説明

半導体検査装置のデータ処理方法とデータ表示方法と半導体検査装置

【課題】ウェハの評価の良い部分の領域や悪い部分の領域が分かる半導体検査装置のデータ処理方法とデータ表示方法と半導体検査装置を提供する。
【解決手段】電子ビームを用いた吸収電流測定方法を用いて、ウェハ23のコンタクトホール界面状況を評価する半導体検査装置において、電子銃10によって所定の電子ビームサイズでコンタクトホールを照射し、その際に測定される吸収電流値をコンタクトホールサイズで正規化した値をグラフ化し、そのグラフから任意の領域を指定して、表示装置150に表示されるウェハ上のマップにその測定点を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に半導体デバイスの製造工程を評価するために好適な半導体検査装置のデータ処理方法とデータ表示方法と半導体検査装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学式や電子ビーム(EB)を用いたLSI配線の不良解析や欠陥検出が既に行われている(特許文献1参照)。
【0003】
光学式としては、例えば、赤外レーザを試料に照射し電子-正孔対を発生させ、これらの発生キャリアによって流れる電流を測定するOBIC法(Optical Beam Induced Current)(非特許文献1)がよく知られている。同様な手法でEBを試料面上に照射し流れる電流を測定するEBIC法(Electron Beam Induced Current)(非特許文献2,3参照)や、EB照射電流の一部が吸収される現象を測定するEBAC法(Electron Beam Absorbed Current)(非特許文献4参照)が開発、実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2008−53524A1
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】K. Haraguchi;Microscopic Optical Beam Induced Current Measurement and their Applications, Proc. IEEE (IMEC’94), May10-12, Vol.2, 1994, pp693-699.
【非特許文献2】近藤 正、他; EBIC/OBICを用いたGaAsMMIC故障箇所特定解析事例, LSIテスティングシンポジウム, 2002, pp363268.
【非特許文献3】植木 悠介, 他; 電子ビーム吸収電流法による故障解析, LSIテスティングシンポジウム, 2007, pp303-307.
【非特許文献4】野久尾 毅, 他; 電子ビーム吸収電流による半導体デバイス故障箇所検出方法に対する考察, LSIテスティングシンポジウム, 2007, pp293-296.
【非特許文献5】矢野 資、他; 電位コントラスト欠陥検出とそのシミュレーション技術、LSIテスティングシンポジウム, 2006, pp59-64.
【非特許文献6】Hong Xiao, et al; A high Throughput Gray Level Measurement Method for Process Window Characterization/Production Monitor, LSIテスティングシンポジウム, 2006, pp65-70.
【非特許文献7】Topcon HP
【非特許文献8】山田恵三, EB-Scopeシステムを用いたプロセス管理事例, 電子材料, 2006年6月, pp45-51.
【非特許文献9】M.Honda, et al; Electron-beam Substrate Current Monitoring Technique for Contact Process Optimization & Yield Enhancement, 2007 Advanced Metallization Conference, October 9-11, 2007, pp185-186.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今後のLSIの微細化に伴い、上述した電子ビームを用いる検査・評価手法は、将来性のある有力な方法と考えられる。その理由としてEBの収束性、透過性、吸収性のメリットと制御性が挙げられる。しかしながら上記測定手法は、不良箇所の場所の特定や原因プロセスを特定するのには有力であるものの、各配線工程(製造ライン)直後での異常を検出するには最適な方法ではないと思われる。同時に、上記方法では不良解析や欠陥検出を行うために、ウェハ上に何らかの電極を形成する必要もあり、生産ラインのウェハを測定し、また生産ラインに戻すと言うことができない。所謂、非破壊での測定が出来ないという欠点がある。
【0007】
一方、各工程直後の検査にはEBI(Electron beam Inspection)(非特許文献5,6参照)を用いるのが一般的であるが、パターン寸法や形状の測定にとどまっている。例えば、今後最も重要と考えられる高アスペクトコンタクトホールの底部界面の不良解析には、新しい計測方法の提案が必要である。
【0008】
本願発明者らは、ウェハ基板の裏面から直接EB吸収電流を測定し、薄膜やコンタクトホール径の計測・界面評価が可能であるEB-Scopeを開発し(非特許文献7参照)、その測定結果の評価を行ってきた。既にホール径では40nm程度の測定が可能なこと(非特許文献8参照)、SiO2の薄膜計測ではnmオーダの計測ができ、コンタクト抵抗50〜250Ω程度の差を計測できることを報告した(非特許文献9参照)。
【0009】
EB-Scopeを用いてコンタクトホール界面の評価を行った結果、EB-Scopeで測定した基板電流値(EB吸収電流値;今後EBS値と呼ぶ)は、明らかにコンタクトホール界面の情報を示していると考えられるデータが取れた。同時に、測定したEBS値をホール径で正規化する手法でデータを整理したところ(正規化EBS値)、正規化EBS値にプロセス異常と考えられるパターンが存在することが判明した。
【0010】
また、測定された吸収電流値をコンタクトホールサイズで正規化した値と、コンタクトホールサイズとの関係をグラフ化して表示することが特許文献1に開示されているが、しかし、このグラフからウェハのどの部分の領域が正常なEBS値あるいは異常なEBS値を示しているのかが分からないという問題があった。
【0011】
この発明の目的は、ウェハの評価の良い部分の領域や悪い部分の領域が分かる半導体検査装置のデータ処理方法とデータ表示方法と半導体検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、電子ビームを用いた吸収電流測定方法を用いて、ウェハのコンタクトホール界面状況を評価する半導体検査装置において、所定の電子ビームサイズでコンタクトホールを照射し、その際に測定される吸収電流値をコンタクトホールサイズで正規化した値をグラフ化し、そのグラフから任意の領域を指定して、ウェハのマップ上にその測定点を表示することを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、電子ビームを用いた吸収電流測定方法を用いて、ウェハのコンタクトホール界面状況を評価する装置において、所定の電子ビームサイズでコンタクトホールを照射し、その際に測定される吸収電流値をコンタクトホールサイズで正規化した値をグラフ化して表示し、その表示されたグラフから任意の領域を指定して、ウェハのマップ上にその測定点を正規化した値別にそれぞれ色分けして表示することを特徴とする。
【0014】
請求項17の発明は、電子ビームを用いた吸収電流測定方法を用いて、ウェハのコンタクトホール界面状況を評価する半導体検査装置において、
前記ウェハのマップを表示する表示部と、
所定の電子ビームサイズでコンタクトホールを照射する照射手段と、
この照射手段によって電子ビームを照射している際に、前記ウェハの吸収電流を測定する吸収電流測定手段と、
この吸収電流測定手段が測定した吸収電流値を前記コンタクトホールのサイズで正規化するとともに、この正規化した値をグラフ化して前記表示部に表示する演算処理手段と、
前記表示部に表示されるグラフから任意の領域を指定する領域指定手段とを備え、
前記領域指定手段によって指定された領域の測定点を前記表示部に表示されたウェハのマップ上に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、規格化(正規化)EBS値を求めた結果(縦軸:正規化EBS値、横軸:ホール径)から、ウェハマップに逆展開して表示することができ、ウェハ上の欠陥を一目で確認することができ、作業効率、利便性などを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の測定原理を示した概念図である。
