説明

半導体素子およびその製造方法

【課題】バッファで改善された結晶性および平坦性を有効に機能積層体に引き継がせることにより、機能積層体の平坦性および結晶性を向上させた半導体素子をその製造方法とともに提供する。
【解決手段】基板上に、バッファと、複数の窒化物半導体層を含む機能積層体とを具える半導体素子であって、前記機能積層体は、前記バッファ側にn型またはi型である第1のAlGa1−xN層(0≦x<1)を有し、前記バッファと前記機能積層体との間に、前記第1のAlGa1−xN層とAl組成が略等しいp型不純物を含むAlGa1−zN調整層(x−0.05≦z≦x+0.05、0≦z<1)を具えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子およびその製造方法に関し、特に、紫外発光ダイオードや電子デバイス等の半導体素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、殺菌、浄水、医療、照明、高密度光記録などの分野で好適に用いることができる紫外発光ダイオード(紫外LED)や、高電子移動度トランジスタ(HEMT)の材料として、AlGaN系薄膜を用いて素子構造を形成したものが知られている。そして、このようなAlGaN系薄膜を用いて素子構造を形成した紫外LEDやHEMTでは、高品質なAlGaN系薄膜を得るための様々な取り組みがなされている。
【0003】
通常、紫外LEDは、発光層をn型窒化物半導体層およびp型窒化物半導体層で挟んで構成してなる機能積層体を有し、窒化物半導体層と基板との異なる格子定数による歪みを緩和するため、基板上にバッファを介して機能積層体を形成するのが一般的である。HEMTも、i型のチャネル層およびn型の電子供給層を窒化物半導体層で構成してなる機能積層体を有し、窒化物半導体層と基板との異なる格子定数による歪みを緩和するため、基板上にバッファを介して機能積層体を形成するのが一般的である。
【0004】
また、特許文献1には、基板上に、直接あるいはAlNまたはAlGaNを主とする1または複数の窒化物半導体層を介して形成された、横方向成長促進物質が添加されたAlNまたはAlGaNを主とする第1半導体層(バッファ)を備え、その上部に窒化物半導体層を含む機能積層体を形成した窒化物半導体基板が開示されている。この技術によれば、バッファ内において横方向成長が促進され、それに伴い転位の結合が促進されることにより、バッファ表面に現れる貫通転位を低減することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−235908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において、バッファとn型Al0.4Ga0.6N層の間には、通常のAlN低温堆積バッファ層を形成させている。しかしながら、これらAlN低温堆積バッファ層とn型Al0.4Ga0.6N層との間のAl組成の関係ついては考察されていない。また、かかるAlN低温堆積バッファ層は、その下に設けられたバッファの格子緩和を促す効果を低減させてしまい、横方向成長による結晶性の向上効果が不十分であった。
【0007】
また、バッファ上に、機能積層体として、このバッファとは組成の異なる窒化物半導体層を形成する場合には、機能積層体の窒化物半導体層とバッファとの格子不整合の問題については着目されていなかった。
【0008】
本発明の目的は、上記問題を解決し、バッファで改善された結晶品質を有効に機能積層体に引き継がせ、機能積層体の平坦性および結晶性を向上させた半導体素子をその製造方法とともに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、基板上のバッファと、このバッファ側から、例えばn型AlGa1−xN層(0≦x<1)、発光層およびp型AlGa1−yN層(0≦y≦1)を有する機能積層体の、n型AlGa1−xN層との間に、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層(0≦z<1)であって、このAl組成zが、機能積層体の中で最もバッファ側にあるn型AlGa1−xN層のAl組成xの±0.05の範囲であるAlGa1−zN調整層を配設することで、バッファで改善された結晶性および平坦性を有効に機能積層体に引き継がせることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、上記の知見に立脚するもので、その要旨構成は以下の通りである。
(1)基板上に、バッファと、複数の窒化物半導体層を含む機能積層体とを具える半導体素子であって、前記機能積層体は、前記バッファ側にn型またはi型である第1のAlGa1−xN層(0≦x<1)を有し、前記バッファと前記機能積層体との間に、前記第1のAlGa1−xN層とAl組成が略等しいp型不純物を含むAlGa1−zN調整層(x−0.05≦z≦x+0.05、0≦z<1)を具えることを特徴とする半導体素子。
【0011】
(2)前記基板は、AlNテンプレート基板である上記(1)に記載の半導体素子。
【0012】
