半導体素子、及びはんだ接合部の劣化診断方法
【課題】 非破壊により、はんだ接合部の劣化を容易に診断する。
【解決手段】 実施形態によれば、基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び配線部上にナノカーボンを含有するはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む電子部品を加熱しながら、電子部品の温度分布を測定し、及び温度分布の測定データに基づいてはんだ接合部の劣化を検出することを含むはんだ接合部の劣化診断方法が提供される。
【解決手段】 実施形態によれば、基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び配線部上にナノカーボンを含有するはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む電子部品を加熱しながら、電子部品の温度分布を測定し、及び温度分布の測定データに基づいてはんだ接合部の劣化を検出することを含むはんだ接合部の劣化診断方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、及び種々の電子部品に実装される素子、チップなどのはんだ接合部の劣化及び寿命検出に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一般に、電車、自動車、エレベータ等のドライブシステムに搭載される半導体装置は、半導体装置基板が樹脂モールドされており、その樹脂モールド内部には、シリコンのポッティング材が充填されている。この様にシリコンで充填されているはんだ接合部の劣化及び寿命検出を行う場合には、例えば、ポッティング材をすべて除去し、部品の接合部を拡大鏡などを用いて観察して判定することができる。しかしながら、ポッティング材をすべて除去するためには、除去液を準備し、浸漬して、数時間〜場合によっては数日間浸漬が必要となる。さらに、ポッティング材をすべて除去した後には、部品の接合部を観察して判定するには相当時間が掛かる。
【0003】
また、例えば、き裂の検出方法として、はんだクラックが発生したはんだ接合部に含浸油を真空含浸させ、真空含浸前及び真空含浸後のはんだ接合部の重量を測定し、重量の変化量によりはんだクラックの大きさを非破壊の状態で測定する方法がある。しかしながら、き裂が微細であると、重量変化が少なく誤差が生じやすい。さらにポッティング材が完全に除去できなければ、き裂内部への油の含浸もできず、測定結果における誤差が大きくなる傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3661718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、非破壊により、はんだ接合部の劣化を容易に診断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び該配線部上にナノカーボンを含有するはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む電子部品を加熱しながら、該電子部品の温度分布を測定し、及び
該温度分布の測定データに基づいてはんだ接合部の劣化を検出することを含むはんだ接合部の劣化診断方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施態様に係る半導体素子の構成の一例を表す図である。
【図2】図1に示す絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子の一部を正面から見た図である。
【図3】図2のA−A’断面を部分的に表す模式図である。
【図4】はんだ接合層中のナノカーボンの様子を例示するモデル図である。
【図5】図4を部分的に拡大して表すモデル図である。
【図6】サンプルの一実施形態の外観を表す写真である。
【図7】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図8】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図9】サンプルの一実施形態の外観を表す写真である。
【図10】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図11】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図12】サンプルの一実施形態の外観を表す写真である。
【図13】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図14】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図15】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図16】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図17】はんだ接合層中のその他のナノカーボンの様子を例示するモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態にかかる半導体素子は、基板と、基板の一主面上に設けられた配線部と、及び該配線部上にはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む半導体実装部品とを含む。