【図2a】コンタクトホールの径を測定する測定モードを示す概念図である。
【図2b】コンタクトホールの界面の評価を測定する測定モードを示す概念図である。
【図3】コンタクトホールの状態を示した説明図である。
【図4】ウェハ基板に吸収される電流を説明する概念図である。
【図5】コンタクトホールの径と電流の関係を示した説明図である。
【図6】測定回数と測定したコンタクトホールの径とを示したグラフである。
【図7】コンタクトホールの径の測定リアリティの一例を示したグラフである。
【図8】ブランケットモードの測定例を示したものである。
【図9】ラインスキャンモードの測定と正規化を示した概念図である。
【図10】ラインスキャンモードで測定したEBS値のマップとグラフである。
【図11】正規化EBS値のパターンを示したグラフである。
【図12】正規化EBS値とマップを示した説明図である。
【図13】レシピの変更によって正規化EBS値の変化を調べた結果を示すグラフである。
【図14】この発明の実施例の半導体検査装置の構成を示したブロック図である。
【図15】半導体検査装置の動作を示したフロー図である。
【図16】正常なウェハの規格後の基板電流値を二次元等高線で示したウェハマップである。
【図17】不良分布のあるウェハマップを示した説明図である。
【図18】実施例の半導体検査装置によって得られる情報を示した表である。
【図19】基板電流値面積規格の方法を示したフロー図である。
【図20】単位面積当たりの基板電流値を求める別の方法を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の概要)
本発明者らは、ウェハ基板の裏面から直接、吸収電流(基板電流;EBS)を高感度で測定し、ウェハ表面の薄膜やコンタクトホール径の計測、コンタクト底部の界面評価を行うことができるEB-Scope(型名EBS3000)の開発を進めている。
【0018】
既述したように、ホール径では40nm以下の測定が可能なこと、SiO2の薄膜計測ではnmオーダの計測ができ、コンタクト抵抗50〜250Ω程度の差を計測できることが知られている。
【0019】
EB-Scopeはコンタクトホール底部の界面状態の情報を得ることができるため、プロセス制御への活用が期待できる。各種ウェハを測定した結果、吸収電流(基板電流)は、明らかにコンタクトホール界面の情報を示していると考えられる。正規化EBS手法を用いることによって、製造ラインでのプロセスモニター・制御の可能性も見出された。
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の原理を説明する。
(1)EB-Scopeの測定原理
図1はこの発明に係わるEB-Scopeの測定原理を示している。このEB-ScopeはSEM(走査電子顕微鏡)と同じ構成であるが、ウェハ裏面から吸収電流(EBS値)を高感度・精度で計測することができる。
【0021】
この図1において、WEHはウェハ、CONHはコンタクトホール、CONHDはコンタクトホール底を示している。電子ビームEBをスキャンすることによってコンタクトホールCONHの直径を計測する測定モード、コンタクトホールCONHの直径よりも若干大きなビーム径をコンタクトホールCONHの部分に照射してEBS値を測定するモードがある。
【0022】
電子銃E−Beam Gunから電子ビームEBがウェハWEHに照射されると、二次電子SEが電子検出器PMTによって検出され、電子検出器PMTの出力はプリアンプPre-AMPによって増幅されて表示装置に入力され、表示装置の画面Grに電子顕微鏡画像(SEM像)が表示される。これによって被測定物の位置出しが可能である。位置出しが終了すると、例えばコンタクトホールCONHの内部に電子ビームEBを照射(或いはスキャン)することで、吸収電流(基板電流)IACが検出される。この基板電流IACは基板電流増幅システムSCASに入力され、この基板電流IACも表示装置に入力され、表示装置の画面Grに基板電流に基づく画像が所定の処理によって表示される。
なお、表1にはEBS3000の基本仕様が示されている。
【0023】
【表1】

【0024】
図2(a)、図2(b)はEB-Scopeの測定モードを示す概念図である。図2(a)はコンタクトホールCONHのサイズを測定するLSM(Line scan mode;フォーカスビームをスキャンするモード)を示している。図2(b)はコンタクトホール界面の評価を行うBLM(Blanket Mode;ビーム径を若干コンタクトホールより大きくして静止状態で測定を行うモード)を示している。測定モードは主としてこの二つであるが、これらの両方を兼ね備えた(ビーム径をホール径よりは小さくした状態でスキャン)測定を行うこともできる。
【0025】
図2(a)に示すように、電子ビームEBによってスキャンすると、基板電流IACが得られる。この基板電流IACのプロファイルを微分すると、微分波形BWが得られ、この微分波形BWからコンタクトホールCONHの直径φ、エッジの形状決定ができる。コンタクトホールCONHがシングルホールの場合には、基板電流IACのプロファイルは単一であるが、コンタクトホールCONHがマルチホールの場合には、基板電流IACのプロファイルは交流的な形状となる。
【0026】
図2(b)に示すように、電子ビームEBのビーム径を大きくして静止状態でウェハWEHのコンタクトホールCONHに照射すると、基板電流IACが得られる。この基板電流IACは、若干変動しているが、直流成分電流である。コンタクトホールCONHがシングルホールの場合、電子ビームEBの直径は、コンタクトホールCONHの直径φよりも若干大きいのが望ましい。コンタクトホールCONHがマルチホールの場合、電子ビームEBの直径は、数個のコンタクトホールCONHを含む直径とするのが望ましい。
【0027】
これらの測定モードを駆使しながら、薄膜や図3に示すコンタクトホールCONHの状態等を測定する。
【0028】
その図3において、(a)はCONH絶縁層残渣、(b)はCONHポリマー残渣、(c)はCONHエッチストッパー加工状態、(d)はCONHストッパー貫通状態、(e)は小さくて奇妙な形状のCONH、(f)は薄膜層厚状態が観察できる模式図をそれぞれ示している。
【0029】
一般的に、ウェハ基板WEHに吸収される電流IACは、図4に示すように、
IAC=Ip−IS−IBS ・・・・(1)
の式を用いて表わすことができる。
【0030】
ここで、IpはウェハWEHに入射する初期電流、 ISはウェハ基板WEH外に放出される2次電子による電流、IBSは反射電子による電流である。EB-Scopeは加速電圧を数kV程度としているので、IBSは無視できると考えている。また、IS を“ウェハ基板WEH外に放出される2次電子”と定義したのは、ウェハ基板表面WEHSの帯電によって2次電子の引き戻しによる影響を考える必要があることを意味している。
【0031】
既に、薄膜測定(SiO2膜)に関しては、シミュレーション結果との比較が行われており(図11参照)、EB照射による電子―正孔対の発生とそれらの発生キャリアによるSi基板に流れる電子を考え、定性的に膜厚数10nm程度までは、測定結果を良く説明できている。
【0032】
また、EB進入深さより十分に厚い絶縁膜に関する帯電シミュレーションにおいても、ウェハ基板(WEH)に流れ込む電流を計算した結果が示されている(図12参照)。絶縁膜INS(図4参照)が存在してもウェハ基板WEHへの電子の流れが生じることから、EB-Scopeは様々な現象を測定できる可能性があると期待できる。
(2)LSM、BLMの測定例
(2−1)LSMの測定例
図5にはLSMによるコンタクトホールCONHの直径の測定例が示されている。図5に示すように、EBスキャンを行うと、基板電流IACが得られ、この基板電流IACによるLSMプロファイルに特殊データ処理を行い、コンタクトホールCONHの直径φが算出される。
【0033】
算出されたコンタクトホールCONHの直径φの測定再現性の一例が図6に示されている。その図6には、10回の繰り返しを行った結果が示されている。また、この図6には、5個の折れ線グラフが示されているが、この5個の折れ線グラフは、ウェハの異なった位置でのコンタクトホールCONHを測定した場合の測定結果をそれぞれ示している。この図から10回の同じホールの測定の再現性(本実験では約1〜1.5nm程度(3σ)が得られた)が分り、同時に異なった場所でのホール径の差を確実に測定できていることが分る。
【0034】