(3)前記バッファは、少なくとも前記機能積層体側にAlαGa1−αN層(0≦α≦1)を含み、該AlαGa1−αN層のAl組成αと、前記第1のAlGa1−xN層のAl組成xとの差が、0.1以上である上記(1)または(2)に記載の半導体素子。
【0013】
(4)前記第1のAlGa1−xN層がn型であり、前記機能積層体は、前記第1のAlGa1−xN層上に、少なくとも発光層および第2のAlGa1−yN層(0≦y<1)を順に有する上記(1)〜(3)のいずれか一に記載の半導体素子。
【0014】
(5)前記p型不純物を含むAlGa1−zN調整層と前記第1のAlGa1−xN層との間に、不純物をドープしないi型AlGa1−wN層(x−0.05≦w≦x+0.05、0≦w<1)をさらに具える上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の半導体素子。
【0015】
(6)前記p型不純物を含むAlGa1−zN調整層と前記不純物をドープしないi型AlGa1−wN層とが、z<wの関係を満たす上記(5)に記載の半導体素子。
【0016】
(7)前記p型不純物を含むAlGa1−zN調整層の厚さが、100〜1500nmの範囲である上記(1)〜(6)のいずれか一に記載の半導体素子。
【0017】
(8)前記p型不純物を含むAlGa1−zN調整層は、Mgがドープされており、Mg濃度が5×1016〜2×1020/cmの範囲である上記(1)〜(7)のいずれか一に記載の半導体素子。
【0018】
(9)前記第1のAlGa1−xN層に含まれるOの濃度が2×1018/cm未満である上記(1)〜(8)のいずれか一に記載の半導体素子。
【0019】
(10)前記バッファは、AlβGa1−βN層(0≦β≦0.3)と、AlN層とを交互に積層して超格子構造を形成してなる超格子歪緩衝層を含む上記(1)〜(9)のいずれか一に記載の半導体素子。
【0020】
(11)基板上に、バッファと、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層(x−0.05≦z≦x+0.05、0≦z<1)と、i型またはn型AlGa1−xN層(0≦x<1)を含む機能積層体とを順次形成することを特徴とする半導体素子の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板上のバッファと、機能積層体のn型またはi型の第1のAlGa1−xN層(0≦x<1)との間に、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層(0≦z<1)であって、このAl組成zが、第1のAlGa1−xN層のAl組成xの±0.05の範囲であるAlGa1−zN調整層を配設することにより、バッファで改善された平坦性および結晶性を有効に機能積層体に引き継がせ、平坦性および結晶性が良好な機能積層体を有する半導体素子をその製造方法とともに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に従う半導体素子100の模式的断面図を示したものである。
【図2】図2は、本発明に従う半導体素子100の製造途中の積層構造を示す模式的断面図である。
【図3】図3(a),(b)は、それぞれ実験例1および2の表面を1000倍で撮影した光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に従う半導体素子の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に従う半導体素子100の一例の模式的断面図を示したものである。
本発明に従う半導体素子100は、図1に示すように、基板1上に、バッファ2と、複数の窒化物半導体層を含む機能積層体3とを具え、この機能積層体3は、バッファ2側にn型またはi型である第1のAlGa1−xN層(0≦x<1)4を有し(図1ではn型)、バッファ2と機能積層体3との間に、第1のAlGa1−xN層4とAl組成が略等しいp型不純物を含むAlGa1−zN調整層(x−0.05≦z≦x+0.05、0≦z<1)5(以下、単に「調整層5」ともいう)を具えることを特徴とし、かかる構成を有することにより、バッファ2で改善された平坦性および結晶性を、有効に機能積層体3に引き継がせることで、機能積層体3の平坦性および結晶性を良好とすることができるものである。なお、機能積層体3とはLEDやHEMT等の半導体素子において電流が流れるなどデバイスとして機能する部分を意味し、調整層5が第1のAlGa1−xN層(0≦x<1)4と隣接していても、調整層5にデバイスとしての機能が付与されることはない。
【0024】
特に、バッファ2とn型AlGa1−xN層4との間にp型不純物を含むAlGa1−zN調整層5を設けたことにより、基板1から機能積層体3への酸素(O)等の不純物の拡散を抑制することができ、その結果発光出力を向上させることができる。また、調整層5がp型不純物を含むため、調整層5内で横方向成長が促進され、調整層5ひいてはその上の各層の平坦性が向上する。さらに、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層5のAl組成zをn型AlGa1−xN層4のAl組成xの±0.05の範囲とすることにより、バッファ2およびp型AlGa1−zN調整層5で改善された結晶性および平坦性をn型AlGa1−xN層4、さらにはその上層へ有効に引き継がせることができる。このため、本発明に従う半導体素子100は高い発光出力を得ることが可能となる。
