説明

半導体装置、及び半導体装置の作製方法

【課題】酸化物半導体を用いた半導体装置において、電気特性の安定した半導体装置を提供する。とくに、酸化物半導体を用いた半導体装置において、より優れたゲート絶縁膜を有する半導体装置を提供する。また、当該半導体装置の作製方法を提供する。
【解決手段】ゲート電極と、ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜と接して形成されたソース電極、及びドレイン電極と、を有し、ゲート絶縁膜は、少なくとも酸化窒化シリコン膜と、酸化窒化シリコン膜上に形成された酸素放出型の酸化膜と、により構成され、酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜が接して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体装置、及び半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(表示装置)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0004】
例えば、トランジスタに用いる半導体薄膜として、電子キャリア濃度が1018/cm未満であるインジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む非晶質酸化物を用いたトランジスタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、アモルファスシリコンを用いたトランジスタよりも動作が速く、多結晶シリコンを用いたトランジスタよりも製造が容易であるものの、電気特性が変動しやすく信頼性が低いという問題が知られている。
【0006】
例えば、酸化物半導体膜に用いるゲート絶縁膜として、例えば、ZnOを主成分とする酸化物半導体素子において、トップゲート構造を有し、ゲート絶縁膜にプラズマ化学気相成長法(PE−CVD法)を用いて形成された窒化珪素(SiN)を用いると、当該窒化珪素膜中の水素濃度が高いため、ZnO成分の還元脱離が起こり、ZnO層の低抵抗化が生じる。そして、その回避策として酸化物半導体膜との界面側のゲート絶縁膜の水素濃度を低減し、水素濃度の異なる2層構造のゲート絶縁膜を用いることが開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−165528号公報
【特許文献2】特開2007−073562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、酸化物半導体膜とゲート絶縁膜との界面側の水素濃度を低減するのみでは、酸化物半導体膜に生じた酸素欠損が、ゲート絶縁膜に残存した水素等と結合することにより、膜中にキャリアである電子が発生してしまう。この結果、トランジスタのしきい値電圧がマイナスシフトし、ノーマリオフのトランジスタとなってしまう。また、酸化物半導体膜を用いたトランジスタにとって、ゲート絶縁膜に残存した水素等は、電気的特性の変動の要因となり、半導体装置の信頼性を低下させることになる。
【0009】
このような問題に鑑み、酸化物半導体を用いた半導体装置において、電気特性の安定した半導体装置を提供することを目的の一とする。とくに、酸化物半導体を用いた半導体装置において、より優れたゲート絶縁膜を有する半導体装置を提供することを目的の一とする。また、当該半導体装置の作製方法を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いた半導体装置において、ゲート絶縁膜に酸素放出型の酸化膜を設ける。当該酸素放出型の酸化膜より、酸化物半導体膜に酸素を供給することができる。これにより、酸化物半導体層に生じる酸素欠損の発生を抑制し、電気特性の安定した酸化物半導体膜を提供することができる。
【0011】
なお、本明細書において、酸素放出型の酸化膜とは、加熱により当該酸化膜から、酸素を放出する膜を表す。また、酸素放出型の酸化膜からの酸素の放出量は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)において、測定することができる。
【0012】
また、酸素放出型の酸化膜のみでゲート絶縁膜を構成した場合、ゲート絶縁膜に求められる性能を十分に満たすことが難しい。例えば、酸素放出型の酸化膜のみでは、絶縁破壊耐性、または被覆性を十分に満たすことが難しい。そのため、酸素放出型の酸化膜の下層側に酸化窒化シリコン膜を設ける。酸化窒化シリコン膜は、従来までのシリコン系半導体材料で用いていたプロセス条件、または生産装置等を利用できるため好ましい。
【0013】
すなわち、ゲート絶縁膜を、酸化窒化シリコン膜と、酸素放出型の酸化膜と、の積層構造とする。酸化窒化シリコン膜により、絶縁破壊耐性、及び被覆性を向上させ、酸素放出型の酸化膜により、酸化物半導体膜に酸素を供給することができる。また、酸素放出型の酸化膜は、酸化窒化シリコン膜よりも膜中の水素濃度を低減することができる。このようなゲート絶縁膜の構成とすることで、優れたゲート絶縁膜を提供することができる。したがって、安定した電気特性を付与した半導体装置を提供することができる。より詳細には、以下のとおりである。
【0014】
本発明の一態様は、ゲート電極と、ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜と接して形成されたソース電極、及びドレイン電極と、を有し、ゲート絶縁膜は、少なくとも酸化窒化シリコン膜と、酸化窒化シリコン膜上に形成された酸素放出型の酸化膜と、により構成され、酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜が接して形成されることを特徴とする半導体装置である。
【0015】
酸化窒化シリコン膜、酸素放出型の酸化膜、酸化物半導体膜の順に構成することで、各界面での界面特性が非常に優れている。また、酸化窒化シリコン膜、酸素放出型の酸化膜と段階的な膜構成とすることで、酸化物半導体膜側へと水素濃度の低い膜構成でもある。また、酸化物半導体膜と接する酸素放出型の酸化膜より、酸化物半導体膜に酸素を供給することができる。したがって、しきい値電圧が低く、絶縁耐圧が高く、さらに酸化物半導体膜に酸素を供給することができる優れた良質なゲート絶縁膜を形成できる。
【0016】
また、酸化窒化シリコンは、従来までのシリコン系半導体材料で用いていた膜構成、プロセス条件、または生産装置等を利用できるため好ましい。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、ゲート電極と、ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜と接して形成されたソース電極、及びドレイン電極と、酸化物半導体膜、ソース電極、及びドレイン電極上に形成された無機絶縁膜と、を有し、ゲート絶縁膜は、少なくとも酸化窒化シリコン膜と、酸化窒化シリコン膜上に形成された酸素放出型の酸化膜と、により構成され、酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜が接して形成されることを特徴とする半導体装置である。
【0018】
酸化物半導体膜上に形成された無機絶縁膜により、当該酸化物半導体膜への不純物(例えば、水、水素など)の進入を抑制することができる。
【0019】
また、本発明の他の一態様は、ゲート電極と、ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜と接して形成されたソース電極、及びドレイン電極と、酸化物半導体膜、ソース電極、及びドレイン電極上に形成された無機絶縁膜と、無機絶縁膜上に形成された有機絶縁膜と、有機絶縁膜上に形成された導電膜と、を有し、ゲート絶縁膜は、少なくとも酸化窒化シリコン膜と、酸化窒化シリコン膜上に形成された酸素放出型の酸化膜と、により構成され、酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜が接して形成されることを特徴とする半導体装置である。
【0020】
有機絶縁膜上に形成された導電膜により、外部からの静電気放電等の電荷を当該導電膜により、逃がすことができる。
【0021】
また、上記構成において、導電膜は、無機絶縁膜と有機絶縁膜とを介して、ソース電極、またはドレイン電極に接続されても良い。また、導電膜は、酸化物半導体膜と重畳した領域に形成されても良い。このような構成とすることで、酸化物半導体膜のバックチャネル側の電位を調整し、しきい値電圧の制御を行うことができる。
【0022】
また、本発明の他の一態様は、ガラス基板上にゲート電極を形成する工程と、ゲート電極上に酸化窒化シリコン膜を形成する工程と、酸化窒化シリコン膜形成後に、加熱処理をする工程と、酸化窒化シリコン膜上に酸素放出型の酸化膜を形成する工程と、酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜を形成する工程と、酸化物半導体膜上にソース電極、及びドレイン電極を形成する工程と、有し、酸素放出型の酸化膜と、酸化物半導体膜は、真空中で連続して形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0023】
酸素放出型の酸化膜と、酸化物半導体膜を真空中で連続して形成することで、酸素放出型の酸化膜と酸化物半導体膜との界面に水、水素等の不純物が混入するのを抑制することができる。
【0024】
また、本発明の他の一態様は、ガラス基板上にゲート電極を形成する工程と、ゲート電極上に酸化窒化シリコン膜を形成する工程と、酸化窒化シリコン形成後に、加熱処理をする工程と、酸化窒化シリコン膜上に酸素放出型の酸化膜を形成する工程と、酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜を形成する工程と、酸化物半導体膜上にソース電極、及びドレイン電極を形成する工程と、ソース電極、及びドレイン電極形成後に、無機絶縁膜を形成する工程と、無機絶縁膜形成後に有機絶縁膜を形成する工程と、有機絶縁膜形成後に加熱処理をする工程と、を有し、酸素放出型の酸化膜と、酸化物半導体膜は、真空中で連続して形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0025】
また、本発明の他の一態様は、ガラス基板上にゲート電極を形成する工程と、ゲート電極上に酸化窒化シリコン膜を形成する工程と、酸化窒化シリコン形成後に、加熱処理をする工程と、酸化窒化シリコン膜上に酸素放出型の酸化膜を形成する工程と、酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜を形成する工程と、酸化物半導体膜上にソース電極、及びドレイン電極を形成する工程と、ソース電極、及びドレイン電極形成後に、無機絶縁膜を形成する工程と、無機絶縁膜形成後に有機絶縁膜を形成する工程と、有機絶縁膜形成後に加熱処理をする工程と、有機絶縁膜上に、導電膜を形成する工程と、を有し、酸素放出型の酸化膜と、酸化物半導体膜は、真空中で連続して形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0026】
また、本発明の他の一態様は、ガラス基板上にゲート電極を形成する工程と、ゲート電極上に酸化窒化シリコン膜を形成する工程と、酸化窒化シリコン形成後に、加熱処理をする工程と、酸化窒化シリコン膜上に酸素放出型の酸化膜を形成する工程と、酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜を形成する工程と、酸化物半導体膜上にソース電極、及びドレイン電極を形成する工程と、ソース電極、及びドレイン電極形成後に、無機絶縁膜を形成する工程と、無機絶縁膜形成後に有機絶縁膜を形成する工程と、有機絶縁膜形成後に加熱処理をする工程と、無機絶縁膜、及び有機絶縁膜上に、ソース電極、またはドレイン電極に達する開口部を形成する工程と、有機絶縁膜、及び開口部上に導電膜を形成する工程と、を有し、酸素放出型の酸化膜と、酸化物半導体膜は、真空中で連続して形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0027】
また、上記各構成において、無機絶縁膜は、少なくとも酸素放出型の酸化膜と、酸素放出型の酸化膜上に形成された金属酸化膜と、により構成されるとよく、当該金属酸化膜は、膜密度が3.2g/cm以上である酸化アルミニウム膜を用いると好適である。
【0028】
金属酸化膜を上記数値の酸化アルミニウム膜とすることにより、酸素放出型の酸化膜からの酸素放出を抑制することができ、酸化物半導体膜に好適に酸素を供給することができる。酸化物半導体膜に酸素を供給することで、酸化物半導体膜に生じる酸素欠損の発生を抑制することができる。
【0029】
また、上記各構成において、酸素放出型の酸化膜は、昇温脱離ガス分光法において、酸素原子に換算して酸素の放出量が、好ましくは1.0×1018atoms/cm以上、さらに好ましくは、1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは、1.0×1020atoms/cm以上であるとよい。
【0030】
酸素放出型の酸化膜を上記数値とすることにより、酸化物半導体膜に好適に酸素を供給することができる。酸化物半導体膜に酸素を供給することで、酸化物半導体膜に生じる酸素欠損の発生を抑制することができる。
【0031】
また、上記各構成において、酸素放出型の酸化膜は、酸化シリコン膜であると好適である。酸化シリコン膜は、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0032】
また、上記各構成において、酸化物半導体膜は、インジウム、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、スズ、ガドリニウム、チタン、及びセリウムの酸化物の中から選択された、少なくともいずれか一種を含む構成が好ましい。特に、インジウム、または亜鉛のいずれか一方を含む酸化物であると好適である。
【0033】
また、上記各構成において、ゲート電極は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、及びスカンジウムの中から選択された、少なくともいずれか一種を含む構成が好ましい。特に、銅を用いることで、低抵抗なゲート電極とすることができるので、好適である。また、タングステン、チタン等の高融点金属を用いることで、ゲート電極の耐熱性が向上するため好適である。
【0034】
また、上記各構成において、加熱処理は、窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、または真空中で好ましくは200℃以上450℃以下、さらに好ましくは200℃以上400℃以下の温度であるとよい。なお、本明細書等において、真空中とは、少なくとも大気圧よりも減圧された状態であり、例えば、1.0×10−1Pa以下とすることができる。
【発明の効果】
【0035】
酸化物半導体を用いた半導体装置において、電気特性の安定した半導体装置を提供することができる。とくに、酸化物半導体を用いた半導体装置において、より優れたゲート絶縁膜を有する半導体装置を提供することができる。また、当該半導体装置の作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】半導体装置の一形態の断面を説明する図。
【図2】半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
【図3】半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
【図4】半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
【図5】半導体装置の一形態、及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
【図6】半導体装置の一形態の上面を説明する図。
【図7】半導体装置の一形態の断面を説明する図。
【図8】電子機器を説明する図。
【図9】電子機器を説明する図。
【図10】TDS分析の測定結果を示す図。
