説明

半導体膜を製造する方法

【課題】キャリア密度の高い化合物半導体膜を製造する方法を提供する。
【解決手段】第1及び第2のドーパント17a、19aと、III族窒化物半導体47の構成元素の原料とを供給して第1半導体層47bを形成する工程S103と、第2半導体層47aを形成する工程S101と、第1半導体層47bと、第2半導体層47aの形成を繰り返す工程S107とを備え、第2のドーパント19aは、第1のドーパント17aと同一の導電型のドーパントとして働き、第2半導体層47aは、アンドープ層、又は、低ドープ層であり、低ドープ層は、第1及び第2のドーパント17a、19aが第1半導体層47bにおける濃度よりも低濃度にドープされ、第1半導体層47bにおいて置換される構成元素の原子半径は、第1のドーパント17aの原子半径よりも大きく、第2のドーパント19aの原子半径よりも小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体膜を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、低抵抗の半導体膜実現のために、半導体膜に対してドナーとアクセプタを共ドーピングする技術が開示されている。ドナーとアクセプタの両者を共ドーピングすると、それぞれの不純物原子は一対一(1:1)の対を形成する。この原子対の周りに更に別のアクセプタ不純物が配位して、全体としてアクセプタとして働く。例えばドナーとアクセプタ不純物を一対二(1:2)の比率で高濃度ドープすると、その差分の濃度のアクセプタが形成できる。この方法によれば、従来困難であった1019−1021cm−3程度の高濃度の正孔濃度が実現できる。例えば、GaN半導体膜に対して、アクセプタとしてベリリウム(Be)を用いると共にドナーとしてシリコン(Si)を用いた場合、Be単独でドーピングした場合の3倍以上の正孔濃度が実現され、1.2×1018cm−3のホール密度が得られている。
【非特許文献1】Yamamoto,T.;Katayama-Yoshida,H.Materials design for the Fabrication of low-resistivity p-type GaN using a codoping method.Jpn. J.Appl.Phys. 36,1997,p.L180-L183.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
様々な半導体デバイスにおける低抵抗オーミック接触の実現、及び半導体発光デバイスにおける順方向抵抗の低減といった半導体デバイスの性能向上のためには、低抵抗の半導体膜を実現する必要がある。半導体の抵抗値は半導体内のキャリア密度に依存するため、低抵抗の半導体膜の実現のためには、半導体膜に高濃度にドーパントを添加して、キャリア密度を増加させる必要がある。
【0004】
上述の従来技術のように、GaN半導体膜にドナーとしてのSiとアクセプタとしてのBeを共ドープした場合、GaN半導体膜中のGaの一部はBe及びSiに置換される。ここで、Siの原子半径とGaの原子半径は近いが、Beの原子半径はGaの原子半径よりもかなり小さい。そのため、BeとSiを高ドープするとGaN結晶に局所的な格子歪が生じる。その結果GaN結晶内にドナー性の欠陥が発生し、そこにホールがトラップされるため、このドナー性の欠陥はホール密度を低下させる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、キャリア密度の高い化合物半導体膜を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体膜を製造する方法は、III族窒化物半導体に対してドーパントとして働く第1及び第2のドーパントと、III族窒化物半導体の構成元素の原料とを供給してIII族窒化物半導体のドープ層である第1半導体層を形成する工程と、III族窒化物半導体からなる第2半導体層を形成する工程と、第1半導体層と、第2半導体層の形成を繰り返す工程とを備え、第1半導体層は第1のドーパント及び第2のドーパントを含み、第2のドーパントは、III族窒化物半導体に対して第1のドーパントと同一の導電型のドーパントとして働き、第2半導体層は、III族窒化物半導体のアンドープ層、又は、低ドープ層であり、低ドープ層は、III族窒化物半導体に対して第1及び第2のドーパントのうち少なくとも一方が第1半導体層における濃度よりも低濃度にドープされており、第1及び第2のドーパントは、第1半導体層及び低ドープ層においてIII族窒化物半導体の構成元素のうち少なくとも一種の構成元素と置換されており、第1半導体層において当該置換される構成元素の原子半径は、第1のドーパントの原子半径よりも大きいと共に、第2のドーパントの原子半径よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