【0025】
ここで、p型不純物は、Mg、Zn、CaまたはBeであることが好ましく、MgまたはZnであることがより好ましく、Mgであることが特に好ましい。窒化物半導体に対する偏析効果の観点からは、p型不純物としてMg、Zn、CaまたはBeを用いることができるところ、MgやZnは、AlGaNやGaNの横方向の結晶成長を促進するための横方向結晶成長促進物質として適しており、中でも、Mgは他の層へ拡散し難い点から横方向結晶成長促進物質として特に適しているからである。また、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層とは、p型不純物が活性化してp型AlGa1−zN調整層となった場合のみならず、p型不純物をドープしたが、活性化処理を行っていないAlGa1−zN調整層も含まれる。
【0026】
第1のAlGa1−xN層4がn型であり、機能積層体3は、第1のAlGa1−xN層4上に、少なくとも発光層6および第2のp型AlGa1−yN層(0≦y<1)7を順に有するのが好ましい。このようにして形成された発光素子は、バッファ2で改善された平坦性および結晶性を、有効に機能積層体3、特に機能積層体3の発光層5に引き継がせることで、機能積層体3の平坦性および結晶性を良好とし、発光出力を向上させすることができる。
【0027】
また、調整層5と第1のAlGa1−xN層4との間に、第1のAlGa1−xN層4とAl組成が略等しい、不純物をドープしない(以下、「アンドープ」とも言う)i型のAlGa1−WN層(0≦w<1)8をさらに具えるのが好ましい。また、このアンドープAlGa1−wN層8のAl組成wは、第1のAlGa1−xN層4のAl組成xの±0.05の範囲とするのが好ましい。調整層5で改善された結晶性および平坦性を第1のAlGa1−xN層4、さらにはその上層へより有効に引き継がせることができ、上述した不純物の拡散をさらに防止するためと、第1のAlGa1−xN層4がn型である場合にpn接合によるサイリスタ効果を発生させないためである。
【0028】
より好ましくは、x−0.05≦z<w≦x+0.05とすることができる。バッファ2の最も機能積層体3側の層と第1のAlGa1−xN層4との格子定数差(xと後述のαとの間の格子定数差)による歪を、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層5とi型のAlGa1−wN層8とのAl組成の関係によってさらに適切に緩和することができる。x−0.05≦z<w≦x+0.05の関係とすれば、上部の層ほど、Al組成が大きくなり、格子定数としては相対的に小さくなるため、上に積層する層には下の層によって、引張応力が付与される。つまり、i型のAlGa1−wN層8の結晶成長に引張応力が加わる。そのため、p型不純物をドープしていないi型のAlGa1−wN層8の結晶成長そのものに横方向成長を促す効果を追加することが出来、改善された平坦性を継続させる効果をi型のAlGa1−wN層8によりさらに高めることが出来る。しかしながら、xとの組成差が0.05を超えてしまうと、格子定数の差に起因する歪によるクラックの発生や、平坦性の悪化を招くおそれがある。
【0029】
ここで、不純物をドープしないi型のAlGaN層とは、特定の不純物を意図的には添加していない層(アンドープ層ともいう)のことをいう。理想的には、不純物を全く含まない半導体とするのが好ましいが、電気的にp型ないしはn型として機能しない半導体とすればよく、キャリア密度が小さいもの(例えば5×1016/cm未満のもの)をi型と称することができる。
【0030】
調整層5の厚さは、100〜1500nmの範囲であるのが好ましく、100〜300nmがより好ましい。厚さが100nm未満だと、十分な表面平坦性が得られないおそれがあり、厚さが1500nmを超えると、調整層表面にクラックが発生するおそれがあり、暑さが300nmを超えると、機能積層体にクラックが発生するおそれがあるためである。
【0031】
調整層5は、マグネシウム(Mg)がドープされており、Mg濃度が5×1016〜2×1020/cmの範囲であるのが好ましい。p型不純物としてMgを用いると、調整層5の横方向成長を促進することで平坦化を促進することができ、また、Mg濃度が5×1016/cm未満だと、十分な表面平坦性が得られないおそれがあり、Mg濃度が2×1020/cmを超えると、Mg濃度が過飽和となり、偏析が発生し、表面の平坦性が著しく損なわれるおそれがあるためである。
【0032】
第1のAlGa1−xN層4に含まれる酸素(O)の濃度が2×1018/cm未満、より好ましくは1×1018/cm以下であるのが好ましい。n型AlGa1−xN層4中に含まれる酸素は、例えば基板1上に大気中の酸素が付着していた状態で、その上に層を積層した場合等に、この酸素が上層へ拡散することにより混入したものである。この酸素は、発光素子の出力低下の原因となるため、濃度はより低いことが好ましい。
【0033】