【図11】TDS分析の測定結果を示す図。
【図12】XRR分析の測定結果を示す図。
【図13】TDS分析の測定結果を示す図。
【図14】本発明の一態様であるトランジスタの平面、及び断面を示す図。
【図15】本発明の一態様であるトランジスタの電気測定結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0038】
以下に説明する実施の形態において、同じものを指す符号は、異なる図面間で共通して用いる場合がある。なお、図面において示す構成要素、すなわち層や領域等の厚さ、幅、相対的な位置関係等は、実施の形態において説明する上で明確性のために誇張して示される場合がある。
【0039】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0040】
また、本明細書等において、窒化酸化シリコン膜とは、その組成において、窒素と、酸素と、シリコンと、を成分として含有し、且つ、窒素の含有量が酸素の含有量よりも多い膜である。また、酸化窒化シリコン膜とは、その組成において、酸素と、窒素と、シリコンと、を成分として含有し、且つ、酸素の含有量が窒素の含有量よりも多い膜である。また、酸化シリコン膜とは、酸素と、シリコンと、を成分として含有した膜である。
【0041】
例えば、窒化酸化シリコン膜としては、酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上25原子%以下の範囲で含まれる膜である。また、酸化窒化シリコン膜としては、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0原子%以上10原子%以下の範囲で含まれる膜である。また、酸化シリコン膜としては、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0原子%以上0.5原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0原子%以上5原子%以下、Arが0原子%以上5原子%以下の範囲で含まれる膜である。
【0042】
但し、上記範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率は、その合計が100原子%を超えない値をとる。
【0043】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0044】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図1(A)乃至図1(C)を用いて説明する。図1(A)乃至図1(C)は、酸化物半導体膜を有する半導体装置の断面図を示す。
【0045】
図1(A)に示す半導体装置は、基板102と、基板102上に形成された下地絶縁膜104と、下地絶縁膜104上に形成されたゲート電極106と、下地絶縁膜104、及びゲート電極106上に形成された酸化窒化シリコン膜110と、酸化窒化シリコン膜110上に形成された酸素放出型の酸化膜112と、酸素放出型の酸化膜112上に形成された酸化物半導体膜114と、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に形成されたソース電極116と、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に形成されたドレイン電極118と、を有する。
【0046】
また、図1(A)に示す半導体装置は、酸化窒化シリコン膜110と、酸素放出型の酸化膜112と、によりゲート絶縁膜130を構成しており、基板102、下地絶縁膜104、ゲート電極106、ゲート絶縁膜130、酸化物半導体膜114、ソース電極116、及びドレイン電極118により、トランジスタ150が形成されている。
【0047】
なお、ゲート絶縁膜130として用いる酸化窒化シリコン膜110は、段差部等において、酸素放出型の酸化膜112よりも被覆性が良い。すなわち、下方に形成されたゲート電極106の凹凸を段切れなく覆うことができる。また、酸化窒化シリコン膜110は、酸素放出型の酸化膜112よりも膜中の欠陥密度が低減されているため、ゲート絶縁膜130として用いると好適であり、従来までのシリコン系半導体材料で用いていたプロセス条件、または生産装置等を利用できるため、さらに望ましい。
【0048】
また、ゲート絶縁膜130として用いる酸素放出型の酸化膜112は、酸化窒化シリコン膜110よりも、膜中の水素濃度が低減されている。すなわち、ゲート絶縁膜130は、酸化物半導体膜114側に水素濃度が低減された構成とすることで、当該酸化物半導体膜114に不純物である水素が供給されづらい構成となるため好ましい。また、酸化物半導体膜114が酸素放出型の酸化膜112上に形成されることによって、酸素放出型の酸化膜112は、酸化物半導体膜114に酸素を供給することができる。
【0049】
酸素放出型の酸化膜112は、酸素の放出量が多い材料で形成する。例えば、酸素放出型の酸化膜112は、昇温脱離ガス分光法において、酸素原子に換算して酸素の放出量が、好ましくは1.0×1018atoms/cm以上、さらに好ましくは、1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは、1.0×1020atoms/cm以上である。酸素放出型の酸化膜112としては、例えば、スパッタリング法により形成された酸化シリコン膜を用いることができる。なお、酸素の放出量を上記数値とすることで、酸化物半導体膜114に酸素を好適に供給することができる。
【0050】
また、酸素放出型の酸化膜112としては、例えば、化学量論的組成を超える酸素を含有した酸化シリコン膜、換言すれば、酸素が過剰な酸化シリコン膜(SiOx(x>2))を組成とした膜を用いることができる。酸素が過剰な酸化シリコン膜とは、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積あたりに含む膜である。なお、単位体積あたりのシリコン原子数、及び酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法により測定した値である。
【0051】
このように、ゲート絶縁膜130の一部として、酸化物半導体膜114に接する側に、酸素放出型の酸化膜112を設けることで酸化物半導体膜114に好適に酸素を供給することができる。
【0052】
酸化物半導体膜114としては、少なくともインジウム(In)または亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。なお、酸化物半導体膜114に用いることのできる材料等については、実施の形態2にて詳細な説明を行う。
【0053】
また、ソース電極116、及びドレイン電極118は、トランジスタ150のソース電極、及びドレイン電極として機能する。本実施の形態においては、ソース電極116、及びドレイン電極118として、タングステンと、アルミニウムと、チタンとの積層膜を用いることができる。例えば、酸化物半導体膜114に接する側に、融点の高いタングステン膜を形成し、その上に融点の低いアルミニウム膜を形成し、その上に融点の高いチタン膜を形成する。このように、融点の低い材料を上下で融点の高い材料で挟む構成とすることで、耐熱性の高いソース電極116、及びドレイン電極118とすることができる。
【0054】
次に、図1(B)の半導体装置について説明を行う。
【0055】
図1(B)に示す半導体装置は、図1(A)に示す半導体装置に、さらに無機絶縁膜を形成した構成となる。詳細は、以下のとおりである。
【0056】
図1(B)に示す半導体装置は、基板102と、基板102上に形成された下地絶縁膜104と、下地絶縁膜104上に形成されたゲート電極106と、下地絶縁膜104、及びゲート電極106上に形成された酸化窒化シリコン膜110と、酸化窒化シリコン膜110上に形成された酸素放出型の酸化膜112と、酸素放出型の酸化膜112上に形成された酸化物半導体膜114と、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に形成されたソース電極116と、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に形成されたドレイン電極118と、酸化物半導体膜114、ソース電極116、及びドレイン電極118上に形成された無機絶縁膜120と、を有する。
【0057】
また、図1(B)に示す半導体装置は、酸化窒化シリコン膜110と、酸素放出型の酸化膜112と、によりゲート絶縁膜130を構成しており、基板102、下地絶縁膜104、ゲート電極106、ゲート絶縁膜130、酸化物半導体膜114、ソース電極116、及びドレイン電極118により、トランジスタ150が形成されている。
【0058】
なお、トランジスタ150は、図1(A)に示した構成と同様であり、先の記載を参酌することで形成できる。
【0059】
無機絶縁膜120は、酸化物半導体膜114の保護膜としての機能を有する。すなわち、無機絶縁膜120は、酸化物半導体膜114に水分、水素が浸入しない構成が望ましい。また、無機絶縁膜120は、酸化物半導体膜114に酸素を供給することができると、さらに好ましい。本実施の形態においては、例えば、無機絶縁膜120として、酸素放出型の酸化膜120aと、金属酸化膜120bの積層構造とすることができる。
【0060】
無機絶縁膜120として用いる酸素放出型の酸化膜120aは、ゲート絶縁膜130に用いた酸素放出型の酸化膜112と同様の構成とすることができる。例えば、酸素放出型の酸化膜112は、昇温脱離ガス分光法において、酸素原子に換算して酸素の放出量が、好ましくは1.0×1018atoms/cm以上、さらに好ましくは、1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは、1.0×1020atoms/cm以上である。酸素放出型の酸化膜120aとしては、例えば、スパッタリング法により形成された酸化シリコン膜を用いることができる。なお、酸素の放出量を上記数値とすることで、酸化物半導体膜114に酸素を好適に供給することができる。
【0061】
また、無機絶縁膜120として用いる金属酸化膜120bとしては、例えば、酸化アルミニウム膜を用いることができる。酸化アルミニウム膜は、好ましくは膜密度が3.2g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上であるとよい。金属酸化膜120bとして、当該酸化アルミニウム膜を用いることで、耐湿性の高い無機絶縁膜120とすることができる。また、当該酸化アルミニウム膜は、パッシベーション能力が高く、酸素放出型の酸化膜120aから放出される酸素の拡散を抑制することができる。
【0062】
上記のような積層型の無機絶縁膜120の構成とすることで、ゲート絶縁膜130と合わせて、酸化物半導体膜114に好適に酸素を供給することができる。具体的には、酸化物半導体膜114は、ゲート絶縁膜130の一部として酸化物半導体膜114に接する側に設けられた酸素放出型の酸化膜112からと、無機絶縁膜120の一部として設けられた酸素放出型の酸化膜120aからと、酸素が供給される。また、無機絶縁膜120は、酸素放出型の酸化膜120a上に金属酸化膜120bとして酸化アルミニウムを有している。酸化アルミニウム膜により、酸素放出型の酸化膜120aから放出される酸素を外部に拡散するのをブロッキングし、酸化物半導体膜114側に酸素を放出させることで、好適に酸化物半導体膜114に酸素を供給することができる。
【0063】
すなわち、酸化物半導体膜114は、断面構造において、酸化物半導体膜114の上下から当該酸化物半導体膜114に酸素が供給される構造である。
【0064】
次に、図1(C)の半導体装置について説明を行う。
【0065】
図1(C)に示す半導体装置は、図1(B)に示す半導体装置に、さらに有機絶縁膜、および導電膜を形成した構成となる。詳細は、以下のとおりである。
【0066】
図1(C)に示す半導体装置は、基板102と、基板102上に形成された下地絶縁膜104と、下地絶縁膜104上に形成されたゲート電極106と、下地絶縁膜104、及びゲート電極106上に形成された酸化窒化シリコン膜110と、酸化窒化シリコン膜110上に形成された酸素放出型の酸化膜112と、酸素放出型の酸化膜112上に形成された酸化物半導体膜114と、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に形成されたソース電極116と、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に形成されたドレイン電極118と、酸化物半導体膜114、ソース電極116、及びドレイン電極118上に形成された無機絶縁膜120と、無機絶縁膜120上に形成された有機絶縁膜122と、有機絶縁膜122上に形成された導電膜124と、を有する。
【0067】
また、図1(C)に示す半導体装置は、酸化窒化シリコン膜110と、酸素放出型の酸化膜112と、によりゲート絶縁膜130を構成しており、基板102、下地絶縁膜104、ゲート電極106、ゲート絶縁膜130、酸化物半導体膜114、ソース電極116、及びドレイン電極118により、トランジスタ150が形成されている。
【0068】
なお、トランジスタ150は、図1(A)、および図1(B)に示した構成と同様である。また、無機絶縁膜120は、図1(B)に示した構成と同様である。トランジスタ150、及び無機絶縁膜120は、先の記載を参酌することで形成できる。
【0069】
有機絶縁膜122は、トランジスタ150の凹凸を平坦化することができる。また、有機絶縁膜122は、無機絶縁膜120よりも、膜厚を厚く形成することが可能であり、例えば、スピン塗布法などにより、アクリル系樹脂、及びポリイミド系樹脂等の有機樹脂膜を用いることができる。
【0070】
導電膜124として用いることのできる材料は、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、グラフェンなどの透光性を有する導電材料を用いることができる。
【0071】
ただし、導電膜124として用いることのできる材料は、上記材料に限定されない。例えば、金属膜(アルミニウム、チタンなど)を用いることもできる。このような金属膜を用いることにより、トランジスタ150を外光から遮光することができるので、好適である。
【0072】
また、導電膜124は、酸化物半導体膜114の重畳した領域に設けることができる。このような構成とすることで、断面において、酸化物半導体膜114の上側(所謂、バックチャネル側)の電位を制御することができる。また、導電膜の電位は、フローティングであってもよいし、GNDと同電位であってもよいし、ゲート電極106と同電位であってもよいし、ソース電極116、及びドレイン電極118と同電位であってもよい。
【0073】
また、導電膜124は、外部からの静電気(所謂、ESD:Electro Static Discharge)に対して、トランジスタ150を保護する機能も有する。トランジスタ150上に導電膜124を有することで、外部からの静電気放電等の電荷を当該導電膜124により、逃がすことができる。
【0074】
以上のように、本実施の形態に示す酸化物半導体膜を用いた半導体装置において、ゲート絶縁膜を酸化窒化シリコン膜、及び酸素放出型の酸化膜により構成する。酸化窒化シリコン膜により被覆性が高く、絶縁耐性が高い、欠陥密度の低減されたゲート絶縁膜とすることができる。また、酸素放出型の酸化膜により酸化物半導体膜に酸素を供給することができる。したがって、安定した電気特性を付与した半導体装置を提供できる。
【0075】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0076】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1の図1(A)乃至図1(C)に示した半導体装置の作製方法について、図2乃至図4を用いて説明を行う。なお、図1で示した符号については、同様の符号を用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0077】