次に、測定リニアリティの一例を図7に示す。測定再現性は45-130nmの範囲のコンタクトホール径φの場合、CD-SEM測定との相関で、R2=0.9944が得られ、直線性の良い結果が得られた。図は横軸にCD-SEMでの測定値を、縦軸にEBS3000での測定結果を示した。CD-SEMではホールの径を正確に測定することは出来ないため、底部を若干エッチングして、ホール全体を取り除き、その後平面観察のような状態でCD-SEMを用いて測定し比較した。
【0035】
ウェハ吸収電流を用いた検査装置によって、コンタクトホール径φの偏差や、ウェハ面内分布を高精度に調査することによって、プロセスの異常を監視することができる。
(2−2)BLMの測定例
BLMではスキャンしない状態でコンタクトホール径より若干大きなビーム径を照射してEBS値を測定する。これは、ホール径より小さな、或いは殆ど同じ大きさの電子ビーム(EB)を照射した場合、EBの位置決め精度や照射時の振動などの外乱によって、ホールとビームの相対位置変動が生じた場合に、測定値が大きく変化することを避けるためである。このため、コンタクトホール外側の情報も測定することになる。周辺の不要な情報をキャンセルするため、後述するように、参照ホールが無い周辺部分を同様に測定し、差し引きすることによって周辺の情報をキャンセルする方式(Base line offsetと呼ぶ)を採用している。
【0036】
BLMの測定例を図8(a)(b)に示す。図8(a)にはエッチング後のコンタクトホール底の界面状態が示されている。EBS値が高い部分は洗浄残りがあるものと考えられる。また、図8(b)に示すようにVia底のエッチストパーのUnder/Over(図3の(c),(d)参照)エッチング等の評価も可能であることがわかっている。このように、基板電流を用いることで、コンタクトホール界面の状態を容易に観察することができる。
(3)測定方法
(2)において述べたLSM、BLM測定で、ある程度のコンタクトホール底部の状況を理解することができることが分かった。しかし、コンタクトホール底部の状況を感度良く測定できるBLMの測定結果は、ホールサイズの影響を受けている。このため、“より正確な情報”を得るには、ホール面積で正規化する必要がある。そこで、「正規化EBS」手法を採用して評価する。図9にその概要を示す。
【0037】
まず、図9に示すように、LSMによってコンタクトホールCONHの直径φを正確に測定する。次に、BLMによって、ホール底のEBS値を測定する。ホール径の影響をなくするために、各測定点でのEBS値をホール面積で割って単位面積当たりのEBS値を求める。この際、基準となる代表面積を決め、これとの比をとることによって正規化している。式(2)に計算式を示す。
【0038】
【数1】


図10(a)にはエッチングして後に洗浄工程を行った時の工程後のコンタクトホール径φをLSMによって測定したマップを示した。また、図10(b)にはエッチングして洗浄を行った工程後のEBS値のマップを示し、図10(c)にはBLMによって正規化されたEBS値のグラフマップが示され、図10(d)にはコンタクトホールCONHの直径と正規化されたEBS値とのウェハマップ関係がグラフ化されて情報として示されている。各グラフやマップ(或いは数値化した情報)はライン管理上、有益な情報を提供している。即ち、ホール径(図10(a))とEBS値(図10(b))とを見比べてプロセスの課題を解決することもできるが、正規化EBS値を用いた方法(図10(d))のマップで検討した方が、より問題点の抽出が可能となる。図の場合(図10(d))は中央部分で何らかの異常があるものと推定できる。
(4)正規化EBSのパターン
一般に、各プロセスが均一であれば、図11のスタンダード(Standard)パターンに示したようにホールサイズによらないほぼ一定の正規化EBS値が得られる。事実、歩留りが良いウェハWEHではこのようなデータが得られている。
【0039】
しかし、各種のウェハWEHを評価した結果、正規化EBSパターンには図11に示したパターン1、2、3(Pattern1,2,3)と、これらの複合パターン1−2、2−3(Pattern1-2,2-3)が存在することが分ってきた。
【0040】
現在、パターン4(Pattern4)とパターン3−4(Pattern3-4)とはいまだ確認されていないが、可能性としては存在するものと考えている。
【0041】
適正にプロセスが行われた場合の正規化EBS値の値はほぼ一定値を示しているが、各社プロセス条件、デバイス構造、使用材料によってその数値は若干異なる。生産ラインの理由により、この一定値より上下する場合、何らかの異常がコンタクトホールCONHに生じていると考えられる。
【0042】
例えば、コンタクトホールCONHが貫通していない場合(Under etching)やSiO2膜等の残膜が生じている場合、正規化EBS値は小さくなる傾向にある。アンダーエッチングの場合は導通が取れない状態に近く、SiO2膜の残膜が生じている場合は2次電子発生が多くなり、結果的に基板に流れる電流が小さくなり、EBS値が小さく測定されるためである。
【0043】
一方、ホール底にレジスト等の有機物(高分子材料)が存在する場合は、2次電子の発生効率がSiに比べて小さくなるため、正規化EBS値は大きくなる傾向にある。ホール底が大きくても、ホール底にTiN膜が存在する場合は正規化EBS値が低くなる傾向にある。更に、エッチングが進んでストッパまでも貫通してシリサイドまで達する場合、シリサイドの2次電子発生が大きいことから、更に正規化EBS値が低くなることが予想される。
【0044】
従って、コンタクトホール径が小さくなるに伴って、正規化EBS値が大きくなる場合は有機物の存在が疑わしく、逆に小さくなる場合は加工不良が疑わしい。更に、ホール径が大きくなるに伴って正規化EBS値が小さくなる場合は、残膜の影響やオーバーエッチング状態であると推定できる。
【0045】
しかし、これらは各プロセス条件、デバイス構造、使用材料によって異なるために一律の原因を導くことはできない。それぞれの場合での検証が必要である。ある程度の因果関係を理解しながら、正規化EBSを活用する手法は、プロセス管理に極めて有益であると考えられる。
(5)正規化EBS値の測定例・運用例
図12(a)には正規化EBS値のウェハ面内のマップが示されている。この図12は図11のパターン2−3に相当するウェハWEHに対応している。図12(b)にはコンタクトホールCONHのサイズと正規化EBS値との関係が示され、ある仮定のもとで良品確率の高い正規化EBS値の範囲を定め、それ以上、それ以下の正規化EBS値を色分けすると、この図12(a)に示す分布図が得られる。一般的にウェハの不良は外周部に多く、中央部は良品が多いと言われており、図12(b)から明らかに正規化EBS値はプロセス異常を示していることが理解できる。
【0046】
少なくとも図12に示す場合、プロセス異常に二つの要因があると考えられる。ウェハWEHのエッジに分布している比較的ホールの大きい部分での残膜問題と、ホール径が小さくてウェハ全面に点在している有機物の残渣が想定される部分である。ちなみに、それぞれの領域のTEM観察(透過電子顕微鏡による観察)でも差異が認められている。
【0047】
図13を参照しつつ正規化EBSを用いたプロセス管理手法の一例を説明する。図13はレシピの変更によって正規化EBS値の変化を調べた結果を示している。先ず、最適と思われる正規化EBS管理値の範囲を設ける。例えば、ゴールデンチップの正規化EBSを測定して設定し、レシピ1,2,3と変更することで正規化EBS値が管理値を超える様子の変化を見た。同時に、管理範囲外となった個数から推定される歩留まりを試算した。
【0048】
レシピ1では正規化EBS値の高い部分が多く、レシピ2では若干正規化EBS値の低い部分が現れ、レシピ3では多くの低いEBS値が出現し、明らかにプロセス変更に伴うホール底の異常が推定できた。また、正規化EBS値から推定される歩留まりを求めた結果、実際と定性的な傾向は一致した。
【0049】
また、図13に示すように、PORウェハ(欠陥のないウェハ)でも、正規化EBS値の高い部分が発生していることがわかる。PORレシピの課題解明や最適レシピの探索、改良結果の確認が、正規化EBS手法を用いることによって素早く確認できる。
【0050】
以上から正規化EBS手法を用いたプロセス管理が可能であることがわかる。製造ラインでのサンプル検査によって、各プロセス装置の変動を本手法を用いて監視することが可能である。更に、レシピ変更等の影響も管理可能である。各プロセス装置のツールマッチング管理にも有効であると考えている。
【0051】
ウェハ基板WEHの裏面から直接電子ビームの吸収電流を測定し、薄膜やコンタクトホール径の計測・界面評価が出来るEB-Scopeを用いて、最も有効と考えているアプリケーションであるコンタクトホール界面の評価を行った。その結果、基板電流値(EB吸収電流値)IACは、明らかにコンタクトホールCONHの界面の情報を示していると考えられるデータが得られた。
