説明

半導体発光素子及びその製造方法

【課題】光抽出効率を向上させ反射層の熱的信頼性を改善させた半導体発光素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体発光素子は、第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層を含む発光構造物と、発光構造物上に形成され、複数のナノロッド及び複数のナノロッド間の空間を満たす空気を含むナノロッド層とナノロッド層上に形成される反射金属層とを備える反射構造物と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、窒化物半導体は、フルカラーディスプレイ、イメージスキャナー、各種信号システム、及び光通信機器に光源として提供される緑色又は青色発光ダイオード(light emitting diode:LED)又はレーザダイオード(laser diode:LD)に広く用いられてきた。このような窒化物半導体発光素子は、電子と正孔との再結合原理を用いた青色及び緑色を含む、多様な光を放出する活性層を有する発光素子として提供される。
【0003】
このような窒化物発光素子が開発された後、多くの技術的発展がなされ、その活用範囲が拡大して一般照明及び電装用光源として多くの研究が行われつつある。特に、従来、窒化物発光素子は主に低電流/低出力のモバイル製品に適用される部品として用いられたが、最近では、その活用範囲が次第に高電流/高出力の分野に拡大している。これにより、半導体発光素子の発光効率及び品質を改善するための研究が活発に行われている。
【0004】
半導体発光素子の発光効率を改善するためには、半導体発光素子から放出された光を所望する方向へ誘導して光抽出効率を向上させる必要があり、このため、チップの内部又は表面に金属反射層が形成される。しかし、反射層として金属薄膜を適用する場合、熱に弱いために半導体層との接着性が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、光抽出効率を向上させた半導体発光素子及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、反射層の熱的信頼性を改善させた半導体発光素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による半導体発光素子は、第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層を含む発光構造物と、前記発光構造物上に形成され、複数のナノロッド及び該複数のナノロッド間の空間を満たす空気を含むナノロッド層と該ナノロッド層上に形成される反射金属層とを備える反射構造物と、を有することを特徴とする。
【0007】
前記反射構造物は、前記活性層から放出された光の波長に対して前記複数のナノロッドが形成された領域及び前記ナノロッド間の空間を満たす空気が形成された領域において異なる屈折率を示し得る。
前記反射構造物は、前記ナノロッド層が前記発光構造物の第2導電型半導体層と接するように形成され得る。
前記複数のナノロッドは、電気伝導性及び光透過性を有する物質からなり得る。
この場合、前記複数のナノロッドは、透明導電性酸化物又は透明導電性窒化物からなり得る。
また、前記透明導電性酸化物は、ITO、CIO、ZnOのうちの少なくとも一つであり得る。
前記ナノロッド層の厚さは、λ/(4n)の整数倍であり得、ここで、前記nは前記ナノロッドの屈折率、前記λは前記活性層から放出された光の波長である。
前記半導体発光素子は、前記反射構造物上に形成された導電性基板を更に含むことができる。
前記半導体発光素子は、その一面に前記発光構造物が形成された半導体成長用基板を更に含むことができる。
この場合、前記反射構造物は、前記半導体成長用基板の前記発光構造物が形成された面と対向する面に形成され得る。
これとは異なり、前記反射構造物は、前記半導体成長用基板上に形成された発光構造物の第2導電型半導体層上に形成され得る。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による半導体発光素子の製造方法は、第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層を含む発光構造物を用意する段階と、前記発光構造物上に複数のナノロッドを含むナノロッド層を形成する段階と、前記ナノロッド層上に前記複数のナノロッド間の空間に空気が満たされるように反射金属層を形成する段階と、を有することを特徴とする。
【0009】
前記ナノロッド層の厚さは、λ/(4n)の整数倍であり得、ここで、前記nは前記ナノロッドの屈折率、前記λは前記活性層から放出された光の波長である。