本発明の半導体膜の製造方法によれば、第1のドーパントの原子半径は、第1のドーパントと置換されるホスト半導体の構成元素よりも小さく、また、第2のドーパントの原子半径は、第2のドーパントと置換されるホスト半導体の構成元素よりも大きいので、第1半導体層であるドープ層において、ホスト半導体における局所的な格子歪を低減できる。また、第2半導体層がアンドープ層である場合、第2半導体層にはドーパント添加による格子歪はない。また、第2半導体層が低ドープ層である場合、第2半導体層にドープされた第1及び/又は第2ドーパントの濃度は第1半導体層における第1及び/又は第2ドーパントの濃度よりも低いため、第2半導体層のドーパント添加による格子歪は、第1半導体層のドーパント添加による格子歪よりも小さい。そして、第1半導体層と第2半導体層は交互に形成されるので、半導体膜全体として格子歪はさらに小さくなる。その結果、格子歪に起因するキャリア密度の低下が小さくなるので、キャリア密度の高いIII族窒化物半導体膜が得られる。
【0008】
また、本発明に係る半導体膜を製造する方法の他の態様としては、III族窒化物半導体に対してドーパントとして働く第1及び第2のドーパントと、III族窒化物半導体の構成元素の原料とを供給してIII族窒化物半導体のドープ層である第1半導体層を形成する工程と、III族窒化物半導体からなる第2半導体層を形成する工程と、第1半導体層と、第2半導体層の形成を繰り返す工程とを備え、第1半導体層は第1のドーパント及び第2のドーパントを含み、第2のドーパントは、III族窒化物半導体に対して第1のドーパントと同一の導電型のドーパントとして働き、第2半導体層は、III族窒化物半導体のアンドープ層、又は、低ドープ層であり、低ドープ層は、III族窒化物半導体に対して第1及び第2のドーパントのうち少なくとも一方が第1半導体層における濃度よりも低濃度にドープされており、第1及び第2のドーパントは、第1半導体層及び低ドープ層においてIII族窒化物半導体の構成元素のうち少なくとも一種の構成元素と置換されており、第1のドーパントの原子半径は第2のドーパントの原子半径よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体膜の製造方法によれば、第1のドーパントの原子半径は第2のドーパントの原子半径よりも小さいので、第1のドーパントのみをドープした場合と比較して、第1半導体層であるドープ層において、ホスト半導体における局所的な格子歪を低減できる。また、第2半導体層がアンドープ層である場合、第2半導体層にはドーパント添加による格子歪はない。また、第2半導体層が低ドープ層である場合、第2半導体層にドープされた第1及び/又は第2ドーパントの濃度は第1半導体層における第1及び/又は第2ドーパントの濃度よりも低いため、第2半導体層のドーパント添加による格子歪は、第1半導体層のドーパント添加による格子歪よりも小さい。そして、第1半導体層と第2半導体層は交互に形成されるので、半導体膜全体として格子歪はさらに小さくなる。その結果、格子歪に起因するキャリア密度の低下が小さくなるため、キャリア密度の高いIII族窒化物半導体膜が得られる。
【0010】
さらに、第2半導体層は、III族窒化物半導体のアンドープ層であることが好ましい。これにより、第2半導体層にはドーパント添加による格子歪はなくなる。その結果、第1半導体層と第2半導体層を交互に形成することによる半導体膜全体の格子歪を低減させる効果が特に強く発揮される。
【0011】
また、第2半導体層は、III族窒化物半導体の低ドープ層であることが好ましい。これにより、第2半導体層の比抵抗が小さくなる。その結果、半導体膜全体の抵抗値を低減させることが可能となり、半導体膜の電気的特性を向上させることが可能となる。
【0012】
さらに、III族窒化物半導体は、GaN、InN、AlNのいずれかであることが好ましい。又はIII族窒化物半導体は、GaN、InN及びAlNのうち少なくとも2つからなる混晶であることが好ましい。
【0013】
さらに、第1のドーパントはベリリウムであり、第2のドーパントはマグネシウムであることが好ましい。これらのドーパントは、GaN半導体においてガリウム原子を置換する。そして、ガリウム原子の原子半径は、マグネシウム及びベリリウムの原子半径の間である。そのため、上述のホスト半導体の格子歪を低減させる効果を十分に得ることができる。
【0014】
さらに、第1半導体層の厚さは0.5nm以上10nm以下であり、第2半導体層の厚さは0.5nm以上10nm以下であることが好ましい。これにより、第1半導体層と第2半導体層を交互に形成することによって生じる半導体膜全体の格子歪を小さくする効果が十分に大きくなる。その結果、よりキャリア密度の高いIII族窒化物半導体膜が得られる。
【0015】
さらに、ベリリウムの第1半導体層におけるドーピング濃度は5×1018以上1×1021cm―3以下であり、マグネシウムの第1半導体層におけるドーピング濃度は5×1018以上1×1021cm―3以下であることが好ましい。これにより、上述のドーピングによるホスト半導体の局所的な格子歪を低減させる効果が特に有効に発揮される。
【0016】
さらに、上述の第1半導体層及び第2半導体層成膜は分子線エピタキシ法により行われることが好ましい。分子線エピタキシ法によれば、半導体の構成元素を第1のドーパント及び第2のドーパントと容易に置換させることができる。そのため、よりキャリア密度の高い半導体膜が得られる。
【0017】