【0052】
同時に、測定したEBS値をコンタクトホール径で正規化する手法によって各種データを整理したところ、正規化EBS値にプロセス異常と考えられるパターンが存在することがわかった。同時に正規化EBS値を用いたプロセス管理の可能性を示すことができた。
【0053】
また、正規化EBS値のウェハ面内のマップを示す図12から、ウェハ上に、コンタクトホールの種類、大きさなどを点で表示し、その点と対応すると正規化EBS値の分布グラフを同じ色や、×、○、△などの図形記号で分類することもできる。これによって、正規化EBS値がウェハ上のどの位置に対応するのか一目でわかる。例えばポリマー残渣のあると思われるEBS値の高い領域(図12(b)で示した上の部分)の分布に対応させて、図12(a)のウェハマップMA上に赤点など点(図示せず)で示すようにする。この際、この点の大きさもコンタクトホールの大きさに応じて大きくしマップ上に示すと分りやすいものとなる。
【0054】
図12(b)に示す正規化EBS値のグラフの所定範囲を赤色破線枠S1で囲むようにオペレータが指示すると、その範囲内にある「△」の正規化EBS値を、この「△」の位置データに対応させて図12(a)に示すウェハマップMAに色表示されるようにする。また、図12(b)に示す正規化EBS値グラフの中間領域を指定することで、「□」の正規化EBS値を、この「□」の位置データに対応させて図12(a)に示すウェハマップMA上に例えば青色の点(図示せず)で示すようにする。同じように、図12(b)に示す正規化EBS値の低い部分も範囲を指定する事で、その範囲内にある「◆」の正規化EBS値を、この「◆」の位置データに対応させて図12(a)に示すウェハマップMA上に上記と異なる色で表示する。同様にオペレータが図12(b)に示す正規化EBS値のグラフの任意の範囲の領域を指示すると、その領域の範囲のグラフの正規化EBS値を、各正規化EBS値の位置データに対応させて図12(a)に示すウェハマップMAに色表示されるようにする。
【0055】
このようにオペレータが領域を指定したり、予め、決められたEBS値の数値範囲を指定することで、ウェハマップMAが出来上がるようにする。上述した範囲指定は、もし、正規化EBS値のみの指定ならば、図12(a)のウェハマップMAの右にある縦軸のEBS高低分布のところで範囲指定を行っても良い。
【0056】
また、図12(b)に示すグラフを用いることで、正規化EBS値の範囲とコンタクトホール径の範囲を設定して図12(a)に示すウェハマップMAを作成することができる。このような色分けしたウェハマップMAを作成することによって、プロセスの課題を容易に可視化できる。
【0057】
上記の図12(b)に示すグラフの範囲指定は任意にでき、かつ、測定点一個一個の指定もできるようにすると様々な場合に運用でき、都合が良い。
(6)本発明が適用される半導体検査装置
以下、本発明のデータ処理方法が適用される半導体検査装置について説明する。なお、この半導体検査装置の詳細な構成は、特許文献1(行番号0024〜0062)に記載されている。
【0058】
図14に、本発明の一実施形態による半導体検査装置の構成を示す。この半導体検査装置は、測定対象物(試料)である半導体基板(以下、ウェハと言う)に電子ビームを照射し、この電子ビームによってそのウェハに誘起された基板電流を測定し、この基板電流からそのウェハに形成された微細構造の評価値を得ることを基本原理としている。パターンマッチングのためには放出される二次電子あるいは反射電子も利用する。
【0059】
図14に示すように、測定対象ウェハ23がどのような素性ウェハか判別可能な固有IDを読めるように、ウェハ識別装置20を有している。測定対象ウェハ23上には、種々の半導体デバイスが形成されているが、それらは、ウェハ23上に予め設けられたグローバルアライメント座標系に従って、ショット座標、チップ座標が一義的に決定されている。これら座標系を用いて位置指定することにより、半導体ウェハ23上に形成された全ての半導体素子を一義的に決定することができる。
【0060】
逆に、検出された不具合の位置もこの座標系を用いることによって一義的に決定される。これらの座標系を用いる事で、他の装置の出力する検査結果や電気テストの結果又は設計情報であるCAD情報と照合することもできる。
【0061】
測定対象物(試料)であるウェハ23を収容するチャンバー26には、電子ビームEBを発生する電子銃(照射手段)10が取り付けられ、この電子銃10は電子ビーム源11を備え、この電子ビーム源11には高圧電源40が接続されている。電子銃10の内部には、電子ビーム源11からの電子流の放出方向に沿って、コンデンサレンズ12、アパチャー13、偏向レンズ14、対物レンズ15がこの順に配置されている。このうち、偏向レンズ14には偏向装置100が接続され、電子ビームEBを高精度で偏向可能となっている。また、対物レンズ15の下方に対物レンズ15とウェハ23との間の距離を測定するウェハ対物レンズ間距離測定装置16が設けられている。また、この電子銃10の電子ビームEBのエネルギー、電流量、フォーカス状態も任意に制御可能となっている。ウェハ23に電子ビームが照射されることによって生じる基板電流は、基板電流測定装置(電流測定装置)30によって測定され、二次電子、反射電子はそれぞれ二次電子反射電子検出装置24によって検出される。
【0062】
チャンバー26の内部には、ウェハ23を移動及び一定位置に支持するためのXYステージ21とトレイ22とが収容され、トレイ22にはウェハ23が載置されている。電子銃10から放出される電子ビームEBは、トレイ22に載置されたウェハ23の表面に向けられており、XYステージ21によりトレイ22を移動させることにより、ウェハ23に対する電子ビームEBの照射位置を調整することが可能となっている。
【0063】
ここで、電子銃10から照射された電子ビームEBをnmオーダーの位置精度でウェハ23に照射するために、XYステージ21により、固定された電子ビームEBの照射軸に対して相対的にウェハ23を移動するようになっている。XYステージ21の駆動装置としてはパルスモーターや超音波モーター、リニアモーター又は圧電素子等が利用される。レーザ測長器やレーザースケール等の高精度測定技術を併用することにより、XYステージ21上に載置されたウェハ23の位置精度は数nm程度に制御される。
【0064】
また、ウェハ23を載置するトレイ22には、電流測定装置30が接続されており、ウェハ23に流れる基板電流がトレイ22を介して電流測定装置30により測定されるようになっている。電流測定装置30は、トレイ22に内蔵され、又は近傍に配置されており、外部からの電磁波ノイズをカットできるようになっている。
【0065】
電流測定装置30としては、抵抗、電圧変換型の装置や交流アンプ、チャージアンプなど種々の形式を用いることができる。この電流測定装置30は、測定した基板電流値をデジタル信号にA/D(Analog/Digital)変換するA/D変換器を備えており、測定値をデジタルデータとして出力する。
【0066】
また、この半導体検査装置は、2次元走査制御装置(パターンマッチングエンジンを含む)110、二次電子反射電子信号処理装置190、電流波形記憶装置120、波形整形装置130、波形画像認識処理装置140、表示装置150、データベース装置160を備え、これらは、コンピュータ等の情報処理装置上に構築されている。
【0067】
このうち、2次元走査制御装置110は、電子ビームEBがウェハ23の表面を2次元的に走査するように偏向装置100を制御すると共に、電子ビームEBの照射位置を高精度に合わせるためのパターンマッチングに関する制御を担うものである。なお、本実施形態では、2次元的に走査するとは、ライン状の走査を一定の間隔で複数回にわたって繰り返すことを意味している。例えば、テレビ画面における水平走査および垂直走査と同様の概念である。このように走査された電子ビームからは二次電子又は反射電子像又は基板電流像が形成され、パターンマッチングに利用される。
【0068】
ここで、パターンマッチングについて補足すると、ウェハ23上に形成されたホール等のパターンの位置は、同一ロットであってもウェハごとにわずかに異なる。このため、XY
ステージ21による位置合わせと併用して、ウェハごとに実際のパターンと基準パターンとを比較するパターンマッチングを実施し、ウェハごとに数nmの精度で電子ビームの照射位置を正確に調整する。
【0069】