【0009】
使用されるナノカーボンを含有するはんだ接合部を含有する。
【0010】
ナノカーボンを含有することにより、はんだ接合部の熱伝導率を向上させることができる。
【0011】
また、実施形態にかかるはんだ接合部の劣化診断方法は、はんだ接合部を含む電子部品を加熱しながら、電子部品の温度分布を測定すること、及び
温度分布の測定データに基づいてはんだ接合部の劣化を検出することを含む。
【0012】
電子部品は、基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び配線部上にはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む。
【0013】
はんだ接合部は、ナノカーボンを含有する。
【0014】
実施形態にかかるはんだ接合部の劣化診断方法では、半導体装置やダイオードの半導体やパワー素子やプリント基板などに実装される部品などのはんだ接合部に使用されるはんだ材料にナノカーボンを添加して、接合部の熱伝導率を向上させる。ナノカーボンを含有するはんだ接合部を用いた電子部品を加熱すると、はんだ接合部において、劣化によりき裂あるいは及び剥離などが発生した部分の温度は上昇しにくく、その周囲の部分の温度は迅速に上昇する。これにより、加熱時間経過における比較的初期の段階でそれぞれの部分の温度差が顕著になる。温度差が顕著になった時点の温度分布を測定すると、はんだ接合部の劣化や剥離がより一層顕在化される。このようにして、実施形態にかかるはんだ接合部の劣化診断方法によれば、温度分布の測定データに基づいて、非破壊で、はんだ接合部の劣化を容易に検出することが可能となり、及びはんだ接合部の寿命の評価を容易に行うことが可能となる。また、劣化の検知及び寿命の評価の信頼性も高くなる。
【0015】
使用されるナノカーボンには、金属めっきにより表面処理を行うことができる。
【0016】
表面処理に使用される材料として、例えばSn、Cu、Ni、及びPt等から選択される少なくとも1種の金属を使用することができる。表面処理を行うことにより、はんだとの分散性を良好にして、はんだ接合部内でナノカーボンを均一に分散することができる。めっきは、一種類または複合めっきのどちらでも良い。
【0017】
温度分布は、サーモグラフィー、あるいは温度測定装置により計測することができる。
【0018】
加熱は、高周波誘導加熱、及び電磁誘導加熱などの誘導加熱により行なうことができる。誘導加熱を用いると、ポッティング剤を取り除くことなく、はんだ接合部の効率の良い加熱が可能となる。
【0019】
はんだ接合部の劣化診断を行うためには、まず、温度分布の測定データから時間経過の温度差分を抽出し、その後、抽出されたデータを解析することにより、はんだ接合部の劣化を検出することができる。また、このデータの解析により、はんだ接合部の寿命を評価することも可能である。例えばサーモグラフィーの場合、温度分布の測定データを画像表示して、得られたデータ画像から時間経過の温度差分を抽出し、き裂、剥離等の発生している箇所を特定して、き裂の長さや大きさを計測することにより、温度分布の測定データの解析を行うことができる。
【0020】
以下、図面を参照し、実施形態をより詳細に説明する。
【0021】
図1に、実施態様に係る半導体素子の構成の一例を表す図を示す。
【0022】
図示するように、この半導体素子20は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子であって、放熱基板15上に、はんだ接合層17により接合された、基板21、基板21上に設けられた配線部22,はんだ接合部23及び半導体チップ16,24を含む半導体実装部品30が設けられている。半導体チップ16,24は、主電極にダイレクトボンディング13により接合されている。半導体チップ24は、端子27にボンディングされている。ここで、半導体チップ16としてファーストリカバリーダイオード(FRD)チップ、半導体チップ24として絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)チップを使用することが出来る。さらに、被覆層25で被覆された半導体実装部品30上には絶縁性ゲル11が充填され、放熱基板15上に設けられたケース18により封止されている。
【0023】
ここで、少なくともはんだ接合部23は、ナノカーボンを含有するはんだで形成されている。
【0024】
ナノカーボンとしては、例えば100nmないし900nmの大きさを有するものを使用できる。
【0025】
ナノカーボンとしては、例えばナノカーボンフィラー、及びカーボンナノチューブ等を用いることができる。
【0026】
ナノカーボンの添加量は、はんだ材料の重量に対し0.1ないし1.0重量%にすることができる。
【0027】
図2に、図1に示す絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子の一部を正面から見た図を示す。
【0028】
図2では、便宜上、絶縁性ゲル11、及びケース18は取り除いている。
【0029】
ここで、図1は、図2のX−X’断面図に相当する。
【0030】
図示するように、この絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子20は、絶縁基板21と、その上に設けられた、コレクタ端子31,ゲート端子32,エミッタ端子33、及び図示しない接合部を介して形成されたFRDチップ16及びIGBTチップ24を有する。FRDチップ16及びIGBTチップ24、各々、コレクタ端子31,ゲート端子32,エミッタ端子33と接続されている。