また、本発明に係る半導体膜の製造方法の他の態様としては、化合物半導体に対してドーパントとして働く第1及び第2のドーパントと、化合物半導体の構成元素の原料とを供給して化合物半導体のドープ層である第1半導体層を形成する工程と、化合物半導体からなる第2半導体層を形成する工程と、第1半導体層と、第2半導体層の形成を繰り返す工程とを備え、第1半導体層は第1のドーパント及び第2のドーパントを含み、第2のドーパントは、化合物半導体に対して第1のドーパントと同一の導電型のドーパントとして働き、第2半導体層は、化合物半導体のアンドープ層、又は、低ドープ層であり、低ドープ層は、化合物半導体に対して第1及び第2のドーパントのうち少なくとも一方が第1半導体層における濃度よりも低濃度にドープされており、第1及び第2のドーパントは、第1半導体層及び低ドープ層において化合物半導体の構成元素のうち少なくとも一種の構成元素と置換されており、第1のドーパントの原子半径は第2のドーパントの原子半径よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
本発明の半導体膜の製造方法によれば、第1のドーパントの原子半径は第2のドーパントの原子半径よりも小さいので、第1のドーパントのみをドープした場合と比較して、第1半導体層であるドープ層において、ホスト半導体における局所的な格子歪を低減できる。また、第2半導体層がアンドープ層である場合、第2半導体層にはドーパント添加による格子歪はない。また、第2半導体層が低ドープ層である場合、第2半導体層にドープされた第1及び/又は第2ドーパントの濃度は第1半導体層における第1及び/又は第2ドーパントの濃度よりも低いため、第2半導体層のドーパント添加による格子歪は、第1半導体層のドーパント添加による格子歪よりも小さい。そして、第1半導体層と第2半導体層は交互に形成されるので、半導体膜全体として格子歪はさらに小さくなる。その結果、格子歪に起因するキャリア密度の低下が小さくなるため、キャリア密度の高い化合物半導体膜が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、キャリア密度の高い化合物半導体膜を製造する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、実施の形態に係る化合物半導体膜を製造する方法について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
[第一実施形態]
【0021】
図1は、本発明の第一実施形態に係る化合物半導体膜を製造する方法の主要な工程を示すフローチャートである。図2は、化合物半導体膜を製造するための結晶成長装置の一例を示す図面である。図1のフローチャート100に示すように、本実施形態に係る化合物半導体膜を製造する方法は、基板設置工程S101と、アンドープ層形成工程(第2半導体層を形成する工程)S103と、ドープ層形成工程(第1半導体層を形成する工程)S105とを含み、さらに、アンドープ層形成工程S103とドープ層形成工程S105と所定回数繰り返す繰り返し工程S107を含んでいる。
【0022】
基板設置工程S101では、化合物半導体膜を形成するための基板31を結晶成長装置に設置する。結晶成長装置としては、図2に示すような分子線エピタキシ装置13を用いることができる。
【0023】
分子線エピタキシ装置13は、チャンバ13aと、基板ホルダ13bと、ソース13cと、モニタ装置としてのRHEED装置13dと、真空ポンプが接続された排気口13eとを備えている。ソース13cは、具体的には、ドーパント源17、19、29及び原料源21、23、25、27である。ドーパント源17、19、29及び原料源21、25、27は、各セル17K、19K、29K、21K、25K、及び27K内にそれぞれ設けられている。また、原料源23は気体状の原料源であり、セル23Kを経由してチャンバ13aへ導入される。また、各セル17K、19K、29K、21K、23K、25K、及び27Kは、それぞれシャッター17S、19S、29S、21S、23S、25S、及び27Sを有している。また、各セル17K、19K、29K、21K、25K、及び27Kは、それぞれ抵抗加熱器17R、19R、29R、21R、25R、及び27Rを有している。
【0024】
分子線エピタキシ装置13は、ドーパント源又は原料源のセルを抵抗加熱器で加熱し、そのセルのシャッターを開くことにより、選択的に各ドーパント源及び各原料源を基板31上へ供給することが可能である。また、RFラジカルガンを用いて高周波磁場を窒素23aに印加し、プラズマ化した窒素23aを基板31上に供給することが可能である。
【0025】
ドーパント源17、19は、それぞれ、化合物半導体中において同一の導電型のドーパントとして働く第1および第2のドーパント17a、19aを提供する。原料源21、23は、化合物半導体の構成原子21a、23aを提供する。本実施形態においては、ドーパント源17、19、29及び原料源21、23、25、27は、それぞれ、ベリリウム、マグネシウム、シリコン、ガリウム、窒素、アルミニウム、及びインジウムである。また、第1のドーパント17aはベリリウムであり、第2のドーパント19aはマグネシウムである。また、原料21aはガリウムであり、原料23aは窒素(N)である。
【0026】
アンドープ層形成工程S103においては、まずソース13cにおいて、加熱・プラズマ生成といった準備を行う。基板31は、700℃程度に加熱しておく。また、原料源21、23の加熱温度の調節等により、基板31上にガリウム21aと窒素23aとが略同原子数供給されるようにする。また、ドーパント源17、19の加熱温度の調整等により、所定量のベリリウム17a及びマグネシウム19aが基板31上に供給されるようにする。そして、原料源21、23のシャッター21S、23Sを開き、ガリウム21aと窒素23aを基板31上に供給する。すると、基板31上にIII族窒化物半導体であるGaNがエピタキシャル成長する。また、GaNのエピタキシャル成長中の表面をRHEED装置13dで観察する。具体的には、RHEED装置13dにより基板31に低角で電子線を入射させ、反射された回折像を観察することにより表面状態の情報が得られる。