このパターンマッチングを行うと、測定対象(ホール等)の中心座標が算出される。その座標が目標値と異なっている場合、その差分に相当する分だけ電子ビームをシフトすることによって、電子ビームを目標座標に照射するようにする。それを実現するために、電子ビーム照射位置を精度よくシフトさせる必要上、この半導体検査装置の偏向装置100は、電子ビームEBを正確に直線走査するために高分解能の特性を備えている。また、2次元走査制御装置110は、パターンマッチングを実施するための画像認識装置及びソフトウェア等を備えている。
【0070】
電流波形記憶装置120は、電流測定装置30によって測定された基板電流値の波形を、そのときの電子ビームEBの照射座標又は時間と対応づけて記憶する。波形整形装置130は、上記基板電流値の波形を波形整形して不要なノィズ成分を除去する。波形画像認識処理装置140は、波形整形された基板電流波形を波形処理することにより、ウェハ23上に形成された微細構造の形状に関する評価値を演算する。表示装置150は、評価値を表示する。データベース装置160は、評価値を格納する。
【0071】
図15に示すフローに沿って、この半導体検査装置の動作の概略を説明する。この例では、ウェハ23上に形成されたホールを測定対象とする。測定時には、最初に、ウェハ23を保持しているXYステージ21の制御系に対して測定対象のホールの位置座標を指定してXYステージ21を移動させ、ウェハ23に形成されたホールの中心出し(位置合わせ)を行う(ステップ1)。
【0072】
具体的には、XYステージ21により、電子ビームEBの照射可能な範囲の位置にホール中心を大まかに合わせる。続いて、電子銃10の下端に設けられたウェハ対物レンズ間距離測定装置16を用いてウェハ23と対物レンズ15の距離を測定し(ステップ2)、電子ビームフォーカスの初期位置を決定する。次いで、電子ビームEBを、ホールを含む所定領域内で二次元走査しながら照射し、そのときに発生する二次電子を集めて二次電子像を形成する。この形成された二次電子像を用いてオートフォーカス(ステップ3)を行い、試料上に焦点を結ぶように対物レンズの強さを自動調節する。
【0073】
次に、フォーカスされた電子ビームを走査することによって得られる二次電子画像と予め2次元走査制御装置110内に記憶されているテンプレート画像とを比較してパターンマッチングを行い(ステップ4)、テンプレート画像の中心とホール中心とのずれ量を算出する。この算出されたずれ量を偏向装置100に入力し、電子ビームEBの照射位置をシフトさせ、これにより、電子ビームEBの照射位置を測定対象のホール中心に正確に合わせる。
【0074】
続いて、2次元走査制御装置110の制御のもとで、ホール中心を基準として電子ビームEBによりウェハ23の表面上の所定領域を2次元的に走査する(ステップ5)。即ち、電子ビームEBを所望の先端サイズになるように電子銃10の対物レンズ15を制御すると共に、偏向装置100に制御電圧を加えることにより、ライン状に電子ビーム走査を一定のピッチで繰り返す。これにより、電子ビームEBが照射されたウェハ23の表面上の微小領域から二次電子、反射電子が生じると共に、ウェハ23に基板電流が誘起される。
【0075】
ウェハ23に誘起された、二次電子、反射電子又は基板電流は、二次電子反射電子検出装置24及び電流測定装置30によって測定され、その測定値は必要な分解能を持つデジタル信号に即座に変換される。例えば、このデジタル信号の分解能は16ビットであり、そのサンプリング周波数は400MHzである。
【0076】
この速度は必要によって変更することも可能である。電子ビームEBの2次元的な走査により得られた二次電子、反射電子はホール表面形状情報を含み、基板電流測定値はホール底面の2次元的形状に関する情報を含み、測定座標(電子ビームの照射位置)又は測定時間(電子ビームEBの照射時刻)の関数である時間軸に対する波形情報として取得され、電流波形記録装置120(例えば、メモリー、フラッシュメモリ、ハードディスク、光磁気ディスク等)にデジタル記録される。
【0077】
以上のようにして取得された信号波形情報は、波形整形装置130において、波形に含まれる不要なノイズや高周波成分を除去するために波形整形される。波形処理の例としては、移動平均フィルター処理、特定の周波数を取り除く波形処理、又は特定の周波数の信号だけを取り出すフィルター処理、フーリエフィルター処理等がある。これらの波形整形処理はハードウェアで行っても、ソフトウェアで行っても良い。
【0078】
続いて、波形整形された波形の中から、有用な波形のみを抽出し、ホールボトム面積測定を行う(ステップ6)。この場合、電子ビーム照射領域にはホールが含まれていない場所や、ホールのエッジに掛かっていて波形が崩れている場合もあるので、そのような波形を含んだ状態でエッジ抽出処理を行うと、その処理によって得られるエッジ座標値の精度が低下する。このため、ホールエッジ抽出に有用な良好な電流波形は、閥値法などを用いてある一定の値よりも絶対値が大きな信号の場合だけ抽出する。電子ビームはライン状にスキャンされるだけではなく、測定点に一定時間電子ビームを照射して電流波形を取得することも行われる。これらの場合も同様の波形処理が行われ、必要な情報が抽出される。
【0079】
測定に供せられるウェハ23は、ウェハ23上に設けられた識別番号、あるいはコンピュータによって識別可能なように情報が記録されている。より一般的には、半導体工場にはMES(Manufacturing Execution System)と呼ばれる装置運用管理システムが存在して、各ウェハがどの装置で、何時、どのような処理を受けたのか全て記録しており、それらの情報と相関を取ることにより、不具合分類及びその原因を推定することに役立てる。
【0080】
図18に本半導体検査装置によって得られる情報群を列挙する。この半導体検査装置には、図14で説明したように、ウェハを識別するウェハ識別装置、情報を取得するための電子ビームプローブを発生させるプローブ発生装置(電子銃10および電子ビーム源11)、プローブを測定対象に照射することによって発生する信号を検出する二次電子反射電子検出装置24、電流測定装置30、プローブを測定対象に正確に照射するためのウェハ対物レンズ距離測定装置及びXYステージ21、得られた信号の二次元的性質を基準画像との相関を取ることによってパターンマッチングを行う2次元走査制御装置110等が設けられている。
<プローブ発生装置>
電子銃10及び電子ビーム源11には電子ビームエネルギー、照射電流、プローブサイズ、プローブ形状、照射時間等の電子ビーム状態を変化させるための複数のパラメータが存在し、それらを組み合わせることにより、測定対象に適したプローブを発生させることができる。プローブ状態が異なると、得られる情報が変化するので、この検査装置によって得られる測定値とプローブ条件とは常に対になって1つの情報を形成する。
<二次電子検出装置>
二次電子反射電子検出装置24内の二次電子検出装置からは、プローブ照射によって発生した二次電子強度を得ることができる。電子ビームを測定対象のホール上にて二次元走査し、その結果発生した二次電子をMCP又は電極に導いてその強度を信号として走査順(位置、時間順)に二次元に並べると二次電子画像が得られる。これを一般にSEM像と呼んでいる。各ピクセル単位でコントラスト情報を有し、その時間変化も情報として得られる。ピクセルは位置情報も有している。二次電子反射電子検出装置24内の反射電子検出装置からも反射電子画像、ピクセル単位のコントラスト情報、又はその時間変化信号が得られる。電流測定装置30からは、基板電流像、各ピクセル単位のコントラスト情報、及び基板電流値の時間変化情報が得られる。
<ウェハ対物レンズ間距離測定褒置>
ウェハ対物レンズ距離測定装置においては、Zセンサ(高さセンサ)及びフォーカス値が距離測定の機能を担当し、対物レンズ15と、被測定対象であるウェハ23間の距離情報が得られる。Zセンサからは数センチ平方メートル範囲の平均的な高さ情報が得られ、対物レンズのフォーカス値からは、ウェハ23上の数ミクロン以内の局所的な高さ情報が得られる。XYステージ21には、高精度位置座標測定能力があり、測定点座標がnmオーダーの精度で常に測定されており、電子ビームシフト量と共に利用して測定対象を区別できる。
【0081】
この検査装置は、電子ビームを測定対象にフォーカスするために、対物レンズ15の強さを電気的に変化させる機能を有している。この測定対象物にジャストフォーカスさせるために必要な対物レンズの強さを表す値を電子ビームフォーカス値と呼ぶ。電子ビームフォーカス値又はZセンサからは、ウェハ23と対物レンズ15の距離を得ることができる。一般に、対物レンズ15とウェハートレイ22が装置筐体に固定されていてその距離が不変であることを考慮すると、この値の変動からウェハ23の表面高さの情報が得られる。
<パターンマッチングエンジン>
