説明

半導体素子用ソケット

【課題】コンタクトプローブの適正なストローク量を確保すると共にコンタクトプローブの小型化を図ることができる半導体素子用ソケットを提供する。
【解決手段】半導体素子用ソケット10は、ベース部材20に取り付けられた可動ベース用ばね12によりベース部材20上に上下方向に移動可能に配置された可動ベース部材30と、可動ベース部材30上に配置され、ICパッケージ50を支持する可動台座40とを備え、可動台座40が下方に移動することで、可動ベース部材30を下方向に移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC素子などの検査に用いるコンタクトプローブを備えた半導体素子用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極部として半田ボールや半田バンプを有するIC(集積回路)パッケージなどの半導体素子と、検査装置の検査回路基板との間を、電気的に接続する接続子としてコンタクトプローブが配設された、半導体素子用ソケットが提供されている。
図8に示した従来の半導体素子用ソケット100としては、平坦な底面形状をなす第1基板102と、この第1基板上に設けられた第2基板104と、第2基板104上にガイドピンに沿って上下に移動可能に設けられ、コイルばねによって上方へ付勢された可動台座103を備え、BGA(Ball Grid Array)型IC素子101の導通検査を行う検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
第1基板102には、全長L1のコンタクトプローブ110が多数本マトリクス状に立設されている。コンタクトプローブ110の一方の接触部113は、第2基板104の上面から長さH1だけ突出可能となっている。また、コンタクトプローブ110の他方の接触部114は、第1基板102下面から突出可能となっている。このコンタクトプローブ110内の接触部113、114間には、コイルばねが収容されており、両接触部113、114を軸方向に付勢している。第1基板102および第2基板104には、各コンタクトプローブ110を挿入させ得る貫通孔105がマトリクス状に多数形成されている。さらに、載置されたIC素子101を上方から押圧するための押圧板(不図示)が、IC素子101の上方に昇降可能に配置されている。
【0004】
上記半導体素子用ソケット100は、コンタクトプローブ110が第1基板102に固定配置されており、IC素子101が載置された可動台座103の底面が第2基板104に当接する前に適正なストローク量S(=H1−H2)を得るために、第2基板104の上面からプローブ先端が突出する突出長さH1が比較的長くなっている。なお、H2は検査終了時のコンタクトプローブ110の第2基板104の上面からの突出長さである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4390983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、半導体素子の検査スピードが高速化しており、コンタクトプローブの小型化が望まれている。また、高周波信号での測定を行いたい要求があり、そのためコンタクトプローブのインピーダンスを低くすることが望まれる。
しかしながら、上記構成の半導体素子用ソケット100では、コンタクトプローブ110の適正なストローク量Sを得るために、先端の突出長さH1を短くすることが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、コンタクトプローブの適正なストローク量を確保すると共にコンタクトプローブの小型化を図ることができる半導体素子用ソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明の半導体素子用ソケットは、支持部材により支持される半導体素子の電極部と配線基板の電極部とを導通させるコンタクト端子と、前記配線基板上に配置され、前記コンタクト端子を収容する収容孔を有するベース部材と、を備えた半導体素子用ソケットであって、前記ベース部材に取り付けられた第1弾性部材により前記ベース部材上に上下方向に移動可能に配置された可動ベース部材と、前記可動ベース部材上で、前記支持部材が下方へ移動することで、前記可動ベース部材を下方向へ移動させることを特徴としている。
【0009】
本発明の半導体素子用ソケットにおいて、前記支持部材は、前記可動ベース部材上に移動可能に配置された可動台座であり、前記可動台座は、前記ベース部材に取り付けられた第2弾性部材により前記可動ベース部材上に配置されていることが好ましい。
【0010】
本発明の半導体素子用ソケットにおいて、前記可動台座がストッパ部材によって上下方向にガイドされることが好ましい。
【0011】
本発明の半導体素子用ソケットにおいて、前記可動ベース部材がストッパ部材によって上下方向にガイドされることが好ましい。
【0012】