【0027】
アンドープ層の膜厚は、0.5nm以上であることが好ましい。何故なら、アンドープ層がこの厚さ以上であると、本実施形態に係る化合物半導体膜を製造する方法によって製造されるGaN膜全体としての格子歪を低減させる効果(詳細は後述)が特に顕著であることを本発明者らは実験により確認したからである。また、アンドープ層の膜厚は、10nm以下であることが好ましい。何故なら、アンドープ層がこの厚さ以上であると、GaN膜全体としての格子歪を低減させる効果は向上するものの、後述のドープ層間において電気的接続が阻害されてしまうからである。即ち、本実施形態に係る化合物半導体膜を製造する方法によって製造されるGaN膜の積層方向に電流を流すと、比抵抗の高いアンドープ層には量子力学的効果によりトンネル電流が流れるが、アンドープ層が10nm以下であると特にGaN膜に十分な電流を流すことが可能でありGaN膜の電気的特性が良好になること本発明者らは実験により確認したためである。なお、アンドープ層は第2半導体層となる。
【0028】
ドープ層形成工程S105では、原料源21、23のシャッター21S、23Sを開いた状態のまま、さらにドーパント源17、19のシャッター17S、19Sを開き、ガリウム21a、窒素23a、第1のドーパントのベリリウム17a、及び第2のドーパントのマグネシウム19aを基板31上に供給する。すると、第1のドーパントのベリリウム17a及び第2のドーパントのマグネシウム19aを含むGaN層(ドープ層)がアンドープ層上に形成される。この際、ベリリウム17aのドープ層におけるドーピング濃度は、1×1018以上であることが好ましい。何故なら、ベリリウム17aのドープ層におけるドーピング濃度がこの値以上であると、ベリリウム17aとマグネシウム19aの相互作用が十分に大きくなるためである。即ち、ベリリウム17a添加によるドープ層の格子歪とマグネシウム19a添加によるドープ層の格子歪とが相殺する効果が十分に発揮され、後述のようにGaN膜全体としての格子歪を低減させる効果が十分に発揮されるためである。なお、ドープ層は第1半導体層となる。
【0029】
また、ベリリウム17aのドープ層におけるドーピング濃度は、1×1021cm―3以下であることが好ましい。何故なら、ベリリウム17aのドープ層におけるドーピング濃度がこの値以上であると、マグネシウム19aのドープ層におけるドーピング濃度に関わらず、ドープ層の結晶性が悪化してキャリア密度が低減する傾向があるためである。
【0030】
同様に、マグネシウム19aのドープ層におけるドーピング濃度は、1×1018以上であることが好ましい。何故なら、マグネシウム19aのドープ層におけるドーピング濃度がこの値以上であると、ベリリウム17aとマグネシウム19aの相互作用が十分に大きくなるためである。即ち、ベリリウム17a添加によるドープ層の格子歪とマグネシウム19a添加によるドープ層の格子歪とが相殺する効果が十分に発揮され、後述のようにGaN膜全体としての格子歪を低減させる効果が十分に発揮されるためである。
【0031】
また、マグネシウム19aのドープ層におけるドーピング濃度は、1×1021cm―3以下であることが好ましい。何故なら、マグネシウム19aのドープ層におけるドーピング濃度がこの値以上であると、ベリリウム17aのドープ層におけるドーピング濃度に関わらず、ドープ層の結晶性が悪化してキャリア密度が低減する傾向があるためである。
【0032】
また、ドープ層の膜厚は、0.5nm以上であることが好ましい。何故なら、ドープ層の膜厚がこの値以下であると、以下のような欠点があるためである。即ち、後述のようなGaN層全体としての格子歪を低減させる効果を有効に発揮させるためには、ドープ層とアンドープ層の膜厚は同程度とすることが好ましい。そのため、ドープ層の膜厚を0.5nm以下にすると、GaN層全体を形成するために非常に薄いドープ層及びアンドープ層を交互に多数成膜する必要があるが、その際にドープ層とアンドープ層の形成を切り替えるためのシャッターの開閉(図2参照)等に時間がかかり、GaN層全体の製造時のスループットが大きく低下してしまう。
【0033】
また、ドープ層の膜厚は、10nm以下であることが好ましい。何故なら、ドープ層の膜厚がこの値以上であるとドープ層内に格子歪が多く蓄積するため、後述のようなドープ層とアンドープ層とを交互に積層させることによってGaN全体の格子歪を低減させる効果が十分に発揮されない傾向があるためである。
【0034】
繰り返し工程S107では、上述のアンドープ層形成工程S103とドープ層形成工程S105とを順番に所定回数繰り返す。その結果、ドープ層及びアンドープ層が交互に所定回数繰り返し積層される。なお、アンドープ層形成S103に先立って、ドープ層形成工程S105を行うこともできる。
【0035】
図3は本実施形態に係る方法で製造されるGaN膜を有するエピタキシャル基板の構造を概略的に示す図である。図3に示すように、エピタキシャル基板E1は、基板31と、基板31上に形成されたGaN膜47を有している。そして、GaN膜47は、アンドープ層47aとドープ層47bが交互に所定回数繰り返し積層された積層膜となっている。また、アンドープ層47aとドープ層47bは、互いにホモ接合47cを形成している。
