説明

半導体発光装置及びその製造方法

【課題】半導体発光装置における封止材の光学的な特性に着目し、適切に集光された狭い照射領域を実現する配光性を有し、しかも製造効率のよい成形方法を採用することができる半導体発光装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】リフレクターパッケージ基材2と、リフレクターパッケージ基材2の凹状空間に実装された半導体発光素子1と、半導体発光素子1を封止した極性基含有アクリル系樹脂を含む封止材3とを具備する半導体発光装置10であって、封止材3の出光面が曲面状に凹んでおり、その凹んだ出光面の曲率半径が、該出光面の平面視における直径もしくは短辺の長さの1.8倍〜4.5倍に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光装置は、白熱灯や蛍光灯に代わる次世代の光源として期待されており、国内外で発光効率の向上等の技術開発が活発に進められている。その光源としての適用範囲も多岐に渡っており、屋内照明のみならず、液晶表示装置のバックライトとしてもその利用が広がっている。特に、近年、省エネへの意識の高まりを受けて、消費電力の低い半導体発光装置に注目が集まっており、各企業や研究機関はその技術開発を加速している。
【0003】
半導体発光装置の種類を構造別にみると、砲弾型、表面実装型(SMD)、チップオンボード(COB)等が挙げられる。図1は表面実装型の1例を挙げたものである。この例では、セラミックや樹脂などで成型したリフレクターパッケージ基材2の中に半導体発光素子1を実装している。そのキャビティ(凹状空間)Wはエポキシ樹脂やシリコーンなどの樹脂(封止材)3で封止されている。キャビティ内側の面には反射板の機能を付与してあり、多くの光を取り出せる構造とされている。
【0004】
上記の構造からも分かるとおり、半導体発光装置には、従来の白熱電球や蛍光灯とは異なる構造及び部材が必要である上、液晶テレビのバックライトユニット、照明、表示灯などそれぞれの用途により求められる性能が異なるため、それぞれに応じた開発が必要になる。バックライトユニットにおいても、直下タイプとエッジタイプにおいても配光という観点で求められる性能が異なり、その開発は未だ十分になされているとはいえない。上述した封止材についても同様であり、現在エポキシ系もしくはシリコーン系の樹脂が主流であるが、さらなる性能向上のための開発検討、材料探索が求められている。例えば、特許文献1には脂環式炭化水素化合物を用いた半導体発光装置の樹脂原料組成物が開示されている。
【0005】
封止材の形態的な工夫としては、液晶表示装置のバックライトユニットに用いられる半導体発光装置について、硬化収縮のないシリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂を吸油性の拡散剤と混合して硬化させることにより、その出光面が凹んだ形状に形成されたものが提案されている(特許文献2,3)。このような凹み形状にすることで該半導体発光装置からの配光を狭くし、バックライトユニットの導光板への導入率を向上させている。あるいは、半導体発光装置に対向する導光板の端面に対し出光面が平行にならないように形成されたものが提案されている。具体的には、半導体発光装置の封止材の断面をV字型に型付けしたものが開示されている。(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開公報2006/051803号パンフレット
【特許文献2】特開2007−165803号公報
【特許文献3】特許第4010299号明細書
【特許文献4】特開2009−301725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、半導体発光装置の封止樹脂に関しては上記のように幾つかの開発例があるものの、デバイスの構成と、その形状や構造を実現するために特に適した材料の種類や配合、その製造適性との関係についての研究は未だ十分には進んでいない。
そこで、本発明は、半導体発光装置における封止材の光学的な特性に着目し、適切に集光された狭い照射領域を実現する配光性を有し、しかも製造効率のよい成形方法を採用することができる半導体発光装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、前記の課題を解決するものとして下記手段を提供するものである。
(1)リフレクターパッケージ基材と、該リフレクターパッケージ基材の凹状空間に実装された半導体発光素子と、該半導体発光素子を封止した極性基含有アクリル系樹脂を含む封止材とを具備する半導体発光装置であって、
該封止材の出光面が曲面状に凹んでおり、その凹んだ出光面の曲率半径が、該出光面の平面視における直径もしくは短辺の長さの1.8倍〜4.5倍に設定された半導体発光装置。
(2)前記封止材が、リフレクターパッケージ基材の凹状空間に極性基含有アクリル系モノマーを含む封止剤を付与し、該アクリル系モノマーを硬化させてアクリル系樹脂として賦形したものである(1)に記載の半導体発光装置。
(3)前記極性基がヒドロキシル基、オリゴエチレングリコール基、イソシアヌル酸誘導基である(1)又は(2)に記載の半導体発光装置。
(4)前記リフレクターパッケージの電極部の表面が銀を含む(1)〜(3)のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
(5)前記封止材の80%以上が有機成分である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
(6)前記アクリル系樹脂がイソシアヌル酸アクリレート誘導体を硬化させた樹脂を50質量%以上含むことを特徴とした(1)〜(5)のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
(7)前記硬化前のアクリル系樹脂をなすモノマーのアクリル基もしくはメタクリル基の比率が、該モノマーを含む封止剤の総質量に対して、4mmol/g以上6.5mmol/g未満である組成液の硬化物である(1)〜(6)のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
(8)前記アクリル基もしくはメタクリル基の比率が5.3mmol/g以上6.3mmol/g未満である組成液の硬化物である(7)に記載の半導体発光装置。
(9)リフレクターパッケージの凹状空間に半導体発光素子を実装し、該半導体発光素子を埋設するよう前記凹状空間に極性基含有アクリル系モノマーを含む封止剤を付与し、次いで、該封止剤を硬化させて封止材とするに当たり、前記封止剤の硬化による体積収縮により、その滴下面を部分的に降下させ、該滴下面を前記封止材の凹んだ出光面として賦形する半導体発光装置の製造方法。
(10)前記アクリル系モノマーとして、下記式1で表される化合物を用いる(9)に記載の半導体発光装置の製造方法。
【0009】
【化1】

(式(1)中のR、R、Rは、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、炭素数6〜24のアリール基、下記式(I)で表されるアクリロイルオキシ基、又は下記式(II)で表されるアシルオキシ基を表す。Lは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。ただし、R、R、及びRの少なくとも1つは前記アクリロリルオキシ基である。)
【0010】
【化2】

(式中、R11は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。*は結合手を表す。)
【0011】
【化3】