前記反射金属層は、スパッタリング又は電子ビーム蒸着によって形成され得る。
前記ナノロッドは、前記第2導電型半導体層上に直接成長され得る。
前記半導体発光素子の製造方法は、前記反射金属層上に導電性基板を形成する段階を更に含むことができる。
前記半導体発光素子の製造方法は、半導体成長用基板上に前記発光構造物の前記第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層を順次形成する段階を更に含むことができる。
この場合、前記ナノロッド層は、前記半導体成長用基板の前記発光構造物が形成された面と対向する面に形成され得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、屈折率の差異を用いた全反射構造及び全方向性反射器構造を通じて光抽出効率を向上させた半導体発光素子を提供することができる。
また、発光構造物から放出される高熱による反射金属層の劣化を防止することで、信頼性を改善させた半導体発光素子及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態による半導体発光素子を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した半導体発光素子の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による半導体発光素子を概略的に示す斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態による半導体発光素子を概略的に示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略的な図である。
【図6】本発明の第1実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略的な図である。
【図7】本発明の第1実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略的な図である。
【図8】本発明の第1実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略的な図である。
【図9】本発明の第1実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略的な図である。
【図10】本発明の第1実施形態による半導体発光素子パッケージの実装形態を概略的に示す断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態による半導体発光素子パッケージの実装形態を概略的に示す断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態による半導体発光素子パッケージの実装形態を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
しかし、本発明の実施形態は、他の多様な形態に変形することができ、本発明の範囲は、以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供するものである。従って、図面における要素の形状及びサイズ等は、より明確な説明のために誇張することがあり、図面上に同一符号で示す要素は同一要素である。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態による半導体発光素子を概略的に示す斜視図である。
【0015】
図1を参照すると、本実施形態による半導体発光素子100は、第1導電型半導体層21、活性層22、及び第2導電型半導体層23を含む発光構造物20と、発光構造物20上に形成される反射構造物30と、を含む。また、反射構造物30は、複数のナノロッド及びナノロッド間の空間を満たす空気を含むナノロッド層31と、ナノロッド層31上に形成される反射金属層32と、を備える。
【0016】
発光構造物20の第1導電型半導体層21上には第1導電型半導体層21に電気的に連結される第1電極21aが形成され、反射構造物30上には導電性基板40が形成される。この場合、導電性基板40は、発光構造物20の第2導電型半導体層23に電気的に連結されて第2電極として機能する。
【0017】
本実施形態において、第1及び第2導電型半導体層21、23は、それぞれn型及びp型半導体層になり得、窒化物半導体からなる。従って、これに制限されるものではないが、本実施形態の場合、第1及び第2導電型はそれぞれn型及びp型を意味すると理解してもよい。第1及び第2導電型半導体層21、23は、AlInGa(1−x−y)Nの組成式(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1である)を有し、例えば、GaN、AlGaN、InGaN等の物質がこれに該当する。