【0031】
図示するように、この絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子20は、絶縁基板21と、その上に設けられた、コレクタ端子31,ゲート端子32,エミッタ端子33、及び図示しない接合部を介して形成されたFRDチップ16及びIGBTチップ24を有する。FRDチップ16及びIGBTチップ24は、各々、コレクタ端子31,ゲート端子32,エミッタ端子33と接続されている。
【0032】
図3に、図2のA−A’断面を部分的に表す模式図を示す。
【0033】
A−A’断面図には、実施形態に係るエミッタ端子33周囲の断面の様子が記載されている。
【0034】
ここでは、AlSiCからなる約4mmの厚さを有する放熱基板15上に、約50μmの厚さを有する例えばSn−37質量%Pbはんだからなる錫−鉛はんだ接合層47により接合された約0.29mmの銅配線層48、銅配線層の上に設けられた約1mmの厚さを有するAlN絶縁基板41、AlN絶縁基板41上に設けられたもう1つの銅配線層42,銅配線層42上に設けられた、例えばSn−37質量%Pbはんだと、ナノカーボンフィラーとからなるナノカーボン含有錫−鉛はんだ接合部43、及び厚さ1.2mmのエミッタ端子33が設けられている。
【0035】
エミッタ端子33上には図示しない絶縁性ゲルが充填され、放熱基板15上に設けられたケースにより封止されている。
【0036】
図4は、はんだ接合層中のナノカーボンの様子を例示するモデル図である。
【0037】
図示するように、実施形態に使用されるはんだ接合層49中では、ナノカーボンフィラー50が分散されている様子がわかる。
【0038】
図5は、図4を部分的に拡大して表すモデル図である。
【0039】
図示するように、ナノカーボンフィラー50は、ナノカーボンフィラー本体51表面に、金属めっきにより表面処理層52が形成されている。
【0040】
実施例
図2と同様の構成を有する半導体パワー素子を用意し、各々、熱疲労試験として、Δt 70℃で1万回のON−OFFサイクルを実施した。
【0041】
使用されるはんだは、錫−鉛はんだと、錫−鉛はんだに対し1重量%添加された数百nmの大きさを持つナノカーボンフィラーとからなり、ナノカーボンフィラーには、0.1μm程度のNiがめっきされている。
【0042】
熱疲労試験により劣化された種々のサンプルについて、誘導加熱装置により下面から加熱し、サーモグラフにより劣化の状態を観察した。
【0043】
実施例1
実施例1では、サンプル1として、図1の半導体チップ24と同様の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)チップを使用し、劣化の検知を行った。
【0044】
図6は、サンプル1の外観を表す写真である。
【0045】
図示するように、サンプル1の外観から、はんだ接合部に開口したき裂が発生していることが確認できる。
【0046】
図7に、加熱の初期段階におけるはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0047】
図7における加熱時間は約45秒である。
【0048】
図8に、加熱から30秒経過後のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0049】
熱疲労試験によりはんだ接合部に劣化が発生している部分とその周囲には、数秒で、図7に示すように、中温を表す橙色の部分と低温を表す青い部分とがみられた。図6の外観で確認すると、図7において、き裂の無い部分は橙色、開口したき裂のある部分は青くなっていることがわかる。時間経過後のデータ画像では、初期段階で橙色の部分が高温を示す赤い色となり、低温を表す部分は青い部分の範囲が初期段階よりも狭くなっている。
【0050】
実施形態にかかる半導体素子及び劣化診断方法を用いると、き裂の発生が加熱の初期段階で十分確認できることがわかる。劣化に関しては、この青い部分の面積が広ければ、劣化が進行していることがわかり、寿命診断においては、この青い部分の長さを計測し、剥離した部分と残存した部分からきれつ進展速度を算出して、残像寿命を算出することができる。
【0051】
実施例2
図9は、サンプル2の外観を表す写真である。
【0052】
図示するように、サンプル2では、サンプル1の外観よりも、はんだ接合部に開口したき裂がサンプル1よりも小さい。
【0053】
図10に、加熱の初期段階におけるはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0054】
図10における加熱時間は約45秒である。
【0055】
図11に、30秒経過後のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0056】
図9ないし図11に示すように、劣化が少なく、きれつによる開口が余り無いサンプルにおいても、図示するように、き裂の無い部分は橙色、き裂のある部分は青色になっていることが加熱の初期段階で十分確認できる。これによって、青い部分の長さを計測して、劣化がどこまで進んでいるか、余寿命はどのくらいかを非破壊で容易に把握することができる。なお、誘導過熱装置を用いることにより、金属部分だけが加熱されるため、ポッティングのシリコンが充填されている状態でも接合部の温度分布を取得することができ、劣化の検出が可能となる。