まず、基板102上に下地絶縁膜104を形成し、下地絶縁膜104上にゲート電極106を形成する(図2(A)参照)。
【0078】
基板102としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料を用いる。量産する上では、基板102は、第8世代(2160mm×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、または2450mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のマザーガラスを用いることが好ましい。マザーガラスは、処理温度が高く、処理時間が長いと大幅に収縮するため、マザーガラスを使用して量産を行う場合、作製工程の加熱処理は、好ましくは600℃以下、さらに好ましくは450℃以下、さらに好ましくは350℃以下とすることが望ましい。
【0079】
下地絶縁膜104は、PE−CVD法またはスパッタリング法を用いて50nm以上600nm以下の膜厚で、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜から選ばれた一層またはこれらの積層を用いる。下地絶縁膜104により、基板102側からの不純物の進入を抑制することができる。なお、下地絶縁膜104が不要な場合、例えば、基板102の表面吸着した水分、及び基板102に含有する水分等が少ない場合には下地絶縁膜104を設けない構成としてもよい。
【0080】
次に、下地絶縁膜104上に、導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程によりゲート電極106を形成する(図2(A)参照)。ゲート電極106は、スパッタリング法等により、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、及びスカンジウム等の金属材料、または、これらを含む合金材料を用いて、単層、または積層して形成することができる。
【0081】
次に、下地絶縁膜104、及びゲート電極106上に酸化窒化シリコン膜110を形成する(図2(B)参照)。
【0082】
酸化窒化シリコン膜110は、PE−CVD装置を用いて、形成することができる。酸化窒化シリコン膜110は、例えば、SiH、NO、NH、O等のガスを用いて形成することができる。また、酸化窒化シリコン膜110の膜厚は、50nm以上400nm以下(好ましくは100nm以上300nm以下)とすることができる。
【0083】
次に、酸化窒化シリコン膜110が形成された基板102に対して、加熱処理を行う。
【0084】
なお、加熱処理としては、電気炉、もしくは抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いることができる。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。また、高温のガスのその他の一例としては、酸素を用いてもよい。酸素を用いることにより、酸化窒化シリコン膜110からの酸素の脱離を抑制、または酸素の供給を行うことができる。
【0085】
加熱処理温度は、基板102として、マザーガラスを用いた場合、処理温度が高く、処理時間が長いと大幅に収縮するため、好ましくは、200℃以上450℃以下、さらに好ましくは、250℃以上350℃以下である。
【0086】
なお、上記加熱処理を行うことで、酸化窒化シリコン膜110膜中の水、水素等の不純物を除去することができる。また、当該加熱処理により、酸化窒化シリコン膜110の膜中の欠陥密度を低減することができる。酸化窒化シリコン膜110は、ゲート絶縁膜の一部として機能するため、膜中の不純物、または膜中の欠陥密度が低減することにより、半導体装置の信頼性が向上する。例えば、半導体装置の信頼性試験の一つである光負バイアスストレス試験における半導体装置の劣化を抑制させることができる。
【0087】
また、上記加熱処理は、のちに形成される酸素放出型の酸化膜112の成膜前処理として、行ってもよい。例えば、酸化窒化シリコン膜110を形成後、スパッタリング装置の予備加熱室で、真空中で加熱処理を行った後、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜113を形成してもよい。
【0088】
また、上記加熱処理は、複数回行ってもよい。例えば、酸化窒化シリコン膜110形成後、電気炉等により窒素雰囲気中で加熱処理を行い、その後、スパッタリング装置の予備加熱室で、真空中で加熱処理を行った後、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜113を形成してもよい。
【0089】
次に、酸化窒化シリコン膜110上に、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜113を形成する(図2(C)参照)。なお、酸化窒化シリコン膜110と、酸素放出型の酸化膜112により、ゲート絶縁膜130が形成される。
【0090】
酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜113は、マルチチャンバー構造のスパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成することができる。酸素放出型の酸化膜112と、酸化物半導体膜113と、を真空中で連続して形成することで、酸素放出型の酸化膜112と、酸化物半導体膜113との間の界面を清浄に保つことができる。
【0091】
なお、酸素放出型の酸化膜112成膜前に加熱処理を行う場合、マルチチャンバー構造のスパッタリング装置を用いることで、加熱処理、酸素放出型の酸化膜112の成膜、及び酸化物半導体膜113の成膜を、真空中で連続して行うことができる。
【0092】
酸素放出型の酸化膜112としては、例えば、スパッタリング法にて、Siターゲットを用い、不活性ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下において、形成することができる。また、酸素放出型の酸化膜112の膜厚は、10nm以上150nm以下(好ましくは20nm以上100nm以下)とすることができる。
【0093】
また、スパッタリング法には、スパッタリング用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法、直流電源を用いるDCスパッタリング法、交流電源を用いるACスパッタリング法等がある。また、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタリング法もある。酸素放出型の酸化膜112は、RFスパッタリング法、ACスパッタリング法を用いることで、緻密な膜が形成できるので好適である。
【0094】
また、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜113の形成工程において、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜113に水素、または水がなるべく含まれないようにするために、酸素放出型の酸化膜112の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室、すなわち真空中で、酸化窒化シリコン膜110が形成された基板102の加熱処理を行い、基板102、及び酸化窒化シリコン膜110に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し、排気することが好ましい。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。
【0095】
酸素放出型の酸化膜112は、酸素の放出量が多い材料で形成する。例えば、酸素放出型の酸化膜112は、昇温脱離ガス分光法において、酸素原子に換算して酸素の放出量が、好ましくは1.0×1018atoms/cm以上、さらに好ましくは、1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは、1.0×1020atoms/cm以上である。酸素放出型の酸化膜112としては、例えば、スパッタリング法により形成された酸化シリコン膜を用いることができる。なお、酸素の放出量を上記数値とすることで、酸化物半導体膜113に酸素を好適に供給することができる。
【0096】
また、酸素放出型の酸化膜112としては、例えば、酸素が過剰な酸化シリコン膜(SiOx(x>2))を組成とした膜を用いることができる。酸素が過剰な酸化シリコン膜とは、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積あたりに含む膜である。なお、単位体積あたりのシリコン原子数、及び酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法により測定した値である。
【0097】
また、酸素放出型の酸化膜112は、スパッタリング法により形成するのが好ましい。スパッタリング法により形成した酸素放出型の酸化膜112は、PE−CVD法で形成した膜よりも酸素の放出量を多くすることができる。
【0098】
酸化物半導体膜113としては、少なくともインジウム(In)または亜鉛(Zn)を含む酸化物が好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてチタン(Ti)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウム(Zr)を有することが好ましい。
【0099】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0100】
例えば、酸化物半導体膜113として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0101】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0102】
また、酸化物半導体膜113として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0103】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0104】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0105】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を下げることにより移動度を上げることができる。
【0106】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成のrだけ近傍であるとは、a、b、cが、(a−A)+(b−B)+(c−C)≦rを満たすことをいう。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0107】
酸化物半導体膜113は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
【0108】
アモルファス状態の酸化物半導体膜は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0109】
また、結晶性を有する酸化物半導体膜では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体膜以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体膜を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0110】
酸化物半導体膜113として、結晶を含み、結晶性を有する酸化物半導体膜(結晶性酸化物半導体膜)を用いることができる。結晶性酸化物半導体膜における結晶状態は、結晶軸の方向が無秩序な状態でも、一定の配向性を有する状態であってもよい。
【0111】
例えば、結晶性酸化物半導体膜として、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜を用いることができる。
【0112】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体層である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0113】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0114】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0115】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0116】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0117】
酸化物半導体膜113として、CAAC−OS膜を適用する場合、該CAAC−OS膜を得る方法としては、三つ挙げられる。一つ目は、成膜温度を100℃以上450℃以下、更に好ましくは150℃以上400℃以下として酸化物半導体層の成膜を行い、表面に概略垂直にc軸配向させる方法である。二つ目は、酸化物半導体層を薄い膜厚で成膜した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行い、表面に概略垂直にc軸配向させる方法である。三つ目は、一層目として薄い膜厚で成膜した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行い、二層目の成膜を行い、表面に概略垂直にc軸配向させる方法である。
【0118】
なお、酸化物半導体膜113として、CAAC−OS膜以外の結晶性を有する酸化物半導体膜(単結晶または微結晶)を成膜する場合には、成膜温度は特に限定されない。
【0119】
また、酸化物半導体膜113は、エネルギーギャップが2.8eV乃至3.2eVであり、シリコンのエネルギーギャップ1.1eVと比較して大きい。また、酸化物半導体膜113の真性キャリア密度は、10−9/cmであり、シリコンの真性キャリア密度の1011/cmと比較して極めて小さい。
【0120】
酸化物半導体膜113の多数キャリア(電子)は、トランジスタのソースから流れるのみである。また、チャネル形成領域を完全空乏化することが可能であるため、トランジスタのオフ電流を極めて小さくすることが可能である。酸化物半導体膜113を用いたトランジスタのオフ電流は、室温において、10yA/μm以下、85℃〜95℃においても、1zA/μm以下となり、極めて小さい。
【0121】
また、本発明においては、酸化物半導体膜113の下地膜として、酸素放出型の酸化膜112が形成されている。酸化物半導体膜113は、酸素放出型の酸化膜112からの酸素供給により、酸素欠損の発生が抑制され、結晶性を向上させることができる。
【0122】
酸化物半導体膜113の膜厚は、1nm以上200nm以下(好ましくは15nm以上30nm以下)とし、スパッタリング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。また、酸化物半導体膜113は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタ装置を用いて成膜してもよい。
【0123】
なお、酸化物半導体膜113は、成膜時に酸素が多く含まれるような条件(例えば、酸素100%の雰囲気下でスパッタリング法により成膜を行うなど)で成膜して、酸素を多く含む(好ましくは酸化物半導体膜113が結晶状態における化学量論的組成に対し、酸素の含有量が過剰な領域が含まれている)膜とすることが好ましい。
【0124】
酸化物半導体膜113をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol比]の金属酸化物ターゲットを用い、In−Ga−Zn膜を成膜する。また、このターゲットの材料及び組成に限定されず、例えば、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比]の金属酸化物ターゲットを用いてもよい。
【0125】
