋳型100がシリカからなり、溶融半導体材料120がシリコンからなる実施形態において、シリコンは鋳型のシリカ表面を容易に濡らさないから、鋳型の溶融シリコンへの侵入点に凹形メニスカス124ができるであろう。
【0043】
初め、鋳型100の温度は溶融半導体材料120の温度より低いままであろう。鋳型が溶融半導体材料内にさらに浸漬されるにつれて(図1D及び1E)、鋳型100と溶融半導体材料120の間の比較的大きい温度差により、鋳型の外表面102を覆う半導体材料の固体層140の形成をおこさせる、液相−固相転移が誘起されるであろう。
【0044】
鋳型100と溶融半導体材料120の間の温度差の大きさは固体層140の微細構造及びその他の特性に影響し得る。800℃程度になり得る、鋳型100と溶融半導体材料120の間の比較的大きな温度勾配の組合せにより、鋳型の外表面を覆う、粒径が比較的微細な結晶粒を含む第I段階固体層142が生じる。浸漬中、第I段階固体層142の成長前線には凹形メニスカス124から溶融材料が連続的に供給され、第I段階固体層142の成長方向は鋳型と融液の間の相対移動方向に実質的に平行である(すなわち、第I段階固体層142の成長方向は鋳型の露出表面102に実質的に平行である)。
【0045】
実施形態にしたがえば、鋳型100を浸漬させながら、鋳型を回転または振動させることができる。しかし、別の実施形態において、鋳型を溶融半導体材料120内に降ろしていく間及び溶融半導体材料120から引き上げていく間、横方向では鋳型が実質的に静止状態に保たれる。
【0046】
図1D〜1Fに示されるように、溶融半導体材料120内に少なくともある程度浸漬されている鋳型100とともに、(成長方向が鋳型の外表面に実質的に平行な成長界面を介して形成された)第I段階固体層142は、融液からの溶融半導体材料120が第I段階固体層の露出表面において固化する、第II段階固体層の形成に対する面型になる。一般に第I段階成長より小さい温度差でおこる第II段階固体層144の初期成長は、固体層104の厚さを増大させることができる。したがって、第I段階成長とは対照的に、第II段階固体層144は、成長方向が鋳型の外表面に実質的に垂直な成長界面を介して形成される。実験データは、第II段階成長中の成長速度が100μm/秒のオーダーになり得ることを示す。
【0047】
(第I段階固体層及び第II段階固体層を含む)固体層140の微細構造は、鋳型と融液の間の温度勾配への依存性に加えて、溶融半導体材料120に対する鋳型100の相対位置が変化する速度の関数である。(例えば約1cm/秒程度の)比較的低い浸漬速度において、鋳型100と溶融半導体材料120の間の温度差は鋳型の加熱によって減じられ、この結果、一般に結晶粒は比較的大きいが総厚は比較的小さい固体層140が得られる。他方で、約50cm/秒程度の浸漬速度においては、比較的高い速度によって凹形メニスカス124の形状が乱され、連続結晶成長が妨げられて、結晶粒が比較的小さい不連続固体層140が生じ得る。実施形態において、浸漬速度は約1〜50cm/秒、例えば、2cm/秒、5cm/秒、10cm/秒または20cm/秒とすることができる。
【0048】
第II段階中の固体層の静穏成長は、エキソキャスティングプロセスの動的性質により、鋳型100の外表面にわたり空間的に変化するであろう、総浸漬時間(すなわち滞留時間)の関数である。鋳型の前縁104は浸漬されていく鋳型の最初の部分であるから、第II段階固体層144の初期成長は、温度差が最も大きい、前縁104またはその近傍において最も速くなり得る。他方で、鋳型の前縁は引き出されていく鋳型の最後の部分であるから、前縁104の近傍における第II段階固体層144の再溶融が前縁104の近傍において固体層140の厚さを減じ得る。
【0049】
鋳型100は、鋳型100の表面102を覆う半導体材料の固体層140の固化を可能にするに十分な時間、溶融半導体材料120に浸漬することができる。鋳型100は溶融半導体材料120に30秒までないしさらに長く(例えば0.5〜30秒)浸漬することができる。別の例として、鋳型100は10秒まで(例えば1〜4秒)浸漬することができる。浸漬時間は、例えば、系の温度及び熱伝達特性、及び半導体材料の物品の所望の特性のような、当業者には既知のパラメータに基づいて、適切に変えることができる。
【0050】