本発明の半導体素子用ソケットにおいて、前記可動ベース部材が前記可動台座の入り込む凹部を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の半導体素子用ソケットによれば、ベース部材に取り付けられた第1弾性部材によりベース部材上に上下方向に移動可能に配置された可動ベース部材と、可動ベース部材上で、半導体素子を支持する支持部材が下方へ移動することで、可動ベース部材を下方向へ移動させるので、可動ベース部材の第1弾性部材の付勢力に抗して下方向へ移動する分だけコンタクトプローブの可動ベース部材の上面からの突出量を短くすることができる。これにより、コンタクトプローブの適正なストローク量を確保しつつ、コンタクトプローブの長さを短くすることができ、コンタクトプローブの小型化を図ることができる。よって、コンタクトプローブのインピーダンスを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る半導体素子用ソケットの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1における組み付けられた半導体素子用ソケットの縦断面図である。
【図3】図2における半導体素子用ソケットが配線基板に装着され、半導体素子を収容した要部の部分断面図である。
【図4】半導体素子の検査開始から終了までを説明する説明図であって、(a)は半導体素子の押圧前の断面図、(b)は半導体素子の押圧開始時の断面図、(c)は半導体素子の押圧中の断面図、(d)は半導体素子の押圧終了時の断面図である。
【図5】図4におけるストローク量を示す断面図である。
【図6】本発明に係る半導体素子用ソケットの別の実施形態を示す要部の部分断面図である。
【図7】図6における半導体素子の押圧終了時の断面図である。
【図8】従来の半導体素子用ソケットのストローク量を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る半導体素子用ソケットの第1の実施形態を図1〜図5を参照して説明する。
【0016】
図1〜図3に示すように、半導体素子用ソケット10は、コンタクトプローブ11、ストッパ部材14、ベース部材20、可動ベース部材30および可動台座40を備えている。コンタクトプローブ11は、検査される半導体素子であるICパッケージ50の電極部と、検査装置側の配線基板であるテストボード19の電極部とを導通させる多数のコンタクト端子であり、ベース部材20上にマトリクス状に配置されている。
【0017】
ベース部材20は、テストボード19上に配置され、基板21の中心部に四角形の凹部24が形成されている。この凹部24の底面25には、コンタクトプローブ11の下方部を収容する多数の第1プローブ収容孔23が四角形のマトリクス状に形成されている。四角形状のプローブ収容孔23群の内側の角部付近には、ストッパ部材14用の第1挿通孔22が設けられている。この一対の挿通孔22間には、プローブ収容孔23群に沿って第1弾性部材である2対の可動ベース用ばね12と、第2弾性部材である2対の台座用ばね13が対向位置に配置されている。
【0018】
可動ベース部材30は、四角形の基板31の外周に沿ってベース部材20の第1プローブ収容孔23に対応する多数の第2プローブ収容孔32が形成されている。この第2プローブ収容孔32が形成された基板31の内側には、基板31より薄板の底板33が形成されている。底板33には、ベース部材20の第1挿通孔22に対応する角部付近にストッパ部材14用の第2挿通孔34が設けられている。この第2挿通孔34間の台座用ばね13に対応した位置には、台座用ばね13が貫通する2対の貫通孔35が設けられている。
【0019】
可動ベース部材30の下面に可動ベース用ばね12が当接しており、この可動ベース用ばね12により可動ベース部材30は上下方向に移動可能となる。また、可動ベース部材30の底板33上は、外周の基板31より窪んだ凹部36が形成されており、この凹部36内に可動台座40が組み込まれる。
【0020】
可動台座40は、その上面43にICパッケージ50が載置される支持部材であり、四角形の基部41の角部付近に、ベース部材20の第1挿通孔22および可動ベース部材30の第2挿通孔34に対応するストッパ部材14用の第3挿通孔42が設けられている。可動台座40の下面45にベース部材20に取り付けられた台座用ばね13が可動ベース部材30の貫通孔35を貫通して当接している。可動台座40は、この台座用ばね13により可動ベース部材30上で上下方向に移動可能となる。
【0021】
また、可動台座40は、上方からの押圧力により下方に移動して、下面45が可動ベース部材30の底板33に当接し、さらに可動ベース部材30と一体となって下方に移動することができる。これにより、可動ベース部材30を適正なストローク量だけ下方向に移動させることができ、コンタクトプローブの安定した適正量のストロークが実現できる。
【0022】
ストッパ部材14は、位置決め機能とストッパ機能を有しており、上から順に頭部14a、大径部14b、中径部14cおよび小径部14dが形成されている。ストッパ部材14は、組み付け時に可動台座40の第3挿通孔42、可動ベース部材30の第2挿通孔34、ベース部材20の第1挿通孔22の順に挿通される。これにより、可動ベース部材30および可動台座40は、ストッパ部材14によってベース部材20に対して横方向へのブレが抑えられると共に上下方向へガイドされる。