2次元走査制御装置110内のパターンマッチングエンジンは基準画像と測定対象図形を高速比較するものである。デジタル画像はピクセルと呼ばれる単位画素の集合体からなり、明るさとカラーの属性を持っている。この2つの属性の空間的な繋がりを利用して図形を認識する。パターンマッチングエンジンには大きく分けて2つの機能がある。1つは、2つの図形がどの程度、似ているかを算出する機能、もう1つは似ている図形を探し出してくるサーチ機能である。もちろん付属機能として、面積、長さ、角度、歪等あらゆる図形の特徴を表すパラメータを算出する機能がある。
【0082】
この検査装置では、測定箇所を精密位置出しするために、パターンマッチングのサーチ機能が利用されている。この場合、1つ又は複数個、予め内部に登録されているテンプレートと呼ばれる標準画像と二次電子、反射電子又は基板電流等、測定で得られた画像を比較して、得られた画像の中から、標準画像と同じ物を抽出して中心座標を算出する。中心座標を設計値等の標準値と比較することも可能である。標準値との差からアライメントエラーを検出することもできる。複数の測定対象に対して行ったパターンマッチングの結果から、複数の測定対象物間距離を測定することができる。この値からもアライメントエラーを知ることができる。
【0083】
標準値は半導体デバイスのレイアウトを決定しているCADデータから抽出して利用することができる。この機能を利用するためには、CADデータとこの検査装置をリンクさせて使う。本装置はCADデータのGDSIIファイルをインポートする機能をもつ。CADデータであるGDSIIファイル等の中から測定対象のレイヤー情報を抽出し、更に、測定対象箇所の座標を抽出する。測定によって得られたアライメントエラー情報は逆の経路を通じて、CADデータに反映させることもできる。つまり、アライメントエラーが起こり易い場所を設計データにフィードバックすることにより、設計値を変えて、アライメントエラーを起こりにくくする等の処方を実行できる。
【0084】
一方、表面形状の判定を行うためには、画像が基準に対してどの程度似ているかを算出する機能を活用する。画像比較方法にはいろいろなアルゴリズムが存在し、ブロッブと呼ぶコントラスト集合体に測定対象を抽象して比較する方法、測定対象のエッジを抽出して、幾何学的相関を取って比較する方法等種々の画像認識に利用されるアルゴリズムがある。知られている方法の内一番適切なものを選択利用する。このパターンマッチングを行うと、パターンマッチングスコアと呼ばれる値が得られる。この値は例えば、ある装置では100点が最高であるが、その場合は登録されている図形形状と測定された図形が完全に同じであることを示している。パターンマッチングスコア値が小さくなると、得られた図形の形状が標準画像からずれていることを表している。従って、例えば、パターンマッチングスコアを利用することによって測定対象画像形状が標準画像とどの程度似ているのかを評価できる。
<ブランケットモード>
位置決めされた測定対象に、予め定められた電子ビームエネルギー、照射電流量、フォーカスサイズにて、例えば、1秒程度の一定時間電子ビームを照射した際に得られる基板電流の平均電流値を測定する方法をブランケットモードと呼び、ホール底サイズ、ホール底残膜、ホール底表面状態の相対変化等の情報が得られる。
<ラインスキャンモード>
測定対象にフォーカスした電子ビームを予め決められた間隔、及び速度で二次元走査して得られる基板電流波形を測定する方法をラインスキャンモードと呼ぶ。基板電流波形のエッジ情報からホール底サイズや形状を得ることができる。波形の高さからは、ホール底残膜の状態を知ることもできる。ホール底サイズや形状、及びホールが存在すべき位置情報を含む設計値を総合比較することで、アライメントエラー等を知ることもできる。
<ホール面積正規化基板電流>
そのブランケットモードで得られた基板電流値を設計レイアウト上のホール面積、又は実測に基づくホール面積を利用して正規化すると正規化測定値は基準とした面積に対する基板電流値となる(式2を参照)。従って、ホールの大きさ(やサイズ)に無関係な量となる。ブランケット法で得られた測定値を面積正規化した値は普遍的にホール底の表面状態を示し、形状及びサイズの異なる種々のホール間のホール底表面の状態差を比較することが可能と成る。場合によっては、ホール表面面積を用いて面積規格化を行い比較することもある。図19に基板電流値面積規格化の方法が示されている。例えば、最初にブランケットモードで1つ又は幾つかの同等のホールを含むように電子ビームを照射し、基板電流値を測定する。
【0085】
次に、ラインスキャンモード測定を同じホール又は複数個のあるホールの内の代表ホールに対して行い、ホール底面積評価を行う。この場合、複数ホールの平均面積を用いても良い。得られたホール底面積情報を用いて、予め得られているブランケットモード測定値を割り算して単位面積当たりの基板電流値に正規化する。得られた値はある基準に対する比として計算された基板電流値なので、個々のホール面積とは無関係の量となっている。従って、それぞれの測定対象の正規化された基板電流値を比較することによって、ホール底の膜の残り具合、ホール表面状態等を比較することができる。ここでは、ラインスキャンモードを用いてホールサイズを算出したが、ホールサイズが他の手段で分かっている場合にはその値を用いても構わない。また、ブランケットモード測定を必ずしも最初に行う必要も無く、ラインスキャンモードの後から行っても良い。
【0086】
上記基準となるホール面積は、1枚のウェハの平均値でも良く、また、複数枚のウェハを調査する場合には、適当な1枚を選んでその面積を選択しても良い。更に、良品が取れている部分の面積の平均値を取ることが比較的良い結果を示すと考えられる。どの算出方法を選ぶかはユーザに任される。
【0087】
図20はこの検査装置において単位面積当たりの基板電流量を求める別の方法を開示している。電子ビームは対物レンズ等を制御することにより、その先端形状を種々の形、サイズに変えることができる。予め電子ビームフォーカス値(対物レンズ15による電子ビームの焦点距離)と電子ビーム先端面積の関係を他の手段で測定しておき、図20(a)に示すように、既知の電子ビーム先端サイズが常に実現できるように準備しておく。次に、測定対象に対して電子ビームが所望のサイズとなるように制御して電子ビームを照射し、基板電流値を測定する。この電子ビーム照射は走査しても、ホールの中だけに電子ビームが当たるように照射位置を制御して照射しても構わない。
【0088】
電子ビーム照射が走査方式の場合には、図20(b)に示すように、基板電流波形の高さが単位面積あたりの基板電流に相当する。このように電子ビームをコンタクトホールの中だけに当てるようにした場合には、照射によって生じた基板電流値の平均値等が単位面積当たりの基板電流値になる。この方法では、コンタクトホールで無くても単位面積当たりの基板電流値を知ることができる。また、コンタクトホールに適用することもできるが、その際ホールの面積を態々測定する必要がないので測定スピードを上げることができる。
【0089】
以上のように正規化を行った基板電流値を測定値として利用することにより、レイアウトサイズの違う素子同士を比較することも可能である。例えば、サイズの異なった複数のホールをマスク上に設けて、プロセスを進め、それぞれのサイズの素子に関して、先端面積が既知の電子ビームを照射し規格化基板電流値を比較してグラフ化することにより、ホールの底の状態を推定可能となる。もちろん、大きさの異なるホールは偶然できた異なるホール径を持つホールを実測して使用しても良い。1つのホールから得られた情報を基にホールの状態を推定するよりも、より確実にホール状態を推定することが可能と成る。
【0090】
また、図11から明らかなように、エッチングが正常に行われているサンプルではホールサイズで規格化した基板電流値(単位面積あたりの基板電流値)はホールサイズが異なってもほぼ一定の値を示している。一方、ホール底に残膜が生じているサンプルでは、例えば、ホール底サイズが小さくなるに伴って、規格化後の測定値が小または大となる。すなわち、基板電流はホール底材料の二次電子放出効率に依存する。シリコン酸化膜等がホール底にあると、二次電子放出が大きくなり、ホール底サイズが小さくなるに従って、規格化基板電流値が下降する。
【0091】
一方、レジスト等炭素を多く含む高分子は二次電子の放出効率が、シリコン等と比較して低い。そのため、ホール底にレジスト等の有機材料が出現するような場合には、ホール底サイズが小さくなるに従って、基板電流値が上昇する。複数のホール径をもつホールから得られたデータをグラフにして、その傾きをプロセス判断の指標にすることで、プロセス不具合原因を詳細に分類することができる。
【0092】