また、酸化物半導体膜113を上述した金属酸化物ターゲットを用いて形成した場合、ターゲットの組成と、基板上に形成される薄膜の組成と、が異なる場合がある。例えば、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比]の金属酸化物ターゲットを用いた場合、成膜条件にも依存するが、薄膜である酸化物半導体膜113の組成比は、In:Ga:ZnO=1:1:0.6〜0.8[mol比]となる場合がある。これは、酸化物半導体膜113を成膜中において、ZnOが昇華する、またはIn、Ga、ZnOの各成分のスパッタリングレートが異なるためだと考えられる。
【0126】
したがって、所望の組成の薄膜を形成したい場合においては、予め金属酸化物ターゲットの組成を調整する必要がある。例えば、薄膜である酸化物半導体膜113の組成比を、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol比]とする場合においては、金属酸化物ターゲットの組成比を、In:Ga:ZnO=1:1:1.5[mol比]とすればよい。すなわち、金属酸化物ターゲットのZnOの含有量を予め多くすればよい。ただし、ターゲットの組成は、上記数値に限定されず、成膜条件や、形成される薄膜の組成により適宜調整することができる。また、金属酸化物ターゲットのZnOの含有量を多くすることにより、得られる薄膜の結晶性が向上するため好ましい。
【0127】
また、金属酸化物ターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。充填率の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜113は緻密な膜とすることができる。
【0128】
酸化物半導体膜113を、成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0129】
スパッタリング装置の成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0130】
また、本実施の形態においては、酸素放出型の酸化膜112と、酸化物半導体膜113と、を大気開放せずに連続的に形成することができる。酸素放出型の酸化膜112と酸化物半導体膜113とを大気に暴露せずに真空中で連続して形成することにより、酸素放出型の酸化膜112の表面に水素や水分などの不純物が吸着することを防止することができる。したがって、酸素放出型の酸化膜112と酸化物半導体膜113との界面を清浄に保つことができる。
【0131】
また、酸化物半導体膜113に、過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化または脱水素化)するための加熱処理を行ってもよい。加熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、または基板の歪み点未満とする。加熱処理は減圧下、窒素雰囲気下、または酸素雰囲気下などで行うことができる。例えば、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体膜に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行う。
【0132】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0133】
例えば、加熱処理として、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基板を入れ、数分間加熱した後、基板を不活性ガス中から出すGRTAを行ってもよい。
【0134】
その後、酸化物半導体膜113に対して、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、島状の酸化物半導体膜114を形成する(図3(A)参照)。
【0135】
また、脱水化又は脱水素化のための加熱処理は、酸化物半導体膜113の形成後、島状の酸化物半導体膜114の形成後、(後に形成される)ソース電極116、及びドレイン電極118の形成後であれば、どのタイミングで行ってもよい。
【0136】
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0137】
また、加熱処理で酸化物半導体膜114を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度の一酸化二窒素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)を導入してもよい。酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガスまた一酸化二窒素ガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又は一酸化二窒素ガスの作用により、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体膜113を高純度化及び電気的にI型(真性)化することができる。
【0138】
また、上述した加熱処理により、酸素放出型の酸化膜112は、酸素を放出し、酸化物半導体膜113に酸素を供給することができる。
【0139】
次に酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に導電膜を形成し、当該導電膜をフォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、ソース電極116、及びドレイン電極118を形成し、トランジスタ150を形成する。(図3(B)参照)。この段階で図1(A)に示す半導体装置が形成される。
【0140】
ソース電極116、及びドレイン電極118に用いる導電膜としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方または双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜、またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。
【0141】
次に、酸化物半導体膜114、ソース電極116、及びドレイン電極118上に無機絶縁膜120を形成する(図3(C)参照)。この段階で図1(B)に示す半導体装置が形成される。
【0142】
無機絶縁膜120としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム等の無機材料を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させてもよく、本実施の形態においては、無機絶縁膜120として、酸素放出型の酸化膜120aと、金属酸化膜120bの積層構造とする。
【0143】
酸素放出型の酸化膜120aとしては、特に化学量論的組成を超える酸素を含有した酸化シリコン膜等を用いると好適である。化学量論的組成を超える酸素を含有した酸化シリコン膜により、酸化物半導体膜114へ酸素の供給を可能とし、酸化物半導体膜114の酸素欠損の発生を防ぐことができる。また、酸素放出型の酸化膜120aは、ゲート絶縁膜130の一部として用いた、酸素放出型の酸化膜112と同様の材料を用いると好適である。このような構成とすることで、酸化物半導体膜114は、酸素放出型の酸化膜112からの酸素供給と酸素放出型の酸化膜120aからの酸素供給と、断面において上下からの酸素供給が可能となるため好適である。また、酸素放出型の酸化膜120aの膜厚は、50nm以上400nm以下(好ましくは100nm以上300nm以下)とすることができる。
【0144】
また、金属酸化膜120bとしては、例えば、酸化アルミニウム膜を用いることができる。酸化アルミニウム膜は、好ましくは膜密度が3.2g/cm以上、さらに好ましくは3.6g/cm以上であるとよい。金属酸化膜120bとして、当該酸化アルミニウム膜を用いることで、耐湿性の高い無機絶縁膜120とすることができる。また、当該酸化アルミニウム膜は、パッシベーション能力が高く、酸素放出型の酸化膜120aから放出される酸素を、外部に拡散するのを抑制することができる。また、金属酸化膜120bの膜厚は、30nm以上150nm以下(好ましくは50nm以上100nm以下)とすることができる。
【0145】
次に、無機絶縁膜120上に有機絶縁膜122を形成する(図4(A)参照)。
【0146】
有機絶縁膜122は、トランジスタ150の凹凸を低減させることができる。有機絶縁膜122としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、等の有機樹脂材料を用いることができる。
【0147】
次に、有機絶縁膜122上に導電膜124を形成する(図4(B)参照)。この段階で図1(C)に示す半導体装置が形成される。
【0148】
導電膜124としては、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、グラフェンなどの透光性を有する導電材料を用いることができる。
【0149】
ただし、導電膜124として用いることのできる材料は、上記材料に限定されない。例えば、金属膜(アルミニウム、チタンなど)を用いることもできる。このような金属膜を用いることにより、トランジスタ150を外光から遮光することができるので、好適である。
【0150】
また、導電膜124は、外部からの静電気(所謂、ESD:Electro Static Discharge)に対して、トランジスタ150を保護する機能も有する。トランジスタ150上に導電膜124を有することで、外部からの静電気放電等の電荷を導電膜124により、逃がすことができる。
【0151】
以上の工程により、実施の形態1に示した図1(A)乃至図1(C)の半導体装置を作製することができる。
【0152】
以上のように、本実施の形態に示す酸化物半導体膜を用いた半導体装置において、ゲート絶縁膜を酸化窒化シリコン膜、及び酸素放出型の酸化膜により構成する。酸化窒化シリコン膜により被覆性が高く、絶縁耐性が高い、欠陥密度の低減されたゲート絶縁膜とすることができる。また、酸素放出型の酸化膜により酸化物半導体膜に酸素を供給することができる。したがって、安定した電気特性を付与した半導体装置を提供できる。
【0153】
また、酸素放出型の酸化膜と、酸化物半導体膜と、を大気に暴露せずに真空中で連続して形成することにより、酸素放出型の酸化膜と酸化物半導体膜との界面を清浄に保つことができる。したがって、安定した電気特性を付与した半導体装置の作製方法を提供できる。
【0154】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0155】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1の図1(C)に示した半導体装置の変形例について、図5(A)乃至図5(C)を用いて説明を行う。なお、図1と同様の部分については、同様の符号を用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0156】
また、図5(C)に示す半導体装置は、本実施の形態の一例であり、図5(A)、及び図5(B)は、図5(C)に示す半導体装置の作製方法を説明する図である。
【0157】
図5(C)に示す半導体装置は、基板102と、基板102上に形成された下地絶縁膜104と、下地絶縁膜104上に形成されたゲート電極106と、下地絶縁膜104、及びゲート電極106上に形成された酸化窒化シリコン膜110と、酸化窒化シリコン膜110上に形成された酸素放出型の酸化膜112と、酸素放出型の酸化膜112上に形成された酸化物半導体膜114と、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に形成されたソース電極116と、酸素放出型の酸化膜112、及び酸化物半導体膜114上に形成されたドレイン電極118と、酸化物半導体膜114、ソース電極116、及びドレイン電極118上に形成された無機絶縁膜120と、無機絶縁膜120上に形成された有機絶縁膜122と、有機絶縁膜122上に形成された導電膜124と、を有する。
【0158】
また、図5(C)に示す半導体装置は、酸化窒化シリコン膜110と、酸素放出型の酸化膜112と、によりゲート絶縁膜130を構成しており、基板102、下地絶縁膜104、ゲート電極106、ゲート絶縁膜130、酸化物半導体膜114、ソース電極116、及びドレイン電極118により、トランジスタ150が形成されている。
【0159】
なお、トランジスタ150は、実施の形態1に示した図1(A)乃至図1(C)に示した半導体装置の構成と同様である。また、無機絶縁膜120は、実施の形態1の図1(B)、及び図1(C)に示した半導体装置の構成と同様である。また、有機絶縁膜122は、実施の形態1の図1(C)に示した半導体装置と同様である。トランジスタ150、無機絶縁膜120、及び有機絶縁膜122は、先の記載を参酌することで形成できる。
【0160】
本実施の形態に示すトランジスタ150は、図1(C)に示す半導体装置との違いとして、無機絶縁膜120、及び有機絶縁膜122に開口部126を有している。また、有機絶縁膜122上に形成された導電膜124は、無機絶縁膜120、及び有機絶縁膜122を介して、開口部126により、ドレイン電極118と接続されている。
【0161】
このような構成とすることで、導電膜124は、ドレイン電極118と同電位とすることができる。また、導電膜124は、多種の用途で用いることができる。例えば、トランジスタ150を表示装置の画素用トランジスタとした場合においては、導電膜124は、画素電極として機能することができる。また、その他の一例として、導電膜124は、トランジスタ150のバックゲート(もしくは、第2のゲート電極ともいう。)として機能し、トランジスタ150のしきい値電圧(Vth)の制御等を行ってもよい。また、複数のトランジスタを有する場合において、トランジスタ150と、他の一方のトランジスタとの接続電極として機能してもよい。
【0162】
なお、導電膜124として用いることのできる材料は、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、グラフェンなどの透光性を有する導電材料を用いることができる。
【0163】
ただし、導電膜124として用いることのできる材料は、上記材料に限定されない。例えば、金属膜(アルミニウム、チタンなど)を用いることもできる。このような金属膜を用いることにより、トランジスタ150を外光から遮光することができるので、好適である。
【0164】
また、導電膜124は、酸化物半導体膜114の重畳した領域に設けることができる。このような構成とすることで、断面において、酸化物半導体膜114の上側(所謂、バックチャネル側)の電位を制御することができる。また、導電膜の電位は、フローティングであってもよいし、GNDと同電位であってもよいし、ゲート電極106と同電位であってもよいし、ソース電極116、及びドレイン電極118と同電位であってもよい。
【0165】
また、導電膜124は、外部からの静電気(所謂、ESD:Electro Static Discharge)に対して、トランジスタ150を保護する機能も有する。トランジスタ150上に導電膜124を有することで、外部からの静電気放電等の電荷を当該導電膜124により、逃がすことができる。
【0166】
ここで、図5(C)に示した半導体装置の作製方法について、図5(A)、及び図5(B)を用いて、説明を行う。
【0167】
なお、図5(A)に示す半導体装置は、実施の形態2の図4(A)に示す半導体装置と同様の断面図を示しており、図2(A)乃至図2(C)、及び図3(A)乃至図3(C)を参酌することで、作製することができる。よって、本実施の形態においては、その作製方法の記載は、省略する。
【0168】
トランジスタ150上に形成された無機絶縁膜120、及び有機絶縁膜122に開口部126を形成する(図5(B)参照)。
【0169】
開口部126は、所望の領域にパターニングを行い、ドライエッチング、またはウエットエッチングにより形成することができる。もちろん、ドライエッチングと、ウエットエッチングと、双方を組み合わせて形成してもよい。