【0036】
上述のように製造されたGaN膜47においては、第1のドーパントのベリリウム17a、及び第2のドーパントのマグネシウム19aは、ドープ層47bにおいて共にGa原子と置換される。また、ベリリウム17a及びマグネシウム19aは、GaN膜47のドープ層中において、共にp型ドーパントとして働く。そして、Gaの原子半径は、ベリリウム17aよりも大きいと共に、マグネシウム19aよりも小さい。そのため、ドープ層47bにおいて、ドーピングに起因する局所的な格子歪が低減されている。また、アンドープ層47aにはドーパント添加に起因する格子歪は生じない。そして、アンドープ層47aとドープ層47bは交互に繰り返して形成されるので、GaN膜全体としての格子歪はさらに小さくなる。その結果、格子歪に起因してキャリア密度が低下することを抑制できるので、高いキャリア密度のGaN膜47が得られる。
【0037】
また、本実施形態においては、ベリリウム17aのドープ層47bにおける好適なドーピング濃度は5×1018以上1×1021cm―3以下であり、マグネシウム19aのドープ層47bにおける好適なドーピング濃度は5×1018以上1×1021cm―3以下としている。ベリリウム17aとマグネシウム19aのドーピング濃度がこのような範囲であると、上述のようなベリリウム17aとマグネシウム19aのドーピングによるGaN膜47の局所的な格子歪を低減させる効果が特に有効に発揮させる。その結果、さらにキャリア密度の高いGaN膜47が得られる。
【0038】
また、本実施形態においては、アンドープ層47aの厚さは好適には0.5nm以上10nm以下であり、ドープ層47bの厚さは好適には0.5nm以上10nm以下としている。アンドープ層47aとドープ層47bの厚さがこのような範囲であると、上述のようなGaN膜47全体としての格子歪を減少させる効果が特に有効に発揮される。その結果、さらにキャリア密度の高いGaN膜47が得られる。
【0039】
また、本実施形態におけるアンドープ層47aを、ベリリウム17a及びマグネシウム19aのドーパントのうち少なくとも一方がドープ層47bにおける濃度よりも低濃度にドープされた低ドープ層47aに置き変えることも可能である。この場合、上述のアンドープ層形成工程S103は、低ドープ層形成工程(第2半導体層を形成する工程)S103に置き換えられ、繰り返し工程S107は、アンドープ層形成工程S103と低ドープ層形成工程S105とを順番に所定回数繰り返す工程となる。また、低ドープ層47aが第2半導体層となる。この低ドープ層形成工程S103では、上述のドープ層形成工程S105におけるドープ層47bの形成と同様の方法で低ドープ層47aを形成することになるが、この際、ベリリウム17a及び/又はマグネシウム19aの供給量をドープ層形成工程S105における供給量よりも減少させる。この低ドープ層47aは、ドーパントとしてベリリウム17a及びマグネシウム19aの両方を含んでいてもよく、いずれか一方のみを含んでいてもよい。
【0040】
この低ドープ層47aにおけるベリリウム17aのドーピング濃度は、5×1018cm―3未満であることが好ましい。何故なら、5×1018cm―3以上のドーピング濃度とすると、低ドープ層47aの格子歪が大きくなり、後述のようなドープ層47bと低ドープ層47aとを交互に積層させることによってGaN膜47全体の格子歪を低減させる効果が十分に発揮されない傾向があるためである。また、低ドープ層47aにおけるベリリウム17aのドーピング濃度のSIMS法による測定限界は5×1014cm―3であるが、低ドープ層47aにおけるベリリウム17aのドーピング濃度は、この測定限界以下の濃度であってもよい。
【0041】
また、この低ドープ層47aにおけるマグネシウム19aのドーピング濃度は、5×1018cm―3未満であることが好ましい。何故なら、5×1018cm―3以上のドーピング濃度とすると、低ドープ層47aの格子歪が大きくなり、後述のようなドープ層47bと低ドープ層47aとを交互に積層させることによってGaN膜47全体の格子歪を低減させる効果が十分に発揮されない傾向があるためである。また、低ドープ層47aにおけるマグネシウム19aのドーピング濃度のSIMS法による測定限界は5×1014cm―3であるが、低ドープ層47aにおけるマグネシウム19aのドーピング濃度は、この測定限界以下の濃度であってもよい。
【0042】
この場合、GaN膜47は、低ドープ層47aとドープ層47bが交互に積層された積層膜となる。そして、低ドープ層47a内に生じるドーパント添加による格子歪は、ドープ層47b内に生じるドーパント添加による格子歪よりも小さくなる。そのため、アンドープ層47aとドープ層47bとを交互に積層させた場合と同様に、低ドープ層47aとドープ層47bとを交互に積層させることによってGaN膜の格子歪を低減させることが可能である。さらに、低ドープ層47aはアンドープ層47aよりも比抵抗が小さくなる。そのため、GaN膜全体の抵抗値を低減させることが可能であり、GaN膜の電気的特性を向上させることが可能となる。
[第二実施形態]
【0043】