(式中、R12は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基を表す。*は結合手を表す。)
(11)前記極性基含有モノマーを含む封止剤は、その粘度が800mPas以上20,000mPas未満である(9)又は(10)に記載の半導体発光装置の製造方法。
(12)前記硬化前のアクリル系モノマーについて以下の試験を行った際の揮発量が10質量%未満である(9)〜(11)のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
(TG/DTAにおいて5mgを3℃/分の昇温速度で、80℃60min+130℃60minで加熱し、そのときの重量減少を解析する。)
【発明の効果】
【0012】
本発明は、半導体発光素子の封止材に求められる要求性能を高いレベルで満足し、その上で適切に集光された狭い照射領域を実現する配光性を有し、しかも製造効率のよい成形方法を採用することができる半導体発光装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係る半導体発光装置を模式的に示した装置説明図
【図2】半導体発光装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図3】半導体発光装置の開口部の形状と各寸法との関係を模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の半導体発光装置は、リフレクターパッケージ基材と、該リフレクターパッケージ基材の凹状空間に実装された半導体発光素子と、該半導体発光素子を封止したアクリル系樹脂の硬化物を含む封止材とを具備する。その封止材の出光面は曲面状に凹んでおり、その凹んだ出光面は特定の曲率半径を有する。ここで曲面状とは、実質的に曲線が連続した面で構成されていればよく、本発明の効果を損ねない範囲で部分的に平坦面を含んでいてもよい。例えば、略球面状の凹面が挙げられる。典型的には出光面の50%(面積比)以上が曲面で構成されていることが好ましく、70%以上が曲面で構成されていることがより好ましい。曲面は緩やかな曲率であってよく、厳密に評価する必要があるときには、例えば面方向のいずれにおいても曲率半径として出光面の直径ないし短辺の長さの10倍以上の面を平坦面と定義し、上記の面積比を算定する。曲面の割合の上限は特にないが、100%(面積比)が曲面で構成されていることが好ましい。以下に、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
[半導体発光装置]
図2は本発明の好ましい実施形態に係る半導体発光装置を模式的に示した装置説明図である。基本的なデバイス構成は図1に示した一般的なものと同様であり、半導体発光素子1、リフレクターパッケージ基材2、封止材3、電極4、ボンディングワイヤ6、ダイボンド剤8をもつ、半導体発光装置10として構成されている。ただし、ここで説明する光学的な特徴を図示する都合上、リフレクターパッケージ基材2、封止材3、素子1以外は図示を省略している。また、図示の都合上、若干図1と異なる断面形態のものとして描写している。なお、装置の上下は特に制限されないが、必要により、出光面3a側を「上」ないし「天」の側として表示し、素子1の側を「下」ないし「底」の側として表示する。ただし、本発明がこの説明及び図示した形態のデバイスにより限定して解釈されるものではない。
【0016】
本実施形態のリフレクターパッケージ基材2は封止前のポッティングの際には、凹状空間Wをなし、樹脂(液状の封止剤)を受け止める容器の役割を担う。一方、硬化後には該半導体発光素子やボンディングワイヤを外部から守る保護の役割、該半導体発光素子からの光を反射して取り出し効率を高め、またその光を配光するリフレクターとしての役割を担う。封止液を受け止める容器の役割としては、液が保持されるように凹み形状を有すると共に、硬化時にも形状を維持できるような耐熱性を有する素材が使用されることが好ましい。また、保護の役割としては、力学的な衝撃からの保護に加えて硫化水素や硫黄ガスなどのような硫化ガスからの保護の役割が求められ、その観点からそのものの耐性と共に封止材との密着性のある素材が使用される。
リフレクターパッケージとしては電極が一体成型されているもの、及びパッケージを成型した後にメッキなどにより回路配線として電極を設けたものを用いることができる。また、実装方式としてトップビュー、サイドビューなど任意の実装方式に対応したパッケージを用いることができる。
【0017】
パッケージの形状としては、円柱、楕円柱、立方体、直方体、直方体と楕円柱の間の形状やこれらの組み合わせなど任意の形状を採用することができる。また、平坦な反射部にダム材と呼ばれる材料で堰を予め作製しておきその内側を凹部(キャビティ)として用いることもできるが、配光性の観点から予め凹部(キャビティ)を有するリフレクターパッケージを用いることが好ましい。リフレクターw1,w2,w3は、該半導体発光素子からの光を直接反射する機能に加えて封止材/空気界面において全反射された光を反射する機能を有することが好ましい。特に本実施形態(図2)においては光をシャープに配向するために全反射で封止材内部に閉じ込められた光を適切に反射して外部に取り出すことができ好ましい。内壁部の形状は底部に対して任意の角度を選択できるが、反射により光を取り出す目的や、前記封止材形状を適切に凹んだ形状にする目的においては、底に行くほど面積が小さくなるようなすり鉢形状であることが好ましい。凹部の底の形状は平面状や凹み形状などの任意の形状が選択できる。
リフレクターパッケージ基材の素材としては、前記の耐熱性、封止材との密着性、反射率、電気絶縁性、また耐熱性としては硬化時の形状維持の観点と使用時の反射率維持の観点から、適切な素材が選択されることが好ましい。具体的にはアルミナなどのセラミックス、ポリフタルアミドなどの樹脂に酸化チタンなどの白色顔料を混合した素材などが選択されることが好ましい。リフレクターパッケージの形状としては、前記の閉じ込められた光を適切な配光になるように反射するよう、すり鉢形状が好ましく選択される。また、リフレクターパッケージに含まれる反射部は電極を兼ね備えることができ、反射率の高い銀を表面に有することが好ましい。パッケージの成形法としては、前記電極を予め金型内に設置して行うインサート成形、射出成形、押出成形、トランスファ成型などを用いることができる
【0018】
本実施形態の半導体発光装置10は、その封止材の外表面として、緩やかにすり鉢状になって曲線状に凹んだ出光面3aを有する。この凹レンズのように滑らかに曲線を描いた球面状の形態は、特定のアクリル系樹脂をポッティングにより成形することにより、好適に作出することができる。その製造方法については、後で詳述するが、凹状空間Wの側面(リフレクター)w1,w2の表面張力が適度に作用し、その部分の樹脂高さは仮想平面3bのところもしくはその付近で維持され、一方、中央にいくにつれ体積収縮により浅くなった状態で凹んだ面が形成される。その状態で硬化され、受け皿のような面を有する封止材3の形状が固定され、上記曲面状の出光面3aが形成される。
【0019】
この曲面状に凹んだ出光面3aは、封止材のもつ光の屈折率と相俟って、特有の配光性を実現する。封止材の屈折率は、室温(約28℃)で、1.45以上1.7未満であることが実際的である。これに対し、外部空間が空気である場合、光源である半導体発光素子から発せられた光は、両者の界面である出光面3aで屈折する。この状況を模式的に示したのが、光路p1、p2、p3である。光路p1は中心に設置された素子から仮想出光平面に対して垂直に進行する光であり、この部分では出光面3aでは屈折せずに光はそのまま直線的に進行する。一方、光路p2では出光面3aに斜めに低い角度をもって進行するため、この部分で光は屈折し、本実施形態ではデバイスの右外方にそれて光が進行していく。他方、さらに外方に向け発せられた光(光路p3)は、出光面にさらに低角度で到達するため、外部に放射せず、出光面3aで全反射して進行する。その後、リフレクター(側面)w2で反射した光は、仮想出光平面にほぼ垂直に進行し配光される。このような光の反射及び伝播の形態は図2の左側においても同様であり、より発光素子の開口部全域においてより配光性の狭い光が放射されることとなる。