【0057】
実施例1及び2では、カーボンナノフィラーにNiめっきを行ったが、カーボンナノフィラーにNiめっきの代わりにCuめっき行ったものを使用しても同様の結果が得られた。
【0058】
比較例1
比較として、ナノカーボンを全く添加していないSnPbはんだを使用したはんだ接合層を有する半導体チップの劣化観察結果を図12ないし図14に示す。
【0059】
なお、比較のサンプル3としては、サンプル1,2と同様のIGBTチップのサンプルが無いため、別なサンプルとしてナノカーボン含有錫−鉛はんだ接合部をナノカーボンを含有しないSnPbはんだを用いること以外は図3と同様の構成を有するエミッタ端子で評価した。
【0060】
図12は、サンプル3の外観を表す写真である。
【0061】
図13に、加熱の初期段階におけるはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0062】
図13における加熱時間は約45秒である。
【0063】
図14に、30秒経過後のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0064】
図12ないし図14に示すように、約30秒後では、中温を表す橙色が出ているが、低温を表す青色がはっきり出ていない。外観を観ると、劣化してかなりのき裂が発生・進展・開口しているにもかかわらず、時間経過後は、温度部分としては、赤い部分が多くを占めている結果となった。つまり、加熱により温度ムラが発生し、温度分布データを計測しても、正確な劣化および寿命を算出することができず、診断ができないことがわかる。
【0065】
一方、実施例1及び2のようにナノカーボンを添加したはんだ材料を用いた場合には、加熱することにより、短時間で劣化検出と寿命診断が可能となる。さらに、誘導加熱を用いることにより、金属部分だけが加熱され、より顕著な温度部分画像が取れることができることから、この組み合わせも重要である。
【0066】
また、図12と同様の外観を有するサンプルを2つ用意した。2つのサンプルのうち一方にはナノカーボン入りのはんだ接合材料を適用し、他方にはナノカーボン無しのはんだ材料を適用した。2つのサンプルを30秒間加熱した場合サーモグラフ像を、各々図15、及び図16に示す。得られたサーモグラフ像の温度分布を確認すると、ナノカーボンが添加されたはんだ接合材料(図15)を用いると、ナノカーボン無しのはんだ材料(図16)を用いた場合と比較して、加熱部分が顕著であり、加熱速度が速いことがわかる。
【0067】
図17は、はんだ接合層中のその他のナノカーボンの様子を例示するモデル図である。
【0068】
実施例及び比較例では、ナノカーボンの表面処理を実施しているが、表面処理をしないナノカーボンを使用した場合は、ナノカーボンが図17の模式図のように凝集して分散し難くなる。はんだ接合部の抵抗および熱伝導率を低下させないためには、ナノカーボンをSn、Cu、Ni、Ptなどの導電性の良好な金属でめっきして表面処理することが有効である。
【0069】
実施形態によれば、半導体装置のはんだ接合部やプリント基板実装部品のはんだ接合部に、ナノカーボン材料を添加したはんだを使用し、温度分布による画像を基に、非破壊によりはんだの劣化および寿命を容易に診断することができる。また、実施形態にかかるはんだ接合部の劣化診断方法では、ポッティング材料などの除去も不要にできる。さらに、実施形態によれば、製品の信頼性向上が図れ、トラブルの未然防止が可能となる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
21,41…基板、22,42,48…配線部、23,43…はんだ接合部、24…IGBTチップ、33…エミッタ端子
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、及び種々の電子部品に実装される素子、チップなどのはんだ接合部の劣化及び寿命検出に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一般に、電車、自動車、エレベータ等のドライブシステムに搭載される半導体装置は、半導体装置基板が樹脂モールドされており、その樹脂モールド内部には、シリコンのポッティング材が充填されている。この様にシリコンで充填されているはんだ接合部の劣化及び寿命検出を行う場合には、例えば、ポッティング材をすべて除去し、部品の接合部を拡大鏡などを用いて観察して判定することができる。しかしながら、ポッティング材をすべて除去するためには、除去液を準備し、浸漬して、数時間〜場合によっては数日間浸漬が必要となる。さらに、ポッティング材をすべて除去した後には、部品の接合部を観察して判定するには相当時間が掛かる。
【0003】
また、例えば、き裂の検出方法として、はんだクラックが発生したはんだ接合部に含浸油を真空含浸させ、真空含浸前及び真空含浸後のはんだ接合部の重量を測定し、重量の変化量によりはんだクラックの大きさを非破壊の状態で測定する方法がある。しかしながら、き裂が微細であると、重量変化が少なく誤差が生じやすい。さらにポッティング材が完全に除去できなければ、き裂内部への油の含浸もできず、測定結果における誤差が大きくなる傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3661718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、非破壊により、はんだ接合部の劣化を容易に診断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び該配線部上にナノカーボンを含有するはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む電子部品を加熱しながら、該電子部品の温度分布を測定し、及び