バッファ2は、基板1と機能積層体3の間の格子不整合や熱膨張差に起因する転位や歪を緩和する役割を担うものであり、基板1と機能積層体3の種類によって公知のものを選択することが出来る。本発明においては、バッファ2と機能積層体3とにおける最も互いに近接する層同士のAl組成が異なり、例えばAl組成が0.1以上異なる場合に特に有効である。すなわち、バッファ2の最も機能積層体3側のAlαGa1−αN層(0≦α≦1)のAl組成αと、第1のAlGa1−xN層4のAl組成xとの差が、0.1以上であるのが好ましい。
【0034】
バッファ2は単層でも複数層でも良いが、超格子を用いることがより好ましい。また、AlβGa1−βN層(0≦β≦0.3)2aと、AlN層2bとを交互に積層して超格子構造を形成してなる超格子歪緩衝層を含むのがより好ましい。AlβGa1−βN層(0≦β≦0.3)2aはp型であることがさらに好ましい。格子不整合緩和と平坦性の向上のためである。なお、図では超格子歪緩衝層の積層構造の一部を省略している。また、図には示されないが、基板1と上記超格子歪緩衝層との間に、初期層として、MOCVD法、MOVPE法、HVPE法、MBE法等の既知の手法を用いて基板1上にエピタキシャル成長させた、例えば厚さ500〜1500nmの範囲のAlNからなる層を設けることができる。
【0035】
なお、超格子歪緩衝層を形成する各層の厚さは、p型AlβGa1−βN層2aの各層を、例えば0.1〜3nm、好ましくは2nm以下とすることができ、AlN層2bの各層を、例えば0.1〜9nm、好ましくは0.9〜9nmとすることができる。また、p型AlβGa1−βN層2aおよびAlN層2bの積層数は、例えばp型AlβGa1−βN層2aとAlN層2bとの組合せが20〜70組、好ましくは20〜50組となるようにすることができる。このような積層数とすれば、転位の発生を充分に抑制することができるからである。超格子歪緩衝層をAlGaNとみなした場合の計算上のAl組成は、各層のAl組成と厚さから計算することが通例である。ただし、上記のバッファ2と機能積層体3とが向かい合う互い面のAl組成とは、超格子の計算上のAl組成ではなく、厚さに関わらず実際の面のAl組成を言うものとする。
【0036】
なお、超格子歪緩衝層は、基板1側ではAlNよりなるAlN層2bの厚さが厚く(AlN層2bの割合が多く)、n型AlGa1−xN層4側にかけてp型AlβGa1−βN層2aに対するAlN層2bの割合が次第に減少することが好ましい。このような構成とすれば、n型AlGa1−xN層4の結晶性のさらなる向上が得られるからである。
【0037】
また、超格子歪緩衝層は、全体としては導電性が実質的には無く(例えばシート抵抗測定装置で測定した比抵抗が10Ω・cm/□以上であり)、SIMSで測定した超格子歪緩衝層全体としての不純物濃度は1×1018cm−3以下であることが好ましく、7×1017cm−3以下であることが更に好ましい。不純物濃度が1×1018cm−3超となると、窒化物半導体素子にサイリスタ不良を引き起こす恐れがあるからである。
【0038】
ここで、一般にAlN層に対するp型不純物の導入は困難であり、結晶性の劣化を伴うため、AlN層にはp型不純物を意図的に添加しない。これに対し、本発明での超格子歪緩衝層は導電性を要求していないため、AlN層2b中の不純物の量は、p型AlβGa1−βN層2aからの不可避的な不純物拡散分を除き、通常の不純物ドープ量程度よりもかなり小さいことが好ましい。
【0039】
ここで、p型AlβGa1−βN層2aとしては、Al組成βが0≦β≦0.3の範囲とAl含有率が低く、且つ、p型不純物を含む層を用いることができる。なお、p型不純物としては、例えばMg、Zn、CaまたはBeを用いることができる。これらp型不純物は、AlβGa1−βN層2aの形成中に原料ガスと同時に供給することにより、或いは、AlN層2b上に間欠的に供給した後にAlβGa1−βN層2aを形成し、p型不純物をAlβGa1−βN層2a中に拡散させることにより、AlβGa1−βN層2a中に含有させることができる。また、p型AlβGa1−βN層2a中のp型不純物の濃度は、例えば5×1016/cm以上2×1020/cm未満、好ましくは7×1017〜1.7×1019/cm、より好ましくは7×1018〜1.7×1019/cmとすることができる。
【0040】
また、基板1は、その上にIII族窒化物を結晶成長可能な公知の異種基板を用いることが出来る。好ましくは、サファイア下地基板1a上に単結晶のAlN層1bを直接成長したAlNテンプレート基板や、サファイア下地基板1a上に単結晶のAlGaN層1bを直接成長したAlGaNテンプレート基板である。Si基板も好適である。
【0041】
本発明者らによると、AlNテンプレート基板を用いた場合、サファイア基板に比べて上述した大気中の酸素(O)の付着が起こりやすいために、付着した酸素による機能積層体3中の酸素濃度上昇を抑える必要が生じることが分かった。そして、本発明の半導体素子によれば、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層5を設けることにより、上記酸素(O)が機能積層体3に拡散するのを有効に抑制することができることも見出した。p型不純物を含む十分な厚さを有している層により、酸素(O)の拡散が抑制されたと考えられる。