図4は、本発明の第二実施形態に係る化合物半導体膜を製造する方法及びLED構造を有するエピタキシャル基板を製造する方法の主要な工程を示すフローチャートである。また、図5は、本実施形態に係る方法で製造されるLED構造を概略的に示す図である。エピタキシャル基板E2は、LED構造33に対応する膜の積層を含んでいる。図4のフローチャート100aに示すように、本実施形態に係るLED構造を有するエピタキシャル基板E2を製造する方法は、以下の工程を主に含んでいる。
【0044】
工程S105:
第一実施形態における基板設置工程S101(図1参照)と同様の工程である。即ち、半導体膜を形成するための基板31(本実施形態ではGaN基板)を分子線エピタキシ装置13に設置する。
【0045】
工程S107:
セル21K、29K及び23Kのシャッター21S、29S及び23Sを開けて、原料であるガリウム21aと窒素23a、及びドーパントであるシリコン29とをGaN基板31上に供給する。これにより、n型GaNバッファ層35がGaN基板31上に形成される。n型GaNバッファ層35の厚さは、例えば500nmである。
【0046】
工程S109:
さらにセル25Kのシャッター25Sを開けて原料源であるアルミナ25からアルミナをさらに供給する。これにより、n型AlGaNクラッド層37がn型GaNバッファ層35上に形成される。n型AlGaNクラッド層37の厚さは、例えば500nmである。
【0047】
工程S111:
セル25K及び29Kのシャッター25S及び29Sを閉じて、第1のGaNガイド層39を形成する。第1のGaNガイド層39の厚さは例えば10nmである。
【0048】
工程S113:
セル27Kのシャッター27Sを開けて、InGaN活性層41を形成する。InGaN活性層41の厚さは例えば3nmである。
【0049】
工程S115:
セル27Kのシャッター27Sを閉じて、第2のGaNガイド層43を形成する。第2のGaNガイド層43の厚さは例えば10nmである。
【0050】
工程S117:
セル25Kとセル17Kのシャッター25Sと17S、及びTeセルのシャッター(図示せず)を開けて、p型AlGaNクラッド層45を形成する。p型AlGaNクラッド層45の厚さは、例えば500nmである。
【0051】
工程S119:
セル25Kとセル17Kのシャッター25Sと17S、及びTeセルのシャッターを閉じて、p型GaNコンタクト層47の一部を形成する。アンドープ層47aの好適な膜厚は、0.5nm以上10nm以下である。
【0052】
工程S121:
セル17Kとセル19Kのシャッター17Sと19Sを開け、p型GaNコンタクト層47の一部であるドープ層47bを形成する。ドープ層47bの好適な膜厚は、0.5nm以上10nm以下である。また、ベリリウム17aのドープ層47bにおける好適なドーピング濃度は1×1018以上1×1021cm―3以下であり、マグネシウム19aのドープ層47bにおける好適なドーピング濃度は1×1018以上1×1021cm―3以下である。
【0053】
工程S123:
上述のアンドープ層47a形成工程S119とドープ層47b形成工程S121とを順番に所定回数繰り返す。その結果、アンドープ層47a及びドープ層47bが交互に所定回数繰り返し積層され、p型GaNコンタクト層47が形成される。
【0054】
工程S125:
基板温度を下げた後に、エピタキシャル基板E2を成長室外へ取り出す。
【0055】
このエピタキシャル基板E2は、図5に示すように、GaN基板31の主面31a上へLED構造33が形成されたものである。LED構造33の具体的な構成としては、InGaN活性層41がn型AlGaNクラッド層37とp型AlGaNクラッド層45との間に設けられている。p型AlGaNクラッド層45上にはp型GaNコンタクト層47が形成されている。InGaN活性層41とn型AlGaNクラッド層37との間には第1のGaNガイド層39が設けられており、InGaN活性層41とp型AlGaNクラッド層45との間には第2のGaNガイド層43が設けられている。p型GaNコンタクト層47上には、アノードといった第1の電極が設けられ、GaN基板31の裏面31b上には、カソードといった第2の電極が設けられる。
【0056】
p型GaNコンタクト層47は、上述のように、第一実施形態におけるGaN膜47(図3参照)と同様の構成を有している。そのため、本実施形態のp型GaNコンタクト層47は、キャリア密度が高く低抵抗の層となっている。その結果、LED構造33の動作電圧及び発光特性が向上している。なお、本実施形態においては、p型GaNコンタクト層47をアンドープ層47a及びドープ層47bの繰り返しにより形成したが、別のp型半導体層を同様の方法で形成することもできる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の効果をより一層明らかなものとするため、実施例を用いて説明する。図6及び図7は実施例1〜4及び5に係る積層膜構成の条件と、ホール密度の関係を示す表である。実施例1〜4は、GaN基板上に上述の第一実施形態と同様にGaN半導体のアンドープ層及びGaN半導体のドープ層を交互に積層した積層膜である。実施例5は、GaN基板上にGaN半導体の低ドープ層及びGaN半導体のドープ層を交互に積層した積層膜である。いずれの実施例においても、アンドープ層及びドープ層からなる積層体の総膜厚が500nmになるように、アンドープ層及びドープ層を繰り返し形成した。また、ドーパントとしてはマグネシウムとベリリウムを用いた。そして、実施例1〜4においてマグネシウム及びベリリウムのドープ層内におけるドープ密度は、いずれも5.00×1019cm―3とした。また、実施例5においてマグネシウム及びベリリウムの低ドープ層内におけるドープ密度は、いずれも3.00×1018cm―3とし、マグネシウム及びベリリウムのドープ層内におけるドープ密度は、いずれも5.00×1019cm―3とした。