【0170】
開口部126は、ドレイン電極118に達すればよく、無機絶縁膜120、及び有機絶縁膜122が階段状の形状、または垂直形状など、形状は特に限定されない。ただし、図5(A)に示すように、テーパー形状とすることで、のちに形成される導電膜124を段切れなく形成できるため、好適である。
【0171】
次に、ドレイン電極118、有機絶縁膜122、及び開口部126上に導電膜124を形成する(図5(C)参照)。
【0172】
以上の工程により、図5(C)に示す半導体装置を作製することができる。
【0173】
以上のように、本実施の形態に示す酸化物半導体膜を用いた半導体装置において、ゲート絶縁膜を酸化窒化シリコン膜、及び酸素放出型の酸化膜により構成する。酸化窒化シリコン膜により被覆性が高く、絶縁耐性が高い、欠陥密度の低減されたゲート絶縁膜とすることができる。また、酸素放出型の酸化膜により酸化物半導体膜に酸素を供給することができる。したがって、安定した電気特性を付与した半導体装置を提供できる。
【0174】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0175】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至実施の形態3で例示したトランジスタを用いて表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、トランジスタを含む駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0176】
図6(A)において、第1の基板401上に設けられた画素部402、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404を有し、画素部402、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404を囲むようにして、シール材406が設けられ、第2の基板407によって封止されている。また画素部402と、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404の上に第2の基板407が設けられている。よって画素部402と、ソースドライバ回路部403と、ゲートドライバ回路部404とは、第1の基板401とシール材406と第2の基板407とによって、表示素子と共に封止されている。
【0177】
また、図6(A)においては、第1の基板401上のシール材406によって囲まれている領域とは異なる領域に、画素部402、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404と電気的に接続されているFPC端子部405(FPC:Flexible printed circuit)が設けられており、FPC端子部405には、FPC418が接続され、画素部402、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404に与えられる各種信号、及び電位は、FPC418により供給されている。
【0178】
また、図6(A)においては、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404を画素部402と同じ第1の基板401に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部404のみを第1の基板401に形成しても良いし、ソースドライバ回路部403のみを第1の基板401に形成しても良い。この場合、別途用意されたソースドライバ回路、またはゲートドライバ回路等が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を、第1の基板401に実装する構成としても良い。
【0179】
なお、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB(Tape Automated Bonding)方法などを用いることができる。
【0180】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0181】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPCもしくはTABテープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG方式により駆動回路基板、またはIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0182】
また、第1の基板401上に設けられた画素部402、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404は、トランジスタを複数有しており、実施の形態1乃至実施の形態3で例示したトランジスタを適用することができる。例えば、図6(A)に示した半導体装置の画素部402、及びソースドライバ回路部403のトランジスタの構成の一例を図6(B)に示す。
【0183】
図6(B)に示す半導体装置は、図6(A)に示す破線Q−Rにおける拡大図に相当する。画素部402は、トランジスタ410を含む複数のトランジスタを有しており、ソースドライバ回路部403は、トランジスタ411を含む複数のトランジスタを有している。なお、図6(B)においては、構成要素の一部(例えば、ゲート絶縁膜、無機絶縁膜など)は、図面の煩雑を避けるために省略している。
【0184】
画素部402に含まれるトランジスタ410は、各画素のスイッチングの機能を有し、マトリクス状に形成された各々の画素の制御を行うことができる。また、ソースドライバ回路部403に含まれるトランジスタ411は、マトリクス状に形成された各々の画素に接続されているソース線の選択、制御等を行うことができる。
【0185】
また、本実施の形態においては、画素部402に含まれるトランジスタ410は、上方に導電膜を形成しない構成であり、ソースドライバ回路部403に含まれるトランジスタ411は、上方に導電膜を形成する構成を示している。
【0186】
また、表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)、を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0187】
表示装置に設けられる表示素子の一形態について、図7(A)、及び図7(B)を用いて説明する。図7(A)、及び図7(B)に示す半導体装置は、図6(A)、及び図6(B)に示す破線Q−Rにおける断面図に相当する。
【0188】
図7(A)、及び図7(B)に示す半導体装置は、第1の基板401上に設けられたFPC端子部405に、接続端子電極層415、及び端子電極層416を有しており、接続端子電極層415、及び端子電極層416はFPC418が有する端子と異方性導電膜419を介して、電気的に接続されている。
【0189】
接続端子電極層415は、導電膜430a、及び導電膜430bと同じ工程で形成され、端子電極層416は、トランジスタ410、及びトランジスタ411のソース電極、及びドレイン電極と同じ工程で形成されている。
【0190】
また、第1の基板401上に設けられた画素部402と、ソースドライバ回路部403は、トランジスタを複数有しており、図7(A)、及び図7(B)では、画素部402に含まれるトランジスタ410と、ソースドライバ回路部403に含まれるトランジスタ411とを例示している。
【0191】
なお、本実施の形態においては、画素部402に含まれるトランジスタ410と、ソースドライバ回路部403に含まれるトランジスタ411は、同一のサイズの構成としているが、これに限定されない。画素部402、及びソースドライバ回路部403に用いるトランジスタは、適宜サイズ(L/W)、または用いるトランジスタ数などを変えて用いることができる。また、図7(A)、及び図7(B)においては、ゲートドライバ回路部404は、図示していないが、接続先、または接続方法等が異なるが、ソースドライバ回路部403と同様の構成とすることができる。
【0192】
また、図7(A)、及び図7(B)において、トランジスタ410、及びトランジスタ411は、ゲート絶縁膜が、酸化窒化シリコン膜421a、及び酸素放出型の酸化膜421bにより構成されている。酸素放出型の酸化膜421bは、酸化物半導体膜に接して設けられ、当該酸化物半導体膜に酸素を供給することができる。よって、トランジスタ410、及びトランジスタ411は、酸化物半導体膜中の酸素欠損に伴う、キャリアの発生が抑制されており、電気的に安定である。
【0193】
このように、図6に示す本実施の形態の半導体装置として、トランジスタ410、及びトランジスタ411を用いることで信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0194】
また、図7(A)、及び図7(B)において、トランジスタ410、及びトランジスタ411上に、無機絶縁膜420、無機絶縁膜422、及び有機絶縁膜424が設けられている。なお、絶縁膜423は下地膜として機能する下地絶縁膜である。
【0195】
本実施の形態では、無機絶縁膜420としては、酸化シリコン膜を用い、無機絶縁膜422としては、酸化アルミニウム膜を用いる。なお、無機絶縁膜420、及び無機絶縁膜422は、スパッタリング法やプラズマCVDによって形成することができる。
【0196】
無機絶縁膜420として設けられる酸化シリコン膜は、酸化物半導体膜と接して設けられ、酸素を酸化物半導体膜に供給することができる。
【0197】
無機絶縁膜422として設けられる酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果(ブロック効果)が高い。従って、酸化アルミニウム膜は、作製工程中及び作製後において、変動要因となる水素、水分などの不純物の酸化物半導体膜への混入、及び酸化物半導体膜を構成する主成分材料である酸素の酸化物半導体膜からの放出を防止する保護膜として機能する。
【0198】
また、有機絶縁膜424としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、有機絶縁膜424を形成してもよい。
【0199】
また、本実施の形態では、ソースドライバ回路部403に形成されたトランジスタ411は、有機絶縁膜424上に、酸化物半導体膜のチャネル形成領域と重畳した位置に導電膜430aが設けられている構成である。しかし、この構成に限定されず、導電膜430aを設けない構成としても良い。導電膜430aを酸化物半導体膜のチャネル形成領域と重畳した位置に設けることによって、BT試験前後におけるトランジスタ411のしきい値電圧の変化量を低減することができる。また、導電膜430aは、電位がトランジスタ411のゲート電極層と同じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる。また、導電膜430aの電位がGND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0200】
なお、導電膜430aは、外部の電場を遮蔽する、すなわち外部の電場が内部(トランジスタ411を含む回路部)に作用しないようにする機能(特に静電気に対する静電遮蔽機能)も有する。導電膜430aの遮蔽機能により、静電気などの外部の電場の影響によりトランジスタ411の電気的な特性が変動することを防止することができる。なお、導電膜430aは、トランジスタ411と重畳するような広範囲に設けてもよい。これによりさらなる静電遮蔽機能の向上が見込まれる。
【0201】
また、本実施の形態では、画素部402に形成されたトランジスタ410は、有機絶縁膜424上に、ソース電極またはドレイン電極と接する導電膜430bが設けられた構成である。導電膜430bは、画素部402において、画素電極としての機能を有する。なお、本実施の形態においては、画素部402に形成されたトランジスタ410は、酸化物半導体膜のチャネル形成領域と重畳した位置に導電膜430bを有していない構成である。しかし、この構成に限定されず、ソースドライバ回路部403に形成されたトランジスタ411と同様の構成としても良い。
【0202】
画素部402に設けられたトランジスタ410は、表示素子と電気的に接続し、表示パネルを構成する。表示素子は表示を行うことができれば特に限定されず、様々な表示素子を用いることができる。
【0203】
図7(A)に示す表示装置は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の例を示す。図7(A)において、表示素子である液晶素子413は、導電膜430b、対向電極431、及び液晶層408を含む。なお、液晶層408を挟持するように配向膜として機能する絶縁膜432、絶縁膜433が設けられている。対向電極431は第2の基板407側に設けられ、導電膜430bと対向電極431とは液晶層408を介して積層する構成となっている。
【0204】
また、スペーサ435は、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、液晶層408の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお、球状のスペーサを用いていても良い。
【0205】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0206】
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。酸化物半導体膜を用いるトランジスタは、静電気の影響によりトランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱する恐れがある。よって酸化物半導体膜を用いるトランジスタを有する液晶表示装置にブルー相の液晶材料を用いることはより効果的である。
【0207】
また、液晶材料の固有抵抗は、1×10Ω・cm以上であり、好ましくは1×1011Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明細書における固有抵抗の値は、20℃で測定した値とする。
【0208】
液晶表示装置に設けられる保持容量の大きさは、画素部に配置されるトランジスタのリーク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。保持容量の大きさは、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。高純度且つ酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体層を有するトランジスタを用いることにより、各画素における液晶容量に対して1/3以下、好ましくは1/5以下の容量の大きさを有する保持容量を設ければ充分である。
【0209】
本実施の形態で用いる高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体層を有するトランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
【0210】
また、本実施の形態で用いる高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体層を有するトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを液晶表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0211】
液晶表示装置には、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0212】
また、ノーマリブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASVモードなどを用いることができる。また、VA型の液晶表示装置にも適用することができる。VA型の液晶表示装置とは、液晶表示パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種である。VA型の液晶表示装置は、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いることができる。