【0018】
第1及び第2導電型半導体層21、23の間に形成される活性層22は、電子と正孔との再結合によって所定のエネルギーを有する光を放出し、量子井戸層と量子障壁層が交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造、例えばInGaN/GaN構造が用いられる。また、第1及び第2導電型半導体層21、23及び活性層22は、MOCVD、MBE、HVPE等のような当該技術分野における公知の半導体層成長工程を用いて形成することができる。
【0019】
第1導電型半導体層21上には第1導電型半導体層21に電気的に連結される第1電極21aが形成され、第1導電型半導体層21と第1電極21aとのオーミックコンタクト機能を向上させるため、ITO、ZnO等のような透明電極が更に備えられる。図1に示した構造の場合、第1電極21aが第1導電型半導体層21の中央に形成されているが、第1電極21aの位置及び連結構造は、必要に応じて多様に変形することができ、具体的に示していないが、電流の均一な分配のために第1電極21aから延長される枝電極を更に含むことができる。このとき、第1電極21aは、ボンディングパッドと理解してもよい。
【0020】
反射構造物30上に形成された導電性基板40は、成長用基板(図示せず)上に順次形成された第1導電型半導体層21、活性層22、及び第2導電型半導体層23から半導体成長用基板(図示せず)を除去するためのレーザリフトオフ等の工程において、第1及び第2導電型半導体層21、23及び活性層22を含む発光構造物20を支持する支持体の役割をすることができ、Au、Ni、Al、Cu、W、Si、Se、GaAsのうちのいずれか一つを含む物質、例えばSi基板にAlがドーピングされた物質からなる。
【0021】
本実施形態の場合、導電性基板40は、導電性接着層(図示せず)を媒介に発光構造物と接合される。導電性接着層には、例えばAuSnのような共融金属物質を用いる。また、導電性基板40は、第2導電型半導体層23に電気信号を印加する第2電極として機能し、図1に示すように、電極が垂直方向に形成される場合、電流が流れる領域が拡大して電流分散機能を向上させることができる。
【0022】
反射構造物30は、発光構造物20上に形成され、複数のナノロッド及び複数のナノロッド間の空間を満たす空気を含むナノロッド層31と、ナノロッド層31上に形成される反射金属層32と、を含む。
【0023】
複数のナノロッドは、電気伝導性及び透光性を有する物質からなり、具体的には、透明導電性酸化物(Transparent Conductive Oxide:TCO)又は透明導電性窒化物(Transparent Conductive Nitride:TCN)が適用される。この場合、透明導電性酸化物は、ITO、CIO、ZnO等である。
【0024】
反射金属層32は、Ag、Ni、Al、Rh、Pd、Ir、Ru、Mg、Zn、Pt、Au等の物質を含み、図1には反射金属層32を一つの層で示しているが、これとは異なり、2層以上の構造を採用してもよい。また、これに制限されるものではないが、例えば、Ni/Ag、Zn/Ag、Ni/Al、Zn/Al、Pd/Ag、Pd/Al、Ir/Ag、Ir/Au、Pt/Ag、Pt/Al、Ni/Ag/Pt等が適用される。
【0025】
複数のナノロッド及び反射金属層32は、公知の蒸着工程、例えば、有機金属化学蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、分子ビーム蒸着(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、スパッタリング(sputtering)等によって形成され、詳細な内容は図5〜図9を参照して後述する。
【0026】
但し、図1にはナノロッド層31上に形成された反射金属層32が完全に分離された形態で示しているが、複数のナノロッド間の一部領域には反射金属層32を形成するための金属物質が蒸着され得る。
【0027】
図2は、図1に示した半導体発光素子の一部を拡大して示す断面図である。具体的には、反射構造物30の形成領域に隣接した領域の断面を概略的に示す。
【0028】
図2を参照すると、発光構造物20上に形成される反射構造物30は、複数のナノロッド31a及びナノロッド31a間の空間を満たす空気31bを含むナノロッド層31と、ナノロッド層31上に形成される反射金属層32と、を含む。ここで、反射構造物30は、発光構造物20の第2導電型半導体層23が反射構造物30のナノロッド層31と接するように形成され、発光構造物20の活性層22から生成されて下部に放出された光は、反射構造物30で効果的に反射されて上部に誘導される。