図2は、鋳型100の外表面102から測られる固体層厚を浸漬時間の関数として計算したグラフを示す。初期期間にかけて、固体層は急速に成長して最大値に達する。次いで、厚さは以降の期間にかけて減少する。理論に束縛されることは望まずに、初期期間中、溶融半導体材料の固化は第I段階固体層142と融液の間の界面で始まって、第II段階層144が溶融半導体材料内に前進し、この結果、固体層140に対して成長速度が正になると考えられる。以降の期間中、鋳型の温度が上昇して鋳型の熱容量が使い尽くされると、第II段階層144の再溶融がおこり、この結果成長速度が負になる。鋳型をいつまでも溶融半導体材料120に入れておくと、鋳型は溶融半導体材料との熱平衡に達するから、最終的には固体層104の全体が再溶融して消散するであろう。
【0051】
第II段階層144の成長及び再溶融のいずれの動的パターンも、特に図1E及び1Fに関して見ることができる。図1Eにおいて、鋳型100は鋳型の溶融半導体材料120への完全浸漬近くにあるから、第II段階層144の厚さは非一様であり得る。総浸漬時間が他より長いことから平均鋳型温度が最も高い、鋳型100の前縁104の近傍において、局所熱流束の方向は鋳型から外側に向かうから、第II段階層144は再溶融し始める。再溶融は前縁104の近傍における第II段階層144の局所薄化をおこさせる。平均鋳型温度が他より低い、鋳型の他端において、局所熱流束の方向はまだ鋳型に向かっている。鋳型100による熱の吸収の結果、融液に向かう第II段階層の成長がおこる。
【0052】
次に図1Fを参照すれば、鋳型温度が上昇し、再溶融がさらに進行するから、鋳型の長さにわたる第II段階層144の非一様な厚さの変移を見ることができる。図1E及び1Fにおける小矢印は、第II段階層144と溶融半導体材料120の間の界面に沿う様々な場所における相対固体層成長速度を定性的に示す。
【0053】
したがって、浸漬中、第I段階固体層142は、鋳型100の露出表面102を覆い、場合によっては鋳型の露出表面に直接に接触して、形成される。続いて、第II段階固体層144が、第I段階固体層142を覆い、第I段階固体層に直接に接触して形成される。実施形態において、固体層140の安全な再溶融がなければ、浸漬及び引出し中、第I段階固体層の厚さは実質的に一定のままであるが、第II段階固体層の厚さは動的であり、熱伝達動態の関数である。図1D〜1Kの破線は第I段階層142と第II段階層144の間の境界をしるす。
【0054】
鋳型の浸漬時間の関数としての固体層の成長及び再溶解のさらなる態様は、共通に所有される、2009年5月14日にそれぞれ出願された、米国特許出願第12/466120号及び第12/466143号の明細書に説明されている。これらの明細書の開示は参照として本明細書に含まれる。
【0055】
エキソキャスティングプロセスの、鋳型100が溶融半導体材料120に浸漬されるときの部分が上述され、図1A〜1Fの断面に簡略に示される。特に図1Fは、鋳型の浸漬量が最大であり、溶融半導体材料120に対する鋳型の速度がゼロであるときの、鋳型の位置及び固体層140の形成を示す。エキソキャスティングプロセスの、第III段階固体層146の形成を含む、以降の(すなわち、鋳型100が溶融半導体材料120から引き出されるときの)部分が、特に図1G〜1Lを参照して次に説明される。
【0056】
鋳型の引出し中、露出表面は元の鋳型材料ではなく固化した半導体材料であるから、固体表面と融液に間の濡れの動態は浸漬中に遭遇する濡れの動態とは異なるであろう。図1Gを参照すれば、シリコン固体層140を覆って固化している溶融シリコンの例においては、固相−液相−気相の三重点において凸形メニスカス134が形成される。この動的メニスカス134の結果、溶融半導体材料120から鋳型が引き出されている間、先に形成された固体層(第I段階固体層及び第II段階固体層)を覆ってさらに固体層146(第III段階固体層)が形成される。第III段階固体層は、本明細書において被覆層とも称され、エキソキャスティングによって得られる固体層の最大厚を決定する。
【0057】
第I段階固体層142を覆って形成された第II段階固体層144は溶融半導体材料120の表面122下の局所熱流束動態にしたがって成長または最小有し続けるであろうが、第III段階固体層146は、溶融半導体材料120が固体シリコン層(例えば、第II段階固体層144の露出表面)を濡らすことから、溶融半導体材料120の平衡表面122の上に形成される。引き出されている間、第III段階固体層成長前線136には動的メニスカス134の下から溶融材料が連続的に供給される。
【0058】
実施形態において、第III段階固体層の厚さ及び表面粗さは最小限に抑えられることが望ましい。第III段階被覆層の厚さを最小限に抑えることにより、固体層140の厚さの大半は第II段階(鋳型の外表面に実質的に垂直な成長)中に形成されることになろう。出願人等は、エキソキャスティングプロス中に、温度、力及び溶融半導体材料120からの鋳型100の引出し速度の内の1つないしさらに多くを制御することにより、第III段階固体層146,したがって固体層140の所望の属性が得られることを見いだした。