【0020】
これに対し、仮想出光平面3bを出光面とするデバイス(比較例)では、図2のp3の光路で光が進行してきた場合、p2場合と同様にデバイスの右外方に屈折して光が放射される。それだけ光は発散され、導光板が前方にある場合には、非効率な光照射となってしまう。その損失は、例えば液晶表示装置のバックライトユニットのような場合には顕著になり、発散する光は無駄になるばかりでなく、装置内部で緩衝するなど画像表示に悪影響を来たすこともある。
【0021】
本実施形態の半導体発光装置10によれば、このような光の発散は効果的に抑制され、適切に集光して配光された状態で光を対象物に供給することができる。一般的にこのような集光を行う場合には、封止材の上方に凸レンズを設けることが考えられるが、本実施形態によれば、このような無駄な部材を排除して、より小型でシンプルな構造のデバイスとすることができ好ましい。さらに、後述するように本実施形態のデバイスの利点は、上記のような特別な形状の封止材を、ポッティングという軽便な製造方法によって賦形することができ、モールドなどを利用した型付け法に比し、製造効率の点で大きな利点を有することである。とりわけ、液晶表示装置のバックライトユニットなども、昨今では携帯機器への対応を受け小サイズ化される傾向にあり、微小モールドを用いた型付けに対して、ポッティング法により大幅な製造効率の向上を実現することが可能である。
【0022】
<曲率半径>
本発明においては、封止材の出光面の平面視における直径もしくは短辺の長さの1.8倍〜4.5倍に設定されており、2.0倍〜3.7倍であることが好ましく、2.2倍〜2.5倍であることがより好ましい。この曲率半径を上記上限値以下とすることで、該配光性をより狭くすることができる。一方、上記下限値以上とすることで、クラックの発生を抑制することできる。
【0023】
本発明において、封止材の出光面の曲率半径は、その凹み具合を表している。解析方法としては、例えば共焦点光学系を利用したレーザー顕微鏡などにより封止材形状を測定し、その形状を幾何学的に計算する方法が挙げられる。具体的には解析によって得られた封止材中心部の表面形状を線で表示し、それにフィットするような円を描くことで封止材形状のおおよその曲率半径を求めることができる。このとき球面状の凹みであれば、凹みの中心を定め、360°の面方向に一定間隔で曲率半径を求め、その平均値を採用することができる。あるいは、円筒状の凹みであれば、先導曲線あるいはそれに平行な円弧の曲率半径を求めればよい。このとき、母線方向に数点を取ってその平均値として求めてもよい。デバイスの出光面の平面形状との関係でいうと、円形状であれば(図3(a))、その直径Dを測定し、他方、球面状の凹みの曲率半径を上記のようにして測定し、その比率を求めればよい。楕円形状の出光面であれば(図3(b))、その短辺の長さLsを測定し、その短辺Lsに対応した円弧の曲率半径を測定し、その比率を求めることができる。短辺はリフレクターパッケージの中心を通りパッケージ外端2点を通る直線のうち、長さが最も短い線分を指す。
【0024】
なお、上記は封止材が十分に凹んでいる場合に適した解析できる手法であり、平ら、凸、デコボコしている場合はそれにそった解析手法を適宜採用すればよい。上記手法で求めた曲率半径とパッケージ直径もしくは短辺の長さの比が10を超える場合はそれは十分に平らであると判断することができる。解析の測定機としては、例えば株式会社キーエンス製形状測定マイクロスコープVK−9500(商品名)などを用いることができる。
【0025】
ここでポッティングについて説明する。ポッティングとは、前記リフレクターパッケージ基材のキャビティー(凹状空間)の内部に前記封止液を吐出して内部を埋める操作を表す。硬化プロセスはポッティング後に封止液を充填されたリフレクターパッケージ(リフレクターパッケージ基材のほか、素子、ボンディングワイヤ、電極を含むパッケージ)をオーブンなどの一般的な加熱装置に入れて硬化できるため、システムとしてはディスペンサと加熱装置だけの非常に単純な構成で済む。また、金型やマスクを必要としないため、デバイスの形状などの変更の際にも迅速かつ安価に対応することが可能であり、汎用性の高い封止方式といえる。更に、コンプレッションモールド成形やトランスファーモールド成形などのモールド成形方式においては金型に対する離型性の悪さ、封止液の廃棄率の高さ、粘度の制限などが問題であるが、ポッティング方式ではこれらの問題がない。
【0026】
一方、モールド成形方式と比較すると、ポッティングでは封止形状の制御性が低いために配光性の付与が行いにくいことが挙げられる。特に配光を狭くする場合、一般的には砲弾型LEDで見られるように前記発光素子の上部に凸レンズを一体成形する手法が採用される場合が多い。砲弾型LEDは放熱性が著しく悪いため表面実装型が採用されることが多いが、この場合も同様に凸型レンズをモールドで一体成形するもしくはポッティング封止したパッケージの上部に凸レンズを乗せる手法が取られることが多い。このように凸レンズをポッティングのみで成形しようとすると凸部の封止液が硬化中に垂れて平坦になってしまうため、達成できない。そのため、ポッティングのみで配光性を付与する方法が求められている。
【0027】
封止液の吐出方式としては、スクリュータイプなどのメカニカルなディスペンス方式、エアパルス式ディスペンス、非接触ジェット式ディスペンスなどが挙げられる。ポッティング装置であるディスペンサとしては、例えば具体的には武蔵エンジニアリング社、サンエイテック社などから出されている装置が使用される。
【0028】
上記実施形態におけるポッティングにより、樹脂の硬化収縮を利用して凹みを作成するに当たり、その凹状面の曲率半径は適宜各条件を調整することにより行うことができる。例えば、素子の上面の高さ(仮想平面3b)の高さにたいして、そこに充填する液状封止剤の量を調節することにより行うことができる。例えば、高めの粘度の封止剤であれば、充填量を減らし液面を下げた方が、封止材の上面の高さの差が大きくなり、封止材の出光面3aの曲率半径は小さくなる傾向にある。ただし、充填量を減らすことにより曲率半径を小さくする方法は限度がある上、充填量を減らし過ぎるとボンディングワイヤや半導体発光素子が封止材から露出するおそれがあるため、充填量は適量に調整する必要がある。
【0029】
[アクリル系樹脂]
本発明の封止材は、リフレクターパッケージ基材の凹状空間に前記極性基含有アクリル系モノマーを付与し、該アクリル系モノマーを硬化させて賦形したものであることが好ましい。極性基を含有することでモノマーが比較的低分子であっても硬化時における揮発を抑制することができるため、前記の適切な凹み形状を形成することができる。なお、硬化中に該モノマーが揮発してしまう場合、再現良く目的の凹み形状を形成することができない。本明細書において極性基とは、電気的に分極された官能基を言い、具体的には電気陰性度の大きい酸素、窒素、硫黄などの元素を含む官能基が含まれる。
【0030】
極性基の具体例としてはヒドロキシル基、オリゴエチレングリコール基、イソシアヌル酸誘導体基、カルボキシル基、アルデヒド基、エーテル基、チオール基、スルホ基(スルホン酸基)、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオエーテル基、ジスルフィド基、リン酸基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、グアジニノ基、アセタール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、またオキセタンなどの脂肪族へテロ環化合物誘導体基、フランやベンゾフランなどのへテロ環化合物誘導体基などを含むことが好ましく、副反応の抑制の観点からヒドロキシル基、オリゴエチレングリコール基、イソシアヌル酸誘導体基(好ましくは下式(A))が、特に好ましくはヒドロキシル基が好ましく選択される。
【0031】
【化4】