【0023】
詳しくは、ストッパ部材14の頭部14aは、第3挿通孔42内に完全に入り込み、頭部14a下面が第3挿通孔42の段部42aに当接する。大径部14bは、第3挿通孔42内に挿通され、大径部14b下面が第2挿通孔34の段部34aに当接する。中径部14cは、第2挿通孔34内に挿通され、中径部14c下面が第1挿通孔22の上端縁であるベース部材20の底面25に当接する。小径部14dは、第1挿通孔22内に係合される。
【0024】
コンタクトプローブ11は、バレル15、第1プランジャ16および第2プランジャ17を備えている。バレル15は、導電性を有する金属筒である。第1プランジャ16は、バレル15の上部側から突出するように装着され、上端にICパッケージ50の基板51下面に形成された電極部である半田ボール52に接触する上部接触部16aを有している。第2プランジャ17は、バレル15の下部側に収容され、下端にテストボード19の電極部と導通する下部接触部17aを有している。また、バレル15内の第1プランジャ16と第2プランジャ17との間にはコイルばね18が介在している。このコイルばね18は、第1プランジャ16と第2プランジャ17を軸方向に沿って離反させるように付勢している。
【0025】
次に、上記半導体素子用ソケット10の組み付け手順を説明する。
図1に示すように、先ず多数のコンタクトプローブ11がベース部材20の上方から凹部24内のマトリクス状に形成された第1プローブ収容孔23内に挿入される。これにより、コンタクトプローブ11の上方のバレル15と第1プランジャ16がベース部材20上から露出した状態で配置される。また、下端に配置された第2プランジャ17の下部接触部17aがベース部材20の下面から突出する。その後、プローブ収容孔23群の内側の所定位置に可動ベース用ばね12が配置される。
【0026】
次に、ベース部材20上に露出した各コンタクトプローブ11に対応する各第2プローブ収容孔32がベース部材20の上方で位置合わせされてから、可動ベース部材30が凹部24内に装着される。このとき、不図示の位置決めピンを可動ベース部材30の第2挿通孔34内に挿通させた状態で、位置決めピンの下端をベース部材20上の第1挿通孔22内に挿入する。次に、台座用ばね13が上方から可動ベース部材30の貫通孔35内に挿入される。
【0027】
これにより、ベース部材20に対する可動ベース部材30の位置合わせと同時に、各コンタクトプローブ11の第1プランジャ16を可動ベース部材30の各第2プローブ収容孔32内に一括挿入することができる。また、可動ベース部材30は、その基板31がベース部材20から突出した状態で、底板33がベース部材20の凹部24内に組み込まれる。
【0028】
次に、可動ベース部材30に位置決めピンを装着した状態で、可動台座40の第3挿通孔42が可動ベース部材30の上方から位置決めピンに挿通される。これにより、可動台座40は、その上面43を突出させた状態で、可動ベース部材30の凹部36内に組み込まれる。
【0029】
最後に、第3挿通孔42から位置決めピンを1本抜いて、その第3挿通孔42内にストッパ部材14を挿入する。次に、挿入したストッパ部材14の対角線上に位置する位置決めピンを抜いて、次のストッパ部材14を挿入する。このように全ての位置決めピンを抜いて、ストッパ部材14を順次挿入することで半導体素子用ソケット10の組み付け作業は終了する。
【0030】
次に、上記半導体素子用ソケット10によってICパッケージ50を検査する手順を説明する。
図4(a)に示すように、検査開始時は、半田ボール52を下面したICパッケージ50が可動台座40の上面に載置される。そして、不図示の押圧板によりICパッケージ50上面に押圧力Fが付加される。なお、コンタクトプローブ11の第2プランジャ17はテストボード19側の電極部と接触している。
【0031】
図4(b)に示すように、押圧力FによりICパッケージ50と可動台座40が一体となって台座用ばね13の付勢力に抗して下降することで、半田ボール52がコンタクトプローブ11の第1プランジャ16に接触する。これにより、ICパッケージ50の半田ボール52とテストボード19側の電極部と導通する。
【0032】
図4(c)に示すように、さらにICパッケージ50が下方へ押圧されると、コンタクトプローブ11の第1プランジャ16がバレル15内のコイルばね18(図3参照)を圧縮しながら下降する。このとき、コイルばね18の付勢力によりコンタクトプローブ11の下方の第2プランジャ17がテストボード19の電極部に押し付けられる。そして、可動台座40の下面が可動ベース部材30の上面に当接して、ICパッケージ50、可動台座40および可動ベース部材30が一体となって下降を開始する。
【0033】
図4(d)に示すように、さらにICパッケージ50が下方へ押圧されると、ICパッケージ50、可動台座40および可動ベース部材30は、可動ベース用ばね12および台座用ばね13の付勢力に抗して所定の距離だけ下降する。このとき、検査上必要なコンタクトプローブ11の適正ストローク量を達成することができる。これにより、ICパッケージ50の電極部である半田ボール52とテストボード19の電極部とがコンタクトプローブ11を介して確実に導通され、ICパッケージ50の導通検査が実行される。