【0059】
本明細書にさらに説明されるように、動的メニスカス134の形状、したがって第III段階成長前線136の形状は、プロセス温度、動的メニスカス134にかけられる力及び/または鋳型の引出し速度を変えることで影響を受け得る。これらのプロセス変数は、第III段階成長前線136の長さへの、したがって、例えば第III段階被覆層の厚さまたは粗さへの、影響を強めるかまたは弱めるために用いることができる。
【0060】
温度、力及び速度というプロセス変数が、相互に独立なことも独立ではないこともあり得ることは理解されるであろう。例として、鋳型が溶融半導体材料120から取り出されている間の鋳型100の引出し速度を制御することで、鋳型100,鋳型を覆って形成される固体層140及び溶融半導体材料120の内の2つないしさらに多くの間の熱伝達に影響を与えることができる。鋳型の引出し速度を制御することで、動的メニスカス134にはたらいている粘性及び毛管作用力に影響を与えることができる。したがって、引出し速度の直接制御はプロセス中に1つないしさらに多くの温度に間接的に影響を与え得る。
【0061】
図1G〜1Jを参照すれば、動的メニスカス134,第II段階固体層144及び引出し中に形成される第III段階固体層146は、溶融半導体材料120の平衡表面122の上にある融液の動的体積または「摺曳体積」を定める。様々な熱伝達機構の結果として固化に近づく動的体積128は、引出し中、第III段階固化前線136に供給を続ける。
【0062】
第III段階固体層146の厚さは第III段階固化前線136の幅Wを減じることで小さくすることができる。続いて、第III段階固化前線136の幅Wは動的体積128を変えることで減じることができ、これは動的メニスカスの曲率半径を減じることで達成することができる。温度、動的メニスカスにかかる力及び/または、動的メニスカス134を効率的に「押し」進めて動的体積128を減じる、中実鋳型の引出し速度の変化は、第III段階固化前線136を短くし、第III段階被覆層146の厚さを小さくするであろう。総滞留時間(及び第II段階固体層144の成長対再溶融)に引出し速度が与える効果にもかかわらず、引出し速度の変化は第III段階固体層146の厚さを大きくするかまたは小さくすることができる。一般に、引出し速度が速くなるほど、より大きな体積の溶融半導体材料120を引きずる傾向があり、これは動的体積128内の溶融材料の量を大きくする。しかし、高い引出し速度で第III段階固体層厚が大きくなるかまたは小さくなるかは、第III段階固化前線136における固化速度にも依存する。
【0063】
第III段階固体層146の厚さへの引出し速度及び浸漬時間の効果を示す実験データが図3及び4に示される。図3及び4のデータにおいて、10mm/秒の引出し速度が正方形で示され、5mm/秒の引出し速度が丸で示されている。両図に見られるように、第III段階固体層146の厚さは浸漬時間が長くなるにつれて、少なくともある程度は、浸漬時間が長くなると鋳型が一層強く加熱され、これにともなって鋳型の熱容量が減少することにより、小さくなる。
【0064】
1.2mm厚鋳型(図3)に対し、10mm/秒の引出し速度では5mm/秒の引出し速度より厚い第III段階固体層146が得られる。上で論じたように、引出し速度が速いほど、動的体積からより大きな体積の液体の取込みがおこる。厚い鋳型の総体的に高い熱容量により、鋳型の上に「摺曳」される液体の大半が固化して第III段階被覆層になる。
【0065】
0.8mm厚鋳型(図4)に対し、第III段階固体層の厚さはやはり浸漬時間とともに減少するが、鋳型の厚さの影響は比較的受けない。厚い1.2mm鋳型に比較して小さい、総第III段階固体層厚は、薄い0.8mm鋳型の小さい熱容量によると考えられる。詳しくは、引出し速度が高くなるほど動的体積からより多くの量の液体を引きずるが、鋳型温度が高い(及び熱容量が低くなる)ことから、引きずられた液体の内の固化する体積は小さい。図4に見られるように、シリカ鋳型−溶融シリコン系に対して、浸漬時間が長くなると、第III段階固体層の厚さは実験で決定された約100μmの最小値に近づく。
【0066】
第III段階被覆層厚対引出し速度に対する理論計算の結果が図5及び6に示される。図5において、点線は4mm厚の鋳型を表し、実線は2mm厚の鋳型を表し、破線は1mm厚の鋳型を表す。与えられた引出し速度に対し、鋳型が厚くなるほど、熱容量が高くなり、鋳型上に形成される第III段階固体層は厚くなる。
【0067】