【0032】
・Ra1、Ra2、Ra3
式(A)中のRa1、Ra2、Ra3は、それぞれ独立に、結合手、水素原子、水酸基を含有する基、炭素数1〜10のアルコキシ基を含有する基、炭素数6〜24のアリールオキシ基を含有する基、又は下記式(II)で表されるアシルオキシ基を含有する基を表す。ただし、Ra1、Ra2、及びRa3の少なくとも1つは結合手である。また、式(A)で表される1ユニットあたりRa1、Ra2、及びRa3の少なくとも平均0.5個以上が水酸基を含有する基である。なお、式(II)は下記式(1)と同義である。ここで、・・・を含有する基とは、当該置換基のほか、その置換基を含有する置換基を含む意味である。例えば、水酸基を含有する基とはヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基等のほか、水酸基(ヒドロキシ基)そのものであってもよい。
【0033】
前記封止材は、その80%以上が有機成分であることが好ましい。また、前記アクリル系モノマーを硬化させたアクリル系樹脂としてはその95%以上が有機成分であることが好ましく、97〜100%が有機成分であることがより好ましい。有機成分が多いことでシリコーンやゾルゲル形成シリカのような無機成分に由来するガスバリア性の低さを低減することができる。また、ガスバリア性が高いことで硫化水素などの銀を硫化するガスの進入を防ぐことができるため、銀硫化によるリフレクター反射率の低下を抑制することができる。
【0034】
前記硬化前のアクリルモノマーのアクリル基もしくはメタクリル基の比率は、封止剤の総質量に対して、4mmol/g以上6.5mmol/g未満であるであることが好ましく、5.4mmol/g以上6.3mmol/g未満であることがより好ましい。該比率は大きいほど硬化前後における体積収縮を大きくすることができるため、封止材形状をパッケージ形状に合わせて適切に凹ませることができる。また、該比率が大きすぎると硬化収縮により硬化後の封止材にクラックが入ってしまう、または残留応力が大きくなりその後の衝撃でクラックが入ってしまうという問題がある。該比率を適切な範囲に調整する方法としては分子量が300〜500程度で1分子あたりアクリル基もしくはメタクリル基を2つ含有するモノマーを単独又は組み合わせて用いる方法が挙げられる。また、アクリル基もしくはメタクリル基の数に合わせて分子量の大きいモノマーを採用することもできる。極性基を含有するモノマーでこの範囲のものを採用することにより、揮発を抑制しつつ硬化収縮による適切な凹み形状を形成することができる。
【0035】
前記硬化前のアクリル系モノマーは揮発性が低いことが好ましい。これは上記の通り、硬化中にモノマー成分が揮発してしまうと、再現良く目的の凹み形状を形成することができないためである。なお、前記封止液の量は一般的に1デバイス当たり数10mg未満と非常に量が少ないために、硬化温度が該モノマーの沸点以下だとしても、少しだけ揮発する成分の影響が大きい。揮発性の評価基準として、次の試験の揮発量を採用することができる。試験としては、TG/DTAにおいて該アクリル系モノマー5mgを3℃/分の昇温速度で、80℃60min+130℃60minで加熱し、そのときの重量減少を解析する。その際、該アクリル系モノマーの総量を100質量%とするときの揮発量が10質量%未満であることが好ましい。また、非揮発性としては限度はないが、揮発性が低い物は常温常圧で固体になりやすいため、その場合は液体成分に溶解して用いる必要がある。
【0036】
本発明において好ましくは封止材が、リフレクターパッケージ基材の凹状空間に前記アクリル系樹脂を付与し、該アクリル系樹脂を硬化させて賦形したものである。前記アクリル系樹脂がイソシアヌル酸アクリレート誘導体重合物を有することが好ましく、50質量%以上(樹脂総量対比)含むことが好ましく、80%以上含むことがより好ましい。この時、イソシアヌル酸アクリレート誘導体としては、式1で示す化合物を指す。解析方法としては分解物のLC-MSやGC-MS、IR、NMRなどを組み合わせて使用することができる。イソシアヌル酸アクリレート誘導体重合物をこの範囲で含ませることにより、封止材としたときに、透明性、耐熱着色性、耐クラック性のすべてにおいて高い性能を付与でき、ポッティング性にも優れることから好ましい。
【0037】
前記アクリル系樹脂は、硬化前後における体積収縮率が10%以上20%未満であることが好ましく、12%以上18%未満であることがより好ましい。このような体積収縮率とすることで、硬化後の封止材において、光学的に良好な凹状の出光面3aを形成することができ好ましい。
前記硬化前のアクリル系樹脂は、その粘度が800mPas以上20,000mPas未満であることが好ましく、1,000mPas以上10,000mPas未満であることがより好ましい。このような粘度領域とすることで、優れたポッティング適性を発揮し、目的とする凹状出光面の封止材が得られる点で好ましい。
【0038】
[特定イソシアヌレート化合物]
本発明の半導体発光装置の封止材を形成する封止剤については、イソシアヌレート構造を有する特定のアクリレート化合物(以下、特定イソシアヌレート化合物ということがある。)を特定濃度含有させ、必要により複数のものを特定の混合比で含有させてなることが好ましい。以下、本発明の好ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0039】
[式(1)で表される化合物]
本発明においては、下記式(1)で表される特定イソシアヌレート化合物を用いることが好ましい。
【0040】
【化5】