【0029】
本実施形態による半導体発光素子100の場合、主な光放出面は発光構造物20の上面、即ち第1導電型半導体層21が形成された面、及び発光構造物20の側面になる。従って、導電性基板40が形成された方向に放出された光を発光構造物20の上面及び側面に誘導することで、光出力を向上させることができる。
【0030】
具体的には、活性層22から導電性基板40に向かって放出された光のうち、複数のナノロッド31aの間を満たす空気31bの領域に到達した光aは、第2導電型半導体層23及びナノロッド間の空間に満たされた空気31bとの大きい屈折率の差異によって小さい臨界角を有するようになる。即ち、空気31bは小さい屈折率(屈折率は約1)を有するため、第2導電型半導体層23との大きい屈折率の差異によって臨界角以上に入射した大部分の光がその界面から全反射するようにして、光を上部に誘導する。
【0031】
また、本実施形態において、複数のナノロッド31a及び反射金属層32は、全方向性反射器(Omnidirectional reflector:ODR)構造を形成して高い反射率を有することで、活性層22から放出された光が吸収されて消滅することを最小限にすることができる。この場合、全方向性反射器構造を具現するため、ナノロッド層31の厚さはλ/(4n)の整数倍である。ここで、nはナノロッド31aの屈折率、λは活性層から放出された光の波長である。
【0032】
即ち、このような厚さ条件を満たすことで、複数のナノロッド31a及び反射金属層32は、全方向性反射器構造を有することができ、活性層22から放出された光が複数のナノロッド31a及び反射金属層32の間に到達した場合bに反射率が極大化する。反射金属層32は、ナノロッド層31と接触するように形成され、消滅係数(extinction coefficient)が高い物質、例えば、Ag、Al、Au等の物質を含む。
【0033】
本実施形態において、反射構造物30は、活性層22から放出された光の波長に対してナノロッド層31の複数のナノロッド31aが形成された領域及びナノロッド31a間の空間を満たす空気31bが形成された領域において異なる屈折率を示す。反射構造物30が部分的に異なる屈折率を示すようにするため、ナノロッド31aの幅、複数のナノロッド31a間の間隔等を調節する。
【0034】
この場合、各領域における反射効率を最大限にして光抽出効率を高めると共に、複数のナノロッド31aの間には空気31bの層が形成されるため、発光構造物20から放出される高熱による反射金属層32の劣化を防止することができる。また、複数のナノロッド31aは、導電性基板40から第2導電型半導体層23に電気信号を印加するための電流通路(current path)として機能するため、電気伝導性を有する物質が適用される。
【0035】
図3は、本発明の第2実施形態による半導体発光素子を概略的に示す斜視図である。
【0036】
図3を参照すると、本実施形態による半導体発光素子200は、半導体成長用基板110と、半導体成長用基板110上に形成される発光構造物120と、半導体成長用基板110の発光構造物120が形成された面と対向する面に形成された反射構造物130と、を含む。
【0037】
発光構造物120は、半導体成長用基板110上に順次形成された第1導電型半導体層121と、活性層122と、第2導電型半導体層123と、を含み、第1及び第2導電型半導体層121、123上には外部から電気信号をそれぞれ印加するための第1及び第2電極121a、123aが形成される。
【0038】
半導体成長用基板110には、サファイア、SiC、MgAl、MgO、LiAlO、LiGaO、GaN等の物質からなる基板を用いることができる。この場合、サファイアは、六角−菱型(Hexa−Rhombo R3c)の対称性を有する結晶体であり、c軸方向及びa軸方向の格子定数がそれぞれ13.001Å及び4.758Åであり、C(0001)面、A(1120)面、R(1102)面等を有する。この場合、C面は窒化物薄膜の成長が比較的容易であり、高温で安定しているため、窒化物成長用基板に主に使用される。バッファ層(図示せず)は、窒化物等からなるアンドープ半導体に採用され、その上に成長される半導体層の格子欠陥を緩和させることができる。
【0039】
第1電極121aは、第2導電型半導体層123、活性層122、及び第1導電型半導体層121の一部がエッチングされて露出した第1導電型半導体層121上に形成され、第2電極123aは、第2導電型半導体層123上に形成される。この場合、第2導電型半導体層123と第2電極123aとのオーミックコンタクト機能を向上させるため、ITO、ZnO等のような透明電極を更に備えることができる。図3に示した構造の場合、第1及び第2電極121a、123aが同一方向に向かうように形成されているが、第1及び第2電極121a、123aの位置及び連結構造は、必要に応じて多様に変形することができる。