該温度分布の測定データに基づいてはんだ接合部の劣化を検出することを含むはんだ接合部の劣化診断方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施態様に係る半導体素子の構成の一例を表す図である。
【図2】図1に示す絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子の一部を正面から見た図である。
【図3】図2のA−A’断面を部分的に表す模式図である。
【図4】はんだ接合層中のナノカーボンの様子を例示するモデル図である。
【図5】図4を部分的に拡大して表すモデル図である。
【図6】サンプルの一実施形態の外観を表す写真である。
【図7】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図8】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図9】サンプルの一実施形態の外観を表す写真である。
【図10】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図11】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図12】サンプルの一実施形態の外観を表す写真である。
【図13】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図14】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図15】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図16】実施形態のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真である。
【図17】はんだ接合層中のその他のナノカーボンの様子を例示するモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態にかかる半導体素子は、基板と、基板の一主面上に設けられた配線部と、及び該配線部上にはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む半導体実装部品とを含む。
【0009】
使用されるナノカーボンを含有するはんだ接合部を含有する。
【0010】
ナノカーボンを含有することにより、はんだ接合部の熱伝導率を向上させることができる。
【0011】
また、実施形態にかかるはんだ接合部の劣化診断方法は、はんだ接合部を含む電子部品を加熱しながら、電子部品の温度分布を測定すること、及び
温度分布の測定データに基づいてはんだ接合部の劣化を検出することを含む。
【0012】
電子部品は、基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び配線部上にはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む。
【0013】
はんだ接合部は、ナノカーボンを含有する。
【0014】
実施形態にかかるはんだ接合部の劣化診断方法では、半導体装置やダイオードの半導体やパワー素子やプリント基板などに実装される部品などのはんだ接合部に使用されるはんだ材料にナノカーボンを添加して、接合部の熱伝導率を向上させる。ナノカーボンを含有するはんだ接合部を用いた電子部品を加熱すると、はんだ接合部において、劣化によりき裂あるいは及び剥離などが発生した部分の温度は上昇しにくく、その周囲の部分の温度は迅速に上昇する。これにより、加熱時間経過における比較的初期の段階でそれぞれの部分の温度差が顕著になる。温度差が顕著になった時点の温度分布を測定すると、はんだ接合部の劣化や剥離がより一層顕在化される。このようにして、実施形態にかかるはんだ接合部の劣化診断方法によれば、温度分布の測定データに基づいて、非破壊で、はんだ接合部の劣化を容易に検出することが可能となり、及びはんだ接合部の寿命の評価を容易に行うことが可能となる。また、劣化の検知及び寿命の評価の信頼性も高くなる。
【0015】
使用されるナノカーボンには、金属めっきにより表面処理を行うことができる。
【0016】
表面処理に使用される材料として、例えばSn、Cu、Ni、及びPt等から選択される少なくとも1種の金属を使用することができる。表面処理を行うことにより、はんだとの分散性を良好にして、はんだ接合部内でナノカーボンを均一に分散することができる。めっきは、一種類または複合めっきのどちらでも良い。
【0017】
温度分布は、サーモグラフィー、あるいは温度測定装置により計測することができる。
【0018】
加熱は、高周波誘導加熱、及び電磁誘導加熱などの誘導加熱により行なうことができる。誘導加熱を用いると、ポッティング剤を取り除くことなく、はんだ接合部の効率の良い加熱が可能となる。
【0019】
はんだ接合部の劣化診断を行うためには、まず、温度分布の測定データから時間経過の温度差分を抽出し、その後、抽出されたデータを解析することにより、はんだ接合部の劣化を検出することができる。また、このデータの解析により、はんだ接合部の寿命を評価することも可能である。例えばサーモグラフィーの場合、温度分布の測定データを画像表示して、得られたデータ画像から時間経過の温度差分を抽出し、き裂、剥離等の発生している箇所を特定して、き裂の長さや大きさを計測することにより、温度分布の測定データの解析を行うことができる。