【0213】
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
【0214】
また、画素部における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す)、又はRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
【0215】
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を適用することができる。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0216】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0217】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0218】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透光性であればよい。そして、基板上にトランジスタ及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側及び基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
【0219】
図7(B)に表示素子として発光素子を用いた発光装置の例を示す。表示素子である発光素子453は、画素部402に設けられたトランジスタ410と電気的に接続している。なお発光素子453の構成は、導電膜430b、電界発光層452、上部電極451の積層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子453から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子453の構成は適宜変えることができる。
【0220】
隔壁450は、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、導電膜430bに開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0221】
電界発光層452は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0222】
発光素子453に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、上部電極451、及び隔壁450上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、DLC膜等を形成することができる。また、第1の基板401、第2の基板407、及びシール材406によって封止された空間には充填材454が設けられ密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0223】
充填材454としては、窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば充填材454として、窒素を用いればよい。
【0224】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0225】
なお、図7(A)、及び図7(B)において、第1の基板401、第2の基板407としては、ガラス基板の他、可撓性を有する基板も用いることができ、例えば透光性を有するプラスチック基板などを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0226】
以上のように実施の形態1乃至実施の形態3で示したトランジスタを適用することで、様々な機能を有する半導体装置を提供することができる。
【0227】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0228】
(実施の形態5)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末(PDA)、携帯端末(スマートフォン、タブレットPC等を含む)、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。上記実施の形態で説明した半導体装置を具備する電子機器の例について図8、及び図9を用いて説明する。
【0229】
図8(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3002、表示部3003、キーボード3004などによって構成されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部3003に適用することにより、信頼性の高いノート型のパーソナルコンピュータとすることができる。
【0230】
図8(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体3021には表示部3023と、外部インターフェイス3025と、操作ボタン3024等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス3022がある。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部3023に適用することにより、より信頼性の高い携帯情報端末(PDA)とすることができる。
【0231】
図8(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0232】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図8(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図8(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部2705、表示部2707に適用することにより、信頼性の高い電子書籍2700とすることができる。表示部2705として半透過型、又は反射型の液晶表示装置を用いる場合、比較的明るい状況下での使用も予想されるため、太陽電池を設け、太陽電池による発電、及びバッテリーでの充電を行えるようにしてもよい。なおバッテリーとしては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0233】
また、図8(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカー2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0234】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0235】
図8(D)は、携帯電話であり、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構成されている。筐体2801には、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロフォン2804、ポインティングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子2808などを備えている。また、筐体2800には、携帯型情報端末の充電を行う太陽電池セル2810、外部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐体2801内部に内蔵されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示パネル2802に適用することにより、信頼性の高い携帯電話とすることができる。
【0236】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図8(D)には映像表示されている複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
【0237】
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、図8(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
【0238】
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0239】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
【0240】
図8(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体3051、表示部(A)3057、接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056などによって構成されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部(A)3057、表示部(B)3055に適用することにより、信頼性の高いデジタルビデオカメラとすることができる。
【0241】
図8(F)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部9603に適用することにより、信頼性の高いテレビジョン装置9600とすることができる。
【0242】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0243】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0244】
図9は、タブレットPCの一例を示しており、図9(A−1)乃至図9(A−3)は、タブレットPC5000を示し、図9(B)は、タブレットPC6000を示している。
【0245】
図9(A−1)乃至図9(A−3)に示すタブレットPC5000において、図9(A−1)は正面図を、図9(A−2)は側面図を、図9(A−3)は背面図を、それぞれ示している。また、図9(B)に示すタブレットPC6000においては、正面図を示している。
【0246】
タブレットPC5000は、筐体5001、表示部5003、電源ボタン5005、前面カメラ5007、背面カメラ5009、第1の外部接続端子5011、及び第2の外部接続端子5013などにより構成されている。
【0247】
また、表示部5003は、筐体5001に組み込まれており、タッチパネルとしても用いることができる。例えば、表示部5003上にアイコン5015等を表示させて、メールや、スケジュール管理といった作業を行うことができる。また、筐体5001には、正面側に前面カメラ5007が組み込まれており、使用者側の映像を撮影することができる。また、筐体5001には、背面側に背面カメラ5009が組み込まれており、使用者と反対側の映像を撮影することができる。また、筐体5001には、第1の外部接続端子5011、及び第2の外部接続端子5013を備えており、例えば、第1の外部接続端子5011により、イヤホン等に音声を出力し、第2の外部接続端子5013により、データの移動等を行うことができる。
【0248】
次に、図9(B)に示すタブレットPC6000は、第1の筐体6001、第2の筐体6003、ヒンジ部6005、第1の表示部6007、第2の表示部6009、電源ボタン6011、第1のカメラ6013、第2のカメラ6015などにより構成されている。
【0249】
また、第1の表示部6007は、第1の筐体6001に組み込まれており、第2の表示部6009は、第2の筐体6003に組み込まれている。第1の表示部6007、及び第2の表示部6009は、例えば、第1の表示部6007を表示用パネルとして使用し、第2の表示部6009をタッチパネルとする。第1の表示部6007に表示されたテキストアイコン6017を確認し、第2の表示部6009に表示させたアイコン6019、またはキーボード6021(実際には第2の表示部6009に表示されたキーボード画像)を用いて、画像の選択、または文字の入力等を行うことができる。もちろん、第1の表示部6007がタッチパネルであり、第2の表示部6009が表示用パネルといった構成や、第1の表示部6007、及び第2の表示部6009ともにタッチパネルといった構成としてもよい。
【0250】
また、第1の筐体6001と、第2の筐体6003は、ヒンジ部6005により接続されており、第1の筐体6001と、第2の筐体6003と、を開閉することができる。このような構成とすることにより、タブレットPC6000を持ち運ぶ際に、第1の筐体6001に組み込まれた表示部6007と、第2の筐体6003に組み込まれた表示部6009と、を合わせることで、表示部6007、及び表示部6009の表面(例えば、プラスチック基板等)を保護することができるので好適である。
【0251】
また、第1の筐体6001と第2の筐体6003は、ヒンジ部6005により、分離できる構成としても良い(所謂コンバーチブル型)。このような構成とすることで、例えば、第1の筐体6001を縦置きとし、第2の筐体6003を横置きとして使用するといったように、使用範囲が広がるので好適である。
【0252】
また、第1のカメラ6013、及び第2のカメラ6015により、3D画像の撮影を行うこともできる。
【0253】
また、タブレットPC5000、及びタブレットPC6000は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。例えば、無線により、インターネット等に接続し、所望の情報を購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0254】
また、タブレットPC5000、及びタブレットPC6000は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。また、外光の光量に応じて表示の輝度を最適にすることができる光センサや、ジャイロセンサ、加速度センサの傾きを検出するセンサなどといった検出装置を内蔵させてもよい。
【0255】
上記実施の形態で示した半導体装置をタブレットPC5000の表示部5003、タブレットPC6000の第1の表示部6007、または/および第2の表示部6009に適用することにより、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0256】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0257】
本実施例においては、本発明の一態様として用いることのできる酸素放出型の酸化膜について、評価を行った。
【0258】
評価方法としては、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)により評価を行った。
【0259】
また、評価サンプルとしては、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、及び酸化シリコン膜の3種類を作製した。窒化シリコン膜のサンプルを試料1、酸化窒化シリコン膜のサンプルを試料2、酸化シリコン膜のサンプルを試料3とした。
【0260】
以下に、各試料の構造、及び形成条件の詳細を記載する。
【0261】
(試料1)
ガラス基板上に、PE−CVD装置を用い、SiH/H/NH=30/800/300sccm、成膜電力=600W(RF)、成膜圧力=60Pa、基板温度=330℃の条件で窒化シリコン膜(SiN)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、窒化シリコン膜の膜厚は、100nmとした。
【0262】
(試料2)
ガラス基板上に、PE−CVD装置を用い、SiH/NO=10/1200sccm、成膜電力=30W(RF)、成膜圧力=22Pa、基板温度=330℃の条件で酸化窒化シリコン膜(SiON)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化窒化シリコン膜の膜厚は、150nmとした。