・R、R、R
式(1)中のR、R、Rは、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、炭素数6〜24のアリール基、下記式(I)で表されるアクリロイルオキシ基、又は下記式(II)で表されるアシルオキシ基を表す。Lは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。ただし、R、R、及びRの少なくとも1つは前記アクリロイルオキシ基である。
【0041】
【化6】

式中、R11は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。*は結合手を表す。
【0042】
【化7】

式中、R12は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基を表す。*は結合手を表す。
【0043】
、R、R、R12において、炭素数1〜10のアルキル基としては直鎖のアルキル基、分岐のアルキル基、環状アルキル基が上げられるが、中でも、炭素数3〜10の直鎖のアルキル基、炭素数6〜10の分岐のアルキル基、炭素数6〜10の環状アルキル基が好ましい。
式(II)で表されるアシルオキシ基としては、式中R12がアルキル基の場合、直鎖のアルキル基、分岐のアルキル基、環状アルキル基が上げられるが、中でも、炭素数3〜10の直鎖のアルキル基、炭素数6〜10の分岐のアルキル基、炭素数6〜10の環状アルキル基が好ましい。
式(II)中のR12がアリール基の場合、アリール基としては、単環でも複環でもよいが、中でもフェニル基が好ましい。
前記アルキル基及びアリール基はさらに置換基を伴っていてもよく、その例としては後記置換基Tが挙げられる。
【0044】
は炭素数1〜4のアルキレン基であるが、中でもエチレン基又はイソプロピレン基(N−CH−CH(CH)−Rの向き:RはR、R、又はR)が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0045】
[封止剤の成分組成]
本発明の封止剤においては、上記式(1)で表される化合物の濃度は、封止剤の有機成分全量に対して80質量%超であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特になく、重合開始剤を除いて言うと実質的に100質量%程度であることが特に好ましい。ここで実質的にとしたのは、トルエンなどの残溶媒が、0〜10質量%程度の割合で混入してしまうことがあり、本発明の効果を損ねない範囲でそのような不可避混入物の存在を許容するものである。あるいは、封止剤の粘度を下げる必要がある場合などには、必要量の添加剤を付与してもよい。また、封止剤は、必須成分に加え後記重合禁止剤など必要に応じて任意成分を含んでもよいが、無溶媒で用いることが好ましい。このように無溶媒でありながら十分な流動性と好適な粘性を有するため、半導体発光素子の封止剤の成形性に優れる。とりわけポッティングによる成形に効果的に対応することができ、モールド成形などと比し、大幅な製造効率の改善にも資するものである。なお、封止剤の有機成分とは炭素原子を含む化合物からなる成分をさすが、炭素原子を含んでいても蛍光体は含まない意味である。その他、厳密には水や無機塩などの微量成分も除く意味である。
【0046】
封止剤の粘土は特に限定されないが、ポッティング性および蛍光体安定分散性の観点で、0.1〜100Pa.sが好ましく、0.5〜20Pa.sがより好ましく、1.0〜10Pa.sが更に好ましい。本発明において粘度は特に断らない限り、下記の方法で測定した値を言う。
(粘度の測定法)
本発明においては、特に断らない限り、後記実施例で採用した方法によるものとする。
【0047】
封止剤は重合開始剤を有してなることが好ましい。重合開始剤はこの種の重合性化合物に通常適用されるものであればよく、その具体的なものは後述する。重合開始剤の量は特に限定されないが、0.1質量%以上5以下であることが好ましく、0.5質量%以上2.0以下であることがより好ましい。上記下限値以上とすることで重合反応を良好に開始させることができる。一方、上記上限値以下とすることで、上記特定イソシアヌレート化合物を適用したことによる封止剤の優れた効果を十分に引き出すことができ好ましい。
【0048】
(イソシアヌレート化合物[A])
前記式(1)で表される特定イソシアヌレート化合物は、下記式(1−1)、(1−2)、又は(1−3)で表されるものであることが好ましい。本明細書では、この式(1−1)、(1−2)、又は(1−3)で表される化合物の総称としてイソシアヌレート化合物[A]と呼ぶ。
【0049】
【化8】