【0020】
以下、図面を参照し、実施形態をより詳細に説明する。
【0021】
図1に、実施態様に係る半導体素子の構成の一例を表す図を示す。
【0022】
図示するように、この半導体素子20は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子であって、放熱基板15上に、はんだ接合層17により接合された、基板21、基板21上に設けられた配線部22,はんだ接合部23及び半導体チップ16,24を含む半導体実装部品30が設けられている。半導体チップ16,24は、主電極にダイレクトボンディング13により接合されている。半導体チップ24は、端子27にボンディングされている。ここで、半導体チップ16としてファーストリカバリーダイオード(FRD)チップ、半導体チップ24として絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)チップを使用することが出来る。さらに、被覆層25で被覆された半導体実装部品30上には絶縁性ゲル11が充填され、放熱基板15上に設けられたケース18により封止されている。
【0023】
ここで、少なくともはんだ接合部23は、ナノカーボンを含有するはんだで形成されている。
【0024】
ナノカーボンとしては、例えば100nmないし900nmの大きさを有するものを使用できる。
【0025】
ナノカーボンとしては、例えばナノカーボンフィラー、及びカーボンナノチューブ等を用いることができる。
【0026】
ナノカーボンの添加量は、はんだ材料の重量に対し0.1ないし1.0重量%にすることができる。
【0027】
図2に、図1に示す絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子の一部を正面から見た図を示す。
【0028】
図2では、便宜上、絶縁性ゲル11、及びケース18は取り除いている。
【0029】
ここで、図1は、図2のX−X’断面図に相当する。
【0030】
図示するように、この絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子20は、絶縁基板21と、その上に設けられた、コレクタ端子31,ゲート端子32,エミッタ端子33、及び図示しない接合部を介して形成されたFRDチップ16及びIGBTチップ24を有する。FRDチップ16及びIGBTチップ24、各々、コレクタ端子31,ゲート端子32,エミッタ端子33と接続されている。
【0031】
図示するように、この絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ素子20は、絶縁基板21と、その上に設けられた、コレクタ端子31,ゲート端子32,エミッタ端子33、及び図示しない接合部を介して形成されたFRDチップ16及びIGBTチップ24を有する。FRDチップ16及びIGBTチップ24は、各々、コレクタ端子31,ゲート端子32,エミッタ端子33と接続されている。
【0032】
図3に、図2のA−A’断面を部分的に表す模式図を示す。
【0033】
A−A’断面図には、実施形態に係るエミッタ端子33周囲の断面の様子が記載されている。
【0034】
ここでは、AlSiCからなる約4mmの厚さを有する放熱基板15上に、約50μmの厚さを有する例えばSn−37質量%Pbはんだからなる錫−鉛はんだ接合層47により接合された約0.29mmの銅配線層48、銅配線層の上に設けられた約1mmの厚さを有するAlN絶縁基板41、AlN絶縁基板41上に設けられたもう1つの銅配線層42,銅配線層42上に設けられた、例えばSn−37質量%Pbはんだと、ナノカーボンフィラーとからなるナノカーボン含有錫−鉛はんだ接合部43、及び厚さ1.2mmのエミッタ端子33が設けられている。
【0035】
エミッタ端子33上には図示しない絶縁性ゲルが充填され、放熱基板15上に設けられたケースにより封止されている。
【0036】
図4は、はんだ接合層中のナノカーボンの様子を例示するモデル図である。
【0037】
図示するように、実施形態に使用されるはんだ接合層49中では、ナノカーボンフィラー50が分散されている様子がわかる。
【0038】
図5は、図4を部分的に拡大して表すモデル図である。
【0039】
図示するように、ナノカーボンフィラー50は、ナノカーボンフィラー本体51表面に、金属めっきにより表面処理層52が形成されている。
【0040】
実施例
図2と同様の構成を有する半導体パワー素子を用意し、各々、熱疲労試験として、Δt 70℃で1万回のON−OFFサイクルを実施した。
【0041】
使用されるはんだは、錫−鉛はんだと、錫−鉛はんだに対し1重量%添加された数百nmの大きさを持つナノカーボンフィラーとからなり、ナノカーボンフィラーには、0.1μm程度のNiがめっきされている。
【0042】
熱疲労試験により劣化された種々のサンプルについて、誘導加熱装置により下面から加熱し、サーモグラフにより劣化の状態を観察した。
【0043】
実施例1
実施例1では、サンプル1として、図1の半導体チップ24と同様の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)チップを使用し、劣化の検知を行った。
【0044】