【0263】
(試料3)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=50sccm(O=100%)、成膜電力=10kW(DC−Pulse電源、Pulse=300kHz)、成膜圧力=0.4Pa、基板温度=室温(R.T.)の条件で酸化シリコン膜(SiO)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化シリコン膜の膜厚は、100nmとした。
【0264】
次に、上記試料1〜試料3のTDS分析を行った。なお、TDS分析は、各試料を真空容器内で加熱し、昇温中に各試料から発生するガス成分を四重極質量分析計で検出する。検出されるガス成分は、m/z(質量/電荷)のイオン強度で区別される。なお、本実施例では、m/z=32のイオン強度を酸素として同定した。
【0265】
試料1のTDS測定結果を図10(A)に、試料2のTDS測定結果を図10(B)に、試料3のTDS測定結果を図10(C)に、それぞれ示す。なお、図10は、横軸が基板温度(℃)を示し、縦軸がm/z=32のイオン強度(任意単位)を表す。
【0266】
図10(A)、及び図10(B)より、PE−CVD装置で形成した窒化シリコン膜(試料1)、及び酸化窒化シリコン膜(試料2)からは、m/z=32の強度のイオン検出量が少ないことがわかる。一方、図10(C)に示すスパッタリング法で形成した酸化シリコン膜(試料3)からは、m/z=32の強度のイオン検出量が多い。特に、100℃〜300℃の範囲にてm/z=32の強度のイオン検出量が多い。
【0267】
そこで、酸化シリコン膜(試料3)のm/z=32のイオン強度の定量化を行い、酸素放出量を算出した。なお、窒化シリコン膜(試料1)、及び酸化窒化シリコン膜(試料2)は、m/z=32の強度のイオン検出量が少ないため、定量化が困難であった。定量化の結果、酸化シリコン膜(試料3)の酸素放出量は、酸素原子に換算しての酸素放出量が、4.5×1020atoms/cmであった。
【0268】
次に、上記試料1〜試料3とは異なる試料についてTDS測定を行った。以下に、各試料の構造、及び形成条件の詳細を記載する。なお、TDS測定については、試料1〜試料3と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0269】
(試料4)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=24kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=室温(R.T.)の条件で酸化シリコン膜(SiO)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化シリコン膜の膜厚は、100nmとした。
【0270】
(試料5)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=24kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=50℃の条件で酸化シリコン膜(SiO)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化シリコン膜の膜厚は、100nmとした。
【0271】
(試料6)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=24kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=80℃の条件で酸化シリコン膜(SiO)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化シリコン膜の膜厚は、100nmとした。
【0272】
(試料7)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=24kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=150℃の条件で酸化シリコン膜(SiO)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化シリコン膜の膜厚は、100nmとした。
【0273】
(試料8)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=24kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=200℃の条件で酸化シリコン膜(SiO)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化シリコン膜の膜厚は、100nmとした。
【0274】
試料4〜試料8のTDS測定結果を図11に示す。なお、図11は、横軸が基板温度(℃)を示し、縦軸がm/z=32のイオン強度(任意単位)を表す。
【0275】
また、試料4〜試料8のm/z=32のイオン強度の定量化を行い、酸素放出量を算出した。定量化の結果、試料4については、2.7×1020atoms/cm、試料5については、2.2×1020atoms/cm、試料6については、1.5×1020atoms/cm、試料7については、8.1×1019atoms/cm、試料8については、4.2×1019atoms/cmの酸素放出量であった。
【0276】
ここで、上記作製した試料1〜試料8の膜種、条件(成膜装置、電源、基板温度)、及び酸素放出量を表1に示す。
【0277】
【表1】

【0278】
表1、図10、及び図11より、酸素放出型の酸化膜の一形態としては、スパッタリング装置で酸化シリコン膜を形成することで、得られることがわかった。また、図11より、スパッタリングで形成する際の、基板温度は低い方が好ましい。基板温度を低くすることにより、酸素放出量を増加させることができるため、好適である。
【0279】
以上のように、酸素放出型の酸化膜としては、酸素原子に換算して酸素の放出量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは、1.0×1019atoms/cm以上、更に好ましくは、1.0×1020atoms/cm以上である。酸素放出型の酸化膜として、上記数値とすることで、酸化物半導体に対して好適に酸素を供給することができる。
【実施例2】
【0280】
本実施例においては、本発明の一態様として用いることのできる酸素放出型の酸化膜、及び金属酸化膜について、評価を行った。なお、評価方法としては、X線反射率測定法(XRR:X−Ray Reflection)と、TDS分析を用いた。
【0281】
なお、XRR測定とは、測定試料に対して、X線を入射し、入射したX線の臨界角、振幅波形の変化等を測定し、測定した臨界角、振幅波形などを用いて理論式解析を行うことで、形成された薄膜の密度が測定することができる測定方法である。また、本実施例においては、理論式解析のモデルとして、酸化アルミニウム膜の組成を、理想的な組成であるAl(Z/A=0.4882、(Z=原子番号、A=質量数))として用い、解析した。
【0282】
まず、XRR測定による評価を示す。評価サンプルとしては、金属酸化膜として用いることのできる酸化アルミニウム膜について、異なる形成条件で2種類の試料(試料9、及び試料10)を作製した。以下に各試料の構造、及び形成条件の詳細を記載する。
【0283】
(試料9)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=50sccm(O=100%)、成膜電力=6kW(DC−Pulse電源、Pulse=300kHz)、成膜圧力=0.4Pa、基板温度=室温(R.T.)の条件で酸化アルミニウム膜を形成した。なお、スパッタリングターゲットとしては、金属アルミニウムターゲットを用い、酸化アルミニウム膜の膜厚は、100nmとした。また、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとした。
【0284】
(試料10)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=30kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=150℃の条件で酸化アルミニウム膜を形成した。なお、スパッタリングターゲットとしては、金属アルミニウムターゲットを用い、酸化アルミニウム膜の膜厚は、100nmとした。また、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとした。
【0285】
試料9、及び試料10のXRR測定結果を図12に示す。なお、XRR測定は、各試料の面内を3点測定した。
【0286】
図12より、試料9については、酸化アルミニウム膜の膜密度が約3.0g/cmであり、試料10については、酸化アルミニウム膜の膜密度が約3.8g/cmであった。
【0287】
次に、TDS分析による評価を示す。
【0288】
本実施例のTDS分析の評価サンプルとしては、酸素放出型の酸化膜の単層構造と、酸素放出型の酸化膜と、金属酸化膜との積層構造の2種類を作製した。酸素放出型の酸化膜の単層構造を試料11、酸素放出型の酸化膜と金属酸化膜との積層構造を試料12とした。
【0289】
なお、酸素放出型の酸化膜としては、酸化シリコン膜を用い、その形成条件は、実施例1で示した試料4と同様である。また、金属酸化膜としては、酸化アルミニウム膜を用い、その形成条件は、本実施例で示した試料10と同様である。
【0290】
以下に、各試料の構造、及び形成条件の詳細を記載する。
【0291】
(試料11)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=24kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=室温(R.T.)の条件で酸化シリコン膜(SiO)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化シリコン膜の膜厚は、400nmとした。なお、本実施例の試料11は、実施例1に示した試料4と条件は同じであるが、膜厚が異なる(試料4は、膜厚100nm)。
【0292】
(試料12)
ガラス基板上に、スパッタリング装置を用い、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=24kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=室温(R.T.)の条件で酸化シリコン膜(SiO)を形成した。酸化シリコン膜の膜厚は、400nmとした。また、酸化シリコン膜を形成後、続けて真空中で連続して、O=300sccm(O=100%)、成膜電力=30kW(AC)、成膜圧力=0.7Pa、基板温度=150℃の条件で金属酸化膜として、酸化アルミニウム膜(AlO)を形成した。なお、用いたガラス基板は、厚さ0.7mmとし、酸化アルミニウム膜の膜厚は、100nmとした。また、本実施例の酸化アルミニウム膜は、先に示した試料10と条件は同一である。
【0293】
次に、上記試料11、及び試料12のTDS分析を行った。なお、TDS分析は、各試料を真空容器内で加熱し、昇温中に各試料から発生するガス成分を四重極質量分析計で検出する。検出されるガス成分は、m/z(質量/電荷)のイオン強度で区別される。なお、本実施例でも、実施例1同様に、m/z=32のイオン強度を酸素として同定した。
【0294】
試料11、及び試料12のTDS測定結果を図13に示す。なお、図13は、横軸が基板温度(℃)を示し、縦軸がm/z=32のイオン強度(任意単位)を表す。
【0295】
図13より、試料11の酸素放出型の酸化膜の単層構造においては、基板温度100℃〜400℃の範囲において、酸素の放出が確認される。一方、試料12の酸素放出型の酸化膜と、金属酸化膜である酸化アルミニウム膜の積層構造においては、顕著な酸素放出が確認されない。したがって、酸素放出型の酸化膜上に金属酸化膜である酸化アルミニウム膜を形成することで、酸素放出型の酸化膜からの酸素放出を抑制することが確認された。
【実施例3】
【0296】
本実施例では、本発明の一形態である半導体装置の作製方法により得られた、トランジスタ650の電気特性について説明する。
【0297】
本実施例におけるトランジスタ650の構造を図14(A)、及び図14(B)を用いて説明を行う。なお、図14(A)はトランジスタ650の平面図を示し、図14(B)は、図14(A)に示す破線X−Yの断面図に相当する。また、図14(A)において、構成要素の一部(例えば、ゲート絶縁膜など)は、図面の煩雑を避けるために省略している。
【0298】
図14(A)、及び図14(B)に示すトランジスタ650は、基板602と、下地絶縁膜604と、ゲート電極606と、酸化窒化シリコン膜610と、酸素放出型の酸化膜612と、酸化物半導体膜614と、ソース電極616と、ドレイン電極618と、を有する。また、酸化物半導体膜614と、ソース電極616と、ドレイン電極618上に、酸素放出型の酸化膜620a、及び金属酸化膜620bからなる無機絶縁膜620と、無機絶縁膜620上に有機絶縁膜622が形成されている。
【0299】
また、図14(A)、及び図14(B)に示すトランジスタ650は、酸化窒化シリコン膜610と、酸素放出型の酸化膜612と、によりゲート絶縁膜630を構成している。
【0300】
図14(B)を用いて、トランジスタ650の作製方法について以下説明を行う。
【0301】
基板602として0.7mmのガラス基板を用い、基板602上に下地絶縁膜604を形成した。下地絶縁膜604は、窒化シリコン膜を100nmと、窒化シリコン膜上に酸化シリコン膜を150nmの積層構造とした。
【0302】
次に、下地絶縁膜604上に導電膜を成膜し、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、ゲート電極606を形成した。ゲート電極606としては、スパッタリング装置を用い、タングステンを100nmとした。
【0303】
次に、下地絶縁膜604、及びゲート電極606上に酸化窒化シリコン膜610を形成した。酸化窒化シリコン膜610は、PE−CVD装置を用い、SiH/NO/Ar=250/2500/2500sccm、圧力=30Pa、基板温度=325℃、電力=5kW(周波数:2.45GHz、電源:4台使用)、電極と基板間距離を160mm、膜厚80nmとした。
【0304】
次に、ベーク炉を用いて窒素雰囲気下、350℃にて1時間の第1の熱処理を行った。
【0305】
次に、酸化窒化シリコン膜610上に、酸素放出型の酸化膜612と酸化物半導体膜を真空中で連続して形成した。
【0306】
なお、酸素放出型の酸化膜612の形成条件としては、スパッタリング装置を用い、酸化シリコン膜を形成した。酸化シリコン膜は、Siターゲットを用い、基板温度は室温とし、酸素=300sccm、電力=24kW(AC)、圧力=0.7Pa、膜厚=20nmとした。
【0307】
なお、酸素放出型の酸化膜612は、実施例1の試料4で示した酸化シリコン膜と同様の膜であり、その酸素放出量は、2.7×1020atoms/cmである。
【0308】
なお、酸化物半導体膜は、スパッタリング装置にて、IGZOターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:2[mol比])を用い、基板温度=170℃、圧力=0.6Pa、電力=5kW(AC電源)の条件で成膜した。なお、酸化物半導体膜の膜厚は35nmとした。
【0309】
次に、酸化物半導体膜にフォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、酸化物半導体膜を加工し、酸化物半導体膜614を形成した。
【0310】
次に、ベーク炉を用いて窒素雰囲気下、350℃にて1時間の第2の熱処理を行い、続けてベーク炉を用いて窒素と酸素雰囲気下、350℃にて1時間の第3の熱処理を行った。
【0311】
次に、酸素放出型の酸化膜612、及び酸化物半導体膜614上に導電膜を成膜し、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、ソース電極616、及びドレイン電極618を形成した。ソース電極616、及びドレイン電極618は、タングステン、アルミニウム、チタンの3層の積層構造とし、それぞれの膜厚は、50nm、400nm、100nmとした。