【0042】
n型AlGa1−xN層4は、n型不純物としてSi等を用いるのが好ましく、発光層6は、AlγInδGa1−γ−δN(但し、0≦γ≦1、0≦δ≦1、0≦γ+δ≦1)よりなる層を用いることができ、p型AlGa1−yN層7は、p型不純物としてMg、Zn、CaまたはBe等を用いるのが好ましい。各層の厚みは、例えばn型AlGa1−xN層4は1300〜1400nm、発光層6は50〜80nm、p型AlGa1−yN層7は200〜300nmとすることができる。なお、これらの層は既知の手法を用いてエピタキシャル成長させることにより形成することができる。
【0043】
また、図1に示すように、p型AlGa1−yN層7上にはp側電極9を、一部露出したn型AlGa1−xN層4上にはn側電極10を設けることができる。p側電極9としては、たとえば真空蒸着法によりNi含有膜およびAu含有膜を順次蒸着させたNiAu電極を用いることができ、n側電極10としては、たとえば真空蒸着法によりTi含有膜およびAl含有膜を順次蒸着させたTiAl電極を用いることができる。
【0044】
次に、本発明に従う半導体素子の製造方法の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明に従う半導体素子100の製造途中の積層構造の一例を模式的に示したものである。
本発明に従う半導体素子100の製造方法は、まず、図2に示すように、基板1上に、例えばMOCVD法を用いて、バッファ2と、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層(x−0.05≦z≦x+0.05、0≦z<1)5と、i型またはn型AlGa1−xN層(0≦x<1)4を含む機能積層体3とを順次形成することを特徴とし、かかる構成を有することにより、バッファで改善された平坦性および結晶性を有効に機能積層体に引き継がせ、平坦性および結晶性が良好な機能積層体を有する半導体素子を提供することができるものである。
【0045】
次に、上記半導体素子を発光素子とした場合には、図1に示すように、調整層5上に形成しておいた、少なくともp型AlGa1−yN層7、発光層6(およびn型AlGa1−xN層4の一部)をドライエッチング法を用いてエッチングし、n型AlGa1−xN層4の発光層6側(図1では上側)の一部を露出させる。そして、最後に、p側電極9およびn側電極10を真空蒸着法により形成してn型AlGa1−xN層4とp型AlGa1−yN層7とを電気的に連結させ、図1に示すような半導体素子100とする。
【0046】
そして、このようにして製造した半導体素子100では、調整層5にp型不純物を含有させているので、調整層5の横方向結晶成長が促進されて、調整層5の平坦性および結晶性が向上する。よって、調整層5の上に形成されたn型AlGa1−xN層4の平坦性および結晶性も向上するので、さらにその上の発光層6およびp型AlGa1−yN層7の平坦性および結晶性も向上し、高い発光出力の半導体素子100を得ることができる。
【0047】
本発明の窒化物半導体素子のn型AlGa1−xN層4は、n−クラッド層およびn−コンタクト層の積層体、また、p型AlGa1−yN層7は、p−クラッド層、p−コンタクト層の積層体として形成してもよい。
【0048】
以上、第1のAlGa1−xN層がn型である場合ついて説明したが、本発明は、第1のAlGa1−xN層がアンドープのi型である場合も含む。第1のAlGa1−xN層がi型である場合には、例えばこのi型AlGa1−xN層をチャネル層とし、この上に電子供給層としてn型AlGaN系層を設け、その上にソース、ゲートおよびドレインの3つの電極を設けることにより、HEMT構造の電子デバイスとすることができる。
【0049】
上述したところは、本発明の実施形態の一例を示したものであって、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。また、上述したAlGaN層には、概ね1%以下のIn,B等が不可避的に混入しているものも含まれる。
【実施例】
【0050】
ここでは、本発明における調整層5がp型不純物を含むことの優位性を示すために、AlN上にp型AlGaNを形成した場合の方が、n型またはi型のAlGaN層を形成した場合に比べて、非常に良い平坦性が得られることを実験的に示す。
【0051】
(実験例1)
AlNテンプレート基板上に、MOCVD法によりMgドープp型Al0.31Ga0.69N層(厚さ:1000nm、Mgドープ、Mg濃度:1×1019/cm)を成長させた。
【0052】
(実験例2)
AlNテンプレート基板上に、MOCVD法によりSiドープn型Al0.31Ga0.69N層(厚さ:1000nm、Siドープ、Si濃度:4×1018/cm)を成長させた。
【0053】
(実験例3)
AlNテンプレート基板上に、MOCVD法によりアンドープのi型Al0.31Ga0.69N層(厚さ:1000nm)を成長させた。
【0054】
(評価1)