【0040】
本実施形態による半導体発光素子200の場合、発光構造物120の上面、即ち第2導電型半導体層123が形成された面、及び発光構造物120の側面が主な光放出面になる。従って、発光構造物120の活性層122から基板110に向かって放出された光を上部に誘導することで、発光素子の光抽出効率を向上させることができる。本実施形態の場合、半導体成長用基板110の発光構造物120が形成された面と対向する面に反射構造物130を形成することで、基板110に向かって放出された光が上部に誘導されるようにする。
【0041】
この場合、反射構造物130のナノロッド層131が半導体成長用基板110と接するように形成され、ナノロッド層131を構成する複数のナノロッドは、半導体成長用基板110上に直接成長される。
【0042】
本実施形態の場合、複数のナノロッドは、第1導電型半導体層121に電気信号を印加するための電流通路として機能しないため、必ずしも電気伝導性を有する物質で形成される必要はないが、発光構造物120から生成された熱を効果的に外部に放出するため、熱伝導性に優れた物質からなる。
【0043】
図4は、本発明の第3実施形態による半導体発光素子を概略的に示す斜視図である。
【0044】
図4を参照すると、本実施形態による半導体発光素子300は、半導体成長用基板210と、半導体成長用基板210上に形成された発光構造物220と、発光構造物220上に形成された反射構造物230と、を含む。
【0045】
発光構造物220は、半導体成長用基板210上に順次形成された第1導電型半導体層221と、活性層222と、第2導電型半導体層223と、を含み、第1及び第2導電型半導体層221、223のそれぞれと電気的に連結される第1及び第2電極221a、223aを含む。
【0046】
本実施形態において、発光構造物220の主な光放出面は、発光構造物220の側面及び半導体成長用基板210が形成された面になる。即ち、発光構造物220の活性層222から放出された光が半導体成長用基板210に向かうように誘導され、従って、ナノロッド層231は、第2導電型半導体層223と接するように形成される。
【0047】
本実施形態の場合、ナノロッド層231を構成する複数のナノロッドは、第2電極223aを通じて第2導電型半導体層223に電気信号を印加する電流経路(current path)として機能するため、電気伝導性を有する物質からなる。
【0048】
図5〜図9は、本発明の第1実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略的な図である。具体的には、図1に示した半導体発光素子の製造方法を示す。
【0049】
先ず、図5を参照すると、半導体成長用基板10上に第1導電型半導体層21、活性層22、及び第2導電型半導体層23が順次形成される発光構造物20を形成する。半導体成長用基板10には、サファイア、SiC、MgAl、MgO、LiAlO、LiGaO、GaN等の物質からなる基板を用いる。
【0050】
その上面に形成される窒化物半導体層の格子欠陥を緩和させるため、半導体成長用基板10の上面にバッファ層(図示せず)を形成することができる。バッファ層は窒化物等からなるアンドープ半導体層として採用され、その上に成長される発光構造物の格子欠陥を緩和させる。
【0051】
第1及び第2導電型半導体層21、23及び活性層22は、当技術分野において公知のMOCVD、MBE、HVPE等のような半導体層の成長工程を用いて形成される。
【0052】
次に、図6に示すように、発光構造物20の上面に複数のナノロッドを含むナノロッド層31を形成する。ナノロッド層31は、公知の蒸着工程、例えば、有機金属化学蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)によって有機金属前駆体の蒸気を基板と接触させたり、分子ビーム蒸着(Molecular Beam Epitaxy:MBE)によってビーム(beam)を照射したりしてターゲット物質が基板又は半導体層上に成長されるように形成する。複数のナノロッドは、有機金属化学蒸着によって形成される場合、導入される反応気体の流入量や蒸着温度及び時間等の条件を調節して所望の形態に形成される。
【0053】
このとき、ナノロッド層31の厚さは、λ/(4n)の整数倍(n:ナノロッドの屈折率、λ:活性層から放出された光の波長)で形成され、その上面に形成される反射金属層32とで全方向性反射器構造を形成する。
【0054】
次いで、図7に示すように、公知の蒸着工程を用いてナノロッド層31上に反射金属層32を形成する。