図6は様々な初期鋳型温度に対する第III段階被覆層厚対引出し速度のグラフである。図6において、実線は初期温度が100℃の鋳型を表し、破線は初期温度が500℃の鋳型を表し、点線は初期温度が1000℃の鋳型を表す。与えられた引出し速度に対し、鋳型の初期(浸漬前)温度が低いほど、鋳型上に形成される第III段階固体層は厚くなる
実施形態において、引出し速度は約1〜50cm/秒、例えば、2cm/秒,5cm/秒,10cm/秒または20cm/秒とすることができる。引き上げ速度が高くなるほど、擾乱を動的メニスカス内に誘起し得る流体摺曳を生じさせ、この擾乱は第III段階被覆層に転写され得る。したがって、当業者であれば、エキソキャスティング物品の厚さ、厚さ一様性及び粗さを含む、所望の断面に基づいて、また、鋳型の熱容量、溶融半導体材料上方の雰囲気の温度及び、エキソキャスティング物品の作製に用いられる、その他のいずれかのプロセス工程のような固体層に影響するその他の要因にも基づいて、引出し速度を選び得ることを認めるであろう。
【0068】
鋳型の引出し速度の制御に加え、様々な実施形態において、第III段階被覆層の厚さ及びその他の属性は、例えば、鋳型100,動的体積128,第III段階成長前線136または固体被覆層140の内の1つないしさらに多くの、温度を制御することで影響を受け得る。鋳型100の初期温度は、例えば、鋳型を予備加熱することによるかまたは鋳型を浸漬する前に溶融半導体材料120の上方に鋳型を保持することによって、高めることができる。
【0069】
熱流、したがって温度を制御するために、様々な熱源または断熱材を用いることができる。適する熱源の例には、抵抗加熱コイル、レーザ、バーナー及び特定の場所に熱を向けることができるプラズマジェットがあるが、これらには限定されない。溶融半導体材料120からの赤外線の方向を変えて被覆層146に向けるミラーのような受動熱源も用いることができる。そのような熱源は、鋳型100,溶融半導体材料120及び/または固体層140の近傍に配置することができる。例えば、熱源は槽壁112に取り付けられて、鋳型100が溶融半導体材料から引き出されている間、鋳型100,動的体積128,第III段階成長前線136または固体被覆層140の内の1つないしさらに多くに向けられる熱出力を与えることができる。
【0070】
鋳型100,動的体積128,第III段階成長前線136または固体被覆層140の内の1つないしさらに多くの直接加熱に加えて、またはその代わりに、様々な熱源を、例えば、溶融半導体材料から鋳型が取り出されている間の鋳型の周囲雰囲気の温度を制御することによるように、間接的に熱を供給するために用いることもできる。
【0071】
様々な別の実施形態にしたがえば、力またはその他の物理的制約の直接適用によって、第III段階被覆層146の厚さ、粗さ及び/またはその他の属性に影響を与えることができる。そのような力には、例えば動的メニスカスに向けられる、加熱されているか、無加熱であるか、反応性であるかまたは非反応性である、ガスの流れ(例えばガスジェット)を含めることができる。単一のガスジェットまたは、相異なる位置に向けられる、複数のガスジェットを用いることができる。加熱ガスジェットには火炎(例えば水素炎)またはプラズマジェットを含めることができる。ガスジェットは、不活性ガスを含有するか、別の実施形態では、最終エキソキャスティング物品の表面内または表面上に取り込まれるべき、ドーパントまたはその他の材料を含有するように、選ぶことができる。ガスジェットは、動的メニスカス134の形状及び/または動的体積136の体積を改変するために用いることができる、静水圧の形態にあるような、力を印加することができる。
【0072】
様々な実施形態にしたがえば、物理的制約には、動的体積内の溶融半導体材料の体積を改変するために用いられ得る機械的障壁を含めることができる。例えば、固体層がその外表面を覆って形成されていて動的体積が固体層を濡らしている鋳型は、動的体積内の溶融半導体材料の体積を減じるように配置されたエッジを有するスロットを通して引っ張ることができる。そのようなスロットはワイパーまたはスクイージとしてはたらくことができる。スロットの異形には、織物、不織ウエブ、フェルトまたは紙のような材料にかけて動的体積をひ引く態様がある。少なくとも1つの別の実施形態において、ブレードまたはナイフエッジにかけて動的メニスカスを引くことができる。
【0073】
開示される方法は、例えば、総厚、不純物含有量及び/または表面粗さに関する、1つないしさらに多くの所望の属性を有する半導体材料の物品を作製するために用いることができる。そのような、例えばシリコンシートのような、物品は光起電力デバイスのような電子デバイスに用いることができる。例として、形成されたままのシリコンシートは、約156mm×156mmの面積寸法、100μmから400μmの範囲の厚さ、及びかなりの数の1mmより大きい結晶粒を有することができる。実施形態において、固体層の総厚は、150,200,250,300,350または400μmである。別の実施形態において、固体層の総厚は400μmより小さい(例えば、350,300,250,200または150μmより小さい)。