以上説明したように、この検査装置によると、基板電流測定値からホール底に残膜があるか無いか、酸化膜、レジスト等の残留物があるかないかをはっきりと検出することができる。この検出装置では、規格化基板電流値の面内分布を知ることができる。ホール面積で規格化した後の基板電流値は、測定対象サイズに対して不変量なので、その値で面内分布を評価することにより、ホール底の状態のみのプロセス分布を知ることができる。例えば、エッチング装置には、装置固有のプロセス分布が存在するが、露光プロセスに分布があると、ホール表面径にも影響を与える。そのため、エッチング後に得られるプロセス分布は両者の合成と成り、そのまま測定したのでは、エッチング装置固有の分布だけを抽出することができない。しかし、基板電流をホール表面径又はホール底径で規格化することによって、露光による影響を排除し、エッチング装置固有の分布だけを抽出することができる。
【0093】
また、図14に示す半導体検査装置は、図12(b)に示すグラフのデータから表示装置(表示部)150に表示されるウェハマップMA上に残渣分布等を示すようになっている。これは、例えば図示しない操作キーを操作すると、波形画像認識処理装置(演算処理手段)140が図12(b)に示すグラフのデータやEBS値を求めたコンタクトホールの位置データ(パターンマッチングで求めた位置データ)等に基づいて、図12(a)に示すウェハマップMA上の対応位置に正規化EBS値に応じて色表示するものである。
【0094】
詳細に説明すれば、各コンタクトホールの位置と、各コンタクトホールの径と、各コンタクトホールのEBS値とを関連させて図示しないグラフ用メモリ(記憶手段)に記憶させておき、このグラフ用メモリに記憶されたデータに基づいて図12(b)に示すグラフを表示装置150に表示させるものである。他方、ウェハ23に対応したウェハマップMAの画像データを予めマップ用メモリ(記憶手段)に記憶させておき、この画像データに基づいてウェハマップMAを表示装置150のグラフ(図12(b)参照)の隣りに表示させる。
【0095】
そして、この表示装置150に表示されているグラフの所定位置や所定範囲が操作キーによって指定されると、その所定位置や所定範囲にあるコンタクトホールの位置データがグラフ用メモリから読み出される。波形画像認識処理装置140は、読み出した位置データに対応したマップ用メモリの画像データの部分を指定した色データや所定の色データに変換処理して、新たな画像データとしてマップ用メモリに記憶させ、この新たな画像データに基づいてウェハマップMAを表示装置150に表示させる。
【0096】
すなわち、指定された所定位置や所定範囲にあるコンタクトホールの位置データに対応したウェハマップMA上の部分が指定された色や所定の色で表示される。
【0097】
この実施例では、図12に示すように、例えばポリマー残渣のあるEBS値グラフの分布に対応(関連)させて、ウェハマップMA上に赤点等(図示せず)で表示し、エッチング残渣のあるEBS値グラフの分布に対応(関連)させて、ウェハマップMA上に橙点(図示せず)で表示する。
【0098】
これは、ポリマー残渣のあるコンタクトホールのEBS値の範囲と、エッチング残渣のあるコンタクトホールのEBS値の範囲を予め求めておき、これら値の範囲内にあるコンタクトホールの位置データをグラフ用メモリから読み出し、この読み出した位置データに対応したマップ用メモリの画像データの部分を赤点や橙点に変換処理して、ウェハマップMA上に表示するものである。
【0099】
EBS値グラフの各測定点を一個毎に、すなわち正規化EBS値やコンタクトホール径に応じて一個毎に色指定したり、領域を指定してその領域のブロック毎に色指定したりしてもよい。そのブロック(領域)の数は任意に指定することができるようにする。
【0100】
また、例えば、図12(a)に示すウェハマップMA上に、正規化EBS値の分布グラフに表示されているコンタクトホールの種類、大きさなどを、その正規化EBS値の分布グラフをこの分布グラフを表示した色と同じ色や近い色の点によって表示する。これによって、正規化EBS値がウェハ上のどの位置に対応するのか一目でわかる。例えばポリマー残渣のあると思われるEBS値の高い領域(図12(b)で示した上の部分)の分布に対応させて、図12(a)のウェハマップMA上に、その高い領域のグラフを表示した色と同じまたは近い色で、例えば赤点などの点(図示せず)で示すようにする。この際、この点の大きさもコンタクトホールの大きさに応じて大きくしマップMA上に示すと分りやすいものとなる。
【0101】
同様に、正規化EBS値のグラフの中間領域の部分も、ウェハマップMA上に、その中間領域を示すグラフを表示した色と同じ色や近い色で例えば青色の点(図示せず)で示すようにする。また、図12(b)に示すグラフの正規化EBS値の低い部分も、その範囲をウェハマップMA上に、その低い領域のグラフの色と同じ色や近い色で表示する。このようにすることにより、正規化EBS値のグラフがウェハ上のどの位置に対応するのか一目でわかる。
【0102】
また、正規化EBS値のグラフを図12(b)に示すように赤色破線枠S1で囲むようにオペレータが指示すると、その範囲にある正規化EBS値がウェハマップMAに表示されるように、波形画像認識処理装置140はマップ用メモリの画像データの処理を行う。すなわち、波形画像認識処理装置140は、赤色線枠S1内にあるEBS値のコンタクトホールの全ての位置データをグラフ用メモリから読み出し、各位置データに対応したマップ用メモリの画像データの部分を指定した色データや所定の色データに変換処理してウェハマップMA上に表示する。
【0103】
同様にオペレータが他の領域を指示すると、波形画像認識処理装置140は、その範囲の正規化EBS値の全ての位置データをグラフ用メモリから読み出し、各位置データに対応したマップ用メモリの画像データの部分を指定した色データや所定の色データに変換処理してウェハマップMA上に表示する。(クレーム1では、データ処理方法としているので、データの処理方法を概略的にでも実施例で記載した方が良いかと思いますので、ここで記載した内容よりもう少し具体的な内容をご教示願いします。)
このように色分けしたウェハマップMAを作成することによって、プロセスの課題を容易に可視化できる。 また、正規化EBS値のグラフにおける残渣分布がウェハマップMA上のどこに対応するのかがひと目で分かることになる。
【0104】
また、図13に示すように、表示装置150に表示される正規化EBS値のグラフ上に、歩留りのよい範囲を示す領域E1と、この領域E1を越える領域E2と、領域E1を下回る領域E3をそれぞれ異なる色で表示すれば、ウェハは歩留りのよいものであるかどうかをひと目で分かることになり、製造ラインでのサンプル検査によって、各プロセス装置の変動を監視することが可能となる。
【0105】
ところで、コンタクトホール径でEBS値を正規化する場合、測定された複数のコンタクトホール径から標準ホール径を求めて正規化してもよいが、最も歩留りの良い部分のコンタクトホール径のデータの平均値を標準ホール径として正規化してもよい。なお、この正規化は、標準ホール径とコンタクトホール径との比で吸収電流値を正規化する。
【0106】
ウェハ23のコンタクトホール径の測定は、フォーカスされた電子ビームをホール上に走査して行う。
【0107】
ウェハ23のコンタクトホールの吸収電流値測定は、コンタクトホールより若干大きめのデフォーカスされた電子ビームをホール上に静止させて照射して行う。
【0108】
また、半導体検査装置は、ラインスキャンモードLSMでボトム電流を求め、このボトム電流をコンタクトホール径で正規化し、これを図12(b)と同様なグラフに表示して、上記と同様にウェハマップMA上の対応位置に点P1,P2(図示せず)や枠線W1,W2(図示せず)などを表示する機能を持っている。
【符号の説明】
【0109】
10 電子銃(照射手段)
24 二次電子反射電子検出装置
30 電流測定装置
140 波形画像認識処理装置(演算処理装置)
150 表示装置(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを用いた吸収電流測定方法を用いて、ウェハのコンタクトホール界面状況を評価する半導体検査装置において、所定の電子ビームサイズでコンタクトホールを照射し、その際に測定される吸収電流値をコンタクトホールサイズで正規化した値をグラフ化し、そのグラフから任意の領域を指定して、ウェハのマップ上にその測定点を表示することを特徴とする半導体検査装置のデータ処理方法。
【請求項2】
コンタクトホールの吸収電流値測定は、フォーカスされた電子ビームをホール上に走査して行い、この走査により得られた吸収電流値測定信号からホール径を算出するとともに、ホール底を照射したときに測定された電流値をそのホール径で正規化してグラフ化したことを特徴とする請求項1に記載の半導体検査装置のデータ処理方法。
【請求項3】