【0058】
また、実施例1〜4は、各実施例ごとにアンドープ層及びドープ層の厚さの組み合わせが異なるようにした。具体的には、実施例1のアンドープ層とドープ層の厚さは、いずれも0.5nmとした。また、実施例2のアンドープ層とドープ層の厚さは、いずれも1nmとした。また、実施例3のアンドープ層とドープ層の厚さは、いずれも5nmとした。また、実施例4のアンドープ層とドープ層の厚さは、いずれも10nmとした。また、実施例5は、アンドープ層とドープ層の厚さは、いずれも5nmとした。また、実施例1〜5において、すべての層は分子線エピタキシ装置を用いて形成した。
【0059】
図6に示すように、実施例1〜5のホール密度は、それぞれ、1.0×1018cm―3、1.5×1018cm―3、4.5×1018cm―3、1.8×1018cm―3、及び5.5×1018cm―3となり、いずれの実施例についても、高いホール密度を示した。
【0060】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形態様が可能である。
【0061】
例えば、上述の実施形態においては、III族窒化物半導体としてGaN半導体を用いたが、GaNに替えて、InN、AlNの半導体膜を形成することもできる。また、GaN、InN及びAlNのうち少なくとも2つからなる混晶を用いて半導体膜を形成することもできる。これらの混晶としては、例えばAlGaN、InGaN、AlInNを挙げることができる。
【0062】
III族窒化物半導体としてInNを用いた場合、第1及び第2のドーパントとして例えばそれぞれベリリウム及びマグネシウムを用いることができる。また、III族窒化物半導体としてAlNを用いた場合、第1及び第2のドーパントとして例えばそれぞれベリリウム及びマグネシウムを用いることができる。
【0063】
また、上述の実施形態においては、ホスト半導体中のドーパントによって置換される原子(Ga)の原子半径は、第1のドーパント(ベリリウム)よりも大きく、第2のドーパント(マグネシウム)よりも小さかった。しかしこのような態様に限られない。例えば、第1のドーパントと第2のドーパントの原子半径が互いに異なっていれば、ホスト半導体中においてドーパントの平均原子半径は2種のドーパントの原子半径の間の値になり、小さい原子半径のドーパントによる格子歪を緩和できる。
【0064】
また、ホスト半導体は、III族窒化物半導体に限られず、例えば、ZnO、ZnMgO
であっても、本発明の実施は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、第一実施形態に係る化合物半導体膜を製造する方法の主要な工程を示すフローチャートである。
【図2】図2は、化合物半導体膜を製造するための結晶成長装置の一例を示す図面である。
【図3】図3は、第一実施形態に係る方法で製造されるGaN膜を有するエピタキシャル基板の構造を概念的に示す図である。
【図4】図4は、第二実施形態に係る化合物半導体膜を製造する方法及びLED構造を有するエピタキシャル基板を製造する方法の主要な工程を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第二実施形態に係る方法で製造されるLED構造を概略的に示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例の膜構成及びホール密度を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施例の膜構成及びホール密度を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
17a・・・第1のドーパント(ベリリウム)、19a・・・第2のドーパント(マグネシウム)、21a・・・III族窒化物半導体の構成元素(ガリウム)、23a・・・III族窒化物半導体の構成元素(窒素)、47・・・III族窒化物半導体(GaN)、47a・・・アンドープ層(低ドープ層、第2半導体層)、47b・・・ドープ層(第1半導体層)、S101・・・基板設置工程、S103・・・アンドープ層(低ドープ層)形成工程、S105・・・ドープ層形成工程、S107・・・繰返し工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体膜を製造する方法であって、
III族窒化物半導体に対してドーパントとして働く第1及び第2のドーパントと、前記III族窒化物半導体の構成元素の原料と、を供給して前記III族窒化物半導体のドープ層である第1半導体層を形成する工程と、
前記III族窒化物半導体からなる第2半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層と、前記第2半導体層の形成を繰り返す工程と、
を備え、
前記第1半導体層は前記第1のドーパント及び前記第2のドーパントを含み、