【0312】
次に、ベーク炉を用いて窒素雰囲気下、300℃にて1時間の第4の熱処理を行い、続けて無機絶縁膜620を形成した。なお、無機絶縁膜620は、酸素放出型の酸化膜620aと、金属酸化膜620bを真空中で連続して形成した。酸素放出型の酸化膜620aは、スパッタリング装置を用い、酸化シリコン膜を形成した。酸化シリコン膜は、Siターゲットを用い、基板温度は室温とし、酸素=300sccm、圧力=0.7Pa、膜厚=400nmとした。金属酸化膜620bは、スパッタリング装置を用い、酸化アルミニウム膜を形成した。酸化アルミニウム膜は、金属アルミニウムターゲットを用い、基板温度は150℃とし、酸素=300sccm(O=100%)、成膜電力=30kW(AC)、圧力=0.7Pa、膜厚=50nmとした。なお、酸化アルミニウム膜の密度は、3.8g/cmの膜を用いた。
【0313】
次に、無機絶縁膜620上に有機絶縁膜622を形成した。有機絶縁膜622は、スピン塗布法によりアクリルを形成し、その膜厚は1.5μmとした。
【0314】
その後、ベーク炉を用いて窒素雰囲気下、250℃にて1時間の第5の熱処理を行った。
【0315】
以上の工程によりトランジスタ650を形成した。なお、本実施例のトランジスタ650は、チャネル長(L)=3μm、チャネル幅(W)=3μmで形成した。
【0316】
次に、上記作製した本発明の一態様であるトランジスタ650の電気測定を行った。トランジスタ650の電気測定結果を図15に示す。
【0317】
なお、図15に示す電気測定結果において、実線は、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を10Vとし、ゲート電圧(Vg)を−15Vから15Vまで、0.25V間隔で変化させた際のドレイン電流(Id)−ゲート電圧(Vg)特性を示しており、破線は、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を10Vとし、ゲート電圧(Vg)を−15Vから15Vまで、0.25V間隔で変化させた際の電界効果移動度(μFE)を示している。
【0318】
図15より、本発明の一態様であるトランジスタ650は、ソース電極とドレイン電極間の電圧(Vd)を10Vとし、ゲート電圧(Vg)を−15Vから15Vの飽和領域での最大の電界効果移動度(μFE)は、15.7cm/Vsであった。また、VG=0Vにて、ノーマリオフのトランジスタであることが確認された。
【0319】
このように、本発明の一態様であるトランジスタ650は、高い移動度を有し、ノーマリオフのトランジスタであった。
【0320】
本実施例は、他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0321】
102 基板
104 下地絶縁膜
106 ゲート電極
110 酸化窒化シリコン膜
112 酸化膜
113 酸化物半導体膜
114 酸化物半導体膜
116 ソース電極
118 ドレイン電極
120 無機絶縁膜
120a 酸化膜
120b 金属酸化膜
122 有機絶縁膜
124 導電膜
126 開口部
130 ゲート絶縁膜
150 トランジスタ
401 基板
402 画素部
403 ソースドライバ回路部
404 ゲートドライバ回路部
405 FPC端子部
406 シール材
407 基板
408 液晶層
410 トランジスタ
411 トランジスタ
413 液晶素子
415 接続端子電極層
416 端子電極層
419 異方性導電膜
420 無機絶縁膜
421a 酸化窒化シリコン膜
421b 酸化膜
422 無機絶縁膜
423 絶縁膜
424 有機絶縁膜
430a 導電膜
430b 導電膜
431 対向電極
432 絶縁膜
433 絶縁膜
435 スペーサ
450 隔壁
451 上部電極
452 電界発光層
453 発光素子
454 充填材
602 基板
604 下地絶縁膜
606 ゲート電極
610 酸化窒化シリコン膜
612 酸化膜
614 酸化物半導体膜
616 ソース電極
618 ドレイン電極
620 無機絶縁膜
620a 酸化膜
620b 金属酸化膜
622 有機絶縁膜
630 ゲート絶縁膜
650 トランジスタ
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカー
2800 筐体
2801 筐体
2802 表示パネル
2803 スピーカー
2804 マイクロフォン
2805 操作キー
2806 ポインティングデバイス
2807 カメラ用レンズ
2808 外部接続端子
2810 太陽電池セル
2811 外部メモリスロット
3001 本体
3002 筐体
3003 表示部
3004 キーボード
3021 本体
3022 スタイラス
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部インターフェイス
3051 本体
3053 接眼部
3054 操作スイッチ
3056 バッテリー
5000 タブレットPC
5001 筐体
5003 表示部
5005 電源ボタン
5007 前面カメラ
5009 背面カメラ
5011 外部接続端子
5013 外部接続端子
5015 アイコン
6000 タブレットPC
6001 筐体
6003 筐体
6005 ヒンジ部
6007 表示部
6009 表示部
6011 電源ボタン
6013 カメラ
6015 カメラ
6017 テキストアイコン
6019 アイコン
6021 キーボード
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜と接して形成されたソース電極、及びドレイン電極と、を有し、
前記ゲート絶縁膜は、少なくとも
酸化窒化シリコン膜と、
前記酸化窒化シリコン膜上に形成された酸素放出型の酸化膜と、により構成され、
前記酸素放出型の酸化膜上に前記酸化物半導体膜が接して形成される
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
ゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜と接して形成されたソース電極、及びドレイン電極と、
前記酸化物半導体膜、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極上に形成された無機絶縁膜と、を有し、
前記ゲート絶縁膜は、少なくとも
酸化窒化シリコン膜と、
前記酸化窒化シリコン膜上に形成された酸素放出型の酸化膜と、により構成され、
前記酸素放出型の酸化膜上に前記酸化物半導体膜が接して形成される
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
ゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜と接して形成されたソース電極、及びドレイン電極と、
前記酸化物半導体膜、前記ソース電極、及び前記ドレイン電極上に形成された無機絶縁膜と、
前記無機絶縁膜上に形成された有機絶縁膜と、
前記有機絶縁膜上に形成された導電膜と、を有し、
前記ゲート絶縁膜は、少なくとも
酸化窒化シリコン膜と、
前記酸化窒化シリコン膜上に形成された酸素放出型の酸化膜と、により構成され、
前記酸素放出型の酸化膜上に前記酸化物半導体膜が接して形成される
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記無機絶縁膜は、少なくとも
酸素放出型の酸化膜と、前記酸素放出型の酸化膜上に形成された金属酸化膜と、により構成され、
前記金属酸化膜は、酸化アルミニウムであり、
前記酸化アルミニウムは、膜密度が3.2g/cm以上である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記酸素放出型の酸化膜は、
昇温脱離ガス分光法において、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1×1018atoms/cm以上である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記酸素放出型の酸化膜は、酸化シリコン膜である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記酸化物半導体膜は、
インジウム、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、スズ、ガドリニウム、チタン、及びセリウムの酸化物の中から選択された、少なくともいずれか一種を含む
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記ゲート電極は、
モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、及びスカンジウムの中から選択された、少なくともいずれか一種を含む
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項3において、
前記導電膜は、
前記無機絶縁膜と前記有機絶縁膜とを介して、前記ソース電極、または前記ドレイン電極に接続される
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項3または請求項9において、
前記導電膜は、
前記酸化物半導体膜と重畳した領域に形成される
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
ガラス基板上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に酸化窒化シリコン膜を形成する工程と、
前記酸化窒化シリコン形成後に、加熱処理をする工程と、
前記酸化窒化シリコン膜上に酸素放出型の酸化膜を形成する工程と、
前記酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜を形成する工程と、
前記酸化物半導体膜上にソース電極、及びドレイン電極を形成する工程と、有し、
前記酸素放出型の酸化膜と、前記酸化物半導体膜は、真空中で連続して形成する
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項12】
ガラス基板上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に酸化窒化シリコン膜を形成する工程と、
前記酸化窒化シリコン形成後に、加熱処理をする工程と、
前記酸化窒化シリコン膜上に酸素放出型の酸化膜を形成する工程と、
前記酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜を形成する工程と、
前記酸化物半導体膜上にソース電極、及びドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極、及び前記ドレイン電極形成後に、無機絶縁膜を形成する工程と、
前記無機絶縁膜形成後に有機絶縁膜を形成する工程と、
前記有機絶縁膜形成後に加熱処理をする工程と、を有し、
前記酸素放出型の酸化膜と、前記酸化物半導体膜は、真空中で連続して形成する
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項13】
ガラス基板上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に酸化窒化シリコン膜を形成する工程と、
前記酸化窒化シリコン形成後に、加熱処理をする工程と、
前記酸化窒化シリコン膜上に酸素放出型の酸化膜を形成する工程と、
前記酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜を形成する工程と、
前記酸化物半導体膜上にソース電極、及びドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極、及び前記ドレイン電極形成後に、無機絶縁膜を形成する工程と、
前記無機絶縁膜形成後に有機絶縁膜を形成する工程と、
前記有機絶縁膜形成後に加熱処理をする工程と、
前記有機絶縁膜上に、導電膜を形成する工程と、を有し、
前記酸素放出型の酸化膜と、前記酸化物半導体膜は、真空中で連続して形成する
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項14】
ガラス基板上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極上に酸化窒化シリコン膜を形成する工程と、
前記酸化窒化シリコン形成後に、加熱処理をする工程と、
前記酸化窒化シリコン膜上に酸素放出型の酸化膜を形成する工程と、
前記酸素放出型の酸化膜上に酸化物半導体膜を形成する工程と、
前記酸化物半導体膜上にソース電極、及びドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極、及び前記ドレイン電極形成後に、無機絶縁膜を形成する工程と、
前記無機絶縁膜形成後に有機絶縁膜を形成する工程と、
前記有機絶縁膜形成後に加熱処理をする工程と、
前記無機絶縁膜、及び前記有機絶縁膜上に、前記ソース電極、または前記ドレイン電極に達する開口部を形成する工程と、
前記有機絶縁膜、及び前記開口部上に導電膜を形成する工程と、を有し、
前記酸素放出型の酸化膜と、前記酸化物半導体膜は、真空中で連続して形成する
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項15】
請求項10乃至請求項14のいずれか一において、
前記無機絶縁膜は、少なくとも
酸素放出型の酸化膜と、前記酸素放出型の酸化膜上に形成された金属酸化膜と、により構成され、
前記金属酸化膜は、酸化アルミニウムであり、
前記酸化アルミニウムは、膜密度が3.2g/cm以上である
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項16】
請求項10乃至請求項15のいずれか一において、
前記酸素放出型の酸化膜は、
昇温脱離ガス分光法において、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1×1018atoms/cm以上である
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項17】
請求項10乃至請求項16のいずれか一において、
前記酸素放出型の酸化膜は、スパッタリング法にて形成し、酸化シリコン膜である
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項18】
請求項10乃至請求項14のいずれか一において、
前記酸化物半導体膜は、
インジウム、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、スズ、ガドリニウム、チタン、及びセリウムの酸化物の中から選択された、少なくともいずれか一種を含む
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項19】
請求項10乃至請求項14のいずれか一において、
前記ゲート電極は、
モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、及びスカンジウムの中から選択された、少なくともいずれか一種を含む
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項20】
請求項10乃至請求項14のいずれか一において、
前記加熱処理は、
窒素雰囲気下、酸素雰囲気下、または真空中で200℃以上450℃以下の温度である
ことを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−65840(P2013−65840A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189524(P2012−189524)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】