上記実験例1のMgドープAlGaN層、上記実験例2のn型AlGaN層、および上記実験例3のi型AlGaN層のそれぞれについて、光学顕微鏡および原子力間顕微鏡(AFM)を用いて表面を観察し、AFMの測定より求められた算術平均粗さRaにより、表面上の平坦性を評価した。
【0055】
図3(a),(b)は、それぞれ実験例1および2の表面を光学顕微鏡像(1000倍)で撮影した写真である。写真から明らかなように、同じ視野の範囲で実験例1は段差が見えないが、実験例2では段差が観察された。このことから、基板上にMgドープAl0.31Ga0.69N層を成長させた実験例1の方が、基板上にn型Al0.31Ga0.69N層を成長させた実験例2よりも表面が平坦であることがわかる。実験例3の表面についても実験例2と同様、段差が確認された。
【0056】
また、AFMによる測定の結果、算術平均粗さRaについて、実験例1はRa=0.74nm、実験例2はRa=6.32nm、実験例3はRa=5.94であった。このことから、実験例1の方が、実験例2ないしは3に比べ、表面が非常に平坦であることがわかる。
【0057】
以上より、AlN上に、AlNとのAl組成差の大きいn型AlGaN層を形成した場合には、n型AlGaN層の表面には凹凸ができているのに対し、AlN上に、AlNとのAl組成差の大きいMgドープAlGaN層を形成した場合には、MgドープAlGaN層の表面が平坦となることがわかる。なお、アンドープのi型AlGaN層でも、AlN上に直接成長させた場合には、n型AlGaN層と同程度に表面平坦性の悪化が見られた。
【0058】
(実施例1)
AlNテンプレート基板上に、MOCVD法により、初期層としてAlN層(厚さ:27nm)を積層後、バッファ(超格子歪緩衝層)、平坦化を促進させる物質としてMgをドープしたp型Al0.31Ga0.69N調整層(厚さ:100nm、Mg濃度:1×1018/cm)、アンドープのi型Al0.35Ga0.65N層(厚さ:300nm)を順次エピタキシャル成長させた。さらに、n型Al0.35Ga0.65N層(厚さ:1300nm、Siドープ、濃度:1×1019/cm)、発光層(発光波長325nmの多重量子井戸構造、総厚さ:64.5nm)、p型Al0.32Ga0.68N層(厚さ:280nm、Mgドープ、濃度:1.5×1019cm)を順次エピタキシャル成長させて機能積層体を形成し、基板上にエピタキシャル成長積層体を形成した。つまり、本実施形態において、z=0.31,w=x=0.35,y=0.32となり、zがxの±0.05の範囲に含まれ、wはxと等しく、かつz<wである。
【0059】
なお、超格子歪緩衝層は第1の層をGaN層とし、AlN層(厚さ:9nm)とGaN層(厚さ:2.1nm)とを交互に20組積層した超格子積層体Iと、AlN層(厚さ:2.7nm)とGaN層(厚さ:2.1nm)とを交互に30組積層した超格子積層体IIと、AlN層(厚さ:0.9nm)とGaN層(厚さ:2.1nm)とを交互に50.5組積層した超格子積層体III(左記の0.5組は、AlN層から始まりAlN層で終わることを意味する)とを順次積層した構造とし、GaN層(第1の層)には、Mgを添加した。
【0060】
ここで、バッファ(超格子歪緩衝層)の中での機能積層体側の最表面はAlN層であり、互いに面したバッファの機能積層体側のAl組成αと、機能積層体のバッファ側(n型Al0.35Ga0.65N層)のAl組成xとの差(α−x)は1.0−0.35=0.65であり0.1より大きい。超格子層IIIをAlGaNとみなしたときの合計のAl組成ηは、0.9nm/2.1nm=0.43と計算される。超格子歪緩衝層およびp型Al0.35Ga0.65N層の作製条件を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
(比較例1)
Mgをドープしたp型Al0.31Ga0.69N調整層を形成しなかった点以外は実施例1と同様のエピタキシャル成長積層体を形成した。
【0063】
(実施例2)
アンドープのi型AlGaN層のAl組成をw=0.29とし、機能積層体中のn型AlGaN層のAl組成をx=0.29とした以外は、実施例1と同様のエピタキシャル成長積層体を形成した。z=0.31なので、本実施例では、zはxの±0.05の範囲に含まれるが、z>wとなる。
【0064】
(実施例3)
アンドープのi型Al0.35Ga0.65N層を形成しなかった点以外は、実施例1と同様のエピタキシャル成長積層体を形成した。本実施例では、z=0.31,x=0.35となる。
【0065】
(比較例2)
p型AlGaN調整層のAl組成をz=0.19とした点以外は、実施例3と同様のエピタキシャル成長積層体を形成した。本比較例では、x=0.35のままであるため、zがxの±0.05の範囲に含まれない。
【0066】
(比較例3)
p型AlGaN調整層のAl組成をz=0.41とした点以外は、実施例3と同様のエピタキシャル成長積層体を形成した。本比較例では、x=0.35のままであるため、zがxの±0.05の範囲に含まれない。
【0067】
(評価2)
上記実施例1〜3および比較例1〜3の機能積層体を形成した段階のサンプルをX線回折装置で分析し、(0002)面および(10−12)面に相当するピークの半値幅を求めた結果を表2に示す。なお、半値幅は小さいほど結晶性が良好である。比較例2に関しては、機能積層体の表面にクラックが発生したため、半値幅を測定することができなかった。