【0050】
・R、R、R、R
式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素又はメチル基である。Rは、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、および式(II)で表されるアシルオキシ基の何れか1種以上である。Lは式(1)と同義である。
Laは式(1)と同義である。
【0051】
上記イソシアヌレート化合物[A]は、上記各式の化合物について特定の比率で含有させることがこのましい。前記イソシアヌレート化合物[A]を100質量%としたとき、式(1−1)で表される化合物が0質量%以上35質量%以下であることが好ましく、0質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
式(1−2)で表される化合物が65質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
式(1−3)で表される化合物が0質量%以上25質量%以下であることが好ましく、0質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
【0052】
イソシアヌレート化合物[A]をそれぞれ上記の比率で含有させることで、透明性と、耐熱着色性と、耐熱衝撃性と、ガスバリア性を一層高いレベルで満足することができる。
【0053】
本発明においては、前記特定イソシアヌレート化合物が、下記式(1−4)で表される化合物を1質量%以上50質量%未満含むことが好ましい。本明細書では、この式(1−4)で表される化合物をイソシアヌレート化合物[B]と呼ぶ。
【0054】
【化9】

【0055】
・R、R、R12は、式(1−1)及び式(II)と同義である。Lは式(1)と同義である。
【0056】
イソシアヌレート化合物[B]の添加量は特に限定されないが、1質量%以上50質量%未満で含むことが好ましく、3質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。上記の範囲でイソシアヌレート化合物[B]を適用することで、硬化物の耐熱衝撃性(耐クラック性)、および耐熱着色性を悪化させることなく吸水率を低下させることができ、吸水起因による故障(例えば、吸水した状態でリフロー処理を行った際に発生する吸湿リフロークラックなど)を低下させることが可能であり、結果、信頼性の高いLED素子を提供することができる。
【0057】
本実施形態の封止剤は、その酸価が0.10mgKOH/g以下であることが好ましく、0.05mgKOH/g以下であることがより好ましく、0.02mgKOH/g以下であることが特に好ましい。上記上限値以下とすることで耐熱着色性がよりいっそう向上するという利点があり好ましい。下限値は特に限定されないが、0.001mgKOH/g以上であることが実際的である。封止剤の酸価の調節方法は特に限定されないが、活性炭やシリカ等の吸着剤と本実施形態のイソシアヌレート化合物とを混ぜ合わせ、静置した後、ろ過により吸着剤を除去することにより、イソシアヌレート化合物の酸価を低下させることができる。
【0058】
なお、本明細書において「化合物」という語を末尾に付して呼ぶとき、あるいは特定の名称ないし化学式で示すときには、当該化合物そのものに加え、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の形態で修飾された誘導体を含む意味である。また、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
【0059】
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
【0060】
上記特定イソシアヌレート化合物は定法により合成すればよく、特にその合成方法は限定されない。その市販品等の情報は、例えば、特開2003−213159号公報を参照することができる。
【0061】
[重合開始剤]
本実施形態の封止剤には、重合開始剤を含有させる。
なかでもラジカル重合開始剤を配合することが挙げられる。
熱によって開裂して開始ラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ジイソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びm−トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチル)シクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン及び2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオジカーボネート、α−クミルペルオキシネオジカーボネート、t−ブチルペルオキシネオジカーボネート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート及びジブチルペルオキシトリメチルアジペートなどのアルキルパーエステル類;ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(1,1−ブチルシクロヘキサオキシジカーボネート)、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート及び1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボキシ)ヘキサンなどのパーオキシカーボネート類;1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン及び(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネートなどが挙げられる。
アゾ系(AIBN等)の重合開始剤として使用するアゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等が挙げられる(特開2010−189471など参照)。
【0062】
ラジカル重合開始剤として、上記の熱ラジカル重合開始剤の他に、光、電子線又は放射線で開始ラジカルを生成するラジカル重合開始剤を用いることができる。
このようなラジカル重合開始剤としては、ベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン〔IRGACURE651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン〔DAROCUR1173、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン〔IRGACURE2959、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン〔IRGACURE127、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン〔IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1〔IRGACURE369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モノホリニル)フェニル]−1−ブタノン〔IRGACURE379、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド〔DAROCUR TPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド〔IRGACURE819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム〔IRGACURE784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]〔IRGACURE OXE 01、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)〔IRGACURE OXE 02、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕などを挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも好ましくは、パーオキサイド化合物が挙げられ、パーブチルO(t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油(株)社製)などを用いることができる。
重合開始剤の含有量は特に限定されないが、0.1〜5質量%で適用することが好ましい。
【0063】
[重合禁止剤]
本実施形態の封止剤には、重合禁止剤を添加してもよい。前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン類;銅類等を用いることができる。
重合禁止剤の含有量は特に限定されないが、0〜20000ppm、好ましくは100〜10000ppm、更に好ましくは300〜8000ppmで添加することが好ましい。重合禁止剤の添加量が少なすぎると、封止硬化時に、急激に発熱を生じながら重合が起こるため、リフレクターパッケージ基材との密着性が低下し、熱衝撃を与えた際に、封止材/基材界面で剥離が生じやすくなる。一方、重合禁止剤の添加量が多すぎると、大気下で封止剤を硬化する際、硬化速度を著しく低下させ、表面硬化不良を引き起こす。
【0064】
[蛍光体]
本実施形態においては、封止剤100質量部に対し蛍光体1〜40質量部を配合してなることが好ましく、2質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上20質量部以下であることが特に好ましい。蛍光体としては、この種のデバイスに通常用いられるものを適用すればよいが、例えば、代表的な黄色蛍光体として、一般式A5012:M(式中、成分Aは、Y,Gd,Tb,La,Lu,Se及びSmからなるグループの少なくとも1つの元素を有し、成分Bは、Al,Ga及びInからなるグループの少なくとも一つの元素を有し、成分MはCe,Pr,Eu,Cr,Nd及びErからなるグループの少なくとも一つの元素を有する。)のガーネットのグループからなる蛍光体粒子を含有するのが特に有利である。青色光を放射する発光ダイオードチップを備えた白色光を放射する発光ダイオード素子用に蛍光体として、Yl512:Ce蛍光体及び/又は(Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12:Ce蛍光体が適している。その他の蛍光体として、例えば、CaGa:Ce3+及びSrGa:Ce3+、YAlO:Ce3+、YGaO:Ce3+、Y(Al,Ga)O:Ce3+、YSiO:Ce3+等が挙げられる(特開2011−144360など参照)。また、混合色光を作製するためには、これらの蛍光体の他に希土類でドープされたアルミン酸塩や希土類でドープされたオルトケイ酸塩などが適している。この種の蛍光体を硬化性組成物100質量部に対して1〜50質量部配合することで、青色に発光する素子を用いたとき、その発光色を白色に変換することができる。
【0065】
[酸化防止剤]
本実施形態の封止剤には必要に応じて酸化防止剤を含有させることが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、チオエーテル酸化防止剤、ビタミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0066】
フェノール系酸化防止剤としては、Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox3114(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox3125(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、アデカスタブAO−20(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−50(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−60(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−80(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−30(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−40(株式会社ADEKA、商標)、BHT(武田薬品工業(株)製、商標)、Cyanox1790(サイアナミド社製、商標)、SumiliZerGP(住友化学(株)製、商標)、SumiliZerGM(住友化学(株)製、商標)、SumiliZerGS(住友化学(株)製、商標)及び、SumiliZerGA−80(住友化学(株)製、商標)などの市販品を挙げることができる。
【0067】
リン系化合物としてはIRAGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS12(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS38(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS P−EPQ(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS126(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、ADKSTAB 329K(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB PEP−36(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB PEP−8(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB HP−10(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB 2112(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB 260(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB 522A(株式会社ADEKA、商標)、Weston 618(GE社製、商標)、Weston 619G(GE社製、商標)、及びWeston 624(GE社製、商標)などの市販品を挙げることができる。