コンタクトホールの吸収電流値測定は、コンタクトホールより若干大きめにデフォーカスされた電子ビームをホール上で静止させて照射して行い、その時に測定される電流を、ホール径で正規化した値をグラフ化することを特徴とする請求項1に記載の半導体検査装置のデータ処理方法。
【請求項4】
電子ビームをホール上で走査して、ホール底を照射したときに測定された電流値のグラフ化と、
デフォーカスされた電子ビームをホール上で静止させて照射し、その時に測定される電流を、ホール径で正規化した値のグラフ化とは、横軸にホール径を縦軸に吸収電流値をとって纏めたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の半導体検査装置のデータ処理方法。
【請求項5】
前記グラフから任意の領域を指定して、ウェハのマップ上にその測定点をそれぞれ色分けして表示する場合、測定点毎に色指定し、または領域を指定したブロック毎に色指定し、且つその個数は任意であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の半導体検査装置のデータ処理方法。
【請求項6】
前記グラフは、歩留りの良い部分となる吸収電流値の範囲を示す領域と、その範囲を超える領域と、その範囲を下回る領域とがそれぞれ異なる色で表示されることを特徴とする請求項1に記載の半導体検査装置のデータ処理方法。
【請求項7】
前記グラフを領域指定した場合、その領域内のグラフの色に近い色で、その領域内の分布をウェハのマップ上に示すことを特徴とする請求項1または請求項5または請求項6に記載の半導体検査装置のデータ処理方法。
【請求項8】
測定された吸収電流値をコンタクトホール径で正規化する際、測定されたコンタクトホール径から標準ホール径を求めて、これと測定された個々のコンタクトホール径との比で吸収電流値を正規化し、標準ホール径の値は、最も歩留りの良い部分のデータの平均値を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の半導体検査装置のデータ処理方法。
【請求項9】
電子ビームを用いた吸収電流測定方法を用いて、ウェハのコンタクトホール界面状況を評価する装置において、所定の電子ビームサイズでコンタクトホールを照射し、その際に測定される吸収電流値をコンタクトホールサイズで正規化した値をグラフ化して表示し、その表示されたグラフから任意の領域を指定して、ウェハのマップ上にその測定点を正規化した値別にそれぞれ色分けして表示することを特徴とする半導体検査装置のデータ表示方法。
【請求項10】
コンタクトホールの吸収電流値測定は、フォーカスされた電子ビームをホール上に走査して行い、この走査により得られた吸収電流値測定信号からホール径を算出するとともに、ホール底を照射したときに測定された電流値をそのホール径で正規化してグラフ化したことを特徴とする請求項9に記載の半導体検査装置のデータ表示方法。
【請求項11】
コンタクトホールの吸収電流値測定は、コンタクトホールより若干大きめにデフォーカスされた電子ビームをホール上で静止させて照射して行い、その時に測定される電流を、ホール径で正規化した値をグラフ化することを特徴とする請求項9に記載の半導体検査装置のデータ表示方法。
【請求項12】
電子ビームをホール上で走査して、ホール底を照射したときに測定された電流値のグラフ化と、
デフォーカスされた電子ビームをホール上で静止させて照射し、その時に測定される電流を、ホール径で正規化した値のグラフ化とは、横軸にホール径を縦軸に吸収電流値をとって纏めたことを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1つに記載の半導体検査装置のデータ表示方法。
【請求項13】
前記グラフから任意の領域を指定して、ウェハのマップ上にその測定点をそれぞれ色分けして表示する場合、測定点毎に色指定し、または領域を指定したブロック毎に色指定し、且つその個数は任意であることを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1つに記載の半導体検査装置のデータ表示方法。
【請求項14】
前記グラフは、歩留りの良い部分となる吸収電流値の範囲を示す領域と、その範囲を超える領域と、その範囲を下回る領域とがそれぞれ異なる色で表示されることを特徴とする請求項9に記載の半導体検査装置のデータ表示方法。
【請求項15】
前記グラフを領域指定した場合、その領域内のグラフの色に近い色で、領域内の分布をウェハのマップ上に示すことを特徴とする請求項9または請求項14または請求項10に記載の半導体検査装置のデータ表示方法。
【請求項16】
測定された吸収電流値をコンタクトホール径で正規化する際、測定されたコンタクトホール径から標準ホール径を求めて、これと測定された個々のコンタクトホール径との比で吸収電流値を正規化し、標準ホール径の値は、最も歩留りの良い部分のデータの平均値を用いることを特徴とする請求項9ないし請求項15のいずれか1つに記載の半導体検査装置のデータ表示方法。
【請求項17】
電子ビームを用いた吸収電流測定方法を用いて、ウェハのコンタクトホール界面状況を評価する半導体検査装置において、
前記ウェハのマップを表示する表示部と、
所定の電子ビームサイズでコンタクトホールを照射する照射手段と、
この照射手段によって電子ビームを照射している際に、前記ウェハの吸収電流を測定する吸収電流測定手段と、
この吸収電流測定手段が測定した吸収電流値を前記コンタクトホールのサイズで正規化するとともに、この正規化した値をグラフ化して前記表示部に表示する演算処理手段と、
前記表示部に表示されるグラフから任意の領域を指定する領域指定手段とを備え、
前記領域指定手段によって指定された領域の測定点を前記表示部に表示されたウェハのマップ上に表示することを特徴とする半導体検査装置。
【請求項18】
コンタクトホールの吸収電流値測定は、前記照射手段によりフォーカスされた電子ビームをホール上に走査して行い、
前記演算処理手段は、その走査により得られた吸収電流値測定信号からホール径を算出するとともに、ホール底を照射したときに測定された電流値をそのホール径で正規化してグラフ化することを特徴とする請求項17に記載の半導体検査装置。
【請求項19】
コンタクトホールの吸収電流値測定は、前記照射手段によりコンタクトホールより若干大きめにデフォーカスされた電子ビームをホール上で静止させて照射して行い、
前記演算手段は、その照射で測定される電流を、ホール径で正規化した値をグラフ化することを特徴とする請求項17に記載の半導体検査装置。
【請求項20】
電子ビームをホール上で走査して、ホール底を照射したときに測定された電流値のグラフ化と、
デフォーカスされた電子ビームをホール上で静止させて照射し、その時に測定される電流を、ホール径で正規化した値のグラフ化とは、横軸にホール径を縦軸に吸収電流値をとって前記表示部に表示することを特徴とする請求項17ないし請求項19のいずれか1つに記載の半導体検査装置。
【請求項21】
前記表示部に表示されるグラフの任意の領域を前記領域指定手段により指定したとき、前記表示部のウェハ上のマップにその指定した領域の測定点をそれぞれ色分けして表示し、
測定点毎の色指定または領域を指定したブロック毎の色指定と、且つその個数を任意に指定できることを特徴とする請求項17ないし請求項20のいずれか1つに記載の半導体検査装置。
【請求項22】
前記グラフは、歩留りの良い部分となる吸収電流値の範囲を示す領域と、その範囲を超える領域と、その範囲を下回る領域とがそれぞれ異なる色で表示されることを特徴とする請求項17に記載の半導体検査装置。
【請求項23】
前記グラフを領域指定した場合、その領域内のグラフの色に近い色で、その領域内の分布をウェハのマップ上に示すことを特徴とする請求項17または請求項21または請求項22に記載の半導体検査装置。
【請求項24】
測定された吸収電流値をコンタクトホール径で正規化する際、測定されたコンタクトホール径から標準ホール径を求め、これと測定された個々のコンタクトホール径との比で吸収電流値を正規化し、標準ホール径の値は、最も歩留りの良い部分のデータの平均値を用いることを特徴とする請求項17ないし請求項22のいずれか1つに記載の半導体検査装置。
【請求項25】
測定された正規化EBS値は4つのパターンとそれらの複合体3つのパターンをベースにして評価する事を特徴とする特許請求17〜22の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2010−123934(P2010−123934A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−243609(P2009−243609)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】