【0055】
反射金属層32は、Ag、Ni、Al、Rh、Pd、Ir、Ru、Mg、Zn、Pt、Au等の物質を含む。また、図7には反射金属層32を一つの層で示しているが、これとは異なり、2層以上の構造を採用してもよい。
【0056】
例えば、電子ビーム(e−beam)又はスパッタリング(sputtering)を用いて反射金属層32を形成する場合、ステップカバレッジ(step coverage)の特性によって、複数のナノロッド間の領域に金属物質が完全に満たされない状態で金属薄膜層を形成する。即ち、複数のナノロッド間の空間に空気が満たされた状態で残るようになる。但し、図7にはナノロッド層31上に形成された反射金属層32を完全に分離された形態で示しているが、複数のナノロッド間の一部領域には反射金属層32を形成するための金属物質が蒸着され得る。
【0057】
続いて、図8に示すように、反射構造物30が形成された発光構造物上に導電性基板40を形成する。
【0058】
導電性基板(図示せず)は、半導体成長用基板10を除去するためのレーザリフト等の工程において発光構造物20を支持する支持体の役割を行い、Si、GaAs、InP、InAs等の半導体基板、ITO(Indium Tin Oxide)、ZrB、ZnO等の導電性酸化膜、CuW、Mo、Au、Al、Au等の金属基板のうちのいずれか一つからなる。
【0059】
本実施形態の場合、導電性基板40は、導電性接着層を媒介に発光構造物20と接合され、導電性接着層には、例えばAuSnのような共融金属物質を用いる。また、導電性基板は、電解めっき、無電解めっき、熱蒸着(Thermal evaporator)、電子線蒸着(e−beam evaporator)、スパッタ(sputter)、化学気相蒸着(CVD)等の方式を通じて形成される。
【0060】
次に、図9に示すように、導電性基板40を支持体にしてレーザリフトオフ工程等を用いて半導体成長用基板10を除去し、半導体成長用基板10が除去されて露出した第1導電型半導体層21上に第1電極21aを形成する。第1電極21aは、第1導電型半導体層21の上面のどのようなところに形成されてもよいが、第1導電型半導体層21に伝達される電流を均一に分配するため、中央部に形成される。
【0061】
図10〜図12は、本発明の第1〜第3実施形態による半導体発光素子パッケージの実装形態を概略的に示す断面図である。
【0062】
具体的に、図10は、図1に示した半導体発光素子100の実装形態の一例を示し、図11は、図3に示した半導体発光素子200の実装形態の一例を示し、図12は、図4に示した半導体発光素子300の実装形態の一例を示す。
【0063】
先ず、図10を参照すると、本実施形態による発光素子パッケージは、第1及び第2端子部50a、50bを備え、半導体発光素子100は、これらとそれぞれ電気的に連結される。この場合、半導体発光素子100の第1導電型半導体層21は、その上面に形成された第1電極21aによって第2端子部50bとワイヤボンディングされ、第2導電型半導体層23は、導電性基板40を通じて第1端子部50aと直接連結される。
【0064】
半導体発光素子100の上部には、半導体発光素子100を封止すると共に、半導体発光素子100及び第1及び第2端子部50a、50bを固定するレンズ部60が形成される。レンズ部60は、発光素子100及びワイヤを保護するのみならず、半球状からなって境界面におけるフレネル反射を減らして光抽出を増加させる役割をする。このとき、レンズ部60は樹脂からなり、樹脂は、エポキシ、シリコン、変形シリコン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル、ポリカーボネート、及びポリイミドのうちのいずれか一つを含む。また、レンズ部60の上面に凹凸を形成して光抽出効率を高め、放出される光の方向を調節することができる。レンズ部60の形状は、必要に応じて多様に変形することができる。
【0065】
具体的に示していないが、レンズ部60内には半導体発光素子100の活性層から放出された光の波長を変換させる波長変換用蛍光体粒子が含まれる。蛍光体は、黄色(yellow)、赤色(red)、及び緑色(green)のうちのいずれか一つに波長を変換させる蛍光体からなるか、或いは複数種の蛍光体が混合されて複数の波長に変換させる。また、蛍光体の種類は、半導体発光素子100の活性層から放出される波長によって決定される。具体的に、レンズ部60は、YAG系、TAG系、ケイ酸塩(Silicate)系、硫化物(Sulfide)系、又は窒化物(Nitride)系のうちの少なくとも1種以上の蛍光物質を含む。例えば、青色発光LEDチップに黄色に波長変換させる蛍光体を適用する場合、白色発光半導体発光素子を得ることができる。