【0068】
イオウ系酸化防止剤としては、DSTP(ヨシトミ)〔吉富(株)製、商標〕、DLTP(ヨシトミ)〔吉富(株)製、商標〕、DLTOIB〔吉富(株)製、商標〕、DMTP(ヨシトミ)〔吉富(株)製、商標〕、Seenox 412S〔シプロ化成(株)製、商標〕、Cyanox 1212(サイアナミド社製、商標)及びTP−D、TPS、TPM、TPL−R[住友化学(株)製、商標]等の市販品を挙げることができる。ビタミン系酸化防止剤としては、トコフェロール〔エーザイ(株)製、商標〕及びIrganoxE201〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標、化合物名;2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クマロン−6−オール〕などの市販品を挙げることができる。
【0069】
チオエーテル系酸化防止剤としては、アデカスタブAO−412S(株式会社ADEKA製、商標)、アデカスタブAO−503(株式会社ADEKA製、商標)などの市販品を挙げることができる。ラクトン系酸化防止剤としては、特開平7−233160号公報及び特開平7−247278号公報に記載されているものを使用することができる。また、HP−136〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標、化合物名;5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン〕などの市販品を挙げることができる。
【0070】
アミン系酸化防止剤としては、IrgastabFS042〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕及びGENOX EP〔クロンプトン社製、商標、化合物名;ジアルキル−N−メチルアミンオキサイド〕などの市販品を挙げることができる。これらの酸化防止剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができ る。
【0071】
酸化防止剤の含有量は、半導体発光装置用樹脂材料の透明性、黄変性の低下を抑制する観点から、前記誘導体A又はBとの合計量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.02〜2質量部である。
【0072】
[光安定剤等]
本実施形態の封止剤には、前記の酸化防止剤の他に、必要に応じて、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機化合物との密着性改良を目的とした成分などを配合することができる。滑剤としては、高級ジカルボン酸金属塩及び高級カルボン酸エステル等を使用することができる。
【0073】
光安定剤としては、公知のものを使用することができるが、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤である。ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ADKSTAB LA−77、同LA−57、同LA−52、同LA−62、同LA−67、同LA−68、同LA−63、同LA−94、同LA−94、同LA−82及び同LA−87〔以上、株式会社ADEKA製〕、Tinuvin123、同144、同440及び同662、Chimassorb2020、同119、同944〔以上、CSC社製〕、Hostavin N30(Hoechst社製)、Cyasorb UV−3346、同UV−3526(以上、Cytec社製)、Uval 299(GLC)及びSanduvorPR−31(Clariant)などを挙げることができる。これらの光安定剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
光安定剤の使用量は、前記誘導体A又はBとの合計量100質量部に対して、通常、0.005〜5質量部であり、好ましくは0.02〜2質量部である。
酸化チタンや酸化ケイ素などの無機化合物との密着性改良を目的とした成分としては、シラン化合物のメタクリオキシ基やアクリロキシ基を含むシランカップリング剤などが挙げられる。これを上記原料組成物に含有させ、重合、成形しても良い。
【0075】
(封止方式)
封止剤の封止方式としては通常半導体発光素子の封止で用いられている手法や一般的な熱硬化性樹脂の成形と同様の方法を用いることができる。例えば、ポッティング(ディスペンス)、印刷、コーティング、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形及びインサート成形などが挙げられる。ポッティングとは、パッケージのキャビティ(凹状空間)の内部に前記封止剤を吐出して内部を埋める操作を表す。また、印刷とはマスクを用いて目的の部位に封止剤を配置する操作を表し、目的に応じて周囲の圧力を減圧するいわゆる真空印刷の方式も採用できる。コーティングは各種のコーティング方式を採用することができ、例えばダム材と呼ばれる封止剤を留める堰を予め作製しておき、その内側に封止剤をコーティングする方法も採用できる。また、各種モールド成形においてはモールドの内側に封止剤を充填しそのまま熱硬化する方法が挙げられる。また、封止後の硬化は熱硬化、UV硬化などやそれらを組み合わせて用いることができる。
本発明の好ましい実施形態における半導体発光装置は、上記の液状の封止剤で封止しそれを硬化することによって作製した封止材を具備してなる。封止剤の封止方式としてはポッティングと呼ばれる封止方式が好ましい。また、封止後の硬化は熱硬化、UV硬化などやそれらを組み合わせて用いることができる。
【0076】
ここでポッティングについて説明する。ポッティングとは、前記リフレクターパッケージ基材のキャビティ(凹状空間)W(図1)の内部に前記液状の封止剤を吐出して内部を埋める操作を表す。硬化プロセスはポッティング後に封止液を充填されたリフレクターパッケージ(リフレクターパッケージ基材のほか、素子、ボンディングワイヤ、電極を含むパッケージ)をオーブンなどの一般的な加熱装置に入れて硬化できるため、システムとしてはディスペンサと加熱装置だけの非常に単純な構成で済む。また、金型やマスクを必要としないため、デバイスの形状などの変更の際にも迅速かつ安価に対応することが可能であり、汎用性の高い封止方式といえる。更に、コンプレッションモールド成形やトランスファーモールド成形などのモールド成形方式においては金型に対する離型性の悪さ、封止液の廃棄率の高さ、粘度の制限などが問題であるが、ポッティング方式ではこれらの問題がない。
【0077】
さらに、本発明の好ましい実施形態における特徴に触れると、上記のアクリレート化合物を封止剤として用いるため、ポッティングにより封止剤をキャビティー(凹状空間)に充填し、これを重合硬化したとき、配光効果のある凹状出光面が形成される。これは、主に樹脂の硬化における体積収縮に基づくものであり、上記のアクリル系樹脂を選定することにより、好適な凹状の出光面が形成されるため好ましい。
【0078】
液の吐出方式としては、スクリュータイプなどのメカニカルなディスペンス方式、エアパルス式ディスペンス、非接触ジェット式ディスペンスなどが挙げられる。ポッティング装置であるディスペンサとしては、例えば具体的には武蔵エンジニアリング社、サンエイテック社などから出されている装置が使用される。
【0079】
(半導体発光素子)
半導体発光素子としては、窒化ガリウム(GaN)系半導体からなる青色発光のLEDチップや、紫外発光のLEDチップ、レーザダイオードなどが用いられる。その他、例えば、MOCVD法等によって基板上にInN、AlN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体を発光層として形成させたものも使用できる。フェースアップ実装される半導体発光素子や、フリップチップ実装される半導体発光素子のいずれも使用することができる。半導体発光素子は、同一平面上にn側電極とp側電極を持つ半導体発光素子の例であるが、一方の面にn側電極、反対の面にp側電極を持つ半導体発光素子も使用することができる。
【0080】
(パッケージ)
パッケージとしては電極が一体成型されているもの、及びパッケージを成型した後にメッキなどにより回路配線として電極を設けたものを用いることができる。パッケージの形状としては、円柱、楕円柱、立方体、直方体、直方体と楕円柱の間の形状やこれらの組み合わせなど任意の形状を採用することができる。内壁部の形状は底部に対して任意の角度を選択でき底面に対して直角になる箱型形状や鈍角になるすり鉢形状を選択することができる。凹部の底の形状は平面状や凹み形状などの任意の形状が選択できる。また、実装方式としてトップビュー、サイドビューなど任意の実装方式に対応したパッケージを用いることができる。
パッケージを構成する素材としては、耐光性、耐熱性に優れた電気絶縁性のものが好適に用いられ、例えばポリフタルアミドなどの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ガラスエポキシ、セラミックスなどを用いることができる。また、半導体発光素子からの光を効率よく反射させるためにこれらの樹脂に酸化チタンなどの白色顔料などを混合させることができる。パッケージの成形法としては、前記電極を予め金型内に設置して行うインサート成形、射出成形、押出成形、トランスファ成型などを用いることができる。
【0081】
(電極)
電極は、半導体発光素子と電気的に接続され、例えば、パッケージにインサートされた板状の電極や、ガラスエポキシやセラミックなどの基板に形成された導電パターンであってよい。電極の材質は、銀若しくは銀を含有した合金の他、銅や鉄などを主成分とする電極の一部上に銀若しくは銀を含有した合金がメッキされているものを用いることができる。
【0082】
(蛍光体)
封止部材は、蛍光物質及び光拡散材などを含有してもよい。蛍光物質としては、半導体発光素子からの光を吸収して蛍光を発することにより波長を変換するものであればよく、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体または酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類硫化物蛍光体、アルカリ土類チオガレート蛍光体、アルカリ土類窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体、又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくとも1以上であることが好ましい。より好ましくは、(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce、(Ca,Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr)Si:Eu、CaAlSiN:Euなどが使用される。
【0083】
(評価方法)
半導体発光装置は従来の試験方法において評価することができる。例えば電気特性、光特性、温度特性、熱特性、寿命、信頼性、安全性などが挙げられる。手法としては、例えば書籍『LED照明ハンドブック LED照明推進協議会編 株式会社オーム社発行』の第2章71ページから84ページに記載の手法や基準を採用することができる。
【0084】
(用途)
半導体発光装置は、光度の維持が要求される各種用途、例えば液晶ディスプレイ、携帯電話または情報端末等のバックライト、LEDディスプレイ、フラッシュライト、及び屋内外照明などに利用することができる。また、本発明で用いられるアクリル系封止材は、LEDやレーザダイオードのよう
発光素子だけでなく、受光素子、LSIやICなど半導体発光素子以外の半導体発光素子の封止にも利用することができる
【0085】
本実施形態の半導体発光装置は、配光性に優れるため、液晶ディスプレイ、携帯電話または情報端末等のエッジライト式のバックライトはもとより、シャープな配光性が求められるような屋内外の照明、自動車や旅客機、鉄道等の輸送機器の照明、フラッシュライト、LEDディスプレイ、さらにはLEDやレーザダイオードのような発光素子だけでなく、受光素子、LSIやICなど半導体発光素子以外の半導体素子の封止材としても好適に対応することができる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定して解釈されるものではない。
【0087】
(実施例1)
M215(商品名:東亞合成株式会社製)の2官能モノマーのカラム精製品(下記式a参照)100質量部と重合開始剤パーブチルO(商品名:日本油脂株式会社製)1質量部とを混合して封止剤を調製した。重合禁止剤に関しては、4-メトキシフェノール(東京化成工業製、以後MEHQ)をカラム精製時の混合量との合計で2400ppmになるように調製した。
青色LEDのB2424DCI0(商品名:ジェネライツ製)が実装されたリフレクターパッケージ基材KD−LA9R48(商品名:京セラ株式会社製)の中心に開口直径2640μm、深さ550μm程度凹んだ部分(キャビティー)が形成されており、そこに上記封止剤をポッティングした。このときポッティングする量は硬化後の封止材中心部がパッケージ基材上端から170μm凹む深さになる量に調整した。それを送風オーブンにて80℃30min、130℃30min、150℃5hrで硬化することで封止材を形成した半導体発光装置を得た(各昇温レートは3℃/minとした)。
【0088】
【化10】