【0074】
鋳型100は槽110から取り出されて十分に冷却された後、例えば熱膨張差及び/または機械的補助具を用いて、半導体材料の固体層140を鋳型100から取り外すかまたは分離することができる。あるいは、固体層140は、支持形半導体材料物品として鋳型100上にそのまま残ることができる。
【0075】
別途に示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる全ての数値は、全ての場合において、語句「約」で修飾されていると理解されるべきである。本明細書及び特許請求の範囲に用いられる精確な数値が別の実施形態をなすことも当然である。本明細書に開示される数値の確度の保証に努めた。しかし、いかなる測定値も、対応する測定手法に見られる標準偏差から生じるいくらかの誤差を固有に含み得る。
【0076】
本明細書及び添付される特許請求の範囲に用いられるように、単数形の冠詞‘a’, ‘an’及び‘the’は、明白にかつ疑いなく1つの指示対象に限定されていない限り複数の指示対象を含み、逆もそうであることに注意されたい。すなわち、単に例として、「固体層」への言及は1つないしさらに多くの層を指すことができ、「半導体材料」への言及は1つないしさらに多くの半導体材料を指すことができる。本明細書に用いられるように、語句「含む」及びその文法上の異形は、リスト内の項目の列挙が、そのリストに挙げられた項目と置換され得るかまたはリストに追加され得る、その他の同様の項目の排他ではないように、非限定的であるとされる。
【0077】
本開示の教示の範囲を逸脱せずに本開示のプログラム及び方法に様々な改変及び変形がなされ得ることが当業者には明らかであろう。本明細書の考察及び本明細書に開示される教示の実施から当業者には本開示のその他の実施形態が明らかであろう。本明細書に説明される実施形態は単なる例示として見なされるべきであるとされる。
【符号の説明】
【0078】
100 中実鋳型
102 中実鋳型外表面
104 鋳型前縁
110 溶融半導体槽
112 槽壁
120 溶融半導体
122 溶融半導体平衡表面
124 凹形メニスカス
128 動的体積
134 凸形メニスカス
136 第III段階固体層成長前線
140 固体層
142 第I段階固体層
144 第II段階固体層
146 第III段階固体層
190 雰囲気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料の物品の作製方法において、
溶融半導体材料に浸漬された、前記半導体材料の固体層がその外表面を覆って形成されている、鋳型を提供する工程、
前記溶融半導体材料から前記固体層を有する前記鋳型を引き出すため、前記溶融半導体材料に対する前記型の相対位置を変える工程、及び
前記溶融半導体材料の動的メニスカスの一部の固化により前記引出し作業中に前記固体層を覆って形成される前記半導体材料の固体被覆層において1つないしさらに多くの所望の属性を達成するため、前記引出し作業中に、温度、力及び相対引出し速度の内の1つないしさらに多くを制御する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記制御する工程が前記動的メニスカスの曲率半径の制御を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御する工程が、動的体積の体積を制御する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御する工程が前記動的メニスカスに熱接触している気体の温度の制御を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記制御する工程が前記動的メニスカスへの物理的制約の適用を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−509351(P2013−509351A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536938(P2012−536938)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054024
【国際公開番号】WO2011/053564
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】