【0034】
検査終了後、押圧力Fを解除することで可動ベース用ばね12および台座用ばね13の反発力により可動ベース部材30および可動台座40が検査開始位置に上昇する。また、コンタクトプローブ11の第1プランジャ16がコイルばね18の反発力により可動ベース部材30の上面から所定長さ突出する。これにより、ICパッケージ50の検査作業が終了する。
【0035】
上述したように本実施形態の半導体素子用ソケット10によれば、図5に示すように、可動ベース部材30が可動ベース用ばね12によって上下方向へ移動可能である。これにより、図中左側の検査開始時のコンタクトプローブ11の可動ベース部材30からの突出長さH3を、図8に示した従来のコンタクトプローブ110の突出長さH1と比較して、短くしても適正なストローク量S(=H3−H4)を得ることができる。したがって、コンタクトプローブ11の全長L2を短くすることができる。なお、図中右側のH4は、検査終了時のコンタクトプローブ11の可動ベース部材30の上面からの突出長さである。
【0036】
次に、本発明に係る半導体素子用ソケットの第2の実施形態を図6〜図7を参照して説明する。
【0037】
上記第1の実施形態の半導体素子用ソケット10との相異点は、可動台座を備えてなく、ICパッケージ50が検査装置側の支持部材であるキャリア部材70に装着されている点である。その他の構成は、上記半導体素子用ソケット10と同じであり、半導体素子用ソケット10と同一構成には図中同一符号を付すことで詳細な説明は簡略化する。
【0038】
図6に示すように、本実施形態の半導体素子用ソケット60は、検査装置側に設けられているキャリア部材70がキャリア本体71の下端に開口部を有しており、この開口部内側にICパッケージ50専用の保持部72が形成されている。この保持部72に半田ボール52を下面に有するICパッケージ50が水平状態で保持される。また、キャリア部材70は、検査装置の上方で水平方向および上下方向の所定位置に移動自在である。キャリア部材70は、その上面にICパッケージ50が載置される支持部材であり、四角形の基部の角部付近に、ベース部材20の第1挿通孔22および可動ベース部材30の第2挿通孔34に対応するストッパ部材84用の第3挿通孔73が設けられている。
ストッパ部材84は、位置決め機能とストッパ機能を有しており、上から順に大径部84b、中径部84cおよび小径部84dが形成されている。ストッパ部材84は、組み付け時にキャリア部材70の第3挿通孔73、可動ベース部材30の第2挿通孔34、ベース部材20の第1挿通孔22の順に挿通される。これにより、可動ベース部材30およびキャリア部材70は、ストッパ部材84によってベース部材20に対して横方向へのブレが抑えられる。また、可動ベース部材30は、ストッパ部材84によって、上下方向の位置決めをされる。
【0039】
ICパッケージ50の検査開始時は、半田ボール52を下面したICパッケージ50が保持部72に保持された状態で、可動ベース部材30上方の所定位置にキャリア部材70が停止する。次に、ICパッケージ50と共にキャリア部材70を不図示の駆動装置により第1プランジャ16の接触部16aに接触するまで下降させる。このとき、ICパッケージ50の半田ボール52とテストボード19側の電極部と導通する。また、第1プランジャ16aは、可動ベース部材30の上面から突出長さH3だけ突出している。
【0040】
次に、図7に示すように、第1プランジャ16の接触部16aが突出長さH4(<H3)になるまでキャリア部材70を下降させて停止する。このとき、キャリア部材70の下面が可動ベース部材30の上面に当接して、ICパッケージ50、キャリア部材70および可動ベース部材30が一体となって可動ベース用ばね12の付勢力に抗して下降する。また、コンタクトプローブ11の第1プランジャ16がバレル15内のコイルばね18を圧縮しながら下降すると共に、コイルばね18の付勢力によりコンタクトプローブ11の下方の第2プランジャ17の接触部17aがテストボード19の電極部に押し付けられる。これにより、検査上必要なコンタクトプローブ11の適正ストローク量が達成され、ICパッケージ50の半田ボール52とテストボード19の電極部とがコンタクトプローブ11を介して確実に導通され、ICパッケージ50の導通検査が実行される。
【0041】
検査終了後、キャリア部材70を所定位置まで上昇させることで、可動ベース用ばね12の反発力により可動ベース部材30が検査開始位置に戻る。また、コンタクトプローブ11の第1プランジャ16がコイルばね18の反発力により可動ベース部材30の上面から突出長さH3だけ突出する。これにより、キャリア部材70によるICパッケージ50の検査作業が終了する。
【0042】
以上説明したように、上記実施形態に係る半導体素子用ソケット10,60によれば、ベース部材20に取り付けられた可動ベース用ばね12によりベース部材20上に上下方向に移動可能に配置された可動ベース部材30と、可動ベース部材30上で、少なくともICパッケージ50を支持する可動台座40またはキャリア部材70が下方へ移動することで、可動ベース部材30を下方向へ移動させる。