【0068】
【表2】

【0069】
(評価3)
上記実施例1〜3および比較例1〜3について、成長面をダイヤペンで罫書き、機能積層体を構成するn型AlGaN層を露出させた点と、この露出させた点から1.5mm離れた点とにドット状Inを物理的に押圧して成形した2点をn型およびp型電極として簡易的な窒化物半導体素子を作製した。そして、それらにプローブを接触させ、DC20mA通電後の光出力を裏面より射出させ、光ファイバを通じてマルチ・チャネル型分光器へ導光し、スペクトルのピーク強度を出力換算して発光出力Poを求めた。発光波長はいずれも327nmであった。結果を表3に示す。なお、比較例2は発光しなかった。
【0070】
【表3】

【0071】
(評価4)
上記実施例1〜3および比較例1〜3について、超格子歪緩衝層成長後の表面の反射率を1としたときに、MgをドープしたAlGaN調整層成長後、i型AlGaN層成長中、機能積層体を構成するn型AlGaN層成長中および発光層成長中の表面の反射率を測定した。
【0072】
成長中のウェハの表面の反射率を求めるため、炉窓を通して、ウェハへ照射できるキセノンランプ光源および光学系部材を用意し、ウェハに光源を照射して、反射してきた光を受光部から光ファイバを介して分光光度計にて測定を実施した。あらかじめ研磨されたサファイア基板にて光軸調整を行い、併せて反射強度の測定を実施した。当該サファイア基板の反射率と、各成長途中で得られる反射率から、相対反射強度を求めた。表面が平坦な状態で成長している場合、すなわち表面の平坦性が高い場合は、光源から受光部への光軸に沿って光が通過するため、受光する光強度は一定の値を示す。しかし、表面が荒れた状態で成長している場合、ウェハ上で光が散乱されるため、受光部する光強度は平坦な状態に比べ、小さくなる。よって、当該測定系により、成長しているその場でのウェハ表面の状態を光強度の時間変化という形で計測することが出来、成長中のウェハ表面状態の変化を知ることが出来る。本測定では、超格子歪干渉層成長時に得られた対サファイア相対強度を基準とし、各成長層の対サファイア相対強度を超格子歪干渉層相対強度で規格化した。これら結果を表4に示す。なお、比較例2については、クラック発生のため測定することができなかった。
【0073】
【表4】

【0074】
表4からわかるように、比較例1,3においては超格子歪緩衝層成長後の反射率をその後も維持することができず、上の層を積層していくにつれて、反射率が低下したが、実施例1〜3については、比較例1,3よりも超格子歪緩衝層成長後の反射率をその後も維持することができた。これは、p型Al0.31Ga0.69N調整層が、バッファで改善された平坦性および結晶性を有効に機能積層体に引き継がせることができたためと考えられる。
【0075】
なお、実施例1の発光層で強度が1.2になっているのは、発光層はAl組成が低く、屈折率が大きくなるため、炉内の雰囲気ガスとの屈折率(NとHで混合された屈折率であり、大気の屈折率とほぼ等しい)差が大きくなり、反射率が大きくでているためである。一方、比較例1,3では発光層の反射率はn型AlGaN層よりも値が小さく、明らかに表面荒れによる反射率低下である。
【0076】
(評価5)
上記実施例1および比較例1について、SIMSにより、不純物濃度の測定を行った。
【0077】
実施例1のn型Al0.35Ga0.65N層および発光層における酸素(O)濃度は1×1018/cmであったが、比較例1の酸素(O)濃度は、8×1018/cmであった。実施例2、3のn型AlGaN層および発光層における酸素(O)濃度も実施例1とほぼ同じであり、2×1018/cm未満であった。このことから、本発明のp型AlGaN調整層によって、その後に積層した層の酸素(O)の濃度を2×1018/cm未満に低減することができ、発光出力の向上に寄与することができた。
【0078】
また、以上の結果から、本発明に従う半導体素子は、バッファで改善された平坦性および結晶性を、p型不純物を含むAl0.31Ga0.69N調整層に引継ぎ、調整層のAl組成をその上のAlGaN層とのAl組成と略等しくすることにより、その上のi型またはn型Al0.35Ga0.65Nにも平坦性および結晶性を引き継ぎ、さらに機能積層体全体へも引き継がせることにより、素子の発光出力を向上できていることがわかる。また、実施例1と実施例3との比較より、不純物をドープしないi型AlGa1−wN層をさらに具えることが好ましく、実施例1と実施例2との比較よりz<wである方がより好ましいことがわかる。
【0079】
本実施例で得られた機能積層体に、その後、機能積層体を構成するn型AlGaN層をドライエッチング法により一部露出させ、例えば、n側電極をn型AlGaN層に形成し、p側電極をp型AlGaN層上に形成して半導体素子を作製することで、高出力の発光素子を得られることは明らかである。
【0080】
実験例2や実験例3のように、AlN上にAlGaN層を直接成長させるとその表面平坦性が悪化してしまうところ、本発明のp型不純物を含むAlGaN調整層を適切なAl組成で間に挿入することによって、AlGaN層の表面を平坦化することができ、このことがさらには結晶性の向上にも寄与するということを見出した。