【0066】
次に、図11を参照すると、本実施形態による発光素子パッケージは、第1及び第2端子部51a、51bを備え、第2実施形態による半導体発光素子200はこれらとそれぞれ電気的に連結される。この場合、半導体発光素子200の第1及び第2導電型半導体層121、123上に形成された第1及び第2電極121a、123aは、導電性ワイヤによってそれぞれ第2及び第1端子部51b、51aに連結される。
【0067】
図12は、本発明の第3実施形態による半導体発光素子300の実装形態を示したもので、第1及び第2導電型半導体層221、223上に形成された第1及び第2電極221a、223aは、バンプボールb等によって第2及び第1端子部52b、52aに直接連結されてフリップチップ(flip−chip)ボンディングされる。
【0068】
但し、図10〜図12に示した発光素子パッケージは、本発明の第1〜第3実施形態による発光素子の実装形態に対する例示に過ぎず、具体的な実装形態及び方法は多様に変形することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10、110、210 半導体成長用基板
20、120、220 発光構造物
21、121、221 第1導電型半導体層
21a、121a、221a 第1電極
22、122、222 活性層
23、123、223 第2導電型半導体層
30、130、230 反射構造物
31、131、231 ナノロッド層
31a ナノロッド
31b 空気
32、132、232 反射金属層
40 導電性基板
50a、51a、52a 第1端子部
50b、51b、52b 第2端子部
60 レンズ部
100、200、300 半導体発光素子
123a、223a 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層を含む発光構造物と、
前記発光構造物上に形成され、複数のナノロッド及び該複数のナノロッド間の空間を満たす空気を含むナノロッド層と該ナノロッド層上に形成される反射金属層とを備える反射構造物と、を有することを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記反射構造物は、前記活性層から放出された光の波長に対して前記複数のナノロッドが形成された領域及び前記ナノロッド間の空間を満たす空気が形成された領域において異なる屈折率を示すことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記反射構造物は、前記ナノロッド層が前記発光構造物の第2導電型半導体層と接するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記複数のナノロッドは、電気伝導性及び光透過性を有する物質からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記複数のナノロッドは、透明導電性酸化物又は透明導電性窒化物からなることを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記ナノロッド層の厚さはλ/(4n)の整数倍であり、ここで、前記nは前記ナノロッドの屈折率、前記λは前記活性層から放出された光の波長であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層を含む発光構造物を用意する段階と、
前記発光構造物上に複数のナノロッドを含むナノロッド層を形成する段階と、
前記ナノロッド層上に前記複数のナノロッド間の空間に空気が満たされるように反射金属層を形成する段階と、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記反射金属層は、スパッタリング又は電子ビーム蒸着によって形成されることを特徴とする請求項7に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記ナノロッドは、前記第2導電型半導体層上に直接成長されることを特徴とする請求項7に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
半導体成長用基板上に前記発光構造物の前記第1導電型半導体層、活性層、及び第2導電型半導体層を順次形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−98571(P2013−98571A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−241294(P2012−241294)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】