前記第2のドーパントは、前記III族窒化物半導体に対して前記第1のドーパントと同一の導電型のドーパントとして働き、
前記第2半導体層は、前記III族窒化物半導体のアンドープ層、又は、低ドープ層であり、
前記低ドープ層は、前記III族窒化物半導体に対して前記第1及び前記第2のドーパントのうち少なくとも一方が前記第1半導体層における濃度よりも低濃度にドープされており、
前記第1及び第2のドーパントは、前記第1半導体層及び前記低ドープ層において前記III族窒化物半導体の構成元素のうち少なくとも一種の構成元素と置換されており、
前記第1半導体層において当該置換される構成元素の原子半径は、前記第1のドーパントの原子半径よりも大きいと共に、前記第2のドーパントの原子半径よりも小さいことを特徴とする方法。
【請求項2】
半導体膜を製造する方法であって、
III族窒化物半導体に対してドーパントとして働く第1及び第2のドーパントと、前記III族窒化物半導体の構成元素の原料と、を供給して前記III族窒化物半導体のドープ層である第1半導体層を形成する工程と、
前記III族窒化物半導体からなる第2半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層と、前記第2半導体層の形成を繰り返す工程と、
を備え、
前記第1半導体層は前記第1のドーパント及び前記第2のドーパントを含み、
前記第2のドーパントは、前記III族窒化物半導体に対して前記第1のドーパントと同一の導電型のドーパントとして働き、
前記第2半導体層は、前記III族窒化物半導体のアンドープ層、又は、低ドープ層であり、
前記低ドープ層は、前記III族窒化物半導体に対して前記第1及び前記第2のドーパントのうち少なくとも一方が前記第1半導体層における濃度よりも低濃度にドープされており、
前記第1及び第2のドーパントは、前記第1半導体層及び前記低ドープ層において前記III族窒化物半導体の構成元素のうち少なくとも一種の構成元素と置換されており、
前記第1のドーパントの原子半径は前記第2のドーパントの原子半径よりも小さいことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記第2半導体層は、前記III族窒化物半導体のアンドープ層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2半導体層は、前記III族窒化物半導体の低ドープ層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記III族窒化物半導体は、GaN、InN、AlN、又はGaN、InN及びAlNのうち少なくとも2つからなる混晶であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のドーパントはベリリウムであり、前記第2のドーパントはマグネシウムであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された方法。
【請求項7】
前記ベリリウムの前記第1半導体層におけるドーピング濃度は5×1018以上1×1021cm―3以下であり、前記マグネシウムの前記第1半導体層におけるドーピング濃度は5×1018以上1×1021cm―3以下であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1半導体層の厚さは0.5nm以上10nm以下であり、前記第2半導体層の厚さは0.5nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1半導体層及び前記第2半導体層の形成は分子線エピタキシ法により行われることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
半導体膜を製造する方法であって、
化合物半導体に対してドーパントとして働く第1及び第2のドーパントと、前記化合物半導体の構成元素の原料と、を供給して前記化合物半導体のドープ層である第1半導体層を形成する工程と、
前記化合物半導体からなる第2半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層と、前記第2半導体層の形成を繰り返す工程と、
を備え、
前記第1半導体層は前記第1のドーパント及び前記第2のドーパントを含み、
前記第2のドーパントは、前記化合物半導体に対して前記第1のドーパントと同一の導電型のドーパントとして働き、
前記第2半導体層は、前記化合物半導体のアンドープ層、又は、低ドープ層であり、
前記低ドープ層は、前記化合物半導体に対して前記第1及び前記第2のドーパントのうち少なくとも一方が前記第1半導体層における濃度よりも低濃度にドープされており、
前記第1及び第2のドーパントは、前記第1半導体層及び前記低ドープ層において前記化合物半導体の構成元素のうち少なくとも一種の構成元素と置換されており、
前記第1のドーパントの原子半径は前記第2のドーパントの原子半径よりも小さいことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−177029(P2009−177029A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15464(P2008−15464)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】