図6は、サンプル1の外観を表す写真である。
【0045】
図示するように、サンプル1の外観から、はんだ接合部に開口したき裂が発生していることが確認できる。
【0046】
図7に、加熱の初期段階におけるはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0047】
図7における加熱時間は約45秒である。
【0048】
図8に、加熱から30秒経過後のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0049】
熱疲労試験によりはんだ接合部に劣化が発生している部分とその周囲には、数秒で、図7に示すように、中温を表す橙色の部分と低温を表す青い部分とがみられた。図6の外観で確認すると、図7において、き裂の無い部分は橙色、開口したき裂のある部分は青くなっていることがわかる。時間経過後のデータ画像では、初期段階で橙色の部分が高温を示す赤い色となり、低温を表す部分は青い部分の範囲が初期段階よりも狭くなっている。
【0050】
実施形態にかかる半導体素子及び劣化診断方法を用いると、き裂の発生が加熱の初期段階で十分確認できることがわかる。劣化に関しては、この青い部分の面積が広ければ、劣化が進行していることがわかり、寿命診断においては、この青い部分の長さを計測し、剥離した部分と残存した部分からきれつ進展速度を算出して、残像寿命を算出することができる。
【0051】
実施例2
図9は、サンプル2の外観を表す写真である。
【0052】
図示するように、サンプル2では、サンプル1の外観よりも、はんだ接合部に開口したき裂がサンプル1よりも小さい。
【0053】
図10に、加熱の初期段階におけるはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0054】
図10における加熱時間は約45秒である。
【0055】
図11に、30秒経過後のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0056】
図9ないし図11に示すように、劣化が少なく、きれつによる開口が余り無いサンプルにおいても、図示するように、き裂の無い部分は橙色、き裂のある部分は青色になっていることが加熱の初期段階で十分確認できる。これによって、青い部分の長さを計測して、劣化がどこまで進んでいるか、余寿命はどのくらいかを非破壊で容易に把握することができる。なお、誘導過熱装置を用いることにより、金属部分だけが加熱されるため、ポッティングのシリコンが充填されている状態でも接合部の温度分布を取得することができ、劣化の検出が可能となる。
【0057】
実施例1及び2では、カーボンナノフィラーにNiめっきを行ったが、カーボンナノフィラーにNiめっきの代わりにCuめっき行ったものを使用しても同様の結果が得られた。
【0058】
比較例1
比較として、ナノカーボンを全く添加していないSnPbはんだを使用したはんだ接合層を有する半導体チップの劣化観察結果を図12ないし図14に示す。
【0059】
なお、比較のサンプル3としては、サンプル1,2と同様のIGBTチップのサンプルが無いため、別なサンプルとしてナノカーボン含有錫−鉛はんだ接合部をナノカーボンを含有しないSnPbはんだを用いること以外は図3と同様の構成を有するエミッタ端子で評価した。
【0060】
図12は、サンプル3の外観を表す写真である。
【0061】
図13に、加熱の初期段階におけるはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0062】
図13における加熱時間は約45秒である。
【0063】
図14に、30秒経過後のはんだ接合部の温度分布を表すデータ画像の写真を示す。
【0064】
図12ないし図14に示すように、約30秒後では、中温を表す橙色が出ているが、低温を表す青色がはっきり出ていない。外観を観ると、劣化してかなりのき裂が発生・進展・開口しているにもかかわらず、時間経過後は、温度部分としては、赤い部分が多くを占めている結果となった。つまり、加熱により温度ムラが発生し、温度分布データを計測しても、正確な劣化および寿命を算出することができず、診断ができないことがわかる。
【0065】
一方、実施例1及び2のようにナノカーボンを添加したはんだ材料を用いた場合には、加熱することにより、短時間で劣化検出と寿命診断が可能となる。さらに、誘導加熱を用いることにより、金属部分だけが加熱され、より顕著な温度部分画像が取れることができることから、この組み合わせも重要である。
【0066】
また、図12と同様の外観を有するサンプルを2つ用意した。2つのサンプルのうち一方にはナノカーボン入りのはんだ接合材料を適用し、他方にはナノカーボン無しのはんだ材料を適用した。2つのサンプルを30秒間加熱した場合サーモグラフ像を、各々図15、及び図16に示す。得られたサーモグラフ像の温度分布を確認すると、ナノカーボンが添加されたはんだ接合材料(図15)を用いると、ナノカーボン無しのはんだ材料(図16)を用いた場合と比較して、加熱部分が顕著であり、加熱速度が速いことがわかる。
【0067】
図17は、はんだ接合層中のその他のナノカーボンの様子を例示するモデル図である。
【0068】
実施例及び比較例では、ナノカーボンの表面処理を実施しているが、表面処理をしないナノカーボンを使用した場合は、ナノカーボンが図17の模式図のように凝集して分散し難くなる。はんだ接合部の抵抗および熱伝導率を低下させないためには、ナノカーボンをSn、Cu、Ni、Ptなどの導電性の良好な金属でめっきして表面処理することが有効である。