【0089】
(実施例2)
前記封止材の深さを220μm凹ませるように量を調整すること以外は実施例1と同様に行った。
【0090】
(実施例3)
前記封止材の深さを280μm凹ませるように量を調整すること以外は実施例1と同様に行った。
【0091】
(実施例4)
前記封止材の深さを330μm凹ませるように量を調整すること以外は実施例1と同様に行った。
【0092】
(実施例5)
前記、実施例1で使用した2官能モノマー70質量部に加え、同様にカラム精製により得た3官能モノマー(化式b)30質量部と重合開始剤パーブチル1質量部とを混合して封止剤を調製した。これを用い、封止材の深さを210μm凹ませるように量を調整すること以外は実施例1と同様に行った。
【0093】
【化11】

【0094】
(実施例6)
前記、実施例1で使用したモノマーの代わりに2.2 Bis〔4-(Methacryloxy
Ethoxy〕Phenyl〕Propane(EO2.3mol/分子)(以後MEPP;新中村化学工業製)を混合して調製した封止剤を用い、封止材の深さを250μm凹ませるように量を調整すること以外は実施例1と同様に行った。
【0095】
(比較例1)
前記封止材の深さを50μm凹ませるように量を調整すること以外は実施例1と同様に行った。
(比較例2)
前記封止材の高さを120μm膨らませるようにキャビティを超え盛って封止を行うこと以外は実施例1と同様に行った。
【0096】
(比較例3)
前記液状封止剤を100質量部のトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(以後A-DCP:新中村化学工業製)と1質量部のパーブチルにすること以外は実施例2と同様に行った。ただし、揮発によって硬化後の封止材の量・形状を制御することができないため、ポッティングの量を実施例2と同程度にした。
【0097】
(比較例4)
前記封止液を90質量部の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(以後HDA:東京化成工業社)と10質量部のビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート(P2M(共栄社化学株式会社)と1質量部のパーブチルにすること以外は実施例2と同様に行った。ただし、揮発によって硬化後の封止材の量・形状を制御することができないため、ポッティングの量を実施例2と同程度にした。
【0098】
(比較例5)
前記封止材をペルノックス製エポキシ系封止材(ペルノックス562とペルキュア562を等量ずつ混合した液、以後P562)にすること以外は実施例1と同様に行った。ただし、硬化後の液の高さを60μm膨らませるようにキャビティを超え盛って封止を行った。
【0099】
(比較例、6、7、8)
前記封止材の深さをそれぞれ−160μm、−220μm、−320μmに凹ませるように量を調整すること以外は比較例5と同様に行った。
【0100】
(比較例9)
前記封止剤を次の縮合型シリコーン系封止剤を用いること以外は実施例2と同様に行った。縮合型シリコーン系封止材は両末端ヒドロキシル基ポリジメチルシロキサン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製XF3905、粘度700mm/s)84.8gにテトラエトキシシラン(東京化成工業株式会社製、Tetraethyl Orthosilicate)15.2g+ジルコニウムアセチルアセトナート溶液(マツモトファインケミカル製ZC−700)を1質量%混合し、前記リフレクターパッケージにポッティングを行い、85℃4hr+150℃4hr加熱することで、硬化させた。なお、重合禁止剤MEHQは混合しなかった。
【0101】
<クラック性評価>
硬化されたデバイスを光学顕微鏡で観察してクラックの有無を確認した。クラックがなかった場合「A」、端部にパッケージ直径の1/5未満の小さなクラックが入っていた場合は「B」、それ以上の大きなクラックが入っていた場合は「C」とした。
【0102】
<形状解析>
硬化後の形状をレーザー顕微鏡で測定して幾何学的に計算することで凹み部の曲率半径を求めた。具体的には封止・硬化を行ったリフレクターパッケージについて、形状測定レーザー顕微鏡(キーエンス製VK−9500)を用いてパッケージ上面から見た封止材の形状を測定した。パッケージ全面の測定を行い画像連結を行った後、VK
Analyzerにより、パッケージの中心(チップが実装されている部分)を通るように直交した2本のライン上の封止材形状を解析した。データをテキストデータとして出力を行い、エクセル上でノイズを取り除いた後、封止材の形状に沿うような円を描画し、その円の半径を封止材凹み部の曲率半径とした。なお、完全に一致できなかった場合、封止材とパッケージの界面、封止材の中心部をできるだけ円に沿うように描画を行った。なお、封止材が凸形状の場合は数値化を行わなかった。また、曲率半径がパッケージ直径の10倍以上の場合、十分に平らであると判断し、数値としては10を用いることとした。
【0103】
<配光性評価>
前記半導体発光装置を配光測定装置(RADIANT IMAGING社製、IS−LI)を用いて配光分布を測定した。空間の発光分布を測定した後で、チップ中心を通るように直交した2本のライン上の配光分布を解析した。データをテキストデータとして出力を行い、発光量が最大である正面発光量に対して半分の発光量になる角度を半値角として求めた。半値角度が狭いほど配光性はシャープに集光されており、導光板への導入率を高めることができるため、好ましい。具体的には半値角が50°未満であることが求められる。
評価は以下のようにして区別して示した。
AA:49°未満
A :49°以上50°未満
B :50°以上51°未満
C :51°以上
【0104】
<±30°発光量>
また、前方方向に放射される発光量を定量するために、正面を0°とした場合の±30°の方向への発光強度を積算して求めた。この値は大きいほど、導光板などへの光導入量が高まるので好ましい。
評価はいかのようにして区別して示した。
AA:0.65以上
A :0.61以上0.65未満
B :0.58以上0.61未満
C :0.58未満
【0105】
<揮発性試験>
各種封止剤において開始剤(パーブチルオキサイド、もしくはZC−700)を除いた液を調整し、それをアルミパンに20mg±2mgで分注し、3℃/分の昇温速度で、80℃60min+130℃60minで加熱し、その時の重量減少を解析する。重量減少量が元の10質量%以上の場合は揮発性が問題になると判断し、「C」と記載しそれ未満を「A」とした。
【0106】
<(メタ)クリル比>
各封止剤に関して、総量におけるアクリル基、メタクリル基の比率を計算によって求めた。
【0107】
<ガスバリア性>
25cm×25cm×35cm程度の密閉缶を準備し、そこに0.5gずつ硫黄粉末を分注したPFA製小型シャーレを5つ、均等にならべ、その上に約10cmの距離が空くように脚を付けた網板を取り付けた。封止・硬化を行った各種のパッケージをn=3ずつその網の隙間からパッケージが下向きに覗くように並べ、その状態で密閉缶の蓋をした。密閉缶を予め80°に設定しておいたオーブンに入れ、48時間反応させた。この時、硫黄粉末を熱することで硫黄原子が連なった化合物がガス状に放出される。この硫黄ガスがリフレクターパッケージの銀を硫化して黒変させ、発光量が低下する。黒変が観察された場合に「C」、確認できなかった場合は「A」とした。
【0108】
<配光安定性評価>
前記ガスバリア性評価を行った半導体発光装置を、前記配光性評価と同様にして配光を測定することで、配光性の安定性(変化しない度合い)を評価した。
評価は以下のようにして区別して示した。
A :ガスバリア性試験前後の半値角の変化が2°未満
C :ガスバリア性試験前後の半値角の変化が2°以上
【0109】
<粘度>
振動式粘度計、VISCOMATE MODEL VM-10A-MH(商品名:CBC株式会社製))で100秒ごとに5回粘度を測定した値の平均を測定値とした。測定温度は室温の25℃とした。
A:700mPa・s以上
C:700mPa・s未満
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

【0112】
以上のとおり、実施例の封止材は良好な凹状の出光面を有し、優れた光学的特性と、ポッティングを利用することにより高い生産性とを両立できることが分かる。なお、比較例4のP2Mは極性基を含むアクリレート樹脂であるものの、これでは揮発性が不適当であり、目的の出光面の形状とはならなかった。
これにより、本発明によれば、半導体発光素子の封止材に求められる要求性能を高いレベルで満足し、その上で良好な適切に集光された狭い照射領域を安定的に実現する配光性を有し、しかも製造効率のよい成形方法を採用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 半導体発光素子(Optical Semiconductor Element)
2 リフレクターパッケージ基材
3 封止材
3a 出光面
3b 仮想平面
4 電極
6 ボンディングワイヤ
8 ダイボンド剤
10 半導体発光装置(Optical Semiconductor Device)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフレクターパッケージ基材と、該リフレクターパッケージ基材の凹状空間に実装された半導体発光素子と、該半導体発光素子を封止した極性基含有アクリル系樹脂を含む封止材とを具備する半導体発光装置であって、
該封止材の出光面が曲面状に凹んでおり、その凹んだ出光面の曲率半径が、該出光面の平面視における直径もしくは短辺の長さの1.8倍〜4.5倍に設定された半導体発光装置。
【請求項2】
前記封止材が、リフレクターパッケージ基材の凹状空間に極性基含有アクリル系モノマーを含む封止剤を付与し、該アクリル系モノマーを硬化させてアクリル系樹脂として賦形したものである請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記極性基がヒドロキシル基、オリゴエチレングリコール基、イソシアヌル酸誘導基である請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記リフレクターパッケージの電極部の表面が銀を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記封止材の80%以上が有機成分である請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記アクリル系樹脂がイソシアヌル酸アクリレート誘導体を硬化させた樹脂を50質量%以上含むことを特徴とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記硬化前のアクリル系樹脂をなすモノマーのアクリル基もしくはメタクリル基の比率が、該モノマーを含む封止剤の総質量に対して、4mmol/g以上6.5mmol/g未満である組成液の硬化物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記アクリル基もしくはメタクリル基の比率が5.3mmol/g以上6.3mmol/g未満である組成液の硬化物である請求項7に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
リフレクターパッケージの凹状空間に半導体発光素子を実装し、該半導体発光素子を埋設するよう前記凹状空間に極性基含有アクリル系モノマーを含む封止剤を付与し、次いで、該封止剤を硬化させて封止材とするに当たり、前記封止剤の硬化による体積収縮により、その滴下面を部分的に降下させ、該滴下面を前記封止材の凹んだ出光面として賦形する半導体発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記アクリル系モノマーとして、下記式1で表される化合物を用いる請求項9に記載の半導体発光装置の製造方法。
【化1】

(式(1)中のR、R、Rは、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、炭素数6〜24のアリール基、下記式(I)で表されるアクリロイルオキシ基、又は下記式(II)で表されるアシルオキシ基を表す。Lは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。ただし、R、R、及びRの少なくとも1つは前記アクリロリルオキシ基である。)
【化2】

(式中、R11は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。*は結合手を表す。)
【化3】

(式中、R12は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基を表す。*は結合手を表す。)
【請求項11】
前記極性基含有モノマーを含む封止剤は、その粘度が800mPas以上20,000mPas未満である請求項9又は10に記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記硬化前のアクリル系モノマーについて以下の試験を行った際の揮発量が10質量%未満である請求項9〜11のいずれか1項に記載の半導体発光装置の製造方法。
(TG/DTAにおいて5mgを3℃/分の昇温速度で、80℃60min+130℃60minで加熱し、そのときの重量減少を解析する。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−84702(P2013−84702A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222577(P2011−222577)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】