【0081】
本発明の調整層を用いることにより、その上の窒化物半導体層の平坦性および結晶性を向上できることは、発光素子に限らず、HEMTなどの電子デバイスなどに応用することができる。つまり、例えば超格子バッファとノンドープのチャネル層との間に、チャネル層とAl組成の略等しいp型不純物を含むAlGaN層を有することで、バッファで改善された平坦性と結晶性を有効に引き継ぎ、チャネル層およびその上の平坦性と結晶性を向上させることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、基板上のバッファと、機能積層体のn型またはi型の第1のAlGa1−xN層(0≦x<1)との間に、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層(0≦z<1)であって、このAl組成zが、第1のAlGa1−xN層のAl組成xの±0.05の範囲であるAlGa1−zN調整層を配設することにより、バッファで改善された平坦性および結晶性を有効に機能積層体に引き継がせ、平坦性および結晶性が良好な機能積層体を有する半導体素子をその製造方法とともに提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
100 半導体素子
1 基板
1a サファイア基板
1b AlNまたはAlGaN層
2 バッファ層
2a p型AlβGa1−βN層
2b AlN層
3 機能積層体
4 n型AlGa1−xN層
5 p型不純物を含むAlGa1−zN調整層
6 発光層
7 p型AlGa1−yN層
8 不純物をドープしないi型のAlGa1−wN層
9 p側電極
10 n側電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、バッファと、複数の窒化物半導体層を含む機能積層体とを具える半導体素子であって、
前記機能積層体は、前記バッファ側にn型またはi型である第1のAlGa1−xN層(0≦x<1)を有し、
前記バッファと前記機能積層体との間に、前記第1のAlGa1−xN層とAl組成が略等しいp型不純物を含むAlGa1−zN調整層(x−0.05≦z≦x+0.05、0≦z<1)を具えることを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
前記基板は、AlNテンプレート基板である請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記バッファは、少なくとも前記機能積層体側にAlαGa1−αN層(0≦α≦1)を含み、該AlαGa1−αN層のAl組成αと、前記第1のAlGa1−xN層のAl組成xとの差が、0.1以上である請求項1または2に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記第1のAlGa1−xN層がn型であり、
前記機能積層体は、前記第1のAlGa1−xN層上に、少なくとも発光層および第2のAlGa1−yN層(0≦y<1)を順に有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記p型不純物を含むAlGa1−zN調整層と前記第1のAlGa1−xN層との間に、不純物をドープしないi型AlGa1−wN層(x−0.05≦w≦x+0.05、0≦w<1)をさらに具える請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項6】
前記p型不純物を含むAlGa1−zN調整層と前記不純物をドープしないi型AlGa1−wN層とが、z<wの関係を満たす請求項5に記載の半導体素子。
【請求項7】
前記p型不純物を含むAlGa1−zN調整層の厚さが、100〜1500nmの範囲である請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項8】
前記p型不純物を含むAlGa1−zN調整層は、Mgがドープされており、Mg濃度が5×1016〜2×1020/cmの範囲である請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記第1のAlGa1−xN層に含まれるOの濃度が2×1018/cm未満である請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項10】
前記バッファは、AlβGa1−βN層(0≦β≦0.3)と、AlN層とを交互に積層して超格子構造を形成してなる超格子歪緩衝層を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項11】
基板上に、バッファと、p型不純物を含むAlGa1−zN調整層(x−0.05≦z≦x+0.05、0≦z<1)と、i型またはn型AlGa1−xN層(0≦x<1)を含む機能積層体とを順次形成することを特徴とする半導体素子の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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