【0069】
実施形態によれば、半導体装置のはんだ接合部やプリント基板実装部品のはんだ接合部に、ナノカーボン材料を添加したはんだを使用し、温度分布による画像を基に、非破壊によりはんだの劣化および寿命を容易に診断することができる。また、実施形態にかかるはんだ接合部の劣化診断方法では、ポッティング材料などの除去も不要にできる。さらに、実施形態によれば、製品の信頼性向上が図れ、トラブルの未然防止が可能となる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
21,41…基板、22,42,48…配線部、23,43…はんだ接合部、24…IGBTチップ、33…エミッタ端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び該配線部上にナノカーボンを含有するはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む半導体実装部品を含むことを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
前記ナノカーボンは金属めっきにより表面処理されている請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記表面処理に用いられる金属は、錫、銅、ニッケル、及び白金からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴する請求項2に記載の半導体素子。
【請求項4】
基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び該配線部上にナノカーボンを含有するはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む電子部品を加熱しながら、該電子部品の温度分布を測定し、及び
該温度分布の測定データに基づいてはんだ接合部の劣化を検出することを含むはんだ接合部の劣化診断方法。
【請求項5】
前記ナノカーボンは金属めっきにより表面処理されている請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記表面処理に用いられる金属は、銅、ニッケル、及び白金からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記温度分布は、サーモグラフィー、あるいは温度測定装置により計測されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記劣化の検出は、前記温度分布の測定データから、時間経過の温度差分を抽出して解析することにより行われることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
加熱は、誘導加熱である請求項4ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び該配線部上にナノカーボンを含有するはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む半導体実装部品を含むことを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
前記ナノカーボンは金属めっきにより表面処理されている請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記表面処理に用いられる金属は、錫、銅、ニッケル、及び白金からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴する請求項2に記載の半導体素子。
【請求項4】
基板、基板の一主面上に設けられた配線部、及び該配線部上にナノカーボンを含有するはんだ接合部を介して実装された少なくとも1つの半導体チップを含む電子部品を加熱しながら、該電子部品の温度分布を測定し、及び
該温度分布の測定データに基づいてはんだ接合部の劣化を検出することを含むはんだ接合部の劣化診断方法。
【請求項5】
前記ナノカーボンは金属めっきにより表面処理されている請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記表面処理に用いられる金属は、銅、ニッケル、及び白金からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記温度分布は、サーモグラフィー、あるいは温度測定装置により計測されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記劣化の検出は、前記温度分布の測定データから、時間経過の温度差分を抽出して解析することにより行われることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
加熱は、誘導加熱である請求項4ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−178449(P2012−178449A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40467(P2011−40467)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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