【0043】
これにより、可動ベース部材30の可動ベース用ばね12の付勢力に抗して下方向へ移動する分だけコンタクトプローブ11の可動ベース部材30の上面からの突出量H3を短くすることができ、コンタクトプローブ11の適正なストローク量Sを確保しつつ、コンタクトプローブ11の全長さL2を短くすることができ、コンタクトプローブ11の小型化を図ることができる。よって、コンタクトプローブのインピーダンスを低くすることができる。
【0044】
また、可動台座40は、可動ベース部材30上に移動可能に配置されており、ベース部材20に取り付けられた台座用ばね13により可動ベース部材30上に配置されている。これにより、ICパッケージ50は、可動台座40上に載置され、押圧板等により上方から押圧されることで、可動台座40および可動ベース部材30と一体となって下降させることで、コンタクトプローブ11の適正なストローク量Sを得ることができる。
【0045】
また、少なくとも可動台座40または可動ベース部材30がストッパ部材14,84によって上下方向にガイドされるので、横方向へのブレが抑えられ、安定した上下方向への移動を実現できる。
【0046】
また、可動ベース部材30が可動台座40の入り込む凹部36を有しているので、少なくとも可動ベース部材30の凹部36内に可動台座40の一部が組み込まれるので、半導体素子用ソケット10,60の縦方向のコンパクト化を図ることができる。
【0047】
さらに、キャリア部材70がICパッケージ50を一体的に保持し、可動ベース部材30上に移動可能に配置されるので、ICパッケージ50の上下方向への安定した移動を実現できる。
【0048】
なお、本発明の半導体素子用ソケットは、上述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。例えば、上記半導体素子用ソケット10,60では、バレル15内にプランジャ16,17とコイルばね18を備えたコンタクトプローブ11を例示したが、プローブ収容孔23,32内に収容可能であれば別形態のコンタクトプローブを用いることもできる。
【符号の説明】
【0049】
10,60:半導体素子用ソケット、11:コンタクトプローブ(コンタクト端子)、12:可動ベース用ばね(第1弾性部材)、13:台座用ばね(第2弾性部材)、14,84:ストッパ部材、15:バレル、16:第1プランジャ、17:第2プランジャ、18:コイルばね、19:テストボード(配線基板)、20:ベース部材、22:第1挿通孔、23:第1プローブ収容孔、30:可動ベース部材、32:第2プローブ収容孔、34:第2挿通孔、35:貫通孔、36:凹部、40:可動台座(支持部材)、42:第3挿通孔、50:ICパッケージ(半導体素子)、52:半田ボール(電極部)、70:キャリア部材(支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材により支持される半導体素子の電極部と配線基板の電極部とを導通させるコンタクト端子と、前記配線基板上に配置され、前記コンタクト端子を収容する収容孔を有するベース部材と、を備えた半導体素子用ソケットであって、
前記ベース部材に取り付けられた第1弾性部材により前記ベース部材上に上下方向に移動可能に配置された可動ベース部材と、
前記可動ベース部材上で、前記支持部材が下方に移動することで、前記可動ベース部材を下方向へ移動させることを特徴とする半導体素子用ソケット。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体素子用ソケットであって、
前記支持部材は、前記可動ベース部材上に移動可能に配置された可動台座であり、
前記可動台座は、前記ベース部材に取り付けられた第2弾性部材により前記可動ベース部材上に配置されていることを特徴とする半導体素子用ソケット。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体素子用ソケットであって、
前記可動台座が、ストッパ部材によって上下方向にガイドされることを特徴とする半導体素子用ソケット。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体素子用ソケットであって、
前記可動ベース部材が、ストッパ部材によって上下方向にガイドされることを特徴とする半導体素子用ソケット。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の半導体素子用ソケットであって、
前記可動ベース部材が、前記可動台座の入り込む凹部を有していることを特徴とする半導体素子用ソケット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−113753(P2013−113753A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261213(P2011−261213)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】